特許第6069315号(P6069315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069315
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】車両の機能部材を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/08 20060101AFI20170123BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20170123BHJP
   B60Q 1/24 20060101ALI20170123BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20170123BHJP
   B60S 1/08 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B60Q1/08
   B60Q1/14 D
   B60Q1/24 B
   B60R21/00 628E
   B60S1/08 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-520630(P2014-520630)
(86)(22)【出願日】2012年7月16日
(65)【公表番号】特表2014-525867(P2014-525867A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】EP2012063905
(87)【国際公開番号】WO2013010989
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年5月13日
(31)【優先権主張番号】1156616
(32)【優先日】2011年7月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100179338
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ、ライス
【審査官】 丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−327314(JP,A)
【文献】 特開2010−143336(JP,A)
【文献】 特開2010−052601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00 − 1/56
B60S 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)の少なくとも1つの機能部材(5,9)を制御する方法であって、
前記少なくとも1つの機能部材(5,9)は、追い越し車両(1a)が存在しない交通に適した道路動作モードと、追い越し車両(1a)の存在に適した通過動作モードとにしたがって機能することができ、
当該方法は、以下のステップ、すなわち、
a.後方側方領域における追い越し車両(1a)を検出するステップ(101)と、
b.追い越し車両(1a)が後方側方領域において検出されたときに前記道路動作モードから前記通過動作モードへと切り換えるステップ(105,111)と、
を含み、
前記少なくとも1つの機能部材(5,9)は車両ヘッドライト装置(5)を備え、前記道路動作モードはハイビームモードであり、前記通過動作モードはロービームモードであり、
前記後方側方領域において追い越し車両(1a)が検出されたときのハイビームモードからロービームモードへの前記切り換えは、漸進的態様で行われ、
当該方法は、前記追い越し車両(1a)の追い越し速度を決定する更なるステップを含み、前記後方側方領域において追い越し車両(1a)が検出されたときの前記ハイビームモードから前記ロービームモードへの切り換え速度は、前記追い越し車両(1a)の決定された追い越し速度にしたがって調整される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記後方側方領域は前記車両(1)の死角を含み、切り換えは、前記追い越し車両(1a)が前記車両(1)の死角に現れるときに前記道路動作モードから前記通過動作モードへと行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通過モードへの前記切り換えは、前記追い越し車両(1a)が検出される側でより急速に行われることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機能部材(5,9)は前記車両(1)のワイパー装置(9)を備え、前記道路動作モードは低速拭き取りモードであり、前記通過動作モードは高速拭き取りモードであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、レインセンサを用いた雨検出の更なるステップを含み、
