特許第6069205号(P6069205)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069205フォトルミネッセンス波長変換を備える発光装置及び波長変換コンポーネント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069205
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】フォトルミネッセンス波長変換を備える発光装置及び波長変換コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20170123BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20170123BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
   H01L33/00 430
【請求項の数】30
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-532890(P2013-532890)
(86)(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公表番号】特表2013-539916(P2013-539916A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011054827
(87)【国際公開番号】WO2012047937
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年10月6日
【審判番号】不服2015-20364(P2015-20364/J1)
【審判請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/427,411
(32)【優先日】2010年12月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/390,091
(32)【優先日】2010年10月5日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506358764
【氏名又は名称】インテマティックス・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTEMATIX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100185225
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 恭一
(72)【発明者】
【氏名】ユアン,シャンロン
(72)【発明者】
【氏名】メルマン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ガン
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,チャールズ
【合議体】
【審判長】 小松 徹三
【審判官】 恩田 春香
【審判官】 近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−251640(JP,A)
【文献】 特開2009−283887(JP,A)
【文献】 特表2009−535851(JP,A)
【文献】 特開2009−272634(JP,A)
【文献】 特開2010−171342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色励起光を発生させるために動作する少なくとも1つの固体発光素子と、
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料の粒子及び光反射材料の粒子の混合物を含むフォトルミネッセンス波長変換コンポーネントと、を含む発光装置であって、
前記光反射材料が、100nmから150nmの範囲の平均粒子寸法を有し、前記光反射材料、少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料によって発生する光より青色励起光を比較的多く散乱させる、発光装置。
【請求項2】
フォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物が分布する面積が、発光素子の光放出面積の少なくとも50倍である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
波長変換コンポーネントが、少なくとも1つの発光素子から少なくとも5mmの距離に配置される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.01%から10%範囲にある、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.01%から1%の範囲にある、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.1%から1%の範囲にある、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.5%から1%の範囲にある、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
光反射材料が、酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
波長変換コンポーネントが、光透過性基板と、前記光透過性基板上に少なくとも1層提供されたフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物からなる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
波長変換コンポーネントが、光ガイドとして構成される光透過性基板と、前記光ガイドの面の少なくとも一部の上に提供されたフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物からなる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
波長変換コンポーネントが、光透過性基板のボリューム全体に渡って均一に分布したフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物を有する光透過性基板からなる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項12】
波長変換コンポーネントが、光反射面と、前記光反射面上に少なくとも1層提供されたフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物からなる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
少なくとも1つの固体発光素子が、波長範囲440nmから480nmでピーク波長を有する青色励起光を発生させるために動作するLEDを含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項14】
フォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物が、少なくとも0.8cm2の面積に渡って分布する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項15】
フォトルミネッセンス波長変換コンポーネントは、1つ以上のフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物を含有した波長変換層に隣接した光拡散層を更に含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項16】
光拡散層が、少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料によって発生する光より青色励起光を比較的多く粒子が散乱させるような平均粒子寸法に相当する光反射材料の粒子を含む、請求項15に記載の発光装置。
