(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記背シール部は、前記フィルムの両側縁部を長さ方向にシールすると共に、前記背シール部の先端部が前記袋本体の他方側を向くように、前記背シール部の基端部で折り曲げられている請求項1〜4の何れか1項に記載の包装袋。
前記端縁シール部は、一方の前記端部シール部から前記袋本体の長さ方向に沿って配置されると共に、前記袋本体の幅方向で、前記易カット部と重なるように配置される請求項1〜5の何れか1項に記載の包装袋。
【背景技術】
【0002】
公知の包装袋には、数種のプラスチックフィルムを積層させた積層フィルムで、内容物をピロー包装する包装袋が知られている。このような包装袋は、取り扱い易く且つごみを減量化できるため、好ましい。
【0003】
包装袋を構成する積層フィルムは、各層のフィルムごとに、強度、引張強度、ガスバリア、透湿、保香等の種々の機能を有する。そして、包装袋は、内容物の種類に適した機能を有するプラスチックフィルムを積層している。
【0004】
しかし、プラスチックフィルムからなる包装袋が、強度、引張強度に優れているため、使用者は、包装袋の端部を手で切断できず、ハサミやカッターナイフ等を用いていた。また、使用者が、ハサミ等で切れ目を設け、その切れ目から開封する場合に、切断部分が直線状にならないこともあるため、内容物が包装袋の内部から飛び出す恐れもある。
【0005】
さらに、ピロータイプの包装袋には、背面に、厚みのあるヒートシール部(背シール部)がある。したがって、この背シール部が、包装袋の開封性を悪くしている。そして、患者や子供等の力の弱い使用者に対して、この開封性の問題がより顕著になる。
【0006】
例えば、開封性を改良した公知技術として、下記特許文献1に係る技術がある。この技術は、包装袋に開封の起点となる開封容易部(微細な凹凸部からなる粗面)を形成することで、開封性を改善している。さらに、この技術においては、包装袋が幼児の悪戯等で誤って開封されることを防止するため(開け難くするため)、開封容易部が包装袋の外周縁にかかることなく外周縁よりも内側に部分的に形成されている。
【0007】
このように、開封容易部が内側に形成されているので、使用者が外周縁を切断しようとしても切断できない。一方、使用者がフィルムをたぐり寄せることで、開封容易部が包装袋の外周縁に移動できるため、この状態において、使用者は、開封容易部を開封の起点として、包装袋を開封できる。しかしながら、特許文献1に係る技術では、使用者が開封する際に、フィルムをたぐり寄せる作業が必要となるため、開封する作業が非常に煩雑となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、開封する作業が簡素化するように、
図8に示すような袋本体30の側端部31に沿って形成された開封容易部32を有する包装袋Eが考えられる。しかしながら、
図8に示す包装袋Eが落下した際に、落下による衝撃により、包装袋Eの開封容易部32が破袋する恐れがある。
【0010】
例えば、四方シールのように、包装袋の周囲がヒートシールされている包装袋では、この破袋が起こり難いが、ヒートシールされていない軟質な側端部を有するピロータイプの包装袋では、この破袋が起こり易い。特に、横幅が広く且つ内容物が重い包装袋の場合(例えば、横幅が70mmで且つ内容物の重さが50gの包装袋)は、落下の衝撃により、包装袋の側端部付近で破袋する虞がある。
【0011】
そこで、
図8に示す包装袋Eを落下させる実験を行った。すると、落下面Gから少し上側である開封容易部32の部分が、落下の衝撃により、角状に凹むように変形する。そして、この角状に凹むように変形した部分に、落下の衝撃が集中したため、この部分に、孔(ピンホール)33が形成された。このように、
図8に示す包装袋Eは、落下した際に、孔が形成されることを抑制するという課題を、解決できない。
【0012】
また、使用者が
図8に示す包装袋Eを手で握った場合、同じように、側端部付近に、角状に凹むように変形する。そして、角状に凹むように変形した部分に、握る力が集中することで、孔が形成されることがある。このように、
図8に示す包装袋Eは、使用者に手で握られた際に、孔33が形成されることを抑制するという課題も、解決できない。
【0013】
