特許第6069102号(P6069102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069102カードコネクタ及びカードコネクタ実装構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069102
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年1月25日
(54)【発明の名称】カードコネクタ及びカードコネクタ実装構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/72 20110101AFI20170116BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20170116BHJP
【FI】
   H01R12/72
   G06K7/00 013
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-112218(P2013-112218)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-232606(P2014-232606A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】辻 淳也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 樹
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−152541(JP,A)
【文献】 特開2009−238559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/72
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入されるカード挿入空間を有するハウジングと、該ハウジングに固定され、前記カード挿入空間に挿入されたカードに接触する複数のコンタクトとを備え、基板上に実装されるカードコネクタであって、
前記基板に形成された、前記ハウジングの下面から下方に突出する部分を有する最も厚さが厚い部分のみを受容する貫通孔又は凹部内に、前記最も厚さが厚い部分のみが受容されるようになっており、
前記最も厚さが厚い部分は、前記カード挿入空間に挿入されたカードを排出するためのカード排出機構のうちのコイルスプリングのみを収容するコイルスプリング収容部であることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
請求項に記載のカードコネクタと、該カードコネクタを実装した前記基板とからなることを特徴とするカードコネクタ実装構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードが挿入されるカードコネクタ及びカードコネクタ実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカードやSIM(加入者識別モジュール)カードなどのカードが挿入されるカードコネクタにおいては、カードコネクタ自体の低背化の要求がある。また、カードコネクタとそのカードコネクタが実装される基板とを合わせたカードコネクタ実装構造においても、低背化の要求がある。
従来、カードコネクタではないが、カードと同様に平形のフレキシブル印刷回路基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)を受容する電気コネクタにおいて、低背化を実現したものが知られている(特許文献1参照)。この低背化を実現した特許文献1の電気コネクタを図20に示す。
【0003】
図20に示す電気コネクタ101は、幅方向(図20における左右方向)に細長く延びる断面が略矩形状のハウジング110と、ハウジング110の幅方向に沿って所定ピッチで取り付けられた複数のコンタクト120とを備えている。
ハウジング110には、フレキシブル印刷回路基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)などのケーブル(図示せず)を受容するケーブル受容開口111が形成されている。そして、ハウジング110には、ケーブルがケーブル受容開口111に受容された際に、ケーブルの導電パッドをコンタクト120に押し付けるようにするために、アクチュエータ112が回動自在に取り付けられている。
【0004】
また、ハウジング110の幅方向両端には、ハウジング110の底面に沿って形成された連結部131で連結された一対の保持具130が設置されている。
