(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記研磨剤は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、酸化チタン、ガラス、生体適合性ガラス、ダイヤモンド、炭化ケイ素、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、金属粉、金属線、炭素繊維複合材、ポリマー、ポリマー複合材、チタニウム、ステンレス鋼、硬化鋼、及びクロム合金から選ばれることを特徴とす請求項1乃至25の何れかに記載の方法。
前記ポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレンテプタレート、PLLA‐ポリグリコール酸(PGA)共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリ‐(ヒドロキシ酪酸塩/ヒドロキシ吉草酸塩)共重合体、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(2−メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(エーテルウレタン尿素)、シリコーン、アクリル、エポキシド、ポリエステル、ウレタン、パーレン、ポリホスファゼンのポリマー、フッ素ポリマー、ポリアミド、ポリオレフィン、及びこれらの混合物及び共重合体から選ばれることを特徴とする請求項32に記載の方法。
前記バイオポリマーは、多糖類、ゼラチン、コラーゲン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、アルギン酸、カラギーナン、コンドロイチン、ペクチン、キトサン、及びそれらの誘導体、混合物、共重合体から選ばれることを特徴とする請求項32に記載の方法。
前記治療薬は、抗癌剤、抗炎症薬、免疫抑制剤、抗生物質、ヘパリン、機能タンパク質、調節タンパク質、構造タンパク質、オリゴペプチド、抗原ペプチド、核酸、免疫原、及びそれらの組合せから選ばれることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
研磨性物質(abrasive materials)というものを金属表面に吹き付ける工程は、近年その技術的な応用方法が増加している。このような表面処理技術に含まれるものは、グリットブラスト加工、ショットブラスト加工、サンドブラスト加工、ショットピーニング、及びマイクロアブレージョン(microabrasion)のような工程がある。各技術は、一般的に、ショット(shot)又はグリット(grit)である研磨性物質を流動体と混合し、処理される表面に衝突するように高速で供給される。研磨製物質を供給する方法は、研磨製物質を供給するために使われる流動体(一般的には水又は空気)の選択によって湿式又は乾式に分類される。“研磨性吹き付け”という総称は本明細書においてそのような全ての技術を意味するために使用される。
【0004】
これらの技術の応用は、金属の切断、金属に望ましいひずみ特性を誘発させるための金属表面の冷間加工、及び追加的なコーティング材料の付着を強化するために望ましい表面質感(表面粗度)を誘発させる前処理を含む(非特許文献1〜3参照)。後者の例は生物医学分野で見られ、アルミナ又はシリカを用いてチタン性インプラントをグリットブラスト加工し、そのインプラント表面にプラズマスプレーされるヒドロキシアパタイト(HA)のコーティングの付着に最適な表面粗度を達成する。HAでコーティングされたインプラントが好まれる理由は、アパタイト層の生体模倣特性だけでなく、アパタイト層とチタン表面との最適結合強度も含む。
【0005】
これらの金属表面に研磨性物質を吹き付ける際に、研磨性物質が金属表面自体に浸透することが知られており、この技術は表面における化学的性質を変化させる一般的な方法の候補として関心を集めた(非特許文献2及び3参照)。生物医学分野におけるもう1つの研究では、ショットブラスト加工を、チタン表面に直接HA層を付着させる方法として検討しており、高額なプラズマスプレー工程を回避することを試みている(非特許文献4)。この研究では、粒径分布が特定されていないHA粒子を研磨剤として用いている。しかし、堆積されたHA層が緩やかな洗浄方法によって簡単に除去され得ることを考えると、金属表面との強い結合は達成できなかったと思われる。
【0006】
チョイ等による特許文献1は、グリットブラスト加工を用いてグリットを歯科インプラントの表面に埋め込むために1つのリン酸カルシウム粒子を使用することを記載しているが、190μm以上の粒子を開示している。
【0007】
特許文献2は、水を流動体媒体に用いて、焼結したHAを研磨剤として使用することを記載している。この場合は、HAが熱処理されているため、ある程度のHAの埋め込みは達成できている。
【0008】
ミュラー等による特許文献3は、ガラス状マトリックスに含まれたリン酸カルシウムを含むブラスト加工用粒子を記載している。他の文献では(例えば特許文献4及び5)、通常ポリマーの成分を含むリン酸カルシウムのマイクロスフェアを製造する方法、及び同じものを製造するための複雑な方法を記載しているが、それらのブラスト加工の媒体としての効能は解明されていない。
【0009】
金属表面及びその他の表面のケイ化処理(silicization)のためのロカテック(Rocatec(登録商標))システムも、複数の要素を持つ個体の粒子を使用する。この技術は歯科分野において広範囲に使用される。この場合、シリカの外側付着層を持つアルミナ粒子を、予め粗面化された表面に送り、その際の衝突から生じる熱は、衝突場所の周辺において粉砕したシリカ外側付着層を該表面に融合させる。この工程をセラミック化処理(ceramicization)と呼ぶ。
【0010】
