(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069206
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】加湿器、及び、空気処理装置
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20170123BHJP
F24F 7/00 20060101ALI20170123BHJP
F24F 1/00 20110101ALI20170123BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
F24F6/00 Z
F24F6/00 E
F24F7/00 A
F24F1/00 346
G03B21/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-532972(P2013-532972)
(86)(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公表番号】特表2013-545957(P2013-545957A)
(43)【公表日】2013年12月26日
(86)【国際出願番号】US2011055363
(87)【国際公開番号】WO2012048219
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年7月17日
(31)【優先権主張番号】61/390,757
(32)【優先日】2010年10月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507326261
【氏名又は名称】カズ ヨーロッパ エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナッター,フランシス シー
(72)【発明者】
【氏名】ピータースン,ララ
【審査官】
佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−094132(JP,A)
【文献】
特開2004−189082(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3157629(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3155997(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3089863(JP,U)
【文献】
特開2003−118426(JP,A)
【文献】
特開2008−123923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 1/00
F24F 7/00
G03B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部と下部とから構成される筐体を有し、
前記筐体内に配置され、部屋内の周囲空気の含水率を十分に上げるために前記下部の側壁に設けられた空気穴から前記筐体の側方に向けて放出する加湿空気を供給する加湿機器と、
前記上部に設けられ、前記上部内に設けられた光源と、前記上部の上端に設けられたレンズ及びカバーとを有し、投射画像が前記空気穴から放出された加湿空気を通過しないように画像を前記筐体の上方に向けて投射するように構成された画像投射機と、
を備えたことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記レンズ及びカバーが、前記画像投射機の光学特性を変えるべく交換可能であることを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記画像投射機は、前記レンズにより前記画像投射機が投射する画像を前記レンズ近傍に備えたことを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項4】
前記画像は、前記レンズ上に配置されたフィルムの形式であることを特徴とする請求項3に記載の加湿器。
【請求項5】
前記レンズ及びカバーが、前記画像投射機により投射される画像の色合い、あるいは、色を変えるべく染められている、或いは、着色されていることを特徴と
する請求項1に記載の加湿器。
【請求項6】
前記光源が、色とりどりの光を供給すべく構成されていることを特徴とする請求項1に
記載の加湿器。
【請求項7】
前記レンズ及びカバーを回転させる回転機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項8】
前記加湿機器、及び、前記画像投射機の動作を制御する制御装置をさらに備えたことを
特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項9】
前記制御装置が、前記加湿機器の動作を制御する加湿制御装置、及び、前記画像投射機
の動作を制御する投射制御装置を備えたことを特徴とする請求項8に記載の加湿器。
【請求項10】
前記投射制御装置が、前記画像投射機の動作を、前記加湿機器の動作とは独立して制御