さらに、
図8に示す包装袋Eには、幅方向において、部分的に開封容易部32が形成されている。これにより、使用者が幅広い包装袋Eを開封する際には、一方の側端部から他方の側端部まできれいに開封できない虞がある。つまり、切断が途中で止まる虞がある。そして、切断が途中で止まった場合、使用者が包装袋Eの内容物を他の容器に移し替える際に、手間がかかるという問題が生じる。なお、このような問題は、特許文献1に係る包装袋においても、同様に生じる。
【0014】
また、軟質性のプラスチックフィルムからなるピロータイプの包装袋は、取り扱いが容易で且つゴミが減量化できる点で好ましい。しかしながら、フィルムの強度や引張強度が大きいため、使用者は、包装袋を手で簡単に開封できない。
【0015】
そこで、使用者が包装袋を手で簡単に開封できるように、外層のプラスチックフィルムの側端部に傷加工が施されることも考えられる。しかしながら、その傷加工を施された部分でフィルムの強度が低下するため、落下等の衝撃により、包装袋に孔が形成されてしまう虞がある。特に、内容物が重く且つ幅が広い包装袋の場合には、落下等の衝撃により、包装袋が破袋し易くなる。
【0016】
そこで、本発明の目的は、使用者が手で開封する際に、開封が容易であり、反対に、不本意な外力が働いた際に、不要な孔が形成され難いという相反する二つの機能を備えた包装袋及びその包装袋の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る包装袋は、内容物を収容する袋本体を備え、前記袋本体は、フィルムを長さ方向にシールされて形成され且つ背面に配置される背シール部と、前記フィルムを幅方向にシールされて形成され且つ長さ方向の端部に配置される一対の端部シール部と、前記フィルムをシールされて形成され且つ一方の側端部に配置される端縁シール部と、前記端縁シール部に形成される開封起点用の切り込みと、開封方向における前記切り込みの延長線上に配置される易カット部と、を備え、前記易カット部は、前記背シール部よりも一方側から前記背シール部よりも他方側に亘って配置され、前記易カット部の各端部は、前記袋本体の側端部から離間して配置される。
【0018】
また、本発明に係る包装袋においては、前記易カット部の各端部は、前記袋本体の側端部から10〜25mm離間して配置されてもよい。
【0019】
また、本発明に係る包装袋においては、前記易カット部の各端部は、前記袋本体の側端部から10〜15mm離間して配置されてもよい。
【0020】
また、本発明に係る包装袋においては、前記易カット部の各端部は、前記袋本体の側端部から、袋本体の幅寸法の14〜36%の距離を離間して配置されてもよい。
【0021】
また、本発明に係る包装袋においては、前記易カット部の各端部は、前記袋本体の側端部から、袋本体の幅寸法の14〜21%の距離を離間して配置されてもよい。
【0022】
また、本発明に係る包装袋においては、前記背シール部は、前記フィルムの両側縁部を長さ方向にシールされて形成されると共に、前記背シール部の先端部が前記袋本体の他方側を向くように、前記背シール部の基端部で折り曲げられていてもよい。
【0023】
また、本発明に係る包装袋においては、前記端縁シール部は、一方の前記端部シール部から前記袋本体の長さ方向に沿って配置されると共に、前記袋本体の幅方向で、前記易カット部と重なるように配置されてもよい。
【0024】
また、本発明に係る包装袋においては、前記易カット部は、矩形状に形成され、前記切り込みは、前記袋本体の長さ方向において、前記易カット部の中央部に配置されてもよい。
【0025】
また、本発明に係る包装袋の製造方法は、前記の包装袋の製造方法であって、帯状の前記フィルムを筒状にすべく、前記フィルムの両側縁部を長さ方向にシールして、前記背シール部を形成することと、筒状の前記フィルムを袋状にすべく、前記フィルムを幅方向にシールして、一対の前記端部シール部を形成することと、を備え、前記フィルムは、前記易カット部が前記背シール部よりも一方側から前記背シール部よりも他方側に亘って配置されるように、前記易カット部を両側端部に備える。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る包装袋について、
図1〜
図5を参酌して説明する。なお、以下の説明において、
