【実施例】
【0020】
(
参考例1)
上記電磁継電器の実施例について、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1〜
図3に示すように、電磁継電器1は、可動接点部12と固定接点部2とを有しており、可動接点部12が固定接点部2と接触したオン状態(
図2参照)と、可動接点部12が固定接点部2から離隔したオフ状態(
図1及び
図3参照)とを切り替え可能に構成されている。
【0021】
図3に示すように、電磁継電器1は、電磁コイル3と、固定コア4と、プランジャ5と、ヨーク6と、抵抗器7とを有している。電磁コイル3は、通電により磁束を発生するよう構成されている。固定コア4は、電磁コイル3の内側に配設されている。
【0022】
プランジャ5は、電磁コイル3への通電に伴って固定コア4に対して進退動作するとともに、可動接点部12を連動させてオン状態とオフ状態とを切り替えるよう構成されている。ヨーク6は、電磁コイル3の周囲に配置され、固定コア4及びプランジャ5と共に磁気回路を構成している。抵抗器7は、固定接点部2と電気的に接続され、かつ、ヨーク6と熱的に接触している。以下、詳説する。
【0023】
本例の電磁継電器1は、
図1〜
図3に示すように、可動接点部12、固定接点部2、電磁コイル3、固定コア4、プランジャ5、ヨーク6及び抵抗器7を樹脂製の収容ケース13に収容してなる。
図1〜
図3に示すように、収容ケース13の内部は、隔壁131により、可動接点部12及び固定接点部2を収容する接点部室132と、電磁コイル3、固定コア4、ヨーク6及び抵抗器7を収容する駆動部室133に区画されている。また、
図3に示すように、隔壁131の中央部には隔壁131を厚み方向に貫通する貫通孔134が形成されており、貫通孔134にはプランジャ5が挿通されている。なお、
図1に示す電磁継電器1の正面図は、便宜上、収容ケース13の正面の壁部を除去した状態を示している。また、便宜上、電磁継電器1の上下方向に関して、接点部室132側を上方といい、駆動部室133側を下方ということがあるが、これらの表示は電磁継電器1の実装後の方向とは何ら関係しない。
【0024】
図3に示すように、電磁コイル3は、巻回軸を上下方向に向けて駆動部室133内に配置されている。
【0025】
図3に示すように、電磁コイル3の周囲には、軟磁性体である鉄よりなるヨーク6が配置されている。ヨーク6は、電磁コイル3の下側端面を覆う略長方形状の底面部ヨーク61と、電磁コイル3の上側端面を覆う略長方形状の上面部ヨーク62と、底面部ヨーク61と上面部ヨーク62との間を接続する一対の接続ヨーク63(63a、63b)とから構成されている。すなわち、ヨーク6は、両端が開口した略角筒状を呈しており、その内部に電磁コイル3が収容されている。また、上面部ヨーク62の略中央部にはプランジャ5が挿通されている。
【0026】
図3に示すように、抵抗器7は、互いに向かい合う一対の接続ヨーク63のうち、一方の接続ヨーク63aに取り付けられている。また、抵抗器7は、熱伝導部材14を介して一方の接続ヨーク63aに保持されている。これにより、抵抗器7とヨーク6とが熱伝導部材14を介して熱的に接触している。なお、熱伝導部材14としては、例えば銀ペーストや伝熱グリス等の、接触熱抵抗を低減するために用いられる公知の熱伝導部材14を用いることができる。
【0027】
以下、本例の電磁継電器1についてさらに詳説する。
【0028】
図3に示すように、固定コア4は、電磁コイル3の内側において、底面部ヨーク61と当接している。
【0029】
プランジャ5は、円柱状を呈している。
図3に示すように、プランジャ5の上部51は絶縁体である樹脂よりなり、その上端が可動接点部12に固定されている。プランジャ5の下部52は軟磁性体よりなり、電磁コイル3の内側に挿入されている。また、プランジャ5の下部52は、間隙を介して固定コア4と対向している。また、プランジャ5と固定コア4との間には、プランジャ5を接点部室132側(上方)へ向けて押圧するプランジャ押圧部材15が設けられている。なお、本例のプランジャ押圧部材15は、コイルばねである。
【0030】
図1〜
図3に示すように、固定接点部2は、互いに独立した一対の固定側バスバー21(21a、21b)と、固定側バスバー21の各々における可動接点部12に対向する面に配設された固定側凸部22とを有している。一対の固定側バスバー21は、ヨーク6が開口している方向において互いに並んで配されている。また、一対の固定側バスバー21及び固定側凸部22は、それぞれ金属より構成されている。
【0031】
一対の固定側バスバー21のうち一方の固定側バスバー21aは、
図1及び
図2に示すように、収容ケース13の外部まで延設された接続端子23を有しており、一方の固定側バスバー21aと外部回路とが接続端子23を介して接続可能に構成されている。
【0032】
他方の固定側バスバー21bは、収容ケース13の内部において、抵抗器7の一方の端子71と電気的に接続されている。また、
図1及び
図2に示すように、抵抗器7の他方の端子72は、収容ケース13の外部に突出しており、抵抗器7と外部回路とが他方の端子72を介して接続可能に構成されている。
【0033】
図1〜
図3に示すように、可動接点部12は、一対の固定側バスバー21の並び方向に延びた一本の可動側バスバー121と、可動側バスバー121の固定接点部2に対向する面における両端に配設された一対の可動側凸部122とを有している。
図1に示すように、可動側バスバー121の長手方向の中央部には、プランジャ5の上端が固定されている。また、可動側バスバー121及び可動側凸部122は、金属より構成されている。そして、一対の可動側凸部122はそれぞれ固定側凸部22と対向している。
