【文献】
Eksperimental'naya i Klinicheskaya Farmakologiya, 2004, Vol.67, No.4, pp.30-34
【文献】
Antibiotiki i Khimioterapiya, 2010, Vol.55, No.9-10, pp.19-24
【文献】
Terapevticheskii arkhiv, 2011 Vol.83, No.9, pp.48-53,2011年 9月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗菌療法が、セフォタキシム、ミデカマイシン、アジスロマイシン、アモキシシリン、レボフロキサシン、オキサシリン、バンコマイシン、およびセフトリアキソンを含む群から選択される少なくとも1つの抗菌薬を投与する工程を含む、請求項2に記載の薬剤。
前記微生物が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)、インフルエンザ菌(Haemophylus influenza)およびモラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)から選択される少なくとも1種を含む、請求項4に記載の薬剤。
抗菌療法が、セフォタキシム、ミデカマイシン、アジスロマイシン、アモキシシリン、レボフロキサシン、オキサシリン、バンコマイシン、およびセフトリアキソンを含む群から選択される少なくとも1つの抗菌薬を投与する工程を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
前記微生物が、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌およびモラクセラ・カタラーリスから選択される少なくとも1種を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
抗菌療法が、セフォタキシム、ミデカマイシン、アジスロマイシン、アモキシシリン、レボフロキサシン、オキサシリン、バンコマイシン、およびセフトリアキソンを含む群から選択される少なくとも1つの抗菌薬を投与する工程を含む、請求項16に記載の使用。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施例)
(実施例1)
鼻副鼻腔炎を治療するためのグルタリルヒスタミンの有効性
急性鼻副鼻腔炎(ARS)の実験モデルにおいてグルタリルヒスタミンの活性を研究した。
【0026】
この実施例は、ホルマリンの鼻腔内投与により誘発される急性鼻副鼻腔炎の実験ラットモデルにおけるグルタリルヒスタミンの特異的薬理活性を示す。ラット鼻腔への20μlの7.5%ホルマリンの投与により、ヒトにおける急性鼻副鼻腔炎の症状と同様の臨床像の発生をもたらす。
【0027】
試験薬剤および参照薬剤を、7.5%ホルマリン投与後に7日間投与した。生理食塩水をプラセボとして使用した。空気塞栓法による実験的急性鼻副鼻腔炎の誘発の8日後に動物を安楽死させた。剖検の間、全ての動物の鼻腔を試料採取した。得られた材料を、さらなる組織学的分析のために10%中性緩衝ホルマリンに入れた。
【0028】
実験動物の両方の鼻腔の粘膜および粘膜下膜(呼吸器および嗅覚器領域)をグルタリルヒスタミンの比活性の形態学的分析に供した。
【0029】
実験の臨床段階の後、動物由来の材料を、3〜5μmの厚さを有する組織学的パラフィン切片を調製する標準的な処置に供した。顕微鏡的研究のために切片をヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。変化の比較および組織学的分析を未処置のラットの群に対して実施した。
【0030】
粘膜における血管の鬱血、上皮の過形成および壊死、鼻中隔における粘膜の1mm以内の杯細胞の数などの実験的急性鼻副鼻腔炎に固有の主要な病理学的プロセスを半定量的方法により評価して、組織学的、組織化学的および形態学的研究における病態生理学的変化の程度を評価した。
【0031】
治療としてデキサメタゾンを投与した動物(その動物の体重は恐らく薬剤の毒性作用により引き起こされた消耗に起因して34%減少した)を除いて、薬剤で処置した群において、ならびに未処置および対照群において平均で6.3%体重が増加した(Table 1(表1)を参照)。
【0033】
ジクロフェナクおよびデキサメタゾンと比較した様々な用量における薬剤グルタリルヒスタミンの特異的薬理活性を、ムコ多糖の産生および杯細胞に対する効果の組織学的および組織化学的分析により評価した。
【0034】
ラットにおける急性鼻炎は粘液性および粘液膿性鼻カタルの形態で現れた(Table 2(表2))。鼻腔における損傷(粘膜出血、酸性粘液の過剰産生、上皮の局所壊死)を特徴付けている主なプロセスが対照群のラットにおいて明らかになった。未処置の動物の鼻腔は損傷の肉眼的および顕微鏡的症状を有さなかった。
【0036】
参照薬剤のジクロフェナクで処置した群において、3匹のラットは粘液性カタルの肉眼的特徴を有し、4匹の動物はより重度の障害、特に急性鼻炎の臨床像として特徴付けられる、鼻腔の粘液膿性カタルを有し、この薬剤の無効性についての結論を下すことができた。
【0037】
第2の参照薬剤であるデキサメタゾンは、鼻腔内の粘膜が10匹の動物から9匹において肉眼的変化を有さなかったので、より目立った治療効果を有した。
【0038】
様々な用量におけるグルタリルヒスタミンの有効性の評価により、薬剤の最も目立った効果は27および45mg/kgの用量で観察されたことが示された。第1の場合において、10匹の動物から2匹のみが粘膜の変化を有した。これらの動物の鼻腔は粘液で占められ、荒れて、赤くなった粘膜を有した。45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンを投与したラットの鼻腔は障害の症状を有さず、特に粘膜は、淡いピンクであり、艶があり、滑らかであった。
【0039】
したがって、これらのデータは、5mg/kgの用量のデキサメタゾンならびに27および45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンが最大効果を有することを実証している。しかしながら、11mg/kgの用量における参照薬剤であるジクロフェナクは有意な効果を有さなかった。
【0040】
急性鼻炎を患っているラットにおいて発症した滲出性障害の顕微鏡的分析は、酸性粘液を含む杯細胞の数を測定することを目的とした(Table 3(表3))。
【0042】
杯細胞の形態および数は粘膜の機能的状態に依存する。鼻粘膜のカタルにおいて、杯細胞の数は増加するので、線毛細胞に対するそれらの正常な割合を変化させ、それにより、その表面上に堆積する、粘液性の分泌産物ならびに異なる微生物および異物の鼻咽頭の方への移動をもたらす粘液線毛輸送系、すなわち、鼻粘膜の浄化の機能を破壊する。
【0043】
Table 3(表3)に示されたデータは、対照群の動物における目立った病理学的プロセス、特に、増加した細胞の割合に起因して鼻腔内の嗅上皮が過形成し、粘膜下腺が拡大し、酸性粘液を含む杯細胞の数が、未処置の動物の群と比較して3倍有意に増加した(p<0.05)ことを実証している(Table 3(表3))。
【0044】
参照薬剤のジクロフェナクの使用は有意な効果を生じなかった。杯細胞の数は、未処置のラットの群と比較してほぼ2倍有意に増加したが、ほぼ1.5倍の有効な差(p<0.05)もまた、対照群と比較して明らかになった(Table 3(表3))。5mg/kgの用量の参照薬剤のデキサメタゾンの使用は目立った効果を生じ、特に、杯細胞の数は未処置の群における同じ細胞の数に到達する(Table 3(表3))。しかしながら、酸性粘液を含む杯細胞の数は、未処置の群におけるそれらの数を1.5倍有意(p<0.05)に超えたが、対照群の数と比較して有意に低かった(Table 3(表3))。
【0045】
27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンを投与した動物の群において、酸性の粘液を含む杯細胞の数は、未処置のラットの群と比較して有意ではないが高く、有意な差を有さず(p>0.05)、19.6±2.4であったが、対照群と比較して有意に低かった(p<0.05)(Table 3(表3))。
【0046】
したがって、急性鼻副鼻腔炎の実験モデルにおけるラットの鼻道の組織学的分析により、上皮の再生、および杯細胞の数の減少により特徴付けられる、27および45mg/kgの用量のグルタルヒスタミンの目立った治療効果が示された。45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンが、参照薬剤の効果と匹敵する効果を有し、さらにより有益であり、この効果は明らかな治療作用を有することが見出された。同時に、表された局所作用にもかかわらず、デキサメタゾンは動物消耗という形で現れる明らかな毒性作用を有する。
【0047】
(実施例2)
扁桃炎を治療するためのグルタリルヒスタミンの有効性
この実施例は扁桃炎の実験モデルにおいてグルタリルヒスタミンの活性を評価することを目的とする。LPS誘発性扁桃炎は、この疾患の経過における病因、病理形態学的変化および薬理学的薬剤の作用を研究するための最も適切なモデルのうちの1つである。
【0048】
