(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069324
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】デュアル・サンプリング・レンズを備える単一軸の立体撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 13/02 20060101AFI20170123BHJP
H04N 13/00 20060101ALI20170123BHJP
G03B 35/10 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
H04N13/02 170
H04N13/00 220
G03B35/10
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-529089(P2014-529089)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(65)【公表番号】特表2014-530518(P2014-530518A)
(43)【公表日】2014年11月17日
(86)【国際出願番号】IB2012002557
(87)【国際公開番号】WO2013034988
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】61/586,738
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/532,984
(32)【優先日】2011年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512330949
【氏名又は名称】フロント、ストリート、インベストメント、マネジメント、インコーポレイテッド、アズ、マネジャー、フォー、フロント、ストリート、ダイバーシファイド、インカム、クラス
【氏名又は名称原語表記】FRONT STREET INVESTMENT MANAGEMENT INC., AS MANAGER FOR FRONT STREET DIVERSIFIED INCOME CLASS
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100088889
【弁理士】
【氏名又は名称】橘谷 英俊
(72)【発明者】
【氏名】イチロウ、シンコダ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、エヌ.ミッチェル
【審査官】
秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−527007(JP,A)
【文献】
特開2001−61165(JP,A)
【文献】
特表2006−509242(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/083542(WO,A1)
【文献】
特開2001−16610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/02
G03B 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、前記レンズの光軸に沿って前記レンズの後ろに配置される撮像センサとを備える立体撮像器であって、前記レンズが、
前記光軸に沿って配置される前方レンズ組立体および前記光軸に沿って配置される後方レンズ組立体と、
前記光軸の両側、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間、かつ前記レンズの開口面の近くに、第1および第2のサンプリング・レンズとを含み、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1の開口および前記第2の開口が、前記レンズの前記開口面に、それぞれ前記第1のサンプリング・レンズおよび前記第2のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、前記第1の開口と前記第2の開口が開口間距離だけ隔てられており、
前記第1および第2の開口が、前記開口間距離を変更することによって前記撮像センサの立体映像の変更を可能にするように構成されている、
立体撮像器。
【請求項2】
レンズと、前記レンズの光軸に沿って前記レンズの後ろに配置される撮像センサとを備える立体撮像器であって、前記レンズが、
前記光軸に沿って配置される前方レンズ組立体および前記光軸に沿って配置される後方レンズ組立体と、
前記光軸の両側、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間、かつ前記レンズの開口面の近くに、第1および第2のサンプリング・レンズとを含み、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1の開口および前記第2の開口が、前記レンズの前記開口面に、それぞれ前記第1のサンプリング・レンズおよび前記第2のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、前記第1の開口と前記第2の開口が開口間距離だけ隔てられており、
前記第1および第2の開口が可変開口である、
立体撮像器。
【請求項3】
レンズと、前記レンズの光軸に沿って前記レンズの後ろに配置される撮像センサとを備える立体撮像器であって、前記レンズが、
前記光軸に沿って配置される前方レンズ組立体および前記光軸に沿って配置される後方レンズ組立体と、
前記光軸の両側、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間、かつ前記レンズの開口面の近くに、第1および第2のサンプリング・レンズとを含み、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1と第2の開口が、前記レンズの前記開口面に配置され、かつ開口間距離だけ隔てられており、前記第1および第2のサンプリング・レンズが、前記第1および第2の開口に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されており、
前記第1および第2の開口が、前記開口間距離を変更することによって前記撮像器の立体映像の変更を可能にするように構成されている、
立体撮像器。
【請求項4】
レンズと、前記レンズの光軸に沿って前記レンズの後ろに配置される撮像センサとを備える立体撮像器であって、前記レンズが、
前記光軸に沿って配置される前方レンズ組立体および前記光軸に沿って配置される後方レンズ組立体と、
