特許第6069169号(P6069169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069169フラビウィルス科ウィルス感染治療用の修飾2’および3’−ヌクレオシドプロドラッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069169
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】フラビウィルス科ウィルス感染治療用の修飾2’および3’−ヌクレオシドプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/10 20060101AFI20170123BHJP
   C07H 19/20 20060101ALI20170123BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALN20170123BHJP
   A61P 31/12 20060101ALN20170123BHJP
   A61P 31/14 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   C07H19/10CSP
   C07H19/20
   !A61K31/7076
   !A61K31/7068
   !A61K31/7072
   !A61P31/12
   !A61P31/14
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】144
(21)【出願番号】特願2013-228381(P2013-228381)
(22)【出願日】2013年11月1日
(62)【分割の表示】特願2010-134929(P2010-134929)の分割
【原出願日】2003年6月27日
(65)【公開番号】特開2014-58537(P2014-58537A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2013年11月22日
(31)【優先権主張番号】60/392,350
(32)【優先日】2002年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/392,351
(32)【優先日】2002年6月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/466,194
(32)【優先日】2003年4月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/470,949
(32)【優先日】2003年5月14日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502423808
【氏名又は名称】イデニクス・ファーマシューティカルズ・エル・エル・シー
(73)【特許権者】
【識別番号】502423819
【氏名又は名称】ウニベルシタ・デツリ・ストウデイ・デイ・カリアリ
(73)【特許権者】
【識別番号】311016455
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジヤン−ピエール・ソマドーシ
(72)【発明者】
【氏名】パオロ・ラ・コツラ
(72)【発明者】
【氏名】リチヤード・ストラー
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ゴスラン
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−205885(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/090121(WO,A2)
【文献】 国際公開第2001/092282(WO,A2)
【文献】 特開2010−280660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 1/00− 99/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(IX):
【化1】
[式中、
は、ホスフェート;モノホスフェート、ジホスフェートまたはトリホスフェートであり;
は、Hであり;
Xは、Oであり;
塩基は、プリン塩基またはピリミジン塩基であり;
12は、C(Yであり;
は、Hであり;および
13はフルオロである]で表される化合物、あるいは該化合物の製薬上許容される塩。
【請求項2】
塩基がウラシルまたはシトシンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
塩基がウラシルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がホスフェートである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
がトリホスフェートである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本願は、2002年6月28日出願の米国暫定特許出願第60/392350号;2003年4月28日出願の米国暫定特許出願第60/466194号;ならびに2003年5月14日出願の米国暫定出願第60/470949号(これらの各出願の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる)に対する優先権の恩恵を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、医薬化学の分野におけるものであり、特にはC型肝炎ウィルス感染などのフラビウィルス科ウィルス感染の治療における1’、2’、3’または4’−分岐ヌクレオシドの2’および/または3’プロドラッグである。
【0003】
フラビウィルス科ウィルス
フラビウィルス科のウィルスには、家禽および豚で疾患を引き起こすペスチウイルス属;デング熱および黄熱病などの疾患の主要な原因であるフラビウィルス属;ならびにHCVのみを構成員とするヘパシウィルス属という少なくとも3種類の異なる属がある。フラビウィルス属には、血清学的関連性に基づいてグループに分けられる68を超える構成員がある(Calisher et al., J. Gen. Virol, 1993,70, 37−43)。臨床的症状は多様であり、発熱、脳炎および出血性熱などがある(Fields Virology, Editors: Fields, B. N., Knipe, D. M., and Howley, P. M., Lippincott−Raven Publishers, Philadelphia, PA, 1996, Chapter 31, 931−959)。ヒト疾患に関連する世界的に懸念されているフラビウィルス類には、デング出血熱(DHF)、黄熱病ウィルス、ショック症候群および日本脳炎ウィルスなどがある(Halstead, S. B., Rev. Infect. Dis., 1984, 6, 251−264; Halstead, S. B., Science, 239: 476−481, 1988 ; Monath, T. P., New Eng. J. Med., 1988, 319, 641−643)。
【0004】
ペスチウィルス属には、ウシウィルス性下痢症ウィルス(BVDV)、古典的な豚コレラウィルス(CSFV、豚コレラウィルスとも称される)および羊のボーダー病ウィルス(BDV)(Moennig, V. et al. Adv. Vir. Res. 1992, 41, 53−98)などがある。家畜(家禽、豚および羊)のペスチウィルス感染は、世界的にかなりの経済的損失の原因となっている。BVDVは家禽において粘膜疾患を引き起こし、畜産業界にとって経済的に非常に重要性の高いものである(Meyers, G. and Thiel, H. −J., Advances in Virus Research, 1996, 47, 53−118; Moennig V., et al, Adv. Vir. Res. 1992, 41, 53−98)。ヒトペスチウィルスは動物ペスチウィルスほど広範囲に特性決定されているわけではない。しかしながら、血清学的調査により、ヒトにおいてかなりのペスチウィルス曝露のあることが示されている。
【0005】
ペスチウィルスおよびヘパシウィルスは、フラビウィルス科ウィルスの中で非常に関連性の高いウィルス群である。この科で非常に関連性の高い他のウィルスには、GBウィルスA、GBウィルスA様体、GBウィルス−BおよびGBウィルス−C(G型肝炎ウィルス、HGVとも称される)などがある。ヘパシウィルス群(C型肝炎ウィルス;HCV)は、ヒトに感染する多くの非常に関連性が高いが遺伝子型的に識別可能なウィルスからなる。それらは約6種類のHCV遺伝子型および50種類を超えるサブタイプである。細胞培養においてヘパシウィルスが効率的に増殖できないことと併せて、ペスチウィルスとヘパシウィルスとの間に類似性があるために、ウシウィルス性下痢症ウィルス(BVDV)が、HCVウィルスを研究する上での代替物として用いられる場合が多い。
【0006】
ペスチウィルスとヘパシウィルスの遺伝子的構成は非常に類似している。これらのプラス鎖RNAウィルスは、ウィルス複製に必要な全てのウィルスタンパク質をコードする単一の大きいオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。これらのタンパク質は、細胞コードタンパク質およびウィルスコードタンパク質の両方によって翻訳と同時および翻訳後に処理されて成熟したウィルスタンパク質を生じるポリプロテインとして発現される。ウィルスゲノムRNAの複製に関与するそのウィルスタンパク質は、ほぼカルボキシ末端内に配置されている。ORFの2/3は、非構造(NS)タンパク質と称される。ペスチウィルスおよびヘパシウィルスについてのORFの非構造タンパク質部分の遺伝子構成およびポリプロテイン処理は非常に類似している。ペスチウィルスとヘパシウィルスの両方において、非構造タンパク質コード領域のアミノ末端からORFのカルボキシ末端への順序で、成熟非構造(NS)タンパク質は、p7、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5AおよびNS5Bからなる。
【0007】
ペスチウィルスおよびヘパシウィルスのNSタンパク質は、特異的なタンパク質機能を特徴とする配列ドメインを共有する。例えば、両方の群におけるウィルスのNS3タンパク質は、セリンプロテイナーゼおよびヘリカーゼを特徴とするアミノ酸配列単位を有する(Gorbalenya et al., (1988) Nature 333: 22; Bazan and Fletterick (1989) Virology 171: 637−639; Gorbalenya et al., (1989) Nucleic Acid Res. 17, 3889−3897)。同様に、ペスチウィルスおよびヘパシウィルスのNS5Bタンパク質は、RNA指向性RNAポリメラーゼに特徴的な単位を有する(Koonin, E. V. and Dolja, V. V. (1993) Crit. Rev. Biochem. Molec. Biol. 28: 375−430)。
【0008】
ウィルスのライフサイクルにおけるペスチウィルスおよびヘパシウィルスのNSタンパク質の実際の役割および機能は非常に類似している。いずれの場合も、NS3セリンプロテイナーゼが、ORFでのそれの位置における下流でのポリプロテイン前駆体の全てのタンパク質分解処理に関与している(Wiskerchen and Collett (1991) Virology 184: 341−350; Bartenschlager et al. (1993) J. Virol. 67: 3835−3844; Eckart et al. (1993) Biochem. Biophys. Res. Comm. 192: 399−406; Grakoui et al. (1993) J. Virol. 67: 2832−2843; Grakoui et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 10583−10587; Hijikata et al. (1993) J. Virol. 67: 4665−4675; Tome et al. (1993) J. Virol. 67: 4017−4026)。NS4Aタンパク質はいずれの場合も、NS3セリンプロテアーゼの補因子として働く(Bartenschlager et al. (1994) J. Virol. 68: 5045−5055; Failla et al. (1994) J. Virol. 68: 3753−3760; Lin et al. (1994) 68: 8147−8157; Xu et al. (1997) J. Virol. 71: 5312− 5322)。両方のウィルスのNS3タンパク質も、ヘリカーゼとして機能する(Kim et al. (1995) Biochem. Biophys. Res. Comm. 215: 160−166; Jin and Peterson (1995) Arch. Biochem. Biophys., 323: 47−53; Warrener and Collett (1995) J. Virol. 69: 1720−1726)。最後に、ペスチウィルスおよびヘパシウィルスのNS5Bタンパク質は、予測されるRNA指向RNAポリメラーゼ活性を有する(Behrens et al.(1996) EMBO J. 15: 12−22; Lchmann et al. (l997) J. Virol. 71: 8416−8428; Yuan et al. (1997) Biochem. Biophys. Res. Comm. 232: 231−235; Hagedorn, PCT WO 97/12033; Zhong et al. (1998) J. Virol. 72, 9365−9369)。
【0009】
C型肝炎ウィルス
C型肝炎ウィルス(HCV)は、世界的な慢性肝臓病の第1位の原因となっている(Boyer, N. et al. J. Hepatol. 32: 98−112, 2000)。HCVは、徐々に増殖するウィルス感染を引き起こし、肝硬変および肝細胞癌の主要な原因となっている(Di Besceglie, A. M. and Bacon, B. R., Scientific American, Oct.: 80−85, (1999); Boyer, N. et al. J. Hepatol. 32: 98−112, 2000)。世界的には、推定1億7000万人がHCVに感染している(Boyer, N. et al. J. Hepatol. 32: 98−112, 2000)。慢性C型肝炎感染によって引き起こされる肝硬変は、米国で年間8000〜12000人の死亡の原因となっており、HCV感染は肝臓移植の第1位の適応症である。
【0010】
HCVは、少なくとも80%の輸液後肝炎およびかなりの割合の散発性急性肝炎の原因となっていることが知られている。予備的な証拠からも、「特発性」慢性肝炎、「クリプトジェニック」肝硬変および恐らくはB型肝炎ウィルス(HBV)などの他の肝炎ウィルスとは無関係の肝細胞癌の多くの症例でHCVが示唆される。割合は小さいが健常者が慢性HCVキャリアとなっているように思われ、地理的要素や他の疫学的要素は多様である。その数はHBVの数をかなり上回る可能性があるが、データはあくまでも予備的なものである。それらの人のうちどれだけの人数が無症状の慢性肝臓疾患を有しているかは不明である(The Merck Manual, ch. 69, p.901, 16th ed., (1992))。
【0011】
HCVは、約9.4kbのプラスセンス一本鎖RNAゲノムを有する被膜ウィルスである。そのウィルスゲノムは、5’非翻訳領域(UTR)、約3011アミノ酸のポリプロテイン前駆体をコードする長い読み取り枠および短い3’UTRからなる。その5’UTRは、HCVゲノムの最も高度に保存された部分であり、ポリプロテイン翻訳の開始および制御において重要である。HCVゲノムの翻訳は、内部リボソーム侵入と称されるキャップ非依存型の機序によって開始される。この機序には、内部リボソーム侵入部位(IRES)と称されるRNA配列へのリボソームの結合が関与する。RNAシュードノット構造がHCV IRESの必須の構造要素であることが最近確認されている。ウィルス構造タンパク質には、ヌクレオカプシド核タンパク質(C)および2種類のエンベロープ糖タンパク質であるE1およびE2などがある。HCVは、NS2−NS3領域によってコードされる亜鉛依存型の金属プロテイナーゼおよびNS3領域でコードされるセリンプロテイナーゼという2種類のプロテイナーゼもコードする。これらのプロテイナーゼは、前駆体ポリプロテインの特異的領域の成熟ペプチドへの開裂に必要である。非構造タンパク質5のカルボキシル側半分であるNS5Bは、RNA依存性RNAポリメラーゼを有する。残りの非構造タンパク質であるNS4AおよびNS4Bの機能、ならびにNS5A(非構造タンパク質5のアミノ末端側半分)の機能については解明されていない。
【0012】
最近の抗ウィルス研究で非常に注目されているのは、ヒトでの慢性HCV感染の改善された治療方法の開発である(Di Besceglie, A. M. and Bacon, B. R., Scientific American, Oct.: 80−85, (1999))。
【0013】
インターフェロンによるHCV感染の治療
インターフェロン類(IFN)は、ほぼ10年間にわたり慢性肝炎の治療のために市販されている。IFNは、ウィルス感染に応答して免疫細胞が産生する糖タンパク質である。IFNはHCVなどの多くのウィルスの複製を阻害し、C型肝炎感染の単独療法として使用すると、IFNはある種の症例で血清HCV−RNAを検出できないレベルまで抑制することができる。さらにIFNは、血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常化することができる。残念ながら、IFNの効果は一時的であり、持続的な応答が生じるのは、HCVによって慢性的に感染した患者の8%〜9%に過ぎない(Gary L. Davis. Gastroenterology 118: S104−S114, 2000)。しかしながら、ほとんどの患者がインターフェロン治療に耐えることが困難で、重度のインフルエンザ様症状、体重減少ならびにエネルギーおよびスタミナの欠乏を生じる。
【0014】
多くの特許が、インターフェロン療法を用いたHCVなどのフラビウィルス科ウィルス治療を開示している。例えばブラット(Blatt)らに対する米国特許第5980884号には、コンセンサスインターフェロンを用いるHCVに冒された患者の再治療方法が開示されている。バザー(Bazer)らに対する米国特許第5942223号には、ヒツジまたはウシインターフェロン−τを用いた抗HCV療法が開示されている。アルバー(Alber)らに対する米国特許第5928636号には、HCVなどの感染性疾患の治療におけるインターロイキン−12とインターフェロン−αの併用療法が開示されている。クレティエン(Chretien)らに対する米国特許第5849696号には、HCV治療におけるチモシン類の単独での使用またはインターフェロンとの併用が開示されている。バルツエン(Valtuenaet)らに対する米国特許第5830455には、インターフェロンとフリーラジカル捕捉剤を用いる併用でのHCV療法が開示されている。イマカワ(Imakawa)らに対する米国特許第5738845号には、HCV治療におけるヒトインターフェロン−τタンパク質の使用が開示されている。HCVの他のインターフェロン治療が、テスタ(Testa)らへの米国特許第5676942号、ブラット(Blatt)らへの米国特許第5372808号および米国特許第5849696号に開示されている。ホフマン−ラロッシュ社(Hoffmann−LaRoche Inc.)に対する米国特許第5747646号、同5792834号および同5834594号;エンゾン(Enzon)に対するPCT公開番号 WO99/32139およびWO99/32140;シェリング(Schering)に対する WO95/13090および米国特許第5738846および5711944号;ならびにグルー(Glue)らに対する米国特許第5908621号などの多くの特許も、PEG化型のインターフェロンを開示している。
【0015】
インターフェロンα−2aおよびインターフェロンα−2bが現在、 HCVの治療における単独療法として承認されている。ROFERON(登録商標)−A(ロッシュ)は、 組換え型のインターフェロンα−2aである。PEGASYS(登録商標)(ロッシュ)は、PEG化(すなわち、ポリエチレングルコール修飾された)型のインターフェロンα−2aである。INTRON(登録商標)A(Schering Corporation)は、組換え型のインターフェロンα−2bであり、PEG−INTRON(登録商標)(Schering Corporation)は、PEG型のインターフェロンα−2bである。
【0016】
他の型のインターフェロンα、ならびにインターフェロンβ、γ、τおよびωは現在、HCV治療に向けた臨床開発の段階にある。例えばインターミューン(InterMune)によるINFERGEN(インターフェロンアルファコン(alphacon)−1)、ビラゲン(Viragen)によるOMNIFERON(天然インターフェロン)、ヒューマン・ゲノム・サイエンシーズ(Human Genome Sciences)によるALBUFERON、アレス−セロノ(Ares−Serono)によるREBIF(インターフェロンβ−1a)、バイオメディスン(BioMedicine)によるωインターフェロン、アマリロ・バイオサイエンシーズ(Amarillo Biosciences)による経口インターフェロンαならびにインターミューンによるインターフェロンγ、インターフェロンτおよびインターフェロンγ−1bが開発中である。
【0017】
リバビリン
リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド)は、ビラゾール(Virazole)の商品名で販売されている合成非インターフェロン誘発性広スペクトラム抗ウィルスヌクレオシド類似体である(The Merck Index, 1 1th edition, Editor: Budavari, S., Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, p1304, 1989)。米国特許第3798209号およびRE29835には、リバビリンが開示および特許請求されている。リバビリンは構造的にグアノシンに類似しており、フラビウィルス科ウィルスを含むいくつかのDNAおよびRNAウィルスに対してin vitro活性を有する(Gary L. Davis. Gastroenterology 118: S104−S114, 2000)。
【0018】
リバビリンは、40%の患者において血清アミノトランスフェラーゼレベルを低下させて正常とするが、HCV−RNAの血清レベルは低下させない(Gary L. Davis. Gastroenterology 118: S 104−S 114, 2000)。従ってリバビリン単独では、ウィルスRNAレベルの低下には有効ではない。さらに、リバビリンはかなりの毒性を有し、貧血を誘発することが知られている。
【0019】
リバビリンはHCVに対する単独療法には承認されていない。それは、HCV治療においてインターフェロンα−2aまたはインターフェロンα−2bとの併用で承認されている。
【0020】
インターフェロンとリバビリンの併用
慢性C型肝炎医療における現在の標準法は、α−インターフェロンおよびリバビリンによる併用療法である。HCV感染治療におけるインターフェロンとリバビリンの併用は、インターフェロン未投与患者の治療(Battaglia, A. M. et al., Ann. Pharmacother. 34: 487−494, 2000)ならびに組織疾患がある場合の患者治療(Berenguer, M. et al. Antivir. Ther. 3 (Suppl. 3): 125−136, 1998)において有効であることが報告されている。研究の結果、非PEG化インターフェロンαとの併用療法の場合より、PEG化インターフェロン−α/リバビリン併用療法に対して応答するC型肝炎患者の方が多いことが明らかになっている。しかしながら、単独療法の場合と同様に、併用療法の際にもかなりの副作用が生じ、それには溶血、インフルエンザ様症状、貧血および疲労などがある(Gary L. Davis. Gastroenterology 118: S104−S114, 2000)。
【0021】
PEG−INTRON(登録商標)(PEGインターフェロンα−2b)およびREBETOL(登録商標)(リバビリン、USP)カプセルとの併用療法剤がシェリング社(Schering Corporation)から入手可能である。REBETOL(登録商標)(シェリング社)は、INTRON(登録商標)A(インターフェロンα−2b、組換え、シェリング社)との併用でも承認されている。ロッシュのPEGASYS(登録商標)(PEG化インターフェロンα−2a)およびCOPEGUS(登録商標)(リバビリン)も、HCV治療に関して承認されている。
【0022】
シェリング社によるPCT公開番号WO99/59621、WO00/37110、WO01/81359、WO02/32414およびWO03/024461には、HCV治療におけるPEG化インターフェロンαおよびリバビリン併用療法の使用が開示されている。ホフマン−ラロッシュ社によるPCT公開番号WO99/15194、WO99/64016およびWO00/24355にも、HCV治療におけるPEG化インターフェロンαおよびリバビリン併用療法の使用が開示されている。
【0023】
フラビウィルス科ウィルス感染治療の別法
フラビウィルス科ウィルス感染、特にC型肝炎に対する新たな抗ウィルス剤の開発が現在進められている。プロテアーゼ、ヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害薬などのHCV由来酵素の特異的阻害薬が開発中である。HCV 複製における他の段階を阻害する薬剤も開発中であり、例えばRNAからのHCV抗原産生を阻害する薬剤(IRES阻害薬)、HCVタンパク質の正常な処理を防止する薬剤(グリコシル化の阻害薬)、HCVの細胞への侵入を遮断する薬剤(それの受容体を遮断することによって)およびウィルス感染によって引き起こされる細胞傷害を遮断する非特異的細胞保護剤がある。さらに分子的手法もC型肝炎治療に向けて開発中であり、例えば特異的ウィルスRNA分子を破壊する酵素であるリボザイムならびにウィルスRNAに結合してウィルス複製を阻害するDNAの小型の相補的部分であるアンチセンスオリゴヌクレオチドが研究中である。多くのHCV治療についての総覧が出されている(Bymock et al., Antiviral Chemistry & Chemotherapy, 11: 2; 79−95 (2000)およびDe Francesco et al., Antiviral Research, 58: 1−16 (2003))。
【0024】
フラビウィルス科ウィルス感染治療に向けて開発中の薬剤種の例として、下記のものなどがある。
【0025】
(1)プロテアーゼ阻害薬
α−ケトアミド類およびヒドラジノ尿素類などの基質系NS3プロテアーゼ阻害薬(Attwood et al., Antiviral peptide derivatives, PCT WO 98/22496, 1998; Attwood et al., Antiviral Chemistry and Chemotherapy 1999, 10, 259−273; Attwood et al., Preparation and use of amino acid derivatives as anti−viral agents, German Patent Pub. DE 19914474; Tung et al. Inhibitors of serine proteases, particularly hepatitis C virus NS3 protease, PCT WO 98/17679)ならびにボロン酸またはホスホン酸類などの求電子剤を末端とする阻害薬(Llinas−Brunet et al, Hepatitis C inhibitor peptide analogues, PCT WO 99/07734)が開発中である。
【0026】
RD3−4082およびRD3−4078(前者は14炭素鎖によってアミド上で置換されており、後者はパラ−フェノキシフェニル基を有する)などの2,4,6−トリヒドロキシ−3−ニトロ−ベンズアミド誘導体のような非基質系NS3プロテアーゼ阻害薬(Sudo K. et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 1997, 238, 643−647; Sudo K. et al. Antiviral Chemistry and Chemotherapy, 1998, 9, 186)も研究中である。
【0027】
フェナンスレンキノンであるSch68631は、HCVプロテアーゼ阻害薬である(Chu M. et al., Tetrahedron Letters 37: 7229−7232, 1996)。同じ著者による別の例では、真菌Penicillium griseofulvumから単離されたSch351633がプロテアーゼ阻害薬であることが確認されている(Chu M. et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9: 1949−1952)。HCV NS3プロテアーゼ酵素に対するナノモルレベルの効力が、巨大分子エグリンcに基づく選択的阻害薬の設計によって得られている。ヒルから単離されたエグリンcは、S. griseusプロテアーゼAおよびB、α−キモトリプリン、キマーゼおよびサブチリシンなどのいくつかのセリンプロテアーゼ類の強力な阻害薬である(Qasim M. A. et al., Biochemistry 36: 1598−1607, 1997)。
【0028】
いくつかの米国特許に、HCV治療のためのプロテアーゼ阻害薬が開示されている。例えばスプルース(Spruce)らへの米国特許第6004933号には、HCVエンドペプチダーゼ2を阻害するある種のシステインプロテアーゼ阻害薬が開示されている。ツアン(Zhang)らに対する米国特許第5990276号には、合成のC型肝炎ウィルスNS3プロテアーゼ阻害薬が開示されている。その阻害薬は、NS3プロテアーゼの基質またはNS4A補因子の基質の結果である。HCVの治療における制限酵素の使用が、ライエス(Reyes)らに対する米国特許第5538865号に開示されている。HCVのNS3セリンプロテアーゼ阻害薬としてのペプチド類が、コーバス・インターナショナル社(Corvas International, Inc.)に対するWO02/008251ならびにシェリング社に対するWO02/08187およびWO02/008256に開示されている。HCV阻害薬トリペプチドが、ベーリンガー・インゲルハイム(Boehringer Ingelheim)に対する米国特許第6534523号、同6410531号および同6420380号ならびにブリストール・マイヤーズ・スクイブ社(Bristol Myers Squibb)に対するWO02/060926に開示されている。HCVのNS3セリンプロテアーゼ阻害薬としてのジアリールペプチドが、シェリング社に対するWO02/48172に開示されている。HCVのNS3セリンプロテアーゼ阻害薬としてのイミダゾリジノン類が、シェリング社に対するWO02/08198およびブリストール・マイヤーズ・スクイブ社に対するWO02/48157に開示されている。ベルテックス・ファーマシューティカルズ社(Vertex Pharmaceuticals)に対するWO98/17679およびブリストール・マイヤーズ・スクイブ社に対するWO02/48116にも、HCVプロテアーゼ阻害薬が開示されている。
【0029】
(2)NS3/4A融合タンパク質およびNS5A/5B基質を用いる逆相HPLCアッセイで該当する阻害を示すチアゾリジン誘導体(Sudo K. etal., Antiviral Research, 1996, 32, 9−18)、特に長いアルキル鎖で置換された縮合シンナミル部分を有する化合物RD−1−6250、RD46205およびRD46193。
【0030】
(3)文献(Kakiuchi N. et al. J. EBS Letters 421, 217−220; Takeshita N. et al. Analytical Biochemistry, 1997, 247, 242−246)で確認されているチアゾリジン類およびベンゾアニリド類。
【0031】
(4)SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーアッセイでプロテアーゼに対する活性を有するストレプトミセス属Sch68631の発酵培地ブロスから単離されたフェナンスレンキノリン(Chu M. et al., Tetrahedron Letters, 1996, 37, 7229−7232)、ならびにシンチレーション近接アッセイで活性を示す真菌Penicillium griseofulvumから単離されたSch351633(Chu M. etal., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9, 1949−1952)。
【0032】
(5)ヘリカーゼ阻害薬(Diana G. D. etal., Compounds, compositions and methods for treatment of hepatitis C, U. S. Pat. No. 5,633,358; Diana G. D.et al., Piperidine derivatives, pharmaceutical compositions thereof and their use in the treatment of hepatitis C, PCT WO 97/36554)。
【0033】
(6)ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬およびグリオトキシン(Ferrari R. et al. Journal of Virology, 1999, 73, 1649−1654)および天然物セルレニン(Lohmann V. et al., Virology, 1998, 249, 108−118)。
【0034】
(7)ウィルスの5’非コード領域(NCR)における配列の広がりに対して相補的なアンチセンスホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチド類(S−ODN)(Alt M. et al., Hepatology, 1995, 22, 707−717)あるいはNCRの3’末端を有するヌクレオチド326〜348およびHCV RNAの核コード領域にあるヌクレオチド371〜388(Alt M. et al., Archives of Virology, 1997, 142, 589−599; Galderisi U. et al., Journal of Cellular Physiology, 1999, 181, 251−257)。
【0035】
(8)IRES依存翻訳の阻害薬(Ikeda N et al., Agent for the prevention and treatment of hepatitis C, Japanese Patent Pub. JP−08268890; Kai Y. et al. Prevention and treatment of viral diseases, Japanese Patent Pub. JP−10101591)。
【0036】
(9)ヌクレアーゼ耐性リボザイム類(Maccjak, D. J. et al., Hepatology 1999, 30, abstract 995)およびバーバー(Barber)らに対する米国特許第6043077号およびドラペル(Draper)らに対する米国特許第5869253号および5610054号に開示のものなどのリボザイム類。
【0037】
(10)ヌクレオシド類縁体も、フラビウィルス科ウィルス感染の治療に向けて開発された。
【0038】
イデニクス・ファーマシューティカルズ(Idenix Pharmaceuticals)は、国際特許公開番号WO01/90121およびWO01/92282で、フラビウィルス類(HCVなど)およびペスチウィルス類の治療における分岐ヌクレオシドの使用を開示している。具体的には、ヒトおよび他の宿主動物でのC型肝炎感染(ならびにフラビウィルスおよびペスチウィルス)の治療方法がイデニクスの刊行物に開示されており、それには適宜に製薬上許容される担体中で単独または別の抗ウィルス剤との併用で投与される有効量の生理活性な1’,2’,3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドを投与する段階がある。
【0039】
C型肝炎ウィルス治療におけるある種のヌクレオシド類縁体の使用を開示した他の特許出願には、バイオケム・ファーマ社(BioChem Pharma, Inc.;現在のシャイヤ・バイオケム社(Shire Biochem, Inc.))出願のPCT/CA00/01316(WO01/32153;2000年11月3日出願)およびPCT/CA01/00197(WO01/60315;2001年2月19日出願);PCT/US02/01531(WO02/057425;2002年1月18日出願)およびメルク社(Merck & Co., Inc.)出願のPCT/US02/03086(WO02/057287;2002年1月18日出願)、ロッシュ出願のPCT/EP01/09633(WO02/18404;2001年8月21日公開)、ならびにPCT公開番号WO01/79246(2001年4月13日出願)、WO02/32920(2001年10月18日出願)およびファーマセット社(Pharmasset, Ltd.)によるWO02/48165などがある。
【0040】
発明の名称「2’−フルオロヌクレオシド類」のエモリー大学に対するPCT公開番号WO99/43691には、HCV治療へのある種の2’−フルオロヌクレオシド類の使用が開示されている。
【0041】
エルドラップ(Eldrup)ら(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research (April 27, 2003, Savannah, Ga.))は、HCVの阻害における2’−修飾ヌクレオシド類の構造活性相関について記載している。
【0042】
バート(Bhat)ら(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae, 2003 (Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research (April 27, 2003, Savannah, Ga.); p A75)は、HCV RNA複製の可能な阻害薬としてのヌクレオシド類縁体の合成および薬物動態特性について記載している。その著者らは、2’修飾ヌクレオシドが細胞でのレプリコンアッセイで強力な阻害活性を示すことを報告している。
【0043】
オルセン(Olsen)ら(Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research (April 27, 2003, Savannah, Ga.) p A76)も、HCV RNA複製に対する2’修飾ヌクレオシドの効果について記載している。
【0044】
