(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベースプレートの他方面は、前記第1方向及び前記所定の方向に平行な平面であり、該平面から前記フィンの先端までの距離が、前記所定の方向において略一定であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の光照射装置。
前記ベースプレートと前記ヒートシンクとの間に挟持され、前記ベースプレートの熱を前記ヒートシンクに伝導する高熱伝導性シートをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光照射装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の仮硬化用照射部のように、光源としてLEDを用いる場合、投入した電力の大半が熱となることから、LED自身が発熱する熱によって発光効率と寿命が低下するといった問題が発生する。また、かかる問題は、仮硬化用照射部のように、複数のLEDが搭載された装置の場合、熱源となるLEDが増えることから、さらに深刻なものとなる。このため、LEDを光源として用いる光照射装置においては、一般に、ヒートシンク等の冷却構造(放熱部材)を用い、LEDの発熱を抑える構成を採っている。
【0007】
LEDの発熱を抑えるためには、ヒートシンク等の放熱部材を用いるのが効果的である。しかしながら、LEDの熱を効率よく放熱するためには、放熱部材の表面積をできるだけ大きくする必要があり、放熱部材を大きくすると、装置全体が大型化してしまうといった問題がある。特に、特許文献1の仮硬化用照射部のように、各ヘッド間に配置される光照射装置において大型の放熱部材を適用すると、各ヘッド間の距離を大きくしなければならず、印刷装置自体の重量化、及び大型化を招くといった問題はより深刻なものとなる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、薄型、軽量で、かつ放熱効率の高い放熱部材を備えた光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の光照射装置は、照射面上に、第1方向に延び、かつ、第1方向と直交する第2方向に所定の線幅を有するライン状の光を照射する光照射装置であって、第1方向及び第2方向に略平行な基板と、基板の表面上に第1方向に沿って所定間隔毎に並べて配置され、第1方向及び第2方向と直交する第3方向に光を出射する複数のLED(Light Emitting Diode)光源と、基板の裏面から所定の方向に延出し、LED光源で発生した熱を拡散する板状のベースプレートと、ベースプレートの一方面側に立設し、かつ所定の方向に延設された複数のフィンを有するヒートシンクと、から成る放熱部材と、
ヒートシンクの基端側が近接する一面に、ヒートシンクの基端側に沿って形成された吸気口を有し、放熱部材を収容すると共に、複数のフィンを囲む風洞を形成する筐体と、
吸気口より外部からの空気を風洞に導き、風洞内に所定の方向の気流を生成する冷却ファンと、を備え、ベースプレートの一方面及び他方面の少なくともいずれか一方は、所定の方向に対して傾斜し、ベースプレートの所定の方向に垂直な断面の断面積が、基板から所定の方向に沿って離れるに従って減少することを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、ベースプレート及びヒートシンクが所定の方向にのみ延出する構成であるため、薄型の光照射装置を実現することができる。また、ベースプレートの所定の方向に垂直な断面の断面積が、基板から所定の方向に沿って離れるに従って減少するように構成したため(つまり、ベースプレートの基端部側(基板側)を太くしたため)、熱輸送量が大きくなり、LED光源で発生した熱をベースプレートの先端部まで効率よく輸送でき、冷却フィンを介して風洞内の空気中に効率よく排出できる。また、ベースプレート全体を一様に太くした場合と比較すると、体積が少なく、ベースプレートに比較的比重の重い素材を適用しても全体として軽量な光照射装置を実現することができる。
【0011】
また、ベースプレートの一方面が、所定の方向に対して傾斜し、フィンは、ベースプレートの断面積の減少に応じて、所定の方向に沿って大きくなるように構成することができる。このような構成によれば、ベースプレートの一方面の傾斜に応じた表面積の大きなフィンが形成されるため、放熱効率がより高いものとなる。また、この場合、ベースプレートとヒートシンクによって放熱される放熱量が、所定の方向に沿って略一定となるように構成することができる。