前記光軸の両側、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間、かつ前記レンズの開口面の近くに、第1および第2のサンプリング・レンズとを含み、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1と第2の開口が、前記レンズの前記開口面に配置され、かつ開口間距離だけ隔てられており、前記第1および第2のサンプリング・レンズが、前記第1および第2の開口に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されており、
前記第1および第2の開口が可変開口である、
立体撮像器。
【請求項5】
光軸の両側に配置された第1および第2のサンプリング・レンズと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの後ろに配置されたセンサと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズと前記センサの間に配置され、前記センサ上に、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた光からの第1の画像および前記第2のサンプリング・レンズによって集められた光からの第2の画像を結像するように構成された後方レンズ組立体と
を含み、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの近くに配置された前方レンズ組立体をさらに含み、前記前方レンズ組立体が視野を有し、前記前方レンズ組立体が、前記視野の第1の部分から、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供し、前記視野の第2の部分から、前記第2のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供するように構成されており、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1の開口が、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間に、前記第1のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、前記第2の開口が、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間に、前記第2のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、前記第1の開口と前記第2の開口が開口間距離だけ隔てられており、
前記第1の開口および前記第2の開口が可変開口である、
立体撮像器。
【請求項6】
光軸の両側に配置された第1および第2のサンプリング・レンズと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの後ろに配置された撮像センサと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズと前記撮像センサの間に配置され、前記撮像センサ上に、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた光からの第1の画像および前記第2のサンプリング・レンズによって集められた光からの第2の画像を結像するように構成された後方レンズ組立体と
を含み、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの近くに配置された前方レンズ組立体をさらに含み、前記前方レンズ組立体が視野を有し、前記前方レンズ組立体が、前記視野の第1の部分から、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供し、前記視野の第2の部分から、前記第2のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供するように構成されており、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1の開口が、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間に、前記第1のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、前記第2の開口が、前記前方レンズ組立体と前記後方レンズ組立体の間に、前記第2のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、前記第1の開口と前記第2の開口が開口間距離だけ隔てられており、
前記第1および第2の開口が、前記開口間距離を変更することによって前記撮像センサの立体映像の変更を可能にするように構成されている、
立体撮像器。
【請求項7】
前記第1および第2のサンプリング・レンズが、それぞれ前記第1および第2の開口と協働して移動するように構成されている、請求項6に記載の立体撮像器。
【請求項8】
光軸の両側に配置された第1および第2のサンプリング・レンズと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの後ろに配置された撮像センサと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズと前記撮像センサの間に配置され、前記撮像センサ上に、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた光からの第1の画像および前記第2のサンプリング・レンズによって集められた光からの第2の画像を結像するように構成された後方レンズ組立体と
を含み、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの近くに配置された前方レンズ組立体をさらに含み、前記前方レンズ組立体が視野を有し、前記前方レンズ組立体が、前記視野の第1の部分から、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供し、前記視野の第2の部分から、前記第2のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供するように構成されており、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1と第2の開口が、前記第1および第2のレンズの開口面に配置され、かつ開口間距離だけ隔てられており、前記第1および第2のサンプリング・レンズが、前記第1および第2の開口に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されており、
