【文献】
Journal of Investigative Dermatology,2012年 9月 6日,Vol.133,p.191-200
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
線維芽細胞、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上の細胞は、ヒト、マウス、ギニアピッグ、ニワトリおよびブタの中から選択された一つ以上に由来した細胞である、請求項1に記載の皮膚美白物質スクリーニング構造体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、“皮膚”とは、動物の体表を覆う組織を意味するものであって、顔またはボディ等の体表を覆う組織だけでなく、頭皮や毛髪を含む最広義の概念である。
【0015】
皮膚のメラノサイト(melanocyte)は、皮膚色を決定するメラニン(melanin)を作る細胞であって、皮膚の真皮と表皮の境界線の役割をする基底膜の上に位置する。発生学的に、メラノサイトは、ニューラルクレスト細胞(neural‐crest cells)から出発して、メラノサイト幹細胞(Melanocyte stem cell)、前駆細胞であるメラノブラスト(melanoblast)を経て皮膚へと移動しながら、最終的にメラニンを生成することができる色素細胞であるメラノサイトへと分化するものと知られている。
【0016】
このように分化したメラノサイトは、皮膚内において単独で存在するのでなく、その上方に位置する角質形成細胞であるケラチノサイトとの結合および下方に位置する真皮にある線維芽細胞の影響を受けてメラニンを生成することになる。メラノサイトで作られたメラニンは、細胞突起(dendrite)を介して周辺にあるケラチノサイトへ移動して、皮膚表面に広く分散されることにより、紫外線といった有害因子から皮膚を保護し、皮膚色を現わす。正常皮膚は、紫外線のような刺激が来たときに、平素よりも多くのメラニンを生成し、メラニンの分散を増加させた後、そうした刺激が消滅すると、メラニンの生成と分散を再び低い水準に戻す。
【0017】
先に述べたように、メラノサイトが皮膚内において他の細胞たちや周囲微細環境の物理的、化学的要因から複合的な影響を受けてメラニンを生成するという、実際の皮膚条件を反映できていない既存の方法によって開発された美白物質、その中でも特に紫外線照射方法によって開発された皮膚美白物質は、皮膚の過色素沈着症改善において、臨床的に低い効果を示す場合が多い。皮膚過色素沈着症は、多様な発生原因と特異的な機作による皮膚の黒化であるため、これを効果的に改善することのできる美白物質を開発するためには、実際の皮膚と類似した実験モデルを作り、これを利用して、美白物質を開発することが必要である。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明の一側面は、線維芽細胞(fibroblast)、ケラチノサイト(keratinocyte)およびメラノサイト(melanocyte)のうち一つ以上の細胞を含む一つ以上の層を含む皮膚美白物質スクリーニングシステムを提供する。本発明の他の一面は、線維芽細胞を含む線維芽細胞層;ケラチノサイトを含むケラチノサイト層およびメラノサイトを含むメラノサイト層を含む皮膚美白物質スクリーニングシステムを提供する。このとき、実際の皮膚条件と類似するように、線維芽細胞層が最も下に積層され、その上にメラノサイト層が積層され、その上にケラチノサイト層が積層されてよい。
【0020】
本発明のまた他の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニングシステムは、線維芽細胞を含む線維芽細胞層;および、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上を含む層を含んで、ケラチノサイトおよびメラノサイトを同一の層に含めてよい。このとき、線維芽細胞層が下に積層され、その上にメラノサイトとケラチノサイトを含む層が積層されてよい。前記皮膚美白物質スクリーニングシステムは、皮膚細胞層が積層された3次元立体構造のシステムであって、メラノサイトだけでなく周辺にある細胞を含めることにより、実際の皮膚状態を正しく反映することができる。本発明の他の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニングシステムは、線維芽細胞層を除き、メラニンの生成により重要な役割をするものと知られているメラノサイトとケラチノサイトを含む層を含んでよい。
