特許第6069174号(P6069174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069174
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】袋詰め包装機における超音波シール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/22 20060101AFI20170123BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20170123BHJP
   B65B 7/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B65B51/22 100
   B65B51/10 200
   B65B7/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-236822(P2013-236822)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-6915(P2015-6915A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2015年10月20日
(31)【優先権主張番号】特願2013-114863(P2013-114863)
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】本田 康之
(72)【発明者】
【氏名】山本 和徳
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−236618(JP,A)
【文献】 特開2004−331109(JP,A)
【文献】 特表2010−505626(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0111475(US,A1)
【文献】 実開昭60−080900(JP,U)
【文献】 特開2012−254818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10−51/30
B65B 7/02
B29C 65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持し、袋を保持した状態で所定の軌道に沿って移送しながら、所定の包装処理を順次行う袋詰め包装機に使用する超音波シール装置において、互いに接離自在に構成されたホーンとアンビルとを備え、前記袋詰め包装機の所定のシール工程位置に配置された超音波シール装置本体と、前記シール工程位置に配置され、前記シール工程に移送された袋の袋口が、前記ホーンとアンビルとの間で、あらかじめ定められたシール許可状態にあるかどうかを検知するセンサーと、前記センサーからの信号に基づき、前記超音波シール装置本体を制御する制御装置とを備え
前記センサーは、前記袋の袋口を間に挟んで互いに押圧された前記ホーンとアンビルの、それぞれ前記袋を押圧する押圧面の間の距離を検知し、前記制御装置は、前記検知された距離が予め定められた閾値以上の場合には前記袋の袋口はシール許可状態にあると判断して前記ホーンに超音波振動を付与し、閾値未満の場合には前記袋の袋口はシール許可状態にはないと判断して前記ホーンに超音波振動を付与しないように制御することを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項2】
請求項記載の超音波シール装置において、前記ホーンとアンビルとは互いに連動して移動し、前記センサーは、前記ホーンとアンビルとのいずれか一方の位置を検知することにより前記押圧面の間の距離を検知することを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項3】
請求項に記載の超音波シール装置において、前記超音波シール装置本体は、前記ホーンとアンビルとを支持する箱形のフレームを備え、前記ホーンとアンビルとを作動させる駆動機構が前記フレーム内に配置され、前記センサーは前記フレーム内に配置され、前記アンビルと共に移動する検出部材の位置を検知することを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項4】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持し、袋を保持した状態で所定の軌道に沿って移送しながら、所定の包装処理を順次行う袋詰め包装機に使用する超音波シール装置において、互いに接離自在に構成されたホーンとアンビルとを備え、前記袋詰め包装機の所定のシール工程位置に配置された超音波シール装置本体と、前記シール工程位置に配置され、前記シール工程に移送された袋の袋口が、前記ホーンとアンビルとの間で、あらかじめ定められたシール許可状態にあるかどうかを検知するセンサーと、前記センサーからの信号に基づき、前記超音波シール装置本体を制御する制御装置とを備え、
前記センサーは、前記袋の袋口が前記シール許可状態の下限状態にあるときに前記袋口の縁部が位置する下限位置に対応する位置に設けられ、前記制御装置は、前記センサーがその下限位置で袋の存在を検知した場合には前記袋の袋口はシール許可状態にあると判断し、検知しない場合には前記袋の袋口はシール許可状態にはないと判断することを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項5】
袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持し、袋を保持した状態で所定の軌道に沿って移送しながら、所定の包装処理を順次行う袋詰め包装機に使用する超音波シール装置において、互いに接離自在に構成されたホーンとアンビルとを備え、前記袋詰め包装機の所定のシール工程位置に配置された超音波シール装置本体と、前記シール工程位置に配置され、前記シール工程に移送された袋の袋口が、前記ホーンとアンビルとの間で、あらかじめ定められたシール許可状態にあるかどうかを検知するセンサーと、前記センサーからの信号に基づき、前記超音波シール装置本体を制御する制御装置とを備え、
前記アンビルは、前記ホーンに対して前後進するアンビル支持部材に絶縁体を介して取付けられ、前記センサーは、前記ホーンと前記アンビルとに個別の配線により電気的に接続され、前記ホーンと前記アンビルとが最接近位置まで移動したときに、前記ホーンと前記アンビルとの間の電気的導通、或いは前記ホーンと前記アンビルとの間に生じる電気抵抗の変化を検知する検知センサーであり、前記制御装置は、前記検知センサーが前記電気的導通或いは電気抵抗の変化を検知しなかった場合には前記袋の袋口はシール許可状態にあると判断して前記ホーンに超音波振動を付与し、前記電気的導通或いは電気抵抗の変化を検知したときには前記袋の袋口はシール許可状態にないと判断して前記ホーンに超音波振動を付与しないように制御し、
前記超音波シール装置はさらに、前記ホーンと前記アンビルとを前記検知センサーに接続する前記配線の断線を検出する断線検出装置を備え、前記制御装置は、前記断線検出装置が前記配線の断線を検出した場合には、前記袋の袋口はシール許可状態にはないと判断し、前記ホーンに超音波振動を付与しないように制御することを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項6】
請求項記載の超音波シール装置において、前記検知センサーは、電気抵抗の変化を検知し、前記断線検出装置は、前記ホーンと前記アンビルとの間で電気的に接続され、前記ホーンと、前記アンビルと、前記検知センサーと、前記ホーンとアンビルとを前記検知センサーに接続する配線とともに閉回路を構成する抵抗器を備え、前記制御装置は、前記検知センサーが前記電気抵抗の変化を検知しなかった場合には袋はシール許可状態にあると判断し、前記検知センサーが前記電気抵抗の変化を検知した場合に袋はシール許可状態にないと判断することを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の超音波シール装置において、前記ホーン又はアンビルと前記検知センサーとの間に可変抵抗器を備えていることを特徴とする、超音波シール装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1に記載の超音波シール装置を備えていることを特徴とする、間欠回転式袋詰め包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで保持した状態で所定の軌道に沿って間欠的又は連続的に移送しながら、袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシールなど、所定の包装処理を順次行う袋詰め包装機に使用するシール装置に関し、特に、超音波を用いてシールする超音波シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
袋詰め包装機に使用するシール装置として超音波を用いる超音波シール装置が知られている。この超音波シールはシール部に異物が挟まれてもこれを超音波振動で噛み切り、所謂噛み込みを防止できるという利点を有する。また、ヒートシールとは異なり熱源を必要としない。超音波シールではホーンとアンビルとで袋を挟み、ホーンに超音波振動を付与してシールを行うが、袋が間に挟まれていない状態でシール装置を作動させる、所謂空シールを行うと、硬い金属製のアンビルに対して金属製のホーンが直接当接して振動を付与することとなるため、装置の一部に亀裂が生じたり、傷をつけたりして装置自体が損傷する虞がある。袋が正常にホーンとアンビルとの間に挟まれた状態では、袋が緩衝材として作用するので、そのような事態は生じない。そのような空シールを防止するために、従来は袋の移送方向でシール工程より上流側において袋の有無をセンサー等で検出し、その検出信号に基づいて後工程での作業を制御し、袋の存在が確認できない場合にはシール工程ではシール作業を行わないようにしていた。このような制御は、超音波シールを行う場合だけでなく、一対の熱板を使用する所謂ヒートシールを使用する包装機でも行われていた。
【0003】
ところが、そのようにセンサーで検出した後に、被包装物の充填に伴う衝撃、あるいは袋を移送する際の機械振動、さらには移動開始時或いは停止時における慣性力などの影響で、グリッパーに対して袋が下方へずれたり、或いは袋がグリッパーから外れたりした場合、さらには脱気工程などで袋口を緊張させた際に袋口が下方へ折れ曲がったりした場合、折角センサーで検出を行う作業をしているにも関わらず、結果的には空シールを行ってしまうこととなる。従って、従来の方法では、超音波シール装置による空シールを完全には防止できず、超音波シール装置破損の危険性が存在している。
【0004】
ところで、シール工程において何らかの検知を行い、それによりシール作業を制御する技術が例えば特公昭53−23755号或いは特開昭59−142925号に開示されている。これらに開示された包装機においては、シールを実施するに先立ち、シール工程に移送されてきた袋に被包装物が充填されているかどうかを検知し、充填されていない場合にはシールを実施しないようにしている。しかしこれらの包装機に使用されているシール装置はヒートシール装置であり、ヒートシール装置の場合は超音波シールと異なり、空シールを行っても装置自体には何ら問題は生じない。また、これら公報に開示された包装機では、袋の被包装物が充填されて膨らんだ部分により検出部材を移動させて検知するようになっており、袋に上下に位置ズレが生じていても充填済みとして検知し、シールを行ってしまう。
