特許第6069385号(P6069385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069385板状金属材料の曲げ成形装置及び成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069385
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】板状金属材料の曲げ成形装置及び成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 11/20 20060101AFI20170123BHJP
   B21D 11/22 20060101ALI20170123BHJP
   B21D 53/92 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   B21D11/20 Z
   B21D11/22
   !B21D53/92
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-38175(P2015-38175)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-159309(P2016-159309A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2015年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100861
【氏名又は名称】アイダエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆夫
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−135727(JP,A)
【文献】 特開2002−233923(JP,A)
【文献】 特開2006−315039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 11/20
B21D 53/92
B21D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有し、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形する板状金属材料の曲げ成形装置であって、
前記伸縮手段の基端は、装置ベースに対して枢動可能に構成されていると共に、
前記吸着手段が前記伸縮手段の先端に揺動可能に取り付けられている
ことを特徴とする板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項2】
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有し、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形する板状金属材料の曲げ成形装置であって、
板状金属材料の端部を解放可能に厚さ方向に挟持する挟持手段が備えられ、該挟持手段により板状金属材料の端部を厚さ方向に挟持しながら装置ベースに対して回動させることで、板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項3】
前記挟持手段は、板状金属材料の幅方向に移動可能に構成されることを特徴とする請求項に記載の板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項4】
前記伸縮手段は、その伸縮量を制御可能に構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つに記載の板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項5】
前記複数の伸縮手段を同一方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形した後、内側の伸縮手段から外側の伸縮手段に向かって順に前記同一方向とは逆方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする請求項〜請求項の何れか1つに記載の板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項6】
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有し、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形する板状金属材料の曲げ成形装置であって、
前記複数の伸縮手段を同一方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形した後、内側の伸縮手段から外側の伸縮手段に向かって順に前記同一方向とは逆方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項7】
前記複数の伸縮手段は、垂直方向から見たときに千鳥状に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1つに記載の板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項8】
