(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
交流電圧を直流電圧に変換するトランスに、ケーブルを介して複数の低電圧駆動の照明器具が接続された低電圧照明システムの設計を支援する照明用設計支援システムであって、
設計支援用のウェブサイトが開設され、かつ前記照明器具および周辺部材に関する情報が格納されたデータベースが接続されたウェブサーバと、
設計者が前記ウェブサイトにアクセスするために使用するユーザ端末と、
前記ウェブサーバおよびユーザ端末を相互通信可能な状態で接続するネットワークと、を備え、
前記ウェブサーバには、前記トランスと前記照明器具の間または前記照明器具間を繋ぐケーブルの長さおよび前記各照明器具の消費電力の値に基づいて、前記各ケーブルで生じる電圧降下の値を算出するためのソフトウェアがインストールされており、
前記ウェブサーバは、
前記ユーザ端末から送信されたケーブルの長さおよび照明器具に関するデータに基づいて、前記電圧降下の値を算出すると共に、当該算出値に基づいて前記個々の照明器具の動作電圧が適正であるか否かを判定し、
当該判定結果を、前記電圧降下の算出値と共に前記ユーザ端末に送信することを特徴とする照明用設計支援システム。
前記ウェブサーバは、前記各照明器具の消費電力の値に基づいて前記低電圧照明システムの使用電力を算出すると共に、前記データベースに格納されたトランスに関する情報から、前記使用電力の算出値に対して一定の要件を満たすトランスを選択し、
当該選択したトランスに関するデータを前記ユーザ端末に送信する、請求項1に記載の照明用設計支援システム。
前記ウェブサーバは、前記ユーザ端末から送信された照明器具に関するデータに基づいて、前記データベースから該当する照明器具および周辺部材に関するデータを読み出して、それぞれ一覧表を作成し、当該一覧表のデータを前記ユーザ端末に送信する、請求項1または2に記載の照明用設計支援システム。
前記ユーザ端末の要求に応じて前記ウェブサーバから送信された設計データ入力ページには、前記低電圧照明システムの接続状態を表す画像が表示され、かつ当該画像のうち照明器具がケーブルに接続される箇所に、照明器具に関するデータを入力ための入力欄が表示される、請求項1ないし3のいずれかに記載の照明用設計支援システム。
交流電圧を直流電圧に変換するトランスに、ケーブルを介して複数の低電圧駆動の照明器具が接続された低電圧照明システムの設計を支援する照明用設計支援システムに使用されるウェブサーバであって、
前記照明器具および周辺部材に関する情報が格納されたデータベースが接続され、かつ設計者がアクセスするために使用するユーザ端末と相互通信可能なネットワークを介して接続され、
前記トランスと前記照明器具の間または前記照明器具間を繋ぐケーブルの長さおよび前記各照明器具の消費電力に基づいて、前記各ケーブルで生じる電圧降下の値を算出するためのソフトウェアがインストールされており、
前記ユーザ端末から送信されたケーブルの長さおよび照明器具に関するデータに基づいて、前記電圧降下の値を算出すると共に、当該算出値に基づいて前記個々の照明器具の動作電圧が適正であるか否かを判定し、
当該判定結果を、前記電圧降下の算出値と共に前記ユーザ端末に送信することを特徴とするウェブサーバ。
前記各照明器具の消費電力の値に基づいて前記低電圧照明システムの使用電力を算出すると共に、前記データベースに格納されたトランスに関する情報から、前記使用電力の算出値に対して一定の要件を満たすトランスを選択し、
当該選択したトランスに関するデータを前記ユーザ端末に送信する、請求項6に記載のウェブサーバ。
【背景技術】
【0002】
庭園などの屋外に設置される照明システムについては、安全性や作業性の観点から、低電圧で動作するLEDなどを光源とする照明器具が用いられるようになってきている(例えば特許文献1参照)。光源には、商用電源から供給された交流の電力がトランスにより直流の電力に変換された後、供給される。
【0003】
上述したように低電圧駆動の照明器具を用いた照明システムでは、光源に動作電圧が低く(通常、DC12V)、かつ動作電圧が等しいLEDを用いている。以下に、その理由を説明する。
【0004】
動作電圧が低い照明器具を用いるのは、配線工事を行う際の制約を取り除くことができるためである。電気工事士法によれば、一般家庭で用いられるAC100Vの配線工事は、電気工事士の資格を有する者にのみ許され、これを有さない者による工事は禁止されている。これに対し、動作電圧が36V以下の照明器具の配線については、電気工事士の資格を有さない者であっても工事が可能である。
