特許第6069028号(P6069028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069028
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】収納家具および収納家具の2段重ね方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 87/02 20060101AFI20170116BHJP
   F16B 12/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   A47B87/02
   F16B12/00
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-39426(P2013-39426)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2014-166230(P2014-166230A)
(43)【公開日】2014年9月11日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】扇澤 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】新保 有季子
(72)【発明者】
【氏名】木口 正浩
【審査官】 多田 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−155664(JP,A)
【文献】 実開昭60−163043(JP,U)
【文献】 特開2002−211609(JP,A)
【文献】 実開昭56−79152(JP,U)
【文献】 特開2011−45674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 87/02
A47B 91/00
A47B 95/02
A47B 61/00
F16B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地板および天板を有する家具本体部と、上記家具本体部に対して着脱可能で左右の扉部を入れ替えて上下逆に取り付けられるようにした把手付きの開き扉と、上記家具本体部に着脱可能に設けられた脚部とから成り、
上記脚部には、高さが変えられるアジャスターを装着できる装着部が形成されており、
上記地板には、上記脚部を上記家具本体部に連結するための連結部材が装着される第1連結用貫通孔が形成されており、
上記天板には、上記第1連結用貫通孔に一致する配置の第2連結用貫通孔、および上記脚部が上記天板側に配置された場合の上記アジャスターを上記家具本体部の内側から操作するための操作用貫通孔が形成されていることを特徴とする収納家具。
【請求項2】
請求項1に記載の収納家具において、上記地板の下面には、上記アジャスターの操作用端部が入り込む有底穴が形成されていることを特徴とする収納家具。
【請求項3】
請求項1に記載の収納家具において、上記地板と上記天板が同一構成であることを特徴とする収納家具。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の収納家具を2台用い、上段に配置する収納家具を、その脚部を取り外して天地を維持した状態で下段の収納家具の天板上に配置し、上段に配置する収納家具の地板と下段の収納家具の天板とを連結する工程と、上記取り外した脚部を上段の収納家具の天板に組み付ける工程と、上段に配置する収納家具から上記把手付きの開き扉の左右の扉部を取外し、左右入れ替えて上下逆に付け直す工程と、を含むことを特徴とする収納家具の2段重ね方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内空間を間仕切るのに利用可能な収納家具および収納家具の2段重ね方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上下にキャビネット本体を重ねることができるキャビネット構造において、キャビネット本体の天地関係を維持したまま、下段のキャビネット本体の天板に上段のキャビネット本体の底板を重ねて連結する構造が開示されている。
【0003】
上記特許文献1に開示されたキャビネット構造では、各キャビネット本体に開き戸を設けている場合、下段のキャビネットの開き戸には把手を上部に設け、上段のキャビネットの開き戸には把手を手の届く下部位置に設ける必要があり、下段用と上段用のキャビネットの構造が異なるという欠点があった。
【0004】
特許文献2には、上記欠点を解消できるキャビネット装置が開示されている。具体的には、このキャビネット装置は、ローキャビネットを上下に重ねてハイキャビネットとし、壁面収納庫を構築可能なキャビネット装置において、天板、両側板、背板及び底板を少なくとも有するキャビネット本体の底部に設けた取付部に、巾木部材を取付けてローキャビネットを形成し、下方のキャビネット本体の天板の上に、上方のキャビネット本体の天板を重ねて連結するとともに、下方のキャビネット本体の取付部に巾木部材を取付け且つ上方のキャビネット本体の取付部に笠木部材を取付けてハイキャビネットを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−175338号公報
