特許第6069084号(P6069084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069084
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/00 20060101AFI20170116BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20170116BHJP
   F23D 14/02 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   F24C3/00 F
   F24C3/00 L
   A47J37/06 366
   F23D14/02 E
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-92294(P2013-92294)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-214957(P2014-214957A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591031902
【氏名又は名称】シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 利明
(72)【発明者】
【氏名】浅川 智哉
(72)【発明者】
【氏名】名古谷 育志
(72)【発明者】
【氏名】仲田 祐一郎
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平1−262812(JP,A)
【文献】 特開2009−000184(JP,A)
【文献】 特開平10−227415(JP,A)
【文献】 実公昭49−030626(JP,Y2)
【文献】 特開2005−069604(JP,A)
【文献】 特開2006−090562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00− 3/14
A47J 37/00−37/07
F23D 14/00−14/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方開口状の箱体と、
前記箱体に載置され、中央を鍋載置部とし、前記鍋載置部の周囲を網体として構成した調理部と、
前記調理部の下方に配置され、中央開口部を有する熱板と、
前記熱板の下方に配置され、内筒部および外筒部で構成される二重円筒部と、前記円筒部と前記外筒部との間に形成される空間と連通し、かつ一次空気の流入口を有する供給管と、を備えるバーナと、
送風手段と、を備え、
前記内筒部および前記外筒部には、前記供給管に供給される燃料ガスと一次空気との混合ガスが噴出される内周炎孔および外周炎孔が斜め上方を向いた状態でそれぞれ複数設けられており、
前記内筒部内側は二次空気の流路を形成しており、
前記送風手段により前記一次空気および前記二次空気が供給されることを特徴とする、
加熱調理器。
【請求項2】
少なくとも前記外筒部を囲う壁部をさらに備え、
前記外筒部と前記壁部との隙間は二次空気の流路を形成していることを特徴とする、
請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記箱体内には、前記熱板よりも大径で、かつ前記外周炎孔を囲う環状の案内壁が設けられている、
請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記送風手段の風量を調節するための風量調節手段をさらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
テーブルと、前記箱体を収容する第二の箱体と、をさらに備え、前記第一の箱体および前記第二の箱体は前記テーブルの下方に配置されており、前記第一の箱体と前記第二の箱体との間に吸引空間を形成し、前記吸引空間に排ガス吸引口を設けると共に、排気流路に連通する排気口を第二の箱体に形成している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱対象物の中央部と外周部とで加熱の強弱を変えることができる加熱調理器に関する。特に、加熱対象物の中央部と外周部とで異なる調理が可能となるよう構成した加熱調理器において、加熱対象物の中央部と外周部とで加熱の強弱を変えることができる加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一台で2種類以上の調理が同時に可能な加熱調理器として、例えば特許文献1の加熱調理器がある。特許文献1では、焼成板と鍋とを備え、焼成板の一部に嵌装孔が設けてあり、この嵌装孔には鍋が着脱自在に嵌装される、鍋付き焼成板が開示されている。この鍋付き焼成板では、焼肉としゃぶしゃぶとを同時に調理することが可能になったとしている。
【0003】
