特許第6069070号(P6069070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069070軟磁性熱硬化性接着フィルム、磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置
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  • 特許6069070-軟磁性熱硬化性接着フィルム、磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069070
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】軟磁性熱硬化性接着フィルム、磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20170116BHJP
   H01F 1/26 20060101ALI20170116BHJP
   H01F 1/375 20060101ALI20170116BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20170116BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20170116BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   B32B27/00 M
   H01F1/26
   H01F1/375
   B32B27/18 H
   H05K1/02 P
   H05K1/03 630G
【請求項の数】7
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-69684(P2013-69684)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-189015(P2014-189015A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】江部 宏史
(72)【発明者】
【氏名】土生 剛志
【審査官】 加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−283181(JP,A)
【文献】 特開2009−059753(JP,A)
【文献】 特開2008−134837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/00
B32B 27/18
H01F 1/26
H01F 1/375
H05K 1/02
H05K 1/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性層と、前記磁性層の一方面に積層される表層とを備える軟磁性熱硬化性接着フィルムであって、
前記磁性層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂および軟磁性粒子を含有する磁性組成物から形成され、
前記表層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を含有し、かつ、軟磁性粒子を実質的に含有しない表層組成物から形成され、半硬化状態であることを特徴とする、軟磁性熱硬化性接着フィルム。
【請求項2】
前記表層組成物におけるアクリル樹脂の含有割合が、前記アクリル樹脂、前記エポキシ樹脂および前記フェノール樹脂からなる樹脂成分100質量部に対して、10質量部以上80質量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載の軟磁性熱硬化性接着フィルム。
【請求項3】
前記表層は、さらに平均粒子径100μm以下の無機粒子を含有し、前記無機粒子の含有割合が、45質量%以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の軟磁性熱硬化性接着フィルム。
【請求項4】
前記表層の厚みが、15μm以上55μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の軟磁性熱硬化性接着フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の軟磁性熱硬化性接着フィルムを、一方面に配線が設けられている回路基板の一方面に積層し、前記軟磁性熱硬化性接着フィルムを熱硬化することにより得られることを特徴とする、磁性フィルム積層回路基板。
【請求項6】
前記配線の厚みに対して、前記表層の厚みが、1〜4倍であることを特徴とする、請求項5に記載の磁性フィルム積層回路基板。
【請求項7】
請求項5または6に記載の磁性フィルム積層回路基板を備えることを特徴とする、位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟磁性熱硬化性接着フィルム、磁性フィルム積層回路基板、および、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペン型の位置指示器を位置検出平面上で移動させて位置を検出する位置検出装置は、デジタイザと呼ばれ、コンピュータの入力装置として普及している。この位置検出装置は、位置検出平面板と、その下に配置され、ループコイルが基板の表面に形成された回路基板(センサ基板)とを備えている。そして、位置指示器とループコイルとによって発生する電磁誘導を利用することにより、位置指示器の位置を検出する。
【0003】
位置検出装置には、電磁誘導の際に発生する磁束を制御して通信を効率化するために、センサ基板の位置検出平面とは反対側の面(反対面)に、軟磁性物質を含有する軟磁性フィルムを配置する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、軟磁性粉末と、アクリルゴム、フェノール樹脂、エポキシ樹脂およびメラミンなどからなるバインダ樹脂と、ホスフィン酸金属塩とを含有する磁性フィルムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−212790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、センサ基板には、薄型化のために、その基板の両面にループコイルなどの配線パターンが形成された両面回路基板が採用されていることがある。そして、磁性フィルムを、配線パターンが形成された基板に積層させる場合、一般的に両面接着テープを介して、磁性フィルムと回路基板とを積層させる。
【0007】
そうすると、配線間の基板部分に、両面接着テープや磁性フィルムを完全に埋め込むことができず、両面接着テープや磁性フィルムと配線との隙間に隙間が生じる。そのような隙間が生じると、磁性フィルムを積層した回路基板は、電子部品の実装などによるリフロー工程が実施されるので、そのリフロー工程による高温によって、その隙間を起点にしてボイドが発生する。その結果、磁性フィルム表面に凹凸が発現したり、磁性フィルムと回路基板とが剥離する場合が生じる。
【0008】