前記吸着手段の上に載せた状態における板状金属材料のコンターを上方から計測可能な3D形状測定機が備えられることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1つに記載の板状金属材料の曲げ成形装置。
【請求項9】
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有する板状金属材料の曲げ成形装置を用いて、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形すると共に、
前記複数の伸縮手段を同一方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形した後、内側の伸縮手段から外側の伸縮手段に向かって順に前記同一方向とは逆方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする板状金属材料の曲げ成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の板、例えば航空機の外板として利用される板状金属材料(板状ワーク)を所定の曲率で円弧状(円筒状)に曲げ成形する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機の外核(横断面は略円筒形)は、所定曲率で曲げられた航空機の外板(例えば、2〜10mm×幅2.5m×長さ6mから10m程度)を何枚かつなぎ合わせて円筒状とすることで得られるため、所定サイズに切り出された外板素材(板状材料)は一枚ずつ、大型のプレスブレーキ(成形機械)により、チップフォーミング(約20mm間隔の3点曲げ(図8参照)を繰り返し約125回程度行い、曲率の調整などがあればそれ以上の回数を実施)により、R3000mm程度のシングルコンター(円筒曲げ、一定曲率曲げ)で成形するようにしている。そして、所定曲率に成形された外板素材(板状材料)を複数枚つなぎ合わせることで、航空機の外核を得ることになる。
【0003】
ここで、航空機の外板は、軽量化のために、円筒曲げする内側(パンチ側)には、複数のポケット溝(窪み)が形成され、これらポケット溝(窪み)の形状はいくつものパターンが存在するといった実情がある(図1(B)の符号3A、図8参照)。
【0004】
かかるポケット溝(窪み)がある部分を円筒曲げ成形する場合、図8に示したように、各ポケット溝のサイズや形状に対応した板材(厚紙(フィラー:板に近い硬さ)など)を事前にポケット溝内に設置し(埋め込み、はめ込み)(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)、凹凸を無くした(厚みを揃えた)状態にて成形を行うようにすることで、一律のコンター成形品(所定曲率の円筒曲げ成形品)を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−213792号公報
【特許文献2】特開2011−194426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、所定のコンター(曲率、輪郭)を得るためには、作業者は、数回のプレス動作毎に、コンターを計測して、パンチの押し込み量を微調整する必要がある。
パンチの押し込み量を微調整するには厚紙(フィラー)の厚さの微調整が必要であり、厚紙をポケット溝に埋め込む作業自体が煩雑で多くの時間を費やすうえに、熟練した職人であっても厚紙の微妙な厚さ調整(微妙な高さ調整)には多くの時間が費やされるため、例えば1枚の外板を成形して完成するために、例えば4時間もの時間を費やしてしまう、といった実情がある。
【0007】
さらに、航空機の外板素材(板状材料)は、板厚が2〜10mm程度と薄いにもかかわらず、幅寸法が2.5m程度で、長さ寸法(長手方向寸法)が6〜10m程度と非常に大きな部品であるため、成形後に自重で撓むため、その状態でコンターを計測しても所定の曲率が得られているか否かを精度良く検査することは難しく熟練を要するといった実情もある。
【0008】
また、成形の際に外板素材にキズが付くことを防止するために、パンチにはゴムが巻き付けられていると共に、ダイにはカバープレート(外板素材より柔らかい部材)が敷いてあるため、これらの経時劣化により成形精度も変化するので、長期間一定精度で成形を行うことは難しいといった実情もある。また、チップフォーミング法は、ダイの前後の支点間距離(図8参照)が狭いので材料に変形を与えるための荷重が大きくなり、プレスに高能力が必要となる。
【0009】
また、従来、プレスブレーキ(成形機械)によるチップフォーミング法で外板を成形していたため、長さ寸法(長手方向寸法)が6〜10m程度の外板素材を受け入れるために10m以上の間口(コラム間隔)を持った大型のプレスブレーキが必要となっていた。
【0010】
このため、プレスブレーキのスライド(パンチ)は、図7に示すように、撓みが生じてしまうため、剛性を確保(長手方向の撓み抑制)するために巨大化し、質量の増大、作動エネルギの増大を招き、延いては作動エネルギを蓄える時間が長く必要で作動サイクルを長く取る必要があるため生産効率が低いといった実情もある。
【0011】
航空機の外板の円筒曲げ成形において、従来多くの作業時間を費やしていた作業(厚紙のポケット溝(窪み)への埋め込み作業や厚紙の厚さの微調整を行いながらの成形作業)、及び材料の大きさが間口となり巨大化したプレスブレーキ(成形機械)等は、チップフォーミング法による3点押し(図8)による成形方法が採用されていることが原因であると考えられる。
【0012】
このようなことから、どのようなパターンのポケット溝が形成されていても、ポケット溝埋め作業を不要とし、数回程度の成形工程で製品形状を得ることができ、更に、巨大な成形機械を不要とした新しい成形方法を構築することが望まれる。