【0021】
本発明の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニングシステムの線維芽細胞層は、真皮層を再現したものであって、コラーゲンに線維芽細胞が含まれている層を含む。具体的に、前記線維芽細胞層は、コラーゲン液に線維芽細胞を入れ、固めて製造した層であってよい。
【0022】
本発明の他の一側面において、前記コラーゲンは、皮膚美白物質スクリーニングシステムの重量全体を基に、0.001質量%〜30質量%、具体的に0.01質量%〜20質量%、より具体的に0.1質量%〜10質量%含まれてよい。前記範囲で含む場合、本発明の意図した効果を示すのに適し、費用対効果の側面においても、前記範囲で使用することが適切であり得る。
【0023】
本発明の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニングシステムにおいて、線維芽細胞、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上の細胞は、ヒト、マウス、ギニアピッグ、ニワトリといった鳥類およびブタの中から選択された一つ以上から由来した細胞を含む。
【0024】
本発明の一側面による皮膚美白物質スクリーニングシステムは、皮膚美白効果のある物質、具体的に、紫外線による皮膚黒化改善効果のある物質だけでなく、特に、シミ、斑点、ホクロといった皮膚過色素沈着症改善効果のある物質を効果的にスクリーニングしてよい。
【0025】
本発明者らは、過色素沈着症を示す皮膚において、胚成長調節と関連のある細胞外信号伝達分子であるWIF1(Wnt inhibitory factor 1,ACCESSION NP_009122,VERSION NP_009122.2 GI:111125011)遺伝子の発現が減少し、具体的に、WIF1遺伝子の発現は、皮膚細胞の中でも、メラニン生成細胞であるメラノサイトでなく、ケラチノサイトと線維芽細胞において減少することにより、メラノサイトのメラニン生成に影響を与えるということを明らかにした。また、WIF1遺伝子の発現が減少した皮膚において、メラニンの生成に関与するチロシナーゼの発現が増加すると同時に、ケラチノサイトへのメラニン拡散が増加することを明らかにして、WIF1と皮膚過色素沈着症の間に密接な関連があることを確認した。このとき、WIF1遺伝子の発現は、GSK‐3β(Glycogen synthase kinase‐3β)とβ‐カテニン(β‐catenin)のリン酸化、MITF(microphthalmia‐associated transcription factor)の発現に関与して、皮膚過色素沈着に影響を与えるということも確認した。
【0026】
そこで、本発明の一側面は、線維芽細胞、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上の細胞のWIF1発現が抑制された皮膚美白物質スクリーニングシステム、具体的に、ケラチノサイトまたは線維芽細胞のWIF1発現が抑制された皮膚美白物質スクリーニングシステムを提供する。本発明の他の一側面において、前記皮膚美白物質スクリーニングシステムは、siRNAを利用してWIF1の発現が抑制された細胞を含む。前記スクリーニングシステムは、ケラチノサイトまたは線維芽細胞のWIF1発現が減少した過色素沈着症の皮膚状態を反映したものであって、過色素沈着症を示す皮膚状態を実際とほぼ類似に再現してよい。したがって、前記スクリーニングシステムを利用する場合、皮膚美白効能のある物質、特に、皮膚過色素沈着症の改善に効能のある物質を効果的に選別してよい。
【0027】
