【文献】
成形不良とその対策,型技術,日本,1988年 8月,vol.3,no.9(1988年8月別冊),p.126-150
【文献】
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【文献】
秋庭義明, 外3名,短繊維強化プラスチックの疲労強度に及ぼす繊維含有率と配向角の影響,材料,日本,1992年 8月,Vol. 41, No. 467,p. 1285-1291
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
合成樹脂からなる基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造方法であって、
前記芯基材部(12)を成形する芯基材部成形部と前記ハンドル基材部(11)を成形するハンドル基材部成形部とからなる第1成形空間を複数並列状に設けるとともに、隣接するハンドル基材部成形部を連通する連結部成形部を設けた、前記基材部を成形するための1組の金型(30)(31)の一方と、
前記芯基材部の少なくとも一部に対応させて清掃用軟質部成形部を有する複数個の第2成形空間を設けるとともに、その合わせ面の略直交方向に各清掃用軟質部成形部内に突出するように対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンを設けた、前記軟質部を成形する1組の金型(40)(41)の一方とが、
一体構成されるとともに、前記1組の金型(30)(31)の他方と、前記1組の金型(40)(41)の他方とが一体構成されてなる対向配置された1組の金型(71)(72)にして、前記複数の第1成形空間及び連結部成形部よりなる基材部成形部集合体と、前記複数の第2成形空間よりなる軟質部成形部集合体とを有し、
該1組の金型の一方が、前記基材部成形部集合体及び軟質部成形部集合体の先端部側を構成する本体金型と、前記本体金型の中央部の嵌合凹部に突出可能に嵌合される、前記基材部成形部集合体及び軟質部成形部集合体の基部側を構成する回転金型とに分割構成してなる1組の金型(71)(72)を備え、
前記第1成形空間における芯基材部成形部とは反対側の基端部側において、前記複数の第1成形空間にそれぞれ開口するゲートから、前記複数の第1成形空間に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時に供給して、前記連結部成形部により成形した連結部にて、複数の基材部が並列状に連結されるように、該複数の基材部を同時成形する基材部成形工程と、
前記回転金型を嵌合凹部から突出させて、前記基材部成形工程にて成形した相互に連結される複数個の基材部を本体金型から離型し、その後複数個の基材部を回転金型とともに回転させてから、該回転金型を嵌合凹部に嵌合させることで、該複数個の基材部を軟質部成形部集合体へ移送して、該複数個の基材部のうちの少なくとも芯基材部の一部を、前記軟質部成形部集合体の複数個の第2成形空間にセットし、前記少なくとも2組の保持ピンで、前記芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を清掃用軟質部成形部の略中央部にそれぞれ保持した状態で、前記複数の清掃用軟質部成形部に対して先端側から基端部側へ向けてエラストマ材料が充填されるように、第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する軟質部成形工程と、
を備えたことを特徴とする歯間清掃具の製造方法。
合成樹脂からなる基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造方法であって、
前記芯基材部(12)を成形する芯基材部成形部と前記ハンドル基材部(11)を成形するハンドル基材部成形部とからなる第1成形空間を複数並列状に設けるとともに、隣接するハンドル基材部成形部を連通する連結部成形部を設けた、前記基材部を成形するための1組の金型(30)(31)の一方と、
前記芯基材部の少なくとも一部に対応させて清掃用軟質部成形部を有する複数個の第2成形空間を設けるとともに、その合わせ面の略直交方向に各清掃用軟質部成形部内に突出するように対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンであって、少なくとも1組の対向配置した2本の保持ピンを清掃用軟質部成形部の長手方向にずらして配置した少なくとも2組の保持ピンを設けた、前記軟質部を成形する1組の金型(40)(41)の一方とが、
一体構成されるとともに、前記1組の金型(30)(31)の他方と、前記1組の金型(40)(41)の他方とが一体構成されてなる対向配置された1組の金型(71)(72)にして、前記複数の第1成形空間及び連結部成形部よりなる基材部成形部集合体と、前記複数の第2成形空間よりなる軟質部成形部集合体とを有し、
該1組の金型の一方が、前記基材部成形部集合体及び軟質部成形部集合体の先端部側を構成する本体金型と、前記本体金型の中央部の嵌合凹部に突出可能に嵌合される、前記基材部成形部集合体及び軟質部成形部集合体の基部側を構成する回転金型とに分割構成してなる1組の金型(71)(72)を備え、
前記第1成形空間における芯基材部成形部とは反対側の基端部側において、前記複数の第1成形空間にそれぞれ開口するゲートから、前記複数の第1成形空間に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時に供給して、前記連結部成形部により成形した連結部にて、複数の基材部が並列状に連結されるように、該複数の基材部を同時成形する基材部成形工程と、
前記回転金型を嵌合凹部から突出させて、前記基材部成形工程にて成形した相互に連結される複数個の基材部を本体金型から離型し、その後複数個の基材部を回転金型とともに回転させてから、該回転金型を嵌合凹部に嵌合させることで、該複数個の基材部を軟質部成形部集合体へ移送して、該複数個の基材部のうちの少なくとも芯基材部の一部を、前記軟質部成形部集合体の複数個の第2成形空間にセットし、前記少なくとも2組の保持ピンで、前記芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を清掃用軟質部成形部の略中央部にそれぞれ保持した状態で、前記複数の清掃用軟質部成形部に対して先端側から基端部側へ向けてエラストマ材料が充填されるように、第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する軟質部成形工程と、
を備えたことを特徴とする歯間清掃具の製造方法。
前記連結部成形部を、前記ハンドル基材部成形部の長さ方向に対して細長く、前記連結部成形部とその両側のハンドル基材部成形部との2つの境界部のうちの、一方の第1境界部側へ行くにしたがって薄肉に構成した請求項1又は2記載の歯間清掃具の製造方法。
前記連結部成形部とその両側のハンドル基材部成形部との2つの境界部のうちの、前記ハンドル基材部成形部の長さ方向に対する一方の第1境界部の長さを、他方の第2境界部の長さよりも短く設定した請求項1〜3のいずれか1項記載の歯間清掃具の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前述のように第2成形空間に対して芯基材部の先端部から基端側へ向けてエラストマ材料を充填する場合には、ゲートの開口面積を大きくすることができず、射出圧がどうしても高くなり、ゲート付近の芯基材部の周囲におけるエラストマ材料の射出圧にバラツキが発生し易く、射出圧の低い側へ芯基材部が湾曲して、芯基材部が露出するという成形不良が発生するという問題があった。しかも、エラストマ材料は、芯基材部との接着性を高めるため、芯基材部の溶融温度近くまで加熱されており、エラストマ材料の熱で芯基材部が軟化して変形し易くなっているので、射出圧の僅かなバラツキによっても、芯基材部が変形するという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、エラストマ材料を用いて清掃用軟質部を成形するときにおける、芯基材部の変形を防止して、清掃用軟質部の成形不良の発生を効果的に防止し得る歯間清掃具の製造方法及び歯間清掃具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)本発明に係る歯間清掃具の製造方法は、合成樹脂からなる基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部からなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具の製造方法であって、前記基材部を成形する金型に、芯基材部成形部とハンドル基材部成形部とからなる第1成形空間を複数並列状に設けるとともに、隣接するハンドル基材部成形部を連通する連結部成形部を設け、前記第1成形空間における芯基材部成形部とは反対側の基端部側において、前記複数の第1成形空間にそれぞれ開口するゲートから、前記複数の第1成形空間に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時に供給して、前記連結部成形部により成形した連結部にて、複数の基材部が並列状に連結されるように、該複数の基材部を同時成形する基材部成形工程と、前記基材部成形工程にて成形した相互に連結される複数個の基材部を、前記軟質部を成形する金型へ移送して、該複数個の基材部のうちの少なくとも芯基材部の一部を、該金型の複数個の第2成形空間にセットし、該金型の合わせ面と略直交状に各清掃用軟質部成形部内に突出するように対向配置した2本の保持ピンを1組とする複数組の保持ピンを用いて、前記芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を清掃用軟質部成形部の略中央部にそれぞれ保持した状態で、前記複数の清掃用軟質部成形部に対して先端側から基端部側へ向けてエラストマ材料が充填されるように、第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する軟質部成形工程とを備えたものである。
【0009】
この製造方法では、先ず、基材部成形工程において、第1成形空間の基端部側のゲートから、複数の第1成形空間に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時供給して、連結部にて連結された複数の基材部を成形する。次に、軟質部成形工程において、基材部成形工程にて成形した複数の基材部を連結部にて連結した状態で、軟質部を成形する金型へ移送して、該複数の基材部のうちの少なくとも芯基材部の一部(少なくとも清掃用軟質部で被覆される部分を含む)を第2成形空間にセットし、芯基材部が清掃用軟質部成形部の中央部に位置するように、複数の保持ピンで清掃用軟質部成形部の略中央部に前記芯基材部の一部を保持した状態で、清掃用軟質部成形部に対してその先端側から基端側へ向けてエラストマ材料を充填することで、基材部に対して軟質部を一体成形してなる歯間清掃具を製作することになる。