20μg/kgの用量の、通常の生理溶液中の大腸菌(E.coli)リポ多糖(LPS)(Sigma)の溶液の右上リンパ節(内側頸部浅層(Inn. Cervicales superficiales))への10μlまでの投与により麻酔下で扁桃炎を誘発した。投与後、リンパ節を浅層頸筋の下に置き、次いで皮膚を縫合した。創傷をストレプトサイド(streptocide)で処置した。動物を手術後ケージ内に入れた。
【0049】
試験薬剤を、扁桃炎の誘発前の3日間および誘発後の10日間所定の時間にて所与の用量で厳密に1日に1回投与した。通常の生理食塩水をプラセボとして使用した。
【0050】
安楽死後すぐに、動物を剖検に供し、罹患したリンパ節および未処置のリンパ節を切除し、秤量した。
【0051】
各群からの動物の半分に由来するリンパ節は、切除後、-25℃にて72時間、冷蔵庫内で凍結されていた。次いでリンパ節を凍結乾燥した。
【0052】
各群からの動物の半分(7)において、罹患したリンパ節を組織学的分析に供した。安楽死後、未処置のリンパ節および罹患したリンパ節を各動物から切除した。上昇させていくアルコール(70〜95%)による標準的な組織学的処置およびクロロホルムによる含浸後、組織をパラフィンで包埋した。4〜6μmの厚さを有する切片をパラフィンブロックから調製し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色して、典型的な病理学的プロセスを明らかにし、光学顕微鏡(light-optical microscope)Leica DM LS(倍率200倍および400倍)を使用して必要なパラメータを研究した。
【0053】
参照薬剤で処置した実験群において致死例が観察された(Table 4(表4))。実験の間、ジクロフェナクで処置した動物は29%の死亡率を有したのに対して、デキサメタゾンで処置した動物は64%の死亡率を有した。剖検により、動物の死が中毒により引き起こされたことが実証された。動物は非常に消耗された。
【0055】
未処置のリンパ節および罹患したリンパ節の重量を比較し、また、その節を凍結乾燥して、腫れの程度に対する薬剤の効果および扁桃炎のモデルの適性を評価した。
【0056】
リンパ節の著しく目立った腫れを対照群において観察し、罹患したリンパ節と未処置のリンパ節との間の重量の差は、未処置の群においてより4倍有意に高かった(Table 5(表5))。さらに、同じ群の動物は、凍結乾燥後、罹患したリンパ節の重量を著しく損失し、これにより、明らかな先行する滲出および適切に誘発された局所病変が示される。
【0058】
参照薬剤(ジクロフェナクおよびデキサメタゾン)での処置は全く効果を示さなかった。
【0059】
グルタリルヒスタミンで処置した動物の罹患したリンパ節と未処置のリンパ節との間の有意な重量差を、27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンを投与した動物において観察した(Table 5(表5))。同時に、差は未処置の群および対照群の両方と比較して有意であった(p<0.05)。
【0060】
対照群のリンパ節は急性非特異性リンパ節炎のパターンを有した。それらの組織学的構造は未変化であり、皮層において、濾胞は増大(過形成)し、胚中心を有する濾胞の数は増加した。リンパ節内の胚中心の領域は、未処置の群と比較してほぼ2倍有意に増加した。
【0062】
ジクロフェナクを投与した動物におけるリンパ節、リンパ節炎のパターンは、統計的に有意な差ではないが、対照群と比較してわずかに少しだけ重度であった(Table 6(表6))。この薬剤は治療効果を実証しなかった。
【0063】
リンパ節の状態に対するデキサメタゾンの効果の研究により、両方の研究したパラメータにおいて明確な統計的に有意な減少が示された。同時に、リンパ節の胚中心の領域は、未処置の群の領域より実質的および有意に少なかった。
【0064】
これらの群のリンパ節は依然として、二次濾胞に起因する皮層リンパ濾胞の過形成において発現される急性非特異性リンパ節炎のパターンを有した。明るい胚中心を有さない原始濾胞は稀であった。胚中心の領域は罹患したリンパ節において増加した。異なる用量の薬剤はリンパ節の形態構造に対して異なる効果を有することが見出された。一般に、グルタリルヒスタミンの作用は二次濾胞の胚中心の領域の減少において表され、その作用は用量に依存する。したがって、27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンが最も明白な効果を有したという結果になる。この事例は、未処置の群におけるものとの差はないが、胚中心の領域が統計的に有意に減少した。
【0065】
肝臓のタンパク質合成機能および生物に対する薬剤の全身効果を総タンパク質(TP)分析において評価した。
【0067】
総タンパク質のレベルの減少を未処置の群と比較して全ての実験群において観察し、その差は統計的に有意であった(p<0.05)。参照薬剤のジクロフェナクを投与した動物の群において、TPレベルは対照群のレベルに近接し、統計的に有意な差を有さなかった(p>0.05)。参照薬剤のデキサメタゾンを投与した動物の群は、目立ったタンパク質異化効果を示した。TPレベルは動物の未処置および対照群においてより有意に低かった(p<0.05)。試験薬剤のグルタリルヒスタミンに関して、異なる用量を投与した全ての群におけるTPレベルは対照群におけるTPレベルより有意に高かった。しかしながら、「グルタリルヒスタミン、9mg/kg」の群において、レベルは未処置の群におけるレベルと異ならず、正常な範囲内であった。
【0068】
したがって、扁桃炎の発症を特徴付ける明白な病理学的変化が、ラットにおける二重リンパ節のうちの1つの組織へのLPS(大腸菌外壁のリポ多糖)の直接投与によりオスのWistarラットでの実験において得られた。誘発した病理を、第一に、リンパ節における局所的な変化により、特に過形成および胚中心を有する濾胞の数の増加により特徴付けた。11mg/kgの用量の参照薬剤のジクロフェナクは、この群のほぼ全てのパラメータが対照群におけるものとの差を有さなかったので、効果を有さず、この群における死亡率は29%であった。5mg/kgの用量のデキサメタゾンの効果は主に有毒であり、免疫抑制性であった。
【0069】
9および27mg/kgの用量の試験薬剤のグルタリルヒスタミンの使用は、特に第2の事例において、罹患したリンパ節組織のよりわずかに見える腫れを伴った。さらに、27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンを投与した動物の群は濾胞胚中心の領域の減少を示し、総タンパク質レベルの値は未処置の群におけるものと近接した。
【0070】
(実施例3)
細気管支炎および肺炎を治療するためのグルタリルヒスタミンの有効性
グルタリルヒスタミンの治療有効性を急性気管支炎の実験モデルにおいて研究した。グルタリルヒスタミンの治療有効性を、プローブを介する実験室のWistarラットへのリポ多糖の気管内投与により誘発された急性気管支炎の実験モデルにおいて研究した。そのプローブは、LPS(200μlの0.9% NaCl中に溶解した500μg/動物[Nathens A.B.ら、1998])の準備ができた溶液で充填された取り付け注射器を有した。LPSの投与後、注射器のプランジャによる5〜7回の動作を、肺路内のLPSのより良い分布のために行った。この操作後、投与後の合併症を明らかにするために動物を2時間モニターした。
【0071】
5mg/kgの用量のデキサメタゾンを参照薬剤として使用した。
【0072】
LPSは下気道の異なる部分の強い反応を引き起こし、その初期段階は、様々な重症度:膿瘍形成を伴う小巣状から大巣状の融合性肺炎(confluent pneumonia)の急性肺炎に急速進行する急性細気管支炎(AB)に対応することが見出された。LPS誘発性肺傷害は、間質浮腫により発現される全身および局所反応の両方を引き起こした。グルタリルヒスタミンの連日腸内投与は、肺炎の組織学的症状の改善をもたらした。
【0073】
組織構造および形態計測。左肺の中部3分の1(肺門)および頂部から得た試料で呼吸器および気道を研究した。4〜6μmの厚さの切片を、標準的な方法により調製したパラフィンブロックから調製し、基礎病理学的プロセスを明らかにし、光学顕微鏡検査により必要なパラメータを研究するためにヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。全ての動物における肺組織学的構造を分析するための材料を、呼吸器および気道を研究するために肺門および頂部から得た。
【0074】
未処置の動物の肺は損傷の肉眼的および顕微鏡的症状を有さず、気管支および細気管支は単層上皮と並んだ。標準の異形である気管支周囲浸潤を大気管支周囲で観察した。組織内の破壊プロセスに特異的な滲出液および細胞残屑は気管支および細気管支の管腔内に見られなかった。呼吸器領域は空気からなるように見え、肺胞壁の大部分は厚くならなかった。肺胞内腔内の漿液性(serose)または出血性滲出液の症状は検出されなかった。
【0075】