【0005】
また、特開平1−182230号では、熱板でヒートシールを行う時にその二枚の熱板の対向間隔を測定し、一定以上の間隔を検知すると所謂異物を噛み込んだと判断し、警報を発するなどして不良品の発生を知らせるヒートシール装置が開示されている。しかしこの装置では、ヒートシールを行って初めて噛み込みを検知するものであり、ヒートシールを実施するかどうかの制御を行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】公昭53−23755号公報
【特許文献2】特開昭59−142925号公報
【特許文献3】特開平1−182230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明は上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、所謂空シールを確実に防止できる、袋詰め包装機用の超音波シール装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成の超音波シール装置を提供する。すなわちその超音波シール装置は、袋の両側縁部を左右一対のグリッパーで挟持し、袋を保持した状態で所定の軌道に沿って移送しながら、所定の包装処理を順次行う袋詰め包装機に使用する超音波シール装置であり、互いに接離自在に構成されたホーンとアンビルとを備え、前記袋詰め包装機の所定のシール工程位置に配置された超音波シール装置本体と、前記シール工程位置に配置され、前記シール工程に移送された袋の袋口が、前記ホーンとアンビルとの間で、あらかじめ定められたシール許可状態にあるかどうかを検知するセンサーと、前記センサーからの信号に基づき、前記超音波シール装置本体を制御する制御装置とを備えている。
そのセンサーは、前記袋の袋口を間に挟んで互いに押圧された前記ホーンとアンビルの、それぞれ前記袋を押圧する押圧面の間の距離を検知し、前記制御装置は、前記検知された距離が予め定められた閾値以上の場合には前記袋の袋口はシール許可状態にあると判断して前記ホーンに超音波振動を付与し、閾値未満の場合には前記袋の袋口はシール許可状態にはないと判断して前記ホーンに超音波振動を付与しないように構成することができる。
また、前記ホーンとアンビルとは互いに連動して移動し、前記センサーは、前記ホーンとアンビルとのいずれか一方の位置を検知することにより前記押圧面の間の距離を検知するように構成することができる。
さらに、前記超音波シール装置本体は、前記ホーンとアンビルとを支持する箱形のフレームを備え、前記ホーンとアンビルとを作動させる駆動機構が前記フレーム内に配置され、前記センサーは前記フレーム内に配置され、前記アンビルと共に移動する検出部材の位置を検知するように構成することができる。
さらに、前記センサーは、前記袋の袋口が前記シール許可状態の下限状態にあるときに前記袋口の縁部が位置する下限位置に対応する位置に設けられ、前記センサーがその下限位置で袋の存在を検知した場合には前記袋の袋口はシール許可状態にあると判断し、検知しない場合には前記袋の袋口はシール許可状態にはないと判断するように構成することができる。
他の実施の形態では、前記アンビルは、前記ホーンに対して前後進するアンビル支持部材に絶縁体を介して取付けられ、前記センサーは、前記ホーンと前記アンビルとに個別の配線により電気的に接続され、前記ホーンと前記アンビルとが最接近位置まで移動したときに、前記ホーンと前記アンビルとの間の電気的導通、或いは前記ホーンと前記アンビルとの間に生じる電気抵抗の変化を検知する検知センサーであり、前記制御装置は、前記検知センサーが前記電気的導通或いは電気抵抗の変化を検知しなかった場合には前記袋の袋口はシール許可状態にあると判断して前記ホーンに超音波振動を付与し、前記電気的導通或いは電気抵抗の変化を検知したときには前記袋の袋口はシール許可状態にないと判断して前記ホーンに超音波振動を付与しないように制御する。
ある実施の形態では、前記超音波シール装置はさらに、前記ホーンと前記アンビルとを前記検知センサーに接続する前記配線の断線を検出する断線検出装置を備え、前記制御装置は、前記断線検出装置が前記配線の断線を検出した場合には、前記袋の袋口はシール許可状態にはないと判断し、前記ホーンに超音波振動を付与しないように制御する。
さらにある実施の形態では、前記検知センサーは電気抵抗の変化を検知し、前記断線検出装置は、前記ホーンと前記アンビルとの間で電気的に接続され、前記ホーンと、前記アンビルと、前記検知センサーと、前記ホーンとアンビルとを前記検知センサーに接続する配線とともに閉回路を構成する抵抗器を備え、前記制御装置は、前記検知センサーが前記電気抵抗の変化を検知しなかった場合には袋はシール許可状態にあると判断し、前記検知センサーが前記電気抵抗の変化を検知した場合に袋はシール許可状態にないと判断するようにすることができる。
さらにある実施の形態では、前記ホーン又はアンビルと前記検知センサーとの間に可変抵抗器を備えている。
さらに本発明は、上記構成の超音波シール装置を備えた間欠回転式袋詰め包装機を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記のとおり本願発明によれば、シール工程に配置したセンサーでシールを行う前に袋がシール許可状態にあるかどうかを検知し、その信号に基づいて超音波シール装置を制御するので、確実に空シールを防止することができ、超音波シール装置の損傷を防止できる。
本願発明はさらに、袋の袋口を間に挟んで互いに押圧されたホーンとアンビルの、それぞれ袋を押圧する押圧面の間の距離を検知するようにした場合、ホーンとアンビルとのシール位置への移動中に何らかの原因で袋口がずれたり、折れ曲がったりした場合でもそれらを確実に検知でき、空シールを防止できる。
