(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カメラ(32)が前記画像を取得している間、前記円筒部品(20)を支持し、前記円筒部品(20)を前記鏡(36)および前記カメラ(32)に対して移動させるアーム(40)を含む、請求項1に記載のシステム。
円筒部品(20)の内面(22)全体について画像が取得されるまで、前記取得するステップ、前記回転させるステップ、および前記移動させるステップを繰返すステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施可能な実施例の詳細な説明
図面を参照すると、
図1A〜
図1Cの概略図に、円筒部品20を検査するためのシステムおよび方法の概要が示されている。
【0010】
このシステムは、内燃機関用シリンダライナーなどの円筒部品20を複数含む。円筒部品20は通常、製造業者が所有しており、顧客への出荷用に準備されている。製造業者は、円筒部品20を顧客に出荷する前に、欠陥24または傷がないか、円筒部品20の内面22を検査するために、このシステムおよび方法を採用するであろう。円筒部品20の各々は、中心軸Aの周りに周方向に延在して両端28間に穴26を提示する内面22を含む。円筒部品20はまた、内面22の反対側の外面30も含む。各円筒部品20の内面22は、
図3に示すように、両端28間で内径Dを提示する。
【0011】
システムは、円筒部品20の内面22の画像を取得するためのカメラ32を含み、画像は、内面22上のあらゆる欠陥24を識別するために使用される。カメラ32は、円筒部品22の穴26に面して画像を取得するためのレンズ33を含む。カメラ32は、一度に1つの円筒部品20の画像を取得する。カメラ32は、
図1Aに示すように、円筒部品20の端28のうちの1つの外側の予め定められた位置に配置されている。カメラ32はまた、円筒部品20の中心軸Aと軸方向に整列している。円筒部品20の画像を取得する間、中心軸Aに沿ったカメラ32の位置は固定されたままである。カメラ32は、同じ内径Dを有する円筒部品20を検査する場合も、同じ定位置に留まっている。しかしながら、
図2に示すように、より大きいまたはより小さい内径Dを有する他の円筒部品20の画像を取得する前に、中心軸Aに沿ったカメラ32の位置は通常、横方向に調節される。
【0012】
カメラ32は好ましくは、高解像度ラインスキャンカメラであり、取得された画像の各々は一次元である。取得された各画像は単一画素群の線であるため、画像はライン画像と呼んでもよい。各ライン画像の画素は直接次々と配置されている。ライン画像の各々は、円筒部品20の内面22のごく一部を示している。カメラ32は、
図3に示すように、内面22の周囲に沿った予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで、ライン画像の各々を取得する。たとえば、内面22の周りでは、c
1であるライン画像が取得され、c
2で別のライン画像が取得され、c
3で別のライン画像が取得され、といったことが起こる。各画素は正方形であり、各ライン画像は内面22の寸法を正確に反映している。ライン画像は伸縮しない。好ましい一実施例では、カメラ(32)は、画像を取得するための電荷結合素子(charge-coupled device:CCD)を含む。
【0013】
一実施例では、ラインスキャンカメラ32は1Kであり、それは、カメラ32が1Kすなわち1000画素の画像を取得できることを意味する。カメラ32によって提供される解像度は、レンズ33の視野または観察中の表面積に依存して変化するであろう。たとえば、カメラ32が1Kで視野が100ミリメートルである場合、カメラ32によって提供される解像度は100ミクロン(100ミリメートル÷1000画素)である。このため、システムが1Kのカメラ32を含む場合、システムは300ミクロン範囲の傷を検出可能である。カメラ32が16Kで視野が100ミリメートルである場合、カメラ32によって提供される解像度は6.3ミクロン(100ミリメートル÷16000画素)である。このため、16Kのカメラ32を用いると、システムは20ミクロン範囲の傷を検出可能である。この発明のシステムで使用するために選択されるカメラ32は、検出する必要がある傷のサイズに依存して、1K〜16K以上の範囲であってもよい。
【0014】
穴26の中に、および円筒部品20の内面22に光を向けるために、光源34が、カメラ32に隣接する円筒部品20の端28とカメラ32との間に配置されている。一実施例では、光源34は、一貫した光線を内面22に向ける発光ダイオードを含む。別の実施例では、光源34は、
図1A〜
図2に示すように、カメラ32に対して互いに対向する1対の発光ダイオードを含む。各発光ダイオードは、カメラ32のレンズ33に隣接して配置されている。光源34は好ましくは、前方拡散照明を内面22に提供する。