また、ロースタに一般的に使用される加熱源として、例えば特許文献2のブンゼンバーナがある。特許文献2のブンゼンバーナは、環状部の頂部壁と外周壁および内周壁との接続部に多数形成された炎孔と、環状部内へと一次空気と共にガスを導入するガス導入部とを備えている。そして、ガス導入部の一端には、ガス源に接続されるガスノズルが接続されており、このガスノズルの周囲を取り囲むようにして一次空気吸引口が設けられている(特許文献2の段落[0002]および図3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−119130号公報
【特許文献2】特開平10−227415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような加熱調理器で調理を行う場合には、一般的に、まず、鍋内の液体を沸騰させるために強火で加熱を行う。そして、鍋内の液体が沸騰した後は、鍋内の液体が早期に蒸発してしたり鍋底がこげついたりしてしまうことを防ぐため、火力を中火に下げる。
【0006】
特許文献2に記載されているバーナでは、火力を強火から中火に下げた場合に、バーナの内周壁炎孔から噴出する炎はそれほど小さくならず、一方、バーナの外周壁炎孔から噴出する炎は小さくなるという傾向があった。そのため、バーナ上部に載置されている加熱対象物の中央部ではそれほど温度が下がらず、一方、加熱対象物の外周部では温度が低くなるという傾向があった。
【0007】
それゆえ、特許文献2のバーナを特許文献1の加熱調理器の加熱源として用いた場合には、強火から中火に火力を下げたとしても加熱対象物の中央部を構成する鍋の温度はそれほど下がらないため鍋内の液体は沸騰し続け鍋内の液体が早期に蒸発したり、あるいは鍋底がこげついたりしてしまうおそれがある。一方、加熱対象物の外周部を構成する焼成板の温度は低下してしまうため焼成板上の焼肉が焼け難くなるというおそれがある。
【0008】
このように、従来の加熱源では、例えば加熱対象物の中央部では加熱を弱め、一方、加熱対象物の外周部では加熱状態を維持するというような、加熱対象物の中央部と外周部とで加熱の強弱を変えるということは想定されていなかった。
【0009】
本発明は上記新規の課題に鑑みてなされたものであり、加熱対象物の中央部と外周部との加熱の強弱を変えることができる加熱調理器を提供することを目的とする。特に、火力を下げた場合に、中央部の鍋の加熱を弱め、一方、外周部の網体の加熱を維持することが可能な加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の特徴は、上方開口状の箱体と、箱体に載置され、中央を鍋載置部とし、鍋載置部の周囲を網体として構成した調理部と、調理部の下方に配置され、中央開口部を有する熱板と、熱板の下方に配置され、内筒部および外筒部で構成される二重円筒部と、円筒部と外筒部との間に形成される空間と連通し、かつ一次空気の流入口を有する供給管と、を備えるバーナと、送風手段と、を備え、内筒部および外筒部には、供給管に供給される燃料ガスと一次空気との混合ガスが噴出される内周炎孔および外周炎孔が斜め上方を向いた状態でそれぞれ複数設けられており、内筒部内側は二次空気の流路を形成しており、送風手段により一次空気および二次空気が供給されることである。
【0011】
供給管に燃料ガスとともに送風手段から強制的に一次空気を供給することで、混合ガスの噴出速度よりも燃焼速度の方が上回るようになるため、内周炎孔から噴出する炎はバーナ内部へと戻る現象が起きる。その結果、内周炎孔から噴出する炎の火足は小さくなる。そして、内周炎孔から噴出する炎の火足が小さくなることにより、他の内周炎孔から噴出する炎との衝突が少なくなって炎の火足が大きくなることがなくなり、直接、炎が鍋載置部に当たらなくなる。さらに、円筒部内側に供給される二次空気の上昇により、熱気流が熱板内と熱板の中央開口部とから上部の鍋載置部へと分流するので、熱が分散されることになる。その結果、鍋載置部の加熱を弱めることで鍋載置部の温度を低下させることできる。これにより、鍋載置部に載置される鍋の過熱を抑え、鍋内の液体の沸き過ぎを抑制できる。
【0012】
また、送風手段からバーナの円筒部内側に強制的に二次空気を供給することで、内周炎孔からでる炎は熱板により分流され、熱板の下面を伝って熱板の外周へと流れていく。そして、内周炎孔から噴出する炎によって加熱された熱気流が、熱板の下面を伝って熱板の外周縁部から上方へ噴出し、網体を加熱する。その結果、中央部に設けられた鍋載置部の加熱は弱まって温度は下がり、一方、鍋載置部の周囲に設けられた網体の加熱は維持される。
【0013】
本発明の第二の特徴は、少なくとも前記外筒部を囲う壁部をさらに備え、外筒部と壁部との隙間は二次空気の流路を形成していることである。
【0014】
バーナの外筒部と壁部との隙間に強制的に二次空気が供給されることで、この上昇する二次空気の吸引誘導で周りの熱板内の熱気流が熱板の外周縁部に導かれるとともに、外周炎孔から噴出する炎も熱板の外周へと流れていく。そして、外周炎孔から噴出する炎によって加熱された熱気流は、熱板の外周縁部から上方へ噴出し、網体を加熱する。さらに主に一次空気の供給により燃焼状態を良好にするので発熱量が増加した状態の熱気流が熱板内に分流した状態で熱板の外周縁部に導かれる。その結果、網体の加熱が維持され、網体の温度低下を防ぐことができる。
【0015】
本発明の第三の特徴は、箱体内には、熱板よりも大径で、かつ外周炎孔を囲う環状の案内壁が設けられていることである。
【0016】