前記低速拭き取りモードから前記高速拭き取りモードへの移行は、雨が検出された場合にのみ行われることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記後方側方領域における前記追い越し車両(1a)の前記検出は、前記後方側方領域における車両の存在を警告する装置(11)を用いて行われることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記後方側方領域における前記追い越し車両(1a)の前記検出は、駐車支援システムの障害物検出装置を用いて行われることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記後方側方領域における前記追い越し車両(1a)の前記検出は、カメラを用いて行われることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
追い越し車両(1a)が存在しない交通に適した道路動作モードから追い越し車両(1a)の存在に適した通過動作モードへの自動車の少なくとも1つの機能部材(5,9)の切り換えを制御する自動車(1)の機能ユニットであって、
前記機能ユニットは、後方側方領域に配置されて車両の後方側方領域における追い越し車両(1a)を検出するための手段(11)に接続されるとともに、追い越し車両(1a)が後方側方領域において検出されたときに、前記自動車(1)の前記少なくとも1つの機能部材(5,9)に前記道路動作モードから前記通過動作モードへ切り換えさせるように構成され
前記機能ユニットは、追い越し車両(1a)が検出されたときにハイビームモードからロービームモードへのヘッドライト装置(5)の切り換えを漸進的態様で引き起こすように構成され、
前記機能ユニットは、追い越し車両(1a)の追い越し速度の推定を受けるように構成され、追い越し車両(1a)が後方側方領域において検出されたときに、前記追い越し車両(1a)の決定された追い越し速度にしたがって、前記ハイビームモードから前記ロービームモードへの切り換え速度を調整するように構成される、
ことを特徴とする機能ユニット。
【請求項10】
追い越し車両(1a)が存在しない交通に適した道路動作モードから追い越し車両(1a)の存在に適した通過動作モードへの自動車の少なくとも1つの機能部材(5,9)の切り換えを制御する自動車(1)の機能ユニットであって、
前記機能ユニットは、後方側方領域に配置されて車両の後方側方領域における追い越し車両(1a)を検出するための手段(11)に接続されるとともに、追い越し車両(1a)が後方側方領域において検出されたときに、前記自動車(1)の前記少なくとも1つの機能部材(5,9)に前記道路動作モードから前記通過動作モードへ切り換えさせるように構成され、
前記機能ユニットは、レインセンサに問い合わせるように構成され、雨が検出され且つ追い越し車両(1a)が検出された場合にワイパー装置(9)の高速拭き取りモードへの前記切り換えを引き起こすように構成されることを特徴とする機能ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の機能部材、例えばヘッドライト装置又はワイパー装置を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両ヘッドライト又はヘッドランプは一般に複数の動作モードを有し、これらの動作モードは、殆どの場合に、
車両が静止しているときに本質的に使用される低い強度及び範囲を有するポジションライトと、
車両がそのドライバーを眩しくさせずに通過できるようにするべく設計された、高い強度を有するが限られた範囲(約80メートル)を伴うロービーム又は「下向きビーム」と、
車両が通過するときに車両の眩惑性質に起因してOFFに切り換えられなければならない、高い強度及び最大範囲(約600メートル)を有するハイビーム又は「フルビーム」と、
を含む。
【0003】
ロービームモードとハイビームモードとの間で切り換わることができる二機能ヘッドライトを使用することが知られている。これらのヘッドライトは、例えば、カバーの使用及び/又は供給電力の調整によって一方のモードから他方のモードへと切り換わる。複数のエレクトロルミネセントダイオードELDを備えるヘッドライトの場合、一方のモードから他方のモードへの移行は、特定数のダイオードをOFFに切り換えることによって或いは特定数のダイオードへ電力を選択的に供給することによって行われる。
【0004】