【0010】
このように、この製造方法では、前記第1成形空間の基端部側のゲートから、複数の第1成形空間に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時にそれぞれ供給するので、繊維材は第1成形空間の長さ方向、即ち基材部の長さ方向に配向されることになり、特に芯基材部の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具の使用時における、芯基材部の折れや座屈を効果的に防止できる。しかも、繊維材により基材部の寸法安定性が向上するとともに、強度剛性が高くなって芯基材部の変形が防止されるので、成形した複数の基材部のうちの少なくとも芯基材部の一部を第2成形空間に装填するときにおける装填不良を防止できる。また、繊維材により芯基材部の熱変形温度が高くなるので、清掃用軟質部を成形するときのエラストマ材料の熱により、芯基材部が軟化して変形することを効果的に防止でき、また繊維材により芯基材部の強度剛性が高くなるので、エラストマ材料の射出圧による芯基材部の変形を防止できる。そして、このように清掃用軟質部を成形するときにおける芯基材部の変形を防止できるので、清掃用軟質部の成形不良を一層効果的に防止できる。
【0011】
また、繊維材を添加することにより、複数の基材部を連結部で適度な強度で連結できるので、基材部成形工程にて成形した複数個の基材部全体を、軟質部成形工程の第2成形空間に同時に移載することも可能となり、複数個の歯間清掃具を無理なく同時成形できる。また、成形した歯間清掃具を連結部にて複数個連結した状態で包装した場合でも、歯間清掃具の包装時や流通・販売時における振動で、連結部にて連結した歯間清掃具がバラバラになるという不具合を防止でき、しかも使用時には、連結部において歯間清掃具を比較的容易に手で切り離すことができる。つまり、繊維材を添加しない場合には、例えば合成樹脂材料としてポリプロピレン(PP)を用いると、連結部において歯間清掃具を切り離す際に、連結部が変形して切り離し難くなり、また合成樹脂材料として、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いると、連結部が破断し易くなって、基材部成形工程にて成形した複数の基材部を第2成形空間へ同時に移載できなくなったり、製作した歯間清掃具を包装するときや流通・販売時に、連結部にて連結した複数の歯間清掃具がバラバラになるという不具合が発生する。また、添加した繊維材は、ハンドル基材部成形部と連結部成形部との境界部周辺部においても、第1成形空間の長さ方向、即ち歯間清掃具の長さ方向に沿って配向されるので、並列状に成形された歯間清掃具を切り離す際に、連結部を中心に隣接する歯間清掃具を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、連結部周辺部分が大きく変形することなく連結部で破断するため、歯間清掃具を綺麗に切り離すことができる。ただし、連結部と基材部との連結強度は、第1成形空間から第2成形空間への基材部の移載時や、成形した歯間清掃具の包装時や流通・販売時の振動等により、容易に分離しないような連結強度に設定することになる。
【0012】
更に、芯基材部の先端側から芯基材部の基部側へ向けてエラストマ材料を充填して清掃用軟質部を成形するので、軟質部成形用の金型の金型構造を複雑にすることなく、複数個の歯間清掃具を同時成形することが可能となる。更にまた、対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンで、芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を保持することになるが、これらの複数の対向配置した保持ピンは、軟質部成形用の金型の合わせ面と略直交状に清掃用軟質部成形部内に突出するように、つまり軟質部成形用の金型の型開閉方向に突出するように設けられているので、従来のように、芯基材部の長さ方向の同じ位置における芯基材部の円周箇所を3本以上の保持ピンで保持する場合と比較して、軟質部成形用の金型の金型構造を簡単にできるとともに、清掃具成形空間におけるエラストマ材料の流れ難さ(以下、流通抵抗という)を小さくでき、更にエラストマ充填時に保持ピン付近で発生するカルマン渦の影響も抑えることができる。また、エラストマ材料が最も充填され難い、芯基材部の先端側からエラストマ材料を充填するので、清掃用軟質部の先端部の成形性を十分に確保できる。
【0013】
(2)前記(1)の歯間清掃具に記載の製造方法において、前記連結部成形部を、前記ハンドル基材部成形部の長さ方向に対して細長く、前記連結部成形部とその両側のハンドル基材部成形部との2つの境界部のうちの、一方の第1境界部側へ行くにしたがって薄肉に構成することが好ましい実施の形態である。このように構成すると、ハンドル基材部成形部に供給した合成樹脂材料が、連結部成形部に対して他方の第2境界部側から入りやすくなり、両境界部に同時に合成樹脂材料が到達した場合でも、隣接するハンドル基材部成形部に供給した合成樹脂材料が、該第1境界部付近において合流することになるので、成形された基材部は、該第1境界部に対応する位置において切り離し易くなる。しかも、合成樹脂材料に添加した繊維材が、連結部成形部における該第1境界部周辺部において、ハンドル基材部成形部の長さ方向に沿って配向され易くなるので、このことによっても、該第1境界部に対応する位置において基材部を切り離し易くなる。このため、複数併設されるように成形された歯間清掃具を、外側から順番に容易に切り離して使用することが可能となる。
【0014】
(3)前記(1)又は(2)に記載の歯間清掃具の製造方法において、前記連結部成形部とその両側のハンドル基材部成形部との2つの境界部のうちの、前記ハンドル基材部成形部の長さ方向に対する一方の第1境界部の長さを、他方の第2境界部の長さよりも短く設定することが好ましい実施の形態である。このように構成すると、ハンドル基材部成形部へ供給した合成樹脂材料が、第2境界部側から連結部成形部に対して一層円滑に入り易くなり、隣接するハンドル基材部成形部へ供給した合成樹脂材料の合流部を一層効果的に、前記第1境界部付近に配置できるとともに、第1境界部周辺部において、ハンドル基材部の長さ方向に沿って繊維材を一層綺麗に配向できるので、第1境界部に対応する位置において歯間清掃具をより一層切り離し易くできる。
【0015】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記連結部成形部を、前記ハンドル基材部成形部の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい実施の形態である。連結部成形部を、前記ハンドル基材部成形部の長さ方向の途中部に1つだけ設けることも可能であるが、連結部成形部により成形される連結部が1つの場合、隣接する基材部の連結強度を十分に確保できず、歯間清掃具の成形後、型開きするときに連結部が破断して、歯間清掃具がバラバラになり、成形不能になったり、連結部が折れ曲がるなどの変形を生じ、第2成形空間の適正位置に基材部を装填する場合は、装填不良を生じ易いため、歯間清掃用軟質部の成形不良が発生したりするので、連結部成形部は相隣り合う1対の基材部において2個以上設けることが好ましい。また、基材部の長さ方向に対する連結部の長さが長くなり過ぎると、歯間清掃具を切り離したときに連結部の破断面の両端部の角部が鋭角状になることがあるので、短尺な連結部成形部をハンドル基材部成形部の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
【0016】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記繊維材として、ガラス繊維を用い、前記合成樹脂材料に対するガラス繊維の配合割合を12重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい。つまり、繊維材としてのガラス繊維の配合割合は、12重量%未満の場合には清掃部が曲り易くなって、細孔構造の歯間部に挿入し難くなり、35重量%を超えると清掃部が折れ易くなり、口腔内を損傷したり、破断片を誤飲したりする恐れがあるので、12重量%以上、35重量%以下に設定することが好適である。
【0017】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記合成樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いることが好ましい実施の形態である。特に、ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから好ましい。合成樹脂材料としてポリプロピレン(PP)を用いる場合には、繊維材の配合割合を15重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましく、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる場合には、12重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい。
【0018】
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記芯基材部の先端側部分を保持する1組の保持ピンの断面積を0.03mm
2〜0.3mm
2に設定するとともに、該1組の保持ピンを清掃用軟質部成形部の先端部から基端側へ向けて3mmの範囲内に配置し、前記芯基材部の基端側部分を保持する1組の保持ピンの断面積を0.1mm
2〜1.1mm
2に設定するとともに、該1組の保持ピンを清掃用軟質部成形部の基端部から先端側へ向けて6mmの範囲内に配置することも好ましい実施の形態である。この場合には、エラストマ材料の流通抵抗を極力少なくしつつ芯基材部を清掃用軟質部成形部の中央部に安定性良く保持でき、かつ軟質部の成形時において発生するカルマン渦の成形体に対する影響を抑えることができるので、射出圧にバラツキが多少発生したとしても、芯基材部の変形を抑制して、芯基材部の変形による成形不良を防止できる。
【0019】