前記第1および第2の開口が、前記開口間距離を変更することによって前記撮像センサの立体映像の変更を可能にするように構成されている、
立体撮像器。
【請求項9】
光軸の両側に配置された第1および第2のサンプリング・レンズと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの後ろに配置された撮像センサと、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズと前記撮像センサの間に配置され、前記撮像センサ上に、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた光からの第1の画像および前記第2のサンプリング・レンズによって集められた光からの第2の画像を結像するように構成された後方レンズ組立体と
を含み、
前記光軸に沿って前記第1および第2のサンプリング・レンズの近くに配置された前方レンズ組立体をさらに含み、前記前方レンズ組立体が視野を有し、前記前方レンズ組立体が、前記視野の第1の部分から、前記第1のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供し、前記視野の第2の部分から、前記第2のサンプリング・レンズによって集められた前記光を提供するように構成されており、
第1の開口および第2の開口をさらに含み、前記第1と第2の開口が、前記第1および第2のサンプリング・レンズの開口面に配置され、かつ開口間距離だけ隔てられており、前記第1および第2のサンプリング・レンズが、前記第1および第2の開口に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されており、
前記第1および第2の開口が可変開口である、
立体撮像器。
【請求項10】
光軸に沿って配置された第1のレンズの視野にある物体の2つの異なる見え方を示す第1の画像および第2の画像を含む立体画像対をセンサ上に結像する方法であって、
前記第1のレンズを通して前記物体からの光を集めることと、
前記集められた光を、概ね前記光軸の周りの単一の光路に沿って、前記光軸の第1の側に配置された第1のサンプリング・レンズおよび前記光軸の前記第1のサンプリング・レンズとは反対側に配置された第2のサンプリング・レンズに導くことと、
前記第1のサンプリング・レンズを通して、前記単一の光路の第1の部分からの光をサンプリングすることと、
第2のサンプリング・レンズを通して、前記単一の光路の第2の部分からの光を同時にサンプリングすることと、
前記光軸に沿って配置された撮像センサ上に、前記単一撮像経路の前記第1の部分からサンプリングされた前記光からの第1の画像および前記撮像経路の前記第2の部分からサンプリングされた前記光からの第2の画像を結像することと
を含み、
前記第1のサンプリング・レンズの近くに配置された第1の開口のサイズを変更することによって前記第1の画像の焦点深度を調節すること、および
前記第2のサンプリング・レンズの近くに配置された第2の開口のサイズを変更することによって前記第2の画像の焦点深度を調節すること
のうちの少なくとも一方をさらに含む、
方法。
【請求項11】
光軸に沿って配置された第1のレンズの視野にある物体の2つの異なる見え方を示す第1の画像および第2の画像を含む立体画像対をセンサ上に結像する方法であって、
前記第1のレンズを通して前記物体からの光を集めることと、
前記集められた光を、概ね前記光軸の周りの単一の光路に沿って、前記光軸の第1の側に配置された第1のサンプリング・レンズおよび前記光軸の前記第1のサンプリング・レンズとは反対側に配置された第2のサンプリング・レンズに導くことと、
前記第1のサンプリング・レンズを通して、前記単一の光路の第1の部分からの光をサンプリングすることと、
前記第2のサンプリング・レンズを通して、前記単一の光路の第2の部分からの光を同時にサンプリングすることと、
前記光軸に沿って配置された撮像センサ上に、前記単一撮像経路の前記第1の部分からサンプリングされた前記光からの第1の画像および前記撮像経路の前記第2の部分からサンプリングされた前記光からの第2の画像を結像することと
を含み、
前記立体画像対の立体映像が、前記第1のサンプリング・レンズの近くに配置された第1の開口と、前記第2のサンプリング・レンズの近くに配置された第2の開口との間の開口間距離を変更することによって変更される、
方法。
【請求項12】
前記立体映像が、前記第1のサンプリング・レンズおよび前記第2のサンプリング・レンズを、それぞれ前記第1の開口および前記第2の開口と協働してさらに移動させることによって変更される、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2012年1月13日に出願された、「SINGLE OPTICAL PATH ANAMORPHIC STEREOSCOPIC IMAGER」という名称の、参照により本明細書に組み込まれる、本発明者らの仮出願第61/586,736号の主題と組み合わされてもよい。
【0002】
本発明は一般に立体撮像に関する。より詳細には、本発明は、デュアル・サンプリング・レンズを使用して立体撮像装置における単一光路のうちの異なる部分をサンプリングする単一レンズ構成に関する。
【背景技術】
【0003】
立体視、すなわち実体視の現象は、人間および動物が両眼視で光景の奥行きを知覚できることに直接関連している。それは、人間の脳が2組のわずかに異なる2次元光学データを同時に処理することによって生み出される知覚効果である。裸眼の人間の観察者によって経験されるそういった現象は、観察者の2つの目によって結像される網膜の画像がわずかに異なることに基づいている。人間の観察者によって観察されるある光景における点物体は、右の網膜の同じ光景の画像と比較すると、左の網膜の画像ではわずかに異なる位置に映し出される。
【0004】
最初、立体画像は、2つの別個のカメラによって撮られた画像を使用して作り出された。特に映像/撮像分野における研究が、単一の立体ビューアに2つの完全な撮像系が恒久的に組み込まれた系につながった。そのようなビューアは通常、双対の光軸と、2つの光路を提供する二眼対物副光学系(twin objective optical subsystems)とを有する。それらは通常、1つは右目の視点用、1つは左目の視点用の2つの完全な画像を2つの撮像センサに並べて作り出すための、右目の視界用の1つの光軸および左目の視界用の1つの光軸を有する。
【0005】
