特許第6069310号(P6069310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フェデラル−モーグル コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許6069310-円筒部品内面検査のための手法 図000002
  • 特許6069310-円筒部品内面検査のための手法 図000003
  • 特許6069310-円筒部品内面検査のための手法 図000004
  • 特許6069310-円筒部品内面検査のための手法 図000005
  • 特許6069310-円筒部品内面検査のための手法 図000006
  • 特許6069310-円筒部品内面検査のための手法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069310
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】円筒部品内面検査のための手法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/954 20060101AFI20170123BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G01N21/954 A
   G02B23/24 B
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-514455(P2014-514455)
(86)(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公表番号】特表2014-520261(P2014-520261A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012030817
(87)【国際公開番号】WO2012170106
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年1月22日
(31)【優先権主張番号】13/153,897
(32)【優先日】2011年6月6日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599058372
【氏名又は名称】フェデラル−モーグル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ,サリル
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−147323(JP,A)
【文献】 特開2005−121450(JP,A)
【文献】 特開平11−325862(JP,A)
【文献】 特開平06−180291(JP,A)
【文献】 特開2005−164398(JP,A)
【文献】 特開平03−226659(JP,A)
【文献】 特開平10−176994(JP,A)
【文献】 特開平08−082753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G02B 23/24−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部品(20)の内面(22)を検査するためのシステムであって、
異なる内径を有する複数の円筒部品(20)を含み、前記円筒部品の各々は、内径を提示して中心軸(A)の周りに周方向に延在して穴(26)を提示する内面(22)を含み、前記システムは、さらに、
レンズを有し、前記円筒部品(20)の外側に配置され、前記円筒部品(20)の前記中心軸(A)と軸方向に整列した、前記円筒部品が前記中心軸の周りを360度回転する間に前記内面(22)の画像を取得するためのカメラ(32)を含み、前記システムは、さらに、
前記円筒部品の外側に配置される前記カメラの前記レンズを含み、前記レンズは、前記内面の前記画像を取得し、前記円筒部品が前記中心軸の周りを360度回転し前記中心軸に沿って長手方向に移動する間、定位置にとどまり、前記システムは、さらに、
前記カメラ(32)の両側に隣接して固定配置された、前記円筒部品(20)の前記内面(22)に光を向けるための2つの光源(34)と、
前記円筒部品が前記中心軸の周りを360度回転し前記中心軸に沿って長手方向に移動し、前記カメラが前記内面の前記画像を取得する間、前記円筒部品(20)の前記穴(26)の中の、前記中心軸(A)に沿った予め定められた定位置に配置された、鏡(36)とを含み、
前記鏡(36)は、前記内面(22)に対して45度の角度で配置された鏡面を含み、光を前記光源(34)から前記内面(22)へと、および前記内面(22)から前記カメラ(32)へと反射させ、
前記鏡面は、前記円筒部品が前記中心軸の周りを360度回転し前記中心軸に沿って長手方向に移動する間、前記円筒部品の前記内面に対して前記中心軸上の定位置に配置され、
