(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カット豆腐を収容すべく用いられ、熱可塑性樹脂シートが熱成形されてなり、外周縁が平面視矩形となる底壁と該底壁の前記外周縁から立ち上がる矩形枠状の周側壁と、該周側壁の頂部から外向きに延びるフランジとを有し、前記底壁には、平面視矩形の前記外周縁の4辺それぞれから内向きに延び、前記外周縁の周方向に対して略直交する方向に沿って延びる直交リブが形成されており、該直交リブが前記4辺の各辺において前記周方向に間隔を設けて複数本ずつ形成されているカット豆腐用容器であって、
前記底壁には、前記外周縁の角部から当該底壁の中央部に向かう方向に沿って延在され、前記4辺に対して傾斜する方向に延在されている斜行リブがさらに備えられていることを特徴とするカット豆腐用容器。
前記直交リブの一部又は全部は、前記斜行リブと交差しないように前記外周縁から前記斜行リブに至るまでの長さ未満に形成されている請求項1又は2記載のカット豆腐用容器。
前記底壁の外周縁の形状が平面視略正方形であり、該正方形の対角線に沿った方向に前記斜行リブが形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカット豆腐用容器。
前記底壁の外周縁の形状が平面視略長方形であり、該長方形の角部を通り、しかも、前記長方形の短辺と長辺とのなす角度が略等しくなるように前記角部を通る仮想線に沿って前記斜行リブを延在させている請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカット豆腐用容器。
【背景技術】
【0002】
従来、食品工場などで製造された豆腐を市場に流通させるのに際して熱可塑性樹脂シートが熱成形されてなる容器に豆腐を収容させて樹脂フィルムで密封した豆腐パックを形成させることが広く行われている。
この豆腐パックの形成に利用される豆腐用容器としては、底壁と該底壁の外周縁から立ち上がる周側壁とによって上部開口した収容凹部が形成され、前記周側壁の頂部によって画定される収容凹部の開口縁から外向きに延びるフランジをさらに備えたものが広く用いられており、前記収容凹部に豆腐を収容させるとともに前記フランジを使って樹脂フィルムとの間にヒートシールが行われて前記収容凹部への豆腐の密封が行われるタイプのものが広く用いられている。
【0003】
このような豆腐用容器に収容されて豆腐パックの形態で市販される豆腐としては、その製造方法から2種類に大別されており、1丁や半丁といった規格サイズに予め形成されたカット豆腐と呼ばれるものと、豆乳と凝固剤とを含んだ豆腐原液が豆腐用容器に定量充填されて樹脂フィルムなどで密封された後で蒸気加熱されるなどして容器中で凝固された充填豆腐と呼ばれるものとが知られている。
【0004】
この充填豆腐を収容させるための充填豆腐用容器としては、上記のような製法に利用されることから収容凹部の形状における自由度が比較的高く半球型やハート型といった特徴的な形状のものが採用されたりしている。
一方でカット豆腐を収容させるためのカット豆腐用容器は、通常、カット豆腐が直方体形状に形成されることから前記収容凹部を全体直方体状とさせることが一般的である。
即ち、カット豆腐用容器は、通常、外周縁が平面視矩形となる底壁と該底壁の外周縁から立ち上がる矩形枠状の周側壁とを有し、その内側にカット豆腐よりも一回り大きな直方体形状の収容空間形成させている。
【0005】
このようなカット豆腐用容器には、材料コストなどの関係から、従来、薄肉化が求められており、薄肉でありながら必要な強度を発揮させるために底壁や周側壁に容器内側、或いは、容器外側に突出するリブを形成させたものが採用されている(下記特許文献1参照)。
このことについてより具体的に説明すると、矩形枠状の前記周側壁には、カット豆腐容器の収容凹部の深さ方向(上下方向)に沿って延在するリブ(以下「側壁リブ」ともいう)を該周側壁の周方向に所定の間隔を設けて複数形成させるとともに前記底壁には該側壁リブに連続するリブを形成させてカット豆腐用容器に上下方向に加わる圧縮力や側方から加わる圧縮力(側圧)に対する強度を付与することが従来行われている。