そして、基板140には、ハウジング110全体の大きさに対応する切欠141が形成されている。この切欠141は、基板140の端縁から基板140の表裏面を貫通するように切欠かれている。基板140上の切欠141の近傍には切欠141の幅方向に沿って所定ピッチで複数の導電パッド143が設けられている。また、基板140上の切欠141の幅方向両側の部分には、電気コネクタ101の一対の保持具130が半田接続される一対のパッド142が形成されている。
【0005】
そして、ハウジング110が切欠141内に配置されて各コンタクト120が各導電パターン143上に半田接続されるとともに、各保持具130が各パッド142上に半田接続される。これにより、電気コネクタ101は、基板140に実装される。
この電気コネクタ101が基板140に実装された状態では、電気コネクタ101のハウジング110が基板140の切欠141内に入り込んでいる。このため、電気コネクタ101とその電気コネクタが実装される基板とを合わせた電気コネクタ実装構造の高さは、電気コネクタ101の高さと基板の高さとの和から切欠141内に入り込んでいる電気コネクタ101の高さ分を引いた値となる。従って、切欠141内に入り込んでいる電気コネクタ101の高さ分だけ低背とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−18798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この従来の図20に示した電気コネクタ101及び電気コネクタ実装構造にあっては、以下の問題点があった。
即ち、基板140に形成された切欠141の部分には配線パターンを形成することができず、配線パターンの形成における制約が大きかった。特に、切欠141の大きさはハウジング110全体の大きさに対応する大きさとなっているため、その切欠面積が大きく、基板140上における配線パターンの形成に際しての制約が非常に大きかった。
【0008】
また、ケーブルの端部をハウジング110のケーブル受容開口111に挿入しアクチュエータ112を動作させると、各コンタクト120に生じる反力がハウジング110の上面側及び下面側に作用する。この際に、ハウジング110の下面側は、切欠141内を貫通しているため、基板140側から支持するものが何も存在しない。このため、ハウジング110の下面側は、保持具130の連結部131があり金属製であるが非常に薄いため、各コンタクト120に生じる反力がハウジング110の下面側に作用したときに、下側凸に反ってしまうおそれがあった。ハウジング110の下面側が反ると、各コンタクト120のケーブルに対する適切な接圧が確保できない不都合がある。
【0009】
従って、本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、基板上における配線パターンの形成に際しての制約を極力小さくすることができるとともに、各コンタクトのカードに対する十分な接圧を確保することができる、低背化を実現したカードコネクタ及びカードコネクタ実装構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のうちある態様に係るカードコネクタは、カードが挿入されるカード挿入空間を有するハウジングと、該ハウジングに固定され、前記カード挿入空間に挿入されたカードに接触する複数のコンタクトとを備え、基板上に実装されるカードコネクタであって、前記基板に形成された、前記ハウジングの下面から下方に突出する部分を有する最も厚さが厚い部分のみを受容する貫通孔又は凹部内に、前記最も厚さが厚い部分のみが受容されるようになっており、前記最も厚さが厚い部分は、前記カード挿入空間に挿入されたカードを排出するためのカード排出機構のうちのコイルスプリングのみを収容するコイルスプリング収容部であることを特徴としている。
【0012】
た、本発明のうち別の態様に係るカードコネクタ実装構造は、前述のカードコネクタと、該カードコネクタを実装した前記基板とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るカードコネクタ及びカードコネクタ実装構造によれば、基板には、ハウジングの下面から下方に突出する部分を有する最も厚さが厚い部分のみを受容する貫通孔又は凹部が形成される。そして、この貫通孔又は凹部内にカードコネクタにおける最も厚さが厚い部分のみが受容される。このため、カードコネクタとそのカードコネクタが実装される基板とを合わせたカードコネクタ実装構造の高さは、カードコネクタの高さと基板の高さとの和から貫通孔又は凹部内に入り込んでいるカードコネクタにおける最も厚さが厚い部分の高さ分を引いた値となる。従って、貫通孔又は凹部内に入り込んでいるカードコネクタの最も厚さが厚い部分の高さ分だけ低背とすることができる。
【0014】