アンビルが、ホーンに対して前後進するアンビル支持部材に絶縁体を介して取付けられ、センサーは、ホーンとアンビルとに個別の配線により電気的に接続され、ホーンとアンビルとが最接近位置まで移動したときに、ホーンとアンビルとの間の電気的導通、或いはホーンとアンビルとの間に生じる電気抵抗の変化を検知する検知センサーを備え、制御装置が、検知センサーが電気的導通或いは電気抵抗の変化を検知しなかった場合には袋の袋口はシール許可状態にあると判断し、電気的導通或いは電気抵抗の変化を検知したときには袋口はシール許可状態にないと判断するようにした場合には、ホーンとアンビルとの最接近時の機械的隙間を検出する構成とは異なり、機械的なガタツキ等の影響を受けず、検出精度が優れるほか、応答性にも優れ、高速化に対応できる。
前記超音波シール装置がさらに、ホーンとアンビルとを検知センサーに接続する配線の断線を検出する断線検出装置を備えると、制御装置により、断線検出装置が配線の断線を検出した場合には袋の袋口はシール許可状態にはないと判断し、ホーンに超音波振動を付与しないように制御することにより、空シールによる超音波シール装置の破損をさらに確実且つ安定的に防止することができる。
断線検出装置として、ホーンとアンビルとの間で電気的に接続された抵抗器を用いた場合には、簡単な構成で配線の断線を検知できる。
ホーン又はアンビルと検知センサーとの間に可変抵抗器を備えていると、検知センサーの感度調整が可能となり、空シールに伴う超音波シール装置の破損をさらに確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明の超音波シール装置を使用した袋詰め包装機の構成を示す全体斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る超音波シール装置の側面断面図である。
図3図2におけるA−A線による断面図である。
図4図2におけるB−B線による断面図である。
図5】シールを行っているときの超音波シール装置の側面断面図である。
図6】ホーンとアンビルとで袋口を挟んで押圧している状態を示す部分拡大図である。
図7】第2の実施の形態で使用するセンサーによる検知状態を示す、部分斜視図である。
図8】第3の実施に形態に係る超音波シール装置の待機時の側面断面図である。
図9図8のC−C断面図である。
図10】シール許可状態にある場合の側面断面図である。
図11】シール許可状態にない場合の側面断面図である。
図12】第4の実施の形態に係る超音波シール装置の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面を参照して本願発明の実施の形態について説明するが、本願発明の範囲はそれに限定されるものではない。
【0012】
図1は本願発明の超音波シール装置を使用した間欠回転式袋詰め包装機1の構成を示す全体斜視図である。なお、以下においては間欠回転式袋詰め包装機を例として説明するが、本願発明の適用はこれに限定されるものではなく、連続移送式にも適用可能である。また、グリッパーにより保持される袋の姿勢は起立姿勢(縦型袋詰め包装機)のほか、袋を寝かした状態の横向き姿勢(横型袋詰め包装機)にも適用できる。なお、本願発明による超音波シール装置を用いて超音波シールを施した後、必要に応じて適宜ヒートシール装置による化粧シールや、冷却装置によるヒートシール部の冷却処理を行ってもよい。
【0013】
図1において、符号1は間欠回転式縦型袋詰め包装機(以下単に「包装機」と言う。)を示し、この包装機1は、間欠回転する回転テーブル3、該回転テーブル3の外周部に取付けられた複数組の左右一対のグリッパー5を備え、グリッパー5で袋Bの両側縁部を挟持し、回転テーブル3の間欠回転に伴い、袋Bを保持した状態で円形軌道に沿って順次所定のステーションに停止しながら移送する。ステーションIでは給袋工程が実施され、ここには公知のコンベアマガジン7が配置され、一対の吸盤8で袋Bを一枚ずつ取出し、グリッパー5に起立状態で引渡す。次のステーションIIでは印字器9により袋Bへの製造年月日等の印字がおこなわれる。ステーションIIIでは一対の開口吸盤11を用いて袋口bの開口処理がおこなわれ、ステーションIVではノズル13を介して液状の被包装物の充填が行われる。ステーションVでは開口処理の際に互いに接近したグリッパー5が互いに遠ざかり、袋口bの緊張が行われる。ステーションVIではホーン39とアンビル49とを備えた超音波シール装置21(以下「シール装置21」という。)により超音波シールが施されるが、これについては後述する。ステーションVIIでは一対の熱板15を用いて化粧シールが施され、ステーションVIIIでは一対の冷却板17によるシール部の冷却が施され、その後に製品袋放出シュート19へ袋Bが放出される。符号20は制御装置であり、後述するシール装置21を含めて包装機1全体の動作を制御する。
【0014】
次に図2以下を参照して第1の実施の形態に係るシール装置21について詳細に説明する。図2はシール装置21の構成を示す側面断面図であり、前の工程で被包装物を充填された袋BがステーションVIに移動してきて停止した状態を示しており、シール装置21は未だ作動していない。図3、4はそれぞれ図2におけるA−A線断面図、B−B線断面図である。
【0015】