(11)1−アミノ−アルキルシクロヘキサン類(ゴールド(Gold)らに対する米国特許第6034134号)、アルキル脂質(チョキア(Chojkier)らに対する米国特許第5922757号)、ビタミンEおよび他の抗酸化剤(チョキア(Chojkier)らに対する米国特許第5922757号)、スクアレン、アマンタジン、胆汁酸類(オゼキ(Ozeki)らに対する米国特許第5846964号)、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸(ダイアナ(Diana)らに対する米国特許第5830905号)、ベンゼンジカルボキサミド類(ダイアナ(Diana)らに対する米国特許第5633388号)、ポリアデニル酸誘導体(ワン(Wang)らに対する米国特許第5496546号)、2’,3’−ジデオキシイノシン(ヤルコアン(Yarchoan)らに対する米国特許第5026687号)、ベンズイミダゾール類(コラシノー(Colacinoet)らに対する米国特許第5891874号)、植物抽出物(ツアイ(Tsai)らに対する米国特許第 5837257号、オマー(Omer)らに対する米国特許第5725859号および米国特許第6056961号)ならびにピペリデン類(ダイアナ(Diana)らに対する米国特許第5830905号)などのその他の化合物。
【0045】
(12)C型肝炎ウィルス治療に関して現在前臨床開発または臨床開発の段階にある他の化合物には、シェリング−プロー(Schering−Plough)によるインターロイキン−10、インターニューロン(Interneuron)によるIP−501、ベルテックスによるメリメボジブ(Merimebodib;VX−497)、エンド・ラブス・ソルヴェー(Endo Labs Solvay)によるアマンタジン(AMANTADINE(登録商標))(シンメトレル(Symmetrel))、RPIによるヘプタジメオ(HEPTAZYMEO)、イズン・ファルマ(Idun Pharma.)によるIDN−6556、XTLによるXTL−002、キロン(Chiron)によるHCV/MF59、NABIによるシバシロ(CIVACIRO;C型肝炎免疫グロブリン)、ICN/リバファーム(Ribapharm)によるレボビリン(登録商標)、ICN/リバファームによるビラミジン(登録商標)、(Sci Clone)によるザダキシン(ZADAXIN;チモシンα−1)、サイ・クローンによるチモシン+PEG化インターフェロン、マキシム(Maxim)によるセプレン(CEPLENE(登録商標);ヒスタミン・2塩酸塩)、ベルテックス/イーライ・リリーによるVX950/LY 570310、イシス・ファーマシューティカル(Isis Pharmaceutical)/エラン(Elan)によるISIS14803、イズン・ファーマシューティカルズ社(Idun Pharmaceuticals, Inc.)によるIDN−6556、アクロス・ファーマ(AKROS Pharma)によるJTK003、ベーリンガー・インゲルハイムによるBILN−2061、ロッシュによるセルセプト(CellCept;ミコフェノール酸モフェチル)、T67、ツラリク(Tularik)によるβ−チューブリン阻害薬、イノジェネティクス(Innogenetics)によるE2に対する治療用ワクチン、藤沢薬品工業株式会社によるFK788、IdB1016(シリホス(Siliphos)、経口シリビン−ホスファチジルコリンフィトソーム)、ビロファルマ(ViroPharma)/ウェス(Wyeth)によるRNA複製阻害薬(VP50406)、インターセル(Intercell)による治療用ワクチン、エピミューン(Epimmune)/ジェネンコール(Genencor)による治療用ワクチン、アナディス(Anadys)によるIRES阻害薬、アナディスによるANA245およびANA246、アバント(Avant)による免疫療法(セラポア(Therapore))、コルバス(Corvas)/シェリング(Schering)によるプロテアーゼ阻害薬、ベルテックスによるヘリカーゼ阻害薬、トリメリス(Trimeris)による融合阻害薬、セルエクスシス(CellExSys)によるT細胞療法、バイオクリスト(Biocryst)によるポリメラーゼ阻害薬、PTCセラピューティクス(Therapeutics)によるターゲットRNA化学、イムテク社(Immtech, Int.)によるジカチオン(Dication)、アゴウロン(Agouron)によるプロテアーゼ阻害薬、キロン/メジビル(Medivir)によるプロテアーゼ阻害薬、AVIバイオファルマ(AVI BioPharma)によるアンチセンス療法、ハイブリドン(Hybridon)によるアンチセンス療法、エスロン・メディカル(Aethlon Medical)によるヘモピュリフィアー(hemopurifier)、メリックス(Merix)による治療用ワクチン、ブリストール−マイヤーズ・スクイブ/アキシス(Axys)によるプロテアーゼ阻害薬、トリペプ(Tripep)によるクロン−ワクC(Chron−VacC)治療用ワクチン、ユナイティッド・セラピューティクス(United Therapeutics)によるUT231B、ジーンラブス・テクノロジーズ(Genelabs Technologies)によるプロテアーゼ、ヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害薬、イムゾル(Immusol)によるIRES阻害薬、リゲル・ファーマシューティカルズ(Rigel Pharmaceuticals)によるR803、インターミューン(InterMune)によるインフェルゲン(INFERGEN(登録商標);インターフェロンアルファコン−1)、ビラゲン(Viragen)によるオムニフェロン(OMNIFERON(登録商標);天然インターフェロン)、ヒューマン・ゲノム・サイエンシーズによるアルブフェロン(ALBUFERON(登録商標))、アレス−セロノ(Ares−Serono)によるレビフ(REBIF(登録商標);インターフェロンβ−1a)、バイオメディスン(BioMedicine)によるω−インターフェロン、アマリオ・バイオサイエンシーズ(Amarillo Biosciences)による経口インターフェロンα、インターミューン(InterMune)によるインターフェロンγ、インターフェロンτおよびインターフェロンγ−1bなどがある。
【0046】
ヌクレオシドプロドラッグが、他の形態の肝炎の治療において報告されている。イデニクス・ファーマシューティカルズ(Idenix Pharmaceuticals)に対するWO00/09531(1999年8月10日出願)およびWO01/96353(2001年6月15日出願)には、HBV治療における2’−デオキシ−β−L−ヌクレオシドおよびそれの3’−プロドラッグが開示されている。ビューチャンプ(Beauchamp)に対する米国特許第4957924号には、各種治療用アシクロビルエステルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】国際公開第97/12033号
【特許文献2】米国特許第5980884号明細書
【特許文献3】米国特許第5942223号明細書
【特許文献4】米国特許第5928636号明細書
【特許文献5】米国特許第5849696号明細書
【特許文献6】米国特許第5830455号明細書
【特許文献7】米国特許第5738845号明細書
【特許文献8】米国特許第5676942号明細書
【特許文献9】米国特許第5372808号明細書
【特許文献10】米国特許第5747646号明細書
【特許文献11】米国特許第5792834号明細書
【特許文献12】米国特許第5834594号明細書
【特許文献13】国際公開第99/32139号
【特許文献14】国際公開第99/32140号
【特許文献15】国際公開第95/13090号
【特許文献16】米国特許第5738846号明細書
【特許文献17】米国特許第5711944号明細書
【特許文献18】米国特許第5908621号明細書
【特許文献19】米国特許第3798209号明細書
【特許文献20】米国再発行特許発明第29835号明細書
【特許文献21】国際公開第99/59621号
【特許文献22】国際公開第00/37110号
【特許文献23】国際公開第01/81359号
【特許文献24】国際公開第02/32414号
【特許文献25】国際公開第03/024461号
【特許文献26】国際公開第99/15194号
【特許文献27】国際公開第99/64016号
【特許文献28】国際公開第00/24355号
【特許文献29】国際公開第98/22496号
【特許文献30】米国特許第6004933号明細書
【特許文献31】米国特許第5990276号明細書
【特許文献32】米国特許第5538865号明細書
【特許文献33】国際公開第02/008251号
【特許文献34】国際公開第02/08187号
【特許文献35】国際公開第02/008256号
【特許文献36】米国特許第6534523号明細書
【特許文献37】米国特許第6410531号明細書
【特許文献38】米国特許第6420380号明細書
【特許文献39】国際公開第02/060926号
【特許文献40】国際公開第02/48172号
【特許文献41】国際公開第02/08198号
【特許文献42】国際公開第02/48157号
【特許文献43】国際公開第98/17679号
【特許文献44】国際公開第99/07734号
【特許文献45】国際公開第02/48116号
【特許文献46】米国特許第5,633,358号明細書
【特許文献47】国際公開第97/36554号
【特許文献48】特開平08−268890号公報
【特許文献49】特開平10−101591号公報
【特許文献50】米国特許第6043077号明細書
【特許文献51】米国特許第5869253号明細書
【特許文献52】米国特許第5610054号明細書
【特許文献53】国際公開第01/90121号
【特許文献54】国際公開第01/92282号
【特許文献55】国際公開第01/32153号
【特許文献56】国際公開第01/60315号
【特許文献57】国際公開第02/057425号
【特許文献58】国際公開第02/057287号
【特許文献59】国際公開第02/18404号
【特許文献60】国際公開第01/79246号
【特許文献61】国際公開第02/32920号
【特許文献62】国際公開第02/48165号
【特許文献63】米国特許第6034134号明細書
【特許文献64】米国特許第5922757号明細書
【特許文献65】米国特許第5846964号明細書
【特許文献66】米国特許第5830905号明細書
【特許文献67】米国特許第5633388号明細書
【特許文献68】米国特許第5496546号明細書
【特許文献69】米国特許第5026687号明細書
【特許文献70】米国特許第5891874号明細書
【特許文献71】米国特許第5837257号明細書
【特許文献72】米国特許第5725859号明細書
【特許文献73】米国特許第6056961号明細書
【特許文献74】国際公開第00/09531号
【特許文献75】国際公開第01/96353号
【特許文献76】米国特許第4957924号明細書
【非特許文献】
【0048】
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【非特許文献38】Attwood et al., Antiviral Chemistry and Chemotherapy 1999, 10, 259−273
【非特許文献39】Attwood et al., Preparation and use of amino acid derivatives as anti−viral agents, German Patent Pub. DE 19914474
【非特許文献40】Sudo K. et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 1997, 238, 643−647
【非特許文献41】Sudo K. et al. Antiviral Chemistry and Chemotherapy, 1998, 9, 186
【非特許文献42】Chu M. et al., Tetrahedron Letters 37: 7229−7232, 1996
【非特許文献43】Chu M. et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9: 1949−1952
【非特許文献44】Qasim M. A. et al., Biochemistry 36: 1598−1607, 1997
【非特許文献45】Sudo K. etal., Antiviral Research, 1996, 32, 9−18
【非特許文献46】Kakiuchi N. et al. J. EBS Letters 421, 217−220
【非特許文献47】Takeshita N. et al. Analytical Biochemistry, 1997, 247, 242−246
【非特許文献48】Ferrari R. et al. Journal of Virology, 1999, 73, 1649−1654
【非特許文献49】Lohmann V. et al., Virology, 1998, 249, 108−118
【非特許文献50】Alt M. et al., Hepatology, 1995, 22, 707−717
【非特許文献51】Alt M. et al., Archives of Virology, 1997, 142, 589−599
【非特許文献52】Galderisi U. et al., Journal of Cellular Physiology, 1999, 181, 251−257
【非特許文献53】Maccjak, D. J. et al., Hepatology 1999, 30, abstract 995
【非特許文献54】16th International Conference on Antiviral Research (April 27, 2003, Savannah, Ga.); p A75
【非特許文献55】Oral Session V, Hepatitis C Virus, Flaviviridae; 16th International Conference on Antiviral Research (April 27, 2003, Savannah, Ga.) p A76
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
HCV感染が世界的に流行病の水準に達し、感染した患者への影響が悲劇的である事実を考えると、宿主への毒性が弱い、C型肝炎を治療する新規の有効な薬剤を提供することの必要性は依然として高い。
【0050】
さらに、他のフラビウィルス科ウィルス感染の脅威が大きくなりつつあることを考慮すると、宿主への毒性が弱い新たな有効な医薬が依然として熱望されている。
【0051】
したがって、本発明の目的は、C型肝炎ウィルスに感染した宿主を治療するための化合物、方法、および組成物を提供することである。
【0052】
本発明の別の目的は、ペスチウィルス、フラビウィルスまたはヘパシウィルスに感染した患者の治療のための方法および組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0053】
1’,2’,3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’−および3’−プロドラッグ、またはそれらの製薬上許容される塩、あるいはそれら化合物を含む製薬上許容される製剤は、抗フラビウィルス科ウィルス抗体陽性およびフラビウィルス科ウィルス陽性状態、HCVによって生じる慢性肝臓炎症、肝硬変、急性肝炎、激症肝炎、慢性持続性肝炎および疲労などのフラビウィルス科ウィルス感染および他の関連する状態の予防および治療において有用である。これらの化合物または製剤を予防的に使用して、抗フラビウィルス科ウィルス抗体、またはフラビウィルス科ウィルス抗原陽性の対象者あるいはフラビウィルス科ウィルスへの曝露を経験した対象者における臨床的疾病を予防または進行遅延させることもできる。
【0054】
ヒトなどの宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療方法であって、適宜に製薬上許容される担体中にて単独であるいは別の抗フラビウィルス科ウィルス薬との併用もしくは交互で投与される有効量の生理活性な1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’−または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩を投与する段階を有する方法も開示される。本明細書で使用される場合、2’−プロドラッグという用語は、2’位に生体で開裂可能な部分(アシル、1実施形態では天然もしくは合成L−もしくはD−アミノ酸、好ましくはL−アミノ酸)を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドを指す。本明細書で使用される場合、3’−プロドラッグという用語は、3’位に生体で開裂可能な部分(アシル、1実施形態では天然もしくは合成L−もしくはD−アミノ酸、好ましくはL−アミノ酸)を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドを指す。
【0055】
製薬上許容される塩には、トシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩およびα−グリセロリン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、サリチル酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、臭化水素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、炭酸塩およびリン酸などがある。特この好ましい実施形態は、1塩酸塩または2塩酸塩である。
【0056】
1実施形態において、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドには、2’および/または5’位での生体で開裂可能な部分がある。好ましい部分は、天然または合成のDまたはLアミノ酸エステル(DまたはL−バリルなど)である。ただし好ましくは、L−バリルなどのL−アミノ酸エステル類およびアセチルなどのアルキルエステル類である。従って本発明は具体的には、親薬剤が15μM未満、さらに好ましくは10μM未満のEC50を有していても良い所望のプリンもしくはピリミジン塩基を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’−LまたはD−アミノ酸エステルおよび2’,5’−LまたはD−ジアミノ酸エステル、好ましくはL−アミノ酸;親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良い所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’−(アルキルまたはアリール)エステルまたは2’,5’−L−ジ(アルキルまたはアリール)エステル;ならびに1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’,5’−ジエステルのプロドラッグであって、(i)2’エステルが天然もしくは合成のDまたはL−アミノ酸エステル(ただし、好ましくはL−アミノ酸エステル)であり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるもの;(ii)両方のエステルが天然もしくは合成のDまたはL−アミノ酸エステル(ただし、好ましくはL−アミノ酸エステル)であるもの;(iii)両方のエステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;および(iv)2’エステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルが天然もしくは合成のDまたはL−アミノ酸エステル(ただし、好ましくはL−アミノ酸エステル)であるものであって、親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良いものを含む。
【0057】
本発明に含まれるプロドラッグの例には、β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’−L−バリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’−L−バリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロシチジンの2’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンの2’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’−アセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’−アセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’−アセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’−アセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’−アセチルエステル;ならびにβ−D−2’,6’−ジメチル−(シチジン、5−フルオロシチジン、ウリジンまたはチミジン)の2’−エステルまたはβ−D−2’,8’−ジメチル−(グアノシン、アデノシンまたはイノシン)の2’−エステルであって、(i)2’エステルがアミノ酸エステルであるもの;あるいは(ii)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであるものがある。
【0058】
本発明に含まれるプロドラッグの別の例には、β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’,5’−L−ジバリンエステル(ジval−2’,6’−ジMe−L−dC);β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンの2’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’,5’−ジアセチルエステル;ならびにβ−D−2’,6’−ジメチル−(シチジン、5−フルオロシチジン、ウリジンまたはチミジン)の2’,5’−ジエステルまたはβ−D−2’,8’−ジメチル−(グアノシン、アデノシンまたはイノシン)の2’,5’−ジエステルであって、(i)2’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるもの;(ii)両方のエステルがアミノ酸エステルであるもの;(iii)両方のエステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;あるいは(iv)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるものがある。
【0059】
別の実施形態では、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシド3’−プロドラッグには、3’および/または5’位に生体で開裂可能な部分がある。好ましい部分は、天然または合成のDまたはLアミノ酸エステル(バリルなど)である。ただし好ましくは、L−バリルなどのL−アミノ酸エステル類およびアセチルなどのアルキルエステル類である。従って本発明は具体的には、親薬剤が15μM未満、さらに好ましくは10μM未満のEC50を有していても良い所望のプリンもしくはピリミジン塩基を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの3’−L−アミノ酸エステルおよび3’,5’−L−ジアミノ酸エステル、好ましくはL−アミノ酸;親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良い所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの3’−(アルキルまたはアリール)エステルまたは3’,5’−L−ジ(アルキルまたはアリール)エステル;ならびに1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの3’,5’−ジエステルのプロドラッグであって、(i)3’エステルが天然または合成のDまたはL−アミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるもの;(ii)両方のエステルが天然または合成のDまたはL−アミノ酸エステルであるもの;(iii)両方のエステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;および(iv)3’エステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルが天然または合成のDまたはL−アミノ酸エステルであるものであって、親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良いものを含む。
【0060】
本発明に含まれるプロドラッグの例には、β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの3’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの3’−L−バリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの3’−L−バリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの3’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロシチジンの3’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンの3’−L−バリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの3’−アセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの3’−アセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの3’−アセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの3’−アセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの3’−アセチルエステル;およびβ−D−2’,6’−ジメチル−(シチジン、5−フルオロシチジン、ウリジンまたはチミジン)の3’−エステルまたはβ−D−2’,8’−ジメチル−(グアノシン、アデノシンまたはイノシン)の3’−エステルであって、(i)3’エステルがアミノ酸エステルであるもの;あるいは(ii)3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであるものがある。
【0061】
本発明に含まれるプロドラッグの別の例には、β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの3’,5’−L−ジバリンエステル(ジval−2’,6’−ジMe−L−dC);β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの3’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの3’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの3’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの3’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンの3’,5’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの3’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの3’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの3’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの3’,5’−ジアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの3’,5’−ジアセチルエステル;およびβ−D−2’,6’−ジメチル−(シチジン、5−フルオロシチジン、ウリジンまたはチミジン)の3’,5’−ジエステルまたはβ−D−2’,8’−ジメチル−(グアノシン、アデノシンまたはイノシン)の3’,5’−ジエステルであって、(i)3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるもの;(ii)両方のエステルがアミノ酸エステルであるもの;(iii)両方のエステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;あるいは(iv)3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるものがある。
【0062】
別の実施形態では、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドのプロドラッグには、2’、3’および/または5’位に生体で開裂可能な部分がある。好ましい部分は、天然または合成のDまたはLアミノ酸エステル(DまたはL−バリルなど)である。ただし好ましくは、L−バリルなどのL−アミノ酸エステル類およびアセチルなどのアルキルエステル類である。従って本発明は具体的には、親薬剤が15μM未満、さらに好ましくは10μM未満のEC50を有していても良い所望のプリンもしくはピリミジン塩基を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’,3’−LまたはD−ジアミノ酸エステルおよび2’,3’,5’−LまたはD−トリアミノ酸エステル、好ましくはL−アミノ酸;親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良い所望のプリンまたはピリミジン塩基を有する1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’,3’−ジ(アルキルまたはアリール)エステルまたは2’,3’,5’−L−トリ(アルキルまたはアリール)エステル;ならびに1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’,3’−ジエステルのプロドラッグであって、(i)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるもの;(ii)両方のエステルがアミノ酸エステルであるもの;(iii)両方のエステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;および(iv)2’エステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであり、3’−エステルがアミノ酸エステルであるものであって、親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良いものを含む。
【0063】
さらに、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’,3’,5’−トリエステルであって、(i)3種類いずれのエステルもアミノ酸エステルであるもの;(ii)3種類いずれのエステルも独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;(iii)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであり;(iv)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであり;(v)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるもの;(vi)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるもの;(vii)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであり;(viii)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるもので、親薬剤が10または15μM未満のEC50を有していても良いものがある。
【0064】
本発明に含まれるプロドラッグの例には、D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’,3’−L−ジバリンエステル(ジval−2’,6’−ジMe−L−dC);β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’,3’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’,3’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’,3’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’,3’−L−ジバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンの2’,3’−L−ジバリンエステル;β−D−2’−メチル−シチジンの2’,3’−ジアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’,3’−ジアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’,3’−ジアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’,3’−ジアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’,3’−ジアセチルエステル;およびβ−D−2’,6’−ジメチル−(シチジン、5−フルオロシチジン、ウリジンまたはチミジン)の2’,3’−ジエステルまたはβ−D−2’,8’−ジメチル−(グアノシン、アデノシンまたはイノシン)の2’,3’−ジエステルであって、(i)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであるもの;(ii)両方のエステルがアミノ酸エステルであるもの;(iii)両方のエステルが独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;あるいは(iv)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’−エステルがアミノ酸エステルであるものがある。
【0065】
本発明に含まれるプロドラッグの別の例には、β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’,3’,5’−L−トリバリンエステル(トリval−2’,6’−ジMe−L−dC);β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’,3’,5’−L−トリバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’,3’,5’−L−トリバリンエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’,3’,5’−L−トリバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’,3’,5’−L−トリバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンの2’,3’,5’−L−トリバリンエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−シチジンの2’,3’,5’−トリアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−チミジンの2’,3’,5’−トリアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシンの2’,3’,5’−トリアセチルエステル;β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシンの2’,3’,5’−トリアセチルエステル;β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロ−シチジンの2’,3’,5’−トリアセチルエステル;ならびにβ−D−2’,6’−ジメチル−(シチジン、5−フルオロシチジン、ウリジンまたはチミジン)の2’,3’,5’−トリエステルまたはβ−D−2’,8’−ジメチル−(グアノシン、アデノシンまたはイノシン)の2’,3’,5’−トリエステルであって、(i)3種類いずれのエステルもアミノ酸エステルであるもの;(ii)3種類いずれのエステルも独立にアルキルまたはアリールエステルであるもの;(iii)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであり;(iv)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであり;(v)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるもの;(vi)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるもの;(vii)2’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、3’エステルがアミノ酸エステルであり、5’−エステルがアルキルまたはアリールエステルであり;(viii)2’エステルがアミノ酸エステルであり、3’エステルがアルキルまたはアリールエステルであり、5’−エステルがアミノ酸エステルであるものがある。
【0066】
第1の主たる実施形態では、下記式(I)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(I)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0067】
【化1】
【0068】
式中、
、RおよびRは独立に、H、ホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートおよび安定化ホスフェートなど);直鎖、分岐または環状アルキル(低級アルキルなど);アシル(低級アシルなど);CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、リン脂質などの脂質;アミノ酸;ならびにアミノ酸残基、炭水化物;ペプチド;コレステロール;または例えばin vivoで投与した場合にR、Rおよび/またはRが独立にHまたはホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートなど)である化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;1実施形態において、Rおよび/またはRはホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど)ではなく;
およびRのうちの少なくとも1個が水素ではなく;
は、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、CN、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