本発明の目的は、耐リフロー性を備える軟磁性熱硬化性接着フィルム、その軟磁性熱硬化性接着フィルムから得られる磁性フィルム積層回路基板および位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムは、磁性層と、前記磁性層の一方面に積層される表層とを備える軟磁性熱硬化性接着フィルムであって、前記磁性層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂および軟磁性粒子を含有する磁性組成物から形成され、前記表層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を含有し、かつ、軟磁性粒子を実質的に含有しない表層組成物から形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムでは、前記表層組成物におけるアクリル樹脂の含有割合が、前記アクリル樹脂、前記エポキシ樹脂および前記フェノール樹脂からなる樹脂成分100質量部に対して、10質量部以上80質量部以下であることが好適である。
【0011】
本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムでは、前記表層は、さらに平均粒子径100μm以下の無機粒子を含有し、前記無機粒子の含有割合が、45質量%以下であることが好適である。
【0012】
本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムでは、前記表層の厚みが、15μm以上55μm以下であることが好適である。
【0013】
本発明の磁性フィルム積層回路基板は、前記軟磁性熱硬化性接着フィルムを、一方面に配線が設けられている回路基板の一方面に積層し、前記軟磁性熱硬化性接着フィルムを熱硬化することにより得られることを特徴としている。
【0014】
本発明の磁性フィルム積層回路基板では、前記配線の厚みに対して、前記表層の厚みが、1〜4倍であることが好適である。
【0015】
また、本発明の位置検出装置は、前記磁性フィルム積層回路基板を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムを回路基板に積層させると、配線パターンの配線間の隙間に、表層組成物、つまり、軟磁性粒子を除く樹脂成分を確実に埋め込むことができる。そのため、耐リフロー性に優れた回路基板を得ることができる。
【0017】
本発明の磁性フィルム積層回路基板では、磁性フィルムが回路基板に確実に接着されているため、リフロー処理の際に、磁性フィルムと回路基板との剥離や磁性フィルムの表面の凹凸の発生を抑制することができる。そのため、耐リフロー性に優れている。
【0018】
本発明の位置検出装置は、リフロー処理後においても、軟磁性粒子を含有する磁性フィルムが回路基板と確実に接着されている。そのため、位置検出装置の性能の劣化が抑制され、確実に位置検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の磁性フィルム積層回路基板の製造方法の一実施形態の製造工程図であり、図1Aは、軟磁性熱硬化性接着フィルムと回路基板とを用意する工程、図1Bは、軟磁性熱硬化性接着フィルムを回路基板に接触させる工程、図1Cは、軟磁性熱硬化性接着フィルムを回路基板に押圧する工程、図1Dは、軟磁性熱硬化性接着フィルムを回路基板に加熱する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムは、磁性層と、前記磁性層の一方面に積層される表層とを備える。より具体的には、本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムは、接着性および熱硬化性を備える表層と、磁性および熱硬化性を備える磁性層とを備える軟磁性熱硬化性接着フィルムである。
【0021】
表層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を含有する表層組成物から形成される。
【0022】
表層組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる樹脂成分および必要に応じて、熱硬化触媒、無機粒子などを含有する。
【0023】
アクリル樹脂としては、例えば、直鎖もしくは分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上をモノマー成分とし、そのモノマー成分を重合することにより得られるアクリル系重合体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を表す。
【0024】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、ドデシル基などの炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0025】
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0026】
その他のモノマーとしては、例えば、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などカルボキシル基含有モノマー、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルまたは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなど燐酸基含有モノマー、例えば、スチレンモノマー、アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0027】
これらの中でも、好ましくは、グリシジル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーまたはヒドロキシル基含有モノマーが挙げられる。アクリル樹脂が(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれらのその他のモノマーとの共重合体である場合、すなわち、アクリル樹脂がグリシジル基、カルボキシル基またはヒドロキシル基を有する場合、軟磁性熱硬化性接着フィルムの耐リフロー性がより一層優れる。
【0028】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとその他のモノマーとの共重合体である場合、その他のモノマーの配合割合(質量)は、共重合体に対して、好ましくは、40質量%以下である。
【0029】
アクリル樹脂の重量平均分子量は、例えば、1×10以上、好ましくは、3×10以上であり、また、例えば、1×10以下でもある。この範囲とすることにより、軟磁性熱硬化性接着フィルムの接着性および耐リフロー性に優れる。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトフラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値により測定される。
【0030】
アクリル樹脂のガラス転移点(Tg)は、例えば、−30℃以上、好ましくは、−20℃以上であり、また、例えば、30℃以下、好ましくは、15℃以下でもある。上記下限以上であると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの接着性に優れる。一方、上記上限以下であると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの取扱い性に優れる。なお、ガラス転移点は、動的粘弾性測定装置(DMA、周波数1Hz、昇温速度10℃/min)を用いて測定される損失正接(tanδ)の極大値により得られる。
【0031】
