(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
該中栓に該蓋本体を所要とおりに装着した状態において、該蓋本体の該嵌合壁の外周面の少なくとも下部と該中栓の該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とは面一である、請求項1記載の容器蓋。
該中栓と該蓋本体とには、相互に協働して該中栓に対して該蓋本体が該所定方向に所定角度以上回転せしめられると、該中栓に対して該蓋本体を反対方向に回転せしめて該中栓に対して該蓋本体を元の状態に戻すことを阻止する阻止手段が配設されている、請求項1又は2記載の容器蓋。
該蓋本体の該装着壁の外周面上端部にはヒンジ手段を介して外蓋が、該蓋本体の該覆壁を覆う閉位置と該蓋本体の該覆壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在に連結されており、
該ヒンジ手段の周方向中心から周方向両側に90度の角度間隔をおいた部位を周方向中心として周方向に30乃至100度の幅を有する2個の特定領域の各々において、該嵌合壁の外周面の少なくとも下部と該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とに渡って連続して軸線方向に延び、該対応する形状変形部を構成する少なくとも1個の突条が配設されている、請求項1から3までのいずれかに記載の容器蓋。
該蓋本体の該装着壁の外周面上端部にはヒンジ手段を介して外蓋が、該蓋本体の該覆壁を覆う閉位置と該蓋本体の該覆壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在に連結されており、
該ヒンジ手段の周方向中心から周方向両側に90度の角度間隔をおいた部位を周方向中心として周方向に30乃至100度の幅を有する2個の特定領域の各々において、該嵌合壁の外周面下部と該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とに渡って連続して軸線方向に延び、該対応する形状変形部を構成する少なくとも1個の平坦面が配設されている、請求項1から3までのいずれかに記載の容器蓋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている上記のとおりの容器蓋は、中栓の閉塞壁に指を当接せしめて衛生上の問題を発生せしめることなく、単に中栓に対して蓋本体を回転せしめることによって中栓の閉塞壁に形成されている破断可能薄肉ラインを破断して除去領域を閉塞壁から除去して通過開口を生成することができる。しかしながら、除去領域が閉塞壁から分離されて所謂屑片となり、かかる屑片が容器内に入り込んでしまう、或いは屑片を取り出して破棄するという煩雑な処理を遂行することが必要である。そこで、かような問題を解決する容器蓋として、本発明者等は、特願2012−253393号において、中栓の閉塞壁に、破断可能薄肉ラインの破断によって完全に分離されるのではなく、破断可能薄肉ラインの破断によって部分的に分離され且つ変形される変形領域が規定されており、中栓に蓋本体を所要とおりに装着した状態において、中栓に対して蓋本体を所定方向に回転せしめると係止手段が被係止手段に係止せしめられ、係止手段及び被係止手段を介して変形領域に力が加えられ、中栓の破断可能薄肉ラインが破断されて変形領域が部分的に分離されると共に変形されて閉塞壁に通過開口が生成される容器蓋を提案した。
【0005】
而して、上記特許文献1に開示されている容器蓋或いは本発明者等が先に提案した容器蓋には、中栓に対して蓋本体を所定方向に回転して閉塞壁における破断可能薄肉ラインを破断し、かくして閉塞壁に通過開口を生成した後においても、かかる事実を明確に認識することができず、従って所謂悪戯によって閉塞壁に通過開口が生成されてもかかる事実を明確に認識することができない、という問題が存在する。