(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の送受信処理機能に関連付けられる複数の手順を使用して複数の異なる無線アクセス技術(RAT)との通信を可能にするように構成されたマルチRATプラットフォームを含み、
前記複数の手順は、ハードウェアとソフトウェアの少なくとも一方で実現され、所定の動作を実行する複数の機能ユニット(FU)を介して前記複数の送受信処理機能を実現し、
前記複数のFUは、
前記所定の動作の前に実行され、かつ、
(a)動作のためのデータ、又は、前記FUにより実行される前記所定の動作に関連するパラメータをフェッチする記憶場所と、(b)前記所定の動作の結果としてのデータを格納する記憶場所とのうちの少なくともいずれかを指定する事前命令と、
前記所定の動作の後に実行され、かつ、前記所定の動作後に出力するメッセージのタイプを指定する事後命令との内の、
少なくとも1つをFUにより実行される所定の動作に追加する複数の機能ユニット記述子(FUD)により構成設定され、
各FUDは、関係するFUが使用する1つ以上の記憶場所に関連する第1の情報と、前記関係するFUがメッセージを処理した後に送信する1つ以上のメッセージに関連する第2の情報と、前記関係するFUのセットアップのためのパラメータに関連する第3の情報とを含むことを特徴とする装置。
前記複数のFUそれぞれは、第1のメッセージを受信する入力ポート部と、前記第1のメッセージを処理する機能ユニット部と、前記第1のメッセージの処理と各FUDにより示される前記メッセージのタイプとに基づいて第2のメッセージを送信する出力ポート部とを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
前記複数のFUに関連する複数のセションにハードウェアとソフトウェアのリソースを割当てるように構成されたリソースマネージャをさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置。
前記複数のFUの1つは、無線を用いることに関与する送受信処理機能を実行するための複数のFUのチェインへと挿入される無線FU、又は、タイマ信号を生成することに関与する送受信処理機能を実行するための複数のFUのチェインへと挿入されるタイマFU、又は、上位レイヤへのシグナリングに関与する送受信処理機能を実行するための複数のFUのチェインへと挿入されるインタフェースFUであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
前記複数のFUそれぞれは、第1のメッセージを受信する入力ポート部と、前記第1のメッセージを処理する機能ユニット部と、前記第1のメッセージの処理と各FUDにより示される前記メッセージのタイプとに基づいて第2のメッセージを送信する出力ポート部とを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
前記複数のFUの1つは、無線を用いることに関与する送受信処理機能を実行するための複数のFUのチェインへと挿入される無線FU、又は、タイマ信号を生成することに関与する送受信処理機能を実行するための複数のFUのチェインへと挿入されるタイマFU、又は、上位レイヤへのシグナリングに関与する送受信処理機能を実行するための複数のFUのチェインへと挿入されるインタフェースFUであることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
当初、無線電話技術は音声通信に対して設計され、使用されてきた。家電産業が成長を続け、プロセッサの能力が向上するにつれて、複数の装置間でデータを無線伝送できる更に多くの装置が利用できるようになった。また、そのような伝送データに基づいて動作する更に多くのアプリケーションが利用できるようになった。特に注目すべきは、インターネット及びローカルエリアネットワーク(LAN)である。これらの2つの技術革新により、多くのユーザ及び多くの装置が異なる装置間及び異なるタイプの機器間でデータを通信したり交換できるようになった。これらの装置及び機能の出現に伴い、ユーザ(ビジネスユーザ及びホームユーザの双方)は、音声に加えてデータを移動先から送信する必要性が高まっていることに気付いた。
【0004】
この音声及びデータの伝送をサポートするインフラストラクチャ及びネットワークが同様に発達した。テキストメッセージ通信等の限られたデータアプリケーションは、汎欧州デジタル移動通信システム(GSM)等のいわゆる「2G」システムに導入された。無線通信システムを介するパケットデータは、汎用パケット無線サービス(GPRS)を加えたGSMにおいて実現された。ユニバーサル地上無線アクセス(UTRA)規格により導入された3Gシステムにより、多くのユーザがネットサーフィン等のアプリケーションに更に容易に(且つより短い待ち時間で)アクセスできるようになった。従って、現在、例えば、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)、OFDMA、TDMA及びTD−SCDMA等の多くの無線アクセス技術(RAT)が、例えば、GSM/GPRS/EDGE、UMTS、UMTS−LTE、WLAN、WiFi等の無線システムにおいて使用されているのが見られる。
【0005】
新規のネットワーク設計がネットワーク製造業者により提供されるのと共に、より高いデータスループットをエンドユーザ装置に提供する将来のシステムが検討され、開発されている。例えば、いわゆる3GPP LTE(ロングタームエボルーション)標準化プロジェクトは、将来の無線通信の技術基盤を提供することを意図している。このネットワーク設計の進歩の結果、種々のネットワーク事業者は、種々の地理的領域において異なるRATを用いて種々の周波数帯域で自身のネットワークを展開した。そのため、複数の周波数帯域と複数の異なるRATとの内の少なくともいずれかをサポートするユーザ機器(UE)は、とりわけ、適切な周波数帯域とRATとの内の少なくともいずれかにおけるセル及びサービスを探索できる必要がある。
【0006】
移動電話技術の新規規格と他の通信技術が急速に開発され、新規の特徴が既存の規格に更に急速に追加されたことにより、現存するアーキテクチャを使用する装置の設計コストが増加した。例えば、特定のRATへのアクセスを可能にする装置は、通常、当該RAT及びその現在の特徴に適応されるソフトウェア(SW)アーキテクチャを有する。新規のRAT又は特徴がマルチRAT UE装置のアーキテクチャに追加される場合、新規のRAT/特徴がそのアーキテクチャにおいて実現される必要があるのに加えて、従来の実施形にも適応させる必要があり、通常、このプロセスはソフトウェアの実装に重大な影響を及ぼし、装置のコストを著しく増加させる。
【0007】
新規のRATを導入するか又は既存のRATに新規の機能を導入する手法では、UEのSWアーキテクチャが複雑になり、そのような変化に適応するために必要な変更を行うことが困難になる。更に、その開発は、異なる大陸に位置する場合もある異なる地理的場所で行われることが多いため、統合は更に複雑であり、コストが増加する。
【0008】
ソフトウェアアーキテクチャの変更に加えて、UEにおけるRATの適応のため、ハードウェアの変更が更に必要であるか又は望ましい場合がある。例えば、マルチRAT UEにおいて、多くの場合、システム内のハードウェア(HW)を共有する(可能な限り)ことが望ましい。マルチRAT装置内で共有できる可能性のあるハードウェアの一例は、HWアクセラレータである。しかしながら、HWアクセラレータの各ユーザ(即ち、RAT)は、他のRATのアルゴリズム又はモジュールとの不要な結び付きを避けるために、即ち、それらへの依存を避けるために、自身の環境を維持する必要がある。各ユーザが自身の環境を維持できるようにする1つの方法は、HWアクセラレータ内に複数のレジスタページを含めて使用することである。しかしながら、そのレジスタにおいて利用可能なページ数は、マルチRAT UEに関連するシリコン設計において固定され、後で変更できない。そのため、この分離方法は、RAT又は特徴を後で追加する場合にいくらか融通性が良くない。
【0009】
更に、マルチRAT装置において使用されるアルゴリズムに関して、これらのアルゴリズムはソフトウェア(SW)又はハードウェア(HW)のいずれかで実現され、通常、各ユーザ又はRATとの結び付きが必要以上に強い。この結び付き又は依存により、1つのブロックがUE(又はUEの副構成要素)において変更される時に隣接ブロックの望まれない再設計の原因となる場合がある。また、RATの数が増加するにつれて、未知の依存性及び副作用がシステムの他の部分から生じる可能性があり、これは望ましくないだろう。更に、マルチRATシステムにおいて、データレートが高くなり、送信時間間隔(TTI)が短くなると、中央制御部をもつように設計されたシステムでは割込み負荷が大きくなる。
【0010】
更に、例えば、付加的なRAT機能のような新規の機能をUEに加える場合、使用形態の新しい組み合わせが考慮され、その後にハードコーディングがなされる必要があるため、ページングチャネル(PCH)の受信及び測定等の異なるアクティビティ間の依存性が、そのような実装を煩雑にさせる。レイヤ1のRATソフトウェアは、通常、チャネルの受信及び測定等の異なる目的のために無線を使用する。従来のマルチRATアーキテクチャではRAT間に共通の計画が存在しないため、アクティブRATが必要な無線時間を分配できない特定の使用形態を処理することは困難である。無線使用の競合を回避するために、ページングチャネルの受信及びサービングセルの測定等の各使用形態は、通常は組み合わされるか、又は、同期されるかの内の少なくともいずれかである。しかしながら、競合は必ずしも解消されるわけでなく、複数のRAT/機能の間の適切な処理が不可能である場合がある。
【0011】