アクリル樹脂の含有割合は、樹脂成分(すなわち、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂、さらには必要に応じて配合されるそのほかの樹脂(後述)からなる成分)100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、20質量部以上、さらに好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下、さらに好ましくは、60質量部以下でもある。アクリル樹脂の含有割合が上記上限を上回ると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの回路配線基板への埋め込み性が劣り、耐リフロー性が劣る場合が生じる。一方、アクリル樹脂の含有割合が上記下限を下回ると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの樹脂成分の流動性が高くなり過ぎる。
【0032】
エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば限定されず、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂(特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂など)、フェノール型エポキシ樹脂(特に、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂など)、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオンレン型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂が挙げられる。また、例えば、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂なども挙げられる。これらは単独または2種以上を併用して用いることができる。
【0033】
これらのエポキシ樹脂のうち、好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が挙げられ、より好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂を含有させることより、フェノール樹脂との反応性が優れ、その結果、軟磁性熱硬化性接着フィルムが良好な耐リフロー性が備える。
【0034】
フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤であり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂、例えば、レゾール型フェノール樹脂、例えば、ポリパラオキシスチレンなどのポリオキシスチレンが挙げられる。これらは単独で使用また2種以上を併用することができる。これらのフェノール樹脂のうち、好ましくは、ノボラック型樹脂、より好ましくは、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、さらに好ましくは、フェノールアラルキル樹脂が挙げられる。これらのフェノール樹脂を含有することにより、磁性フィルム積層回路基板の絶縁性を向上させることができる。
【0035】
エポキシ樹脂のエポキシ当量100g/eqに対するフェノール樹脂の水酸基当量が1g/eq以上100g/eq未満である場合、樹脂成分100質量部に対するエポキシ樹脂の含有割合は、例えば、15質量部以上、好ましくは、35質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下でもあり、樹脂成分100質量部に対するフェノール樹脂の含有割合は、例えば、5質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下でもある。
【0036】
エポキシ樹脂のエポキシ当量100g/eqに対するフェノール樹脂の水酸基当量が100g/eq以上200g/eq未満である場合、樹脂成分100質量部に対するエポキシ樹脂の含有割合は、例えば、10質量部以上、好ましくは、25質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下でもあり、樹脂成分100質量部に対するフェノール樹脂の含有割合は、例えば、10質量部以上、好ましくは、25質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下でもある。
【0037】
エポキシ樹脂のエポキシ当量100g/eqに対するフェノール樹脂の水酸基当量が200g/eq以上1000g/eq以下である場合、樹脂成分100質量部に対するエポキシ樹脂の含有割合は、例えば、5質量部以上、好ましくは、15質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下でもあり、樹脂成分100質量部に対するフェノール樹脂の含有割合は、例えば、15質量部以上、好ましくは、35質量部以上であり、また、例えば、70質量部以下でもある。
【0038】
なお、エポキシ樹脂が2種併用される場合のエポキシ当量は、各エポキシ樹脂のエポキシ当量に、エポキシ樹脂の総量に対する各エポキシ樹脂の質量割合を乗じて、それらを合算した全エポキシ樹脂のエポキシ当量である。
【0039】
また、フェノール樹脂中の水酸基当量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量当たり、例えば、0.2当量以上、好ましくは、0.5当量以上であり、また、例えば、2.0当量以下、好ましくは、1.2当量以下でもある。水酸基の量が上記範囲内であると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの硬化反応が良好となり、また、劣化を抑制することができる。
【0040】
特に、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との合計含有割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、30質量部以上、さらに好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、95質量部以下、好ましくは、90質量部以下、より好ましくは、80質量部以下、さらに好ましくは、60質量部以下でもある。
【0041】
合計含有割合が上記範囲未満であると、貼り合わせ時の弾性率が高くなるため、回路基板の配線間への軟磁性熱硬化性接着フィルムの埋め込み性が劣る場合がある。一方、合計含有割合が上記範囲を超過すると、アクリル樹脂の含有割合が少なくなり、粘度が過度に低下し、成膜性が低くなる場合がある。
【0042】
表層組成物における樹脂成分の含有割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下でもある。樹脂成分の含有割合が上記範囲であると、耐リフロー性、絶縁性、成膜性などに優れる。
【0043】
樹脂成分は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂以外のその他の樹脂を含有することもできる。このような樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で使用又は2種以上を併用することができる。
【0044】
熱可塑性樹脂としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(6−ナイロン、6,6−ナイロンなど)、フェノキシ樹脂、飽和ポリエステル樹脂(PET、PBTなど)、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0045】
熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。
【0046】
樹脂成分中におけるその他の樹脂の含有割合は、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
【0047】
表層組成物は、好ましくは、熱硬化触媒を含有する。
【0048】
熱硬化触媒としては、加熱により、樹脂成分の硬化を促進する触媒であれば限定的でなく、例えば、イミダゾール骨格を有する塩、トリフェニルフォスフィン構造を有する塩、トリフェニルボラン構造を有する塩、アミノ基含有化合物などが挙げられる。
【0049】
イミダゾール骨格を有する塩としては、例えば、2−フェニル−1H−イミダゾール4、5−ジメタノール(商品名:2PHZ−PW)、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−メチルイミダゾール (商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2−PHZ)、2,4−ジアミノ−6−(2’−メチルイミダゾリル(1)’)エチル−s−トリアジン・イソシアヌール酸付加物(商品名;2MAOK−PW)などが挙げられる(上記商品名は、いずれも四国化成(株)製)。
【0050】
トリフェニルフォスフィン構造を有する塩としては、例えば、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン、トリ(ノニルフェニル)フォスフィン、ジフェニルトリルフォスフィンなどのトリオルガノフォスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(商品名;TPP−PB)、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−MC)、メトキシメチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MOC)、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−ZC)、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)などが挙げられる(上記商品名は、いずれも北興化学社製)。
【0051】
トリフェニルボラン構造を有する塩としては、例えば、トリ(pメチルフェニル)フォスフィンなどが挙げられる。また、トリフェニルボラン構造を有する塩としては、更にトリフェニルフォスフィン構造を有するものも含まれる。トリフェニルフォスフィン構造及びトリフェニルボラン構造を有する塩としては、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−K)、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリボレート(商品名;TPP−MK)、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−ZK)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(商品名;TPP−S)などが挙げられる(上記商品名は、いずれも北興化学社製)。
【0052】
アミノ基含有化合物としては、例えば、モノエタノールアミントリフルオロボレート(ステラケミファ(株)製)、ジシアンジアミド(ナカライテスク(株)製)などが挙げられる。
【0053】
熱硬化触媒の形状は、例えば、球状、楕円体状などが挙げられる。
【0054】
熱硬化触媒は、単独で使用または2種類以上併用することができる。
【0055】
熱硬化触媒の配合割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.6質量部以下でもある。熱硬化触媒の配合割合が上記上限以下であると、軟磁性熱硬化性接着フィルムにおける室温下での長期保存性を良好にすることができる。一方、熱硬化触媒の配合割合が下限以上であると、軟磁性熱硬化性接着フィルムを低温度かつ短時間で加熱硬化させることができ、また、軟磁性熱硬化性接着フィルムの耐リフロー性を良好にすることができる。
【0056】
表層組成物は、好ましくは、無機粒子を含有する。これにより、軟磁性熱硬化性接着フィルムの熱伝導性や弾性率を向上させることができる。
【0057】
無機粒子を構成する材料としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素などのセラミック類、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属、または合金類、その他、カーボンなどが挙げられる。なかでも、好ましくは、シリカ、特に好ましくは、溶融シリカが挙げられる。
【0058】
無機粒子の平均粒子径は、例えば、100μm以下、好ましくは、80μm以下であり、また、例えば、0.1μm以上である。
【0059】
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置によって測定される。
【0060】
無機粒子を配合する場合、表層組成物に対して、例えば、100質量%以下、好ましくは、45質量%以下であり、また、1質量%以上、好ましくは、10質量%以上である。
【0061】
これら無機粒子は、単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。
【0062】
表層組成物は、必要に応じて添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、架橋剤などの市販または公知のものが挙げられる。
【0063】
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物などのポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0064】
架橋剤の含有割合としては、表層組成物100質量部に対し、例えば、0.05質量部以上7質量部以下である。架橋剤の量を上記上限以下にすると、接着力がより良好となる一方、上記下限以上にすると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの耐リフローがより良好となる。
【0065】
表層組成物(ひいては、表層)は、軟磁性粒子を実質的に含有しない。
【0066】
軟磁性粒子を実質的に含有しないとは、表層組成物(ひいては、表層)中における軟磁性粒子の含有割合が、5質量%以下、好ましくは、1質量%以下、より好ましくは、0.1質量%以下である場合を示す。このような含有割合を備える軟磁性熱硬化性接着フィルムを回路基板に積層すると、回路基板の絶縁性の劣化を防止しながら、軟磁性熱硬化性接着フィルムの特性(磁気特性)を回路基板に付与することができる。
【0067】
なお、軟磁性粒子は、後述する磁性層にて詳述する。
【0068】
磁性層は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂および軟磁性粒子を含有する磁性組成物から形成される。
【0069】
磁性組成物は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる樹脂成分、軟磁性粒子および必要に応じて、熱硬化触媒などを含有する。
【0070】
アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂は、表層にて上述したアクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂と同様のものが挙げられる。このような樹脂を含有することにより、表層との相溶性が良好となり、表層および磁性層の間における剥離を抑制することができる。
【0071】
アクリル樹脂の含有割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、80質量部以下、好ましくは、70質量部以下、さらに好ましくは、60質量部以下でもある。
【0072】
エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の各々の含有割合は、表層組成物における含有割合と同様であり、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との合計含有割合は、樹脂成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、30質量部以上、より好ましくは、40質量部以上であり、また、例えば、90質量部以下、好ましくは、80質量部以下、さらに好ましくは、60質量部以下でもある。
【0073】
磁性組成物における樹脂成分の含有割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下でもある。上記範囲とすることにより、成膜性、耐リフロー性に優れる。
【0074】
磁性組成物における樹脂成分には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂以外にもその他の樹脂を含有することができ、これらの種類および配合割合は、表層組成物におけるその他の樹脂と同様である。
【0075】
軟磁性粒子を構成する軟磁性材料としては、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−A1合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si―B(−Cu−Nb)合金、Fe−Si−Cr−Ni合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al−Ni−Cr合金、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、磁気特性の点から、好ましくは、センダスト(Fe−Si−Al合金)が挙げられる。
【0076】
これらの中でも、より好ましくは、Si含有割合が9〜15質量%であるFe−Si−Al合金が挙げられる。これにより、磁性フィルムの透磁率実部を大きくすることができる。
【0077】
軟磁性粒子の形状としては、好ましくは、扁平状(板状)が挙げられる。扁平率(扁平度)は、例えば、8以上、好ましくは、15以上であり、また、例えば、80以下、好ましくは65以下である。なお、扁平率は、50%粒径(D50)の粒径を軟磁性粒子の平均厚さで除したアスペクト比として算出される。
【0078】
軟磁性粒子の平均粒子径(平均長さ)は、例えば、3.5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下でもある。平均厚みは、例えば、0.3μm以上、好ましくは、0.5μm以上であり、また、例えば、3μm以下、好ましくは、2.5μm以下でもある。軟磁性粒子の扁平率、平均粒子径、平均厚みなどを調整することにより、軟磁性粒子による反磁界の影響を小さくでき、その結果、軟磁性粒子の透磁率を増加させることができる。なお、軟磁性粒子の大きさを均一にするために、必要に応じて、ふるいなどを使用して分級された軟磁性粒子を用いてもよい。
【0079】
軟磁性粒子は、その表面に、例えば、カップリング剤でカップリング処理されていてもよい。カップリング処理された軟磁性粒子を用いることにより、軟磁性粒子と樹脂成分との界面が補強されるため、磁性層に軟磁性粒子を高い割合で充填することができる。
【0080】
カップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどのシランカップリング剤などが挙げられる。
【0081】
なお、このカップリング処理された軟磁性粒子を磁性層に含有させる場合は、予めシランカップリング処理されている軟磁性粒子を原料として用いてよく、また、軟磁性熱硬化性接着フィルムを製造する際に、軟磁性熱硬化性組成物とともにカップリング剤を混合することにより、カップリング処理してもよい。
【0082】
磁性組成物(ひいては、磁性層)における軟磁性粒子の含有割合は、例えば、50質量%以上、好ましくは、60質量%以上、より好ましくは、70質量%以上であり、また、例えば、98質量%以下、好ましくは、97質量%以下でもある。上記上限以下の範囲とすることにより、軟磁性熱硬化性接着フィルムとする際の成膜性に優れる。一方、上記下限以上の範囲とすることにより、軟磁性熱硬化性接着フィルムは、磁気特性に優れる。
【0083】
磁性組成物は、好ましくは、熱硬化触媒を含有する。
【0084】
熱硬化触媒としては、表層組成物で上述した熱硬化触媒と同様のものが挙げられる。熱硬化触媒の配合割合は、磁性層における樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.2質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、また、例えば、1質量部以下、好ましくは、0.6質量部以下でもある。
【0085】
磁性組成物は、必要に応じて添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、架橋剤、無機粒子などの市販または公知のものが挙げられる。これらは、磁性層で上述した架橋剤および無機粒子と同様のものが挙げられる。
【0086】
次に、本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムの製造方法について説明する。
【0087】
軟磁性熱硬化性接着フィルムを作製するには、例えば、磁性層を作製し、その表面に表層を積層させる。
【0088】
磁性層を作製するには、まず、上述した磁性組成物を溶媒に溶解または分散させた磁性組成物溶液を調製する。
【0089】
溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどケトン類、例えば、酢酸エチルなどのエステル類、例えば、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類などの有機溶媒などが挙げられる。また、溶媒として、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコールなどの水系溶媒も挙げられる。
【0090】
磁性組成物溶液における固形分量は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下でもある。
【0091】
次いで、磁性組成物溶液を基材(セパレータ、コア材など)の表面に所定厚みとなるように塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を所定条件下で乾燥させる。これにより、軟磁性熱硬化性接着フィルムが得られる。
【0092】
塗布方法としては特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工などが挙げられる。
【0093】