【請求項17】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料が、蛍光体又は量子ドットを含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項18】
光放出サインとして構成される、請求項1に記載の発光装置。
【請求項19】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料の粒子及び光反射材料の粒子の混合物を含む、固体発光装置のための波長変換コンポーネントであって、
前記光反射材料が、100nmから150nmの範囲の平均粒子寸法を有し、前記光反射材料、少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料によって発生する光より青色励起光を比較的多く散乱させる、波長変換コンポーネント。
【請求項20】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.01%から10%範囲にある、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項21】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.01%から1%の範囲にある、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項22】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.1%から1%の範囲にある、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項23】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントが、0.5%から1%の範囲にある、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項24】
波長変換コンポーネントが、光透過性基板と、前記光透過性基板上に少なくとも1層提供されたフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物からなる、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項25】
波長変換コンポーネントが、光ガイドとして構成される光透過性基板と、光ガイドの面の少なくとも一部の上に提供されたフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物からなる、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項26】
波長変換コンポーネントが、光透過性基板のボリューム全体に渡って均一に分布したフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物を有する光透過性基板からなる、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項27】
波長変換コンポーネントが、光反射面と、前記光反射面上に少なくとも1層提供されたフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物からなる、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項28】
少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物が、少なくとも0.8cm2の面積に渡って分布する、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項29】
1つ以上のフォトルミネッセンス材料及び光反射材料の混合物を含有した波長変換層に隣接した光拡散層を更に含む、請求項19に記載の波長変換コンポーネント。
【請求項30】
光拡散層が、少なくとも1つのフォトルミネッセンス材料によって発生する光より青色励起光を比較的多く粒子が散乱させるような平均粒子寸法に相当する光反射材料の粒子を含む、請求項29に記載の波長変換コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明のいくつかの実施形態は、固体発光素子によって発生した光を所望の光の色に変換するためのフォトルミネッセンス波長変換を使用する固体発光装置及びサイネージ(signage)に関する。
【0002】
背景
白色光を放出するLED(「白色LED」)は、従来技術において公知で、比較的最近の技術革新である。長い動作寿命(>50,000時間)及び高い発光効率(ワット当たり70ルーメン以上)のため、従来の蛍光、小型蛍光及び白熱光源と入れ替わって、高輝度の白色LEDがますます使用されてきている。
【0003】
電磁スペクトルの青/紫外部分で放出をするLEDが開発されるまで、LEDに基づく白色光源を開発することは実用的にならなかった。例えば、US 5,998,925で教示されるように、白色LEDは、LEDによって放出された一部の放射を吸収し、異なる色(波長)の放射を再放出する1つ以上のフォトルミネセント材料(すなわち、蛍光体材料)を備える。通常、LEDチップ又はダイが青色光を発生し、蛍光体(単数又は複数)が青色光のある割合を吸収し、黄色光、又は、緑色光と赤色光、緑色光と黄色光、緑色光と橙色光、若しくは、黄色光と赤色光の組み合わせを再放出する。蛍光体に吸収されない、LEDによって発生した青色光の一部は、蛍光体によって放出された光と組み合わされ、人間の目にほぼ白色であるように見える光を提供する。
【0004】
LED照明によって発生する正確な色は、蛍光体によって放出される光の量(及び波長)、並びに、結果として生じる光の色を決定する残留青色光の量(及び波長)の組み合わせであるため、蛍光体材料によって放出される光の量に高度に依存する。したがって、不十分な量の蛍光体材料を有する蛍光体に基づくLED装置は、白色に見える光を発生できないので、白色光を発生させることを目的とする蛍光体に基づくLED装置は、正しく機能する十分な量の蛍光体を必要とすることになる。
【0005】
蛍光体材料は比較的コストが高く、したがって、蛍光体に基づくLED装置の製造コストのかなりの部分に相当することが問題となる。通常、LED照明の蛍光体材料は、シリコーン又はエポキシ材料などの光透過性の材料と混合され、混合物はLEDダイの光放出面に直接適用される。これにより、LEDダイに直接配置された小さな設置面積の蛍光体材料の層がもたらされるが、それでも、蛍光体材料の著しいコストのため、部分的な製造費は依然として高いものとなる。
【0006】
Liに対する米国特許出願公開US 2008/02118992 A1で開示されているように、LEDダイに対して物理的に離れて配置された光学コンポーネントの上に層として蛍光体材料を提供するか、又は、その光学コンポーネントに蛍光体材料を組み込むことも公知である。この場合、通常、前段落で説明された方法より非常に大きな設置面積を有する蛍光体材料の層がもたらされる。その大きなサイズのため、非常に多くの量の蛍光体が、このような「遠隔蛍光体」LED装置を製造するために、通常、必要とされる。結果として、このような遠隔蛍光体LED装置に必要とされる、増加した量の蛍光体材料を提供するために、コストも、対応して、同様に大きくなる。例えば、Liらに対する米国特許出願公開US 2007/0240346 A1は、所望の光の色が発生されるように光放出サイネージ面上の蛍光体材料を励起するために、LEDからの青色光が使用された、固体光放出サインを教示する。目的とする光の機能に適した色を作るため、装置の光放出サイネージ面の広がりを占めるように、多量の蛍光体材料が、通常は存在しなければならない。
【0007】
したがって、従来の方法で必要とされる多量のフォトルミネセント材料(例えば、蛍光体材料)を必要とせずに、装置の所望の色特性を維持するLED照明器具を具現化するための改良された方法が要望されている。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の目的は、公知の装置の限界を部分的に少なくとも克服する発光装置、光放出サイン、フォトルミネッセンス波長変換コンポーネント及びフォトルミネッセンスサイネージ面を提供することである。