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記複数組の保持ピンのうちの少なくとも1組の対向配置した2本の保持ピンを清掃用軟質部成形部の長手方向にずらして配置することが好ましい実施の形態である。このように対向配置した2本の保持ピンを清掃用軟質部成形部の長手方向にずらして配置すると、該2本の保持ピン間に芯基材部を保持したときに、芯基材部の固定する面積が事実上広くなるので、より一層強固に芯基材部を保持することが可能となる。
【0020】
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記清掃用軟質部成形部の基部側に行くにしたがって保持ピンの断面積を大きく設定することが好ましい実施の形態である。清掃用軟質部成形部は、基端部側に行くにしたがって通路面積が大きくなるので、それに応じて清掃用軟質部成形部の基部側に行くにしたがって保持ピンの断面積を大きく設定すると、清掃用軟質部成形部の先端側部分におけるエラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定できるとともに、各々の保持ピン付近で生じるカルマン渦の成形体や保持ピンに対する影響を更に抑えることができ、芯基材部の保持を向上させたり、清掃用軟質部成形部に対するエラストマ材料の充填不良を防止することができる。
【0021】
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記保持ピンを清掃用軟質部成形部に対して出没自在に設けることができる。保持ピンは、軟質部成形用の金型に固定的に設けることもできるが、基材部成形用の金型で成形した基材部を軟質部成形用の金型にセットする際に、芯基材部が保持ピンと接触することにより、軟質部成形用の金型に対する芯基材部の装填不良が発生し易い。このため、本発明のように、保持ピンを清掃用軟質部成形部に対して出没自在に設けて、第2成形空間の清掃用軟質部成形部に芯基材部を装填するときに、保持ピンを型内に没入させ、保持ピンの突出していない清掃用軟質部成形部に対して芯基材部を装填し、型閉じしてから保持ピンを突出させることにより、芯基材部を適正位置に保持させ、軟質部成形用の金型に対する芯基材部の装填不良を防止することが好ましい。
【0022】
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記基材部を構成する合成樹脂材料と、前記軟質部を構成するエラストマ材料とが相溶性を有することが好ましい実施の形態である。この場合には、軟質部が基材部から剥離することを効果的に防止できるので、耐久性に優れた歯間清掃具を実現できる。
【0023】
(12)前記(1)〜(11)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法において、前記エラストマ材料として、他のエラストマ、例えばオレフィン系のエラストマに比して、低硬度グレードにおいても流動特性が高く、かつ合成樹脂との接着特性も良好な、スチレン系のエラストマ材料を用いることが好ましい実施の形態である。より具体的には、エラストマ材料のショアAの値は5〜70であり、その中でも10〜50が好ましく、20〜50がより好ましく、30〜40が最も好ましい。
【0024】
(13)本発明に係る歯間清掃具は、合成樹脂からなる基材部と、前記基材部の少なくとも一部を被覆するエラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材部と、前記ハンドル基材部の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部とを有し、前記軟質部は、前記芯基材部を被覆する清掃用軟質部を少なくとも有し、前記ハンドル基材部及び場合によっては軟質部とからなる持ち手としてのハンドル部と、前記芯基材部と清掃用軟質部とからなる歯間清掃用の清掃部とを備えた歯間清掃具であって、前記歯間清掃具を複数個並列状に配置して、隣接する歯間清掃具を連結する連結部を、隣接するハンドル基材部にわたって、該ハンドル基材部と一体的に設け、前記基材部を、繊維材を添加した合成樹脂材料で構成して、該繊維材を基材部の長さ方向に配向させるとともに、前記連結部とその両側のハンドル基材部との2つの境界部のうちの少なくとも一方の第1境界部周辺部において、該繊維材を基材部の長手方向に配向させて、前記第1境界部において隣接する歯間清掃部を切り離し可能に構成したものである。
【0025】
この歯間清掃具では、基材部の長さ方向に繊維材が配向されるので、基材部の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具の使用時における、芯基材部の折れや座屈を効果的に防止できる。しかも、繊維材により基材部の寸法安定性が向上するとともに、強度剛性が高くなって変形が防止され、しかも基材部に対して精度良く清掃用軟質部を成形できるので、精度の良い高品位な歯間清掃具を実現できる。更に、複数の歯間清掃具を並列状に連結しているので、歯間清掃具の成形性や包装性を向上できる。また、連結部とハンドル基材部との2つの境界部のうちの少なくとも一方の第1境界部周辺部においては、ハンドル基材部の長手方向に繊維材が配向されることで連結部周辺の変形を伴わず破断できるため、複数並列状に連結した歯間清掃具を第1境界部において綺麗に切り離すことができる。
【0026】
(14)前記(13)に記載の歯間清掃具において、前記連結部をハンドル基材部の長さ方向に対して細長く、前記第1境界部側へ行くにしたがって薄肉に構成することが好ましい実施の形態である。このように構成することで、前記製造方法にて詳細に説明したように、隣接するハンドル基材部成形部へ供給した合成樹脂材料の合流部が、連結部の第1境界部に配置され、しかも該第1境界部において合成樹脂材料に添加した繊維材がハンドル基材部の長さ方向に沿って配向され易くなるので、歯間清掃具の使用時には、前記第1境界部周辺部分が大きく変形することなく第1境界部において歯間清掃具を綺麗に且つ容易に切り離すことができる。
【0027】
(15)前記(13)又は(14)に記載の歯間清掃具において、前記ハンドル基材部の長さ方向に対する連結部の第1境界部の長さを、他方の第2境界部の長さよりも短く設定することが好ましい実施の形態である。このように構成することで、前記第1境界部における連結部とハンドル基材部との連結強度を、第2境界部における連結部とハンドル基材部との連結強度よりも小さくでき、前記第1境界部において歯間清掃具を、より一層容易に且つ円滑に切り離すことが可能となる。
【0028】
(16)前記(13)〜(15)のいずれかに記載の歯間清掃具において、前記連結部をハンドル基材部の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい実施の形態である。連結部はハンドル基材部の長さ方向の途中部に1個だけ設けることも可能であるが、そのように構成すると、隣接する基材部の連結強度を十分に確保できず、歯間清掃具の成形後、型開きするときに連結部が破断して、歯間清掃具がバラバラになったり、連結部が折れ曲がって、成形不良が発生したりするので、2箇所以上設けることが好ましい。また、基材部の長さ方向に対する連結部の長さが長くなり過ぎると、歯間清掃具を切り離したときに連結部の切断面両端部の角部が鋭角状になることがあるので、短尺な連結部をハンドル基材部の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
【0029】
(17)前記(13)〜(16)のいずれかに記載の歯間清掃具において、前記繊維材として、ガラス繊維を用い、前記合成樹脂材料に対するガラス繊維の配合割合を12重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい実施の形態である。つまり、繊維材としてのガラス繊維の配合割合は、12重量%未満の場合には清掃部が曲り易くなって、細孔構造の歯間部に挿入し難くなり、35重量%を超えると清掃部が折れ易くなり、口腔内を損傷したり、破断片を誤飲したりする恐れがあるので、12重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい。
【0030】
(18)前記(13)〜(17)のいずれかに記載の歯間清掃具において、前記合成樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いることが好ましい実施の形態である。特に、ポリプロピレンは、成形温度が低く、基材部の成形サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから好ましい。合成樹脂材料としてポリプロピレン(PP)を用いる場合には、繊維材の配合割合を15重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましく、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる場合には、12重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい。
【0031】
(19)前記(13)〜(18)のいずれかに記載の歯間清掃具において、前記芯基材部をその先端側へ行くにしたがって縮径するテーパ形状に形成し、前記芯基材部の長さ方向に対する該テーパ形状のなす角度を0.2°〜1.5°に設定することが好ましい実施の形態である。このように構成することで、歯間に対する清掃部の挿入性を向上できるとともに、歯間清掃時に、各々大きさの異なる歯間鼓形空隙部の歯間乳頭部を1本の歯間清掃具を用いて無理なく優しくマッサージできるという付加的効果も得られる。
【0032】
(20)前記(13)〜(19)のいずれかに記載の歯間清掃具において、前記エラストマ材料として、他のエラストマ、例えばオレフィン系のエラストマに比して低硬度グレードにおいても流動特性が高く、かつ合成樹脂との接着特性も良好な、スチレン系のエラストマ材料を用いることが好ましい実施の形態である。より具体的には、エラストマ材料のショアAの値は5〜70であり、その中でも10〜50が好ましく、20〜50がより好ましく、30〜40が最も好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係る歯間清掃具の製造方法によれば、第1成形空間の基端部側のゲートから、複数の第1成形空間に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時にそれぞれ供給するので、繊維材は第1成形空間の長さ方向、即ち基材部の長さ方向に配向されることになり、特に芯基材部の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具の使用時における、芯基材部の折れや座屈を効果的に防止できる。しかも、繊維材により基材部の寸法安定性が向上するとともに、強度剛性が高くなって基材部の変形が防止されるので、成形した複数の基材部のうちの少なくとも芯基材部を第2成形空間に装填するときにおける装填不良を防止できる。また、繊維材により芯基材部の熱変形温度が高くなるので、清掃用軟質部を成形するときのエラストマ材料の熱により、芯基材部が軟化して変形することを効果的に防止でき、また繊維材により芯基材部の強度剛性が高くなるので、エラストマ材料の射出圧による芯基材部の変形を防止できる。そして、このように清掃用軟質部を成形するときにおける芯基材部の変形を防止できるので、清掃用軟質部の成形不良を一層効果的に防止できる。
