【実施例1】
【0015】
(1)電気転てつ機の構成要素について
図1は、割出し電気転てつ機を分岐器へ設置した例を示す。この例では分岐器の一方の基本レール1aに一方のトングレール10aが密着し、他方の基本レール1bに対しトングレール10bは開口している状態を示している。
【0016】
この明細書において、定位位置又は反位位置において基本レールに密着している側のトングレールを密着側トングレール、基本レールとの間に隙間が形成されているトングレールを開口側トングレールとして両者を区別している。図示の例は、反位転換時の状態とする。したがって、反位転換時ではトングレール10aが密着側、トングレール10bが開口側である。定位転換時ではこの関係が逆になり、トングレール10bが密着側、トングレール10aが開口側となる。さらに説明を簡略化するため、密着側トングレールに接続された動作桿を密着側動作桿、開口側トングレールに接続された動作桿を開口側動作桿として説明する場合がある。
【0017】
本発明による電気転てつ機は、選択的駆動手段を備えた2本の動作桿と、2本のトングレール間を弾性的につなぐスプリングタイバーと、トングレールの鎖錠手段であるロックピースと、割り出された時にはロックピースと干渉することなく、且つ、鎖錠位置に転換したときにのみロックピースの差し込みを可能とし、トングレールの転換位置を照査する照査手段と、背向割り出し時に鎖錠されているトングレールを解錠する割出手段とを有している。照査手段および割出手段はそれぞれの動作桿に連結され、動作桿と一体に移動する表示桿に設けている。
【0018】
(a)動作桿について
動作桿は、第1の動作桿11と、第2の動作桿12との2本の動作桿の組み合わせである。
図1は、トングレールが反位転換位置にある状態を示している。従って、トングレールの反位転換時において、第1の動作桿11は基本レール1aに密着して密着側となっているトングレール10aの連結板10cに長ロッド21を介して接続され、第2の動作桿12は基本レール1bから離れて開口側となっているトングレール10bの連結板10dに短ロッド22を介して接続されている。
【0019】
なお、この実施例において、両トングレール10a、10bの先端間はスプリングタイバー3によってつながれ、常時は一定間隔に保たれている。動作桿についての第1と第2との区別は、専ら説明の都合上の区別であって、いずれが第1、第2であってもかまわない。
【0020】
第1の動作桿11および第2の動作桿12の構造およびその組合せの構造を
図2に示す。以下説明を簡単にするため、主として第1の動作桿11の構造を説明し、第2の動作桿12については、第1の動作桿11と同一構成部分には第2の動作桿の番号である12にa、b、・・・などの符号を付してその詳細説明は省略する。
【0021】
図2(a)において、第1の動作桿11は、一端に長ロッド21を接続するための連結孔11j、他端に後述する腕杆11eを接続するための連結孔11kが開孔された板状体であり、板状体の中央部分に方形のカム部11fを有している。
【0022】
カム部11fの上辺は平坦面11cであり、一方の側面(トングレールから遠い側の端面)には鎖錠用垂直面11gが形成され、他方の側面(トングレールに近い側の端面)には、同様な垂直面であって、平坦面11cの肩部を斜め方向に切り欠いた照査逃げ用切欠き11dが形成されている。
【0023】
カム部11fの板面には、後述する転換歯車9に取り付けられた転換ローラ7と接触し、反位方向に転換する際に駆動力を伝達するカム面と、これと向い合せに定位方向に転換する際に駆動力を伝達するカム面から一定距離離れ転換中転換ローラに接触しない位置に形成されるカム面を有し、駆動力を伝達するカム面が
図2(e)におけるカム面11b、11bと連続し形成されているエスケープカム面11aであり、一定距離離れ、転換中転換ローラと接触しないカム面が、逃げ用カム面11hである。
【0024】
第2の動作桿12にも、
図2(b)に示すように同様にカム部12fの上辺に平坦面12cが形成され、一方の側面に鎖錠用垂直面12g、他方の側面に照査逃げ用切欠き12dを有し、カム部12fにはカム面12bおよびそれに連続してエスケープカム面12a、これと向い合せに逃げ用カム面12hが形成されている点は、第1の動作桿11のカム部と同じであるが、動作桿11のカム部11fと、動作桿12のカム部12fとでは鎖錠用垂直面12gと、他方の側面の照査逃げ用切欠き12dの位置およびカム面12b、エスケープカム面12aと他方の逃げ用カム面12hの位置は、第1の動作桿11とは左右対称の位置に形成されている点において相違している。
【0025】
図2(c)に第1の動作桿11と第2の動作桿12との組み合わせ例を示す。この例では動作桿を2枚重ねて配置し、第1の動作桿11は上側に、第2の動作桿12は下側とし、平坦面11cと、12cとを同じ位置にそろえて配列している。また、一方の動作桿11の転換ローラに当たり駆動されるカム面11b、エスケープカム面11aおよびこのカム面から離れた位置に他方の動作桿12の逃げ用カム面12h、他方の動作桿12の転換ローラに当たり駆動されるカム面12b、エスケープカム面12aおよびこのカム面から離れた位置に一方の動作桿11の逃げ用カム面11hの組が左右対称の位置となるように組み合わされている。