【0009】
概要
本発明の実施形態は、1つ以上の固体発光素子、通常はLEDを含んだ固体発光装置及びサイネージに関する。この固体発光素子は、青色光励起可能なフォトルミネセント(例えば蛍光体材料)の粒子を含有したフォトルミネッセンス波長変換コンポーネント又はフォトルミネッセンス光放出サイネージ面を励起するために使用される青色光を発生させるために、動作可能である。そして、本発明のいくつかの実施形態によれば、蛍光体材料、波長変換コンポーネント及び/又はサイネージ面によるフォトルミネッセンス発光を増加させることは、蛍光体材料と共に光反射材料(本明細書では「光散乱材料」とも呼ぶ)の粒子を組み込むことを更に含む。強化された発光は、蛍光体材料の粒子とLEDが発生させた光との衝突数を増加させる光反射材料からもたらされ、これが、放出が作る色の選択を発生させるための蛍光体材料の使用量を減少させる。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、発光装置は、青色光を発生させるために動作可能な1つ以上の固体発光素子、並びに、少なくとも1つの蛍光体材料の粒子及び光反射材料の粒子の混合物を含んだフォトルミネッセンス波長変換コンポーネントを含み、少なくとも1つの蛍光体材料と光反射材料との混合物は、大きな設置面積、例えば少なくとも0.8cm2の面積に渡って分布する。特に、蛍光体材料と共に光反射材料の粒子を備えることは、蛍光体材料によるフォトルミネッセンス発光を増加させることができる。フォトルミネッセンス発光の増加は、蛍光体材料の粒子と光子との衝突確率を増加させる光反射材料から生じる。いくつかの実施形態では、光反射材料の含有が、所定の放出が作る色及び強度のために、33%以上、蛍光体材料の使用を減少させる可能性がある。本発明のいくつかの実施形態は、発光素子から蛍光体材料までの熱伝達を減少させるために、蛍光体材料を備える波長変換コンポーネントが、発光素子に対して「離れて」提供された装置に関する。本出願に関連して、「遠隔」及び「離れて」とは、例えば空隙又は光透光性媒体によって、物理的に分離されることを意味する。遠隔蛍光体装置では、発光素子の光放出面の面積より非常に大きな面積に渡って、蛍光体材料が分布する。本発明のいくつかの実施形態によれば、蛍光体材料及び光反射材料が分布する面積は、発光素子の光放出面積の少なくとも50倍である。更に、いくつかの実施形態では、波長変換コンポーネントは、発光素子から少なくとも5mmの距離に配置され、好ましくは、間隙、例えば空隙によって分離される。蛍光体材料を固体素子から分離することは、蛍光体材料への熱伝達を減少させて、蛍光体材料の熱劣化を減少させる。
【0011】
有利には、いくつかの実施形態で用いられる光反射材料は、できるだけ高い反射性を有し、好ましくは、少なくとも0.9の反射率を有する。光反射材料は、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム(BaSO)又はこれらの組み合わせを含むことができる。好ましくは、光反射材料は、0.01μmから10μm、0.01μmから0.1μm又は0.1μmから1μmの範囲の粒子寸法を有する。
【0012】
いくつかの実施形態の蛍光体材料は、好ましくは、2から60μmの範囲、通常10から20μmの範囲の粒子寸法を有する。光反射材料の粒子寸法が、好ましくは少なくとも10倍、蛍光体材料の粒子寸法より小さいことが、いくつかの実施形態では有益であると考えられる。いくつかの実施形態の蛍光体材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、0.01%から10%、0.1%から1%又は0.5%から1%の範囲とすることができる。
【0013】
一配置では、波長変換コンポーネントは、その上に蛍光体及び光反射材料の混合物が少なくとも1層提供された光透過性基板を含む。コンポーネントを通過する青色光のある割合が蛍光体材料によって異なる色の光に変換されるように、コンポーネントは光透過性窓として構成可能である。代替として、コンポーネントを、光ガイド(導波路)並びに基板の面の少なくとも一部に提供される蛍光体及び光反射材料の混合物として、構成可能である。蛍光体及び光反射材料の混合物は、有利には、スクリーン印刷によって、基板の面に適用される。代替として、混合物を、インクジェット式印刷、スピンコーティング又はドクターブレード法によって基板に堆積させることができる。好ましくは、光透過性基板は、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ、シリコーン又はガラスを含む。
【0014】
別の配置では、波長変換コンポーネントは、そのボリュームの全体に渡って均一に分布する蛍光体及び光反射材料の混合物を有した光透過性基板を含む。好ましくは、光透過性基板は、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ、シリコーン又はガラスを含む。
【0015】
更に別の配置では、波長変換コンポーネントは、光反射型で、その上に蛍光体及び光反射材料の混合物が少なくとも1層提供された光反射面を含む。蛍光体及び光反射材料の混合物は、スクリーン印刷、スピンコーティング又はドクターブレード法によって光反射面に適用することができる。光反射基板は、任意の光反射面を含むことができ、好ましくは、少なくとも0.9の反射率を有する。光反射面は、銀、アルミニウム、クロムなどの、研摩された金属面、光反射ポリマー、光反射紙又は光反射塗料を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固体発光素子が、波長範囲440nmから480nmでピーク波長を有する青色光を発生させるために動作可能なLEDを含む。代替として、固体発光素子(単数又は複数)は、レーザ又はレーザダイオードを含むことができる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の更なる態様によれば、固体発光装置のためのフォトルミネッセンス波長変換コンポーネントは、少なくとも1つの蛍光体材料の粒子及び光反射材料の粒子の混合物を含み、少なくとも1つの蛍光体材料と光反射材料との混合物は、少なくとも0.8cm2の面積に渡って分布する。光反射材料は、好ましくは、できる限り高い反射率、好ましくは少なくとも0.9を有し、MgO、TiO、BaSO又はこれらの組み合わせの粒子を含むことができる。好ましくは、光反射材料は、0.01μmから10μm、0.01μmから1μm又は0.1から1μmの範囲の粒子寸法を有する。
【0018】
蛍光体材料(単数又は複数)は、好ましくは、例えばオルトケイ酸塩、窒化物、硫酸塩、オキシ窒化物、オキシ硫酸塩又はガーネット(YAG)などの無機材料を含み、材料は2μmから60μm、特に10μmから20μmの範囲の粒子寸法を有する。
【0019】
有利には、蛍光体材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、0.01%から10%、0.01%から1%、0.1%から1%又は0.5%から1%の範囲である。
【0020】
波長変換コンポーネントは、光透過型又は光反射型とすることができる。コンポーネントが光透過型の場合には、コンポーネントは、コンポーネントを通過する青色光のある割合が蛍光体材料(単数又は複数)によって異なる色の光に変換されるように、光透過性窓として構成可能である。代替として、コンポーネントは、光ガイド(導波路)として構成可能であり、蛍光体及び光反射材料の混合物は、基板の面の少なくとも一部に提供されるか又は面に近接した層として提供される。蛍光体材料及び光反射材料の混合物は、(a)コンポーネントの面の少なくとも一部の上に1つ以上の層として提供されるか、(ii)光透過性基板のボリュームの全体に渡って均一に分布させることができる。光透過性基板は、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ若しくはシリコーンのような光透過性ポリマー又はガラスを含むことができる。波長変換コンポーネントが光反射型の場合には、波長変換コンポーネントは、その上に蛍光体材料及び光反射材料の混合物が少なくとも1層提供された光反射面を含むことができる。光反射面は、銀、アルミニウム、クロムの金属面、光反射ポリマー、光反射紙又はカード、光反射塗料といった、高い反射率、好ましくは少なくとも0.9を有する任意の面を含むことができる。製造の簡略化のために、蛍光体材料及び光反射材料の混合物を、印刷、好ましくはスクリーン印刷若しくはインクジェット式印刷、スピンコーティング又はドクターブレード法によってコンポーネントの上に提供することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、波長変換コンポーネント内で利用される光反射/散乱材料は、粒子が、蛍光体材料によって発生した光を散乱させるより比較的多く青色光を散乱するように選択された粒子寸法を有する。例えば、少なくとも1つの蛍光体材料によって発生した光を散乱させるのと比較して少なくとも2倍、粒子が青色光を散乱させるように、光反射粒子の粒子寸法を選択することができる。これにより、波長変換層から放出された高い割合の青色光が確実に散乱することになり、蛍光体材料粒子と相互作用する光子の確率を増加させ、フォトルミネッセンス光の発生をもたらす。同時に、蛍光体が発生させた光は、より低い散乱確率で通過することができる。