なお、通常、底壁にも、前記側壁リブと同じく底壁の外周縁の周方向に所定の間隔が設けられて複数のリブが形成されている。
【0006】
そして、この底壁に形成されるリブは、該底壁の外周縁の4辺それぞれから内側に向けて延在されており、通常、底壁の外周縁の周方向に対して略直交する方向に沿って延びる直交リブとなるように形成されている。
このようなカット豆腐用容器に関し、例えば、下記特許文献1においては、外周縁の角部を介して隣接する一辺側から延びる複数本の直交リブと他辺側から延びる複数本の直交リブとを底壁中央部において交差させた形状を有する容器を豆腐用容器として利用可能であることが記載されている。
【0007】
ところで、カット豆腐用容器は、複数の容器を積層して“容器スタック”などと呼ばれる積層構造を形成させて容器メーカーから需要者に供給されており、使用時には容器スタックの最も下位となるカット豆腐用容器を順に取り出すような操作が行われている。
このときの具体的な操作としては、周側壁を形成している4つの側壁部の内、対向する位置関係にある2つの側壁部を外側から治具で挟み込んで最も下位のカット豆腐用容器を掴み、該カット豆腐用容器を前記容器スタックから取り出すような方法が広く採用されている。
しかし、このカット豆腐用容器として側圧に対して容易に変形してしまうようなものを用いると最下位のカット豆腐用容器とともにその上位のカット豆腐用容器とが2個同時に容器スタックから取り出されてしまうおそれを有する。
【0008】
従って、カット豆腐用容器には、側壁部に外側から圧力を受けた際にある程度以上の抵抗力を発揮することが求められている。
なお、カット豆腐用容器を外側から治具等で把持する場合、例えば、平面視長方形の底壁を有するカット豆腐用容器などでは、短辺側の側壁部を接近させる方向に力を加えてカット豆腐用容器を把持するか、長辺側の側壁部を接近させる方向に力を加えて把持するかの2通りの選択肢が通常考えられることになる。
このとき治具で挟み込む方向が限定されるのは好ましいことではないので、長辺方向において発揮される変形抵抗力が短辺方向に比べて極端に低くなったり、或いは、その逆になったりしないことがカット豆腐用容器に要望されている。
しかし、従来のカット豆腐用容器においては、このような要望を満足させることが困難であるという問題を有している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について、カット豆腐用容器を例にして図面を参照しつつ説明する。
【0017】
本実施形態のカット豆腐用容器(以下、単に「豆腐用容器」ともいう)は、熱可塑性樹脂シートに真空成形や圧空成形といった熱成形が施されて立体的な形状が付与されたもので、
図1は、本実施形態のカット豆腐用容器にカット豆腐を水とともに密封させてなる豆腐パックの概略斜視図であり、
図2は前記カット豆腐用容器の概略斜視図である。
なお、本明細書中においては、
図1、2において矢印Hで示されている容器深さに係る方向を、上下方向、又は、深さ方向と称し、矢印Dで示されている方向を内外方向、又は、径方向と称することがある。
また、本明細書中においては、
図1、2において矢印Rで示されている方向を周方向と称することがある。
【0018】
これらの図にも示されているように本実施形態のカット豆腐用容器1(豆腐用容器1)は、上部に矩形開口を有する収容凹部10を有し、該収容凹部10が、水とともにカット豆腐80を収容させた状態で樹脂フィルム90によって密封されて豆腐パック100の形成に利用されるものである。
【0019】