そして、基板に形成された貫通孔又は凹部は、ハウジングの下面から下方に突出する部分を有する最も厚さが厚い部分のみを受容する大きさにすればよい。このため、貫通孔又は凹部の面積を小さくでき、基板上における配線パターンの形成に際しての制約を極力小さくすることができる。
また、カードコネクタにおける最も厚さが厚い部分以外の部分は貫通孔又は凹部に受容されず基板上に実装される。このため、カードをハウジングのカード挿入空間に挿入し各コンタクトに生じる反力がハウジングの下面側に作用した際に、ハウジングの下面側は基板に支持されているので、下側凸に反ってしまうおそれがない。これにより、各コンタクトのカードに対する十分な接圧を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るカードコネクタの第1実施形態の斜視図である。
図2図1のカードコネクタを示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図3図1のカードコネクタを示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図である。
図4図1のカードコネクタを示し、(A)は背面図、(B)は図2(A)における4B−4B線に沿う断面図である。
図5図1に示すカードコネクタからシェルを取り外した状態の斜視図である。
図6図1に示すカードコネクタからシェルを取り外した状態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図7図1に示すカードコネクタからシェルを取り外した状態を示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図、(C)は背面図である。
図8図1に示すカードコネクタが実装される基板の平面図である。
図9図1に示すカードコネクタを図8に示す基板に実装したカードコネクタ実装構造を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図10図1に示すカードコネクタを図8に示す基板に実装したカードコネクタ実装構造を示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図である。
図11図9(A)における11−11線に沿う断面図である。
図12】本発明に係るカードコネクタの第2実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図13】本発明に係るカードコネクタの第2実施形態を示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図である。
図14】本発明に係るカードコネクタの第2実施形態を示し、(A)は背面図、(B)は図12(A)における14B−14B線に沿う断面図である。
図15図12に示すカードコネクタからシェルを取り外した状態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
図16図12に示すカードコネクタからシェルを取り外した状態を示し、(A)は右側面図、(B)は左側面図、(C)は背面図である。
図17図12に示すカードコネクタが実装される基板の平面図である。
図18図12に示すカードコネクタを図17に示す基板に実装したカードコネクタ実装構造の平面図である。
図19図18における19−19線に沿う断面図である。
図20】従来の低背化を実現した電気コネクタの一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4(A),(B)には、本発明に係るカードコネクタの第1実施形態が示されている。図1乃至図4(A),(B)に示すカードコネクタ1は、基板(図8参照)50上に実装され、メモリカード、SIMカード等などのカード(図示せず)が挿入及び抜去される。カードがカードコネクタ1に挿入されることにより、カードと基板50との電気的接続が達成される。
カードコネクタ1は、図1乃至図4(A),(B)に示すように、合成樹脂製のハウジング10と、金属製の複数のコンタクト20と、金属製のシェル30と、カード排出機構40とを備えている。
【0017】
ここで、ハウジング10は、図1及び図5乃至図7(A),(B),(C)に示すように、幅方向(図1における左右方向)及び前後方向(図1における下方を前方、上方を後方)に延びる略矩形状に形成された底壁11を備えている。ハウジング10は、合成樹脂を成形することによって形成される。また、ハウジング10は、底壁11の幅方向左縁から立ち上がる左側壁12と、底壁11の幅方向右側縁から立ち上がる右側壁13と、底壁11の後端から立ち上がる後壁14とを備えている。また、ハウジング10は、底壁11の前端であって幅方向左端から立ち上がる前端壁15を備えている。そして、ハウジング10は、上面及び前面が開口している。ハウジング10には、図1に示すように、金属製のシェル30がハウジング10の上方を覆うように装着され、シェル30と底壁11との間にカード挿入空間16が形成される。