ブルーマグニエズ等による特許文献6には、表面加工を行うブラスト研磨吹き付け技術に使用される研磨剤として、複数の層を持つ硬質の研磨製物質を記載している。この場合、加工工程の目的は、研磨製物質を囲む複数の層を、加工される表面に埋め込む又は付着させることである。外側はすくなくとも1つのポリマーを含み、好ましいコアセラミックの素材は酸化物、炭化物、窒化物、又は炭窒化物である。
【0011】
複数のポリマー層を用いることは既に提案されている。ラング等による特許文献7はコアの基本素材と、二酸化チタンの外側粘着性層を含むブラスト加工用の粒子を記載している。
【0012】
表面加工のための研磨製吹き付けの応用は生物医学の分野で見ることができ、例えばレーザー加工された冠状動脈のステントの支柱から酸化物のスラグ(slag)を洗浄するためのマイクロアブレージョンの使用、および装置に追加的なポリマーのコーティングを付着させるためにペースメーカ及び除細動器の表面にシリカを埋め込むためのマイクロアブレージョンの使用がある。
【0013】
これらの例の共通点は、流動体に1種類の固体粒子を使用することである。
【0014】
生物医学用具に関連する表面変化処理技術に集まる関心は、薬剤溶離ステント(DES)の成功によって加速された。1990年代の血管内技術の導入を基点に、血管再開通術の方法は最近数年の間劇的に変化している。しかし、ステント内再狭窄(ISR)は依然として問題であり、ステントのある場所の血管内面の破裂は、血小板の活性化、炎症媒介物の分泌、そして平滑筋細胞(Smooth muscle cells)の形成をもたらし得、傷口の傷跡形成と類似した過程である。更に、ステントは血液にも接しているため、組織及び血液細胞において異物反応(FBR)を起こしてはいけない(即ち生体適合性のものである必要がある)。DESは表面変化技術を用いてこれらの問題に対応しており、該表面変化技術はステントの表面を用いて、ポリマーのマトリックスの中に含まれる有効成分(抗再狭窄及び抗血栓剤)を、最も必要とされる装置部分に局所的に供給する。この技術はコーディス社(Cordis)によって開発され、その商品であるサイファー(Cypher)ステントは2003年にFDAからの許可を得ている。それからいくつかのDESが市場に販売され、経皮冠動脈インターベンション(PCI)手術を受けた患者らにおけるISR及び血栓症を低減することを試みている。これらの全ての活性用具は、薬剤をステントの表面に保持し、インビボにおける溶離性質を調整するために、ポリマーのマトリックスを使用している。
【0015】
しかし、いくつかの要因によるDESに関する問題が現れており、その中のひとつは薬物の溶離性質の適切な調整である。ポリマーのマトリックス(薬剤及びポリマー分解産物を放出するために経時的に分解される)は、過敏性患者における問題の原因であり得ることが分かった。従って、薬剤の供給及び溶離を調整する新たな方法を開発するための努力が続いている。
【0016】
ステント分野における先行技術の大部分は、ISRを調停するためにステント表面に不活性コーティングを施すことに向けられていた。これらは、窒化及び炭窒化、炭素コーティング及び炭化ケイ素コーティングの使用、ならびにをステント材料表面の自然酸化物層を厚くするような工程(酸化、イオンの埋め込み、不活性金属を用いる電解研磨及び電気メッキのような電気化学的処理など)を含む。しかし、このような工程の全てはいくつかの不利点を持っており、その中のどれも最適な臨床的効果をもたらす理想的な表面を提供することはできない。
【0017】
関連するもう1つの別の分野は、植え込み型装置表面におけるバイオフィルム形成に関する分野であり、該バイオフィルムとは細菌による3次元のマクロ構造である。この場合フィルムはそれ自体が、抗生物質による全身治療のような標準抗微生物治療に対する障害になり得る。細菌のバイオフィルムによる感染は、同様な懸濁されたプランクトンを殺すために必要な抗生物質濃度の1000倍まで必要になり得、そのような高い濃度の抗生物質は望ましくない深刻な副作用を発生させる場合も多い。植え込み型装置表面において局所的に薬剤を供給することは、全身治療よりはるかに低い濃度でバイオフィルムの形成を予防する、最も薬剤が必要となるインプラント表面を抗菌剤の的にする方法として言及されている。
【0018】
現在、局所的な薬剤配達を目的とする殺菌方法のほとんどは、適切な担体マトリックスに埋め込まれたポリマーのコーティング又はポリマのマイクロスフェアを、抗菌剤の担体として用いている。加えて、HAを含むリン酸カルシウム塩も、抗菌剤の担体に適切なものとして挙げられている。ナノ結晶のアパタイト層を整形外科金属インプラントの表面に堆積するために生体模倣堆積を利用し、その後、別の工程(特許文献8)で溶液から無機コーティングに沈殿物として形成された薬物を、該インプラントの表面に持たせ得る。そのような方法は、例えばインプラント表面のリン酸カルシウムによる骨の成長を誘導する骨伝導効果と、抗生物質によるバイオフィルム形成の危険性の低減という2つの利点を持っており、両方の効果とも再手術を必要とさせる大きな原因である。しかし、この方法では、適用できる抗生物質量はインプラントの表面面積によって限られる。又、セラミック層の付着は高温で行われ(例えばプラスマスプレーによるリン酸カルシウムコーティングの場合)、薬剤の付着においても、無機塩類及び抗菌剤の同時付着を排除するためにpHや他の条件を正確に保つ必要があるため、複数の工程が必要となる。このような方法もちいて金属表面に付着されることが知られている抗生物質は、ゲンタマイシン、バンコマイシンなどがある。
【0019】
インプラント表面に存在すると有益な効果を提供できる治療薬の範囲は、抗生物質又は免疫抑制剤に限られない。いくつかの研究では、埋め込み型装置の表面に他の治療薬を付着させ、望ましい効果を誘発させることに集中している。例えば、ある研究ではインプラント表面にこれらのカスケイド(cascade)に関わる機能分子を付着させることに焦点を合わせている。機能分子の例としてはホルモン、増殖成長因子、構造タンパク質、免疫原、及び抗原のようなタンパク質を含む。その結果、生物学的経路に関わるタンパク質の活性点部位(active site)と構造的に類似したペプチドやタンパク質の設計に関する研究が多く行われた。例えば、整形外科分野におけるRGDペプチドの適用、従来の抗生物質に対して高い抵抗を持つ細菌に対応する方法として抗菌ペプチドの使用などが提案されている。