は、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル、CH、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、CHOH、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、COOH、COOR、COO−アルキル、COO−アリール、CO−Oアルコキシアルキル、CONH、CONHR、CON(R、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、CN、N、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
は、H、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル、CH、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、CHOH、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、COOH、COOR、COO−アルキル、COO−アリール、CO−Oアルコキシアルキル、CONH、CONHR、CON(R、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、CN、N、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
各Yは独立に、H、F、Cl、BrまたはIであり;
各RおよびRは独立に、水素、アシル(低級アシルなど)、アルキル(メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルなど(これらに限定されるものではない))、低級アルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルである。
【0069】
本明細書に記載の実施形態では、R、Rおよび/またはRは、例えばin vivoで投与した場合にR、Rおよび/またはRが独立にHまたはホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートなど)である化合物を与えることができる製薬上許容される脱離基であることができる。
【0070】
第2の主たる実施形態では、下記式(II)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(II)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0071】
【化2】
【0072】
式中、R、R、R、R、R、Y、Y、XおよびXは上記で定義の通りである。
【0073】
第3の主たる実施形態では、下記式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0074】
【化3】
【0075】
式中、塩基は下記のものから選択され;
【0076】
【化4】
【0077】
、R、R、RおよびRは上記で定義の通りであり;
各W、W、WおよびWは独立に、N、CH、CF、CI、CBr、CCl、CCN、CCH、CCF、CCHCH、CC(O)NH、CC(O)NHR、CC(O)N(R、CC(O)OH、CC(O)ORまたはCXであり;
各Wは独立に、O、S、NHまたはNRであり;
Xは、O、S、SO、CH、CHOH、CHF、CF、C(Y、CHCN、C(CN)、CHRまたはC(Rであり;
は、CH、CF、CYまたはCRであり;
は、H、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル、CH、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、CHOH、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、COOH、COOR、COO−アルキル、COO−アリール、CO−Oアルコキシアルキル、CONH、CONHR、CON(R、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、CN、N、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
各Xは独立に、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、N、CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、OH、OR、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)であり;
各Yは独立に、H、置換されていても良い低級アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONRおよび(CHCONHRからなる群から選択され;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
は、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、CN、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
各Yは独立に、O、S、NHまたはNRであり;
各Yは独立に、H、F、Cl、BrまたはIであり;
塩基(B)において、W、WおよびWがNである場合にはWはCHであることはできず;
塩基(E)、(F)、(K)、(L)、(W)および(X)において、WがNである場合にはWはCHであることができず;
各Rは独立に、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)またはシアノであり;
各Rは独立に、OH、OR、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(R)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、NO、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)、アジド、シアノ、SCN、OCN、NCOまたはハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;
あるいはRとRが一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良く;
各mは独立に、0、1または2である。
【0078】
第4の主たる実施形態では、下記式(VI)または(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)または(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0079】
【化5】
【0080】
式中、
塩基、R、R、R、R、R、R、R、R、Y、Y、Y、Y、W、W、W、W、W、X、X、X、XおよびXは上記で定義の通りであり;
1実施形態において、式(VI)中のRが−OHまたは−NHであるのは、Xが炭素である場合のみであり;
各RおよびR11は独立に、水素、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、シアノ、NH−アシルまたはN(アシル)であり;
各RおよびR10は独立に、水素、OH、OR、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y,2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(R)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、NO、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)、アジド、シアノ、SCN、OCN、NCOまたはハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;
各mは独立に、0、1または2であり;
あるいは、RとR10、RとR、RとRまたはRとR11が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択される架橋化合物を形成していても良く;
あるいは、RとRまたはRとR10が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良い。
【0081】
第5の主たる実施形態では、下記式(VIII)、(IX)または(X)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VIII)、(IX)または(X)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0082】
【化6】
【0083】
式中、
、R、R、R、R、X、YおよびXは上記で定義の通りであり;
塩基は、本明細書で定義のプリン塩基またはピリミジン塩基であり;
各R12は独立に、置換アルキル(低級アルキルなど)、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換アルケニル、ハロアルケニル(ただしBr−ビニルではない)、置換アルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)であり;
各R13は独立に、置換アルキル(低級アルキルなど)、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換アルケニル、ハロアルケニル(ただしBr−ビニルではない)、置換アルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(R)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、−NHR、−NR、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、SCN、OCN、NCOまたはフルオロであり;
あるいはR12とR13が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良く;
各mは独立に、0、1または2である。
【0084】
第6の主たる実施形態では、下記式(XI)または(XII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XI)または(XII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0085】
【化7】
【0086】
式中、
あるいは塩基は式(XI)および(XII)において塩基で置き換わっており;
塩基、塩基、R、R、R、R、R、R、R12、R13、Y、Y、Y、Y、W、W、W、W、W、X、X、X、XおよびXは上記で定義の通りであり;
1実施形態において、式(XI)におけるRが−OHまたは−NHであるのは、Xが炭素である場合のみであり;
各RおよびR11は独立に、水素、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、シアノ、NH−アシルまたはN(アシル)であり;
各RおよびR10は独立に、水素、OH、OR、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(R)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、NO、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)、アジド、シアノ、SCN、OCN、NCOまたはハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;
各mは独立に、0、1または2であり;
あるいはRとR13、RとR13、RとR11またはR10とR12が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択される架橋化合物を形成していても良く;
あるいは、R12とR13またはRとR10が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良い。
【0087】
本発明の特定の態様では、下記式(XI)または(XII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XI)または(XII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0088】
【化8】
【0089】
式中、
は、H;モノ−、ジ−およびトリホスフェートまたは安定化ホスフェート;アシル;スルホン酸エステル;置換されていても良いアルキルスルホニル;置換されていても良いアリールスルホニル;脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;およびin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはモノ−、ジ−もしくはトリホスフェートである化合物を与えることができる製薬上許容される脱離基であり;
X''は、1以上のO、S、SO、SO、N、NH、NRおよびCHからなる群から選択され、それらのいずれも置換されていても良く、位置が変動して3〜7員環を形成していても良く;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
Bは、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を示し;
塩基は、下記のものおよびこれらの互変異体からなる群から選択され;
【0090】
【化9】
【0091】
各R’、R''、R'''およびR''''は独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
mは0または1であり;
WはC−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立にNまたはC−Rであり;
、Q、QおよびQは独立にNまたはCHである。
【0092】
本発明の第2の特定の態様では、下記式(XV)、(XVI)または(XVII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XV)、(XVI)または(XVII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0093】
【化10】
【0094】
式中、
GおよびEは独立に、CH、CHOH、CHF、CH、CHCN、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONR、(CHCONHRおよびN−アシルからなる群から選択され;
mは0または1であり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
R’、R''、R'''、R''''およびRおよび塩基は式(XIII)について定義の通りである。
【0095】
あるいは、式(XVII)の化合物において、GおよびEのうちの多くとも1個がさらに、水素であることができる。
【0096】
本発明の第3の特定の態様では、下記式(XVIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XVIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0097】
【化11】
【0098】
式中、
Mは、S、SOおよびSOからなる群から選択され;
R’、R''、R'''、R''''およびRおよび塩基は式(XIII)について定義の通りである。
【0099】
本発明の第4の特定の態様では、下記式(XIX)、(XX)、(XXI)(XXII)または(XXIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XIX)、(XX)、(XXI)(XXII)または(XXIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0100】
【化12】
【0101】
式中、
Aは、置換されていても良い低級アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCO−NH、(CHCONRおよび(CHCONHRからなる群から選択され;
Yは、H、置換されていても良い低級アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONRおよび(CHCONHRからなる群から選択され;
Xは、−OH、置換されていても良いアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アリール、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アリール、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アリール、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONR、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環および単独または組み合わせたヘテロ原子として独立にO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環からなる群から選択され;
mは0または1であり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
は、H;モノ−、ジ−およびトリ−ホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグ;置換もしくは未置換アルキル;アシル;スルホン酸エステル;置換されていても良いアルキルスルホニル;置換されていても良いアリールスルホニル;脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;およびin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはモノ−、ジ−もしくはトリホスフェートである化合物を与えることができる製薬上許容される脱離基からなる群から選択され;
塩基が、下記のものからなる群から選択される非天然塩基であり;
【0102】
【化13】
【0103】
各R’、R''、R'''およびR''''は独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
mは0または1であり;
WはC−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−R''''であり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHであり;
ただし、塩基(g)および(i)において、R’、R''''はH、OHおよびNHではなく;Q、T、V、Q、QおよびQはNではない。
【0104】
1実施形態において、前記アミノ酸残基は式C(O)C(R11)(R12)(NR1314)のものであり
11はアミノ酸の側鎖であり;プロリンでの場合のように、R11はR13と結合して環構造を形成していても良く;あるいは、R11はアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは複素環部分であり;
12は、水素、アルキル(低級アルキルなど)またはアリールであり;
13およびR14は独立に、水素、アシル(R11に結合したアシル誘導体など)またはアルキル(メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルなど(これらに限定されるものではない))である。
【0105】
別の好ましい実施形態において、RおよびRのうちの少なくとも1個がアミノ酸残基であり、好ましくはL−バリニルである。
【0106】
本発明のβ−D−およびβ−L−ヌクレオシドは、フラビウィルス科ウィルスポリメラーゼ活性を阻害することができる。本明細書でより詳細に記載されたスクリーニング方法に従って、ヌクレオシドを、それがin vitroでフラビウィルス科ウィルスポリメラーゼ活性を阻害する能力についてスクリーニングすることができる。本明細書に記載のアッセイまたは別の確認アッセイによって化合物を評価することで、活性スペクトラムを容易に測定することができる。
【0107】
1実施形態では、本明細書でより詳細に述べる方法に従い、in vitroでウィルスプラーク数を50%減少させるのに要する化合物濃度(すなわち、化合物のED50)によって、抗フラビウィルス科ウィルス化合物の効力を測定する。好ましい実施形態では、プロドラッグ化合物の親化合物は、25、15、10、5または1μM未満のEC50を示す。好ましい実施形態では、その 化合物は、各種文献(Ferrari et al., J. Virol., 73: 1649−1654, 1999; Ishii et al., Hepatology, 29: 1227−1235, 1999 ; Lohmann et al., J. Biol. Chem., 274: 10807−10815, 1999;またはYamashita et al, J. Biol. Chem., 273: 15479−15486, 1998)に記載のポリメラーゼアッセイに従って測定した場合に15または10μM未満のEC50を示す。
【0108】
別の実施形態では、併用療法および/または交互療法が提供される。併用療法では有効用量の2種以上の薬剤が一緒に投与され、交互療法の際には有効用量の各薬剤を順次投与する。用量は、薬物の吸収速度、失活速度および排泄速度、ならびに当業者には公知の他の要因に応じて決まる。留意すべき点として、用量値は改善すべき状態の重度によっても変わる。さらに留意すべき点として、時間の経過と共に、個々のニーズおよびこの組成物の投与を管理または監督する担当者の専門的判断に従い、特定の投与法および投与計画を、特定の被験者に応じて調節すべきである。
【0109】
本発明はまた、本明細書に記載のプロドラッグのうちの少なくとも2種類の組合せを提供する。本発明はさらに、フラビウィルス科ウィルスに対して活性を示す第2のヌクレオシド[本明細書で定義のプロドラッグのいずれかの親薬剤、すなわちβ−D−2’,6’−ジメチル−シチジン、β−D−2’,6’−ジメチル−チミジン、β−D−2’,8’−ジメチル−アデノシン、β−D−2’,8’−ジメチル−グアノシン、β−D−2’,6’−ジメチル−5−フルオロシチジンおよび/またはβ−D−2’,6’−ジメチル−ウリジンなど(これらに限定されるものではない)]との併用または交互使用される前記の2’および3’−プロドラッグのうちの少なくとも一つを提供する。別法として、前記2’または3’−プロドラッグは、10または15μM未満のEC50を示す他の抗フラビウィルス科ウィルス剤あるいはそれのプロドラッグまたは製薬上許容される塩と組み合わせて、あるいは交互で投与することができる。
【0110】
本明細書に開示の化合物と併用可能な抗ウィルス剤の例には、(1)インターフェロンおよび/またはリバビリン;(2)基質系NS3プロテアーゼ阻害薬;(3)非基質系阻害薬;(4)チアゾリジン誘導体;(5)チアゾリジン類およびベンズアニリド類;(6)フェナントレンキノン;(7)NS3阻害薬;(8)HCVヘリカーゼ阻害薬;(9)RNA依存性RNA−ポリメラーゼ阻害薬などのポリメラーゼ阻害薬;(10)アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド類;(11)IRES依存性翻訳阻害薬;(12)ヌクレアーゼ耐性リボザイム;および(13)フラビウィルス科ウィルスに対して活性を示す他の化合物などがあるが、これらに限定されるものではない。本発明はさらに、インターフェロン、インターロイキンまたはフラビウィルス科ウィルス複製を発現もしくは調節する遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(これらに限定されるものではない)を含むタンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはγ−グロブリンなどの生体物質のような免疫調節剤その他の医薬活性なウィルス複製調節剤と組み合わせて、あるいはそれと交互に前記プロドラッグを投与する方法も含む。
【0111】
本発明はさらに、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはインターフェロンなどの(それに限定されるものではない)γ−グロブリン、インターロイキンまたはフラビウィルス科ウィルス複製を発現または調節する遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの生理物質のような免疫調節剤その他の医薬活性なウィルス複製の調節剤との併用または交互使用でプロドラッグを投与する段階を含むものである。
【0112】
詳細には本発明は、
(a)式(XIII)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグ;
(b)式(XIII)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを、製薬上許容される担体または希釈剤とともに含む医薬組成物;
(c)式(XIII)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを、1以上の他の有効な抗ウィルス薬とともに、そして適宜に製薬上許容される担体または希釈剤とともに含む医薬組成物;
(d)製薬上許容される担体または希釈剤とともに式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを含む、宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療用の医薬組成物;
(e)1以上の他の有効な抗ウィルス薬とともに、そして適宜に製薬上許容される担体または希釈剤とともに式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを含む、宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療用の医薬組成物;
(f)適宜に製薬上許容される担体または希釈剤とともに式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを含む、宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療方法;
(g)1以上の他の有効な抗ウィルス薬とともに、そして適宜に製薬上許容される担体または希釈剤とともに式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグを含む、宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療方法;
(h)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療のための、適宜に製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせた式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグの使用;
(i)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療のための、1以上の他の有効な抗ウィルス薬と、そして適宜に製薬上許容される担体または希釈剤とを組み合わせた式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグの使用;
(j)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療用の医薬製造における、適宜に製薬上許容される担体または希釈剤と組み合わせた式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグの使用;
(k)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療用の医薬製造における、1以上の他の有効な抗ウィルス薬と、そして適宜に製薬上許容される担体または希釈剤とを組み合わせた式(I)〜(XXIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグの使用
を提供する。
【0113】
別の実施形態では、2’−または3’−プロドラッグの親ヌクレオシド化合物(すなわち、2’−または3’−開裂可能部分を持たないヌクレオシド)が、フラビウィルス科ウィルス感染、特にはC型肝炎感染の治療用に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】本発明のヌクレオシドの非限定的な各種例、ならびに他の公知のヌクレオシド、特にはFIAUおよびリバビリンの構造を提供する図である。
図2】1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドのエステル化による2’−プロドラッグの取得に関与する段階の非限定的な例を提供する図である。同じ一般法を用いて、2’および5’−ヒドロキシル基を選択的に保護するか、あるいは2’、3’および5’−ヒドロキシル基を保護して3’−ヒドロキシルを選択的に脱保護することで3’−プロドラッグを得ることができる。
図3】1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドのエステル化による3’−プロドラッグの取得に関与する段階の非限定的な例を提供する図である。
図4】1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドのエステル化による2’,3’−プロドラッグの取得に関与する段階の非限定的な例を提供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
本明細書に開示の発明は、ヒトまたは他の宿主動物でのフラビウィルス科ウィルス感染を治療するための化合物、方法、および組成物である。その方法には、有効な抗フラビウィルス科ウィルス治療量の本明細書に記載の1’、2’、3’または4’−分岐β−D−もしくはβ−L−ヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩、誘導体またはそのプロドラッグを、適宜に製薬上許容される担体に含ませて投与する段階がある。本発明の化合物は、抗ウィルス(すなわち、抗HCV)活性を有するか、あるいは代謝されるとそのような活性を示す化合物になる。HCVはフラビウィルス科ウィルスの構成員である。HCVは、新たな単型属であるヘパシウィルスに分類された。従って1実施形態では、フラビウィルス科はHCVである。別の実施形態では、フラビウィルス科ウィルスはフラビウィルスまたはペスチウィルスである。
【0116】
1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグは、2級もしくは3級炭素に対してα位にある2級または3級アルコールのアシル誘導体である。1級アルコールのアシル誘導体である5’−プロドラッグと比較してこれらのプロドラッグは立体障害が大きいため、これらのプロドラッグはin vivoでの分子の生理的特性を異なった形で変える。1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’−および3’−プロドラッグが、半減期が長く薬物動態プロファイルが改善された薬剤を提供し得ることが発見されている。
【0117】
好ましい実施形態での2’または3’−プロドラッグは、開裂可能なアシル基であり、最も詳細には、天然または合成のα、β、γまたはδアミノ酸から製造されるアミノ酸部分である。そのアミノ酸の例としては、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態では前記アミノ酸は、L−配置のものである。あるいは前記アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプロファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リジニル、アルギニニル、ヒスチジニル、β−アラニル、β−バリニル、β−ロイシニル、β−イソロイシニル、β−プロリニル、β−フェニルアラニニル、β−トリプトファニル、β−メチオニニル、β−グリシニル、β−セリニル、β−スレオニニル、β−システイニル、β−チロシニル、β−アスパラギニル、β−グルタミニル、β−アスパルトイル、β−グルタロイル、β−リジニル、β−アルギニニルまたはβ−ヒスチジニルの誘導体であることができる。ある特定の実施形態では、前記部分はバリンエステルである。ある特に好ましい化合物は、2’,6’−ジメチル−リボシスチジンの3’−バリンエステルである。
【0118】
中性塩基およびHCl塩としての1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの経口での生物学的利用能は、齧歯類およびヒト以外の霊長類では低い。消化管からの吸収もしくは輸送についての1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体とのかなりの競合、ならびにその吸収についての他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体と1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドとの競合があることが発見されている。経口生物学的利用能を改善し、薬剤−薬剤相互作用の可能性を低くするため、親分子より経口生物学的利用能が高く、併用される他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体の生物学的利用能に対する影響が低減される1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および3’−プロドラッグを得た。
【0119】
1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’、3’および/または5’−モノ、ジまたはトリバリンエステルは、親の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドより高い経口生物学的利用能を有し、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドと比較して、併用した場合に他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体との相互作用が少ない。
【0120】
1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’、3’および/または5’−モノ、ジまたはトリバリンエステルは、消化管粘膜、血液または肝臓での脱エステル化によって、親の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドに変換され得る。1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’、3’および/または5’−モノ、ジまたはトリバリンエステルは、経口投与した後、消化管の粘膜でのアミノ酸輸送機能によって、消化管腔から血流中に活発に輸送され得る。それによって、主としてヌクレオシド輸送体機能によって輸送される親の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドと比較した経口生物学的利用能の上昇が説明される。1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’、3’および/または5’−モノ、ジまたはトリバリンエステルでは、アミノ酸輸送体機能ではなくヌクレオシド輸送体機能によって輸送される他のヌクレオシドまたはヌクレオシド類縁体との取り込みにおける競争が小さい。1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドのジまたはトリバリンエステルの部分的脱エステルは吸収が完了する前に起こることから、モノまたはジバリンエステルが、アミノ酸輸送体機能を用いて吸収され続ける。従って、吸収または生物学的利用能の改善ならびに血流中への取り込みについての他のヌクレオシドもしくはヌクレオシド類縁体との競合低減という所望の結果を維持することができる。
【0121】
要約すると本発明には、下記の特徴がある。
【0122】
(a)本明細書に記載の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグならびにそれの製薬上許容される塩および組成物;
(b)特にフラビウィルス科ウィルス感染があるかC型肝炎による感染の危険性があると診断された個体でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防で使用される本明細書に記載の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグならびにそれの製薬上許容される塩および組成物;
(c)記載のヌクレオシドの反対のエナンチオマーを実質的に含まない、あるいは他の化学物質から実質的に単離された本明細書に記載の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩および組成物。
【0123】
(d)下記でより詳細に記載の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグの製造方法。
【0124】
(e)製薬上許容される担体または希釈剤とともに、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩を含む医薬製剤。
【0125】
(f)適宜に製薬上許容される担体または希釈剤中に、1以上の他の有効な抗HCV薬とともに1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩を含む医薬製剤。
【0126】
(g)適宜に製薬上許容される担体または希釈剤中に、異なる1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの親化合物とともに、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩を含む医薬製剤。
【0127】
(h)有効量の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグ、それの製薬上許容される塩または組成物を投与する段階を有する、フラビウィルス科ウィルスに感染する宿主の治療および/または予防方法。
【0128】
(i)1以上の有効な抗HCV薬との併用および/または交互投与で、有効量の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグ、それの製薬上許容される塩または組成物を投与する段階を有する、フラビウィルス科ウィルスに感染する宿主の治療および/または予防方法。
【0129】
(j)異なる1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの親化合物とともに、有効量の1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物を投与する段階を有する、フラビウィルス科ウィルスに感染する宿主の治療および/または予防方法。
【0130】
(k)有効量のβ−D−2’−メチル−シチジンの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物を投与する段階を有する、フラビウィルス科ウィルスに感染する宿主の治療および/または予防方法。
【0131】
(l)有効量のβ−D−2’−メチル−シチジンの2’−バリルまたはアセチルエステルあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物を投与する段階を有する、フラビウィルス科ウィルスに感染する宿主の治療および/または予防方法。