前記レンズおよび前記鏡面は、前記カメラが前記円筒部品の対向端の間で全内面の画像を取得するまで定位置にとどまり、前記鏡は、前記カメラから第1の距離だけ離れるとともに前記内面から第2の距離だけ離れ、前記第1の距離と前記第2の距離との和は、前記カメラが前記円筒部品の各々の前記内面の画像を取得する間、一定となる、システム。
【請求項2】
前記カメラ(32)は、前記画像を取得するための電荷結合素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記画像の各々は、画素の線である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記画像の各々は、前記内面(22)に沿って、予め定められた周方向位置(c1、c2、c3…cn)および予め定められた横方向位置(l1、l2、l3…ln)で取得され、
前記予め定められた周方向位置(c1、c2、c3…cn)および前記予め定められた横方向位置(l1、l2、l3…ln)に従って配置された前記画像の各々を含む、前記内面(22)のむきだしの表示を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記カメラ(32)が前記画像を取得している間、前記円筒部品(20)を支持し、前記円筒部品(20)を前記鏡(36)および前記カメラ(32)に対して移動させるアーム(40)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記光源(34)は、前記内面(22)に光線を向ける発光ダイオードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
円筒部品(20)の内面(22)を検査するための方法であって、
異なる内径を有する複数の円筒部品(20)を設けるステップを含み、前記円筒部品の各々は、内径を提示して中心軸(A)の周りに周方向に延在して対向端の間を長手方向に延在する内面(22)を含み、前記方法は、さらに、
円筒部品(20)の中の、中心軸(A)に沿った予め定められた定位置に、鏡(36)を配置するステップと、
内面(22)に対し、前記中心軸上の定位置における角度で、前記鏡の鏡面を配置するステップと、
カメラの両側に隣接して固定配置された2つの光源により、円筒部品(20)の内面(22)に光を向けるステップと、
鏡(36)と内面(22)との間で光を反射させるステップと、
前記内面の画像を取得するために、前記円筒部品の外側に前記カメラのレンズを配置するステップと、
前記円筒部品が前記中心軸の周りを360度回転する間に円筒部品(20)の内面(22)の複数の画像を取得するステップと、
前記内面の前記画像を取得し、前記円筒部品が前記中心軸の周りを360度回転し前記中心軸に沿って長手方向に移動する間、前記カメラが前記円筒部品の対向端の間で全内面の画像を取得するまで、前記鏡面および前記レンズを定位置に維持するステップと、異なる内径を有する円筒部品の各々に対してこれまでのステップを繰り返すステップと、
前記カメラと前記鏡との間の距離と、前記鏡と前記内面との間の距離との和を一定に保つステップと、
前記カメラが異なる内径を有する前記円筒部品の各々の内面の画像を取得する間、前記距離の和を同じに保つステップとを含む、方法。
【請求項8】
前記複数の画像を取得するステップは、画像毎に単一画素群の線を取得することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
内面(22)の周囲に沿った予め定められた周方向位置(c1、c2、c3…cn)で、および円筒部品(20)の内面(22)に沿った予め定められた横方向位置(l1、l2、l3…ln)で、画像の各々を取得するステップと、
予め定められた周方向位置(c1、c2、c3…cn)および横方向位置(l1、l2、l3…ln)に従って、画像の各々を配置するステップと、
配置された画像を含む、円筒部品(20)の内面(22)のむきだしの表示を生成するステップとを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ライン画像の画像処理アルゴリズムを用いて、円筒部品(20)の内面(22)上の欠陥(24)を自動的に識別するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記画像を取得するステップの間、円筒部品(20)を、中心軸(A)に沿った第1の予め定められた横方向位置(l1)で、中心軸(A)の周りを360度回転させるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記回転させるステップの間、内面(22)の周囲の予め定められた周方向位置(c1、c2、c3…cn)で画像の各々を取得するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の予め定められた横方向位置(l1)で画像を取得するステップの後で、円筒部品(20)を、第2の予め定められた横方向位置(l2)へと、中心軸(A)に沿って横方向に予め定められた距離移動させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