【0034】
また、繊維材を添加することにより、複数の基材部を連結部で適度な強度で連結できるので、成形した歯間清掃具を連結部にて複数個連結した状態で包装した場合でも、歯間清掃具の包装時や流通・販売時における振動等で、連結部にて連結した歯間清掃具がバラバラになるという不具合を防止でき、しかも使用時には、連結部において歯間清掃具を比較的容易に手で切り離すことができる。また、添加した繊維材は、ハンドル基材部成形部と連結部成形部との境界部周辺部においても、第1成形空間の長さ方向、即ち歯間清掃具の長さ方向に沿って配向されるので、並列状に成形された歯間清掃具を切り離す際に、連結部を中心に隣接する歯間清掃具を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、連結部において歯間清掃具を綺麗に切り離すことができる。
【0035】
更に、芯基材部の先端側から芯基材部の基部側へ向けてエラストマ材料を充填して清掃用軟質部を成形するので、軟質部成形用の金型の金型構造を複雑にすることなく、複数個の歯間清掃具を同時成形することが可能となる。更にまた、例えば上下方向などのように対向配置した2本の保持ピンを1組とする少なくとも2組の保持ピンで、芯基材部の先端側部分と基端側部分を含む芯基材部の長さ方向の2か所以上を保持することになる。これら対向配置された保持ピンを前記2組以外にも設ける場合は、対向する両面において同じ数ずつ保持ピンを設けることが望ましいが、両面で異なる本数の保持ピンを設けても良い。これらの対向配置した2本の保持ピンは、軟質部成形用の合わせ面と略直交状に清掃用軟質部成形部内に向けて突出するように、つまり軟質部成形用の金型の型開閉方向に突出するように設けられているので、芯基材部の長さ方向の同じ位置における芯基材部の円周箇所を3本以上の保持ピンで保持する場合と比較して、軟質部成形用の金型の金型構造を簡単にできるとともに、清掃具成形空間におけるエラストマ材料の流通抵抗を小さくでき、更にエラストマ充填時に保持ピン付近で発生するカルマン渦の影響も抑えることができる。また、エラストマ材料が最も充填され難い、芯基材部の先端側からエラストマ材料を充填するので、清掃用軟質部の先端部の成形性を十分に確保できる。
【0036】
本発明に係る歯間清掃具によれば、この歯間清掃具では、基材部の長さ方向に繊維材が配向されるので、基材部の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具の使用時における、芯基材部の折れや座屈を効果的に防止できる。しかも、繊維材により基材部の寸法安定性が向上するとともに、強度剛性が高くなって変形が防止され、しかも基材部に対して精度良く清掃用軟質部を成形できるので、精度の良い高品位な歯間清掃具を実現できる。更に、複数の歯間清掃具を並列状に連結しているので、歯間清掃具の成形性や包装性を向上できる。また、連結部とハンドル基材部との2つの境界部のうちの少なくとも一方の第1境界部周辺部においては、ハンドル基材部の長手方向に繊維材が配向されることで連結部周辺の変形を伴わず破断できるため、複数並列状に連結した歯間清掃具を第1境界部において綺麗に切り離すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
<歯間清掃具>
先ず、歯間清掃具1の構成について説明する。
図1〜
図6に示すように、歯間清掃具1は、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、持ち手としてのハンドル部3とを備え、その素材で区別すると、合成樹脂からなる基材部10と、エラストマからなる軟質部20とを備えている。この歯間清掃具1は、複数個の歯間清掃具1を切り離し可能に並列状に連結してなる歯間清掃具連結体1Aの形態に製作され、利用者は、歯間清掃具連結体1Aの一側から順番に歯間清掃具1を連結部13において切り離して、歯間清掃具1を順次使用することになる。なお、
図1では、10個の歯間清掃具1を並列状に連結して歯間清掃具連結体1Aを構成したが、歯間清掃具連結体1Aを構成する歯間清掃具1の連結個数は任意に設定可能である。
【0039】
(基材部)
基材部10は、繊維材を添加した合成樹脂からなり、
図1〜
図6に示すように、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設した細長い軸状の芯基材部12と、隣接するハンドル基材部11を切り離し可能に連結する連結部13とを備えている。
【0040】
ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成したが、手で保持して歯間を清掃し易い形状であれば、扁平な細長い板状以外の任意の形状、例えば円形や楕円形や多角形などの横断面形状の棒状に形成することもできる。ハンドル基材部11の先端部は芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯基材部12に滑らかに連設されている。ハンドル基材部11の寸法は、手で保持して歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定でき、
図1〜
図6に示す形状のハンドル基材部11では、例えば長さL1は10mm〜25mm、幅W1は4mm〜10mm、把持部分の厚さt1は1.0mm〜2.0mmに設定できる。このように、ハンドル基材部11を薄肉に構成しているので、基材部10を成形するときに、ハンドル基材部11の収縮による寸法バラツキを少なくできるとともに、ヒケを防止して、軟質部20を成形するための第2金型40、41への基材部10の装填不良を防止できる。
【0041】
芯基材部12は、略直線状の細長い軸状に形成され、芯基材部12の把持部側には外部に露出する露出部12aが形成され、芯基材部12の先端側部分にはエラストマが被覆されて歯間に挿入可能な芯本体12bが形成され、芯基材部12は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。幅狭に構成されるハンドル基材部11の先端部側面のアール(湾曲部)の終点から軟質部20の被覆部20aの基端部までの芯基材部12の露出部12aの長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm〜50mm、好ましくは10mm〜25mmに設定され、清掃用軟質部21の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば12mm〜22mmに設定されている。芯基材部12の中心線に対するテーパ形状のなす角度θは、歯間への挿入性を考慮して、0.2°〜2.5°、好ましくは0.2°〜1.5°に設定されている。芯本体12bの先端側部分の直径は0.4mm〜0.6mmに設定され、芯本体12bの基端部の直径は0.8mm〜2.0mmに設定され、また清掃用軟質部21の被覆部21aの先端部分の曲面終端部における直径Dは0.5〜1.2mmに設定され、芯本体12bの先端部から少なくとも5mm以上の芯本体12bの先端側部分を確実に歯間に挿入できるように構成されている。ただし、芯基材部12のテーパ形状のなす角度θは、芯基材部12の全長にわたって同じ角度θに設定したが、芯基材部12の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することもできる。また、露出部12aを全長にわたって同じ直径の軸状に形成し、芯本体12bのみを先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成することもできる。更に、露出部12aを省略し、芯本体12bをハンドル基材部11に直接的に連設することも可能である。
【0042】
図2〜
図4に示すように、連結部13は、隣接するハンドル基材部11間においてハンドル基材部11に一体的に形成され、ハンドル基材部11の基端部側と先端部側とに長手方向に間隔をあけて1対設けられている。隣接するハンドル基材部11と両ハンドル基材部11間の連結部13との境界部13a、13bの長さL4、L5は、例えば1.5mm〜3.0mmに設定されるとともに、第1境界部13aの長さL4が第2境界部13bの長さL5よりも短く設定され、連結部13はハンドル基材部11の長さ方向に細長く、正面視において台形状(
図3では等脚台形状)に形成されている。連結部13の個数は、任意に設定可能で、1個だけ設けることも可能であるが、そのように構成すると、歯間清掃具1の製造時に、隣接する基材部10の連結強度を十分に確保できず、基材部10の成形後、型開きするときに連結部13が破断して、基材部10がバラバラになり、軟質部20の成形ができなくなったり、連結部13が折れ曲がって、軟質部20を成形するための第2成形空間42の適正位置に基材部10を装填できず、成形不良が発生したりすることがあるので、ハンドル基材部11の長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
【0043】
連結部13の突出長さL6は、例えば0.5mm〜1.5mmに設定され、連結部13の第1境界部13aにおける厚さt2は第2境界部13bにおける厚さt3よりも小さく設定され、連結部13は第2境界部13bから第1境界部13a側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に薄肉に構成され、連結部13の横断面は台形状又は三角形状(
図4では等脚台形状又は二等辺三角形状)に形成され、