本実施形態の豆腐用容器1は、前記カット豆腐80の収容スペースを構成している収容凹部10と、該収容凹部10の開口縁10eから外向きに略水平に延びるフランジ20とを有しており、前記フランジ20の上面側に前記樹脂フィルム90を接着させ、且つ該フランジ20に沿って収容凹部10の開口縁10eを外側から包囲するように前記接着を実施して環状シール部70を形成させることによって前記カット豆腐80を密封させうるように形成されている。
【0020】
前記収容凹部10は、その上面が前記カット豆腐80の載置面となる平面視矩形の底壁11と、該底壁11の外周縁11eから立ち上がる矩形枠状の周側壁12とによって形成されており、前記フランジ20は、該周側壁12の頂部から外向きに延びるようにしてカット豆腐用容器1に備えられている。
本実施形態における前記底壁11は、平面視における外周縁11eの形状が、前記周側壁12の頂部によって画定される収容凹部10の開口縁10eよりも一回り小さな矩形状となっており、具体的には略正方形となっている。
また、前記フランジ20の外周縁によって画定される豆腐用容器1の平面視における輪郭形状も略正方形となっているとともに前記開口縁10eの形状も平面視略正方形となっている。
そして、前記周側壁12は、底壁11の外周縁11eに沿って垂直に起立する仮想平面に対して僅かに外向き傾斜した状態でカット豆腐用容器1に備えられている。
【0021】
該周側壁12は、略正方形の底壁11の外周縁の各辺からそれぞれ立ち上がる4つの板状部位たる側壁部12aによって矩形枠状(角筒状)となるように構成されており、以下においては
図2に符号12a1〜12a4で示すように、当該周側壁12の各板状部位を周方向に順番に第一側壁部12a1、第二側壁部12a2、第三側壁部12a3、及び、第四側壁部12a4と呼び分けることがある。
また、以下においては、底壁11の外周縁11eを画定している4つの辺の内、前記第一側壁部12a1の立ち上がり基端となる第一の辺を11e1の符号を付して外周縁第一辺又は単に第一辺と称して他の辺と区別することがある。
さらに、第二側壁部12a2、第三側壁部12a3、及び、第四側壁部12a4の立ち上がり基端となっている残りの3辺についても、それぞれ外周縁第二辺11e2(第二辺11e2)、外周縁第三辺11e3(第三辺11e3)、及び、外周縁第四辺11e4(第四辺11e4)と称することがある。
【0022】
前記周側壁12を構成している各側壁部12aには、容器深さ方向に沿って延在するリブ12r(側壁リブ12r)が複数備えられており、本実施形態における前記側壁リブ120は、水平面における断面形状が略半円形となる形状となって外向きに突出するように形成されている。
即ち、本実施形態における側壁リブ12rは、周側壁12の外表面12oの側において突出した形状となって形成されており、外表面側における突出形状(半円状)に対応する凹入形状を周側壁12の内表面12iの側に形成させている。
【0023】
なお、本実施形態においては、第一側壁部12a1と第二側壁部12a2との境界、第二側壁部12a2と第三側壁部12a3との境界、第三側壁部12a3と第四側壁部12a4との境界、及び、第四側壁部12a4と第一側壁部12a1との境界となる周側壁12の角部12acにおいても前記境界に沿って側壁リブ12rが形成されている。
また、本実施形態においては、第一側壁部12a1から第四側壁部12a4までの各側壁部は、側壁リブ12rの形成状況等を共通させており、側面視における形状を互いに共通させている。
【0024】
前記底壁11は、前記のように平面視略正方形となっており、該正方形の外周縁11eの第一辺11e1から第四辺11e4までのそれぞれの辺から内向きに延び、前記外周縁11eの周方向Dに対して略直交する方向に沿って延びる直交リブ11r1が形成されている。
本実施形態のカット豆腐用容器1は、図にも示されているように、前記の第一辺11e1から第四辺11e4までの4辺の各辺からそれぞれ内側に向けて前記直交リブ11r1が複数本ずつ延びるように形成されている。
即ち、前記直交リブ11r1は、前記4辺の各辺において前記周方向Dに間隔を設けて複数本ずつ形成されている。
【0025】