【特許文献2】特開2011−45674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に記載のキャビネット装置では、上段に設けるキャビネットが上下逆になるため、例えばハンガーパイプが下側に位置する不都合がある。また、棚板の配置も上下逆になるので、棚板の配置直しが必要になるなどの欠点がある。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、2台の収納家具において同じ把手配置の開き扉を用い、天地関係を維持したまま、2台の収納家具を上下2段重ねできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の収納家具は、上記の課題を解決するために、地板および天板を有する家具本体部と、上記家具本体部に対して着脱可能で左右の扉部を入れ替えて上下逆に取り付けられるようにした把手付きの開き扉と、上記家具本体部に着脱可能に設けられた脚部とから成り、上記脚部には、高さが変えられるアジャスターを装着できる装着部が形成されており、上記地板には、上記脚部を上記家具本体部に連結するための連結部材が装着される第1連結用貫通孔が形成されており、上記天板には、上記第1連結用貫通孔に一致する配置の第2連結用貫通孔、および上記脚部が上記天板側に配置された場合の上記アジャスターを上記家具本体部の内側から操作するための操作用貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成であれば、当該収納家具を天地維持の状態で上下2段に重ねた高い収納家具を作製する場合、上に載せる収納家具については、その脚部を取り外した状態で下段の収納家具の上側に配置することができる。上記家具本体部の天板には、上記第1連結用貫通孔に一致する配置の第2連結用貫通孔が形成されているので、両連結用貫通孔に連結部材を装着することで上下の家具本体部を互いに連結できる。そして、上段に配置された収納家具の開き扉については、左右の扉部を左右入れ替えて上下逆に付け替えることで、把手を下側にすることができるので、2台の収納家具において同じ把手配置の開き扉を用いることができる。すなわち、上記収納家具を上下で異なる構造のものにする必要がない。
【0010】
また、上段に配置される収納家具の脚部については、上記天板に形成されている上記第2連結用貫通孔および連結部材を用いて上段の家具本体部の上側に付け替えることができる。上記家具本体部の天板には、上記脚部が天側に配置された場合の上記アジャスターを上記家具本体部の内側から操作するための操作用貫通孔が形成されているので、上記アジャスターの高さを調整して上記アジャスターを天井に対する突っ張り手段として利用することができる。このように、当該収納家具を天地維持の状態で上下2段に重ねるので、ハンガーパイプが下側に位置してしまうこともないし、棚板の配置が上下逆になることもない。
【0011】
上記地板の下面には、上記アジャスターの操作用端部が入り込む有底穴が形成されていてもよい。これによれば、地板の上面側からは上記操作用端部が入り込む有底穴は見えないので、家具内側の見栄えがよい。
【0012】
上記地板と上記天板が同一構成であってもよい。これによれば、部品の共通化によるコスト低減が図れる。
【0013】
また、この発明の収納家具の2段重ね方法は、上記いずれかの収納家具を2台用い、上段に配置する収納家具を、その脚部を取り外して天地を維持した状態で下段の収納家具の天板上に配置し、上段に配置する収納家具の地板と下段の収納家具の天板とを連結する工程と、上記取り外した脚部を上段の収納家具の天板に組み付ける工程と、上段に配置する収納家具から上記把手付きの開き扉の左右の扉部を取外し、左右入れ替えて上下逆に付け直す工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の収納家具であれば、2台の収納家具において同じ把手配置の開き扉を用い、天地関係を維持したまま、2台の収納家具を上下2段重ねできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】同図(A)は本発明の実施形態の収納家具を示した平面図であり、同図(B)は正面図であり、同図(C)は底面図である。
図2図1の収納家具の側面図である。
図3図1の収納家具の天板の平面図(内側面)である。
図4図1の収納家具の地板の平面図(内側面)である。
図5図1の収納家具の斜視図である。
図6図1の収納家具の脚部の斜視図である。
図7図1の収納家具を上下に2段重ねた状態の正面図である。
図8図1の収納家具を上下に2段重ねた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(A)、図1(B)および図1(C)に示すように、この実施形態の収納家具1は、家具本体部2と、開き扉3と、脚部(台輪)4とを備えている。
【0017】
上記家具本体部2は、左右の側板21と、地板22と、天板23と、背板24と、棚板25とを備えている。上記側板21には、図2にも示すように、隣に配置される他の家具との連結のための連結孔21aが形成されている。
【0018】
上記開き扉3は、観音開で開閉する左右の扉部3A、3Bからなる。上記扉部3A、3Bは、上記家具本体部2の上記左右の側板21の内面に固定された上下2個配置のスライド蝶番31に連結されている。また、上記扉部3Aおよび扉部3Bには、把手32が取り付けられている。上記把手32は上記扉部3Aおよび扉部3Bの上下方向中央位置よりも上側に固定されている。
【0019】
上記扉部3Aおよび扉部3Bは、上記家具本体部2に対して着脱可能で左右入れ替えて上下逆に取り付けられるよう設けられている。上記扉部3Aおよび扉部3Bには、上記スライド蝶番31が取り付けられる固定部が上下2箇所に形成されている。上下2箇所の上記スライド蝶番31および上記固定部については、上記家具本体部2の上面から上側の固定部およびスライド蝶番31までの距離と、上記家具本体部2の下面から下側の固定部およびスライド蝶番31までの距離とが等しくされており、上記扉部3Aおよび扉部3Bを上下逆に取り付けることができる。
【0020】