更に、マルチRATアーキテクチャに更なるRATを追加する場合(例えば、装置内にGSM及びW−CDMAのアーキテクチャのみを有する場合と比較して)、アクティブRATが多くのパッシブRATの中から無線時間が与えられるべきRATを決定する必要があるため、更に複雑になる。新規のRATを追加する場合、既存のRATは、新規のRATに関係する無線要求の詳細を認識するように更新される必要がある。アクティブRATとパッシブRATとが十分に協調されない場合、無線使用の競合が起こる場合がある。無線アクセスの競合の検出には、例えば、RAT数の増加に伴って非常に複雑になる無線アクセス時間処理に関係するRATモジュール間の潜在的に膨大な信号伝送という問題を解決する特定のハードウェア設計が必要である。多くの割込み信号及び他の信号が必要とされるため、現在の解決策は非効率的であり、エラーが起こりやすい。UEに更なるRAT機能を追加するための既存の解決策は、例えば、信号伝送が大量であり、各RATモジュールが装置内の他の全てのRATを認識する必要があるため、電力効率も悪い。
【0012】
従って、マルチRAT装置に関係する上述の欠点を軽減又は除去する方法及びシステムを提供することが望まれている。
【発明の概要】
【0013】
代表的な一実施形態によると、データを処理する装置の構成は、異なる無線アクセス技術(RAT)に関連付けられた複数の手順を実行するように構成されたプロセッサと、複数の手順からの無線リソース要求を受信するように構成され、前記要求に応答して手順による無線アクセスを選択的に許可又は拒否するように更に構成された無線計画機能と、前記複数の手順のうちの少なくとも1つにより生成されたデータを格納し、前記複数の手順のうちの少なくとも他の1つにデータを提供する分散データベースとして動作するように構成されたメモリデバイスとを含む。
【0014】
別の実施形態によると、マルチRAT無線通信装置は、前述の段落において説明した構成を備える。
【0015】
別の実施形態によると、マルチ無線アクセス技術(RAT)装置においてデータを処理する方法は、異なる無線アクセス技術(RAT)に関連付けられる複数の機能を実行するために手順を生成する工程と、これら複数の手順のうちの少なくともいくつかにより生成されたデータを分散データベースに格納する工程と、データの使用側である複数の手順のために分散データベースからデータを検索する工程と、無線計画機能により、これら複数の手順のうちの少なくともいくつかから無線リソース要求を受信し、処理する工程とを含む。
【0016】
別の代表的な実施形態によると、持続性のあるコンピュータ可読媒体は、コンピュータ又はプロセッサにより実行される場合に、異なる無線アクセス技術(RAT)に関連付けられた複数の機能を実行する複数の手順を生成する工程と、これら複数の手順のうちの少なくともいくつかにより生成されたデータを分散データベースに格納する工程と、データの使用側である複数の手順のために分散データベースからデータを検索する工程と、無線計画機能により、これら複数の手順のうちの少なくともいくつかから無線リソース要求を受信し、処理する工程とを実行するプログラム命令を含む。
【0017】
別の実施形態によると、装置の構成は、送受信処理機能に関連付けられる複数の手順を使用して複数の異なるRATとの通信を可能にするように構成されたマルチ無線アクセス技術(RAT)プラットフォームを含む。これらの手順は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方で実現され、動作を実行する複数の機能ユニット(FU)を介して送受信処理機能を実現し、これらのFUは、(a)動作するためのデータ又はFUにより実行される動作に関連するパラメータをフェッチする記憶場所と、(b)動作の結果であるデータを格納する記憶場所と、(c)動作後に出力するメッセージのタイプのうちの少なくとも1つに関してFUに指示を与える複数の機能ユニット記述子(FUD)により構成設定される。
【0018】
別の実施形態によると、マルチRAT無線通信装置は前述の段落の構成を含む。
【0019】
別の実施形態によると、複数の無線通信機能を分散して実現する方法は、複数の異なる無線アクセス技術(RAT)との通信を可能にする複数の送受信処理機能を実行する複数の手順を生成する工程と、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方で実現され、複数の動作を実行する機能ユニット(FU)を介して前記複数の送受信処理機能を実現する工程と、(a)動作するためのデータ又はFUにより実行される動作に関連するパラメータをフェッチする記憶場所と、(b)動作の結果であるデータを格納する記憶場所と、(c)動作の実行後に出力するメッセージのタイプのうちの少なくとも1つに関してFUに指示を与える複数の機能ユニット記述子(FUD)により前記複数のFUを構成設定する工程とを含む。
【0020】
別の代表的な実施形態によると、持続性のあるコンピュータ可読媒体は、コンピュータ又はプロセッサにより実行される場合に、複数の異なる無線アクセス技術(RAT)との通信を可能にする複数の送受信処理機能を実行する複数の手順を生成する工程と、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方で実現され、複数の送受信処理動作を実行する複数の機能ユニット(FU)を介して前記複数の送受信処理機能を実現する工程と、(a)動作するためデータ又はFUにより実行される動作に関連するパラメータをフェッチする記憶場所と、(b)動作の結果であるデータを格納する記憶場所と、(c)動作の実行後に出力するメッセージのタイプのうちの少なくとも1つに関してFUに指示を与える複数の機能ユニット記述子(FUD)により前記FUを構成設定する工程とを実行するプログラム命令を含む。
【0021】
別の代表的な実施形態によると、複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールのリソース要求の間の競合を回避する方法は、無線計画機能において、各々が無線時間予約要求の優先順位の値を含む無線時間予約要求を受信する工程と、無線計画機能により、少なくとも部分的に基づいて優先順位の値の比較に各無線時間予約要求の許可又は拒否を判定する工程と、前記判定する工程に基づいて、対応する無線時間予約要求側に対応する許可又は拒否のいずれかを送信する工程とを備える。
【0022】
別の代表的な実施形態によると、複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールの間で無線リソースを割り当てるプラットフォームは、複数のRATを使用してエアインタフェースを介して無線信号を送受信するように構成された無線ハードウェアと、無線ハードウェアに接続され、各々が無線時間予約要求の優先順位の値を含む無線時間予約要求を受信し、少なくとも部分的には優先順位の値に基づいて各無線時間予約要求の許可又は拒否を判定するように構成された無線計画部とを備える。
【0023】
別の代表的な実施形態によると、持続性のあるコンピュータ可読媒体は、コンピュータ又はプロセッサにより実行される場合に、無線計画機能において、各々が無線時間予約要求の優先順位の値を含む無線時間予約要求を受信する工程と、無線計画機能により、少なくとも部分的には優先順位の値の比較に基づいて各無線時間予約要求の許可又は拒否を判定する工程と、前記判定する工程に基づいて、対応する無線時間予約要求側に対応する許可又は拒否のいずれかを送信する工程とを実行するプログラム命令を含む。
【0024】
代表的な一実施形態によると、無線通信システムにアクセスするためのレイヤ1に対するソフトウェアアーキテクチャが存在する。そのソフトウェアアーキテクチャは、上位レイヤからの制御プレーンを終了するように構成され、無線計画部を使用するように構成された手順と、共通無線へのアクセスを管理し、許可するように構成された無線計画部と、同一データの生成側と使用側とを分離させるように構成された分散データベースと、機能性をカプセル化するように構成された機能ユニットとを含む。その機能ユニットは、構成設定インタフェース及びアルゴリズムを更に含むことができる。そのソフトウェアアーキテクチャは、アップリンク及びダウンリンク処理を構成するために複数の機能ユニットの複数のチェーンを構築するように構成されたセションを更に含むことができる。そのソフトウェアアーキテクチャは、全てのセションに対してリソースを集め、割当てるように構成されたリソースマネージャを更に含むことができる。
【0025】
別の代表的な実施形態によると、無線通信システムにアクセスためのレイヤ1に対するソフトウェアアーキテクチャを使用する方法が存在する。その方法は、手順により上位レイヤからの制御プレーンを終了し、無線計画部を使用する工程と、その無線計画部により共通無線へのアクセスを管理し、許可する工程と、分散データベースにより同一データの生成側と使用側とを分離する工程と、機能ユニットにより機能性をカプセル化する工程とを含む。
【0026】
別の実施形態によると、装置は、カプセル化されたハードウェア機能ユニットが命令を受信し、その装置が通信する時に使用できる複数の無線アクセス技術(RAT)のうちのどれに対しても一般性を有する応答を生成するように少なくとも1つのハードウェア機能ユニットをカプセル化するように動作可能であり、コンピュータ可読媒体に格納されたプログラム命令を実行するように構成されたプロセッサと、その装置内のデータの生成側及びデータの使用側がデータを間接的に交換できるようにするように構成された分散データベースとを含む。
【0027】
代表的な一実施形態によると、マルチ無線アクセス技術(RAT)ユーザ機器(UE)においてデータを処理する方法が存在する。その方法は、論理モデルを構築する工程と、複数の論理オブジェクトに物理的割り当てを提供する工程と、リソースの使用をコミットする工程と、複数の機能ユニット(FU)によりデータを処理する工程とを含む。
【0028】