することを特徴とする請求項9に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気処理装置に関し、より具体的には、例えば天井等の表面に画像を投射する投射機構を備えた加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、2010年10月7日に出願された米国仮出願第61/390,757の35U.S.C.§119(e)に基づく利点を主張するとともに、参照することにより当該出願の全ての内容を含むものとする。
【0003】
加湿装置、或いは、加湿器は、室内の周囲空気に湿気を与えるために用いられる空気処理装置である。一般的に、加湿器は、家の一室で用いられ、当該室内にいる人が医療的、或いは、快適さに関連する理由から加湿が必要な場合に用いられるだろう。加湿器の一つの特定の用途は、子供、或いは、乳幼児の部屋で用いることである。子供、或いは、乳幼児の部屋では、加湿器は、風邪、或いは、その他の鼻炎関連の症状があるかもしれない子供に役立つ、そして、癒す効果がある、或いは、そのような症状が発症するのを防ぐためにさらなる湿気を供給する。ここ数年、家庭において加湿器がさらに一般的になるにつれ、ユーザーにとって使い勝手が良く、且つ、適切な湿気を空気に供給する目的を果たすために、加湿器には様々な設計変更がなされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一つの加湿器のマイナスの側面は、空気/湿気の混合物を加湿器から室内に放出するために加湿器の内蔵送風機が駆動された際に加湿器が発生させる騒音の量であった。この加湿器のマイナスの側面は、加湿器が、簡単に怖がるかもしれない子供の、子供、或いは、乳幼児の部屋に置かれた際には、特に深刻である。特に、子供、或いは、乳幼児が、そもそも加湿器が部屋の中に置かれた理由である病気にかかっている時にはなおさらのことである。
【0005】
よって、子供、或いは、大人が加湿器によって脅えない、或いは、悩まされないように、子供を癒すことができる、及び/又は、気をそらす機能を提供することができる加湿器が望まれている。
【0006】
なお、下記の説明では、本発明の装置は加湿器として説明しているが、本発明の特定要素を他の空気処理装置、例えば、空気清浄機、扇風機或いはヒーター、もしくは、超音波加湿器を含むがこれに限定されたないいかなる種類の加湿器と併せて用いることが可能であることは、当業者にとっては当然のことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の論考、及び、従来技術の欠点を考慮し、本発明は、一般的な空気処理装置が提供する全ての利益を提供するとともに、空気処理装置から1つ以上の画像を投射することができる画像投射機を含む例えば加湿器等の空気処理装置を提供することで、このような従来技術の欠点を解決することを目的とする。
【0008】
本発明の実施形態によれば、加湿器は、加湿機器を保持し、画像投射機が連結された筐体を備える。好適な実施形態としては、画像投射機は、光源、着脱可能な投射機カバー、及び、着脱可能な投射機レンズを含む投射部の形態で筐体の上部に配置されている。実際には、光源が発光した際に、加湿器の動作に連動して、或いは、加湿器の動作とは別に、部屋の表面、例えば天井に画像を投射するために、投射機レンズ、及び、投射機カバーを通して光が放たれる。加湿機器は、送風機、水タンク、水容器、フィルター、及び、フィルタートレイを含むがこれに限定されない、加湿器に含まれるいかなる公知の要素を含んでいても良い。また、画像投射機は、投射された画像を回転させる回転機構を含んでいても良い。別の実施形態では、光源が別の色の光を供給することができる。好適な実施形態としては、画像サイズ、形、色、そして明るさ等の投射画像の1つ以上の光学特性が、投射機レンズ、及び/又は、投射機カバーを変えることで変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の特定の実施形態は、同一の符号が同一の構成要素を表す添付の図と併せて読まれることにより、より明らかとなる。本願の装置を説明するために、好適な実施形態の図が示されている。しかしながら、本願は、図示された正確な配置、構造、特徴、実施態様、外観、及び、装置に限定されるものではなく、また、配置、構造、特徴、実施態様、外観、及び、装置は単独で、或いは、他の配置、構造、特徴、実施態様、外観、及び、装置との組み合わせで用いられても良い。これらの図は、必ずしも縮尺通りに描かれたものではなく、また、決して本発明の範囲を限定することを目的とするものではなく、本発明の図示された一実施例を明確にするものにすぎない。
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る加湿器の正面図である。
【0011】
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る加湿器の分解図である。
【0012】