【0012】
また、ベースプレートの他方面は、第1方向及び所定の方向に平行な平面であり、該平面からフィンの先端までの距離が、所定の方向において略一定となるように構成することができる。
【0013】
また、ベースプレートの他方面が、所定の方向に対して傾斜し、ベースプレートの一方面は、第1方向及び所定の方向に平行な平面であり、該平面からフィンの先端までの距離が、所定の方向において略一定となるように構成することができる。
【0014】
また、ベースプレートの他方面上に、複数のLED光源を駆動する駆動回路を備えることができる。
【0015】
また、フィンが、所定の方向において複数に分割されて形成されていることが望ましい。
【0016】
また、所定の方向が、第3方向と相反する方向であることが望ましい。
【0017】
また、ベースプレートの熱伝導率が、ヒートシンクの熱伝導率よりも高いことが望ましい。また、この場合、ベースプレートが、銅製であり、ヒートシンクがアルミニウム製であることが望ましい。このような構成によれば、放熱効果が高く、かつ軽量のヒートシンクが形成される。
【0018】
また、ベースプレートとヒートシンクとの間に挟持され、ベースプレートの熱をヒートシンクに伝導する高熱伝導性シートをさらに備えることもできる。
【0019】
また、各LED光源が、複数のLED素子を有することが望ましい。
【0020】
また、光が、紫外線硬化型樹脂に作用する波長を含む光であることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、薄型、軽量で、かつ放熱効率の高い放熱部材を備えた光照射装置が実現される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の外観図であり、
図1(a)は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の平面図である。また、
図1(b)は、
図1(a)の光照射装置1の右側面図であり、
図1(c)は、
図1(a)の光照射装置1の底面図であり、
図1(d)は、
図1(a)の光照射装置1の正面図である。本実施形態の光照射装置1は、印刷装置等に搭載されて、紫外線硬化型インキや紫外線硬化樹脂を硬化させる光源装置であり、照射対象物の上方に配置され、照射対象物に対してライン状の紫外光を出射する。なお、本明細書においては、
図1の座標に示すように、後述するLED(Light Emitting Diode)素子210が紫外光を出射する方向をX軸方向、LED素子210の配列方向をY軸方向、ならびにX軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と定義して説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の光照射装置1は、内部に光源ユニット200や放熱部材400等を収容する薄い箱形のケース100(筐体)と、ケース100の前面に取り付けられ紫外光が出射されるガラス製の窓部105と、ケース100の背面に設けられ、ケース100内の空気を排気する3つの排気ファン110とを備えている。また、ケース100の底面には、ケース100に外部から空気を取り込む吸気口102が形成されている。
【0026】
図2は、本発明の実施形態に係る光照射装置1の内部構成を説明する図であり、
図2(a)は、光照射装置1を平面視したときの平面透視図である。また、
図2(b)は、光照射装置1を右側面から見たときの側面透視図である。また、
図2(c)は、光照射装置1を正面から見たときの正面透視図である。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の光照射装置1は、4つの光源ユニット200と、制御基板300と、放熱部材400等をケース100内部に備えている。
【0028】
図2(a)及び(c)に示すように、4つの光源ユニット200は、Y軸方向に沿って密着するように並べられてケース100内に収容されている。各光源ユニット200は、Y軸方向及びZ軸方向に平行な矩形状の基板205と、同じ特性を有する4個のLED素子210と、4個のLED素子210を駆動するLED駆動回路215とを備えている。
【0029】