立体撮像系のいくつかの実装は、中心光軸の周りに単一の光路を有する。立体画像対を得るために、そのような系は、撮像系のレンズの視野の2つの異なる見え方を表す、単一撮像経路内の光のうちの異なる部分をサンプリングする。単一の画像経路内の光のうちの2つの部分をサンプリングするために、さまざまな手段が使用されてもよい。
【0006】
一例として、いくつかの実装は、相互に直交する直線的な偏光子を使用して、単一の画像経路内の光のうちの実質的に相互排他的な2つの部分をサンプリングする。次いで光は、偏光状態に基づいて適切な撮像センサに交互に導かれる。いくつかの実装は、2つの偏光状態を同時に記録しながら区別することができる撮像センサを使用する。さらに他の実装は、単一の撮像経路の2つの部分からの光を異なる撮像センサに導く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
単一撮像経路の立体視系の依然としてある課題のうちの1つは、この種の機器のサイズが小さくなっても、単一の撮像経路の2つの部分から別々に結像される2つの画像についての良好な光学撮像性能を確保することについてである。この点で、光の偏光状態に基づいて2つの画像が区別される系は、有用な光の主要な部分が偏光処理において意図的に排除されるという点で固有の欠点を抱えている。したがって、改良される系は、2つの画像を分けるために光の偏光を使用することを避け、小さな撮像センサで効率的に結合させることになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、立体撮像器は、光軸に沿って配置される前方レンズ組立体と、光軸に沿って配置される後方レンズ組立体と、光軸の両側、前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の間、かつレンズの開口面の近くに配置される第1および第2のサンプリング・レンズとを含むレンズを備える。立体撮像器は、第1の開口および第2の開口をさらに含むことができ、第1の開口および第2の開口は、レンズの開口面に、それぞれ第1のサンプリング・レンズおよび第2のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置されている。第1の開口と第2の開口は開口間距離だけ隔てられており、第1および第2の開口は、開口間距離を変更することによって撮像器の立体映像の変更を可能にするように構成されてもよい。レンズは、第1および第2のサンプリング・レンズがそれぞれ第1および第2の開口と協働して移動することを可能にするように構成されてもよい。第1および第2の開口は可変開口であってもよい。
【0009】
第1のサンプリング・レンズは、第1の前方構成部品サンプリング・レンズおよび第1の後方構成部品サンプリング・レンズを含むことができ、第1の前方構成部品サンプリング・レンズは、第1の開口と前方レンズ組立体の間かつ第1の開口の近くに配置され、第1の後方構成部品サンプリング・レンズは、第1の開口と後方レンズ組立体の間かつ第1の開口の近くに配置されている。第2のサンプリング・レンズは、第2の前方構成部品サンプリング・レンズおよび第2の後方構成部品サンプリング・レンズを含むことができ、第2の前方構成部品サンプリング・レンズは、第2の開口と前方レンズ組立体の間かつ第2の開口の近くに配置され、第2の後方構成部品サンプリング・レンズは、第2の開口と後方レンズ組立体の間かつ第2の開口の近くに配置されている。
【0010】
立体撮像器は、光軸に沿って後方レンズ組立体の後ろに配置される撮像センサをさらに含む。撮像センサは、レンズから第1の画像および第2の画像を受けるように動作可能であり、第1の画像は、レンズの視野からの光の第1の部分から第1のサンプリング・レンズによってサンプリングされた光から結像され、第2の画像は、レンズの視野からの光の第2の部分から第2のサンプリング・レンズによってサンプリングされた光から結像される。立体撮像器は、第1の画像および第2の画像についての画像データを撮像センサから抽出するためのコントローラをさらに含み、第1の画像データは、レンズの視野にある物体の第1の見え方を表し、第2の画像データは、物体の第2の見え方を表す。撮像センサは、第1の画像を受けるように配置された第1の構成部品撮像センサと、第2の画像を受けるように配置された第2の構成部品撮像センサとを含むことができる。
【0011】
第1のサンプリング・レンズおよび第2のサンプリング・レンズの少なくとも一方の焦点距離は、第1および第2のサンプリング・レンズがない状態での前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の組み合わせの焦点距離の半分未満であってもよい。前方レンズ組立体と、後方レンズ組立体と、第1および第2のサンプリング・レンズの一方との組み合わせの焦点距離は、第1および第2のサンプリング・レンズがない状態での前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の組み合わせの焦点距離よりも短くてもよい。前方レンズ組立体と後方レンズ組立体は一緒になって二重ガウス・レンズをなしてもよい。他の実施形態において、前方レンズ組立体と後方レンズ組立体は一緒になってズーム・レンズとなる。本発明の他の実施形態において、前方レンズ組立体および後方レンズ組立体についてさらに別のレンズ組み合わせが可能である。レンズは、そのズーム動作で、第1および第2のサンプリング・レンズがそれぞれ第1および第2の開口と協働して移動可能になるように構成されていてもよい。
【0012】
本発明のさらなる実施形態において、立体撮像器は、光軸の両側に配置された第1および第2のサンプリング・レンズと、光軸に沿ってサンプリング・レンズの後ろに配置された撮像センサと、光軸に沿ってサンプリング・レンズと撮像センサの間に配置され、撮像センサ上に、第1のサンプリング・レンズによって集められた光からの第1の画像および第2のサンプリング・レンズによって集められた光からの第2の画像を結像するように構成された後方レンズ組立体とを含む。立体撮像器は、光軸に沿って第1および第2のサンプリング・レンズの前に配置された前方レンズ組立体をさらに含むことができ、前方レンズ組立体は視野を有し、前方レンズ組立体は、視野の第1の部分から、第1のサンプリング・レンズによって集められた光を提供し、視野の第2の部分から、第2のサンプリング・レンズによって集められた光を提供するように構成されている。
【0013】
