(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、搬送カテーテルまたはシースが患者から除去されるとき問題が発生する。大きなカテーテルまたはシースの除去は、大動脈、腸骨動脈、大腿動脈を経ての除去または引き戻しの間、血管プラークの破壊を引き起こすことが報告されている。これは、プラーク、壁在血栓、動脈瘤、そして他の病状を含む重大な血管疾患を有する非常に病んでいる患者においては特に問題がある。プラークまたは血栓の領域の破壊は、塞栓が血管壁から抜け出させ、下流に浮かばせ、より小さな、遠位の血管内に留まらせ、その結果、血流が阻止されて、虚血、そして場合によっては組織壊死につながる。除去の間のみならず挿入の間、実際、シースとカテーテルの挿入について問題が生じる。心臓血管の重い病気を患っている患者では、粉瘤、血栓、他のプラークが、腹大動脈、腸骨動脈、大腿骨動脈の内部に積み重なる。これらの血管は、これらの積み重ね物によってかなり小さくされた、自身の管腔直径を有し、さらに血管は非常に曲がりくねったものとなる。したがって、カテーテル、特に、大きな直径のカテーテルと挿入器シースの挿入は、血管狭窄症または壁面干渉のために困難か不可能である。
【0006】
大きなカテーテルのための腸骨挿入器または大腿骨挿入器の使用に関する、提案されている他の文献は、参照によって全体がここに含められる、Gawenda MとBrunkwal Jの「胸のステント移植の、機器に関連した問題点」1、Zentralbl Chir. 2007年6月;132(3):205−10、を含む。
【0007】
大腿骨動脈、腸骨動脈を含む動脈を、搬送カテーテルとシースの除去の間、それらから保護することが望ましい。したがって、大きな直径のカテーテルまたはシースが、腸骨動脈、大腿骨動脈、または鎖骨下動脈を通って経皮的に、または外科的に挿入させられ、それから、患者をさらに傷つけたり、合併症を引き起こしたりせずに除去されるのを可能にする、改良されたアクセス技術に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの構成は、第1の、より小さい断面領域と、第2の、より大きい断面領域を有する挿入器シースを含む。他の構成では、挿入器シースは、第1の、より小さな断面領域とほぼ同じか、第1の、より小さな断面領域と第2の、より大きい断面領域の中間である第3の、より小さな断面領域を有することができる。挿入器シースはハブと一本のシース管を含むことができる。シース管とハブは、近位端と、遠位端と、壁と、概ね近位端から遠位端へ延びる管腔を有する、軸方向に細長い構造を形成することができる。いくつかの実施形態では、シース管は、近位部分と、中央部分と、遠位部分を含むことができる。近位部分は直径方向に部分的に拡張可能、完全に拡張可能、または完全に拡張不可能でありうる。いくつかの実施形態では、遠位部分は拡張可能でありうる。挿入器シースは、腸骨へのアクセス、大腿骨へのアクセス、大腿へのアクセス、鎖骨下動脈へのアクセス、または大動脈へのアクセスに適しうる。
【0009】
シースは、長いガイドシース、他の拡張可能なシース、またはカテーテルシステムの挿入器として使用できる。拡張可能なシースは、組織を半径方向に拡張できる臨床的利点を有し、最小の裂傷と最小の組織損傷を引き起こす。拡張可能なシースは、それが、大きな介入装置、診断装置、または診断装置の、大腿動脈、腸骨動脈、または鎖骨下動脈を通っての挿入にとって十分に大きなサイズに拡張できる大腿動脈、腸骨動脈、または鎖骨下動脈への小さな直径のアクセスを可能にする点で、経皮的血管アクセス手順を補助するために使用できる。介入心臓専門医は一般に、アクセスが経皮的であり、外科的切開を必要としない介入手順を行うことを好む。外科的切開がアクセスのために必要ならば、外科医は、アクセスを行うために、通常入れられる。拡張可能な動脈アクセスシースは、切開と外科支援の必要をなくすことができ、時間、治療費用、患者に対する外傷を減らし、患者の転帰を改善することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、中央部分は拡張可能でありうる。いくつかの実施形態では、中央部分は、拡張の前と拡張の後に中央部分の断面形状を維持できる複数の補強要素を有するポリマー壁を含むことができる。いくつかの実施形態では、中央部分は、膨張不可能であるが折り畳み可能で、補強要素がないポリマー壁を含むことができる。これらの補強されていない実施形態では、中央部分は柔軟性の特性を有することができるが、最小の構造を有し、したがって、断面形状を維持できない。いくつかの実施形態では、中央部分は、コラム強さと引っ張り強さを有するが、断面形状の保持が少ないか、全くない、長手方向に配置された複数の補強要素を含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、遠位部分は、断面形状をある程度、保持する複数の補強要素を有するポリマー壁を含むことができる。遠位部分は、ポリマー壁の形状に対するある制御をもたらすが、血管壁によって与えられた外力のような外力にさらされると、折り畳まれた形状に容易に変形することができる複数の弱い補強要素を含むことができる。遠位部分は、塑性変形することができ、拡張に続いて実質的に跳ね返らないポリマー材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、遠位端は、10気圧と40気圧の間の範囲の圧力下で拡張バルーンの膨張によって改造を受けることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、シースの遠位端は、シースが遠位方向に軸方向に延びるにつれて、直径が大きくなる、フレアの付いた構成部品を含むことができる。フレアの付いた構成部品は、先細を含むことができるか、または先細と、最も遠位の端において、先細になった領域に結合され、またはこれと一体になった、比較的一定の直径の領域を含むことができる。フレアの付いた構成部品はシースの拡張可能な部分の遠位端と一体であるか、またはそれに結合されることができる。フレアの付いた構成部品はバルーン拡張器を使用して拡張できるか、自己拡張様式を用いて拡張できるか、またはバルーン拡張器補助を有する自己拡張を含むことができる。自己拡張は、弾力のあるバネ力、または、ニチノールまたは他の形状記憶材料から作られたシース補強部品によって生成された形状記憶力によるものでありうる。フレアの付いた構成は、経皮的に搬送された大動脈心臓弁のような器具または移植可能な機器の再獲得または除去を容易にすることができる。典型的な実施形態では、フレアの付いた構成は、大動脈弁基部の切除が必要な場合、自然の大動脈弁基部の除去も容易にすることができる。シースの拡張可能なフレア領域は長さが1cmから10cmの間、望ましくは2cmと5cmの間でありうる。いくつかの実施形態ではフレア領域は、拡張のための遠位の拡張可能な領域の残りと同じバルーンを使用することができる。いくつかの実施形態では、フレア領域は別個のバルーンによって拡張することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、シースの近位端は、1つまたは2つ以上の止血タイプの弁を含むハブを含むことができる。ハブは、単一のカテーテル挿入ポートを含むことができ、または複数のカテーテル挿入ポートを含むことができる。各カテーテル挿入ポートは、カテーテルからの血液漏出を防ぐために、止血弁、栓、などを含むのが望ましい。ハブは、ハブの内側管腔に作動可能に結合することができ、かつ栓または他の弁によって終端することができる1つまたは複数の浄化ポートをさらに含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、カテーテルの直径方向または半径方向に拡張可能な要素は、長手方向の複数の折り畳みを有する管として構成することができる。シースまたはカテーテルの近位部分、遠位部分、または中央部分は、第1の、より小さい折り畳み断面積を形成するように、これらの折り畳みに折り、曲げることができる。拡張可能な領域または要素は、たとえば、血管形成術タイプバルーン、カテーテルシャフト、近位端にあるバルーン膨張ポート、ガイドワイヤ管腔、などを含む中央の拡張器カテーテルの上に折り畳むことができる。拡張器カテーテルの近位端上の適宜なポート内に流体圧を加えることによって、血管形成術タイプ、非エラストマ、膨張不能のバルーンを選択的に膨張させると、拡張可能な領域は、第2の、より大きな断面形状に広げることができる。中央の拡張器カテーテルは、カテーテル、搬送カテーテル、埋め込み型装置、などの挿入に適したより大きな断面の中央管腔を形成するために、収縮させ、シースから除去することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、拡張可能な挿入器シースは、近位の拡張可能な部分を含む。近位の拡張可能な部分は、ポリエチレンの内側ポリマー層と、ポリエチレンの外側ポリマー層と、それら2つのポリマー層の間に挟まれた補強層から作られた複合管状構造を含む。補強層は、幅が、0.005インチから0.025インチの範囲で、約0.010インチ、厚さが、0.002インチから0.004インチの範囲で、約0.003インチの、平らで、完全に焼きなまされたステンレス鋼のコイルを含むことができる。近位の、拡張可能な領域は、同じまたは類似の内径のシース管の拡張不能な長さに、近位端において結合することができ、またはシースハブに直接、結合することができる。近位の拡張可能な領域の遠位端は、弾性のないポリマー材料を含む、中央の拡張可能な領域に結合することができる。中央の拡張可能な領域は、中央の拡張可能な領域のためのあるレベルのコラム強さとあるレベルの引っ張り強さをもたらす、接合され、溶接され、またはブレイドを囲む膜、または他の繊維補強構造を含むことができる。中央の拡張可能な領域の遠位端は、遠位の拡張可能な領域がいくらか弱く、その結果、遠位の拡張可能な領域が拡張に続いて容易に折り畳むことができる点を除いて、近位の拡張可能な領域と同様に構成された遠位の拡張可能な領域に結合することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、シース管は近位領域を含むことができ、ステンレスバネ鋼リボンの補強層は、幅が約0.005インチから0.025インチであり、厚さが約0.002インチから0.004インチであるコイルに巻くことができる。コイルの間隔は0.001インチと0.050インチの範囲であってよい。
【0017】
他の実施形態では、シースは、近位の拡張不能な領域と遠位の拡張可能な領域を含むことができる。遠位の拡張可能な領域は、カテーテルシャフトの長さの10%と95%の間を含むことができる。
【0018】
遠位の拡張可能な領域は、展性のあるステンレス鋼リボンまたは、近位領域と同様な寸法を有するコイルに巻かれた平らなワイヤの補強層を含むことができる。全長、またはその大部分は、PEN、ポリエステル、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、コバルトニッケル合金、ポリアミド、ポリイミド、などのような、しかしそれらに限定されない、材料から作られた、編まれた材料の追加の1つまたは複数の補強層を含むことができる。いくつかの実施形態では、通常、ポリマー壁の外側層と内側層の間に挟まれた補強構造は、第1の補強編み層、コイル補強体、最後にポリマー材料の外側層が重ね合わされた、ポリマーの内側層を含むことができる。他の実施形態では、ポリマー材料の内側層にはコイル補強体を重ね合わせることができ、コイル補強体には編まれた補強体を重ね合わせることができ、最後に編まれた補強体にはポリマー材料の外側層を重ねあわせることができる。いくつかの実施形態では、ポリマー材料の内側層には編まれた補強体を重ね合わせることができ、編まれた補強体にはコイル巻きを重ね合わせることができ、コイル巻きにはブレイドの他の層を重ね合わせることができ、最後にブレイドの他の層にはポリマー材料の外側層を重ねあわせることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、シース拡張器は、ハイトレル(登録商標)のシャフトに結合されたPETバルーンで構成することができる。ハイトレルのシャフトは、同心に配置された内側管と外側管を含み、該2つの管の間に環帯が存在することができる。拡張器バルーンの遠位端は内側ハイトレル管に結合することができる。拡張器バルーンの近位端はこの実施形態では、直径が大きく、外側ハイトレル管に結合することができる。外側ハイトレル管は拡張器バルーンの外側体積のちょうど内部に延びることができ、外側管と内側管の間の環帯は、拡張器バルーンの中央空間に流体連通し、作動可能に接続することができる。環帯は、拡張器ハブに一体化され、または結合された膨張ポートと作動可能に流体連通している。いくつかの実施形態では、先の実施形態の外側ハイトレル管のような外側ポリマー管は省くことができ、拡張器バルーンは、拡張器ハブまたはサイドアーム内に接着および封止するように近位に延びることができる近位尾部を含むことができる。いくつかの実施形態では、バルーン用の加圧環帯は拡張器バルーンと内側ポリマー管の間に存在することができ、加圧環帯は拡張器ハブ上の膨張ポートに作動可能に接続されている。内側拡張器管の内部は、システム全体を、大動脈アクセスに適したガイドワイヤ上に進めるのに適したガイドワイヤ管腔を含む。そのような大動脈アクセスガイドワイヤは通常、直径が0.035インチまたは0.038インチであり、比較的堅い。
【0020】
シースは、折り畳まれた拡張器バルーンと共に、1つまたは2つ以上の長手方向を向いた折り目に折り、拡張器の周りに巻くことができる。近位および遠位の拡張可能な領域にある、展性のある要素は、折り畳まれた状態のシステムの構成を維持することができる。取り付けられた、剥がされた、引き剥がされた、または取り外し可能な使用前構成を有することができる任意の外側カバーは、直径方向に折り畳まれたシース管の一部または全部を包み込むのに使用することができる。いくつかの実施形態では、シースは、シースの外側の上に薄いFEP、PFA、またはPTFEの管をさらに含むことができる。このフッ素重合体の外側カバーは除去する必要はない。外側カバーは、柔らかいポリエチレンシース材料を、粉瘤のような堅い血管沈着物から保護するように機能することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、中央の領域は、中央の領域が、第1の、より小さい直径から第2の、より大きい直径に折り畳みを使用せずに、直径方向に簡単に拡張するのを許すことができる任意のブレイド補強体を有するエラストマポリマー構造を含むことができる。PTFE、FEP、PFA、または他の非常に滑らかな材料の内部スリップ層を、くっ付くのを防ぐために、カテーテルが中央の領域内を通過するのを容易にするのに使用することができる。内部スリップ層は、内部に補強コイルまたは補強ブレイドを埋め込むことができるポリマーサンドイッチの内側層であってよい。
【0022】
拡張可能な挿入器シースが、遠位端が大動脈分岐のちょうど上に到達するように一旦進められると、拡張器は10気圧から40気圧、望ましくは15気圧から30気圧の間の圧力で拡張させられる。拡張器は次に収縮させられて、シースの中央管腔から除去することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、シースは、エラストマの外側膜で構成されたフレキシブルシャフトと、直径を変えることができるブレイド構造として構成された補強層を含むことができる。シースは、第1の、より小さい断面形状で、望ましくは小さな直径の拡張器または先細になったオブトラトールの上で患者に挿入することができる。オブトラトールまたは先細になった拡張器は次に、除去されて、大きな直径の中空の中央拡張器をシースの内部管腔に挿入することができる。大きな直径の中空の中央拡張器がシースのフレキシブルシャフトに挿入されると、シースは、第2のより大きな断面積、直径、または半径に直径方向に拡張することができる。1つまたは2つ以上のカテーテルを、血管系の目標場所に到達するために、シースを通って挿入することができる。処置の完了に続けて、中央拡張器は除去され、その結果、外側膜が第1の、より小さな断面積に弾性収縮する。シースは次に、第1の、より小さな断面積形状において患者から除去することができる。シースは、参照によって、全体がここに取り込まれる、発明の名称が「頭蓋内の吸引カテーテル」である、Gerard von Hoffmannの米国特許第7,309,334号に記載された原理と構造要素を用いて構成することができる。