【0020】
患者のニースにより適合な医療インプラントが開発されることにつれて、インプラントは、糖尿病、癌、及びインプラント自体とは直接関連しないほかの病気を治療するために治療薬を供給する方法として考えることもできる。インビボ装置(インプラント)は、その表面を利用して患者の持つほかの病気の治療に必要な治療薬を供給することができるため、複数の機能を持つことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
ある実施形態では、金属表面のような表面にドーパントを浸透させる方法が提供される。従来の浸透技術に比べ、該表面と該ドーパントとの結合強度及び該表面の上又はその中におけるドーパントの濃度の向上が可能である。本発明は、生物医学インプラントの表面において科学的、物理的、及び生物学的に好ましい性質を誘発するドーパントに係る。
【0031】
一般的にドーパントは、吹き付けられた表面に含浸するものであるが、このような吹き付け技術における固体成分がドーパントだけであると、その含浸は充分な程度までに至らない。ドーパントの材料だけを、高速流動体ジェットの中に含んで該表面に供給すると、表面含浸が得られたとしても最低限の程度にとどまる。そのような結果は、ドーパント材料の粒子が該表面に浸透するためには充分でないサイズ、密度又は硬度といった、いくつかの理由によって発生し得る。又、そのような結果は表面自体の性質によるものであり得る。
【0032】
多くの金属材料はその表面に酸化物の層を形成し、その酸化物は金属本体又は合金本体より硬い。金属表面(特にチタン及びチタン誘導合金)は空気中において、様々な汚染物質によって汚されている。金属表面における物理的及び化学的性質は、その金属表面が形成された状況によって左右される。又、金属の固有反応性によって、酸化を進める様々な環境化学物質及び汚染物質を引き付け得る。例えば、チタンは高い反応性を持つ金属であり、いくつかの異なる媒体によって簡単に酸化される。従って、チタンはいつも酸化物の層に覆われている。この酸化物層は化学的に安定しているが、酸化物層は常にその環境に存在する様々な反応物質(例えば、有機分子)と反応をし続けるため、科学的に不活性ではない。典型的には、酸化物層における全ての新たな物質は、チタン表面又は酸化物層の変性加工の副産物である。ある場合は、酸化物層における新たな物質は、その表面の最終的な機能に好ましい効果をもたらし得る。しかし、該新たな物質は、好ましくない混入物を含み得る(非特許文献5)。
【0033】
本発明は、選択された材料を意図的に該表面に付加することを目的としている。1つの実施形態では金属固有の反応性を利用して金属基板を覆う酸化物層を臨時的に除去し、新たに露出された金属を処理して新しい材料(ドーパント)を付加する。付加された材料の性質によって、金属物体の表面性質をその機能的要求に従って併せることが可能となる。
【0034】
チタン及びチタン合金は、常にその表面に酸化物の層を形成する。この酸化物層は通常不活性で非反応性であるが、チタン自体は高い反応性を持ち、大気環境に置かれるとすぐに反応し酸化物層を形成する。酸化物層の形成は、インプラント用具としては好ましい性質でもある。
【0035】
生物医学の分野におけるドーパントの例は、例えばHA,薬物溶離ポリマー、及び他の薬物供給システムを含む。又、ドーパントによって含浸される物体は、例えばチタン、鋼鉄、コバルトクロム、及びこれらの合金を含む。
【0036】
従って、本発明の1つの実施形態では、金属基板を処理する方法を提供し、その方法は、
金属表面を露出させるために、該金属基板の表面より金属酸化物を除去する工程と、
該基板の該表面にドーパントを浸透させるために、少なくとも1つの流動体ジェットからドーパントを含む粒子を該金属表面に供給する工程と、を含む。
【0037】
ある実施形態では、金属表面は空気の中で新たな酸化物層を形成できる充分な反応性を持っており、それによって金属表面層にドーパントを付加することを防ぐ。ある実施形態では、本発明は新たな金属表面が再び酸化される前にドーパントを付加することを含む。ある実施形態では、金属の酸化物表面を除去する工程は不活性雰囲気において行われる。異なる実施形態では、該除去はドーパントの供給とほぼ同時に行われ、その結果ドーパントの供給以前には金属表面は実施的に酸化されていない。
【0038】
金属の酸化物層は様々な技術を用いて除去できる。ある実施形態では、除去工程は金属酸化物層を研磨ブラスト加工することを含む。研磨ブラスト加工工程自体も様々な方法で行われ得、例えば下記に詳細に記載されるグリットブラスト加工、マイクロブラスト加工、ウォータージェットブラスト加工及びショットピーニングや、この分野における他の研磨性吹き付け工程を含む。ある実施形態では、研磨ブラスト工程は、ドーパントを含む粒子の供給とほぼ同時に行われ、例えば酸化物を研磨ブラスト加工して新たな金属表面を露出させる1つの粒子のストリーム(stream)と、該新たな金属表面にドーパントを吹き付けるもう1つの粒子のストリームを、金属酸化物の表面に向け得る。
【0039】
異なる実施形態では、除去工程は、ドリル加工、切断、成形、フライス加工、マイクロマシニング、スクラッチング、研削、磨き、及び研磨の少なくとも1つの工程から選ばれる。異なる実施形態では、除去工程は、酸エッチング、アルカリエッチング、及び過酸化水素処理の少なくとも1つの工程から選ばれる。更に異なる実施形態では除去工程は、切除、マーキング/エッチング、溶接、切断、被覆から選ばれたレーザー処理を含む。異なる実施形態では、除去工程は、エッチングと洗浄とから選ばれたプラズマ処理工程を含む。
【0040】