別の代表的な実施形態によると、マルチ無線アクセス技術(RAT)ユーザ機器(UE)においてデータを処理する方法が存在する。その方法は、無線インタフェースからサンプルを読み出す工程と、複数の機能ユニット記述子(FUD)を構成設定する工程と、機能ユニット(FU)と前記複数のFUD各々とを関連付ける工程と、前記複数のFUD各々からそれに関連付けられたFUへ少なくとも1つの命令を送信する工程と、FUが受信した少なくとも1つの命令を順次処理し、その受信した少なくとも1つの命令に基づいて各FUにより信号を処理する工程と、データブロックを出力する工程とを含む。更に、各FUは複数のFUDと関連付けられてもよい。
【0029】
別の代表的な実施形態によると、アルゴリズムを処理する機能ユニット(FU)が存在する。そのFUは、第1のメッセージを受信する入力ポート部と、第1のメッセージを処理する機能ユニット部と、第1のメッセージの処理に基づいて第2のメッセージを送信する出力ポートとを含む。
【0030】
別の代表的な実施形態によると、機能ユニットを構成する機能ユニット記述子(FUD)が存在する。そのFUDは、機能ユニット(FU)が使用する1つ以上の記憶場所に関連する第1の情報と、FUがメッセージを処理後に送信する1つ以上のメッセージに関連する第2の情報とを含む。
【0031】
別の代表的な実施形態によると、マルチ無線アクセス技術(RAT)ユーザ機器(UE)は、マルチRAT UEが異なるRATと通信可能にするように各々が構成される複数のRATモジュールと、対応する機能ユニットを呼び出すことによりRATモジュールに依存せずに機能を実行するように構成されたプロセッサとを含み、対応する機能ユニットによる複数の機能のうちの1つのインスタンスの実行は機能ユニット記述子により指定される。
【0032】
代表的な一実施形態によると、複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールのリソース要求の間の競合を回避する方法が存在する。その方法は、無線時間予約要求に優先順位を割り当てる工程と、優先順位を含む無線時間予約要求を要求する工程と、無線時間予約要求の許可又は拒否のいずれかを受信する工程とを含み、許可された無線時間予約要求に対して、無線時間は統一された時間基準を用いて指定される。
【0033】
代表的な一実施形態によると、複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールのリソース要求の間の競合を回避する方法が存在する。その方法は、無線計画機能において、無線時間予約要求の優先順位を含む無線時間予約要求を受信する工程と、優先順位に基づいて無線時間予約要求の許可又は拒否を判定する工程と、無線時間予約要求が許可される場合に無線時間予約要求の統一された時間基準を割り当てる工程と、無線時間予約要求の許可又は拒否を判定する工程に基づいて許可又は拒否のいずれかを送信する工程とを含む。
【0034】
別の代表的な実施形態によると、複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールのリソース要求の間の競合を回避する装置が存在する。その装置は、無線時間予約を要求するように構成され、無線時間予約要求に優先順位を割り当てるように構成された少なくとも2つのRATモジュールと、優先順位に基づいて無線時間予約要求の許可又は拒否を判定するように構成され、無線時間予約要求が許可される場合に無線時間予約要求の統一された時間基準を割り当てるように構成され、無線時間予約要求を許可又は拒否の判定に基づいて許可又は拒否のいずれかを送信するように構成される無線計画機能を有するプロセッサとを含む。
【0035】
別の代表的な実施形態によると、装置は、各々が装置と対応するRATネットワークとの間の無線通信を可能にするように構成された複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールと、前記複数のRATモジュールのうちの1つ以上から無線アクセス要求を受信し、各無線アクセス要求を選択的に許可するように構成された無線計画モジュールとを含むか又は備える。その無線計画モジュールから無線アクセス要求許可信号を受信すると、装置内の対応するRATモジュールは、対応するRATネットワークへ1つ以上の信号を送信することにより無線アクセスを開始できる。
【0036】
添付図面は、代表的な実施形態を図示する。その図面は次の通りである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
代表的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面における同一の図中符号は、同一又は同様の要素を示す。更に、図面は必ずしも縮尺通りではない。また、以下の詳細な説明は本発明を限定するものではない。
【0039】
本明細書中で「一実施形態」又は「実施形態」に言及する場合、一実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造又は特性が開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書中の随所で使用される表現「一実施形態において」又は「実施形態において」は、必ずしも同一の実施形態を示すものではない。更に、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において何らかの適切な方法で組み合わされてもよい。
【0040】
上述のように、新規の無線アクセス技術(RAT)又は特徴がマルチRATユーザ機器(UE)に追加される場合、新規のRAT/特徴を実現するだけでなく、従来の実現を更に適応させる必要があり、通常、これはソフトウェア及びハードウェアの実装に重大な影響を及ぼす。通常、例えば、デュアル又はマルチRATのレイヤ1(L1)のソフトウェア(SW)は、共通する機能を殆ど使用せず、別個のインタフェース及びRAT間の単純なインタフェースのみを有する関係するRATの集合として実現される。そのような手法に関連する問題については上述した通りである。
【0041】
代表的な実施形態によると、無線アクセス技術(RAT)中心でないレイヤ1の構造と、例えば3GPP規格である関係する無線通信規格により通常は結び付けられない特徴を強く分離させるRAT中心でないレイヤ1のソフトウェア(SW)とハードウェアとの内の少なくともいずれかのアーキテクチャとが提供される。これは、例えば、何らかのアクセス技術又は特徴を実現するためにインスタンス化され、特化される、例えば、インタフェース、サービス、手順、セション及び機能ユニット(FU)であるアーキテクチャ要素を識別することにより達成される。例えば、以下に説明する無線計画部、リソースマネージャ、無線FU及びタイマFUである共通エンティティは、全ての特徴にRAT中心でないサービスを提供する。更に、本明細書において説明する実施形態において、例えば、分散データベースを使用することにより、特徴を強く結び付けることなくそれらが情報を交換できるようにする手段が提供される。
【0042】
代表的な実施形態によると、汎用マルチRATアーキテクチャにより、1つ以上の中央処理装置(CPU)/コアにわたり、例えば、インタフェースやFUメッセージプロトコルのようなアーキテクチャ要素の分散が可能になる。更に、アーキテクチャにより、CPU、デジタル信号プロセッサ(DSP)及びハードウェア(HW)アクセラレータ間での例えば、複数のFUのような機能の移動、並びにHWの変更のサポートが可能になる。複数の規則のセットは、(サービス、手順、セション及びFUにおいて)アプリケーションコードを実現する方法に対して定義され、ユーザインタフェースの集合は、共通エンティティを使用する方法に対して定義される。代表的な実施形態によると、これらの規則に従ってユーザインタフェースを使用する場合、特徴/RATが不要に結び付けられることが殆ど又は全くないと予想され、新規の特徴/RATは従来の実装に影響を及ぼすことなく追加される。同様に、特徴は、残りの特徴に影響を及ぼすことなく、既存のコードベースから低コストの変形例を作成するために除去される。
【0043】
汎用ソフトウェアアーキテクチャ
代表的な実施形態に従って、本明細書において説明する代表的な実施形態が実現される汎用マルチRAT構造(以下に説明するタスク及び機能を実行するためのソフトウェアアーキテクチャを含む)を
図1を参照して以下に説明する。本説明の一部において、種々の特徴を説明するためにオブジェクト指向プログラミングの用語を使用するが、これは、それらの特徴がオブジェクト指向プログラミング技術を使用して実現されることを必ずしも示すものではない。
図1は、例えば、(例えば、ePHYに対する)最上位レベルのクラスの図として見られてもよい。その場合、インタフェースは、サービスの実際の展開及び実現を隠す機能指向型アプリケーションプログラムインタフェース(API)をサービスのユーザ(例えば、RATのうちの1つ)に提供する。例えば、レイヤ1 100は、サーバに対するプロキシとして動作する多くのインタフェースを含み、例えば、レイヤ1の外部インタフェース102及びレイヤ1内部の下部インタフェース104は、サーバに対するプロキシとして動作する。代表的な本実施形態によると、レイヤ1のアーキテクチャは、レイヤ1の上部106と、制御部108(例えば、ARMプロセッサにおいて実現される)及びデータ処理部110(例えば、HWアクセラレータとして又はCPU/DSPにおいて実現される)を含むレイヤ1の下部とに分割される。レイヤ1の下部は、下層のハードウェア(いくつかの例において、通常はベースバンドHWである)への依存がより大きい。これらの異なるアーキテクチャ構成要素の各々と、それらの副要素が汎用マルチRAT動作を容易にするために連携する方法を以下に更に詳細に検討する。
【0044】
レイヤ1の上部106は、例えば、レイヤ1のアーキテクチャ100によりサポートされる複数のRATのうちの1つであるユーザにより要求された場合に、各サービス112及びそのパラメータ表現をキャプチャーするサービスクラスを含む。尚、単一のサービス112のみを