熱板よりも大径でかつ外周炎孔を囲う環状の案内壁は、外周炎孔から噴出する炎によって加熱された熱気流を上方へと導く役割をする。つまり、熱板の外周へと流れていった熱気流は、案内壁により上方へと向きを変えられ、熱板の外周縁部と案内壁との間から噴出することで網体が加熱される。その結果、網体の加熱は維持され、網体の温度低下を防ぐことができる。さらに、案内壁が設けられていることにより、外周炎孔から噴出する炎が直接に箱体に当たって、箱体が過熱されることを抑制することにより、箱体内壁への網体から滴下する肉汁等による汚れのこびりつきを防止することができる。
【0017】
本発明の第四の特徴は、送風手段の風量を調節するための風量調節手段をさらに備えていることである。
【0018】
送風手段からの風量を調節するための風量調節手段を備えていることで、内周炎孔および外周炎孔から噴出する火足の大きさや、熱気流の速度を調節することができる。その結果、鍋載置部および網体の加熱を調節することが可能となる。
【0019】
本発明の第五の特徴は、テーブルと、箱体を収容する第二の箱体と、をさらに備え、第一の箱体および第二の箱体はテーブルの下方に配置されており、第一の箱体と第二の箱体との間に吸引空間を形成し、吸引空間に排ガス吸引口を設けると共に、排気流路に連通する排気口を第二の箱体に形成していることである。
【0020】
上記構成とすることで、調理時に鍋から発生する湯気や、網体上で食物を焼いている際に発生する煙を吸引することが可能な無煙加熱調理器を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、加熱対象物の中央部と外周部との加熱の強弱を変えることができる加熱調理器を提供できる。特に、中央の鍋載置部の過熱を抑えることで鍋内の液体の沸き過ぎを防止し、一方、鍋載置部周囲の網体の加熱は維持し、網体の温度低下を防止できる加熱調理器が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の加熱調理器全体の断面図である。
図2】調理部の平面図である。
図3】熱板の平面図である。
図4】(a)は熱板受けの平面図であり、(b)は熱板受けのA−A矢視断面図である。
図5】バーナボディとバーナヘッドの斜視図である。
図6】(a)はバーナボディの平面図であり、(b)はバーナボディのB−B矢視断面図であり、(c)はバーナボディの底面図である。
図7】(a)はバーナヘッドの正面図であり、(b)はバーナヘッドのC−C矢視断面図である。
図8】(a)は調節ダンパの平面図であり、(b)は調節ダンパのD−D矢視断面図である。
図9】(a)は筐体の平面図であり、(b)は筐体の左側面図である。
図10】受け皿の平面図である。
図11】一次空気、燃料ガス、混合ガス、二次空気、炎および熱気流の流れを表す模式図である。
図12】実施例2における鍋載置部と網体の温度変化を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を図を参照しながら説明する。図1は、本発明の加熱調理器1全体の断面図を示している。
【0024】
本発明の加熱調理器1は、テーブル2と、テーブル2の下方に配置された外箱3(第二の箱体)と、外箱3内に配置される上方開口状の内箱4(箱体および第一の箱体)と、を備えている。
【0025】
内箱4は、側壁4aと、側壁4aの上方に設けられた段差4bと、側壁4aと連続する底壁4cと、底壁4cの中央に設けられた底部開口部4dと、底部開口部4dに沿って底壁4cと連続し、かつ上方へと延びる周壁4e(壁部)と、から構成されている。内箱4の段差4bには調理部5が載置されている。
【0026】
内箱4の側壁4a、底壁4cおよび周壁4eで囲まれる空間はドレイン空間6を形成しており、ドレイン空間6には水を入れ、後述する網体5b上の食材から落ちる油や肉汁などを受け入れるように構成されている。このようにして、網体5b上の食材から落ちる油や肉汁などが、底壁4cなどに付着し、こびりついてしまうことを防止し、定期的な清掃を容易にしている。
【0027】
外箱3の上方には段差3aが設けられており、その段差3aにはトップリング7が載置されている。
【0028】
トップリング7は、内箱4の上方開口径よりも小径の開口部を有する内側環状部材7aと、内側環状部材7aの外周に一体的に取り付けられる外側環状部材7bと、外側環状部材7bの上面に円周方向に沿って形成されている複数の外気吸引口7cと、外箱3と内箱4との間に形成される吸引空間8を仕切る仕切壁7dと、から構成されている。本実施形態では、外側環状部材7bの内側環状部材7a側を下方へと折り曲げることで仕切壁7dを形成しているが、外側環状部材7bとは別の部材で仕切壁7d構成することも可能である。
【0029】
トップリング7が外箱3の段差3aに載置されたとき、内箱4の上端と内側環状部材7aの下面との間には隙間が形成されるようになっている。この隙間は、鍋載置部5aに載置された鍋Pから発生する湯気や網体5b上で食物を焼いている際に発生する煙(以下、これらをまとめて「排ガス」という)を吸引するための排ガス吸引口9を形成する。また、前記の通り、吸引空間8は仕切壁7dによって2つの空間に仕切られており、仕切壁7dと外箱3との間の空間は、外気吸引流路10を形成し、仕切壁7dと内箱4との間の空間は、排ガス吸引流路11を形成している。
