特許第6069248号(P6069248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リープヘル−ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハーの特許一覧

特許6069248移動式クレーンおよびそのソフトウェアをアップデートする方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069248
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】移動式クレーンおよびそのソフトウェアをアップデートする方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 23/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   B66C23/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-61027(P2014-61027)
(22)【出願日】2014年3月25日
(62)【分割の表示】特願2008-70918(P2008-70918)の分割
【原出願日】2008年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-139104(P2014-139104A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年3月25日
【審判番号】不服2016-5107(P2016-5107/J1)
【審判請求日】2016年4月7日
(31)【優先権主張番号】102007014114.0
(32)【優先日】2007年3月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル−ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr−Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィン モーラス
【合議体】
【審判長】 伊藤 元人
【審判官】 三島木 英宏
【審判官】 槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−268906(JP,A)
【文献】 特開2003−34955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 19/00 〜 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソフトウェアアップデート信号をソフトウェア管理ユニットへ無線送信し、応答信号を無線受信するための手段、または、ソフトウェア管理ユニットにおける新しい使用可能なソフトウェアがあるかを無線検査するための手段と、
前記応答信号または前記無線検査の結果を評価するための評価手段と、
ソフトウェアを無線受信するための受信手段とを備えた移動式クレーンであって、
前記ソフトウェアアップデート信号の前記無線送信、または、前記ソフトウェア管理ユニットの前記無線検査が、所定の時間間隔または所定の時点で行なわれるように設計されており、
前記時間間隔または前記時点において前記無線送信、または、前記無線検査がいつ観察されなかったかを検出できる検出手段と、
前記移動式クレーンの操作を制限または停止するための手段と、
前記応答信号を無線受信するための手段によって受信された前記ソフトウェアをクレーン操縦者の介入なしで独自にロードし、インストールするための手段とを備え、
前記移動式クレーンの操作を制限または停止するための前記手段は、前記検出手段と通信しており、または、前記検出手段に接続することができ、前記検出手段が前記時間間隔または前記時点において前記無線送信、または、前記無線検査が観察されなかったことを確定すると、予告または何らかの事前情報が出力された後、特定の時間をあけて前記移動式クレーンの操作を制限または停止できるように設計されている移動式クレーン。
【請求項2】
請求項1に記載の移動式クレーンのソフトウェアをアップデートする方法において、
前記移動式クレーンが、アップデート信号をソフトウェア管理ユニットへ送信し、前記ソフトウェア管理ユニットから応答信号を受信する、または、
前記移動式クレーンが、ソフトウェア管理ユニットにおける新しい使用可能なソフトウェアがあるかの無線検査を行ない、その後、前記応答信号または前記無線検査に応じてソフトウェアを無線方式で受信する
ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項に記載の方法において、
前記時間間隔または前記時点を前記移動式クレーンの製造者または操縦者によって変更する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式クレーンおよびそのソフトウェアをアップデートする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代のクレーンにおいて、ハードウエアおよびソフトウェアの形式での電子的な制御は重要な役割を果たしており、クレーンを効率的に使用するためにますます重要になってきている。移動式クレーンの操縦者は、クレーンが理想的な使用要件の下で作動できることと、問題の発生時に迅速且つ効率的に援助が行なわれてクレーンの全ての休止時間を最低限に減らせることとの双方を期待している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術において、データを送信できる、ファクシミリを送ることができる、または、電話呼び出しを行なえる、GSMインターフェースなどの無線接続を移動式クレーンに設けることは既に知られている。本発明の基礎をなす目的は、無線データ送信のための手段を利用して移動式クレーンを特に有利な方法で使用できるように、移動式クレーンをさらに改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一観点によれば、移動式クレーンは、クレーンの位置を識別するデータを無線受信するための手段、または、前記データを確定するための手段と、前記手段と通信している、または、前記手段に接続できる送信手段とを備え、前記送信手段は、クレーンの位置を識別するデータをクレーンから受信器へ無線方式で送信するように設計されている。「クレーンの位置を識別するデータ」という文句は、幅広く解釈でき、クレーンの位置を本質的に表すあらゆる種類のデータ(例えば、座標)、および、クレーンの位置を間接的に表しており、クレーンの位置を確定する基礎となるデータ(例えば、衛星が受信するGPS信号)をも含む。
【0005】
本発明のこの形態に係るクレーンは、その位置を表すデータをユニット、例えばクレーンからは空間的に離れたセンターへ無線方式で送信するので、クレーンの位置をいつでも突き止めることができる。このことを、クレーンの移動の管理と、盗難に対する効率的な防護とのために使用することができる。
【0006】
クレーンの位置する場所を確定できる手段は、例えばGPS受信器により形成されていてもよい。当然、位置を確定するための他の方法も考えられる。例えば、クレーンが、携帯電話ネットワークの1つ以上の無線セルの識別子を受信ユニット、例えばセンターへ送信し、その後、この識別子に基づいて、クレーンの現在位置しているエリアが確定されてもよい。
【0007】
本発明の他の形態において、クレーンは、クレーンの位置を識別するデータを格納可能な、または、格納する格納部を備えていてもよい。携帯電話ネットワークのネットワークサービスエリア外であるなどの理由でデータをある期間中に無線送信できないならば、接続があれば送信されたであろうクレーンの位置に関するデータを、少なくとも再び無線通信できるようになるまでの間、クレーン内の格納部に一時蓄積することができる。
【0008】
したがって、本発明の他の形態によれば、クレーンは、データを無線送信するための接続品質または送信経路の存在を確定するための手段と、接続品質が限界値を下回る場合、または、接続が全く存在しなければ、クレーンの位置を識別するデータの格納部への格納を促し、接続品質が限界値を上回る場合、または、接続が再び存在すれば、格納されたデータの送信を促すように設計されているコントローラーとを備えていてもよい。これにより、無線送信が一時的にできなかったとしてもクレーンの位置データは全て存在している、という利点が生じる。
【0009】
