(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069179
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ターボ冷凍機
(51)【国際特許分類】
F25B 1/053 20060101AFI20170123BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
F25B1/053 J
F25B1/053 B
F25B1/00 389A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-250691(P2013-250691)
(22)【出願日】2013年12月4日
(65)【公開番号】特開2015-108466(P2015-108466A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内村 知行
【審査官】
柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−112655(JP,A)
【文献】
特開平10−197077(JP,A)
【文献】
特開2012−032123(JP,A)
【文献】
特開2011−190948(JP,A)
【文献】
実公昭28−001378(JP,Y1)
【文献】
特公昭61−005578(JP,B2)
【文献】
特開2013−194999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/053
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器と、冷媒を羽根車によって圧縮するターボ圧縮機と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器とを備えたターボ冷凍機において、
前記凝縮器の上部と前記蒸発器の上部とを接続し、前記凝縮器の上部の冷媒ガスを前記蒸発器の上部に戻すホットガスバイパス回路と、
前記ホットガスバイパス回路に設置され、該ホットガスバイパス回路を開閉するホットガスバイパス弁と、
前記ターボ圧縮機から吐出される冷媒ガスを駆動用ガスとして前記蒸発器の下部から冷媒液を吸引して前記ターボ圧縮機の吸込み側に吐出するエジェクタと、
前記蒸発器から前記エジェクタに冷媒液を供給する冷媒供給流路に設置され、該冷媒供給流路を開閉する液インジェクション弁と、
前記ホットガスバイパス弁および前記液インジェクション弁の開閉制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とするターボ冷凍機。
【請求項2】
前記蒸発器の蒸発温度計測手段と、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度を測定する温度センサとを備え、
前記制御装置は、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度と前記蒸発温度との温度差に基づいて前記液インジェクション弁の開閉制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のターボ冷凍機。
【請求項3】
前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度を測定する温度センサを備え、
前記制御装置は、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度に基づいて前記液インジェクション弁の開閉制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のターボ冷凍機。
【請求項4】
前記エジェクタの吐出側は、前記ターボ圧縮機の吸込み管または前記ホットガスバイパス回路に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のターボ冷凍機。
【請求項5】
前記エジェクタの駆動用ガスとして、前記ターボ圧縮機と前記凝縮器とを接続する配管を流れる冷媒ガスまたは前記ホットガスバイパス回路を流れる冷媒ガスを用いることを特徴とする請求項1に記載のターボ冷凍機。
【請求項6】