【0005】
従って、動作電圧がDC12Vの照明器具を用いることにより、配線工事を行う際の制約が取り除かれ、庭園やエントランスの施工を行う業者が照明器具の配線工事を併せて行うことができる。また動作電圧が12V程度であれば、作業者が誤って銅線が露出したケーブルに触っても、感電してけがをすることはない。
【0006】
次に、動作電圧の等しい電灯器具を用いるのは、配線の途中で電圧の調整を行う必要がないためである。配線用の器具に接続される複数の照明器具の動作電圧が異なる場合、それぞれに電圧を調整する回路を設置する必要がある。これに対し、照明器具の動作電圧が等しい場合は、配線用の器具に照明器具を並列に接続するだけで、全ての照明器具にDC12Vの直流電力を供給できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した低電圧駆動の照明器具を用いた照明システム(以降、「低電圧照明システム」という)を設計する際には、ケーブルによる電圧降下とトランスの容量を考慮する必要がある。以下、それぞれについて簡単に説明する。
【0009】
第1に、ケーブルによる電圧降下を一定レベル以下に抑える必要がある。トランスと照明器具を結ぶケーブルに電流を流したとき、ケーブルの長さに比例して先端の電圧が下がる。ケーブルの長さが長いと、電圧降下によって照明器具に十分な電流が流れなくなり、光源の照度が低下する。これを避けるためには、照明器具に加わる電圧が一定電圧(例えば適正な動作電圧が12〔V〕の場合、11〔V〕)を下回らないようにケーブルの長さを設定する必要がある。
【0010】
第2に、低電圧照明システムの使用電力(各照明器具の消費電力の総和)が、トランスの容量に安全係数(例えば70%)を掛けた値未満となるようにする必要がある。トランスを安全係数以上の値で連続運転した場合、トランスの温度が上昇して出力が停止することがある。これを避けるためには、照明システムの使用電力が、トランスの許容容量に対して安全係数未満になるようにしなければならない。
【0011】
従って、低電圧照明システムの設計者は、設計の都度、上述の2つの要件を満たすようにケーブルの長さやトランスの容量を設定しなければならない。これらのうち、トランスの容量は簡単な計算で求めることができるが、電圧降下については、原理を理解すると共に計算方法をマスターしなければならない。
【0012】
しかし、このことは、低電圧駆動の照明器具を用いることのメリット、すなわち、電気工事士のような電気に関する十分な知識を有する者でなくても設計ができるというメリットを生かせないことになる。
【0013】
更には、設計の都度、電圧降下の値やトランスの容量を算出しなければならないために、設計に手間と時間を要することになる。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて成されたもので、わずらわしい計算を行うことなく低電圧照明システムの設計ができる照明用設計支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明にかかる照明用設計支援システムは、交流電圧を直流電圧に変換するトランスに、ケーブルを介して複数の低電圧駆動の照明器具が接続された低電圧照明システムの設計を支援する照明用設計支援システムであって、
設計支援用のウェブサイトが開設され、かつ前記照明器具および周辺部材に関する情報が格納されたデータベースが接続されたウェブサーバと、
設計者が前記ウェブサイトにアクセスするために使用するユーザ端末と、
前記ウェブサーバおよびユーザ端末を相互通信可能な状態で接続するネットワークと、を備え、
前記ウェブサーバには、前記トランスと前記照明器具の間または前記照明器具間を繋ぐケーブルの長さおよび前記各照明器具の消費電力の値に基づいて、前記各ケーブルで生じる電圧降下の値を算出するためのソフトウェアがインストールされており、
前記ウェブサーバは、
前記ユーザ端末から送信されたケーブルの長さおよび照明器具に関するデータに基づいて、前記電圧降下の値を算出すると共に、当該算出値に基づいて前記個々の照明器具の動作電圧が適正であるか否かを判定し、
当該判定結果を、前記電圧降下の算出値と共に前記ユーザ端末に送信することを特徴とする。