また、本発明者らは、過色素沈着症を示す皮膚において、癌原遺伝子(proto‐oncogene)前駆体WNT1(Wingless‐type MMTV integration site family,member 1,ACCESSION NP_005421,VERSION NP_005421.1 GI:4885655)およびタンパク質WNT5a(Wingless‐type MMTV integration site family,member 5a,ACCESSION NP_001243034,VERSION NP_001243034.1 GI:371502087)遺伝子の発現が増加し、信号伝達因子であるNFATC2(nuclear factor of activated T cells,cytoplasmic,calcineurin‐dependent 2)が脱リン酸化されることを明らかにし、そこで、本発明の一側面は、線維芽細胞、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上の細胞がWNT1およびWNT5aの発現が増加された細胞またはNFATC2が脱リン酸化された細胞である皮膚美白物質スクリーニングシステムを提供する。前記スクリーニングシステムは、過色素沈着層を示す皮膚状態を実際に近く再現することができるので、皮膚美白効能のある物質、特に、皮膚過色素沈着症改善に効能のある物質を効果的に選別してよい。
【0028】
従来には、天然物、その抽出物または化学合成物質といった候補物質を、メラノサイトにのみ処理して美白効能の有無を評価していた。こうした既存の方法による場合、細胞培養液に希釈した候補物質を細胞に直接処理しなければならず、また、クリームやローションのように、実際に使用される剤形に候補物質を適用した状態では、メラノサイトに処理することができない。したがって、既存の方法では、臨床試験を実施して初めて、候補美白物質を含む剤形に、臨床的に実際に美白効果があるのかを確認することができる。
【0029】
これに対し、本発明に係る皮膚美白物質スクリーニングシステムは、既存の方法のように、候補物質を培養液に希釈して使用することによってその美白効果の有無を評価することができるのはもちろん、候補物質を含有するクリームやローションといった剤形を使用してその美白効果の有無を評価することもできる。このとき、剤形に対して美白効果の有無を評価するための皮膚美白物質スクリーニングシステムは、線維芽細胞、メラノサイトおよびケラチノサイトのうち一つ以上を含む複数の層を積層した後、空気に露出させて人工皮膚として製造したものであってよい。
【0030】
このように、本発明に係る皮膚美白スクリーニングシステムは、実際の皮膚と類似した生理的、化学的特徴を有し、実際に使用する剤形を使用してもその美白効果の評価が可能であるため、実際に臨床的に美白効果のある物質をより短い時間内に、少ない費用で効率的かつ勘弁に選別することを可能にする。
【0031】
本発明の一側面は、候補物質を処理した前記皮膚美白物質スクリーニングシステムにおいて、線維芽細胞、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上の細胞の、WIF1、WNT1、WNT5aおよびNFATC2のうち一つ以上の発現の程度、またはリン酸化の程度を確認するステップを含む、皮膚美白物質スクリーニング方法を提供する。先に述べたように、WIF1、WNT1、WNT5aおよびNFATC2は、いずれも皮膚のメラニン色素の発現および拡散の程度と関連がある。具体的に、WIF1の発現が減少したり、WNT1またはWNT5aの発現が増加したり、あるいはNFATC2の脱リン酸化の程度が増加することは、メラニン生成に関与する酵素であるチロシナーゼの発現が増加し、ケラチノサイトへのメラニン拡散が増加することを意味する。したがって、候補物質がWIF1、WNT1、WNT5aおよびNFATC2のうち一つ以上の発現の程度またはリン酸化の程度にどのような影響を与えるかを確認することにより、前記候補物質に皮膚美白効果があるかどうかを評価することができる。
【0032】