なお、以下に説明する本発明の実施の形態では、超音波シールを袋Bの袋口bの縁部にかけて行うようにしている。すなわち、超音波シールは前述のとおり所謂噛み込みを防止できる利点を有するが、超音波シールを袋口bの縁部から離れた位置で行った場合、そのシール部分より上側では袋口が開いており、商品を陳列している間にそこに埃などが入り込む可能性がある。袋口bの縁部にかけてシールを行えばそのような問題は生じない。なお、袋口bの縁部にかけて超音波シールを施す場合には、図1に示した工程のうち、熱板15を用いての化粧シール工程と冷却板17を用いての冷却工程は実施しない。勿論本願発明は、袋口bの縁部より下側の部分において超音波シールを施す場合にも適用できるものであり、その場合には、袋口bの縁部から超音波シールが施された位置までの未シール部分にヒートシール(化粧シール)を施し、その後の冷却もおこなう。また、包装する製品が袋口の縁部にかけて超音波シールを施すものに限られる場合には、先に説明したステーションVIIの熱板15を備えた化粧シール装置と、ステーションVIIIの一対の冷却板17を備えた冷却装置を設ける必要はない。
【0016】
図において、符号25は後述のホーン39やアンビル49を駆動するための駆動軸であり、機台22に取付けられた箱型のフレーム23に回動自在に取り付けられ、フレーム23内部へ水平方向に伸びている。符合27はフレーム23内部に配置された揺動レバーであり、その一端側において駆動軸25に一体回転可能に取付けられ、他端側において、図示しない駆動源(例えばカム機構)に連結された駆動ロッド29に互いに回動可能に連結されている。駆動ロッド29は、これも図示しない緩衝手段例えばエアーシリンダーを介して駆動源に連結されており、駆動ロッド29は駆動源により略その軸方向に往復動されるようになっている。駆動軸25にはさらに図示のように所定の角度で開いた第1アーム32と第2アーム33とを備えた二股レバー31が一体回転可能に取付けられている。従って、二股レバー31は、駆動ロッド29がある距離だけ往復移動すると、揺動レバー27、駆動軸25を介してその運動を伝えられ、それに対応した角度範囲で往復回動することとなる。
【0017】
符合35は振動子であり、その筒状のケーシング36が、フレーム23に取付けられた筒状のガイド41により、水平な軸方向に移動可能に支持されている。ケーシング36の後端側には取付け軸37が取付けられ、その先端には第1取付けブロック43が固定され、その第1取付けブロック43と、前述の二股レバー31の第1アーム32の先端とを第1連結ロッド45が連結している。一方ケーシング36の前端からは、この振動子35に発生される超音波振動を出力するブースター38が水平方向に伸びており、その先端にホーン39が固定されている。従って、駆動ロッド29がその軸方向に往復移動することにより、振動子35とホーン39とはガイド41により案内されて一体的に前後進移動をすることとなる。
【0018】
符合47は、フレーム23に固定された筒状のガイド55に挿通され、フレーム23の内外に渡って伸びている摺動軸であり、ホーン39の上方でホーン39の軸と同じ方向に伸びている。そしてフレーム23の外側に位置する外端部には公知のアンビル49が、アンビル支持部材48を介して固定して取付けられ、袋口bをシールする時に袋口bを押圧するその押圧面50が、前述のホーン39の押圧面40と所定の距離をおいて対向するようになっている。一方摺動軸47のフレーム23の内側に位置する内端部には第2取付けブロック53が固定されている。そしてこの第2取付けブロック53に第2連結ロッド57がその一端において回動可能に連結され、第2連結ロッド57の他端は二股レバー31の第2アーム33の端部に回動可能に連結されている。従って、駆動ロッド29がその軸方向に往復移動することにより、アンビル49がガイド55により案内されて、ホーン39とは反対方向に前後進移動をすることとなる。具体的には、図2において二股レバー31が時計方向に回動すると、ホーン39とアンビル49とは図5に示す袋を間に挟んで互いに当接する位置まで近づき、二股レバー31が反時計方向に回動すると、互いに遠ざかり、図2に示す待機位置まで後退する。なお、本実施の形態では、摺動軸47は図3に示されるように同一水平面内で平行に2本設けられている。
【0019】
符合61は取付けブラケット63によってフレーム23内の所定の位置の取付けられたセンサーであり、本実施の形態では近接センサーを使用しており、摺動軸47に取付けられた第2取付けブロック53の摺動軸47の軸方向での位置を検知するようになっている。そして制御装置20から、ラインL1がセンサー61に繋がり、ラインL2が制御装置20内に配置した超音波発振器(図示せず)を振動子35に繋げている。制御装置20は、センサー61からの信号に基づき、振動子35の動作を制御する。
【0020】
次にシール装置21の動作について図5、6をも参照して説明する。シール装置21は図2に示す状態で待機している。そして前工程で被包装物を充填された袋BがステーションVI(シール工程)に移動してきて停止すると、駆動源の作用により所定のタイミングで駆動ロッド29が図2において軸方向下方へ移動する。これにより二股レバー31が図2で時計方向に回動し、ホーン39とアンビル49とが互いに接近して、図5に示すように袋Bの袋口bを間に挟んで当接して停止する。その際、センサー61により第2取付けブロック53の位置が検知されている。これにより、ホーン39の押圧面40とアンビル49の押圧面50との間の距離m、換言すれば、袋Bの袋口bのホーン39とアンビル49とにより挟まれている部分の厚みmが検知されていることとなる(図6参照)。すなわち、ホーン39とアンビル49との図1に示される待機位置は決まっており、共に二股レバー31により同時に連動してそれぞれ二股レバー31の回動角度に対応した距離だけ移動させられるので、第2取付けブロック53の位置を検知することにより、ホーン39とアンビル49とにより挟まれている部分で袋Bの厚みが検知できる。なお、検知する対象は第2取付けブロック53に限られず、例えば第1取付けブロック43の位置を検知してもよい。勿論、ホーン39の押圧面40とアンビル49の押圧面50との間の距離を直接に測ってもよい。
【0021】