【0030】
吸引空間8の下方に位置する外箱3と内箱4との間の空間は、排気流路12を構成している。排気流路12内には、円筒状のフィルタ13が備えられており、このフィルタ13は、外箱3の底部に形成されている排気口14に取り付けられている。そして、排気口14は、例えばブロワなどの排気手段(図示しない)と接続されている。
【0031】
外気吸引口7cから吸引された外気および排ガス吸引口9から吸引された排ガスは、それぞれ外気吸引流路10および排ガス吸引流路11を通り、外箱3と内箱4との間に形成された排気流路12に達する。そして、フィルタ13を通って、排気口14から排出される。
【0032】
図2は調理部5全体の平面図を示している。調理部5は、中央を鍋載置部5a、鍋載置部5aの周囲を網体5bで構成し、中央では鍋料理、その外周では例えば焼肉などの焼物料理ができるようになっている。鍋載置部5aは、中央開口部5cを有するリング部5dと、リング部5d上に取り付けられ、中央開口部5cよりも大径の環状部材からなる支持壁5eと、から構成されている。リング部5d上に、リング部5dの中央開口部5cよりも大径の環状部材からなる支持壁5e取り付けられていることで、鍋載置部5aには段差5fが形成され、その段差5fに鍋Pが載置されることになる。そして、中央開口部5cから鍋底下面に熱気流が当たることで、鍋Pが加熱される。
【0033】
なお、鍋Pとしては一般的な鍋以外にも、例えばフライパンなどのように深さがあり鍋物料理に使用できる調理器具が利用可能である。
【0034】
図3は熱板15の平面図を示している。調理部5の下方に、ドーム状の熱板15が配置されており、この熱板15は、後述する熱板受け16の段差16eに載置される。この熱板15は、後述するバーナ17から噴出される炎によって加熱されることで、輻射熱により調理部5を加熱する。熱板15は、中央に円形の中央開口部15aが設けられ、ドーム斜面には複数の斜面開口部15bが設けられている。斜面開口部15bの形状は、円形やスリット状長穴の開口で構成されている。
【0035】
図4(a)は熱板受け16の平面図を示し、図4(b)は図4(a)における熱板受け16のA−A矢視断面図を示している。熱板受け16は、周壁4eよりも小径の中央開口部16aを有し、かつ円錐形状の載置台16bと、載置台16bよりも大径の環状部材からなる案内壁16cと、案内壁16cの円周方向に等間隔で設けられ、載置台16bの上面と案内壁16cの内周面とを接続する複数の支持板16dと、を備えている。支持板16dの上端には段差16eが設けられており、この段差16eに熱板15が載置される。載置台16bの裏面には、内径が周壁4eよりも大径の円環部16fが設けられており、周壁4eの上端に円環部16fが嵌め合いされることで、熱板受け16は周壁4e上に載置される。熱板受け16が周壁4e上に載置されたとき、後述するバーナ17の外周炎孔18dは案内壁16cによって囲われることになる。
【0036】
周壁4eの内側には、バーナ17が配置されている。バーナ17は、二重円筒部18と、二重円筒部18の内筒部18aと外筒部18bとの間に形成される空間19に連通する供給管20と、から構成されている。内筒部18aおよび外筒部18bには、供給管20に供給される燃料ガスと一次空気との混合ガスが噴出される内周炎孔18cおよび外周炎孔18dがそれぞれ斜め上方を向いた状態で複数設けられている。また、供給管20の底面には、一次空気が導入される流入口20aが形成されている。
【0037】
図5は、バーナボディ21とバーナヘッド22の斜視図を示している。本実施形態では、バーナ17は、図5に示すバーナボディ21とバーナヘッド22とから構成されており、バーナボディ21上にバーナヘッド22が装着されることで、バーナ17が形成されるようになっている。
【0038】
二重円筒部18は、周壁4eと間隔を隔てて周壁4eに囲まれており、この外筒部18bと周壁4eとの隙間、および内筒部18a内側は、後述するファン27から送風される二次空気の流路23を形成している。また、バーナ17は、外周炎孔18dが周壁4eよりも上方に位置するよう配置されており、周壁4e上に熱板受け16を設けた場合には、バーナ17は、外周炎孔18dが熱板受け16の載置台16aよりも上方に位置するように配置される。つまり、周壁4eの上端や載置台16bの上端は外周炎孔18dよりも下方に位置していることになる。
【0039】
図6(a)はバーナボディ21の平面図を示し、図6(b)は図6(a)におけるバーナボディ21のB−B矢視断面図を示し、図6(c)はバーナボディ21の底面図を示している。バーナボディ内筒部21aと、バーナボディ外筒部21bと、バーナボディ内筒部21aとバーナボディ外筒部21bとの間に形成される混合空間21cと、混合空間21cとの連通部20bを有し、かつバーナボディ外筒部21bの外周面に設けられる供給管20と、から構成されている。供給管20とバーナボディ外筒部21bとは偏心して設けられ、供給管20は、バーナボディ外筒部21の外周面から下方へ延びている。そして、供給管20のバーナボディ外筒部21b外周面との接続部外面には、下方へ傾斜する傾斜部21dが形成されている。混合空間21cの供給管20側の上部は板状部材21eで塞がれており、それ以外の混合空間21c上部は開放されている。これにより、供給管20から供給される混合ガスは、混合空間21c内を円周方向へ旋回しながら上昇していくことになる。