図1に示すが、レイヤ1の上部構成要素106は、図中符号1...*で示すようにユーザ要求に基づいて、サービスクラスの多くのサービスのインスタンス112を任意の時刻に有することができる。サービス112は、汎用マルチRATアーキテクチャにおいて実現される特徴を互いに切り離す(分離する)ための第1のステップ/機構を提供する。
【0045】
サービスオブジェクト112は、レイヤ1のインタフェース102を介してユーザ(RAT)から要求を受信し、それらの要求を処理することにより、要求されている機能性を判定する(要求された機能を実現する方法と区別して)。この機能の判定に基づいて、サービスオブジェクト112は、要求された機能を実現するために動作する1つ以上の手順又は手順オブジェクト114をインスタンス化する。この場合、手順又は手順オブジェクト114は、特定のRATに対して又は複数のRATに共通する方法で、例えば、チャネル測定である所望の機能を実現する論理状態マシンであると考えられる。手順114は、上位レイヤからの制御プレーンを終了して外部の挙動を実現する(制御プレーンにおいて)ように更に動作する。手順クラスは、レイヤ1のアーキテクチャ100により提供される機能毎にインスタンス化され、特化される。各手順114又は結び付けられた手順114のグループは、システムの残りの部分から独立して、即ち、他の手順114の認識、それらとのハンドシェイク又はそれらの関与を必要とせずに、自身に関連付けられた機能の実行を計画及び設定する。これらの実施形態に係る手順114の独立した特性により、新規の特徴と新規のRATとの位置のいずれかがアーキテクチャに追加される際に手順114を書き換えたり変更する必要がなくなる。
【0046】
手順114の独立を可能にするために、複数の共通要素、即ち、どのRATの要求が種々の手順114をインスタンス化したかに関係なくそれらの手順により共有される要素がレイヤ1のアーキテクチャ100に提供される。例えば無線計画部116は、無線時間の割り当てを取得するために、即ち、異なるRATの間及び同一のRATに関連する異なる手順の間で物理的な無線送受信機を共有するために、手順114により使用される。
【0047】
代表的な実施形態によると、無線計画部116により、独立した複数の手順114が単一の無線環境に同時に存在できる。無線計画部116は、レイヤ1の下部108、110との対話を介して共通無線を管理し、共有無線へのアクセスを許可する。無線が手順114により使用される前に、その手順は、例えば、信号線122で示すように、無線計画部116からの割り当て(例えば、無線リソース及びディスパッチ時間)を要求する。無線の予約は、特に、無線リソース要求の相対優先順位に基づいて、無線計画部116により実行される。いくつかの実施形態によると、手順114は、無線にアクセスするためにディスパッチ信号線124を介して無線許可を受信する必要がある。更に、無線使用を求める要求が、例えば、信号線126を介して却下された場合、後続の動作を行う責任はクライアント(即ち、手順114)が有する。無線時間は、RAT固有でない一般的な時間形式で予約される。ヘッダ「無線計画部」において、無線計画部116について以下に更に詳細に説明する。
【0048】
無線計画部に加えて、手順114は、手順114をハードウェア独立にするために、レイヤ1の下部インタフェース108においてサービス118を更に使用できる。しかしながら、強く結び付けられない手順114の間にクライアント/サーバ関係が依然として存在する場合、即ち、2つの手順の間にクライアント/サーバ間と同様の一方向の関係又は結び付きが存在する場合がある。サーバ部分がデータの使用側に認識されずにデータを生成できるようにするために、代表的な実施形態は更に分散データベース120を提供する。分散データベース120は、データが種々の手順114により格納及び検索される共通記憶領域を提供することにより、同一データの生成側と使用側とを分離させる(これは、スレッドセーフのオブザーバパターンの実現である)。このように、データの生成側は、当該データの使用側の数や識別子を認識する必要がない。例えば、特定の手順114が隣接リスト内のセルを読み出し且つ識別するためにインスタンス化された場合、その手順114は、結果として得られたデータをデータベース120に格納し、他の手順114(例えば、測定手順)は、隣接リスト読み出し手順114と測定手順114とが直接対話することなく、データベースから当該データを取得できる。
【0049】
次に
図1のレイヤ1の下部を参照すると、例えば、異なるプロセッサにおけるクライアントの展開を可能にするためにインタフェース104が提供される。また、インタフェース104は、アーキテクチャ100のレイヤ1の上部106からアーキテクチャ100のレイヤ1の下部の制御部108及びデータ部110に要求を転送する。レイヤ1の上部106に関連する方法と同様に、サービスオブジェクト118は、例えば、機能を実行するための機構ではなく、実行が要求される機能を示すサービスのインスタンス化であるレイヤの下部のサービスを求める要求をインタフェース104から受信することに応答してインスタンス化される。代表的な実施形態によると、セション128は、手順114と無線計画部116との内の少なくともいずれかからの要求に応答して、レイヤ1の下部のサービスにより提供される機能を実現する。セション128は、例えば、ハードウェア認識が開始するアーキテクチャ100内の第1のエンティティであるが、これらのセション128は、実際のアルゴリズムの実現及び展開の双方を隠す、例えば、論理機能ユニット(以下に説明するFU)130、132及び134であるFUに対する論理構成設定インタフェースを更に使用する。セション128は、完全なアップリンク及びダウンリンク処理を構成し且つインスタンス化されたサービスオブジェクト118に関連する要求にサービスを提供するために、FUチェーンを構築する。アーキテクチャ100内の他の多くのオブジェクトと同様に、互いに直接依存しないセション128は互いを全く認識しない。
【0050】
代表的な実施形態によると、例えば、論理FU134及び対応する物理FU140により表されるFUは、手順114により実行中である無線機能(更に複雑である可能性がある)の一部として動作を実行するために使用される、例えば、高速フーリエ変換(FFT)である明確に定義された機能性のカプセル化である。FUは、ユーザに対する機能指向インタフェースを提供する、例えば、論理FU134である構成設定インタフェース部分と、機能性を実行する例えば物理FU140であるアルゴリズム部分とを含む分散オブジェクトである。アルゴリズム部分140はHW又はSWで実現され、その展開は、ユーザ、即ち、アルゴリズムを最終的に呼び出したRAT又は手順114に対して不透明である。構成設定インタフェース134は、同一のアルゴリズムの実現を共有する異なるユーザにより、互いに独立して複数回インスタンス化されてもよい。インスタンスは、構成設定時間(セション)に中央CPUが介入しない自律的な実行を可能にするセルフトリガチェーンで接続される。アルゴリズム部分140の実際の展開及び実現は、同様に、トリガするFU及びトリガされるFUが他方のFUの展開及び実現を認識することなく構成設定時間において解決される。異なるマイクロコントローラ又はDSPにおいて実行するHWアクセラレータ又はアルゴリズムとして実現されるFU134、140を組み合わせられるようにするために、FU識別子(以下に詳述するFUD)に関連付けられる特別なプロトコルが使用されてもよい。FUDは、通常はFUがHWで実現されるか又はSWで実現されるかに依存して適応されるが、HW及びSWの双方に使用できる方法で定義されてもよい。L−FU134は、その構成の役割においてFUDを構成するために使用され、P−FU140にメッセージを送信することもできる。セション128は、当該メッセージを使用してP−FU140の信号処理チェーンを開始する。セション128は、チェーン内の第1のP−FU140にメッセージを送信し、P−FU140は、セション128又はL−FU134が関わることなく互いに対してトリガをかける。FU及びFUDについての更なる情報は以下のヘッダ「機能ユニット」で提供される。
【0051】
代表的な実施形態によると、種々の専用FUがアーキテクチャ100に提供される。例えば、無線FU138は、FUクラス専用である。無線FU138は、共通無線HWをカプセル化する。一般FU140と同様に、全てのユーザ(セション128)は、互いに独立して、対応する構成設定インタフェース132のインスタンスを作成する。タイマFU136は、同様にFUクラス専用である。タイマFU136は、共通タイマHWをカプセル化し、例えば、無線計画部116のような共通部分と、例えば、手順114のようなRAT固有の部分の双方にタイマ機能を提供する。タイマ要求は、RAT固有でない一般的な時間形式で予約される。FUに関する更なる詳細については、以下のヘッダ「機能ユニット(FU)」で提供される。
【0052】
代表的な実施形態によると、アーキテクチャ100により、完全に分離された機能(セション128)が同一のハードウェア及びソフトウェアリソースを共有できる。無線計画部116と同様の方法で、共通リソースマネージャ142は、例えば、ソフトウェアのダウンロード、メモリ空間の割り当て、メモリ空間の初期化、ハードウェアの電源投入、ハードウェアの電源切断等により、例えば、メモリ、HW、DSPの帯域幅等であるリソースを集めて全ての機能(セション128)に割り当て、それにより、複数のユーザ(セション128)は、セション128自体の間でハンドシェイクすることなく上記のリソースを共有できる。このように、RAT間の認識がされない。実施形態によると、RATモジュールの間又は異なるRATに関係するサービス/手順/セションの間に直接通信が存在しない。従って、RATは互いに自律的に機能し、ハンドシェイクを必要としない。
【0053】
アーキテクチャの動作の例
