特許第6069042号(P6069042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069042医療用警報システムおよび医療警報用インジケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069042
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】医療用警報システムおよび医療警報用インジケータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20170116BHJP
【FI】
   A61B5/00 102C
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-48666(P2013-48666)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-171776(P2014-171776A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 和哉
(72)【発明者】
【氏名】宗島 理恵
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−113679(JP,A)
【文献】 特開2007−228982(JP,A)
【文献】 特開2003−310672(JP,A)
【文献】 特表2000−517114(JP,A)
【文献】 国際公開第98/008203(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 − 5/01
A61G 9/00 − 15/12
A61G 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定した患者の生体情報に異常を検出したときにアラーム情報を送信するベッドサイドモニタと、
医療従事者の位置情報を測定したときに医療従事者位置情報を送信する位置情報測定装置と、
前記アラーム情報および医療従事者位置情報を受信し、当該受信した情報を表示する情報表示装置とを備え、
前記情報表示装置は、前記アラーム情報を表示するアラーム情報表示部と前記医療従事者位置情報を表示する医療従事者位置情報表示部とを有し、前記アラーム情報を受信したときに当該アラーム情報を前記アラーム情報表示部に表示するとともに前記医療従事者位置情報を前記医療従事者位置情報表示部に併せて表示し
前記アラーム情報表示部に表示される前記アラーム情報は、生体情報の異常が生じた患者への処置の緊急性を示すものであり、
前記医療従事者位置情報表示部に表示される前記医療従事者位置情報は、医療従事者が、病室に存在するか否かを示すものである、
ことを特徴とする医療用警報システム。
【請求項2】
前記位置情報測定装置による位置情報の測定は、医療従事者が所持するICタグを検出することによる測定であることを特徴とする請求項1に記載の医療用警報システム。
【請求項3】
前記位置情報測定装置による位置情報の測定は、医療従事者の顔認証による測定であることを特徴とする請求項1に記載の医療用警報システム。
【請求項4】
前記情報表示装置は、病室の入り口の廊下側に設置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の医療用警報システム。
【請求項5】
前記アラーム情報表示部および医療従事者位置情報表示部は、視覚的な表示手段であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の医療用警報システム。
【請求項6】
複数の前記ベッドサイドモニタとネットワークで接続され、患者の状態を集中管理するセントラルモニタを更に備え、
各患者の前記アラーム情報および医療従事者位置情報は、前記ネットワークを介して前記セントラルモニタに表示されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の医療用警報システム。
【請求項7】
生体情報の異常が生じた患者への処置の緊急性を示すアラーム情報を表示するアラーム情報表示部と、
医療従事者が病室に存在するか否かを示す医療従事者位置情報を表示する医療従事者位置情報表示部と、
を有し
前記アラーム情報を受信したときに当該アラーム情報が前記アラーム情報表示部に表示されるとともに前記医療従事者位置情報が前記医療従事者位置情報表示部に併せて表示される、