【0026】
図2(c)、(d)、(e)に明らかなように、第1の動作桿11のエスケープカム面11a、カム面11bと、第2の動作桿12のエスケープカム面12a、カム面12bの間に後述する転換ローラ7が入り転換する。動作桿12の逃げ用カム面12hと動作桿11の逃げ用カム面11hはそれぞれ対応する動作桿11のエスケープカム面11a、カム面11bと動作桿12のエスケープカム面12a、カム面12bから一定距離離れて配置されている。
【0027】
要するに本発明においては、対をなす動作桿のそれぞれには2つの異なったカム面を有しているものである。1つは、駆動力を与える側の動作桿のカム面であり、他方は従動動作をする側の動作桿のカム面である。駆動力を与える側の動作桿のカム面は転換ローラに接触するように形成され、従動動作をする側の動作桿のカム面は転換ローラが接触する面から一定の距離だけ離れて形成されている。つまり、駆動力を与える側の動作桿のカム面と、従動動作をする側の動作桿のカム面とは、転換ローラに対して互いに逆の配置になっているのである。
【0028】
(b)動作桿の選択的駆動手段について
2本の動作桿の選択的駆動手段は、対をなすトングレールにそれぞれ接続された個々の動作桿のうち、基本レールに密着させる側の一方のトングレールに接続された動作桿を駆動し、他方のトングレールに接続された動作桿には駆動力を加えないようにする手段であり、転換ローラと、動作桿のエスケープカム面、カム面および逃げ用カム面によって構成されるものである。
【0029】
図1において、転換ローラ7は、電動機13に駆動されて回転する転換歯車9の円周上の定位置に取り付けられている。転換ローラ7は、電動機13の回転方向の切換えにより反時計方向又は時計方向に回転する。反位転換時においては転換ローラ7が反時計方向に回転した場合、動作桿11のエスケープカム面11a、次に動作桿12のカム面12bに当たり密着側となる動作桿12を選択し転換する。
【0030】
転換ローラ7が動作桿12のエスケープカム面12aに入ると動作桿12の移動は停止する。転換ローラ7が反時計方向に回転した場合、動作桿12のカム面12b、エスケープカム面12aと同一側にある動作桿11の逃げ用カム面11hは、転換中には転換ローラとは離れた位置にあって、自由に移動できる。
【0031】
一方、時計方向に回転した場合、転換ローラ7は、動作桿12のエスケープカム面12a、次に動作桿11のカム面11bに当たり、密着側となる動作桿11を選択し、これを転換する。転換ローラ7が動作桿11のエスケープカム面11aに入ると動作桿の移動は停止する。
【0032】
転換ローラ7が時計方向に回転した場合、動作桿11のカム面11b、エスケープカム面11aと同一側にある動作桿12の逃げ用カム面12hは、転換中には転換ローラとは離れた位置にあり、自由に移動できる。
【0033】
すなわち、本発明において、選択的駆動手段は、円周上を時計方向又は反時計方向に回転する転換ローラを受入れ、駆動力を伝えるカム溝が、動作桿の転換方向に合わせそれぞれの動作桿11(12)の一方の開口縁に形成されたカム面11b(12b)およびカム面11b(12b)に連続したエスケープカム面11a(12a)であり、各動作桿の他方の開口縁には駆動されるカム面から一定距離離れ、転換ローラとは接触させない逃げ用カム面11h(12h)が形成され、常に転換ローラは一方の動作桿のみしか駆動できない構造となっており、前記転換ローラ7の回転方向に従って動作桿11、12のいずれか一方の転換ローラと接するカム面11b、11a(12b、12a)が選択され、基本レールに対して密着側となるトングレールに接続された動作桿を駆動し、転換ローラとは接しない逃げ用カム面12h(11h)側の動作桿12(11)には駆動力が加わらず、移動が自由な状態となり従動動作が可能となる構造になっているのである。
【0034】
したがって、常に密着側となるトングレールを転換する動作桿のみが転換ローラ7によって駆動され、開口側のトングレールに接続されている動作桿は積極的に駆動されず、トングレールの転換動作に追従して従動する。
【0035】
なお、転換ローラ7は、電動機13に駆動されて回転するが、反位又は定位転換位置には、
図1に示すストッパ14a、14bが設けられている。ストッパ14a、14bは、転換ローラ7がオーバーランしないように停止位置を規制するものである。転換ローラ7がもし、停止位置をオーバーランしたときには背向割り出し時に動作桿のカム部11fまたは12fと干渉するおそれが生じる。
【0036】
(c)スプリングタイバーについて
スプリングタイバー3は、両トングレール10a、10bの先端間をつなぐ弾性的な接続手段であり、第1ロッド3aと第2ロッド3bとの対と、圧縮ばね(圧縮コイルばね)3dとの組合わせである。
図1(c)に示すように第1ロッド3a、第2ロッド3bは、それぞれトングレール10a、10bの先端間に内端を互いに突き合わせて直列に配列されている。