図4に仮想線で示すように、第1境界部13aを中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げて、第1境界部13aに曲げ力を集中させるとともに、ハンドル基材部11の側縁の円弧状の側面11aが連結部13の外面に接触することで、テコの原理により第1境界部13aに対して引き離す方向への大きな力を作用させて、第1境界部13aにおいて連結部13の大きな変形を伴なわずに歯間清掃具1を綺麗に切り離すことができるように構成されている。連結部13の第1境界部13aにおける厚さt2は例えば0.10mm〜0.25mmに設定することが好ましく、特に0.15mmに設定することが最適である。連結部13の第2境界部13bにおける厚さt3は例えば0.60mm〜0.80mmに設定することが好ましく、特に0.65mmに設定することが最適である。ただし、連結部13の形状は、連結部13を中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、容易に且つ綺麗に切り離すことができるように構成されていれば任意の形状に形成することができる。また、連結部13の突出長さL6の途中部が最も薄肉になるように構成することも可能であるが、第1境界部13aに対して引き離す方向への大きな力をテコの原理により作用させ難くなるので、連結部13の突出方向の一方の端部が最も薄肉になるように構成することが好ましい。また、連結部13におけるハンドル基材部11の基端部側の斜辺13cの内角θ1と、先端部側の斜辺13dの内角θ2とは任意の角度に設定できるが、90°よりも小さい角度に設定することが好ましく、また内角θ1、θ2を異なる角度に設定する場合には、基端部側の斜辺13cの内角θ1を先端部側の斜辺13dの内角θ2よりも小さな角度に設定することで、第1境界部13a付近において合成樹脂材料に含まれる繊維材をハンドル基材部11の長さ方向に配向させ、また隣接するハンドル基材部11の合成樹脂材料の合流部を第1境界部13a付近に形成でき、第1境界部13aにおける歯間清掃具1の切り離し性を一層向上できるので好ましい。
【0044】
基材部10を構成する合成樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、飽和ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などの熱可塑性合成樹脂材料を採用できる。特に、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、基材部10の折れを防止できることから好ましく、ポリプロピレンは、成形温度が低く、サイクルタイムを短縮して生産性を向上できるとともに、成形設備に対する熱負荷が少ないことから最も好ましい。
【0045】
基材部10を構成する合成樹脂材料に対して添加する繊維材としては、ガラス繊維や炭素繊維やアラミド繊維などを採用することができる。繊維材の配合割合は、基材部10を構成する合成樹脂材料にもよるが、基本的には、12重量%未満の場合には曲り易くなって、清掃部2を歯間に挿入し難くなり、35重量%を超えると清掃部2が折れ易くなるので、12重量%以上35重量%以下に設定することが好ましく、15重量%以上35重量%以下に設定することがより好ましく、20重量%以上30重量%以下に設定することが特に好ましい。具体的には、合成樹脂材料としてポリプロピレン(PP)を用いる場合には、繊維材の配合割合を15重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましく、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いる場合には、12重量%以上、35重量%以下、15重量%以上、35重量%以下に設定することが好ましい。
【0046】
また、繊維材は、その長さ方向が基材部10の長さ方向に沿った方向となるように配向されていることが好ましく、このように構成することで、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯基材部12の折れや座屈を効果的に防止できる。また、繊維材を基材部10の長さ方向に配向させると、連結部13の第1境界部13aにおいても、基材部10の長さ方向に沿って繊維材が配向されるので、並列状に成形された歯間清掃具1を切り離す際に、第1境界部13aを中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、第1境界部13aにおいて歯間清掃具1を綺麗に切り離すことができる。更に、繊維材を添加すると、基材部10の寸法安定性が向上するとともに、基材部10の強度剛性が高くなって変形が防止されるので、成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42に装填する場合は装填不良も防止できる。更に、繊維材により芯基材部12の熱変形温度が高くなるので、清掃用軟質部21を成形するときのエラストマ材料の熱により、芯基材部12が軟化して変形することを効果的に防止できるとともに、繊維材により強度剛性が高くなるので、エラストマ材料の射出圧による芯基材部12の変形を防止でき、清掃用軟質部21の成形不良を効果的に防止できる。
【0047】
(軟質部)
軟質部20は、
図1〜
図6に示すように、エラストマ材料を用いて基材部10に一体成形したもので、芯基材部12に外装した清掃用軟質部21を備えている。ただし、軟質部20として、芯本体12bの基端部に歯間への挿入を規制する環状の挿入規制部を設けたり、ハンドル基材部11に滑り止め部を設けたりすることも可能である。挿入規制部や滑り止め部は、清掃用軟質部21とは独立に成形することも可能であるが、金型構造が複雑になるので、清掃用軟質部21の基部に連なるように形成することが好ましい。
【0048】
清掃用軟質部21は、芯基材部12に被覆される被覆部21aと、被覆部21aに長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の突起部21bとを有している。
【0049】
被覆部21aの肉厚は、厚過ぎると被覆部21aに覆われている芯本体12bの直径を小さくする必要が生じるため、歯間への挿入時における清掃部の剛性が大きく低下するだけでなく、成形時にカルマン渦が発生し易かったりカルマン渦の影響を大きく受ける恐れがあるため好ましくなく、薄過ぎると清掃部2の基端部までエラストマ材料を充填できないので好ましくない。このため、被覆部21aの肉厚は、0.1mm〜0.2mmに設定することが好ましい。
【0050】
突起部21bは、被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、被覆部21aの周方向に間隔をあけて配置されている。より具体的には、後述する第2金型40、41により成形できるように、被覆部21aの周方向には、被覆部21aから型開閉方向の一側方に突出する2つ1組の突起部21bと、被覆部21aから型開閉方向の他側方に突出する2つ1組の突起部21bと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って一側方へ突出する1つの突起部21bと、被覆部21aから合わせ面40a、41aに沿って他側方へ突出する1つの突起部21bの計6種類の突起部21bが配置され、これら6種類の突起部21bが被覆部21aの長さ方向に相互に間隔をあけて複数組形成されている。ただし、突起部21bは、上述した以外の配列パターンで形成することも可能である。
【0051】
突起部21bの基端部の断面積や長さ、個数や配設ピッチは、任意に設定可能であるが、成形性及び清掃性を考慮して、突起部21bの基端部の断面積は、0.03mm
2〜1.5mm
2程度に設定することが好ましく、突起部21bの長さは0.5mm〜2.0mm程度に設定することが好ましく、突起部21bの個数は20個〜100個に設定することが好ましく、突起部21bの配設ピッチは0.5mm〜1.5mmに設定することが好ましい。また、突起部21bとして、円錐状のものを採用したが、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものを採用することもできる。更に、突起部21bの断面形状としては、円形以外に、楕円形や多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。
【0052】
軟質部20を構成するエラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマや、6ナイロン、6−6ナイロン、6−10ナイロン、6−12ナイロン等のナイロン系エラストマや、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなどを採用できる。特に、基材部10を構成する合成樹脂材料との相溶性を有する材料が好ましく、例えば基材部10をポリプロピレンで構成する場合には、軟質部20をポリオレフィン系エラストマ又はスチレン系エラストマで構成することが好ましい。
【0053】
<製造方法>
次に、歯間清掃具1の製造方法について説明する。
この歯間清掃具1の製造方法は、
図7〜
図12に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する基材部成形工程と、第1金型30、31にて成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形する軟質部成形工程とを備えている。
【0054】
(基材部成形工程)
基材部成形工程では、
図7〜
図9に示すように、第1金型30、31の第1成形空間32に繊維材を添加した合成樹脂材料を充填して基材部10を製作する。より具体的には、第1金型30、31として、芯基材部成形部32aとハンドル基材部成形部32bとからなる第1成形空間32を複数並列状に形成し、隣接するハンドル基材部成形部32b間にそれに連通する1対の連結部成形部35をそれぞれ形成するとともに、これら複数の第1成形空間32の基端側にランナ33を形成し、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32をランナ33に連通したものを用い、ランナ33へ繊維材を添加した合成樹脂材料を供給することで、ゲート34を通じて複数の第1成形空間32内に繊維材を添加した合成樹脂材料を充填して、複数の基材部10を同時成形することになる。そして、複数の基材部10とランナ部37とゲート部36と連結部13とを有する一次成形品10Aを製作する。なお、基材部10は1つずつ成形することも可能であるが、複数個の基材部10を同時に成形することで、生産性を向上できるとともに、成形されたランナ部37を保持して、複数個の基材部10を同時に移載でき、作業性を向上できるので好ましい。また、ゲート34は、第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側、より好ましくは連結部成形部35よりも第1成形空間32の芯基材部成形部32aとは反対側の基端部側であれば、任意の位置に形成することができるが、第1成形空間32の基端部にゲート34としてサイドゲートを形成すると、第2金型40、41に一次成形品10Aを装填する際に、一次成形品10Aのゲート部36が第2金型40、41間に挟み込まれるリスクを低減できるので好ましい。また、第1金型30、31に、コールドランナからなるランナ33に代えてホットランナを設けることも可能であるが、第1金型30、31が大型になるとともに製作コストが高くなるので、コールドランナからなるランナ33を設けることが好ましい。また、ランナ部37により複数の基材部10を安定性良く連結できるので、一次成形品10Aを第2金型40、41に移載するときに、一次成形品10Aのハンドリング性を向上できるので好ましい。更に、ゲート34として例えば円柱形様若しくは紡錘形様で直径0.1〜1.5mmの範囲にあるピンゲートを採用すると、コールドランナを採用でき、ゲート34の間隔を狭くして成形品を小型に構成できるので好ましい。
