特許第6069213号(P6069213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069213
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】積層窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20170123BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20170123BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   C03C27/12 C
   C03C27/12 E
   B32B17/10
   B60J1/00 H
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-541426(P2013-541426)
(86)(22)【出願日】2011年12月1日
(65)【公表番号】特表2014-500816(P2014-500816A)
(43)【公表日】2014年1月16日
(86)【国際出願番号】GB2011052373
(87)【国際公開番号】WO2012073030
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年12月1日
(31)【優先権主張番号】1020311.5
(32)【優先日】2010年12月1日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100136858
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 浩
(72)【発明者】
【氏名】ペーター パウルス
(72)【発明者】
【氏名】シャーリー アン サージェント
(72)【発明者】
【氏名】マイケル デイビッド バグ
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−173346(JP,A)
【文献】 特開昭52−121016(JP,A)
【文献】 特開昭54−100415(JP,A)
【文献】 特開2002−326847(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/055108(WO,A1)
【文献】 特開平02−031925(JP,A)
【文献】 特表2001−521480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00−29/00
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.952.25mmの範囲内の厚さを有する厚いフロートガラスプライと、
0.38〜1.1mmの厚さを有するポリマー中間層と、
0.91.15mmの範囲内の厚さを有する薄いフロートガラスプライと
を具える積層窓ガラスであって、該窓ガラスの相対光強度が、積層前の前記厚いガラスプライの単一ガラスおよび積層前の前記薄いガラスプライの単一ガラスの反射光強度の平均値から予測されるであろうものよりも少なくとも10%小さく、前記窓ガラスが、10以上のワイブル係数を備えることを特徴とする、積層窓ガラス。
【請求項2】
前記厚いガラスプライが、2.0〜2.2mmの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の積層窓ガラス。
【請求項3】
前記薄いガラスプライが、0.9〜1.1mmの範囲内の厚さを有する、請求項1または請求項2に記載の積層窓ガラス。
【請求項4】
前記ポリマー中間層が、ポリビニルブチラール(PVB)、エチルビニルアセテート(EVA)、または熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む、前記請求項のいずれか1項に記載の積層窓ガラス。
【請求項5】
車両窓ガラスとして取り付けられる、前記請求項のいずれかに記載の積層窓ガラス。
【請求項6】
前記薄いプライが、取り付けられる際に車両の内側に位置する、請求項に記載の積層窓ガラス。
【請求項7】
前記積層窓ガラスの耐石衝撃性が、2.1mm厚のガラスプライを有する対称積層体よりも良好である、前記請求項のいずれかに記載の積層窓ガラス。