【0132】
(m)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防における、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグならびにそれの製薬上許容される塩および組成物の使用。
【0133】
(n)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防における、1以上の他の有効な抗HCV薬との併用および/または交互使用での1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグ、それの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0134】
(o)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防における、異なる1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの親化合物と組み合わせた1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0135】
(p)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防における、β−D−2’−メチル−シチジンの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0136】
(q)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防における、β−D−2’−メチル−シチジンの3’−バリルまたはアセチルエステルあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0137】
(r)フラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防用の医薬製造における、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグならびにそれの製薬上許容される塩および組成物の使用。
【0138】
(s)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防用の医薬製造における、1以上の有効な抗HCV薬との併用および/または交互使用での、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグ、それの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0139】
(t)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防用の医薬製造における、異なる1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの親化合物と組み合わせた1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0140】
(u)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防用の医薬製造における、β−D−2’−メチル−シチジンの2’および/または3’−プロドラッグあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0141】
(v)宿主でのフラビウィルス科ウィルス感染の治療および/または予防用の医薬製造における、β−D−2’−メチル−シチジンの2’−バリルまたはアセチルエステルあるいはそれの製薬上許容される塩または組成物の使用。
【0142】
本発明の範囲に含まれるフラビウィルス科ウィルスについては、文献で考察されている(Fields Virology, Editors: Fields, B. N., Knipe, D. M., and Howley, P. M., Lippincott−Raven Publishers, Philadelphia, PA, Chapter 31, 1996)。本発明の特定の実施形態では、フラビウィルス科ウィルスはHCVである。本発明の別の 実施形態では、フラビウィルス科ウィルスはフラビウィルスまたはペスチウィルスである。具体的なフラビウィルス類には、アブセッタロフ(Absettarov)、アルフイ(Alfuy)、アポイ(Apoi)、アロア(Aroa)、バガザ(Bagaza)、バンジ(Banzi)、ボーボー(Bouboui)、ブッスクアラ(Bussuquara)、カシパコア(Cacipacore)、カレー島(Carey Island)、ダカールコウモリ(Dakar bat)、1型デング熱、2型デング熱、3型デング熱、4型デング熱、エッジヒル(Edge Hill)、エンテベコウモリ(Entebbe bat)、ガジェッツガリー(Gadgets Gully)、ハンザロバ(Hanzalova)、ヒプル(Hypr)、イレウス(Ilheus)、イスラエル七面鳥髄膜脳炎、日本脳炎、ジュグラ(Jugra)、ジュチアパ(Jutiapa)、カダム(Kadam)、カルシ(Karshi)、ケドウゴウ(Kedougou)、ココベラ(Kokobera)、コウタンゴ(Koutango)、クムリンゲ(Kumlinge)、クンジン(Kunjin)、キャサヌール森林病、ランガート(Langat)、跳躍病、ミーバン(Meaban)、モドク(Modoc)、モンタナミオティス白質脳炎、マリーバレー(Murray valley)脳炎、ナランジャル(Naranjal)、ネギシ(Negishi)、ヌタヤ(Ntaya)、Omsk出血熱、プノンペンコウモリ、ポーワッサン、リオブラボー、ロシオ(Rocio)、ロイヤルファーム(Royal Farm)、ロシア春夏脳炎、サボヤ(Saboya)、セントルイス脳炎、サルビエヤ(Sal Vieja)、サンペルリタ(San Perlita)、ソーマレズリーフ、セピク(Sepik)、ソクルク(Sokuluk)、スポンドウェニ(Spondweni)、ストラトフォード、テンブス(Tembusu)、チュレニー(Tyuleniy)、ウガンダS、ウスツ(Usutu)、ウェセルスブロン(Wesselsbron)、西ナイル、ヤウンデ、黄熱病およびジカなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0143】
本発明の範囲に含まれるペスチウィルスについては、文献に考察がある(Fields Virology, Editors: Fields, B. N., Knipe, D. M., and Howley, P. M., Lippincott−Raven Publishers, Philadelphia, PA, Chapter 33, 1996)。具体的なペスチウィルスには、ウシウィルス性下痢症ウィルス(「BVDV」)、古典的な豚コレラウィルス(「CSFV」、豚コレラウィルスとも称される)およびボーダー病ウィルス(「BDV」)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0144】
I.活性化合物
第1の主たる実施形態では、下記式(I)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(I)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0145】
【化14】
【0146】
式中、
、RおよびRは独立に、H、ホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートおよび安定化ホスフェートなど);直鎖、分岐または環状アルキル(低級アルキルなど);アシル(低級アシルなど);CO−アルキル、CO−アリール、CO−アルコキシアルキル、CO−アリールオキシアルキル、CO−置換アリール、メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、リン脂質などの脂質;アミノ酸;ならびにアミノ酸残基、炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にR、Rおよび/またはRが独立にHまたはホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートなど)である化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;1実施形態において、Rおよび/またはRはホスフェート(モノ−、ジ−もしくはトリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど)ではなく;
およびRのうちの少なくとも1個が水素ではなく;
は、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、CN、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
は、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル、CH、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、CHOH、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、COOH、COOR、COO−アルキル、COO−アリール、CO−Oアルコキシアルキル、CONH、CONHR、CON(R、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、CN、N、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
は、H、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル、CH、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、CHOH、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、COOH、COOR、COO−アルキル、COO−アリール、CO−Oアルコキシアルキル、CONH、CONHR、CON(R、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、CN、N、OH、OR、NH、NHR、NR、SHまたはSRであり;
各Yは独立に、H、F、Cl、BrまたはIであり;
各RおよびRは独立に、水素、アシル(低級アシルなど)、アルキル(メチル、エチル、プロピルおよびシクロプロピルなど(これらに限定されるものではない))、低級アルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキルである。
【0147】
ある好ましい下位実施形態では、
がHまたはホスフェート(好ましくはH)であり;
およびRが独立に、H、ホスフェート、アシルまたはアミノ酸残基であり;RおよびRのうちの少なくとも一つがアシルまたはアミノ酸残基であり;
が、CH、CFまたはCHCHであり;
が、HまたはNHであり;
Yが、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、NHまたはOHである、式(I)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(I)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0148】
第2の主たる実施形態では、下記式(II)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(II)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0149】
【化15】
【0150】
式中、R、R、R、R、R、Y、Y、XおよびXは上記で定義の通りである。
【0151】
ある好ましい下位実施形態では、
がHまたはホスフェート(好ましくはH)であり;
およびRが独立に、H、ホスフェート、アシルまたはアミノ酸残基であり;RおよびRのうちの少なくとも一つがアシルまたはアミノ酸残基であり;
がCH、CFまたはCHCHであり;
がH、F、Cl、Br、IまたはCHであり;
Yが水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、NHまたはOHである、式(II)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(II)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0152】
第3の主たる実施形態では、下記式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0153】
【化16】
【0154】
式中、
、R、R、R、R、Y、YおよびXは上記で定義の通りであり;
塩基は下記のものから選択され;
【0155】
【化17】
【0156】
各W、W、WおよびWは独立に、N、CH、CF、CI、CBr、CCl、CCN、CCH、CCF、CCHCH、CC(O)NH、CC(O)NHR、CC(O)N(R、CC(O)OH、CC(O)ORまたはCXであり;
各Wは独立に、O、S、NHまたはNRであり;
塩基(B)において、W、WおよびWがNである場合にはWはCHであることはできず;
塩基(E)、(F)、(K)、(L)、(W)および(X)において、WがNである場合にはWはCHであることができず;
Xは、O、S、SO、CH、CHOH、CHF、CF、C(Y、CHCN、C(CN)、CHRまたはC(Rであり;
は、CH、CF、CYまたはCRであり;
各Xは独立に、直鎖、分岐または環状の置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、N、CN、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、OH、OR、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)であり;
各Yは独立に、O、S、NHまたはNRであり;
各Yは独立に、H、F、Cl、BrまたはIであり;
各Rは独立に、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)またはシアノであり;
各Rは独立に、OH、OR、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(R)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、NO、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)、アジド、シアノ、SCN、OCN、NCOまたはハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;
あるいはRとRが一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良く;
各mは独立に、0、1または2である。
【0157】
第1の下位実施形態では、
がHまたはホスフェート(好ましくはH)であり;
およびRが独立にH、ホスフェート、アシルまたはアミノ酸残基であり;RとRのうちの少なくとも一つがアシルまたはアミノ酸残基であり;
がCXであり;
がCH、CFまたはCHCHであり;
がアルキルであり;
XがO、S、SOまたはCHである式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、あるいは有効治療量の式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0158】
第2の下位実施形態では、
がHまたはホスフェート(好ましくはH)であり;
およびRが独立にH、ホスフェート、アシルまたはアミノ酸残基であり;RとRのうちの少なくとも一つがアミノ酸残基であり;
がCXであり;
がCH、CFまたはCHCHであり;
がアルキルであり;
XがO、S、SOまたはCHである式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、あるいは有効治療量の式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0159】
第3の下位実施形態では、
がHまたはホスフェート(好ましくはH)であり;
およびRが独立にH、ホスフェート、アシルまたはアミノ酸残基であり;RとRのうちの少なくとも一つがアシルまたはアミノ酸残基であり;
がCXであり;
がCH、CFまたはCHCHであり;
がアルキルであり;
XがOである式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、あるいは有効治療量の式(III)、(IV)または(V)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0160】
さらにより好ましい下位実施形態では、下記式(IV(a))の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(IV(a))の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0161】
【化18】
【0162】
式中、
塩基は、上記で定義の通りであり、アミンまたはシクロプロピル(例:2−アミノ、2,6−ジアミノまたはシクロプロピルグアノシン)で置換されていても良く;
はハロ(F、Cl、BrまたはI)であり、ただし好ましくはFであり;
は、H;ホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRまたはRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基である。1実施形態において、Rはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど)ではなく;Rはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRまたはRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基である。1実施形態において、Rはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど)ではない。
【0163】
第4の主たる実施形態では、下記式(VI)または(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)または(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0164】
【化19】
【0165】
式中、
塩基、R、R、R、R、R、R、Y、Y、Y、Y、W、W、W、W、W、X、X、X、XおよびXは上記で定義の通りであり;
1実施形態において、式(VI)中のRが−OHまたは−NHであるのは、Xが炭素である場合のみであり;
各RおよびR11は独立に、水素、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、シアノ、NH−アシルまたはN(アシル)であり;
各RおよびR10は独立に、水素、OH、OR、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y,2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(R)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、NO、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)、アジド、シアノ、SCN、OCN、NCOまたはハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;
各mは独立に、0、1または2であり;
あるいは、RとR10、RとR、RとRまたはRとR11が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択される架橋化合物を形成していても良く;
あるいは、RとRまたはRとR10が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良い。
【0166】
特に好ましい実施形態では、
・Xが、O、S、SOまたはSOであり;および/または
・各Rが独立に、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各Rが独立に、−OH、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各Rが独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各R10が独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHC1、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0167】
【化20】
【0168】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0169】
特に好ましい別の実施形態では、
・Xが、O、S、SOまたはSOであり;および/または
・RとRが一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各Rが独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各R10が独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHC1、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0170】
【化21】
【0171】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0172】
別の特に好ましい実施形態では、
・Xが、O、S、SOまたはSOであり;および/または
・各Rが独立に、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各Rが独立に、−OH、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・RとR10が一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0173】
【化22】
【0174】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグ、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0175】
別の特に好ましい実施形態では、
・Xが、O、S、SOまたはSOであり;および/または
・RとRが一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・RとR10が一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0176】
【化23】
【0177】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0178】
特に好ましい実施形態では、
・Xが、CH、CHOH、CHF、CF、C(Y、CHCN、C(CN)、CHRまたはC(Rであり;および/または
・各Rが独立に、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各Rが独立に、−OH、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各Rが独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各R10が独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHC1、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0179】
【化24】
【0180】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0181】
特に好ましい別の実施形態では、
・Xが、CH、CHOH、CHF、CF、C(Y、CHCN、C(CN)、CHRまたはC(Rであり;および/または
・RとRが一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各Rが独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各R10が独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHC1、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0182】
【化25】
【0183】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0184】
別の特に好ましい実施形態では、
・Xが、CH、CHOH、CHF、CF、C(Y、CHCN、C(CN)、CHRまたはC(Rであり;および/または
・各Rが独立に、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各Rが独立に、−OH、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・RとR10が一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0185】
【化26】
【0186】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0187】
別の特に好ましい実施形態では、
・Xが、CH、CHOH、CHF、CF、C(Y、CHCN、C(CN)、CHRまたはC(Rであり;および/または
・RとRが一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・RとR10が一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0188】
【化27】
【0189】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0190】
特に好ましい実施形態では、
・Xが、CH、CF、CYまたはCRであり;および/または
・各Rが独立に、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各Rが独立に、−OH、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各Rが独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各R10が独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHC1、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0191】
【化28】
【0192】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0193】
特に好ましい別の実施形態では、
・Xが、CH、CF、CYまたはCRであり;および/または
・RとRが一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各Rが独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−OH、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・各R10が独立に、水素、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHC1、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0194】
【化29】
【0195】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0196】
別の特に好ましい実施形態では、
・Xが、CH、CF、CYまたはCRであり;および/または
・各Rが独立に、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(Rまたは(CHCONHRであり;および/または
・各Rが独立に、−OH、置換されていても良い低級アルキル、置換されていても良いアルケニル、置換されていても良いアルキニル、置換されていても良いシクロアルキル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCO、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCON(R、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環、および独立に単独もしくは組合せでのヘテロ原子としてのO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環であり;および/または
・RとR10が一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0197】
【化30】
【0198】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0199】
別の特に好ましい実施形態では、
・Xが、CH、CF、CYまたはCRであり;および/または
・RとRが一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・RとR10が一体となって、1以上のN、Oおよび/またはS原子を有する置換されていても良い3〜7員のスピロ炭素環または複素環化合物からなる群から選択されるスピロ化合物を形成しており;前記ヘテロ原子は独立に、単独でまたは互いに組み合わされた形態であり;および/または
・各RおよびR11が独立に、H、CH、CHOH、CHF、CH、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CH)CON(R、(CHCONHRおよびN−アシルであり;および/または
・各mが独立に、0または1であり;および/または
塩基が、下記のものおよびこれらの互変異体のいずれかから選択され;
【0200】
【化31】
【0201】
各R’、R''、R'''およびR''''が独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
Wは、C−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHである、式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0202】
第1の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立に、OR、アルキル、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0203】
第2の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立にORであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0204】
第3の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立に、OR、アルキル、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10がHであり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0205】
第4の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rが、アルキル、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立に、OR、アルキル、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがOであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0206】
第5の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立にORであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0207】
第6の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立にOR、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10がHであり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0208】
第7の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立にOR、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがOであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0209】
第8の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rが、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立にORであり;(4)RおよびR10が水素であり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0210】
第9の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rが、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立にORであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがOであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0211】
第10の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェート(モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグなど);アシル(低級アシルなど);アルキル(低級アルキルなど);メタンスルホニルのようなアルキルもしくはアリールアルキルスルホニルなどのスルホン酸エステルおよびフェニル基が本明細書に示したアリールの定義で記載の通りの1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;リン脂質などの脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる他の製薬上許容される脱離基であり;(2)Rが、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立に、OR、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10が水素であり;(5)XがOであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0212】
第11の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェートであり;(2)Rが、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、ヒドロキシ、O−アルキル、O−アルケニル、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(3)RおよびRが独立に、ORであり;(4)RおよびR10が水素であり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0213】
第12の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェートであり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立にORであり;(4)RおよびR10が水素であり;(5)XがO、S、SOまたはCHであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0214】
第13の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェートであり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立にORであり;(4)RおよびR10が独立に、H、アルキル(低級アルキルなど)、塩素、臭素またはヨウ素であり;(5)XがOであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0215】
第14の下位実施形態では、(1)Rが独立に、Hまたはホスフェートであり;(2)Rがアルキルであり;(3)RおよびRが独立に、OR、アルキル(低級アルキルなど)、アルケニル、アルキニル、Br−ビニル、O−アルケニル、塩素、臭素、ヨウ素、NO、アミノ、低級アルキルアミノまたはジ(低級アルキル)アミノであり;(4)RおよびR10が水素であり;(5)XがOであり;(6)WがCXであり;(7)XがCH、CFまたはCHCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0216】
さらにより好ましい下位実施形態では、
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルグアニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が6−メチルシトシンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が6−メチルチミジンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が6−メチルウラシルであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rがホスフェートであり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがエチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがプロピルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがブチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)Rが水素であり、Rがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがSである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがSOである;