車両が第2の車両によって追い越される際、ヘッドライト装置は、ドライバーを眩しくさせることを回避するため、第2の車両が再び戻り込む前に、ハイビームモードからロービームモードへと切り換わる或いは少なくとも何らかの方法で動作を調整すると想定される。
【0005】
この切り換えは主に手動で行われるが、益々、車両は、特に車両の前方へと方向付けられるセンサを用いて自動切り換え装置を備える。
【0006】
追い越し車両が車両の前方にもう一度入り込んでくるとき、したがって、ハイビームのビームに入るときに、追い越し車両を検出するため、車両の前方へと方向付けられる光学的なレーダーセンサ又はライダーセンサを使用することが知られている。このとき、必然的に、ロービーム動作モードへの高速切り換えが行われることになる。
【0007】
この高速切り換えは、明るさの減少と前記明るさの減少に対するドライバーの視力の調整との間の時間に対応する知覚的な「ブラックホール」効果をもたらす。ドライバーの視力調整の時間中、ドライバーの視力が低下され、それにより、特にこの時間経過が第1の車両の直ぐ前方に追い越し車両が戻り込むときに正に対応する際には、大きな危険がもたらされる。
【0008】
追い越し中に直面される異なる問題は、追い越し車両により跳ね上げられる水に起因するウインドスクリーン上のしぶきによって引き起こされる視界の損失である。このとき、ドライバーは、視界を取り戻すためにワイパーの高速拭き取りへと切り換えなければならない。視界が減少される時間経過中、事故の危険が増大される。
【0009】
前述した欠点を少なくとも部分的に克服するため、本発明は、自動車の少なくとも1つの機能部材を制御する方法であって、
前記少なくとも1つの機能部材は、追い越し車両が存在しない交通に適した道路モードと、追い越し車両の存在に適した通過モードとにしたがって機能することができ、
前記方法は、以下のステップ、すなわち、
後方側方領域における追い越し車両を検出するステップと、
追い越し車両が後方側方領域において検出されたときに道路動作モードから通過動作モードへと切り換えるステップと、
を含むことを特徴とする方法を提案する。
【0010】
制御方法は、追い越しプロセスの早期に道路モードから通過モードへの切り換えを可能にする。したがって、「ブラックホール」認識は、追い越し車両が戻り込む前に行われる。
方法は、単独で或いは組み合わせて解釈される以下の特徴のうちの1つ以上を更に示してもよい。
【0011】
後方側方領域は車両の死角を含み、切り換えは、追い越し車両が車両の死角に位置するときに道路動作モードから通過動作モードへと行われる。
【0012】
少なくとも1つの機能部材は車両ヘッドライト装置を備え、道路モードはハイビームモードであり、通過モードはロービームモードである。
【0013】
後方側方領域において追い越し車両が検出されたときのハイビームモードからロービームモードへの切り換えは、漸進的態様で行われる。
【0014】
方法は、追い越し車両の追い越し速度を決定する更なるステップを含み、後方側方領域において追い越し車両が検出されたときのハイビームモードからロービームモードへの切り換え速度は、追い越し車両の決定された追い越し速度にしたがって調整される。
【0015】
通過モードへの切り換えは、追い越し車両が検出された側でより急速に行われる。
【0016】
少なくとも1つの機能部材は車両のワイパー装置を備え、道路モードは低速拭き取りモードであり、通過モードは高速拭き取りモードである。
【0017】
方法は、レインセンサを用いた雨検出の更なるステップを含み、低速拭き取りモードから高速拭き取りモードへの移行は、雨が検出された場合にのみ行われる。
【0018】
後方側方領域における追い越し車両の検出は、後方側方領域における車両の存在を警告する装置を用いて行われる。
【0019】
後方側方領域における追い越し車両の検出は、駐車支援システムの障害物検出装置を用いて行われる。
【0020】
後方側方領域における追い越し車両の検出は、カメラを用いて行われる。
【0021】
また、本発明の主題は、追い越し車両が存在しない交通に適した道路モードから追い越し車両の存在に適した通過モードへの自動車の少なくとも1つの機能部材の切り換えを制御する自動車の関連する機能ユニットであって、該機能ユニットは、後方側方領域に配置されて車両の後方側方領域において追い越し車両を検出するための手段に接続されるとともに、追い越し車両が後方側方領域において検出されたときに車両の少なくとも1つの機能部材に道路動作モードから通過動作モードへ切り換えさせるように構成されることを特徴とする機能ユニットである。
【0022】
機能ユニットは、単独で或いは組み合わせて解釈される以下の特徴のうちの1つ以上を更に有してもよい。
【0023】