【0016】
ここで、前記ウェブサーバは、前記各照明器具の消費電力の値に基づいて前記低電圧照明システムの使用電力を算出すると共に、前記データベースに格納されたトランスに関する情報から、前記使用電力の算出値に対して一定の要件を満たすトランスを選択し、当該選択したトランスに関するデータを前記ユーザ端末に送信することが好ましい。
【0017】
また前記ウェブサーバは、前記ユーザ端末から送信された照明器具に関するデータに基づいて、前記データベースから該当する照明器具および周辺部材に関するデータを読み出して、それぞれ一覧表を作成し、当該一覧表のデータを前記ユーザ端末に送信することが好ましい。
【0018】
また前記ユーザ端末の要求に応じて、前記ウェブサーバから送信された設計データ入力ページには、前記低電圧照明システムの接続状態を表す画像が表示され、かつ当該画像のうち照明器具がケーブルに接続される箇所に、照明器具に関するデータを入力ための入力欄が表示されることが好ましい。
【0019】
また前記設計データ入力ページの入力欄には、照明器具の詳細な情報を表示するページにリンクしたボタンが含まれることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる照明用設計支援システムを利用すれば、電気に関する十分な知識を備えていなくても、低電圧照明システムの設計を、簡単かつ短時間で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態にかかる照明用設計支援システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0023】
<ケーブルの長さとトランスの容量の決定>
前述したように、屋外用の低電圧照明システムの設計においては、配線用のケーブルにおける電圧降下を一定レベル以下に抑えると共に、トランスの容量を照明システムの使用電力に対して一定レベル以上に保持する必要がある。以下、図面を用いてケーブルの長さとトランスの容量の求め方を説明する。
【0024】
最初に、
図1および
図2を参照して、ケーブルの長さの求め方について説明する。
図1に示すように、低電圧照明システム10においては、トランス11から引き出されたケーブル12の途中もしくは先端に照明器具13が接続されている。トランス11のプラグ14を、図示しない商用電源のコンセントに接続すると、トランス11から出力されたDC12[V]の電流が照明器具13に供給され、照明が行われる。
【0025】
一般に、照明器具13で1[W]の電力を消費したときのケーブル12の1[m]当りの電圧降下は0.0025[V]程度である。
図1に示すように、長さL[m]のケーブル12の先端または途中に消費電力A[W]の照明器具13を接続した場合、ケーブル12で生じる電圧降下Vは、下記式(1)で求められる。
V=0.0025×L×ΣA―――(1)
【0026】
図2のグラフは、ケーブル12の先端または途中に接続された照明器具13の電圧がDC11[V]を維持するためのケーブル12の最大長さを、上述の式(1)に基づいて算出したものである。なお、コードの最大長さが90[m]で頭打ちとなっているのは、市販されているコードの長さを考慮したものである。
【0027】
例えば、
図1(a)に示す構成において、ケーブル12の先端に消費電力5[W]の照明器具13を取り付けた場合、ケーブル12の長さを80[m]未満にすれば、照明器具13の電圧を11[V]以上に維持できるため、照明器具の明るさを確保できる。
【0028】
一方、
図1(b)に示す構成において、ケーブル12に消費電力5[W]の照明器具13を4個取り付けた場合、消費電力の総和は20[W]となるため、トランス11から一番遠い位置にある照明器具13の電圧を11[V]以上に維持するためには、ケーブル12の長さを20[m]以内にする必要がある。
【0029】
次に、トランス11の容量の求め方について説明する。前述したように、トランスの容量は、照明システム10の使用電圧すなわち各照明器具13の消費電力の総和が、トランスの容量に安全係数を掛けた値未満となるように設定する必要がある。例えば、安全係数を70%に設定すると、照明システムの使用電力が20[W]の場合、容量が28.6[W]以上のトランスを用いる必要がある。
【0030】
なお、