前記蒸発温度を前記蒸発器内の圧力から求めることを特徴とする請求項2に記載のターボ冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ冷凍機に係り、特に凝縮器と蒸発器を接続するホットガスバイパス回路を備えたターボ冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍空調装置などに利用されるターボ冷凍機は、冷媒を封入したクローズドシステムで構成され、冷水(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発して冷凍効果を発揮する蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した冷媒ガスを圧縮して高圧の冷媒ガスにする圧縮機と、高圧の冷媒ガスを冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器と、前記凝縮した冷媒を減圧して膨張させる膨張弁(膨張機構)とを、冷媒配管によって連結して構成されている。
【0003】
ターボ冷凍機(遠心式冷凍機)は、圧縮機の風量すなわち冷凍能力を制御する手段として圧縮機の吸込み(サクション)にベーン機構を設ける。冷凍負荷が低下すると、ベーンを閉動作させ、圧縮機の吸込み風量を低下させる。冷凍負荷が増加した場合は、ベーンを開動作させ、吸込み風量を増加させる。ただし、遠心式圧縮機は、所定のヘッド条件で風量を減じていくと、ある風量以下ではサージングと呼ばれる騒音・異常振動を伴う不安定状態に陥り、冷凍機の運転継続が不可能になる。
【0004】
冷凍機の仕様がサージング領域までの低風量範囲を担保する場合には、凝縮器と蒸発器を接続する、いわゆるホットガスバイパス配管を設け、低負荷の冷凍能力に寄与する冷媒ガス風量と冷凍能力に寄与しない冷媒ガス風量を合算させて、圧縮機のサージング領域突入を回避している。
【0005】
凝縮器と蒸発器を接続するホットガスバイパス配管を設ける場合、凝縮器の上部と蒸発器の上部とを接続して凝縮器のホットガスを蒸発器上部のガス相に戻す方法(以下、従来技術1という)と、凝縮器の上部と蒸発器の下部とを接続して凝縮器のホットガスを蒸発器下部の液相に戻す方法(以下、従来技術2という)とがある。
【0006】
従来技術2では、蒸発器下部の液相にホットガスを戻すが、蒸発器下部の冷媒液分配板(多孔板)の圧力損失が大きいため、ホットガスバイパス量を確保するために過大な口径のホットガスバイパス配管及びホットガスバイパス弁を設ける必要がある。一方、従来技術1では、蒸発器のガス相にホットガスを戻すことにより十分なホットガスバイパス量を確保しやすいが、圧縮機吐出ガスを圧縮機吸込みにバイパスさせるため、圧縮機内部の温度が上昇していく傾向となる。特に、ホットガスバイパス回路を必要とする低負荷時には、ベーン開度が極小となり、圧縮機の効率も極端に低下し、その結果、ホットガス温度も上昇する傾向にある。この状態で冷凍機の運転を継続すると、圧縮機筐体の温度が上昇し、その結果、圧縮機の羽根車軸の温度も上昇し、軸伸びによる羽根車と静止流路部品の接触が生じて圧縮機破損の恐れがある。
【0007】
そこで、ホットガスバイパス回路の作動時に圧縮機筐体温度の上昇を回避するために、凝縮器で凝縮した冷媒液を圧縮機の吸込み側に供給し、過熱した圧縮機冷媒ガスを冷却する方法(以下、従来技術3という)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−194999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術3は、ホットガスバイパス回路の作動時に圧縮機筐体温度の上昇を回避するためには、有効であるが、以下の課題が生じていた。
すなわち、ホットガスバイパス回路が作動する低負荷運転領域では、冷凍サイクルを循環する冷媒量が減少するので、凝縮器に冷媒が滞留しにくく、インジェクションとして供給する冷媒液が確保しにくいという問題があった。