【0055】
図7〜
図9に示すように、連結部成形部35は、それにより成形される連結部13と同じ寸法に構成され、隣接するハンドル基材部成形部32bと両ハンドル基材部成形部32b間の連結部成形部35との境界部35a、35bの長さCL4、CL5は、例えば1.5mm〜3.0mmに設定されるとともに、第1境界部35aの長さCL4が第2境界部35bの長さCL5よりも短く設定され、連結部成形部35はハンドル基材部成形部32bの長さ方向に細長く、正面視において台形状(
図8では等脚台形状)に形成されている。
【0056】
連結部成形部35の長さCL6は、例えば0.5mm〜1.5mmに設定され、連結部成形部35の第1境界部35aにおける厚さCt2は第2境界部35bにおける厚さCt3よりも小さく設定され、連結部成形部35は第2境界部35bから第1境界部35a側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に厚さが薄くなるように構成され、連結部成形部35の断面は、台形状又は三角形状(
図9では等脚台形状又は二等辺三角形状)に形成されている。
【0057】
第1境界部35aにおける連結部成形部35の厚さCt2は例えば0.10mm〜0.25mmに設定することが好ましく、特に0.15mmに設定することが最適である。第2境界部35bの厚さCt3は例えば0.60mm〜0.80mmに設定することが好ましく、特に0.65mmに設定することが最適である。
【0058】
連結部成形部35の個数は、任意に設定可能で、1個だけ設けることも可能であるが、そのように構成すると、隣接する基材部10の連結強度を十分に確保できず、基材部10の成形後、型開きするときに連結部13が破断して、基材部10がバラバラになり、成形不能になったり、連結部13が折れ曲がって、第2成形空間42の適正位置に基材部10を装填できず、成形不良が発生したりするので、ハンドル基材部成形部32bの長さ方向に間隔をあけて2個以上設けることが好ましい。
【0059】
この基材部成形工程では、第1成形空間32の連結部成形部35よりも基端部側のゲート34から、複数の第1成形空間32に対して繊維材を添加した合成樹脂材料を同時にそれぞれ供給するので、繊維材は第1成形空間32の長さ方向、即ち基材部10の長さ方向に配向されることになり、基材部10の曲げ強度や軸方向に対する座屈強度を向上でき、歯間清掃具1の使用時における、芯基材部12の折れや座屈を効果的に防止できる。しかも、繊維材により基材部10の寸法安定性が向上するとともに、強度剛性が高くなって基材部10の変形が防止されるので、成形した基材部10を第2金型40、41の第2成形空間42に装填するときにおける装填不良を防止できる。また、繊維材により芯基材部12の熱変形温度が高くなるので、清掃用軟質部21を成形するときのエラストマ材料の熱により、芯基材部12が軟化して変形することを効果的に防止でき、また繊維材により芯基材部12の強度剛性が高くなるので、エラストマ材料の射出圧による芯基材部12の変形を防止できる。そして、このように清掃用軟質部21を成形するときにおける芯基材部12の変形を防止できるので、清掃用軟質部21の成形不良を一層効果的に防止できる。
【0060】
また、
図8に矢印で示すように、合成樹脂材料は、ゲート34からハンドル基材部成形部32b内に流入することになるが、連結部成形部35の第2境界部35bにおける長さCL4が第1境界部35aにおける長さCL1よりも長く設定され、第2境界部35bにおける厚さCt3が第1境界部35aにおける厚さCt2よりも厚く設定されているので、両境界部35a、35bに対して合成樹脂材料が同時に到達したとしても、第2境界部35b側から連結部成形部35内に合成樹脂材料が充填されることになり、隣接する第1成形空間32に流入した合成樹脂材料の合流部は第1境界部35a付近に配置される。このため、隣接するハンドル基材部成形部32bに供給した合成樹脂材料が、第1境界部35a付近において合流することになるので、成形された基材部10は、該第1境界部35aに対応する位置において切り離し易くなる。しかも、連結部成形部35に対して合成樹脂材料は、
図8に矢印で示すように流入するので、合成樹脂材料に添加した繊維材は、
図13に示すように、連結部成形部35における第1境界部35aにおいて、ハンドル基材部成形部32bの長さ方向に沿って配向され易くなるので、このことによっても、該第1境界部35aに対応する位置において基材部10を切り離し易くなる。このため、成形された歯間清掃具連結体1Aの一側から順番に歯間清掃具1を切り離す際に、第1境界部13aを中心に隣接する歯間清掃具1を相互に重ね合わせる方向へ折り曲げることで、該第1境界部13aにおいて歯間清掃具1を綺麗に切り離すことができる。ただし、連結部13と基材部10との連結強度は、第1金型30、31から第2金型40、41へ複数の基材部10を並列状に連結した状態で移載するときに、基材部10が分離しないような連結強度に設定することになる。
【0061】
なお、連結部成形部35におけるハンドル基材部成形部32bの基端部側の斜辺35cの内角Cθ1と、先端部側の斜辺35dの内角Cθ2とは任意の角度に設定できるが、90°よりも小さい角度に設定することが好ましく、また内角Cθ1、Cθ2を異なる角度に設定する場合には、
図10に示すように、基端部側の斜辺35cの内角Cθ1を先端部側の斜辺35dの内角Cθ2よりも小さな角度に設定することで、第2境界部35bの基部側から連結部成形部35への合成樹脂材料の流入を促進して、第1境界部35a付近における繊維材を、ハンドル基材部成形部32bの長さ方向に沿って一層適正に配向でき、また第1境界部35a付近に合成樹脂材料の合流部が一層形成され易くして、第1境界部35aにおける歯間清掃具1の切り離し性を一層向上できるので好ましい。
【0062】
(軟質部成形工程)
軟質部成形工程では、
図11、
図12に示すように、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aを第2金型40、41の第2成形空間42にセットした後、該第2成形空間42にエラストマ材料を充填して軟質部20を成形し、複数の歯間清掃具1を並列状に連設した歯間清掃具連結体1Aを得ることになる。
【0063】
先ず、軟質部成形工程で用いる第2金型40、41について説明すると、第2金型40、41には、第1金型30、31にて成形した一次成形品10Aの複数の基材部10に対応する位置に複数の第2成形空間42が形成されるとともに、一次成形品10Aのランナ部37と複数のゲート部36と連結部13とに適合する嵌合空間43、44、45が形成されている。第2金型40、41と基材部10間には第2成形空間42として、芯基材部12を取り囲む清掃用軟質部成形部46が形成されている。清掃用軟質部成形部46の先端側において第2金型40、41の合わせ面40a、41aには、清掃用軟質部成形部46の先端部に開口するゲート47がそれぞれ形成され、これら複数のゲート47は第2金型40、41に形成した共通のランナ48に連通され、共通のランナ48から複数のゲート47を経て複数の第2成形空間42にエラストマ材料が供給されるように構成されている。なお、ゲート47の直径は0.1mm以上1.0mm以下に設定することが好ましい。
【0064】
第2金型40、41には、清掃用軟質部成形部46の先端側部分と途中部と基端側部分とにそれぞれ対応させて1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51(ただし、この途中部保持ピン51は、必要に応じて設けているが、省略することもある。)と1対の基端側保持ピン52とが設けられ、これら3組の保持ピン50〜52は、第2金型40、41の合わせ面40a、41aと略直交方向、言い換えると第2金型40、41の型開閉方向に移動自在に設けられ、基材部10の芯基材部12は、
図12(b)に示すように、これら3組の保持ピン50〜52の先端部を清掃用軟質部成形部46内に突出させて、各組の保持ピン50〜52の先端部間に芯基材部12を挟持することで、清掃用軟質部成形部46の中央部に精度良く位置決め保持されるように構成されている。
【0065】
保持ピン50〜52の断面積は、先端側保持ピン50が最も小さく、途中部保持ピン51及び基端側保持ピン52は、途中部保持ピン51、基端側保持ピン52の順番または基端側保持ピン52、途中部保持ピン51の順番で大きくなるように構成されている。つまり、清掃用軟質部成形部46の先端側部分は通路面積が小さくなるので、先端側保持ピン50の断面積を最も小さくすることで、エラストマ材料の流通抵抗を極力小さく設定するとともに、成形時に発生するカルマン渦の影響を抑えることにより、清掃用軟質部成形部46に対するエラストマ材料の充填不良を防止できるとともに、芯基材部12の過度の溶融を防止できるので好ましい。ただし、保持ピン50〜52の断面積は同じに設定することも可能である。また、途中部保持ピン51は、軸方向に間隔をあけて複数組設けることも可能であるし、省略することも可能である。保持ピン50〜52の横断面形状は、本実施の形態では円形に形成したが、成形時のカルマン渦による影響を更に抑えるために、清掃用軟質部成形部46の長さ方向に細長い楕円形や長円形或いは中心軸非対称の形状(例えば、涙形状。)などに形成することも可能である。
【0066】
先端側保持ピン50は、清掃用軟質部成形部46の先端部46aから基端側へ向けて3mmの範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に設けられ、その先端側保持ピン50の先端付近の断面積は0.03mm
2〜0.3mm