さらに、本発明は、ソフトウェアアップデート信号をソフトウェア管理ユニットへ無線送信し、応答信号を無線受信するための手段、または、ソフトウェア管理ユニットを無線検査するための手段と、応答信号または検査の結果を評価するための評価手段と、ソフトウェアを無線受信するための受信手段とを備える移動式クレーンに関する。上述のように、ソフトウェアは、効率的なクレーン操作の観点から高い優先度を有している。本発明のこの形態では、最新の、それゆえ最適なソフトウェアをクレーンにおいて常に使用できる。この目的のために、クレーンは、問い合わせ信号をソフトウェア管理ユニット、例えばセントラルサーバーへ送り、次に、ソフトウェア管理ユニットが、ダウンロード可能な新しいソフトウェアの存在を知らせる応答信号をクレーンへ送信してもよい。問い合わせ信号は、例えば、各クレーンに対してどのソフトウェアが適しているか、または、クレーンに最新のソフトウェアが備えられているかどうか、または、アップデートが必要かどうかをソフトウェア管理ユニット側で検査できるように、クレーンを識別するデータ、または、クレーンにおける最新のソフトウェアを識別するデータを含んでいてもよい。ソフトウェアアップデートが必要かどうかについて、クレーンが、ソフトウェア管理ユニットにログインする、または、ソフトウェア管理ユニットにおいて検査することも考えられる。
【0010】
アップデートが必要であれば、ソフトウェア管理ユニットによって、または、他の適切な場所から、ソフトウェアがクレーンへ無線方式で送信される。
【0011】
クレーンは、さらに、受信ユニットによって受信されたソフトウェアを独自にロードし、インストールするための手段をさらに備えていることが考えられる。本発明の好ましい形態では、クレーン操縦者の補助は不要である。むしろ、クレーンがソフトウェアアップデートを独自に行なうことが好ましい。
【0012】
本発明の他の形態において、クレーンは、ソフトウェアアップデート信号の無線送信または無線検査を、所定の時間間隔または所定の時点で行なうように設計されていてもよい。したがって、例えば、時間間隔はクレーンにおいて規定されていてもよい。クレーンは、定義された場所へこの間隔に基づいて自動的に連絡を入れ、新しいまたは使用可能なソフトウェアがあるか検査する。これに関連して、クレーンは、時間間隔または時点がいつ観察されていなかったかを検出できる検出手段を備えていてもよい。
【0013】
本発明の他の形態によれば、クレーンは、クレーン操作を制限または停止するための手段を備えていてもよい。なお、クレーン操作を制限または停止するための手段は、検出手段と通信している、または、検出手段に接続することができる。また、クレーン操作を制限または停止するための手段は、時間間隔または時点が観察されていなかったということが検出手段によって判明した場合に、クレーン操作を停止または制限するように設計されている。クレーンがソフトウェアアップデートのために連絡を入れなければ、例えば、クレーンが不適当に使用されていると想定され、その結果、クレーンは制限付でしか操作できなくなるか、または、クレーンが停止される可能性がある。
【0014】
本発明は、さらに、クレーンの整備および/または問題に関するデータを、その無線回復のために、無線送信または提供するための送信手段と、無線方式で送信されたデータに基づいた診断データまたは保守データを無線受信するための手段とを備えた移動式クレーンに関する。
【0015】
例えば、クレーンに問題のあるときに保守センターへの無線接続が確立される、ということが考えられる。1つ以上の診断ルーチンが適格者によって保守センターで開始され、欠陥が認識され、必要であれば現場で顧客と一緒に、作動能力を回復できる。本発明のこの形態は、クレーン問題の場合だけに関するものではなく、保守の場合にも関する。例えば、クレーン操作データは、クレーン側が提供または送信し、保守間隔は、これらデータに基づいて、保守事務所において確定され、クレーンへ送られるということが考えられる。
【0016】
したがって、顧客にとって、クレーンの有用性は高まり、比較的長いクレーン休止時間の間接コストが回避される。
【0017】
本発明の他の形態において、移動式クレーンは、クレーン、クレーンの一部一部を光学的に検出するため、または、クレーンの作動エリアを光学的に検出するための手段と、光学的な検出に基づくデータを所定のユニットへ無線方式で送信できる送信手段とを備えていてもよい。例えば、このようにして、クレーンから空間的に離れたセンターにおいて作動を実況観察でき、必要であればセンターから介入することができる。
【0018】
本発明の他の形態において、クレーンは、クレーン操作データを検出し、格納するための「ブラックボックス」として構成された手段と、格納されたクレーン操作データ(ロガーデータ)を所定の場所へ無線方式で送信できる送信手段とを備えていてもよい。このようにして、ロガーデータを、例えば、中央ユニットへ無線で送信できる。これらデータを、例えば、分析、または保守のために使用できる、または、何らかの後の使用のために中央ユニットに格納することができる。