【0040】
また、バーナボディ内筒部21aの上端面21fおよびバーナボディ外筒部21bの上端面21gは、それぞれ外周方向下方へとテーパしたテーパ面を有している。また、バーナボディ21底面の供給管20寄りには、2つの突起部21hが形成されている。
【0041】
図7(a)はバーナヘッド22の正面図を示し、図7(b)は図7(a)におけるバーナヘッド22のC−C矢視断面図を示している。バーナヘッド22は、バーナヘッド内筒部22aと、バーナヘッド外筒部22bと、バーナヘッド内筒部22aとバーナヘッド外筒部22bとの間に形成される混合空間22cとを有しており、バーナヘッド外筒部22aの下端には切欠き22dが設けられている。バーナヘッド外筒部22bの内壁には、下方に向けて傾斜する段差22eが形成されている。また、混合空間22cの上部は、バーナヘッド内筒部22aおよびバーナヘッド外筒部22bと一体的に構成されているキャップ部22fにより塞がれている。バーナヘッド外筒部22b上部には、円周方向に沿って複数の斜め上方を向いた外周炎孔18dが形成されており、バーナヘッド内筒部22aの下端面22gには、複数の溝22hが内側斜め上方を向いた状態で円周方向に沿って設けられている。
【0042】
前記の通り、バーナ17は、図5に示すように、バーナボディ21上にバーナヘッド22が装着されることで形成される。具体的には、バーナヘッド22の切欠き22dが、バーナボディ21の傾斜部21d上に位置するようにして、バーナヘッド22をバーナボディ21に嵌め込む。このとき、バーナボディ内筒部21aの上端面21fとバーナヘッド内筒部22aの下端面22g、およびバーナボディ外筒部21bの上端面21gとバーナヘッド外筒部22bの内壁に設けられた段差22eとがそれぞれ当接する。バーナヘッド内筒部22aの下端面22gにバーナボディ内筒部21aの上端面21fが当接することにより、バーナヘッド内筒部22aの下端面22gに形成されている複数の溝22hが内周炎孔18cとして構成されることになる。
【0043】
このようにして、バーナボディ内筒部21aとバーナヘッド内筒部22aとが、バーナ17の二重円筒部18の内筒部18aを構成し、バーナボディ外筒部21bとバーナヘッド外筒部22bとが、バーナ17の二重円筒部18の外筒部18bを構成し、バーナボディ21の混合空間21cと、バーナヘッド22の混合空間22cとが、バーナ17の空間19を構成する。
【0044】
前記の通り、本実施形態では、バーナ17はバーナボディ21とバーナヘッド22とに分解可能に構成されているため、バーナ17の清掃が容易となっている。なお、バーナ17は、バーナボディ21とバーナヘッド22とに分解可能に構成するのではなく、バーナボディ21とバーナヘッド22とを一体として構成してもよい。また、供給管20は、バーナボディ外筒部21の外周面から下方へ延びる構成に限らず、バーナボディ外筒部21から水平方向に延びる構成であってもよい。
【0045】
図6(b)に示すように、バーナ17の供給管20内部は、連通部20bと流入口20aとの間に、絞り部20cを有している。具体的には、供給管20内部の連通部20bから絞り部20cまでは内径が連続的に縮径していき、絞り部20cから流入口20aに向けては内径が連続的に拡径するよう構成されている。供給管20内部が上記のように構成されることで、供給管20内部に燃料ガスを供給する際に、ベンチュリ効果により一次空気が供給管20内部に吸引されることになる。
【0046】
図6(c)に示すように、供給管20の底面に形成された流入口20aは、主として燃料ガスを導入するための円形状開口の燃料ガス導入口20dと、燃料ガス導入口20dの周囲に形成されている扇形状開口の一次空気導入口20eと、から構成されている。燃料ガス導入口20dにはガスノズル24が挿入され、ガスノズル24から燃料ガスが供給管20内部に供給される。燃料ガス導入口20dは、ガスノズル24の外径よりも大径に形成されており、そのため、図1に示すように、燃料ガス導入口20dとガスノズル24との間には隙間20fが形成される。したがって、一次空気は、一次空気導入口20eの他に隙間20fからも導入されることになる。
【0047】
図8(a)は調節ダンパ25の平面図を示し、図8(b)は図8(a)における調節ダンパ25のD−D矢視断面図を示している。供給管20の底面には、一次空気導入口20eから導入される一次空気の供給量を調節するための調節ダンパ25が取り付けられている。調節ダンパ25は、供給管20の軸心周りに回転可能に構成されている。調節ダンパ25は、冠状部材により構成され、燃料ガス導入口20dと略同径の円形状開口部25aと、円形状開口部25aの周囲に形成されている扇形状開口部25bと、円形状開口部25aの周囲に形成され、かつ扇形状開口部25bが形成されていない領域である遮蔽領域25cと、を有している。なお、図8は2つの扇形状開口25bが形成されている場合を例示している。調節ダンパ25は、円形状開口部25aの軸心が燃料ガス導入口20dの軸心と一致するように供給管20の底面に取り付けられる。そして、扇形状開口25bは、供給管20底面に調節ダンパ25を取り付けた際に、径方向において一次空気導入口20eに対応する位置に設けられている。