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、凝縮器の上部と蒸発器の上部とを接続するホットガスバイパス回路を設け、低負荷の運転領域において凝縮器のホットガスを蒸発器上部のガス相に戻すことにより十分なホットガスバイパス量を確保するとともに、ホットガスバイパス回路の作動時に蒸発器の下部から冷媒液を吸引して圧縮機の吸込み側に供給することにより過熱した圧縮機冷媒ガスを冷却することができるターボ冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器と、冷媒を羽根車によって圧縮するターボ圧縮機と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器とを備えたターボ冷凍機において、前記凝縮器の上部と前記蒸発器の上部とを接続し、前記凝縮器の上部の冷媒ガスを前記蒸発器の上部に戻すホットガスバイパス回路と、前記ホットガスバイパス回路に設置され、該ホットガスバイパス回路を開閉するホットガスバイパス弁と、前記ターボ圧縮機から吐出される冷媒ガスを駆動用ガスとして前記蒸発器の下部から冷媒液を吸引して前記ターボ圧縮機の吸込み側に吐出するエジェクタと、前記蒸発器から前記エジェクタに冷媒液を供給する冷媒供給流路に設置され、該冷媒供給流路を開閉する液インジェクション弁と、前記ホットガスバイパス弁および前記液インジェクション弁の開閉制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、冷凍負荷が低下した場合、制御装置はサクションベーンを閉動作させ、ターボ圧縮機の吸込み風量を低下させる。さらに冷凍負荷が低下してサクションベーンがその最小開度まで閉じると、制御装置はホットガスバイパス弁を開いてホットガスバイパス回路を作動させ、凝縮器のホットガス(冷媒ガス)を蒸発器の上部のガス相に戻す。これにより、ターボ圧縮機から吐出された冷媒ガスをターボ圧縮機の吸込みにバイパスさせ、低負荷の冷凍能力に寄与する冷媒ガス風量と冷凍能力に寄与しない冷媒ガス風量を合算させて、圧縮機のサージング領域突入を回避することができる。
【0013】
上述したように、凝縮器のホットガスを蒸発器の上部のガス相に戻すことにより、十分なホットガスバイパス量を確保しやすいが、圧縮機吐出ガスを圧縮機吸込みにバイパスさせるため、圧縮機内部の温度が上昇していく傾向となる。
そこで、本発明においては、低負荷運転領域におけるホットガスバイパス回路の作動時に圧縮機温度が上昇した場合には、液インジェクション弁を開き、圧縮機の吐出ガスを駆動源としたエジェクタで蒸発器の冷媒液を吸引し、圧縮機の吸込み冷媒ガス配管に導入する。低負荷運転領域では、凝縮器ではなく、蒸発器に冷媒が滞留しやすいので、インジェクションとして供給する冷媒液が確保しやすい。蒸発器から圧縮機の吸込み管に導入された低温(6℃程度)の冷媒液は、過熱冷媒ガスから熱を奪って蒸発する。その結果、圧縮機の吸込み冷媒ガスの温度が低下することにより圧縮機の筐体温度の異常上昇を回避することができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記蒸発器の蒸発温度計測手段と、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度を測定する温度センサとを備え、前記制御装置は、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度と前記蒸発温度との温度差に基づいて前記液インジェクション弁の開閉制御を行うことを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、温度センサにより蒸発器の蒸発温度を測定し、測定信号を制御装置に逐次送り、温度センサによりターボ圧縮機に吸込まれる冷媒ガスの温度を測定し、測定信号を制御装置に逐次送る。制御装置は、ターボ圧縮機に吸込まれる冷媒ガスの温度Tsと蒸発温度Teとの温度差から過熱度ΔTsを求める。すなわち、過熱度ΔTs=Ts−Teを求める。冷凍機の定格運転時にはホットガスバイパス回路は作動しない。故に圧縮機の吸込み側の冷媒ガス温度Tsは、蒸発温度Teと等しいか、あるいは、配管圧損分のわずかな温度低下が見られるのみである。基本的に圧縮機に吸込まれる冷媒ガスの過熱度ΔTs=0である。ホットガスバイパス回路が作動し、低負荷でベーン開度が小さい圧縮機低効率運転時には、当該過熱度の上昇が見られる。制御装置は、冷媒ガスの過熱度ΔTsが所定の過熱度以上(3℃以上)になった場合は、液インジェクション弁を開き、蒸発器の液冷媒により圧縮機の吸込み冷媒ガスの冷却を行う。