対照動物において、LPSの投与から開始して、異なる時点における形態学的変化を、傷害の動的進行ならびに傷害重症度およびその全領域の両方の増加に対する明らかな傾向により特徴付けた。したがって、最初の日における主な病理形態学的現象は、中心および小気管支ならびに細気管支の気管支周囲および気管支浸潤であり、これにより、これらの動物における細気管支炎の診断が可能となった。最初の日に、これらの動物はまた、浸潤および肥厚肺胞間中隔と共に目立った間質浮腫を有した。一部の場合、目立った肺胞浸潤、血管拡張および血管の鬱血、赤血球の漏出ならびに出血が存在した。
【0076】
病理学的プロセスの悪化の症状をABの誘発の2日後に観察した。したがって、呼吸面の減少をもたらす発見された間質浸潤の程度はより大きかった。これらのプロセスは、肺傷害の段階への移行を支持する。
【0077】
図1は、経時的なLPSの気管内投与における間質浮腫の程度(スコア)を示す。
* - 差は対照群と比較して統計的に有意である(p<0.05)。
【0078】
LPSの投与の72時間後、組織学的パターンを、気管支および細気管支の両方の周囲で、それらから離間した大きな融合性肺炎病変の形成を伴う呼吸領域のさらなる重度の傷害と特徴付け、一部の場合、全肺区域の最大50%までを覆うので、呼吸面の領域を突然減少させる。
【0079】
LPSの投与後の肺の変化の時間履歴を
図1、
図2および
図3に示し、それらの図において、変化を、半定量的スコア(スコアにより表される間質浮腫の強さ)により、または肺の傷害した部分の百分率により表す。
【0080】
間質浮腫は、肺胞間空間内にさらに放出し得る赤血球による滲出および浸潤に起因する肺胞間中隔の肥厚である。間質浮腫の程度の増加において、呼吸面の全領域は肺胞の縮小に起因して減少し、それにより呼吸不全をもたらす。間質浮腫はLPSの投与の2日後に対照において最も目立ったが、それは同様に他の日に激しかった。
【0081】
図2は、経時的な肺区域の全領域に基づいて%で表される肺胞浸潤の程度を示す。
* - 差は対照群と比較して統計的に有意である(p<0.05)。
【0082】
図に見られ得るように、LPSの気管内投与後の肺傷害の程度は約30%であり、2日目に有意でない減少をしたが、3日目にわずかに増加した。
【0083】
図3は、経時的なLPSの気管内投与における赤血球の漏出の程度(肺区域の%)を示す。
* - 差は対照群と比較して統計的に有意である(p<0.05)。
【0084】
既に上で述べたように、肺胞内腔への赤血球の放出もまた、LPSの気管内投与後に観察された。
図3は経時的にこのプロセスを示し、漏出が徐々に減少し、3日目に最小値を有することが見られ得る。
【0085】
LPSの投与の2〜3日後、参照薬剤で処置したラットの群は、対照群と比べてそれら自身悪化したようであった。このことは、実験者に対するそれらの無力の弱い反応、乱れた毛、および眼の痂皮形成において明らかであった。対照群と同様にそれらの一部は、致死的な転帰を伴う重度の進行性呼吸困難を患っていた。このような動物の死因は、上に開示した対応する形態学的変化を伴うショックにより悪化する急性出血性肺炎であるように見えた。
【0086】
ラットの残りは急性肺傷害に特異的な肺の変化があったが、それらは対照群においてよりずっと少ないことは明らかであった。したがって、間質浮腫の程度(
図1)は、1および2日目に有意に低く、3日目にそれは対照群においてより2倍少なかった。肺胞浸潤の領域(
図2)もまた、最初に少なく、2および3日目に対照動物との差は統計的に有意であった。さらに、1日目に赤血球の漏出は上昇し(
図3および
図4)、対照群とほぼ同じであり、2日目に減少し、3日目に最小値に到達した。
【0087】
図4は、LPS投与の24時間後の実験動物(デキサメタゾン、5mg/kg)の肺区域を示す。赤血球の漏出は上昇する。
【0088】
図5は、LPS投与の72時間後の実験動物(デキサメタゾン、5mg/kg)の肺区域を示す。気管支周囲浸潤および間質浮腫は減少する。
【0089】
各試験用量のグルタリルヒスタミンについての全ての時点で検出される肺内の出血症状は、対照群およびデキサメタゾンの群と比べて有意に弱かった。
【0090】
間質浮腫の減少を、対照群と比べて1および3日目に27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンで観察した(
図6および
図7)。肺胞浸潤の有意な減少もまた、その減少が対照群と比べて統計的に有意である場合、2日目から開始して3日目までに得られたレベルを維持することを観察した。
【0091】
図6は、LPS投与の24時間後の実験動物(デキサメタゾン、27mg/kg)の肺区域を示す。気管支周囲浸潤および間質浮腫は減少する。
【0092】
図7は、LPS投与の72時間後の実験動物(デキサメタゾン、27mg/kg)の肺区域を示す。気管支周囲および気管支内浸潤ならびに間質浮腫は減少する。
【0093】
したがって、様々な研究パラメータの分析により、リポ多糖の気管内投与により細気管支炎をモデル化する場合、グルタリルヒスタミンの防御作用が示された。
【0094】
LPSの気管内投与により、下気道の異なる部分において重度の傷害が生じた。傷害の初期段階は固有の症状:気道内部の細胞砕屑を含む滲出液ならびに細気管支周囲および気管支周囲領域の浸潤物の存在を伴う急性細気管支炎に対応した。さらに、傷害は急速に進行し、様々な重症度:膿瘍形成を伴う小巣状から大巣状の融合性肺炎の急性肺炎に転換した。LPS誘発性肺傷害は間質浮腫において発現される全身および局所反応の両方を引き起こした。
【0095】
デキサメタゾンと比較して、グルタリルヒスタミンは、糖質コルチコイドホルモンに固有のあまり目立たない副作用などの明らかな利点を有した。27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンの連日腸内投与により、肺組織内の間質浮腫および出血現象の組織学的症状が改善した。
【0096】
(実施例4)
扁桃炎を治療するためのグルタリルヒスタミンの有効性
腺窩性扁桃炎を治療するためのグルタリルヒスタミンの有効性を無作為化非盲検および比較試験において研究した。
【0097】
試験は医学的管理下であった60人の患者を含んだ。入院時に、患者を無作為抽出技術により2つの群に無作為化した。第1の群の患者(30人の対象)は、5日間1日につき90mg(1錠剤)の量(450mgのコース用量)のグルタリルヒスタミン、ならびに抗菌薬剤(7日間、ペニシリン1g 筋肉内 1日に4回またはセファソリン(cefasoline)1g 筋肉内 1日に3回)および対症療法剤を含む標準療法を受けた。第2の群の患者(30人の対象)は標準療法のみを受けた。
【0098】
実験室分析は、一般的な血液検査、C反応性タンパク質の決定、および扁桃腺スメアの微生物分析を含んだ。治療の6日目に検査データを分析した。
【0099】
以下の基準:体温正常化の時間;中毒症状の消失の時間、中咽頭における時間依存性の炎症性変化、実験室パラメータ(一般的な血液検査およびC反応性タンパク質)の時間依存性変化、合併症発症(扁桃周囲炎(paratonsillitis)、扁桃周囲膿瘍(paratonsillar abscess));4スコアスケール(頭痛、疲労、咽頭痛、喉内の化膿性沈着物、咳および鼻炎):0-症状なし、1-軽度の症状の強さ、2-中等度の症状の強さ、および4-重度の症状の強さに従って患者および医師により評価される症状の時間依存性変化、に従ってグルタリルヒスタミンの臨床効果を評価した。
【0100】
薬剤の有効性を評価するための対照時点は治療の3、6および8日目であった。治療の撤回基準は、体温の正常化および扁桃腺上の化膿性沈着物の欠如、白血球増加および好中球変化であった。
【0101】
得られた結果の統計的処理。定量的変数の値はM±SEで表し、ここで、Mは平均値であり、SEは標準誤差である。カイ二乗検定(χ2-検定)の種々の修飾により妥当性を確認し、パラメータ間の差は、P<0.05の場合、統計的に有意(有効)であるとみなした。Stat Soft Statistics 6.0ソフトウェアを使用して実験データを統計的に処理した。
【0102】
結果および考察
研究は60人の18〜56歳(24.6±1.0歳)の男性を含み、患者の治療は症状発症後、48時間(34.9±1.2時間)までに開始した。全ての患者は中等度の重症度の疾患を有した。
【0103】
1〜2程度までの扁桃肥大、扁桃腺の腫れ、および窩内の化膿性沈着物を検出した。全ての患者は局所リンパ節炎を有した。
【0104】
微生物相は、A群でないβ-溶血連鎖球菌、アルファ-溶血連鎖球菌、フリードレンデル桿菌(Friedlender's bacillus)、ナイセリア属(Neisseria)およびそれらの組合せにより表された。
【0105】
個体群統計データ、治療前の疾患の持続時間、呼吸器疾患の病因および臨床症状有病率の分析により、標準療法およびグルタリルヒスタミンを含む複合治療を受けた患者の比較群(I群)と、標準療法のみを受けた患者(II群)との間の統計的有意差の非存在が実証された。
【0106】
複合治療のコースでグルタリルヒスタミンを投与された患者の第1の群において、24時間以内に正常な体温になったのは69.2%であったが、標準療法を受けた第2の群においては33.3%であった。治療の開始から24〜36時間において、それぞれ90.0%および53.3%が正常な体温になった(Table 8(表8)を参照)。対照の時点(治療の24および48時間)において、1日の最大体温の平均値は、比較群の間で統計的有意差を有した(p<0.05、
図8〜
図13)。
【0108】