【0022】
光反射/散乱材料は、蛍光体材料を備える層と隣接している層又は近くの別個の層に、具体化されてもよい。蛍光体材料と同じ層に光反射/散乱材料を混合する代わりに及び/又は加えて、別個の光反射層が使用されてもよい。同じ又は異なる反射材料が、蛍光体材料と混合された光反射材料とは別の光反射層で使用されてもよい。
【0023】
本発明の実施形態は、平面か三次元かを問わず、任意の好適な形状を有し、いくらかの追加的なボリュームを包囲した波長変換コンポーネントに、適用されてもよい。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態の更に別の態様によれば、光放出サインは、青色光を発生させるために動作可能な少なくとも1つの固体発光素子、及び、少なくとも100cm2の面積に渡って分布した少なくとも1つの蛍光体材料の粒子及び光反射材料の粒子の混合物を有する光透過性基板を含んだフォトルミネッセンスサイネージ面を含む。イメージ、画像、文字、数字、図案、パターン又は他のサイネージ情報を画定するために、蛍光体材料及び光反射材料の混合物を、パターンとして構成することができる。代替として、例えばチャネルレタリングのために必要とされるように、サイネージ面の形状は、サイネージ情報を画定するように構成することができる。
【0025】
サインがバックライトで照らされる場合には、すなわち、コンポーネントを通過する青色光のある割合が蛍光体材料によって異なる色の光に変換されるように、光透過性窓として構成されたサイネージ面の後に発光素子が配置される場合には、サイネージ面は、好ましくは、発光素子から少なくとも5mmの距離に配置される。代替として、サインを、エッジ照明し、基板が光ガイドとして構成され、並びに蛍光体材料及び光反射材料の混合物を光ガイドの光放出面の少なくとも一部に提供することができる。場合によっては、基板を平面とし、光を基板の1つ以上の端部から光ガイドに結合することができる。
【0026】
いくつかの実施形態の光反射材料は、0.01μmから10μm、0.01μmから1μm又は0.1μmから1μmの粒子寸法を有するのに対して、蛍光体材料は、2μmから60μm、好ましくは10μmから20μmの粒子寸法を有する。蛍光体材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、0.01%から10%、0.01%から1%、0.1%から1%又は0.5%から1%の範囲とすることができる。光反射材料は、MgO、TiO、BaSO又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0027】
蛍光体材料及び光反射材料の混合物は、有利には、スクリーン印刷によって基板に提供される。代替として、混合物を、インクジェット式印刷、スピンコーティング又はドクターブレード法によって基板に堆積させることができる。
【0028】
光透過性基板は、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ、シリコーン及びガラスを含む任意の光透過性材料を含むことができる。
【0029】
本発明の更に別の態様によれば、固体光放出サインのためのフォトルミネッセンスサイネージ面は、少なくとも100cm2の面積に渡って分布する少なくとも1つの蛍光体材料の粒子及び光反射型材料の粒子の混合物を有した光透過性基板を含む。
【0030】
コンポーネントを通過する青色光のある割合が異なる色の光に変換されるように、サイネージ面は光透過性窓として構成可能である。代替として、基板を光ガイドとして構成し、蛍光体材料及び光反射材料の混合物を光ガイドの光放出面の少なくとも一部の上に、又は、近接して、提供することができる。
【0031】
光反射材料は、0.01μmから10μm、0.01μmから1μm又は0.1から1μmの粒子寸法を有することができる。蛍光体材料は、2μmから60μm、好ましくは10μmから20μmの範囲の粒子寸法を有してもよい。いくつかの実施形態では、蛍光体材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、0.01%から10%、0.01%から1%、0.1%から1%又は0.5%から1%の範囲とすることができる。光反射材料は、MgO、TiO、BaSO又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0032】
好ましくは、蛍光体材料及び光反射材料の混合物は、スクリーン印刷によって基板に提供される。代替として、混合物を、インクジェット式印刷、スピンコーティング又はドクターブレード法によって堆積させることができる。
【0033】
光透過性基板は、アクリル、ポリカーボネート、エポキシ、シリコーン及びガラスを含むことができる。
【0034】
本発明がより良く理解されるように、ここで、本発明の実施形態による固体発光装置及びサインが、例示としてのみ、添付図面を参照にして説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施形態による、LEDに基づく発光装置の概略図である。
図2】公知の発光装置の動作原理を示した概略図である。
図3図1の発光装置の動作原理を示した概略図である。
図4】光反射材料の装填量が異なる重量パーセントの、本発明によるLEDに基づく発光装置に対する放出強度対色度CIExのグラフである。
図5】本発明の代替的な実施形態による、LEDに基づく発光装置の概略図である。
図6】本発明の別の実施形態による、LEDに基づく発光装置の概略図である。
図7】本発明の更なる実施形態による、LEDに基づく発光装置の概略図である。
図8図7の発光装置の動作原理を示した概略図である。
図9】本発明の実施形態による蛍光体波長変換コンポーネントの概略図である。
図10】本発明の別の実施形態による蛍光体波長変換コンポーネントの概略図である。
図11】赤色、緑色及び青色光に対する、相対的な光散乱対光回析粒子寸法(nm)のグラフを示す。
図12】本発明の更なる実施形態による、LEDに基づく発光装置を示す。
図13】本発明の更なる実施形態による、図12のLEDに基づく発光装置の断面図を示す。
【0036】
発明の詳細な説明
本発明のいくつかの実施形態は、通常はLEDである、1つ以上の固体発光素子を含む発光装置を目的とし、この発光素子は、青色光励起可能な蛍光体材料といった、フォトルミネッセンス材料(例えば、蛍光体材料)の粒子を収容する、波長変換コンポーネントを励起するために使用される(通常は青色の)励起光を発生させるために、動作可能である。加えて、波長変換コンポーネントは、蛍光体材料によるフォトルミネッセンス発光を強化するために、蛍光体材料と共に組み込まれた光反射材料(本明細書では「光散乱材料」とも呼ぶ)の粒子を含む。強化された発光は、発光素子(単数又は複数)によって発生した光の、蛍光体材料の粒子との衝突数を増加させる光反射材料に起因する。最終結果として、発光装置のための蛍光体材料使用の減少がもたらされる。
【0037】