図2に示したグラフは、1本のケーブルに照明器具を接続した場合における使用電力とコードの最長さとの関係を示したものであり、後述するようにトランスから複数のケーブルを引き出した場合、または途中で分岐させた場合には、それに合わせてグラフを作り直す必要がある。
【0031】
上述したように、低電圧照明システムの設計において、設計者は、設計の都度、要件を満たすケーブルの長さとトランスの容量を求める必要があるため、時間と手間がかかり、そのことが屋外用の低電圧照明システムを普及する上で妨げとなっていた。
【0032】
本発明にかかる照明用設計支援システムを用いれば、要件を満たすケーブルの長さとトランスの容量を、簡単かつ短時間で求めることができる。
【0033】
<照明用設計支援システムの構成>
次に、
図3のブロック図を参照して、本実施の形態にかかる照明用設計支援システム(以降、単に「設計支援システム」という)の構成と各部の機能を説明する。
【0034】
図3に、本実施の形態にかかる設計支援システムの構成を示す。設計支援システム1は、照明器具の製造や販売を行う事業者2が所有もしくは管理するウェブサーバ21およびオペレータ端末22、低電圧照明システムの設計に携わる造園業者やエクステリア事業者が使用する複数のユーザ端末3、ならびにこれらの機器を相互通信可能な状態で接続するインターネット4で構成されている。以下、システムを構成する各部材について説明する。
【0035】
ウェブサーバ21にはウェブサーバソフトがインストールされ、低電圧照明システムの設計支援を行うウェブサイト21aと、照明器具や付属品のカタログデータを掲載したウェブサイト21bが開設されている。低電圧照明システムの設計に際し、造園業者やエクステリア事業者は、ユーザ端末3を用いてウェブサイト21aおよび21bにアクセスする。
【0036】
図示しないが、ウェブサーバ21は、CPUで構成された処理手段と、ROM、RAM、ハードディスク等で構成された記憶手段を備えている。処理手段は、記憶手段に格納された設計支援用のソフトウェアを実行して、ケーブルの電圧降下や照明システムの使用電力を算出する。また記憶手段には、ウェブサイト21aの画面を構成するコンテンツデータが格納されている。
【0037】
ウェブサーバ22には、照明器具事業者2が提供する照明器具や周辺部材のカタログデータを格納したデータベース(以降、「DB」という)23が接続されている。またウェブサーバ22には、DB23の書き込みおよび読み出しを制御するデータベースマネジメントシステムソフトが予めインストールされている。造園業者やエクステリア事業者が照明器具等の詳細なデータを確認したい場合、ユーザ端末3を用いてウェブサイト21bにアクセスし、DB23に格納されたデータを読み出す。
【0038】
低電圧照明システムの設計者がユーザ端末3を用いてウェブサイト21aにアクセスし、後述する設計データ入力ページを開いて必要なデータを入力する。ウェブサーバ21の処理手段(図示せず)は、設計支援用のソフトウェアを用いてケーブル12で生じる電圧降下の値を算出すると共に、記憶手段(図示せず)に格納された
図2のグラフ(または照明システムの構成に対応して作成されたグラフ)を読み出して照明器具の動作電圧が適正範囲に含まれるか否かを判定し、結果を設計データ入力ページに表示する。
【0039】
また、ウェブサーバ21の処理手段(図示せず)は、照明システムの使用電力を算出すると共に、その値から条件に適合するトランスの容量を算出し、DB23からその要件を満たすトランスの製品番号等を読み出して画面に表示する。
【0040】
なお、本実施の形態では、ウェブサーバ21として、照明器具事業者2が所有または管理するサーバを用いているが、必ずしも事業者が所有・管理するサーバでなくてもよく、クラウドサーバのようなレンタルサーバを使用してもよい。
【0041】
照明器具事業者2がウェブサイト21a、21bの管理のために使用するオペレータ端末22はパーソナルコンピュータ(以降「PC」という)で構成されており、ウェブページ21a、21bを閲覧するためのウェブブラウザソフトがインストールされている。
【0042】
造園業者やエクステリア事業者が使用するユーザ端末3は、オペレータ端末22と同様にPCで構成され、予めウェブブラウザソフトがインストールされている。なお、図では3台のユーザ端末3がインターネット4に接続されているが、台数に制限はない。
【0043】
<低電圧照明システムの設計手順>
次に、
図4のフローチャートならびに
図5および