【0034】
また、
図1〜
図3に示すように、可動接点部12と収容ケース13の壁部との間には、可動接点部12を固定接点部2側(下方)へ向けて押圧する接点部押圧部材16が設けられている。なお、本例における接点部押圧部材16は、プランジャ押圧部材15よりもばね定数の小さいコイルばねである。
【0035】
次に、電磁継電器1の動作について説明する。電磁コイル3に通電していない状態においては、プランジャ押圧部材15による上方へ向かう押圧力が、接点部押圧部材16による下方へ向かう押圧力よりも大きくなる。そのため、
図1及び
図3に示すように、プランジャ5が上方に向けて押圧され、可動接点部12と固定接点部2とが離隔したオフ状態が維持される。
【0036】
一方、電磁コイル3に通電すると、その周囲に磁束が発生する。この磁束は、底面部ヨーク61、接続ヨーク63、上面部ヨーク62、プランジャ5の下部52及び固定コア4を通る磁気回路に形成される。これにより、プランジャ5と固定コア4との間に磁気吸引力が発生し、プランジャ押圧部材15による上方へ向かう押圧力に抗してプランジャ5が固定コア4側に吸引される。以上の結果、
図2に示すように、可動接点部12と固定接点部2とが接触したオン状態となる。
【0037】
本例の電磁継電器1は、直流電源181と電源装置182との間に電気的に接続されるリレーシステム100に用いることができる。
図4に一例を示すように、リレーシステム100は、直流電源181の正極及び負極にそれぞれ接続されたメインリレー183(183a、183b)と、電流制限抵抗184と直列接続されたプリチャージリレー185とを有している。プリチャージリレー185と電流制限抵抗184との直列体は、正極側に接続されたメインリレー183aに並列接続されている。
【0038】
リレーシステム100と電源装置182との間には、コンデンサ186が配されていてもよい。この場合には、コンデンサ186の端子は、直流電源181の正極及び負極とそれぞれ接続される。
【0039】
本例の電磁継電器1をプリチャージリレー185と電流制限抵抗184との直列体として用いるためには、一方の固定側バスバー21aの接続端子23を直流電源181の正極側に接続し、抵抗器7の他方の端子72を電源装置182に接続すればよい。このように接続することにより、可動接点部12及び固定接点部2がプリチャージリレー185の接点対を形成し、抵抗器7が電流制限抵抗184として機能するよう構成することができる。なお、電磁コイル3への通電の制御は、別途準備した電子制御ユニット187等(
図4参照)の制御装置を用いて行うことができる。
【0040】
次に、本例の作用効果を説明する。
図1〜
図3に示すように、本例の電磁継電器1は、固定接点部2と電気的に接続され、かつ、ヨーク6と熱的に接触している抵抗器7を有している。そのため、電磁継電器1は、抵抗器7から発生する熱を、ヨーク6を介して放熱させることができる。その結果、抵抗器7を容易に小型化することができる。
【0041】
また、抵抗器7がヨーク6と熱的に接触するように配置されているため、固定接点部2と抵抗器7とが互いに近い位置になりやすい。その結果、電磁継電器1の配置スペースを容易に削減することができ、また、部品点数を低減しやすくなる。
【0042】
また、抵抗器7とヨーク6とが熱伝導部材14を介して熱的に接触しているため、抵抗器7とヨーク6との間の熱抵抗をより低減させ易くなる。その結果、抵抗器7からの放熱がより促進されやすくなり、抵抗器7をより小型化することができる。
【0043】
以上のように、電磁継電器1は、小型化が容易なものとなる。
【0044】
また、上述したように、本例の電磁継電器1は、抵抗器7からの放熱がより促進され易いものとなるため、抵抗器7に比較的大きな電力が流れる用途に好適に用いることができる。そのため、電磁継電器1は、直流電源181と電源装置182との間に固定接点部2と抵抗器7とを直列的に接続するプリチャージリレー185として好適に用いることができる。
【0045】
また、本例の電磁継電器1は、小型化が容易である。そのため、本例の電磁継電器1は、部品の小型化を強く要求される、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車用途に好適に用いることができる。
【0046】
(
参考例2)
本例は、
図5及び
図6に示すように、電磁継電器1を、直流電源181と電源装置182との間に固定接点部2を接続するメインリレー183として使用する例である。本例の電磁継電器1は、
図5に示すように、一方の固定側バスバー21aの接続端子23及び抵抗器7の他方の端子72とともに、抵抗器7の一方の端子71の3つの端子が収容ケース13の外方に延設されている。
【0047】
図6に示すように、本例の電磁継電器1をメインリレー183aとして用いるためには、一方の固定側バスバー21aの接続端子23を直流電源181の正極側に接続し、抵抗器7の一方の端子71を電源装置182と接続し、他方の端子72をプリチャージリレー185の接点対と接続すればよい。このように接続することにより、可動接点部12及び固定接点部2がメインリレー183aの接点対を形成し、抵抗器7が電流制限抵抗184として機能するよう構成することができる。その他は
参考例1と同様である。なお、
図5及び
図6において用いた符号のうち、
参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り
参考例1と同様の構成要素等を表す。
【0048】
このように、抵抗器7をヨーク6と熱的に接触させた電磁継電器1は、プリチャージリレー185及びメインリレー183のいずれの用途にも好適に用いることができる。その他、