【0024】
拡張可能な領域の補強体は、ワイヤ、望ましくは展性のあるワイヤを含むことができる。該ワイヤは、丸い断面、矩形の断面、リボン状の断面、などを有してよい。展性のあるワイヤは、拡張器バルーン、先細の拡張器、中空の拡張器、などによって第2の、より大きな断面積へと曲げることができ、展性のあるワイヤの強度は、シース壁のポリマー構成部品によって与えられた弾性のある跳ね返りにほぼ打ち勝つことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ワイヤはゴム状弾性と形状記憶特性を有することができる。これらの実施形態は、形状記憶ワイヤ、擬弾性ワイヤ、超弾性ワイヤ、ゴム状弾性ワイヤ、などを利用することができる。ワイヤは、ニチノール、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、などであってよい。ワイヤは、形状記憶の構成では、人体温度の血液が、ワイヤのメッシュをより大きな拡張させられた形状へ偏らせるように、約25℃から35℃、望ましくは28℃から32℃のオーステナイト仕上げ温度を有することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、拡張可能な領域は、編まれた、または他の方法で拡張可能な形状記憶補強構造のポリマーのカプセル封入を含むことができる。補強要素または補強構造は形状記憶特性を有することができる。シースは、第1の、小さい断面積において患者に挿入される。補強要素は、補強要素が、体温(約37℃)においてすら、実質的に展性があるように、マルテンサイト開始温度未満に維持することができる。シース壁は次に、ここに記載されたバルーン拡張器で拡張することができる。拡張器は次に除去され、シースは、シースを通って挿入できる治療または診断のカテーテルに対するホストになることができる。カテーテルの除去に続けて、シースの近位端においてリード線が通電される。導線は、補強要素の近くにあるヒータに作動可能に接続することができ、または導線は複数の補強要素の各端に作動可能に接続することができる。電気は補強要素のオーム、すなわち抵抗加熱が、そのオーステナイト仕上げ温度を超えるようにする。小さい直径形状に形状がセットされた補強構造は、その小さな直径形状に戻ることができ、したがって拡張可能なシース壁全体をそれと共に下げ、シースを患者から除去するのを容易にする。約42℃のオーステナイト仕上げ温度はこの出願において使用することができる。
【0027】
拡張器カテーテルは内側および外側の部材を含むことができる。内側部材と外側部材の材料は、ハイトレル、PEEK、複合補強構造、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、などを含むことができる。カテーテルハブは、ポリカーボネート、アクニロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリウレタン、ポリ塩化ビニール、など、のような、しかしそれらに限定されない、材料から作ることができる。拡張器バルーンは、たとえば、Eastman PET 9921または類似のような材料を用いて、ストレッチブロー成形されたポリエステルポリアミド、ポリアミド、またはポリエステル混合物から作ることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、内側に偏り、半径方向を向いた収縮力を生成するために、被覆が拡張可能な領域に付けられている。拡張可能な領域は、被覆の偏寄力に抗して半径方向に拡張させることができる。半径方向拡張力が一旦除去されると、拡張可能な領域は、妨げられない限り、それが移動することができる、より小さな直径に向かって、半径方向内側に偏寄したままになることができる。
【0029】
本システムは、蛍光透視下で視覚化を改善する放射線不透過性強化体を含むことができる。放射線不透過性マーカを、遠位端、拡張可能な1つまたは複数の領域の広がり、またはシースの向きさえも示すために、シースの遠位端に結合することができる。放射線不透過性マーカは、タンタル、白金、白金イリジウム、金、など、のような、しかしそれらに限定されない、金属のベルトまたは巻き線を含むことができる。
【0030】
シース壁構造のいくつかの実施形態では、ポリマーの内側層とポリマーの外側層は補強層を挟むことができる。補強層は、チタン、ステンレス鋼、コバルトニッケル合金、ニチノール、タンタル、など、のような、しかしそれらに限定されない、金属のコイルであってよい。コイルは、ばね特性をほとんど有さないか全く有さない、展性があるが、弾性傾向を示さないのが望ましい。コイルは、厚さが0.001インチから0.010インチ、望ましくは0.002インチから0.005インチである平たいワイヤから作ることができる。平たいワイヤの幅は0.005インチから0.050インチ、望ましくは0.008インチから0.025インチの範囲であってよい。コイル同士の間の間隔は、たとえば、コイルのワイヤのほぼ0から約5倍の範囲であってよい。コイルは、丸い原料、平たい原料、などから作ることができる。補強体は、ポリマー材料の内側層と外側層の間に挟まれてよく、内側層と外側層は、コイル同士の間の空間を経て互いに接合または溶接することができる。内側および外側のポリマー層は同じまたは異なった材料から作ることができる。内側および外側の層の適切な材料は、ポリウレタン、シリコン、ハイトレル、PEEK、ポリエチレン、HDPE、LDPE、ポリエステル、ポリエチレン混合物、など、しかしそれらに限定されない、を含む。いくつかの実施形態では、塑性変形可能、展性がある、または焼きなまされた、編み構造は、展性のあるコイルの必要性を有利にはなくし、引っ張り強さと編みのトルク能力を維持しつつ、壁の厚さを減らすために補強体にも用いることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、シースシャフトは、該シャフトの軸方向全長に沿って、柔軟性が変化する複数の領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、柔軟性が異なる領域を少なくとも2つ有することができる。いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、柔軟性が異なる領域を3つまたは4つ以上(実用上の上限は6つ)有することができる。いくつかの実施形態では、シースシャフトの柔軟性は、カテーテルの近位端に向かって下げ、カテーテルの遠位端に向かって上げることができる。カテーテルシャフトの近位端から遠位端に動くと、所与の別個の部分の柔軟性は、該個別の部分にちょうど近位で、これに隣接した領域の柔軟性よりも大きい。実質的に折り畳まれた、小さな直径の遠位領域を有するシースはその領域において、拡張不可能な、または完全に拡張させられた、拡張可能な領域の柔軟性に勝る、著しく増大した柔軟性を示すことができる。そのような柔軟性は、大動脈弓のような、曲りくねったまたはカーブした生体構造を横切るときに特に有用である。そのような横切りに続けて、シースは、より堅く、より大きな直径の構造を作り出すために拡張することができる。そのような構造は、解剖学的に遠位(下流)の側から大動脈起始部に近づくために必要な大動脈弁用の搬送カテーテルにとって特に有用である。
【0032】
他の実施形態は、弁を心臓に搬送するように構成されたカテーテルを含んでいる。一実施形態では、大動脈弁用搬送カテーテルは、拡張させられた内径が12フレンチから40フレンチ、望ましくは16フレンチから26フレンチにわたるように構成することができる。拡張されていない構成では、大動脈弁用搬送カテーテルの、遠位の、拡張されていない外径は約6フレンチから16フレンチの間にわたることができる。遠位の、拡張可能な領域の長さは、いくつかの実施形態では、大動脈弓の弓長さに少なくとも等しく、約15cmと40cmの間にわたることができる。いくつかの実施形態では、シースは、約9cmから55cm、望ましくは約15cmから45cmの範囲の作動長を有することができる。大動脈弁搬送カテーテルの一般構成は、全体が参照によってここに含まれる、2005年4月22日に出願され、発明の名称が「拡張可能な経中隔シース」であり、出願番号が60/674,226の米国仮特許出願に記載されたものであってよい。いくつかの実施形態では、拡張可能な搬送シースは、カテーテル、または人工器官を、鎖骨下動脈を通って心臓に搬送するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、シースの作業長は通常、腸骨アクセスシースの作業長よりも短い。ここに先取りしたいくつかの実施形態では、弁人工器官の交換物は、大動脈弁基部に対して逆に搬送することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、腸骨、または大腿骨のシースは、大腿骨または腸骨の動脈に挿入されるように構成することができ、かつ遠位端が大動脈内にあるように送ることができる。いくつかの実施形態では、挿入器シースの作業長は、シースが、大動脈分岐のちょうど近くに達するようなものであってよい。いくつかの実施形態では、挿入器シースの作業長は、シースが、下行腹大動脈内に十分に到達でき、おおよそ大動脈分岐と腎動脈の間、またはそれをちょうど超えた位置に延びることができるようなものである。いくつかの実施形態では、挿入器シースの作業長は、約20cmと55cmの間、望ましくは25cmから45cmの範囲であってよい。拡張可能な遠位領域は、シース管のほとんど全て、または実質的に全てを含んでよく、その結果、近位端に小さな変形不能または拡張不能の領域だけを残して、シースハブへの取り付けを容易にする。
【0034】
いくつかの実施形態では、使用方法は、無菌の、すなわち殺菌された包装に設けることができる拡張可能な腸骨シースを含み、エチレンオキシド、ガンマ線、電子ビーム放射、などによって殺菌することができる。患者は、手術のために病院の標準的なやり方で準備することができ、そして適切に覆われることができる。経皮的針刺しが、この明細書において先に記載されたセルディンガー技術を使用して腸骨動脈に入れることができる。ガイドワイヤを、中空の18ゲージの針の中を進めることができ、該針は除去することができる。経皮的アクセス場所は、このときアンプラッツ(Amplatz)拡張器または類似の機器で任意に拡張させることができる。拡張器を有する第1の小さい断面形状にある挿入器シースは、ガイドワイヤの上へ、そして挿入器シースを腹部大動脈に進めることができる腸骨動脈内に進めることができる。挿入器シースは次に、予め挿入された拡張器または他の適切な手段を用いて、第2の大きな断面形状に膨張させることができる。拡張器は次に除去され、任意の止血弁が、シースの近位端を閉じたかどうかチェックされることができる。介入カテーテルが次に、解剖学上の目標に向かって、拡張可能な挿入器シース内を通って進めることができる。該処置の完了に続けて、介入カテーテルは、拡張可能な腸骨挿入器シースから除去することができ、シースの近位端にある弁またはポートからの出血がないことを保証するよう再度チェックする。シースは患者から、3つの方法の1つで除去することができる。いくつかの実施形態では、シースは、シースを折り畳むことなく患者から簡単に除去することができる。いくつかの実施形態では、シースは、シースを積極的に折り畳むことなく患者から取り外すことができるが、シースは、介入カテーテルの除去に続けてわずかかに折り畳んで、取り外しを容易にする。いくつかの実施形態では、シースは、直径または断面を積極的に小さくすることができ、それから患者から取り外すことができる。止血は、病院の標準的な技法を用いてまたは市販の経皮アクセス出血制御装置の適用によって維持することができる。
【0035】
シースのいくつかの実施形態は、半径方向、直径方向、または断面方向においてシースを再度、折り畳ませることができる。いくつかの実施形態では、形状記憶ニチオールは、体温を越える温度に加熱することができて、オーステナイト仕上げ温度に復帰させ、予めセットされた、折り畳み形状に戻ることができる。いくつかの実施形態では、シースの外側層は内側層から隔てたものであってよい。シースの外側層は、実質的に柔軟でない材料を含むことができ、またはそれは、実質的に半柔軟な材料を含むか、またはその組み合わせを含むことができる。近位のシースハブにある膨張ポートは、シースの外側層と内側層の間の考えられる空間に作動可能に接続することができる。外側層と内側層の間の考えられる空間を加圧することは優先的に内側層を内側にかなり抑圧し、押しつぶし、押付け、変形させ、折り畳ませ、再度折り畳ませ、または他の方法で動かす。考えられる空間内の加圧の除去に続けて、折り畳まれたシースと、新しい弛緩した外側層は、動脈または血管の壁を傷つけ、またはこれに損傷を与える少ない可能性で患者から除去することができる。いくつかの実施形態では、外側層は、二重壁外側層の間に加圧が起きるように、互いに封止された2つの層を含むことができる。これらの実施形態は、材料不適合のために、外側層を内側層に封止するのが難しいとき有用であることがある。他の実施形態では、シースは、外側加圧カバーと、シース管の長手軸に実質的に平行に走るシース管に沿って配置されたサイドバルーンを含むことができる。サイドバルーンの加圧は、サイドバルーンによって、外側加圧カバーと変形可能なシース管の間に生成された力のために、シース壁を折り畳ませ、または再折り畳みさせることができる。いくつかの実施形態では、サイドバルーンは、両バルーン室が、膨張させられたときにシース管に対して力を加えるように長手方向に半分に折り畳まれて積み重ねられてよい。折り畳まれたサイドバルーンは有利なことに、これらのバルーンにとって必要な種類の材料では作るのが難しい遠位の封止体を必要とせずに機能することができる。
【0036】
展性のある実施形態の主要な理由は、断面形状に対する制御と、ポリマーと補強体の製造するのが難しい切り離しを作り出す必要なしに補強体をポリマー層に埋め込むことができることと、配置に続くシースの高い強度と、体内組織によって引き起こされた、管腔の再折り畳みの防止と、を含む。埋め込み物と他の医療機器を配置するための高速道路を生成するために、この機器が所望の形状に作り変えることができることは、今日入手できるどのようなものよりも勝っている。さらに、該機器は、比較的滑らかな内部管腔をもたらすことができ、これは、非常に大きなサイズの機器と埋め込み物が過度な拘束、すなわち摩擦なしに移動するのを可能にする。これらの利点を有する他のシースは今日存在しない。シース内に埋め込まれた展性のある補強体は、それらが、半径方向に折り畳まれ、拡張されていないシースの直径を制御し、維持することができる十分な力を生成するように構成することができる。展性のある補強体は、シース管腔内に存在するバルーンまたは他の拡張器による膨張に続いて、シースを、開いた、半径方向に拡張した形状に維持するようにさらに構成することができる。展性のある金属の補強体の構造は、通常、補強体を囲み、または包み込むことができる、シース管のポリマー構成部品が出す弾性力または構造力に打ち勝ち、または勝るのに十分であることができる。展性のある金属の補強体の構造は、たとえば、皮膚と大腿骨または腸骨の動脈の間に存在する筋肉量と筋膜のような、シースが貫通して挿入することができる組織が及ぼす、内向きに偏寄させられた力に打ち勝つのに十分であることもできる。
【0037】
いくつかの実施形態では、シース組立て体は、軸方向に細長い管であって、近位端と、遠位端と、該管を貫通して延びる管腔を有する軸方向に細長い管を形成することができるポリマーのシース材料内に埋め込まれた展性のある補強体を含むことができる。シースは、ポリマーのシース材料を取り囲むが、それに取り付けられない、実質的に膨張不能の外側加圧カバーをさらに含むことができる。加圧カバーとポリマーのシース壁の外側の間に、折り畳まれた形状の二次バルーンを設けることができる。シースの一次管腔内に配置された内部拡張器によるシースの拡張と拡張器の収縮に続けて、シースは、他の医療器具、カテーテル、などを挿入するのに使用することができる。処置の終了時、または処置中の他の所望の時点に、二次バルーンは、半径方向に拡張させられたシースを内向きに圧縮するように膨張させることができる。二次バルーンは、加圧カバーによって、シース壁に当たった状態のままであってよい。二次バルーンを膨張させると、シースの一方の側を強く打ち、シースを「U」字形に折り畳ませる張力を加圧カバーに生成することができる。二次バルーンを収縮させると、患者から容易に取り外せる、はるかに小さくなった断面外形を有するシースが得られる。いくつかの実施形態では、二次バルーンは、漏出の可能性を小さくするために、炭酸飲料の容器のように、閉じた遠位端を備えることができる。いくつかの実施形態では、二次バルーンは、溶接技術、接着剤、クリンピング、留め具、などを使用して遠位端において自分自身に対して封止されることができる。二次バルーンの近位端は膨張ポートまたは管腔に結合し、かつ作動可能に接続することができる。いくつかの実施形態では、二次バルーンは、二次バルーンが、再折り畳みの傾向を最大にし、漏出の可能性がある遠位バルーンの溶接または封止を不要にするように半径方向に積み重ねることができる二重バルーンを形成するように、遠位端において自身の上に折り返すことができる。いくつかの実施形態では、二次バルーンは、圧縮された一次シース管の長手方向の折り畳みに沿って、かつその内部に配置することができる。折り畳まれた二次バルーンの存在、またはそのわずかな膨張ですら、患者の血管の内側と患者の血管の外側の領域の間の折り畳みによって形成された通路内に起こるどのような出血も減らすことができる。