図1の上側、下側、左側、右側は、それぞれ包装袋Aの上側、下側、左側、右側とし、
図2、
図4及び
図5の上側、下側は、それぞれ包装袋A,Bの上側、下側とし、
図2、
図4及び
図5の左側、右側は、それぞれ包装袋A,Bの右側、左側とする。
【0028】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る包装袋について、
図1〜
図4を参酌して説明する。
図1及び
図2に示すように、包装袋Aは、内容物Xと、内容物Xを収容する袋本体1とを備える。本実施形態において、内容物Xは、粉状の薬剤としているが、これに限定されることなく、例えば、液体の薬剤、粒状の薬剤、又は塊状の固体である食品(個別包装されたキャンディ等)でもよい。また、本実施形態において、袋本体1は、正面視矩形状の扁平したピロータイプの包装体としている。
【0029】
袋本体1は、積層フィルムFから形成されている。この積層フィルムFは、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルムの一面に、バインダーとしての高分子樹脂(SPE)と、ガスバリア性を付与するためのアルミニウム箔と、バインダーとしての高分子樹脂と、帯電を防止するための直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを順次積層している。
【0030】
袋本体1は、背面に配置される背シール部2と、長さ方向の端部に配置される一対の端部シール部3,4とを備える。具体的には、袋本体1は、内容物Xを包めるように、帯状のフィルムFの両側縁部を長さ方向に沿ってヒートシール(センターシール)されて形成された背シール部2と、フィルムFの上端部を幅方向にシールされて形成された上側端部シール部3と、フィルムFの下端部を幅方向にシールされて形成された下側端部シール部4とを備える。
【0031】
袋本体1は、容易に切断されるべく、周囲よりも脆弱に形成される易カット部5を備える。袋本体1は、左側端部(一方の側端部)1aに配置される端縁シール部7と、端縁シール部7に形成される開封起点用の切り込み8とを備える。なお、袋本体1の背面の反対側の面は、袋本体1の正面という。
【0032】
背シール部2は、帯状に形成されると共に、袋本体1の背面における幅方向の略中央部に配置されている。背シール部2は、先端部2aが右側(他方側)を向くように、基端部2bで折り曲げられている。上側端部シール部3は、帯状に形成されると共に、袋本体1の短辺部位となる上側端部に配置されている。下側端部シール部4は、帯状に形成されると共に、袋本体1の短辺部位となる下側端部に配置されている。
【0033】
易カット部5は、一対設けられると共に、袋本体1の正面と、袋本体1の背面とにそれぞれ配置されている。易カット部5は、矩形状に形成されている。具体的には、易カット部5は、帯状に形成されている。易カット部5の各端部5aは、側端部1a,1bから離間して配置されている。
【0034】
易カット部5は、開封方向における切り込み8の延長線上に配置されている。易カット部5は、袋本体1の上側端部シール部3に沿うように配置されている。背面側の易カット部5の一端部(左端部)5aは、背シール部2よりも一方側(左側)の位置に配置されていると共に、背面側の易カット部5の他端部(右端部)5aは、背シール部2よりも他方側(右側)の位置に配置されている。
【0035】
これにより、背面側の易カット部5は、背シール部2よりも左側の部位から背シール部2よりも右側の部位に亘って、連続的に配置されている。換言すると、背面側の易カット部5は、背シール部2を跨ぐように配置されている。
【0036】
易カット部5の縦寸法aが小さいと、使用者が袋本体1を開封する際に、切断部分が易カット部5から外れる虞がある。反対に、易カット部5の縦寸法aが大きいと、袋本体1が破袋する虞がある。これにより、易カット部5の縦寸法aは、3〜30mmに設定され、好ましくは3〜10mmに設定され、より好ましくは4〜7mmに設定される。
【0037】
袋本体1の側端部1a,1bと易カット部5の端部5aとの間隔d,eが小さいと、袋本体1が破袋する虞がある。反対に、該間隔d,eが大きいと、使用者が袋本体1を開封する際に、切断方向が斜めになることで、切断が易カット部5から外れたり、また、切断が途中で止まったりする虞がある。