4個のLED素子210は、X軸方向に光軸が揃えられた状態で、Y軸方向に所定の間隔をおいて基板205の表面に一列に配置され、基板205と電気的に接続されている。基板205は、後述するベースプレート410の上面414aに載置されたLED駆動回路215と不図示のケーブルによって接続されており、各LED素子210には、基板205を介してLED駆動回路215からの駆動電流が供給されるようになっている。各LED素子210に駆動電流が供給されると、各LED素子210からは駆動電流に応じた光量の紫外光が出射され、各光源ユニット200からはY軸方向に平行なライン状の紫外光が出射される。なお、本実施形態の各LED素子210は、略一様な光量の紫外光を出射するように各LED素子210に供給される駆動電流が調整されており、各光源ユニット200から出射されるライン状の紫外光は、Y軸方向において略均一な光量分布を有している。そして、上述したように、本実施形態の4つの光源ユニット200は、Y軸方向に沿って密着するように並べられているため、各光源ユニット200から出射された紫外光は、隣接する光源ユニット200から出射された紫外光とY軸方向において重なり合い、全体としては(つまり、4つの光源ユニット200からは)、Y軸方向に延び、Z軸方向に所定の線幅を有するライン状の紫外光が窓部105を通って出射される。なお、本実施形態の各LED素子210は、略正方形の発光面を備えた複数(例えば4個)のLEDチップ(不図示)を備え、LED駆動回路215から駆動電流の供給を受けて、波長365nmの紫外光を出射する。
【0030】
制御基板300は、各光源ユニット200のLED駆動回路215を制御すると共に、光照射装置1全体を制御する回路基板である。制御基板300は、ユーザが不図示のユーザインターフェースを介して入力する信号を受信し、各光源ユニット200のON/OFF制御や輝度制御を行ったり、ユーザインターフェースを介して外部にエラー情報を出力する。
【0031】
放熱部材400は、4つの光源ユニット200から発せられた熱を放熱する部材である。本実施形態の放熱部材400は、各光源ユニット200の基板205の裏面に密着して配置され、各LED素子210で発せられた熱を伝導するベースプレート410と、ベースプレート410と密着して配置され、ベースプレート410の熱を放熱するヒートシンク430とで構成されている(
図2(b))。
【0032】
図3は、ベースプレート410の構成を説明する図であり、
図3(a)は、ベースプレート410の平面図である。また、
図3(b)は、
図3(a)のA−A線で切断した断面図である。また、
図3(c)は、ベースプレート410の正面図である。
【0033】
図4は、ヒートシンク430の構成を説明する図であり、
図4(a)は、ヒートシンク430の平面図である。また、
図4(b)は、
図4(a)のB−B線で切断した断面図であり、
図4(c)は、ヒートシンク430の正面図である。また、
図4(d)は、ヒートシンク430の底面図であり、
図4(e)は、ヒートシンク430の背面図である。
【0034】
図5は、ベースプレート410とヒートシンク430とを組み合わせて構成した放熱部材400の構成を説明する図であり、
図5(a)は、放熱部材400の平面図である。また、
図5(b)は、
図5(a)のC−C線で切断した断面図であり、
図5(c)は、放熱部材400の正面図である。また、
図5(d)は、放熱部材400の底面図であり、
図5(e)は、放熱部材400の背面図である。
【0035】
ベースプレート410は、銅(熱伝導率:4.01(W/cm・K)、比重:8.96(g/cm
3))を成形加工した部材であり、
図3に示すように、各光源ユニット200の基板205が載置される基板支持部412と、基板支持部412からX軸方向負側に延びる熱伝導部414とを備えている。基板支持部412は、Y軸方向及びZ軸方向に平行な矩形板状の形状を呈し、各光源ユニット200の基板205が正面412aに密着して載置され、固定される(
図3(c)、
図2(b))。従って、各LED素子210で発生した熱は、基板205を介してベースプレート410に伝わり、さらに熱伝導部414に伝わる。
【0036】