なお、本実施形態における前記直交リブ11r1は、前記側壁リブ12rに連続する形で形成されており、底壁11の外周縁11eにおいて側壁リブ12rの下端に連結されている。
そして、前記直交リブ11r1は、
図3にその断面形状を示すように、当該断面形状が側壁リブ12rと略共通されており、本実施形態のカット豆腐用容器1の接地面となる底壁11の下面11oの側において断面半円形となって突出するように形成されている。
【0026】
なお、底壁11をその下面側から見た様子を示した
図4に示されているように、本実施形態のカット豆腐用容器1は、底壁11の中心部から4つの角部に向けて放射状となるように配置された4本の斜行リブ11r2がさらに備えられている。
言い換えると、前記斜行リブ11r2は、底部外周縁の4辺に対して傾斜する方向に延在されており、前記外周縁11eの4つの角部から底壁11の中央部に向かう方向に沿って延在されている。
該斜行リブ11r2は、特にその形状等が限定されるものではないが、例えば、前記直交リブ11r1や前記側壁リブ12rと同様の形状とすることができる。
より具体的には、これらのリブの幅は、通常、1mm以上8mm以下とすることができ、好ましくは、2mm以上5mm以下とされる。
また、これらのリブの高さは、通常、1mm以上8mm以下とすることができ、好ましくは、2mm以上5mm以下とされる。
さらに、前記直交リブ11r1や前記側壁リブ12rにおけるリブ間の間隔は、通常、リブ自体の幅の0.5倍〜2.0倍とすることができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、底壁11の角部に最も近い位置における直交リブ11r1どうしが接続されて前記角部においてL字型のリブを形成させている。
そして、本実施形態の前記斜行リブ11r2は、このL字型のリブの曲がり角となる直交リブ11r1どうしの連結箇所11raによって分断された状態となっている。
即ち、底壁11の外周縁11をなす正方形の第一辺11e1から内側に向けて延びる複数の直交リブ11r1の内、最も第二辺11e2に近い位置から延びる直交リブ11r1は、第二辺11e2から内側に向けて延びる複数の直交リブ11r1の内の最も第一辺11e1に近い位置から延びる直交リブ11rと前記正方形の対角線上において連結された状態となっており、この連結箇所11raにおいて前記対角線に沿って延在する斜行リブ11r2を分断させている。
また、第二辺11e2と第三辺11e3との間、第三辺11e3と第四辺11e4との間、及び、第四辺11e4と第一辺11e1との間においても同様に直交リブ11r1どうしが連結されて斜行リブ11r2が分断されている。
従って、この2つに分断された斜行リブ11r2をそれぞれ1本ずつとして数えると、厳密には、本実施形態のカット豆腐用容器1には、合計8本の斜行リブ11r2が形成されていることになる。
【0028】
なお、前記のように連結されている直交リブ以外の直交リブ11r1は、前記斜行リブ11r2と交差しないように前記外周縁11eから前記斜行リブ11r2に至るまでの長さ未満に形成されている。
より具体的には、本実施形態のカット豆腐用容器1は、前記4辺の各辺中央部から延びる直交リブの長さが最も長く形成され、そこから辺両端部に向かうに従って直交リブの長さが短くなるように形成されており容器中央側における直交リブの端を結んだ線分が山形(カギ型)となるように当該直交リブ11r1が形成されている。
本実施形態においては、この底壁11におけるリブの形状や配置に4回回転対称性が備えられており、平面視における形状が、1/4(90度)回転させた後も実質的に変化しないように直交リブ11r1や斜行リブ11r2が底壁11に形成されている。
【0029】
ここで、この直交リブ11r1と斜行リブ11r2との機能について、
図4の破線囲い部Xを拡大して示した
図5を参照しつつ説明する。
なお、ここでは第二側壁部12a2と第四側壁部12a4とを接近させる方向に側圧が加えられた場合を例示して、概略的な説明を行うものとする。