体温の定性的値の群間比較により、標準療法の群において統計的に有意な遅れた体温の正常化も示された(p=0.002)。
【0109】
中毒症状の持続時間および中咽頭の局所的な変化の分析により(Table 9(表9))、標準療法と比較して抗生物質と併用したグルタリルヒスタミンによる治療の有益性が実証される。化膿性沈着物からの扁桃腺のクリアランスの時間(p=0.007)および咽頭痛(p=0.003)などの主要な扁桃炎の症状の持続時間の短縮は統計的に有意であった。
【0111】
グルタリルヒスタミンを投与された患者の群における主要な扁桃炎症状(発熱、頭痛、咽頭痛、窩内の化膿性沈着物、および咳)の消失前の期間は標準療法の群と比較して短かった。スコアでの症状の主観的値によれば、グルタリルヒスタミンを投与された患者は、頭痛の強さ(
図8)、疲労(
図9)、咽頭痛(
図10)、化膿性沈着物の程度(
図11)、咳(
図12)、および鼻炎(
図13)において有効な差を有した。
【0112】
治療前に、全ての患者の血清は高いレベルのC反応性タンパク質を有し、その平均濃度は、標準療法の群(12倍)と比較してグルタリルヒスタミンを投与された患者(6日で48倍(治療後の対照の時点))において、より明らかに低下した(Table 10(表10))。
【0114】
グルタリルヒスタミンは患者に良好な忍容性を示した。2つの群の患者は望ましくない症状および二次性合併症(扁桃周囲炎、膿瘍)を有さなかった。I群の患者の治療期間はII群と比較して1日だけ短かった(それぞれ6.7および7.6日)。
【0115】
扁桃炎の併用療法におけるグルタリルヒスタミンの有効性の研究により、グルタリルヒスタミンおよびβ-ラクタム抗生物質の併用投与の高い有効性および明確な利点が示された。
【0116】
併用療法におけるグルタリルヒスタミンの使用により、より短い持続時間および重症度の発熱、低い強さの中毒症状ならびに扁桃組織の変化のより早い消失がもたらされ、それらの全ては、標準療法と比較して統計的に有意であったので、疾患の持続時間および入院を短縮した。
【0117】
グルタリルヒスタミンは優れた安全性プロファイルを有し、望ましくない症状を有したものはなかった。
【0118】
したがって、得られた結果は抗菌薬およびグルタリルヒスタミンの併用投与において高い有効性および相乗効果を証明する。
【0119】
(実施例5)
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するためのグルタリルヒスタミンの有効性
動物へのリポ多糖(LPS)の静脈内投与は、病因、病理形態学的変化および急性呼吸窮迫症候群の結果を研究するための最も許容可能なモデルの1つであるので、このモデルをこの実施例において使用した。試験薬剤のグルタリルヒスタミンを、LPSの最初の投与後の9日間に投与した。すなわち、グルタリルヒスタミンを合計12日間投与した(ARDSの誘発の前の3日ならびに誘発の間および後の9日)。文献データおよび情報リーフレットによれば、ステロイド性抗炎症薬の長期間の投与は重度の副作用を引き起こす場合があるので、デキサメタゾンは除いた。このため、デキサメタゾンは以下のスケジュールに従って投与した:ARDS誘発の49、24および1時間前に5mg/kgの用量、LPSの最初の注射後3日間、同じ用量;この薬剤は3日間徐々に用量を減少させることにより中止した。したがって、デキサメタゾンは9回投与した。
【0120】
7.5mg/kgの静脈内用量でLPSを投与した動物の間での死亡率は8日間で70%であった。それらの多く(60%)は最初の日、特にLPS注射の4から12〜16時間後に死亡した。グルタリルヒスタミンを投与した動物の間での死亡率はデキサメタゾンで処置した動物の死亡率とは異なったが、それらの多くもまた、ほぼ同じ時間で最初の日に死亡した(Table 11(表11))。
【0122】
最も低い最初の日の死亡率を、0.5mg/kgおよび27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンを投与したラットの群において観察した。0.5および27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンの防御指標はそれぞれ57.1%および71.4%であった。
【0124】
この工程において、より低い用量だが、より長い期間、LPSを動物に投与した。それらの動物は、1および2日目に2mg/kg、ならびに3および4日目にそれぞれ3および4mg/kgを投与された。LD
70の単回投与と同様に、最大死亡率は最初の日であった。8日目に、死亡率は33%に到達した。生存および死亡率ならびに防御指標をTable 12(表12)に与える。
【0125】
したがって、0.5および27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンを投与した動物の間での死亡率はそれぞれ12.5および8.3%であり、防御指標は62.5および75%であった。デキサメタゾンを投与した動物の間での死亡率は最初の3日間0%であったが、4日目から開始して8%の動物が死亡し、4日目にさらに4%の動物が死亡した。したがって、デキサメタゾンを投与した動物の間での死亡率は12.5%であり、防御指標は62.5%であった。
【0126】
肺の傷害パターンは急性呼吸窮迫症候群に典型的であった。LPS投与の4時間後に最大強度を観察した。しかしながら、肺胞間中隔の肥厚によりなされた間質膨張、肺胞内への滲出液浸出を伴う肺胞水腫、「ヒアリン膜」の形成およびわずかな肺胞浸潤の存在を2時間後に既に観察した。赤血球の大量の漏出も検出し、一部の場合、小さいおよび中間の血管における出血、充血および鬱血、血管周囲浮腫ならびに血管周囲性浸潤が存在した。同様の症状もまた、対照動物において検出したが、それらは4時間未満後に明白になった。肺における最大の顕微鏡的ARDS関連変化は死亡した動物および瀕死の動物に存在した。これらのラットは、大なり小なりの程度で現れた、他の器官:肝臓、腎臓および腸管内にも障害を有し、これにより、多臓器不全症候群の発生が支持された。
【0127】
この結果の分析により、0.5mg/kg(8日間で30%)および27mg/kg(20%)の用量のグルタリルヒスタミンでの死亡率は最小であり、防御指標はそれぞれ57.1%および71.4%であったことが示された。5mg/kgの用量のデキサメタゾンを投与した動物の間での死亡率が突出した。対照動物および薬剤で処置した動物の間での最大死亡率は最初の日、すなわちLPSの静脈内投与の最初の16時間後であった。デキサメタゾンを投与されたラットの間で、致死例は最初の3日間記録されなかった。しかしながら、投薬中止後(全ての薬剤の投与はLPS注射の3日後に終了した)、動物の集中的なほぼ毎日の死を4日目から記録した。したがって、防御指標は28.6%であった。デキサメタゾンで処置した動物の死が中断し、4日目から開始して観察した場合、同じ状況が実験の第2段階であった。これは、特に二次感染の獲得を伴う、デキサメタゾンの副作用と関連しているようである。二次感染の獲得は、特に多発性膿瘍の形成により、特にこれらの動物の剖検において支持された。
【0128】
実験の第2の工程は、ARDSにおけるグルタリルヒスタミンにより与えられる特異的防御の決定のために使用される防御指標およびより狭い指標の計算を用いた両方の動物の死亡率の評価を含む。上に開示したように、より低用量のLPS(LD
30)を第2の段階で使用した。さらに、4日間毎日LPSを投与した。投与のこの方法は、グルタリルヒスタミンの起こり得る防御作用の後の評価のために肺において正確に最大障害を達成することを目的とした。
【0129】
反復投与のLPSで処置した動物の間での死亡率の分析により、27mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンの防御指標が、0.5mg/kgの用量におけるよりわずかに高く、それぞれ、75%および62.5%であったことが示された。このことは実験の第1の段階で得られたデータと実質的に一致し、この病理におけるグルタリルヒスタミンの高い活性が証明された。デキサメタゾンの防御指標はまた、62.5%であった。
【0130】
グルタリルヒスタミンで処置した動物の間での死亡率は対照動物におけるより有意に低かったので、多臓器不全もまた、低い程度で現れたと仮定することができる。したがって、リポ多糖の単回投与および反復投与の静脈内投与により引き起こされた急性呼吸窮迫症候群の使用したラットモデルにおいて得られた実験データを考慮して、グルタリルヒスタミンが、LD
30用量のLPSの静脈内反復投与において6回の試験した用量(0.5、3、9、18、27および45mg/kg)についてそれぞれ用量依存性特異的治療活性を有することが示された。デキサメタゾンと比較して目立たない副作用と併せたこの薬物の有効性により、グルタリルヒスタミンの投与が、ステロイド性抗炎症薬の投与より好ましいという結論を下すことができる。
【0131】
(実施例6)
マウスにおけるブドウ球菌性敗血症および大腸菌性敗血症におけるレボフロキサシンと併用したグルタリルヒスタミンの有効性
この実施例は、マウスにおけるブドウ球菌性敗血症および大腸菌性敗血症におけるレボフロキサシンと併用したグルタリルヒスタミンの活性を研究することを目的とする。
【0132】