【0018】
また、ハウジング10の底壁11の幅方向左端近傍には、図5に示すように、後壁14とハウジング10の前端壁15との間に形成されるカード排出機構収容部17が設けられている。カード排出機構収容部17は、カード排出機構40を収容する。カード排出機構収容部17は、図4(B)に示すように、カードコネクタ1において最も厚さが厚い部分である。カード排出機構収容部17の下板部17aがハウジング10の底壁11の下面から下方に突出している。カード排出機構収容部17の下板部17aは、ハウジング10の底壁11、左側壁12、後壁14、及び前端壁15にインサート成形された金属板である。下板部17aは、図6(A),(B)及び図7(A),(B),(C)に示すように、前後方向においてハウジング10の底壁11の下面から下方に突出した状態でハウジング10の前端壁15から後壁14に至るまで延びている。また、下板部17aは、図6(A),(B)及び図7(A),(B),(C)に示すように、幅方向においてハウジング10の底壁11の下面から下方に突出した状態でハウジング10の左側壁12から底壁11に至るまで延びている。
【0019】
また、複数のコンタクト20は、図2に示すように、ハウジング10の幅方向に沿って底壁11に2列状に配置されている。各コンタクト20は、カードの裏面に設けられた導電パッド(図示せず)に接触するとともに、基板50上に接続される。各コンタクト20は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成され、接触部21と基板接続部22とを有する。
【0020】
また、シェル30は、前述しように、ハウジング10の上方を覆うようにハウジング10に装着され、シェル30とハウジング10の底壁11との間にカード挿入空間16を形成する。シェル30は、図1図2(A),(B)乃至図4(A),(B)に示すように、ハウジング10の上面を覆う平面部31と、ハウジング10の幅方向左側面を覆う左側面部32と、ハウジング10の幅方向右側面を覆う右側面部33とを備えている。また、シェル30は、ハウジング10の後面を覆う後面部34を備えている。平面部31は、ハウジング10の幅方向及び前後方向に延びる。左側面部32及び右側面部33は、平面部31の幅方向各側面から下方に延びる。また、後面部34は、平面部31の前後方向後面から下方に延びている。シェル30は、導電性金属板を打抜き及び曲げ加工することによって形成される。
【0021】
また、カード排出機構40は、カード挿入空間16に挿入されたカードを排出するためのものであり、図5に示すように、ハウジング10のカード排出機構収容部17に収容される。このカード排出機構40は、いわゆるプッシュ・プッシュ型のイジェクト機構であり、カードの挿入方向(前から後ろ向きの方向)及び排出方向(後ろから前向きの方向)にスライドするスライド部材41を備えている。スライド部材41には、カード挿入空間16に挿入されたカードに当接する当接部41aが設けられている。カードがカード挿入空間16に挿入されると、カードの先端が当接部41aに当接し、カードの挿入進行に伴ってスライド部材41が後方にスライドする。また、カードの排出時には、スライド部材41が排出方向にスライドし、当接部41aを介してカードを排出する。また、カード排出機構40は、スライド部材41をカードの排出方向に付勢するコイルスプリング42と、コイルスプリング42の付勢力に抗してスライド部材41をカードのロック位置にロックさせるロック手段43とを備えている。ロック手段43は、図5に示すように、スライド部材41の上面に形成されたハートカム溝44と、ハウジング10の前端部15に一端が回動可能に支持され、他端がハートカム溝44に嵌合するカムピン43とからなる。ロック手段43は、コイルスプリング42の付勢力に抗してスライド部材41をカードのロック位置にロックさせる。この「ロック位置」は、カードの挿入が完了したときのスライド部材41の位置である。
【0022】
一方、カードコネクタ1が実装される基板50は、図8に示すように、矩形の平板形状をなし、基板50の前端(図8における下端)近傍から前後方向略中央部にかけて長方形状の貫通孔51が穿設されている。この貫通孔51は、カードコネクタ1におけるハウジング10の下面から突出する下板部17aを有するカード排出機構収容部17のみを受容する形状及び位置に形成されている。
【0023】
そして、カードコネクタ1は、図9乃至図11に示すように、基板50上に実装される。