(1)塩基が8−メチルアデニンであり;(2)Rが水素であり;(3)Rがメチルであり;(4)RおよびRがヒドロキシルであり;(5)RおよびR10が水素であり;(6)XがCHである式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VI)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0217】
第5の主たる実施形態では、下記式(VIII)、(IX)または(X)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(VIII)、(IX)または(X)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0218】
【化32】
【0219】
式中、
、R、R、R、R、Y、XおよびXは上記で定義の通りであり;
塩基は、本明細書で定義のプリン塩基またはピリミジン塩基であり;
各R12は独立に、置換アルキル(低級アルキルなど)、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換アルケニル、ハロアルケニル(ただしBr−ビニルではない)、置換アルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)であり;
各R13は独立に、置換アルキル(低級アルキルなど)、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換アルケニル、ハロアルケニル(ただしBr−ビニルではない)、置換アルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(R)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、−NHR、−NR、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、SCN、OCN、NCOまたはフルオロであり;
あるいはR12とR13が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良く;
各mは独立に、0、1または2である。
【0220】
第6の主たる実施形態では、下記式(XI)または(XII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XI)または(XII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0221】
【化33】
【0222】
式中、
塩基、R、R、R、R、R、R、R12、R13、Y、Y、Y、Y、W、W、W、W、W、X、X、XおよびXは上記で定義の通りであり;
1実施形態において、式(XI)におけるRが−OHまたは−NHであるのは、Xが炭素である場合のみであり;
各RおよびR11は独立に、水素、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、−CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、シアノ、NH−アシルまたはN(アシル)であり;
各RおよびR10は独立に、水素、OH、OR、置換されていても良いアルキル(低級アルキルなど)、CH、CHCN、CH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHOH、ハロゲン化アルキル(ハロゲン化低級アルキルなど)、CF、C(Y、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、CFCF、C(YC(Y、置換されていても良いアルケニル、ハロアルケニル、Br−ビニル、置換されていても良いアルキニル、ハロアルキニル、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)、置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)、置換されていても良いヘテロアリール(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員のヘテロ芳香環)、−CHC(O)OH、−CHC(O)OR、CHC(O)O(低級アルキル)、−CHC(O)SH、−CHC(O)SR、−CHC(O)S(低級アルキル)、−CHC(O)NH、−CHC(O)NHR、−CHC(O)NH(低級アルキル)、−CHC(O)N(R、−CHC(O)N(低級アルキル)、−(CHC(O)OH、−(CHC(O)OR、−(CHC(O)O(低級アルキル)、−(CHC(O)SH、−(CHC(O)SR、−(CHC(O)S(低級アルキル)、−(CHC(O)NH、−(CHC(O)NHR、−(CHC(O)NH(低級アルキル)、−(CHC(O)N(R、−(CHC(O)N(低級アルキル)、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)O(低級アルキル)、−C(O)SH、−C(O)SR、−C(O)S(低級アルキル)、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NH(低級アルキル)、−C(O)N(R、−C(O)N(低級アルキル)、−O(アシル)、−O(低級アシル)、−O(R)、−O(アルキル)、−O(低級アルキル)、−O(アルケニル)、−O(アルキニル)、−O(アラルキル)、−O(シクロアルキル)、−S(アシル)、−S(低級アシル)、−S(R)、−S(低級アルキル)、−S(アルケニル)、−S(アルキニル)、−S(アラルキル)、−S(シクロアルキル)、NO、NH、−NH(低級アルキル)、−NHR、−NR、−NH(アシル)、−N(低級アルキル)、−NH(アルケニル)、−NH(アルキニル)、−NH(アラルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アシル)、アジド、シアノ、SCN、OCN、NCOまたはハロ(フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード)であり;
各mは独立に、0、1または2であり;
あるいはRとR13、RとR13、RとR11またはR10とR12が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択される架橋化合物を形成していても良く;
あるいは、R12とR13またはRとR10が一体となって、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を形成していても良い。
【0223】
本発明の特定の態様では、下記式(XIII)または(XIV)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XIII)または(XIV)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0224】
【化34】
【0225】
式中、
は、H;モノ−、ジ−およびトリホスフェートまたは安定化ホスフェート;アシル;スルホン酸エステル;置換されていても良いアルキルスルホニル;置換されていても良いアリールスルホニル;脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;およびin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはモノ−、ジ−もしくはトリホスフェートである化合物を与えることができる製薬上許容される脱離基であり;
X''は、1以上のO、S、SO、SO、N、NH、NRおよびCHからなる群から選択され、それらのいずれも置換されていても良く、位置が変動して3〜7員環を形成していても良く;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
Bは、置換されていても良い炭素環(好ましくは3〜7員の炭素環)または置換されていても良い複素環(好ましくは1以上のO、Sおよび/またはNを有する3〜7員の複素環)からなる群から選択されるスピロ化合物を示し;
塩基は、下記のものおよびこれらの互変異体からなる群から選択され;
【0226】
【化35】
【0227】
各R’、R''、R'''およびR''''は独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
mは0または1であり;
WはC−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立にNまたはC−Rであり;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
、Q、QおよびQは独立にNまたはCHである。
【0228】
本発明の第2の特定の態様では、下記式(XV)、(XVI)または(XVII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XV)、(XVI)または(XVII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0229】
【化36】
【0230】
式中、
GおよびEは独立に、CH、CHOH、CHF、CH、CHCN、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONR、(CHCONHRおよびN−アシルからなる群から選択され;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
mは0または1であり;
および塩基は式(XIII)について定義の通りである。
【0231】
あるいは、式(XVII)の化合物において、GおよびEのうちの多くとも1個がさらに、水素であることができる。
【0232】
本発明の第3の特定の態様では、下記式(XVIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XVIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0233】
【化37】
【0234】
式中、
Mは、S、SOおよびSOからなる群から選択され;
および塩基は式(XIII)について定義の通りである。
【0235】
本発明の第4の特定の態様では、下記式(XIX)、(XX)、(XXI)(XXII)または(XXIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(XIX)、(XXI)(XXII)または(XXIII)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0236】
【化38】
【0237】
式中、
Aは、置換されていても良い低級アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCO−NH、(CHCONRおよび(CHCONHRからなる群から選択され;
Yは、H、置換されていても良い低級アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONRおよび(CHCONHRからなる群から選択され;
Rは、H、アルキルまたはアシルであり;
Xは、−OH、置換されていても良いアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−アリール、−O−アラルキル、−O−シクロアルキル−、O−アシル、F、Cl、Br、I、CN、NC、SCN、OCN、NCO、NO、NH、N、NH−アシル、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アルケニル、NH−アルキニル、NH−アリール、NH−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アルケニル、S−アルキニル、S−アリール、S−アラルキル、S−アシル、S−シクロアルキル、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、CONH−アルケニル、CONH−アルキニル、CONH−アラルキル、CONH−シクロアルキル、CHOH、CHNH、CHNHCH、CHN(CH、CHF、CHCl、CH、CHCN、CHCF、CF、CFCF、CHCOR、(CHCOOH、(CHCOOR、(CHCONH、(CHCONR、(CHCONHR、置換されていても良い3〜7員の炭素環および単独または組み合わせたヘテロ原子として独立にO、Sおよび/またはNを有する置換されていても良い3〜7員の複素環からなる群から選択され;
mは0または1であり;
は、H;モノ−、ジ−およびトリ−ホスフェートまたは安定化ホスフェートプロドラッグ;置換もしくは未置換アルキル;アシル;スルホン酸エステル;置換されていても良いアルキルスルホニル;置換されていても良いアリールスルホニル;脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;およびin vivoで投与した場合にRが独立にHまたはモノ−、ジ−もしくはトリホスフェートである化合物を与えることができる製薬上許容される脱離基からなる群から選択され;
塩基が、下記のものからなる群から選択される非天然塩基であり;
【0238】
【化39】
【0239】
各R’、R''、R'''およびR''''は独立に、H、OH、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、シクロアルキル、Br−ビニル、−O−アルキル、O−アルケニル、O−アルキニル、O−アリール、O−アラルキル、−O−アシル、O−シクロアルキル、NH、NH−アルキル、N−ジアルキル、NH−アシル、N−アリール、N−アラルキル、NH−シクロアルキル、SH、S−アルキル、S−アシル、S−アリール、S−シクロアルキル、S−アラルキル、F、Cl、Br、I、CN、COOH、CONH、CO−アルキル、CONH−アルキル、CON−ジアルキル、OH、CF、CHOH、(CHOH、(CHNH、(CHCOOH、(CHCN、(CHNOおよび(CHCONHからなる群から選択され;
mは0または1であり;
WはC−R''またはNであり;
TおよびVは独立に、CHまたはNであり;
Qは、CH、−CCl、−CBr、−CF、−CI、−CCN、−C−COOH、−C−CONHまたはNであり;
およびQは独立に、NまたはC−R''''であり;
、Q、QおよびQは独立に、NまたはCHであり;
ただし、塩基(g)および(i)において、R’、R''''はH、OHおよびNHではなく;Q、T、V、Q、QおよびQはNではない。
【0240】
別の好ましい実施形態では、下記式(IX)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体、ならびに有効治療量の式(IX)の化合物あるいはそれの製薬上許容される塩もしくはプロドラッグまたは立体異性体、互変異体もしくは多形体を投与する段階を有するフラビウィルス科ウィルスに感染した宿主の治療方法が提供される。
【0241】
【化40】
【0242】
式中、
およびRは独立に、H;ホスフェート;直鎖、分岐または環状アルキル;アシル;CO−アルキル;CO−アリール;CO−アルコキシアルキル;CO−アリールオキシアルキル;CO−置換アリール;スルホン酸エステル;フェニル基が1以上の置換基で置換されていても良いベンジル;アルキルスルホニル;アリールスルホニル;アラルキルスルホニル;脂質;アミノ酸;炭水化物;ペプチド;コレステロール;またはin vivoで投与した場合にRおよびRが独立にHまたはホスフェートである化合物を与えることができる製薬上許容される脱離基であり;
Xは、O、S、SOまたはCHであり;
塩基は、プリン塩基またはピリミジン塩基であり;
12は、C(Yであり;
は独立に、H、F、Cl、BrまたはIであり;
13はフルオロである。
【0243】
ある下位実施形態において、XはOであり、YはHである。別の下位実施形態において、XがOであり、YがHである場合、RおよびRもHである。
【0244】
II.立体化学
本発明のヌクレオシドがいくつかのキラル中心を有し、光学活性型およびラセミ型で存在し得るものであり、その形態で単離可能であることは明らかである。一部の化合物は多形を示し得る。理解すべき点として、本発明は、本明細書に記載の有用な特性を有する本発明の化合物のあらゆるラセミ体、光学活性体、ジアステレオマー、多形体または立体異性体を包含するものである。当業界では、光学活性体の製造方法は公知である(例えば、再結晶法によるラセミ体の分割により;光学活性原料からの合成により;キラル合成により;あるいはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー分離により)。
【0245】
特に、このヌクレオシドの1’および4’炭素がキラルであることから、それらの非水素置換基(それぞれ、塩基およびCHOR基)は、糖環系に関してシス(同じ側)またはトランス(反対側)であることができる。従って、それらの4種類の光学異性体は、シス(両方の基が「上側」にあり、天然β−Dヌクレオシドの配置に相当する)、シス(両方の基が「下側」にあり、非天然β−Dヌクレオシド配置に相当する)、トランス(C2’置換基が「上側」で、C4’置換基が「下側」)およびトランス(C2’置換基が「下側」で、C4’置換基が「上側」)という配置(酸素原子が後ろ側に来るように、糖部分を水平面で配向させた場合)によって表される。「D−ヌクレオシド」は天然配置でのシスヌクレオシドであり、「L−ヌクレオシド」は非天然配置でのシスヌクレオシドである。
【0246】
同様に、ほとんどのアミノ酸がキラルであり(LまたはDと称され、Lエナンチオマーが天然配置である)、別個のエナンチオマーとして存在することができる。
【0247】
光学活性物の取得方法の例は当業界で公知であり、少なくとも下記のものなどがある。
【0248】
i)結晶の物理的分離:個々のエナンチオマーの肉眼でわかる結晶を手作業で分離する技術。この技術は、別個のエナンチオマーの結晶が存在する場合、すなわち得られたものが集塊であり、結晶が肉眼で識別される場合に用いることができる。
【0249】
ii)同時結晶化:個々のエナンチオマーをラセミ体の溶液から別個に結晶化させる技術であり、そのラセミ体が固体状態の集塊である場合にのみ可能である。
【0250】
iii)酵素的分割:エナンチオマーの酵素との反応の速度の違いを用いるラセミ体の部分的または完全な分離を行う技術。
【0251】
iv)酵素的不斉合成:合成の少なくとも1段階で酵素反応を用いて、エナンチオマー的に純粋または豊富な所望のエナンチオマーの合成前駆体を得る合成技術。
【0252】
v)化学的不斉合成:生成物に不斉(すなわちキラリティー)を生じる条件下でアキラル前駆体から所望のエナンチオマーを合成する合成技術であり、キラル触媒またはキラル補助剤を用いることで行うことができる。
【0253】
vi)ジアステレオマー分離:ラセミ化合物を、個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換するエナンチオマー的に純粋な試薬(キラル補助剤)と反応させる技術。次に、得られたジアステレオマーを、より明瞭な構造的差異を利用したクロマトグラフィーまたは結晶化によって分離し、後段階でキラル補助剤を脱離させることで所望のエナンチオマーを得る。
【0254】
vii)一次および二次不斉変換:ラセミ体からのジアステレオマーを平衡状態として、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーを溶液中で優勢とするか、所望のエナンチオマーからのジアステレオマーの優先的結晶化によって平衡を乱して、最終的にほぼ全ての物質を所望のエナンチオマーの結晶ジアステレオマーに変換する技術。次に、所望のエナンチオマーをジアステレオマーから放出させる。
【0255】
viii)速度論的分割:この技術は、速度論的条件下でのエナンチオマーのキラルで非ラセミ体の試薬もしくは触媒との反応速度差に基づいて、ラセミ体の部分的または完全分割を行うこと(あるいは部分的に分割された化合物のさらなる分割を行うこと)を指す。
【0256】
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成:非キラル原料から所望のエナンチオマーを得る合成技術であって、合成途中では立体化学的完全性は損なわれないか、ごくわずかしか損なわれないもの。
【0257】
x)キラル液体クロマトグラフィー:ラセミ体のエナンチオマーを固定相との相互作用の差に基づいて液体移動相中で分離する技術。固定相をキラル材料製とすることができるか、あるいは移動相に別のキラル材料を含ませて相互作用差を生じさせることができる。
【0258】
xi)キラルガスクロマトグラフィー:ラセミ体を気化させ、固定化された非ラセミ体のキラル吸着剤相を含むカラムとの気体移動相中での相互作用差に基づいてエナンチオマーを分離する技術。
【0259】
xii)キラル溶媒による抽出:特定のキラル溶媒中へのあるエナンチオマーの優先的溶解に基づいてエナンチオマーを分離する技術。
【0260】
xiii)キラル膜横断輸送:ラセミ体を薄膜障壁と接触状態に置く技術。その障壁は通常は、一方がラセミ体を含む2つの混和性流体を分離し、濃度差または圧力差などの推進力によって、膜障壁横断の優先的輸送が生じる。ラセミ体の一方のエナンチオマーのみを通過させることができる膜の非ラセミ的キラル性の結果として分離が起こる。
【0261】
III.定義
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、別段の指定がない限り、飽和の直鎖、分枝または環状の1級、2級または3級の、通常はC〜C10の炭化水素を指し、具体的には、メチル、CF、CCl、CFCl、CFCl、エチル、CHCF、CFCF、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチルおよび2,3−ジメチルブチルなどがある。この用語には、置換アルキル基も非置換アルキル基も含まれ、特にはハロゲン化アルキル基、さらに詳細にはフッ素化アルキル基が含まれる。アルキル基が置換していても良い部分の例としては、未保護であるか、当業者には公知のように必要に応じて(例えば、Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991(参照によって本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って)保護されたハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルホン酸エステル、ホスホン酸、リン酸エステルまたはホスホン酸エステルからなる群から選択される。
【0262】
本明細書で使用される場合、「低級アルキル」という用語は、別段の断りがない限り、置換部分と未置換部分の両方を含むC〜Cで飽和の直鎖、分岐もしくは適切であれば環状の(例えばシクロプロピル)アルキル基を指す。
【0263】
「アルキルアミノ」または「アリールアミノ」という用語は、それぞれ1個もしくは2個のアルキルもしくはアリール置換基を有するアミノ基を指す。本願で別段の断りがない限り、アルキルが好適な部分である場合には、低級アルキルが好ましい。同様に、アルキルまたは低級アルキルが好適な部分である場合には、未置換のアルキルもしくは低級アルキルが好ましい。
【0264】
本明細書で使用される場合、「保護(された)」という用語は、別段の定義がない限り、その基がさらに反応しないように、あるいは他の目的のために、酸素、窒素またはリン原子を付加させた基を指す。有機合成分野の当業者には、非常に多様な酸素および窒素保護基が知られている。
【0265】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、別段の断りがない限り、フェニル、ビフェニルまたはナフチルを指し、フェニルが好ましい。その用語には、置換部分も非置換部分も含まれる。アリール基は、未保護であるか、当業者には公知のように必要に応じて(例えば、Greene, et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991に記載の方法に従って)保護されたハロゲン(フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルホン酸エステル、ホスホン酸、リン酸エステルまたはホスホン酸エステルからなる群から選択される1以上の部分など(これらに限定されるものではない)のいずれか記載の部分で置換されていても良い。
【0266】
「アルカリール」または「アルキルアリール」という用語は、アリール置換基を有するアルキル基を指す。アラルキルまたはアリールアルキルという用語は、アルキル置換基を有するアリール基を指す。
【0267】
本明細書で使用される場合、「ハロ」という用語は、クロロ、ブロモ、ヨードおよびフルオロを含む。
【0268】
「プリン」または「ピリミジン」塩基という用語は、アデニン、N−アルキルプリン類、N−アシルプリン類(アシルはC(O)(アルキル、アリール、アルキルアリールもしくはアリールアルキル)である)、N−ベンジルプリン、N−ハロプリン、N−ビニルプリン、N−アセチレニックプリン、N−アシルプリン、N−ヒドロキシアルキルプリン、N−アルキルアミノプリン、N−チオアルキルプリン、N−アルキルプリン類、N−アルキル−6−チオプリン類、チミン、シトシン、5−フルオロシトシン、5−メチルシトシン、6−アザピリミジン(6−アザシトシンなど)、2−および/または4−メルカプトピリミジン、ウラシル、5−ハロウラシル(5−フルオロウラシルなど)、C−アルキルピリミジン類、C−ベンジルピリミジン類、C−ハロピリミジン類、C−ビニルピリミジン、C−アセチレニックピリミジン、C−アシルピリミジン、C−ヒドロキシアルキルプリン、C−アミドピリミジン、C−シアノピリミジン、C−ヨードピリミジン、C−ヨード−ピリミジン、C−Br−ビニルピリミジン、C−Br−ビニルピリミジン、C−ニトロピリミジン、C−アミノ−ピリミジン、N−アルキルプリン類、N−アルキル−6−チオプリン類、5−アザシチジニル、5−アザウラシリル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニルおよびピラゾロピリミジニルを含むが、これらに限定されるものではない。プリン塩基には、グアニン、アデニン、ヒポキサンチン、2,6−ジアミノプリンおよび6−クロロプリンなどがあるが、これらに限定されるものではない。塩基上の官能性の酸素基および窒素基は、必要または所望に応じて保護することができる。好適な保護基は当業者には公知であり、トリメチルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリルおよびt−ブチルジフェニルシリル、トリチル、アルキル基、アセチルやプロピオニルなどのアシル基、メタンスルホニル、およびp−トルエンスルホニルなどがある。
【0269】
「アシル」または「O−連結エステル」という用語は、式C(O)R’の基を指し、R’は直鎖、分岐または環状アルキル(低級アルキルなど)、アミノ酸、フェニルなどのアリール、アルカリール、ベンジルなどのアラルキル、メトキシメチルなどのアルコキシアルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル;あるいは置換アルキル(低級アルキルなど)、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード、C〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシで置換されていても良いフェニルなどのアリール、メタンスルホニルなどのアルキルもしくはアラルキルスルホニルのようなスルホン酸エステル、モノ、ジもしくはトリホスフェートエステル、トリチルもしくはモノメトキシ−トリチル、置換ベンジル、アルカリール、ベンジルなどのアラルキル、メトキシメチルなどのアルコキシアルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキルである。エステルにおけるアリール基は至適には、フェニル基を有する。特に、アシル基にはアセチル、トリフルオロアセチル、メチルアセチル、シクロプロピルアセチル、シクロプロピルカルボキシ、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ネオヘプタノイル、フェニルアセチル、2−アセトキシ−2−フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、α−メトキシ−α−トリフルオロメチル−フェニルアセチル、ブロモアセチル、2−ニトロ−ベンゼンアセチル、4−クロロ−ベンゼンアセチル、2−クロロ−2,2−ジフェニルアセチル、2−クロロ−2−フェニルアセチル、トリメチルアセチル、クロロジフルオロアセチル、パーフルオロアセチル、フルオロアセチル、ブロモジフルオロアセチル、メトキシアセチル、2−チオフェンアセチル、クロロスルホニルアセチル、3−メトキシフェニルアセチル、フェノキシアセチル、tert−ブチルアセチル、トリクロロアセチル、モノクロロ−アセチル、ジクロロアセチル、7H−ドデカフルオロ−ヘプタノイル、パーフルオロ−ヘプタノイル、7H−ドデカ−フルオロヘプタノイル、7−クロロドデカフルオロ−ヘプタノイル、7−クロロ−ドデカフルオロ−ヘプタノイル、7H−ドデカフルオロヘプタノイル、7H−ドデカ−フルオロヘプタノイル、ノナ−フルオロ−3,6−ジオキサ−ヘプタノイル、ノナフルオロ−3,6−ジオキサヘプタノイル、パーフルオロヘプタノイル、メトキシベンゾイル、メチル3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボキシル、3,6−ジクロロ−2−メトキシ−ベンゾイル、4−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−ベンゾイル、2−ブロモ−プロピオニル、ω−アミノカプリル、デカノイル、n−ペンタデカノイル、ステアリル、3−シクロペンチル−プロピオニル、1−ベンゼン−カルボキシル、O−アセチルマンデリル、ピバロイルアセチル、1−アダマンタン−カルボキシル、シクロヘキサン−カルボキシル、2,6−ピリジンジカルボキシル、シクロプロパン−カルボキシル、シクロブタン−カルボキシル、パーフルオロシクロヘキシルカルボキシル、4−メチルベンゾイル、クロロメチルイソオキサゾリルカルボニル、パーフルオロシクロヘキシルカルボキシル、クロトニル、1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボニル、2−プロペニル、イソバレリル、1−ピロリジンカルボニル、4−フェニルベンゾイルなどがある。アシルという用語を用いる場合、アセチル、トリフルオロアセチル、メチルアセチル、シクロプロピルアセチル、プロピオニル、ブチリル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ネオ−ヘプタノイル、フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、α−トリフルオロメチル−フェニルアセチル、ブロモアセチル、4−クロロ−ベンゼンアセチル、2−クロロ−2,2−ジフェニルアセチル、2−クロロ−2−フェニルアセチル、トリメチルアセチル、クロロジフルオロアセチル、パーフルオロアセチル、フルオロアセチル、ブロモジフルオロアセチル、2−チオフェンアセチル、tert−ブチルアセチル、トリクロロアセチル、モノクロロ−アセチル、ジクロロアセチル、メトキシベンゾイル、2−ブロモ−プロピオニル、デカノイル、n−ペンタンデカノイル、ステアリル、3−シクロペンチル−プロピオニル、1−ベンゼンカルボキシル、ピバロイルアセチル、1−アダマンタン−カルボキシル、シクロヘキサン−カルボキシル、2,6−ピリジンジカルボキシル、シクロプロパン−カルボキシル、シクロブタン−カルボキシル、4−メチルベンゾイル、クロトニル、1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボニル、2−プロペニル、イソバレリル、4−フェニルベンゾイルの具体的かつ独立の開示を意味するものである。
【0270】
「アミノ酸」という用語には、天然および合成のα、β、γまたはδアミノ酸類などがあり、タンパク質で認められるアミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンなどがあるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態では前記アミノ酸は、L−配置のものである。あるいは前記アミノ酸は、アラニル、バリニル、ロイシニル、イソロイシニル、プロリニル、フェニルアラニニル、トリプトファニル、メチオニニル、グリシニル、セリニル、スレオニニル、システイニル、チロシニル、アスパラギニル、グルタミニル、アスパルトイル、グルタロイル、リジニル、アルギニニル、ヒスチジニル、β−アラニル、β−バリニル、β−ロイシニル、β−イソロイシニル、β−プロリニル、β−フェニルアラニニル、β−トリプトファニル、β−メチオニニル、β−グリシニル、β−セリニル、β−スレオニニル、β−システイニル、β−チロシニル、β−アスパラギニル、β−グルタミニル、β−アスパルトイル、β−グルタロイル、β−リジニル、β−アルギニニルまたはβ−ヒスチジニルの誘導体であることができる。表1〜24には、本発明に含まれる化学種の例を挙げてある。アミノ酸という用語を用いる場合、それは、DおよびL−配置でのα、β、γまたはδグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニンおよびヒスチジンの各エステルの具体的かつ独立の開示であると見なされる。
【0271】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」または「実質的に存在しない」という用語は、ヌクレオシドの指定のエナンチオマーを少なくとも85または90重量%、好ましくは95重量%、98重量%、99重量%または100重量%含むヌクレオシド組成物を指す。好ましい実施形態において、本発明の方法および化合物では、化合物はエナンチオマーを実質的に含まない。
【0272】
同様に、「単離された」という用語は、ヌクレオシドを少なくとも85重量%、90重量%、95重量%、98重量%、99重量%または100重量%含み、残りが他の化学種またはエナンチオマーを含むヌクレオシド組成物を指す。
【0273】
本明細書では、「宿主」という用語は、ウィルス複製が可能な単細胞生物または多細胞生物を指し、細胞系および動物、好ましくはヒトが含まれる。あるいは宿主は、本発明の化合物によってその複製または機能が変更され得るフラビウィルスまたはペスチウィルスのゲノムの一部を保有していてもよい。宿主という用語は、具体的には、感染細胞、フラビウィルスまたはペスチウィルスのゲノムの全体または部分をトランスフェクトした細胞、および動物、特に(チンパンジーを含む)霊長類およびヒトを指す。本発明の大部分の動物適用例では、宿主はヒトの患者である。しかし、ある適応症では、本発明は、明らかに動物への適用を見込んでいる(チンパンジーなど)。
【0274】
本明細書を通じて、用語「製薬上許容される塩またはプロドラッグ」というは、患者に投与されるとヌクレオシド化合物をもたらす何らかの製薬上許容される形(エステル、リン酸エステル、エステルまたは関連した基の塩)のヌクレオシド化合物を説明するのに用いられる。製薬上許容される塩には、製薬上許容される無機または有機の塩基および酸から誘導されたものが含まれる。適切な塩には、製薬業界でよく知られている多くの酸のうち、カリウムやナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属から誘導されたものが含まれる。製薬上許容されるプロドラッグは、宿主の中で代謝、たとえば加水分解または酸化されて、本発明の化合物を生成する化合物を指す。プロドラッグの代表的な例には、活性化合物の官能性部分に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が含まれる。プロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱水、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、脱リン酸化されて、活性化合物を生成することのできる化合物が含まれる。本発明の化合物は、フラビウィルス科ウィルスに対して抗ウィルス活性を有する、または代謝されるとそのような活性を示す化合物になる。
【0275】
IV.プロドラッグおよび誘導体
活性化合物は、被投与者に対して投与した時に親化合物を直接または間接に与えることができるか、あるいはそれ自体が活性を示す塩またはプロドラッグとして投与することができる。例としては、製薬上許容される塩(あるいは、「生理的に許容される塩」とも称される)ならびに5’位またはプリン塩基もしくはピリミジン塩基上でアルキル化、アシル化その他の修飾を受けている化合物(「製薬上許容されるプロドラッグ」の一種)があるが、それらに限定されるものではない。さらに、その修飾は化合物の生理活性に影響を与える可能性があり、場合によっては親化合物と比較して活性が高くなる。それは、本明細書に記載の方法あるいは当業者には公知の他の方法に従って塩もしくはプロドラッグを製造し、それの抗ウィルス活性を調べることで容易に評価することができる。
【0276】
A.製薬上許容される塩
化合物が、安定な非毒性の酸または塩基の塩を形成するだけの塩基性または酸性を有する場合、化合物を製薬上許容される塩として投与することが適切である。製薬上許容される塩の例は、生理的に許容されるアニオンを生成する酸を加えることで形成される有機酸の付加塩、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩、α−グリセロリン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩およびサリチル酸塩である。硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、臭化水素酸塩およびリン酸などの、適切な無機塩を生成してもよい。好ましい実施形態では、その塩はモノ塩酸塩またはジ塩酸塩である。
【0277】
製薬上許容される塩は、当技術分野でよく知られている標準の手順を利用して、例えばアミンなどの十分に塩基性の化合物と生理的に許容されるアニオンをもたらす適切な酸を反応させることによって得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウムまたはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩を作製してもよい。1実施形態では、前記塩は化合物の塩酸塩である。別の実施形態では、前記製薬上許容される塩はジ塩酸塩である。
【0278】
B.ヌクレオチドプロドラッグ製剤
本明細書に記載のヌクレオシドは、ヌクレオシドプロドラッグとして投与して、活性、生物学的利用能、安定性を高め、あるいは他の点でヌクレオシドの特性を変更することができる。数種のヌクレオシドプロドラッグリガンドが知られている。一般に、ヌクレオシドの一、二、または三リン酸のアルキル化、アシル化、または他の親油性化修飾により、極性が低下し、細胞への進入が可能となる。リン酸部分の1個または複数の水素を置換できる置換基の例には、アルキル、アリール、ステロイド、糖を含む炭水化物、1,2−ジアシルグリセロール、およびアルコールがある。多くのものが文献(R. Jones and N. Bischoferger, Antiviral Research, 1995, 27: 1−17)に記載されている。これらのいずれも、開示のヌクレオシドと併用して、所望の効果を得ることができる。
【0279】
別の実施形態では、前記ヌクレオシドは、ホスホン酸塩またはSATE誘導体として投与される。
【0280】