【0038】
シースの再折り畳みが、加圧カバーとシース自身の間の圧力増加によって生成さることができるいくつかの実施形態では、加圧カバーをシースの遠位端の上に折り畳み、シース内で加圧カバーの遠位端を裏返し、続けて、加圧カバーの遠位端をシースの遠位端に加熱封止または溶接することによって遠位の接合を補強することができる。加圧カバーのそのような裏返しされた遠位端は、裏返しと溶接の前に、直径を小さくするネッキング動作によって利益を得ることがある。PET、ナイロン、などから作られるような高圧バルーンは、溶接の前にシースの遠位端の内部上のしわを、アイロンをかけて伸ばすのに使用することができる。裏返しにされた加圧カバーは、いくつかの実施形態では、シースの一次管の内側ではなく、外側に溶接することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、PETまたは他の適切なポリマーから作られた短い管のようなシムは、強度を上げ、シースのポリマー壁を経ての噴出のおそれを最小にするようにシースの内部に挿入することができ、シースのポリマー壁は、たとえば、ハイトレルから作ることができ、かつPETの加圧カバーよりも弱いが、それに接合することができる。シムは約0.020インチから0.500インチ、望ましくは約0.050インチから約0.250インチの範囲の長さを有することができる。ポリマー壁と、シースの遠位端における加圧カバーのそのような補強体は、複数の溶接された層のはがれを防止し、溶接された層を、離れるのではなく、一緒にするように圧力を使用するのを助けることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、たとえばハイトレル55Dであってよいシース材料の内側層が、シースの遠位端を過ぎて前方に送られ、外側で折り畳まれ、PETの加圧カバーに溶接できる。溶接は、高周波加熱、熱風加熱(熱箱)、レーザ加熱、抵抗加熱器、超音波溶接、などを使用して行うことができる。加熱温度は、管の厚さ、形状、化学的組成、など、に応じて、約300°Fと600°Fの間であり、約400°Fの温度がPETをハイトレルに溶接するのに適している。膨張コレット、先細になったマンドレル、外部熱収縮管と他の製造補助器具が、管を圧縮し、熱の印加での溶接を容易にするために使用することができる。マンドレルは、接合工程に続けて取り外しを容易にするためにPTFEまたは他のフッ素重合体から作ることができる。
【0041】
加圧カバーの近位端は、シースハブ上の折り畳みまたは再折り畳み圧力ポートに作動可能に接続することができる環帯または管腔内に送ることができる。折り畳み圧力ポートは、雌型ルアーロックまたは他の適切な医療用コネクタで終端することができ、雄型のルアーロックが折り畳み圧力ポートの中に挿入されるときを除いて体液喪失を防ぐ、栓または一方向逆止め弁のような弁をさらに含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、内側加圧カバーとシース管の間の空間の加圧が、内側加圧カバーを半径方向に内向きに折り畳ませ、シース管を半径方向に外向きに拡張させるように、シースのポリマー管の内部に結合することができる内側加圧カバーを設けることができる。シース管の半径方向の拡張に続けて、内側加圧カバーとシース管の間の空間は、内側加圧カバーをシース管腔の内径に対して引き、器具とカテーテルの移動のための管腔を最大にするために流体を抜くことができる。この実施形態では、シースは、別個の、取り外し可能な拡張器の必要なしに半径方向に拡張することができる。同じ外部加圧カバーまたは平行二次バルーンが、患者からの取り外しの前に、この構造を再折り畳みするために使用することができる。
【0043】
本発明を要約する目的で、本発明の特定の態様、利点、そして新規な特徴をここに記載した。必ずしもそのような利点の全てが本発明の特定の実施形態によって達成されるものではないことが理解されるべきである。したがって、たとえば、当業者は、本発明が、ここに教示されまたは示唆された他の利点を必ずしも達成することなく、ここに教示された1つの利点または一群の利点を達成するやり方で具体化され、実行されることがわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】心臓、大動脈、腸骨動脈、および大腿動脈を含む、本発明の実施形態の、人間の循環系の概略正面図である。
【
図2】腸骨動脈から大動脈へ引き回されたガイドワイヤを有する、本発明の実施形態の、人間の循環系の概略正面図である。
【
図3A】拡張器カテーテルが所定の位置に配置された、半径方向に折り畳まれた形状の、拡張性のある3つの領域を有する、本発明の実施形態の拡張可能挿入器シースを示している。
【
図3B】半径方向に拡張させられた形状で、拡張器カテーテルが除去された、本発明の
図1Aの実施形態の拡張可能挿入器シースを示している。
【
図4A】拡張器が挿入された、第1の、拡張されていない形状の、単一の拡張性のある領域を有する、本発明の実施形態の一方向拡張可能挿入器シースを示している。
【
図4B】拡張器が除去された、拡張させられた形状の、本発明の実施形態の
図4Aの一方向拡張可能挿入器シースを示している。
【
図4C】拡張させられた形状の、拡張器バルーンを有する、本発明の実施形態の、シースを拡張可能な拡張器を示している。
【
図5A】第1の、拡張させられていない形状の、単一の拡張性のある領域を有する、本発明の実施形態の二方向拡張可能挿入器シースを示している。
【
図5B】第2の、拡張させられた形状の、本発明の実施形態の
図5Aの二方向拡張可能挿入器シースを示している。
【
図5C】第3の、アクティブに折り畳まれた形状へ戻ることに続く、本発明の実施形態の
図5Aの二方向拡張可能挿入器シースを示している。
【
図6A】第1の、半径方向に折り畳まれた形状の、本発明の実施形態の、拡張可能挿入器シースと拡張器を示している。
【
図6B】半径方向に拡張させられた、本発明の実施形態の、
図6Aの拡張可能挿入器シースを示し、拡張器は除去されている。
【
図6C】人工弁をシースの中を通って進めた人工弁搬送カテーテルを有する、本発明の実施形態の、
図6Aの完全に拡張させられた挿入器シースを示している。
【
図7】第1の、半径方向に折り畳まれた形状の、本発明の実施形態の、患者の腸骨動脈内へ進められた拡張可能挿入器シースを示している。
【
図8】患者の腸骨動脈内で拡張させられた、本発明の実施形態の拡張可能挿入器シースを示している。
【
図9】
図6Bの拡張させられた挿入器シース内を進められた、本発明の実施形態の人工弁搬送カテーテルを示している。
【
図10】腸骨動脈内に挿入され、それから大動脈弓の周りに引き回され、大動脈起始部内に配置された、本発明の実施形態の、直径方向に折り畳まれた大動脈シースを示している。
【
図11】拡張器によって拡張させられた拡張可能遠位領域を有したが、拡張に続いて拡張器が除去された、本発明の実施形態の、
図10の大動脈シースを示している。
【
図12】カテーテル挿入器によって
図10のシースを通って配置された、本発明の実施形態の、人工大動脈心臓弁の交換を示している。
【
図13】鎖骨下動脈アクセスシースを通って配置される、本発明の実施形態の、人工大動脈心臓弁の交換を示している。
【
図14A】単一の折り畳みを含む、本発明の実施形態の、拡張可能動脈シースの遠位領域の横断面を示している。
【
図14B】二重の折り畳みを含む、本発明の実施形態の、拡張可能動脈シースの遠位領域の横断面を示している。
【
図15】第1の、半径方向に折り畳まれた形状の、患者の大動脈分岐にぴったり近接した大動脈内に進められた、本発明の実施形態の、短い拡張可能腸骨大腿骨挿入器シースを示している。
【
図16a】第1の、半径方向に折り畳まれた形状の、本発明の実施形態の、短く、拡張可能で、再折り畳み可能な腸骨大腿骨挿入器シースと拡張器を示している。
【
図16b】膨張させられた拡張器が依然として所定の位置にある第2の、半径方向に拡張させられた形状の、本発明の実施形態の、
図16aの拡張可能で、再折り畳み可能な腸骨大腿骨挿入器を示している。
【
図16c】拡張器が除去され、かつ外側カバーと挿入器シースの間の空間が、挿入器シース遠位管を第3の、半径方向に折り畳まれた形状へと折り畳むように加圧されている、本発明の実施形態の、
図16bの腸骨大腿骨挿入器を示している。
【
図17a】本発明の実施形態の、拡張可能挿入器シースと共に使用される折り畳みオブトラトールを示している。
【
図17b】直径方向に拡張させられた挿入器シース内に挿入され、それから2つの密封バルーンを拡張するように加圧された、本発明の実施形態の、
図17Aの折り畳みオブトラトールを示している。
【
図17c】膨張させられた2つの密封バルーンを有し、両密封バルーン間で、折り畳みオブトラトールの外側の領域が、拡張可能挿入器シース管を半径方向に折り畳むように減圧された、挿入器シース内の、本発明の実施形態の、
図17Aの折り畳みオブトラトールを示している。
【
図18a】ハブ内の膨張および収縮管腔と外側カバーを示す、本発明の実施形態の、
図16a‐16cの拡張可能で、再折り畳み可能な挿入器の拡大図である。
【
図18b】挿入器シースの折り畳み可能遠位領域の形状を制御するように構成された、本発明の実施形態の成形オブトラトールの側面図である。
【
図18c】3つの突き出た形状を有する、本発明の実施形態の成形または折り畳みオブトラトールの横断面図である。
【
図18d】広げられたU字形状を有する、本発明の実施形態の成形または折り畳みオブトラトールの横断面図である。
【
図19】半径方向に拡張させられた状態において、除去不能な自己拡張要素を含む、本発明の実施形態の、拡張可能で、再折り畳み可能な挿入器を示している。
【
図20】シース壁に遠位端において溶接された外側加圧カバーを含む、本発明の実施形態の、再折り畳み可能な挿入器の、シースハブに対して遠位の領域において切り離された側面図である。
【
図21】シースの遠位端の上に折り畳まれ、かつシース壁の内側に溶接された外側加圧カバーを含む、本発明の実施形態の再折り畳み可能な挿入器またはシースの遠位端の縦断面図である。
【
図22】シースの遠位端の上に折り畳まれ、シース壁の内側層と外側層の間に溶接された外側加圧カバーを含む、本発明の実施形態の再折り畳み可能な挿入器の遠位端の縦断面図である。
【
図23】シースの遠位端の上に折り畳まれ、シース壁の外側に溶接された外側加圧カバーを含む、本発明の実施形態の再折り畳み可能な挿入器の遠位端の縦断面図である。
【
図24】外側加圧カバーがシース壁の外側にどのようにして溶接されるかを詳しく示す、本発明の実施形態の、
図20の再折り畳み可能な挿入器の遠位端の縦断面図である。
【
図25A】シース壁と外側加圧カバーの間に挟まれたサイドバルーンを含み、シースは完全に拡張させられている、本発明の実施形態の再折り畳み可能な挿入器の縦断面図である。
【
図25B】サイドバルーンが圧力下で拡張させられ、シース壁を無理やり外側加圧カバーから遠ざかるように折り畳ませている、本発明の実施形態の、
図25Aの再折り畳み可能な挿入器の縦断面図である。
【
図25C】サイドバルーンが空にされ、したがってサイドバルーンの外部と加圧カバーを引き下げ、低い外形のシースを形成している、本発明の実施形態の、
図25Bの再折り畳み可能な挿入器の縦断面図である。
【
図26A】遠位端に溶接部または接合部なしに、サイドバルーンが連続的に形成されている、本発明の実施形態の再折り畳み可能な挿入器の縦断面図である。
【
図26B】サイドバルーンがシースの遠位端において折り畳まれて、シースの軸から半径方向に遠ざかるように積み重ねられた二重バルーンを形成している、本発明の実施形態の再折り畳み可能な挿入器の縦断面図である。
【
図27A】シースがシース壁と外側加圧カバーを含む、本発明の実施形態の、完全に拡張させられているシースの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図27B】外側加圧カバーとシース壁の間の領域が加圧されて、シース壁を折り畳んでいる、本発明の実施形態の、
図27Aのシースの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図27C】外側加圧カバーとシース壁の間の領域が空にされて、外側加圧カバーとシース外側を折り畳んでいる、本発明の実施形態の、
図27Aと27Bのシースの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図28A】シース壁と、サイドバルーンと、外側加圧カバーを含む、本発明の実施形態の、完全に拡張させられているシースの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図28B】サイドバルーンが加圧され、拡張させられて、シース壁を折り畳んでいる、本発明の実施形態の、
図28Aのシースの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図28C】サイドバルーンが空にされて折り畳まれている、本発明の実施形態の、
図28Aと
図28Bの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図28D】サイドバルーンと外側加圧カバーの間の領域が空にされて、外側加圧カバーを折り畳ませている、本発明の実施形態の、
図28Cの遠位の、折り畳み可能な端の断面端面図である。
【
図29】本発明の実施形態の、シースハブと、カテーテルまたは器具の、内部構成部品を通る挿入中および挿入に続けて止血をもたらす内部構成部品の断面分解側面図である。
【
図30】本発明の実施形態の、シースハブ内の構成部品の他の実施形態の断面分解側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
次に、本発明のさまざまな特徴を実施する全体構造を、図面を参照して説明する。図面と、関連する記載は、本発明の実施形態を説明するためであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。全図面を通して、参照された要素間の対応を示すために参照番号が再使用されている。
【0046】
ここで使用されるように、「近位の」と「遠位の」と言う用語は、カテーテルまたは医療機器の長手軸に沿った方向または位置を指している。「近位の」は、カテーテルまたは医療機器の、操作者に最も近い端を指し、「遠位の」は、カテーテルまたは医療機器の、患者に最も近い端を指している。たとえば、第1の点が、第2の点よりもカテーテルまたは医療機器の操作者端に近ければ、第1の点は第2の点よりも近位である。しかしながら、「解剖学的に近位の」、「解剖学的に遠位の」と言う用語は、人体内の向きを指している。ある点は、それが、解剖学的に近位と記載された点よりも心臓から遠ければ、解剖学的により遠位である。
【0047】
図1は、中枢循環の構成要素を示す人間の患者100の(後部を見た)概略正面(前方)図である。図示のように、中枢循環は、心臓102と、大動脈分岐104と、下行大動脈106と、大動脈弓108と、下大静脈114と、上大静脈116と、腸骨動脈112と、大腿骨動脈110と、胸大動脈118を含んでいる。この図では、患者100の体の左の解剖学的側は図の右側の方を向いている。
図1は、中枢循環の構成要素を主として示している。
【0048】