例示のみの目的のために、蛍光体材料として特に具体化されるフォトルミネッセンス材料に関して、以下に説明をする。しかしながら、本発明は、蛍光体材料又は量子ドットのいずれかといった、任意のタイプのフォトルミネッセンス材料に適用可能である。量子ドットは、特定の波長又は波長の範囲の光を放出するために、放射エネルギーによって励起可能な、励起子が3つの空間次元すべてにおいて閉じ込められた一部の物質(例えば半導体)である。したがって、そのようなものとして請求されない限り、本発明は、蛍光体に基づく波長変換コンポーネントに限定されない。更に、本特許明細書の全体に渡って、同一の参照番号は、同一の部分を示すために使用される。
【0038】
図1は、本発明の実施形態によるLEDに基づく白色光放出装置10の概図を示す。
装置10は、青色光を放出しているLED12及びLEDに対して離れて配置されたフォトルミネッセンス波長変換コンポーネント14を含む。示されるように、波長変換コンポーネント14は、少なくとも1つの面に蛍光体変換層18を有した光透過性窓(基板)16を含むことができる。蛍光体変換層18は、青色光励起可能な蛍光体材料20の粒子、光反射材料22の粒子及び光透過性バインダ材料24の混合物を含む。光透過性窓16は、例えばポリカーボネート、アクリル、シリコーン若しくはエポキシといったポリマー材料、又は、石英ガラスなどのガラスといった、任意の光透過性材料を含むことができる。通常、製造の簡略化のために、光透過性窓16は平面、多くの場合円盤形状であるが、所期の用途に応じて、正方形、長方形又は他の形状とすることができる。光透過性窓が円盤形状の場合には、直径を約1cmと10cmの間、つまり0.8cm2と80cm2の間の面積の光学的開口とすることができる。代替的な実施形態では、光透過性窓16が、例えば凸面又は凹面レンズなどの選択された方向に光を向ける光学コンポーネントを含むことが想定される。LED12から波長変換コンポーネント14までの熱伝達、特に蛍光体材料への熱伝達を減少させるために、波長変換コンポーネントは、LEDに対して離れて配置、つまり、物理的に少なくとも5mmの距離Lで隔てられる。本発明の実施形態は、発光素子から蛍光体材料までの熱伝達を減少するために、波長変換コンポーネント及び、更に重要なことには、蛍光体材料が、LEDに対して離れて提供される装置に関する。本出願に関連して、遠隔とは、例えば空隙又は光透光性媒体によって、物理的に分離されることを意味する。遠隔蛍光体装置では、LED(例えば0.03cm2)の光放出面の面積より非常に大きな面積(例えば0.8cm2から80cm2)に渡って、蛍光体材料が、分布することが理解される。通常、蛍光体材料は、LEDの光放出面積の少なくとも50倍、通常は少なくとも100倍となる面積に渡って分布する。
【0039】
青色LED12は、波長範囲440nmから480nm(通常は465nm)でピーク波長λを有する青色光26を発生させるために動作可能なGaN系(窒化ガリウム系)LEDを含むことができる。青色LED12は、波長変換コンポーネント14を青色励起光26で照射するように構成され、その結果、青色光のある割合が、蛍光体材料20によって吸収され、蛍光体材料が、これに応じて、通常は冷白色放出装置用の黄緑色である、異なる波長λの光28を放出する。白色に見えるように構成される装置10の放出生成物(emission product)30は、LEDによって放出された組み合わされる光26及び蛍光体材料20によって発生した光28を含む。
【0040】
蛍光体材料20及び光反射材料22は、粉末状で、ポリマー材料(例えば、熱若しくはUV硬化性シリコーン若しくはエポキシ材料)、又は、Nazdar(登録商標)のUV curable litho clear overprint PSLC-294などのクリアインクといった、光透過性バインダ材料24と公知の割合で綿密に混合される。混合物は、均一な厚さの1つ以上の層として、窓16の面に適用される。好ましい実施形態では、スクリーン印刷により、印刷パスの回数によって制御された層の厚さtで、混合物は、光透過性窓に適用される。当業者に公知であるように、蛍光体/反射材料混合物は、インクジェット式印刷、スピンコーティング、又は、スキージなどのブレードを使用して面の上に混合物を伸ばす方法(例えばドクターブレード法)といった、他の方法を使用して適用することができる。
【0041】
更なる実施形態では、蛍光体及び光反射材料の混合物を、光透過性窓に組み込むことが想定される。例えば、コンポーネントのボリューム全体に渡って均一に分布した蛍光体及び光反射材料を有する波長変換コンポーネント14を形成するために、蛍光体及び光反射材料の混合物が光透過性ポリマーと混合され、ポリマー/蛍光体混合物が押出成形又は射出成形される。
【0042】
LEDに対して離れて蛍光体材料の配置することは、多くの利益、すなわち蛍光体材料の熱劣化の低減を提供する。加えて、蛍光体材料がLEDダイの光放出面と直接接触して提供される装置と比較して、蛍光体材料を離れて提供することは、LEDダイによる後方散乱された光の吸収を減少させる。その上、LEDダイの光放出面に直接蛍光体を提供することと比較して、非常に大きなエリア上に蛍光体材料が提供されるので、離れて蛍光体を配置することは、より一貫した色及び/又はCCTの光の発生を可能にする。
【0043】
蛍光体材料は、例えば、Siがシリコン、Oが酸素であり、Aがストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)又はカルシウム(Ca)を含み、Dが塩素(CI)、フッ素(F)、窒素(N)又は硫黄(S)を含む、一般組成ASi(O,D)又はASi(O,D)のケイ酸塩系蛍光体のような、無機又は有機蛍光体を含むことができる。ケイ酸塩系蛍光体の例は、米国特許の(Intematix Corp.に譲渡された)US 7,575,697「Europium activated silicate-based green phosphor」、(Intematix Corp.に譲渡された)US 7,601,276「Two phase silicate-based yellow phosphor」、(Intematix Corp.に譲渡された)US 7,601,276「Silicate- based orange phosphor」及び(Intematix Corp.に譲渡された)US 7,311,858「Silicate-based yellow- green phosphor」に開示される。蛍光体はまた、同一出願人による同時係属中の特許出願US2006/0158090「Aluminate-based green phosphor」及び(Intematix Corp.に譲渡された)特許US 7,390,437「Aluminate-based blue phosphor」に教示されるようなアルミン酸塩系材料、同時係属中の出願US2008/0111472「Aluminum-silicate orange-red phosphor」に教示されるようなアルミニウム―ケイ酸塩蛍光体、又は、2009年12月7日に出願された、同一出願人による同時係属中の米国特許出願12/632,550に教示されるような窒化物系赤色蛍光体材料を含むことができる。蛍光体材料は、本明細書中に説明された例に限定されることはなく、窒化物系及び/又は硫酸塩蛍光体材料、オキシ窒化物並びにオキシ硫酸塩蛍光体、又は、ガーネット材料(YAG)といった、任意の蛍光体材料を含み得ることが理解される。
【0044】
蛍光体材料は、10μmから20μm、通常は15μmのオーダの直径を有した、一般に球状の粒子を含む。蛍光体材料は、2μmから60μmのサイズの粒子を含むことができる。
【0045】
光反射材料22は、高い反射性、通常は0.9以上の反射率を有した粉末状の材料を含む。光反射材料の粒子サイズは、通常は0.1μmから10μmの範囲で、好ましい実施形態では、0.1μmから10μmの範囲内である。蛍光体材料に対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、0.1%から10%の範囲で、好ましい実施形態では、1%から2%の範囲である。光反射材料の例としては、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム(BaSO)及びこれらの組み合わせを含む。光反射材料は、また、例えば、高度光反射材料、通常はTiO、の粒子をすでに備えたNorcote International Incのスーパー白色インクGN-027SAのような、白色インクを含むこともできる。
【0046】