参考例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0049】
(
参考例3)
本例は、電磁継電器1に抵抗保持部8を設けた例である。
図7及び
図8に示すように、本例の電磁継電器102は、抵抗器7をヨーク6に保持する抵抗保持部8を有している。抵抗保持部8はヨーク6及び抵抗器7の双方と熱的に接触している。
【0050】
図7及び
図8に示すように、抵抗保持部8は、両端が開口した略角筒状を呈している。抵抗保持部8の開口端面は、一対の固定側バスバー21の並び方向に向いている。また、
図8に示すように、抵抗保持部8は、一方の接続ヨーク63aと一体に形成されている。これにより、抵抗保持部8とヨーク6とが熱的に接触している。
【0051】
抵抗器7は、抵抗保持部8の内側に挿入されている。そして、抵抗保持部8は、抵抗保持部8と抵抗器7との間のクリアランス及び接続ヨーク63と抵抗器7との間のクリアランスの双方ができるだけ小さくなるように形成されている。これにより、抵抗保持部8と抵抗器7との熱的な接触及びヨーク6と抵抗器7との熱的な接触の双方を確保している。その他は
参考例1と同様である。なお、
図7及び
図8において用いた符号のうち、
参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り
参考例1と同様の構成要素等を表す。
【0052】
このように、抵抗保持部8がヨーク6及び抵抗器7の双方と熱的に接触していることにより、抵抗器7から発生する熱が、ヨーク6と抵抗器7との両方に伝達される。その結果、抵抗器7からの放熱がより促進されやすくなり、抵抗器7をより小型化することができる。その他、
参考例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0053】
(
参考例4)
本例は、
図9及び
図10に示すように、抵抗保持部8を変形させた例である。
図10に示すように、本例の抵抗保持部8は、ヨーク6の開口端面側から見た断面が略L字状を呈するように、一方の接続ヨーク63aと一体に形成されている。すなわち、抵抗保持部8は、略長方形状を呈し、接続ヨーク63から外方に向けて延伸された底壁部81と、底壁部81の先端から上方に向けて延伸された側壁部82とから構成されている。
【0054】
図9及び
図10に示すように、抵抗器7は、接続ヨーク63と抵抗保持部8の側壁部82との間に保持されており、抵抗器7と側壁部82との間のクリアランスができるだけ小さくなるように構成されている。そして、抵抗器7と接続ヨーク63との間には熱伝導部材14が狭持されている。その他は
参考例3と同様である。なお、
図9及び
図10において用いた符号のうち、
参考例3において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り
参考例3と同様の構成要素等を表す。
【0055】
抵抗保持部8の形状は、抵抗器7を保持できる形状であれば、
参考例3や
参考例4の形状に限定されず、種々の態様をとることができる。また、
参考例3や
参考例4には、抵抗保持部8をヨーク6とを一体に形成することにより、両者を熱的に接触させた例を示したが、抵抗保持部8とヨーク6とは別体に形成されていてもよい。この場合には、例えば、ヨーク6とは別体に形成された抵抗保持部8をボルトによりヨーク6に締結する等の方法により、抵抗保持部8とヨーク6とを熱的に接触させることができる。
【0056】
(
参考例5)
本例は、上記電磁継電器モジュールの実施例である。
図11に示すように、電磁継電器モジュール11は、可動接点部12と固定接点部2とを有し、可動接点部12が固定接点部2と接触したオン状態と、可動接点部12が固定接点部2から離隔したオフ状態とを切り替え可能に構成された2つのスイッチ部17を有している。また、電磁継電器モジュール11は、電磁コイル3と、固定コア4と、プランジャ5と、ヨーク6とのそれぞれを、個々のスイッチ部17に対して1つずつ備えている。そして、電磁継電器モジュール11は、少なくとも1つのスイッチ部17における固定接点部2と電気的に接続され、かつ、ヨーク6と熱的に接触している抵抗器7を有している。
【0057】
電磁コイル3は、通電により磁束を発生するよう構成されている。固定コア4は、それぞれの電磁コイル3の内側に配されており、電磁コイル3に対して直接固定されている。
【0058】
プランジャ5は、個々の電磁コイル3への通電に伴って固定コア4に対して進退動作すると共に可動接点部12を連動させ、個々のスイッチ部17におけるオン状態とオフ状態とを切り替えるように構成されている。ヨーク6は、固定コア4及びプランジャ5と共に磁気回路を構成している。
【0059】
また、複数のプランジャ5は各々の進退方向を揃えて一列に配置されており、抵抗器7は隣り合うプランジャ5の間に配置されている。なお、以下において、プランジャ5の進退方向を「高さ方向Z」という。以下、詳説する。
【0060】
本例の電磁継電器モジュール11は、
図11に示すように、スイッチ部17、電磁コイル3、固定コア4、プランジャ5、ヨーク6及び抵抗器7を樹脂製の収容ケース13に収容してなる。
図11に示すように、2つのスイッチ部17は、互いに並んで配置されている。以下、スイッチ部17の並び方向を「横方向Y」という。また、横方向Y及び高さ方向Zの双方と直交する方向を「縦方向X」という。また、便宜上、一方のスイッチ部17を第1スイッチ部17a(
図11参照)といい、他方のスイッチ部17を第2スイッチ部17b(
図11参照)という。
【0061】
また、電磁コイル3、固定コア4、プランジャ5及びヨーク6は、個々のスイッチ部17に対して高さ方向Zの一方側に配置されている。以下において、電磁継電器モジュール11の上下方向に関して、便宜上、スイッチ部17側を上方といい、電磁コイル3側を下方ということがあるが、これらの表示は電磁継電器モジュール11の実装後の方向とは何ら関係しない。