【0019】
本発明の他の形態において、移動式クレーンは、1つ以上の信号を無線送信するための送信手段と、送信手段によって1つ以上の信号が出力されたかどうかをテストできるテスト手段とを備え、テスト手段は、1つ以上の信号が出力されなかった、または、所定時間に出力されなかった、ということがテスト手段によって判明した場合、クレーン操作が制限または停止されるように構成されていてもよい。比較的長い期間に亘って、または、所定の時点で、信号がクレーンから出力されない、および/または、中央場所で受信されないならば、クレーンを停止する、または、クレーン操作を制限する決定を例えばこの基準で行なえる。
【0020】
予告/何らかの事前情報が、所定の時点もしくは期間の終わり、および/または、クレーンの停止もしくはクレーン操作の制限に先行し得ることが考えられる。したがって、クレーンが、指定された信号を出力しなかった、または、期限内に出力しなかったとすれば、所定の時点または期間の終了と、クレーン操作の制限またはクレーンの停止または類似の措置との間において、予告/何らかの事前情報を出力することができる、および/または、特定の期間をあけることができる。したがって、クレーン操作が制限される、または、クレーンが停止される時点は、異なる増大段階を有する期間の最終時点を表している。
【0021】
所定の時点または時間間隔の終了と、クレーン操作の制限または停止またはその他の措置との間における、指定された所定の時点もしくは時間間隔の終了、および/または、期間は、設定可能であることが特に有利である。例えば、クレーンは、特定の可変時間間隔または特定の可変時点で、指定された信号を出力する必要のある可能性がある。この値は、調整可能である、すなわち、例えば、クレーンの製造者または操縦者によって変更可能である、ということが考えられる。したがって、例えばクレーンの停止までの期間が比較的短く設定されていることもある。このことは、盗難の比較的多いことの分かっている地域でクレーンが操作されているならば、クレーンの操縦者にとって利点である。
【0022】
このように、否定テストと、クレーン操作の停止または制限との間における、検査間隔もしくは検査時点、および/または、期間を変更することができる。
【0023】
本発明は、さらに、請求項1または2に記載のクレーンの位置確認方法であって、クレーンの位置をクレーンによって送信されるデータに基づいて検出または確定する方法に関する。これに関連して、クレーン自体が、その位置を確定し、無線方式でこれらデータを転送する、または、クレーンが、位置を確定する基礎となるデータを無線方式で送信してもよい。
【0024】
例えば、クレーンが、GPS信号を受信するGPSアンテナを備え、クレーンが、受信したデータに基づく位置の確定を行ない、無線方式で受信器へ送信するということが考えられる。
【0025】
移動式クレーンにソフトウェア、特にソフトウェアアップデートを備えるための方法であって、クレーンは、アップデート信号をソフトウェア管理ユニットへ送信し、ソフトウェア管理ユニットから応答信号を受信する、または、クレーンは、ソフトウェア管理ユニットの無線検査を行ない、その後、応答信号または検査に応じてソフトウェアを無線方式で受信する方法に関する。ソフトウェアアップデートが必要ないことが分かれば、ソフトウェアアップデートのダウンロードは当然されないままでよい。しかしながら、クレーンに最新ソフトウェアバージョンがまだ備えられていないことが分かれば、最新ソフトウェアバージョンが無線方式でクレーンへ送信される。クレーンは、無線方式で受信したソフトウェアを、独自にロードしインストールするようになっていることが好ましい。
【0026】
移動式クレーンに対して診断を実施するため、および/または、保守情報を提供するための方法であって、クレーンが、クレーンの整備および/または問題に関するデータを、診断ユニットまたは保守ユニットへ無線方式で送信し、および/または、前記データを診断ユニットまたは保守ユニットによる無線回復のために提供し、その後、無線方式で送信されたデータに応じて確定された診断データまたは保守データを受信する方法に関する。診断データまたは保守データは、クレーンによって送信されたデータに基づいてセンターにおいて確定され、その後、クレーンへ無線方式で送信されてもよい。例えば、クレーンによって受信され、問題を識別するデータは、クレーンによって、センターへ無線方式で送られ、診断を確定するためにセンターにおいて評価される、ということが考えられる。
【0027】