冷媒ガスの過熱度ΔTsが所定の過熱度以下(1℃)になった場合は、当該冷媒の冷却を行わないため、当該液インジェクション弁を閉じる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度を測定する温度センサを備え、前記制御装置は、前記ターボ圧縮機の吸込み側の冷媒ガスの温度に基づいて前記液インジェクション弁の開閉制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、蒸発器の蒸発温度は、冷凍機ごとに略一定であるので、蒸発器の蒸発温度Teは測定せずにターボ圧縮機に吸込まれる冷媒ガス温度Tsのみを測定し、冷媒ガス温度Tsが設定された温度(例えば、8℃)以上となったら、液インジェクション弁を開く。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記エジェクタの吐出側は、前記ターボ圧縮機の吸込み管または前記ホットガスバイパス回路に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、エジェクタの噴射先を、圧縮機の吸込み管の他に、ホットガスバイパス回路にしてもよい。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記エジェクタの駆動用ガスとして、前記ターボ圧縮機と前記凝縮器とを接続する配管を流れる冷媒ガスまたは前記ホットガスバイパス回路を流れる冷媒ガスを用いることを特徴とする。
【0019】
本発明の好ましい態様は、前記蒸発温度を前記蒸発器内の圧力から求めることを特徴とする。
本発明によれば、蒸発器の蒸発圧力に基づいて飽和温度換算の蒸発温度を算出し、算出した蒸発温度とターボ圧縮機に吸込まれる冷媒ガス温度とから冷媒ガスの過熱度を演算する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)凝縮器のホットガスを蒸発器上部のガス相に戻すホットガスバイパス回路の作動時に、蒸発器の下部から冷媒液を吸引して圧縮機の吸込み側に供給する液インジェクションの効果により、圧縮機吸込み冷媒ガス温度の異常上昇を回避することが可能となる。
(2)凝縮器の上部と蒸発器の上部とを接続するホットガスバイパス回路を設け、低負荷の運転領域において凝縮器のホットガスを蒸発器上部のガス相に戻すことにより、十分なホットガスバイパス量を確保することができる。
(3)圧縮機の吐出ガスを駆動源としたエジェクタで蒸発器の冷媒液を吸引し、圧縮機の吸込み冷媒ガス配管に導入するようにしたので、低負荷運転領域では、凝縮器ではなく、蒸発器に冷媒が滞留しやすいので、インジェクションとして供給する冷媒液が確保しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係るターボ冷凍機の第1の実施形態を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るターボ冷凍機の第2の実施形態を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るターボ冷凍機の第3の実施形態を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るターボ冷凍機の第4の実施形態を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るターボ冷凍機の第5の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るターボ冷凍機の実施形態を
図1乃至
図5を参照して説明する。
図1乃至
図5において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係るターボ冷凍機の第1の実施形態を示す模式図である。
図1に示すように、ターボ冷凍機は、冷媒を圧縮するターボ圧縮機1と、圧縮された冷媒ガスを冷却水(冷却流体)で冷却して凝縮させる凝縮器2と、冷水(被冷却流体)から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、凝縮器2と蒸発器3との間に配置される中間冷却器であるエコノマイザ4とを備え、これら各機器を冷媒が循環する冷媒配管5によって連結して構成されている。
【0023】
図1に示す実施形態においては、ターボ圧縮機1は、多段ターボ圧縮機から構成されており、電動機9によって駆動されるようになっている。ターボ圧縮機1は、流路8によってエコノマイザ4と接続されており、エコノマイザ4で分離された冷媒ガスはターボ圧縮機1の多段の圧縮段の中間部分に導入されるようになっている。この例では、冷媒ガスは一段目羽根車11と二段目羽根車12の間に導入されるようになっている。