【0048】
一次空気の供給量は、調節ダンパ25を回転させて一次空気導入口20eの開口度を調節することにより行われる。すなわち、一次空気導入口20eと扇形状開口25bとが丁度重なる位置にきたときに、一次空気導入口20eの開口度が最大となり、一次空気の供給量も最大となる。また、一次空気の供給量を小さくしたい場合には、調節ダンパ25を回転させて遮蔽領域25cが一次空気導入口20e上に位置するようにして、つまり遮蔽領域25cが一次空気導入口20eを塞ぐようにして、一次空気導入口20eの開口度を小さくするよう調節する。調節ダンパ25の位置が決定したら、例えばねじ等の締結手段によって供給管20の底面に調節ダンパ25が固定される。このようにして、一次空気導入口20eから導入される一次空気の供給量を調節することが可能となる。
【0049】
図9(a)は筐体26の平面図を示し、図9(b)は筐体26の左側面図を示している。内箱4の下方には、筐体26が配置されており、筐体26内にはファン27(送風手段の一例)が設けられている。筐体26外面のファン27の風の取入口には、風量を調節するための風量調節手段28が設けられている。本実施形態における風量調節手段28は、複数の長穴状開口を設けた板状部材により構成されており、長穴状開口の開口面積を調節することにより風量の調節が可能である。なお、風量調節手段28は、上記のような板状部材をファン27の風の取入口に取り付ける構成に限らず、例えばファン27の羽根の回転数を変えるような電気的制御手段でもよい。また、ファン27は必ずしも筐体26内に設ける必要はなく、例えば筐体26の外にファン27を設けておき、ファン27と筐体26とを配管で接続して筐体26内に風を送ることもできる。
【0050】
筐体26の上面は、内箱4の底部開口部4dと連通する複数の開口26aを有している。複数の開口26aのうち1つは、バーナ17の供給管20を挿入するための開口26bであり、供給管20の下端部の外径よりも大径に形成されている。
【0051】
図10は受け皿29の平面図を示している。筐体26の上面には、受け皿29が載置されており、受け皿29は、開口26bと略同径の(すなわち、供給管20の下端部の外径よりも大径の)供給管挿入口29aと、円弧状開口29bと、バーナ17の突起部21hが挿入される突起部挿入口29cと、を有している。受け皿29は、供給管挿入口29aの軸心が開口26bの軸心と一致するように、筐体26上面に載置される。そして、供給管挿入口29aに供給管20が挿入されたときに、バーナ17の突起部21hが突起部挿入口29cに嵌り込むことで、バーナ17は受け皿29上に支持されるようになっている。このとき、燃料ガス導入口20dには、筐体26内の底部に設けられたガスノズル24が挿入される。
【0052】
開口26bは供給管20の外径よりも大径であるため、開口26bと供給管20との間には隙間が形成される。したがって、ファン27から送風される二次空気は、その隙間や開口26aを上昇していく。さらに、供給管挿入口29aは供給管20の外径よりも大径であるため、供給管挿入口29aと供給管20との間にも隙間が形成されている。そのため、二次空気はその隙間や円弧状開口29bを通過し、そして、二重円筒部18の内筒部18a内側、および外筒部18bと周壁4eとの隙間を上昇していくことになる。
【0053】
図11は、一次空気、燃料ガス、混合ガス、二次空気、炎および熱気流の流れを表した模式図である。図11を参照しながら、一次空気、燃料ガス、混合ガス、二次空気、炎および熱気流の流れを説明する。矢印Uは一次空気の流れを、矢印Vは燃料ガスの流れを、矢印Wは混合ガスの流れを、矢印Xは二次空気の流れを、矢印Y1は内周炎孔18cから噴出する炎の流れを、矢印Y2は外周炎孔18dから噴出する炎の流れを、矢印Zは熱気流の流れをそれぞれ表している。
【0054】
ファン27から送風された空気の一部は、一次空気Uとして、強制的にバーナ17の一次空気導入口20e、および燃料ガス導入口20dとガスノズル24との隙間20fから供給管20内部へと導入される。供給管20内部に導入された燃料ガスVと一次空気Uとは、供給管20内部で混合され混合ガスWとなる。そして、混合ガスWは、二重円筒部18内部の空間19を上昇していき、内周炎孔18cおよび外周炎孔18dから噴出される。
【0055】
内周炎孔18cおよび外周炎孔18dから噴出された混合ガスWは、着火源(図示しない)によって着火され、内周炎孔18cおよび外周炎孔18dからそれぞれ炎Y1および炎Y2が噴出する。
【0056】
また、ファン27から送風された空気の一部は、二次空気Xとして、二次空気流路23であるバーナ17の外筒部18bと周壁4eとの隙間および内筒部18a内側を上昇していく。
【0057】