【請求項8】
1.952.25mmの範囲内の厚さを有する厚いフロートガラスプライを準備する工程と、
0.38〜1.1mmの厚さを有するポリマー中間層を準備する工程と、
0.91.15mmの範囲内の厚さを有する薄いフロートガラスプライを準備する工程と、
該厚いプライ、中間層および薄いプライを、8バール〜15バールの範囲内の加圧下および110℃〜150℃の範囲内の温度で積層する工程と
を具える、ガラスの積層方法。
【請求項9】
1.952.25mmの範囲内の厚さを有する厚いフロートガラスプライおよび0.38〜1.1mmの厚さを有するポリマー中間層をさらに具える積層窓ガラスにおける、0.91.15mmの範囲内の厚さを有するフロート薄いガラスプライの使用であって、
i)積層前の前記厚いガラスプライの単一ガラスおよび積層前の前記薄いガラスプライの単一ガラスの反射光強度の平均値から予測されるであろうものよりも少なくとも10%小さな窓ガラスの相対光強度、および、
ii)低エネルギーダーツ衝撃強度に関して、前記厚いガラスプライおよび前記薄いガラスプライの両方の厚さが2.1mmである窓ガラスの構成でもたらされるものよりも大きなワイブル係数
をもたらすための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層窓ガラス、積層窓ガラスの製造プロセス、および積層窓ガラスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
車両は、2つのガラス板およびそれらの間のポリマー中間層を具える積層窓ガラスを有することが多い。自動車のフロントガラスは、とくに、積層窓ガラスである。
【0003】
自動車の製造業者は、車両窓ガラスの重量を低減すること等により、車両の重量を低減することを望んでいる。窓ガラス重量の低減は、種々の構成、例えば非積層の単一ガラスプライ、単一ガラスプライおよびポリマー層(二重層構成)の使用により、またはガラス以外の材料(例えばポリカーボネート等のプラスチック)を用いることにより達成することができる。しかしながら、これらの代替構成の多くは、従来の積層窓ガラスと比較して不利点、例えば不十分な耐擦傷性、耐衝撃性(とくに耐石衝撃性)または不十分な光学品質を有する。代替構成は、自動車窓ガラスの要求特性(耐衝撃性および光学品質を含む)が継続的に向上しているため、より一層問題となる。
【0004】
従来、ガラスプライの厚さが異なる非対称積層体が構成されてきた。
【0005】
例えば、米国特許第2010/0214194号は、異なる厚さのガラスプライを有するフロントガラスにおけるヘッドアップディスプレイについて開示している。
【0006】
英国特許第1580366(B)号は、衝突時の怪我の程度を低減するための、フロントガラスが割れたときに形成されるガラスの破片をできるだけ小さくできるようにした厚い外プライおよび薄い内プライについて開示している。この種の構成は主に、車両シートベルトを備え、着用されなければならないという法定事項により取って代わられた。英国特許第1339980(B)号も、同様の問題に関する。
【0007】
国際公開第2010/0036219号および国際公開第2010/102282号は、イオノマーポリマー中間層を有する厚い/薄いガラスプライに関する。
【0008】
独国特許第102006042538号は、厚い/薄いガラスプライを有し、薄いプライが機能化表面を有する積層体について開示している。
【0009】
国際公開第2010/121986号は、1.45mm〜1.8mm厚のガラス外ペインおよび1.0〜1.4mm厚の内ペインを含む透明積層ガラスについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第2010/0214194号
【特許文献2】英国特許第1580366(B)号
【特許文献3】英国特許第1339980(B)号
【特許文献4】国際公開第2010/0036219号
【特許文献5】国際公開第2010/102282号
【特許文献6】独国特許第102006042538号