2に設定されている。また、途中部保持ピン51は、先端側保持ピン50と基端側保持ピン52の中間点を中心として軸方向に清掃部2の長さの±10%の範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に設けられ、その途中部保持ピン51の先端付近の断面積は0.12mm
2〜1.2mm
2に設定されている。また、基端側保持ピン52は、清掃用軟質部成形部46の基端部から先端側へ向けて6mmの範囲内に相当する芯基材部部分に先端が接する位置に設けられ、その基端側保持ピン52の先端付近の断面積は0.1mm
2〜1.1mm
2に設定されている。これらに設定することにより、成形時における芯基材部12の固定を確実にするだけでなく、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
【0067】
保持ピン50〜52のうちの芯基材部12に当接する先端面は、保持ピン50〜52の軸方向と直交する平坦な面で構成することも可能であるが、芯基材部12の外周面に沿った円弧面で構成すると、芯基材部12のホールド性を向上できるので好ましい。
【0068】
1対の先端側保持ピン50と1対の途中部保持ピン51とはそれぞれ同一軸線上に配置されるが、1対の基端側保持ピン52は、その軸線を清掃用軟質部成形部46の長さ方向に例えば基端側保持ピン52の直径の0.1〜1.0倍の長さだけずらして配置されている。そして、このように1対の保持ピン52を清掃用軟質部成形部46の長手方向にずらして配置すると、保持ピン52間に芯基材部12を保持したときに、芯基材部12に圧着される保持ピン52の面積が事実上広くなるので、より一層強固に芯基材部12を保持することが可能となる。ただし、長さ方向にずらして配置する保持ピンは、保持ピン50〜52の中から選択した1種又は2種以上に設定できる。これらに設定することにより、成形時における芯基材部12の固定を更に強固にできる。また、成形時に発生するカルマン渦による成形体への影響を防止することが期待できる。
【0069】
軟質部成形工程では、
図12(a)に示すように、第2成形空間42に一次成形品10Aをセットして型閉じした状態で、
図12(b)に示すように、1対の先端側保持ピン50と、1対の途中部保持ピン51と、1対の基端側保持ピン52とを清掃用軟質部成形部46内に突出させて、これら3組の保持ピン50〜52により芯基材部12を保持し、共通のランナ48を通じて複数のゲート47にエラストマ材料を射出供給して、清掃用軟質部成形部46へエラストマ材料を充填する。このとき、保持ピン50〜52の断面積を清掃用軟質部成形部46の基部側へ行くにしたがって大きく設定しているので、清掃用軟質部成形部46の先端部からの基端側へのエラストマ材料の充填が保持ピン50〜52により極力阻害されないようにしつつ、保持ピン50〜52と芯基材部12との接触面積を増やして、芯基材部12を安定性良く保持できることになり、射出圧に多少バラツキが生じたとしても、芯基材部12の湾曲を防止して、精度良くエラストマ材料からなる清掃用軟質部21を成形することができる。
【0070】
こうして、基材部10に対して軟質部20を被覆した後、合成樹脂からなるランナ部37及びゲート部36を除去するとともに、ランナ48及びゲート47にて成形されたエラストマからなるランナ部55及びゲート部56を除去して歯間清掃具1を得ることになる。
【0071】
次に、歯間清掃具1の評価試験について説明する。
歯間清掃具1として、ポリプロピレン(PP)に対して繊維材としてガラス繊維を0重量%、10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%の配合割合で添加してなる合成樹脂材料を用いて6種類の基材部10を製作し、これら6種類の基材部10の芯基材部12に対してポリスチレン系エラストマからなる清掃用軟質部21をそれぞれ成形して、6種類の歯間清掃具1を製作した。
【0072】
第1金型30、31としては、それにより成形される基材部10の芯本体12bにおける、長さが15mm、長さ方向に対するテーパ形状のなす角度θが2.0°、先端側部分の直径が0.45mm、基部の直径が1.0mmになるように、第1成形空間32の大きさを設定した。また、第2金型40、41としては、清掃用軟質部成形部46の内面と芯本体12bの外面間の隙間が0.15mmになるように設定し、清掃用軟質部成形部46の先端部から基端側へ向けて2mmの位置に、断面積0.2mm
2の先端側保持ピン50を設け、清掃用軟質部成形部46の先端部から6mmだけ基端側の位置に、断面積0.4mm
2の途中部保持ピン51を設け、清掃用軟質部成形部46の先端部から10mmだけ基端側の位置に、断面積0.3mm
2の基端側保持ピン52を設けたものを用いた。
【0073】
そして、これら6種類の歯間清掃具1を、オートグラフ(島津製作所製)に縦向きに順次セットし、圧縮速度10mm/minにて圧縮試験を行った。その結果を表1に示す。
【0074】
また、前記6種類の歯間清掃具1について、10名の試験官により、その使用時における清掃部2の曲がりの有無と、歯間に対して清掃部2を挿入できるか否かについて官能試験を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
更に、基材部10の添加物の添加による寸法安定性を調べるため、前記6種類の基材部10の熱変形温度と、第1成形空間32における合成樹脂材料の流れ方向と該流れ方向に直交する直交方向における基材部10の成形収縮率をそれぞれ測定するとともに、前記6種類の基材部10を100本成形し、第2金型40、41の第2成形空間42に納まらないものを不良品として判断して、その個数をカウントした。その結果を表1に示す。
【0077】
ガラス繊維の配合割合は、50重量%以上の場合には、圧縮試験時に芯基材部12が折れてしまい、10重量%以下の場合には使用試験時に芯基材部12に曲りが発生して、清掃部2の挿入性が十分に得られないことから、20重量%以上、40重量%以下に設定することが好ましく、特に30重量%以上、40重量%以下に設定することが、挿入性を十分に確保する上で好ましいことが分かる。また、ガラス繊維の添加量を10重量%以上に増やすと、基材部10が熱変形し難くなるとともに成形寸法の安定性が高くなり、特にガラス繊維の添加量を20重量%以上に設定すると、第2金型40、41に対する基材部10の装填不良を完全に防止できることが分かる。
【0078】
次に、追加的に行った歯間清掃具1の評価試験について説明する。
歯間清掃具1として、ポリプロピレン(PP)に対してガラス繊維を0重量%、10重量%、15重量%、20重量%、30重量%の配合割合で添加してなる合成樹脂材料を用いて5種類の基材部10を製作し、これら5種類の基材部10の芯基材部12に対してポリスチレン系エラストマからなる清掃用軟質部21をそれぞれ成形して、ガラス繊維の配合割合の異なる5種類の歯間清掃具1を製作した。また、ガラス繊維に代えて、直径0.086mm(平均直径0.086mm、標準偏差SD0.04mm)のガラスボールを40重量%添加した以外は上記5種類の歯間清掃具1と同様に構成した歯間清掃具1と、ガラス繊維に代えて、タルクを40重量%添加した以外は上記5種類の歯間清掃具1と同様に構成した歯間清掃具1を製作した。更に、ポリブチレンテレフタレート(PBT)に対してガラス繊維を0重量%、15重量%の配合割合で添加してなる合成樹脂材料を用いて2種類の基材部10を製作し、これら2種類の基材部10の芯基材部12に対してポリスチレン系エラストマからなる清掃用軟質部21をそれぞれ成形して、ガラス繊維の配合割合の異なる2種類の歯間清掃具1を製作した。なお、歯間清掃具1の成形は、前記評価試験で用いた第1金型30、31及び第2金型40、41を用いて行った。
【0079】
そして、これら9種類の歯間清掃具1に対して、水平曲げ試験及び切り離し試験と、10名の試験官による官能試験を次の要領で実施した。その結果を表2に示す。
【0080】
(水平曲げ試験)
図14に示すように、歯間清掃具1の先端から10mmの範囲を1対の固定部材60間に挟持して、歯間清掃具1を片持ち状態に水平支持し、固定部材60から外部へ突出する歯間清掃具1の固定部材60から5mmだけ基端側へ離れた位置に鉛直方向に10mm/minにて力Fを作用させ、清掃部2の屈曲時の最大強度を測定した。
【0081】
(切り離し試験)
図15に示すように、連結部13にて並列状に接続した2つの歯間清掃具1のハンドル部3を1対のクランプ61にてそれぞれ保持し、両クランプ61を20mm/minの引っ張り速度で矢印Bの方向へ離間させ、2つの歯間清掃具1が切り離されるときの最大強度を測定した。
【0082】
(官能試験)
10名の試験官により、前歯の歯間部を清掃したときと、臼歯の歯間部を清掃したときにおける、清掃部2の曲りの有無、清掃部2の破断の有無、歯間部への挿入の可否についてそれぞれ評価した。なお、表2では、清掃部2に曲りや破断が発生せず、しかも清掃部2を歯間部に挿入できた場合を「○」で示し、清掃部2に曲りや破断が発生したり、清掃部2を歯間部に挿入できなかった場合を「×」で示した。
【0084】
次に、金型装置の構成を部分的に変更した他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態と同一部材には、同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0085】
(1)
図16、
図17に示す金型装置70は、前記実施の形態における基材部10を製作する第1金型30、31からなる金型装置と、軟質部20を成形する第2金型40、41からなる金型装置とを一体化させてなるもので、対向配置した1組の金型71、72を備え、一方の金型71を本体金型73とその中央部の嵌合凹部74に嵌合させた回転金型75とで構成し、本体金型73の中央部に型開閉方向に延びる支軸部材76を設け、支軸部材76の先端部を回転金型75の中央部に連結し、支軸部材76を介して回転金型75を本体金型73に回転自在に支持するとともに嵌合凹部74から突出可能に支持したものである。
【0086】
両金型71、72の合わせ面71a、72aの上部には、略水平に並列配置した10個の基材部成形部32Aを1組とする2組の基材部成形部集合体32Bが、芯基材部成形部32a側を外側に位置させて鏡面対称に形成され、両金型71、72の合わせ面71a、72aの下部には、略水平に並列配置した10個の軟質部成形部42Aを1組とする2組の軟質部成形部集合体42Bが、清掃用軟質部成形部46側を外側に位置させて鏡面対称に形成されている。なお、合わせ面71a、72aに形成する基材部成形部集合体32Bと軟質部成形部集合体42Bの組数は、任意の同じ組数に設定することができる。
【0087】