【0013】
本発明は、上述した実情に鑑みなされたもので、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、効率良く、かつ、高い精度で、航空機の外板などの板状金属材料を所定曲率をもって成形(円筒曲げ成形)することができる板状金属材料の曲げ成形装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このため、本発明に係る板状金属材料の曲げ成形装置は、
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有し、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形する板状金属材料の曲げ成形装置であって、
前記伸縮手段の基端は、装置ベースに対して枢動可能に構成されていると共に、
前記吸着手段が前記伸縮手段の先端に揺動可能に取り付けられている
ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る板状金属材料の曲げ成形装置は、
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有し、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形する板状金属材料の曲げ成形装置であって、
板状金属材料の端部を解放可能に厚さ方向に挟持する挟持手段が備えられ、該挟持手段により板状金属材料の端部を厚さ方向に挟持しながら装置ベースに対して回動させることで、板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする。
【0016】
本発明において、前記挟持手段は、板状金属材料の幅方向に移動可能に構成されることを特徴とすることができる。
【0017】
本発明において、前記伸縮手段は、その伸縮量を制御可能に構成されることを特徴とすることができる。
【0018】
本発明において、前記複数の伸縮手段を同一方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形した後、内側の伸縮手段から外側の伸縮手段に向かって順に前記同一方向とは逆方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とすることができる。
【0019】
また、本発明に係る板状金属材料の曲げ成形装置は、
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有し、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形する板状金属材料の曲げ成形装置であって、
前記複数の伸縮手段を同一方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形した後、内側の伸縮手段から外側の伸縮手段に向かって順に前記同一方向とは逆方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする。
また、本発明において、前記複数の伸縮手段は、垂直方向から見たときに千鳥状に配置されていることを特徴とすることができる。
【0020】
また、本発明において、前記吸着手段の上に載せた状態における板状金属材料のコンターを上方から計測可能な3D形状測定機が備えられることを特徴とすることができる。
【0021】
本発明に係る板状金属材料の曲げ成形方法は、
板状金属材料の表面に着脱可能に吸着させる吸着手段を先端に備え、基端が装置ベースに取り付けられ、基端から吸着手段までの長さを伸縮可能な伸縮手段を複数有する板状金属材料の曲げ成形装置を用いて、
吸着手段を板状金属材料の表面に吸着させ、その状態で伸縮手段を伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形すると共に、
前記複数の伸縮手段を同一方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形した後、内側の伸縮手段から外側の伸縮手段に向かって順に前記同一方向とは逆方向に伸縮させて板状金属材料に曲げ変形を与えて成形することを特徴とする
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、効率良く、かつ、高い精度で、航空機の外板などの板状金属材料を所定曲率をもって成形(円筒曲げ成形)することができる板状金属材料の曲げ成形装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)は本実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置の平面図(上面図)であり、(B)は同上板状金属材料の曲げ成形装置により成形される板状金属材料を部分的に示す平面図(上面図)であり、(C)〜(E)は同上板状金属材料の曲げ成形装置を幅方向から見た側面図である。
図2】(A)〜(F)は、同上実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置(方法)における成形工程のステップ1〜ステップ6を説明する側面図である。
図3】(A)〜(E)は、同上実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置(方法)における成形工程のステップ7〜ステップ11を説明する側面図である。