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、上記特許文献1に開示されている容器蓋或いは本発明者等が先に提案した容器蓋において、中栓に対して蓋本体を所定方向に回転して閉塞壁における破断可能薄肉ラインを破断し、かくして閉塞壁に通過開口を生成した場合には、かかる事実を明確に認識することができる、新規且つ改良された容器蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意検討の結果、中栓の装着壁には上方を向いた環状肩面が形成されていて、装着壁の、環状肩面よりも下方に位置する外周面は環状肩面よりも上方に位置する外周面よりも半径方向外方に位置し、蓋本体の嵌合壁は装着壁の環状肩面よりも上方の部分に嵌合される形態にすると共に、蓋本体の嵌合壁の外周面の少なくとも下部と装着壁の環状肩面よりも下方の外周面とに、夫々、対応する形状変形部及び/又は印刷が配設し、中栓に蓋本体を所要とおりに装着した状態における対応する形状変形部及び/又は印刷の相対的関係が、中栓に対して蓋本体が回転せしめられると変化せしめられ、これによって該中栓に対して該蓋本体が回転せしめられたことが明示されるようになすことによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する容器蓋として、容器の口頸部に装着される合成樹脂製中栓と該中栓に装着される合成樹脂製蓋本体とから構成され、
該中栓は円形閉塞壁及び該閉塞壁の外周縁に接続された筒形装着壁を含み、該装着壁を容器の口頸部の外周面に嵌合せしめることによって容器の口頸部に装着され、該閉塞壁が容器の口頸部を閉塞し、
該蓋本体は円形覆壁及び該覆壁の外周縁に接続された筒形嵌合壁を含み、該嵌合壁を該中栓の該装着壁の外周面に嵌合することによって該中栓に回転自在に装着され、該覆壁が該中栓の該閉塞壁の上方に位置し、
該中栓の該閉塞壁には、破断可能薄肉ラインの破断によって部分的に分離されかつ変形される変形領域又は該破断可能薄肉ラインの破断によって完全に分離される分離領域が規定されており、
該変形領域又は該分離領域には被係止手段が付設されており、
該蓋本体の該覆壁には少なくとも1個の排出開口が形成されており、該覆壁の下面には該被係止手段と協働する係止手段が配設されており、
該中栓に該蓋本体を所要とおりに装着した状態において、該中栓に対して該蓋本体を所定方向に回転せしめると該係止手段が該被係止手段に係止せしめられ、該係止手段及び該被係止手段を介して該変形領域又は該分離領域に力が加えられ、該中栓の該破断可能薄肉ラインが破断されて該閉塞壁に通過開口が生成される容器蓋において、
該中栓の該装着壁には上方を向いた環状肩面が形成されていて、該装着壁の、該環状肩面よりも下方に位置する外周面は該環状肩面よりも上方に位置する外周面よりも半径方向外方に位置し、該蓋本体の該嵌合壁は該装着壁の該環状肩面よりも上方の部分に嵌合され、
該蓋本体の該嵌合壁の外周面の少なくとも下部と該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とには、夫々、対応する形状変形部及び/又は印刷が配設されており、該中栓に該蓋本体を所要とおりに装着した状態における該対応する形状変形部及び/又は印刷の相対的関係は、該中栓に対して該蓋本体が回転せしめられると変化せしめられ、これによって該中栓に対して該蓋本体が回転せしめられたことが明示される、
ことを特徴とする容器蓋が提供される。
【0009】
該中栓に該蓋本体を所要とおりに装着した状態において、該蓋本体の該嵌合壁の少なくとも下部の外周面と該中栓の該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とは面一であるのが好適である。好ましくは、該中栓と該蓋本体とには、相互に協働して該中栓に対して該蓋本体が該所定方向に所定角度以上回転せしめられると、該中栓に対して該蓋本体を反対方向に回転せしめて該中栓に対して該蓋本体を元の状態に戻すことを阻止する阻止手段が配設されている。該蓋本体の該装着壁の外周面上端部にはヒンジ手段を介して外蓋が、該蓋本体の該覆壁を覆う閉位置と該蓋本体の該覆壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在に連結されており、該ヒンジ手段の周方向
中心から周方向両側に90度の角度間隔をおいた部位を周方向中心として周方向に30乃至100度の幅を有する2個の特定領域の各々において、該嵌合壁の外周面下部と該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とに渡って連続して軸線方向に延び、該対応する形状変形部を構成する少なくとも1個の突条が配設されているのが好適である。該2個の特定領域の一方に配設されている該突条の数及び/又は幅は他方に配設されている該突条の数及び/又は幅と異なるのが好都合である。該蓋本体の該装着壁の外周面上端部にはヒンジ手段を介して外蓋が、該蓋本体の該覆壁を覆う閉位置と該蓋本体の該覆壁を露呈せしめる開位置との間を旋回自在に連結されており、該ヒンジ手段の周方向