前記の通り、ファン27からの送風を供給管20内部にはファン27からの一次空気Uが強制的に導入されているため、内周炎孔18cにおいて、混合ガスWの噴出速度よりも燃焼速度の方が上回るようになる。その結果、複数の内周炎孔18cから噴出するそれぞれの炎Y1の火足は、供給管20内部に一次空気Uが強制的に導入されていない場合と比較して、小さくなる。一般的に、炎は、炎同士が衝突すると急激に火足が大きくなる性質がある。そして、内筒部18aには、円周方向に複数の内周炎孔18cが設けられているため、それぞれの内周炎孔18cから噴出する炎Y1同士は衝突しやすい状況にある。しかし、本発明では、それぞれの内周炎孔18cから噴出するそれぞれの炎Y1の火足は小さくなっているため、炎Y1同士が互いに衝突することが少なくなる。加えて、内筒部18a内側を上昇する二次空気によって、それぞれの内周炎孔18cから噴出する炎Y1は、上方へと向きを変えられ、炎Y1同士が互いに衝突することがさらに少なくなる。そのため、内周炎孔18cから噴出する炎Y1の火足が大きくなることはなくなり、炎Y1が直接鍋載置部5a上に設けられた鍋Pに直接当たらなくなる。
【0058】
さらに、円筒部18a内側に供給される二次空気Xにより、内周炎孔18cから噴出する炎Y1によって加熱された熱気流Zが、熱板15内と熱板15の中央開口部15aとから上部の鍋載置部5aへと分流するので、熱が鍋載置部5aに集中せず、分散されることになる。その結果、鍋載置部5aの加熱を弱めることで鍋載置部5aの温度を低下させることできる。これにより、鍋載置部5aに載置される鍋Pの過熱を抑え、鍋P内の液体の沸き過ぎを抑制できる。
【0059】
また、円筒部18a内側に強制的に二次空気Xが供給されることで、内周炎孔18cから噴出する炎Y1は、燃焼を促進し、熱板15により分流され、熱板15の下面を伝って熱板15の外周へと流れていく。そして、内周炎孔18cから噴出する炎Y1によって生じる熱気流Zは、熱板15の開口15bや熱板15の外周縁部から上方へ噴出し、網体5bを加熱する。その結果、中央部に設けられた鍋載置部5aの加熱は弱まって温度は下がり、一方、鍋載置部5aの周囲に設けられた網体5bの加熱は維持される。
【0060】
また、外筒部18bと周壁4eとの隙間に強制的に二次空気Xが供給されることで、この上昇する二次空気Xの吸引誘導で熱板15内の熱気流Zが熱板15の外周縁部に導かれるとともに、外周炎孔から噴出する炎Y2も熱板15の外周へと流れていく。ここで、周壁4e上に載置されている熱板受け16の載置台16bは、周壁4eよりも小径の中央開口部16aを有しているため、外筒部18bと載置台16bとの隙間は、外筒部18bと周壁4eとの隙間よりも狭くなっている。そのため、上昇する二次空気Xの吸引誘導作用がより強くなり、熱気流Zの熱板15の外周縁部への流れが加速される。そして、熱気流Zは熱板15の外周縁部から上方へ噴出し、網体5bを加熱する。さらに、主に一次空気Uの供給により燃焼状態を良好にするので、発熱量が増加した状態の熱気流Zが熱板15内に分流した状態で熱板15の外周縁部に導かれる。その結果、網体5bの加熱が維持され、網体5bの温度低下を防ぐことができる。
【0061】
一次空気や二次空気の供給量は、ファン27から送風される風量や調節ダンパ25により一次空気導入口20eの開口度を変更することにより、調節可能である。そして、一次空気や二次空気の供給量を調節することにより、内周炎孔18cおよび外周炎孔18dから噴出する炎の火足の大きさや、熱気流の流速などを調節することができる。その結果、鍋載置部5aや網体5bの温度を調節することが可能となる。
【0062】
なお、ファン27からの送風を行っていない場合には、一次空気は、ベンチュリ効果により、一次空気導入口20e、および燃料ガス導入口20dとガスノズル24との隙間20fから自然吸引(自然給気)されるのみである。また、二次空気も、内周炎孔18cおよび外周炎孔18dから噴出する炎が周囲の空気を消費することで生じる自然吸引(自然給気)のみである。しかし、本発明では、ファン27により送風を行うことで、強制的に一次空気および二次空気が供給されるため、上記のような効果を得ることができる。
【0063】
また、本発明では、熱板受け16の案内壁16cが、外周炎孔18dを囲うように構成されている。そのため、外周炎孔18dから噴出する炎Y2によって加熱された熱気流Zは、案内壁16cによって上方へと導かれ、熱板15の外周縁部と案内壁16cとの間から噴出し、網体5bを加熱する。その結果、網体5bの温度低下を防ぐことができる。
【0064】
さらに、案内壁16bが、外周炎孔18dを囲うように構成されていることにより、外周炎孔18dから噴出する炎Y2が直接に側壁4aに当たって内箱4が過熱されることを抑制できる。その結果、側壁4aへの網体5bから滴下する肉汁等による汚れのこびりつきも防止することができる。
【実施例】
【0065】
[実施例1]
図1に示す加熱調理器1を用いて、ファン27からの送風を行った場合と行わなかった場合とで、バーナ17から噴出される炎の火足の大きさの比較を行った。なお、比較方法は、目視により行った。
【0066】
その結果、ファン27からの送風を行わなかった場合は、内周炎孔18cから噴出される炎が、熱板15の中央開口部15aから噴出し、その炎は鍋Pの鍋底下面に当たって、なおかつ炎が左右に分流する程に炎が伸びていることが確認できた。これに対し、ファン27からの強制的な送風を行った場合は、内周炎孔18cから噴出される炎が熱板15の中央開口部15aから噴出しておらず、ファン27からの送風を行わなかった場合と比較して、内周炎孔18cから噴出する炎の火足が著しく小さくなっていることが分かった。
【0067】
[実施例2]