活性ヌクレオシドは、2’、3’および/または5’−ホスホエーテル脂質または2’、3’および/または5’−エーテル脂質としても提供することができる。例として、各種文献(Kucera, L. S., N. Iyer, E. Leake, A. Raben, Modest E. K., D. L. W. and C. Piantadosi. 1990.″Novel membrane−interactive ether lipid analogs that inhibit infectious HIV−1 production and induce defective virus formation″, AIDS Res. Hum. Retro Viruses. 6:491−501; Piantadosi, C., J. Marasco C. J., S. L. Morris−Natschke, K. L. Meyer, F. Gumus, J. R. Surles, K .S. Ishaq, L. S. Kucera, N. Iyer, C. A. Wallen, S. Piantadosi, and E. J. Modest. 1991. ″Synthesis and evaluation of novel ether lipid nucleoside conjugates for anti−HIV activity.″J. Med. Chem. 34: 1408.1414 ; Hosteller, K. Y. , D. D. Richman, D. A. Carson, L. M. Stuhmiller, G. M. T. van Wijk, and H. van den Bosch. 1992. ″Greatly enhanced inhibition of human immunodeficiency virus type 1 replication in CEM and HT4−6C cells by 3’−deoxythymine diphosphate dimyristoylglycerol, a lipid prodrug of 3,−deoxythymine.″ Antimicrob. Agents Chemother. 36: 2025.2029; Hosetler, K. Y., L. M. Stuhmiller, H. B. Lenting, H. van den Bosch, and D. D. Richman, 1990. ″Synthesis and antiretroviral activity of phospholipid analogs of azidothymine and other antiviral nucleosides.″ J. Biol. Chem. 265: 61127)(これらは参照によって本明細書に組み込まれる)に記載されているが、それらに限定されるものではない。
【0281】
ヌクレオシドに、好ましくはヌクレオシドの2’、3’および/または5’−OH位で共有結合的に組み込むことができる好適な親油性置換基または親油性製剤を開示した米国特許の例には、米国特許第5149794号(1992年9月22日、ヤトビン(Yatvin)ら);5194654号(1993年3月16日、ホステトラー(Hostetler)ら)、5223263号(1993年6月29日、ホステトラーら);5256641号(1993年10月26日、ヤトビンら);5411947号(1995年5月2日、ホステトラーら);5463092号(1995年10月31日、ホステトラーら);5543389号(1996年8月6日、ヤトビンら);5543390号(1996年8月6日、ヤトビンら);5543391号(1996年8月6日、ヤトビンら);および5554728号(1996年9月10日;バサバ(Basava)ら)(これらはいずれも、参照によって本明細書に組み込まれる)などがあるが、これらに限定されるものではない。本発明のヌクレオシドに結合することができる親油性置換基または親油性製剤を開示する外国特許出願には、WO89/02733、WO90/00555、WO91/16920、WO91/18914、WO93/00910、WO94/26273、WO96/15132、EP0350287、EP93917054.4およびWO91/19721などがある。
【0282】
アリールエステル類、特にはフェニルエステルも提供される。例として、デランベルトらの報告(DeLambert et al., J. Med. Chem. 37: 498 (1994))に開示されているが、それに限定されるものではない。ホスフェートに対してオルトのカルボキシルエステルを有するフェニルエステルも提供される(Khamnei and Torrence, J. Med Chem.; 39: 4109−4115 (1996))。詳細には、場合によりオルト位またはパラ位にある置換基を用いて加水分解を加速して、親化合物を生じるベンジルエステルが提供される。その種類のプロドラッグの例が、文献に記載されている(Mitchell et al., J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 2345 (1992);ブルック(Brook)ら、WO91/19721;およびグラチエ(Glazier)ら、WO91/19721)。
【0283】
環状および非環状ホスホン酸エステルも提供される。その例が、ハンストンらの報告(Hunston et al., J. Med. Chem. 27: 440−444 (1984))およびスターレットらの報告(Starrett et al. J. Med. Chem. 37: 1857− 1864 (1994))に開示されているが、それらに限定されるものではない。さらに、環状3’,5’−ホスフェートエステルが提供される。その例が、マイヤーらの報告(Meier et al. J. Med. Chem. 22: 811−815 (1979))に開示されているが、それに限定されるものではない。縮合アリール環を有するもの、すなわちシクロサリゲニルエステルなどの環状1’,3’−プロパニルホスホン酸エステルおよびホスフェートエステルも提供される(Meier etal., Bioorg. Med. Chem. Lett. 7: 99−104 (1997))。モノホスフェートの未置換の環状1’,3’−プロパニルエステルも提供される(Farquhar et al., J. Med. Chem. 26: 1153 (1983); Farquhar et al., J. Med Chem. 28: 1358 (1985))。さらに、C−1’でピバロイルオキシメチルオキシ基によって置換された環状1’,3’−プロパニルエステルが提供される(Freed et al., Biochem. Pharmac. 38: 3193 (1989);ビラー(Biller)ら、米国特許第5157027号)。
【0284】
環状ホスホルアミデート類が、酸化的機序によってin vivoで開裂することが知られている。従って、本発明の1実施形態では、各種の置換1’,3’プロパニル環状ホスホルアミド類が提供される。その例が、ゾンらの報告(Zon, Progress in Med. Chem. 19, 1205 (1982))によって開示されているが、それに限定されるものではない。さらに、多くの2’−および3’−置換プロエステルが提供される。2’−置換基には、メチル、ジメチル、ブロモ、トリフルオロメチル、クロロ、ヒドロキシおよびメトキシなどがあり、3’−置換基にはフェニル、メチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、i−プロピルおよびシクロヘキシルなどがある。各種の1’−置換類縁体も提供される。
【0285】
リン含有化合物の環状エステルも提供される。その例が、下記の文献に記載されているが、それらに限定されるものではない。
【0286】
・[1]リン酸のジおよびトリエステルが報告されている(Nifantyev et al., Phosphorus, Sulfur Silicon and Related Eelements, 113: 1 (1996); Wijnberg et al., EP−180276 A1)。
【0287】
・[2]リン(III)酸エステル。クリュクコフらの報告(Kryuchkov et al., Izv. Akad. Nauk SSSR, Ser. Khim. 6: 1244 (1987))。その化合物の一部は、L−ドーパ前駆体の不斉合成において有用であると主張されている。シルバイン(Sylvain)ら、DE3512781A1。
【0288】
[3]ホスホルアミデート類。シーらの報告(Shih et al., Bull. Inst. Chem. Acad Sin, 41: 9 (1994));エドムンドソンらの報告(Edmundson et al., J. Chem. Res. Synop. 5: 122 (1989))。
【0289】
[4]ホスホン酸塩。ナイドレインらの報告(Neidlein et al., Heterocycles 35: 1185 (1993))。
【0290】
さらに、好適な環状ホスホルアミデートプロドラッグを開示する米国特許および国際特許出願の例には、米国特許第6312662号;WO99/45016;WO00/52015;WO01/47935;およびメタベーシス・セラピューティクス社(Metabasis Therapeutics, Inc.)からのエリオン(Erion)らへのWO01/18013などがあるが、こられに限定されるものではない。具体的には、下記式Aのプロドラッグが提供される。
【0291】
【化41】
【0292】
式中、
・VとZが別の3〜5個の原子を介して連結されて、5〜7個の原子、適宜に1個のヘテロ原子を有し、リンに結合した両方のO基から3個の原子である炭素原子に結合したヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシもしくはアリールオキシカルボニルオキシで置換された環状基を形成しているか;あるいは
・VとZが別の3〜5個の原子を介して連結されて、リンに結合したOに対してβ位およびγ位のアリール基に縮合した1個のヘテロ原子を有していても良い環状基を形成しており;
・VとWが別の3個の原子を介して連結されて、6個の炭素原子を有し、リンに結合したOから3個の原子である前記炭素原子のいずれかに結合したヒドロキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アルキルチオカルボニルオキシおよびアリールオキシカルボニルオキシからなる群から選択される1個の置換基で置換されている置換されていても良い環状基を形成しており;
・ZとWが別の3〜5個の原子を介して連結されて、1個のヘテロ原子を有していても良い環状基を形成しており、Vはアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールとなるはずであり;
・WとW’が別の2〜5個の原子を介して連結されて、0〜2個のヘテロ原子を有していても良い環状基を形成しており、Vはアリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであるはずであり;
・Zは、−CHROH、−CHROC(O)R、−CHROC(S)R、−CHROC(S)OR、−CHROC(O)SR、−CHROCO、−OR、−SR、−CHR、−CHアリール、−CH(アリール)OH、−CH(CH=CR)OH、−CH(C.ident.CR)OH、−R、−NR、−OCOR、−OCO、−SCOR、−SCO、−NHCOR、−NHCO、−CHNHアリール、−(CH−OR12および−(CH−SR12からなる群から選択され;
・pは、2または3の整数であり;
・ただし、
・a)V、Z、W、W’が全て−Hであるとは限らず;
・b)Zが−Rである場合、V、WおよびW’のうちの少なくとも一つが、−H、アルキル、アラルキルまたは脂環式ではなく;
・Rは、Rおよび−Hからなる群から選択され;
・Rは、アルキル、アリール、脂環式およびアラルキルからなる群から選択され;
・R12は、−Hおよび低級アシルからなる群から選択され;
・Mは、生理活性剤であり、2’、3’および/または5’−ヒドロキシルを介して式Iにおけるリンに結合している。
【0293】
V.併用療法または交互療法
本発明の活性化合物は、別の抗フラビウィルスまたはペスチウィルス剤、あるいは特には抗HCV剤との併用または交互使用で投与することで、本明細書に記載の状態を治療することができる。併用療法では、有効用量の2種類以上の薬剤を一緒に投与し、交互療法または順次療法では、有効用量の各薬剤を連続的または順次にて投与する。その用量は、薬物の吸収速度、失活速度および排泄速度、ならびに当業者には公知の他の要因に応じて決まる。留意すべき点として、用量値は改善すべき状態の重度によっても変わる。さらに留意すべき点として、時間の経過と共に、個々のニーズおよびこの組成物の投与を管理または監督する担当者の専門的判断に従い、特定の投与法および投与計画を、特定の被験者に応じて調節すべきである。好ましい実施形態では、10〜15μMまたは好ましくは1〜5μM未満のEC50を示す抗HCV(または 抗ペスチウィルスもしくは抗フラビウィルス) 化合物が望ましい。
【0294】
長期の抗ウィルス薬治療の後には、フラビウィルス、ペスチウィルスまたはHCVの薬剤抵抗性変種が出現し得ることがわかっている。薬剤抵抗性は、ウィルス複製に使用される酵素をコードする遺伝子の突然変異によって引き起こされることが最も一般的である。主薬が引き起こすものと異なる突然変異を誘発する、第2、ときには第3の抗ウィルス化合物と併用または交代で化合物を投与することによって、ウィルス感染に対する薬物効力を延長、増強、または回復させることができる。あるいは、そのような併用療法または交代療法によって、薬物の薬物動態、体内分布、または他のパラメータを変化させることができる。一般に、併用療法は、ウィルスに同時多発的なストレスを引き起こすので、交代療法よりも通常は好ましい。
【0295】
発明の背景で記載したウィルス治療を、本明細書に記載の化合物との併用または交互使用で用いることができる。その例には下記のものがある。
【0296】
1)プロテアーゼ阻害薬
例としては、α−ケトアミド類およびヒドラジノ尿素類などの基質系NS3プロテアーゼ阻害薬(Attwood et al., Antiviral peptide derivatives, PCT WO 98/22496, 1998; Attwood et al., Antiviral Chemistry and Chemotherapy 1999, 10, 259−273; Attwood et al., Preparation and use of amino acid derivatives as anti−viral agents, German Patent Pub. DE 19914474; Tung et al. Inhibitors of serine proteases, particularly hepatitis C virus NS3 protease, PCT WO 98/17679)ならびにボロン酸またはホスホン酸類などの求電子剤を末端とする阻害薬(Llinas−Brunet et al, Hepatitis C inhibitor peptide analogues, PCT WO 99/07734);RD3−4082およびRD3−4078(前者は14炭素鎖によってアミド上で置換されており、後者はパラ−フェノキシフェニル基を有する)などの2,4,6−トリヒドロキシ−3−ニトロ−ベンズアミド誘導体のような非基質系NS3プロテアーゼ阻害薬(Sudo K. et al., Biochemical and Biophysical Research Communications, 1997, 238, 643−647; Sudo K. et al. Antiviral Chemistry and Chemotherapy, 1998, 9, 186);ならびにフェナンスレンキノンであってHCVプロテアーゼ阻害薬であるSch68631(Chu M. et al., Tetrahedron Letters 37: 7229−7232, 1996)。
【0297】
真菌Penicillium griseofulvumから単離されたSch351633がプロテアーゼ阻害薬であることが確認されている(Chu M. et al., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9: 1949−1952)。ヒルから単離されたエグリンcは、S. griseusプロテアーゼAおよびB、α−キモトリプリン、キマーゼおよびサブチリシンなどのいくつかのセリンプロテアーゼ類の強力な阻害薬である(Qasim M. A. et al., Biochemistry 36: 1598−1607, 1997)。
【0298】
HCV治療のためのプロテアーゼ阻害薬を開示する米国特許には、例えばHCVエンドペプチダーゼ2を阻害するある種のシステインプロテアーゼ阻害薬が開示されている、スプルース(Spruce)らへの米国特許第6004933号;合成のC型肝炎ウィルスNS3プロテアーゼ阻害薬が開示されている、ツアン(Zhang)らに対する米国特許第5990276号;ライエス(Reyes)らに対する米国特許第5538865号;コーバス・インターナショナル社(Corvas International, Inc.)に対するWO02/008251;ならびにシェリング社に対するWO02/08187およびWO02/008256などがある。HCV阻害薬トリペプチド類が、ベーリンガー・インゲルハイム(Boehringer Ingelheim)に対する米国特許第6534523号、同6410531号および同6420380号ならびにブリストール・マイヤーズ・スクイブ社(Bristol Myers Squibb)に対するWO02/060926に開示されている。HCVのNS3セリンプロテアーゼ阻害薬としてのジアリールペプチドが、シェリング社に対するWO02/48172に開示されている。HCVのNS3セリンプロテアーゼ阻害薬としてのイミダゾリジノン類が、シェリング社に対するWO02/08198およびブリストール・マイヤーズ・スクイブ社に対するWO02/48157に開示されている。ベルテックス・ファーマシューティカルズ社(Vertex Pharmaceuticals)に対するWO98/17679およびブリストール・マイヤーズ・スクイブ社に対するWO02/48116にも、HCVプロテアーゼ阻害薬が開示されている。
【0299】
2)NS3/4A融合タンパク質およびNS5A/5B基質を用いる逆相HPLCアッセイで該当する阻害を示すチアゾリジン誘導体(Sudo K. etal., Antiviral Research, 1996, 32, 9−18)、特に長いアルキル鎖で置換された縮合シンナミル部分を有する化合物RD−1−6250、RD46205およびRD46193。
【0300】
3)文献(Kakiuchi N. et al. J. EBS Letters 421, 217−220; Takeshita N. et al. Analytical Biochemistry, 1997, 247, 242−246)で確認されているチアゾリジン類およびベンゾアニリド類。
【0301】
4)SDS−PAGEおよびオートラジオグラフィーアッセイでプロテアーゼに対する活性を有するストレプトミセス属Sch68631の発酵培地ブロスから単離されたフェナンスレンキノリン(Chu M. et al., Tetrahedron Letters, 1996, 37, 7229−7232)、ならびにシンチレーション近接アッセイで活性を示す真菌Penicillium griseofulvumから単離されたSch351633(Chu M. etal., Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters 9, 1949−1952)。
【0302】
5)ヘリカーゼ阻害薬(Diana G. D. etal., Compounds, compositions and methods for treatment of hepatitis C, U. S. Pat. No. 5,633,358; Diana G. D.et al., Piperidine derivatives, pharmaceutical compositions thereof and their use in the treatment of hepatitis C, PCT WO 97/36554)。
【0303】
6)ヌクレオチドポリメラーゼ阻害薬およびグリオトキシン(Ferrari R. et al. Journal of Virology, 1999, 73, 1649−1654)および天然物セルレニン(Lohmann V. et al., Virology, 1998, 249, 108−118)。
【0304】
7)ウィルスの5’非コード領域(NCR)における配列の広がりに対して相補的なアンチセンスホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチド類(S−ODN)(Alt M. et al., Hepatology, 1995, 22, 707−717)あるいはNCRの3’末端を有するヌクレオチド326〜348およびHCV RNAの核コード領域にあるヌクレオチド371〜388(Alt M. et al., Archives of Virology, 1997, 142, 589−599; Galderisi U. et al., Journal of Cellular Physiology, 1999, 181, 251−257)。
【0305】
8)IRES依存翻訳の阻害薬(Ikeda N et al., Agent for the prevention and treatment of hepatitis C, Japanese Patent Pub. JP−08268890; Kai Y. et al. Prevention and treatment of viral diseases, Japanese Patent Pub. JP−10101591)。
【0306】
9)ヌクレアーゼ耐性リボザイム類(Maccjak, D. J. et al., Hepatology 1999, 30, abstract 995)およびバーバー(Barber)らに対する米国特許第6043077号およびドラペル(Draper)らに対する米国特許第5869253号および5610054号に開示のものなどのリボザイム類。
【0307】
10)ヌクレオシド類縁体も、フラビウィルス科ウィルス感染の治療に向けて開発された。
【0308】
11)国際特許公開番号WO01/90121およびWO01/92282でイデニクス・ファーマシューティカルズ(Idenix Pharmaceuticals)が記載している化合物。
【0309】
12)C型肝炎ウィルス治療におけるある種のヌクレオシド類縁体の使用を開示した他の特許出願の化合物には、バイオケム・ファーマ社(BioChem Pharma, Inc.;現在のシャイヤ・バイオケム社(Shire Biochem, Inc.))出願のPCT/CA00/01316(WO01/32153;2000年11月3日出願)およびPCT/CA01/00197(WO01/60315;2001年2月19日出願);PCT/US02/01531(WO02/057425;2002年1月18日出願)およびメルク社(Merck & Co., Inc.)出願のPCT/US02/03086(WO02/057287;2002年1月18日出願)、ロッシュ出願のPCT/EP01/09633(WO02/18404;2001年8月21日公開)、ならびにPCT公開番号WO01/79246(2001年4月13日出願)、WO02/32920(2001年10月18日出願)およびファーマセット社(Pharmasset, Ltd.)によるWO02/48165などがある。
【0310】
13)発明の名称「2’−フルオロヌクレオシド類」のエモリー大学に対するPCT公開番号WO99/43691には、HCV治療へのある種の2’−フルオロヌクレオシド類の使用が開示されている。
【0311】
14)1−アミノ−アルキルシクロヘキサン類(ゴールド(Gold)らに対する米国特許第6034134号)、アルキル脂質(チョキア(Chojkier)らに対する米国特許第5922757号)、ビタミンEおよび他の抗酸化剤(チョキア(Chojkier)らに対する米国特許第5922757号)、スクアレン、アマンタジン、胆汁酸類(オゼキ(Ozeki)らに対する米国特許第5846964号)、N−(ホスホノアセチル)−L−アスパラギン酸(ダイアナ(Diana)らに対する米国特許第5830905号)、ベンゼンジカルボキサミド類(ダイアナ(Diana)らに対する米国特許第5633388号)、ポリアデニル酸誘導体(ワン(Wang)らに対する米国特許第5496546号)、2’,3’−ジデオキシイノシン(ヤルコアン(Yarchoan)らに対する米国特許第5026687号)、ベンズイミダゾール類(コラシノー(Colacinoet)らに対する米国特許第5891874号)、植物抽出物(ツアイ(Tsai)らに対する米国特許第 5837257号、オマー(Omer)らに対する米国特許第5725859号および米国特許第6056961号)ならびにピペリデン類(ダイアナ(Diana)らに対する米国特許第5830905号)などのその他の化合物。
【0312】
15)シェリング−プロー(Schering−Plough)によるインターロイキン−10、インターニューロン(Interneuron)によるIP−501、ベルテックスによるメリメボジブ(Merimebodib;VX−497)、エンド・ラブス・ソルヴェー(Endo Labs Solvay)によるアマンタジン(AMANTADINE(登録商標))(シンメトレル(Symmetrel))、RPIによるヘプタジメオ(HEPTAZYMEO)、イズン・ファルマ(Idun Pharma.)によるIDN−6556、XTLによるXTL−002、キロン(Chiron)によるHCV/MF59、NABIによるシバシロ(CIVACIRO;C型肝炎免疫グロブリン)、ICN/リバファーム(Ribapharm)によるレボビリン(登録商標)、ICN/リバファームによるビラミジン(登録商標)、(Sci Clone)によるザダキシン(ZADAXIN;チモシンα−1)、サイ・クローンによるチモシン+PEG化インターフェロン、マキシム(Maxim)によるセプレン(CEPLENE(登録商標);ヒスタミン・2塩酸塩)、ベルテックス/イーライ・リリーによるVX950/LY 570310、イシス・ファーマシューティカル(Isis Pharmaceutical)/エラン(Elan)によるISIS14803、イズン・ファーマシューティカルズ社(Idun Pharmaceuticals, Inc.)によるIDN−6556、アクロス・ファーマ(AKROS Pharma)によるJTK003、ベーリンガー・インゲルハイムによるBILN−2061、ロッシュによるセルセプト(CellCept;ミコフェノール酸モフェチル)、T67、ツラリク(Tularik)によるβ−チューブリン阻害薬、イノジェネティクス(Innogenetics)によるE2に対する治療用ワクチン、藤沢薬品工業株式会社によるFK788、IdB1016(シリホス(Siliphos)、経口シリビン−ホスファチジルコリンフィトソーム)、ビロファルマ(ViroPharma)/ウェス(Wyeth)によるRNA複製阻害薬(VP50406)、インターセル(Intercell)による治療用ワクチン、エピミューン(Epimmune)/ジェネンコール(Genencor)による治療用ワクチン、アナディス(Anadys)によるIRES阻害薬、アナディスによるANA245およびANA246、アバント(Avant)による免疫療法(セラポア(Therapore))、コルバス(Corvas)/シェリング(Schering)によるプロテアーゼ阻害薬、ベルテックスによるヘリカーゼ阻害薬、トリメリス(Trimeris)による融合阻害薬、セルエクスシス(CellExSys)によるT細胞療法、バイオクリスト(Biocryst)によるポリメラーゼ阻害薬、PTCセラピューティクス(Therapeutics)によるターゲットRNA化学、イムテク社(Immtech, Int.)によるジカチオン(Dication)、アゴウロン(Agouron)によるプロテアーゼ阻害薬、キロン/メジビル(Medivir)によるプロテアーゼ阻害薬、AVIバイオファルマ(AVI BioPharma)によるアンチセンス療法、ハイブリドン(Hybridon)によるアンチセンス療法、エスロン・メディカル(Aethlon Medical)によるヘモピュリフィアー(hemopurifier)、メリックス(Merix)による治療用ワクチン、ブリストール−マイヤーズ・スクイブ/アキシス(Axys)によるプロテアーゼ阻害薬、トリペプ(Tripep)によるクロン−ワクC(Chron−VacC)治療用ワクチン、ユナイティッド・セラピューティクス(United Therapeutics)によるUT231B、ジーンラブス・テクノロジーズ(Genelabs Technologies)によるプロテアーゼ、ヘリカーゼおよびポリメラーゼ阻害薬、イムゾル(Immusol)によるIRES阻害薬、リゲル・ファーマシューティカルズ(Rigel Pharmaceuticals)によるR803、インターミューン(InterMune)によるインフェルゲン(INFERGEN(登録商標);インターフェロンアルファコン−1)、ビラゲン(Viragen)によるオムニフェロン(OMNIFERON(登録商標);天然インターフェロン)、ヒューマン・ゲノム・サイエンシーズによるアルブフェロン(ALBUFERON(登録商標))、アレス−セロノ(Ares−Serono)によるレビフ(REBIF(登録商標);インターフェロンβ−1a)、バイオメディスン(BioMedicine)によるω−インターフェロン、アマリオ・バイオサイエンシーズ(Amarillo Biosciences)による経口インターフェロンα、インターミューン(InterMune)によるインターフェロンγ、インターフェロンτおよびインターフェロンγ−1bなどのC型肝炎ウィルス治療に関して現在前臨床開発または臨床開発の段階にある他の化合物。
【0313】
VI.医薬組成物
製薬上許容される担体または希釈剤の存在下、有効量の活性化合物、その製薬上許容される塩、またはそのプロドラッグを投与することによって、ペスチウィルス、フラビウィルス、HCV感染、または他の本明細書に記載の状態、あるいはRNA依存性RNAウィルスポリメラーゼによって複製する別の生物に感染したヒトなどの宿主を、あるいは本明細書に開示の他の障害を治療することを目的として治療することができる。活性材料は、液体または固体の形で、何らかの適切な経路、たとえば、経口、非経口、静脈内、皮内、皮下、または局所投与によって投与することができる。
【0314】
ペスチウィルス、フラビウィルスまたはHCVに好ましい当該化合物の用量は、1日約1〜50mg/kg、好ましくは1〜20mg/kg、より一般的には被投与者の体重1キログラムあたり1日0.1〜約100mgの範囲である。相対的に低い用量が好ましい場合があり、例えば0.5〜100mg、0.5〜50mg、または0.5〜5mg/kg/日である。さらに低い用量が有用である場合があることから、その範囲には0.1〜0.5mg/kg/日も含み得る。製薬上許容される塩およびプロドラッグの有効用量範囲は、送達される親ヌクレオシドの重量を基に算出することができる。その塩またはプロドラッグ自体が活性を示す場合、塩またはプロドラッグの重量を用いて上記のように、あるいは当業者に知られている他の手段によって有効用量を推定できる。
【0315】
前記化合物は、それだけに限らないが、単位製剤あたり7〜3000mg、好ましくは70〜1400mgの有効成分を含有するものを含む何らかの適切な製剤単位で投与すると好都合である。50〜1000mgの経口投与量が通常は好都合であり、それには50、100、200、250、300、400、500、600、700、800、900または1000mgの1回または複数用量などがある。相対的に低い用量が好ましい場合があり、例えば10〜100または1〜50mgである。0.1〜50mg、あるいは0.1〜20mgあるいは0.1〜10.0mgという用量も想到される。さらに、例えば注射や吸入による場合のように非経口経路による投与の場合には、より低い用量を用いる場合がある。
【0316】
理想的には、有効成分の最高血漿濃度が約0.2〜70μM、好ましくは約1.0〜10μMに達するように活性成分を投与すべきである。たとえば、場合によっては食塩水に溶かした、活性成分の0.1〜5%溶液を静脈内注射することによって、または活性成分の巨丸剤として投与することによって、これを実現することができる。
【0317】
薬物組成物中の活性化合物濃度は、薬物の吸収速度、失活速度および排泄速度、ならびに当分野の技術者に知られている他の要因に応じて決まる。留意すべき点として、用量値は、改善すべき状態の重度によっても変わる。さらに留意すべき点として、時間の経過と共に、各個体のニーズおよびこの組成物の投与を管理または監督する者による専門的判断に従い、特定の投与法を特定の被験者向けに調整すべきであり、本明細書に記載の濃度範囲は、単に例示的なものであり、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲または実施を限定するものではない。有効成分は、一度に投与しても、数回分に小分けして様々な時間間隔で投与してもよい。
【0318】
活性化合物の好ましい投与方式は、経口投与である。一般に、経口用組成物は、不活性希釈剤または食用担体を含む。これらをゼラチンカプセルに封入しても、圧縮して錠剤にしてもよい。治療上の経口投与では、活性化合物に賦形剤を混合し、錠剤、トローチ剤またはカプセル剤の形で使用することができる。製薬上適合性の結合剤および/または補助剤を組成物の一部として含んでいてもよい。
【0319】
錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分、すなわち、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、ゼラチンなどの結合剤;デンプンやラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、プリモゲル(Prismogel)、トウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムやステロテス(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;スクロースやサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、オレンジ香料などの香味剤、あるいは性質が類似の化合物のどれを含んでもよい。単位製剤がカプセル剤である場合、上記の種類の材料に加えて脂肪油などの液体担体も含んでよい。さらに、単位製剤は、その物理的形状を変更する様々な他の材料、たとえば、糖、シェラック、または他の腸溶性薬品類のコーティングを含んでもよい。
【0320】
この化合物は、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤、チューインガムなどの成分として投与できる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味剤およびある種の保存剤としてのショ糖、色素、着色剤、着香剤も含んでよい。
【0321】
前記化合物あるいはそれの製薬上許容される塩、またはそのプロドラッグは、所望の作用を弱めない他の活性材料、または抗生物質、抗真菌薬、抗炎症薬、他のヌクレオシド化合物を含む他の抗ウィルス薬など、所望の作用を補う材料と混合してもよい。非経口、皮内、皮下、または局所での適用に使用する溶液または懸濁液は、以下の成分、すなわち、注射用水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、他の合成溶媒などの無菌希釈剤;ベンジルアルコールやメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩などの緩衝剤;および塩化ナトリウムやデキストロースなどの浸透圧調整剤を含んでよい。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、または複数回分のバイアルに封入することができる。
【0322】
静脈投与する場合、好ましい担体は、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)である。
【0323】
好ましい実施形態では、活性化合物を、インプラント剤およびマイクロカプセル投与系を含む徐放製剤など、化合物が体からすぐに排泄されるのを防ぐ担体と共に調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸など、生体適合性の生分解性ポリマーを使用してよい。このような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。これらの材料は、アルザ社(Alza Corporation)から市販もされている。
【0324】
(ウィルス抗原のモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的とするリポソームを含む)リポソーム懸濁液も、製薬上許容される担体として好ましい。これらは、たとえば、米国特許第4522811号(それの全体が参照により本明細書に組み込まれる)で記載されているような、当業者に公知の方法に従って調製される。たとえば、適当な脂質(ステアロイルホスファチジルエタノールアミン、ステアロイルホスファチジルコリン、アラカドイルホスファチジルコリン、コレステロールなど)を無機溶媒に溶解させ、次いでこれを蒸発させ、容器表面に乾燥脂質薄膜を残すことによってリポソーム製剤を調製することができる。次に、活性化合物またはそのモノホスフェート、ジホスフェートおよび/またはトリホスフェート誘導体の水溶液をその容器に導入する。次いで容器を手で旋回させて、脂質材料を容器側面から遊離させ、脂質凝集物を分散させることによりリポソーム懸濁液を生成する。
【0325】
VII.活性化合物の製造方法
本発明のヌクレオシドは、当技術分野で知られている手段によって合成することができる。特に、適切に修飾した糖をアルキル化してからグリコシル化する、またはグリコシル化の後にヌクレオシドをアルキル化することによって、このヌクレオシドを合成することができる。以下の実施形態により、本発明のヌクレオシドを得る一般的方法をいくつか説明するが、これらに限定されるものではない。
【0326】
A.1’−C−分枝ヌクレオシドの一般合成
下記構造の1’−C−分枝ヌクレオシド、
【0327】
【化42】
[式中、塩基、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、Y、W、W、W、X、X、XおよびXは、本明細書で定義の通りである]は、以下の一般法のいずれかによって製造することができる。
【0328】
1)ラクトンからの修飾
この方法の主要原料は、適切に置換されたラクトンである。ラクトンは、購入することも、標準的なエピマー化、置換および環化技術などの公知の手段によって製造することもできる。ラクトンは、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような当業者には公知の方法によって、適切な保護基、好ましくはアシル基またはシリル基で保護されていても良い。次いで、適切な温度で、適切な非プロトン性溶媒を用い、保護したラクトンをグリニャール試薬、TBAF中有機リチウム、ジアルキル銅リチウム、またはR−SiMeといった有機金属炭素求核試薬など、適切なカップリング剤と結合させると、1’−アルキル化糖が得られる。
【0329】
次いで、タウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載のような、当業者に公知の方法によって、活性化されていても良い糖を塩基にカップリングさせることができる。たとえば、適切な溶媒中、適切な温度で、四塩化スズ、四塩化チタン、トリメチルシリルトリフラートなどのルイス酸を用いて、アシル化した糖をシリル化した塩基にカップリングさせることができる。
【0330】
その後、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、ヌクレオシドを脱保護することができる。
【0331】