中心から周方向両側に90度の角度間隔をおいた部位を周方向中心として周方向に30乃至100度の幅を有する2個の特定領域の各々において、該嵌合壁の外周面下部と該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面とに渡って連続して軸線方向に延び、該対応する形状変形部を構成する少なくとも1個の平坦面が配設されているのが好適である。該2個の特定領域の一方に配設されている該平坦面の数及び/又は幅は他方に配設されている該平坦面の数及び/又は幅と異なるのが好都合である。好適形態においては、該平坦面の、該所定方向に見て上流側縁には、該平坦面の上流側縁から半径方向内方に延びる付加平坦面が付設されている。他の好適形態においては、該中栓に該蓋本体を所要とおりに装着した状態における該ヒンジ手段の
周方向中心と直径方向反対に位置する特定領域において、該嵌合壁の外周面下部には文字「閉」の上半部を示す印刷が配設され、該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面には文字「閉」の下半部を示す印刷が配設され、これらの印刷が該対応する印刷を構成し、更に該中栓が該蓋本体に対して該所定方向に所定角度回転せしめられると該嵌合壁の該特定領域に整合して位置する、該装着壁の該環状肩面よりも下方の外周面の付加特定領域には文字「開」の下半部を示す印刷が配設されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の容器蓋においては、中栓に対して蓋本体を所定方向に回転して閉塞壁における破断可能薄肉ラインを破断し、かくして閉塞壁に通過開口を生成した場合には、対応する形状変形部及び/又は印刷の相対的関係が変化せしめられ、これによって中栓に対して蓋本体が回転せしめられたことが明示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従って構成された容器蓋の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
本発明に従って構成された合成樹脂製容器蓋は、
図1乃至
図4に示す中栓2と
図5乃至
図8に示す蓋本体4とから構成されている。中栓2はポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形することができ、同様に蓋本体4もポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形することができる。
【0014】
図1乃至
図3を参照して説明すると、中栓2は円形閉塞壁6及びこの閉塞壁6の外周縁に接続された略円筒形状である装着壁8を含んでいる。図示の実施形態における閉塞壁6は、実質上水平に延在する中央主部10、この中央主部10の外周縁から略鉛直に上方に隆起する環状隆起部12、及び環状隆起部12の上端から半径方向外方に実質上水平に延出する環状外周縁部14を有する。環状外周縁部14の下面には、下方に垂下する環状シール片16が付設されている。
【0015】
上記閉塞壁6の中央主部10には、閉塞壁6の中心点に関して点対称に2個の破断可能薄肉ライン18が形成されていて、2個の弧状変形領域20が規定されている。破断可能薄肉ライン18の各々は略半円形状である破断開始端部18aと共に、破断開始端部18aの半径方向外側端に続いて延在する外側弧状部18b及び破断開始端部18aの半径方向内側端に続いて延在する内側弧状部18cを有する。外側弧状部18bは中央主部10の外周縁部を略円弧状に延びている。内側弧状部18cは破断開始端部18aの半径方向内側端部から直線状に延び、次いで中央主部10の中央部を略円弧状に延び、全体として弧状をなしている。外側弧状部18cの下流端と内側弧状部18cの下流端とは相互に略半径方向に離隔されている。破断可能薄肉ライン18によって規定される変形領域20は、
図2において(従って上方から見て)反時計方向に弧状に延在せしめられている。
【0016】