次に、調理部5の鍋載置部5aに水を入れた鍋Pを載置した状態で加熱を行い、ファン27からの強制的な送風の有無による鍋載置部5aと網体5bの温度変化や、鍋P内の水の沸騰状態を比較した。温度変化は、鍋載置部5aおよび網体5bに設置した熱電対による温度測定を行った。鍋P内の水の沸騰状態は、目視により観察を行った。
【0068】
まず、加熱開始から10分までは強火で加熱し、鍋P内の水を沸騰させた。その後、10分から20分までは火力を中火に下げ、かつファン27から送風は行わずに加熱を行った。20分から30分までは中火の状態のままで、かつファン27から送風をしながら加熱を行った。
【0069】
図12は、加熱開始から30分までの鍋載置部5aと網体5bとの温度の変化を、横軸を時間(分)、縦軸を温度(℃)として表したグラフである。図中の30は鍋載置部5aの温度変化を表し、31は網体5bの温度変化を表している。
(1)加熱時間10分から20分までの結果(火力:中火、ファンからの送風:なし)
火力を強火から中火に下げたことにより、鍋載置部5aおよび網体5bの温度が共に低下していることがわかる。しかし、鍋載置部5aの温度はそれほど低下せず、鍋P内の水が沸き過ぎていることが確認できた。また、火力を中火に下げたことにより、網体5bの温度は網体加熱適正温度よりも低くなってしまっていた。
(2)加熱時間20分から30分までの結果(火力:中火、ファンからの送風:あり)
火力は中火の状態を維持したままファン27からの送風を行うことにより、鍋載置部5aの温度を更に下げることが可能となり、このとき鍋P内の水が沸き過ぎていることはなかった。一方、網体5bの温度は加熱時間10分から20分の場合と比較して上昇し、網体加熱適正温度付近を維持できていた。
【0070】
このように、ファン27からの強制的に送風を行うことで、火力を中火に下げた場合であっても網体5bの温度を維持しつつ、鍋載置部5aの温度は低下させることができるため、鍋P内の水の沸き過ぎを防止できた。
【0071】
[他の実施形態]
前記の実施形態では、中央部を鍋載置部5a、鍋載置部5aの外周部を網体5bで構成した調理部5について説明したが、調理部5の構成はこれに限定されない。例えば、調理部5の中央部を第一調理部、第一調理部の外周部を第二調理部とした場合、第一調理部を鉄板載置部またはロストル載置部で構成し、第二調理部を網体で構成することもできる。また、第一調理部を鍋載置部、第二調理部を鉄板またはロストルで構成することもできる。その他、調理部5を鉄板、ロストルまたは網体のみで構成することも可能である。
【0072】
本発明は上記実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、中央部を鍋載置部、鍋載置部の周囲を網体で構成した加熱調理器のような一台で2種類以上の調理が同時に可能な加熱調理器に限らず、例えば、加熱対象物の中央部の加熱を弱め、加熱対象物の外周部の加熱を維持するといったような加熱対象物の中央部と外周部との加熱の強弱を変えることができる加熱調理器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 加熱調理器
2 テーブル
3 外箱(第二の箱体)
3a 段差
4 内箱(箱体および第一の箱体)
4a 側壁
4b 段差
4c 底壁
4d 底部開口部
4e 周壁(壁部)
5 調理部
5a 鍋載置部
5b 網体
5c 中央開口部
5d リング部
5e 支持壁
5f 段差
6 ドレイン空間
7 トップリング
7a 内側環状部材
7b 外側環状部材
7c 外気吸引口
7d 仕切壁
8 吸引空間
9 排ガス吸引口
10 外気吸引流路
11 排ガス吸引流路
12 排気流路
13 フィルタ
14 排気口
15 熱板
15a 中央開口部
15b 斜面開口部
16 熱板受け
16a 中央開口部
16b 載置台
16c 案内壁
16d 支持板
16e 段差
16f 円環部
17 バーナ
18 二重円筒部
18a 内筒部
18b 外筒部
18c 内周炎孔
18d 外周炎孔
19 空間
20 供給管
20a 流入口
20b 連通部
20c 絞り部
20d 燃料ガス導入口
20e 一次空気導入口
20f 隙間
21 バーナボディ
21a バーナボディ内筒部
21b バーナボディ外筒部
21c 混合空間
21d 傾斜部
21e 板状部材
21f バーナボディ内筒部の上端面
21g バーナボディ外筒部の上端面
21h 突起部
22 バーナヘッド
22a バーナヘッド内筒部
22b バーナヘッド外筒部
22c 混合空間
22d 切欠き
22e 段差
22f キャップ部
22g バーナヘッド内筒部の下端面
22h 溝
23 二次空気流路
24 ガスノズル
25 調節ダンパ
25a 円形状開口部
25b 扇形状開口部
25c 遮蔽領域
26 筐体
26a 開口
26b 開口
27 ファン(送風手段)
28 風量調節手段
29 受け皿
29a 供給管挿入口
29b 円弧状開口
29c 突起部挿入口
30 鍋載置部の温度変化
31 網体の温度変化
P 鍋
U 一次空気
V 燃料ガス
W 混合ガス
X 二次空気
Y1 内周炎孔から噴出する炎
Y2 外周炎孔から噴出する炎
Z 熱気流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12