試験薬剤は、15、30および45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンであった。経口投与用の試験薬剤の溶液を即座に調製した。レボフロキサシン(経口投与における)を治療製剤として使用した。なぜなら、この物質は何年も前から臨床診療において承認されている最も実験的に研究された抗生物質であったからである。
【0133】
黄色ブドウ球菌(マウスに適合した株10)を感染因子として使用した。マウスを静脈内感染させた。
【0134】
最初に、特定の体重を有するマウスのこの系統へ静脈内投与する致死量(LD
100)のブドウ球菌を決定した。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。致死量は3×10
8CFU/マウスであった。その後、致死量で得られるブドウ球菌についてのレボフロキサシンのED
50(50%有効量)を決定した。このために、マウスをケージ(1つのケージにつき10匹の動物)内に収容し、致死量のブドウ球菌に感染させた。1時間後、1、2、4、6、8、10、および12mg/kgの用量のレボフロキサシンを各マウスに経口投与した。治療せずに致死量のブドウ球菌で感染させたマウスの群を対照群とみなした。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。レボフロキサシンについてのED
50は2.65mg/kg(実験において2.5mg/kg)であった。
【0135】
実験の次の工程は、マウスにおけるブドウ球菌性敗血症のモデルに対するグルタリルヒスタミンおよびレボフロキサシンの併用投与の効果を研究することであった。
【0136】
この実験において、マウスを以下の群(1つのケージにつき10匹の動物)に収容した:
1.対照、致死量のブドウ球菌
2.ブドウ球菌+レボフロキサシン、2.5mg/kg
3.ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、15mg/kg
4.ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、30mg/kg
5.ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、45mg/kg
6.ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、15mg/kg+レボフロキサシン、2.5mg/kg
7.ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、30mg/kg+レボフロキサシン、2.5mg/kg
8.ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、45mg/kg+レボフロキサシン、2.5mg/kg
【0137】
5日間、3、4、5、6、7、および8の群のマウスに対応する用量でグルタリルヒスタミンを経口投与した。5日後、全ての群のマウスに致死量の0.2mlの黄色ブドウ球菌を静脈内投与した。感染の1時間後、2、6、7および8の群のマウスに2.5mg/kgの用量の0.2mlのレボフロキサシンを経口投与した。感染およびレボフロキサシンの投与後、さらに5日間、3〜8の群のマウスにグルタリルヒスタミンを投与した。実験の間、動物を毎日観察し、致死例を記録した(Table 13(表13)を参照)。
【0138】
大腸菌(マウスに適合した株4300、機関収集物)を感染因子として使用した。マウスを静脈内で感染させた。
【0139】
最初に、特定の体重を有するマウスのこの系統へ静脈内投与する大腸菌の致死量(LD
100)を決定した。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。致死量は4×10
8CFU/マウスであった。その後、致死量で得られる大腸菌についてのレボフロキサシンのED
50(50%有効量)を決定した。このために、マウスをケージ(1つのケージにつき10匹の動物)内に収容し、致死量の大腸菌に感染させた。1時間後、1、2、4、6、8、10、および12mg/kgの用量のレボフロキサシンを各マウスに経口投与した。治療せずに致死量の大腸菌に感染させたマウスの群を対照群とみなした。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。レボフロキサシンのED
50は2.97mg/kg(実験において3mg/kg)であった。
【0140】
実験の次の工程は、マウスにおける大腸菌性敗血症のモデルに対するグルタリルヒスタミンおよびレボフロキサシンの併用投与の効果を研究することであった。
【0141】
実験において、マウスを以下の群(1つのケージにつき10匹の動物)で収容した:
9.対照、致死量の大腸菌
10.大腸菌+レボフロキサシン、3mg/kg
11.大腸菌+グルタリルヒスタミン、15mg/kg
12.大腸菌+グルタリルヒスタミン、30mg/kg
13.大腸菌+グルタリルヒスタミン、45mg/kg
14.大腸菌+グルタリルヒスタミン、15mg/kg+レボフロキサシン、3mg/kg
15.大腸菌+グルタリルヒスタミン、30mg/kg+レボフロキサシン、3mg/kg
16.大腸菌+グルタリルヒスタミン、45mg/kg+レボフロキサシン、3mg/kg
【0142】
5日間、3、4、5、6、7、および8の群のマウスに対応する用量でグルタリルヒスタミンを経口投与した。5日後、致死量の0.2mlの大腸菌を全ての群のマウスに静脈内投与した。感染の1時間後、2、6、7および8の群のマウスに、3mg/kgの用量の0.2mlのレボフロキサシンを経口投与した。感染およびレボフロキサシンの投与後、さらに5日間、3〜8の群のマウスにグルタルヒスタミンを投与した。実験の間、動物を毎日観察し、致死例を記録した(Table 14(表14)を参照)。
【0144】
この表におけるデータの分析により、対照群、黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン(45mg/kg)の群および黄色ブドウ球菌+レボフロキサシンの群において3日目に最初の致死例を記録したことが実証される。4日目に、致死例は依然として全ての用量において対照群ならびに黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミンおよび黄色ブドウ球菌+レボフロキサシンの群において発生した。実験の5、6、および7日目に最も多い致死例を対照群ならびに試験群において観察した。黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン+レボフロキサシンの群において、5日目に(45mg/kgの用量において)1匹のマウスが死亡し、30mg/kgの用量において全実験の間、致死例はなかった。対照群における最後のマウスは実験の8日目に死亡した。10日目に生存率は以下の通りであった:
黄色ブドウ球菌+レボフロキサシンの群-50%;
黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミンの群:
15mg/kgの用量において-20%、
30mg/kgの用量において-30%、および
45mg/kgの用量において-20%;
黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン+レボフロキサシンの群:
15mg/kgの用量において-80%、
30mg/kgの用量において-100%、および
45mg/kgの用量において-90%。
【0146】
この表におけるデータの分析により、大腸菌+グルタリルヒスタミン(45mg/kg)の群において最初の致死例を2日目に記録したことが示される。3日目に、致死例は対照群および大腸菌+グルタリルヒスタミン(45mg/kg)の群において発生した。4日目に、致死例は依然として対照群および全ての用量の大腸菌+グルタリルヒスタミンの群において発生した。最も多い致死例は、実験の5、6、7、および8日目に対照群および試験群において観察した。大腸菌+グルタリルヒスタミン+レボフロキサシンの群において、1匹のマウスは6日目に(30および45mg/kgの用量において)死亡した。対照群における最後のマウスは実験の7日目に死亡した。10日目に、生存率は以下の通りであった:
大腸菌+レボフロキサシンの群-50%;
大腸菌+グルタリルヒスタミンの群:
15mg/kgの用量において-20%、
30mg/kgの用量において-20%、および
45mg/kgの用量において-10%;
大腸菌+グルタリルヒスタミン+レボフロキサシンの群:
15mg/kgの用量において-90%ならびに
30および45mg/kgの用量において-80%。
【0147】
併用療法における15から45mg/kgの範囲の用量のグルタリルヒスタミンは、ブドウ球菌性敗血症おいて生存率によれば50%から80〜100%、および大腸菌性敗血症において生存率によれば50から80〜90%、レボフロキサシンの有効性を増加させるので、その目立った増強特性が確認される。
【0148】
併用療法における種々の用量のグルタリルヒスタミンの投与において得られた効果を考慮して、30mg/kgの用量が最適であるようであるという結論を下すことができる。レボフロキサシンと併用して観察された最大効果は、ブドウ球菌性敗血症において100%および大腸菌性敗血症において90%の生存率であった。
【0149】