上記のように、ここに説明される特定の実施形態では、除去工程は、処理工程(例えば、金属表面を高酸素環境に戻す前にその表面に新たな材料を付加する工程)を行うために充分な時間だけ新たな金属表面を露出させるために、不活性雰囲気において行われ得る。高酸素環境に戻されると、酸化物層は再生され得るが、その下に付加、封入されたドーパントによる影響を受け、またはそのドーパントによって変性される。
【0041】
ある実施形態では、表面にドーパントを吹き付ける工程の前又はそれとほぼ同時に酸化物層を除去するための装置は、流動体ジェットと一体化された独立ユニットとしてあり得、又は製造ラインの一部として組み込まれ得る。該装置は、患者にインプラントを埋め込む前のその表面を患者に合わせた/処方された変性加工を行うために、手術室で使用できるような手術用の無菌機械を構成するように、現場で使用し得る。治療薬の交差汚染を防止し、清掃を簡単にするために、使い捨て型のドーパント担体/フィルタのカートリッジを使用し得る。
【0042】
ドーパントを研磨剤と同時に、酸化物層表面を浸透する充分なエネルギー(充分な粒子のサイズ、密度及び硬度)を持って該表面に衝突するように配達されると、酸化物が再生する前に金属表面にドーパントが含浸できる時間が生まれる。ドーパントは、表面の酸化物層の中で強く結合され得る。従って、常温においてコスト効率の良く、好ましい効果をもたらす材料を表面に含浸させることが可能となる。更に、研磨剤衝突の場所から発生するエネルギーは、ドーパントをセラミック化又は表面に結合させるために充分であり得る。従って、ある実施形態では、物体の表面を処理する方法を提供し、該方法は、物体の表面にドーパントを浸透させるために、ドーパントを含む第1粒子セットと、研磨剤を含む第2粒子セットとを少なくとも1つの流動体ジェットから物体の表面に実質的に同時に供給する工程を含む。
【0043】
本発明のある実施形態は、選択された材料(以下ドーパントと呼ぶ)と選択された研磨剤(ショット又はグリット)との混合物を、従来の研磨性吹き付け技術を用いて金属表面に吹き付けることによってドーパントを金属表面に含浸させることに係る。該研磨剤は、表面に充分な力を持って衝突して酸化物層を浸透又は変形することによって、ドーパントが該表面に吸収、又はその表面の中或いは上に組み込まれ得る機会を生み出す。
【0044】
本発明の実施形態は
図1に示された概略図に網羅されているが、本発明はこれに限られるものではない。
図1(左)は、一組の研磨性粒子4及び一組のドーパント粒子6を含むストリーム3を同時に供給する流動体ジェット(ノズル)2の概略を示している。粒子4及び6は、基板8の表面10に吹き付けられる。ある実施形態では基板8は金属基板であり、表面10は金属酸化物層である。研磨性粒子4による吹き付けによって、表面の酸化物層は破裂し、酸化物層10上に裂け目を通して基板8の新たな表面10aが露出される(中央)。金属基板の場合は、この新たに露された表面は金属表面である。粒子のストリーム3が基板8に衝突し続けると、ドーパント粒子6(右)は基板8の表面10の中に一体化される。基板が金属である場合は、ドーパント粒子6の周辺に新たな酸化物層10が形成される。
【0045】
特定の実施形態では、ドーパント材料は、組織とインプラントとの相互作用を操作、改善させるために、インプラントの表面において好ましい効果をもたらすドーパント素材を含むが、これらに限るものではない。ドーパントは、ポリマー、金属、セラミック(例えば金属酸化物、金属窒化物)、及びそれらの組合せ(例えばこれらの2つ以上の混合物)の材料を含み得る。
【0046】
例示的なドーパントは、Ca
5(PO
4)
3OH、CaHPO
4・2H
2O、CaHPO
4、Ca
8H
2(PO
4)
6・5H
2O、α‐Ca
3(PO
4)
2、β‐Ca
3(PO
4)
2を含むリン酸カルシウム、又は炭酸アニオン、塩素アニオン、フッ素アニオン、ケイ酸アニオン、アルミン酸アニオン、陽子、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、マグネシウムカチオン、バリウムカチオン又はストロンチウムカチオンを含む如何なるリン酸カルシウムを含む。
【0047】
他の例示的なドーパントはチタニア(TiO
2)、ジルコニア、HA、シリカ、炭素、及びキトサン(chitosan)/キチン(chitin)を含む。
【0048】
ある実施形態では、ドーパントは薬を運ぶ媒体と少なくとも1つの治療薬(生分子及び生物製剤を含む)の組合せである。抗生物質、免疫抑制剤、抗原ペプチド、抗菌ペプチド、構造タンパク質及び機能タンパク質を含む治療薬の担体になり得るものは、特許文献12に記載されている。薬の担体としてリン酸カルシウムを用いることも可能である(特許文献13、14及び15を参照。これらの文献の内容は参照として組み込まれる。)。治療薬を運ぶことができる媒体は、治療薬、生分子、生物製剤を運ぶことができる、HA,シリカ、炭素、及びチタニア(TiO
2)素材のナノ細孔性材料、メソ細孔性材料、ナノチューブ、微小粒子を含む。微粒子及び粉(例えばチタニア粉)は、治療薬、生分子、生物製剤に粘着結合又は共有結合できる(繋げられる)。
【0049】
媒体と担体の合成物(例えば、一緒に焼結されたもの)及び担体の組合せは、薬物及び生物製剤を運ぶことができ、その溶離プロフィールを制御することができる。
【0050】