ことを特徴とする医療警報用インジケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者のアラーム情報を報知するための医療用警報システムおよび医療警報用インジケータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の生体情報を測定し、その生体情報に異常が生じた場合にベッドサイドモニタからアラーム信号を発生させ、アラーム信号に基づいてアラーム音を出力し異常を報知するアラーム装置が開発されている。アラーム音の発生により医療従事者は異常が発生したことを認識し患者の元に駆けつけてその異常に対する処置を施す。
【0003】
ところで、医療従事者は複数の患者を担当していることが多く、重複したタイミングで複数の患者からアラーム音が出力される場合が発生する。その場合、単一アラーム音だけの報知では、音が重なって聞き取り難かったり、音量を絞るなどの操作によりアラーム音が抑えられて警報に気付かないなどの不具合も生じ得る。また、聴覚的な報知のみの場合、医療従事者はいずれのアラーム音に対する処置を優先すべきか迅速に対応することができないことも生じ得る。さらに、同一のアラーム音、すなわち同じ患者のところに2人以上の医療従事者が駆けつけてしまうなどの非効率的な状態も生じ得る。
【0004】
これに対して、下記特許文献1には、警報に気付かないなどの事態を防止して安全を確保できるように、独立した別の音による警報や表示による警報を行うようにした生体情報監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−041769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に開示された生体情報監視システムでは、警報に気付かないなどの事態を防止することはできるものの、アラーム音に対する医療従事者の迅速かつ効率的な処置という点においては必ずしも十分でなかった。また、特許文献1の生体情報監視システムではアラーム音のほかにメッセージを表示しているが、その表示内容は単に警報状態が発生したことを報知するためのものであり、迅速かつ効率的な処置を可能とするには不十分であった。
【0007】
そこで、本発明は、アラーム情報の発生に対して医療従事者が患者への処置を迅速かつ効率的に行うことができる医療用警報システムおよび医療警報用インジケータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の医療用警報システムは、測定した患者の生体情報に異常を検出したときにアラーム情報を送信するベッドサイドモニタと、医療従事者の位置情報を測定したときに医療従事者位置情報を送信する位置情報測定装置と、前記アラーム情報および医療従事者位置情報を受信し、当該受信した情報を表示する情報表示装置とを備え、前記情報表示装置は、前記アラーム情報を表示するアラーム情報表示部と前記医療従事者位置情報を表示する医療従事者位置情報表示部とを有し、前記アラーム情報を受信したときに当該アラーム情報を前記アラーム情報表示部に表示するとともに前記医療従事者位置情報を前記医療従事者位置情報表示部に併せて表示することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の医療用警報システムにおいて、前記位置情報測定装置による位置情報の測定は、医療従事者が所持するICタグを検出することによる測定であることが好ましい。
【0010】
また、本発明の医療用警報システムにおいて、前記位置情報測定装置による位置情報の測定は、医療従事者の顔認証による測定であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の医療用警報システムにおいて、前記情報表示装置は、病室の入り口の廊下側に設置されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明の医療用警報システムにおいて、前記アラーム情報表示部および医療従事者位置情報表示部は、視覚的な表示手段であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の医療用警報システムは、複数の前記ベッドサイドモニタとネットワークで接続され、患者の状態を集中管理するセントラルモニタを更に備え、各患者の前記アラーム情報および医療従事者位置情報は、前記ネットワークを介して前記セントラルモニタに表示されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の医療警報用インジケータは、医療従事者の位置情報を表示する医療従事者位置情報表示部を有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の医療用警報システムおよび医療警報用インジケータによれば、情報表示装置を医療従事者の目につく所(病室の入り口など)に設置しておくことで、または医療従事者が持つ携帯端末にこれらの情報を表示させることで、アラームを発生させている患者のところに医療従事者が居るかどうかを容易かつ迅速に認識することができ、患者への処置を迅速かつ効率的に行うことができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係る医療用警報システムの機能構成を示すブロック図である。