上記変形領域20の各々には被係止手段22が配設されている。図示の実施形態においては、被係止手段22の各々は、所定方向に見て変形領域20の上流端部から上方に延出し次いで半径方向内方に延びる被係止片から構成、更に詳しくは、変形領域20の上流端部上面から実質上鉛直に上方に延出する支柱部22aとこの支柱部22aの上端部から半径方向内方に実質上水平に延びる張出梁部22bとを有する被係止片から構成されている。閉塞壁6の上面中心には実質上鉛直に上方に延出する共通支柱24が配設されており、被係止手段22の各々の張出梁部22bの半径方向内側端は共通支柱24に接続されており、従って被係止手段22の各々の張出梁部22bの半径方向内側端は共通支柱24を介して相互に接続されている。所望ならば、共通支柱24を省略して2個の支柱部22aから延出する張出梁部22bを通接的に相互連結することもできる。しかしながら、開封の際の力の確実な伝達等の見地から共通支柱24を配設するのが好ましい。
【0017】
上記装着壁8の外周面上端部には半径方向外方に張り出した環状係止突条26が形成されている。環状係止突条26の周方向所定部位には、
図1及び
図2に図示する如く、位置決め溝28が形成されている。装着壁8の内周面上部には上方を向いた環状肩面30が形成されている。そして、装着壁8の内周面における環状肩面30よりも下方で且つ上記閉塞壁6の環状外周縁部14の上面よりも上方の領域には、
図2と共に
図4を参照することによって明確に理解される如く、略直方体形状の1個の突起32と、この突起32から夫々周方向両側に所要距離だけ離隔して配置されたラチェット爪34及び36が形成されている。ラチェット爪34及び36の各々は、
図2において反時計方向に向かって漸次半径方向内方に傾斜して延びる緩やかな傾斜面34a及び36aと反時計方向下流端に位置する切り立った係止面34b及び36bとを有する。係止面34b及び36bには時計方向に延びる切欠34c及び36cが形成されている。装着壁8の内周面下端部には半径方向内方に突出する複数個の係止突条38が配設されている。かかる係止突条38は周方向に若干の間隔をおいて周方向に延在せしめられている。所望ならば、複数個の係止突条38を形成することに代えて、周方向に連続して延びる環状突条を形成することもできる。
【0018】
上記中栓2の装着壁8の軸線方向中間には上方を向いた環状肩面が形成されていて、装着壁8の、環状肩面よりも下方に位置する外周面は環状肩面よりも上方に位置する外周面よりも半径方向外方に位置することが重要である。図示の実施形態においては、
図1と共に
図3及び
図4を参照することによって明確に理解される如く、装着壁8の下部外径は上部外径よりも大きく設定されており、装着壁8の軸線方向略中間部位には実質上水平に延在する上方に向いた環状肩面40が形成されており、環状肩面40よりも下方に位置する外周面8aは環状肩面40よりも上方に位置する外周面よりも半径方向外方に位置する。装着壁8の環状肩面40よりも下方の外周面8aには形状変形部及び/又は印刷が配設されていることが重要である。図示の実施形態においては、装着壁8の環状肩面40よりも下方の外周面8aには、
図2において下方に位置する角度部位に周方向に間隔をおいて下端から上端まで連続して延びる2個の突条41aが形成されていると共に、
図2において上方に位置する角度部位に周方向に等間隔をおいて下端から上端まで連続して延びる3個の突条41bが形成されている(突条41a及び41bの位置関係については後に更に言及する)。
【0019】
装着壁8には、その下端から上方に環状肩面40の近傍までの深さを有し且つ周方向に延びる環状空隙39が形成されている。かかる環状空隙39に関連せしめて装着壁8の下半部には環状空隙39から装着壁8の外周面まで延びる1個又は数個の切欠(図示していない)も形成されている。環状空隙39及びこの環状空隙39に関連して形成される切欠は、後述するとおりにして容器の口頸部に装着された中栓2を、容器の内容物を消費した後に所謂分別収集のために容器の口頸部から中栓2を充分容易に離脱せしめることを可能にするための周知の構成である(その詳細については、例えば特開平10−59400号公報及び特開2004−83092号公報を参照されたい)。
【0020】
図5乃至
図8を参照して説明を続けると、図示の実施形態における蓋本体4は、本体部42と共に外蓋43を備えている。本体部42は実質上水平に延在する円形覆壁44及びこの覆壁44の外周縁に接続された筒形嵌合壁46を含んでいる。覆壁44の中央部には、少なくとも1個、図示の実施形態においては2個、の排出開口48が形成されている。排出開口48の各々は中栓2に配設されている2個の変形領域20に対応して(即ち、覆壁44の中心点に関して点対称に)位置せしめられる。排出開口48の各々は変形領域20の形状に略合致した形状であり、