本発明の装置の動作を説明する前に、蛍光体波長変換を利用した冷白色のLEDに基づく発光装置の概略図を示す図2を参照にして、公知の発光装置の動作を説明する。本発明の装置と同じように、公知の装置は、光透過性バインダ24のボリューム全体に渡って均一に分布した蛍光体材料粒子20を含む波長変換コンポーネント18を備える。本発明の装置と異なり、公知の装置は、光反射材料の粒子を備えない。動作中、LED12からの青色光26は、蛍光体材料の粒子にぶつかるまで、光透過性バインダ24によって透過される。平均して、10,000のうちわずか1の光子の蛍光体材料粒子との相互作用が、吸収及びフォトルミネッセンス光の発生をもたらすと考えられる。大多数、約99.99%の、光子の蛍光体粒子との相互作用は、光子の散乱をもたらす。散乱過程の等方性により、平均して、半分の散乱光子が、LEDの方向へ戻ることになる。通常、総入射青色光の約10%が、LEDの方向へ戻って、波長変換コンポーネントから散乱及び放出されることを、試験は示す。冷白色光放出装置のために、総入射青色光の約10%が窓から放出され、放出生成物に寄与することができるように、蛍光体材料の量は選択される。大多数、約80%の入射光は、蛍光体材料によって吸収され、フォトルミネッセンス光28として再放出される。フォトルミネッセンス発光の等方性により、蛍光体材料によって発生する光28の約半分は、LEDの方向へ放出されることになる。結果として、総入射光のうち(↑)40%までは、波長λの光28として放出され、放出生成物30に寄与するが、総入射光のうち(↑)40%までは、波長λの光28として、LEDの方向へ戻って、放出されることになる。装置の総合効率を増加させるために、通常、LEDの方へ放出される光は、反射体(図示せず)によって再方向付けされる。
【0047】
図1の装置の動作の概略を示した図3を参照にして、本発明のいくつかの実施形態による冷白色光放出装置10の動作を、ここで説明をする。本発明の装置の動作は、図2の動作と類似しているが、光反射/散乱材料の粒子による光(波長λ及びλ)の反射又は散乱を追加的に備える。蛍光体材料を伴った光反射材料の粒子を備えることによって、所定の色放出生成物を発生させるために必要な蛍光体材料の量を、例えば、いくつかの実施形態では33%まで、減少させることができる。光反射材料の粒子が光子の蛍光体材料の粒子にぶつかる確率を増加させ、したがって、所定の色放出生成物のために少ない蛍光体材料が必要になる、と考えられる。
【0048】
図4は、光反射材料の装填量の重量パーセントが◆0%、■0.4%、▲1.1%及び●2%の、本発明のいくつかの実施形態による発光装置のための放出強度対色度CIExのグラフである。データは、バインダ材料がNazdar(登録商標)のUV curable litho clear overprint PSLC-294を含み、蛍光体材料が平均粒子寸法15μmのIntematix Corporationの蛍光体EY4453を含むスクリーン印刷された蛍光体変換層に対するものである。クリアインクに対する蛍光体材料の比率は、重量で2:1の割合である。光反射材料は、Norcote International Incのスーパー白色インクGN-027SAを含む。光反射材料装填のための数字は、クリアインクに対するスーパー白色インクの重量パーセントを指す。それぞれのデータ点と関連したより小さな参照番号は、蛍光体層を形成するために使用された印刷パス数『n』を示す。印刷パス数が、蛍光体層18の厚さ及び蛍光体の量と直接比例することが理解される。実質的に同じ強度及びCIEx値を有する放出生成物に対するデータ点をグループにするために、楕円32、34、36、38は、使用される。例えば、楕円32は、i)光反射材料なしの3回の印刷パスと、ii)光反射材料2%装填の2回の印刷パスとを含んだ蛍光体変換層18で、類似した強度及び色の生成物が作られることを示す。これらのデータは、2重量%装填した光反射材料の含有によって、約33%少ない蛍光体材料を含む蛍光体変換層18を使用して、同じ光の色及び強度を発生させることが可能であることを示す。楕円34は、i)光反射材料なしの4回の印刷パスと、ii)光反射材料0.4%装填の3回の印刷パスとを含んだ蛍光体変換層で、同じ強度及び色の放出生成物が作られることを示す。これらのデータは、この実施形態のために、0.4重量%装填した光反射材料の含有によって、約25%少ない蛍光体を含む蛍光体変換層を使用して同じ光の色及び強度が作られることを示す。楕円36は、i)光反射材料なしの4回の印刷パスと、ii)光反射材料1.1%装填の3回の印刷パスとを含んだ蛍光体変換層で、同じ強度及び色の放出生成物が作られることを示す。これらのデータは、1.1重量%装填した光反射材料の含有によって、約25%少ない蛍光体を含む蛍光体変換層を使用して同じ光の色及び強度が作られることを示す。楕円38は、i)光反射材料0.4重量%装填の4回の印刷パスと、ii)光反射材料2重量%装填の3回の印刷パスとを含んだ蛍光体変換層で、同じ強度及び色の放出生成物が作られることを示す。これらのデータは、0.4重量%装填した光反射材料の含有によって、約25%少ない蛍光体を含む蛍光体変換層を使用して同じ光の色及び強度が作られることを示す。点40(n=4、1.1%装填)及び42(n=4、2%装填)は、光反射材料装填の増加が色に対する影響がほとんどない放出強度の減少をもたらす、飽和点の存在を示唆する。
【0049】
図5は、本発明の別の実施形態によるLEDに基づく白色光放出装置10の概図を示す。この実施形態では、光透過性基板16は光ガイド(導波路)として構成され、蛍光体変換層18は、基板の1つの面である、光放出面を覆って提供される。通常、基板16は、実質的に平面で、用途に応じて円盤形状、正方形、長方形又は他の形状とすることができる。基板が円盤形状の場合には、約20cm2から約700cm2の間の面積の光放出面と対応して、直径を、通常、約5cmから30cmの間とすることができる。基板の形状が正方形又は長方形の場合には、約80cm2から約5000cm2の間の光放出面と対応して、辺を、通常、約5cmから40cmの間とすることができる。装置の裏面からの光の放出を防止するために、光反射材料44の層を、基板16の非光放出面(下の面として図示される)に提供可能である。反射材料44は、クロムなどの金属コーティング又はプラスチック材料若しくは紙などの光沢のある白色材料を含むことができる。基板の端部から放出される光を最小にするために、好ましくは、基板の端部は、光反射面(図示せず)を備える。1つ以上の青色LED12が、基板16の1つ以上の端部内に青色光26を結合するように構成される。動作中、基板16内に結合された光26は、全反射によって基板16のボリューム全体に渡って誘導される。臨界角を越える角度で基板の光放出面にぶつかる光26は、面を通過して、蛍光体波長変換層18に放出されることになる。装置の動作は、図3を参照にして説明されたものと同様である。図5に示されるように、光放出面から離れる方向に放出される蛍光体が発生させた光46は、基板16に再び入ることができ、光反射層44に反射することによって光放出面を通って最終的に放出される。装置から放出される最終的な照明生成物30は、LEDによって発生した青色光26と、蛍光体波長変換層18によって発生した波長が変換された光28との組み合わせである。
【0050】
図6は、光透過性基板16が光ガイド(導波路)として構成される代替的なLEDに基づく白色光放出装置10の概略図である。この実施形態では、蛍光体変換層18は光放出面とは反対側の基板の面に提供され、光反射層44は蛍光体変換層18を覆って提供される。
【0051】
図7は、本発明の更なる実施形態によるLEDに基づく白色光放出装置10の概略図を示す。この実施形態では、波長変換コンポーネント14は、光反射型で、蛍光体変換層18が適用された光反射面48を含む。示されるように、光反射面48は放物面を含むことができるが、平面、凸面及び凹面といった任意の面を含むことができる。装置からの光放出を最大にするために、光反射面は、できる限り反射し、好ましくは、少なくとも0.9の反射率を有する。光反射面は、銀、アルミニウム、クロムなどの、研摩された金属面、光反射ポリマー、光反射紙又は光反射塗料を含むことができる。熱の散逸を助けるために、光反射面は、好ましくは熱伝導性である。
【0052】