直線的に設けられたリブは、通常、その長さ方向に向けて加えられた力に対しては殆ど変形せず、容器に変形抵抗を発揮させるのに有効に作用する。
従って、前記側圧によって第四側壁部12a4の直交リブ11r1に大きさ“F”の応力が加わると、この直交リブ11r1には殆ど変形が生じず、その延長線と斜行リブ11r2とが交差する地点において加えられたままの大きさ(F)の応力を作用させることになる。
このとき斜行リブ11r2の延在する方向に対して傾斜する方向から応力Fが加わることで、該応力は、この斜行リブ11r2の延在する方向への応力(F1)と該方向とに直交する斜行リブ11r2の幅方向への応力(F2)とにベクトルが分かれた形で作用することになる。
さらに、斜行リブ11r2の幅方向への応力(F2)については、第三側壁部12a3の基端となる第三辺11e3から延びる直交リブ11r1に対してベクトルが分かれた形で作用することになる。
【0030】
リブは、上記のように長さ方向に向けて加えられた力に対して変形を防止する能力が高いのに対して幅を拡縮させる方向に力が加えられた場合には比較的変形を生じさせやすい。
従って、斜行リブ11r2が設けられていないと、大きさFの応力が第三辺11e3から延びる直交リブ11r1の幅を狭める変形力となって直接的に作用するためカット豆腐用容器に大きな変形を生じさせるおそれがあるが、上記のように斜行リブ11r2を設けたことで、第三辺11e3から延びる直交リブ11r1に作用する変形力を大きさF21まで減少させることができる。
【0031】
ここで、
図5においてF1で示した応力については、同じく第二側壁部12a2に加えられる側圧によって
図5に示した斜行リブの延長線上に位置する別の斜行リブ(第四辺11e4と第一辺11e1との角部から延びる斜行リブ)に発生される第二の応力と対向する形になるために該第二の応力と相殺されて容器の変形には殆ど加担しないことになる。
なお、
図5においてF2で示した斜行リブ11r2の幅方向に作用する応力は、この斜行リブの幅を狭める方向に機能することになる。
従って、該斜行リブ11r2は、このような応力によって変形し難くさせておくことが好ましい。
なお、幅方向に作用する応力によるリブの変形は、その他の条件が同じであれば、通常、リブの形成幅が広いほど大きくなるため、本実施形態においては、斜行リブ11r2の形成幅を直交リブの形成幅よりも狭く形成させることが好ましい。
【0032】
上記においては、底壁外周縁の角部から当該底壁11の中央部に向かう方向に沿って延在する斜行リブによって直交リブが受ける応力の方向を転換させてカット豆腐用容器1に加えられる力の方向とは別方向に力を拡散させる機構について、第二側壁部12a2と第四側壁部12a4とを接近させる方向に側圧が加えられた場合を例にしているが、本実施形態のカット豆腐用容器1は、底壁11が4回回転対称性を有することから第一側壁部12a1と第三側壁部12a3とを接近させる方向に側圧が加えられた場合も上記と同様の機能を発揮させることができる。
即ち、対向する2対の側壁部の内の一方に側圧が加えられた際と、他方に側圧が加えられた際とで変形抵抗に大きな差を生じさせ難く、且つ、いずれの方向に側圧が加えられた場合でも比較的高い変形抵抗を発揮させ得る。
【0033】
なお、このような効果は、底壁11xの外周縁の各辺側から延びる複数本の直交リブ11rxを底壁中央部において交差させた形状を有する従来の豆腐用容器1x(
図7参照)などにおいては期待することが困難な本発明特有の効果である。
【0034】
この本発明の効果は、必ずしも、平面視における底壁11の形状が略正方形で4回回転対称性を有するものでなくても、例えば、
図6に示すような、底壁11’の外周縁11e’の形状が平面視略長方形のカット豆腐用容器1’でも同様に発揮されるものである。