図4】(A)は同上実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置のベッドに対するサーボスクリュウジャッキのサーボモータによる枢動(振り角)制御の様子を説明する側面図であり、(B)は同ベッドに対するサーボスクリュウジャッキのスプリングによる自動的な枢動(振り角)制御の様子を説明する側面図である。
図5】(A)は同上実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置のクランプ兼用ベンダーの構成例を拡大して示す側面図であり、(B)はその一部を抜き出して示した平面図(上面図)である。
図6】(A)は同上実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置のサーボスクリュウジャッキ及びクランプ兼用ベンダーによって板状金属材料の両端を同時に所定曲率にて曲げ成形する場合の成形方法を説明する側面図であり、(B)は板状金属材料の一端を所定曲率にて曲げ成形する場合の成形方法を説明する側面図である。
図7】(A)は従来のプレスブレーキを板状金属材料の送り方向(長さ方向)からみた図(間口の広さを説明するための図)であり、(B)は(A)の側面図である。
図8】従来の3点曲げによる円筒曲げ成形方法を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の一実施の形態に係る板状金属材料の曲げ成形装置及び曲げ成形方法について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0025】
発明者等は、航空機の外板の円筒曲げの内側(曲率半径の中心側)面には、複数の様々な形状のポケット溝(窪み)が存在するが、その外側面(反対側の面)はポケットが無く平坦であることに着目し、この円筒曲げの外側(曲率半径の中心の反対側)面を吸着して引っ張ることとし、かかる引っ張りにより外板素材(板状材料)に強制変位を与えることで円筒状に曲げ(所定曲率を持たせて)成形する方法を構築した。
【0026】
吸着は吸着盤(真空吸着、磁気吸着など)にて行うが、吸着盤の高さ方向位置(図2において上下方向位置)はサーボスクリュウジャッキ(位置制御可能なアクチュエータ)などにより位置制御可能に構成される。
【0027】
具体的には、図1(C)〜(E)、図2図4に示すように、本実施の形態に係る板状材料の曲げ成形装置1においては、吸着盤10(真空吸着の場合は吸着カップ)が先端に取り付けられたサーボスクリュウジャッキ20A〜20Gが、枢軸21a〜21gを介してベッド2に複数取り付けられている。
【0028】
なお、吸着盤10が本発明に係る吸着手段の一例に相当し、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gが本発明に係る伸縮手段の一例に相当する。また、ベッド2が本発明に係る装置ベースに相当する。
【0029】
本実施の形態においては、航空機の外板等の素材となる板状材料(板状金属材料)3は、例えば超々ジュラルミン(2524 T3)などの金属材料であり、図1(A)、図1(B)に示すように、例えば、厚さ2〜10mm×幅2.5m×長さ6mから10m程度のサイズを有している。また、図1(B)に示すように、板状材料3の上面には様々な形状のポケット溝(窪み)3Aが複数形成(刻設)されている。
【0030】
図1(C)、図2図4に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gは、円筒状(円弧状)に曲げられる板状材料3のその円筒状の周方向(板状材料3の幅方向)に沿って並んで配設されている。また、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gは枢軸21a〜21gに枢動可能に支持され、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの長手方向中心軸(伸縮方向中心軸)は、所定曲率で円筒状に曲げられる板状材料3のその曲率半径の中心に向かうように(円筒の法線方向に沿うように)枢動されるように構成されている。
【0031】
また、図1(A)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gは、板状材料3の長さ方向に、複数列備えられている。本実施の形態においては、長さ方向において、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gと、これと隣接するサーボスクリュウジャッキ20A〜20Gと、の間に、サーボスクリュウジャッキ20H〜20Mが備えられている。また、幅方向において、サーボスクリュウジャッキ20Hはサーボスクリュウジャッキ20Aと20Bの間に、サーボスクリュウジャッキ20Iはサーボスクリュウジャッキ20Bと20Cの間に、というように、吸着盤10の中心位置を長さ方向においてできるだけ接近させることができるように、千鳥状に配設されている。
以下において、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gを複数あるサーボスクリュウジャッキの代表として説明する。
【0032】
かかる構成の板状材料の曲げ成形装置1では、以下のようなステップにより、板状材料3を所定曲率で円筒状(円弧状)に曲げる成形を行う。
【0033】