図2図1に示す医療用警報システムの設置例を模式的に示した図である。
図3】(a)はベッドサイドモニタに表示されるアラーム情報および医療従事者位置情報の表示例を示す図であり、(b)は情報表示装置の一例を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る医療用警報システムの機能構成を示すブロック図である。
図5図4に示す医療用警報システムの構成例を模式的に示した図である。
図6】セントラルモニタに表示される表示情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る医療用警報システムの実施形態の一例を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医療用警報システム1の機能構成を示す。
医療用警報システム1は、患者の生体情報を測定する生体情報表示装置(ベッドサイドモニタ)10と、医療従事者の位置情報を測定する位置情報測定装置20と、ベッドサイドモニタ10および位置情報測定装置20で測定された情報を表示する情報表示装置(インジケータ)30とを備えている。
【0019】
ベッドサイドモニタ10は、測定した患者の生体情報に異常が発生したと判定したきにアラーム情報を送信する装置であり、生体信号測定部11と、通信部12と、表示部(表示画面)13とを備えている。
【0020】
生体信号測定部11は、取得された生体情報の値を測定し異常有無の判定を行う。具体的には、生体信号測定部11に設けられた比較判定手段によって、生体情報の測定値と予め定められた閾値とを比較し、測定値が閾値を超えている場合に異常が発生したと判定する。そして、判定の結果、異常が発生していると判定した場合には、その旨を報知するアラーム情報を通信部12に出力する。また、生体信号測定部11は、測定した生体情報をリアルタイムで表示部13に出力する。
【0021】
通信部12は、生体信号測定部11から出力されたアラーム情報を情報表示装置30に無線送信する。また、通信部12は、異常が発生したことを報知する異常発生信号を位置情報測定装置20に無線送信する。さらに、通信部12は、位置情報測定装置20から無線送信された医療従事者位置情報を受信する。そして、受信した医療従事者位置情報を表示部13に出力する。
【0022】
表示部13は、生体信号測定部11から出力された患者の生体情報を表示する表示画面であり、例えば液晶画面によって構成することができる。また、表示部13は、生体信号測定部11から出力されたアラーム情報と、通信部12から出力された医療従事者位置情報を表示する。これらの内容については図3(a)において後述する。
【0023】
また、ベッドサイドモニタ10には、患者の生体情報を測定するための生体信号取得手段40が接続されている。具体的な生体信号取得手段40としては、心電図電極41、血圧センサ42、呼吸センサ43等の各センサが挙げられる。生体信号取得手段40によって取得された生体情報はベッドサイドモニタ10の生体信号測定部11に入力される。
【0024】
位置情報測定装置20は、医療従事者の位置情報を測定したときに医療従事者位置情報を送信する装置であり、位置情報センサ21と、通信部22とを備えている。
【0025】
位置情報センサ21は、医療従事者の位置情報を検出し測定する手段である。医療従事者の位置情報は、例えば、RFID(Radio Frequency IDentification)によりICタグの個体識別情報を測定することによって検出することができる。医療従事者にICタグを所持させて、所定のゲート通過時に識別情報を測定し、医療従事者の位置情報を取得する。位置情報センサ21は、測定した医療従事者の位置情報を、医療従事者位置情報として通信部22に出力する。
【0026】
なお、医療従事者の位置情報を取得する方法としては、例えば、所定のゲート等に設置したカメラを用いて、医療従事者の顔認証を行う画像処理によって取得するようにしてもよい。
【0027】
通信部22は、位置情報センサ21から出力された医療従事者位置情報を、ベッドサイドモニタ10および情報表示装置30に無線送信する。無線送信は医療従事者位置情報が位置情報センサ21から出力される毎に行われる。また、通信部22は、異常発生を報知する異常発生信号がベッドサイドモニタ10から送信されてきた際にも、その際に検出している医療従事者位置情報を情報表示装置30に無線送信する。
【0028】
なお、情報表示装置30に無線送信される医療従事者位置情報は、直接、通信部22から情報表示装置30に送信してもよいし、あるいは、通信部22からベッドサイドモニタ10に送信した後に、ベッドサイドモニタ10の通信部12から情報表示装置30に送信するようにしてもよい。