【0037】
なお、第2のロッド3bにはばね受け座が設けられ、第1ロッド3aには、第2ロッド3b側に延長して筒部3cを形成して第2ロッド3bを覆い、筒部3cの内端と第2ロッド3bのばね受け座との間に圧縮ばね3dを組みこんだものである。第1および第2のロッド3a、3bの端末に開口されたピン取付孔P1、P2内にピンを差し込んでトングレール10a、10bの金具にそれぞれ取付け、両トングレール10a、10b間をピン間距離(P1,P2)の一定間隔に支える。
【0038】
両トングレール10a、10bは、圧縮ばね3dのばね力で一定間隔に保持され、その力は通常転換に必要な負荷よりも高くし転換時では変位させず、背向割り出しのとき開口側トングレールから加えられる力より弱く設定し、背向割り出しによる移動は可能とする。
【0039】
図1(c)において、背向割り出しがあって、トングレール10a、10b間を離間させる方向の外力が作用したときにはその力の大きさに応じて圧縮ばね3dがちぢみ、両ロッド3a、3b間が引き離され、ピン間距離(P1,P2)が拡大するが、外力がなくなれば、圧縮ばね3dの弾力で両ロッド3a、3bがつき合わされるため、ピン間距離(P1,P2)は元の間隔に復帰する。
【0040】
スプリングタイバーは、両トングレールの間隔を一定に保つと共に、離間させる外力が作用した場合には外力に応じ変位し、外力がなくなれば元の長さに復帰する構造であれば必ずしも
図1(c)に示す構造に限らない。スプリングタイバーの具体的な構造例を後に示す。
【0041】
(d)ロックピースについて
ロックピースは、反位鎖錠用のロックピース51と定位鎖錠用のロックピース52との組み合わせであり、転換終了後トングレールを鎖錠する手段である。ロックピース51(52)は、動作桿11(12)と直交する方向に配置され、その後端のバネ81(82)によって常時動作桿を鎖錠する方向の力を個別に作用させている。両ロックピース51、52の構造と配列例を
図3−1に示す。
【0042】
図3−1(a)、(b)において、反位鎖錠用のロックピース51は、先端に制御ローラ51c、その後方に鎖錠ローラ51b、さらにその後方に割出ローラ51aを備えている。先端の制御ローラ51cは、転換歯車9と同軸上で一体回転する円板カム凹部9bと円板カム凸部9aとの段差に誘導されて解錠・鎖錠方向の移動変位が与えられるものである。
【0043】
また、ロックピース51の鎖錠ローラ51bは、第1の動作桿11が右から左方向(反位から定位方向)に転換するとき、後述する解錠動作後にカム部11fの平坦面11cに乗り上げ解錠状態を維持する。更に転換すると、動作桿12のカム部12fの平坦面12cに乗り、定位転換終了後も引き続き解錠状態を維持している。
【0044】
したがって、当該動作桿の転換終了位置以外では鎖錠動作をできない構造となっている。割出ローラ51aは、背向割り出しがあったときに後述する表示桿の割出カムにより掬われ、ロックピースを解錠方向に動作させ、トングレールの鎖錠を解錠するためのものである。
【0045】
定位側鎖錠用のロックピース52についても、先端に制御ローラ52c、その後方に鎖錠ローラ52bを備え、さらにその後方に割出ローラ52aを備えている点は反位側鎖錠用のロックピース51と同じであり、転換歯車9と同軸上で一体回転する円板カム凹部9bと凸部9aの段差に誘導されて解錠・鎖錠方向の移動送りが与えられる点においても反位側鎖錠用のロックピース51と同じであるためその動作の説明は省略する。
【0046】
ロックピース51は、
図3−1(b)に示すように先端側は二叉になっており、二叉内に両表示桿61、62を貫通させている。二叉の先端側に鎖錠ローラ51bが取り付けられ、制御ローラ51cは、二叉の一方の延長部分に取り付けられ、円板カムの凸部9aおよび凹部9bで形成されたカムによる解錠・鎖錠動作が可能な位置に配置されているのである。
【0047】
さらに、ロックピース51の二叉の内面には、
図3−2(b)に示すように第2の表示桿62に向けて張り出した凸縁51dを有している。凸縁51dは、
図3−2(a)に示すように表示桿62に形成された受入溝gとの位置が合致したときのみ受入溝g内を通過し、ロックピースの鎖錠方向への移動が可能になる。
【0048】
もし表示桿62の受入溝gとの位置が合致しない場合に、凸縁51dは固定ブロック62bまたは可動ブロック62aに支えられ、ロックピース51の鎖錠方向への移動は阻止される。他方のロックピース52についても同様であり、二叉の内面には表示桿61に向けて張り出した凸縁52dを有している(
図3−2(a),(c)参照)。
【0049】
(e)表示桿について
表示桿は、第1の表示桿61と、第2の表示桿62との組み合わせである。
図1ではわかりやすく示すため、第1の表示桿61と、第2の表示桿62を並列配置とし双方の全体形状を図示しているが、本発明では
図3−1に示すように第1の表示桿61と、第2の表示桿62とは、重ね合わせて配置されている。
【0050】