円筒部品(20)の内面(22)全体について画像が取得されるまで、前記取得するステップ、前記回転させるステップ、および前記移動させるステップを繰返すステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ラインスキャンカメラであるカメラ(32)を円筒部品(20)の中心軸(A)と軸方向に整列させるステップと、
鏡(36)に対するカメラ(32)の位置を固定するステップと、
前記画像を取得するステップのためにカメラ(32)を使用するステップとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の円筒部品(20)を設けるステップは、
異なる内径(D)の円筒部品(20)を設けるステップと、
カメラ(32)と鏡(36)との間の距離と、鏡(36)と内面(22)との間の距離との合計を一定にするステップと、
距離(d1、d2)の合計を同じに保ちながら、異なるサイズの円筒部品(20)のために鏡(36)およびカメラ(32)の位置を調節するステップと、
円筒部品(20)の各々について前記取得するステップを繰返すステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記画像を取得するステップの前に、円筒部品(20)の内面(22)を洗浄するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.発明の分野
この発明は、内燃機関用シリンダライナーなどの円筒部品の内面を検査するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.先行技術の説明
内燃機関用の高耐久性ライナーなどの円筒部品は、欠陥のある部品を顧客に出荷することを回避するために、亀裂および気孔欠陥などのわずかな欠陥がないか、人により手動で検査される。この手動検査プロセスに関連するコストは、毎年、合計で数十万ドルになる。また、通常、1人の検査者が毎日何千個もの円筒部品を検査する必要がある。円筒部品は重く、また、200ミクロン未満といったわずかな欠陥、および円筒部品の中心近傍に位置する欠陥は、肉眼ではほとんど見えない。このため、身体的または精神的疲労、もしくは欠陥が見えないことによって欠陥を見落とし、その結果、欠陥のある部品を顧客に出荷する可能性は、高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人為ミスを減少させようとして、自動化された表面検査手法が開発されてきた。自動化手法の一例が、米国特許出願公開番号第2007/0132990号に開示されている。機械視覚手法も、円筒部品の内面および外面双方の検査を含む円筒部品の検査に採用されてきた。しかしながら、内面を検査するために使用される手法は、カメラが円筒部品の内側に配置されることを必要とするか、または円錐鏡を必要とする。第1の手法は軸上照明を必要とし、カメラおよびレンズはサイズ制約を受ける。このため、取得された画像は通常、解像度が低く、歪みを有する。加えて、内面全体の画像を取得するために、カメラおよび光源の位置を何回も調節しなければならず、それは厄介で時間がかかる。第2の手法は、検査される円筒部品毎に適切なサイズの円錐鏡を必要とする。また、円錐鏡は通常、画素の圧縮により、画像に歪みを引起す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
この発明は、円筒部品の内面を検査するための改良されたシステムを提供する。各円筒部品は、中心軸の周りに周方向に延在して穴を提示する内面を含む。内面の画像を取得するために、カメラが円筒部品の外側に配置され、円筒部品の中心軸と軸方向に整列している。カメラはラインスキャンカメラであり、画像の各々は一次元である。円筒部品の内面に光を向けるために、光源がカメラに隣接して配置されている。鏡が、円筒部品の穴の中の、中心軸に沿った予め定められた定位置に、内面に対して45度の角度で配置されている。鏡は光を光源から内面へと、および内面からカメラへと反射させる。
【0005】
この発明はまた、円筒部品の内面を検査するための方法も提供する。この方法は、中心軸の周りに周方向に延在する内面を各々含む、複数の円筒部品を設けるステップと、円筒部品のうちの1つの中の、中心軸に沿った予め定められた定位置に、内面に対して45度の角度で、鏡を配置するステップとを含む。この方法はまた、円筒部品の内面に光を向けるステップと、鏡と内面との間で光を反射させるステップと、円筒部品の内面の、各々一次元である複数の画像を取得するステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