図1を参照すると、心臓102はポンプであり、その出口は、大動脈弓108と、胸大動脈118と、下行大動脈106と、大動脈分岐104とを含む大動脈であり、全身循環における主動脈を含んでいる。心臓102に作動可能に接続された循環系は、戻り循環、即ち静脈循環をさらに含んでいる。静脈循環は、血液をそれぞれ上部先端、下部先端から戻す、上大静脈116と、下大静脈114を含んでいる。腸骨動脈112は大動脈分岐104と作動可能に接続され、大動脈分岐104から血液を受け取る。大腿骨動脈110は腸骨動脈112と作動可能に接続され、腸骨動脈112から血液を受け取る。上大静脈116と下大静脈114で終端する静脈は、人体の組織からの血液を右側の心臓に戻し、その右側の心臓は血液を両方の肺に送り出し、左側の心臓に戻す。静脈循環内の圧力は通常、平均して20mmHgまたはそれ未満となる。循環系の動脈は心臓102の左心室からの、酸素を豊富に含んだ血液(不図示)を人体100の組織に運ぶ。大動脈内の圧力は、約80mmHgの拡張期圧と約120mmHgの収縮期圧の間を、修正三角波形で波立つ。低血圧の人は、120/80mmHgよりも低い動脈圧を有し、高血圧の人は120/80mmHgよりも高い動脈圧を有してもよい。約300mmHgまたはそれよりも高い収縮期動脈圧は、極めて血圧が高い人に起こりうる。
【0049】
図2は、前側から後方を見た、患者100の概略正面図である。この図では、右心室、左心室、左心房の多くが、心臓102の後方にある胸部大動脈構造118が見えるように、切り取られている。18ゲージの中空の針208が経皮的穿刺または切開によって左腸骨動脈112に挿入されている。ガイドワイヤ210が、18ゲージの中空の針208を通って挿入され、頭側で、大動脈分岐104を通り、腎動脈204を過ぎた下行大動脈106の上へ送られ、胸大動脈118を通って大動脈弓108へ送られている。この図では、患者100の解剖学的に左側が右の方を向いている。ガイドワイヤ210は、それが、治療または診断カテーテルを胸部大動脈構造118の領域内へ追跡するのに使用できるように配置されている。
【0050】
図2を参照すると、内部をガイドワイヤ210が送られている中枢動脈循環は、患者に存在する高血圧または低血圧のレベルに応じて60mmHgから300mmHgを超える範囲にわたってもよい。動脈循環を通って心臓にアクセスすることによって、カテーテル挿入場所からの出血の可能性は、患者に使用されたカテーテル、シース、中空針、または挿入管208に組み込まれた止血弁の使用によって最小化することができる。ガイドワイヤ210は通常、その一部が人体の外側に延びる十分な長さを有している。したがって、ガイドワイヤは、患者100内の治療部位への距離の2倍の長さか、それよりも長い長さを有することができる。最も一般的に使用されるガイドワイヤの直径は、これらの用途に対して0.032インチから0.038インチ以上までの範囲にわたる。ガイドワイヤは、潤滑性を良くするためにPTFEで被覆されてよく、また、真っ直ぐ、「J」形、だらりと垂れた先端、堅い先端、などを含むが、これらに限定されない、さまざまな種類の先端形状を有してよい。アクセスは、この例では、腸骨動脈112によって得られるが、カテーテルが十分に小さければ、アクセスは大腿骨動脈110によって得ることができる。以下により詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、アクセスは、やや短い道具を用いて、鎖骨下動脈によって得ることもできる。
【0051】
図3Aは、拡張可能な腸骨挿入シース/拡張器組み立て体300の一実施形態を示している。この図示された実施形態では、組み立て体300は、シースの全長に沿って分散された拡張性のある3つの異なった領域を含んでいる。以下に説明するように、組み立て体は3つよりも多いか少ない拡張性の異なった領域を含んでよい。いくつかの実施形態では、シース/拡張器組み立て体300は、Tuohy-Borstタイプの止血弁340(または他の種類の適切な止血弁)をさらに含むシースハブ302と、拡張器ハブ304と、近位の非拡張管領域306と、第1の遷移ゾーン308と、近位の拡張可能領域310と、中央の拡張可能領域312と、遠位の拡張可能領域314と、第2の遷移ゾーン320と、第3の遷移ゾーン322と、拡張器バルーン318と、拡張器カテーテル管316の全長を含むことができる。
【0052】
図3Aを参照すると、シースハブ302は拡張不能管領域306の近位端に結合することができる。拡張不能管領域306の遠位端は、第1の遷移ゾーン308によって近位の拡張可能領域310の近位端に結合することができる。近位の拡張可能領域310の遠位端は、第2の遷移ゾーン320によって中央の拡張可能領域312に結合することができる。中央の拡張可能領域312の遠位端は第3の遷移ゾーン322によって、遠位の拡張可能領域314の近位端に結合することができる。拡張器バルーン422(
図4C)は、バルーン接着剤(不図示)によって拡張器バルーン318の両端において拡張器カテーテル管316に接着、溶接、または他の方法で結合することができる。いくつかの実施形態では、拡張器バルーン422は、シース内への挿入の前に、完全に収縮させて拡張器カテーテル管316の周りに巻き付けることができる。拡張器ハブ304は、拡張器カテーテル管316の近位端に結合することができる。
【0053】
図3Bは、(拡張させられた形状の)拡張可能挿入シース330を示しており、それはシース/拡張器システム300の一部でありうるが、拡張器が除かれている。挿入シース330は、止血弁340をさらに含むシースハブ302と、近位の拡張不能管領域306と、第1の遷移ゾーン308と、近位の拡張可能領域310と、中央の拡張可能領域312と、遠位の拡張可能領域314と、第2の遷移ゾーン320と、第3の遷移ゾーン322と、を含む。
【0054】
図3Bを参照すると、近位の拡張可能領域310と、第1の遷移ゾーン308と、第2の遷移ゾーン320と、中央の拡張可能領域312と、第3の遷移ゾーン322と、遠位の拡張可能領域314の全てが、第2の、より大きい断面形状へと、半径方向に、または直径方向に拡張させられている拡張可能挿入シース330が示されている。第1の遷移ゾーン308と、近位の拡張可能領域310と、遠位の拡張可能領域314内の、以下により詳細に説明する、展性のある補強構造(不図示)はシースを、第2の、より大きい断面形状に維持することができる。近位の拡張可能領域310と遠位の拡張可能領域314内の、展性のある複数の要素が、内部に展性のある要素を埋め込むことができるポリマー管によって及ぼされた弾性力に打ち勝つ十分な強度を維持できるが、
図3Aの拡張器バルーン318の拡張力に打ち勝つには十分でない強度を有するのが望ましい。遠位の拡張可能領域314内の展性のある複数の補強要素は、いくつかの実施形態では、近位の拡張可能領域310内の補強要素と同等の強度をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、遠位の拡張可能領域314は、近位の拡張可能領域310内の補強要素よりも強くはない複数の補強要素を含むことができる。補強要素は、平たいまたは丸いワイヤのらせん巻き、ポリマーのより糸を編んだ要素、ワイヤ、ステントに似たメッシュ構造、長手方向を向いた重なる複数の溝を有する溝付き管、などのような、しかしこれらには限定されない、構造を含むことができる。
【0055】
拡張器バルーン318は、壁厚が0.001から0.006インチの範囲の、PET、PETG、ポリアミド、などから作ることができ、10から30気圧まで、またはそれ以上の内圧を含むことができる。拡張器バルーン318は一般に、拡張器ハブ304と一体の、またはこれに結合されたバルーン膨張ポートを経て、操作者によって、生理食塩水、X線撮影造影剤などのような、しかしこれらに限定されない、非圧縮性流体で満たすことができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、中央の拡張可能領域312は、近位の拡張可能領域310において使用される補強要素と類似した複数の補強要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、中央の拡張可能領域312と遠位の拡張可能領域314は、シース壁を1つの断面形状から他の断面形状へ駆動するのにさらに使用することができる、オーステナイトまたはマルテンサイトの状態を生成するようにそれぞれ加熱または冷却することができる複数の形状記憶補強要素を含むことができる。
【0057】
図4Aは、ただ1つの拡張可能領域を有する拡張可能な腸骨挿入器シース/拡張器組立て体400の実施形態を示している。拡張可能領域408と遷移ゾーン406は、第1の、より小さい断面形状で示すことができる。遷移ゾーン406は、直径方向に折り畳まれた拡張可能領域408と、より大きい、近位の拡張不能領域404の間に先細部を形成することができる。図示された実施形態の挿入器シース/拡張器組立て体400は、シースハブ402と、一本の近位の拡張不能管404と、遷移ゾーン406と、拡張可能領域408と、拡張器バルーン318と、拡張器管316の全長と、拡張器ハブ304を含んでいる。
【0058】
図4Aを参照すると、シースハブ402は近位の拡張不能管404の近位端に結合することができる。近位の拡張不能管404の遠位端は、遷移ゾーン406によって拡張可能領域408の近位端に結合することができる。拡張器ハブ304、拡張器管316、拡張器バルーン(
図4C)は、
図3Aに記載されたように組み立てることができる。
【0059】
図4Bは、拡張可能挿入シース430を示しており、それはシース/拡張器システム400の一部でありうるが、拡張器は除去されている。拡張可能領域408と遷移ゾーン406は、第2の、より大きい断面形状へ完全に拡張されている。挿入シース430は、シースハブ402と、近位の拡張不能管領域404と、第1の遷移ゾーン406と、拡張可能領域408と、を含んでいる。
【0060】
図4Cは、拡張器シャフト420と、拡張器ハブ304と、拡張器バルーン422と、遠位のフェアリング318と、シース遠位管316を含むシース拡張器400を示している。拡張器バルーン422は複数の首下領域を含み、該拡張器バルーンは、接着剤、溶接、またはこれらの組み合わせを使用して、近位の首下領域において拡張器シャフト420または拡張器ハブ304に結合することができ、遠位の首下領域においてシース遠位管316に結合することができる。拡張器バルーン422は、PET、ポリイミド、ポリアミド、強化ポリマー、などのような、しかしそれらに限定されない、材料から作られた血管形成タイプバルーンであってよい。拡張器バルーン422は、X線不透過性色素造影剤、生理食塩水、リンガー乳酸塩、などのような、しかしそれらに限定されない、加圧流体で満たされたときに、最大で25気圧または30気圧の圧力を発生するように構成することができる。拡張器バルーン422は、シース拡張可能遠位領域408と遷移ゾーン406の組み合わされた長さと少なくとも同じ長さの平坦な長さを含み、製造と信頼性を容易にするように幾分長いのが望ましい。拡張器バルーン422は、シースの完全に拡張させられた遠位領域408の膨張させられた直径と大体等しいか、これよりもやや大きい、膨張されられた直径を有することができる。バルーン422は、0.0005から0.005インチ、より望ましくは0.0007から0.002インチの範囲の壁厚を有することができる。有利なことに柔らかいエラストマ材料から作ることができる遠位のフェアリング318は、バルーン422が収縮させられたときに、フェアリング318が、シース430の管腔を通って近位側から引き出すことができる小さい直径に戻ることができるように、拡張し、遠位がバルーン422の肩部から外れて折り畳まれることができる。
【0061】
図5Aは、半径方向に拡張することができ、それから、患者から外される前に、半径方向に収縮させることができる二方向拡張可能シース拡張器組立て体500の実施形態を示している。シース拡張器組立て体500は、拡張器ハブ304と、拡張器バルーン422と、拡張器管316の全長と、シースハブ502と、近位シース管504と、遷移ゾーン506と、拡張可能シース領域508と、を含んでいる。
【0062】
図5Aを参照すると、シースハブ502は近位シース管504の近位端に結合することができる。近位シース管504の遠位端は、遷移ゾーン506によって拡張可能領域508の近位端に結合することができる。拡張器ハブ304、拡張器管316、拡張器バルーン318は、
図3Aに記載されているように組み立てることができる。
【0063】
拡張可能領域508は、図示の実施形態では、ニチノールから作られた形状記憶要素(不図示)を含むことができ、この形状記憶要素は、体温(通常、摂氏約37度)を越えるオーステナイト仕上げ温度を有するように構成することができる。したがって、拡張可能領域508は、抵抗加熱してオーステナイト仕上げ温度を超える温度上昇を生じさせるために、電気の印加によって加熱することができる。適切なオーステナイト仕上げ温度は摂氏38度から50度にわたりうる。そのような加熱は、シースの中心からの治療器具または診断器具の除去に続いて、医療手当の最後に行うことができる。シースは通常、血液流内にあり、いかなる血管壁にも接触することはない。さらに、流動中の血液は、人体への局部的加熱損傷作用を最小化するように、抵抗加熱要素によって生成された熱を消散させることができる。形状記憶要素は、抵抗加熱の印加に続いてバイアスさせることができる、折り畳まれた、小さい直径の形状に熱でセットすることができる。補強構造は、三つ編み、らせん巻き、編まれたメッシュ、溝付き管、などとして構成することができる。補強構造は、折り畳まれた、すなわち小さい、初期直径の形状に熱でセットし、それからマルテンサイト仕上げ温度未満へ冷却することができ、その冷却点では、補強構造は、ポリマーでのコーティングまたは他の適切な製造工程のために拡張することができる。
【0064】
図5Bは、拡張器バルーン318が、シースを半径方向、または直径方向外側に拡張するように完全に膨張させられている二方向拡張可能シース拡張器組立て体500を示している。拡張器バルーン318は、拡張可能領域508の全長にわたって、そしてその範囲をわずかに超えて延びることができる。シース拡張器組立て体500は、拡張可能領域508と、遷移ゾーン506と、近位拡張不能シース管504と、シースハブ502と、拡張器管316の全長と、をさらに含んでいる。
【0065】
図5Cは、拡張器の除去に続くシース/拡張器組立て体500である二方向拡張可能シース530を示している。二方向拡張可能シース530は、近位管504と、ハブ502と、遷移ゾーン506と、拡張可能領域508を含む。拡張可能領域508は、バルーン拡張器の除去に続いて半径方向に折り畳まれているのが図示されている。
【0066】
図5Cを参照すると、拡張可能領域508は、拡張可能領域内に埋め込まれている形状記憶補強体に熱を加えることによって、第3の、より小さい断面形状に再度、折り畳むことができる。拡張可能領域508は、より小さい直径に一様に縮むように作ることができるか、または、長手方向に配置された複数の折に沿って折り畳まれた管によって示されたさまざまな断面パターンのいずれかに折られるように作ることができる。いくつかの実施形態では、断面形状を一様に小さくすることが授けられていた場合、補強体は、直径が小さくなったとき、長手方向に長くなる三つ編みを含むことができる。拡張可能領域508のポリマーの囲いはエラストマであり、ポリウレタン、熱可塑性エラストマ、シリコンエラストマ、などのような、しかしそれらに限定されない、材料を含むのが望ましい。有利なことに、拡張可能領域の壁の内側は、高潤滑性で低摩擦の層で被覆して、カテーテルまたは機器をその中を通って停止することなく挿入することを容易にすることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、拡張可能領域508は、中空のスリーブまたは拡張器(不図示)が管腔を貫通して挿入されると、または拡張可能領域508が、適切な壁構造または壁内の補強体によって得られた少なくともあるフープ強度を有するならば、内側の管腔が開いた状態に維持することができる。