図3(b)に示すように、熱伝導部414は、断面が先細りの板状の形状を呈し、X軸方向及びY軸方向に平行な上面414aと、上面414aに対して(つまり、X軸方向に対して)所定の角度で傾斜した下面414bとを有している。つまり、本実施形態の熱伝導部414は、基板205が載置される基板支持部412からX軸方向に離れれば離れるほど、板厚(つまり、上面414aと下面414bとの間の距離)が薄くなる(つまり、Y軸方向及びZ軸方向に平行な断面の断面積が徐々に小さくなる)ように構成されている。このように、本実施形態においては、熱伝導部414の基端部側(基板側)を太くすることで、熱輸送量を大きくし、各LED素子210で発生した熱を熱伝導部414の先端まで効率よく輸送できるように構成している。なお、熱輸送量の観点からは、熱伝導部414を一様に太くする構成も考えられるが、熱伝導部414(つまり、ベースプレート410)には、比較的比重の重い銅を用いるため、本実施形態においては、先細りの形状にすることで体積を抑え、重量の上昇を抑えている。また、熱伝導部414を先細りの形状にすることで、熱伝導部414とケース100との間に空間を形成し、後述する放熱フィン440のサイズを大きくできるように構成している。
【0037】
熱伝導部414の上面414aには、各光源ユニット200のLED駆動回路215を固定支持するための複数の突起部414cが形成されている。また、熱伝導部414の上面414aから下面414bに貫通する複数の貫通孔414dが形成されている。貫通孔414dは、ベースプレート410とヒートシンク430とを固定するためのネジ(不図示)が挿通されるネジ穴である。また、熱伝導部414には、熱伝導部414の上面414aから下面414bに貫通する複数の貫通孔414eが形成されている。詳細は後述するが、貫通孔414eは、外部から熱伝導部414の下面414b側に吸気した空気を上面414a側に送るための通気路を形成している。また、熱伝導部414の下面414bからは、ヒートシンク430との位置決めを行う位置決めピン415が突出している。
【0038】
ヒートシンク430は、アルミニウム(熱伝導率:2.37(W/cm・K)、比重:2.70(g/cm
3))を成形加工した部材であり、
図4及び
図5に示すように、ベースプレート410の基板支持部412が嵌まり込む嵌合部432と、嵌合部432から後方(X軸方向負側)に延出し、ベースプレート410と接合される接合部434と、とを備えている。
図4(b)及び(c)に示すように、嵌合部432は、Y軸方向及びZ軸方向に平行な矩形板状の板状部432aと、板状部432aの正面からX軸方向正側に突出しY軸方向に延びる一対の突出部432bとを有し、その断面はコの字状になっている。また、板状部432aには、X軸方向から見たときに略矩形の形状を呈した開口432cが形成されている。開口432cは、ベースプレート410とヒートシンク430とを組み合わせるとき、ベースプレート410の熱伝導部414が通る開口である。
【0039】
接合部434は、矩形板状の形状を呈し、ベースプレート410とヒートシンク430とが組み合わされたとき、ベースプレート410の下面414bと対面する当接面434aと、複数の放熱フィン440が形成されたフィン形成面434bとを有している。
図4(b)に示すように、本実施形態の接合部434は、ベースプレート410の下面414bと同じ角度で、X軸方向に対して傾斜しており、ベースプレート410とヒートシンク430とが組み合わされたとき、接合部434の当接面434aがベースプレート410の下面414bと密着するように構成されている。従って、ベースプレート410とヒートシンク430とが組み合わされると、ベースプレート410の熱は、ヒートシンク430に伝わる。
【0040】
放熱フィン440は、接合部434のフィン形成面434bからZ軸方向に突出するように立設し、ヒートシンク430に伝わった熱を空気中に放熱する。なお、詳細は後述するが、本実施形態においては、排気ファン110によってケース100内に外部から空気が取り込まれ、取り込まれた空気が放熱フィン440の表面を流れるようにX軸方向の気流が発生しており、放熱フィン440は、X軸方向に延びるように延設されている。また、
図4(b)、(d)及び(e)に示すように、本実施形態の放熱フィン440は、X軸方向において複数(4つ)に分割されて形成されている。また、放熱フィン440の突出量(放熱フィン440のサイズ)は、嵌合部432からX軸方向に沿って離れるに従って大きくなるように構成されており、これによって冷却効果を高めている。
【0041】
図4(a)及び(c)に示すように、接合部434の当接面434aには、ヒートシンク430の位置決めピン415が嵌まる嵌合溝435が形成されている。また、接合部434には、ベースプレート410とヒートシンク430とを固定するための複数のネジ穴434cが形成されている。また、接合部434には、接合部434の当接面434aからフィン形成面434bに貫通する複数の貫通孔434dが形成されている。そして、ベースプレート410とヒートシンク430とを組み合わせたとき、ベースプレート410の貫通孔414dとヒートシンク430のネジ穴434cとが連通し、ベースプレート410の貫通孔414eとヒートシンク430の貫通孔434dとが連通するようになっている(