本発明の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニング方法は、WIF1の発現の程度を確認するステップ以降に、WIF1の発現の程度を増加させる物質を皮膚美白物質と判断するステップをさらに含んでよい。本発明の他の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニング方法は、WNT1またはWNT5aの発現の程度を確認するステップ以降に、WNT1またはWNT5aの発現の程度を減少させる物質を皮膚美白物質と判断するステップをさらに含んでよい。
【0033】
本発明の他の一側面に係る皮膚美白物質スクリーニング方法は、NFATC2のリン酸化の程度を確認するステップ以降に、NFATC2のリン酸化の程度を増加させる物質を皮膚美白物質と判断するステップをさらに含んでよい。特に、WIF1の発現が減少したり、WNT1またはWNT5aの発現が増加したり、NFATC2の脱リン酸化が行われたりした線維芽細胞、メラノサイトおよびケラチノサイトのうち一つ以上の細胞を含む皮膚美白物質スクリーニングシステムは、皮膚黒化がなされた実際の皮膚条件を再現しているものであるので、候補物質が前記のように調節されたシステムのWIF1、WNT1またはWNT5a遺伝子の発現の程度または信号伝達因子NFATC2のリン酸化の程度をどのように変化させるのかを評価することにより、候補物質が美白効果のある物質であるかどうか、特に、皮膚過色素沈着症を改善し得る物質であるかどうかを確認することができる。
【0034】
本発明の一側面は、前記皮膚美白物質スクリーニング方法によりスクリーニングされた物質を有効成分として含む皮膚美白用組成物を提供する。先に述べたように、線維芽細胞、ケラチノサイトおよびメラノサイトのうち一つ以上の細胞において、WIF1の発現を増加させたり、WNT1またはWNT5aの発現を減少させたり、あるいはNFATC2の脱リン酸化の程度を増加させる物質は、皮膚美白効果、具体的に、皮膚過色素沈着症改善効果のある物質であると判断することができるので、これを有効成分として含む組成物は、皮膚美白効果、具体的に、皮膚過色素沈着症改善効果を示し得る。
【0035】
本発明の他の一側面は、前記のような本発明に係る遺伝子であるWIF1自体を含む美白用組成物または皮膚外用剤組成物を提供することにより、WIF1のチロシナーゼの発現を抑制し、ケラチノサイトへのメラニン拡散を抑制することによる皮膚美白および皮膚過色素沈着症改善効果を示し得る。
【0036】
本発明の他の一側面に係る美白用組成物は、化粧品組成物、薬学組成物または食品組成物を含む。
【0037】
本発明の一側面に係る組成物の剤形例について以下説明するが、他の様々な剤形にも応用可能であり、これらは、本発明を限定しようとするものでなく、単に具体的に説明するためのものである。
【0038】
[製剤例1]栄養化粧水
下記表1に記載の組成に従い、通常の方法で栄養化粧水を製造してよい。
【0040】
[製剤例2]栄養ローション
下記表2に記載の組成に従い、通常の方法で栄養ローションを製造してよい。
【0042】
[製剤例3]栄養クリーム
下記表3に記載の組成に従い、通常の方法で栄養クリームを製造してよい。
【0044】
[製剤例4]パック
下記表4に記載の組成に従い、通常の方法でパックを製造してよい。
【0046】
[製剤例5]軟膏
下記表5に記載の組成に従い、通常の方法で軟膏を製造してよい。
【0048】
以下、実験例、実施例および比較例を挙げつつ、本発明の構成および効果についてより具体的に説明する。しかし、以下の実験例、実施例および比較例は、本発明に対する理解を助けるための例示の目的のためにのみ提供されるものであるにすぎず、本発明の範疇および範囲がそれによって制限されるものではない。
【0049】
[実験例1]皮膚過色素沈着部位におけるWIF1遺伝子の発現変化
被験者13人の正常皮膚組織(N)と過色素沈着部位の皮膚組織(L)を生検(biopsy)して組織内RNAを抽出し、これを利用して、リアルタイム(real‐time)PCR方法により遺伝子の発現変化を調査した。その結果を
図1に示した。
【0050】
図1に示されるように、過色素沈着部位の皮膚組織において、WIF1の発現は、正常皮膚組織に比べて減少している。このことを通じて、WIF1が皮膚過色素沈着と関連があることを確認することができる。
【0051】