上記のとおり、本実施の形態では、ホーン39とアンビル49とで袋口bを挟んだときのホーン39の押圧面40とアンビル49の押圧面50との間の距離、すなわち袋口bのホーン39の押圧面40とアンビル49の押圧面50の間に挟まれた部分の厚みmを検知して、そのmの値に基づいてシール装置21を制御する。すなわち本願発明は、袋Bの袋口bがホーン39とアンビル49との間でどのような位置に、或いはどのような状態で位置しているかによってこのmの値が変化する、との知見に基づきなされたものである。これについて以下に説明する。
【0022】
前述のとおりホーン39とアンビル49とは、図示しない駆動源によってこれも図示しない緩衝手段としてのエアーシリンダー及び駆動ロッド29を介して駆動され、袋Bを間に挟んで当接するが、同一寸法の袋に対しては、その当接する際のホーン39とアンビル49との押圧力は当然一定の値に設定される。従って、袋Bの袋口bがホーン39とアンビル49との間でどのような位置に、或いはどのような姿勢にあるかによって、ホーン39とアンビル49とで挟まれて押圧されている部分の厚みが変わる。すなわち、袋が所望のとおりの位置、姿勢でグリッパー5により保持されている場合には、袋口bは袋Bの長さ方向で予め設定された幅、具体的にはホーン39とアンビル49の押圧面40、50の寸法によって決まる幅の範囲でホーン39とアンビル49により押圧され、ある厚み分だけ圧縮されるが、この場合にホーン39とアンビル49によってその袋の挟まれた部分へ作用している面圧をFとする。これに対して、例えば袋の移送過程で袋Bがグリッパー5に対して下側へ位置ズレを起し、袋口bの縁部が例えばホーン39の押圧面40の上縁より下に位置すると、ホーン39とアンビル49によって挟まれる部分の幅が狭くなり、面圧がFより高くなる。従って、袋Bの押圧される部分はより圧縮され、その厚みは先の場合より薄くなり、押圧面40と50は先の袋が所望の位置、姿勢でグリッパー5に保持されている場合より接近する。この厚みmが余り薄くなると、ホーン39が超音波振動する際に袋Bは最早緩衝材としての機能を果たさなくなり、シール装置21に対して前述したような好ましくない作用を及ぼすこととなる。袋Bがグリッパ−5から外れてしまい、ホーン39とアンビル49とが直接当接する場合も当然にアンビル49を始めとして、シール装置21の損傷等の可能性がある。
【0023】
そこで本実施の形態では、値mを検知し、その値が予め定めた閾値Mに満たない場合には袋口はシール許可状態にはないと判断し、振動子35を作動させないこととしたのである。すなわち、その閾値Mとしては、袋口bのホーン39とアンビル49とにより挟まれた部分が超音波振動に対する緩衝材として十分機能する厚み、すなわち、シール装置21へ悪影響を及ぼさない下限の値が選ばれる。検知された値mがこの閾値M以上の場合には袋口bはシール許可状態にあり、閾値Mに満たない場合にはシール許可状態にないこととなる。シール許可状態にある場合とシール許可状態にない場合とでは、駆動源側の同じ移動量に対してホーン39とアンビル49の移動量、従って駆動ロッド29の移動量が異なるが、その差は前述した緩衝手段としてのエアーシリンダーにより吸収される。すなわち、緩衝手段としてのエアーシリンダーのロッドは常時は収縮状態にあり、値mが大きくなるほどホーン39とアンビル49の規制される移動量が大きくなり、その分エアーシリンダーのロッドの伸長する量が大きくなる。従って、袋Bの状態が正常で、値mが閾値M以上の場合に比して、袋Bが位置ズレなどを起して圧縮量が大きくなり、値mが閾値M未満となった場合はロッドの伸長量は少なくなり、袋Bが挟まれていない場合には全く伸張しない。
【0024】
センサー61は検知される距離mが予め定められた閾値Mより小さくなるとオフ状態からオン状態に切換わって信号を発するようになっており、その信号は制御装置20に入力される。所定のタイミングで制御装置20によりそのオン、オフ状態が判断され、オフ状態すなわち検知された値mが閾値Mより大きい場合には袋口bはシール許可状態にあると判断され、制御装置20内の超音波発振器は振動子35に超音波を発振して、振動子35を一定時間超音波振動させ、その超音波振動をブースター38を介して増幅してホーン39に伝え、これを所定の振幅で超音波振動させる。これにより公知のとおり、ホーン39とアンビル49とに挟まれた袋Bの袋口bの部分に摩擦熱が発生し、その熱によって袋口bのシールが行われる。その後、ホーン39とアンビル49とは先と反対側に移動され、図2に示す待機位置へ復帰する。袋は次のステーションVII(熱シール工程)へ移送される。
【0025】
一方、オン状態すなわち検知された値mが閾値Mに達しない場合には、袋口bはシール許可状態にはないと判断され、制御装置20は振動子35を振動させない。そして超音波シールを施すことなく、ホーン39とアンビル49とは図2の待機位置へ復帰させられる。袋Bは不良品として図示しない不良品回収シュート上に排出される。
【0026】
なお、上記の実施の形態では下限側の閾値のみを設定しているが、上限側の閾値をも設定してもよい。これを設定することにより、例えば袋を二枚取りした場合にそれを検知し、シールを行わないようにすることができる。また、袋口が折れ曲がり、その折れ曲がって二枚重ねになった部分がホーン39とアンビル49に挟まれた場合も同様に検知できる。
【0027】
図7は本発明の第2の実施の形態に係る超音波シール装置61の主要部のみを示す斜視図であり、符合63,65はそれぞれ押圧面64,66を備えたホーンとアンビルである。本実施の形態では第1の実施の形態とは異なり、センサーによる検知動作は、袋をホーン63とアンビル65で挟む前、例えばホーン63とアンビル65とが第1の実施の形態で図2に示される待機位置に位置している状態で行われ、検知する対象は、袋のホーンとアンビルによって挟まれた部分の厚みではなく、袋の上下方向での位置である。