【0038】
これにより、該間隔d,eは、10〜25mmに設定され、好ましくは10〜15mmに設定され、より好ましくは13〜15mmに設定される。換言すると、該間隔d,eは、袋本体1の幅寸法の14〜36%に設定され、好ましくは14〜21%に設定され、より好ましくは19〜21%に設定される。
【0039】
本実施形態において、袋本体1の長さ寸法が173mmであり、袋本体1の幅寸法が70mmであり、易カット部5の縦寸法(長さ寸法)aが5mmであり、易カット部5の横寸法(幅寸法)bが42mmであり、袋本体1の上端と易カット部5の上端との間隔cが20mmであり、袋本体1の一方の側端部(左側端部)1aと易カット部5の一方の端部(左端部)5aとの間隔dが13mmであり、袋本体1の他方の側端部(右側端部)1bと易カット部5の他方の端部(右端部)5aとの間隔eが15mmである。
【0040】
本実施形態において、易カット部5は、幅方向に沿って並べられる線状の傷(切り込み)を複数備える。なお、易カット部5に施される加工は、易カット部5の領域を容易に開封できるような加工であればよく、その加工の種類は、特に限定されない。例えば、加工は、フィルムFに接触することで物理的に力を加える傷加工でもよく、非接触(例えばレーザなど)による傷加工でもよく、非貫通のミシン目や凹部を形成する加工でもよい。
【0041】
本実施形態において、易カット部5の傷は、非貫通、即ち、フィルムFの表面層(一番表側の層)であるPET層だけ貫通している。なお、易カット部5に施される加工は、アルミニウム層(アルミニウム箔からなる層)が貫通しないような加工であればよい。即ち、易カット部5に施される加工は、アルミニウム層及びそれより裏側の層が貫通しないような加工であればよい。
【0042】
端縁シール部7は、袋本体1の左側端部1aの上部に、該左側端部1aに沿うように配置されている。具体的には、端縁シール部7は、上側端部シール部3から袋本体1の長さ方向に沿って配置されている。
【0043】
端縁シール部7は、袋本体1の幅方向で、易カット部5と重なるように配置されている。具体的には、端縁シール部7の上端部は、易カット部5の上端部よりも、上方側に配置されていると共に、端縁シール部7の下端部は、易カット部5の下端部よりも、下方側に配置されている。端縁シール部7は、フィルムFをシールされて形成されている。
【0044】
切り込み8は、袋本体1の長さ方向において、易カット部5の中央部に配置されている。切り込み8は、端縁シール部7に、袋本体1の左側端部1aから内側に向かって形成されている。これにより、
図3に示すように、ヒートシールされた袋本体1の背シール部2の折り曲げ方向(背シール部2の基端部2bから先端部2aに向かう方向)と、切り込み8の切り込み方向とが、開封方向で一致している。
【0045】
ところで、本実施形態において、内容物Xが粉状であるため、内容物Xは、袋本体1の内部で収容可能な量の約50%の量を、袋本体1の内部に収容されている。これは、粉状の内容物Xは、充填されると、舞い上がる。これにより、内容物Xが袋本体1の内部に多く収容されると、内容物Xが上側端部シール部3や下側端部シール部4に挟まる虞があるためである。なお、内容物Xが個別包装されたキャンディ等であれば、内容物Xは、袋本体1の内部で収容可能な量の約70〜80%の量を、袋本体1の内部に収容される。
【0046】
次に、本実施形態に係る包装袋Aの製造方法について、説明する。
【0047】
まず、積層フィルムFの両側縁部の裏面同士が合わせられ、その部分が長さ方向にヒートシールされる。これにより、袋本体1の幅方向の中央部に背シール部2が形成され、帯状のフィルムFが筒体に形成される。次に、筒体の開口された一方の端部が幅方向にヒートシールされることで、下側端部シール部4が形成される。
【0048】
そして、内容物XがフィルムFの内部に収容された後、他方の端部が幅方向にヒートシールされることで、上側端部シール部3が形成される。このようにして、包装袋Aが製造される。なお、包装袋Aは、長尺な帯状のフィルム(原反)Fの両側縁部を長さ方向に連続してシールし、長さ方向において所定間隔毎に、フィルムFの幅方向をシール及び切断することで、連続的に製造されてもよい。
【0049】