ステップ1(図2ではS1。以下、同様)では、図2(A)、図1(C)に示すように、各サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの吸着盤10の高さ位置(各サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの伸縮量)が調整されて平坦な状態にされる。かかる状態は待機状態であり、この待機状態にて板状材料3が搬入され吸着盤10の上にセットされる。
【0034】
ステップ2(S2)では、図2(B)に示すように、吸着盤10により板状材料3の下面(ポケット溝が無い側の面)を吸着する。
【0035】
ステップ3(S3)では、図2(C)、図1(D)に示すように、板状材料3の幅方向両端付近を下方からクランプ兼用ベンダー30A、30Bにより支持すると共に、吸着盤10により板状材料3を吸着した状態で、所定曲率が得られる所定位置まで、位置制御(各サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの伸縮量制御)により各サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gのロッド20a〜20gを下げて(収縮させて)、吸着盤10を下降させる。これにより、板状材料3の幅方向中心付近が、所定曲率(R1000mm程度)に塑性加工(円筒状に曲げ成形)される。
なお、超々ジュラルミンは、スプリングバックが大きいので、R1000mm程度変形させることで、開放したときにR3000mm程度の曲率が得られる(図1(D)参照)。
【0036】
ここで、板状材料3の幅方向両端付近を下方から支持しているクランプ兼用ベンダー30A、30Bは、板状材料3の曲げ変形に応じて幅方向両端部の位置が内側へ移動するため、これに応じて内側に移動可能に構成されている。
具体的には、クランプ兼用ベンダー30A(30B)は、図5(A)、5(B)に示すように構成され、幅方向への水平移動は、回転ねじ301に螺合するクランプ兼用ベンダー30Aの本体ベース302を、回転ねじ301をサーボモータ303により回転させることでベッド2に対する相対的な位置制御を可能に構成されるリニアガイド機構などを利用することで達成することができる。
【0037】
ステップ4(S4)では、図2(D)に示すように、板状材料3の幅方向両端をクランプ兼用ベンダー30A,30Bにて挟み込み、図2(D)において左側のクランプ兼用ベンダー30Aを時計回転方向に所定角度回動させると共に、右側のクランプ兼用ベンダー30Bを反時計回転方向に所定量(所定回転角度)回動させる(回転角度位置制御する)ことで、幅方向両端付近をそれぞれ所定曲率(R1000mm程度)に塑性加工(円筒状に曲げ成形)する。このとき、幅方向両端付近において所定曲率(R1000mm程度)が得られるように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gが予め設定されている制御量にて位置制御され、該当の吸着盤10の位置が適当な位置となるように制御されるようになっている。
ここで、クランプ兼用ベンダー30A,30Bが本発明に係る挟持手段の一例に相当する。
【0038】
クランプ兼用ベンダー30A,30Bは、図2(D)や図5(A)、(B)に示すように、回動軸31A、31B廻りにサーボモータ304等により回動されるクロウ部(はさみ部)30a、30bを回動させて、ベース部30c、30dとの間に、板状材料3の幅方向端部を挟み込み、この挟み込んだ状態で、更に回動軸31A、31B廻りに、クロウ部30a、30b及びベース部30c、30dを所定量(所定回転角度)回動させる(回転角度位置制御する)ことで、幅方向両端付近をそれぞれ所定曲率(R1000mm程度)に塑性加工(円筒状に曲げ成形)できるように構成されている。
なお、図5(A)に示したように、クロウ部(はさみ部)30a、30bとベース部30c、30dの対向面のそれぞれは、R1000mm程度の曲率を有して構成されている。
【0039】
ステップ5(S5)では、図2(E)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gのうちの幅方向中心部分にあるサーボスクリュウジャッキ20Dの吸着盤10を位置制御により上昇させて、所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域を幅方向端部に向けて拡張して行く。
【0040】
このとき、所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域の幅方向端部に向けての拡張を達成するために、クランプ兼用ベンダー30A,30Bも予め設定されている制御量にて回転角度位置が制御されると共に、他のサーボスクリュウジャッキ20A〜20C、20E〜20Gも予め設定されている制御量にて位置制御され該当の吸着盤10の位置が適当な位置となるように制御されるようになっている。
【0041】
ステップ6(S6)では、図2(F)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gのうちの幅方向中心部分のサーボスクリュウジャッキ20Dの両隣のサーボスクリュウジャッキ20C、20Eの吸着盤10を位置制御により上昇させて、所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域を幅方向端部に向けて、更に、拡張して行く。
【0042】