立体撮像器は、第1の開口および第2の開口を含むことができ、第1の開口は、前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の間に、第1のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置され、第2の開口は、前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の間に、第2のサンプリング・レンズにほぼ一致するように配置されている。第1の開口および第2の開口は可変開口であってもよい。
【0014】
第1のサンプリング・レンズは、第1の前方構成部品サンプリング・レンズおよび第1の後方構成部品サンプリング・レンズを含むことができ、第1の前方構成部品サンプリング・レンズは、第1の開口と前方レンズ組立体の間かつ第1の開口の近くに配置され、第1の後方構成部品サンプリング・レンズは、第1の開口と後方レンズ組立体の間かつ第1の開口の近くに配置されている。第2のサンプリング・レンズは、第2の前方構成部品サンプリング・レンズおよび第2の後方構成部品サンプリング・レンズを含むことができ、第2の前方構成部品サンプリング・レンズは、第2の開口と前方レンズ組立体の間かつ第2の開口の近くに配置され、第2の後方構成部品サンプリング・レンズは、第2の開口と後方レンズ組立体の間かつ第2の開口の近くに配置されている。
【0015】
立体撮像器は、第1の画像および第2の画像についての画像データを撮像センサから抽出するためのコントローラをさらに含み、第1の画像データは、前方レンズ組立体の視野にある物体の第1の見え方を表し、第2の画像データは、物体の第2の見え方を表す。第1のサンプリング・レンズおよび第2のサンプリング・レンズの少なくとも一方の焦点距離は、第1および第2のサンプリング・レンズがない状態での前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の組み合わせの焦点距離の半分未満であってもよい。前方レンズ組立体と、後方レンズ組立体と、第1および第2のサンプリング・レンズの一方との組み合わせの焦点距離は、第1および第2のサンプリング・レンズがない状態での前方レンズ組立体と後方レンズ組立体の組み合わせの焦点距離よりも短くてもよい。前方レンズ組立体と後方レンズ組立体は一緒になって二重ガウス・レンズをなしてもよい。撮像センサは、第1の画像を受けるように配置された第1の構成部品撮像センサと、第2の画像を受けるように配置された第2の構成部品撮像センサとを含むことができる。
【0016】
別の実施形態において、第1および第2のサンプリング・レンズは、それぞれ第1および第2の開口に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されていてもよく、開口と協働して移動し、かつ開口に対して移動させられるように構成されていてもよい。これは、センサ上のどこに第1および第2の画像を結像するかについての自由な選択を可能にする。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、光軸に沿って配置された第1のレンズの視野にある物体の2つの異なる見え方を示す第1の画像および第2の画像を含む立体画像対を撮像センサ上に結像する方法は、第1のレンズを通して物体からの光を集めることと、集められた光を、概ね光軸の周りの単一の光路に沿って、光軸の第1の側に配置された第1のサンプリング・レンズおよび光軸の第1のサンプリング・レンズとは反対側に配置された第2のサンプリング・レンズに導くことと、第1のサンプリング・レンズを通して、単一の光路の第1の部分からの光をサンプリングすることと、第2のサンプリング・レンズを通して、単一の光路の第2の部分からの光を同時にサンプリングすることと、光軸に沿って配置された撮像センサ上に、単一撮像経路の第1の部分からサンプリングされた光からの第1の画像および撮像経路の第2の部分からサンプリングされた光からの第2の画像を結像することとを含む。第1の画像を結像することは、光軸上に配置された円筒形に対称な第2のレンズを通る単一の光路の第1の部分からサンプリングされた光を処理することによって行われてもよく、第2の画像を結像することは、第2のレンズを通る単一の光路の第2の部分からサンプリングされた光を処理することによって行われてもよい。集められた光を第1および第2のサンプリング・レンズに導くことは、それぞれ第1および第2の開口を通して光を導くことを含むことができ、第1および第2のサンプリング・レンズは、それぞれ第1および第2の開口に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されている。
【0018】
方法は、第1のサンプリング・レンズの近くに配置された第1の開口のサイズを変更することによって第1の画像の焦点深度を調節すること、および第2のサンプリング・レンズの近くに配置された第2の開口のサイズを変更することによって第2の画像の焦点深度を調節することうちの少なくとも一方をさらに含むことができる。撮像センサは、第1および第2の構成部品撮像センサを含むことができ、方法は、第1および第2の画像をそれぞれ第1および第2の構成部品撮像センサ上に結像することを含むことができる。
【0019】
本発明の各態様は、添付の特許請求の範囲において、例として具体的に示され、かつ明瞭にクレームされる。本発明の上記およびその他の目的、特徴、および利点は、添付の図面と合わせてなされる以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】単一軸の立体撮像器の別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の態様によれば、ある光景の一対の立体画像を撮像センサ上に同時に取得する単一光軸の立体撮像装置が提供される。平面図において概略的に示され、かつ
図1の10として全体が示される本発明の第1の実施形態によれば、装置は、軸が光軸30に沿って全体的に配向されたレンズ20と、レンズ20から画像を受け取るように構成された撮像センサ90とを備える。レンズ20は、前方レンズ組立体40および後方レンズ組立体50を含む。前方レンズ組立体40は、レンズ20の視野内で捕捉された光をレンズ20の開口面86に導くように動作可能である。開口面86は、レンズ20の物理的な開口面であっても、開口面の結合体(conjugate)であってもよい。開口プレート80は、開口面86に配置されてもよい。開口プレート80は、光軸30の両側に配置され、開口間距離だけ水平面に隔てられた第1の開口82と第2の開口84を含むことができる。用語「開口間距離」は本明細書において、2つの開口82と84の間の中心間距離を記述するために使用される。開口82および84は固定された開口であり得る。第1および第2の開口82および84は、開口間距離を変えることによって撮像器の立体映像の変更を可能にするように構成されていてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、開口82および84は、レンズ20の焦点の深度を変えることを容易にする可変開口であり得る。一例として、前方レンズ組立体40は、レンズ42、44および46を含み、限定はしないが、物体側に凸メニスカス・レンズおよび画像側に凹メニスカス・レンズを備えるガウス・レンズであり得る。一例として、後方レンズ組立体50は、レンズ52、54および56を含み、限定はしないが、前方レンズ組立体40に対して背中合わせに配向されたガウス・レンズであり得る。