また、包装袋Aが成形される前に、均一な厚さである(背シール部2が形成されていない)フィルムFに、易カット部5を形成することが好ましい。そして、
図4に示すように、易カット部5は、袋本体1の正面に配置されるように、フィルムFの幅方向中央部に帯状に形成されている。易カット部5は、背シール部2よりも一方側から背シール部2よりも他方側に亘って袋本体1の背面に配置されるように、フィルムFの両側端部(幅方向の両端部)に幅方向に沿って帯状に一対形成されている。
【0050】
次に、本実施形態に係る包装袋Aが有する第1の機能、即ち、使用者が手で開封する際に、開封が容易であるという機能を説明する。
【0051】
分断される一方の領域(袋本体1の上端角部)が使用者の一方の手に把持されると共に、他方の領域(切り込み8近傍の左側の側端部1a)が使用者の他方の手に把持される。そして、使用者により、袋本体1の上端角部が他端側に向かって引っ張られる。すると、切り込み8の右端部から切断が始まり、切断部分が易カット部5の左端部に到達する。
【0052】
その後、易カット部5に沿って切断が進行し、切断部分が易カット部5の右端部に到達する。そして、最終的には、切断部分が袋本体1の右側端部1bに到達する。このように、袋本体1の左側端部1aから右側端部1bに亘って、力の弱い使用者でも容易に開封することができる。
【0053】
また、袋本体1は、易カット部5の下方側(大部分の袋本体1)と、易カット部5の上方側(帯状の切れ端)とに、分離される。そして、易カット部5に沿って略直線状に切断される部位(
図1において鎖線で示す部位)が袋本体1の開封口10となる。これにより、内容物Xを容易に取り出すことができる。なお、内容物Xが開封口10から支障なく取り出せるように、開封口10の幅(即ち、端縁シール部7の幅)が設定されている。
【0054】
次に、本実施形態に係る包装袋Aが有する第2の機能、即ち、不用意な外力が作用した際に、不要な孔が形成され難いという機能を説明する。
【0055】
例えば、包装袋Aが落下した場合、袋本体1に作用する力は、内容物Xの重量と、重力によって生じる加速度と、落下距離とで決定される。したがって、重量の大きい内容物Xを収容した包装袋Aが落下した場合、上述した袋本体1に作用する力と、この力に対する反力である落下面Gからの力(落下衝撃力)とが、包装袋Aに作用する。
【0056】
例えば、袋本体1の上側端部シール部3が下側になって、包装袋Aが落下したとする。すると、上側端部シール部3の強度と袋本体1の両側端部(シールされていない部位)1a,1bの強度とに大きな差があるので、上側端部シール部3で受けた落下の衝撃は、袋本体1の両側の角部に集中する。これにより、該角部は、極端に折れ曲がり、角状に変形する。ところで、もし、この角状に変形する部位に易カット部5が形成されていると、易カット部5が屈曲することになるため、孔が易カット部5に形成され易くなる。
【0057】
それに対して、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5の各端部5aが、袋本体1の側端部1a,1bから離間している。換言すると、易カット部5は、袋本体1の側端部1a,1bから少し内側に入った位置で、且つ角状に変形する部位より内側の位置に、形成されている。これにより、袋本体1が落下して変形しても、易カット部5が屈曲することはないため、孔が易カット部5に形成されない。したがって、袋本体1が落下して衝撃を受けても、袋本体1が破袋することを防止できる。
【0058】
以上より、本実施形態に係る包装袋Aは、内容物Xを収容する袋本体1を備え、袋本体1は、フィルムFを長さ方向にシールされて形成され且つ背面に配置される背シール部2と、フィルムFを幅方向にシールされて形成され且つ長さ方向の端部に配置される一対の端部シール部3,4と、フィルムをシールされて形成され且つ一方の側端部1aに配置される端縁シール部7と、端縁シール部7に形成される開封起点用の切り込み8と、開封方向における切り込み8の延長線上に配置される易カット部5と、を備え、易カット部5は、背シール部2よりも一方側から背シール部2よりも他方側に亘って配置され、易カット部5の各端部5aは、袋本体1の側端部1a,1bから離間して配置される。
【0059】