図7の発光装置の動作は、図8に例示されるが、図3の装置と類似しているため、詳細には説明しない。しかしながら、平均して半分までのLED光26が、蛍光体変換層を2回通過することになるので、光透過性波長変換コンポーネント(図1及び図5)の配置と比較して、蛍光体変換層18の厚みが多くとも半分、すなわちt/2となり得ることを理解すべきである。光反射面上に蛍光体材料を提供することの結果として、蛍光体材料使用の約50%までのさらなる減少の可能性をもって、放出生成物の同じ色を達成できる。
図6の実施形態は、LED照明26を蛍光体変換層18へ誘導するために使用される光透過性基板16を有する図7の実施形態に、動作に関して類似していることが理解される。
【0053】
発光装置に関して本発明を説明したが、本発明の原理は、同時係属中のLiらに対する米国特許出願公開US 2007/0240346 A1に開示されるような、所望の色の放出光を発生させるためにフォトルミネッセンス波長変換を利用する固体光放出サイネージにも適用し、その明細書が参照として本明細書に組み込まれる。このような光放出サインで、所望の色のサイネージ情報を発生させるために、フォトルミネッセンスサイネージ面として、波長変換コンポーネント14が使用可能であることが理解される。光透過性基板上に、イメージ、画像、文字、数字、図案、パターン又は他のサイネージ情報を画定するために、蛍光体材料及び光反射材料の混合物を、パターンとして構成することができる。代替として、例えばチャネルレタリングのために必要とされるように、サイネージ面、つまり光透過性基板の形状は、サイネージ情報を画定するように構成することができる。100cm2(10cm×10cm)の最小面積に渡って、より一般的には何百又は更に何千平方センチメートルに渡って分布した蛍光体材料を必要とする、サイネージ面の面積が何百平方センチメートルであるサイネージ用途で、本発明は、特に有益である。
【0054】
サインはバックライトで照らすことが可能で、LEDが例えばライトボックス内のサイネージ面の後に配置され、そして、サイネージ面がライトボックス開口部を覆って提供される。通常、サイネージ面は、LEDから少なくとも約5mmの距離に配置される。代替として、サインを、エッジ照明し、光透過性基板が、光ガイドと、光ガイドの光放出面の少なくとも一部に提供された蛍光体材料及び光反射材料の混合物とでして構成されることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、光反射材料は二酸化チタン(TiO)を含むが、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化珪素(SiO)又は酸化アルミニウム(Al)などの、他の材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、光反射材料は、1μmから50μmの範囲、より好ましくは、10μmから20μmの範囲の平均粒子寸法を有する。
【0056】
いくつかの実施形態では、波長変換コンポーネント内で利用される光反射/散乱材料は、フォトルミネッセンス(蛍光体)材料によって発生した光を散乱させるより比較的多く粒子が励起(通常は青色)光を散乱するように、選択された粒子寸法を有する。例えば、少なくとも1つの蛍光体材料によって発生した光を散乱させるのと比較して少なくとも2倍、粒子が励起光を散乱させるように、光反射粒子の粒子寸法を選択することができる。これにより、高い割合の青色励起光が確実に散乱することになり、蛍光体材料粒子と相互作用する光子の確率を増加させ、フォトルミネッセンス光の発生をもたらす。同時に、蛍光体が発生させた光は、より低い散乱確率で通過することができる。
【0057】
この方法は蛍光体材料粒子と相互作用する青色の光子の確率を更に増加させることができるので、選択された放出色を発生させるために、より少ない蛍光体材料が必要となる。この配置は、波長変換コンポーネント/装置の発光効率を増加させることもできる。青色(400nmから480nm)励起光を用いるいくつかの実施形態では、光反射材料は、約150nm未満の平均粒子寸法を有し、通常は100nmから150nmの範囲の平均粒子寸法を有する。
【0058】
(すなわち、青色光を優先して散乱させるための)光反射/散乱材料は、蛍光体材料と同じ材料層の中に埋め込まれてもよい。
【0059】
代替として、蛍光体材料を有する層と隣接している又はすぐ近くの別個の層に、光反射/散乱材料が配置されてもよい。例えば、本発明のいくつかの実施形態によれば、図9に示されるように、波長変換コンポーネント136は、順番に、光透過性基板142と、光反射粒子を含有した光反射層144と、1つ以上の蛍光体(フォトルミネッセンス)及び光反射材料の混合物を含有した波長変換層146とを含む。図9で見てとれるように、動作中、波長変換層146がLEDに向くように、波長変換コンポーネント136は構成される。本発明のいくつかの実施形態によれば、波長変換コンポーネント136は、順番に、光透過性基板142と、光反射粒子を含有した光反射層144と、1つ以上の蛍光体(フォトルミネッセンス)材料を含有した波長変換層146とを含む。
【0060】
光透過性基板142は、波長範囲380nmから740nmの光に対して実質的に透過性がある任意の材料とすることができ、ポリカーボネート若しくはアクリルなどの光透過性ポリマー又は硼珪酸ガラスなどのガラスを含むことができる。いくつかの実施形態の基板142は、直径φ=62mm及び通常は0.5mmから3mmの厚さtの平面の円板を含む。他の実施形態では、基板は、例えば円蓋状又は円筒状などの形状の凸状又は凹状といった、他の幾何学的形状を含むことができる。
【0061】
光拡散層144は、光反射材料、好ましくは二酸化チタン(TiO)、の粒子の均一な厚みの層を含む。代替的配置では、光反射材料は、硫酸バリウム(BaSO)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化珪素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)又はできるだけ高い反射性、通常は0.9以上の反射率を有する粉末状の材料を含むことができる。光反射材料の粉末は、光透過性液体バインダ材料と公知の割合で綿密に混合されて懸濁液を形成し、結果として生じる混合物は、好ましくはスクリーン印刷によって基板142の面上へ堆積され、基板のすべての面を覆う厚さt(通常は10μmから75μmの範囲)の均一な層を形成する。光拡散層144の単位面積当たりの光回折材料の量は、10μg.cm-2から5mg.cm-2である。
【0062】
スクリーン印刷が光拡散層144を堆積させる好ましい方法であるが、例えば、スロットダイコーティング、スピンコーティング、ローラーコーティング、ドローダウンコーティング又はドクターブレード法といった、他の技術を使用して堆積させることができる。バインダ材料は、ポリマー樹脂、モノマー樹脂、アクリル、エポキシ(ポリエポキシド)、シリコーン又はフッ素化ポリマーなどの、硬化性液体ポリマーを含むことができる。バインダ材料が、硬化した状態で、蛍光体材料(単数又は複数)及びLEDによって発生した光のすべての波長に対して実質的に透過性があり、好ましくは、可視スペクトル(380nmから800nm)に渡って少なくとも0.9の透過率を有することが、重要である。バインダ材料は、好ましくは、U.V.硬化性であるが、熱硬化性、溶剤型又はこれらの組み合わせとすることができる。溶剤型材料と異なり、重合の間、「ガス放出(out gas)」しないので、好ましくはU.V.又は熱硬化性バインダであることができる。一つの配置では、光回析材料の平均粒子寸法は、5μmから15μmの範囲だが、先に記載したように、ナノメートル範囲(nm)とすることができ、有利には、100nmから150nmの範囲である。液体バインダに対する光反射材料の装填量の重量パーセントは、通常は7%から35%の範囲である。
【0063】
波長変換層146は、光拡散層144と直接接触して、すなわち、いかなる介在層も又は空隙もなしに堆積する。蛍光体材料は、粉末状で、液体光透過性バインダ材料と公知の割合で、綿密に混合され懸濁液を形成し、結果として生じる蛍光体組成物、「蛍光体インク」が反射層144上に直接堆積する。波長変換層は、好ましくはスクリーン印刷によって堆積させられるが、スロットダイコーティング、スピンコーティング又はドクターブレード法などの、他の堆積法が使用可能である。波長変換層と反射層146、144の間の光インターフェースを排除し、層間の光の透過を最大にするために、好ましくは同じ液体バインダ材料が、両方の層を製造するために使用され、液体バインダ材料は、ポリマー樹脂、モノマー樹脂、アクリル、エポキシ、シリコーン又はフッ素化ポリマーである。