【0029】
情報表示装置30は、アラーム情報および医療従事者位置情報を表示するインジケータであり、通信部31と、アラーム情報表示部32と、医療従事者位置情報表示部33とを備えている。
【0030】
通信部31は、ベッドサイドモニタ10から送信されるアラーム情報を受信し、受信したアラーム情報をアラーム情報表示部32に出力する。また、通信部31は、位置情報測定装置20から送信される医療従事者位置情報を受信し、受信した医療従事者位置情報を医療従事者位置情報表示部33に出力する。
【0031】
アラーム情報表示部32は、通信部31から出力されたアラーム情報を表示する表示部である。アラーム情報表示部32は、アラーム情報の内容に応じて、例えば、表示灯を点灯あるいは点滅させるほか、表示灯の色を変化させる等により視覚的に表示することができる。
【0032】
医療従事者位置情報表示部33は、通信部31から出力された医療従事者位置情報を表示する表示部である。医療従事者位置情報表示部33は、情報内容に応じて、例えば、表示灯を点灯あるいは点滅させたり、その色を変化させたりすること等により視覚的に表示することができる。
【0033】
このように、情報表示装置30は、ベッドサイドモニタ10からアラーム情報を受信したとき、その受信したアラーム情報をアラーム情報表示部32に表示するとともに位置情報測定装置20から受信した医療従事者位置情報を医療従事者位置情報表示部33に併せて表示する。
【0034】
なお、アラーム情報が報知する異常の種類には、患者の生体情報の異常のほか、電極外れや、センサの装着状態の不備や、ノイズが多い場合に発生するテクニカルアラーム、あるいは患者自ら異常を伝えるためのナースコール等を含めるようにしてもよい。
【0035】
図2は、医療用警報システム1の具体的な設置例を模式的に示す。
この具体例では、一人の患者51が入院している病室(個室)50に医療用警報システム1が設置されている場合を示す。図に示すように病室50には、ベッドサイドモニタ10と、位置情報測定装置20と、情報表示装置30が設置されている。位置情報測定装置20は、病室50の入り口52に設置されている。位置情報測定装置20が設置される位置は、病室50に出入りする医療従事者を確実に検出することができる位置であればよい。また、情報表示装置30は、病室50の入り口52における廊下53側に設置されている。情報表示装置30が設置される位置は、病室50の患者51に異常が発生したことを容易かつ確実に確認することができる位置であることが望ましい。
【0036】
ベッドサイドモニタ10によって測定された患者51の生体情報に異常が発生した場合には、患者51に異常が発生したことを報知するアラーム情報が、ベッドサイドモニタ10から情報表示装置30に無線送信される。また、異常発生を報知する異常発生信号がベッドサイドモニタ10から位置情報測定装置20に無線送信される。
【0037】
また、位置情報測定装置20によって、病室50に出入りした医療従事者の検出が常時行われている。病室50に出入りした医療従事者の存在が検出される毎に、病室50に入室した旨を報知する医療従事者位置情報または病室50から退出した旨を報知する医療従事者位置情報が、位置情報測定装置20から情報表示装置30とベッドサイドモニタ10に無線送信される。また、位置情報測定装置20は、異常発生を報知する異常発生信号をベッドサイドモニタ10から受信した際に、その受信した際の医療従事者位置情報が位置情報測定装置20から情報表示装置30とベッドサイドモニタ10に無線送信される。
【0038】
なお、図1において説明したように、位置情報測定装置20から情報表示装置30に無線送信する医療従事者位置情報は、直接、位置情報測定装置20から情報表示装置30に送信してもよいし、あるいは、位置情報測定装置20からベッドサイドモニタ10に送信した後に、ベッドサイドモニタ10から情報表示装置30に送信するようにしてもよい。後者のベッドサイドモニタ10から情報表示装置30に送信する場合には、アラーム情報と共に医療従事者位置情報を送信するようにすればよい。
【0039】
本例では、医療従事者54は、個体識別情報が記録された識別タグ(例えば、無線ICタグ)55を携帯している。位置情報測定装置20は、病室50に出入りする医療従事者の識別タグ55を検出する。病室50に入室する医療従事者54(識別タグ55)を検出した場合には、病室50の生体情報の異常が生じた患者51のところに医療従事者が居ることを示す医療従事者位置情報が位置情報測定装置20から情報表示装置30とベッドサイドモニタに無線送信される。同様に、病室50から退出する医療従事者54(識別タグ55)を検出した場合には、病室50の生体情報の異常が生じた患者51のところには医療従事者が居ないことを示すための医療従事者位置情報が無線送信される。