乾燥条件としては、乾燥温度は、例えば、70℃以上160℃以下であり、乾燥時間は、例えば、1分以上5分間以下である。
【0094】
なお、表層の積層方法としては、上述した塗工以外にも、予め形成した表層(シート状)を磁性層に公知の方法で積層または転写する方法も挙げられる。
【0095】
得られる磁性層では、軟磁性粒子が、磁性層に対して、例えば、30体積%以上、好ましくは、40体積%以上、より好ましくは、50体積%以上、また、例えば、90体積%以下、好ましくは、85体積%以下、好ましくは、80体積%以下含有されている。軟磁性粒子が上記範囲内であると、軟磁性熱硬化性接着フィルムの磁気特性に優れる。
【0096】
磁性層の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、30μm以上、より好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下、より好ましくは、250μm以下でもある。
【0097】
磁性層は、室温(具体的には、25℃)において、半硬化状態(Bステージ状態)である。
【0098】
また、磁性層は、好ましくは、扁平状軟磁性粒子が含有され、その扁平状軟磁性粒子が、磁性層の2次元の面内方向に配列されている。すなわち、扁平状軟磁性粒子の長手方向(厚み方向と直交する方向)が磁性層(軟磁性熱硬化性接着フィルム)の面方向に沿うように配向している。これにより、磁性層は、軟磁性粒子が高割合で充填され、磁気特性に優れる。
【0099】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、紙などが挙げられる。これらは、その表面に、例えば、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤、シリコーン系剥離剤などにより離型処理されている。
【0100】
コア材としては、例えば、プラスチックフィルム(例えば、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルムなど)、金属フィルム(例えば、アルミウム箔など)、例えば、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維などで強化された樹脂基板、シリコン基板、ガラス基板などが挙げられる。
【0101】
セパレータまたはコア材の厚みは、例えば、1μm以上500μm以下である。
【0102】
次いで、磁性層の表面に、表層を積層する。
【0103】
表層を積層するには、まず、上述した表層組成物を溶媒に溶解または分散させた表層組成物溶液を調製する。
【0104】
溶媒としては、上述したものが挙げられる。
【0105】
表層組成物溶液における固形分量は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、70質量%以下でもある。
【0106】
次いで、表層組成物溶液を磁性層の表面に所定厚みとなるように塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を所定条件下で乾燥させる。これにより、磁性層の表面に表層が積層された軟磁性熱硬化性接着フィルムが得られる。
【0107】
塗布方法としては、上述した塗工などが挙げられる。
【0108】
乾燥条件としては、乾燥温度は、例えば、70℃以上160℃以下であり、乾燥時間は、例えば、1分以上5分間以下である。
【0109】
得られる表層は、室温(具体的には、25℃)において、半硬化状態(Bステージ状態)である。
【0110】
表層の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上、より好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、80μm以下、より好ましくは、55μm以下でもある。
【0111】
このようにして得られる軟磁性熱硬化性接着フィルムの厚み(総厚み)は、例えば、10μm以上、より好ましくは、40μm以上であり、また、例えば、600μm以下、好ましくは、380μm以下でもある。
【0112】
本発明の軟磁性熱硬化性接着フィルムは、例えば、軟磁性熱硬化性接着フィルムのみからなる単層構造、コア材の片面または両面に軟磁性熱硬化性接着フィルムが積層された多層構造、軟磁性熱硬化性接着フィルムの片面または両面にセパレータが積層された多層構造などの層構造として調製することができる。
【0113】
本発明の好ましい層構造としては、軟磁性熱硬化性接着フィルムの片面または両面にセパレータが積層された多層構造である。これにより、実用に供するまで軟磁性熱硬化性接着フィルムを保護でき、また、セパレータを回路基板に転写する際の支持基材として用いることもできる。
【0114】
次に、磁性フィルム積層回路基板の製造方法(軟磁性熱硬化性接着フィルムの貼り付け方法)の一実施形態について、図1を参照して説明する。
【0115】
この方法では、まず図1Aに示すように、表層1と磁性層2とを備え、磁性層2にセパレータ3が積層された軟磁性熱硬化性接着フィルム4と、配線パターン5が基板6の表面に形成された回路基板7とを用意する。次いで、軟磁性熱硬化性接着フィルム4と、回路基板7とを、表層1が配線パターン5と対向するように、間隔を隔てて厚み方向に配置する。
【0116】
軟磁性熱硬化性接着フィルム4は、上記の方法で得ることができ、その磁性層2には、軟磁性粒子14が磁性組成物12中に分散されている。なお、図1Aの態様では、軟磁性粒子14として、扁平状軟磁性粒子14を用いており、その扁平状軟磁性粒子14はその長手方向(厚み方向と直交する方向)が軟磁性熱硬化性接着フィルム4の面方向に沿うように配向している。一方、表層1は、表層組成物11から形成されており、軟磁性粒子14を含有しない。
【0117】
回路基板7は、例えば、電磁誘導方式で使用される回路基板7などであり、基板6の一方面に、ループコイルなどの配線パターン5が形成されている。配線パターン5は、セミアディティブ法またはサブトラクティブ法などによって形成される。
【0118】
基板6を構成する絶縁材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、ガラス基板、PET基板、テフロン基板、セラミックス基板、ポリイミド基板などが挙げられる。
【0119】
配線パターン5を構成する各配線8の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、9μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下でもある。
【0120】
各配線8間の隙間9(ピッチ間、図1Aで示すXの長さ)は、例えば、50μm以上、好ましくは、80μm以上であり、また、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下でもある。軟磁性熱硬化性接着フィルム4は、上記範囲の隙間9に対して優れた埋め込み性を発現することができる。
【0121】
配線8の厚み(高さ、図1Aで示すYの長さ)は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、35μm以下でもある。配線8の厚みに対する表層1の厚みは、例えば、1倍以上、好ましくは、2倍以上であり、例えば、5倍以下、好ましくは、4倍以下であり、軟磁性熱硬化性接着フィルム4の表層1の厚みは、そのような範囲に調整される。軟磁性熱硬化性接着フィルム4は、上記範囲の高さに対して優れた埋め込み性を発現することができる。
【0122】