図5Cを参照すると、中空スリーブまたは拡張器(不図示)は、近位端と遠位端を有する、中空の、軸方向に細長い管を含むことができる。該管は、中空のスリーブまたは拡張器に柔軟性を与える構造と材料を含むことができるが、該管は有利なことに、コラム強さとねじれ抵抗の特性を有している。中空スリーブまたは拡張器を含む該管の近位端はスリーブハブに結合することができる。中空のスリーブまたは拡張器よりなる管の構造は、非常に薄いのが望ましく、単一の材料、望ましくはポリマーをさらに含むか、または、補強層とポリマーの囲いを有する、組み立てられた複合構造を含むのが望ましい。補強層は、三つ編み、模様、らせんコイル、溝付き管、などを含むことができる。望ましい実施形態では、中空スリーブまたは拡張器管は、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ハイトレル(登録商標)、など、のような、しかしそれらに限定されない、ポリマーの囲い材料を含むことができる。中空スリーブまたは拡張器管の長さは、シースハブ502の近位端から拡張可能領域の遠位端へ延びるのに十分であってよい。中空スリーブまたは拡張器管の遠位端は外側面上に、シース拡張可能領域508を無理に第1の、より小さい断面領域から第2の、より大きい断面領域へ拡張させることで補助する斜面を有することができる。中空スリーブまたは拡張器管の遠位端は、マルテンサイト層において遠位端で半径方向内側に曲げられることができる形状記憶要素をさらに含んでよく、それから体温の血液に晒されると、形状記憶要素は半径方向外側に拡張して、真っ直ぐで、非内側に傾斜した遠位端を形成する。いくつかの実施形態では、中空スリーブまたは拡張器管の内径にぴったりと合い、かつ人体の管腔、血管、または拡張可能シース管内へと進むのに適した、先細になった遠位端を含むオブラトールが設けられてよい。中空スリーブまたは拡張器管は拡張可能シース内に一まとめに進めることができる。オブラトールは、中空スリーブの遠位端または拡張器管のハブに取り外し可能にぱちんと嵌り、または接続することができるハブを近位端に含むことができる。複合構造が一旦、拡張可能シース内に完全に進められると、オブラトールを除去でき、カテーテル、機器、インプラント、などの挿入に適した大きな中央管腔が姿を見せる。
【0068】
図6Aは、遠位フェアリング318をさらに含む拡張器400と、主拡張器管330と、光学外側拡張器管(不図示)と、拡張器バルーン422と、膨張ポート332をさらに含む拡張器ハブ304と、近位シース管604をさらに含むシース630と、遷移ゾーン606と、近位シース管608と、シースハブ602をさらに含む腸骨シースシステム600の実施形態を示している。ガイドワイヤ210を、拡張器400の内側管腔内に滑り可能に配置することができる。
【0069】
図6Aを参照すると、遠位のフェアリング318は、拡張器330の主シャフト330に遠位端の近くで結合することができる。遠位のフェアリング318は、限定されない、熱可塑性エラストマ、シリコンエラストマ、ポリウレタンエラストマ、ハイトレルエラストマ、などのようなエラストマ材料から作ることができる。平たい全長が少なくとも遠位シース管608全体と遷移ゾーン606に沿って位置しているバルーン(不図示)が存在してよい。バルーン(不図示)は拡張器400の主シャフト330に結合され、バルーン(不図示)の内部は、主シャフト330と外部シャフト(不図示)の間を延びる、または主シャフト330の管腔内にある環帯に作動可能に接続されてよい。環帯(不図示)または管腔(不図示)は、膨張ポート332と、バルーン(不図示)の内部に開口したスカイブ、サイス、またはポートの間を作動可能に延びてよい。バルーン(不図示)は、限定されない、PET、PET共重合体、ポリアミド、ポリイミド、強化ポリマー、など、のような材料から作られた血管形成タイプの非弾性のバルーンであるのが望ましい。バルーン(不図示)は、約0.0004インチと0.005インチの間、より望ましくは0.001インチと0.002インチの間にあってよい壁厚を有することができる。バルーン(不図示)の両端は、遠位端において主シャフト330に、そして近位端において主シャフト330または外部シャフト(不図示)に接合、溶接、または他の方法で結合されてよい肩部(不図示)を形成するように内側に先細になっていてよい。拡張器ハブ304は、拡張器400の膨張管腔または環帯の作動可能に接続できる膨張ポート332を含むことができる。いくつかの実施形態では、拡張器バルーン422(
図4C)の近位端は、近位側で拡張器のサイドアームまたはハブ304へも延びていてよい。いくつかの実施形態では、拡張器ハブ304上の膨張ポートに加えられた流体圧力は、拡張器バルーン422とカテーテルシャフト間の環帯に作作動可能に接続されてよく、その結果、X線不透過性色素比較媒体、生理食塩水、などのバルーン膨張流体が、バルーン内部構造内へ送られ、バルーンを無理やり直径方向に拡張させる。この構成は結果として、定格の、バルーン破裂圧力またはバルーン膨張圧力の有益な増大となる。約25から30気圧を超える定格のバルーン破裂圧力は、99.9%の信頼度および95%の確度で得ることができる。
【0070】
拡張器400(
図4C)はシース630の中央管腔内に滑り可能に配置され、約0.2mm(0.5フレンチ)、またはシースの直径よりも大きく拡張することができる、限定されない、血管形成タイプバルーン、マレコット、逆コレット、または他の器具、のような拡張可能拡張器をさらに含む。バルーン(不図示)は、近位端において、拡張器ハブまたは膨張ポートに作動可能に接続することができる、カテーテルシャフト内の膨張管腔によって膨張させることができる。シースの遠位端を拡張する膨張に続いて、バルーン(不図示)のような、拡張器の拡張要素が収縮させられ、折り畳まれることができ、これに続いて、拡張器の拡張要素は、ノーズ・コーン318と共にシース630から除去することができる。
【0071】
シースハブ602は、止血弁をさらに含むか、または止血弁によって終端されてよい複数のポートを有することができる。止血弁は、シース630の管腔からの止血、またはシース630の管腔への空気の取り入れを防ぐように構成することができる。止血弁は、該弁に何も挿入されないようにする封止体を形成し、最大直径の物体が該弁に挿入されないようにする封止体を形成し、中間サイズのいかなるものも該弁に挿入されないようにする封止体を形成するように、1個から5個の間の個数の要素を有してよい。止血弁の要素は柔らかなシリコンまたは他のエラストマから作ることができる。止血弁の要素は、シリコンオイルまたは親水性層のような滑らかな被覆で被覆し、または該被覆を染み込ませることができる。止血弁の要素は、ダックビル弁、ピンホール弁、スリット弁、X‐スリット弁、環状弁、などを含むことができる。
【0072】
遠位シース管608は、1つと4つの間の個数の外側折り畳み縁を含む、注意深く定められたパターンで長手方向に折り畳むことができ、これら折り畳みは、遷移ゾーン606の近位端から遠位シース管608の遠位端へと延びていてよい。遠位フェアリング318は、シースシステム600を血管系内で進めることができる滑らかな先細を生じるように、遠位シース管608の露出した遠位端を覆うように構成することができる。
【0073】
図6Bは、
図6Aの遠位領域608の拡張と拡張器400とガイドワイヤ316の除去に続く腸骨シース630を示している。近位端においてシースハブ602に結合することができる近位シース管604は、メッシュ状補強体612の1つまたは2つの層と、ばねコイルの補強体610を含むことができる。遠位シース管と遷移ゾーン606は、展性のあるコイル614、そして任意に、メッシュ状補強体612をさらに含むことができる。中央管腔(不図示)を含むシース管全体は、全長に沿って、概ね一定の内側直径を有している。概ね一定の直径は、大きい直径の物体が挿入されて、近位端から完全に前進させられ、シース630の遠位端から出ることできる点で有利である。シース630は、メッシュ610と共にコイル補強層610と614を示すために一部が切断されて示されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、内側シース層634がまず、PTFEで被覆されたステンレス鋼のマンドレル(不図示)の上に横たわることができる。内側シース層634は、ポリエチレン、HDPE、LDPE、HDPEとLDPEの混合物、PTFE、FEP、PFA、ハイトレル、ぺバックス(登録商標)、などのような、しかしそれらに限定されない、滑らかな材料から作られるのが望ましい。シース内側層634は、シリコンオイル、ポリウレタンベースの親水性のすべり被覆材、などのような、しかしそれらに限定されない、摩擦低減材料で内側面が被覆されてもよい。任意であるメッシュ層612は次に内側層634の上に付けることができる。コイル補強層610と614は次にメッシュ612の上に付けることができる。いくつかの実施形態では、第2のメッシュ層がコイル614の上に任意に付けられてよい。第2のメッシュ層は、異なった線条径、線条の数、ピックの数、線条の密度または傾きを含む、内側メッシュ層とは異なった特性を有することができる。最後に、ポリマー材料の外側層632を補強体の上に付けることができ、その後、収縮管を構造全体の周りに配置し、加熱して、収縮させ、溶解させ、そして複数の補強層を内側層と外側層の間に挟みながら、内側層を外側層に接合することができる。シースの内側層634は約0.001インチと0.010インチの間、望ましくは約0.002インチと0.006インチの間の壁厚を有することができる。シースの外側層632は約0.001インチと0.010インチの間、望ましくは約0.001インチと0.006インチの間の壁厚を有することができる。
【0075】
メッシュ612は、管状の断面形状に形成された、三つ編み、模様、編物、または他の構造から作ることができる。メッシュ612は、平たいまたは丸いより糸から作ることができる。メッシュ612は、ポリエチレン・ナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリイミド、など、のような、しかしそれらに限定されない、ポリマーから作ることができる。メッシュ612は、展性のあるステンレス鋼、ばねステンレス鋼、ニチノール、チタニウム、コバルトニッケル合金、タンタル、金、白金、白金合金、などの、しかしそれらに限定されない、金属から作ることもできる。メッシュ612のより糸の横方向サイズは少なくとも1つの寸法において0.001インチと0.010インチの間であることができる。メッシュの端の数は2と50の間であってよい。
【0076】
遠位シース管608の構造は、直径が0.001インチから0.040インチ、望ましくは0.002インチと0.010インチの間のワイヤ直径を有するワイヤのコイル614を含んでよい。コイル614は、一方の寸法が0.001インチから0.010インチ、他方の寸法が0.004インチから0.040インチであってよいリボンワイヤまたはフラットワイヤを含むことができる。フラットワイヤは、小さい寸法が0.001インチから0.005インチであり、概ねコイルの半径方向を向き、幅が0.005インチから0.020インチであり、コイルの半径方向に垂直な向きであるのが望ましい。コイルの巻きの間隔に関係する、コイル614のピッチは、リボン幅またはワイヤ直径の約0から約5倍の範囲であってよい。外側層632と内側層634の接合を許すある空間がコイルの巻き同士の間に存在するのが望ましく、したがって望ましい間隔はリボンの幅の0.5倍から4倍の範囲であってよい。ポリマー材料からなる外側層632は、0.001インチから0.020インチの範囲の壁厚を有し、内側層614は、0.001インチから0.010インチの範囲の壁厚を有してよい。コイル614を作るのに使用されるワイヤは、金、ステンレス鋼、チタン、タンタル、ニッケルとチタンの合金、コバルトとニッケルの合金、など、のような、しかしそれらに限定されない、焼鈍材から作ることができる。ワイヤは完全に焼きなまされるのが望ましい。ワイヤは、PET、PEN、ポリアミド、ポリカーボネート、ガラス充填ポリカーボネート、炭素繊維、など、のような、しかしそれらに限定されない、ポリマーまた非ポリマーの材料を含むことができる。コイル補強体のワイヤは有利なことに、蛍光透視またはX線可視化のもとでの可視性の改善を可能にする放射線不透過性を増大させた材料で被覆することができる。コイル補強体のための放射線不透過被覆材は、金、白金、タンタル、プラチナ・イリジウム、などを含んでよい。コイルの機械的性質は、コイルが、融解された内側層634と外側層632の構成を制御できるようなものであってよい。
【0077】
小さい直径を形成するために、遠位領域608が折り畳まれると(
図14Aと14Bを参照して以下の説明を参照)、ある記憶を有することができるポリマー層634と632は、著しい、すなわちかなりのスプリングバックは生じない。シースは、それが管状構造に与えるいかなる力をも、展性のある遠位補強層614と632によって及ぼされた力が越えることができるように薄いのが望ましい。さらに、はがし、すべりはがし、または他の方法で除去可能な保護スリーブ(不図示)が、必ずしもではないが、折り畳まれたシース構造を維持するのに有用である。
【0078】
図6Cは、人工心臓弁搬送カテーテルのシャフト622が貫通して挿入されている、前の工程で直径方向に拡張させられたシース630を示している。人工心臓弁620は、カテーテルのシャフト622の遠位端の近くまたは遠位端において搬送カテーテルのシャフト622に結合することができる。搬送カテーテルのシャフト622は、搬送カテーテルのシャフト622の近位端に結合することができるハブ624と、バルーン膨張サイドアームポート626をさらに含んでいる。中央ポートは、ハブの近位端において、止血弁によって終端させられ、または止血弁を含んでいるのが望ましい。止血弁は、止血弁搬送カテーテルからの出血または止血弁搬送カテーテルへの空気の取り込みを防ぐように構成することができる。
【0079】
カテーテルの拡張可能領域に初期の小さい断面直径を備えるために変形が使用されてよいことが理解されるべきである。折り畳まれていた遠位領域1400を開くことによって、遠位領域の直径はより大きな直径に増大する。より小さい折り畳まれた形状では、上記の、展性のある構造は、遠位領域を、より小さい、折り畳まれた形状に維持することができる。いくつかの実施形態では、外部構造がシースを、折り畳まれた形状に維持することができる。より小さな、折り畳まれた、この形状では、カテーテルの柔軟性(たとえば、カテーテルが大動脈弓を移動できること)を増すことができることがわかった。カテーテルが開かれて拡張させられたとき、展性のある構造は、より大きい開かれた直径およびシースが配置されている骨格(たとえば、大動脈弓)の形状に戻ることできる。開かれた形状では、展性のある構造は、管腔の開放性を維持するフープ強度をもたらすことができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、シースの外部、そして任意にシースの内部管腔が、シリコンオイル、または、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリウレタン、など、を含む親水性のヒドロゲルの様な、しかしそれらに限定されない、材料を含む潤滑性被覆で被覆することができる。他の被覆材は、シルバーアジドから作られたもののような抗菌性被覆、またはヘパリンを含むような抗凝固性の被覆を含むことができる。
【0081】
図6Cの図示された実施形態において、人工弁搬送カテーテル622は、折り畳まれた人工弁620を患者内の移植場所に搬送するように構成することができる。通常の弁は、大動脈弁と僧房弁の交換品を含む。人工弁620は、拡張可能ステントの支持と固定の要素をさらに含む。弁要素は拡張可能ステント内、またはその周りにぶら下げることができ、ポリウレタンから作られた1つから4つの間の小葉と、架橋心膜と、固定された天然の豚に似た大動脈根、すなわち同種移植片を含むことができる。折り畳まれた人工弁620の外径は、弁620がシース630の管腔内を滑って進められるようなものであってよい。いくつかの実施形態では、弁搬送カテーテルは、弁620を、患者内への配置の間、可能な最小の直径に保持する外部スリーブを含むことができる。拡張可能ステントの支持体は展性があり、バルーンで拡張が増強された、バルーンで拡張可能、自己拡張式、または自己拡張式であってよい。
【0082】
図7は、患者100の大腿動脈112に挿入された拡張可能腸骨シース700を示している。拡張可能腸骨シース700は、近位シース管604と、遠位シース管608と、シースハブ702と、拡張器ハブ304をさらに含む拡張器と、拡張器ノーズフェアリング318と、ガイドワイヤ210を含んでいる。患者100は、下降大動脈106と、大動脈弓108をさらに含んでいる。
【0083】
図7を参照すると、シースハブ702は、大きな止血弁と瀉下ポートを有する単一の管腔ハブであってよい。シースハブ702は近位シース管604の近位端に結合することができる。図示の実施形態では、遠位シース管608の遠位端は、少なくとも大動脈分岐を過ぎて進めてよく、大動脈弓108を越え、大動脈弁のちょうど下流、または大動脈弁を通って進めることができる。遠位シース管608内で圧縮された遠位シース管608と拡張器拡張可能部品(不図示)は、血管系と折り合いをつけるために、最大の柔軟性と最小の外形を許すように第1の、小さい直径形状にある。
【0084】