図6の画面レイアウト図を参照して、造園業者やエクステリア事業者が、ユーザ端末3からウェブサイト21aにアクセスして低電圧照明システムの設計を行う際の手順を説明する。
【0044】
最初に、設計者は、ユーザ端末3およびインターネット4を介して、照明器具事業者2が開設しているウェブサイト21aにアクセスする(ステップS11)。ウェブサーバ21は、これに応答して設計データ入力ページのデータをユーザ端末3に送信する(ステップS21)。
【0045】
図5に、ウェブサイト21aにおける設計データ入力ページP1の画面レイアウトを示す。ページP1には、低電圧照明システムの接続状態を表す画像、具体的には、トランスP11と照明器具P12とがケーブルP13で接続された画像が表示される。
図5では、トランスP11から照明器具P12を接続する4本のケーブルP13が引き出されているが、ケーブルP13の数は必要に応じて増減すればよい。
【0046】
またページP1には、照明システムの使用電力、すなわちケーブルP13に接続された照明器具P12の消費電力の総和(W数)を表示する枠F11、ケーブルP13の長さの総和(メートル)を表示する枠F12および最適トランスを表示する枠F13が設けられている。
【0047】
照明器具を示すアイコンP12の+のボタンB11を、マウス等を用いてクリックすると、データ入力用の欄P14が表示される。
図6に示すページP2は、
図5に示すページP1に、設計に必要な全てのデータを入力した状態を示している。なお、図では煩雑さを避けるため、最下段のデータ入力欄P14にのみ詳細な符号を付している。
【0048】
図6は、
図1に示した低電圧照明システム10において、トランス11から4本のケーブル12が引き出され、かつ照明器具13が、第1のケーブル(ライン1)に1個、第2のケーブル(ライン2)に3個、第3のケーブル(ライン3)に2個接続された状態を示している。なお、第4のケーブル(ライン4)には、照明器具は接続されていない。
【0049】
図6において、照明器具のデータ入力欄P14には、ケーブルの長さを入力する枠F14、照明器具の製品番号(以降、「品番」と略す)を入力する枠F15、照明器具の消費電力を表示する枠F16、照明器具とトランスまたは上流側の照明器具との間に接続されるケーブルで生じる電圧降下の値を表示する枠F17および照明器具の動作電圧が適正範囲内であるか否かを示す枠F18が表示される。
【0050】
またデータ入力欄P14の右上には、接続可能なケーブルの最大長さが表示され、更にデータ入力欄P14には、照明器具の詳細情報を表示したページにジャンプするためのボタンB12およびデータ入力欄P14を削除するためのボタンB13が表示される。
【0051】
なお、データ入力欄P14には、照明器具のコード(Code)を入力する枠も設けられており、品番またはコードのいずれでも照明器具を特定できるが、本実施の形態では、枠F15に品番を入力して照明器具を特定している。
【0052】
また
図6に示すページP2では、1本のケーブルP13に最大3個の照明器具を接続した場合を示しているが、データ入力欄P14の下段に表示された照明器具のアイコンP12の+のボタンB11をマウスでクリックすることによって、データ入力欄P14を追加することができる。ページP2の縦方向の長さが長くなって画面からはみ出た場合には、スクロールバーS11を移動させることによって必要な箇所を画面に表示できる。
【0053】
設計者は、キーボード等を用いて、データ入力欄P14の枠F14にケーブルの長さを入力し、かつ枠F15に使用予定の照明器具の品番を入力する。データ入力欄P14に入力されたデータは、入力の都度、ウェブサーバ21に送信される(ステップS12)。
【0054】
ケーブルの長さと品番のデータを受け取ったウェブサーバ21の処理手段(図示せず)は、DB23に格納されたデータから該当する照明器具の消費電力を読み出し、記憶手段(図示せず)に格納する。
【0055】
更に処理手段は、設計用のソフトウェアを起動してケーブルでの電圧降下の値を算出すると共に、各照明器具の動作電圧が適正(11V以上)であるか否かを判定する(ステップS22)。併せて処理手段は、ケーブルの長さの総和および低電圧照明システムの使用電力(照明器具の消費電力の総和)を算出する(同ステップ)。
【0056】