回転金型75は方形状に構成され、回転金型75の両側縁が芯基材部成形部32aの長さ方向の途中部を通過するように構成されている。このため、金型71の合わせ面71aの上部に形成される基材部成形部32Aは、本体金型73の合わせ面73aの上部に形成した、芯基材部12の先端側部分を成形するための先端側基材部成形部32Aaと、回転金型75の合わせ面75aの上部に形成した、基材部10のハンドル基材部11の全体と芯基材部12の基端側部分を成形するための基端側基材部成形部32Abとで構成されている。また、金型71の合わせ面71aの下部に形成される軟質部成形部42Aは、本体金型73の合わせ面73aの下部に形成した、芯基材部12に対して清掃用軟質部21を成形する清掃用軟質部成形部46を含む先端側軟質部成形部42Aaと、回転金型75の合わせ面75aの下部に形成した、基端側基材部成形部32Abと同一構成の基端側軟質部成形部42Abとで構成されている。なお、基端側基材部成形部32Abと基端側軟質部成形部42Abとは同一構成のもので、回転金型75の合わせ面75aの上部に配置されているものを基端側基材部成形部32Abと称し、下部に配置されているものを基端側軟質部成形部42Abと称するものとする。
【0088】
回転金型75の裏面側にはランナ33が10個の基端側基材部成形部32Abと基端側軟質部成形部42Abの基端部に対応させて上下方向に形成され、合成樹脂材料はランナ33を通じて、基材部成形部32Aの基端部に形成したゲート34から、基端側基材部成形部32Abに供給されるように構成されている。
【0089】
この金型装置70を用いて歯間清掃具1を製作する場合には、先ず回転金型75の上側2組の基材部成形部集合体32Bで10個の基材部10を1組とする2組の一次成形品10Aを成形した後、
図17(b)に示すように、両金型71、72を型開きして、支軸部材76を突き出して回転金型75を嵌合凹部74から突出させ、成形した2組の一次成形品10Aを本体金型73から離型させる。このとき、各組の一次成形品10Aは、ゲート34A及びランナ33Aにて成形された合成樹脂からなるゲート部36A及びランナ部37Aにより、脱落しないように回転金型75に保持される。
【0090】
次に、回転金型75を180°回転させてから、
図17(c)に示すように、該回転金型75を本体金型73の嵌合凹部74に嵌合させ、2組の一次成形品10Aの芯基材部12の先端側部分を先端側軟質部成形部42Aaにセットし、この状態で両金型71、72を型閉じして、基材部11を第2成形空間42に装填してから、保持ピン50〜52を突出させて、芯基材部12を清掃用軟質部成形部46の中央部に位置決めした状態で、清掃用軟質部成形部46にランナ48を通じてその先端側からエラストマを射出することで、芯基材部12に対して清掃用軟質部21を被覆させ、歯間清掃具1が10個並列状に連設された2組の歯間清掃具連結体1Aを得ることになる。また、両金型71、72の下部における清掃用軟質部21の成形時に、両金型71、72の上部で基材部10を同時に成形することで、2組の歯間清掃具連結体1Aを順次成形することができる。
【0091】
(2)
図18に示す金型装置80は、対向配置した1組の金型81、82を設け、一方の金型81を本体金型83とその中央部の嵌合凹部84に嵌合させたスライド金型85とで構成し、スライド金型85を本体金型83に対して上下に位置切替可能に支持するとともに、嵌合凹部84から突出可能に支持したものである。スライド金型85は、前記実施の形態の回転金型75のように本体金型73に回転自在に支持するとともに嵌合凹部74から突出可能に支持する代わりに、上下方向にスライド自在で且つ嵌合凹部84から突出可能に設けた以外は、前記回転金型75と同様に構成されている。
【0092】
他方の金型82の合わせ面82aの上部及び下部には、略水平に並列配置した10個の基材部成形部32Aを1組とする2組の基材部成形部集合体32Bが、芯基材部成形部32a側を外側に位置させてそれぞれ形成され、他方の金型82の合わせ面82aの高さ方向の中央部には、略水平に並列配置した10個の軟質部成形部42Aを1組とする2組の軟質部成形部集合体42Bが、清掃用軟質部成形部46側を外側に位置させてそれぞれ形成されている。
【0093】
一方の金型81における嵌合凹部84の両側において本体金型83の合わせ面83aの上部と下部には、芯基材部成形部32aの先端側部分からなる先端側基材部成形部32Aaがそれぞれ形成され、嵌合凹部84の両側において本体金型83の合わせ面83aの高さ方向の中央部には、清掃用軟質部成形部46を含む先端側軟質部成形部42Aaが形成されている。スライド金型85の合わせ面85aの上部には、10個1組の基端側基材部成形部32Abが鏡面対称に形成され、合わせ面85aの下部には、10個1組の基端側軟質部成形部42Abが鏡面対称に形成されている。なお、基端側基材部成形部32Abと基端側軟質部成形部42Abとは同一構成のもので、スライド金型85が嵌合凹部84の上側に位置するときには、合わせ面85aの上側のものを基端側基材部成形部32Abと称するとともに、合わせ面85aの下側のものを基端側軟質部成形部42Abと称し、スライド金型85が嵌合凹部84の下側に位置するときには、合わせ面85aの上側のものを基端側軟質部成形部42Abと称し、合わせ面85aの下側のものを基端側基材部成形部32Abと称するものとする。
【0094】
そして、スライド金型85を嵌合凹部84の上側に位置させると、一方の金型81の合わせ面81aの高さ方向の中央部には、略水平に並列配置した10個の軟質部成形部42Aを1組とする2組の軟質部成形部集合体42Bが、清掃用軟質部成形部46側を外側に位置させて鏡面対称に形成され、合わせ面81aの上部には、略水平に並列配置した10個の基材部成形部32Aを1組とする2組の基材部成形部集合体32Bが、芯基材部成形部32a側を外側に位置させて鏡面対称に形成される。また、スライド金型85を嵌合凹部84の下側に位置させると、一方の金型81の合わせ面81aの高さ方向の中央部には、前記と同様に2組の軟質部成形部集合体42Bが鏡面対称に形成され、一方の金型81の合わせ面81aの下部には、前記と同様に2組の基材部成形部集合体32Bが鏡面対称に形成されることになる。
【0095】
この金型装置80を用いて歯間清掃具1を製作する場合には、例えばスライド金型85を嵌合凹部84の上側に位置させた状態で、上側2組の基材部成形部集合体32Bで10個の基材部10を1組とする2組の一次成形品10Aを成形し、その後両金型81、82を型開きして、スライド金型85を嵌合凹部84から突出させ、成形した2組の一次成形品10Aを本体金型83から離型させる。このとき、各組の一次成形品10Aは、前記回転金型75と同様に、合成樹脂からなるゲート部36A及びランナ部37Aによりにスライド金型85に保持される。
【0096】
次に、スライド金型85を嵌合凹部84の下側へ移動させてから、本体金型83の嵌合凹部84に嵌合させ、一次成形品10Aの芯基材部12の先端側部分を一方の金型81の高さ方向の中央部に配置される先端側軟質部成形部42Aaにセットし、この状態で両金型81、82を型閉じして、基材部11を第2成形空間42に装填してから、保持ピン50〜52を突出させて、芯基材部12を清掃用軟質部成形部46の中央部に位置決めした状態で、清掃用軟質部成形部46にランナ48を通じてその先端側からエラストマを射出することで、芯基材部12に対して清掃用軟質部21を被覆させ、歯間清掃具1が10個並列状に連設された2組の歯間清掃具連結体1Aを得ることになる。また、両金型81、82の中央部における清掃用軟質部21の成形時に、両金型81、82の上部又は下部で基材部10を同時に成形することで、2組の歯間清掃具連結体1Aを順次成形することができる。
【0097】
(3)
図19、
図20に示すように、基材部10を製作する第1金型90、91と、軟質部20を成形する第2金型95、96とを設け、一方の第1金型90を、実線で図示の組み合わせ状態と仮想線で図示の離間状態とに移動可能な1対の第1分割金型90A、90Bと、両第1分割金型90A、90Bを組み合わせることにより形成される中央部の嵌合凹部93に嵌合される移送金型100とで構成し、一方の第2金型95を、実線で図示の組み合わせ状態と仮想線で図示の離間状態とに移動可能な1対の第2分割金型95A、95Bと、両第2分割金型95A、95Bを組み合わせることにより形成される中央部の嵌合凹部97に嵌合される移送金型100とで構成することもできる。移送金型100は、前記実施の形態の回転金型75のように本体金型73に回転自在に支持するとともに嵌合凹部74から突出可能に支持する代わりに、第1分割金型90A、90Bと第2分割金型95A、95Bとにわたって移送可能に設けた以外は、前記回転金型75と同様に構成されている。
【0098】
第1金型90、91の合わせ面には、略水平に並列配置した10個の基材部成形部32Aを1組とする4組の基材部成形部集合体32Bが形成され、第2金型95、96の合わせ面には、略水平に並列配置した10個の軟質部成形部42Aを1組とする4組の軟質部成形部集合体42Bが形成されている。
【0099】
この第1金型90、91及び第2金型95、96を用いて歯間清掃具1を成形する際には、先ず第1金型90、91を型閉じして4組の基材部成形部集合体32Bで、10個の基材部10を1組とする4組の一次成形品10Aを成形する。次に、両第1金型90、91を型開きしてから、第1分割金型90A、90Bを離間させ、成形した4組の一次成形品10Aを第1分割金型90A、90Bから離型する。このとき、して、移送金型100に保持する。このとき、各組の一次成形品10Aは、前記回転金型75と同様に、合成樹脂からなるゲート部36A及びランナ部37Aによりに移送金型100に保持される。
【0100】
次に、移送金型100を第2分割金型95A、95B間に移送してから、第2分割金型95A、95Bを組み合わせて、第2分割金型95A、95Bと移送金型100とを一体化させ、その後第2金型95、96を型閉じし、4組の一次成形品10Aを、4組の軟質部成形部集合体42Bにセットして、基材部11を第2成形空間42に装填してから、保持ピン50〜52を突出させて、芯基材部12を清掃用軟質部成形部46の中央部に位置決めした状態で、清掃用軟質部成形部46にランナ48を通じてその先端側からエラストマを射出することで、芯基材部12に対して清掃用軟質部21を被覆させ、歯間清掃具1が10個並列状に連設された4組の歯間清掃具連結体1Aを得ることになる。そして、移送金型100を2個以上設け、これら複数の移送金型100を第1金型90、91と第2金型95、96とにわたって循環移送して、4組の歯間清掃具連結体1Aを順次成形することになる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。