他の例示的なドーパントは、チタン酸バリウム、ケイ素化(siliceacous)ゼオライト、及び、リン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭酸カルシウム、ゼオライト(アルミノケイ酸塩)、生体適合性ガラス、リン酸カルシウムガラスから少なくとも1の成分を含むゼオライト等を含む。ドーパントは更に、上皮細胞増殖因子(epidermal growth factors)、形質転換成長因子(transforming growth factor)α、形質転換成長因子β、ワクチニア成長因子(vaccinia growth factors)、線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factors)、インスリン様成長因子(insulin−like growth factors)、血小板由来増殖因子(platelet derived growth factors)軟骨由来増殖因子(cartilage derived growth factors)、インターロイキン−2、神経細胞成長因子(nerve cell growth factors)、造血細胞成長因子(hemopoietic cell growth factors),リンパ球成長因子(lymphocyte growth factors)、骨形成タンパク質(bone morphogenetic proteins)、骨形成因子(osteogenic factors)、軟骨形成因子(chondrogenic factors)であり得る。
【0051】
ある実施形態では、ドーパントはチタン表面に堆積されるHAである。HAとTiO
2は何れも優れた生体適合性を持つバイオインタフェース(biointerface)の構成要素となる。そして何れも、特定の組織、特に骨組織において特有の効果を誘発できるため生物反応性(bioreactive)であるといえる。チタンにマイクロブラスト加工を用いてHAを堆積させた結果として生じる表面は、両方の素材の利点を持っている。TiO
2はドーパント(HA)によって完全に覆われていないため、生物的な組織に接し、表面の上及び中に固定されたHAは堆積工程において変性されていないため、その利点を完全に周囲の組織に供給する。このように、両方の素材の異なる利点をバイオインタフェースに適用し、インプラントの用途に適した表面質感及び形態、更には薬物の供給手段と組み合わせることで、エンドユーザである患者にあった治療、成分及び形態のプロフィールをあつらえるための様々な方法を提供し得る。
【0052】
ある実施形態では、ドーパントは治療薬である。治療薬は、粒子自体として供給でき、又は担体材料に固定されて供給できる。例示的な担体材料はここに述べられた他のドーパント(治療薬ではないドーパント)を含み、例えばポリマ、リン酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ、バイオポリマー、生体適合性ガラス、ゼオライト、脱塩骨、脱タンパク骨、同種移植骨、及びそれらの複合的組合せを含む。
【0053】
例示的な治療薬の種類は抗癌剤、抗炎症薬、免疫抑制剤、抗生物質、ヘパリン、機能タンパク質、調節タンパク質、構造タンパク質、オリゴペプチド、抗原ペプチド、核酸、免疫原、及びそれらの組合せを含む。
【0054】
ある実施形態では、治療薬は、抗血栓剤、抗凝血剤、抗血小板薬、血栓溶解剤、抗増殖性物質、抗炎症剤、抗有糸分裂剤、抗菌剤、再狭窄を抑制する物質、平滑筋細胞抑制剤、抗生物質、線維素溶解薬、及び抗抗原剤(anti−antigenic agent)から選ばれる。
【0055】
例示的な抗癌剤は、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール、アクロナイシン、アドゼレシン、アラノシン、アルデスロイキン、アロプリノール・ナトリウム、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アモナフィド、アンプリジェン、アムサクリン、アンドロゲン、アングイジン、グリシン酸アフィディコリン、アサレイ、アスパラギナーゼ、5−アザシチジン、アザチオプリン、カルメット・ゲラン菌(BCG)、ベイカーのアンチフォル(可溶性)、β−2'−デオキシチオグアノシン、塩酸ビスアントレン、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、ブチオニンスルフォキシミン、BWA 773U82,BW 502U83.HCl,メシル酸BW 7U85、セラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロキノキサリン−スルホンアミド、クロロゾトシン、クロモマイシンA3、シスプラチン、クラドリビン、コルチコステロイド、コリネバクテリリウム・パルバム、CPT−11、クリスナトール、サイクロシチジン、シクロホスファミド、シタラビン、シテムベナ、ダビスマレアート、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デアザウリジン、デクスラゾキサン、ジアンヒドロガラクチトール、ジアジクオン、ジブロモズルシトール、ジデムニンB、ジエチルジチオカルバマート、ジグリコアルデヒド、ジヒドロ‐5‐アザシチジン、ドキソルビシン、エキノマイシン、エダトレキサート、エデルフォシン、エフロルニチン、エリオットの溶液、エルサミトルシン、エピルビシン、エソルビシン、エストラムスチンホスファート、エストロゲン、エタニダゾール、エチオホス、エトポシド、ファドラゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボン酢酸、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、5−フルオロウラシル、フルオゾール(登録商標)、フルタミド、硝酸ガリウム、ゲムシタビン、酢酸ゴセレリン、ヘプスルファム、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ホモハリングトニン、硫酸ヒドラジン、4−ヒドロキシアンドロステンジオン、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン−1αおよびインターロイキン−1β、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−6、4−イポメアノール、イプロプラチン、イソトレチノイン、ロイコボリンカルシウム、酢酸ロイプロリド、レバミソール、リポゾーマル・ダウノルビシン、リポソームカプセル化ドキソルビシン、ロムスチン、ロニダミン、