この発明のシステムおよび方法は、内面上の欠陥を識別する、信頼性が高くコスト効率のよいやり方を提供する。画像の歪みが最小限である、内面の高解像度画像が提供される。また、異なるサイズの円筒部品を検査するために使用される鏡は1つだけでよく、また、円筒部品全体を検査している間および同じサイズの複数の円筒部品を検査している間は、カメラおよび光源の位置を固定したままにしてもよい。画像を使用して、200ミクロン範囲またはそれ以下の欠陥を含む欠陥を自動的に識別することができる。このため、この発明のシステムおよび方法を使用すると、先行技術に比べ、欠陥を見落として欠陥のある円筒部品を顧客に発送する可能性は著しく減少する。また、円筒部品毎の、部品取扱い時間を含む検査時間は通常、約10秒以下であり、それは先行技術よりも速い。
【0007】
図面の簡単な説明
この発明の他の利点は、以下の詳細な説明を参照し、添付図面とともに検討することによってより良好に理解されるため、容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】この発明の一局面に従った、円筒部品の内面を検査するためのシステムおよび方法の概略図である。
図1B】この発明の一局面に従った、円筒部品の内面を検査するためのシステムおよび方法の概略図である。
図1C】この発明の一局面に従った、円筒部品の内面を検査するためのシステムおよび方法の概略図である。
図2】円筒部品の内面を検査するためのシステムおよび方法の別の実施例の概略図である。
図3】この発明のシステムおよび方法を用いて検査された例示的な円筒部品の斜視図である。
図4】この発明の一実施例に従って生成された内面のむきだしの表示(unwrapped display)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施可能な実施例の詳細な説明
図面を参照すると、図1A図1Cの概略図に、円筒部品20を検査するためのシステムおよび方法の概要が示されている。
【0010】
このシステムは、内燃機関用シリンダライナーなどの円筒部品20を複数含む。円筒部品20は通常、製造業者が所有しており、顧客への出荷用に準備されている。製造業者は、円筒部品20を顧客に出荷する前に、欠陥24または傷がないか、円筒部品20の内面22を検査するために、このシステムおよび方法を採用するであろう。円筒部品20の各々は、中心軸Aの周りに周方向に延在して両端28間に穴26を提示する内面22を含む。円筒部品20はまた、内面22の反対側の外面30も含む。各円筒部品20の内面22は、図3に示すように、両端28間で内径Dを提示する。
【0011】
システムは、円筒部品20の内面22の画像を取得するためのカメラ32を含み、画像は、内面22上のあらゆる欠陥24を識別するために使用される。カメラ32は、円筒部品22の穴26に面して画像を取得するためのレンズ33を含む。カメラ32は、一度に1つの円筒部品20の画像を取得する。カメラ32は、図1Aに示すように、円筒部品20の端28のうちの1つの外側の予め定められた位置に配置されている。カメラ32はまた、円筒部品20の中心軸Aと軸方向に整列している。円筒部品20の画像を取得する間、中心軸Aに沿ったカメラ32の位置は固定されたままである。カメラ32は、同じ内径Dを有する円筒部品20を検査する場合も、同じ定位置に留まっている。しかしながら、図2に示すように、より大きいまたはより小さい内径Dを有する他の円筒部品20の画像を取得する前に、中心軸Aに沿ったカメラ32の位置は通常、横方向に調節される。
【0012】
カメラ32は好ましくは、高解像度ラインスキャンカメラであり、取得された画像の各々は一次元である。取得された各画像は単一画素群の線であるため、画像はライン画像と呼んでもよい。各ライン画像の画素は直接次々と配置されている。ライン画像の各々は、円筒部品20の内面22のごく一部を示している。カメラ32は、図3に示すように、内面22の周囲に沿った予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで、ライン画像の各々を取得する。たとえば、内面22の周りでは、c1であるライン画像が取得され、c2で別のライン画像が取得され、c3で別のライン画像が取得され、といったことが起こる。各画素は正方形であり、各ライン画像は内面22の寸法を正確に反映している。ライン画像は伸縮しない。好ましい一実施例では、カメラ(32)は、画像を取得するための電荷結合素子(charge-coupled device:CCD)を含む。
【0013】