図5(a)、(b))。
【0042】
ベースプレート410とヒートシンク430とを組み合わせ放熱部材400を組み立てる場合、ヒートシンク430の開口432cにベースプレート410の熱伝導部414を挿通し、ベースプレート410をヒートシンク430に対しX軸方向負側に押し込み、ヒートシンク430の嵌合部432にベースプレート410の基板支持部412を嵌め込む(
図5)。そして、ベースプレート410の下面414bとヒートシンク430の当接面434aとが密着するように、位置決めピン415を嵌合溝435に嵌め込んでベースプレート410とヒートシンク430とを位置決めする。そして、この状態で貫通孔414dを介してネジ穴434cにネジ止めする。これにより、ベースプレート410とヒートシンク430とが完全に固着し、放熱部材400が完成する。
【0043】
上述したように、本実施形態においては、熱伝導部414の板厚を、基板205が載置される基板支持部412からX軸方向に離れれば離れるほど薄くし、LED素子210で発生した熱をX軸方向負側に送りながら、X軸方向負側に大きな空間を作り、この空間内に可能な限り大きな放熱フィン440を形成することで、放熱効果の高い放熱部材400を形成している。また、放熱部材400を、熱伝導率が高い銅製のベースプレート410と、熱伝導率は銅よりも劣るものの銅よりも比重の軽いアルミニウム製のヒートシンク430とを組み合わせることによって構成することで、放熱部材400は、全てを銅製とした場合よりも軽量で、また全てをアルミニウム製とした場合よりも放熱効率の高いものとなっている。また、上述したように、本実施形態の放熱部材400は、X軸方向に沿って後方(つまり、X軸方向負側)に延出しており、Y軸方向及びZ軸方向には突出しないように構成されている。このため、光照射装置1のY軸方向及びZ軸方向のサイズは最小に抑えられる。
【0044】
次に、本実施形態の放熱部材400による冷却作用について説明する。
図6は、放熱部材400とケース100内に発生する気流との関係を説明する模式図である。また、
図7は、放熱部材400と放熱量との関係を説明する模式図である。
【0045】
図6に示すように、本実施形態の光照射装置1は、ケース100の背面に3つの排気ファン110を備えている。また、ケース100の底面には、ケース100に外部から空気を取り込む吸気口102が形成されている。従って、排気ファン110が回ると、ケース100内の空気が排気ファン110から排気され、吸気口102からは外部の空気が取り込まれる。従って、ケース100内には、
図6中、実線の矢印で示す気流が発生する。つまり、吸気口102からケース100内に取り込まれた空気は、ヒートシンク430とケース100とで囲まれた空間(つまり、放熱フィン440が設けられている空間)を、X軸方向に沿って流れる。このため、各LED素子210で発生し、基板205とベースプレート410を介してヒートシンク430に伝わった熱(
図6中、点線の矢印で示す)は、放熱フィン440を介して空気中に放熱される。このように、本実施形態においては、ケース100とヒートシンク430とで一種の風洞を構成し、気流の流れる空間を限定することで、効率のよい冷却を行っている。
【0046】
また、本実施形態においては、ベースプレート410の貫通孔414eとヒートシンク430の貫通孔434dが連通し、ケース100内に取り込まれた空気が通る通気路を形成している。従って、ケース100内に取り込まれた空気は、貫通孔434d及び貫通孔414eを通り、熱伝導部414の上面414a側の空間も通る。従って、本実施形態の構成によれば、熱伝導部414の上面414a側に配置されたLED駆動回路215及び制御基板300も冷却することができる。
【0047】
また、
図7に示すように、本実施形態の放熱部材400の熱伝導部414は、基板205が載置される基板支持部412からX軸方向に離れるに従って、板厚(つまり、上面414aと下面414bとの間の距離)が薄くなる(つまり、X軸方向に垂直な断面の断面積が徐々に小さくなる)ように構成されている。そして、熱伝導部414が薄くなることによってできた空間に、X軸方向に沿って徐々に大きくなる放熱フィン440が形成されており、ベースプレート410の上面414aから放熱フィン440の先端までの距離が、X軸方向において略一定となるように構成されている。