図8は、拡張可能腸骨シース700が、大きい貫通作動管腔を表すように除去することができる、拡張器によって直径方向に拡張させられた近位管608を有することができることを示している。拡張可能腸骨シース700は、近位シース管604と、現在拡張させられた近位シース管608と、ガイドワイヤ210を含んでいる。患者100は、胸大動脈118と、下降大動脈106と、大動脈弓108をさらに含んでいる。
【0085】
図8を参照すると、ガイドワイヤ210は、所定の位置に留まり、手術にとって適宜であれば、このとき取り外されてよい。拡張させられたシースは、遠位端が大動脈弁のちょうど下流にあるように、図示のように挿入され、または進めるのが有利である。
【0086】
図9は、大動脈弁搬送カテーテル622と人工大動脈弁620が拡張可能腸骨シース700を通過して進められている拡張可能腸骨シース700を示している。ガイドワイヤ210は、所定の位置に留まっているが、望むならば、取り外されてよい。人工大動脈弁620は自然の大動脈根(不図示)1022に向かって進められ、その中に埋め込まれてよい。
【0087】
図9は、シースの遠位端が胸大動脈118の中にあるのが示されているが、人工大動脈弁620の搬送を容易にするために、有利には大動脈弓108内または大動脈根1022の近くに配置されている実施形態を示している。大動脈弁搬送カテーテル622は、人工大動脈弁620を拡張し、病気の大動脈根1022を拡張させ、人工器官620を病気の大動脈根1022内にしっかりと埋め込む拡張バルーンを含むことができる。人工器官620の埋め込みに続いて、カテーテル622を含むリリース機構が、カテーテル622とシース700が患者から除去できるように、作動させられて人工器官620を取り外すことができる。止血シース(不図示)は、直後の術後期の間、失血を最小にし、患者を安定させるために、腸骨動脈の切り口内に進めることができる。止血シース(不図示)は、好ましからざる失血を防ぐ止血弁と共に、近位シース管604の直径に近似するカテーテル管を含むことができる。
【0088】
止血シース(不図示)、ガイドワイヤ210、そしてシース700は、利用者の便宜のために、キットにして、または一緒に包装されてよい。すべての構成部品を、エチレンオキシドまたは放射線滅菌を(この場合、たとえば、約25から40kGrayの投与量で)使用して殺菌することができる。キットの構成部品は、単一の無菌包装システムまたはダブル無菌包装システムで包装することができる。
【0089】
図10は、拡張可能遠位端1008が直径方向に折り畳まれた形状で、大動脈弓108の周りに、ちょうど大動脈弁1020に対して遠位に配置されている、腸骨動脈に挿入され、送られている大動脈シース1000を示している。自然大動脈弁1020が大動脈根1022内に位置し、3つのバルサルバ静脈洞をさらに含んでいる。心臓は一部、断面で示されている。ガイドワイヤ210は大動脈弁1020を通って左心室内へ延びることができる。
【0090】
図10を参照すると、大動脈シース1000は、大腿動脈または腸骨動脈112のアクセス場所から心臓の左心室に到達するように構成することができる。近位の拡張不能領域1004は患者100の外側の所定の位置に維持するか、または大腿動脈または腸骨動脈に挿入することができる。遠位の拡張可能領域1008の小さい直径によって、内部管腔が拡張器で満たされているので、ねじれに耐える、非常に柔軟な構成が得られる。この構成は、カテーテルの近位領域と同様に、大きい直径を有する他のカテーテルよりもはるかに容易に、大動脈弓の周りに送ることができる。拡張器に結合できる遠位のフェアリング、すなわちノーズ・コーン318は大動脈弁のちょうど遠位に配置することができる。
【0091】
図11は、シース1000が、拡張器システムによって拡張させられた拡張可能遠位領域1008を有し、これに続けて、拡張器ハブ304をさらに含む拡張器システム400(
図4Cを参照)が除去された患者100を示している。シース1000の中央管腔(不図示)は、シースハブ1002の遠位端から近位端へ、比較的大きい一定の直径を有している。シース1000の遠位端は、大動脈根に近い、大動脈流出路内に位置することができ、シース1000は、完全に横切った大動脈弓108を有している。いくつかの実施形態では、遠位領域1008は、大動脈弓を通って送り、それから拡張させられて、シース1000の拡張可能遠位部分1008の壁を改造することができる。改造された構成では、遠位拡張可能領域1008は、
図10に示されているように、予期されない形状における遠位の拡張可能領域1008よりも大きな剛性、低い柔軟性、大きな直径、そして大きなトルクを示すことができる。改造は一般に、シースの遠位領域1008をして遠位領域1008を跳ね、または真っ直ぐに偏らせる弾性変形にとって望ましい。その理由は、改造の結果、シースが拡張の前にプリセットされ、遠位領域1008が拡張の手順の間、晒される曲線を一般に取るシースが得られるからである。改造条件が生じるのは、バルーンの膨張力が、シース1000の遠位端1008のプラスティック壁をして、拡張器の除去の前に、その新しい形状へ塑性的に流れさせるからである。遠位の拡張可能領域1008内の補強体が、拡張させられた遠位部分1008への曲げ力に実質的に貢献しないのが望ましい。
【0092】
図12は、人工大動脈弁620が、カテーテル弁挿入器622によってシース1000を通って配置されている患者100を示している。カテーテル弁挿入器622は、シース1000の近位端においてまたはその近くで結合された止血弁1002を通って配置することができる。シース1000は、人工弁620の導入と除去を、それが必要になった場合、容易にすることができる。ガイド管腔210は、安全ワイヤとして所定の位置に留まることができ、またはガイド管腔210は、処置のこの部分の間、除去することができる。シース1000の遠位の拡張可能領域1008は完全に展開することができ、
図10に示された、折り畳まれた形状に比べて比較的剛であり、非膨張状態にあるときよりも、曲がりくねった血管系内を進めることができない。
【0093】
図13は、人間の患者100の左鎖骨下動脈1316を通って動脈血管系にアクセスするのに使用されている拡張可能動脈アクセスシース1300を示している。拡張可能動脈アクセスシース1300は動脈アクセス場所1302において鎖骨下動脈1316に入る。シース1300は、拡張可能遠位領域1304と、遷移ゾーン1306と、近位の拡張不能領域1308と、シースハブ1310と、シース止血弁1314を含んでいる。シース1300は、弁搬送カテーテル1320を大動脈流出路1002に大動脈弓108を通って、自然大動脈弁1020に近く案内するのに使用することができる。ガイドワイヤ210が、弁搬送カテーテル1320の中央管腔(不図示)を通過するのが図示され、ガイドワイヤ210の遠位端は自然大動脈弁1020を通って、左心室1322内へ延びている。弁搬送カテーテル1320は、直径方向に折り畳まれた第1の形状にある人工大動脈弁620を逆行して搬送するのに使用することができる。
【0094】
図13を参照すると、拡張可能動脈アクセスシース1300の鎖骨下動脈アクセス構成は、25cmから50cmの範囲にわたってよい動作長を有する大腿装置よりも短くてよい。ここに記載された他の装置に使用される、直径と構造の同じ技術は拡張可能鎖骨下動脈アクセスシース1300に使用されるのに適している。拡張可能な遠位領域1304が動脈アクセス場所1302に挿入され、自然の、病気の、または損傷した大動脈弁1020のちょうど下流にある領域に、または大動脈弁1020を通る領域に進められるのが一般に有利である。遷移ゾーン1306と近位の拡張不能領域は、拡張可能な遠位領域1304が広げられ、すなわち拡張させられた後、シースの軸方向の並進が起こらないように、処置の間、有利なことに、人体の外にある。
【0095】
図14Aは、壁1402と、外側縁1404と内側縁1406をさらに含む、長手方向に延びる単一の折り畳み1408と、壁1402内を軸方向に走る複数の導電体と、を含む拡張可能動脈シースの遠位領域1400の側部断面図である。小さい直径の遠位部分1400と比較的厚い壁1402とで、単一の折り畳み1408は、製造中、作られる1つの構造である。シース壁1402は、ステンレス鋼、銀、銅、または他の胴体金属から作られ、電気エネルギーを、抵抗加熱、操舵、など、のような目的で、シースハブ(不図示)からシースの遠位領域へ伝達するのに使用される電気バス1412を任意にさらに含んでいる。
【0096】
図14Bは、長手方向に延びる二重の折り畳み1428をさらに含む壁1422を含む拡張可能動脈シースの遠位領域1420の側部断面の他の実施形態を示している。二重の折り畳み1428は、壁1422に長手方向の折り目を形成する2つの外側縁1424と2つの内側縁1426をさらに含む。シースの直径が大きくなると、シースは有利なことに複数の折り畳みを壁1422に形成することができる。12フレンチから30フレンチの範囲の、完全に拡張させられた外径を有するシースの場合、
図14Bに示された二重折り畳みが望ましい。二重折り畳みは、たとえば、14フレンチの外径のシースが、約9フレンチから約12フレンチの折り畳まれた直径に折り畳まれることを可能にする。1フレンチから2フレンチの壁厚を有する、18フレンチの外径のシースは、二重折り畳みを使用して、約12フレンチから13フレンチの、折り畳まれた直径に折り畳まれることができる。シース壁1422は、流体圧または流体エネルギーをシースハブからシースの遠位領域へ伝達するのに使用されるバルーン膨張管腔1430をさらに任意に含み、バルーンは結合されてよい。バルーン膨張管腔1430直径は0.005インチから0.025インチの範囲であってよい。いくつかの実施形態では、折り畳みの数は、3から10の範囲である。
【0097】
上記の実施形態では、
図14Aと14Bの長手方向の折り畳みまたはその変形はカテーテルの拡張可能領域(
図3Aから13を参照)に最初の小さい断面直径を与えるのに使用できることが理解されるべきである。遠位領域1400を折り畳みから開くことによって、遠位領域の直径を、大きな直径に大きくすることができる。より小さい折り畳み形状では、上記の、展性のある構造は遠位領域をより小さい折り畳み形状に維持できる。このより小さい折り畳み形状では、カテーテルの柔軟性(たとえば、カテーテルが大動脈弓を進むことができること)が増大することがわかっている。カテーテルが広げられ、拡張させられると、展性のある構造は、より大きな、広げられた直径と、シースが配置されている骨格(たとえば、大動脈弓)の形状になることができる。広げられた形状では、展性のある構造は、フープ強度をもたらし、管腔の開通性を維持できる。
【0098】
図15は、第1の、半径方向に折り畳まれた形状にある、患者100内の大動脈分岐1504にちょうど近い腹大動脈106内へガイドワイヤ210の上を、そして経皮アクセス場所112を通って進められる、短い拡張可能腸骨挿入器シース1500を示している。腸骨挿入器シース1500は、シースハブ702と、折り畳み不能近位シース管604の短い長さと、遠位の折り畳み可能領域608と、拡張器304と、遠位のノーズ・コーン、すなわちフェアリング318を含んでいる。いくつかの実施形態では、遠位のフェアリング318は、腎動脈1502に対して解剖学的に遠位であってよいが、大動脈弓108まで、または胸大動脈118にまで進めることはできない。
【0099】
挿入器シース1500は、遠位領域608の内側管腔が、拡張不能近位領域604の内側管腔と類似し、またはこれとほぼ同じであるように、遠位領域608にある、拡張器304上のバルーン膨張ポートを通って拡張器304を加圧することによって半径方向に拡張することができる。拡張器304は次に取り外されて、大きな内側管腔を、カテーテルを大動脈内へ配置するために、拡張器シース1500内に残す。そのようなカテーテルは、PTCAカテーテル、ステント搬送カテーテル、人工心臓弁搬送カテーテル、腹部大動脈ステント移植片搬送カテーテル、胸大動脈ステント移植片搬送カテーテル、などを含むことができるが、それらに限定されない。
【0100】
図16aは、第1の、半径方向に折り畳まれた形状の、短い、拡張可能、再折り畳み可能腸骨挿入器シースと拡張器のシステム1600を示している。再折り畳み可能挿入器シース1600は、シース折り畳みポート1616をさらに含むシースハブ1602と、拡張器バルーン318と一本の拡張器管316をさらに含む拡張器304と、近位の折り畳み不能シース管1604と、遷移ゾーン1606と、長手方向の折り畳み1614を少なくとも1つさらに含む遠位の折り畳み可能領域1608と、外側加圧カバー1610と、外側加圧カバーとシースの接合剤1612を含む。
【0101】
図16aを参照すると、シースと拡張器のシステム1600は、それぞれ近位端と遠位端においてシース管1604と1608に結合され、密封されることができる外側加圧カバー1610が存在することを除いて
図6に示された装置と類似している。管腔(不図示)が、折り畳みポート1616を外側加圧カバー1610とシース管1608の間の間隙に作動可能に接続することができる。外側加圧カバー1610の近位端は、近位の折り畳み不能シース管1604または遷移ゾーン1606内のシース管に結合されるのが望ましい。外側加圧カバー1610はまた、環帯管腔がカバー1610の内側とシース管1604、1606の外側の間に存在することができて、加圧流体が、カバー1610とシース管1608、1606の間の間隙に流れ込みまたは該間隙から流れ出すように、シースハブ1602に作動可能に接続し、または結合することができる。加圧カバー1610は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、照射ポリエチレン、など、のような、しかしそれらに限定されない、実質的に非膨張性、または非弾性である折り畳み可能な材料から作ることができる。外側カバー1610の壁厚は0.0002インチと0.005インチの範囲、望ましくは0.004インチと0.0015インチの範囲である。加圧カバー1610のためのそのような構造は、サイズがかなり抑えられており、その外側寸法を過度に大きくすることはない。
【0102】
いくつかの実施形態では、外側カバー1610は、壁厚が0.0002インチと0.005インチの間にあり、望ましくは0.004インチからと0.0015インチである、ポリエステル(PET)の二重層のような材料の二重層を含むことができる。二重シールは、それが、強い圧力封止が、そのような封止が外側カバー1610とシース管1604、1606、1608の材料の異なった性質を考慮すると、可能ではないかもしれない状況において生成されるのを可能にするので、有利である。シース管1604、1606、1608はまた、その中に埋め込まれて、シース管の形状を、拡張器304によってまたは、外側カバー1610に対して内部の領域を加圧することによって動かされていないときに制御することができる展性のある金属補強層を含むのが望ましい。折り畳み加圧ポート1616の加圧は、シリンジ、PTCA膨張器、などを用いて、約1気圧から約30気圧、望ましくは約4気圧から約12気圧、最も望ましくは約6気圧から約10気圧にわたる圧力で、生理食塩水、水、またはX線造影剤を用いて行うことができる。
【0103】
図16bは、膨張させられた拡張器が依然として所定の位置にある、第2の、半径方向に拡張させられた形状にある、拡張可能で再折り畳み可能な腸骨大腿挿入器1600を示している。外側カバー1610は、最大外径に近づくように、シース管1608、1606を用いて拡張し、広げることができる。拡張器304と拡張器バルーン318はシース内の所定の位置に留まっている。シース管1604、1606、1608は、概ね連続した外形と、全体を通してほぼ同じ大きさのほぼ連続した内部管腔(不図示)を保持することができるが、遠位の折り畳み可能領域1608にいくつかの小さなひずみが生じることがある。
【0104】
図16cは、拡張器304(
図16b参照)が除去され、外側カバー1610と挿入器シース1608、1606の間の空間1618が、ハブ1602上のポート1616を経て加圧され、挿入器シース遠位管1608を第3の、半径方向に折り畳まれた形状に折り畳んでいる、腸骨大腿挿入器1600を示している。外側カバー1610とシース管1608の間の間隙1618はこの図では見える。遷移ゾーン1606は、折り畳まれた、遠位の折り畳み可能領域1608のより小さな直径へと先細になっていてよい。加圧によるこの折り畳み工程の完了に続いて、流体が間隙1618から引き出され、したがって外側カバー1610が弛緩した状態になり、少なくとも一部がつぶれて、最新の、より小さな直径のシースシステム1600を患者から容易に外すことができる。
【0105】