図5において反時計方向に弧状に延在せしめられている。
【0021】
覆壁44の上面には、上記排出開口48の半径方向外側にて上方に延出する略円筒形状の排出案内壁50が形成されている。この排出案内壁50の
図5及び
図7において右側に位置する部位は上方に向かって幾分右側に傾斜せしめられている。排出案内壁50の上端部は、上方に向かって半径方向外方に
図7において略半円形状に延出せしめられている。覆壁44の上面には、更に、その外周縁部から上方に向かって半径方向外側に幾分傾斜して延びる環状係止突条52も形成されている。覆壁44の下面外周縁部には、下方に延出する円筒形状のシール片54が形成されている。このシール片54の内周面における周方向所定位置には、下方及び半径方向内方に突出する直方体形状である係止突起56が形成されている。後に更に言及する如く、この係止突起56は中栓2に配設されている上記突起32並びにラチェット爪34及び36と協働する。
【0022】
上記中栓2に形成されている2個の被係止手段22に対応して、覆壁44の下面には2個の係止手段58が形成されている。
図8を参照することによって明確に理解されるとおり、係止手段58の各々は、覆壁44の下面から下方に延び次いで所定方向に延びる係止片から構成、更に詳しくは、上記排出開口48の間から下方に垂下する垂下柱部58aとかかる垂下柱部58aの下端から
図5において反時計方向に弧状に延出する突出部58bとを有する係止片から構成されている。直径方向に対向して位置する2個の垂下柱部58aの各々の横断面形状は略台形である。平面図である
図5において、突出部58bの各々の実質上全体は上記排出開口48内に位置するのが金型成形の面からみて、好都合である。
【0023】
実質上円筒形状でよい嵌合壁46は、覆壁44の外周縁から垂下せしめられている。嵌合壁46の内周面には周方向に間隔をおいて周方向に延在する複数個の係合突条62が形成されている。更に、嵌合壁46の内周面下端部における周方向所定位置には、略直方体形状である位置決め突起64が形成されている。後に更に言及する如く、この位置決め突起64は中栓2に形成されている上記位置決め溝28と協働する。所望ならば、上記中栓2の適宜の部位に位置決め突起を形成し、この位置決め突起と協働する位置決め溝を蓋本体4の適宜の部位に形成することもできる。嵌合壁46の外周面の少なくとも下部には形状変形部又は印刷が配設されていることが重要である。図示の実施形態においては、
図6において上方に位置する角度部位に周方向に間隔をおいて上端から下端まで連続して延びる2個の突条59aが形成され、
図6において下方に位置する角度部位に周方向に等間隔をおいて上端から下端まで連続して延びる3個の突条59bが形成されている(後に更に詳述する如く、突条59aは上記突条41aに対応し、突条59bは上記突条41bに対応する)。嵌合壁46の外周面上部における特定角度位置には、円弧状に延在する没入部60が形成されている。
【0024】
図5乃至
図8を参照して説明を続けると、上記外蓋43は円形天面壁66とこの天面壁66の周縁から垂下する円筒形スカート壁68とから構成されている。かような外蓋43は、スカート壁68の下端における周方向特定部位を上記本体部42の嵌合壁の周方向特定部位にヒンジ手段70を介して連結することによって、上記本体部42に旋回自在に連結されている。本体部42と外蓋43とから構成されている蓋本体6は
図5乃至
図7に実線で図示する状態で成形され、本体部42に対して外蓋43は
図5乃至
図7に実線で図示する開位置と
図7に二点鎖線で示す閉位置との間を旋回動自在である。それ自体は周知の形態でよいヒンジ手段70は、本体部42の嵌合壁46に形成されている上記没入部60の直径方向反対側に位置している。天面壁66の内面には円筒形状のシール片72が形成されている。天面壁66の内面には、更に、
図5及び
図7にて右半部においてシール片72の半径方向外側を半円形状に延びる2条の凸状74も形成されている。スカート壁68の内周面下部には環状係止溝76が形成されている。また、スカート壁68の内周面には、