【0062】
各々の電磁コイル3は、巻回軸を高さ方向Zに向けて配置されている。
【0063】
図11に示すように、各々の電磁コイル3の周囲には、縦方向Xの両端が開口した略角筒状を呈するヨーク6が設けられている。また、隣り合うヨーク6の間には抵抗器7が配置されており、各々のヨーク6と抵抗器7との間には熱伝導部材14が狭持されている。
【0064】
また、本例の電磁継電器モジュール11は、プランジャ5の上端が可動接点部12に固定されておらず、オン状態においてプランジャ5が可動接点部12から離隔するように構成されている。
【0065】
また、
図12に示すように、本例の電磁継電器モジュール11は、2つの接続端子23(23a、23b)を有しており、2つの接続端子23を介して外部回路と接続されるよう構成されている。一方の接続端子23aは、第1スイッチ部17aにおける一方の固定側バスバー21c(
図11参照)と、第2スイッチ部17bにおける一方の固定側バスバー21e(
図11参照)とを互いに並列に接続している。
【0066】
他方の接続端子23bは、抵抗器7の他方の端子72と第2スイッチ部17bの他方の固定側バスバー21f(
図11参照)とを互いに並列に接続している。そして、収容ケース13内において、抵抗器7の一方の端子71と、第1スイッチ部17aの他方の固定側バスバー21d(
図11参照)とが電気的に接続されている。
【0067】
本例の電磁継電器モジュール11は、直流電源181と電源装置182との間に電気的に接続されるリレーシステム100に用いることができる。すなわち、
図12に示すように、一方の接続端子23aを直流電源181の正極側に接続し、他方の接続端子23bを電源装置182に接続すればよい。このように接続することにより、第2スイッチ部17bがメインリレー183の接点対を形成し、第1スイッチ部17aがプリチャージリレー185の接点対を形成し、抵抗器7が電流制限抵抗184として機能するよう構成することができる。
【0068】
なお、
図11及び
図12において用いた符号のうち、
参考例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り
参考例1と同様の構成要素等を表す。
【0069】
次に、本例の作用効果を説明する。電磁継電器モジュール11は、スイッチ部17における固定接点部2と電気的に接続され、かつ、ヨーク6と熱的に接触している抵抗器7を有している。これにより、
参考例1の電磁継電器1等と同様にヨーク6が放熱器として機能するため、抵抗器7の温度上昇が抑制されやすくなる。その結果、抵抗器7を容易に小型化することができる。また、電磁継電器モジュール11と抵抗器7との配置スペースを容易に削減することができる。また、部品点数を低減しやすくなる。
【0070】
また、抵抗器7とヨーク6とが熱伝導部材14を介して熱的に接触しているため、抵抗器7とヨーク6との間の熱抵抗をより低減させ易くなる。本例においては、隣り合う2つのヨーク6の各々と抵抗器7とが熱的に接触しているため、抵抗器7からの放熱がより促進されやすくなり、抵抗器7をより小型化することができる。
【0071】
以上のように、電磁継電器モジュール11は、小型化が容易なものとなる。
【0072】
また、上述したように、本例の電磁継電器モジュール11は、抵抗器7からの放熱がより促進され易いものとなるため、抵抗器7に比較的大きな電力が流れる用途に好適に用いることができる。そのため、直流電源181と電源装置182との間に電気的に接続されるリレーシステム100として好適に用いることができる。
【0073】
また、本例の電磁継電器モジュール11は、小型化が容易である。そのため、本例の電磁継電器モジュール11は、部品の小型化を強く要求される、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車用途に好適に用いることができる。
【0074】
(
参考例6)
本例は、3つのプランジャ5を備えた電磁継電器モジュール114の例である。
図13に示すように、本例の電磁継電器モジュール114は、横方向Yに互いに並んだ3つのスイッチ部17を有している。また、各々のスイッチ部17を動作させるプランジャ5と固定コア4との対が、スイッチ部17に対して高さ方向Zの下方に配置されている。
【0075】
また、本例の電磁継電器モジュール11は、2つの電磁コイル3を有している。2つの電磁コイル3は、
図13に示すように、横方向Yに互いに並んだ3つの固定コア4のうち、両端の固定コア4の周囲に配置されている。なお、横方向Yの中央に配置された固定コア4は、ヨーク604を介して電磁コイル3に間接的に固定されている。
【0076】
なお、以下においては、便宜的に、3つのスイッチ部17のうち横方向Yの両端に配置されたスイッチ部17をそれぞれ第1スイッチ部17a(
図13参照)、第2スイッチ部17b(
図13参照)といい、横方向Yの中央に配置されたスイッチ部17を第3スイッチ部17cという。また、第1スイッチ部17aを動作させるプランジャ5及び固定コア4をそれぞれ第1プランジャ5a及び第1固定コア4aといい、第2スイッチ部17bを動作させるプランジャ5及び固定コア4をそれぞれ第2プランジャ5b及び第2固定コア4bといい、第3スイッチ部17cを動作させるプランジャ5及び固定コア4を第3プランジャ5c及び第3固定コア4cという。また、第1固定コア4aを内側に収容する電磁コイル3を第1電磁コイル3aといい、第2固定コア4bを内側に収容する電磁コイル3を第2電磁コイル3bという。
【0077】