[実験例2]皮膚過色素沈着部位におけるWNT1とWNT5aの発現変化
被験者13人の正常皮膚組織(N)と過色素沈着部位の皮膚組織(L)を生検して組織内RNAを抽出し、これを利用して、リアルタイムPCR方法でWNT1とWNT5a遺伝子の発現変化を調査した。その結果を
図2に示した。
【0052】
図2に示されるように、過色素沈着部位の皮膚組織において、WNT1とWNT5aの発現は、正常皮膚組織に比べて増加している。このことを通じて、WNT1とWNT5aが皮膚過色素沈着と関連があることを確認することができる。
【0053】
[実験例3]皮膚細胞におけるWIF1遺伝子発現
カスケードバイオロジクス(Cascade Biologics)社から入手したミディアム254(Medium 254)に、ホルボール12‐ミリスタート13‐アセタート(PMA,phorbol 12‐myristate 13‐acetate)10ng/mlを含有したヒトメラノサイト増殖サプリメント(HMGs,human melanocyte growth supplement)を入れ、これを培地として使用して、新生児の表皮から分離したヒト皮膚メラノサイトを、37℃、5%CO
2インキュベーターにおいて培養した。また、カスケードバイオロジクス社から入手したミディアムEpiLife(#M‐EPI‐500‐CA)に、ヒトケラチノサイト増殖サプリメント(HKGS,human keratinocyte growth supplement)を入れ、これを培地として使用して、新生児の表皮から分離したヒト皮膚ケラチノサイトを、37℃、5%CO
2インキュベーターにおいて培養した。ウシ胎児血清が10%入ったDMEM(Dulbecco’s Modified Eagles medium)に、新生児の表皮から分離したヒト皮膚線維芽細胞(fibroblast)を入れ、37℃、5%CO
2条件下で培養した。上記のように培養した各皮膚細胞からRNAを分離して、リアルタイムPCRによりWIF1の遺伝子発現を調査し、その結果を
図3に示した。
【0054】
図3に示されるように、線維芽細胞(FB)とケラチノサイト(KC)においてはWIF1が発現され、メラノサイト(MC)においては発現されなかった。このことを通じて、皮膚細胞においてWIF1は、メラノサイトでなく、線維芽細胞とケラチノサイトにおいて発現されることを知ることができる。
【0055】
[実施例1〜3および比較例1〜2]システムの製造
真皮の重要な構成成分であるコラーゲン1(collagen I、1mg/ml)溶液に2.5×10
5/mlの線維芽細胞を入れ、これを6ウェルプレートにウェル当たり2mlずつ入れた後、37℃の培養器において1時間以上固めて、3次元人工真皮を作製した。その上に、1:1で混ぜた合計2.5×10
5個のメラノサイトおよびケラチノサイト層を載せて、3次元システムを製造した。このとき、siRNAを処理して、WIF1の発現を抑制させた線維芽細胞を使用したシステムを実施例1とし、ヒトの皮膚の正常線維芽細胞を使用したシステムを比較例1とした。
【0056】
また、実施例1と実質的に同一の方法でsiRNAを処理してWIF1の発現を抑制させたケラチノサイトとメラノサイトを利用して作製した3次元システムを実施例2とし、正常ケラチノサイトとメラノサイトを利用して作製されたシステムを比較例2とした。
【0057】
そして、ヒト組換え遺伝子を使用して作られたWIF1を50ng/mlで培養培地に処理してWIF1の発現を増加させたメラノサイトにケラチノサイトを混ぜた後、実施例1と実質的に同じ方法で作製した人工真皮上に載せて作製したシステムを、実施例3とした。
【0058】
[実験例4]WIF1の発現を抑制させた線維芽細胞を含むシステムに対する評価
本発明に係るシステムである実施例1が実際の皮膚状態を正しく反映しているかどうかについて、次のとおり比較例1と対比しつつ評価した。
【0059】
WIF1の発現を抑制させた線維芽細胞を含む実施例1のシステムは、実際の皮膚過色素沈着部位と同様に、メラニンの生成に重要な役割をする酵素であるチロシナーゼの発現が、比較例1に比べて著しく増加していることを、タンパク質電気泳動を通じたウエスタンブロッティング(western blotting)方法により確認した(