【0023】
レンズ20は、前方レンズ組立体40によってレンズ20の視野内からの第1の見え方で捕捉された光に作用するために、第1の開口82とほぼ一致し、かつその近くに配置された第1のサンプリング・レンズ60を含む。レンズ20は、前方レンズ組立体40によってレンズ20の視野内からの第2の見え方で捕捉された光に作用するために、第2の開口84とほぼ一致し、かつその近くに配置された第2のサンプリング・レンズ70を含む。したがって、第1のサンプリング・レンズ60が、概ね光軸30の周りの光路の第1の部分からの光をサンプリングする一方で、第2のサンプリング・レンズ70は光路の第2の部分からの光をサンプリングする。第1のサンプリング・レンズ60からの光は、後方レンズ組立体50によって撮像センサ90上に映し出されて、光軸30に沿って配置された物体100の第1の見え方を有する第1の画像102を作り出す。第2のサンプリング・レンズ70からの光は、後方レンズ組立体50によって撮像センサ90上に映し出されて、光軸30に沿って配置された物体100の第2の見え方を有する第2の画像104を作り出す。
【0024】
第1のサンプリング・レンズ60および第2のサンプリング・レンズ70の焦点距離は、第1のサンプリング・レンズ60および第2のサンプリング・レンズ70がない状態での前方レンズ組立体40と後方レンズ組立体50の組み合わせの焦点距離の半分未満であり得る。焦点距離をこのように選択することによって、前方レンズ組立体40と、後方レンズ組立体50と、第1のサンプリング・レンズ60および第2のサンプリング・レンズ70の一方との組み合わせの焦点距離は、第1のサンプリング・レンズ60および第2のサンプリング・レンズ70がない状態での前方レンズ組立体40と後方レンズ組立体50の組み合わせの焦点距離よりも短くなり得る。サンプリング・レンズ60および70はそれぞれ正の倍率を有し得る。
【0025】
一例として、サンプリング・レンズ60および70のないレンズ20は、126mmの焦点距離を有し得る。サンプリング・レンズ60および70はそれぞれ、44mmの焦点距離を有し得る。これらの選択に基づいて、組み合わせたレンズ20は、結果として60mmの焦点距離を有することになる。
【0026】
この構成は、60mmレンズが、関連するより大きな入射瞳を有する著しく大きな126mmレンズに適した、より長い開口間距離を使用できるようにする。結果は、角度がより広く、本来的に視野がより広い典型的な60mmレンズから予期され得るものより著しく大きい立体映像が、この60mmレンズ構成で達成可能となることである。それは、3次元撮像用途に関しては126mmレンズの利点を60mmレンズの利点と組み合わせている。
【0027】
図1は本質的に概略であり、原寸通りではない。レンズ42と物体100の間の距離は通常、
図1に示された距離より著しく長い。したがって、種々のレンズを通って屈折経路をたどる、物体100からの光線は
図1に示されたものとは異なり、
図1に示された光線は、純粋にレンズ20およびその構成レンズの全体的な働きの理解のために、図面に提示されている。特に、サンプリング・レンズ60および70を通る光線の経路は単に概略的なものであり、2つのレンズを通る光の屈折は本明細書に示されたものとは大きく異なっている。
【0028】
第1の画像102および第2の画像104が物体100の異なる見え方を表す範囲において、それらは物体100についての3次元(3D)情報を得るために使用されてもよい。より具体的には、コントローラ110は、2つの画像102および104を表す画像データを、画像データ出力接続線120を介して撮像センサ90から抽出することができ、かつ、画像をデジタル方式で処理することによって、適切なフォーマットで3次元ディスプレイまたは閲覧システム(図示せず)にそれらを提供するように構成されていてもよい。撮像センサ90は、限定はしないが電荷結合素子(CCD)などの単一アレイの撮像センサであり得る。
【0029】
3次元撮像器で実現可能な立体映像の程度は、3次元ビューの描画に使用される画像を作り出すために用いられる2つの見え方の角度差に根本的に依存する。本明細書の説明では、サンプリング・レンズ60および70の特定の使用は、サンプリング・レンズ60および70に比べて大きい前方レンズ組立体40の使用の結果として、見え方の大きな差という利益をもたらす一方で、レンズ20によって得られる、短い焦点距離を有する全体的なレンズ系を依然として作り出している。これは、レンズ20が、低コストの小さな撮像センサとともに使用されることを可能にする。開口82と84の間の開口間距離は、従来技術の撮像レンズ構成とともにそのような小さな撮像センサを使用する3次元撮像器において実現可能なものよりも長い。結果は、同程度の撮像センサに適用される従来技術のレンズで実現可能なものよりも大きな立体映像である。
【0030】
本発明の一実施形態において、第1の開口82および第2の開口84が開口間距離を変化させる過程において移動させられるとき、第1のサンプリング・レンズ60は、第1の開口82と協働して移動するように構成されており、第2のサンプリング・レンズ70は、第2の開口84と協働して移動するように構成されている。
【0031】
本発明の一実施形態において、撮像センサ90は、第1の画像102を受けるように配置された別個の第1の構成部品撮像センサおよび第2の画像104を受けるように配置された別個の第2の構成部品撮像センサを含み得る。
【0032】
本発明の一実施形態において、前方レンズ組立体40と後方レンズ組立体50の組み合わせ構造は、二重ガウス・レンズをなす。二重ガウス光学設計は、系における光の収差を極めて低く維持する点でそれらの最高の性能のために当技術分野で知られている。二重ガウス・レンズの使用は、標準的な35mmカメラの広い開口のレンズの領域で十分に確立されている。二重ガウス・レンズを通る光路の第1の部分からの光は、開口面86の近くに配置された第1のサンプリング・レンズ60を使用してサンプリングされ、二重ガウス・レンズを通る光路の第2の部分からの光は、開口面86の近くに配置された第2のサンプリング・レンズ70を使用してサンプリングされる。第1のサンプリング・レンズ60によってサンプリングされる光は、第1の画像102を撮像センサ90上に結像するために使用され、第2のサンプリング・レンズ70によってサンプリングされる光は、第2の画像102を撮像センサ90上に結像するために使用される。画像は、二重ガウス設計の使用のために、低次の収差を有する。