【0028】
この実施の形態では、センサー69としては、発光素子70と受光素子71とからなる光センサーを用いている。そして、発光素子70と受光素子71とは以下のような位置に配置される。すなわち、前述の第1の実施の形態で説明したように、袋口bがホーン63とアンビル65とによって挟まれて所定の力で押圧された時に検出される値mが閾値Mに一致する場合を想定し、その場合に、ホーン63とアンビル65によって挟まれる前に袋口bの縁部が位置する袋の長さ(高さ)方向での位置Pを発光素子70から発せられた光が通過し、受光素子71により受光されるように配置される。発光素子70から発せられ、受光素子71により受光される光の量は、光が袋Bを通過するかしないかによって異なる。従って、その受光素子71が受光する光の量によって、位置Pに袋Bが存在しているかどうかの判断が可能となる。そして、受光した光の量lが予め定められた閾値Lより少なければ、光は袋Bを通過したことを示しており、このことは袋口bの縁部が位置P或いはそれより上側に位置しており、ホーン63とアンビル65によって挟まれる幅が充分であり、押圧した場合にホーン63とアンビル65との間の隙間すなわち袋口bの押圧された部分の厚みが前述の閾値M以上となることを示している。この場合には、ホーン63とアンビル65とを動作させ、袋口bを挟んで押圧し、超音波を発生させてシールを行う。
【0029】
逆に受光された光量lが閾値L以上の場合には、袋口bの縁部が位置Pより下にある、或いは袋Bそのものが存在しないことを示しており、その場合はホーン63とアンビル65とで袋口bを挟んで押圧すると、その挟まれた部分の厚みmは閾値Mより小さくなることを示しており、その場合にはホーン63とアンビル65とを動作させず、シールを行わないこととする。なお、センサー69は袋Bの幅方向で2つ以上設けてもよい。
【0030】
この例では、第1の実施の形態と異なり、ホーン63とアンビル65とで袋口bを挟む前にセンサー69で検知を行い、シール許可状態と判断された場合にホーン63とアンビル65とを移動させて袋を押圧する。しかし、袋Bはグリッパー5に保持されて停止しているので、その間に袋Bの状態に変化が生じることはほとんどないので、誤りのない判断に基づいてシールをするかどうかの決定がなされる。
【0031】
次に図8乃至11を参照して本願発明の第3の実施の形態について説明する。この実施の形態では、ホーンとアンビルとを互いに接近或いは離反させるための駆動機構は先に述べた第1及び第2の実施の形態と同じであるが、アンビルの取付け構造が異なる。また、センサーとしては、ホーンとアンビルとの間の電気的導通或いはホーンとアンビルとの間の電気抵抗の変化を検知する検知センサーを使用する。なお、第1及び第2の実施の形態と共通する部材については同じ参照番号を使用し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
図8は第3の実施の形態に係る超音波シール装置75の待機状態を示す側面断面図であり、図9図8のC−C断面図である。図において符号76はアンビルである。アンビル76は、フレーム23に固定されたガイド55に挿通されて摺動する摺動軸47の先端に取付けられたアンビル支持部材78の下面側に、絶縁体79を介して固定されている。この絶縁体79は、ホーン39の押圧面40とアンビル76の押圧面77とが直接に接触したときに、アンビル76からアンビル支持部材78、摺動軸47、ガイド55、フレーム23、振動子35を介してホーン39へと繋がる、或いはアンビル76からアンビル支持部材78、摺動軸47、第2連結ロッド57、二股レバー31、第1連結ロッド45、振動子35を介してホーン39へと繋がる閉回路が形成されないようにするものである。絶縁体79は例えばアンビル支持部材78と摺動軸47との間に設けられてもよい。この場合、摺動軸47もアンビル76を支持する支持部材の一部と捉え、そのような構成も「アンビルはアンビル支持部材に絶縁体を介して取付けられている」ものとする。絶縁体79はホーン39とアンビル76とが当接したときに容易に変形しないような剛性を有している。
【0033】
なお、この実施の形態の図に示した例では、ホーン39とアンビル76とは配線L3で繋がれ、配線L3の途中に電気抵抗器80が取付けられているが、この配線L3,電気抵抗器80が設けられない実施形態もある。これらについては後述する。
【0034】
符号81は検知センサーであり、制御装置20内に設けられている。検知センサー81は、配線L4,L5によってホーン39とアンビル76へ繋がれ、配線L5の途中には可変抵抗器82が取付けられている。可変抵抗器82は配線L4に取付けられてもよい。検知センサー81は、ホーン39とアンビル76とが最接近したときにホーン39とアンビル76とが電気的に導通しているか、或いはホーン39とアンビル76との間の電気抵抗値が変化するかを検知するものである。すなわち、図示の配線L3と電気抵抗器80とが設けられている例では、図示の状態でホーン39、配線L3,アンビル76、配線L5,検知センサー81、配線L4とで構成される閉回路が形成され、それに含まれる電気抵抗は直列につながれた電気抵抗器80と可変抵抗器82である。この状態からホーン39とアンビル76とが接近してそれぞれの押圧面40,77が接触すると、ホーン39とアンビル76との間は並列に繋がることとなり、全体の抵抗値が変化し、それが検知センサー81により検知される。また、配線L3,電気抵抗器80が設けられていない場合には、ホーン39とアンビル76とが直接には導通していなかった状態から直接導通した状態に変わったことが検知されることとなる。
【0035】