感受性のあるマウス系統においてレボフロキサシンと併用してグルタリルヒスタミンを使用して得られた結果により、抗生物質に対して感受性が低下している系統および耐性系統(MRSAタイプ)におけるその増強作用が実証される。
【0150】
(実施例7)
マウスにおけるブドウ球菌性敗血症のモデルに対するグルタリルヒスタミンおよびアンピシリンの併用投与の有効性
研究前に、実験動物を、適応させるために14日間ケージ内に群で監禁した。この期間の間、動物の臨床状態を目視検査によりモニターした。検査の間に現れた異常を有する動物を実験群から除去した。
【0151】
研究前に、組入れ基準に従って動物を群に分けた。
【0152】
明白な異常を有さない動物を、それらの個々の体重が平均値から10%を超えて逸脱しないように、群に無作為に分けた。
【0153】
試験薬剤は15、30および45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンであった。経口投与のための試験薬剤の溶液を即座に調製した。アンピシリン(静脈内投与において)を治療製剤として使用した。なぜなら、この物質は、何年も前から臨床診療に承認されている最も実験的に研究された抗生物質であったからである。
【0154】
黄色ブドウ球菌(マウスに適合した株10)を感染因子として使用した。マウスを静脈内で感染させた。
【0155】
最初に、特定の体重を有するマウスのこの系統へ静脈内投与した場合のブドウ球菌の致死量(LD
100)を決定した。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。致死量は3×10
8CFU/マウスであった。その後、致死量で得られるブドウ球菌についてのアンピシリンのED
50(50%有効量)を決定した。このために、マウスをケージ(1つのケージにつき10匹の動物)内に収容し、致死量のブドウ球菌に感染させた。1時間後、10、20、30、40、および50mg/kgの用量のアンピシリンを各マウスに静脈内投与した。治療せずに致死量のブドウ球菌に感染させたマウスの群を対照群とみなした。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。アンピシリンのED
50は17.3mg/kg(実験において20mg/kg)であった。
【0156】
動物を10日間観察し、死亡率を毎日記録した。
【0157】
実験の次の工程は、マウスにおけるブドウ球菌性敗血症のモデルに対するアンピシリンとグルタリルヒスタミンの併用投与の効果を研究することであった。
【0158】
実験において、マウスを以下の群(1つのケージにつき10匹の動物)に収容した:
対照、致死量のブドウ球菌
ブドウ球菌+アンピシリン、20mg/kg
ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、15mg/kg
ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、30mg/kg
ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、45mg/kg
ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、15mg/kg+アンピシリン、20mg/kg
ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、30mg/kg+アンピシリン、20mg/kg
ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン、45mg/kg+アンピシリン、20mg/kg
【0159】
5日間、3、4、5、6、7、および8の群のマウスに対応する用量でグルタリルヒスタミンを経口投与した。5日後、致死量の0.2mlの黄色ブドウ球菌を全ての群のマウスに静脈内投与した。感染の1時間後、20mg/kgの用量の0.2mlのアンピシリンを2、6、7および8の群のマウスに経口投与した。感染およびアンピシリンの投与後、さらに5日間、グルタリルヒスタミンを3〜8の群のマウスに投与した。実験の間、動物を毎日観察し、致死例を記録した。
【0161】
実験において、50%有効量(ED
50)のアンピシリンを使用したことが留意されるべきである。なぜなら、グルタリルヒスタミンの陽性または陰性作用はこのような用量でのみ記録できるからである。
【0162】
この表におけるデータの分析により、対照群および黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン(45mg/kg)の群において最初の致死例を3日目に記録したことが実証される。致死例はまた、対照群において4日目に観察し、黄色ブドウ球菌+アンピシリンの群、および全ての用量について黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミンの群において記録した。致死例のほとんどは、実験の5、6、および7日目に対照群および試験群において記録した。黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン+アンピシリンの群において、1匹のマウスは6日目(15mg/kgの用量)に死亡し、30および45mg/kgの用量において、全実験の間、致死例はなかった。対照群における最後のマウスは実験の7日目に死亡した。10日目に、生存率は以下の通りであった:
黄色ブドウ球菌+アンピシリンの群-50%;
黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミンの群:
15mg/kgの用量において-30%、
30mg/kgの用量において-30%、および
45mg/kgの用量において-20%;
黄色ブドウ球菌+グルタリルヒスタミン+アンピシリンの群:
15mg/kgの用量において-90%ならびに
30および45mg/kgの用量において-100%。
【0163】
得られた結果の分析により、以下の結論を下すことができる。
【0164】
15、30および45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンとアンピシリン(ED
50の用量)の併用の結果、90〜100%の生存率が生じた。このことにより、グルタリルヒスタミンがアンピシリンに対して増強した活性を有することが証明される。
【0165】
したがって、上記の実験データを考慮して、気道疾患を治療するために、特に気道疾患を治療するための抗菌療法の有効性を高めるために、グルタリルヒスタミンを使用することができる。その疾患は、鼻副鼻腔炎、副鼻腔炎、扁桃炎、細気管支炎、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)であってもよい。
【0166】
(実施例8)
ラットにおけるMRSA(メチシリン耐性株)誘発性ブドウ球菌性敗血症におけるアンピシリンと併用したグルタリルヒスタミンの有効性
この実験は、MRSA誘発性ブドウ球菌性敗血症のモデルに対するアンピシリンと併用したグルタリルヒスタミンの活性を評価することを目的とした。
【0167】
陽性対照として50%有効量(ED
50)のレボフロキサシンを使用した。
【0168】
研究前に、実験動物を、適応させるために14日間ケージ内に群で監禁した。この期間の間、動物の臨床状態を目視検査によりモニターした。検査の間に現れた異常を有する動物を実験群に含まなかった。
【0169】
研究前に、組入れ基準に従って動物を群に分けた。
【0170】
明白な異常を有さない動物を、それらの個々の体重が平均値から10%を超えて逸脱しないように、群に無作為に分けた。
【0171】
試験薬剤は15、30および45mg/kgの用量のグルタリルヒスタミンであった。経口投与のための試験薬剤の溶液を流水中で即座に調製した。アンピシリン(静脈内投与において)を治療製剤として使用した。なぜなら、それは、何年も前から臨床診療に承認されている最も実験的に研究された抗生物質であるからである。レボフロキサシンを陽性対照として使用した(経口投与において)。
【0172】
黄色ブドウ球菌を感染因子として使用した(マウスに適合したMRSA株5、GU NIINA im.G.F.Gauze RAMNからの収集物)。
【0173】
最初に、特定の体重を有するマウスのこの系統へ静脈内投与した場合のブドウ球菌の致死量(LD
100)を決定した。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。致死量は8×10
8CFU/マウスであった。その後、致死量で得られるブドウ球菌MRSAに感染させたマウスの20%の生存率を与えるアンピシリンの用量を決定した。このために、マウスをケージ内に10匹の動物で収容し、致死量のブドウ球菌に感染させた。1時間後、30、60、90、120、150、および180mg/kgの用量のアンピシリンを各マウスに静脈内投与した。治療せずに致死量のブドウ球菌に感染させたマウスの群を対照群とみなした。マウスの間での致死例を10日間毎日記録した。ブドウ球菌MRSAに感染させたマウスの20%の生存率を与えるアンピシリンの用量は120mg/mlであった。ED
50(4mg/kg)の用量のレボフロキサシン(これに対してMRSA株は感受性である)を陽性対照として使用した。
【0174】