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、メルファラン、メノガリル、メルバロン、6−メルカプトプリン、メスナ、カルメット・ゲラン菌のメタノール抽出残渣、メトトレキサート、N−メチルホルムアミド、ミフェプリストン、ミトグアゾン、マイトマイシン−C、ミトタン、塩酸ミトキサントロン、単球/マクロファージ・コロニー刺激因子、ナビロン、ナホキシジン、ネオカルチノスタチン、酢酸オクトレオチド、オルマプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パーラ、ペントスタチン、ピペラジンジオン、ピポブロマン、ピラルビシン、ピリトレキシム、塩酸ピロキサントロン、PIXY-321、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、プロゲスチン、ピラゾフリン、ラゾキサン、サルグラモスチム、セムスチン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、スラミン・ナトリウム、タモキシフェン、タキソテール、テガフル、テニポシド、テレフタルアミジン、テロキシロン、チオグアニン、チオテパ、チミジン・インジェクション、チアゾフリン、トポテカン、トレミフェン、トレチノイン、塩酸トリフルオペラジン、トリフルリジン、トリメトレキサート、腫瘍壊死因子、ウラシル・マスタード、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンゾリジン、ヨシ−864、ゾルビシン、及びそれらの混合物を含む。
【0056】
例示的な治療薬は、ウイルス抗原、細菌性抗原、真菌抗原、寄生虫抗原、腫瘍抗原、腫瘍抗原のペプチド断片、転移特異的抗原、能動又は受動ワクチン、合成ワクチン、又はサブユニット・ワクチンを含む。
【0057】
ドーパントは、酵素、抗原、成長因子、ホルモン、サイトカイン、又は細胞表面タンパク質を含むタンパク質であり得る。
【0058】
ドーパントは、抗腫瘍薬、抗菌剤、駆虫剤、抗真菌薬、鎮痛剤、抗炎症薬、化学療法薬、抗生物質、及びそれらの組合せであり得る。
【0059】
ドーパントは、成長因子、ホルモン、抗原、タンパク質、又は薬物送達システムの一部である医薬品(例えばゼオライト、ポリマーのマトリックス、生体適合性ガラス、又はサンゴ状のHA、脱塩骨、脱タンパク骨、同種移植骨、コラーゲン又はキチンのような天然多孔性テンプレート等、に固定された医薬品)であり得る。
【0060】
ある実施形態では、ドーパントは、非ステロイド性抗炎症薬、COX−2阻害剤、グルココルチコイド、及びそれらの混合物から選ばれる抗炎症薬である。例示的な非ステロイド性抗炎症薬は、アスピリン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、テノキシカム、トルメチン、ケトロラク、オキサプロシン、メフェナム酸、フェノプロフェン、ナブメトン、アセトアミノフェン、及びそれらの混合物を含む。例示的なCOX−2阻害剤は、ニメスリド、NS−398、フロスリド、L−745337、セレコキシブ、ロフェコキシブ、SC−57666、DuP−697、パレコキシブナトリウム、JTE−522、バルデコキシブ、SC−58125、エトリコキシブ、RS−57067、L−748780、L−761066、APHS、エトドラク、メロキシカム、S−2474、及びそれらの混合物を含む。例示的なグルココルチコイドは、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メプレドニゾン、トリアムシノロン、パラメタゾン、フルプレドニソロン、ベータメタゾン、デキサメタゾン、フルドロコルチゾン、デゾキシコルチコステロン、及びそれらの混合物を含む。
【0061】
他の例示的な治療薬は、一般的な細胞周期阻害剤、アポトーシス誘導剤、ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビン)、パクリタクセル、コルヒシン、エピジポドフィロトキシン(例えば、エトポシド、テニポシド)、酵素(例えば、エル・アスパラギンを全体的に代謝し、自らアスパラギンを合成する能力を持たない細胞に与えない効果をもたらすエル・アスパラギナーゼ)、G(GP)II
b/III
a阻害剤、GP−II
a阻害剤及びビロトネクチン受容体拮抗薬のような抗血小板薬;ナイトロジェン・マスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド及びその類似物、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミン、メチルメラミン(ヘキサメチルメラミン及びチオテパ)、スルホン酸アルキル‐ブスルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)及び類似物、ストレプトゾシン)、トリアゼン‐‐ダカルバジン(DTIC)のような抗増殖性物質及び抗有糸分裂性のアルキル化剤;葉酸類似物(メトトレキサート)、ピリミジン類似体(フルオロウラシル、フロクスウリジン、シタラビン)、プリン類似物及び類似する阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペンとスタチン、及び2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン))のような抗増殖性物質及び抗有糸分裂性の代謝拮抗物質;白金配位錯体(Platinum Coordination