本例のヨーク604は、3対のプランジャ5及び固定コア4を互いに磁気的に接続するように、一体に形成されている。すなわち、
図13に示すように、ヨーク604は、一方の端部604aが第2プランジャ5bと第3プランジャ5cとの間に配されており、第1電磁コイル3aの上端面に沿うようにして第1プランジャ5a側に向かって横方向Yに延設されている(符号604b参照)。また、ヨーク604は、第1プランジャ5aと収容ケース13の壁面との間において高さ方向Zの下方に屈曲され、第1電磁コイル3aの周囲を周回している(符号604c参照)。
【0078】
第1電磁コイル3aを周回したヨーク604は、第1電磁コイル3aにおける高さ方向Zの中央部まで延設された後、横方向Yの第2電磁コイル3b側へ向けて屈曲され、第2電磁コイル3bに当接するまで延伸されている(符号604d参照)。第2電磁コイル3bに当接したヨーク604は、高さ方向Zの上方に屈曲され、第2電磁コイル3bを周回している(符号604e参照)。そして、ヨーク604の他方の端部604fは、第2電磁コイル3bの下端面に沿うようにして第1電磁コイル3aと第3固定コア4cとの間まで延伸されている。
【0079】
また、
図13に示すように、本例の抵抗器7は、第2電磁コイル3bの下方に配置され、ヨーク604と当接している。
【0080】
本例のように、ヨーク604を一体に形成することにより、抵抗器7から伝達された熱がヨーク604に拡散する範囲をより広くし易くなる。その結果、抵抗器7からの放熱がより促進され易くなり、抵抗器7をより小型化することができる。
【0081】
(
実施例1)
本例は、抵抗器7を隣り合うプランジャ5の間に配置した例である。本例の電磁継電器モジュール115は、
図14に示すように、横方向Yに互いに並んだ3つのスイッチ部17を有すると共に、各々のスイッチ部17に対してこれを動作させる電磁コイル3、固定コア4及びプランジャ5が配設されている。なお、
図14には、固定接点部2、電磁コイル3、プランジャ5、ヨーク605及び抵抗器7のみを表示しており、その他の部材は便宜上省略している。
【0082】
図14及び
図15に示すように、複数のプランジャ5は各々の進退方向を揃えて一列に配置されている。そして、抵抗器7は隣り合うプランジャ5の間に配置されている。以下、詳説する。なお、
図15には、電磁コイル3、固定コア4、プランジャ5、ヨーク605及び抵抗器7のみを表示しており、その他の部材は便宜上省略している。
【0083】
図14及び
図15に示すように、本例のヨーク605は、各々の電磁コイル3の周囲に配置された略角筒状の固有ヨーク部606と、3つの固有ヨーク部606を互いに連結する共通ヨーク部607とから構成されている。
【0084】
図14及び
図15に示すように、抵抗器7は、第1プランジャ5aと第3プランジャ5cとの間に配設された共通ヨーク部607に保持されている。また、抵抗器7と共通ヨーク部607との間には、熱伝導部材14が配設されている。
【0085】
また、本例の電磁継電器モジュール115は、
図14に示すように、第1スイッチ部17aにおける一方の固定側凸部22aと、第3スイッチ部17cにおける一方の固定側凸部22cとが共通の固定側バスバー21g上に配設されている。そして、第1スイッチ部17aにおける他方の固定側凸部22bと、第3スイッチ部17cにおける他方の固定側凸部22dとが抵抗器7を介して電気的に接続されている。
【0086】
本例の電磁継電器モジュール115をリレーシステム100に用いるためには、
図16に示すように、共通の固定側バスバー21gを直流電源181の正極側と接続し、第3スイッチ部17cにおける他方の固定側凸部22dを備えた固定側バスバー21h(
図14参照)を電源装置182と接続する。そして、第2スイッチ部17bを直流電源181の負極側に接続すればよい。これにより、
図14及び
図16に示すように、第1スイッチ部17aがプリチャージリレー185の接点対を形成し、第2スイッチ部17b及び第3スイッチ部17cがメインリレー183の接点対を形成し、抵抗器7が電流制限抵抗184として機能するように構成することができる。その他は
参考例6と同様である。なお、
図13及び
図14において用いた符号のうち、
参考例6において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り
参考例6と同様の構成要素等を表す。
【0087】
本例のように、抵抗器7を隣り合うプランジャ5の間に配置することにより、プランジャ5間の間隙を、抵抗器7を配置するスペースとして有効に利用することができる。これにより、デッドスペースを低減し、電磁継電器モジュール115をより小型化することができる。
【0088】
(
実施例2)
本例は、磁気飽和部684を備えたヨーク680により、1つの電磁コイルを用いて2つのスイッチ部17を切り替え可能に構成された電磁継電器モジュール118の例である。本例の電磁継電器モジュール118を、
図17〜
図22を用いて説明する。
図17に示すごとく、本例の電磁継電器モジュール118は、電磁コイル3と、第1プランジャ5aと、第2プランジャ5bと、第1固定コア4aと、第2固定コア4bと、ヨーク680と、抵抗器7とを備える。電磁コイル3は、通電により磁束Φを発生する(
図19参照)。第1プランジャ5a及び第2プランジャ5bは、電磁コイル3への通電に伴って進退する。第1固定コア4aは、第1プランジャ5aの進退方向に、第1プランジャ5aに対向配置されている。第2固定コア4bは、第2プランジャ5bの進退方向に、第2プランジャ5bに対向配置されている。ヨーク680は、第1プランジャ5a、第1固定コア4a、第2プランジャ5b、及び第2固定コア4bと共に磁束Φが流れる磁気回路を構成している(