実験の次の工程は、マウスにおけるMRSA誘発性ブドウ球菌性敗血症のモデルに対するアンピシリンとグルタリルヒスタミンの併用投与の効果を研究することであった。
【0175】
実験において、マウスを1つのケージにつき10匹の動物の以下の群で収容した:
1.対照、致死量のブドウ球菌MRSA(8×10
8、静脈内、1回)
2.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
3.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+レボフロキサシン(4mg/ml、経口、1回)
4.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+グルタリルヒスタミン(15mg/ml、経口、10日)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
5.ブドウ球菌(8×10
8、i.v.、1回)+グルタリルヒスタミン(30mg/ml、経口、10日)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
6.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+グルタリルヒスタミン(45mg/ml、経口、10日)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)。
【0176】
黄色ブドウ球菌のLD
100の決定
Table 16(表16)に与えたデータから以下のように、試験群において最初の致死例を、7×10
8の用量(1匹のマウス)、ならびに8および9×10
8の用量(各事例、2匹のマウス)で3日目に記録した。最後の致死例を、6×10
8の用量で5日目、9×10
8の用量で7日目、ならびに7×10
8および8×10
8の用量で8日目に記録した。10日目に、死亡率は以下の通りであった:6×10
8の用量で50%、7×10
8の用量で80%、ならびに8および9×10
8の用量で100%。対照(未処置)群では致死例は存在しなかった。
【0178】
8×10
8の黄色ブドウ球菌(MRSA)のLD
100(マウスの間で100%の死亡率を与える黄色ブドウ球菌の最大用量)を主な実験に使用した。
【0179】
マウスにおけるブドウ球菌敗血症のモデルに対するアンピシリンのEDの決定
Table 17(表17)に与えたデータから以下のように、最初の致死例を致死量のブドウ球菌による感染の2日後に記録した。試験群における最初の致死例を、30mg/kgの用量において2日目、60、90、120mg/kgの用量において3日目、ならびに150および180mg/kgの用量において4日目に記録した。対照群における最後のマウスは7日目に実験において死亡した。10日目に、死亡率は以下の通りであった:30および60mg/kgの用量において0、90mg/kgの用量において10%、ならびに120、150、および180mg/kgの用量において20%。対照(未処置)群では致死例は存在しなかった。
【0181】
全ての群における生存率は50%以下であったので、MRSA株に対するアンピシリンのED
50は決定できなかった。
【0182】
マウスにおけるブドウ球菌性敗血症のモデルに対するアンピシリンと併用したグルタリルヒスタミンの活性の評価
【0184】
Table 18(表18)についての群
1.対照、致死量のブドウ球菌MRSA(8×10
8、 静脈内 1回)
2.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
3.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+レボフロキサシン(4mg/ml、経口、1回)
4.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+グルタリルヒスタミン(15mg/ml、経口、10日)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
5.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+グルタリルヒスタミン(30mg/ml、経口、10日)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
6.ブドウ球菌(8×10
8、静脈内、1回)+グルタリルヒスタミン(45mg/ml、経口、10日)+アンピシリン(120mg/ml、静脈内、1回)
【0185】
得られた結果の分析により、以下の結論を下すことができる:
感染因子としてのMRSA株の使用は20%の最大生存率を与えた(120mg/kgのアンピシリンの用量において)。
【0186】
15、30および45の用量のグルタリルヒスタミンと120mg/kgの用量のアンピシリンの併用により、100%の死亡率である対照群と比較して40〜50%に生存率が増加した。
【0187】
グルタリルヒスタミンとアンピシリンの併用投与は、(生存マウスの%によれば)治療の向上した有効性を与える。
【0188】
(実施例9)
抗生物質およびグルタリルヒスタミンの併用投与における肺炎の抗菌療法の有効性の増強
(実施例9.1)
両側多区域性肺炎(double-sided multisegmental pneumonia)と診断された患者を治療した。入院時、患者は38.9℃の体温を有し、中等度から重度の状態であった。患者は青白い顔面の皮膚および口唇チアノーゼなどの顕著な症状を有した。他の観察される症状は、強膜充血および結膜充血;充血している口腔咽頭粘膜、軟口蓋内の粘膜のチアノーゼおよび顆粒化であった。気管領域において痛みを伴った乾性咳、呼吸数は20呼吸/分であった。肺内の呼吸音は湿性ラ音を伴い弱くなっていた。血液飽和度のレベルは96%であった。心音は小さく、律動的であり、脈拍数は100拍/分であった。血圧は105/60mmHgであった。
【0189】
浸潤および葉間浸出、ならびに右側胸膜反応により引き起こされる、右葉(S7およびS5)において明確な境界を有する濃い影が胸部X線により示された。左側(S9)において、増強された血管および間質性パターンのバックグラウンドに対して局所的に融合性の影が存在する。根元は拡張し、構造的であった。結論:両側多区域性胸膜肺炎。
【0190】
入院時の一般的血液検査:白血球-8.2
*10
9g/l、血小板-132
*10
9g/l。好中球:桿状-19%、分節-59%;リンパ球-17%;単球-5%;ESR-25mm/h。
【0191】
C反応性タンパク質(CRP)は96mg/lであり、プロカルシトニンは0.505ng/mlであった。
【0192】
以下のスキームに従って治療を行った:5日間1日に1回、グルタリルヒスタミン90mg、経口;8日間1日に3回、セフォタキシム2.0g、筋肉内。
【0193】
グルタリルヒスタミンおよび抗生物質(セフォタキシム)で治療すると、患者の状態は改善し、体温は3日目(疾患の5日目)で正常に達し、頭痛、目眩、および疲労の症状が同時に低下した。咳は疾患の4日目から顕著に減少し始め、稀な空咳および肺聴診の変化(単一の湿性ラ音)が9日目まで持続し続けた。
【0194】
入院10日後の胸部X線により、右肺下葉において肺パターンの局所的突出および変形のみが示された。左側において、肺野は完全にきれいであった。
【0195】
対照血液検査により、異常は現れず、治療後、CRPおよびプロカルシトニンの値は完全に正常になった。
【0196】
入院8日後の一般的血液検査:白血球-3.8
*10
9g/l、血小板-373
*10
9g/l。好中球:桿状-2%、分節-49%;リンパ球-37%;単球-10%;好酸球-2%;ESR-10mm/h;CRP-陰性;およびプロカルシトニン-0.035hg/ml。
【0197】
この臨床例により、活性細菌感染のマーカー:末梢血内の好中球-桿状変化、高レベルのC反応性タンパク質およびプロカルシトニン>0.05による肺炎の治療の成功が実証される。
【0198】
(実施例9.2)
右側巣状融合性肺炎と診断された患者を治療した。入院時、患者は中等度から重度の状態であった。患者は青白い皮膚、中等度の口唇チアノーゼ、強膜充血および結膜充血;荒い鼻呼吸;軟口蓋内にチアノーゼを伴う充血している口腔咽頭粘膜、ならびに後壁上の粘膜の顆粒化を有した。声はかれていた。咳は乾燥し、痛みを伴い、発作的であった。入院時の胸部X線により、下葉の右底区域における肺パターンの増大が示され、その下葉の右底区域に対して、肺浸潤により引き起こされる弱い強さの局所的に融合性の影が存在した。右側根元は拡張した。結論:右側巣状融合性肺炎。
【0199】
入院時の一般的血液検査:白血球-9.8
*10
9g/l、血小板-174
*10
9g/l;好中球:桿状-6%、分節-72%;リンパ球-10%;単球-12%;ESR-2mm/h。CRP-96mg/l。
【0200】
以下のスキームに従って治療を行った:5日間1日に1回、グルタリルヒスタミン90mg、経口;10日間1日に3回、セフォタキシム2.0g、筋肉内;10日間1日に2回、マクロペン(macropene)(ミデカマイシン)-400mg、経口。
【0201】