【0048】
ここで、ベースプレート410の熱抵抗を検討すると、ベースプレート410を通過する熱量(つまり、全てのLED素子210で発生する熱量)Q1(W)、各光源ユニット200の基板205の温度(つまり、基板支持部412の温度)とヒートシンク430の温度差ΔT(℃)、ベースプレート410の熱抵抗R(℃/W)、ベースプレート410の長さ(つまり、熱伝導部414の長さ)L(m)、ベースプレート410の断面積(つまり、熱伝導部414の断面積)A(m
2)、ベースプレート410の熱伝導率λ(W/m℃)の関係は、以下の式(1)及び式(2)によって表すことができる。
Q1(W)=ΔT(℃)/R(℃/W) ・・・(1)
R(℃/W)=L(m)/(A(m
2)×λ(W/m℃) ・・・(2)
【0049】
上述したように、LED素子210で発生した熱は、ベースプレート410の基板支持部412から熱伝導部414に伝わり、さらに熱伝導部414の先端側(X軸方向負側)に拡散していくが、ヒートシンク430の放熱フィン440を介して吸気口102から取り込まれた空気中に放熱されるため、ベースプレート410を通過する熱量Q1は、基板支持部412に近い側で最大となり、X軸方向負側に離れて行くに従って徐々に減少する。そこで、本実施形態においては、
図7に示すように、ベースプレート410を通過する熱量Q1がX軸方向に沿って均等に分散するように(つまり、X軸方向負側に離れて行くに従って徐々に熱抵抗Rが大きくなるように)、熱伝導部414のX軸方向に垂直な断面の断面積を徐々に小さくしている(つまり、熱伝導部414の基端部側(基板側)を太くしている)。つまり、ベースプレート410の下面414bをX軸方向に対して所定の角度で傾斜させている。そして、これによって、ベースプレート410の下面414b側に放熱フィン440のための十分な空間を確保している。
【0050】
具体的には、
図7に示すように、本実施形態の熱伝導部414は、X軸方向に約80mmの長さを有し、全てのLED素子210で発生する熱量Q1を200(W)と仮定して、熱伝導部414のX軸方向各位置における熱量がそれぞれ均等(25(W))となるように、熱伝導部414をX軸方向に沿って10mm毎に切断したときの各断面の断面積の比を、基板支持部412に近い側から順に、1.00、0.85、0.72、0.61、0.52、0.44、0.38、0.32に設定している。
【0051】
次に、ヒートシンク430の放熱量を検討すると、ヒートシンク430の熱流量Q2(W)、ヒートシンク430の熱伝達率α(W/m
2℃)、ヒートシンク430の表面積B(m
2)、ヒートシンク430の温度と吸気口102から取り込まれた空気の温度差ΔT(℃)の関係は、以下の式(3)によって表すことができる。
Q2(W)=α(W/m
2℃)×B(m
2)×ΔT(℃) ・・・(3)
【0052】
図6に示すように、本実施形態においては、ヒートシンク430の基端側(LED素子210側)下方に吸気口102が形成されており、吸気口102からケース100内に取り込まれた空気によってヒートシンク430の放熱フィン440が冷却されるように構成されている。ここで、吸気口102からケース100内に取り込まれた空気は、ヒートシンク430とケース100とで囲まれた空間(つまり、放熱フィン440が設けられている空間)を、X軸方向に沿って流れるため、放熱フィン440を冷却する空気の温度は、ヒートシンク430の基端側(LED素子210側)で低く、ヒートシンク430の先端側で高くなる。つまり、式(3)におけるΔT(℃)が、ヒートシンク430の基端側(LED素子210側)で大きく、ヒートシンク430の先端側で小さくなる。そこで、本実施形態においては、ヒートシンク430の表面積B(m
2)がヒートシンク430の基端側(LED素子210側)で小さく、ヒートシンク430の先端側で大きくなるように構成することで、ヒートシンク430の熱流量Q2がX軸方向各位置において均等となるように構成している。つまり、放熱フィン440がX軸方向に沿って徐々に大きくなるように構成している。
【0053】
このように、本実施形態においては、ベースプレート410の下面414bがX軸方向に対して所定の角度で傾斜するように構成し、放熱フィン440がX軸方向に沿って徐々に大きくなるように構成している。そして、これによって、ベースプレート410を通過する熱量Q1がX軸方向に沿って均等に分散し、またヒートシンク430の熱流量Q2がX軸方向に沿って均等に分散する構成になっている。