表示桿は、密着側動作桿の鎖錠をするロックピースに対し、トングレールが正しい位置に転換したときにロックピースを鎖錠方向に移動可能にし、位置が正しくないときにはロックピースの移動を阻止するものである。表示桿を開口側動作桿と連動し一体となる動作をさせることにより、正否の位置を後述する表示桿に設けられている受入溝gにより得られるので、受入溝gの位置を調整により当該ロックピースの位置に合致させることにより実現している。以下にその連動および調整構造を説明する。
【0051】
図1において、第1の表示桿61は、腕杆11eを介して第1の動作桿11に連結され、第1の動作桿11と連動して第1の動作桿11の移動方向と平行に一体的に移動送りが与えられるものである。同様に第2の表示桿62は、腕杆12eを介して第2の動作桿12に連結されている。
【0052】
表示桿61の基端部分にはねじ部15aが形成され、該ねじ部15aに保持ナット15bをねじ込み、該ナット15bの端面で該ねじ部15aに差し込んだ腕杆11eを支え、さらに該ねじ部15aにねじ込んだ調整ねじ15cで腕杆11eを締め付け、締め付け位置を前後させて動作桿11に対する表示桿61の長さ方向の調整を可能にしている。表示桿62についても同じである。
【0053】
表示桿62においてもその基端部分に形成されたねじ部16aが動作桿12の腕杆12eに差し込まれ、保持ナット16bと、調整ねじ16cで挟み長さ方向に進退調整可能に連結されている。
【0054】
表示桿は、照査手段と、割出手段とを備えている。
(f)照査手段について
照査手段は、各表示桿に組み付けられており、分岐器が定位側又は反位側の正しい位置に転換されたときにロックピースによる動作桿の鎖錠を可能としてトングレールの転換位置を照査するものであり、割り出された時には、表示桿はその動きがロックピースと干渉しない構造になっている。
【0055】
表示桿の一部に形成された隙間は、
図3−2(c)に示すように定位又は反位転換位置でロックピースの凸縁51d(52d)を差し込むのに必要な間隔に設定され、隙間内を凸縁51d(52d)が通過することによって、ロックピースを動作桿の移動ラインに進入させることになることから、この隙間をロックピースを受け入れる受入溝gと称している。
【0056】
以下の説明では主として第2の表示桿62に備えた照査手段について説明する。
図3−2(a)において、表示桿62には、反位鎖錠時にロックピースの受入れに必要な隙間を形成する固定ブロック62bと可動ブロック62aとの組が取り付けられている。
【0057】
図3−2(c)にその要部拡大図を示す。
図3−2(c)において,第2の表示桿62には、固定ブロック62bと可動ブロック62aとが向き合わせに配設され、その隙間内に、ロックピース51を受け入れる受入溝gとして固定ブロック62bと可動ブロック62aとの間に形成されているものである。
【0058】
可動ブロック62aは、第2の表示桿62に形成された溝に第2の表示桿62の長手方向に摺動可能に収納され、常時はスプリング62dに押圧されて受入溝gの隙間を保っている。受入溝gは、ロックピース51を受け入れる隙間として、ロックピースの凸縁51dの幅員Wと、その両側にδの間隔を確保している。
可動ブロック62aは、その後退距離として、割り出された時に表示桿が可動ブロックを圧縮する方向に移動する距離以上が確保されている。
【0059】
定位側ロックピース52についても、同様に定位鎖錠時の照査手段として
図1に示すように第1の動作桿11に連動する表示桿61に設けた固定ブロック61bと、スプリング61dを作用させた可動ブロック61aとの組み合わせを有している。
【0060】
(g)割出手段について
図1において、割出手段として第1の表示桿61には割出カム面61cを有している。同様に第2の表示桿62には、割出カム面62cを有している。割出カム面61c、62cはトングレールの定位鎖錠位置、あるいは反位鎖錠位置において、背向割り出しがあったときに、開口側動作桿とともに一体に移動する表示桿の移動に伴って密着側動作桿を鎖錠しているロックピースの割出ローラを押し出し、ロックピース52または51を動作桿の移動ラインから退避させて動作桿の解錠動作を行う。
【0061】
照査手段および割出手段は、ロックピースによる動作桿の鎖錠あるいは解錠動作にかかわる制御を行うものであり、動作桿の端部に表示桿を取付け、これを動作桿と平行に折り返し、その折り返し部分に照査手段および割出手段を設けたものである。要するに照査手段および割出手段は、動作桿と一体となって平行移動する部分に設けられていればよく、実施例には限定されない。
【0062】
(h)分岐器の反位鎖錠の状況
反位側および定位側のロックピース51、52は、それぞれのバネ81、82により動作桿11、12の方向に押し付けられている。分岐器の反位転換時において、反位側ロックピース51の第2ローラ51bは、第1の動作桿11の鎖錠用垂直面11g(
図1(b)参照)を支え、第1の動作桿11の定位方向の移動を阻止することによってトングレールを鎖錠し、さらに反位側ロックピース51の先端の制御ローラ51cは転換歯車9と一体の円板カム凹部9bに落ち込み、反位鎖錠位置を維持している。
【0063】