【0040】
情報表示装置30には、アラーム情報を受信したときに、ベッドサイドモニタ10から送信されたアラーム情報および位置情報測定装置20から送信された医療従事者位置情報が表示される。これらの情報は、例えば、表示灯の光によって表示される。
【0041】
この実施形態では個室の場合を示しているが、1つの病室に複数人の患者、すなわち複数のベッドサイドモニタ10が設置されている場合においても同様にアラーム情報と医療従事者位置情報が報知される。
【0042】
ここで、図3に基づいて、ベッドサイドモニタ10および情報表示装置30に表示される情報の内容について説明する。
図3(a)に示されるように、ベッドサイドモニタ10の表示部13には、患者51から測定された生体情報14のほかに、生体情報の異常を報知するアラーム情報と、医療従事者の存在を報知する医療従事者位置情報が表示される。
【0043】
アラーム情報は、生体情報の異常が生じた患者51に対する処置対応の緊急性に応じて複数段階(ここでは、3段階)に分けて表示される。例えば、軽度の緊急性を要する異常であれば表示領域16が青色に表示され、中度の緊急性を要する異常であれば表示領域16が黄色に表示され、重度の緊急性(早急の処置)を要する異常であれば表示領域16が赤色に表示される。
【0044】
また、図3(b)に示されるように、情報表示装置30には、アラーム情報表示部32と医療従事者位置情報表示部33が設けられており、例えば、ポール形状を有し各表示部32と33が縦方向に区分されている。アラーム情報表示部32には生体情報の異常を報知するアラーム情報が表示され、医療従事者位置情報表示部33には医療従事者の存在を報知する医療従事者位置情報が表示される。
【0045】
アラーム情報表示部32は、複数の表示部(ここでは、3つの表示部32a、32b、32c)に分割されており、生体情報の異常が生じた患者51への処置対応の緊急性に応じた表示を行うことができるように構成されている。例えば、アラーム情報の内容が軽度の緊急性を要する異常であれば表示部32cが青色に表示され、中度の緊急性を要する異常であれば表示部32bが黄色に表示され、重度の緊急性(早急の処置)を要する異常であれば表示部32aが赤色に表示される。
【0046】
医療従事者位置情報表示部33は、医療従事者が生体情報の異常が生じた患者51のところに居るか否かによって分けて表示され、例えば、医療従事者が生体情報の異常が生じた患者51のところに居る場合にはランプが点灯表示され、医療従事者が居ない場合にはランプが消灯される。
【0047】
図2に戻り、この実施形態において医療従事者54の具体的な対応に沿って説明すると以下のようになる。患者51の生体情報に異常が発生すると、その異常に関する情報(アラーム情報と医療従事者位置情報)が表示ランプの光によって情報表示装置30に表示される。また、このときアラーム音が出力される。その異常発生時に廊下53に居た医療従事者54は、情報表示装置30のアラーム情報表示部32に表示されたアラーム情報(表示灯の光の色)を見て、処置対応の緊急性の軽重を認識することができる。また、医療従事者54は、情報表示装置30の医療従事者位置情報表示部33に表示された医療従事者位置情報(表示灯の点灯の有無)を見て、他の医療従事者が生体情報の異常が生じた患者51のところに居るかどうか、すなわち生体情報の異常が生じた患者51の異常発生に対応しているか否かを認識することができる。
【0048】
医療従事者位置情報表示部33が消灯していた場合、医療従事者54は生体情報の異常が生じた患者51に対して処置が施されていないことを認識でき、迅速に生体情報の異常が生じた患者51のところに駆けつけることができる。医療従事者54(識別タグ55)が病室に入室すると位置情報測定装置20によってその入室が検出され、医療従事者位置情報表示部33は点灯する。そして、医療従事者54は、ベッドサイドモニタ10に搭載されたアラーム解除ボタンを操作してアラームを解除する。これにより、これ以降に駆けつけてきた医療従事者は、患者51の病室の入り口に設置されている情報表示装置30を見て、生体情報の異常が生じた患者51に対して既に処置が施されていることを容易かつ迅速に判別することができる。そのため、同じ患者のところに2人以上の医療従事者が駆けつけてしまうなどの非効率的な状態を回避して、他の患者のところへ駆けつけることができる。
【0049】
このように、患者の異常発生時に、病室50の入り口52に設置された情報表示装置30に、処置の緊急度を示すアラーム情報と生体情報の異常が生じた患者のところに医療従事者が存在するか否かを示す医療従事者位置情報とを併せて表示するようにしたので、駆けつけるべき患者の判断を迅速かつ的確に行うことがでる。また、アラームの緊急度に応じて駆けつけるべき患者の優先度を迅速かつ的確に判断することができ、同じ患者のところに2人以上の医療従事者が駆けつけてしまうなどの非効率的な状態を回避することができる。