【0054】
以上が本実施形態の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば、本実施形態の光照射装置1は、紫外光を照射する装置であるが、他の波長域の照射光(例えば白色光などの可視光、赤外光等)を照射する装置にも本発明を適用することができる。
【0055】
また、本実施形態の各LED素子210は、略正方形の発光面を備えた複数のLEDチップを備えているとしたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、LED素子20のLEDチップは、正方形以外の発光面を備えていてもよく、またLED素子20は、1個以上のLEDチップを備えたものであればよい。
【0056】
また、本実施形態においては、ベースプレート410の下面414bとヒートシンク430の当接面434aとが直接密着するものとして説明したが、例えば、ベースプレート410の下面414bとヒートシンク430の当接面434aとの間に高熱伝導性グラファイトシートを設けたり、シリコングリースを塗布し、両者の密着をより高めることも可能である。
【0057】
また、本実施形態においては、ベースプレート410とヒートシンク430は、それぞれ別の部材として説明したが、ベースプレート410とヒートシンク430を一体的に構成することも可能である。また、この場合、ベースプレート410の下面414bに、銅又はアルミニウム製の放熱フィン440を直接形成してもよい。
【0058】
また、本実施形態の放熱部材400は、X軸方向に沿って後方(つまり、X軸方向負側)に延出しており、Y軸方向及びZ軸方向には突出しないように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、放熱部材400の延出方向は、任意の所定の方向(例えば、Y軸方向又はZ軸方向)とすることができる。なお、この場合、ヒートシンク430も所定の方向に延出するが、ケース100とヒートシンク430とで風洞が形成されるように(つまり、ヒートシンク430を覆うように)、ケース100を設ければよい。
【0059】
また、本実施形態においては、ベースプレート410を通過する熱量Q1及びヒートシンク430の熱流量Q2がX軸方向に沿って均等に分散する構成としたが、ベースプレート410の下面414bがX軸方向に対して傾斜し、放熱フィン440がX軸方向に沿って大きくなるように形成すれば、放熱効果の高い放熱部材400を形成できるため、必ずしもこの構成に限定されるものではない。また、本実施形態の熱伝導部414は、X軸方向に沿って10mm毎に切断したときの各断面の断面積の比が、基板支持部412に近い側から順に、1.00、0.85、0.72、0.61、0.52、0.44、0.38、0.32となるように構成したが、この構成に限定されるものでもない。
【0060】
また、本実施形態においては、ヒートシンク430の表面積B(m
2)がヒートシンク430の基端側(LED素子210側)で小さく、ヒートシンク430の先端側で大きくなるように構成することで(つまり、放熱フィン440がX軸方向に沿って徐々に大きくなるように構成することで)、ヒートシンク430の熱流量Q2がX軸方向各位置において均等となるように構成したが、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。例えば、全てのLED素子210で発生する熱量Q1(W)が比較的小さい場合には、ヒートシンク430の基端側から先端側にわたって同じサイズの放熱フィン440を形成してもよい。また、この場合、ベースプレート410の下面414b側に放熱フィン440のための空間を広くとる必要がないため、ベースプレート410の下面414bをX軸方向に対して傾斜させる必要はない。従って、例えば、
図8に示すように、ベースプレート410の下面414bに代えて、ベースプレート410の上面414a側をX軸方向に対して傾斜させ、ベースプレート410の下面414bから放熱フィン440の先端までの距離が、X軸方向において略一定となるように構成することもできる。また、熱輸送量の観点からは、熱伝導部414の基端部側(基板側)が先端部側よりも太ければよいため、例えば、ベースプレート410の上面414aと下面414bの両方をX軸方向に対して傾斜させる構成としてもよい。
【0061】
なお、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。