これに対し、第2の動作桿12に対する定位側ロックピース52は、鎖錠ローラ52bが第1の動作桿11のカム部11fの平坦面11c上に乗り上げた状態にあり、定位解錠位置を維持している。
【0064】
(i)転換動作の説明
以下
図4〜
図8を参照して反位に転換されたトングレールが反位鎖錠されている状態から定位転換されるまでの通常転換動作を説明する。
図4において、トングレールの反位鎖錠の状態では、トングレール10aが密着側、10bが開口側である。
【0065】
図4において、電動機13を回転させ、転換歯車9を矢印Aに示す反時計方向に回転させる。転換歯車9の回転により、転換歯車9に取り付けられた転換ローラ7は、反位側ストッパ14aに突き当たった状態から第1の動作桿11のエスケープカム面11aに向けて回転を始める。
【0066】
図5において、転換歯車9が更に反時計方向に回転すると、転換ローラ7はカム部11fの凹所の開口に形成された面取りの傾斜面11iからエスケープカム面11aに受け入れられ、一旦はエスケープカム面11aを押し、基本レール1aに対しトングレール10aを密着方向に押し返し、鎖錠ローラ51bが鎖錠動作をしたときと同じ状態に戻し解錠の準備をする。
【0067】
転換歯車9の回転にともない、円板カム凸部9aが図において上向きとなり、この凸部9aに反位鎖錠用ロックピース51の制御ローラ51cが乗り上げ、バネ81の押圧力に抗して反位鎖錠用ロックピース51を押し戻すため、鎖錠ローラ51bが反位側鎖錠用垂直面11gから離れ、ロックピース51が第1の動作桿11の移動ラインから退避して第1の動作桿11が解錠される。
【0068】
転換ローラ7がエスケープカム面11aを通過し、開口側トングレール10bに接続されている第2の動作桿12のカム面12bにあたり、転換が開始される。
【0069】
図6において、転換ローラ7の回転に伴い、第2の動作桿12が定位側に向けて引かれると、その動きは短ロッド22から開口側のトングレール10bに伝えられ、トングレール10bを基本レール1b側に引き寄せる。トングレール10bの移動に伴い、スプリングタイバー3の一方の第2ロッド3b、圧縮ばね3d、筒部3c、他方の第1ロッド3a、密着側のトングレール10aが一体となってトングレール10bの移動方向に引き寄せられ、転換動作が行われる。
【0070】
トングレール10aの移動により第1の動作桿11がトングレール10aに押されつつ第2の動作桿12の移動方向と同じ方向に移動する。両動作桿11、12の移動に伴い、各動作桿11、12にそれぞれ連結された第1および第2の表示桿61、62もそれぞれの動作桿11、12に連動して同方向に移動する。
【0071】
図7において、トングレール10bが定位側に密着・鎖錠位置まで転換されると、転換ローラ7は動作桿12のエスケープカム面12aに入り、トングレール10bは基本レール1bに密着する。
【0072】
転換歯車9が更に反時計方向に回転すると、バネ82に押されて定位側ロックピース52の制御ローラ52cが転換歯車9に形成されている円板カム凹部9bに落ち込む。同時に、同じロックピース52に設けられている鎖錠ローラ52bは、第2の動作桿12の鎖錠用垂直面12gの直上に達する。
【0073】
このとき従動側として動作した第1の動作桿11に連結されている第1の表示桿61の受入溝gの位置がロックピース52の位置に合致していれば、ロックピース52は、固定ブロックと可動ブロックとの隙間の受入溝g内に差し込まれ、動作桿12の移動ラインに進入し第2の動作桿12の鎖錠用垂直面12gを支えて反位側への移動を阻止し、第2の動作桿12を定位鎖錠する。
【0074】
すなわち、トングレールの転換に伴って移動する従動側の動作桿の移動位置が照査手段としての受入溝gの位置に検知され、基本レールに密着させる側のトングレールが鎖錠位置に転換されたときにのみ駆動側の動作桿が鎖錠されることになるのである。
【0075】
転換ローラ7は転換歯車9の回転に伴ってエスケープカム面12aから離脱し、さらに約半回転して定位側のストッパ14bに当たって停止し、定位転換が完了する(
図8参照)。第2の動作桿12が鎖錠されると、電動機回路(図示略)が遮断され、表示回路(図示略)が構成されて正常に転換したことを示す信号が出力され、これによってトングレールが鎖錠位置に転換したか否かの照査を行うことができる。
【0076】
以上、反位位置にあるトングレールが正常に定位転換されたときの動作を説明した。この動作は駆動側として動作させた第2の動作桿12の動作を第1の動作桿11に置き換え、従動側として動作させた第1の動作桿11の動作を第2の動作桿12に置き換えることによって定位位置にあるトングレールを反位位置に転換する場合にもそのまま当てはめることができる。
【0077】
本発明において、ロックピース51の動きを制御するのは第2の表示桿62であり、ロックピース52を制御するのは、第1の表示桿61である。トングレールが定位から反位側に転換し、トングレール10aが第1の動作桿11により鎖錠されているとき、
図3−1(a)に示すように第2の表示桿62の可動ブロック62aと、固定ブロック62bとの間にロックピースの凸縁51d(