クレーンの操作方法であって、クレーンを操作するために、光学的な検出に基づいている、クレーンによって送信されたデータ、または、クレーン操作データを使用する、さらに処理する、または、格納する方法に関する。
【0028】
クレーンの操作方法であって、前記クレーン、または、中央確定ユニット、すなわちクレーンに設けられていない確定ユニットが、クレーンが無線信号をそもそも出力したかのかどうか、または、クレーンが期限に無線信号を出力したかどうかを検査する方法に関する。出力していなければ、クレーンが不適当に使用されていると想定されるので、クレーン操作に影響が及ぶように、例えばクレーンが停止されるようになっていてもよい。上述の通り、クレーン操作が制限または停止されるまでの期間は可変であり、ユーザーまたは製造者によって変更できるようになっていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のさらなる詳細および利点を、以下に示す複数の実施形態に関連してより詳しく説明する。
【0030】
本実施形態に係るクレーンは、GSM接続をセットアップするための手段を備えている。GSMによる無線接続の代わりに、無線LANの使用など無線通信を行なえる他の手段も当然考えられる。クレーンは、符号化された、または、符号化されていないデータを無線方式で送受信できる手段を備えている。
【0031】
一実施形態において、クレーンは、クレーンが位置している場所を、衛星が受信したデータに基づいて確定できるGPSモジュールを備えている。クレーンは、この位置的なデータを、1つ以上のクレーンの動きを観察するセンター、例えば工場の監視保守部へ永続的にまたは特定の時間間隔で送信する。これにより、クレーンの位置する場所を常に突き止めることができる。このことを、盗難に対する有効な防護として使用できる。
【0032】
時間間隔は、本発明の一実施形態におけるクレーンにおいて規定されていてもよい。この時間間隔が経過したら、クレーンは、定義された事務所へ自動的に連絡を入れ、新しい使用可能なソフトウェア、すなわち正しいソフトウェアがあるか検査する。このことは、例えば、クレーンが、問い合わせ信号を中央ソフトウェア管理ユニットへ送り、応答信号を評価することにより、または、クレーンが、ソフトウェア管理ユニットへログインすること、または、ソフトウェア管理ユニットにおける新しいソフトウェアの存在を検査することにより行なえる。ロードできるソフトウェアがあった場合、このソフトウェアは、クレーンによって独自にロードされてインストールされ、クレーンの操縦者が介入する必要はない。したがって、顧客は、使用可能なソフトウェアの全ての新しいオプションを常に有しており、アップデート自体を探す必要はない。ここで、クレーンがソフトウェアアップデートのために連絡を入れていなかった場合、不法使用がなされているとも想定できる。その場合は、クレーンにおいて適切な方法が開始されてもよく、このことは、クレーンの停止につながる可能性がある。
【0033】
当然、この場合も、クレーンは、その後再び顧客が自由に使用できるように切り替えられる。
【0034】
本発明の他の実施形態では、クレーンは、移動式クレーンが問題信号を出力した場合に、保守センターとの接続を確立できるようになっている。その後、全ての関連する診断プロセスまたはアルゴリズムを、適格な保守者側で開始できる。このプロセスにおいて、問題を識別し、問題に対する解決策を確定できる。次に、クレーンの作動能力を、無線方式で、または、必要であれば操縦者と一緒に回復できる。少なくとも、補修または予備部品の提供をできる限り迅速に行なえるようにすることができる。顧客にとってのクレーンの有用性をこのようにして高めることができ、クレーン休止時間の間接コストが回避される。
【0035】
さらなる利点は、必要な保守作動を早い段階で認識し準備できる点である。予定外に必要な任意の予防整備も、例えば、クレーン側から送信されたデータに基づいて認識し、準備することができる。
【0036】
さらに、クレーンからの、または、クレーンに対する無線接続は、クレーンから空間的に離れて、例えばセンターまたは監視所において、クレーン作動を実況で追跡でき、必要に応じて介入できるように構成されていてもよい。例えば、異例のロードの場合を観察し、必要に応じて解除できるということが考えられる。したがって、これらデータを無線送信できることにより、監視所からクレーン操作に影響を及ぼすことができる。
【0037】
しかしながら、データ送信も無線により可能なので、ロガーデータも送信できる。このデータを、例えば分析または保守のために使用できる。