このとき、所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域の幅方向端部に向けての拡張を達成するために、クランプ兼用ベンダー30A,30Bも予め設定されている制御量にて回転角度位置が制御されると共に、他のサーボスクリュウジャッキ20A、20B、20F、20Gも予め設定されている制御量にて位置制御され該当の吸着盤10の位置が適当な位置となるように制御されるようになっている。
【0043】
ステップ7(S7)では、同様に、図3(A)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gのうちのサーボスクリュウジャッキ20B、20C、20D、20E、20Fの吸着盤10を位置制御により上昇させて、所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域を幅方向端部に向けて、更に、拡張して行く。クランプ兼用ベンダー30A,30B、他のサーボスクリュウジャッキ20A、20Gについては、ステップ6と同様に制御される。
【0044】
ステップ8(S8)では、図3(B)、図1(E)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gのすべての吸着盤10を位置制御により上昇させて、所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域を幅方向端部まで拡張する。
【0045】
このように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20G(複数の伸縮手段)を同一方向(図2図3において下向き)に伸縮させて板状材料3に曲げ変形を与えて成形した後(ステップ3、4)、内側のサーボスクリュウジャッキ20D(サーボスクリュウジャッキ20H〜20Mのように中心付近に2つある場合(20J、20K)にはその2つ)から外側のサーボスクリュウジャッキ20A,20Gに向かって順に(徐々に)前記同一方向とは逆方向(図2図3において上向き)に伸縮させて板状材料3に曲げ変形を与えて成形する(ステップステップ5、6、7、8)ことにより、所定曲率での曲げ変形を内側から外側に向かって徐々に拡張していくことができるため、板状材料3の幅方向全域に亘って均等に比較的小さい曲率で精度良く成形することができる。
【0046】
ステップ9(S9)では、図3(C)に示すように、ステップ8にて所定曲率(R1000mm程度)での曲げ領域が幅方向端部まで到達させて成形が終了したので、クランプ兼用ベンダー30A,30Bを解放する。
【0047】
ステップ10(S10)では、図3(D)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの各ロッド20a〜20gに作用する荷重をロードセンサ等により検出し、各ロッド20a〜20gに作用する荷重が均等となるように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gのロッド位置(ロッド長)を位置制御する。これにより、自重による撓みの無い状態で、板状材料3のコンター(曲率、輪郭)を測定し、所定のコンター(曲率、輪郭)が得られているか否かを検査することができる。
このため、従来のように、板状材料3が自重で撓んだ状態で測定していた場合に比べて、実際のコンター(曲率、輪郭)を精度良く取得することができる。
【0048】
なお、本実施の形態に係る板状材料の曲げ成形装置1では、プレスブレーキ(成形機械)のように板状材料3の上方にパンチ(スライド)などの部品が存在しないため、成形後において、その場で(板状材料3をサーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの吸着盤10の上に載せた状態で)、板状材料3のコンター(曲率、輪郭)を、レーザーを用いた3D形状測定機50を利用して測定することができる。このため、従来においてプレスブレーキ(成形機械)から計測のために一旦広い場所に移動させて板状材料3のコンター(曲率、輪郭)を測定していた場合に比べて、コンター測定作業の簡略化、作業時間の削減などに貢献可能で、延いては生産効率の向上を図ることができる。
【0049】
ステップ10(S10)にて測定した結果に基づいて所定のコンター(曲率、輪郭)が得られているか否かを判断し、所定のコンター(曲率、輪郭)が得られていない場合には、ステップ3からステップ10を繰り返し、目標値と測定値との差分を考慮してサーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの吸着盤10の位置制御を実行して所定のコンター(曲率、輪郭)が得られるようにする。
【0050】
一方、ステップ10にて所定のコンター(曲率、輪郭)が得られた場合には、ステップ11(S11)へ進み、図3(E)に示すように、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gの吸着盤10の吸着を解放して、板状材料3を開放し、外部へ搬出する。
【0051】
ここで、本実施の形態に係るサーボスクリュウジャッキ20A〜20Gは、図2図4等に示すように、その出力部であるロッド20a〜20gが、サーボスクリュウジャッキ20A〜20G本体に対して伸縮(上下動)するように構成されている。
【0052】
具体的には、内蔵されるスクリュウを電動モータにて、その回転量を制御しつつ回転させることでロッド20a〜20gの伸縮量を制御することができるように構成されている。そして、ロッド20a〜20gの先端には、球面継手や自在継手などを介して揺動可能に吸着盤10が取り付けられている。
【0053】