図3−2(c)参照)が入る(この状態は正常な状態であり表示回路はONを表示する)。
【0078】
一方、トングレール10aが密着状態にない場合には第2の動作桿12がストローク不足になるのでこれと連結されている第2の表示桿62の可動ブロック62aと固定ブロック62bとの位置が鎖錠位置からずれる。したがって、ロックピース51の凸縁51dは可動ブロック62aと固定ブロック62b間の受入溝g内に入り込むことができないため、ロックピース51を差し込むことができない。これは妨害状態であり、ロックピース51は解錠された位置で停止しているため表示回路はOFFのままとなる。
【0079】
したがって、本発明においては、定位又は反位鎖錠時の照査用として設けたそれぞれの表示桿に可動ブロックと固定ブロックの組を備え、可動ブロックと固定ブロックと間に形成される受入溝g内にロックピースが入り込んだときにのみ動作桿の鎖錠を可能とするものであり、反位側又は定位側のロックピースが前記隙間内にロックピースが入り込むことができるか、できないかを検知することによって動作桿の転換動作、すなわちトングレールの転換位置の照査を可能にするものである。
【0080】
要するに、ロックピースの働きは、動作桿の転換動作が正常に行われたかどうかを照査する機能と、動作が正常に終了した場合に、密着側動作桿の鎖錠を可能にする動作との2つの機能を実行するものである。実際には照査後に鎖錠となるこの機能はシリーズにより行われることになるため、ロックピースの動作位置を検知するスイッチを設けることによりこの状態を電気的に取り出すことが可能となる。
【0081】
(j)背向割り出しによる転換動作
図9に示す反位転換位置において定位側背向方向から背向列車T’が進入してきたときには、
図10(a)のように開口側トングレール10bを車輪Wで押し広げながら背向列車T’はポイントに進入する。トングレール10bを押し広げる力がスプリングタイバー3のバネ力以上になると、バネが縮み、開口側トングレール10bが基本レール1b側に転換され、その動きは短ロッド22を介して動作桿12に伝えられ、動作桿12は定位方向に移動し、同時に動作桿12に連結された表示桿62も同方向に一体に移動する。
【0082】
表示桿62が定位方向に移動すると、
図10(b)に示すように表示桿62に設けた可動ブロック62aがロックピース51の内側に形成した凸縁51dに突き当たるが、可動ブロック62aはスプリング62dを押し縮めて後退するため、表示桿62の移動動作は妨げられない。
【0083】
背向列車がそのままさらに進行すると、
図11に示すように表示桿62が定位方向に移動して表示桿62に設けた割出カム面62cがロックピース51の割出ローラ51aを押し出す。割出ローラ51aが押し出されると、ロックピース51はバネ81に抗して押し戻され、図において上方へ移動し、動作桿の移動ラインから退避して動作桿11を解錠する。動作桿11が解錠されることによって、
図12に示すようにトングレール10bは、車輪によって定位転換方向に押し付けられ、背向割り出しが完了する。
【0084】
以上はトングレールの反位位置で、背向割り出しによる転換動作を説明したが、トングレールの定位位置で、反位側背向方向から列車が進入してきたときには、車輪により第1の動作桿11が引き出され、これと連動している表示桿61の割出カム面61cがロックピース52の割出しローラ52aをロックピースの解錠方向に押すので、動作桿12を鎖錠しているロックピース52はバネ82に抗して押し戻され、第2の動作桿12を解錠し、背向割り出しによるトングレール10a、10bの反位転換を可能にする。
【0085】
本発明において、両トングレール10a、10bの先端間をつなぐスプリングタイバー3のロッド3a、3b間は圧縮ばね3dにより転換負荷では変位しない力が付与されているので、通常の転換においては、ロッド3a、3b間には長さの変化がなく密着側のトングレールの動きを開口側トングレールにストロークのロスがなく伝えることができる。
【0086】
密着側動作桿で転換し、スプリングタイバー3でトングレール10a、10bの双方を一定間隔につなぎ、開口側動作桿で照査する構成は、密着側トングレールに異物が介在し転換動作を阻害され密着位置まで転換できない状態を検出できる他、更に、転換系として使用しているすべての部材が変形・脱落がない正常であるときのみ一連の動作が可能となることから密着側のトングレールの転換位置の照査が高い安全性を持ってできる。
【0087】
転換系のすべての部材とはロッド21・22、連結板10c・10d、スプリングタイバー3ならびにトングレール10a・10bの連結板の取付け位置からスプリングタイバーが取り付けてある先端までを指す。
【0088】
(k)スプリングタイバーの具体例について
スプリングタイバーは、前述のように両トングレールの先端間をつなぐことにより通常の転換動作においては両トングール間を一定間隔に保ち、密着側動作桿の動きに開口側動作桿を従動させるとともに、背向割り出しがあったときに、開口側トングレールが列車の車輪に押されて移動すると、その移動分だけ伸長して両トングレールの間隔を広げ背向列車が通過できる状態とし、背向割り出し後はもとの一定間隔に復帰させるものである。この機能を実現する構造として引張りばねを組み込んだ単動タイプのものと圧縮ばねを組み込んだ複動タイプのものとが考えられる。