代表的な実施形態によると、上述のレイヤ1のソフトウェアアーキテクチャ100はUEにおいて使用され、例えば、LTE(ロングタームエボルーション)ネットワークと広帯域符号分割多元接続(WCDMA)ネットワークのような複数のRATが協調して種々のUEリソースにアクセスできるようにする。特に、RAT機能を分離する機能に関してアーキテクチャ100が動作する方法を更に理解するために、
図2から始めて、以下に代表的な無線動作について考慮する。
【0054】
図中、上述のアーキテクチャ100を用いて動作するLTE/WCDMAマルチRAT UE200は矢印201の方向に移動していると仮定する。UE200は現在はLTEセル202(eNodeB203)によりサービスを提供されているが、サービングセルからの信号強度はUE200がセルの境界に向けて移動するにつれて弱くなる。従って、UE200はWCDMAセル204(NodeB205)への可能なハンドオーバの準備を開始するのが望ましい。従って、レイヤ1のインタフェース102は、LET及びWCDMAクライアントから、関係するLTEチャネル及びWCDMAチャネルに関連するパラメータと所望の測定値とを含むそれらのチャネルの測定を求める要求を受信する。これらの要求の結果、測定の実行というクライアントの要望を反映する測定サービスオブジェクト112のインスタンス化が行われる。次に、測定サービスオブジェクト112は、
図3に示すように、受信したパラメータを使用して、測定の実行方法を決定する、例えば、共通測定手順114a、LTE測定手順114b及びWCDMA測定手順114cである複数の手順114を生成する。
【0055】
この実施形態によると、共通測定手順114aは、この例ではLTE及びWCDMAである複数のRAT(例えば、ページングチャネルに関連付けられる)に共通する測定タスクを実行し、RAT別測定手順114b及び114cは、それらのRATに固有の測定タスクを実行する。この単に例示的な例において、サービングセル202はLTEセルであるため、LTE測定手順114bは測定を実行できる時間を指示する。従って、LTE測定手順114bは、測定が実行される時間に関する情報を発行する(分散データベース120に格納される)。尚、LTE測定手順114bはこの「測定実行可能性」データの生成側であるが、この実施形態に係るLTE測定手順114bは、共通測定手順114a又はWCDMA測定手順114cの存在、あるいはそれらが測定実行可能性データを必要とするかを認識しない。実際、LTE測定手順114bを変更する必要なく、LTE測定手順114bと並列に動作する任意の複数の他の追加的なRAT測定手順が存在してもよい。
【0056】
他の測定手順114a及び114cは、測定実行可能性に関する情報の受信に同意する。従って、本例における手順114bが信号強度/品質測定の実行を許容できる場所/時間に関する情報をデータベース120に格納すると、手順114a及び114cに通知される。測定手順114a〜114cは、測定実行可能性データを使用して、必要な測定を実行するために無線時間を要求する。しかしながら、それらの手順が互いを認識しないため、それらは、例えば、無線計画部116に送信される無線リソース要求を介して同一時間の無線使用を要求する場合がある。従って、この実施形態によると、測定手順114a〜114cは、無線リソースを求める要求と共に、要求に関連する優先レベルを送信する。各手順114a〜114cにより選択される優先レベルは、例えば、各々の標準化された測定要件に基づく手順が測定を行う必要のある緊急度に基づいている。優先順位及び無線計画部116により実行されるリソース調整に関する更なる情報が以下に備えられる。
【0057】
無線計画部116は、種々の測定手順114a〜114cから要求を受信し、例えば、要求に関連付けられる提供された優先レベルに部分的に基づいて、許可する要求及び拒否する要求を判定する。その後、無線計画部116は要求している複数の手順114a〜114c各々に決定を通知し、それにより、これらの手順は適切な動作を行うことができる。例えば、その手順は、要求が許可された場合、レイヤ1の下部108からの測定サービス118を要求し、要求が拒否された場合、分散データベース120からの通知に基づく別の測定機会を待ち合わせる。
【0058】
次に、この場合のアーキテクチャ100のレイヤ1の下部を考慮すると、レイヤ1の上部106は、種々のRATが分離され独立した状態で無線リソースを共有するように動作するが、アーキテクチャのレイヤ1の下部は、例えば、測定機能の実行の一部として、例えば、ハードウェアアクセラレータ、メモリ、電源、プロセッサ(DPS)の帯域幅等の多くの他の種類のリソースを共有するように動作することが前述の説明から明らかになるだろう。例えば、LTE測定手順114bからLTEチャネルの測定要求を受信すると、サービスオブジェクト118は、例えば、測定を行うためにとる相関の数のような一定のセットのパラメータを用いて、当該測定を実行するためにインスタンス化される。次に、サービスオブジェクト118は、1つ以上の論理FU134/物理FU140のペアのチェーンを使用して、例えば、相関をとる1つ以上のセション128を確立する。
【0059】
この場合、リソースマネージャ142は、例えば相関の実行、メモリの上書きの回避等のために、物理FU140により使用されるリソースを調整するように動作する。従って、この例において、セション128は、例えば、FFT等のDSPアルゴリズムをローディングする機能を実行するためのリソース、出力データ(相関結果)を格納するための記憶場所等を要求する。
【0060】
上述の代表的な実施形態は、特に、容易に拡張できる方法で種々のハードウェア及び他のリソースの共有を可能にするRAT中心でないレイヤ1のソフトウェアアーキテクチャを提供する。レイヤ1の構造に関連付けられるソフトウェアアーキテクチャ100を使用するハードウェアを含む
図4を参照して、例えば、UE200である代表的な(且つ非常に一般化された)装置を以下に説明する。図中、装置400は、プロセッサ402(又はマルチプロセッサコア)、メモリ404、1つ以上の二次記憶装置406、装置400と種々のRATと周波数帯域との内の少なくともいずれかの間の通信を容易にするインタフェースユニット408、並びにレイヤ1のインタフェース102を含む。他の(上位)レイヤが装置400上に更に存在し且つ動作していることが当業者には理解されるだろう。
【0061】
一般に、プロセッサ402は装置400の種々の構成要素を制御する。例えば、プロセッサ402は、この明細書中で説明する代表的な実施形態を容易にする命令を実行する。インタフェースユニット408は、異なるRATと周波数帯域との内の少なくともいずれかに関連付けられた種々のエアインタフェースを介して信号を送受信するように構成された1つ以上の送受信機(例えば、無線HW)を含む。尚、例えば、種々の他のHWブロック又は機能(例えば、タイマHW)、ブロック102とブロック408との間の直接接続(又はカプセル化)等である
図4に不図示の他のユニットと接続との内の少なくともいずれかが更に存在してもよい。
【0062】
レイヤ1のソフトウェアアーキテクチャ100の動作に関連する代表的な方法を
図5に示す。図中、ステップ500において、レイヤ1のソフトウェアアーキテクチャは、上位レイヤ(例えば、レイヤ2/3)からの制御プレーンを終了する。ステップ502において、レイヤ1のソフトウェアアーキテクチャは、無線計画部により共通無線へのアクセスを管理し且つ許可する。ステップ504において、レイヤ1のソフトウェアアーキテクチャは、分散データベースを使用して、同一データの生成側と使用側とを分離する。ステップ506において、レイヤ1のソフトウェアアーキテクチャは、機能ユニットにより機能をカプセル化する。尚、本発明のいくつかの実施形態において、
図5のステップは別の順序で実行されてもよく、あるいは並列に実行されてもよい。
【0063】
一実施形態によると、上記の説明に基づいて、データを処理する構成は、異なる無線アクセス技術(RAT)に関連付けられた手順を実行するように構成されたプロセッサと、前記手順から無線リソースを求める要求を受信するように構成され且つ要求に応答して手順による無線アクセスを選択的に許可又は拒否するように更に構成された無線計画機能と、複数の手順のうちの少なくとも1つにより生成されたデータを格納し、それら複数の手順のうちの少なくとも他の1つにデータを提供する分散データベースとして動作するように構成されたメモリ素子とを含む。
【0064】
別の実施形態によると、マルチ無線アクセス技術(RAT)装置においてデータを処理する方法は、
図6に示すステップを含む。図中、ステップ600において、異なる無線アクセス技術(RAT)に関連付けられる機能を実行するために手順が生成される。複数の手順のうちの少なくともいくつかはデータを生成し、このデータは、分散データベースに格納され(ステップ602)、その後、当該データの使用側である手順により分散データベースから検索される(ステップ604)。即ち、これにより、データを生成する手順とデータを消費する手順とが分離される。無線計画機能は、ステップ606で示すように、無線リソースを求める要求を受信し且つ処理する。
【0065】
機能ユニット(FU)
上述のように、本明細書中で説明する代表的な実施形態は、とりわけ、モジュール化、(割込み率の低下につながる)中央処理装置(CPU)の介在がない分散型自律処理、例えば、無線アクセス技術(RAT)モジュールであるユーザ同士を結び付けずに任意の数のユーザ間でハードウェア(HW)を共有することを可能にする方法及びシステムを提供する。そのようなモジュール化は、特に、
図1に関して簡単に上述した独立した機能ユニット(FU)へ処理をカプセル化した結果である。モジュールに基づくアーキテクチャは、解析及び設計が容易であり、変化に対する耐性が向上する。モジュール化という用語がこの明細書中で使用される場合、例えば、RATモジュールのようなモジュール間の直接接続は許されていない。