一実施例では、ラインスキャンカメラ32は1Kであり、それは、カメラ32が1Kすなわち1000画素の画像を取得できることを意味する。カメラ32によって提供される解像度は、レンズ33の視野または観察中の表面積に依存して変化するであろう。たとえば、カメラ32が1Kで視野が100ミリメートルである場合、カメラ32によって提供される解像度は100ミクロン(100ミリメートル÷1000画素)である。このため、システムが1Kのカメラ32を含む場合、システムは300ミクロン範囲の傷を検出可能である。カメラ32が16Kで視野が100ミリメートルである場合、カメラ32によって提供される解像度は6.3ミクロン(100ミリメートル÷16000画素)である。このため、16Kのカメラ32を用いると、システムは20ミクロン範囲の傷を検出可能である。この発明のシステムで使用するために選択されるカメラ32は、検出する必要がある傷のサイズに依存して、1K〜16K以上の範囲であってもよい。
【0014】
穴26の中に、および円筒部品20の内面22に光を向けるために、光源34が、カメラ32に隣接する円筒部品20の端28とカメラ32との間に配置されている。一実施例では、光源34は、一貫した光線を内面22に向ける発光ダイオードを含む。別の実施例では、光源34は、図1A図2に示すように、カメラ32に対して互いに対向する1対の発光ダイオードを含む。各発光ダイオードは、カメラ32のレンズ33に隣接して配置されている。光源34は好ましくは、前方拡散照明を内面22に提供する。
【0015】
システムはまた、円筒部品20の穴26の中に、内面22に隣接しかつ内面22から間隔を空けて配置された鏡36を含む。鏡36は、円筒部品20の中心軸Aに沿った予め定められた位置に配置されており、ロッド37によって支持可能である。鏡36は、概してカメラ32に向かって面する鏡面38を有する。鏡面38は平面状で、円筒部品20の内面22に対して45度の角度で配置されている。鏡36は、カメラ32が内面22の画像を取得できるように、光を光源34から内面22へと、および内面22からカメラ32へと反射させる。
【0016】
円筒部品20のうちの1つについて画像を取得する間、鏡36の位置は固定されたままである。鏡36は、同じ内径Dを有する他の円筒部品20を検査する間も、同じ定位置に留まっている。しかしながら、図2に示すように、異なる内径Dを有する他の円筒部品20の画像を取得する前に、中心軸Aに沿った鏡36の位置は通常、横方向に調節される。カメラ32に対する鏡36の位置は、カメラ32によって取得される画像が歪みなく鮮明で正確であるように選択される。
【0017】
鏡36は、カメラ32から第1の距離d1間隔を空け、内面22から第2の距離d2間隔を空けている。しかしながら、一実施例では、第1の距離d1および第2の距離d2は、異なる内径Dを有する円筒部品20によって変わるものの、第1の距離d1と第2の距離d2との合計は、検査される全ての円筒部品20について一定のままである。たとえば、図1A図1Cの第1の距離d1と第2の距離d2との合計は等しく、内径Dが0.01メートルの円筒部品20を検査する際の第1の距離d1と第2の距離d2との合計は、内径Dが0.05メートルの円筒部品20を検査する際の第1の距離d1と第2の距離d2との合計と同じである。第1の距離d1と第2の距離d2との合計を一定に保つことは、歪みのない、一貫して鮮明で正確な画像を提供する。
【0018】
システムは、検査中、円筒部品20を支持するアーム40を含む。アーム40は通常、円筒部品20の外面30と係合しており、カメラ32が内面22の画像を取得している間、円筒部品20を鏡36およびカメラ32に対して連続して移動させる。アーム40は、円筒部品20を、中心軸Aの周りを360度連続して回転させる。アーム40は、図1Aに示すように、360度の回転中、第1の予め定められた横方向位置l1と呼ばれる、両端28間で中心軸Aに横方向に沿った第1の位置に、円筒部品20を保持する。円筒部品20が第1の横方向位置l1で回転している間、内面22の画像が鏡36からカメラ32へと反射され、そのためカメラ32は画像を取得できる。第1の予め定められた横方向位置l1で内面22の全周囲について画像が取得されるまで、カメラ32は、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで画像を取得する。周方向位置c1、c2、c3…cnの数、および第1の予め定められた横方向位置l1で取得される画像の数は、円筒部品20の内径Dに正比例する。
【0019】
第1の予め定められた横方向位置l1で円筒部品20の内面22の画像を取得した後で、アーム40は、図1Bに示すように、円筒部品20を、第2の予め定められた横方向位置l2へと、中心軸Aに沿って横方向に予め定められた一定距離移動させる。次に、アーム40は、円筒部品20を第2の予め定められた横方向位置l2に保持しながら、円筒部品20を、中心軸Aの周りを360度連続して回転させる。円筒部品20が第2の横方向位置lで連続して回転している間、内面22の画像が鏡36からカメラ32へと反射され、そのためカメラ32は画像を取得できる。第2の横方向位置lで内面22の全周囲について画像が取得されるまで、カメラ32は、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで画像を取得する。予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnは、第1の横方向位置l1でのものと同じである。第2の横方向位置lで取得されるライン画像の数も、円筒部品20の内径Dに正比例する。