【0015】
システムはまた、円筒部品20の穴26の中に、内面22に隣接しかつ内面22から間隔を空けて配置された鏡36を含む。鏡36は、円筒部品20の中心軸Aに沿った予め定められた位置に配置されており、ロッド37によって支持可能である。鏡36は、概してカメラ32に向かって面する鏡面38を有する。鏡面38は平面状で、円筒部品20の内面22に対して45度の角度で配置されている。鏡36は、カメラ32が内面22の画像を取得できるように、光を光源34から内面22へと、および内面22からカメラ32へと反射させる。
【0016】
円筒部品20のうちの1つについて画像を取得する間、鏡36の位置は固定されたままである。鏡36は、同じ内径Dを有する他の円筒部品20を検査する間も、同じ定位置に留まっている。しかしながら、
図2に示すように、異なる内径Dを有する他の円筒部品20の画像を取得する前に、中心軸Aに沿った鏡36の位置は通常、横方向に調節される。カメラ32に対する鏡36の位置は、カメラ32によって取得される画像が歪みなく鮮明で正確であるように選択される。
【0017】
鏡36は、カメラ32から第1の距離d
1間隔を空け、内面22から第2の距離d
2間隔を空けている。しかしながら、一実施例では、第1の距離d
1および第2の距離d
2は、異なる内径Dを有する円筒部品20によって変わるものの、第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計は、検査される全ての円筒部品20について一定のままである。たとえば、
図1A〜
図1Cの第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計は等しく、内径Dが0.01メートルの円筒部品20を検査する際の第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計は、内径Dが0.05メートルの円筒部品20を検査する際の第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計と同じである。第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計を一定に保つことは、歪みのない、一貫して鮮明で正確な画像を提供する。
【0018】
システムは、検査中、円筒部品20を支持するアーム40を含む。アーム40は通常、円筒部品20の外面30と係合しており、カメラ32が内面22の画像を取得している間、円筒部品20を鏡36およびカメラ32に対して連続して移動させる。アーム40は、円筒部品20を、中心軸Aの周りを360度連続して回転させる。アーム40は、
図1Aに示すように、360度の回転中、第1の予め定められた横方向位置l
1と呼ばれる、両端28間で中心軸Aに横方向に沿った第1の位置に、円筒部品20を保持する。円筒部品20が第1の横方向位置l
1で回転している間、内面22の画像が鏡36からカメラ32へと反射され、そのためカメラ32は画像を取得できる。第1の予め定められた横方向位置l
1で内面22の全周囲について画像が取得されるまで、カメラ32は、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで画像を取得する。周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nの数、および第1の予め定められた横方向位置l
1で取得される画像の数は、円筒部品20の内径Dに正比例する。
【0019】
第1の予め定められた横方向位置l
1で円筒部品20の内面22の画像を取得した後で、アーム40は、
図1Bに示すように、円筒部品20を、第2の予め定められた横方向位置l
2へと、中心軸Aに沿って横方向に予め定められた一定距離移動させる。次に、アーム40は、円筒部品20を第2の予め定められた横方向位置l
2に保持しながら、円筒部品20を、中心軸Aの周りを360度連続して回転させる。円筒部品20が第2の横方向位置l
2で連続して回転している間、内面22の画像が鏡36からカメラ32へと反射され、そのためカメラ32は画像を取得できる。第2の横方向位置l
2で内面22の全周囲について画像が取得されるまで、カメラ32は、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで画像を取得する。予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nは、第1の横方向位置l
1でのものと同じである。第2の横方向位置l
2で取得されるライン画像の数も、円筒部品20の内径Dに正比例する。
【0020】
第2の横方向位置l
2で円筒部品20の内面22全体の画像を取得した後で、アーム40は、