次いで、図1Bに示すように、表層1と配線8の上面とを接触させる。
【0123】
その後、図1Cに示すように、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を配線8に押圧する。これにより、表層1を形成する表層組成物11が流動し、配線パターン5が表層組成物11に埋没される。つまり、配線パターン5を構成する各配線8の表面および側面が表層組成物11に被覆される。これとともに、配線パターン5から露出する基板6の表面が表層組成物11に被覆される。
【0124】
圧力は、例えば、10MPa以上、好ましくは、20MPa以上であり、また、例えば、100MPa以下、好ましくは、50MPa以下である。
【0125】
次いで、図1Dに示すように、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を加熱する。これにより、熱硬化された磁性フィルム10が回路基板7に積層された磁性フィルム積層回路基板13が得られる。
【0126】
加熱温度は、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、175℃以下、より好ましくは、140℃以下でもある。
【0127】
加熱時間は、例えば、0.1時間以上、好ましくは、0.2時間以上であり、また、例えば、24時間以下、好ましくは、3時間以下、より好ましくは、2時間以下でもある。
【0128】
このようにして得られる磁性フィルム積層回路基板13は、配線パターン5が形成された回路基板7と、その回路基板7に積層される磁性フィルム10とを備えている。
【0129】
磁性フィルム10は、熱硬化された硬化磁性層2aと、その硬化磁性層2aの一方面に積層される熱硬化された硬化表層1aとを備える。
【0130】
硬化磁性層2aは、磁性組成物12が硬化されて形成されている。具体的には、軟磁性粒子14と、磁性組成物中の樹脂成分が熱硬化された硬化樹脂成分と、必要に応じて添加される熱硬化性触媒および添加剤とを備える硬化磁性組成物12aから形成され、硬化状態(Cステージ状態)である。
【0131】
硬化表層1aは、表層組成物11が硬化されて形成されている。具体的には、表層組成物11中の樹脂成分が熱硬化された硬化樹脂成分と、必要に応じて添加される熱硬化性触媒、無機粒子および添加剤とを備える硬化表層組成物11aから形成され、硬化状態である。
【0132】
硬化磁性層2aの厚みは、磁性層2の厚みと略同一であり、硬化表層1aの厚みは、表層1の厚みと略同一である。
【0133】
磁性フィルム積層回路基板13では、配線パターン5が硬化表層1aに埋没されている。つまり、配線パターン5を構成する各配線8の表面および側面が硬化表層1aに被覆されている。これとともに、配線パターン5から露出する基板6の表面は、硬化表層1a(ひいては、磁性フィルム10)に被覆されている。
【0134】
また、セパレータ3と配線8または基板6との間、および、配線8間の隙間9には、硬化表層組成物11aが埋まっているが、軟磁性粒子14は、実質的に存在していない。
【0135】
なお、上記の方法では、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を配線8に押圧した後、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を加熱したが、押圧と同時に加熱することもできる。
【0136】
なお、図1の実施態様では、一方面にのみ配線パターン5が形成されている回路基板7が用いられていたが、一方面および他方面に配線パターン5が形成されている回路基板7を用いることもできる。その場合、他方面も一方面と同様に軟磁性熱硬化性接着フィルム4を積層することができる。
【0137】
本発明の位置検出装置は、例えば、上記の磁性フィルム積層回路基板13およびその磁性フィルム積層回路基板に実装されるセンサ部を備えるセンサ基板と、センサ基板の上に対向配置される位置検出平面板と、を備えている。
【0138】
磁性フィルム積層回路基板13にセンサ部を実装する際におけるリフロー工程の方法としては、例えば、熱風リフロー、赤外線リフローなどが挙げられる。また、全体加熱または局部加熱のいずれの方式でもよい。
【0139】
リフロー工程における加熱温度は、例えば、200℃以上、好ましくは、240℃以上であり、また、例えば、300℃以下、好ましくは、265℃以下である。加熱時間は、例えば、1秒以上、好ましくは、5秒以上、より好ましくは、30秒以上であり、また、例えば、2分以下、好ましくは、1.5分以下である。
【0140】
上記で得られたセンサ基板に、位置検出平面板を、間隔を隔てて対向配置させることにより、位置検出装置が製造される。
【0141】
そして、この軟磁性熱硬化性接着フィルム4は、磁性層2と、前記磁性層2の一方面に積層される表層1とを備える軟磁性熱硬化性接着フィルム4であって、磁性層2は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂および軟磁性粒子14を含有する磁性組成物12から形成され、表層1は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を含有し、かつ、軟磁性粒子14を実質的に含有しない表層組成物11から形成されている。
【0142】
そのため、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を回路基板7に積層すると、軟磁性熱硬化性接着フィルム4が各配線8間の隙間9に、表層組成物11を確実に埋め込むことができ、また、軟磁性熱硬化性接着フィルム4と基板6とが良好に接着する。その結果、この軟磁性熱硬化性接着フィルム4を用いれば、耐リフロー性を備える磁性フィルム積層回路基板13を得ることができる。
【0143】
また、埋め込み性が良好であるため、磁性層2と基板6との距離を近接させることができ、磁性フィルム積層回路基板13の薄型化が可能となる。
【0144】
また、埋め込まれた表層組成物11には、実質的に軟磁性粒子14を含有していない。すなわち、配線8間に軟磁性粒子14が偏在することが抑制されている。その結果、配線8同士が軟磁性粒子14を介して短絡することが抑制され、良好な絶縁性を備える。
【0145】
また、磁性フィルム積層回路基板13は、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を、一方面に配線8が設けられている回路基板7の一方面に積層し、軟磁性熱硬化性接着フィルム4を熱硬化することにより得られている。
【0146】
そのため、各配線8間の隙間9に、硬化表層1aが確実に埋め込まれ、硬化表層1aが強固に基板6および配線8に接着している。そのため、高温下でリフロー処理しても、磁性フィルム10と回路基板7とが剥離しにくく、かつ、磁性フィルム10の表面の凹凸の発生を抑制することができる。そのため、耐リフロー性に優れている。また、配線8間に軟磁性粒子14が存在しないため、軟磁性粒子14による短絡を防止し、絶縁性に優れている。また、配線8の上面に、軟磁性粒子14を含有する硬化磁性層2aが積層されているため、良好な磁性特性を備える。また、硬化磁性層2aと基板6との距離が近接しているため、薄型化されている。
【0147】
この位置検出装置では、磁性フィルム10が回路基板7と確実に接着されている。また、この磁性フィルム10は、軟磁性粒子14を含有している。そのため、位置検出装置の性能の劣化が抑制され、確実に位置検出が可能となる。
【実施例】