【0066】
これらの実施形態に係るFUはそれぞれ、例えば、高速フーリエ変換(FTT)アルゴリズムのような明確に定義された機能を表す。FUは、SW、HW又はそれらの組み合わせで実現される。FUは、他のFUを認識しないか又は他のFUに依存せず、完全にスタンドアローンのエンティティとしてモデル化される。尚、FUに関する本説明は上述の一般的なレイヤ1のソフトウェアアーキテクチャにおいて動作するFUに適用可能であるが、そのようなFUは要望に応じて他のアーキテクチャにおいて同様に使用されてもよい。
【0067】
図7を参照して、例えば、
図1のL−FU134及びP−FU140であるFU700及び関連する機能ユニット記述子(FUD)702を以下に説明する。各FU700は、1つの入力ポート704及び1つの出力ポート706である2つのポートを有する。FU700は、例えば、FFTを実行するFU700の対応する機能に対する1つ以上のパラメータとしてFUD702を使用する。FUD702から、FU700は、例えば、データをフェッチする場所及び格納する場所(例えば、メモリ又はレジスタ内)に関連する参照を更に取得する。これらの実施形態において提案されるモジュール化とオブジェクト指向プログラミングとの類似点を指摘するために、FU700がクラスを表すと考え、FU700がFUD702を用いて構成される場合、これはインスタンス化されたFUオブジェクトに類似するようになる。
【0068】
代表的な実施形態によると、FU700が入力ポート704で受信するメッセージは、FUD702のメモリ内の場所を指定する。FUD702は、(1)どのように機能が実行されるのかと、(2)FU700による実行の完了時に出力ポート706でどんなメッセージを送信するのかのいずれか又は双方を指定する。従って、FU700の概念は、メッセージの受け渡しとメモリ共有アーキテクチャとの組み合わせとして、ポートの抽象的な使用法を説明する。FUD702は、即時的なパラメータの値又は更なるデータが位置するメモリに対する参照を含む。例えば、FUD702は、入力データバッファ及び出力データバッファの双方の場所を指定し、実行の完了時に送信するメッセージを指定する。
【0069】
FU700により受信される各メッセージは、異なるパラメータ値セット及び新規コンテキストを有する異なるFUD702を指定する。一実施形態によると、通常、コンテキストは呼び出し間でFU700内に保持されない。更に、実施形態によると、FU700は他のFU700を認識しないか又は他のFU700に依存せず、完全にスタンドアローンのエンティティとしてモデル化される。入力ポート704、出力ポート706及びFUD702のパラメータを使用することにより、上述のセション128により確立されるような複数の同時処理チェーンに関係するようにFU700を構成できる。FU700は依然として自身のコンテキストを認識しておらず、メッセージを受信した場合のみ反応する。
【0070】
代表的な実施形態によると、上述のアーキテクチャを使用する一般的なデジタルベースバンドの例は、無線インタフェースからのサンプルの読み出しから開始し、上位レイヤへのデータブロックの出力で終了する。信号処理は、例えば、チェーン状の複数のFU700である異なるユニットにより複数のステップで実行される。各FU700は、自身の機能を完了した際に出力ポート706で1つ以上のメッセージを送信するように構成される。出力メッセージの宛先アドレスは、FUD702により指定されてFU700に与えられる。ポートはFUを接続し、完了するまで信号処理チェーンを駆動し、
図8に示すように、1つのFUが次のFUを開始させる。
【0071】
図8は、出力ポート804を介してメッセージ802を送信する第1の機能ユニットFU−A800を示す。メッセージ802は、第2の機能ユニットFU−B808の入力ポート806により受信される。FU−B808は、メッセージ802内の受信した命令を実行し、その結果に基づいて、出力ポート810を介して別のメッセージ812を送信する。従って、それらのポートは、FU−A800がFU−B808を開始させるために使用される。
【0072】
代表的な実施形態によると、上述のように、FUD702の目的は、関数パラメータの指定、FU700が入力データをフェッチする場所の指定、FU700が出力データを格納する場所の指定、並びに処理の完了時にFU700が送信する(出力ポート710で)メッセージの指定である。この一例を
図9に示す。図中、2つのFUインスタンス、即ち、FU−A900とFU−B902とが存在する。この例において、FU−A900及びFU−B902の双方は、例えば、FU−A:FUD904及びFU−B:FUD906である一意のFUDをそれぞれ有する。この例において、FU−A:FUD904は、FU−A900の動作からの計算値を格納するメモリ908内の場所及び実行の完了時にFU−A900が送信するメッセージを指定する。FU−B:FUD906は、FU−B902が計算のために入力を読み出すメモリ908内の場所を指定する。この代表的な方式に従うことにより、FU−A900からのデータは、FU−A900及びFU−B902のどちらも他方の存在を認識することなく、FU−B902に供給される(例えば、メモリ908を介して)。更に、少なくともいくつかの実施形態によると、2つのFUは、互いの「次」にならずに、即ち、チェーンにおける直列FUにならずにメッセージを交換できることが当業者には理解されるだろう。換言すると、実施形態は、FUが位置する場所及びFUがHW、SW又はそれらの組み合わせとして実現されるかに関係なく、全てのFUが全てのFUにメッセージを送出できるようにする機構を含む。
【0073】
代表的な実施形態によると、
図9に示す概念を使用することにより、FU−A900を変更する必要がなく、FU−A:FUD904に小さい変更を加えるだけで、FU−B902を除去して別の機能ユニットFU−C(不図示)に置き換えることが容易にできる。更に、別のFU−A900にトリガをかける別のコンテキスト(例えば、現在のコンテキストに並行する)にFU−A900が更に含まれる場合、これは、この新規のコンテキストを指定するFUDを追加することにより達成される。
【0074】
上述から、FUクラスは何回インスタンス化されてもよく、各インスタンスはFU700の機能を実行する特定の方法を記述する自身のFUD702を有することが当業者には理解されるだろう。FU700が受信する入力ポートのメッセージは、使用するFUD702を指定する。代表的な実施形態によると、FUD702は、2つ以上のFU700を接続し、FUの機能をカスタマイズするために使用される機構である。
【0075】
代表的な実施形態によると、FU700は分散オブジェクトとして実現される。FU700は、ユーザに対する機能指向インタフェースを提供する、例えば、
図1の論理FU134である構成設定インタフェース部分と、機能を実行する、例えば、
図1の物理FU140であるアルゴリズム部分とを含む。アルゴリズム部分はHW又はSWで実現され、アルゴリズムの展開はユーザに対して不透明である。構成設定インタフェース部分は、同一のアルゴリズムインスタンスを共有する異なるユーザにより複数回インスタンス化されてもよい。構成設定インタフェースは、アルゴリズム部分の実際の展開及び実現を隠す。FU700は構成設定インタフェースを使用してセルフトリガチェーンで接続され、即ち、各インスタンスは自身のFUD702を用いて自身のコンテキストを作成する。そのような制御プレーンに関連する構造の一例を
図11に関連して後述する。
【0076】
代表的な実施形態によると、FU700はメッセージ及び共有メモリバッファと通信する。FU700が入力ポート704で受信するメッセージはジョブメールである。このメッセージは、データを含む必要がない。その代わりに、そのメッセージはFUD702に対する何らかの形式のポインタを含む。FUD702は、命令ストリームであると考えられる。論理上、FUD702の命令ストリームは、
図10のFUDの構造の例に示すように、事前命令1000及び事後命令1002である2つの部分に分割される。事前命令1000は、FUD702の入力領域内に位置する。これらは、FU700に対する設定命令を含む。事前命令1000はFU700が機能を実行する前に実行され、事後命令1002はFU700が機能を完了した後に実行される。
【0077】
代表的な実施形態によると、事後命令は、指定されたメモリアドレスにレジスタ値を書き込むため又はポートにメッセージを配置することによりチェーン内の次のFU700に指定されたメッセージを送信するためのものである。従って、各FU700は、自身の機能を完了した時に、次のFUに向かう「アドレス」を含むメッセージを出力ポート706で送信するように構成される。従って、ポートはFU700を接続し、完了するまで信号処理チェーンを駆動し、1つのFU700が次のFU700を開始させる。この場合も、上記の説明はFUの固定された順序が必ず存在することを示すことを意図するものではなく、FUはセションに従ってどんな所望の順序で実行されてもよいことが当業者には理解されるべきである。
【0078】
代表的な実施形態によると、FUD702の入力領域及び出力領域内の命令は、動作と値又は値の対とで構成される。動作は異なる種類のFU700に対して異なるが、一実施形態によると、4つの主要なグループ、即ち、(1)パラメータ、入力データ及びFU700を開始させるコマンドを用いてFU700を構成するコマンド、(2)FU700から出力データを生成するコマンド、(3)他のFU700にメッセージを送信するコマンド、並びに(4)トレース/デバッグブロックにトレースメッセージを送信するコマンドが存在する。動作に関連付けられる値又は値の対は、例えば、バッファのメモリアドレス又は復号器のトランスポートブロックの長さを示す値である。
【0079】