【0033】
本発明の一実施形態において、前方レンズ組立体40と後方レンズ組立体50の組み合わせ構造は、レンズ20が、撮像センサ90上の画像102および104のサイズを変更するためのズーム・レンズとなることを可能にすることができる。本発明の他の実施形態において、前方レンズ組立体および後方レンズ組立体についてさらなるレンズの組み合わせが可能である。
【0034】
さらに実施形態において、サンプリング・レンズは、開口とは軸が外れて位置決めされてもよい。本発明者らは、
図1の装置10の別の図を示す
図2を用いて本実施形態を説明する。装置は、分かりやすいように部分的に分解して示されている。本実施形態において、レンズ20は、第1の開口82に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置された第1のサンプリング・レンズ60を含む。レンズ20は、第2の開口84に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置された第2のサンプリング・レンズ70をさらに含む。サンプリング・レンズ60および70を、それらのそれぞれ対応する開口82および84とは軸を外して移動させることによって、画像102および104は、撮像センサ90上で自由に位置決めされてもよい。これは、画像102と104を互いに垂直上下に配置すること、および互いに水平隣り合わせに配置することを含むことができる。サンプリング・レンズ60および70はまた、対応する開口82および84と協働して移動することができる。
【0035】
本発明の立体撮像装置の別の実施形態が、
図3の300として全体的に示されている。分かりやすいように、
図1のものと等しい要素は
図1と同じ番号を有し、追加の要素または異なる要素のみが、
図1には出てこない番号をもつ。本実施形態において、
図1の第1のサンプリング・レンズ60は、第1の前方構成部品サンプリング・レンズ62および第1の後方構成部品サンプリング・レンズ64によって置換され、第1の前方構成部品サンプリング・レンズ62は、第1の開口82と前方レンズ組立体40の間かつ第1の開口82の近くに配置され、第1の後方構成部品サンプリング・レンズ64は、第1の開口82と後方レンズ組立体50の間かつ第1の開口82の近くに配置される。
図1の第2のサンプリング・レンズ70は、第2の前方構成部品サンプリング・レンズ72および第2の後方構成部品サンプリング・レンズ74によって置換され、第2の前方構成部品サンプリング・レンズ72は、第2の開口84と前方レンズ組立体40の間かつ第2の開口84の近くに配置され、第2の後方構成部品サンプリング・レンズ74は、第2の開口84と後方レンズ組立体50の間かつ第2の開口84の近くに配置される。
図3に示される得られた複合レンズ320の完全に対称な二重ガウス・レンズ構成は、光の収差について改良された性能をもたらす。
【0036】
また、
図3は概略図であることに留意されたい。特に、サンプリング・レンズ62、64、72および74を通る光線の経路は完全に概略的なものであり、4つのレンズを通る光の屈折は、本明細書に示されたものとは大きく異なる。撮像器300およびレンズ320の働きは、
図1を用いて説明した実施形態と同じままである。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、第1の前方構成部品サンプリング・レンズ62と第1の後方構成部品サンプリング・レンズ64は一緒になって二重ガウス・レンズとなることができ、第2の前方構成部品サンプリング・レンズ72と第2の後方構成部品サンプリング・レンズ74は一緒になって別の二重ガウス・レンズとなることができる。
【0038】
図1に示されるような本発明の立体撮像装置10も、
図3に示されるような装置300も、第1または第2のサンプリング・レンズ60または70と、いずれかのすぐ後ろのレンズとの間には物体100の実像を作り出さないことに留意されたい。このことは、サンプリング・レンズの後ろに結像し、次いでそれを中継する系と比べて、サンプリング・レンズ構成の複雑性を低減している。
【0039】
立体撮像装置10および300は、光路の第1および第2の部分から同時に光をサンプリングし、かつ、多くの従来技術の単一チャネルの立体撮像デバイスとは異なり、第1および第2の画像102および104を撮像センサ90上に同時に作り出すことができる。立体撮像装置はまた、動作するために、物体からの光のいずれの偏光も要しないという利点をもつ。これは、光のレベルが、偏光に基づいた系と比べて2倍以上であることを示唆する。レンズ20および320の二重ガウス構成は、高速レンズ系に、撮像センサ90の大きい領域にわたる優れた収差性能をもたらす。
【0040】
さらなる実施形態が、
図3の装置300の部分分解図を表す
図4に示されている。本実施形態において、第1の後方構成部品サンプリング・レンズ64は、第1の開口82に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されている。第2の後方構成部品サンプリング・レンズ74は、第2の開口84に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されている。後方構成部品サンプリング・レンズ64および74を、それらのそれぞれ対応する開口82および84とは軸を外して移動させることによって、画像102および104は、撮像センサ90上で自由に位置決めされてもよい。これは、画像102と104を互いに垂直上下に配置すること、および互いに水平隣り合わせに配置することを含むことができる。本実施形態において、第1の前方構成部品サンプリング・レンズ62は、第1の開口82に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されてもよい。同様に、第2の前方構成部品サンプリング・レンズ72は、第2の開口84に近接して、重なって、かつ軸が外れて配置されてもよい。第1の開口82に対する第1の前方構成部品サンプリング・レンズ62の軸を外れた配置の範囲は、第1の後方構成部品サンプリング・レンズ64の軸を外れた配置の範囲とは概して同じではない。同様に、第2の開口84に対する第2の前方構成部品サンプリング・レンズ72の軸を外れた配置の範囲は、第2の後方構成部品サンプリング・レンズ74の軸を外れた配置の範囲とは概して同じではない。サンプリング・レンズ62、64、72および74は、対応する開口82および84と協働して移動することができる。