図7にて右半部において軸線方向中間部を半円弧状に延びる2条の凸状78も形成されている。スカート壁68の外周面には、上記ヒンジ手段70に対して直径方向反対側に位置する弧状鍔80が形成されている。
図5及び
図6と共に
図9を参照することによって理解される如く、
図6において上方に位置する部位においてスカート壁68の外周面下端部には、周方向に間隔を置いて2個の突条81aが形成され、
図6において下方に位置する角度部位においてスカート壁68の外面下端部には周方向に等間隔をおいて3個の突条81bが形成されている。突条81a及び81bの各々の上端は上方に向かって半径方向内方に傾斜せしめられている。
図9及び
図11を参照することによって理解される如く、蓋本体4の本体部42に対して外蓋43が閉位置にせしめられると、突条81a及び81bは、夫々、本体部42の嵌合壁46の外周面に形成されている上記突条59a及び59bに整合せしめられる。後に言及する如く中栓2に対して蓋本体4を回転する際に、突条81a及び81bと共に突条59a及び59bに指を掛けることができ、本体部42に対して外蓋43を相対的に変位せしめてしまうことが回避される。スカート壁68の先端面即ち下端面には2個の比較的長い弧状突条82と2個の比較的短い弧状突条84が形成されている。外蓋43が
図7に二点鎖線で示す閉位置にせしめられると、シール片72の外周面が本体部42における排出案内壁50の内周面に密接せしめられる。そしてまた、環状係止溝76が本体部42の環状係止突条52に係止せしめられ、かくして外蓋43が閉位置に解除自在に係止せしめられる。弧状突条82及び84は本体部42の覆壁44の上面周縁部に密接せしめられる。
【0025】
上述したとおりの中栓2と蓋本体4は、
図9及び
図10に図示するとおりに組み合わされる。詳述すると、外蓋43が閉位置にせしめられている蓋本体4における本体部42を、中栓2に対して強制的に下降せしめて、本体部42の嵌合壁46を中栓2の装着壁8の外周面に嵌合せしめる。この際には、嵌合壁46の内周面下端部に形成されている位置決め突起64(
図6)の周方向位置を装着壁8の外周面上端部に形成されている位置決め溝28(
図1)の周方向位置に合致せしめて位置決め突起64を位置決め溝28内に進入せしめ、これによって中栓2に対する蓋本体4の相対的角度位置を規制する。
図9及び
図10に図示する状態まで中栓2に対して蓋本体4を下降せしめると、嵌合壁46の内周面に形成されている係合突条62が装着壁8の外周面に形成されている係止突条26に係止せしめられ、かくして中栓2に対して蓋本体4が回転自在に装着される。蓋本体4のシール片54は中栓2の装着壁8の内周面上端部に密接せしめられる。蓋本体4の嵌合壁46は装着壁8の環状肩面40よりも上方の部分に嵌合され、嵌合壁46の下端は装着壁8の環状肩面40よりも若干上方に位置する。蓋本体4の嵌合壁46の外周面と中栓2の装着壁8の環状肩面40よりも下方の外周面8aとは面一にせしめられる。そして、上方から見てヒンジ手段70の周方向中心から時計方向に90度の角度位置をおいた部位を周方向中心として周方向に略30乃至90度の幅を有する特定領域86aに、装着壁8の外周面に形成された突条41a及び嵌合壁の外周面に形成された突条59aが位置せしめられ、2個の突条41a及び突条59aは嵌合壁46の外周面と装着壁8の環状肩面40よりも下方の外周面8aとに渡って実質上連続して軸線方向に延在する。また、上方から見てヒンジ手段70の周方向中心から反時計方向に90度の角度位置をおいた部位を周方向中心として周方向に略30乃至90度の幅を有する特定領域86b(
図9及び
図11には図示していない)に、装着壁8の外周面に形成された突条41b及び嵌合壁の外周面に形成された突条59bが位置せしめられ、3個の突条41b及び突条59bは嵌合壁46の外周面と装着壁8の環状肩面40よりも下方の外周面とに渡って連続して軸線方向に延びている。
【0026】
図2に二点鎖線で示す如く、中栓2に対して蓋本体4を所要とおりに装着した状態において、蓋本体4のシール片54に形成されている係止突起56は、中栓2の装着壁8の内周面に形成されている突起32に対して、
図2において反時計方向下流側に隣接して位置する。突起32と係止突起56とは協働して、中栓2に対して蓋本体4が
図2において時計方向(
図9において上方から見て時計方向)に回転するのを阻止する。蓋本体4における係止手段58の各々の突出部58bは、中栓2における被係止手段22の各々の張出梁部22bの下方で且つ