図19参照)。
【0089】
第1プランジャ5aは、電磁コイル3の内側において巻回中心軸に沿って進退するよう構成されている。第2プランジャ5bは、電磁コイル3の外側に配されている。
【0090】
図17に示すごとく、電磁コイル3に通電していない非通電状態においては、第1プランジャ5aと第1固定コア4aとの間に第1ギャップG1が形成されている。また、第2プランジャ5bと第2固定コア4bとの間に第2ギャップG2が形成されている。
【0091】
図19〜
図21に示すごとく、電磁コイル3に通電した通電状態においては、磁束Φは、第1磁気回路C1と第2磁気回路C2とにそれぞれ流れる。第1磁気回路C1は、磁束Φが、第1プランジャ5aと第1固定コア4aとヨーク680とを通る磁気回路である。また、第2磁気回路C2は、第1プランジャ5aと第1固定コア4aと第2プランジャ5bと第2固定コア4bとヨーク680とを通る磁気回路である。
【0092】
図21に示すごとく、第1磁気回路C1に磁束Φが流れることにより生じる磁力により、第1プランジャ5aを第1固定コア4aへ吸引している。また、第2磁気回路C2に磁束Φが流れることにより生じる磁力により、第2プランジャ5bを第2固定コア4bへ吸引している。
【0093】
図19に示すごとく、非通電状態から通電状態に切り替わる際には、第1磁気回路C1に流れる磁束Φは第1ギャップG1を通過し、第2磁気回路C2に流れる磁束Φは第1ギャップG1と第2ギャップG2との双方を通過するよう構成されている。
【0094】
図17に示すごとく、プランジャ5には、プランジャ5の径方向に突出する鍔部58が形成されている。固定コア4には、プランジャ5が接触する凹状の円錐面40と、鍔部58に平行な端面41とが形成されている。電磁コイル3への通電(
図19参照)により発生した磁束Φの一部は、鍔部58を通って固定コア4の端面41へ向う。これにより、プランジャ5に流れる磁束Φの量が多くなるようにしてある。
【0095】
また、
図17に示すごとく、ヨーク680は、摺接ヨーク680aと、底部ヨーク680bと、側壁ヨーク680cとが互いに接続されることにより、一体に形成されている。摺接ヨーク680aは、電磁コイル3の上方の端面に沿って横方向Yに延設されている。また、摺接ヨーク680aにはプランジャ5が通る貫通孔59が形成されている。
【0096】
底部ヨーク680bは、電磁コイル3の下方の端面に沿って横方向Yに延設されている。すなわち、底部ヨーク680bは、高さ方向Zにおいて、電磁コイル3に対して摺接ヨーク680aの反対側に設けられている。側壁ヨーク680cは高さ方向Zに延設されており、摺接ヨーク680aの横方向Yにおける第1プランジャ5a側の端部681と、底部ヨーク680bの横方向Yにおける第1プランジャ5a側の端部682とを互いに接続している。
【0097】
図18に示すごとく、側壁ヨーク680cには貫通穴683が形成されている。この貫通穴683を形成することによって、側壁ヨーク680cの断面積を小さくし、磁気飽和部684を形成している。
【0098】
また、
図17に示すごとく、摺接ヨーク680a及び底部ヨーク680bのそれぞれには抵抗器7が熱的に接触している。摺接ヨーク680aと熱的に接触している抵抗器7は、第1プランジャ5aと第2プランジャ5bとの間に配設されている。底部ヨーク680bと熱的に接触している抵抗器7は、第1固定コア4aと第2固定コア4bとの間に配設されている。
【0099】
図19に示すごとく、第1プランジャ5aを非通電状態から通電状態(
図20参照)に切り替える際には、第1磁気回路C1を流れる磁束Φは、第1ギャップG1を通過する。また、第2磁気回路C2を流れる磁束Φは、第1ギャップG1と第2ギャップG2とを通過する。これら第1ギャップG1及び第2ギャップG2は磁気抵抗となるため、1つしかギャップがない第1磁気回路C1の磁気抵抗は小さく、2つギャップがある第2磁気回路C2の磁気抵抗は大きい。そのため、第1磁気回路C1に多くの磁束Φが流れ、第1プランジャ5aを吸引する強い磁力が生じるのに対し、第2磁気回路C2を流れる磁束Φの量は少なく、第2プランジャ5bを充分に吸引する磁力が生じない。したがって、
図20に示すごとく、第1プランジャ5aが第2プランジャ5bよりも早く吸引される。
【0100】
図20に示すごとく、第1プランジャ5aが第1固定コア4aに吸引されると、接点部押圧部材16の押圧力により、可動接点部12が固定接点部2側へ押圧される。これにより、第1スイッチ部17aがオン状態となる。
【0101】
また、
図20に示すごとく、第1プランジャ5aが第1固定コア4aに接触すると、第1ギャップG1が無くなる。そのため、第2磁気回路C2の磁気抵抗が減少し、第2磁気回路C2を流れる磁束Φの量が増加する。そのため、
図21に示すごとく、第2プランジャ5bが第2固定コア4bに吸引される。
【0102】
なお、上述したように、本例では第1磁気回路C1を構成するヨーク680(側壁ヨーク680c)に磁気飽和部684を形成している。第1プランジャ5aが吸引された際に、磁気飽和部684において磁束Φが飽和する。そのため、第2磁気回路C2にも充分に磁束Φを流せるようになっている。
【0103】
第2プランジャ5bが第2固定コア4bに吸引されると、接点部押圧部材16の押圧力により、可動接点部12が固定接点部2側へ押圧される。これにより、第2スイッチ部17bがオン状態となる。
【0104】
この後、
図17に示すごとく、電磁コイル3を非通電状態にすると、磁束Φが消滅し、プランジャ押圧部材15の押圧力により、プランジャ5が可動接点部12側へ押圧される。そして、プランジャ5に取り付けた絶縁部50が可動接点部12に当接し、接点部押圧部材16の押圧力に抗して、可動接点部12を固定接点部2から離隔させる。これにより、スイッチ部17a,17bがオフ状態となる。