図1Cに示すように、円筒部品20を、第3の予め定められた横方向位置l
3へと、中心軸Aに沿って横方向に予め定められた一定距離移動させる。アーム40は、円筒部品20を第3の横方向位置l
3に保持しながら、円筒部品を、中心軸Aの周りを360度連続して回転させる。円筒部品20が第3の横方向位置l
3で連続して回転している間、内面22の画像が鏡36からカメラ32へと反射され、そのためカメラ32は画像を取得できる。第3の横方向位置l
3で内面22の全周囲について画像が取得されるまで、カメラ32は、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで画像を取得する。予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nは、第1の横方向位置l
1および第2の横方向位置l
2でのものと同じである。第3の横方向位置l
3で取得される画像の数も、円筒部品20の内径Dに正比例する。
【0021】
画像取得ステップ、回転ステップ、および横方向移動ステップは、内面22に沿った追加の横方向位置l
nで画像が取得されるよう、繰返される。画像は、各横方向位置l
1、l
2、l
3…l
nで、予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで取得される。上述のように、画像の各々は、予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nのうちの1つおよび横方向位置l
1、l
2、l
3…l
nのうちの1つで取得される。円筒部品20の両端28間の内面22全体について、画像、好ましくはライン画像が取得されるまで、これらのステップは繰返される。
【0022】
ラインスキャンカメラ32によって取得される画像は、高い解像度を有する。また、画像の歪みは最小限である。なぜなら、反射を圧縮し、そのため画像が圧縮された画素を有する円錐形状の鏡とは異なり、45度の角度の平面状の鏡面38は、反射を圧縮することなく内面22を反射するためである。また、円筒部品20のうちの1つの検査中、カメラ32および鏡36が定位置にあることは、高い整列精度を可能にし、それは画像の高い品質にも寄与する。
【0023】
システムはまた、カメラ32によって取得された内面22の画像、好ましくはライン画像を組合せるためのコンピュータ42も含む。一実施例では、コンピュータ42は、
図2に示すように、ケーブル43によってカメラ32に接続されている。ライン画像は、予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nおよび横方向位置l
1、l
2、l
3…l
nに従って順にともに配置されて、内面22について取得されたライン画像の各々を含む高品質のむきだしの表示を生成する。画像は通常、それらがカメラ32によって取得された順序で配置される。
【0024】
むきだしの表示は、内面22の寸法および特徴を正確に描写する。このため、むきだしの表示は、内面22の鮮明で正確な図を提供する。
図4は、むきだしの表示のごく一部の一例を提供する。
図4は、異なる周方向位置c
1、c
2、c
3ではあるものの単一の横方向位置l
1で各々取得された複数のライン画像を含む。
図4のライン画像は、周方向位置c
1、c
2、c
3に従って順にともに配置されている。むきだしの表示の部分には、気孔欠陥24および加工欠陥または線がはっきりと識別され得る。
【0025】
一実施例では、コンピュータ42は、画像またはむきだしの表示の標準画像処理アルゴリズムを用いて、円筒部品20の内面22上の欠陥24を自動的に識別する。別の実施例では、画像またはむきだしの表示は、欠陥24がないか手動で調べられる。内面22上の欠陥24が識別された場合、製造業者は、円筒部品20を顧客に発送する前に、円筒部品20を廃棄または修理するであろう。
【0026】
上述のように、カメラ32および鏡36が予め定められた定位置に保持されたまま、同じ内径Dを有する全ての円筒部品20が検査される。
図2に示すように、異なる内径Dまたは寸法を有する円筒部品20を検査する前に、カメラ32および鏡36の位置は、中心軸Aに沿って横方向に、かつ互いに対して調節される。カメラ32および鏡36は、内面22のより鮮明でより正確な画像を提供するよう調節される。しかしながら、上述のように、異なる内径Dを有する円筒部品20を検査する場合でも、第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計は同じである。異なる内径Dおよび寸法の円筒部品20を検査する前に、光を内面22へと効果的に向けるために、光源34の位置を調節することも可能である。
【0027】