なお、電気抵抗器80は、配線L4,L5が断線しているかどうかを検知する、断線検知装置として機能する。すなわち、図示の状態で配線L3、L4、L5のいずれかに断線が生じると、図示の閉回路がオープン回路になってしまい、検知センサー81により検知される抵抗値は無限大となり(抵抗値が変化)、少なくとも配線L3,L4,L5のいずれかに断線が生じていることが検知される。
【0036】
図8及び9は前述のとおり、袋Bがシール工程に移動してきた状態を示しているが、シール装置75はまだ作動を開始しておらず、待機状態にある。このとき検知センサー81により検知される抵抗値は、電気抵抗器80と可変抵抗器82との合算値となり、これが抵抗値に変化が生じたかどうかを判断する場合の基準となる。また、配線L3,電気抵抗器80が設けられていない場合には、非導通状態が検知される。
【0037】
図10はシール工程に袋Bが移送され、ホーン39とアンビル76とが所定の距離移動して最接近し、それらの押圧面40と77とでその袋口を挟んだ状態を示している。すなわち、袋Bの袋口がホーン39とアンビル76との間に正常な状態で位置している。まだホーン39の振動は始まっていない。この時、袋口がホーン39とアンビル76との間に存在するので、ホーン39とアンビル76とは直接接触していない。従って、配線L3が設けられていない場合には検知センサー81が非導通を検知し、配線L3が設けられている場合には抵抗値は変化せず、それが検知センサー81により検知される。この検知結果を受けて制御装置20は、シール許可状態にあると判断し、ホーン39に超音波振動を付与するように制御する。
【0038】
一方図11は、袋Bがグリッパ5から外れてしまい、袋Bの袋口がホーン39とアンビル76との間に正常な状態で位置していない状態を示している。まだホーン39の振動は始まっていない。この時、袋口がホーン39とアンビル76との間に存在しないので、ホーン39とアンビル76とは直接接触している。従って、配線L3が設けられていない場合には検知センサー81がホーン39とアンビル76とが導通していることを検知する。配線L3が設けられている場合にはホーン39とアンビル76との間が並列に接続されることにより抵抗値は下がり、その抵抗値の変化が検知センサー81により検知される。この検知結果を受けて制御装置20は、シール許可状態にないと判断し、ホーン39に超音波振動を付与しないように制御し、所謂空シールを防止する。
【0039】
ここで、配線L3が設けられている場合において、前述の閉回路、特に配線L3,L4,L5の少なくともいずれかが断線したとする。袋Bが正常な状態でホーン39とアンビル76とに間に位置して、ホーン39とアンビル76とが最接近した場合(図10)を考えると、配線L3,L4、L5のいずれかに断線が生じていると抵抗値は無限大となる。一方袋Bがホーン39とアンビル76との間に存在しない状況でホーン39とアンビル76とが最接近して接触した場合(図11)、配線L4,L5に断線が生じている場合には抵抗は無限大であり、配線L3に断線が生じた場合は閉回路に含まれる抵抗は可変抵抗器82だけとなり全体の抵抗値は小さくなる。従っていずれの場合でも断線が生じると抵抗値が変化することとなる。このような場合には全て制御装置20はシール許可状態にはないと判断し、ホーン39に振動を付与しないように制御する。なお、ホーン39とアンビル76とが離れている場合でも、L3,L4,L5のいずれかに断線が生じると、その時点でホーン39とアンビル76との間の抵抗は無限大となる。この時点でシール許可状態にないと判断するようにしてもよい。そして、そのような判断をするとともに、警報を発し、包装機1を停止するようにしてもよい。
【0040】
図12は第4の実施の形態を示す、図8における断面C−Cにおける断面図である。この実施の形態は、第3の実施の形態において断線検出装置としての抵抗器を配線L3に設けたのに代えて、ホーン39と当該ホーン39と検知センサー81とを電気的に接続する配線L4の途中で検知センサー81に近い位置にホーン側断線確認センサー91を接続し、アンビル76と当該アンビル76と検知センサー81とを電気的に接続する配線L5の途中で検知センサー81に近い位置にアンビル側断線確認センサー95を接続している。なお、図示のとおり、可変抵抗器92,96を設けて両断線確認センサー91,95の感度調整を可能にしている。
【0041】
この構成においては、断線がない場合にはホーン側断線確認センサー91とアンビル側断線確認センサー95とは導通状態(抵抗値が小さい)にあることを検出する。ホーン39と検知センサ―81とを接続する配線L4に断線が生じると、ホーン側断線確認センサー91は導通が絶たれたことを検出し(抵抗値が大きくなる)、この検出信号に基づき、制御装置20は検知センサー81からの検知信号の有無にかかわらず、シール許可状態にないと判断してホーン39に超音波信号を付与しないように制御する。また、アンビル76と検知センサ―81とを接続する配線L5に断線が生じると、アンビル側断線確認センサー95は導通が絶たれたことを検出し(抵抗値が大きくなる)、この検出信号に基づき、制御装置20は検知センサー81からの検知信号の有無にかかわらず、シール許可状態にないと判断してホーン39に超音波信号を付与しないように制御する。
【0042】
上記の各例においては、超音波シールを袋口の縁部にかけて施す例で説明したが、本発明は、袋口の縁部より下の位置で超音波シールを施す場合をも当然含んでいる。また、上記においては間欠回転式袋詰め包装機として説明したが、前述したとおり連続移送式袋詰め包装機にも適用できる。その場合、超音波シール装置は初期位置から袋の移送に追従して所定の範囲を移動しながら検知及びシールの動作を行い、その後初期位置へ復帰する。従ってこの場合にはシール工程位置とは、初期位置のみではなく、その所定の移動範囲をも含んだものとなる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12