【0050】
また、医療従事者の位置情報を無線ICタグなどの識別タグ55の検出あるいは医療従事者の顔認証により測定するので、迅速かつ的確に医療従事者の位置情報を測定することができる。
【0051】
また、情報表示装置(インジケータ)30を病室50の入り口52(廊下側)に設置したので、医療従事者は、その表示内容を容易かつ的確に認識することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る医療用警報システム2の機能構成を示す。
医療用警報システム2は、ベッドサイドモニタ10がネットワーク5(LAN等)を介して接続され、ベッドサイドモニタ10の情報がネットワーク5を介してセントラルモニタ60に集中管理される構成を有しており、これらの点で第1の実施形態の医療用警報システム1と相違している。以下、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同一または同様の部分については同一の符号を付すこととし、それらの部分についての詳細な説明は省略する。
【0053】
ベッドサイドモニタ10によって測定された患者の生体情報と、患者の生体情報に異常が発生したときに出力されるアラーム情報と、位置情報測定装置20によって測定された医療従事者位置情報が、ベッドサイドモニタ10の通信部12からネットワーク5を介してセントラルモニタ60に送信される。
【0054】
セントラルモニタ60は、ネットワーク5を介して複数のベッドサイドモニタ10と接続され、患者状態の監視を集中管理するモニタであり、ナースステーション、医師控え室等に設置されている。図に示すようにセントラルモニタ60は、通信部61と、表示部62を備えている。
【0055】
通信部61は、ベッドサイドモニタ10から送信された生体情報、アラーム情報、および医療従事者位置情報を受信し、受信したこれらの情報を表示部62に出力する。
【0056】
表示部62は、通信部61から出力された情報を表示する表示画面であり、例えば液晶画面によって構成することができる。表示部62には、ネットワーク5を介して接続されている全てのベッドサイドモニタ10の情報を表示することができ、その表示形態も任意にセントラルモニタ側で選択することができる。例えば、指定した病室の患者の生体情報を表示させたり、アラーム情報を出力している病室およびその患者名等を表示させたりすることもできる。
【0057】
図5は、医療用警報システム2の具体的な設置例を模式的に示す。
この具体例では、複数の患者51a、51b、・・・、51fが入院している病室(大部屋)70の各ベッドサイドモニタ10a、10b、・・・、10fが、ネットワーク5を介してナースステーション69のセントラルモニタ60に接続されている医療用警報システム2を示している。
【0058】
病室70には、ベッドサイドモニタ10a、10b、・・・、10fと、位置情報測定装置20と、情報表示装置30が設置されており、位置情報測定装置20は病室70の入り口72に設置され、情報表示装置30は入り口72の廊下73側に設置されている。
【0059】
ベッドサイドモニタ10a、10b、・・・、10fによって測定された患者51a、51b、・・・、51fの生体情報に異常が発生した場合には、その異常を報知するアラーム情報が、異常を検出したベッドサイドモニタから情報表示装置30に無線送信されるとともに、ネットワーク5を介してセントラルモニタ60にも送信される。また、異常発生を報知する異常発生信号が、異常を検出したベッドサイドモニタから位置情報測定装置20に無線送信される。この実施形態では、以下、患者51bの生体情報に異常が発生したものとして説明する。
【0060】
位置情報測定装置20は、異常発生を報知する異常発生信号をベッドサイドモニタ10bから受信した際に、その受信した際の医療従事者位置情報を情報表示装置30と少なくともベッドサイドモニタ10bとに無線送信する。ベッドサイドモニタ10bに送信された医療従事者位置情報は、ネットワーク5を介してセントラルモニタ60に送信される。
【0061】
情報表示装置30には、ベッドサイドモニタ10bから送信されたアラーム情報および位置情報測定装置20から送信された医療従事者位置情報が表示される。
【0062】
セントラルモニタ60の表示部62には、病室70の患者51bに異常が発生したこと、異常に対する処置の緊急度、および医療従事者が病室70に居るか否かを示す情報が表示されている。
【0063】