【0041】
図5は、
図1および
図2の撮像センサ90上に立体画像対を結像する方法のフロー・チャートであり、この画像対は、光軸3に沿って配置された
図1および
図2の前方レンズ組立体40である第1のレンズの視野内にある物体100の2つの異なる見え方を示す第1の画像102および第2の画像104を含む。この方法は、前方レンズ組立体40を通って物体100からの光を集めること[200]と、集められた光を、概ね光軸30の周りの単一の光路に沿って、第1のサンプリング・レンズ60および第2のサンプリング・レンズ70に導くこと[210]と、開口面86の近くに配置された第1のサンプリング・レンズ60であって、光軸30の第1の側に配置された第1のサンプリング・レンズ60を通して、単一の光路の第1の部分からの光をサンプリングすること[220]と、開口面86の近くに配置された第2のサンプリング・レンズ70であって、光軸30の第1のサンプリング・レンズ60とは反対側に配置された第2のサンプリング・レンズ70を通して、単一の光路の第2の部分からの光を同時にサンプリングすること[230]と、光軸に沿って配置された撮像センサ90上に、単一撮像経路の第1の部分からサンプリングされた光からの第1の画像102および撮像経路の第2の部分からサンプリングされた光からの第2の画像104とを含む。第1の画像102を結像すること[240]は、光軸上に配置された
図1および
図2の後方レンズ組立体50である第2のレンズを通る単一の光路の第1の部分からサンプリングされた光を処理することによって行われてもよく、第2の画像104を結像すること[250]は、第2のレンズを通る単一の光路の第2の部分からサンプリングされた光を処理することによって行われてもよい。
【0042】
方法は、開口面86に配置された第1の開口82のサイズを変更すること[260]によって第1の画像102の焦点深度を調節すること、および開口面86に配置された第2の開口84のサイズを変更すること[270]によって第2の画像104の焦点深度を調節することのうちの少なくとも一方をさらに含むことができる。同じ使用方法が、サンプリング・レンズが、
図3および
図4を用いて本明細書に記載されるような、適切な開口の前後に配置される複合レンズである
図3および
図4の立体撮像器に適用されてもよい。
【0043】
撮像センサ90は、第1および第2の構成部品撮像センサを含むことができ、方法は、第1の画像102を第1の構成部品撮像センサ上に、第2の画像104を第2の構成部品撮像センサ上に結像することを含むことができる。
【0044】
注記
図面および関連する説明が提供されるのは、本発明の実施形態を示すためであり、本発明の範囲を限定するためではない。本明細書において「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、その実施形態とともに説明する特定の特徴物、構造、または特性が本発明の少なくともある実施形態に含まれることを示すことが意図されている。本明細書のさまざまな場所に「一実施形態において」または「ある実施形態」という語句が現れても、必ずしもすべてが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0045】
本開示において使用される際、文脈が例外を要求する場合を除き、用語「含む(comprise)」および「含んでいる(comprising)」、「含み(comprises)」、「含んだ(comprised)」などのこの用語の変形は、他の付加物、構成要素、整数またはステップを排除することを意図されてはいない。
【0046】
また、各実施形態は、フロー・チャート、流れ図、構造図、またはブロック図として描かれる処理として開示されることに留意されたい。フロー・チャートは、動作の種々のステップを順次的処理として開示し得るが、その動作の多くは並行してまたは同時に実施されてもよい。図示のステップは限定的であることは意図されておらず、示された各ステップがその方法に必要不可欠であることを示すことも意図されておらず、それらは単に例示的なステップでしかない。
【0047】
ここまでの本明細書において、本発明はその特定の実施形態を参照しながら説明されてきた。しかしながら、本発明のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更がそれに施されてもよいことが明らかとなろう。したがって、本明細書および図面は、限定的というよりも例示的なものとみなされるべきである。本発明は、かかる各実施形態によって限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0048】
ここまでの説明から、本発明はいくつかの利点を有し、その中には本明細書に記載されたものもあれば、本明細書において説明または特許請求の範囲においてクレームされる本発明の実施形態に付随するものもあることが明らかとなろう。また、本明細書に記載の主題の教示から逸脱することなく、本明細書に記載のデバイス、装置および方法は修正を施されてもよいことが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって必要とされる場合を除き、説明された実施形態には限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0049】
10 単一軸の立体撮像系
20 レンズ
30 光軸
40 前方レンズ組立体
50 後方レンズ組立体
60 第1のサンプリング・レンズ
62 第1の前方構成部品サンプリング・レンズ
64 第1の後方構成部品サンプリング・レンズ
70 第2のサンプリング・レンズ
72 第2の前方構成部品サンプリング・レンズ
74 第2の後方構成部品サンプリング・レンズ
80 開口プレート
82 第1の開口
84 第2の開口
86 開口面
90 撮像センサ
100 物体
102 第1の画像
104 第2の画像
110 コントローラ
120 画像データ出力接続線
200 レンズの視野からの光を集める
210 レンズを通して光を開口面に導く
220 単一の光路の第1の部分からの光を第1のサンプリング・レンズによってサンプリングする
230 単一の光路の第2の部分からの光を第2のサンプリング・レンズによってサンプリングする
240 第1の画像を第2のレンズによって撮像センサ上に結像する
250 第2の画像を第2のレンズによって撮像センサ上に結像する
260 第1の開口のサイズを変更することによって第1の画像の焦点深度を調節する
270 第2の開口のサイズを変更することによって第2の画像の焦点深度を調節する
300 単一軸の立体撮像系
320 レンズ