したがって、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5は、背シール部2よりも左側の位置から背シール部2よりも右側の位置に亘って配置されている。具体的には、易カット部5は、一定の幅で連続して形成されると共に、少なくとも背シール部2を跨いで形成されている。そして、袋本体1の左側端部1aに配置される端縁シール部7に、開封起点用の切り込み8が形成されていると共に、易カット部5が、開封方向における切り込み8の延長線上に配置されている。
【0060】
これにより、包装袋が開封される場合、切り込み8が開封(切断)の起点となり、袋本体1は、切り込み8の延長線上に配置される易カット部5に沿って、切断される。したがって、袋本体1が、左側端部1aから右側端部1bに亘って、略直線状に切断されるため、誰でも容易に包装袋Aを開封することができる。
【0061】
例えば、力の弱い使用者が、包装袋Aを開封して、内容物Xを別の容器(例えばコップ状の容器)に移し替え、その容器に水を加えて飲む場合に、弱い力でも容易に包装袋Aを開封することができる。しかも、開封口10が直線状になるため、使用者が内容物Xを別の容器に移し替える際に、手間がかからず、容易に行うことができる。
【0062】
さらに、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5の各端部5aは、側端部1a,1bから離間して配置されている。具体的には、易カット部5の各端部5aは、切り込み8に連結されておらず(易カット部5の各端部5aは、切り込み8と離間されており)、且つ、易カット部5の各端部5aは、袋本体1の側端部1a,1bから少し内側に入った部分に位置している。
【0063】
したがって、内容物Xを収容した包装袋Aが落下すると、袋本体1の角部に、屈曲して角状になった変形部位が形成されるが、この変形部位が易カット部5に及ぶことを防止できる。これにより、易カット部5の部分で破袋することが防止できるため、袋本体1から内容物Xが漏出することを防止できる。
【0064】
また、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5の各端部5aは、袋本体1の側端部1a,1bから10〜25mm(具体的には、10〜15mm、より具体的には、13〜15mm)離間して配置されている。換言すると、易カット部5の各端部5aは、袋本体1の側端部1a,1bから、袋本体1の幅寸法の14〜36%(具体的には、14〜21%、より具体的には、19〜21%)の距離を離間して配置されている。
【0065】
したがって、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5の端部5aが、袋本体1の両側端部1a,1bから所定距離を離間して配置されている。これにより、包装袋Aが落下することで、袋本体1が変形しても、易カット部5が変形することを防止できる。したがって、袋本体1が破袋することを防止できる。
【0066】
また、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、背シール部2は、フィルムFの両側縁部を長さ方向にシールされて形成されると共に、背シール部2の先端部2aが袋本体1の他方側を向くように、背シール部2の基端部2bで折り曲げられている。
【0067】
したがって、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、背シール部2が基端部2bで折り曲げられ、背シール部2の先端部2aが右側に位置し、且つ、背シール部2の基端部2bが左側に位置している。これにより、背シール部2の折り曲げ方向と、切り込み8の切り込み方向とが、開封方向で一致しているため、包装袋Aを開封することがさらに容易になる。
【0068】
また、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、端縁シール部7は、一方の端部シール部3から袋本体1の長さ方向に沿って配置されると共に、袋本体1の幅方向で、易カット部5と重なるように配置されている。
【0069】