ステップS22において算出された値、判定結果およびDB23から読み出されたデータは、ウェブサーバ21からユーザ端末3に送信され、ページP2に表示される。具体的には、データ入力欄P14の枠F16に照明器具の消費電力が表示され、枠F17に電圧降下の値が表示される。また枠F18に、動作電圧が適正であるか否かの結果が「OK」または「NG」で表示される。
【0057】
またページP2の枠F11には、照明システムの使用電力が表示され、枠12には、ケーブルの長さの総和が表示される。更に、枠F13には、システムの使用電力から算出される適正容量を備えた最適トランスの外観、品番および容量が表示される。
【0058】
設計者は、データ入力欄P14へのデータ入力が完了した後、設計データを確認する(ステップS13)。ライン2の最下段のデータ入力欄P14のように、判定枠F18に「NG」が表示された場合、設計者は、設計を変更して(ステップS14でYes)、データ入力欄P14へのデータ入力をやり直す(ステップS12)。
【0059】
具体的には、消費電力のより小さい照明器具に代えるか、ケーブルの長さを短くする。入力データはウェブサーバ21に送信され(ステップS12)、電圧降下とトランスの容量の計算がやり直される(ステップS22)。
【0060】
上述したように、設計者はページP2に表示されたデータにより、低電圧照明システム10の設計において、各照明器具の動作電圧が適正であるか否かを確認でき、更に、最適なトランスの品番を確認できる。
【0061】
ステップS22に示した電圧降下の値および使用電力の算出、ならびに動作電圧の判定の際、ウェブサーバ21の処理手段(図示せず)は、DB23から該当するデータを読み出して、
図7および
図8に示す表を作成し、そのデータを、算出・判定結果のデータと共にユーザ端末に送信する(ステップS23)。図示しないが、
図7および
図8の表はページP2の下部に表示される。
【0062】
図7に表T1の一部を示す。表T1は、データ入力欄P14に入力された照明器具の外観および基本的な仕様を列記したもので、設計者は、表T1によって照明器具がどのような形状であり、またどのような仕様であるかを確認できる。
【0063】
図8(a)に示す表T2は、ページP2に入力された照明器具の一覧であり、ウェブサーバ21がDB23に格納された照明器具のカタログデータから抽出したものである。また
図8(b)に示す表T3は、
図6に示した低電圧照明システムを構築する上で必要な周辺部材(照明器具を除く)の一覧であり、表T2と同様にウェブサーバ21がDB23に格納された周辺部材のカタログデータから抽出したものである。
【0064】
表T2およびT3には、
図6に示す構成の低電圧照明システムを構築する上で必要となる全ての部材が表示され、同時に価格も表示されるために、造園業者やエクステリア事業者は、システム構築に必要な部材を自ら調べる必要がなくなり、また見積りの作成等も簡単かつ短時間に行うことができる。
【0065】
なお、データ入力欄P14のボタンB12は、照明器具のカタログデータを掲載したウェブサイト21bのページとリンクしており、設計者がマウス等を用いてボタンB12をクリックすると、その品番の照明器具の詳細データを表示したページが表示される。設計者は、そのページを開くことにより、照明器具の詳細データを確認できるため、設計作業を効率的に進めることができる。
【0066】
図4の説明に戻って、設計者は、設計変更を含めた設計の一連の作業を終了した後(ステップS14でNo)、表T2およびT3を印刷する(ステップS15)。
【0067】
図9に示す表T4は、
図6のページP2を印刷したもので、ページP2に表示された低電圧照明システムの構成のうち、トランスおよび照明器具の品番とケーブルの長さのデータが表示される。図示しないが、各照明器具の四角の枠内には、照明器具の画像が表示される。前述の表T2およびT3を印刷したものと、この表T4を用いれば、照明システムの構築に必要な全てのデータを用意できる。
【0068】
以上説明したように、本発明にかかる照明用設計支援システムを用いれば、低電圧照明システムの構築に必要なケーブルの長さとトランスの容量のデータを、簡単かつ短時間に求めることができる。
【0069】
なお、本実施の形態において、照明用設計支援システムは、照明器具を製造・販売する事業者が顧客へのサービスの一環として提供しているが、上述したように低電圧照明システムの設計を効率的に行うことができることから、ウェブサイトの運営者が有料のサービスとして提供することも可能である。