図17aは、拡張可能挿入器シースと共に使用される折り畳みオブトラトール1700を示している。折り畳みオブトラトール1700は、一本のオブトラトール管1702と、排出ポート1712をさらに含むハブ1722と、密封バルーン膨張ポート1714と、複数のバルーン接合剤1710を有する近位の密封バルーン1708と、複数のバルーン接合剤1710を含む遠位の密封バルーン1706と、複数の排出口1704と、バルーン内排出領域1720を含んでいる。
【0106】
図17aを参照すると、密封バルーン1706と1708は、ポリウレタン、ラテックス、シリコンエラストマ、熱可塑性エラストマ、など、のような、しかしそれらに限定されない、材料から作られたエラストマバルーンであるか、またはそれらは、ポリオレフィン、照射ポリエチレン、ポリエステル(PET)、ポリイミド、ポリアミド、など、のような、しかしそれらに限定されない、材料から作られた、実質的に非弾性のバルーンであってよい。それぞれ近位の、遠位の密封バルーン1708、1706は、膨張させられたバルーン1708、1706と膨張させられたシース管の内壁の間の密封を改善するために、しなやかな材料でさらに被覆されてよい。そのような被覆(不図示)は、ここに記載された、エラストマのバルーンを作るのに使用される同じ材料を含むことができる。被覆は、ヒドロゲル、または他のゲルタイプの物質をさらに含むことができる。
【0107】
オブトラトール管1702は、多管腔の断面を含むか、または、間に環状管腔を備えた内側管と外側管を有し、加圧流体をバルーン1706、1708の内部に作動可能に伝達するとともに、1つまたは複数の出口1704を通ってバルーン間領域1720を空にする環状構造を含むことができる。ハブ1722上のバルーン加圧ポート1714は、バルーン1706、1708の領域の下の管壁1702内の加圧口または加圧スカイブによって管腔に、そしてそれによって密封バルーン1706、1708の内部に作動可能に接続することができる。排出ポート1712は、管1702内の別個の他の管腔と作動可能に接続することができ、該管腔は、排出管腔を外部環境に作動可能に接続するために、管1702に削られたまたは切り込まれた1つまたは複数の出口ポート1704に作動可能にさらに接続することができる。
【0108】
図17bは、シースハブ704と、遷移領域の管406と、遠位のシース管408とさらに含み、直径方向に拡張させられた挿入器シースに挿入され、それから2つの密封バルーン1708、1706を拡張するように加圧された折り畳みオブトラトール1700を示している。近位の密封バルーン1708は、シースの近位の拡張不能領域内にあるのが望ましく、遠位の密封バルーン1706は、いくらかの密封をもたらすが、バルーンの近位でシースの最大量の折り畳みを許すように、シースの遠位端のできるだけ近くにあるのが望ましい。さて、バルーン間排出領域1720は、外側の境界が、拡張させられたシースの遠位の管408の内側面と遷移ゾーン406である、密封された体積を規定している。
【0109】
図17cは、膨張させられ2つの密封バルーン1706、1708と、密封バルーン間であるが、折り畳みオブトラトール1700の外側にあり、拡張可能挿入器シース管408を半径方向に折り畳むように減圧された排出ポート1720を有する、挿入器内の折り畳みオブトラトール1700を示している。外側シース管408を折り畳むために、排出領域1720を、排出ポート1712によって部分的に真空に引くことができる。そのような収縮に続いて、密封バルーン1706、1708を収縮させ、本システムを、除去され、完全に拡張させられ、または決して折り畳まれていないシースよりも少ない抵抗と組織損傷のより少ないおそれで患者から取り外すことができる。拡張させられた密封バルーン1706が、織り畳みの間、位置していた、シース管408の遠位のほとんどの領域の一部が拡張させられたままになっていてよいことに留意されたい。短い長さのこの拡張させられたシース管408は、長い長さの拡張させられたシース管408よりも外すのが容易で、外傷を負わせることも少ない。密封バルーン1708の近位端は、患者の外にあり、したがってシースの取り外しに影響しない遷移ゾーン406内またはハブ704に近い折り畳み不能シース管内にあってよい。遠位の密封バルーン1706は、最小で約0.100インチの封止材で働くことができる。
【0110】
図18aは、拡張可能で再折り畳み可能な挿入器1600の拡大図で、ハブ1602と外側カバー1610内での管腔の膨張と収縮を示している。挿入器1600は、中央管腔1806と折り畳みポート1616と折り畳み管腔1802をさらに含むシースハブ1602と、近位の拡張不能領域1604と、遠位の折り畳み可能領域1608と、外側カバー1610と、シースへの遠位のカバーの接合材1612と、環状の間隙1618と、折り畳み管腔補強体1804を含んでいる。折り畳み管腔補強体1804は、ハブ1602内の管腔1802に作動可能に接続されてよい管腔をさらに含む管であってよく、または近位のシース管1604内へ熱溶接された溝、などであってよい。補強体1804は穴が開けられていないか、または1つまたは複数のスカイブ、窓、穴、などで穴が開けられていてよい。外側カバー1610は単一の層であるか、または、外にめくり返すか、または遠位端において自身に粘着性によって接着され、または溶接された二重層を含んでよい。二重層外側カバー1610は、非常に強固な接着状態、したがって膨張の改善された信頼性、および折り畳みシース管1608を、折り畳み可能シース遠位管1608の遠位端へと完全に折り畳むことができることをもたらす利点がある。
【0111】
図18bは、シース1600の遠位の折り畳み可能領域1608の形状を制御するように構成された形成オブトラトール1800を側面から見た図である。形成オブトラトール1800は、取っ手1810と、ほぼ丸い断面を有する近位部分1812と、遠位の形成領域1814と、ノーズ・コーン1816を含んでいる。丸い近位部分1812は、シースハブ1602の止血弁内を有利に密封するように構成することができる。取っ手1810は、操作者が手で掴めるように構成することができる。形成オブトラトール1800は、シース1600内で曲がることができるが、再折り畳みに時にシース遠位領域1608を形成するのを手助けする形状をなお保持することができる柔軟な材料から作られるのが望ましい。形成オブトラトール1800は単一の一体構造か、または複数の構成部品が互いに結合されていてよい。形成オブトラトール1800は、ステンレス鋼、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコンエラストマ、熱可塑性エラストマ、ポリウレタン、ポリアセタール、など、のような、しかしそれらに限定されない、材料から作ることができる。形成オブトラトール1800は、形成領域1814に、(図示された)十字形、U、W、V、などのような、しかしそれらに限定されない、さまざまな断面形状を含むことができる。形成オブトラトール1800は、取り外し可能であり、再折り畳みの前に、シース1600内に再挿入されるように構成することができる。形成オブトラトール1800は、約0.020インチから0.060インチの直径を有するガイドワイヤ管腔(不図示)をさらに含むことができる。形成オブトラトール1800は折り畳みオブトラトールとも呼ぶことができる。形成オブトラトール1800は、再折り畳みに続けて、大きな、堅い羽根が遠位の折り畳み可能領域1608に形成されるのを防ぐのを助けることができる。
【0112】
図18cは、3つの突き出た外形を有する形成、すなわち折り畳みオブトラトール1800の形成領域1814’の他の実施形態の断面図である。
【0113】
図18dは、外へ開いた形成、すなわち折り畳みオブトラトール1800の形成領域1814’’の他の実施形態の断面図である。
【0114】
図19は、取り外し不可能の自己拡張要素を含む、拡張可能で、再折り畳み可能な挿入器1900を示している。再折り畳み可能な挿入器1900は、止血弁をさらに含む中央ポート1912をさらに含むハブ1902と、拡張サイドポート1904と、折り畳みサイドポート1616と、一本の近位シース管1604と、遷移ゾーン1606と、折り畳み可能遠位管1608と、遠位溶接部1612を有する外側カバー1610と、内側の一体拡大拡張器1906を含んでよい。
【0115】
挿入器1900が拡張させられた形状にあるのが示されている
図19を参照すると、複数の構成部品は、一体拡大拡張器1906を除いて、
図18と16a‐16cに示された装置と類似してよい。一体拡大拡張器1906は、ここに記載された他の拡張器で使用される材料と同じ材料から作られた環状のバルーンであってよい。一体拡大拡張器1906は、外部膨張装置、シリンジ、などによって加圧されたとき、加圧された流体が拡張ポート1904から一体拡大拡張器1906に許す管腔(不図示)によって拡張サイドポート1904に作動可能に接続されてよい。一体拡大拡張器1906は、収縮させられたとき、カテーテルと他の器具が環状の中央管腔を通って挿入されることができる環状の中央管腔を含んでいる。一体拡大拡張器1906は、拡張サイドポート1904に結合された栓(不図示)または他の弁を使用することによって減圧された状態に維持することができる。本システムの折り畳みは、外側カバー1610とシース管1608の間の間隙を加圧するように折り畳みサイドポート1616を加圧することによって成し遂げることができる。この折り畳みは、シースを患者から取り外す前に行われるのが望ましい。この器具は、
図18、17a‐17c、16a‐16cに示されている器具ができるように、必要に応じて、繰り返し拡張および折り畳まれてよい。
【0116】
図20は、再折り畳み可能挿入器2000の、シースハブ2002に近い領域において切断された側面図であり、再折り畳み可能挿入器2000は、外側加圧カバー1212と、シース壁2008と、浄化ポート2006をさらに含むシースハブ2002と、折り畳みポート2004と、近位の加圧カバー接合材2014と、遠位の加圧カバー接合材2018と、中央のシース管腔2010と、圧力室2016を含んでいる。
【0117】
図20を参照すると、外側加圧カバー2012は、近位端において、シース壁2008またはシースハブ2002に近位の加圧カバー接合材2014によって結合することができる。外側加圧カバー2012の遠位端は、遠位の加圧カバー接合材2018によってシース壁2008に結合することができる。それぞれ遠位、近位の加圧カバー接合材2014、2018は、熱溶接、溶剤結合、接着ボンド、超音波接合、などであってよい。外側加圧カバー2012は、ポリエステル(PET)、または、ポリアミド、ポリイミド、など、のような、しかしそれらに限定されない、他の高強度ポリマーから作ることができる。外側加圧カバー2012の厚さは、約0.0001インチから約0.002インチの範囲、望ましくは約0.0002インチから約0.001インチの範囲であってよい。シース壁2008は、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイトレル、ペバックス、のような、しかしそれらに限定されない、ポリマー材料から作ることができる。シースは、外側および内側の層と、この明細書のどこかで記載された補強層をさらに含んでよい。折り畳みポート2004は、流体が、折り畳みポート2004を経て圧力室2016に流入され、または圧力室2016から除去されうるように、シース壁2008と加圧カバー2012の間で圧力室2016に作動可能に接続することができる。図示された実施形態では、圧力室2016はシース壁2008を囲み、それにほぼ同軸であってよいが、近位端では、この同軸の配置のいくらかのゆがみが、近位の加圧カバー接合材2014を形成するために必要となることがある。図示された実施形態における、遠位の加圧カバー接合材2018は、加圧カバー2012を折り畳むことなく、シース管20008の外側に接続することができる。
【0118】
図21は、再折り畳み可能な挿入器またはシース2100の遠位端の縦断面図であり、シース2100は外側加圧カバー2012と、圧力室2016と、シース中央管腔2010と、シース内部壁2102と、シース外部壁2104と、シース補強体2106と、遠位の加圧カバー接合材2114と、遠位の加圧カバー折り畳み2116を含んでいる。
【0119】
図21を参照すると、外側加圧カバー2012は、シース外壁2104とシース内壁2102の遠位端上に、2116において折り畳まれ、シース内壁2102の内部に溶接され、または他の方法で結合されている。シース内壁2102とシース内壁2102は、そこに埋め込まれたシース補強体2106と一緒に融合または溶接されてよい。図示の実施形態では、シース内壁2102はハイトレル55Dであり、シース外壁はハイトレル40Dであってよく、加圧カバー2102はPETであってよいが、他のポリマーまたは硬さが、材料と接合材の適合性を達成するために使用されてよい。シース補強体は、0.010の幅で、0.003から0.005の厚さの平坦で、焼きなまされたステンレス鋼のワイヤのコイルであるが、他の金属、焼きなましの程度、寸法はシースの構造に応じて使用できる。有利なことに、加圧カバー接合材2114は圧力をシース壁構造2102、2104、2106に、遠位端までかけ、折り畳みまたは再折り畳みを強いることを可能にしているが、
図20に示された実施形態は、完全には加圧され、または折り畳まれないことがある接合領域2018を含むことができる。
図21の構造の他の利点は、圧力室2016に加えられた圧力が接合材2114を加圧カバー2012または内壁2102から容易には剥がさないことである。
【0120】
図22は、再折り畳み可能な挿入器またはシース2200の遠位端の縦断面図であり、挿入器またはシース2100は外側加圧カバー2012と、圧力室2016と、シース中央管腔2010と、シース内部壁2102と、シース外部壁2104と、シース補強体2106と、遠位加圧カバー接合材2202と、遠位の加圧カバー折り畳み2204を含んでいる。
【0121】
図22を参照すると、外側加圧カバー2012は、シース外壁2104とシース内壁2102の遠位端上に、2204において折り畳まれ、シース内壁2102とシース外壁2104の間に溶接され、または他の方法で結合することができる。シース内壁2102とシース外壁2104は、そこに埋め込まれたシース補強体2106と一緒に溶解または溶接することができる。加圧カバー接合体2202のこの構造の利点は、圧力を、シース壁構造2102、2104、2106に、遠位端までかけて、折り畳みまたは再折り畳みを強いることができることであり、
図20に示された実施形態は、完全には加圧し、または折り畳むことができない接合材領域を含むことができる。
図22の構造の他の利点は、圧力室2016に加えられた圧力が接合材2202を加圧カバー2012または内壁2102から容易には剥がさないことである。遠位の加圧カバー接合材2202は、図示の実施形態では、シース補強体2106の遠位の限界から離れて設けることができるが、ある程度の重なりは有益かもしれない。
【0122】
図23は、再折り畳み可能な挿入器またはシース2300の遠位端の縦断面図であり、挿入器またはシース2100は外側加圧カバー2012と、圧力室2016と、シース中央管腔2010と、シース内部壁2102と、シース外部壁2104と、シース補強体2106と、遠位の加圧カバー接合材2302と、遠位の加圧カバー折り畳み2304を含んでいる。
【0123】
図23を参照すると、外側加圧カバー2012は、シース外壁2104とシース内壁2102の遠位端に対して遠位の2304において折り畳まれ、シース外壁2104に溶接され、または他の方法で結合することができる。有利なことに、加圧カバー接合材2302は圧力をシース壁構造2102、2104、2106に、遠位端に、そして遠位端を超えてかけ、折り畳みまたは再折り畳みを強いることを可能にしているが、
図20に示された実施形態は、完全には加圧されない、または折り畳まれないことがある接合領域2018を含むことができる。
図23の構造の他の利点は、圧力室2016に加えられた圧力が接合材2302を加圧カバー2012またはシース壁2104から容易には剥がさないことである。遠位の加圧カバー折り畳み2304は、遠位の加圧カバー接合材2302を形成し、次に加圧カバー2012を近位でめくり返し、外側シース壁2104上の加圧カバーを引っ張ることによって作ることができる。同様の構造技術は
図21と22の実施形態において使用することができる。
【0124】
図24は、
図20の再折り畳み可能挿入器の遠位端の縦断面図であり、外側加圧カバー2012がどのようにしてシース壁2008の外側に溶接されるかを詳細に示している。シース2000は、加圧カバー2000と、圧力室2016と、シース中央管腔2010と、シース内壁2102と、シース外壁2104と、シース補強体2106と、遠位の加圧カバー接合材2018を含んでいる。