【特許文献7】国際公開第2010/121986号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ガラスプライの一方または双方の厚さを低減することは積層体に許容できない光歪みをもたらすだろうと常に考えられ、これは、上述した従来構成にも当てはまった。これは、フロートガラスが、フロート法のドロー方向に沿って、縦波であるフロートドローライン(うねり)をガラス上に発現するためである。これらの波は、ガラスプライが積層されると可視化する。ドローラインの数および程度は、製造業者および製造ラインによって決まるが、ドロー速度およびガラス厚によっても決まる:速度が低いほど歪みは少なく、ガラスが厚いほど歪みは少ない、ということが知られている。一般に、同一のフロートラインで製造される同一のガラス組成物において、ガラスプライの厚さを2.1mmから1.0mmまで低減すると、平均反射光歪みは約50〜100%増加する。
【0012】
さらに、透過光歪み(すなわち車両の運転者が見える歪み)は、2つのプライの反射歪みの平均を測定することにより予測し得ることが知られている。光学性能は、単一プライの平均反射歪みと相関する。
【0013】
今の歪みの仕様(より厳しくなっている)によれば、厚さが1.6mm未満の薄いプライは、その光歪みのため、積層窓ガラスには有用ではないと一般的に考えられている。
【0014】
また、より薄いガラスの構成は、衝撃によって、(例えば長いひび割れが生じることにより)交換を要する程度まで貫通または損傷する可能性がより高いので、より安全ではない恐れがあるとも考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、本出願の発明者らは、積層窓ガラスにおけるガラスプライの厚さを注意深く選択することにより、薄い(および従って軽い)ガラスプライを用いたとしても、光歪みを許容可能なレベルまで低減することができることを見出した。さらに、驚くべきことに、かかる積層体は、より厚い構成と少なくとも同程度に(場合によってはこれよりさらに)耐衝撃性があることが見出された。
【0016】
本発明は従って、1.9〜2.4mmの範囲内の厚さを有する厚いガラスプライと、ポリマー中間層と、0.8〜1.4mmの範囲内の厚さを有する薄いガラスプライとを具える積層窓ガラスであって、該窓ガラスの相対光強度(すなわち歪み)が、積層前のプライの単一ガラス反射光強度(すなわち歪み)から予測されるであろうものよりも小さいことを特徴とする、積層窓ガラスを提供する。
【0017】
本発明の第2態様においては、積層窓ガラスの光歪みの低減方法であって、1.9〜2.4mmの範囲内の厚さを有する厚いガラスプライを準備する工程と、ポリマー中間層を準備する工程と、0.8〜1.4mmの範囲内の厚さを有する薄いガラスプライを準備する工程と、該厚いガラスプライ、ポリマー中間層および薄いガラスプライをともに積層する工程と含み、これにより、窓ガラスの相対光強度(すなわち歪み)が、積層前のプライの単一ガラス反射光強度(すなわち歪み)から予測されるであろうものよりも小さくなる、方法を提供する。
【0018】
好適には、積層フロントガラスは、積層前のプライの単一ガラス反射強度から予測されるものよりも少なくとも10%小さな相対光強度を有する。より好適には、積層フロントガラスは、積層前のプライの単一ガラス反射強度から予測されるものよりも少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、もっとも好適には少なくとも40%小さな相対光強度を有する。
【0019】
好適には、厚いガラスプライは、1.9〜2.3mm、好適には1.95mm〜2.25mm、2.0〜2.2mm、2.05mm〜2.15mmの範囲内、もっとも好適には約2.1mmの厚さを有する。
【0020】
好適には、薄いガラスプライは、0.9〜1.35mm、より好適には0.9〜1.3mm、0.9〜1.25mm又は0.9〜1.2mm、もっとも好適には0.9〜1.15mm、0.9〜1.1mm又は0.95〜1.05mmの範囲内の厚さを有する。薄いガラスプライの厚さが約1.0mmである場合に、もっとも好適である。
【0021】
中間層材料のプライは、柔軟性のあるプラスチック材料とすることができ、透明または色つきであってもよい。適切な中間層材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリビニルアセタール、好適にはポリビニルブチラール(PVB)等が挙げられ、積層のためのもっとも一般的な選択肢はPVBである。中間層材料のプライは、通常は0.38〜1.1mm、もっとも一般的には0.76mmの厚さで提供される。
【0022】