疾患の経過は良好であり、4日目で患者は満足のいく状態であった。体温は疾患の3日目から着実に正常になり、胸部のx線および血液パラメータは12日目に正常な状態に到達した。入院1週間後の胸部X線により、右下葉における肺パターンの局所的突出および変形のみが示された。残りの区域における気管支血管パターンは集中的であった。根元は拡張しなかった。
【0202】
入院7日後の一般的血液検査:白血球-6.6
*10
9g/l、血小板-260
*10
9g/l;好中球:分節-73%;リンパ球-20%;単球-4%;好酸球-3%;ESR-4mm/h;CRP-陰性。
【0203】
この臨床例により、本発明に従って治療した肺炎の治療の成功が実証される。本発明に係る併用療法の投与により、最適な臨床効果が可能となった。
【0204】
(実施例9.3)
右側多区域性肺炎
入院時、患者は39.5℃の体温を有し、中等度から重度の状態であった。臨床検査により以下の症状が明らかになった:皮膚の蒼白、口唇チアノーゼ、強膜充血、結膜充血;びまん性充血口腔咽頭粘膜、軟口蓋内の顆粒化、後壁上の異常肥大濾胞。鼻呼吸は鼻詰まりに起因して荒かった。咳は胸部の炎症によるものであった。呼吸数は20呼吸/分であった。肺の右部分において、呼吸音は湿性および乾性ラ音を伴い弱くなっていたが、左側において呼吸は荒かった。血液飽和のレベルは90%であった。心音は小さく、律動的であり、脈拍数は90拍/分であり、血圧は110/70mmHgであった。入院時の胸部X線により、右下葉の区域S6および上葉(S1)において明確な境界を有する影が示された。右側胸膜反応が見られた。根元は拡張し、構造的であった。結論:右側多区域性肺炎。
【0205】
入院時の一般的血液検査:白血球-7.1
*10
9g/l、血小板-109
*10
9g/l。好中球:桿状-19%、分節-55%;リンパ球-17%;単球-9%;中毒性顆粒(toxic granulosity)++;ESR-40mm/h;CRP-192mg/l;およびプロカルシトニン-15.8hg/ml。
【0206】
治療は以下のスキームに従って行った:5日間1日に1回、グルタリルヒスタミン90mg、経口;10日間1日に3回、セフォタキシム-2.0g、筋肉内;3日間1日に1回、アジスロマイシン-500.0。治療は対症療法であった。
【0207】
疾患の経過は良好であり、体温は疾患の5日目から正常になった。患者は8日目から満足のいく状態になった。入院10日後の胸部X線により、区域S6における肺野が完全にきれいであったことが示された。左上葉におけるパターンは変形し、葉間胸膜は押し込まれ、頂部において胸膜沈着物が存在した。
【0208】
入院10日後の一般的血液検査:白血球-7.1
*10
9g/l、血小板-275
*10
9g/l。好中球:桿状-2%、分節-44%;リンパ球-36%;単球-16%;好酸球-2%;ESR-24mm/h;CRP-陰性;およびプロカルシトニン-0.193hg/ml。
【0209】
この臨床例により、肺炎の治療の成功が実証される。肺炎の細菌性質は以下の検査データから追跡した:急な好中球変化、中毒性顆粒、高レベルのプロカルシトニンおよびC反応性タンパク質。グルタリルヒスタミンおよび抗生物質による併用療法は、血液状態、炎症マーカーおよびx線画像の迅速な(疾患の13日目、治療の10日後)正常化により特徴付けられる、より良い臨床効果を与える。
【0210】
(実施例9.4)
右二葉性肺炎と診断された患者を治療した。入院時、患者は38.4℃の体温を有し、中等度から重度の状態であった。この日に、患者は咳をし始めた。臨床検査により、以下の症状が明らかになった:皮膚の色は正常であり、チアノーゼは発生していなかった。強膜充血、結膜充血;軟口蓋内の顕著な顆粒化、後壁上の異常肥大濾胞が存在した。排出していない鼻詰まりがあった。咳は穏やかな乾性であった。呼吸は荒かった。血液飽和のレベルは97%であった。心音は律動的で、弱く、脈拍数は96拍/分であった。
【0211】
入院時の胸部X線(結論):右二葉性肺炎。
入院時の一般的血液検査:白血球-7.9
*10
9g/l、血小板-163
*10
9g/l。好中球:桿状-2%、分節-70%;リンパ球-22%;単球-5%;好酸球-1%;ESR-31mm/h;CRP-192mg/l;およびプロカルシトニン-0.124hg/ml。
入院時の唾液は、緑色連鎖球菌(Str.viridans)×10
7、ヘモフィルス属種(Hemophylus sp)×10
7が増殖していた。
【0212】
以下のスキームに従って治療を行った:5日間1日に1回、グルタリルヒスタミン90mg、経口;3日間1日に1回、アジスロマイシン0.5mg;12日間1日に3回、セファソリン2g。
【0213】
治療すると、体温は疾患の8日目(治療の5日目)から正常になった。咳は減少したが、稀な空咳が疾患の9日目まで続いた。
【0214】
入院16日後の胸部X線により、病理および浸潤組織は示されなかった。肺のパターンは変化していなかった。根元は拡張していなかった。
【0215】
治療8日後の一般的血液検査:白血球-5.9
*10
9g/l、血小板-451
*10
9g/l。好中球:桿状-1%、分節-58%;リンパ球-35%;単球-6%;好酸球-0;ESR-10mm/h;CRP-6mg/l;およびプロカルシトニン-0.033hg/ml。
【0216】
この実施例により、細菌感染のマーカーにより支持される細菌性肺炎を患っている患者の治療の成功が実証される。10日目に、血液の状態は正常化し、プロカルシトニンおよびCRPのレベルは正常な値に到達した。肺における肺炎浸潤は同時に著しく減少した。
【0217】
上記の臨床例を考慮して、肺炎の併用療法へのグルタリルヒスタミンの導入は治療の有効性を与え、それは、臨床安定化の早期達成だけでなく、肺内の放射性物質の変化の迅速な移入によっても確認される(Pneumonia、A.G. Chuchalinら編、Moscow、2002、366〜368頁(480))。
【0218】
(実施例10)
グルタリルヒスタミンの剤形
上に示した疾患を治療するために、グルタリルヒスタミンは、非毒性の薬学的に許容される担体を含む単位剤形において経口、筋肉内または静脈内で投与できる。
【0219】
グルタリルヒスタミンは、0.1〜100mg/kgヒト体重の1日用量、好ましくは1日当たり1または複数回で0.5〜50mg/kgの用量で患者に投与できる。
【0220】
特定の患者についての特定の用量は、患者の年齢、体重、性別、一般的健康状態、および食事;作用物質投与のスケジュールおよび経路ならびに身体からの作用物質の排泄率;薬剤の特定の組合せおよび治療される対象における疾患の重症度などの多くの要因に依存することは留意されなければならない。
【0221】
本発明に係る医薬組成物は所望の結果を提供するのに有効な量でグルタリルヒスタミンを含み、静脈内および経口投与に適した担体または賦形剤と共に混合物中に活性作用物質としてグルタリルヒスタミンを含む単位剤形の形態(例えば、固形、半固形、または液体形態)で投与できる。活性作用物質は、液剤、錠剤、丸薬、カプセル剤、ペレット剤、および任意の他の剤形の製造に適した従来の非毒性の薬学的に許容される担体と一緒に組成物内に含まれてもよい。
【0222】
サッカリド、例えば、スクロースのグルコース、ラクトース;マンニトールまたはソルビトール;セルロース誘導体;および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウムなどの種々の賦形剤が使用されてもよい。以下の結合剤が使用されてもよい:デンプン糊(例えば、トウモロコシ、小麦、米、またはジャガイモデンプン)、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン。必要な場合、上述のデンプンおよびカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤が使用されてもよい。
【0223】
シリカ、タルク、ステアリン酸およびその塩、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、ならびに/またはプロピレングリコールなどの流動性制御剤および潤滑剤などの任意選択の添加剤が使用されてもよい。
【0224】
安定化、濃厚化、着色および芳香添加剤もまた、使用されてもよい。
【0225】
単位剤形を調製する際に、担体と併用して使用される活性作用物質の量は、治療下の受容者および治療剤の投与経路に応じて変化させてもよい。
【0226】
例えば、グルタリルヒスタミンが注射用液剤の形態で使用される場合、この液剤中の活性作用物質は0.01〜5重量%の量で存在する。希釈剤として以下の溶液が適している:0.9%塩化ナトリウム水溶液、蒸留水、注射用のノボカイン溶液、リンガー溶液、グルコース溶液、および特定の可溶化補助剤。グルタリルヒスタミンが錠剤の形態で投与される場合、その量は5.0〜500mg/単位剤形である。
【0227】
本発明に従って使用されるグルタリルヒスタミンの剤形は、例えば、混合、造粒、丸薬形成、溶解および凍結乾燥のプロセスなどの標準的な方法により調製される。
【0228】
錠剤形態
錠剤形態を以下の成分を使用することにより調製する:
【0230】
上記成分を混合し、圧縮して300mgの重さの錠剤を形成する。
【0233】
必要な場合、直腸、膣、および尿道坐剤が対応する賦形剤と共に調製されてもよい。
【0234】
吸入のための乾燥粉末剤
粉末剤配合の例:
【0236】
粉末剤は特別なデバイス(容器)またはゼラチンカプセル内に入れる。