Complex)(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン(例えばエストロゲン);抗凝血剤(へパリン、合成へパリン塩、及び他のトロンビン阻害剤);線維素溶解薬(例えば組織プラスミノゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ(abciximab);抗遊走剤(antimigratory);抗分泌剤(ブレベルジン);副腎皮質ステロイド類(コルチソル、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、およびデキサメタゾン)、非ステロイド系薬剤(サリチル酸誘導体、すなわち、アスピリン)、パラ−アミノフェノール誘導体(すなわち、アセトアミノフェン)、インドールおよびインデン酢酸類(インドメタシン、スリンダク、およびエトダラク)、ヘテロアリール酢酸類(トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラク)、アリールプロピオン酸類(イブプロフェンおよびその誘導体)、アントラニル酸類(メフェナム酸、およびメクロフェナム酸)、エノール酸類(ピロクシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))、ナブメトン(nabumetone)、金化合物(オーラノフィン、金チオグルコース、金ナトリウム・チオマレエート);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(tacrolimus)(FK−506)、シロリムス(sirolimus)(ラパマイシン)、アザチオプリン、マイコフェノレート・モフェチル(mycophenolate mofetil));抗原:脈管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF);アンジオテンシン受容体遮断薬;一酸化窒素ドナー;アンチ−センス・オリゴ・ヌクレオチド類およびこれらの組み合わせ物;細胞周期阻害剤、mTOR阻害剤、成長因子受容体のシグナル伝達キナーゼ阻害剤;レチノイド;サイクリン/CDK阻害剤;HMGコエンザイムレダクターゼ阻害剤(スタチン類);及びプロティアーゼ阻害剤(マトリックスプロティアーゼ阻害剤)を含む。
【0062】
ある実施形態では、ドーパントは、トブラマイシン、バンコマイシン、ゲンタマイシン、アンピシリン、ペニシリン、セファロスポリンC、セファレキシン、セファクロール、セファマンドール、シプロフロキサシン、ダクチノマイシン、アクチノマイシンD,ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ペニシリン、セファロスポリン、及びキノロン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、ミトマイシン、及びそれらの混合物から選ばれる。
【0063】
ある実施形態では、ドーパントは、アルブミン、カゼイン、ゼラチン、リソソーム、フィブロネクチン、フィブリン、キトサン、ポリリシン、ポリアラニン、ポリシステイン、骨形成タンパク質(BMP)、上皮細胞増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(bFGF)、神経成長因子(NGF)、骨由来増殖因子(BDGF)、形質転換成長因子‐.ベータ.1(TGF−.ベータ.1)、形質転換成長因子‐.ベータ.(TGF−.ベータ.)、アルギニン‐グリシン‐アスパラギン酸のトリペプチド(RGD)、ビタミンD3、デキサメタゾン、ヒト成長ホルモン(hGH)、上皮細胞増殖因子、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、ワクチニア成長因子、線維芽細胞増殖因子、インスリン様成長因子、血小板由来増殖因子、軟骨由来増殖因子、インターロイキン−2、神経成長因子、造血細胞成長因子、リンパ球増殖因子、骨形成タンパク質、骨形成因子、軟骨形成因子、及びそれらの混合物から選ばれる。
【0064】
ある実施形態では、ドーパントは、組み換えへパリン、へパリン誘導体、へパリン類似物及びこれらの組合せから選ばれる。
【0065】
ある実施形態では、ドーパントは抗菌オリゴペプチドなどのオリゴペプチドである。
【0066】
ある実施形態では、ドーパントは骨伝導性物質又は骨統合性物質である。
【0067】
ある実施形態では、ドーパントは、シクロスポリン、ラパマイシン、タクロリムス(FK−506)、ゾーマックス(ZoMaxx),エベロリムス(everolimus)、エトポシド(etoposide)、ミトキサントロン、アザチオプリン、バシリキシマブ(basiliximab)、ダクリズマブ(daclizumab)、レフルノミド(leflunomide)、リンパ球免疫のグロブリン、メトトレキサート、ムロモナブ‐CD3,マイコフェノレート、及びサリドマイドなどの免疫抑制剤である。
【0068】
ある実施形態では、担体材料は、ポリウレタン、ポリエチレンテプタレート、PLLA‐ポリグリコール酸(PGA)共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン、ポリ‐(ヒドロキシ酪酸塩/ヒドロキシ吉草酸塩)共重合体、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(2−メタクリル酸ヒドロキシエチル)、ポリ(エーテルウレタン尿素)、シリコーン、アクリル、エポキシド、ポリエステル、ウレタン、パーレン、ポリホスファゼンのポリマー、フッ素ポリマー、ポリアミド、ポリオレフィンのようなポリマ、これらの混合物及び共重合体である。
【0069】
ある実施形態では、ドーパントは、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、酸化物、硫酸塩、リン酸塩などから選ばれる放射線不透性材料及びそれらの組合せである。
【0070】
担体材料は、多糖類、ゼラチン、コラーゲン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、アルギン酸、カラギーナン、コンドロイチン、ペクチン、キトサン、及びそれらの誘導体、混合物、共重合体から選ばれるバイオポリマである。
【0071】