例えば、表示部62には、病室70の各患者の生体情報が患者毎に区分けして表示されており、アラームを発している患者51bの生体情報が表示されている領域の外枠が、アラームの緊急度に応じた色の太線63で強調して表示されている。この太線63による強調表示で患者51bのアラームの発生を示している。また、病室70に医療従事者が駆けつけて来ていることが、太線63で囲われる領域の中の顔マーク68によって示されている。ナースステーション69に居る医療従事者56は、このセントラルモニタ60の表示情報を見ることにより、どの病室でアラーム情報が送信されているか、生体情報の異常が生じた患者51bに対する処置の緊急度とその場に医療従事者がいるか否か等を迅速かつ的確に判断することが可能になる。
【0064】
図5に示すような大部屋の場合には、2人以上の患者からアラーム情報が送信される場合がある。図6は、病室70において患者51bと患者51fから重複したタイミングでアラーム情報が送信された場合のセントラルモニタ60の表示情報を示している。
【0065】
表示部62には、病室70の患者51bと51fに異常が発生したこと、異常に対する処置の緊急度、および医療従事者が病室70に居るか否かを示す情報が表示されている。例えば、表示部62には、アラームを発している患者51bの生体情報が表示されている領域の外枠が、アラームの緊急度に応じた色(この例では黄色)の太線63で強調して表示されている。また、病室70に医療従事者が駆けつけて来ていることが、太線63で囲われる領域の中の顔マーク68によって示されている。同様に、表示部62には、アラームを発している患者51fの生体情報が表示されている領域の外枠が、アラームの緊急度に応じた色(この例では赤色)の太線163で強調して表示されている。また、病室70に医療従事者が駆けつけて来ていることが、太線163で囲われる領域の中の顔マーク168によって示されている。
【0066】
2人の患者からアラーム情報が送信された場合、情報表示装置30には、生体情報の異常が生じた患者51bと51fのうち処置の緊急度が重い方のアラーム情報が表示されるように設定されている。この例では、患者51bの緊急度が中度で、患者51fの緊急度が重度であるため、情報表示装置30には患者51fのアラーム情報が表示される。また、セントラルモニタ60のアラーム灯200は、患者51fの緊急度に応じた色(この例では赤色)で点灯する。
【0067】
医療従事者はこのセントラルモニタ60の表示情報を見ることにより、複数人の患者(患者51bと51f)からアラーム情報が送信されており、処置の優先度は患者51fの方が高いこと、および患者51fが入床している病室70に医療従事者がいるか否かを迅速かつ的確に判断することが可能になる。
【0068】
また、このような2人以上の患者からアラーム情報が送信される場合のセントラルモニタ60の表示態様は、例えば、図6において、生体情報の異常が生じた患者51fに対する処置が開始された場合に、医療従事者位置情報表示部33の消灯状態はそのまま維持し、アラーム情報表示部32のアラーム情報を生体情報の異常が生じた患者51bの情報内容に変化させることが望ましい。これにより、2人以上の患者からアラーム情報が送信された場合でも、生体情報の異常が生じた患者に対する処置の漏れを確実に防止することができる。
【0069】
なお、この実施形態における医療従事者54の具体的な対応は第1の実施形態で説明した内容と同様である。
【0070】
このような構成により、セントラルモニタ60の表示情報あるいは病室の入り口に設置された情報表示装置30の医療従事者位置情報を見ることにより、他の医療従事者が先に患者のところに到達しているか否かを認識できるので、複数人の医療従事者が同じ患者のところに駆けつけるという非効率的な対応を防止することができる。
【0071】
なお、医療従事者が所持する携帯端末を情報表示装置30として用いることもできる。ベッドサイドモニタからアラーム情報と医療従事者位置情報を無線送信して、これらの情報をサーバーを介して医療従事者が所持する携帯端末に送信するようにしてもよい。携帯端末の表示画面には、例えば、図6に示されるセントラルモニタ60と同様の異常発生に関する情報が表示される。医療従事者は所持している携帯端末を見ることでその表示内容を容易かつ的確に認識することができ、生体情報の異常が生じた患者に対する処置の緊急度と医療従事者による処置の有無等を迅速かつ的確に判断することができる。
【0072】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0073】
1、2:医療用警報システム、5:ネットワーク、10、10a、10b、・・・、10f:生体情報表示装置(ベッドサイドモニタ)、11:生体信号測定部、12、22、31、61:通信部、13、62:表示部、20:位置情報測定装置、21:位置情報センサ、30:情報表示装置(インジケータ)、32:アラーム情報表示部、33:医療従事者位置情報表示部、54、56:医療従事者、55:識別タグ(無線ICタグ)、60:セントラルモニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6