好ましい一実施例では、カメラ32が画像を取得する前に、円筒部品20の内面22は洗浄される。標準的な洗浄方法を用いて、汚れ、埃、脂、および他の残り屑が、内面22から除去される。洗浄された円筒部品20のむきだしの表示は、汚れたまたは脂ぎった円筒部品20のむきだしの表示よりも品質が高い。内面22が脂ぎっていたり汚れている場合、実際の欠陥24を汚れまたは傷と区別することは難しい場合がある。
【0028】
上述のように、この発明はまた、円筒部品20の内面22を検査するための方法も提供する。この方法は、中心軸Aの周りに周方向に延在する内面22を各々含む、複数の円筒部品20を設けるステップを含む。
【0029】
次に、この方法は、円筒部品20のうちの1つの中に、中心軸Aに沿って鏡36を配置し、円筒部品20の内面22に対して45度の角度で鏡36を配置するステップを含む。この方法はまた、円筒部品20に隣接してカメラ32を配置するステップと、カメラ32を円筒部品20の中心軸Aと軸方向に整列させるステップと、第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計と呼ばれる、カメラ32と鏡36との間の距離と鏡36と内面22との間の距離との合計を一定にするステップとを含む。
【0030】
システムセットアップは、カメラ32と円筒部品20との間に光源34を配置するステップと、光を光源34から鏡36に向けるステップと、光を内面22へと、および内面22からカメラ32へと反射させるステップと、円筒部品20を中心軸Aの周りを360度回転させながら、各々一次元であり、円筒部品20の内面22の一部を示す単一画素群の線を含む複数の画像を、カメラ32によって取得するステップとを含む。
【0031】
画像を取得するステップは、円筒部品20を第1の横方向位置l
1で中心軸Aの周りを360度回転させながら、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで画像を取得するステップと、第1の横方向位置l
1で画像を取得した後で、円筒部品20を、第2の横方向位置l
2へと、中心軸Aに沿って横方向に予め定められた距離移動させるステップと、円筒部品20を第2の横方向位置l
2で中心軸Aの周りを360度回転させながら、内面22の周囲の予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nで画像を取得するステップとを含む。この方法は、円筒部品20の内面22全体について画像が取得されるまで、取得するステップ、回転させるステップ、および移動させるステップを繰返すステップを含む。
【0032】
好ましい一実施例では、内面22の予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nのうちの1つおよび横方向位置l
1、l
2、l
3…l
nのうちの1つでライン画像の各々を取得した後で、この方法は、ライン画像の各々を組合せて、予め定められた周方向位置c
1、c
2、c
3…c
nおよび横方向位置l
1、l
2、l
3…l
nに従ってライン画像を順に配置するステップと、配置されたライン画像を含む、円筒部品20の内面22のむきだしの表示を生成するステップとを含む。
【0033】
一実施例では、この方法は、ライン画像の標準画像処理アルゴリズムを用いて、円筒部品20の内面22上の欠陥24を自動的に識別するステップを含む。この方法は、同じ内径Dおよび寸法を有する円筒部品の各々について、これらのステップを繰返すステップを含む。異なる内径Dまたは寸法を有する円筒部品20を検査する際、この方法は、内面22の鮮明で正確な画像を取得するために、カメラ32および鏡36の位置を、中心軸Aに沿って横方向に、かつ互いに対して調節するステップを含んでいてもよい。しかしながら、第1の距離d
1と第2の距離d
2との合計は一定のままである。この方法はまた、光を内面22に効果的に向けるために、異なる内径Dおよび寸法の円筒部品20を検査する前に、光源34の位置を調節するステップを含んでいてもよい。
【0034】
最後に、この方法は、円筒部品20の各々についてむきだしの表示を生成するステップと欠陥24を識別するステップとを含むこれらのステップを、円筒部品20の各々について繰返すステップを含む。好ましい一実施例では、この方法は、より良好な品質の画像を得るために、画像を取得する前に円筒部品20の内面22を洗浄するステップを含む。この方法はまた、通常、円筒部品20を顧客に発送する前に、欠陥24を含む円筒部品20を廃棄するステップ、または円筒部品20の欠陥24を修理するステップを含む。
【0035】
明らかに、上述の教示に鑑みてこの発明の多くの修正および変更が可能であり、特許請求の範囲内にありながら、具体的に説明されたものとは別の態様で実践されてもよい。これらの先行する記載は、発明の新規性がその有効性を行使する任意の組合せを網羅すると解釈されるべきである。