【0105】
本例の電磁継電器モジュール118は、
参考例2の電磁継電器モジュール11と同様に、直流電源181と電源装置182との間に電気的に接続されるリレーシステム100に用いることができる。すなわち、
図22に示すごとく、直流電源181の正極と電源装置182との間に第2スイッチ部17bを接続する。また、電流制限抵抗184として機能する抵抗器7と第1スイッチ部17aとを直列接続した直列体を、第2スイッチ部17bに並列に接続すればよい。
【0106】
電源装置182を起動する際に、仮に、第2スイッチ部17bを先にオンすると、コンデンサ186に突入電流が流れ、第2スイッチ部17bが溶着するおそれがある。そのため、第1スイッチ部17aを先にオンし、電流制限抵抗184を通して徐々にコンデンサ186に電流を流す。そして、コンデンサ186に充分に電荷が蓄えられた後、第2スイッチ部17bをオンする。
【0107】
本例の電磁継電器モジュール118は、上述したように、電磁コイル3を通電状態にすると、第1スイッチ部17aが先にオンになり、その後、第2スイッチ部17bがオンになるので、上記回路に好適に使用することができる。
なお、本例では、第1スイッチ部17a、抵抗器7及び第2スイッチ部17bを直流電源181の正極側に接続したが、これらを直流電源181の負極側に接続してもよい。その他は
参考例5と同様である。なお、
図17〜
図22において用いた符号のうち、
参考例5において用いた符号と同一のものは、
参考例5と同様の構成要素等を表す。
【0108】
本例の作用効果について説明する。本例では
図19に示すごとく、電磁コイル3を非通電状態から通電状態に切り替えた際に、第1磁気回路C1を流れる磁束Φは1つのギャップ(第1ギャップG1)を通過し、第2磁気回路C2を流れる磁束Φは2つのギャップ(第1ギャップG1及び第2ギャップG2)を通過するよう構成されている。これらのギャップはヨーク680に比べて大きな磁気抵抗となるため、一つしかギャップがない第1磁気回路C1の磁気抵抗は小さく、2つギャップがある第2磁気回路C2の磁気抵抗は大きい。そのため、第1磁気回路C1には多くの磁束Φが流れ、第1プランジャ5aを吸引する強い磁力が発生するのに対し、第2磁気回路C2に流れる磁束Φは少なく、第2プランジャ5bを吸引するための充分な磁力が発生しない。したがって、
図20に示すごとく、第1プランジャ5aは第2プランジャ5bよりも先に吸引される。
そして、第1プランジャ5aが吸引されて第1固定コア4aに接触すると、第1ギャップG1が無くなるため、第2磁気回路C2の磁気抵抗が小さくなり、第2磁気回路C2を流れる磁束Φの量が増加する。そのため、
図21に示すごとく、第2プランジャ5bが吸引される。
このように、第1プランジャ5aを先に吸引し、その後、第2プランジャ5bを吸引することができる。
【0109】
また、本例の電磁継電器モジュール118は、第2プランジャ5bを吸引するための専用の電磁コイルを設ける必要がない。そのため、電磁継電器モジュール118の製造コストを低減でき、また、電磁継電器モジュール118を小型化することができる。
【0110】
なお、本例では、第1ギャップG1よりも第2ギャップG2の方を大きくすることができる。このようにすると、第1プランジャ5aが吸引されてから第2プランジャ5bが吸引されるまでの時間を長くすることができる。また、第2プランジャ5bに用いるプランジャ押圧部材15のばね定数を、第1プランジャ5aに用いるプランジャ押圧部材15のばね定数よりも大きくしてもよい。この場合でも、第1プランジャ5aが吸引されてから第2プランジャ5bが吸引されるまでの時間を長くすることができる。また、第2プランジャ5bを第1プランジャ5aよりも重くしてもよい。
【0111】
また、
図18に示すごとく、第1磁気回路C1上に存在するヨーク680(側壁ヨーク680c)には、局所的に磁気飽和する磁気飽和部684が形成されている。この磁気飽和部684によって、第1磁気回路C1に流れる磁束Φの量を制限している。
このようにすると、磁束Φを流した際に、2本のプランジャ5a,5bを確実に吸引することが可能になる。すなわち、第1プランジャ5aが吸引された際に、第1磁気回路C1に流れる磁束Φが多くなりすぎると、第2磁気回路C2に流れる磁束Φが少なくなり、第2プランジャ5bを吸引しにくくなるという問題が生じる。しかしながら、上述のように磁気飽和部684を形成することにより、第1磁気回路C1に流れる磁束Φの量を制限することができるため、第1プランジャ5aが吸引された後に、第2磁気回路C2へも充分に磁束Φを流すことができる。そのため、第1プランジャ5aと第2プランジャ5bとを両方とも、確実に吸引することができる。
【0112】
また、
図19に示すごとく、個々のプランジャ5は、該プランジャ5の径方向に突出した鍔部58を有する。そして、電磁コイル3への通電により発生した磁束Φが鍔部58を通るよう構成されている。
このようにすると、磁束Φが鍔部58を通るため、プランジャ5を流れる磁束Φの量を多くすることができる。そのため、電磁コイル3へ通電した際に、プランジャ5に発生する磁力をより強くすることができ、プランジャ5を強い磁力で吸引することが可能になる。また、プランジャ5と固定コア4の接触面積が増えるため、磁気飽和部684よりも先に固定コア4やプランジャ5が磁気飽和することを防止できる。
【0113】
以上のごとく、本例によれば、複数のプランジャを所定の順序で吸引でき、かつ製造コストを低減できるソレノイド装置を提供することができる。その他、
参考例5と同様の作用効果を奏することができる。
【0114】