【0024】
図1に示すように構成されたターボ冷凍機の冷凍サイクルでは、ターボ圧縮機1と凝縮器2と蒸発器3とエコノマイザ4とを冷媒が循環し、蒸発器3で得られる冷熱源で冷水が製造されて負荷に対応し、冷凍サイクル内に取り込まれた蒸発器3からの熱量および電動機9から供給されるターボ圧縮機1の仕事に相当する熱量が凝縮器2に供給される冷却水に放出される。一方、エコノマイザ4にて分離された冷媒ガスはターボ圧縮機1の多段圧縮段の中間部分に導入され、一段目圧縮段からの冷媒ガスと合流して二段目圧縮段により圧縮される。2段圧縮単段エコノマイザサイクルによれば、エコノマイザ4による冷凍効果部分が付加されるので、その分だけ冷凍効果が増加し、エコノマイザ4を設置しない場合に比べて冷凍効果の高効率化を図ることができる。
【0025】
図1に示すように、ターボ圧縮機1の一段目羽根車11の吸込側には、冷媒ガスの羽根車11,12への吸込流量を調整するサクションベーン13が設けられている。また、凝縮器2の上部と蒸発器3の上部とを接続するホットガスバイパス配管15が設けられており、ホットガスバイパス配管15にはホットガスバイパス弁16が設けられている。ホットガスバイパス弁16は、その開度が調整可能に構成されており、例えば開度可変な電動弁から構成されている。通常の冷凍運転では、ホットガスバイパス弁16は閉じられている。ホットガスバイパス弁16を開くと、ターボ圧縮機1によって圧縮された冷媒ガスは、凝縮器2からエコノマイザ6を通らずに蒸発器3にバイパスされる。
【0026】
図1に示すように、ターボ圧縮機1と凝縮器2を接続する冷媒配管5から分岐して冷媒をターボ圧縮機1からエジェクタ20に導くバイパス管5BPが設置されている。エジェクタ20の吐出側は開閉弁21を介してターボ圧縮機1の吸込側に接続されている。一方、蒸発器3の下部は、冷媒供給配管6を介してエジェクタ20に接続されている。冷媒供給配管6には、液インジェクション弁22が設置されている。ホットガスバイパス弁16、開閉弁21および液インジェクション弁22は、それぞれ制御装置10に接続されている。
【0027】
図1に示すように構成されたターボ冷凍機において、冷凍負荷が低下した場合、制御装置10はサクションベーン13を閉動作させ、ターボ圧縮機1の吸込み風量を低下させる。さらに冷凍負荷が低下してサクションベーン13がその最小開度まで閉じると、制御装置10はホットガスバイパス弁16を開いてホットガスバイパス回路を作動させ、凝縮器2のホットガス(冷媒ガス)を蒸発器3の上部のガス相に戻す。これにより、ターボ圧縮機1から吐出された冷媒ガスをターボ圧縮機1の吸込みにバイパスさせ、低負荷の冷凍能力に寄与する冷媒ガス風量と冷凍能力に寄与しない冷媒ガス風量を合算させて、圧縮機のサージング領域突入を回避することができる。
【0028】
図1に示すターボ冷凍機においては、蒸発器3の上部のガス相にホットガスを戻すことにより十分なホットガスバイパス量を確保しやすいが、圧縮機吐出ガスを圧縮機吸込みにバイパスさせるため、圧縮機内部の温度が上昇していく傾向となる。特にホットガスバイパス回路を必要とする低負荷時にはベーン開度が極小となり、圧縮機の効率も極端に低下してその結果、ホットガス温度も上昇する傾向にある。この状態で冷凍機の運転を継続すると圧縮機筐体の温度が上昇し、その結果、圧縮機の軸温度も上昇し、軸伸びによる羽根車と静止流路部品の接触が生じて圧縮機破損のリスクが生じる。
【0029】
そこで、本発明においては、低負荷運転領域におけるホットガスバイパス回路の作動時に圧縮機温度が上昇した場合には、液インジェクション弁22を開き、圧縮機の吐出ガスを駆動源としたエジェクタ20で蒸発器3の冷媒液を吸引し、圧縮機の吸込み冷媒ガス配管に導入する。低負荷運転領域では、凝縮器ではなく、蒸発器に冷媒が滞留しやすいので、インジェクションとして供給する冷媒液が確保しやすい。蒸発器3から圧縮機の吸込み管に導入された低温(6℃程度)の冷媒液は、過熱冷媒ガスから熱を奪って蒸発する。その結果、圧縮機の吸込み冷媒ガスの温度が低下することにより圧縮機の筐体温度の異常上昇を回避することができる。
【0030】
図2は、本発明に係るターボ冷凍機の第2の実施形態を示す模式図である。