図2において反時計方向上流側に幾分離間して位置する(図示の実施形態においては、成形型等の都合上、一対の張出梁部22bは完全に点対称ではなく若干ずらして配置され、これに対応して一対の突出部58bも完全に点対称ではなく若干ずらして配置されている)。
【0027】
図10には、本発明に従って構成された容器蓋が適用される容器の口頸部90も二点鎖線で図示されている。適宜の合成樹脂或いはガラスから形成することができる容器の口頸部90は全体として円筒形状であり、その外周面には環状係止溝92が形成されている。
図10に明確に図示する如く、容器の口頸部90を中栓2の装着壁8の内周面下半部とシール片16の外周面との間に受け入れることによって、容器の口頸部90に容器蓋が装着される。中栓2の装着壁8の内周面下端部に形成されている係止突条38は口頸部90の係止溝92に係止せしめられ、中栓2のシール片16は口頸部90の内周面に密接せしめられる。
【0028】
容器内に収容されている調味液の如き内容物を消費する際には、中栓2に対して蓋本体4を
図9において上方から見て反時計方向(
図2において反時計方向)に回転せしめる。中栓2に対して蓋本体4が所定角度α(
図2)回転せしめられると、蓋本体4に配設されている2個の係止手段58の各々が、中栓2に配設されている2個の被係止手段22の各々に係止せしめられる。更に詳しくは、係止手段58の突出部58bが被係止手段22の張出梁部22bの下方に進入し、係止手段58の垂下柱部58aが被係止手段22の張出梁部22bに当接せしめられる。所定角度αは50乃至60度程度であるのが好都合である。中栓2に対して蓋本体4が所定角度αを超えて更に回転せしめられると、被係止手段22を介して破断可能薄肉ライン18の各々に応力が加えられ、破断可能薄肉ライン18がその破断開始端部18aから破断され始める。
【0029】
図示の実施形態においては、
図2に二点鎖線で示す如く、中栓2に対して蓋本体4が上記所定角度αよりも0乃至20度程度小さい角度β(0度≦α−β≦20度)だけ回転せしめられると、蓋本体4に配設されている係止突起56が中栓2に配設されているラチェット爪34を弾性的に乗り越え、中栓2に対して蓋本体4が
図9において上方から見て時計方向(
図2において時計方向)に回転することは係止突起56とラチェット爪34の切り立った係止面34bとの協働によって阻止される。従って、係止突起56とラチェット爪34とは協働して阻止手段を構成する。
【0030】
上記所定角度αを超える蓋本体4の回転が進行するに従って、破断可能薄肉ライン18の破断が破断開始端部18aから外側弧状部18b及び内側弧状部18cに進行する。そして、中栓2に対する蓋本体4の回転が角度γ(
図2)まで進行すると、
図2に二点鎖線で示す如く、蓋本体4に配設されている係止突起56が中栓2に配設されている突起32に当接し、中栓2に対して蓋本体4が更に反時計方向に回転することが阻止される。従って、係止突起56と突起32は協働して蓋本体4の回転を角度γに制限する。上記角度γは300乃至320度程度であるのが好都合である。中栓2に対して蓋本体4が上記角度γ回転せしめられると、
図12に図示する如く、破断可能薄肉ライン18の各々は、夫々の外側弧状部18a及び内側弧状部18bの実質上下流端まで破断され、中栓2の閉塞壁6に配設されている変形領域20は破断可能薄肉ライン18の破断の進行に応じて上方及び半時計方向下流に向けて変形されてロール状に変形され、閉塞壁6には2個の通過開口90(
図12)が生成される。破断可能薄肉ライン18の外側弧状部18aの下流端と内側弧状部18bの下流端とは離隔されており、両者間が破断されることはなく、変形領域20が閉塞壁6から離脱されることはない。所望ならば、変形領域20に代えて、破断可能薄肉ライン18が破断せしめられることにより、閉塞壁6から完全に分離される分離領域であってもよい。
【0031】
中栓2に蓋本体4を所要とおりに装着した状態において対応する形状変形部(即ち突条41aと59a、及び、41bと59b)の相対的関係は、中栓2に対して蓋本体4が回転せしめられると変化せしめられ、これによって中栓2に対して蓋本体4が回転せしめられたことが明示されることが重要である。図示の実施形態においては、