また、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gは、図4(A)に示すように、枢軸21a〜21g廻りに枢動可能にベッド2に取り付けられるが、例えばサーボモータ22a〜22gによりその枢動量(回動量)を制御することができるように構成されている。
【0054】
かかる構成によれば、吸着盤10にて板状材料3を吸着して曲げ加工を行う際に、板状材料3の曲がりに対し、法線方向にロッド20a〜20gの伸縮方向(長手方向中心軸)を常時一致させることができるため、効率良く、かつ、正確に、板状材料3を所定曲率で曲げることができる。
【0055】
また、図4(B)に示すように、サーボモータ22a〜22gに代えて、スプリング23a〜23gにより、サーボスクリュウジャッキ20A〜20Gを、枢軸21a〜21g廻りに枢動可能に支持する構成とすることができる。
【0056】
スプリング23a〜23gの弾性力(復元力)を比較的小さく(弱く)設定しておくことで、吸着盤10にて板状材料3を吸着して曲げ加工を行う際に、板状材料3の曲がりに倣って、法線方向にロッド20a〜20gの伸縮方向(長手方向中心軸)を自動的に一致させることができるため、簡単な構成で、効率良く、かつ、正確に、板状材料3を所定曲率で曲げることができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態に係る板状材料の曲げ成形装置1によれば、従来のプレスブレーキのように3点曲げによる円筒曲げ成形を行うことなく、板状材料3の一表面側を吸着盤10により吸着して吸着盤10を移動させることで板状材料3を変形させる方法により円筒状に曲げ成形するようにしたので、簡単かつ低コストな構成でありながら、効率良く、かつ、高い精度で、航空機の外板などの板状材料を所定曲率をもって成形(円筒曲げ成形)することができる。
【0058】
また、本実施の形態に係る板状材料の曲げ成形装置1によれば、従来のように、剛性を確保(長手方向の撓み抑制)するために巨大化したプレスブレーキを用いないため、作動エネルギの削減を図ることができ、延いては作動サイクルを短くすることが可能となるため生産効率の向上を図ることができる。
【0059】
また、チップフォーミング法は、ダイの前後の支点間距離(図8参照)が狭いので材料に変形を与えるための荷重が大きくなり、プレスに高能力が必要となるが、本実施の形態に係る板状材料の曲げ成形装置1によれば、荷重の支点間距離(30A〜30B間)が大きいので比較的小さな荷重で変形させることができる。
【0060】
なお、クランプ兼用ベンダー30A,30Bの動作の一例としては、図6(A)(図2(D)等)に示すように、板状材料3の幅方向両端部を挟み込んだ状態で、右側のクランプ兼用ベンダー30Aを反時計廻りに回動し、左側のクランプ兼用ベンダー30Bを時計廻りに回動して、板状材料3を所定曲率で曲げ変形させることができる。
【0061】
更に、図6(B)に示すように、板状材料3の幅方向端部をクランプ兼用ベンダー30Aにて挟み込んだ状態で、右側のクランプ兼用ベンダー30Aを反時計廻りに回動させる一方、左側のクランプ兼用ベンダー30Bは解放しておくことで、板状材料3の右端側を比較的小さい曲率で曲げ変形させるといった動作方法も想定できる。
【0062】
なお、本実施の形態では、吸着盤10として真空吸着を利用することができる他、板状材料3の材質によっては電磁マグネットなどを利用した磁気吸着などとすることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、板状材料3を、航空機の外板を一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、吸着盤10にて吸着して曲げ変形できる板状材料であれば、ポケット溝(窪み)の有無を含めて、特に限定されるものではない。
【0064】
また、本実施の形態では、図1図2図3図6において、略水平にセットした板状材料3を下に凸(上が凹)の曲率で変形させた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、板状材料3を上に凸(下が凹)の曲率で変形させる場合にも適用可能である。
【0065】
また、本実施の形態では、成形後の板状材料3のコンター(曲率、輪郭)をレーザーを用いた3D形状測定機50を利用して測定し、所定のコンター(曲率、輪郭)が得られるまでに1回或いは複数回成形を行うこととしたが、コンター(曲率、輪郭)の測定は、他の方法(例えばダイヤルゲージなどを用いる方法)により測定することも可能である。
【0066】
また、本実施の形態では、挟持手段であるクランプ兼用ベンダー30A、30Bを、板状材料3の幅方向の両端に備える構成として説明したが、要求される曲率によっては、両者を省略することができる、或いは少なくとも一方を省略することが可能である。
また、クランプ兼用ベンダー30A,30Bの回動機能を省略することも可能である。
【0067】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
1 板状金属材料の曲げ成形装置
2 ベッド(本発明に係る装置ベース)
3 板状材料(板状金属材料)
3A ポケット溝(窪み)
10 吸着盤(本発明に係る吸着手段)
20A〜20G サーボスクリュウジャッキ(本発明に係る伸縮手段)
20a〜20g ロッド
21a〜21g 枢軸
22a〜22g サーボモータ
30A、30B クランプ兼用ベンダー(本発明に係る挟持手段)
30a、30b クロウ部(はさみ部)
30c、30d ベース部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8