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る加湿器の断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示されるように、実施形態の加湿器100は、望ましくは、下部105と、上部110とから構成される筐体を有する。上部110は、望ましくは、投射部115をその最上部に有している。投射部115は、例えば、電球、ハロゲンランプ、LED等のような光源、及び、例えば、レンズのような画像生成光学素子を含んでいてもよい画像投射機を構成し、また、投射部115は、詳細については後述する投射機カバーを含んでいても良い。下部105は、望ましくは、当技術分野で周知の任意の適切な種類の加湿機器、及び、加湿機器の動作を制御するための、例えばつまみやボタン等のような関連する加湿器制御装置120を備えている。また、下部105は、投射部115の動作を制御するための、例えばつまみやボタン等のような投射制御装置125を備えることができる。当業者とっては当然のことながら、加湿制御装置120及び投射制御装置125は、1つの制御装置に統合されていても良い。従って、さまざまな実施形態において、加湿機器、及び、付随する投射部115の制御は、共依存(例えば、加湿機器が動作中の時のみ、投射部115の動作がオンにされる)、完全に独立している(例えば、加湿機器の動作がオフの時のみ、投射部115が動作することができる)、或いは、その組み合わせであってもよい。或いは、前述の通り、当業者とっては当然のことながら、加湿器、及び/又は投射機構を制御するために、ボタンやそのほかの作動機能が、つまみの代わりに含まれていても良い。また、下部105は、望ましくは、加湿された空気、或いは、霧が加湿器100から周囲空気の放出される空気穴130を備えていても良い。
【0014】
さらに、
図2及び
図3に示すように、上部110は、望ましくは、水タンク210及び投射部115を備えている。投射部115は、望ましくは、投射機カバー215、投射機レンズ220、及び、光源305を備えている。実際には、投射機レンズ220は、上部110の先端、或いは、上端に設けられた開口部225内に配置され、そして、投射機レンズ220は、投射機カバー215により覆われている。好適な実施形態においては、レンズカバー215及びレンズ220自体は、次に揚げるように、交換可能なように、ユーザーにより着脱自在である。射機レンズ220には、望ましくは、光源305が起動された際に照らされて外部表面(例えば、壁や天井)上に投射されることができる、例えばフィルム221の形態で、模様が付されている。当然ながら、画像は、いかなる好適な表面、或いは、物の上に投射されるであろう。一実施形態においては、これらの模様は、子供、或いは、乳幼児を癒すことができる写真や描画(例えば、月、及び、星)であっても良い。さらに、光源305は、投射画像がある定められた間隔、或いは、定期的に色を変えることができるように、多色の光源、或いは、定期的に色を変える光源とすることができる。或いは、光源305は、単色の光を提供しても良い。一旦、投射部115が組み立てられ、且つ、投射制御装置215が作動されると、光源350は、投射機レンズ220を照らし、投射機レンズ220上の画像が、カバー215を通って、部屋の天井やその他の表面に投射する。一つの好適な実施形態において、加湿器100は、24‐48インチの高さから、上方の平らな、通常高さの天井(例えば、8フィートの天井)の表面に画像を投射するように設計され、レンズ220、及び、カバー215の光学はそれに応じて設計されている。
【0015】
一実施形態において、加湿器100は、投射される画像の例えば、種類、サイズ、または、それらの両方、投射画像の色、または、色合い、投射画像の明るさ、或いは、これらの組み合わせ等の投射画像の1つ以上の光学特性を変えるために、複数の取り換え可能な投射機レンズ220、投射機カバー215、或いは、それらの両方を含んでいても良い。例えば、ユーザーが投射される模様や色を変えるためにレンズ220を選択することができるように、各投射機レンズ220は、異なる模様、或いは、異なる色を有していても良い。同様に、ユーザーが、投射される画像の明るさ、暗さ、或いは、色を調整できるように、各投射機カバー215は、異なる厚さ、色、或いは、光学密度を有していても良い。レンズ220、及び、カバー215を入れ替え可能とするために、レンズ220、カバー215、及び、上部110間に任意の適切な機械式装置が用いられても良い。本実施形態では、投射部115は加湿器100の上端に配置されるように説明したが、投射部115は、当業者にとっては当然のことであるが、この発明の趣旨から逸脱することなく、加湿器100の他の部分に配置することができる。例えば、投射部115は、画像を壁や他の垂直表面に投射することができるように、筐体の側壁107に設けられていても良い。加湿機100を容易に移動することができるように、ハンドル265が上部110の一部として含まれていても良い。さらに、当然のことながら、レンズ220の光学集束特性に加えて、カバー215が光学集束特性を有していても良い。
【0016】