図9に示す状態においては、特定領域86aにおいて突条41aと59aが、特定領域86bにおいて突条41bと59bが、夫々、嵌合壁46の外周面と装着壁8の環状肩面40よりも下方の外周面8aとに渡って連続して軸線方向に延びている。中栓2に対して蓋本体4を角度γ回転せしめると、特定領域86aにおいて突条59aは突条41aよりも上方から見て幾分時計方向側(
図11参照)に、特定領域86bにおいて突条59aは突条41bよりも上方から見て幾分時計方向に、夫々変位せしめられる。換言すると、突条41aと59aとが周方向に変位し、突条41bと59bとも周方向に変位して位置し、これによって中栓2に対して蓋本体4が回転せしめられたことが明示される。
【0032】
図示の実施形態においては、中栓2に対して蓋本体4が上記角度γまで回転せしめられる際には、蓋本体4に配設されている係止突起56が中栓2に配設されているラチェット爪36を弾性的に乗り越える。それ故に、中栓2に対する蓋本体4の時計方向への回転は、係止突起56とラチェット爪36の切り立った係止面36bとの協働によって阻止される。
【0033】
上述したとおりにして中栓2の閉塞壁6に通過開口94が生成された後においては、蓋本体4の外蓋43を
図12に二点鎖線で示す位置まで旋回せしめ、次いで容器を傾動せしめると、中栓2の閉塞壁6に生成された通過開口94及び蓋本体4に配設されている排出開口48を通して容器の内容物が流出され、蓋本体4の排出案内壁50に案内されて排出される。
【0034】
図13及び
図14には形状変形部の変形例が図示されている。
図13及び14に示す変形例においては、特定領域186aにおいて装着壁108の環状肩面140よりも下方の外周面108aに軸線方向に延びる3個の平坦面141aが形成されると共に嵌合壁146の外周面に軸線方向に延びる3個の平坦面159aが形成され、そしてまた特定領域186bにおいては、装着壁108の環状肩面140よりも下方の外周面108aに軸線方向に延びる4個の平坦面141bが形成されると共に嵌合壁146の外周面に軸線方向に延びる4個の平坦面159bが形成されている。特定領域186aに配設されている平坦面141a及び159aと特定領域186bに配設されている平坦面141b及び159bとは、数及び幅が相違せしめられている。所要とおりに中栓102に蓋本体104を組み合わせると、特定領域186aにおいて平坦面141aと平坦面159aが、特定領域186bにおいて平坦面141bと平坦面159bが、各々軸線方向に連続して延在する。
図15に図示する変形例においては、特定領域286aにおいて装着壁の環状肩面よりも下方の外周面に軸線方向に延びる3個の平坦面241aが形成されると共に嵌合壁の外周面に対応して軸線方向に延びる3個の平坦面259aが形成され、そしてまた特定領域286bにおいては、装着壁の環状肩面よりも下方の外周面に軸線方向に延びる3個の平坦面241bが形成されると共に嵌合壁の外周面に対応して軸線方向に延びる3個の平坦面259bが形成されている。平坦面241a、259a、241b及び259bの各々には、上記所定方向(
図15において反時計方向)上流側縁に、平坦面241a、259a、241b及び259bの各々の上流端縁から半径方向内方に延びる付加平坦面290a及び290bが付設されている。かかる付加平坦面290a及び290bは中栓に対して蓋本体を所定方向に回転せしめる際に、指を係止するための面を提供する。
【0035】
図16及び
図17には形状変形部に代えて印刷が配設された変形例が図示されている。中栓302に蓋本体304を所要とおりに装着した状態におけるヒンジ手段の周方向中心と直径方向反対に位置する特定領域386において、嵌合壁346の外周面下部には文字「閉」の上半部を示す印刷359が配設され、装着壁308の環状肩面340よりも下方の外周面308aには文字「閉」の下半部を示す印刷341aが配設されている。更に、蓋本体306が中栓302に対して反時計方向にγ回転せしめられると嵌合壁346の特定領域386に整合して位置する、装着壁306の環状肩面340よりも下方の外周面308aの付加特定領域387には文字「開」の下半部を示す印刷341bが配設されている。即ち、中栓302に対する蓋本体304の上記回転前においては、印刷359と印刷341aの組み合わせより容器が未開封であることを示す文字「閉」が特定領域386に表示され(
図16参照)、上記回転が完了することにより閉塞壁に通過開口が形成せしめられた後においては、印刷359と印刷341bの組み合わせにより容器が開封済みであることを示す文字「開」が付加特定領域387に表示される(
図17参照)。