したがって、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、端縁シール部7は、上側端部シール部3から袋本体1の長さ方向に沿って配置されている。しかも、端縁シール部7は、袋本体1の幅方向で、易カット部5と重なるように配置されている。これにより、包装袋Aが落下した場合に、袋本体1の端縁シール部7の部分(左側端部1a)が変形しないため、易カット部5の左端部が変形することを確実に防止できる。
【0070】
また、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5は、矩形状に形成され、切り込み8は、袋本体1の長さ方向において、易カット部5の中央部に配置されている。
【0071】
したがって、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、易カット部5は、矩形状、具体的には、袋本体1の幅方向に長尺な帯状に形成されている。そして、切り込み8は、袋本体1の長さ方向において、易カット部5の中央部に配置されている。これにより、切り込み8から開始された切断部分が、易カット部5の左端部5aに確実に到達できる。
【0072】
また、本実施形態に係る包装袋Aの製造方法は、帯状のフィルムFを筒状にすべく、フィルムFの両側縁部を長さ方向にシールして、背シール部2を形成することと、筒状のフィルムFを袋状にすべく、フィルムFを幅方向にシールして、一対の端部シール部3,4を形成することと、を備え、フィルムFは、易カット部5が背シール部2よりも一方側から背シール部2よりも他方側に亘って配置されるように、易カット部5を両側端部に備える。
【0073】
したがって、本実施形態に係る包装袋Aにおいては、フィルムFは、両側端部に、易カット部5を備えている。これにより、フィルムFがシールされることで、背シール部2、上側端部シール部3及び下側端部シール部4が形成されると、易カット部5が背シール部2よりも左側の位置から背シール部2よりも右側の位置に亘って配置されることになる。
【0074】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る包装袋について、
図5を参照して説明する。なお、
図5において、
図1〜
図4の符号と同一の符号を付した部分は、第1実施形態と同一もしくは相当する構成(要素)を表し、その部分の説明は、繰り返さない。
【0075】
図5に示すように、本実施形態に係る包装袋Bは、袋本体1の上側端部シール部3寄りの位置、即ち、袋本体1の上側中央部に、背シール部2よりも幅広の矩形状(略正方形状)の易カット部5Aを備える。本実施形態に係る包装袋Bは、第1実施形態に係る包装袋Aと比較して、易カット部5Aを背シール部2の上部に配置している。
【0076】
本実施形態において、袋本体1の長さ寸法が173mmであり、袋本体1の幅寸法が70mmであり、易カット部5Aの縦寸法a及び横寸法bが背シール部2の幅寸法よりも大きい30mmであり、袋本体1の上端と易カット部5Aの上端との間隔cが15mm、袋本体1の側端部1aと易カット部5Aの端部5A1との間隔dが20mmであり、袋本体1の側端部1bと易カット部5Aの端部5A1との間隔eが20mmである。
【0077】
<実施例>
次に、実施例について説明する。前記第1実施形態の包装袋A及び第2実施形態の包装袋Bと比較するために、
図6及び
図7に示す比較例1の包装袋C及び比較例2の包装袋Dを準備した。
図6に示す比較例1の包装袋Cは、袋本体1の両側端部1a,1bに亘る帯状の易カット部5Bを備えている。
図7に示す比較例2の包装袋Dは、袋本体1の上側端部シール部3及び下側端部シール部4に亘る帯状の易カット部5C,5Cを備えている。なお、比較例1の包装袋C及び比較例2の包装袋Dは、端縁シール部7及び切り込み8を備えていない。
【0078】
まず、50gの内容物を包装した包装袋A,B,C,Dに対して、単体落下試験及び包装落下試験を実施した。単体落下試験は、包装袋を80cmの高さ(落下距離)の位置から落下させる試験である。単体落下試験のサンプル数は、第1実施形態の包装袋Aを63個、第2実施形態の包装袋Bを63個、比較例1の包装袋Cを60個、比較例2の包装袋Dを60個とした。
【0079】
包装落下試験は、21個の包装袋を詰めた外装箱を、高さ1.2mの位置から3回連続して落下させる試験である。包装落下試験のサンプル数は、第1実施形態の包装袋Aを3箱(3箱×21個=63個)、第2実施形態の包装袋Bを3箱(3箱×21個=63個)、比較例1の包装袋C15箱(15箱×21個=315個),比較例2の包装袋Dを15箱(15箱×21個=315個)とした。