図4参照)。
【0060】
また、ケラチノサイトにおいてのみ発現されるケラチン14(keratin 14)を認識する蛍光標識抗体でケラチノサイトを染色し、メラノサイトにおいて発現されるチロシナーゼ関連タンパク質1(tyrosinase‐related protein 1,TRP 1)を認識する異なる色の蛍光が結合された抗体でメラノサイトを染色して、2つの蛍光をいずれも有しているケラチノサイトの数をFACS(Fluorescence‐activated cell sorting)を利用して確認した結果、実施例1は、皮膚過色素沈着部位のように、ケラチノサイトへのメラニン拡散が比較例1に比べて増加していた(
図5参照)。また、このとき、タンパク質電気泳動を通じたウエスタンブロッティング方法を通じて、実施例1のシステムにおいて信号伝達因子であるNFATC2(nuclear factor of activated T cells,cytoplasmic,calcineurin‐dependent 2)のリン酸化された形態(p‐NFATC2)が減少していることを観察することができた(
図6参照)。
【0061】
これらのことを基に、線維芽細胞、メラノサイトおよびケラチノサイトを積層して3次元的に製造した本発明に係るシステムは、実際の皮膚状態と類似し、特に、皮膚過色素沈着部位を再現できることを確認することができる。
【0062】
[実験例5]WIF1の発現を抑制させたケラチノサイトを含むシステムに対する評価
本発明に係るシステムである実施例2が実際の皮膚状態を正しく反映しているかどうかについて、次のとおり比較例2と対比しつつ評価した。
【0063】
WIF1の発現を抑制させたケラチノサイトを含む実施例2のシステムについて、実験例4と実質的に同一の方法で評価した結果、実際の皮膚過色素沈着部位と同様に、メラニンの生成に重要な役割をする酵素であるチロシナーゼの発現が、比較例2に比べて著しく増加していることを確認した(
図7参照)。
【0064】
また、実験例4と実質的に同一の方法で評価したところ、実施例2においても、皮膚過色素沈着部位のようにメラニン拡散が増加していることを確認した(
図8参照)。そして、このとき、NFATC2のリン酸化された形態であるp‐NFATC2が減少したことを確認して、NFATC2が脱リン酸化されていることを確認した(
図9参照)。
【0065】
これらのことを通じて、メラノサイト、ケラチノサイトを利用して3次元的に製造した本発明に係るシステムも、実際の皮膚状態と類似し、特に、皮膚過色素沈着部位を再現できることを確認することができる。
【0066】
[実験例6]ヒト組換え遺伝子を利用して作られたWIF1を直接培養培地に処理して細胞自体のWIF1発現を増加させたメラノサイトを含むシステムに対する評価
ヒト組換え遺伝子を使用して作ったWIF1を細胞培養培地に50ng/mlとなるように処理したメラノサイトを含む実施例3のシステムについて、タンパク質電気泳動を通じたウエスタンブロッティング方法によりWIF1の発現が増加したことを確認した(
図10参照)。このとき、実験例4と実質的に同一の方法により、実施例3のシステムにおいてチロシナーゼの発現が減少したことを確認した(
図11参照)。また、比較例1と比較した結果、実施例3においてメラニンの拡散が減少することを確認することができ(
図12参照)、NFATC2のリン酸化が増加することも確認した(
図13参照)。
【0067】
これらのことを通じて、WIF1とNFATC2は、メラニン色素の生成と密接な関連性があるため、本発明に係るシステムの候補物質を処理し、その後WIF1の発現増加の程度とその下位信号伝達因子であるNFATC2のリン酸化の程度についての評価を通じて、皮膚美白物質をスクリーニングすることができることを知ることができる。
【0068】
このように、本発明に係る皮膚美白物質スクリーニングシステムは、実際の皮膚を再現することができるので、in vitroにおいても、臨床的に優れた美白効果を示す物質を効果的にスクリーニング可能にする。さらに、これは、人間の実際の皮膚組織を正しく反映しているので、白斑症または白毛といった色素欠乏症のメカニズムまたは改善方法の研究にも使用され得るものである。