なお、カット豆腐用容器として、底壁11’の形状が平面視略長方形のものを採用するのに際しては、前記長方形の角部を通り、しかも、前記長方形の短辺11a1’と長辺11a2’とのなす角度が略等しくなるように前記角部を通る仮想線に沿って前記斜行リブ11r2’を延在させていることが直交リブ11r1’に沿って加えられた応力を拡散させる上において好適である。
即ち、斜行リブ11r2’は、短辺11a1’及び長辺11a2’に対して約45度の角度をなすように延在させることが好ましい。
【0035】
このような平面視長方形のカット豆腐用容器1’においても、斜行リブ11r2’による応力拡散効果が発揮され、長辺側を接近させるように側圧を加えた場合と短辺側を接近させるように側圧を加えた場合とで変形抵抗に大きな差が生じることが抑制され得る。
従って、
図2に示したような平面視正方形のカット豆腐用容器1と同様に容器スタックを形成させた際に最下位のカット豆腐用容器から順に取り出す操作を容易に実施させ得る。
【0036】
なお、本実施形態の豆腐用容器1を形成する熱可塑性樹脂シートや、該豆腐用容器の密封に用いられる樹脂フィルム90としては特に限定されず従来の豆腐パックに利用されている形状保持性に優れた白色や黒色の熱可塑性樹脂シート、及び、内部のカット豆腐が視認可能な透明性を有する樹脂フィルムを採用することができる。
【0037】
例えば、本実施形態の豆腐用容器1を形成させるための前記熱可塑性樹脂シートとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂シート、ポリブチレンテレフタレートシート、ポリ乳酸樹脂シートなどのポリエステル系樹脂シート;ポリエチレン樹脂シート、ポリプロピレン樹脂シート、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂シートなどのポリオレフィン系樹脂シート;ポリスチレン樹脂シート、ハイインパクトポリスチレン樹脂シートなどのポリスチレン系樹脂シート、PA6(ε−カプロラクタム開環重合体)シート、PA66(アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの共縮重合体)シート、芳香族ポリアミド樹脂シートなどのポリアミド系樹脂シート、ポリ塩化ビニル樹脂シート、ポリカーボネート樹脂シートなどの樹脂シートや2種類以上の樹脂シートが積層された積層シート、前記樹脂シートと不織布などの樹脂シート以外のシートと樹脂シートとが積層された積層シートなどが採用可能である。
なお、豆腐用容器1の形成に用いる熱可塑性樹脂シートとしては、ポリオレフィン系樹脂シートが好適であり、なかでもポリプロピレン樹脂シートが特に好ましい。
【0038】
また、前記樹脂フィルム90としては、少なくとも表面がポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂で形成されることによってヒートシール性が付与された透明樹脂フィルムなどが好適に採用されうる。
【0039】
また、これらによって豆腐用容器1や豆腐パック100を製造する方法についても特に限定されず、真空成形、圧空成形、真空・圧空成形といった従来と同様の熱成形方法を採用することができる。
【0040】
なお、本発明の豆腐用容器は、上記例示に限定されるものではなく、例えば、上記においては、側圧が加わった際に、その力の加わる方向を拡散させてカット豆腐用容器に優れた変形抵抗を付与する効果をより顕著に発揮させる上において斜行リブと直交リブとを交差させずに斜行リブを独立状態で底壁に形成させた場合を例示しているが、例えば、直交リブの内のいくつかを斜行リブに連結させるようにしてもよい。
また、斜行リブどうしを連結させてもよく、例えば、4(8)本の斜行リブを独立状態で設けた
図2、4に示すような態様に代えて、底壁中央部において交差する十字状に連結された斜行リブを形成させてもよい。
さらに、本発明は、従来公知の技術事項等に基づいて本発明の効果が著しく損なわれない範囲において上記例示の態様に種々の変更を加えて実施することができる。