中間層は、許容可能な吸音性能(これは、本発明による積層体の低厚の観点でとくに有利となり得る)をもたらすよう、変性PVB等の吸音性の中間層としてもよい。
【0023】
一般に、ポリマー中間層は、ポリビニルブチラール(PVB)、エチルビニルアセテート(EVA)、または熱可塑性ポリウレタン(TPu)を含む。
【0024】
積層体は、赤外線太陽光制御(ガラス上のコーティング、または積層体に組み込まれたコーティングされたPET)を有してもよく、太陽光吸収中間層を用いてもよく、および/または加熱エレメント(ワイヤまたはコーティング)を含んでもよい。
【0025】
ガラスプライの一方または双方のガラスは、透明または色つきであってもよい。
【0026】
本発明による積層体から形成したフロントガラスは、以下の部品:アンテナ、レインセンサ、またはカメラシステム、の1つ以上を有してもよい。
【0027】
第3態様において、本発明は、ガラスの積層方法であって、1.9〜2.4mmの範囲内の厚さを有する厚いガラスプライを準備する工程と、ポリマー中間層を準備する工程と、0.8〜1.4mmの範囲内の厚さを有する薄いガラスプライを準備する工程と、該厚いプライ、中間層および薄いプライを、8〜15バールの範囲内の加圧下および110℃〜150℃の範囲内の温度で積層する工程とを具える、方法を提供する。
【0028】
第4態様において、本発明は、1.9〜2.4mmの範囲内の厚さを有する厚いガラスプライおよびポリマー中間層をさらに具える積層窓ガラスにおける、0.8〜1.4mmの範囲内の厚さを有する薄いガラスプライの使用であって、積層前のプライの単一ガラス反射光強度(すなわち歪み)から予測されるであろうものよりも小さな窓ガラスの相対光強度(すなわち歪み)をもたらすための、使用を提供する。
【0029】
積層フロントガラスの耐石衝撃性は、好適には、2.1mm厚のガラスプライを有する対称積層体よりも良好である。
【0030】
通常、積層窓ガラスのワイブル係数(以下の実施例に関して記載されるように測定される)は、10以上である。
【0031】
ワイブル係数は、破断強度データの散乱度の尺度である。ワイブル係数が低い場合、散乱は大きく;ワイブル係数が高い場合、データにおける散乱は小さく、その破壊挙動においてより予測可能な材料をもたらす。このように、ワイブル係数は、材料の有利な特性の尺度である。
【0032】
本発明の実施形態を、以下の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】フロートガラスの単一プライ上の、ならびに2つのフロートガラスプライおよびポリマー中間層を具える積層窓ガラスにおける、フロートドローラインである。
図2】様々な構成の多数の積層体の透過における、積層体の平均反射歪み(積層体における双方のガラスについて平均した)と光強度(歪みに関する)との間の関係を示す相関グラフである。
図3】5mmより大きいひび割れについて、750mmのダーツ落下高さを用いて試験したときの、2.1/2.1mmおよび2.1/1.0mmの構成のフロントガラスにおける耐ダーツ衝撃性データを示す棒グラフである。
図4】5mmより大きいひび割れについて、1150mmのダーツ落下高さを用いて試験したときの、2.1/2.1mmおよび2.1/1.0mmの構成のフロントガラスにおける耐ダーツ衝撃性データを示す棒グラフである。
図5】10mmより大きいひび割れについて、750mmのダーツ落下高さを用いて試験したときの、2.1/2.1mmおよび2.1/1.0mmの構成のフロントガラスにおける耐ダーツ衝撃性データを示す棒グラフである。
図6】10mmより大きいひび割れについて、1150mmのダーツ落下高さを用いて試験したときの、2.1/2.1mmおよび2.1/1.0mmの構成のフロントガラスにおける耐ダーツ衝撃性データを示す棒グラフである。
図7】2.1/2.1mmおよび2.1/1.0mmの構成のフロントガラスにおける耐石衝撃性データを示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、ガラスの表面からの反射の歪みに対する(フロートガラスの製造プロセスからもたらされる)うねりの効果を模式的に示す。図1a)において、単一シートのフロートガラス5はうねり6を発現し、反射歪み7をもたらす。うねり(および、ひいては歪み)の程度は、フロートラインの速度を含む製造パラメータによって決まる。かかるうねりの程度は、より薄いガラスで顕著に増加する傾向がある。図1b)は、積層した場合に、ポリマー中間層9を間に有する双方の単一ガラスシート5の個々のうねりが、Tにより示される透過における積層窓ガラスの光強度(すなわち透過における歪み)に寄与することを示す。