この際に、図11によく示すように、基板50の貫通孔51内に、カードコネクタ1における下板部17aを有するカード排出機構収容部17のみ、即ちハウジング10の下面から下方に突出する部分を有する最も厚さが厚い部分のみが受容される。具体的には、ハウジング10の下面から下方に突出する下板部17aが貫通孔51内に受容される。
【0024】
ここで、カードコネクタ1とそのカードコネクタ1が実装される基板50とを合わせたカードコネクタ実装構造の高さは、カードコネクタ1の高さと基板50の高さとの和から貫通孔51内に入り込んでいる下板部17aの高さ分を引いた値となる。従って、貫通孔51内に入り込んでいる下板部17aの高さ分だけ低背とすることができる。
そして、基板50に形成された貫通孔51は、カードコネクタ1におけるカード排出機構収容部17のみを受容する大きさにすればよい。このため、貫通孔51の面積を小さくでき、基板50上における配線パターンの形成に際しての制約を極力小さくすることができる。
【0025】
また、カードコネクタ1におけるカード排出機構収容部17以外の部分、即ちカードコネクタ1の最も厚さが厚い部分以外の部分は貫通51に受容されず基板50上に実装される。このため、カードをハウジング10のカード挿入空間16に挿入し各コンタクト20に生じる反力がハウジング10の下面側に作用した際に、ハウジング10の下面側は基板50に支持されている。これにより、ハウジング10は下側凸に反ってしまうおそれがない。このため、各コンタクト20のカードに対する十分な接圧を確保することができる。
【0026】
なお、カードコネクタ1において、カード排出機構40は複雑な機械機構を有し、その厚さを薄くすることには限界がある。従って、カード排出機構40を収容するカード排出機構収容部17の厚さを薄くすることには限界がある。このため、カード排出機構40の厚さを比較的厚くし、それに合わせてカードコネクタ1全体の厚さを厚くすると、カードコネクタ1と基板50とを合わせたカードコネクタ実装構造の厚さは厚くなってしまう。
【0027】
これに対し、本実施形態のように、カードコネクタ1の最も厚い部分をカード排出機構収容部17とし、そのカード排出機構収容部17のみを基板50に形成された貫通孔51内に受容させるようにする。これにより、カードコネクタ1と基板50とを合わせたカードコネクタ実装構造の厚さをハウジング10の下面から突出する下板部17a分だけ低背とすることができる。従って、カードコネクタ1の最も厚い部分を、厚さを薄くすることには限界があるカード排出機構収容部17とすることで、一層実益がある。
【0028】
次に、本発明に係るカードコネクタの第2実施形態を図12(A),(B)乃至図19を参照して説明する。図12(A),(B)乃至図19において、図1乃至図11と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
図12(A),(B)乃至図14(A),(B)に示すカードコネクタ1は、図1乃至図4に示すカードコネクタ1と基本構成は同様であるが、カードコネクタ1における最も厚さが厚い部分の構成が異なっている。
【0029】
即ち、図1乃至図4に示すカードコネクタ1において、最も厚さが厚い部分は、カード排出機構40を収容するカード排出機構収容部17である。これに対して、図12(A),(B)乃至図14(A),(B)に示すカードコネクタ1において、最も厚さが厚い部分は、カード排出機構収容部17全体ではなく、カード排出機構40のうちのコイルスプリング42のみを収容するコイルスプリング収容部17bである。そして、図14(B)に示すように、カードコネクタ1において、カード排出機構収容部17の下板部17aの下面は、ハウジング10の底壁11の下面と面一である。しかし、下板部17aのうちコイルスプリング収容部17bの下板部17cだけ前記下板部17aから下方に突出している。このコイルスプリング収容部17bの下板部17cは、コイルスプリング42を収容するから、断面形状が円弧状となっている。
【0030】
ここで、カード排出機構収容部17の下板部17aは、ハウジング10の底壁11、左側壁12、後壁14、及び前端壁15にインサート成形された金属板である。コイルスプリング収容部17bの下板部17cは、図13(A),(B)、図14(B)、図15(B)及び図16(A),(B)に示すように、カード排出機構収容部17の下板部17a、即ちハウジング10の底壁11の下面から下方に突出した状態で、前後方向においてハウジング10の前端壁15から後壁14の近傍に至るまで延びている。
【0031】
一方、このカードコネクタ1が実装される基板50は、図17に示すように、矩形の平板形状をなし、基板50の前端(図17における下端)近傍から前後方向略中央部にかけて長方形状の貫通孔51が穿設されている。この貫通孔51は、カードコネクタ1におけるハウジング10の下面から突出する下板部17cを有するコイルスプリング収容部17bのみを受容する形状及び位置に形成されている。この貫通孔51の幅は、コイルスプリング収容部17bのみを受容すればよいから、カード排出機構収容部17全体を受容する第1実施形態における図8に示す基板50に形成された貫通孔51の幅よりも狭い。