なお、本例では、ヨーク680に貫通穴683を形成して断面積を部分的に小さくすることにより、磁気飽和部684を形成しているが、ヨーク680の一部を磁気飽和しやすい素材に変更することにより、磁気飽和部684を形成してもよい。
【0115】
(
実施例3)
本例は、磁気飽和部694を備えたヨーク690により、2つの電磁コイルを用いて3つのスイッチ部17(17a、17b、17c)を切り替え可能に構成された電磁継電器モジュール119の例である。本例の電磁継電器モジュール119は、
図23に示すごとく、2つの電磁コイル3(3a、3b)と、3つのプランジャ5(5a、5b、5c)と、3つの固定コア4(4a、4b、4c)と、ヨーク690と、抵抗器7とを備える。
【0116】
なお、以下においては、便宜的に、3つのスイッチ部17のうち横方向Yの両端に配置されたスイッチ部17をそれぞれ第1スイッチ部17a、第2スイッチ部17bといい、横方向Yの中央に配置されたスイッチ部17を第3スイッチ部17cという。また、第1スイッチ部17aを動作させるプランジャ5及び固定コア4をそれぞれ第1プランジャ5a及び第1固定コア4aといい、第2スイッチ部17bを動作させるプランジャ5及び固定コア4をそれぞれ第2プランジャ5b及び第2固定コア4bといい、第3スイッチ部17cを動作させるプランジャ5及び固定コア4を第3プランジャ5c及び第3固定コア4cという。また、第1固定コア4aを内側に収容する電磁コイル3を第1電磁コイル3aといい、第2固定コア4bを内側に収容する電磁コイル3を第2電磁コイル3bという。
【0117】
本例のヨーク690は、摺接ヨーク690aと、第1底部ヨーク690bと、第2底部ヨーク690cと、一対の側壁ヨーク690d及び690eとが互いに接続されることにより、一体に形成されている。摺接ヨーク690aは、電磁コイル3の上方の端面に沿って横方向Yに延設されている。
【0118】
第1底部ヨーク690bは、第1電磁コイル3aの下方の端面に沿って横方向Yに沿設され、第1電磁コイル3a、第1固定コア4a及び第3固定コア4cを固定している。第2底部ヨーク690cは、第2電磁コイル3bの下方の端面に沿って横方向Yに沿設され、第2電磁コイル3b及び第2固定コア4bを固定している。
【0119】
また、第1底部ヨーク690bと第2底部ヨーク690cとは互いに離隔して配置されている。
【0120】
一対の側壁ヨーク690d及び690eは、摺接ヨーク690aの横方向Yにおける両端に配設されており、第1底部ヨーク690b及び第2底部ヨーク690cにそれぞれ接続されている。
【0121】
また、一対の側壁ヨーク690d及び690eのうち、第1底部ヨーク690bと接続される側の側壁ヨーク690dには貫通穴693が形成されている。この貫通穴693を形成することによって、側壁ヨーク690dの断面積を小さくし、磁気飽和部694を形成している。
【0122】
また、
図23に示すごとく、摺接ヨーク690a及び第1底部ヨーク690bのそれぞれには抵抗器7が熱的に接触している。摺接ヨーク690aと熱的に接触している抵抗器7は、第1プランジャ5aと第3プランジャ5cとの間に配設されている。第1底部ヨーク690bと熱的に接触している抵抗器7は、第1固定コア4aと第3固定コア4cとの間に配設されている。その他は
実施例2と同様である。なお、
図23において用いた符号のうち、
実施例2において用いた符号と同一のものは、
実施例2と同様の構成要素等を表す。
【0123】
本例の電磁継電器モジュール119においては、第1底部ヨーク690bと第2底部ヨーク690cとの間のギャップG3が磁気抵抗となるため、ギャップG3を通る磁気回路には磁束が形成されにくくなる。そのため、第1電磁コイル3aへの通電により発生する磁束は、第1プランジャ5a及び第3プランジャ5cを通る磁気回路に形成され易くなり、第2電磁コイル3bへの通電により発生する磁束は、第2プランジャ5bを通る磁気回路に形成され易くなる。
【0124】
その結果、本例の電磁継電器モジュール119は、第1プランジャ5a及び第3プランジャ5cの進退動作を第1電磁コイル3aにより制御し、第2プランジャ5bの進退動作を第2電磁コイル3bにより制御することができる。
【0125】
また、第1プランジャ5a及び第3プランジャ5cとともに磁気回路を構成する側壁ヨーク690dには磁気飽和部694が形成されているため、第1プランジャ5a及び第3プランジャ5cの進退動作を、
実施例2の電磁継電器モジュール118と同様に制御することができる。つまり、第1電磁コイル3aに通電することにより、第1プランジャ5aと第3プランジャ5cとを順次進退動作させることができる。これにより、第1スイッチ部17aをオン状態に切り替えた後に第3スイッチ部17cをオン状態に切り替えることができる。
【0126】
また、本例の電磁継電器モジュール119をリレーシステム100に用いるためには、
図24に示すように、第3スイッチ部17cを直流電源181の正極と電源装置182との間に接続し、第1スイッチ部17aと抵抗器7との直列体を第3スイッチ部17cに並列に接続する。そして、第2スイッチ部17bを直流電源181の負極と電源装置182との間に接続すればよい。なお、第1スイッチ部17a及び第3スイッチ部17cを直流電源181の負極側に接続し、第2スイッチ部17bを直流電源の正極側に接続してもよい。その他、
実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0127】
なお、
参考例5、参考例6及び実施例1〜実施例3には、抵抗保持部8をヨーク6、604、605、680、690に設けない電磁継電器モジュールの例を示したが、
参考例3や
参考例4等に準じて抵抗保持部8をヨーク6、604、605、680、690に設けてもよい。