【0020】
第2の横方向位置lで円筒部品20の内面22全体の画像を取得した後で、アーム40は、図1Cに示すように、円筒部品20を、第3の予め定められた横方向位置lへと、中心軸Aに沿って横方向に予め定められた一定距離移動させる。アーム40は、円筒部品20を第3の横方向位置lに保持しながら、円筒部品を、中心軸Aの周りを360度連続して回転させる。円筒部品20が第3の横方向位置lで連続して回転している間、内面22の画像が鏡36からカメラ32へと反射され、そのためカメラ32は画像を取得できる。第3の横方向位置lで内面22の全周囲について画像が取得されるまで、カメラ32は、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで画像を取得する。予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnは、第1の横方向位置l1および第2の横方向位置lでのものと同じである。第3の横方向位置lで取得される画像の数も、円筒部品20の内径Dに正比例する。
【0021】
画像取得ステップ、回転ステップ、および横方向移動ステップは、内面22に沿った追加の横方向位置lで画像が取得されるよう、繰返される。画像は、各横方向位置l1、l2、l3…lnで、予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで取得される。上述のように、画像の各々は、予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnのうちの1つおよび横方向位置l1、l2、l3…lnのうちの1つで取得される。円筒部品20の両端28間の内面22全体について、画像、好ましくはライン画像が取得されるまで、これらのステップは繰返される。
【0022】
ラインスキャンカメラ32によって取得される画像は、高い解像度を有する。また、画像の歪みは最小限である。なぜなら、反射を圧縮し、そのため画像が圧縮された画素を有する円錐形状の鏡とは異なり、45度の角度の平面状の鏡面38は、反射を圧縮することなく内面22を反射するためである。また、円筒部品20のうちの1つの検査中、カメラ32および鏡36が定位置にあることは、高い整列精度を可能にし、それは画像の高い品質にも寄与する。
【0023】
システムはまた、カメラ32によって取得された内面22の画像、好ましくはライン画像を組合せるためのコンピュータ42も含む。一実施例では、コンピュータ42は、図2に示すように、ケーブル43によってカメラ32に接続されている。ライン画像は、予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnおよび横方向位置l1、l2、l3…lnに従って順にともに配置されて、内面22について取得されたライン画像の各々を含む高品質のむきだしの表示を生成する。画像は通常、それらがカメラ32によって取得された順序で配置される。
【0024】
むきだしの表示は、内面22の寸法および特徴を正確に描写する。このため、むきだしの表示は、内面22の鮮明で正確な図を提供する。図4は、むきだしの表示のごく一部の一例を提供する。図4は、異なる周方向位置c1、c2、c3ではあるものの単一の横方向位置l1で各々取得された複数のライン画像を含む。図4のライン画像は、周方向位置c1、c2、c3に従って順にともに配置されている。むきだしの表示の部分には、気孔欠陥24および加工欠陥または線がはっきりと識別され得る。
【0025】
一実施例では、コンピュータ42は、画像またはむきだしの表示の標準画像処理アルゴリズムを用いて、円筒部品20の内面22上の欠陥24を自動的に識別する。別の実施例では、画像またはむきだしの表示は、欠陥24がないか手動で調べられる。内面22上の欠陥24が識別された場合、製造業者は、円筒部品20を顧客に発送する前に、円筒部品20を廃棄または修理するであろう。
【0026】
上述のように、カメラ32および鏡36が予め定められた定位置に保持されたまま、同じ内径Dを有する全ての円筒部品20が検査される。図2に示すように、異なる内径Dまたは寸法を有する円筒部品20を検査する前に、カメラ32および鏡36の位置は、中心軸Aに沿って横方向に、かつ互いに対して調節される。カメラ32および鏡36は、内面22のより鮮明でより正確な画像を提供するよう調節される。しかしながら、上述のように、異なる内径Dを有する円筒部品20を検査する場合でも、第1の距離d1と第2の距離d2との合計は同じである。異なる内径Dおよび寸法の円筒部品20を検査する前に、光を内面22へと効果的に向けるために、光源34の位置を調節することも可能である。