上記脚部4は、長方形状の枠部41と、この枠部41の長辺間に跨がって配置された2枚の板部42とからなる。上記板部42は上記枠部41の短辺部寄りで下縁側に設けられている。上記板部42には、上記脚部4を上記家具本体部2における上記地板22に取り付けるための4個の連結孔42aと、高さが変えられるアジャスター44が装着される4個の雌ねじ部(装着部)42bとが形成されている。上記雌ねじ部42bは上記連結孔42aよりも左右方向の外側に形成されている。
【0021】
上記家具本体部2における上記地板22の下面には、図3にも示すように、第1連結用貫通孔22aが形成されている。この第1連結用貫通孔22aには、上記連結孔42aに装着された連結部材43が挿入される。上記連結部材43は例えばプラスドライバーで回すことができるようになっている。上記連結孔42aと上記第1連結用貫通孔22aとに上記連結部材43が装着されることで、上記脚部4が上記家具本体部2の下面側に固定される。一方、上記連結部材43を外すことで、上記脚部4を上記家具本体部2から取り外すことができる。取り外した上記脚部4の斜視図を図5に示す。
【0022】
また、上記地板22の下面には、図1(B)に示したように、上記アジャスター44の操作用端部が入り込む有底穴22bが4箇所形成されている。上記アジャスター44の操作用端部には、例えばプラスドライバーの先端が入れられる十字溝が形成されている。上記有底穴22bは、上記地板22の内側(家具内)からは見えない。
【0023】
上記天板23には、図4および図6にも示すように、第2連結用貫通孔23aが形成されている。上記第2連結用貫通孔23aは上記第1連結用貫通孔22aに一致する寸法配置で4箇所形成されている。また、上記天板23には、上記脚部4が上記天板23側に配置された場合の上記アジャスター44を上記家具本体部2の内側から操作するための操作用貫通孔23bが4箇所形成されている。なお、図4に示しているように、上記天板23の内側の縁部には、この天板23を側板21や背板24に固定するための固定具(例えば、ラフィックス等)が装着される装着部が7箇所形成されている。
【0024】
上記構成であれば、ライフスタイルの変化に応じて、図7および図8に示しているように、上記収納家具1を天地維持の状態で上下2段に重ねた高収納家具を作製する場合、上に載せる収納家具1については、その脚部4を取り外した状態で下段の収納家具1の上側に配置することができる。上記家具本体部2の天板23には、上記第1連結用貫通孔22aに一致する配置の第2連結用貫通孔23aが形成されているので、両連結用貫通孔22a、23aに上記連結部材43等を装着することで上下の家具本体部2、2を互いに連結できる。そして、上段に配置される収納家具1の開き扉3の扉部3A、3Bについては、左右入れ替えて上下逆に付け替えることで、把手32を下側にすることができるので、2台の収納家具1において同じ把手配置の開き扉3を用いることができる。すなわち、上記収納家具1を上下で異なる構造のものにする必要がない。
【0025】
また、上段に配置される収納家具1の脚部4については、上記天板23に形成されている上記第2連結用貫通孔23aおよび上記連結部材43を用いて上段の家具本体部2の上側に付け替えることができる。上記家具本体部2の天板23には、上記脚部4が天側に配置された場合の上記アジャスター44を上記家具本体部2の内側から操作するための操作用貫通孔23bが形成されているので、この操作用貫通孔23bから上記プラスドライバーを差し込んで、その先端を上記操作用端部の十字溝に入れて上記アジャスター44の高さを調整し、このアジャスター44を天井に対する突っ張り手段として利用することができる。このように、当該収納家具1を天地維持の状態で上下2段に重ねるので、例えばハンガーパイプが下側に位置してしまうこともないし、棚板の配置が上下逆になることもない。
【0026】
また、上記有底穴22bが形成されていると、上記地板22の上面側からは上記有底穴22bは見えないので、家具内面の見栄えがよい。一方、上記地板22と上記天板23が同一構成であってもよく。これによれば、部品の共通化によるコスト低減が図れる。この場合、上記有底穴22bに代わって貫通孔が形成されることになるが、家具内面において貫通孔に化粧キャップを嵌め込むことができる。
【0027】
また、この発明の収納家具の2段重ね方法では、上記収納家具1を2台用い、上段に配置する収納家具1を、その脚部4を取り外して天地を維持した状態で下段の収納家具1の天板23上に配置し、上段に配置する収納家具1の地板22と下段の収納家具1の天板23とを連結する工程と、上記取り外した脚部4を上段の収納家具1の天板23に組み付ける工程と、上段に配置する収納家具1から上記把手付きの開き扉3の左右の扉部3A、3Bを取外し、左右入れ替えて上下逆に付け直す工程と、を含むことになる。もちろん、上記の工程の順序は問わない。
【0028】
上記収納家具1を間仕切り収納家具として用いる場合、遮音性の高い背板24を用いるのが望ましい。一方、上記背板24を背面全体に配置しない連通タイプを採用することもできる。また、上記地板22と上記天板23の板厚を相違させてもよい。また、2台の収納家具1の高さは互いに異なっていてもよい。
【0029】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 収納家具
2 家具本体部
22 地板
22a 第1連結用貫通孔
22b 有底穴
23 天板
23a 第2連結用貫通孔
23b 操作用貫通孔
3 開き扉
3A 扉部
3B 扉部
4 脚部
41 枠部
42 板部
42a 連結孔
42b 雌ねじ部(装着部)
43 連結部材
44 アジャスター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8