【0035】
図2は、相対単一ガラス反射歪み平均を関数とした、積層体の相対光強度(すなわち歪み)のグラフ(すなわち、まず積層体の各単一ガラスの反射光歪みのすべての絶対値の平均を測定した後、積層体の各単一ガラスの両方の値を平均する)であり、積層体においては、概して積層体の反射歪み平均と光強度との間に直接的な関係があることを示す。かかるグラフにおいて、凡例に挙げた種々の構成は、ミリメートルで表される。疑念を回避するため、図2における両軸の単位は「%/100」であり、すなわち、例えば、各軸上の1.2の値は120%と等しい。最良適合のラインは、本発明による積層体(2.1/1.0mm)のデータ点を取り入れていない。標準とされる2.1/2.1積層体の値(以下参照)を、100%、及び標準の割合として割り出したグラフ上のかかる構成の値とみなした。グラフ上の他の2.1/2.1積層体の多くの値(概して80%/80%付近に集まる)は、これらの積層体が種々の条件下で種々のフロートライン上で製造したガラスシートで作られたためである。
【0036】
図2では、本発明による積層体(「2.1/1.0」)において、積層体の光強度(すなわち、歪み)2が、単一ガラスの反射歪み平均から予測されるであろうものよりも一層小さいことが明らかである。実際、1.0mm厚のガラスは、本発明に先立って、積層体の光強度に対して対応する効果を有すると考えられるであろう顕著な反射歪みを有する。
【0037】
また、以下の手順に従って積層窓ガラスを調製した以下の例によっても、本発明を説明する。
【0038】
窓ガラスを形成するのに用いる湾曲ガラスプライの形状にほぼ対応する中間層材料のブランクを、第1ガラスプライ上に置いた。第2ガラスプライを中間層材料の上に置き、第1ガラスプライと揃えて、積層アセンブリを形成した。余分な中間層材料を積層アセンブリの縁の周りから切り取り、脱気のため95℃の真空バッグによってプレニップした。脱気後、積層アセンブリを、145℃および10バールの圧力のオートクレーブに、完全に結合するまで置いた。
【0039】
中間層材料は0.76mm厚のポリビニルブチラール(PVB)であった。
【0040】
以下の手順を用い、積層前の単一厚ガラスプライの、および積層ガラス構成品の光歪みを測定した。
【0041】
単一ガラスの歪みを、反射光強度を分析することにより測定した。これは、所定の距離での反射光ビームの歪みの差を分析することにより行った。積層ガラスの歪みの測定には、透過における光強度を用いた。米国特許第2007/0036464(A)号に記載されるように、点光源を用いてガラスを照射し、投影された影像を分析した。光歪みを、標準として用いる(100%の反射歪みと考えられる)2.1/2.1ガラスプライと比較した。
【0042】
各種厚さのガラスプライを有する各種窓ガラスの光学性能の比較の結果を、表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
表1(a.i)および1(a.ii)は、所定の厚さの単一ガラスにおける平均の反射歪み値を示す。表1(a.i)と1(a.ii)との間の違いは、異なるセットのサンプルを用いて1mm厚のガラスにおける値を計算したことである。
【0045】
表1(b.i)および1(b.ii)の第2列は、各構成品の内ガラスおよび外ガラスにおける反射歪みの平均を示す。表1(b.i)の第2列の値は、表1(a.i)の値から計算される一方、表1(b.ii)の第2列の値は、表1(a.ii)の値から計算される。
【0046】
表1(a.i)および1(a.ii)から明らかなように、反射歪みはガラスの厚さと逆相関する。それにもかかわらず、表1(b.i)および1(b.ii)に見られるように、本発明による2.1/1.0積層体は、光強度が顕著に低減し、これは歪みが顕著に低減したことを意味する。
【0047】
ANSIZ26標準衝撃試験
また、積層窓ガラスを、国際規格ANSIZ26に従ったフロントガラス衝撃試験に供した。6つの2.1/1.0積層体の試験サンプルのすべてが、試験に合格した。
【0048】
石衝撃試験