代表的な実施形態によると、例えば、L−FU134のようなL−FU(論理LU)は構成設定に関係し、L−FU134は、例えば、P−FU140のようなP−FU(物理FU)に対するプロキシとしても使用される。後者の例において、セションはP−FU140にメッセージを渡すようにL−FU134に命令する。このトリガにより実行が開始され、1つのP−FU140が次のP−FUにトリガをかける。従って、構成はセションからL−FUを介してP−FUD/P−FUへ垂直の方向に流れ、データはP−FU間で水平の方向に流れる。
【0080】
代表的な実施形態によると、これらのL−FU134に関連する構成及びデータの流れは、
図11に示すように生じる。最初に、種々のL−FU134の構成設定の態様を表す1つ以上の構成設定インタフェース1102、1104及び1106と通信するユーザアプリケーション1100が存在する。各構成設定インタフェース1102、1104及び1106は、各FUD1108、1110及び1112に構成設定情報を送信する。その後、各FUD1108、1110及び1112は、FUに命令を送信するか、あるいは構成設定情報に対応する設定情報を提供する。その結果、P−FU140は、順次実行されるアルゴリズム1114、1116及び1118により示されるように命令を実行する。
図11は、上述した要素に関連する情報の種々のフロー及びステップを更に示す。例えば、構成設定情報は、上記で例示したように矢印1120で示すように上から下に流れ、リソースの割り当ては、矢印1123で示すようにリソースマネージャ1122(
図1の要素142としても上述した)と種々の構成設定インタフェース1102、1104及び1106との間で行われる。例えば、FUの実行であるデータフローは、矢印1124で示すように水平方向に行われる。前述の説明における「垂直」及び「水平」等の相対方向の用語は、読む人の向きを
図11に示す例に合わせるために主に使用されるものであり、そのような実施形態の実際の実施形において、情報フローは方向を示す用語又は幾何学的な用語を使用して適切に描写されてもされなくてもよい種々のパスにより定義されることが当業者には理解されるだろう。
【0081】
代表的な実施形態によると、FU及びFUDの上記の説明と
図1におけるそれらの概要とを互いに関連付けるには、FU700のチェーンを実行する第1のステップは論理モデルを構築することである。従って、論理モデルは実行の開始前に構築される。次に、論理オブジェクトは、リソースマネージャ142又は1122から物理的割り当てを取得し、リソースの使用がコミットされる。当業者に更に理解されるように、この場合のリソースのコミットは、必要なリソースの全てを同時に即座に割り当てるのではなく、時間をずらして割り当てることを含んでもよい。その後(通常は、それより前ではない)、セション128又はユーザアプリケーション1100は、データ処理を開始するP−FU140にトリガを送信する(L−FU134を介して)。
【0082】
前述のように、P−FU140はSWとHWとの内の少なくともいずれかで実現される。実施形に依存して、FU700は異なるプロパティを有する。HW P−FU140は、P−FUDを用いて構成される。P−FUDは、主要な実行が行われた場合に実行されると考えられる出力領域を有していても良いし、或いは、有していなくてもよい。タスク又はジョブに関連付けられたFUチェーンが実行されている間は他の「メール」動作が実行されないため、この出力領域をこの明細書中で「ジョブメール」とも呼ぶ。それに対して、P−FUDを介して構成されないHW FUもある。そのような場合、HW FUは、ジョブメールを使用する代わりに、単純な書き込みメールを使用して構成される。後者の実施形態の1つの欠点は、ジョブメールがジョブに関係するFUの自律動作を保証するのに対して、書き込みメールの実施形態では、システム内で書き込みメールをまとめて保存する方法が存在しないため、自律動作が保証されないことである。
【0083】
代表的な実施形態によると、SW FUはP−FUDを用いて同様に構成される。SW FUの場合のP−FUDは、FUに対する構成設定の構造であると見なすことができる。SW FUは、例えばフィルタを実現するFU700であるメモリを有してもよい。結果は、P−FUD又はFU700自体のバッファ(あるいは、他のメモリ又はレジスタ)に格納される(静的変数と共に)。後者の場合、FU700は1つのセションにおいてのみ使用されてもよい(メモリレスでないため)。
【0084】
セション調整部(SC)は、SW FUに特有のものである。他のFU700と同様に、SCはメッセージと通信する。SCは、自身のコンテキストを認識し、実行時に他の物理FUを制御するために使用可能である点で通常のFU700と異なる。SCは、例えばセションにおける処理フローのリダイレクト、休止、同期又は転送を行う。例えば、機能は2つの他のFU700からの入力を使用する1つのFU700を使用して実行されると仮定する。この場合、2つの他のFU700からのメッセージを待つSCが提供され、双方のメッセージが到着した場合、SCは、自律動作を実行するためにこれらの2つの入力を待っているFU700にメッセージを転送する。通常、そのような一実施形態に係るSCは最低限の量の制御論理を含み、(複雑さに依存して)再使用されてもよい小さいエンティティとして動作する点でFU700に類似する。FU700とSCとの主な相違点は、SCがセションの状態を認識し、依存してもよいことである。SCは、セションオブジェクトが実際のベースバンド処理に近いエンティティにいくつかのタスクを委譲する方法として見ることができる。
【0085】
代表的な実施形態によると、FU700と同様に、SCは、SC機能を実現するP−FU140を表すセションツリー内のL−FUとしてモデル化される。P−FU140は異なるプロパティを有するため、本明細書においてこれをP−SCと示す。
【0086】
代表的な実施形態によると、以下のように少なくとも3つの専用FUが存在する(それらのうちのいくつかを
図1に示す)。即ち、(1)タイミング生成部TIMGENを管理するタイマFU136と、(2)無線を管理する無線FU138と、(3)FU以外の部分に対するインタフェースであるインタフェースFUとである。無線FU138は、受信機(RX)チェーンにおける最初のFU及び送信機(TX)チェーンにおける最後のFUである。更に、無線FU138は混合FUであると考えられ、即ち、無線FUはHW装置を制御するSW FUである。インタフェースFUに関して、データプレーンの場合、RXチェーンはインタフェースFUで終了し、TXチェーンはメディアアクセス制御(MAC)レイヤに接続されたインタフェースFUから開始する。例えば、プロセッサ上で実行するどんなSW P−FUもインタフェースFUとして使用されてもよい。別個のインタフェースFUは、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)又はHW FUからメディアアクセス制御(MAC)レイヤ又はPMSSに情報を渡す場合にのみ必要である。
【0087】
本明細書中で説明する代表的な実施形態によると、前述のFU/FUDフレームワークを使用して、(1)機能のカプセル化と、(2)ユーザ/アプリケーションに対して不透明であるSWとHWとの内の少なくともいずれかでの実現と、(3)呼び出し毎に与えられる完全なコンテキスト(例えば、テスト容易性及び同時使用の向上の示唆)と、(4)従来の方法及びシステムと比較して中央マイクロコントローラにおける割込み率が低い自律自己トリガチェーンとのうちの少なくともいずれか1つ以上を可能にできる。アルゴリズム(HW又はSW)をテストする場合、アルゴリズムが有するコンテキストが小さいほど、テストにおいて考慮する必要のある状態イベント空間は小さい。従って、システムの他の部分からの未知の依存性と副作用との内の少なくともいずれかを有さない明確に定義されたコンテキストは、多くの点で有益である。
【0088】
図2の例において上述したように、FU700及びFUD702は、マルチRAT環境に関連付けられる種々の機能を実行するためにマルチRAT UEにおいて使用される。例えば、セル探索機能は、通常、ネットワークに接続しようとする際にマルチRAT UEにより実行される。セル探索は搬送周波数を調べ、実際のセルが搬送波上に存在するか又は測定されたエネルギが単なる雑音であるかを判定する。この例において、関連する複数のFUD4を有する複数のFU2からなる第1のチェーンがマルチRATにより実行される。この第1のチェーンはWCDMA環境に対して作成され、実行され、セル探索を実行して、測定された信号と種々のスクランブル符号(メモリに格納される)とを相関させ、マッチングするものが見つけられるかどうか、即ち、セルが見つけられるかどうかを判定する。第2のチェーンはGSM環境に対して作成され、実行され、基地局識別符号(BSIC)を復号化するセル探索を実行して、搬送波が実際のセルに関連付けられるかどうかを判定する。前述の例は単なる例示であり、これらの原理に従って設計されたマルチRAT UE又はプラットフォームにおいて多くの無線機能を実行するために実現される多くの異なるFUチェーンが存在することが当業者には理解されるだろう。
【0089】
従って、一実施形態に従う構成又は装置は、複数の無線機能に関連付けられた複数の手順を使用して複数の異なる無線アクセス技術(RAT)との通信を可能にするように構成されたマルチRATプラットフォームを含む。ここで、これらの手順は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方で実現され、動作を実行する複数の機能ユニット(FU)を介して複数の無線機能を実現し、これら複数のFUは、(a)動作のためのデータをフェッチする記憶場所と、(b)動作の結果であるデータを格納する記憶場所と、(c)動作後に出力するメッセージのタイプをFUに指示する複数の機能ユニット記述子(FUD)により構成される。
【0090】
同様に、複数の無線通信機能を分散して実現する方法が