機能ユニットは、追い越し車両が検出されたときにハイビームモードからロービームモードへのヘッドライト装置の切り換えを漸進的態様で引き起こすように構成される。
【0024】
機能ユニットは、追い越し車両の追い越し速度の推定を受けるように構成され、追い越し車両が後方側方領域において検出されたときに、追い越し車両の決定された追い越し速度にしたがって、ハイビームモードからロービームモードへの切り換え速度を調整するように構成される。
【0025】
機能ユニットは、レインセンサに問い合わせるように構成され、雨が検出され且つ追い越し車両が検出された場合にワイパー装置の高速拭き取りモードへの切り換えを引き起こすように構成される。
【0026】
本発明の他の特徴及び利点は、図の以下の詳細な説明を読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る方法を実施するための装置を備える車両の概略図である。
図2】本発明に係る方法を実施するべく装備された車両が追い越し車両によって追い越されるプロセスを示す。
図3】本発明に係る方法を実施するべく装備された車両が追い越し車両によって追い越されるプロセスを示す。
図4】本発明に係る方法の一実施形態の異なるステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
全ての図において、同じ参照符号は同じ要素に関連する。
【0029】
本発明は、特に機能ユニットによって自動車の少なくとも1つの機能部材を制御するための方法に関する。
【0030】
図1は、機能ユニット3を備える車両1を概略的に示す。機能ユニット3は、一方では、特に車両のヘッドライト7を制御するヘッドライト装置5に接続されるとともに、他方では、ワイパー装置9に接続される。制御ユニットが2つのうちの一方だけに接続される変形例も想定し得る。
【0031】
また、機能ユニット3は、追い越し車両を検出するための手段、例えば、特に車両1の死角を含む後方側方領域において、車両、特に車両1を追い越す車両の存在を検出するように方向付けられた存在検出器11にも接続される。車両の死角は、通常は、車両1のバックミラーの設定によって決定され、車両1の後側方位置に位置付けられる。右側通行の場合、優先事項と見なされるべき死角は左側に位置付けられ、また、左側通行の場合、優先事項と見なされるべき死角は右側に位置付けられる。
【0032】
前記死角をカバーする更なるミラーを有する車両の場合には、たとえ対応する後方側方領域が後方視界に関してカバーされても、この対応する後方側方領域に対して指定が適用されてもよい。
【0033】
機能ユニット3は、機能部材5,9の異なる動作モード間における切り換えを可能にする。特に、これらの動作モードのうちの少なくとも1つは道路動作モードであり、他のモードは通過動作モードである。
【0034】
道路動作モードは、車両1を追い越す車両が存在しない或いは車両1の直ぐ近くに車両が存在しない状態における運転に適した動作モードである。逆に、通過モードは、他の車両が存在しない場合に次善であるが、通過又は追い越しの場合に好ましい。
【0035】
道路動作モードは、例えば、ヘッドライト装置5の場合には、ハイビームモードに対応する。ハイビームは、最適な照明を行うが、車両1の前方に位置するドライバーを眩しくさせる。ワイパー装置9の場合、道路モードは、中くらいの強さの雨に適しているが追い越し車両により跳ね上げられる水を取り除くためには不十分な低速拭き取りモード又は間欠拭き取りモードに対応する。
【0036】
通過モードは、例えば、ヘッドライト装置5の場合には、ロービームモードに対応する。ロービームは、次善の照明のみを可能にするが、他のドライバー、特に追い越し車両のドライバーを眩しくさせない。ワイパー装置9の場合、通過モードは、追い越し車両により跳ね上げられるかなりの量の水を取り除く高速拭き取りモードに対応する。
【0037】
存在検出器11は、死角における車両の存在を警告する装置から成る既存のタイプの存在検出器(「死角検出器」)を含んでもよい。この場合、道路動作モードから通過動作モードへの切り換えを引き起こすために、制御ユニット3を存在検出器の出力に接続して、通常はバックミラーに配置されて通常は可聴信号又は視覚信号を発するようになっている信号機を使用することができる。
【0038】
これに代えて或いは同時に、存在検出器は、既存のタイプの駐車支援システムの障害物検出装置から成る検出器を含んでもよい。同様に、存在検出器11は後進レーダー又は後進ライダーを含んでもよく、また、機能ユニット3及び前記レーダー又は前記ライダーは、追い越し車両の追い越し速度を定めるように構成され得る。最終的に、存在検出器11はカメラを含んでもよい。
【0039】