【0148】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下に示す実施例の数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限または下限値)に代替することができる。
【0149】
実施例1
(磁性層の作製)
軟磁性粒子が80体積%となるように、軟磁性粒子(Fe−Si−Al合金、扁平状、メイト社製)95質量部、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業社製、商品名「パラクロンW−197CM」)50質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER社製、エピコート1004)20質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER社製、エピコートYL980)12質量部、フェノールアラルキル樹脂(三井化学社製、ミレックスXLC−4L)18質量部、および、2−フェニル−1H−イミダゾール4、5−ジメタノール(熱硬化触媒、四国化成社製、商品名;キュアゾール2PHZ−PW)0.5質量部を混合することにより、磁性組成物を得た。
【0150】
この磁性組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度15質量%の磁性組成物溶液を調製した。
【0151】
この磁性組成物溶液を、シリコーン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルムからなるセパレータ(厚みが50μm)上に塗布し、その後、130℃で2分間乾燥させた。
【0152】
これにより、セパレータが積層された磁性層(磁性層のみの厚み、50μm)を製造した。この磁性層は、半硬化状態であった。
【0153】
(軟磁性熱硬化性接着フィルムの作製)
次いで、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業社製、商品名「パラクロンW−197CM」)80質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER社製、エピコート1004)8質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER社製、エピコートYL980)5質量部、フェノールアラルキル樹脂(三井化学社製、ミレックスXLC−4L)7質量部、2−フェニル−1H−イミダゾール4、5−ジメタノール(熱硬化触媒、四国化成社製、商品名;キュアゾール2PHZ−PW)0.5質量部、シリカ(マイクロン社製、商品名;SP10、平均粒子径2.5μm)45質量部を混合することにより、表層組成物を得た。
【0154】
この表層組成物をメチルエチルケトンに溶解させることにより、固形分濃度15質量%の表層組成物溶液を調製した。
【0155】
この表層組成物溶液を、上記で作製した磁性層上に塗布し、その後、130℃で2分間乾燥させた。
【0156】
これにより、表層が磁性層に積層された軟磁性熱硬化性接着フィルムを製造した。この表層(厚み55μm)は、半硬化状態であった。
【0157】
実施例2〜10
表1に記載の材料および配合割合で、磁性組成物および表層組成物を得た。これらの磁性組成物および表層組成物を用い、表1の厚みに調整した以外は、実施例1と同様にして、各実施例の軟磁性熱硬化性接着フィルムを製造した。
【0158】
比較例1
実施例1にて作製した磁性層を比較例1の軟磁性熱硬化性接着フィルムとした。すなわち、表層を備えていない磁性層を比較例1の軟磁性熱硬化性接着フィルムとした。
【0159】
(評価)
・耐リフロー性
ループコイル状の配線パターンが基板の一方面に形成された回路基板(配線の幅100μm、配線の高さ15μm、隙間の間隔(ピッチ間)200μm)に、表層が配線パターンと接触するように、各実施例および比較例の軟磁性熱硬化性接着フィルムを積層し、175℃、30分加熱することにより、軟磁性熱硬化性接着フィルムを熱硬化させて、磁性フィルム積層回路基板を得た。
【0160】
この磁性フィルム積層回路基板を、260℃以上の温度を10秒保持するように温度設定したIRリフロー炉に通過させ、リフロー処理基板を得た。
【0161】
このリフロー処理基板について、磁性フィルムと回路基板との界面を観察した。この界面において、界面で剥離が発生していた場合、または、磁性フィルム表面に凹凸が発生していた場合を×と評価し、界面剥離が発生していたが、フィルム表面に凹凸が発生していなかった場合を△と評価し、剥離および凹凸の発生が認められなかった場合を○と評価した。
【0162】
その結果を表1に示す。
【0163】
・絶縁性
配線の幅50μm、配線の高さ15μm、隙間の間隔(ピッチ間)50μmで互いに櫛場に組まれた導通していないテスト用配線パターンを用意した。その、そのテスト用配線パターン上に、各実施例および各比較例の軟磁性熱硬化性接着フィルムを、その表層が配線パターンと接触するように積層させた後、175℃、60分にて加熱して、磁性フィルムとした。そして、テスト用配線パターンの両電極間に10Vの電圧をかけ、絶縁抵抗を測定した。
【0164】
抵抗値が、1×10Ω以上であった場合を○と評価し、抵抗値が、1×10Ω以上1×10Ω未満であった場合を△と評価し、抵抗値が、1×10Ω未満であった場合を×と評価した。
【0165】
・成膜性
各実施例および各比較例の軟磁性熱硬化性接着フィルムを製造した際に、各表層組成物溶液を磁性層に塗布したときの塗布安定性、および、製造した軟磁性熱硬化性接着フィルムの表面を観察した。なお、比較例1においては、磁性組成物溶液をセパレータに塗布したときの塗布安定性および製造した軟磁性熱硬化性フィルムの表面を観察した。
【0166】
表層組成物溶液(または比較例1においては、磁性組成物)を磁性層(またはセパレータ)に安定して塗布することができ、製造した軟磁性熱硬化性接着フィルムの表面に荒れが発生していなかった場合を○と評価し、軟磁性熱硬化性組成物溶液を安定して塗布することができたが、軟磁性熱硬化性接着フィルムの表面に荒れが確認できた場合を△と評価し、表層組成物溶液を安定して塗布できなかった場合を×と評価した。
【0167】
その結果を表1に示す。
【0168】
【表1】
【0169】
表における各成分中の数値は、特段の記載がない場合には、質量部数を示す。
【0170】
また、表中、各成分の略称について、以下にその詳細を記載する。
・Fe−Si−Al合金:商品名「SP−7」、軟磁性粒子、平均粒子径65μm、扁平状、メイト社製
・パラクロンW−197CM:商品名、アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー、根上工業社製
・エピコート1004:商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量875〜975g/eq、JER社製、
・エピコートYL980:商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量180〜190g/eq、JER社製
・ミレックスXLC−4L:商品名、フェノールアラルキル樹脂、水酸基当量170g/eq、三井化学社製
・キュアゾール2PHZ−PW:商品名、2−フェニル−1H−イミダゾール4、5−ジメタノール、四国化成社製
・シリカ:商品名「SP10」、溶融シリカ、マイクロン社製、平均粒子径(D50)2.5μm
【符号の説明】
【0171】
1 表層
2 磁性層
4 軟磁性熱硬化性接着フィルム
7 回路基板
8 配線
10 磁性フィルム
11 表層組成物
12 磁性組成物
13 磁性フィルム積層回路基板
図1