【0027】
好ましい一実施例では、カメラ32が画像を取得する前に、円筒部品20の内面22は洗浄される。標準的な洗浄方法を用いて、汚れ、埃、脂、および他の残り屑が、内面22から除去される。洗浄された円筒部品20のむきだしの表示は、汚れたまたは脂ぎった円筒部品20のむきだしの表示よりも品質が高い。内面22が脂ぎっていたり汚れている場合、実際の欠陥24を汚れまたは傷と区別することは難しい場合がある。
【0028】
上述のように、この発明はまた、円筒部品20の内面22を検査するための方法も提供する。この方法は、中心軸Aの周りに周方向に延在する内面22を各々含む、複数の円筒部品20を設けるステップを含む。
【0029】
次に、この方法は、円筒部品20のうちの1つの中に、中心軸Aに沿って鏡36を配置し、円筒部品20の内面22に対して45度の角度で鏡36を配置するステップを含む。この方法はまた、円筒部品20に隣接してカメラ32を配置するステップと、カメラ32を円筒部品20の中心軸Aと軸方向に整列させるステップと、第1の距離d1と第2の距離d2との合計と呼ばれる、カメラ32と鏡36との間の距離と鏡36と内面22との間の距離との合計を一定にするステップとを含む。
【0030】
システムセットアップは、カメラ32と円筒部品20との間に光源34を配置するステップと、光を光源34から鏡36に向けるステップと、光を内面22へと、および内面22からカメラ32へと反射させるステップと、円筒部品20を中心軸Aの周りを360度回転させながら、各々一次元であり、円筒部品20の内面22の一部を示す単一画素群の線を含む複数の画像を、カメラ32によって取得するステップとを含む。
【0031】
画像を取得するステップは、円筒部品20を第1の横方向位置l1で中心軸Aの周りを360度回転させながら、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで画像を取得するステップと、第1の横方向位置l1で画像を取得した後で、円筒部品20を、第2の横方向位置l2へと、中心軸Aに沿って横方向に予め定められた距離移動させるステップと、円筒部品20を第2の横方向位置l2で中心軸Aの周りを360度回転させながら、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnで画像を取得するステップとを含む。この方法は、円筒部品20の内面22全体について画像が取得されるまで、取得するステップ、回転させるステップ、および移動させるステップを繰返すステップを含む。
【0032】
好ましい一実施例では、内面22の予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnのうちの1つおよび横方向位置l1、l2、l3…lnのうちの1つでライン画像の各々を取得した後で、この方法は、ライン画像の各々を組合せて、予め定められた周方向位置c1、c2、c3…cnおよび横方向位置l1、l2、l3…lnに従ってライン画像を順に配置するステップと、配置されたライン画像を含む、円筒部品20の内面22のむきだしの表示を生成するステップとを含む。
【0033】
一実施例では、この方法は、ライン画像の標準画像処理アルゴリズムを用いて、円筒部品20の内面22上の欠陥24を自動的に識別するステップを含む。この方法は、同じ内径Dおよび寸法を有する円筒部品の各々について、これらのステップを繰返すステップを含む。異なる内径Dまたは寸法を有する円筒部品20を検査する際、この方法は、内面22の鮮明で正確な画像を取得するために、カメラ32および鏡36の位置を、中心軸Aに沿って横方向に、かつ互いに対して調節するステップを含んでいてもよい。しかしながら、第1の距離d1と第2の距離d2との合計は一定のままである。この方法はまた、光を内面22に効果的に向けるために、異なる内径Dおよび寸法の円筒部品20を検査する前に、光源34の位置を調節するステップを含んでいてもよい。
【0034】
最後に、この方法は、円筒部品20の各々についてむきだしの表示を生成するステップと欠陥24を識別するステップとを含むこれらのステップを、円筒部品20の各々について繰返すステップを含む。好ましい一実施例では、この方法は、より良好な品質の画像を得るために、画像を取得する前に円筒部品20の内面22を洗浄するステップを含む。この方法はまた、通常、円筒部品20を顧客に発送する前に、欠陥24を含む円筒部品20を廃棄するステップ、または円筒部品20の欠陥24を修理するステップを含む。
【0035】
明らかに、上述の教示に鑑みてこの発明の多くの修正および変更が可能であり、特許請求の範囲内にありながら、具体的に説明されたものとは別の態様で実践されてもよい。これらの先行する記載は、発明の新規性がその有効性を行使する任意の組合せを網羅すると解釈されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4