ある特定の実施形態では、1’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。図式1にリボヌクレオシドの合成を示す。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを保護しても良く、次いで、適切な還元剤で2’−OHを還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化させて還元しやすくする、すなわちバートン(Barton)還元を経てもよい。
【0332】
【化43】
【0333】
2.1’−C−分枝ヌクレオシドの別途製造法
この方法の主要原料は、適切に置換したヘキソースである。ヘキソースは、購入することも、アルカリ処理などの標準的なエピマー化(例えば、アルカリ処理によって)、置換およびカップリング法のような公知の方法によって製造することもできる。タウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載の方法に従って、ヘキソースを選択的に保護すると、当該のヘキサフラノースを得ることができる。
【0334】
1’−ヒドロキシルは適宜に、アシル化またはハロゲン化によって活性化させて、それぞれアシル基やハロゲンなどの適切な脱離基としてよい。次いで、タウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載のような当業者に公知の方法によって、適宜に活性化された糖を塩基にカップリングさせることができる。たとえば、適切な溶媒中、適切な温度で、四塩化スズ、四塩化チタン、トリメチルシリルトリフラートなどのルイス酸を用いて、アシル化した糖をシリル化した塩基にカップリングさせることができる。あるいは、トリメチルシリルトリフラートの存在下、ハロ糖をシリル化した塩基にカップリングさせることもできる。
【0335】
1’−CH−OHは、保護されていれば、当技術分野で公知の方法によって選択的に脱保護することができる。得られた1級ヒドロキシルを官能化すると、様々なC−分枝ヌクレオシドが得られる。たとえば、適切な還元剤を使用して、1級ヒドロキシルを還元してメチルを得ることができる。あるいは、ヒドロキシルを活性化してから還元して、還元しやすくする、すなわちバートン還元を経ることもできる。別途実施形態では、1級ヒドロキシルを酸化してアルデヒドにし、次いで、適切な温度で、適切な非プロトン性溶媒を用いて、グリニャール試薬、TBAF中有機リチウム、ジアルキル銅リチウム、またはR−SiMeなど、炭素求核試薬とカップリングさせることができる。
【0336】
ある特定の実施形態では、1’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。図式2にリボヌクレオシドの合成を示す。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを適宜に保護し、次いで、2’−OHを適切な還元剤で還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化させて還元しやすくする、すなわちバートン還元を経てもよい。
【0337】
【化44】
【0338】
さらに、本発明の化合物に相当するL−エナンチオマーは、対応するL型糖、またはヌクレオシドのL−エナンチオマーを原料として開始する同じ一般法(1または2)に従って製造することができる。
【0339】
B.2’−C−分枝ヌクレオシドの一般的合成
次の構造の2’−C−分枝ヌクレオシド:
【0340】
【化45】
[式中、塩基、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、Y、W、W、W、X、X、XおよびXは、本明細書で定義の通りである]は、以下の一般法のいずれかによって製造することができる。
【0341】
1.適切に修飾された糖による核塩基のグリコシル化
この方法の主要原料は、2’−OH、2’−H、および適切な脱離基(LG)、たとえばアシル基またはハロゲンを有する適切に置換した糖である。この糖は、購入することも、標準的なエピマー化、置換、酸化および還元技術などの公知の手段によって製造することもできる。次に、適合性溶媒中、適切な温度で、置換された糖を適切な酸化剤で酸化させると、2’が修飾された糖が得られる。考えられる酸化剤は、ジョーンズ試薬(クロム酸と硫酸の混合物)、コリンズ(Collins)試薬(ジピリジンCr(VI)オキシド)、コーリー(Corey)試薬(クロロクロム酸ピリジニウム)、ジクロム酸ピリジニウム、酸性ジクロム酸塩、過マンガン酸カリウム、MnO、四酸化ルテニウム、ポリマーに担持されたクロム酸または過マンガン酸塩などの相間移動触媒、Cl−ピリジン、H−モリブデン酸アンモニウム、NaBrO−CAN、HOAc中NaOCl、亜クロム酸銅、酸化銅、ラネーニッケル、酢酸パラジウム、ミアバイン−ポンドルフ−バーリー(Meerwin−Pondorf−Verley)試薬(別のケトンを有するアルミニウムt−ブトキシド)、およびN−ブロモコハク酸イミドである。
【0342】
次いで、適切な温度で、適切な非プロトン性溶媒を用い、グリニャール試薬、TBAF中有機リチウム、ジアルキル銅リチウム、またはR−SiMeなど、有機金属炭素求核試薬をケトンと結合させると、2’−アルキル化糖が得られる。グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、アルキル化された糖を適切な保護基、好ましくはアシル基またはシリル基で保護してもよい。
【0343】
次いで、タウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載のような当業者に公知の方法によって、適宜に保護された糖を塩基とカップリングさせることができる。たとえば、適切な溶媒中、適切な温度で、四塩化スズ、四塩化チタン、トリメチルシリルトリフラートなどルイス酸を用い、アシル化した糖をシリル化した塩基とカップリングさせることができる。あるいは、トリメチルシリルトリフラートの存在下、ハロ糖をシリル化した塩基とカップリングさせてもよい。
【0344】
その後、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、ヌクレオシドを脱保護することができる。
【0345】
ある特定の実施形態では、2’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。図式3にリボヌクレオシドの合成を示す。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを適宜に保護し、次いで適切な還元剤で2’−OHを還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化して還元しやすくする、すなわちバートン還元を経てもよい。
【0346】
【化46】
【0347】
2.予め形成されたヌクレオシドの修飾
この方法の主要原料は、2’−OHおよび2’−Hを有する適切に置換されたヌクレオシドである。このヌクレオシドは、購入することも、標準的なカップリング技術などの公知の手段によって製造することもできる。このヌクレオシドは、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、適切な保護基、好ましくはアシル基またはシリル基で保護しても良い。
【0348】
次いで、適合溶媒中、適切な温度で、適切に保護したヌクレオシドを適切な酸化剤で酸化させると、2’が修飾された糖が得られる。考えられる酸化剤は、ジョーンズ試薬(クロム酸と硫酸の混合物)、コリンズ試薬(ジピリジンCr(VI)オキシド)、コーリー試薬(クロロクロム酸ピリジニウム)、ジクロム酸ピリジニウム、酸性ジクロム酸塩、過マンガン酸カリウム、MnO、四酸化ルテニウム、ポリマーに担持されたクロム酸または過マンガン酸塩などの相間移動触媒、Cl−ピリジン、H−モリブデン酸アンモニウム、NaBrO−CAN、HOAc中NaOCl、亜クロム酸銅、酸化銅、ラネーニッケル、酢酸パラジウム、ミアバイン−ポンドルフ−バーリー試薬(別のケトンを有するアルミニウムt−ブトキシド)、およびN−ブロモコハク酸イミドである。
【0349】
その後、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、ヌクレオシドを脱保護することができる。
【0350】
ある特定の実施形態では、2’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。図式4にリボヌクレオシドの合成を示す。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者に公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを適宜に保護し、次いで適切な還元剤で2’−OHを還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化させて還元しやすくする、すなわちバートン還元を経てもよい。
【0351】
【化47】
【0352】
本発明の別の実施形態では、L−エナンチオマーが望まれる。従ってL−エナンチオマーは、原料として相当するL−糖またはヌクレオシドL−エナンチオマーを原料として同じ前記一般法に従って製造することができる本発明の化合物に相当するものであることができる。
【0353】
C.3’−C−分枝ヌクレオシドの一般合成
次の構造の3’−C−分枝ヌクレオシドは、
【0354】
【化48】
[式中、塩基、R、R、R、R、R、R、R、R、R、Y、W、W、W、X、X、XおよびXは、本明細書で定義の通りである]は、以下の一般法のいずれかによって製造することができる。
【0355】
1.核酸塩基の適切に修飾した糖によるグリコシル化
この方法の主たる原料は、3’−OH、3’−H、および適切な脱離基(LG)、たとえば、アシル基またはハロゲンを有する適切に置換された糖である。この糖は、購入することも、標準のエピマー化、置換、酸化および還元技術などの公知の手段によって製造することもできる。次に、適合性溶媒中、適温で、適切な酸化剤を用い、置換された糖を酸化すると、3’が修飾された糖が得られる。考えられる酸化剤は、ジョーンズ試薬(クロム酸と硫酸の混合物)、コリンズ試薬(ジピリジンCr(VI)オキシド、コーリー試薬(クロロクロム酸ピリジニウム)、ジクロム酸ピリジニウム、酸性ジクロム酸塩、過マンガン酸カリウム、MnO、四酸化ルテニウム、ポリマーに担持されたクロム酸または過マンガン酸塩などの相間移動触媒、Cl−ピリジン、H−モリブデン酸アンモニウム、NaBrO−CAN、HOAc中NaOCl、亜クロム酸銅、酸化銅、ラネーニッケル、酢酸パラジウム、ミアバイン−ポンドルフ−バーレー試薬(別のケトンを有するアルミニウムt−ブトキシド)、およびN−ブロモコハク酸イミドである。
【0356】
次いで、適温で、適切な非プロトン性溶媒を用い、グリニャール試薬、TBAF中有機リチウム、ジアルキル銅リチウム、またはR−SiMeなど、有機金属炭素求核試薬をケトンとカップリングさせると、3’−C−分枝糖が得られる。グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、3’−C−分枝糖を、適切な保護基、好ましくはアシル基またはシリル基で保護してもよい。
【0357】
次いで、タウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載のような、当業者には公知の方法によって、適宜に保護した糖を塩基にカップリングさせることができる。たとえば、適切な溶媒中、適温で、四塩化スズ、四塩化チタン、またはトリメチルシリルトリフラートなどルイス酸を用い、アシル化した糖をシリル化した塩基にカップリングさせることができる。あるいは、トリメチルシリルトリフラートの存在下、ハロ糖をシリル化した塩基にカップリングさせてもよい。
【0358】
その後、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、ヌクレオシドを脱保護することができる。
【0359】
ある特定の実施形態では、3’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。図式5にリボヌクレオシドの合成を示す。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを場合によって保護し、次いで適切な還元剤で2’−OHを還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化させて還元しやすくする、すなわちバートン還元を経てもよい。
【0360】
【化49】
【0361】
2.予め形成したヌクレオシドの修飾
この方法の主たる原料は、3’−OHおよび3’−Hを有する適切に置換されたヌクレオシドである。このヌクレオシドは、購入することも、標準的カップリング技術などの公知の手段によって製造することもできる。このヌクレオシドは、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、適切な保護基、好ましくはアシル基またはシリル基で保護してもよい。
【0362】
次いで、適合性溶媒中、適切な温度で、適切に保護したヌクレオシドを適切な酸化剤で酸化させると、2’が修飾された糖が得られる。考えられる酸化剤は、ジョーンズ試薬(クロム酸と硫酸の混合物)、コリンズ試薬(ジピリジンCr(VI)オキシド、コーリー試薬(クロロクロム酸ピリジニウム)、ジクロム酸ピリジニウム、酸性ジクロム酸塩、過マンガン酸カリウム、MnO、四酸化ルテニウム、ポリマーに担持されたクロム酸または過マンガン酸塩などの相間移動触媒、Cl−ピリジン、H−モリブデン酸アンモニウム、NaBrO−CAN、HOAc中NaOCl、亜クロム酸銅、酸化銅、ラネーニッケル、酢酸パラジウム、ミアバイン−ポンドルフ−バーレー試薬(別のケトンを有するアルミニウムt−ブトキシド)およびN−ブロモコハク酸イミドである。
【0363】
その後、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、ヌクレオシドを脱保護することができる。
【0364】
ある特定の実施形態では、3’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。図式6にリボヌクレオシドの合成を示す。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを場合によって保護し、次いで適切な還元剤で2’−OHを還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化させて還元しやすくする、すなわちバートン還元を経てもよい。
【0365】
【化50】
【0366】
本発明の別の実施形態では、L−エナンチオマーが望ましい。したがって、本発明の化合物に相当し得るL−エナンチオマーは、対応するL型糖、またはヌクレオシドのL−エナンチオマーを原料として開始する上述の同じ一般法に従って製造することができる。
【0367】
D.4’−C−分岐ヌクレオシドの一般的合成
次の構造の4’−C−分枝ヌクレオシドは、
【0368】
【化51】
[式中、塩基、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、Y、W、W、W、X、X、XおよびXは、本明細書で定義の通りである]は、以下の一般法によって製造することができる。
【0369】
1.ペントジアルド−フラノースからの修飾
この方法の主たる原料は、適切に置換されたペントジアルド−フラノースである。そのペントジアルド−フラノースは、購入することも、標準のエピマー化、置換および還元技術などの公知の手段によって製造することもできる。
【0370】
好ましい実施形態では、ペントジアルド−フラノースは適切に置換されたヘキソースから製造される。そのヘキソースは、購入することも、標準のエピマー化(例えば、アルカリ処理による)、置換およびカップリング技術などの公知の手段によって製造することもできる。そのヘキソースは、フラノース型であることができるか、あるいはタウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載の方法などの公知の手段によって、好ましくはヘキソースを選択的に保護することで環化させて、適切なヘキサフラノースを得ることができる。
【0371】
次に、ヘキサフラノースの4’−ヒドロキシメチレンを、適合性溶媒中にて好適な温度で適切な酸化剤で酸化することで、4’−アルド修飾糖を得ることができる。可能な酸化剤は、ジョーンズ試薬(クロム酸と硫酸の混合物)、コリンズ試薬(ジピリジンCr(VI)オキシド、コーリー試薬(クロロクロム酸ピリジニウム)、ジクロム酸ピリジニウム、酸性ジクロム酸塩、過マンガン酸カリウム、MnO、四酸化ルテニウム、ポリマーに担持されたクロム酸または過マンガン酸塩などの相間移動触媒、Cl−ピリジン、H−モリブデン酸アンモニウム、NaBrO−CAN、HOAc中NaOCl、亜クロム酸銅、酸化銅、ラネーニッケル、酢酸パラジウム、ミアバイン−ポンドルフ−バーレー試薬(別のケトンを有するアルミニウムt−ブトキシド)、およびN−ブロモコハク酸イミドである。ただし好ましくは、ベンゼン/ピリジン混合液中のHPO、DMSOおよびDCCを室温で用いる。
【0372】
次に、ペントジアルド−フラノースを、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、適切な保護基、好ましくはアシル基またはシリル基で保護してもよい。水酸化ナトリウムなどの塩基存在下に、保護されたペントジアルド−フラノースを好適な求電子アルキル、ハロゲノ−アルキル(すなわちCF)、アルケニルまたはアルキニル(すなわちアリル)とカップリングさせて、4’−アルキル化糖を得ることができる。あるいは、保護されたペントジアルド−フラノースを、水酸化ナトリウムなどの塩基存在下、ジオキサンなどの適切な極性溶媒を用い、好適な温度でホルムアルデヒドなどの相当するカルボニルとカップリングさせることができ、それを次に適切な還元剤で還元して、4’−アルキル化糖を得ることができる。1実施形態ではその還元は、好ましくはアセトニトリル中室温でPhOC(S)Cl、DMAPを用いて行い、次にトルエン中還流させたACCNおよびTMSSで処理する。
【0373】
次に、適宜に活性化させた糖を、タウンゼントの著作(Townsend Chemistry of Nucleosides and Nucleotides, Plenum Press, 1994)に記載のような、当業者には公知の方法によって、塩基にカップリングさせることができる。たとえば、適切な溶媒中、適温で、四塩化スズ、四塩化チタン、またはトリメチルシリルトリフラートなどルイス酸を用い、アシル化した糖をシリル化した塩基にカップリングさせることができる。
【0374】
次に、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、ヌクレオシドを脱保護することができる。
【0375】
ある特定の実施形態では、4’−C−分枝リボヌクレオシドが望ましい。あるいは、デオキシリボヌクレオシドも望ましい。このようなデオキシリボヌクレオシドを得るには、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、生成したリボヌクレオシドを場合によって保護し、次いで適切な還元剤で2’−OHを還元することができる。場合によっては、2’−ヒドロキシルを活性化させて還元しやすくする、すなわちバートン還元を経てもよい。
【0376】
本発明の別の実施形態では、L−エナンチオマーが望ましい。従って、本発明の化合物に相当するL−エナンチオマーを、原料として相当するL−ペントジアルド−フラノースを用い、前記のものと同じ一般法に従って製造することができる。
【0377】
E.2’および/または3’−プロドラッグの一般的合成
この方法の主たる原料は、適切に置換された1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドである。その分岐ヌクレオシドは、購入することができるか、あるいは本明細書に開示の技術などの公知の手段によって製造することができる。その分岐ヌクレオシドは、グリーンらの著作(Greene et al. Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley and Sons, Second Edition, 1991)に記載のような、当業者には公知の方法によって、好適な保護基、好ましくはシリル基で保護しても良い。次に、保護された分岐ヌクレオシドを、適切なプロトン性または非プロトン性溶媒を好適な温度で用いて、アシルクロライドおよび/またはアシル無水物などの好適なアシル供与体とカップリングさせて、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’プロドラッグを得ることができる。別法として、保護された分岐ヌクレオシドを、適宜に好適なカップリング剤を用い、適切な非プロトン性溶媒を用い、好適な温度でアルカン酸および/またはアミノ酸残基などのカルボン酸のような好適なアシルとカップリングさせて、1’、2’、3’または4’−分岐β−Dまたはβ−Lヌクレオシドの2’および/または3’プロドラッグを得ることができる。可能なカップリング試薬は、カップリングを促進する試薬であり、例えばトリフェニルホスフィンとともに用いるミツノブ試薬(例:ジイソプロピルアゾジカルボキシレートおよびジエチルアゾジカルボキシレート)または各種カルボジイミドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0378】
例えば、簡単なアミノ−アルコール類を、還流アセトニトリル−ベンゼン混合物中の酸塩化物を用いてエステル化することができる(下記の図式7参照:Synthetic Communications, 1978, 8 (5), 327−333;参照によって本明細書に組み込まれる)。あるいは、文献(J. Am. Chem. Soc., 1999, 121 (24), 5661−5664;参照によって本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って、エステル化を行うことができる。図2、3および4を参照する。
【0379】
【化52】
【0380】
以下、例示を目的とした実施例にて本発明を説明する。これらの実施例はいかなる形でも限定するものではなく、本発明の精神および範囲を逸脱しない限りにおいて、詳細部分についての変更を行うことが可能であることは、当業者には明らかであろう。
【実施例1】
【0381】
実施例1:6−アミノ−9−(1−デオキシ−β−D−プシコフラノシル)プリンを経由した1’−C−メチルリボアデニンの製造
融点はメル−テンプ(Mel−temp)II型装置で測定し、未補正である。NMRスペクトラムは、H NMRの場合400MHzおよび13C NMRの場合100MHzのブルカー(Bruker)400AMXスペクトル装置で、TMSを内部標準として用いて記録した。化学シフト(δ)はppmで報告し、シグナルはs(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)またはbs(広い一重線)として報告している。IRスペクトラムは、ニコレット(Nicolet)510P FT−IRスペクトル装置で測定した。質量分析スペクトラムは、マイクロマス・オートスペック(Micromass Autospec)高分解能質量分析装置で記録した。TLCは、アナルテク社(Analtech Co.)から購入したユニプレート(Uniplate)(シリカゲル)で行った。カラムクロマトグラフィーは、フラッシュクロマトグラフィー用のシリカゲル−60(220〜440メッシュ)または真空フラッシュクロマトグラフィー用のシリカゲルG(TLC用、>440メッシュ)を用いて行った。UVスペクトラムは、ベックマン(Beckman)DU650分光計で得た。元素分析は、アトランティック・マイクロラブ社(Atlantic Microlab, Inc., Norcross, GA)またはガルブレイス・ラボラトリーズ社(Galbraith Laboratories, Inc., Knoxville, TN)が行った。HPLCは、600型制御装置、996型光ダイオードアレー検出器および717プラス型オートサンプラーを搭載したウォーターズHPLCシステム(Millipore Corporation, Milord, MA)を用いて行った。システム制御、データ取得および処理には、ミレニアム(Millennium)2010ソフトウェアを用いた。旋光度の測定には、キラライザー(chiralyser)旋光検出器、パーキン−エルマー(Perkin−Elmer)241MC型旋光計(Wilton, CT)を用いた。
【0382】
1’−C−メチルリボ−8−メチルアデニンの合成
標題化合物は、公開されている手順に従って製造することもできると考えられる(J. Farkas, and F. Sorm, ″Nucleic acid components and their analogues. XCIV. Synthesis of 6−amino−9−(1−deoxy−β−D−psicofuranosyl) purine″, Collect. Czech. Chem. Commun. 1967, 32, 2663−2667. J. Farkas″, Collect. Czech. Chem. Commun. 1966, 31, 1535)(図式8)。
【0383】
【化53】
【0384】
適切な糖およびプリン塩基を用いた以外は同様にして、下記の式XXIVのヌクレオシドが製造される。
【0385】
【化54】
【0386】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0387】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基を用いて、下記の式XXVのヌクレオシドが製造される。
【0388】
【化55】
【0389】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0390】
あるいは、適切な糖およびピリミジンまたはプリン塩基を用いて、下記の式XXVIのヌクレオシドが製造される。
【0391】
【化56】
【0392】
式中、R、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0393】
あるいは、適切な糖およびピリミジンまたはプリン塩基を用いて、下記の式XXVIIIのヌクレオシドが製造される。
【0394】
【化57】
【0395】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0396】
あるいは、適切な糖およびピリミジンまたはプリン塩基を用いて、下記の式XXVIIIのヌクレオシドが製造される。
【0397】
【化58】
【0398】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0399】
あるいは、適切な糖およびピリミジンまたはプリン塩基を用いて、下記の式XXIXのヌクレオシドが製造される。
【0400】
【化59】
【0401】
式中、R、R、R、R、X、R、R10および塩基は本明細書で定義の通りである。
【実施例2】
【0402】
実施例2:2’−C−メチルリボ−8−メチルアデニンの製造
公開の手法(R. E. Harry−O’kuru, J. M. Smith, and M. S. Wolfe,″A short, flexible route toward 2’−C−branched ribonucleosides″, J. Org. Chem. 1997, 62, 1754−1759)に従って、標題化合物を製造した(図式9)。
【0403】
【化60】
【0404】
2’−分岐ヌクレオシドの3’−プロドラッグを、公開の手法に従って製造した(Synthetic Communications, 1978, 8(5), 327−333; J. Am. Chem. Soc., 19991, 121 (24), 5661−5664)。別法として、2’−分岐ヌクレオシドを、保護せずにエステル化することができる(図式9b)。カルボニルジイミダゾール(377mg、2.33mmol)を、N−(tert−ブトキシカルボニル)−L−バリン(507mg、2.33mmol)の脱水テトラヒドロフラン(15mL)溶液に加えた。混合物を20℃で1時間、50℃で10分間撹拌し、やはり50℃で撹拌している4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オン(500mg、1.95mmol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(25mg、0.195mmol)、トリエチルアミン(5mL)の脱水N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に加えた。反応混合物を50℃で1時間撹拌し、HPLCで調べた。HPLC分析で、望ましくない副生成物に加えて、所望のエステル52%の生成と、原料17%が示された。4−アミノ−1−(3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−3−メチル−テトラヒドロ−フラン−2−イル)−1H−ピリミジン−2−オンの3’−OHは、BOC−Valとカップリングすると、選択的に反応する傾向を有する。
【0405】
適切な糖およびプリン塩基を用いた以外は同様にして、下記の式XXXのヌクレオシドが製造される。
【0406】
【化61】
【0407】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0408】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基を用いて、下記の式XXXIのヌクレオシドが製造される。
【0409】
【化62】
【0410】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0411】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXIIのヌクレオシドが製造される。
【0412】
【化63】
【0413】
式中、R、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0414】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXIIIのヌクレオシドが製造される。
【0415】
【化64】
【0416】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0417】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXIVのヌクレオシドが製造される。
【0418】
【化65】
【0419】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0420】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXVのヌクレオシドが製造される。
【0421】
【化66】
【0422】
式中、R、R、R、R、R10、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【実施例3】
【0423】
実施例3:3’−C−メチルリボ−8−メチルアデニンの製造
公開の手法(R. F. Nutt, M. J. Dickinson, F. W. Holly, and E. Walton,″Branched−chain sugar nucleosides. III. 3’−C−methyladenine″, J. Org. Chem. 1968, 33, 1789−1795)に従って、標題化合物を製造することができる(図式10)。
【0424】
【化67】
【0425】
適切な糖およびプリン塩基を用いる以外は同様にして、下記の式XXXVIのヌクレオシドが製造される。
【0426】
【化68】
【0427】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0428】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基を用いて、下記の式XXXVIIのヌクレオシドが製造される。
【0429】
【化69】
【0430】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0431】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXVIIIのヌクレオシドが製造される。
【0432】
【化70】
【0433】
式中、R、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0434】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXIXのヌクレオシドが製造される。
【0435】
【化71】
【0436】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0437】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXXのヌクレオシドが製造される。
【0438】
【化72】
【0439】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0440】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記の式XXXXIのヌクレオシドが製造される。
【0441】
【化73】
【0442】
式中、R、R、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【実施例4】
【0443】
実施例4:1−O−メチル−2,3−O−イソプロピリデン−β−D−リボフラノース−(1)の製造
標題化合物は、公開の手法に従って製造することができる(Leonard, N. J. ; Carraway, K. L.″5−Amino−5−deoxyribose derivatives. Synthesis and use in the preparation of ″reversed″ nuclesides″ J. Heterocycl. Chem., 1966, 3, 485−489)。
【0444】
脱水D−リボース50.0g(0.34mol)のアセトン(1.0リットル)、2,2−ジメトキシプロパン(100mL)、0℃で塩化水素で飽和したメタノール20mL含有メタノール(200mL)の溶液を室温で終夜撹拌した。得られた溶液をピリジンで中和し、減圧下に溶媒留去した。得られた油状物を、水400mLと塩化メチレン400mLとの間で分画した。水層を塩化メチレン(400mL)で2回抽出した。合わせた有機抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(1%から2%)/塩化メチレンの段階的勾配]によって精製して、純粋な1(52.1g、75%)を黄色シロップとして得た。H−NMR(CDCl):δ5.00(s、1H、H−1)、4.86(d、1H、H−2、J2−3=5.9Hz)、4.61(d、1H、H−3、J3−2=5.9Hz)、4.46(t、1H、H−4、J4−5=2.7Hz)、3.77〜3.61(m、2H、H−5およびH−5’)、3.46(s、1H、OCH)、3.0〜2.4(brs、1H、OH−5)、1.51(s、3HCH)、1.34(s、3HCH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z173(M−OCH
【実施例5】
【0445】
実施例5:1−O−メチル−2,3−O−イソプロピリデン−β−D−ペントジアルド−リボフラノース−(2)の製造
公開の手法(Jones, G. H.; Moffatt, J. G. Oxidation of carbohydrates by the sulfoxide−carbodiimide and related methods. Oxidation withdicyclohexylcarbodiimide−DMSO, diisopropylcarbodiimide−DMSO, acetic anhydride−DMSO, and phosphorus pentoxide−DMSO: in Methods in Carbohydrate Chemistry; Whisler, R. L. and Moffatt, J. L. Eds; Academic Press: New York, 1972; 315− 322)に従って、標題化合物を製造することができる。
【0446】
化合物1を脱水ピリジンと2回共留去した。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、137.8g、0.67mol)を、1(68.2g、0.33mol)の脱水ベンゼン(670mL)、DMSO(500mL)およびピリジン(13.4mL)溶液に加えた。得られた溶液を冷却して0℃とし、それに脱水結晶オルトリン酸(16.4g、0.167mmol)の脱水DMSO(30mL)溶液を加えた。混合物を、アルゴン下に0℃で1.5時間、室温で18時間撹拌し、酢酸エチル(1000mL)で希釈した。シュウ酸・2水和物(63.1g、038mol)のDMSO(30mL)溶液を加え、反応混合物を室温で1時間にわたって撹拌し、濾過して、沈殿したジシクロヘキシル尿素(DCU)を除去した。濾液を減圧下に濃縮して体積約600mLとし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)で中和した。ブライン(200mL)を加え、有機層を酢酸エチルで抽出した(1000mLで4回)。合わせた有機層を濃縮して体積を約2000mLとし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(700mLで2回)、ブライン(700mLで2回)で洗浄してから、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。少量の粗残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー[溶離液:クロロホルム/エチルエーテル、8:2]で精製して、淡黄色固体として得られた2の構造を確認した。H−NMR(CDCl):δ9.61(s、1H、H−5)、5.12(s、1H、H−1)、5.08(d、1H、H−2、J2−3=5.9Hz)、4.53(d、1H、H−3、J3−2=6.0Hz)、4.51(s、1H、H−4)、3.48(s、1H、OCH)、1.56(s、3HCH)、1.36(s、3HCH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z203(M+H)、171(M−OCH
【実施例6】
【0447】
実施例6:4−C−ヒドロキシメチル−1−O−メチル−2,3−O−イソプロピリデン−β−D−リボフラノース−(3)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を製造することができる(Leland, D. L.; Kotick, M. P. ″Studies on 4−C−(hydroxymethyl)pentofuranoses. Synthesis of 9−[4−C−(hydroxymethyl)−a−L−threo−pentofuranosyl]adenine″ Carbohydr. Res. 1974, 38, C9−C11; Jones, G. H.; Taniguchi, M.; Tegg, D.; Moffatt, J. G. ″4’−substituted nucleosides. 5. Hydroxylation of nucleoside 5’−aldehydes ″J. Org. Chem. 1979, 44, 1309−1317; Gunic, E.; Girardet, J. −L.; Pietrzkowski, Z.; Esler, C.; Wang, G. ″Synthesis and cytotoxicity of 4’−C− and 5’−C−substituted Toyocamycins ″Bioorg. Med. Chem. 2001, 9, 163−170).