【0089】
図13(a)に、単動タイプのスプリングタイバーを示す。この例では、引張りばねを用いて構造を簡略化している。
図13(a)において、単動タイプのスプリングタイバーは、それぞれトングレールの金具に個別に取付けるピンの取付孔P1、P2を端末に有する第1ロッド91aおよび第2ロッド91bと、両ロッド91a、91b間に外装する引張りばね92との組み合わせである。
【0090】
第1ロッド91aには前記第2ロッド91bの軸孔93内に進退動可能に挿入するガイド軸94を有し、第2ロッド91bは、その軸線方向に沿って一端が開口された軸孔93を有している(
図13(b)参照)。第1ロッド91aのガイド軸94は第2ロッド91bの軸孔93内に差し込まれ、引張りばね92は両ロッド91a、91bを跨って外装され、その両端は第1ロッド91aおよび第2ロッド91bの外周一部に固定されている。
【0091】
両ロッド91a、91bは引張りばね92の引張り力を受けて互いに接近し、
図13(a)に示すように第2ロッド91bの軸孔93の内端に第1ロッド91aのガイド軸94が突き当たった状態で両端のピン間距離(P1,P2)を一定に保っている。スプリングタイバーは、両ピン取付孔P1、P2内に差し込んだピンによって両トングレールの金具に取付けられる。
【0092】
この実施例による単動タイプのスプリングタイバーによれば、通常の状態では
図13(a)のように第2ロッド91bの軸孔93内に差し込まれた第1ロッド91aのガイド軸94が軸孔93内端に支えられてピン間距離(P1,P2)は一定に保たれている。背向割り出しにより一方のトングレールが基本レールから離間する方向の力を受けたときには、ピン間距離が拡大し、
図13(b)のように引張りばね92の弾性に抗してガイド軸94が軸孔93内から引出され、スプリングタイバーが伸長し、背向列車の通行を可能とする。
【0093】
背向列車がトングレールを通過して外力がなくなれば、引張りばね92の復元力を受けて軸孔93内にガイド軸94が引き込まれ、
図13(a)に示す元の長さに戻る。なお、前記実施例に説明した
図1(c)のスプリングタイバーは、圧縮ばねを用いた単動タイプである。
【0094】
図14(a)に複動タイプのスプリングタイバーの例を示す。
図14(a)において、複動タイプのスプリングタイバーは、対を成す第1のガイド101aおよび第2のガイド101bと、両ガイド101a、101bをつなぐシリンダ102と、第2のガイド101bの軸孔を通してシリンダ102内に挿入されたシャフト103と、両端を第1のばねガイド104a、第2のばねガイド104bに支えてシャフト103の周上に配置された圧縮ばね105との組み合わせである。
【0095】
シリンダ102内に挿入されたシャフト103の先端は第1のガイド101aの軸孔内に差し込まれた第1のばねガイド104a内を進退動可能に支持され、シャフト103の先端部分の抜け止めSにより、第1のばねガイド104aが位置決めされている。第1のばねガイド104aはスリーブ106の外端縁に一体に形成され、通常状態では第1のガイド101aの内端面に支えられている。
【0096】
一方、第2のばねガイド104bは圧縮ばね105の押圧力を受けて通常状態では第2のガイド101bの内端面または、シャフト103の軸上に形成された大径部103aの端縁とに支えられている。シャフト103の大径部103aは、シャフト103の軸上の特定部分を相対的に大径に加工した部分であり、大径部103aは、第2のガイド101bの軸孔に支えられている。
【0097】
なお、この実施例においては、第2のガイド101b内に差し込まれたシャフト103の基端部分が第2のロッドに相当し、シャフト103の先端を支える第1のガイド101aが第1のロッドに相当する。第1のガイド101aの端末およびシャフト103の基端にはトングレールの金具に取付けるためのピンの取付孔P1,P2が開口されている。スプリングタイバーは、単動タイプのものと同様にそれぞれのピン取付孔P1,P2内に差し込んだピンによって両トングレールの金具に取付けられる。
【0098】
通常の状態では
図14(a)のように、圧縮ばね105の軸方向の反発力を受けて第1のばねガイド104aと第2のばねガイド104bとは、シャフト103の先端の抜け止めSとシャフト103の拡径部103aの縁端に突き当たり決められるばねガイドの外端面間の距離と、シリンダ102を挟んだ第1のガイド101aと第2のガイド101bから決まるガイドの内端面間の距離の差による隙間を許容値内とすることによりスプリングタイバーのピン間距離(P1,P2)は、一定間隔に保たれている。
【0099】
背向割り出しを受けて両トングレール間が押し広げられたときには、