【0064】
本発明による蛍光体波長変換コンポーネント136の別の例が、図10に示される。図9の波長変換コンポーネントと同じように、コンポーネントは、光透過性基板142、光拡散層144及び波長変換層146を含む。本発明によれば、光拡散層及び波長変換層144、146は、互いに直接接触して堆積する。また、動作中、波長変換層146がLEDに向くよう波長変換コンポーネントが構成されるように、コンポーネントは構成される。
【0065】
動作中、LEDによって発生した青色励起光128は、蛍光体材料の粒子にぶつかるまで、波長変換層146を進む。平均して、10,000のうちわずか1の光子が蛍光体材料粒子と相互作用し、吸収及びフォトルミネッセンス光138の発生をもたらすと考えられる。大多数、約99.99%の光子の蛍光体粒子との相互作用は、光子の散乱をもたらす。散乱過程の等方性により、平均して、半分の光子が、LEDの方向へ戻って散乱する。通常、総入射青色光128の約10%が、LEDの方向へ戻って、波長変換コンポーネント136から散乱及び放出されることを、試験は示す。冷白色光放出装置のために、総入射青色光の約10%が波長変換コンポーネントから放出され、放出生成物140に寄与することができるように、蛍光体材料の量は選択される。大多数、約80%の入射光は、蛍光体材料によって吸収され、フォトルミネッセンス光138として再放出される。フォトルミネッセンス発光の等方性により、蛍光体材料によって発生する光138の約半分は、LEDの方向へ放出されることになる。結果として、総入射光のうち約40%までのみが、波長λの光138として放出され、放出生成物138に寄与し、総入射光の残り(約40%まで)は、波長λの光138として、LEDの方向へ戻って、放出される。波長変換コンポーネント136からLEDの方へ放出される光は、放出生成物に寄与するため及び装置の総合効率を増加させるために、反射チャンバの光反射面によって再方向付けされる。
【0066】
光反射材料の粒子で構成される光拡散層144の追加は、選択された放出光の色を発生させるために必要とされる蛍光体材料の量を実質的に減少することができる。波長変換層146に戻るように光を反射させることによって、拡散層144は、光子がフォトルミネッセンス光の発生をもたらす確率を増加させる。波長変換層と直接接触した反射層の含有は、例えばいくつかの実施形態では、所定の色放出生成物を発生させるために必要される蛍光体材料の量を40%まで減少することができる。
【0067】
したがって、蛍光体材料によって発生した光を散乱させるより多く、LEDによって発生した青色励起光を選択的に散乱させるように、光拡散層を構成することが想定される。このような光拡散層により、波長変換層から放出された青色光の高い割合が、光反射材料によって、確実に、散乱し、波長変換層に戻るよう方向付けされることになり、蛍光体材料粒子と相互作用する光子の確率を増加させ、フォトルミネッセンス光の発生をもたらす。同時に、蛍光体が発生させた光は、より低い散乱確率で拡散層を通過することができる。拡散層は蛍光体材料粒子と相互作用する青色の光子の確率を増加させるので、選択された放出色を発生させるために、より少ない蛍光体材料が必要とされる。
【0068】
加えて、このような配置は、波長変換コンポーネント/装置の発光効率を増加させることもできる。光散乱材料の平均粒子寸法の適切な選択によって、他の色、すなわち緑色及び赤色より確実に青色光を散乱させるように光拡散層を構成することが可能である。図11は、赤色、緑色及び青色光に対する、相対的な光散乱対TiO平均粒子寸法(nm)のグラフを示す。図11から見てとれるように、100nmから150nmの平均粒子寸法を有するTiO粒子は、緑色光(510nmから550nm)又は赤色光(630nmから740nm)を散乱させるより、青色光(450nmから480nm)を、おそらく2倍以上散乱させる。例えば、100nmの平均粒子寸法を有するTiO粒子は、緑色又は赤色光を散乱させるより、ほぼ3倍(2.9=0.97/0.33)青色光を散乱させる。150nmの平均粒子寸法を有するTiO粒子の場合は、緑色又は赤色光を散乱させるより、2倍(2.3=1.6/0.7)青色光を散乱させる。本発明のいくつかの実施形態によれば、蛍光体材料(単数又は複数)によって発生した光の少なくとも相対的に2倍、粒子が青色光を散乱させるように、光回析粒子寸法が選択されることが好ましい。蛍光体材料によって発生した波長の光と比較してLEDによって発生した波長に対応する光を優先して散乱させる光反射粒子からなる光反射層を備えた波長変換コンポーネントの概念は、それ自体創意に富んでいると考えられる。
【0069】
したがって、蛍光体材料を備える層と隣接している又は近くの別個の層に、光反射/散乱材料が具体化されてもよい。蛍光体材料と同じ層に光反射/散乱材料を混合する代わりに及び/又は加えて、別個の光反射層が使用されてもよい。蛍光体材料と混合された光反射材料と同じ又は異なる反射材料が、別の光反射層で使用されてもよい。
【0070】
本明細書に開示される発明の概念は、任意の好適な形状を取り込んだ波長変換コンポーネントに、適用されてもよい。例えば、白熱電球の後継となる半導体電球を示した、図12及び図13に例示されるLED照明装置200を考慮する。
【0071】
LED照明装置200は、ねじ込み口金206を備えた照明基部204を含む。ねじ込み口金206は、標準ソケットに嵌合するように構成、例えば、標準のエジソンねじ込み口金として実施される。エンベロープ208は、LED照明装置200の上部の周囲に広がる。エンベロープ208は、保護及び/又は拡散特性をLED照明装置200に提供する光透過性材料(例えば、ガラス又はプラスチック)である。
【0072】
LED照明装置200は、照明基部204から広がる細長い円蓋形状を有した波長変換コンポーネント202を含む。青色LED装置12は、照明基部204の上面、波長変換コンポーネント202の下に存在する。波長変換コンポーネント202の三次元性は、LED12周辺及び上方のボリュームを取り囲む比較的大きな形状を作りだす。照明装置200の波長変換コンポーネント202のために三次元形状を使用することは、照明装置200によって放出される光に対して光成形を実行する能力のように、一定の機能的な利点を許容する。
【0073】
しかしながら、波長変換コンポーネント202のための、これらのタイプの三次元形状は、また、波長変換コンポーネントの比較的大きなボリュームに相当し、その波長変換コンポーネントは適当量の蛍光体材料を使用して装着されることが必要である。先行技術の方法では、したがって、著しく大量の蛍光体材料が、このような波長変換コンポーネント202を製造するために、必要とされる。本発明の実施形態は、このような波長変換コンポーネント202を製造するために必要な蛍光体の量を減少させるために、利用することができる。特に、波長変換コンポーネント202は、蛍光体と反射材料の混合物を含む。波長変換コンポーネント202内の反射材料が、光を散乱する性質を有するので、波長変換コンポーネント202のために必要とされる蛍光体材料の量は減少する。
【0074】
いくつかの実施形態では、波長変換コンポーネント202を製造するために必要とされる蛍光体材料の量を減少するために、光拡散層(図示せず)が波長変換コンポーネント202に(蛍光体と混合された反射材料に加えて及び/又は代わりに)追加されてもよい。任意の好適な材料が、青色光を散乱させる可能性がより高い小ささとなるように選択された光散乱粒子のような光反射材料のために、用いられてもよい。
【0075】
したがって、このような装置及びコンポーネントを製造するために必要な蛍光体材料の量を減少させるLEDに基づく照明装置及び/又は波長変換コンポーネントを実施するための改良された方法が説明された。
【0076】
本発明による発光装置は、説明された例示的な実施形態に限定されず、本発明の範囲内で変形形態を製作できることが理解される。例えば、本発明はLEDに基づく発光装置に関して説明したが、本発明は、固体レーザ及びレーザダイオードといった他の発光素子に基づく装置にも適用される。
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図13