図2及び図3は、追い越し車両と称される第2の車両1aによる車両1の追い越しのステップを概略的に示している。
【0040】
図2において、追い越し車両1aは、車両1を追い越す準備をするために車線を変え、したがって、車両1の死角に位置する。このとき、存在検出器11は、前記追い越し車両1aを検出して、検出信号を送信する。
【0041】
存在検出器11に接続される機能ユニット3は検出信号を受信する。機能ユニット3は、前記検出信号の受信時に、道路モードから通過モードへと切り換わる。ヘッドライト7の場合の通過モードへの切り換えは、複数の方法で、すなわち、電力供給制御により明るさを減少させることによって、ヘッドライト7を傾けることによりビームを下方へ傾けることによって、或いは、カバーを用いてビームの形状を調整することによって行うことができる。
【0042】
図3において、追い越し車両1aは、今しがた弱められたロービームモードのヘッドライトのビームへと戻り込んでしまっている。
【0043】
追い越し車両1aを死角で検出することにより、本発明は、追い越しをより良く予期することができ、また、追い越しプロセスの早期にヘッドライト7の明るさを減少させることができる。したがって、追い越し車両1aが戻り込むとき(追い越しの最も危険な時間)に、「ブラックホール」効果がもはや認識されない。
【0044】
好適には、ヘッドライト7の通過モードへの切り換えは、絶対的には「ブラックホール」認識を回避するように、場合により、定められた追い越し速度により決定される強度減少速度で、漸進的に行うことができる。例えば、エレクトロルミネセントダイオードELDを備えるヘッドライト7の場合には、ヘッドライト7の明るさの減少を段階的に行うこともでき、明るさの減少は、ダイオードのグループを連続的にOFFに切り換えることによって行われる。
【0045】
これに代えて或いは同時に、明るさの減少、ビームの傾斜、又は、ビームの形状の変化は、例えば、追い越し車両1aが検出された側でヘッドライト7の明るさをより急速に減少させることによって、及び/又は、前記ヘッドライトの方向を道路側へと変えることによって、非対称態様で行うことができる。
【0046】
同様に、ワイパーシステム9の拭き取り速度の加速は、追い越し車両1aによって最初の水の跳ね返りが投げ掛けられるときに拭き取り速度が高くなるように、追い越し車両1aが車両1に対してかなり前方へ移動する前に行われる。
【0047】
また、光が減少され及び/又はワイパーがそれらの動きを加速するという事実は、ドライバーの死角にある追い越し車両1aの存在を車両1のドライバーに警告する。
【0048】
図4は、機能ユニット3に関して、車両1の機能部材5,9を制御するための方法100のステップの図である。
【0049】
最初のステップ101は、存在検出器11を用いた追い越し車両1aの検出である。前述したように、検出は、後進レーダー、駐車支援システムの障害物検出装置、又は、死角にある車両の存在を警告する装置を用いて行われてもよい。
【0050】
検出101の後、制御ユニット3は、ステップ103において、車両1のヘッドライト装置5の動作モードを問い合わせる。
【0051】
ヘッドライト装置5がハイビームモードである場合、機能ユニット3は、105において、ロービームモードへの切り換えを引き起こす。ロービームモードへの漸進的な切り換えを制御するために、制御ユニットは、依然としてステップ105において、例えば、ヘッドライト7の発光強度の減少の速度を調整するべく追い越し速度を推定することができる。
【0052】
並行して、機能ユニット3は、ステップ101における追い越し車両1aの検出後、ステップ107において、車両のレインセンサに問い合わせる。レインセンサが雨を検出すれば、機能ユニット3は、ステップ109において、ワイパー装置9の動作モードを問い合わせることによって継続する。ワイパー装置9が通過モードでなければ、すなわち、高速拭き取り以外のモードであれば、機能ユニットは、ステップ111において、ワイパー装置9を高速拭き取りモードへと切り換わらせる。
【0053】
制御装置及び関連する制御方法100は、追い越し中に安全性を高めることができるようにする。「ブラックホール」認識を追い越しのあまり気に掛けなくてもよい時間へとシフトさせることにより、追い越し車両1aと追い越される車両1又は道路から離れる追い越される車両1との間の衝突型の事故の危険が減少される。
【0054】
また、機能部材5,9の通過動作モードへの切り換えは、死角にある追い越し車両1aの存在をドライバーに警告する。
【0055】
最後に、死角における存在の検出器を伴う後進レーダーを備える車両1の場合には、既に実装されるセンサで十分であり、更なる検出器11を設置する必要はない。
図1
図2
図3
図4