【0448】
上記で得られた粗取得物(2)および37%ホルムアルデヒド水溶液(167mL)のジオキサン(830mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(2N、300mL)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌し、ダウエクス(Dowex)50WX2(H型)を加えることで中和した。その樹脂を濾過し、メタノールで洗浄し、合わせた濾液を濃縮して乾固させ、純粋エタノールと数回共留去した。純粋エタノールから沈殿したギ酸ナトリウムを濾過によって除去し、濾液を濃縮して乾固させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(0%から4%)/クロロホルムの段階的勾配]によって精製して、純粋な3(42.2g、1から54%)を得た。それをシクロヘキサンから再結晶した。融点=94〜95(分解)(文献値:94〜96.5;97〜98:参考文献3、4)。H−NMR(DMSO−d):δ4.65(s、1H、H−1)、4.44〜4.37(m、3H、H−2、H−3およびOH−6)、4.27(t、1H、OH−5、J=5.6Hz、J=6.0Hz)、3.42〜3.34(m、2H、H−5およびH−6)、3.29(dd、1H、H−5’、J5’−OH=5.4Hz、J5−5’=11.4Hz)、3.11(dd、1H、H−6’、J6’−OH=5.7Hz、J6−6’=10.9Hz)、3.03(s、3H、OCH)、1.48(s、3HCH)、1.05(s、3HCH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z469(2M+H)、235(M+H)、203(M−OCH)+FAB0m/z233(M−H)
【実施例7】
【0449】
実施例7:6−O−モノメトキシトリチル−4−C−ヒドロキシメチル−1−O−メチル−2,3−O−イソプロピリデン−β−D−リボフラノース−(4)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を製造することができる(Gunic, E.; Girardet, J. −L.; Pietrzkowski, Z.; Esler, C.; Wang, G. ″Synthesis and cytotoxicity of 4’−C− and 5’−C−substituted Toyocamycins″Bioorg. Med. Chem. 2001, 9, 163−170)。
【0450】
3(41.0g、175mmol)のピリジン(700mL)溶液に、ジメトキシトリチルクロライド(60.5g、178mmol)を4℃で少量ずつ加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌した。メタノールを加えた後、反応混合物を濃縮し(200mL)、酢酸エチル(2リットル)で溶かした。有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒留去して乾固させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:酢酸エチル/ヘキサン15/85]による精製で、純粋な4(63.0g、68%)をシロップとして得た。H−NMR(CDCl):δ7.5〜6.9(m、13H、MMTr)、4.89(s、1H、H−1)、4.72〜4.62(m、3H、H−2、H−3およびOH−5)、3.82(dd、1H、H−5、J5−OH=5.5Hz、J5−5’=10.5Hz)、3.79(s、6H、OCH)、3.54(dd、1H、H−5’、J5’−OH=4.9Hz、J5’−5=10.5Hz)、3.31(s、3H、OCH)、3.24(d、1H、H−6、J6−6’、=9.2Hz)、3.13(d、1H、H−6’、J6’−6=9.2Hz)、1.24(s、3HCH)、1.15(s、3HCH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z303(DMTr)
【実施例8】
【0451】
実施例8:5−O−ベンゾイル−4−C−ヒドロキシメチル−1−O−メチル−2,3−O−イソプロピリデン−β−D−リボ−フラノース−(5)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を製造することができる(Gunic, E.; Girardet, J. −L.; Pietrzkowski, Z.; Esler, C.; Wang, G. ″Synthesis and cytotoxicity of 4’−C−and 5’−C−substituted Toyocamycins″ Bioorg. Med. Chem. 2001, 9, 163−170)。
【0452】
4(2.51g、4.68mmol)の脱水ピリジン(37mL)溶液に、アルゴン下でベンゾイルクロライド(1.09mL、9.36mmol)を加え、反応混合物を室温で13時間撹拌した。反応液を冷却して0℃とし、氷冷水(100mL)で反応停止した。水層を塩化メチレンで抽出した(200mLで3回)。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150mLで2回)、水(150mLで1回)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。残留物を80%酢酸(70.2mL)に溶かし、混合物を室温で3時間撹拌し、濃縮して乾固させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:クロロホルム]による精製によって、純粋な5(1.40g、88%)をシロップとして得た。H−NMR(CDCl):δ8.1〜7.4(m、5H、CCO)、5.08(s、1H、H−1)、4.77(dd、2H、H−2およびH−3、J=6.1Hz、J=8.2Hz)、4.51(q、2H、H−5およびH−5’、J=11.5Hz,J5−5’=23.8Hz)、3.91(t、2H、H−6およびH−6’、J=12.3Hz)、4.38(s、1H、OCH)、2.2〜1.8(brs、1H、OH−6)、1.57(s、3HCH)、1.38(s、3HCH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z677(2M+H)、339(M+H)、307(M−OCH、105(CCO)FAB<0m/z121(CCO)。
【実施例9】
【0453】
実施例9:5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−1−O−メチル−2,3−O−イソプロピリデン−β−D−リボフラノース−(6)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を製造することができる(Gunic, E.; Girardet, J. −L.; Pietrzkowski, Z.; Esler, C.; Wang, G. ″Synthesis and cytotoxicity of 4’−C− and 5’−C−substituted Toyocamycins″Bioorg. Med. Chem. 2001, 9, 163−170)。
【0454】
5(37.6g、0.111mol)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、40.7g、0.333mol)およびフェノキシチオカルボニルクロライドの脱水アセトニトリル(1000mL)溶液を室温で1時間撹拌し、濃縮して乾固させた。残留物を塩化メチレン(500mL)に溶かし、0.2M塩酸(500mLで2回)、水(500mL)の順で洗浄してから、無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去し、脱水トルエンとともに数回留去した。粗取得物を脱水トルエン(880mL)に溶かし、トリス(トリメチルシリル)シラン(TMSS、42.9mL、0.139mol)および1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ACCN、6.8g、27.8mmol)を加えた。反応混合物を還流下に45分間撹拌し、冷却して室温とし、減圧下に濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:ジエチルエーテル(5%から20%)/石油エーテルの段階的勾配]によって精製して、純粋な6(26.4g、74%)を淡黄色シロップとして得た。H−NMR(DMSO−d):δ8.0〜7.5(m、5H、CCO)、4.85(s、1H、H−1)、4.63(dd、2H、H−2およびH−3、J=6.1Hz、J=11.6Hz)、4.24(d、1H、H−5、J5−5’=11.1Hz)、4.10(d、1H、H−5’、J5’−5=11.1Hz)、3.17(s、1H、OCH)、1.38(s、3HCH)、1.30(s、3HCH)、1.25(s、3HCH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z291(M−OCH、105(CCO)FAB<0m/z121(CCO
【実施例10】
【0455】
実施例10:5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−1,2,3−O−アセチル−α,β−D−リボフラノース−(7)の製造
化合物6(22.5g、70mmol)を80%酢酸水溶液(250mL)に懸濁させた。溶液を100℃で3時間加熱した。体積を半量に低減し、純粋エタノールおよびピリジンとともに共留去した。油状残留物をピリジン(280mL)に溶かし、冷却して0℃とした。無水酢酸(80mL)および4−ジメチルアミノ−ピリジン(500mg)を加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、減圧下に濃縮した。残留物を酢酸エチル(1リットル)に溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、1M塩酸および水の順で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:ジエチルエーテル(30%から40%)/石油エーテルの段階的勾配]によって精製して、純粋な7(16.2g、60%)を淡黄色シロップとして得た。少量の取得物をシリカゲルクロマトグラフィー[同一の溶離液:系]で再度精製して、αおよびβアノマーを分離した。
【0456】
αアノマー:H−NMR(DMSO−d):δ8.1〜7.5(m、5H,CCO)、6.34(pt、1H、H−1、J=2.4Hz、J=2,1Hz)、5.49(m、2H、H−2およびH−3)、4.33(q、2H、H−5およびH−5’、J=11.6Hz、J=18.7Hz)、2.15(s、3H、CHCO)、2.11(s、3H,CHCO)、2.07(s、3H、CHCO)、1.37(s、3H、CH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z335(M−CHCO、275(M−CHCO+H)、105(CCO)、43(CHCO)FAB<0m/z121(CCO、59(CHCO
【0457】
βアノマー:H−NMR(DMSO−d):δ8.1〜7.5(m、5H、CCO)、5.99(s、1H、H−1)、5.46(d、1H、H−2、J2−3=5.3Hz)、5.30(d、1H、H−2,J2−3=5.3Hz)、4.39(d、1H、H−5、J5−5’=11.7Hz)、4.19(d、1H、H−5’、J5’−5=11.7Hz)、2.10(s、3H、CHCO)、2.06(s、3H、CHCO)、2.02(s、3H、CHCO)、1.30(s、3H、CH);MS(マトリクスGT):FAB>0m/z335(M−CHCO、275(M−CHCO+H)、105(CCO)、43(CHCO)FAB<0m/z121(CCO、59(CHCO
【実施例11】
【0458】
実施例11:O−6−ジフェニルカルバモイル−N−イソブチリル−9−(2,3−ジ−O−アセチル−5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−8−メチルグアニン−(18)の製造
O−6−ジフェニルカルバモイル−8−メチル−N−イソブチリルグアニンの脱水トルエン(20mL)懸濁液に、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(1.92mL、7.9mmol)を加えた。反応混合物を還流下に1時間加熱した。化合物7(1.55g、3.93mmol)をトルエン(10mL)に溶かし、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSTf)(915mL、4.72mmol)を加えた。混合物を還流下に30分間加熱した。溶液を冷却して室温とし、5%炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。反応混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈した。有機相をで5%炭酸水素ナトリウム水溶液(150mL)および水(150mLで2回)で洗浄した。有機層をNaSOで脱水し、溶媒留去して乾固させた。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:ジエチルエーテル(70%から90%)/石油エーテルの段階的勾配]によって精製して、18を得た。
【実施例12】
【0459】
実施例12:9−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−8−メチルグアニン−(19)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を18から製造することができる(Waga, T.; Nishizaki, T.; Miyakawa, I.; Orhui, H.; Meguro, H. ″Synthesis of 4’−C−methylnucleosides″ Biosci. Biotechnol. Biochem. 1993, 57, 1433−1438)。
【0460】
18のメタノール性アンモニア(−10℃で予め飽和させたもの)(20mL)溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(60mL)と水(60mL)との間で分画した。水層を塩化メチレンで洗浄し(60mLで2回)、減圧下に濃縮した。残留物をRP18カラムクロマトグラフィー[溶離液:水/アセトニトリル95/5]によって精製して、19を得た。
【実施例13】
【0461】
実施例13:9−(2,3−ジ−O−アセチル−5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−8−メチルアデニン−(20)の製造
7(1.10g、2.79mmol)の脱水アセトニトリル(50mL)溶液を、8−メチルアデニンおよび塩化第二スズ(SnCl、660L、5.58mmol)で処理し、室温で終夜撹拌した。溶液を減圧下に濃縮し、クロロホルム(100mL)で希釈し、冷飽和NaHCO水溶液(100mL)で処理した。混合物をセライトで濾過し、沈殿を熱クロロホルムで洗浄した。濾液を合わせ、水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、脱水し(NaSO)、減圧下に溶媒留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(3%から5%)/塩化メチレンの段階的勾配]によって精製して、20を得た。
【実施例14】
【0462】
実施例14:9−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−8−メチルアデニン(21)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を20から製造することができる(Waga, T.; Nishizaki, T.; Miyakawa, I.; Orhui, H.; Meguro, H. ″Synthesis of 4’−C−methylnucleosides″ Biosci. Biotechnol. Biochem. 1993, 57, 1433−1438)。
【0463】
20のメタノール性アンモニア(−10℃で予め飽和させたもの)(50mL)溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(100mL)と水(100mL)との間で分画した。水層を塩化メチレン(100mLで2回)で洗浄し、減圧下に濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(10%から30%)/酢酸エチルの段階的勾配]によって精製して、21を得た。
【0464】
適切な糖およびプリン塩基を用いた以外は同様にして、下記の式XXXXIIのヌクレオシドが製造される。
【0465】
【化74】
【0466】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【実施例15】
【0467】
実施例15:1−(5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−2,3−O−アセチル−β−D−リボフラノシル)−6−メチルウラシル−(8)の製造
6−メチルウラシルの懸濁液を、17時間還流しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS、21mL)および触媒量の硫酸アンモニウムで処理した。冷却して室温とした後、混合物を減圧下に留去し、無色油状物として得られた残留物を脱水1,2−ジクロロエタン(7.5mL)で希釈した。得られた溶液に、7(0.99g、2.51mmol)の脱水1,2−ジクロロエタン(14mL)を加え、次にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSTf、0.97mL、5.02mmol)を加えた。溶液を、アルゴン雰囲気下に室温で2.5時間撹拌し、クロロホルム(150mL)で希釈し、同量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と最後に水(100mLで2回)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。得られた粗取得物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(0%から2%)/クロロホルムの段階的勾配]によって精製して、純粋な8を得た。
【実施例16】
【0468】
実施例16:1−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−6−メチルウラシル−(9)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を8から製造することができる(Waga, T.; Nishizaki, T.; Miyakawa, I.; Orhui, H.; Meguro, H. ″Synthesis of 4’−C−methylnucleosides″ Biosci. Biotechnol. Biochem. 1993, 57, 1433−1438)。
【0469】
8のメタノール性アンモニア(予め−10℃で飽和させたもの)(27mL)溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(40mL)と水(40mL)との間で分画した。水層を塩化メチレンで洗浄し(40mLで2回)、減圧下に濃縮し、純粋エタノールとともに数回共留去した。純粋エタノール/メタノール混合液からの再結晶によって、9を得た。
【実施例17】
【0470】
実施例17:1−(5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−2,3−O−アセチル−β−D−リボフラノシル)4−チオ−6−メチル−ウラシル−(10)の製造
ローソン試薬(926mg、2.29mmol)をアルゴン下に、8の脱水1,2−ジクロロエタン(65mL)溶液に加え、反応混合物を終夜還流撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(1%から2%)/クロロホルムの段階的勾配]によって精製して、純粋な10を得た。
【実施例18】
【0471】
実施例18:1−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)4−チオ−6−メチルウラシル−(11)の製造
10のメタノール性アンモニア(−10℃で予め飽和させたもの)(27mL)の溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(40mL)と水(40mL)との間で分画した。水層を塩化メチレンで洗浄し(40mLで2回)、減圧下に濃縮した。粗取得物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(5%から7%)/塩化メチレンの段階的勾配]によって精製して、11を得て、それを凍結乾燥した。
【実施例19】
【0472】
実施例19:1−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−6−メチルシトシン・塩酸型−(12)の製造
ステンレス製ボンベ中、化合物11をメタノール性アンモニア(−10℃で予め飽和させたもの)、(12mL)で100℃にて3時間処理し、冷却して室温とした。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(40mL)と水(40mL)との間で分画した。水層を塩化メチレンで洗浄し(40mLで2回)、減圧下に濃縮した。粗取得物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム65:30:5]によって精製した。回収した分画を減圧下に、純粋エタノール(6.3mL)中で溶媒留去した。その溶液に、2N塩酸溶液(1.5mL)を加え、混合物を撹拌してから減圧下に濃縮した。その手順を2回繰り返し、12を純粋エタノールから沈殿させた。
【実施例20】
【0473】
実施例20:1−(5−O−ベンゾイル−4−C−メチル−2,3−O−アセチル−β−D−リボフラノシル)−6−メチルチミン−(13)の製造
6−メチルチミン(384mg、3.04mmol)の懸濁液を、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、17mL)および触媒量の硫酸アンモニウムで終夜撹拌下に処理した。冷却して室温とした後、混合物を減圧下に留去し、無色油状物として得られた残留物を脱水1,2−ジクロロエタン(6mL)で希釈した。得られた溶液に、7(1.0g、2.53mmol)の脱水1,2−ジクロロエタン(14mL)溶液を加え、次にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSTf、0.98mL、5.06mmol)を加えた。溶液を、アルゴン下に室温で5時間撹拌し、クロロホルム(150mL)で希釈し、同量の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、最後に水で洗浄した(100mLで2回)。有機相を無水硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下に溶媒留去した。得られた粗取得物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:2%メタノール/クロロホルム]によって精製して、純粋な13を得た。
【実施例21】
【0474】
実施例21:1−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−6−メチルチミン−(14)の製造
公開の手法に従って、標題化合物を13から製造することができる(Waga, T.; Nishizaki, T.; Miyakawa, I.; Orhui, H.; Meguro, H. ″Synthesis of 4’−C−methylnucleosides″ Biosci. Biotechnol. Biochem. 1993, 57, 1433−1438)。
【0475】
13のメタノール性アンモニア(−10℃で予め飽和させたもの)(60mL)溶液を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(60mL)と水(60mL)との間で分画した。水層を塩化メチレンで洗浄し(60mLで2回)、減圧下に濃縮し、純粋エタノールとともに数回共留去した。メタノールからの再結晶によって、14を得た。
【実施例22】
【0476】
実施例22:1−(5,2,3−トリ−O−アセチル−4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−6−メチルチミン−(15)の製造
14の脱水ピリジン(7.4mL)溶液を無水酢酸(1.2mL)で処理し、室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(0%から5%)/塩化メチレンの段階的勾配]によって精製して、15を得た。
【実施例23】
【0477】
実施例23:1−(5,2,3−トリ−O−アセチル−4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−4−チオ−6−メチルチミン−(16)の製造
ローソン試薬(119mg、0.29mmol)をアルゴン下に、15の脱水1,2−ジクロロエタン(11mL)溶液に加え、反応混合物を還流下に終夜撹拌した。溶媒を減圧下に留去し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:メタノール(1%から2%)/クロロホルムの段階的勾配]によって精製して、16を得た。
【実施例24】
【0478】
実施例24:1−(4−C−メチル−β−D−リボフラノシル)−5−メチル−6−メチルシトシン−(17)・塩酸塩型の製造
ステンレス製ボンベ中、100℃で3時間にわたり、化合物16をメタノール性アンモニア(予め−10℃で飽和させたもの)、(10mL)で処理し、冷却して室温とした。溶媒を減圧下に留去し、残留物を塩化メチレン(30mL)と水(30mL)との間で分画した。水層を塩化メチレンで洗浄し(30mLで2回)、減圧下に濃縮した。粗取得物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[溶離液:20%メタノール/塩化メチレン]によって精製して、17を得た。その化合物をEtOH100(1.5mL)に溶かし、2N塩酸溶液(0.3mL)で処理し、混合物を撹拌してから減圧下に濃縮した、その手順を2回繰り返し、17を純粋エタノールから沈殿させた。
【0479】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基を用いて、下記式XXXXIIIのヌクレオシドが製造される。
【0480】
【化75】
【0481】
式中、R、R、R、X、XおよびYは本明細書で定義の通りである。
【0482】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記式XXXXIVのヌクレオシドが製造される。
【0483】
【化76】
【0484】
式中、R、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0485】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記式XXXXVのヌクレオシドが製造される。
【0486】
【化77】
【0487】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0488】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記式XXXXVIのヌクレオシドが製造される。
【0489】
【化78】
【0490】
式中、R、R、R、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0491】
あるいは、適切な糖およびピリミジン塩基またはプリン塩基を用いて、下記式XXXXVIIのヌクレオシドが製造される。
【0492】
【化79】
【0493】
式中、R、R、R、R、R、R10、Xおよび塩基は本明細書で定義の通りである。
【0494】
VIII.生物アッセイ
ウィルスに対する被験化合物の効力を測定するのに、多くのアッセイが利用可能である。それらの生物アッセイのいくつかについて、下記の実施例で説明する。
【実施例25】
【0495】
実施例25:抗フラビウィルスまたはペスチウィルス活性
化合物は、フラビウィルスまたはペスチウィルスポリメラーゼを阻害することによって、複製サイクルで必要な他の酵素を阻害することによって、あるいは他の経路によって抗フラビウィルスまたはペスチウィルス活性を示すことができる。
【0496】
ヌクレオシドの活性化トリホスフェートへのリン酸化アッセイ
化合物の細胞代謝を測定するため、HepG2細胞をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection;メリーランド州ロックヴィル)から入手し、225cm組織培養フラスコ中、非必須アミノ酸、ペニシリン−ストレプトマイシン1%を補充した最小必須培地で増殖させる。培地を3日ごとに新しくし、細胞を週に1度継代する。トリプシン−EDTA30mLに10分間曝して粘着性の単層を剥離し、培養液で3回連続的に洗浄した後、集密HepG2細胞を、ウェルあたり細胞2.5×10個の密度で6ウェルプレートに播種し、[H]標識活性化合物(500dpm/ピコモル)10μMに所定の時間曝す。5%CO雰囲気中、37℃に細胞を維持する。所定の時間点で、氷冷リン酸緩衝食塩水(PBS)で3回細胞を洗浄する。細胞ペレットを、60%のメタノールを用いて終夜−20℃でインキュベートしてから、氷浴で1時間、追加の冷メタノール20μLでの抽出にかけることによって、細胞内の活性化合物およびそのそれぞれの代謝産物を抽出する。次いで抽出物を合わせ、穏やかな濾過空気流中で乾燥させ、HPLC分析まで−20℃で保存する。
【0497】
カニクイザルでの生物学的利用能アッセイ
試験開始前の1週間以内に、カニクイザルに、採血を容易にするための慢性静脈カテーテルおよび皮下静脈採血口(VAP)を外科的に移植し、血液学および血清化学評価を含む身体検査を行い、体重を記録した。用量レベルが10mg/kgで、投与濃度が5mg/mLの各用量の活性化合物と共におよそ250μCiのH放射能を、静脈内大量瞬時投与(サル3匹、IV)または経口胃管栄養法(サル3匹、PO)によって各々のサル(計6匹)に与える。投与前に各投与注射器を秤量し、投与する処方量を重量測定によって決定する。指定の間隔(投与前およそ18〜0時間、投与後0〜4、4〜8、および8〜12時間)で、受け皿を用いて採尿を行い、処理する。静脈カテーテルおよびVAPを介して、または静脈カテーテルでの手順が不可能なら抹消血管から、血液サンプルを同様に(投与前、投与後0.25、0.5、1、2、3、6、8、12、および24時間)で採取する。血液および尿サンプルの最高濃度(Cmax)、最高濃度に達したときの時間(Tmax)、曲線下面積(AUC)、投与濃度の半減期(T1/2)、クリアランス(CL)、定常状態の体積および分布(Vss)、および生物学的利用能(F)を分析する。
【0498】
骨髄毒性アッセイ
ヒト骨髄細胞を正常な健常志願者から採取し、文献(Sommadossi J−P, Carlisle R. ″Toxicity of 3’−azido−3’−deoxythymidine and 9−(1,3−dihydroxy−2−propoxymethyl)guanine for normal human hematopoietic progenitor cells in vitro″Antimicrobial Agents and Chemotherapy 1987; 31: 452−454; and Sommadossi J−P, Schinazi RF, Chu CK, Xie M−Y. ″Comparison of cytotoxicity of the (−)− and (+)−enantiomer of 2’,3’−dideoxy−3’−thiacytidine in normal human bone marrow progenitor cells″Biochemicalb Pharmacology 1992; 44: 1921−1925)に報告されているフィコール−ハイパック勾配遠心分離によって単核球群を分離する。二重層軟寒天法またはメチルセルロース法を利用して、CFU−GMおよびBFU−Eでの培養アッセイを行う。薬物を組織培養培地に希釈し、濾過する。14〜18日後、空気中CO5%の加湿雰囲気中、37℃で、倒立顕微鏡を使用して、細胞が50個を超えるコロニーをカウントする。溶媒対照培養物に対する薬物存在下の集落形成阻害の百分率として示す。
【0499】
ミトコンドリア毒性アッセイ
HepG2細胞を上述のように12ウェルプレートに培養し、文献(Pan−Zhou X−R, Cui L, Zhou X−J, Sommadossi J−P, Darley−Usmer VM. ″Differential effects of antiretroviral nucleoside analogs on mitochondrial function in HepG2 cells″Antimicrob. Agents Chemother. 2000; 44: 496−503)に記載の方法に従って、様々な濃度の薬物に曝露する。ベーリンガー(Boehringer)乳酸アッセイキットを使用して、4日間薬物に曝した後の培養液の乳酸レベルを測定する。血球計数器でカウントして測定した細胞数によって乳酸レベルを正規化する。
【0500】
細胞傷害性アッセイ
加湿CO(5%)雰囲気中、37℃で、5×10〜5×10/ウェルの間の割合で、増殖培地の96ウェルプレートに細胞を一晩かけて播種する。次いで、薬物の連続希釈物を含有する新しい増殖培地を加える。4日間インキュベートした後、培養物を50%TCAに固定し、スルホロダミンBで染色する550nmの光学密度を読み取った。細胞傷害性濃度は、細胞数を50%まで減少させるのに要する濃度(CC50)として表示した。
【0501】
細胞保護アッセイ(CPA)
このアッセイは、実質的にバギンスキーらの報告(Baginski, S. G.; Pevear, D. C.; Seipel, M.; Sun, S. C. C.; Benetatos, C. A.; Chunduru, S. K.; Rice, C. M. and M. S. Collett ″Mechanism of action of a pestivirus antiviral compound″PNAS USA 2000,97 (14), 7981− 7986)に記載の方法に従って実施する。使用する24時間前に、MDBK細胞(ATCC)を96ウェル培養プレートに播種する(ウェルあたり細胞4,000個)。1細胞あたり0.02プラーク形成単位(PFU)の感染多重度(MOI)でBVDV(系統NADL、ATCC)に感染させた後、最終濃度を増殖培地中0.5%DMSOとして、試験化合物の連続希釈物を感染細胞と非感染細胞の両方に加える。各希釈物4連で試験を行う。実験間中細胞が確実に増殖し続け、未処理の対照でのウィルス誘発性細胞破壊が感染後4日後に90%超に達するように細胞密度およびウィルス接種材料を調節する。4日後、プレートを50%TCAで固定し、スルホロダミンBで染色する。マイクロプレートリーダーでウェルの550nmの光学密度を読み取る。ウィルスによる細胞変性作用の低減が50%に達する化合物濃度を50%有効濃度(EC50)値と定義する。
【0502】
プラーク減少アッセイ
2組の24ウェルプレート中でのプラーク減少アッセイによって、各化合物の有効濃度を測定した。細胞単層を100PFU/ウェルのウィルスに感染させた。次いで、不活化血清2%およびメチルセルロース0.75%を補充したMEMで希釈した被験化合物の連続希釈物をその単層に加えた。培養物をさらに37℃で3日間インキュベートし、次いで50%エタノールおよび0.8%クリスタルバイオレットで固定し、洗浄し、風乾した。次いで、プラークをカウントして、ウィルスを90%抑制する濃度を求めた。
【0503】
産生量減少アッセイ
2組の24ウェルプレートでの産生量減少アッセイによって、ウィルス負荷を6段階で対数的に減少させる各化合物の濃度を決定する。このアッセイは、バギンスキーらの報告(Baginski, S. G.; Pevear, D. C.; Seipel, M.; Sun, S. C. C.; Benetatos, C. A.; Chunduru, S. K.; Rice, C. M. and M. S. Collett ″Mechanism of action of a pestivirus antiviral compound″PNAS USA 2000,97 (14), 7981− 7986)に記載の方法に若干の変更を加えて実施する。すなわち、MDBK細胞を24ウェルプレートに播種(ウェルあたり細胞2×10個)してから24時間後に、1細胞あたり0.1PFUの感染多重度(MOI)でBVDV(NADL系統)に感染させる。最終濃度を増殖培地中0.5%DMSOとして、被験化合物の連続希釈物を細胞に加える。各希釈物3連で試験を行う。3日後、3回の凍結融解サイクルによって細胞培養物(細胞単層および上清)を溶解させ、プラークアッセイによってウィルス産生量を数量化する。すなわち、MDBK細胞を、使用する24時間前に6ウェルプレートに播種する(ウェルあたり細胞5×10個)。細胞に試験可溶化液0.2mLを1時間かけて接種し、洗浄し、増殖培地中0.5%アガロースで覆う。3日後、細胞単層を3.5%ホルムアルデヒドで固定し、1%クリスタルバイオレット(50%エタノール中w/v)で染色して、プラークを肉眼で見えるようにする。プラークをカウントして、ウィルス負荷が6対数値減少する濃度を求める。
【実施例26】
【0504】
実施例26:in vitro抗ウィルス活性
in vitro抗ウィルス活性を下記の細胞系で調べた。すなわち、HIVでのMT−4;SARSでのアフリカミドリザル腎臓細胞であるベロ76;ウシウィルス性下痢症ウィルスでのBHK;ポリオウィルスセービン型−1でのSb−1;コクサッキー・ウイルスB−2、B−3、B−4およびA−9でのCVB−2、CVB−3、CVB−4およびCVA−9;2本鎖RNAウィルスでのREO−1である。注:BVDV= ウシウィルス性下痢症ウィルス;YFV=黄熱病ウィルス;DENV=デング熱ウィルス;WNV=西ナイルウィルス;CVB−2=コクサッキーB−2ウィルス;Sb−1=セービン1型ポリオ脊髄性小児麻痺ウィルス;REO=2本鎖RNAレオウィルス。
【0505】
β−D−2’−C−メチル−7−メチル−6−フェニル−3,3a,5,8a−テトラヒドロ−1,3,4,5,7a−ペンタ−アザ−s−インダセン−8−オン(化合物F)についてのCC50およびEC50試験結果
【0506】
【表1】
【0507】
β−D−2’−C−メチル−7−メチル−6−フェニル−3,3a,5,8a−テトラヒドロ−1,3,4,5,7a−ペンタ−アザ−s−インダセン−8−オン(化合物F)についてのCC50試験結果
【0508】
【表2】
【0509】
以上、本発明についてそれの好ましい実施形態を参照しながら説明した。本発明の変更および修正に関しては、前述の本発明についての詳細な説明から当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4