【0032】
そして、カードコネクタ1は、図18及び図19に示すように、基板50上に実装される。
この際に、図19によく示すように、基板50の貫通孔51内に、カードコネクタ1における下板部17cを有するコイルスプリング収容部17bのみ、即ちハウジング10の下面から下方に突出する部分を有する最も厚さが厚い部分のみが受容される。具体的には、ハウジング10の下面から下方に突出する下板部17cが貫通孔51内に受容される。
【0033】
ここで、カードコネクタ1とそのカードコネクタ1が実装される基板50とを合わせたカードコネクタ実装構造の高さは、カードコネクタ1の高さと基板50の高さとの和から貫通孔51内に入り込んでいる下板部17cの高さ分を引いた値となる。従って、貫通孔51内に入り込んでいる下板部17cの高さ分だけ低背とすることができる。
そして、基板50に形成された貫通孔51は、カードコネクタ1におけるコイルスプリング収容部17bのみを受容する大きさにすればよい。このため、貫通孔51の面積を第1実施形態における図8に示す基板50に形成された貫通孔51の面積よりも小さくでき、基板50上における配線パターンの形成に際しての制約をより一層小さくすることができる。
【0034】
また、カードコネクタ1におけるコイルスプリング収容部17b以外の部分、即ちカードコネクタ1の最も厚さが厚い部分以外の部分は貫通孔51に受容されず基板50上に実装される。このため、カードをハウジング10のカード挿入空間16に挿入し各コンタクト20に生じる反力がハウジング10の下面側に作用した際に、ハウジング10の下面側は基板50に支持されている。これにより、ハウジング10は下側凸に反ってしまうおそれがない。このため、各コンタクト20のカードに対する十分な接圧を確保することができる。
【0035】
なお、カードコネクタ1において、カード排出機構40は複雑な機械機構を有し、その厚さを薄くすることには限界がある。特に、コイルスプリング42の直径を小さくすると、カードを排出する力が小さくなるため、コイルスプリング42の直径を小さくし過ぎると、カードを排出できないおそれがある。このため、コイルスプリング42の直径を小さくすることには限界がある。そこで、コイルスプリング42の直径を比較的大きくし、それに合わせてカードコネクタ1全体の厚さを厚くすると、カードコネクタ1と基板50とを合わせたカードコネクタ実装構造の厚さは厚くなってしまう。
【0036】
これに対し、本実施形態のように、カードコネクタ1の最も厚い部分をコイルスプリング収容部17bとし、そのコイルスプリング収容部17bのみを基板50に形成された貫通孔51内に受容させるようにする。これにより、カードコネクタ1と基板50とを合わせたカードコネクタ実装構造の厚さをハウジング10の下面から突出する下板部17c分だけ低背とすることができる。従って、カードコネクタ1の最も厚い部分を、大きさを小さくすることには限界があるコイルスプリング収容部17bとすることで、より一層実益がある。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、カードコネクタ1の最も厚さが厚い部分は、カード排出機構収容部17及びコイルスプリング収容部17bに限らず、カードコネクタ1を構成する他の部分であってもよい。
また、基板5に形成される、カードコネクタ1の最も厚さが厚い部分を受容するものは、貫通孔51に限らず、基板50の表裏面を貫通しない凹部であってもよい。
【0038】
また、貫通孔51は、基板50の端部近傍に形成されて基板50の端部に肉を残した形としているが、基板50の端部から切欠くようにしてもよい。また、貫通孔51の代わりに凹部を形成する場合も同様である。
また、カード排出機構40としては、カード挿入空間16内に挿入されたカードを排出できる機能を有する構成であればよい。
【符号の説明】
【0039】
1 カードコネクタ
10 ハウジング
16 カード挿入空間
17 カード排出機構収容部(最も厚さが厚い部分)
17a 下板部(ハウジングの下面から下方に突出する部分)
17b コイルスプリング収容部(最も厚さが厚い部分)
17c 下板部(ハウジングの下面から下方に突出する部分)
20 コンタクト
40 カード排出機構
50 基板
51 貫通孔
図1
図2
図3
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図5
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