図12のフローチャートに示されている。図中、ステップ1200において、複数の異なる無線アクセス技術(RAT)との通信を可能にする複数の無線機能を実行するために複数の手順が生成される。ステップ1202において、これら複数の無線機能は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方で実現され、複数の無線動作を実行する複数の機能ユニット(FU)を介して実現される。ステップ1204に示すように、これら複数のFUは、(a)動作のためのデータをフェッチする記憶場所と、(b)動作の結果であるデータを格納する記憶場所と、(c)動作の実行後に出力するメッセージのタイプをFUに指示する複数の機能ユニット記述子(FUD)により構成される。
【0091】
無線計画部
上述のように、代表的な実施形態によると、例えば、ページングチャネル(PCH)のような特定の無線アクセス技術(RAT)の使用形態を測定して、どのような1つ(又は複数)の無線リソースが使用されているのかを規定できるようにする代わりに、ユーザ機器(UE)内の共通無線計画部116(
図1に示す)が無線アクセス要求の全て(又は何らかのサブセット)を考慮して、例えば、同時競合のような競合を解消する。従って、無線の使用が実行される前に、手順114による無線時間予約が無線計画部116から要求され、その要求が許可される場合、無線が使用される。その無線時間は、RATの時間変換における誤りを回避するために、例えば、統一された時間基準を用いて指定される。従って、各RATモジュール又は手順は、無線アクセス時間要求を無線計画部116に送信し、無線計画部から許可又は拒否を受信する。各要求/予約は、ユーザにより優先順位を与えられ、例えば、PCH受信は測定と比較して高い優先順位を有する。代表的な一実施形態によると、それに加えて又はその代わりに、何らかの優先順位がエンドユーザ(人間)により設定されてもよい。2つの競合する予約を含む実施形態の場合、最も高い優先順位を有する予約にアクセスが許可され、他の予約は拒否される(あるいは、後述するような動的要求である場合、時間を移動される)。
【0092】
尚、無線計画部に関するこの検討は上述の一般的なレイヤ1のソフトウェアアーキテクチャにおいて動作する無線計画部116に適用可能であるが、そのような無線計画部は要望に応じて他のアーキテクチャにおいて同様に使用されてもよい。無線計画部1300の更に一般的な例を
図13に示す。図中、UE、プラットフォーム(又は他の装置)は、無線ハードウェア1302と、無線計画部1300と、例えば、RATモジュール1 1304、RATモジュール2 1306、RATモジュール3 1308及びRATモジュール4 1310のような複数のRATモジュールとを含む。代表的な実施形態によると、無線へのアクセスが特定のRATモジュールに対して許可された場合、RATモジュールは、実施形に依存して無線計画部1300又は別個のパスのいずれかを介して無線を使用できる。
【0093】
代表的な実施形態によると、いくつかの使用形態の場合、優先順位は動的に変化する。例えば、拒否されたRAT/機能/要求の次に続く要求に対しては高い優先順位が与えられ(即ち、割り当てられる可能性が高くなる)、割り当てられたRAT/機能/要求の次に続く要求に対しては低い優先順位が与えられる(即ち、割り当てられる可能性が低くなる)。そのような方式は、実施形に依存して全ての要求又は一部の要求のみに適用される。この代表的な手法は、複数のRATモジュール間の無線時間割り当ての公平性を向上させる。
【0094】
代表的な実施形態によると、いくつかの使用形態の場合、無線アクティビティは特定の時間に実行される必要がある。例えば、PCH受信は、ネットワークがPCHメッセージを送信するときにのみ実行される。しかしながら、測定は特定の時間に行われる必要は特になく、測定による無線使用は時間を移動できるという意味で動的である。そのため、例えば、PCH受信のような静的予約が動的予約と競合する場合、競合しなくなるまで動的予約を移動できる。
【0095】
代表的な実施形態によると、従って、各要求は静的又は動的である。静的とは、無線アクセスが特定の時間及び特定の期間に対するものであることを意味する。静的要求の例は、ページングチャネルを読み取る必要がある場合、あるいは、対応する信号伝送がネットワークにおいて行われる時間にのみ実行できる特定の測定を実行する必要がある場合を含む。例えば、動的要求は、無線アクセスがどこかの時点で特定の期間必要とされるか、あるいは、特定の時間間隔で特定の期間必要とされることを意味する。動的要求の例は、いつでも又は適切な規則的時間間隔で行うことができる特定の測定を実行する必要がある場合を含む。
【0096】
代表的な実施形態によると、無線計画部1300は、競合が、例えば、2つ以上の動的要求の間か、或いは、静的要求と1つ以上の動的要求との間かの内、少なくともいずれかで解消されるように、動的要求に時間を割り当てる。無線アクセスの競合を本質的に防止するのに加えて、無線計画部は無線の使用効率を向上させることができる。全ての無線アクティビティを認識することにより、無線計画部1300は、無線がオンである時間を最小限にするために動的予約を静的予約の近くに移動してもよい。更に、無線計画部1300は、無線が最大限使用されるようにするために、使用されていない無線時間の位置を特定してもよい。
【0097】
例えば、無線計画部1300は、割り当てられた無線使用時間が可能な限りまとめられるように、動的要求に時間を割り当てる。そのような手法の結果、無線が割り当てられない期間が長くなる。そのような期間中、無線はオフにされるか又は低電力消費モードに入り、いずれの場合も節電になる。別の例の場合、アクティブRATが不連続受信(DRX)モードである場合、他のRATの無線使用時間は、アクティブRATの無線使用の直後(又は直前)に、例えば、他のRATの測定時間が存在するようにDRXサイクルと相関させてスケジューリングされる。
【0098】
代表的な実施形態によると、無線使用に割り当てられた時間が更に散在している場合も、無線はオフにされるか又は低電力消費モードに入る。しかしながら、無線のオフ/オンの切り替え又は無線の低電力モードの切り替えは、ある程度の時間を必要とする。通常、この切り替えも電力を消費する。従って、オン/オフの切り替えが少ないほど、必要なオーバーヘッド時間は短く、電力消費は少ない。
【0099】
代表的な実施形態によると、無線計画部1300に無線使用を決定させることができる場合、例えば、PCHと測定とを組み合わせる方法の異なる使用形態はハードコーディングされる必要がない。その代わりに、PCH及び測定の実施は個別に可能であり、独立に変更可能である。無線計画部1300は、使用されていない無線時間に測定予約を配置することにより、それらが競合しないことを保証する。
【0100】
代表的な実施形態によると、無線計画部1300が全てのそのような問題を処理し、各RATが無線計画部のみとインタフェースするため、異なるRAT1304〜1310のモジュール又は手順は、無線使用時間になった時に互いを全く認識しない。無線計画部1300は、異なるRATの詳細を知る必要がない。無線計画部1300は要求を受信し(場合によっては、対応する優先順位と動的/静的情報との内の少なくともいずれか共に)、それに従って無線アクセスを割り当てる。
【0101】
この明細書において説明した代表的な実施形態により、既存のRATを適応させる必要なく新規のRATをアーキテクチャ/実現に追加できる。無線の競合は、効果的且つ公平に処理される。例えば、無線へのアクセスを拒否されたRAT/機能は、優先順位の変更により、次に続く要求が許可される可能性が高い。ブロック間の信号伝送は、従来のマルチRAT装置におけるブロック間の信号伝送と比較して非常に単純になる。各RATは無線計画部1300のみに要求を送信し、無線計画部1300から割当て又は拒否を取得する。無線時間を管理するためのRATモジュール間の信号伝送は不要である。電力効率は向上する。例えば、信号伝送の効率の向上と信号伝送の減少との内の少なくともいずれかにより、UEの使用電力は減少する。また、無線計画部1300は、無線がオンである時間を可能な限りひとまとめにしてスケジューリングでき、その結果、無線がオフである時間を同様にスケジューリングできるため、無線を頻繁にオン/オフする必要がなく、電力消費が減少する。
【0102】
複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールのリソース要求の間の競合を回避する代表的な方法を
図14に示す。図中、ステップ1400において、優先順位が無線時間予約要求に割り当てられ、ステップ1402において、優先順位を含む無線時間予約要求が送信され(例えば、無線計画部1300へ)、ステップ1404において、無線時間予約要求に対する許可又は拒否のいずれかが受信される。一実施形態によると、無線時間は、無線時間予約要求の統一された時間基準を用いて指定される。
【0103】
複数の無線アクセス技術(RAT)モジュールのリソース要求の間の競合を回避する別の代表的な方法を
図15に示す。図中、ステップ1500において、無線時間予約要求の優先順位を含む無線時間予約要求が無線計画機能において受信される。ステップ1502において、無線時間予約要求の許可又は拒否が判定され、ステップ1504において、無線時間予約要求が許可される場合に無線時間予約要求の統一された時間基準を割り当て、ステップ1506において、無線時間予約要求の許可又は拒否を判定するステップに基づいて許可又は拒否のいずれかを送信する。
【0104】
上述した代表的な実施形態は、本発明の全ての点において、例示的なものであって限定的なものではないことが意図されている。従って、本発明は、当業者がこの明細書に含まれる説明から導出できる詳細な実施形において多くの変更が可能である。本願の説明において使用される要素、動作又は命令は、そのように明確に説明されない限り、本発明にとって重要又は不可欠であると解釈されるべきではない。また、この明細書で使用されるように、単数形表現は複数形も含むことが意図されている。