【0080】
第1実施形態の包装袋A及び第2実施形態の包装袋Bは、単体落下試験及び包装落下試験において、破袋しなかった。これに対して、比較例1の包装袋Cは、単体落下試験において、60個のうち、2個破袋したと共に、包装落下試験において、315個のうち、8個破袋した。一方、比較例2の包装袋Dは、単体落下試験において、60個のうち、2個破袋したと共に、包装落下試験において、315個のうち、4個破袋した。
【0081】
また、第1実施形態の包装袋A及び第2実施形態の包装袋Bに対して、切り込み8から易カット部5,易カット部5Aにおける横切れ性の試験(幅方向の切断が容易か、否か)を実施した。その結果、第1実施形態の包装袋A及び第2実施形態の包装袋Bの双方において、横切れ性が良好であった。
【0082】
また、第1実施形態の包装袋A及び第2実施形態の包装袋Bに対して、易カット部5(易カット部5A)における直進性の試験(幅方向の切断が直線状になるか、否か)を実施した。その結果、第1実施形態の包装袋Aにおいては、切断部分(開封口10)が易カット部5に沿うため、直進性が良好であった。第2実施形態の包装袋Bにおいては、易カット部5Aの幅が広いため、切断部分(開封口10)が易カット部5A内で多少上下するものの、問題がなかった。
【0083】
また、第1実施形態の包装袋Aに対して、引き裂き官能試験を12人に実施した。その結果、10人が「切れ味がとてもよい」と感じ、1人が「切れ味がよい」と感じ、残りの1人が「よい」と感じた。
【0084】
このように、本発明の実施形態の包装袋A及び包装袋Bは、弱い力でも容易に開封できると共に、切断部分が略直線状となるように開封できるため、内容物Xを別の容器に移し替えることを容易にさせる。さらに、本発明の実施形態の包装袋A及び包装袋Bは、落下衝撃にも耐えられる。これらの機能が、上記試験結果からも実証されている。
【0085】
以上説明したように、本発明の包装袋A及び包装袋Bによれば、使用者が手で開封する際に、開封が容易であり、反対に、不本意な外力が働いた際に、不要な孔が形成され難いという相反する二つの機能を備えた包装袋を提供することができる。
【0086】
例えば、使用者が、包装袋A(包装袋B)を開封し、内容物Xを別の容器(例えばコップ状の容器)に移し替え、その容器に水を加えて飲む場合に、患者のような弱い力の使用者でも、包装袋A(包装袋B)を容易に開封することができる。そして、開封口10が直線状に形成されるため、内容物Xを別の容器に移し替えることを、容易に行うことができる。さらに、傷加工等を施した易カット部5が設けられているが、内容物Xを封入している包装袋A(包装袋B)が落下しても、包装袋A(包装袋B)が破袋することを防止できる。
【0087】
このように、本発明の包装袋A(包装袋B)は、破袋防止及び開封性を共に改良できる。そして、ピロータイプで縦長のスティック状に設計したり、横幅を広く設計したりすることができるので、粉状の内容物Xをコップ等の別の容器に容易に移し替えできるような設計を行うことができる。したがって、本発明の包装袋A(包装袋B)は、特に、力の弱い患者や子供等に適した包装袋である。
【0088】
なお、本発明に係る包装袋は、前記実施形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜、必要に応じて、設計変更や改良等を行うのは自由である。また、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る各構成や各方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0089】
例えば、上記実施形態に包装袋A(包装袋B)においては、易カット部5(易カット部5A)が袋本体1の正面及び背面にそれぞれ備える構成を説明したが、斯かる構成に限られない。具体的には、包装袋は、易カット部5(易カット部5A)を、袋本体1の背面のみに備える構成でもよい。要するに、包装袋は、易カット部5(易カット部5A)が背シール部2よりも一方側から背シール部2よりも他方側に亘って配置されるように、袋本体1の背面に、易カット部5(易カット部5A)を備えていればよい。