一実施形態において、投射機レンズ220、及び、投射機レンズ220を通して投射された画像が回転でき、また、見た目にさらに美しくできるように、回転機構280は、投射部115の一部であっても良い。レンズ220、光源305、カバー215、或いは、これらの組み合わせを回転させるために、いかなる適切な機構が用いられても良い。例えば、光源305が二つ以上の異なる単色の光供給源から成る多色光源である場合、光源305が、レンズ220に加えて回転機構により回転されても良く、一方で、カバー215が上部110に固定されていても良い。好適な実施形態において、画像は、投射画像の中心に位置する点に対して略1RPMのスピードで回転する。例として、ピニオン282は、モーター284によって駆動され、そして、レンズ220を保持する回転可能な治具288に連結された歯車286を動かしても良い。当然ながら、他の構成とすることもでき、例えば、ピニオン282を、代わりに、ギヤ減速機構、または同様のものを介してファン270を駆動する軸に連結しても良い。加湿器100は、複数のモード(例えば、1つは画像が回転する、また、1つは画像が静止する)を有していても良く、或いは、例えばモーター284のスピードを制御することで画像の回転スピードをユーザーにより制御可能であっても良い。投射機カバー215は、ポリウレタン、或いは、プラスチック材料からつくられていることが望ましい。好適な実施形態において、光源305、レンズ220、及び、レンズカバー215を含む投射部115の光学は、投射された画像、或いは、複数の画像の角度範囲が開口部225に対して110から130度である。これらの角度範囲を得るために、いかなる適切な光学構成を用いても良い。
【0017】
上部110の基端部、或いは、下端部は、望ましくは、下部105の上部開口に嵌合する。実際には、水タンク210は、ユーザーにより充填され、且つ、下部105の一部である水容器230と結合される。一実施形態において、水タンク210は、水タンク210に流出入する水の流れを制御するためにタンクキャップ235と、タンクキャップガスケット240とを含んでいても良い。一旦、ユーザーが水タンク210を水で充填すると、タンクキャップガスケット240と併せてタンクキャップ235が、水タンク210から水容器230に水を漏れることなく流れ込ませる。
図2及び
図3に示すように、下部105は、着脱可能なフィルター250を支持するように構成されたフィルタートレイ245もまた備えていても良い。ある特定の実施形態では、下部105は、芳香パッド260が中に入れられるように構成されたスロット255を備えていても良く、この芳香パッドは、加湿器100により生成された水分と接触し、加湿器100の周囲の環境内で良い香りを引き起こすように設計されている。実際には、一旦水タンク210が充填され、上部110と下部105とが連結されると、ユーザーは、加湿プロセスを開始するべく、送風機270を駆動するために、加湿制御装置120を動作させることができる。また、加湿制御装置120は、送風機270の速度を調整するための異なる複数のスピードを備えていても良い。当該技術分野において通常の知識を有する者にとっては当たり前であるが、一旦送風機270が駆動されると、水容器230からの水を吸収するフィルター250が、蒸発表面積を増大させる。ファン270は、空気穴130から放出される水の蒸発を助けるために、フィルター250に隣接しているのが望ましい。また、ユーザーは、加湿機器を、投射部115から画像を投射するのと同時に動作させることができるように、投射制御装置125を単独で作動させることができる。ある特定の実施形態では、加湿器100は、水タンク210が下部105から取り外された場合に、光源305が自動で停止されて、投射が中止する構成とすることができる。
【0018】
当業者にとっては当然のことであるが、加湿器100の構造、及び、動作に著しい影響を与えることなく、加湿器100の好適な実施形態について上述したさまざまな構成は、好適な実施形態の間で適応、及び、入れ替えられても良い。当業者にとっては容易に認識できることであるが、本発明は多くの用途があり、前述した実施形態、及び、実施例に制限されることなく、多くの方法で実施することができる。上述した、異なる実施形態の構成のいくつでも、1つの実施形態に統合することができ、ある特定の構成要素の位置を変更することができ、また、上述した全ての構成要素よりも少ない、或いは、多い構成要素を備えた別の実施形態も可能である。機能性もまた、全部または一部において、知られている、或いは、知られることになるやり方で、複数の構成要素間で割り振られても良い。
【0019】
本発明の広義の発明概念から逸脱することなく、上述の実施形態に対して変更を加えることができることは、当業者にとっては当然のことである。よって、本発明は、記述した特定の実施形態に限定されるものではなく、下記の請求項に記載されているように、本発明の趣旨及び範囲内での改良を含むことを目的としている。本発明の基本的特徴が適用された代表的実施形態に関して示し説明したが、開示された発明の構造及び細部の省略、置換、変更が、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者により行われても良い。さらに、当業者には当たり前であるが、本発明の範囲は、従来既知の、及び、将来開発される上述の構成要素への変形、及び、変更を含む。