【0125】
図24を参照すると、圧力室2016はシースの遠位端までは延びていない。この構造は
図21−23の構造よりもいくらかシンプルであるが、圧力室2016が、生理食塩水、X線造影剤、これらの組み合わせ、など、のような、しかしそれらに限定されない、流体で加圧されたときに、加圧カバーがシース外壁2104から剥がれるために遠位の加圧カバー接合材2104の強度が低下することになる。シース壁2008を折り畳むのに有益な圧力は約1気圧から約20気圧の範囲であり、望ましくは約2気圧から約10気圧の範囲である。
【0126】
図25Aは、再折り畳み可能な挿入器2500の、一部を割愛した縦断面図であり、再折り畳み可能な挿入器2500は、シース壁2008と外側加圧カバー2512の間に挟まれた遠位の折り畳みバルーン接合材2518と圧力室2516をさらに含む、膨張させられていないサイド折り畳みバルーン2504をさらに含み、シース壁2008は完全に拡張させられている。挿入器2500は、シースハブ2002と、シース中央管腔2010と、折り畳みポート2004と、近位の拡張不能領域2510と、遷移ゾーン2502をも含んでいる。
【0127】
図25Aを参照すると、シース中央管腔2010は、カテーテル、心臓弁、ステント移植、など、のような器具の、管腔を通っての挿入および取り外しに適した、完全に拡張させられた最大サイズ形状にあることができる。圧力室2516は、折り畳みポート2004に作動可能に、かつ流体的に接続されている。加圧カバー2516は遠位端が開くか閉じていてよい。加圧カバー2516は、シース壁2008に遠位端においてまたは全長に沿った場所において結合されて、シース壁2008とサイド折り畳みバルーン2504が空にされるときに大きさを小さくするのを容易にすることができる。
【0128】
図25Bは、
図25Aの再折り畳み可能な挿入器2500の、一部を割愛した縦断面図であり、サイド折り畳みバルーン2504は、拡張され、かつ加圧された状態にある。挿入器2500は、シース壁2008と外側加圧カバー2512の間に挟まれた遠位の折り畳みバルーン接合材2518と圧力室2516をさらに含む、膨張させられたサイド折り畳みバルーン2504を含み、シース壁2008は今や遷移ゾーン2502に対して遠位の領域内で折り畳まれている。
【0129】
図25Bを参照すると、サイドバルーン2504の拡張は、シース壁2008を、外側加圧カバー2512から遠ざかるように折り畳み、縮ませることができる。近位の拡張不能領域2510は折り畳み可能でなくてもよく、圧力室2516内に圧力を加えたとき変形しない。サイドバルーン2504は、シース2500が折り畳み可能、すなわち、遷移ゾーン2503に対して遠位である領域内にのみ配置される必要がある。サイドバルーン2504は管または環帯で折り畳みポート2004に作動可能に接続することができ、またはサイドバルーン2504は近位のサイドバルーン接合材2520にまで延びていてよい。
図20に示されているものよりはむしろこの種の折り畳み機構の利点は、シース壁2008が、より平らな形状ではなく、より小さな全体断面外形を有する「U」字形に圧縮されることである。
【0130】
図25Cは、
図25Bの再折り畳み可能な挿入器2500の縦断面図で、サイドバルーン2504が空にされて、サイドバルーン2504の外部と加圧カバー2512に、折り畳まれたシース壁2008に向かって引き下ろされ、患者の血管系から取り外すのに適した薄型シースを形成している。挿入器2500は、シース壁2008と外側加圧カバー2512の間に挟まれた遠位の折り畳みバルーン接合材2518と圧力室2516をさらに含む、膨張させられたサイド折り畳みバルーン2504を含み、シース壁2008は今や遷移ゾーン2502に遠位の領域内で折り畳まれている。
【0131】
図26Aは、再折り畳み可能な挿入器2600の縦断面図であり、サイド折り畳みバルーン2504は、遠位端に溶接や接合材なしに連続して形成することができる。挿入器2600はシースハブと、膨張させられていないサイド折り畳みバルーン2504を含んでいる。サイド折り畳みバルーン2504は、シース壁2008と外側加圧カバー2512の間に挟まれることができる、遠位折り畳みバルーンの閉じた端2602と、圧力室2516を含み、シース壁2008は完全に拡張させられている。挿入器2600は、シースハブ2002と、シース中央管腔2010と、折り畳みポート2004も含んでいる。
【0132】
図26Aを参照すると、図示された実施形態は、
図25Aから
図25Cに示されたものと類似しているが、サイド折り畳みバルーン2504は、遠位端に溶接部または接合部を有するのではなく、閉じた遠位端2602を有することができる。サイド折り畳みバルーン2504は、実質的にシース管壁2008の遠位端とともに、またはこれを越えて延びていてよい。この種の閉じた遠位端2602は、遠位端に閉じてよい鋼片、または予備成形物を拡張するためにストレッチブロー成形法を用いて作ることができる。
【0133】
図26Bは、再折り畳み可能な挿入器2650の縦断面図で、サイド折り畳みバルーン2612がシース壁2008の拡張可能部分の2倍の長さであり、かつシースの軸から半径方向に遠ざかるように積層された二重バルーン2612を形成する折り畳み2606をシースの遠位端に含むことができる。二重バルーン2612は、近位端においてシース管2008またはシースハブ2002に結合することができる。二重バルーン2612の2つの近位端の1つは、流体が漏れないように封止体2614で閉じられてよく、他の近位端の封止体2514は、接着溶着、加熱溶着、超音波溶接、などによって折り畳みポート2004に結合され、かつ作動可能に接続することができる。折り畳みポート2004を通って注入され、または排出された流体は二重圧力室2604に入り、または二重圧力室2604から出ることができる。加圧カバーはシース壁2008と二重バルーン2612を取り囲み、接着剤、機械的固着、などを用いて使いやすい構造に結合することができる。二重バルーンの拡張はシース壁2008を圧縮し、そして有益なことに、折り畳まれたシース壁2008のより正確な形状の制御を可能に、かつ
図25A‐25Cの折り畳みサイドバルーン2504の遠位端にある封止材を除去することができる。
【0134】
図27Aは、完全に拡張させられた、
図20に示されたシース2000の遠位の折り畳み可能端の断面端面図である。シースは、シース壁2008と、外側加圧カバー2012と、圧力室2016と、展性のある補強体2106と、シース中央管腔2010を含んでいる。
【0135】
図27Bは、
図27Aのシース2000の遠位の折り畳み可能な端の断面側面図であり、外側圧力室2012とシース壁2008の間の圧力室、すなわち圧力領域2016がシース壁2008と展性のある補強体2106を折り畳むように加圧されている。断面の形状は、
図27Aの拡張されられたシースよりも横寸法が大きいが、血管(不図示)と低い全体接触を有することができる、平らにされた湾曲構造であってよい。中央シース管腔2010は変形させ、折り畳むことができる。
【0136】
図27Cは、
図27Aと
図27Bのシースの遠位の折り畳み可能な端の断面端面図であり、外側加圧カバー2012とシース壁2008の間の圧力室、すなわち圧力領域2016が、外側加圧カバー2012と残りのシース外側を折り畳むように空にされている。
【0137】
図28Aは、シース壁2008と、圧力室2516をさらに含むサードバルーン2504と、中央管腔2010と、外側加圧カバー2512を含むことができる、完全に拡張させられたシース2500の遠位の折り畳み可能な端の断面端面図である。シース壁2008は完全に拡張させられて、最大サイズのシース中央管腔2010を示している。加圧カバー2512と一方の側のシース壁2008に挟まれたサイド管腔2504は、折り畳まれて、最小の圧力室2516を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つのサイドバルーン2504が用いられてよい。いくつかの実施形態では、最大で4つのサイドバルーン2504またはそれよりも多いサイドバルーン2504が用いられてよい。
【0138】
図28Bは、
図28Aのシース2500の遠位の、折り畳み可能な端の断面端面であり、サイドバルーン2504の圧力室2516は加圧され、シース壁2008を加圧カバー2512から遠ざかり、
図28Aに示されているものよりも小さい断面領域を有する、弓形の、すなわち「U」字形に折り畳むように拡張させられている。
【0139】
図28Cは、
図28Aと28Bのシース2500の遠位の折り畳み可能な端の断面端面図であり、サイドバルーン2504内の圧力室2516が空にされて、シース壁2008に対して折り畳まれている。加圧カバー2512は大きく維持でき、加圧カバー2512とシース壁2008の間の領域2802は大きく維持できる。いくつかの実施形態では、接着剤、溶接、留め具、などが、加圧カバー2512をシース壁2008に隣接したままにするのに使用することができる。
【0140】
図28Dは、
図28Cのシース2500の遠位の折り畳み可能な端の横断面端面図であり、サイドバルーン2504と加圧カバー2512の間の領域2802が空にされており、加圧カバー2512をサイドバルーン2504に対して折り畳ませ、したがってシステムの外形を最小にする。
【0141】
図29は、シースハブ2002と、カテーテルまたは機器の、内部構成部品を通っての挿入の間およびそれに続けて止血をもたらすことができる内部構成部品の一部を割愛した側面図である。シースハブ2002は、ハブ空洞2902と、ハブキャップ2914と、薄いスペーサ2912と、複数のピンホール弁2910と、広いスペーサ2908と、ピンホールスリット板2904と、十字スリット弁2906を含むことができる。
【0142】
図29を参照すると、シースハブ2002は、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ABS、など、のような、しかしそれらに限定されない、かなり硬い材料から作ることができる。ピンホール弁2910、十字スリット弁2906、そしてピンホールスリット板2904は、シリコンエラストマ、ラテックス、ポリエステルエラストマ、ナイロンエラストマ、ポリウレタンエラストマ、など、のような、しかしそれらに限定されない、エラストマポリマーから作ることができる。エラストマの硬さの範囲は約10Aと65Aの間であり、望ましい範囲は30Aと50Aの間である。いくつかの実施形態では、ピンホール弁2901は、広いスペーサ2908によってピンホールスリット板2904から分離することができる。薄いスペーサ2912は、ハブキャップ2914がシースハブ2002の近位端において所定の位置にねじ込まれたとき、エラストマのピンホール弁2910が変形するのを防ぐワッシャとして働くことができる。
【0143】
十字スリット弁2906は、何もシステムに挿入されていないときに、組織的な動脈圧において血液が漏れないようにシステムを閉鎖する働きをすることができる。ピンホールスリット弁または板2904は、大きなカテーテル(最大で26フレンチまたはそれよりも大きい)の取り外しに続いて、約0.010インチから0.040インチの直径を有するガイドワイヤに対して閉じてこれのために止血をすることができる。ピンホール弁29010は、カテーテルがシステムに挿入されるまえに、血液が漏出しないように密封する。ピンホール弁2910は、約0.010から約0.030インチの直径、望ましくは0.018インチから0.025インチの直径を有する中央孔を含むことができる。ピンホール弁2910は、ガイドワイヤ(不図示)を、それがピンホールスリット板2904の中心にある孔内に正しく整列した状態になるように、中心に置く働きもする。ピンホールスリット弁2904のスリットは幅を有しないが、約2mmから約15mmの範囲の長さを有することができる。
【0144】
シースハブ2002の複数の内部構成部品は、各部品間に実質的に長手方向の距離がないように組み立てられて、弁封止体の安定性と制御性を最大化する。ピンホールスリット弁2904は、図示の実施形態では、中心の厚さ寸法が、ピンホールスリット弁2904の最も外側にある取り付けフランジを除いて、半径方向のより外側の位置における厚さ寸法よりも大きい二重凸中心を含むことができる。約0.020インチから0.035インチの直径を有する中心孔は、ガイドワイヤとカテーテルを、中心孔を通って挿入するのを容易にするために、近位側上の面取りを含むことができる。いくつかの実施形態では、ピンホール弁をさまざまな硬さの材料から作るのが有利である。たとえば、より遠位のピンホール弁2910は50Aの硬さを有し、近位のピンホール弁2910は35Aの硬さを有してよい。この後者の実施形態は、該弁を、35Aのピンホール弁2910のみを使用するシステムに対する弁による拡張器の長期の配置に続いては依然された封止体をもたらすことができる。
【0145】
ハブキャップ2914は、キャップ2914が、中心に向かってキャップ2914を通って挿入されたカテーテルを案内するのを助けるように遠位に延びるにつれて内側に先細になることができる中心オリフィスを含むことができる。中心孔は、あまりにも大きなカテーテルが中止孔に挿入されるのを防ぐように制限をさらにもたらすことができる。
【0146】
図30は、シースハブ2002内の構成部品の代わりの実施形態の縦断面図である。シースハブ2002は、シースハブ202の複数の壁によって形成された、軸方向に細長い内部空間であってよいハブ空洞2902を含むことができる。
図30は、ピンホール弁2910とピンホールスリット弁2904が他の弁機構に交換され得る点で
図29とは異なっている。ピンホール弁2910、そのうち2つは、単一の二重凸エラストマ弁3002と交換することができる。二重凸エラストマ弁は、中央オリフィス3004と外側フランジ3006を含むことができる。ピンホールスリット弁2904は、中央オリフィス3012と、スリット3014と、外部フランジ3016をさらに含む、円錐形の先細の弁3010と置き換えることができる。両弁3002と3010は、
図29のエラストマ弁をつくるのに使用される材料と同じ材料から作ることができる。二重凸エラストマ弁オリフィス3004は、約0.010インチから0.035インチの直径を有することができる。円錐弁3010は、二重凸弁3002の直径と同様の直径の中央孔3012を含む。これらの弁は、カテーテルを、先細を貫通して案内する先細と、中央オリフィスの大きさを制御するかなりの材料質量を備えることができる。構成部品3002と3010は、弁体2002内に、それらの間に軸方向の空きが少しあるか全くないようにきつく重ねあわされている。二重凸弁3002または円錐ピンホールスリット弁3010の使用は、シースハブの機能を最大にするために互に交換され、または混合されてよい。
【0147】
本発明の特定の目的と利点を、本発明と、従来技術に対して達成される利点を説明する目的で上に述べたことに留意されるべきである。勿論、必ずしもすべてのそのような目的と利点が、本発明の特定の実施形態にしたがって達成されるものではないことが理解されるべきである。したがって、たとえば、当業者は、ここで教示された1つの利点または一群の利点を、ここで教示され、または示唆された他の目的または利点を必ずしも達成することなく、達成し、または最適化する方法で本発明を具体化し、実施してもよいことを理解するであろう。
【0148】
さらに、本発明を、特定の好適な実施形態と例との関連で開示したが、当業者は、本発明が、具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替の実施形態と、本発明の使用、自明の修正、そしてその等化物の少なくとも1つに拡張することが当業者によって理解されるであろう。さらに、本発明のいくつかの変形例を図示し、詳細に説明したが、本発明の範囲にある他の修正例は、この開示に基づいて当業者に容易に明らかとなるであろう。たとえば、実施形態の特定の特徴および態様のさまざまな組み合わせまたは副組み合わせがなされ、かつ依然として本発明の範囲にあることが考えられうる。したがって、開示された実施形態のさまざまな特徴および態様は、開示された発明のさまざまなモードを形成するために、互いに組み合わされ、置換され得ることが理解されるべきである。したがって、ここに開示された本発明の範囲は、上記の開示された特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲を正しく読むことによってのみ決定されるべきであることが意図されている。