図14(b)のようにシャフト103が引出される方向に牽引される。この力を受けて第1のばねガイド104aはシャフト103の抜け止めSに支えられた状態でシャフト103と一体となって引き出し方向に動かされ、圧縮ばね105を圧縮し、シャフト103の引き出し方向への移動動作が可能となる。
【0100】
この結果、スリーブ106を第1ガイド101a内に残してシャフト103がシリンダー102から引き出され(引き出し量C)スプリングタイバーの全長が伸長し、両トングレールの間隔の広がりに追従し、背向列車の通行が可能となる。
【0101】
背向列車がトングレールを通過した後、シャフト103は圧縮ばね105により第1のばねガイド104aが第一のガイド101aに突き当たる位置まで戻される。この位置が通常状態の元の位置であるが、さらにシャフト103を押し込む方向にエネルギーが残っていた場合には、
図14(c)のようにシャフト103は第2のばねガイド104bを押し込み(押込み量B)、圧縮ばね105を圧縮してそのエネルギーを吸収する。
【0102】
エネルギーが吸収された後は、圧縮ばね105のばねが復帰し、第2のばねガイド104bが第2のガイド101bに突き当たるまでシャフト103が伸長して
図14(a)に示す元の長さに復帰する。
【0103】
すなわち、複動タイプのスプリングタイバーでは、圧縮ばねが、両ロッドを軸線方向に押圧して両トングレールの先端の間隔を一定の安定状態に保たせており、両トングレール間を離間させる方向の外力が作用したときにはその力の大きさに応じて圧縮ばねが縮んで両トングレールの先端間を拡大させ、外力がなくなればその復元力で両トングレールの間隔を元の長さに復帰させるが、この時復帰エネルギーが残っている場合には、更にばねを圧縮させる方向に動作し吸収する。エネルギーが吸収された後は、ばねの復元力で両ロッドが元の長さに復帰するので両トングレールの先端間隔も元の間隔に戻る。
【0104】
複動タイプのスプリングタイバーは、単動タイプのスプリングタイバーと比較して以下のような特徴がある。すなわち、単動タイプのスプリングタイバーでは、背向列車がトングレールを通過して外力がなくなって、
図13(b)から
図13(a)の状態に戻るときに引張りばねの復元力でガイド軸94が軸孔93内に引き込まれ、軸孔93の内端に突き当て停止するので衝撃力が発生する。
【0105】
これに対し、複動タイプのスプリングタイバーでは、
図14(b)から
図14(a)の状態に戻る際に、圧縮ばねが保有する復元力で復帰するが、停止位置において残っているエネルギーを圧縮ばねを引き出した方向とは反対方向に押し込み(押込み量B)、このエネルギーを吸収し、その後圧縮ばね力により
図14(a)の状態に復帰させるため、部材の衝突による衝撃が少なく、スプリングタイバーの復帰動作を行わせることができる。
【0106】
本発明において、トングレールを転換して鎖錠するには、基本レール1a(1b)にトングレール10a(10b)をある力で押しつけてトングレールを基本レールに密着させる機能と、密着側のトングレールが転換位置に正しく転換されたかどうかを照査する機能との2通りの機能とを実行しなければならない。
【0107】
上記実施例によれば、トングレールを基本レールに密着させる機能は従来どおり長短ロッド21、22の長さ調整によって実行できるが、長短ロッドの長さ調整だけでは密着側のトングレールが転換位置に正しく転換されたかどうかを照査する機能を実行することができない。
【0108】
そこで本発明においては、照査手段としてそれぞれの表示桿に組み込んだ照査機構(固定ブロック62b(61b)と可動ブロック62a(61a))との間に形成されたロックピース51(52)の受入溝gを設けているのであるが、この照査機構の調整を可能とするために、動作桿12(11)と平行に長さ方向に調整可能な表示桿62(61)を動作桿のそれぞれに連結し、照査機構の位置を調整可能としているのである。
【0109】
照査の最適値は、開口側トングレールに接続された動作桿が転換終了位置にあるときに密着側動作桿を鎖錠することである。照査機構の位置を調整するには、表示桿61又は62を止めている保持ナット15bと調整ねじ15cとの組(又は16b、16cの組)を調整し、開口側トングレールに接続されている動作桿に連結された表示桿の受入溝gの位置を、鎖錠する動作桿の当該ロックピースの位置にあわせることによって照査の最適位置に合わせることができる。
【0110】
さらに、背向割り出しは、表示桿に割出手段として組み込んだ割出カム面で鎖錠側のロックピースの割出しローラを押し出し解錠する動作ができるよう合わせる必要があるが、既に照査の段階で鎖錠しているロックピースと表示桿の位置を合わせてあるのでこの調整は不要である。
【0111】
表示桿の動作条件は開口側動作桿と同じである。照査に際しては、開口側動作桿の位置が密着側のトングレールの転換位置を間接的に示すことになるから、開口側動作桿に連結された表示桿の位置によってトングレールの鎖錠位置であるかどうかの検知ができる。また、背向割り出しについては、背向列車の車輪により開口側トングレールが押されたことにより密着側トングレールの鎖錠を外し、列車を通過させる機構なので開口側動作桿の動きを割出の条件として活用できる。