図2に示すように、本実施形態においては、蒸発器3に冷媒の蒸発温度Teを測定する温度センサ25を設置し、ターボ圧縮機1の吸込み管に冷媒ガス温度Tsを測定する温度センサ26を設置している。これらの温度センサ25,26は制御装置10に接続されている。その他の構成は、
図1に示すターボ冷凍機と同様である。
【0031】
本実施形態によれば、温度センサ25により蒸発器3の蒸発温度Teを測定し、測定信号を制御装置10に逐次送り、温度センサ26によりターボ圧縮機1に吸込まれる冷媒ガスの温度Tsを測定し、測定信号を制御装置10に逐次送る。制御装置10は、冷媒ガス温度Tsと蒸発温度Teとの温度差から過熱度ΔTsを求める。すなわち、過熱度ΔTs=Ts−Teを求める。冷凍機の定格運転時にはホットガスバイパス回路は作動しない。故に圧縮機の吸込み側の冷媒ガス温度Tsは、蒸発温度Teと等しいか、あるいは、配管圧損分のわずかな温度低下が見られるのみである。基本的に圧縮機に吸込まれる冷媒ガスの過熱度ΔTs=0である。ホットガスバイパス回路が作動し、低負荷でベーン開度が小さい圧縮機低効率運転時には、当該過熱度の上昇が見られる。制御装置10は、冷媒ガスの過熱度ΔTsが所定の過熱度以上(3℃以上)になった場合は、液インジェクション弁22を開き、エジェクタ20により蒸発器3の液冷媒を吸引して圧縮機の吸込み側に導入する。これにより、蒸発器3の液冷媒により圧縮機の吸込み冷媒ガスの冷却を行う。冷媒ガスの過熱度ΔTsが所定の過熱度以下(1℃)になった場合は、当該冷媒の冷却を行わないため、当該液インジェクション弁22を閉じる。
【0032】
なお、蒸発器3の蒸発温度は、冷凍機ごとに略一定であるので、蒸発器3の蒸発温度Teは測定せずにターボ圧縮機1に吸込まれる冷媒ガス温度Tsのみを測定し、冷媒ガス温度Tsが設定された温度(例えば、8℃)以上となったら、液インジェクション弁22を開くようにしてもよい。
【0033】
図3は、本発明に係るターボ冷凍機の第3の実施形態を示す模式図である。
図3に示すように、本実施形態においては、エジェクタ20の吐出側は開閉弁21を介してホットガスバイパス配管15に接続されている。すなわち、エジェクタ20の吐出側は開閉弁21を介してホットガスバイパス弁16の下流側配管に接続されている。このように、エジェクタ20の噴射先を、圧縮機の吸込み側の他に、ホットガスバイパス配管15にしてもよい。この場合、液インジェクション弁22は、ホットガスバイパス弁16の開度と連動させてもよい。例えば、ホットガスバイパス弁16の全開リミットスイッチが作動したら液インジェクション弁22を開くようにする。その他の構成は、
図2に示すターボ冷凍機と同様である。
【0034】
図4は、本発明に係るターボ冷凍機の第4の実施形態を示す模式図である。
図4に示すように、本実施形態においては、ホットガスバイパス配管15から分岐したバイパス管15BPにエジェクタ20を設置している。ホットガスバイパス配管15は凝縮器2の上部に接続されているため、ホットガスバイパス弁16の一次側配管をエジェクタ駆動圧としてもよい。その他の構成は、
図2に示すターボ冷凍機と同様である。
【0035】
図5は、本発明に係るターボ冷凍機の第5の実施形態を示す模式図である。
図5に示すように、本実施形態においては、蒸発器3内の圧力、すなわち蒸発器3の蒸発圧力Peを測定する圧力センサ27が設置されている。制御装置10は、圧力センサ27で測定した蒸発圧力に基づいて飽和温度換算の蒸発温度を算出し、算出した蒸発温度とターボ圧縮機1に吸込まれる冷媒ガス温度とから過熱度を演算している。その他の構成は、
図2に示すターボ冷凍機と同様である。制御装置10は、演算した過熱度が所定の過熱度以上(3℃以上)になった場合は、液インジェクション弁22を開き、蒸発器3の液冷媒により圧縮機の吸込み冷媒ガスの冷却を行う。演算した過熱度が所定の過熱度以下(1℃)になった場合は、当該冷媒の冷却を行わないため、当該液インジェクション弁22を閉じる。
【0036】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
1 ターボ圧縮機
2 凝縮器
3 蒸発器
4 エコノマイザ
5 冷媒配管
6 制御弁
8 流路
9 電動機
10 制御装置
11 一段目羽根車
12 二段目羽根車
13 サクションベーン
15 ホットガスバイパス配管
16 ホットガスバイパス弁
21 開閉弁
22 液インジェクション弁
25,26 温度センサ
27 圧力センサ