さらに、本発明の構成品2.1/1.0および標準の2.1/2.1構成品の両方に関し、石衝撃試験を行った。その方法は、質量2グラム±10%の小さな花こう岩片を用い、フロントガラスが車両にはめられる角度(垂直から約60°)とほぼ同一の角度で取り付けられた試験フロントガラス上に、64kphで投射するものであった。各構成における6つのフロントガラスを、フロントガラス当たり30の衝撃を用いて試験した。衝撃に関連するひび割れを記録し、ひび割れ率(ひび割れ損傷をもたらした衝撃の割合)を算出した。本発明による2.1/1.0の構成品が、標準の2.1/2.1の構成品よりも、この試験におけるひび割れ率がかなり低いことを示すことを明らかに示す結果として、図7を参照されたい。
【0049】
耐ダーツ衝撃性方法を用い、さらなる衝撃試験を行った。その試験は、円錐状先端を有するスチール製のダーツを用いてガラス表面に垂直の軌道で投射する、ガラスに衝撃を与える工程を含むものであった。衝撃時のダーツの速度は調整されて、速度または等価落下高さのいずれかにより表すことができる。さまざまな積層の構成品を試験した。ダーツは、約3.2gの質量であった。ダーツ試験方法は、産業内で用いられる技術に基づくが、個別標準には従わない。ダーツがガラスに衝撃を与える速度は、ダーツの落下高さを変えることにより変わる。この方法を用い、2つの異なるダーツ衝撃試験を行った。
【0050】
小さくて平坦なサンプルに対するダーツ衝撃試験
ガラス−PVB中間層−ガラスのサンプルを(上述のとおり)製造した。次いで、これらのサンプルの(非対称構成における)厚いプライ上に、衝撃を与えた。サンプルには、700および1150mmの落下高さに相当する2つの速度で衝撃を与えた。
【0051】
700mmの落下高さでの衝撃では、ガラス表面上に小さな傷をもたらし、次いでこれを、標準ASTM C1499に基づく標準的な曲げ強度試験法(リング−オン−リング)を用い、(衝撃事象から最小限の遅れで)試験した。
【0052】
標準ワイブル統計を用いてデータ分析を行い、2.1mm/1.0mmの構成品におけるワイブル係数が、標準の2.1mm/2.1mmの構成品に比べ、統計的に(95%信頼限界に基づき)著しく大きいことが示された。結果については表2を参照されたい。
【0053】
1150mmに相当する速度で衝撃を与えた場合、高い衝撃エネルギーは、特定の割合のサンプルにおいて(低い落下高さと同様の)小さな傷を、及び特定の割合において、衝撃時の長いひび割れ(長いひび割れとは、一般的に5mmより長いものを指す)の形成をもたらした。これらの長いひび割れの数を各構成について記録し、結果を表3に示す。
【0054】
この種類の破損は、フロントガラスの修理を要するので、消費者および自動車製造業者の両方にとってとくに許容できない。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
フロントガラスのダーツ衝撃試験
同一モデル(形状および設計)の積層フロントガラスに衝撃を与えた。各落下高さ(750mmおよび1150mm)で、228の衝撃(108を周辺領域に、および120を中央本体領域に)を行った。中央本体領域とは、幅100mmの周辺バンドを除くフロントガラス上のいずれかの場所を指す。中央本体の衝撃は、領域全体にわたり均一に間隔をあけるべきである。周辺領域の衝撃は、ガラス縁部から内側へ3点の距離での衝撃部位を確保するよう、テンプレートを用いて行った。距離は内側へ7mm、14mmおよび21mmである。合計108の周辺衝撃における3分の1(36の衝撃)を、これらの内側への各距離で行った。
【0058】
図3〜6は、5mmまたは10mmよりも大きなひび割れを試験し、及び750mmまたは1150mmのダーツ落下高さを用いたときの、2.1/2.1mmおよび2.1/1.0mmの構成のフロントガラスの耐ダーツ衝撃性のデータを示す。各例において、y軸は、特定の時間で5mmまたは10mmのいずれかよりも大きなひび割れを示した衝撃部位の割合を表す。グラフの棒は、フロントガラスを評価した特定の時間に区切られる。かかる特定の時間は、「A」(衝撃直後)、「B」(衝撃の2時間後)または「C」(衝撃の24時間後)と示される。
【0059】
図3〜6のそれぞれから、本発明の2.1/1.0の構成が、標準の2.1/2.1の構成よりも一層優れたダーツ衝撃性能を示すことが示される。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7