ある実施形態では、ドーパントは、窒素、水素、アルゴン、ヘリウム、空気、エチレンオキシド、及びそれらの組合せからなどの気体の担体流動体の中に運ばれる。ある実施形態では、ドーパントは液体の担体流動体の中に運ばれる。ある実施形態では、該液体はエッチングのための液体(酸性又は塩基性)でもある。ある実施形態では、ドーパントは不活性雰囲気において供給される。
【0072】
異なる1つの実施形態は、付着のための金属表面の科学的処理に係る。金属表面における塗料及びポリマコーティングの付着に関する技術は、その技術的な重要性が増加している分野である。この技術は、好ましい科学的機能を持つ化合物で表面を含浸させる前処理を行うために使われ得る。これらの化合物は、ポリマ又はシロキサン基を持つシリカ素材を含むが、これらに限らない。
【0073】
前処理は、表面に強力に結合されたシードポリマ(seed polymer)材料の層を造るために使われ得る。追加的なポリマのコーティングは、金属表面に直接付着させるより、このシード層のに付着させることができる。
【0074】
ドーパントは1つの化合物に限らず、上記の材料の何れの組合せでも良く、更には、1つでは高速で該表面に供給されても含浸できる物理的な性質を持たない如何なる材料でも良い。
【0075】
ある実施形態では、ドーパントは、活動的でないものであれば(即ち、表面と化学反応を起こさない)、どんな材料でもよい。研磨剤によって表面が露出されたときに、該表面に付いており、その周辺に酸化物が再生されれば良い。
【0076】
ある実施形態では、ドーパントはナノ結晶である。
【0077】
ある実施形態では、ドーパントはナノ結晶HAである。
【0078】
ある実施形態では、研磨剤は酸化物の層を突き破るための、サイズ、形、硬度、及び密度の少なくとも1つの性質を持つ。ある実施形態では、研磨剤は、例えば1〜10又は5〜10モース硬度など、0.1から10に及ぶモース硬度を持つ。異なる実施形態では、研磨剤は、例えば1〜5000μm又は10〜1000μmの粒径など、0.1μmから10000μmまでに及ぶ粒径を持つ。
【0079】
研磨剤は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、酸化チタン、ガラス、生体適合性ガラス、ダイヤモンド、炭化ケイ素、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、金属粉、金属線、炭素繊維複合材、ポリマー、ポリマー複合材、チタニウム、ステンレス鋼、硬化鋼、炭素鋼、クロム合金、又はこれらの組合せから造られたショット又はグリットを含むが、これらに限るものではない。
【0080】
流動体の圧力も、研磨剤の衝突エネルギーを決定する1つの要素である。研磨剤とドーパントは同じジェットを用いて表面に供給される必要はない。固体の成分を該表面にほぼ同時に供給できれば(例えば、表面が金属である場合は、酸化物の層が再生する前)、いくつの個別のジェットがあっても良い。このような設計は、発明を用途によって最適化できるような柔軟性を与える。ある実施形態では、流動体ジェットは、湿式ブラスト加工装置、研磨のウォーター・ジェットピーニング装置、湿式ショットピーニング装置から選ばれる。ある実施形態では、少なくとも1つの流動体ジェットは、例えば1〜30バールの圧力又は1〜10バールの圧力など、0.5〜100バールの圧力において作動する。
【0081】
異なる実施形態では、該少なくとも1つの流動体ジェットは、乾式ショットピーニング装置、乾式ブラスト加工装置、輪形摩擦試験機、グリットブラスト加工装置、サンドブラスト加工装置、及びマイクロブラスト加工装置から選ばれる。ある実施形態では、少なくとも1つの流動体ジェットは、例えば1〜30バールの圧力又は3〜10バールの圧力など、0.5〜100バールの圧力において作動する。
【0082】
ことなる実施形態では、ブラスト加工装置は、CNC又はロボット制御などの、制御された動作と共に使用され得る。ブラスト加工は不活性雰囲気で行われ得る。
【0083】
ある実施形態では、ドーパント及び研磨剤は同じ容器に収容されており、1つのジェット(ノズル)から表面に供給される。異なる実施形態では、ドーパントは1つの容器に収容されており、研磨剤は異なる容器に収容されており、複数のノズルがドーパントと研磨剤を供給する。複数のノズルは、1つのノズル内にあるもう1つのノズルの形態であり得、即ち夫々のジェットからの粒子は表面に対して同じ角度で吹き付かれる。異なる実施形態では、複数のジェットは空間的に離れており、表面の同じところに異なる角度で同時に衝突するようになる。
【0084】
図9A,9B,及び9Cは、表面にドーパントと研磨剤を供給するための3つの異なるノズル配置を示す概略図であり、1つのノズルの配置(9A)、1つのノズル内にもう1つのノズルがあり、夫々異なる容器からのドーパント及び研磨剤を供給する配置(9B)、そして複数の離れたノズルで別個の容器からのドーパント及び研磨剤を供給する配置(9C)を示している。具体的に、
図9Aは、基板28に、研磨性粒子24及びドーパント粒子26の1つのストリーム23を供給するための、1つのノズル20を示している。
図9Bは、ドーパント粒子26のストリーム43を供給するためのノズル40内にある、研磨剤24のストリーム33を供給するための異なるノズル30を示しており、2つのストリーム33及び43は共軸のものである。
図9Cに示されているように、複数の異なるノズルで、異なる容器からドーパント及び研磨剤を供給することも可能であり、この図面には、研磨剤粒子24及びドーパント粒子26夫々のストリーム33及び43を供給するノズル30及び40を示している。
【0085】
1つ以上のドーパントを供給する場合は、ドーパントは1つのノズル又は異なるノズルから供給することが可能であることは明らかである。例えば、ドーパントの組合せが治療薬及び別の粒子(例えばHA)であれば、2つのドーパントの組合せを1つのノズルから供給し、研磨剤をもう1つのノズルから供給することができる。異なる実施形態では、3つのノズル配置を用いて、治療薬を1つ目のノズルから、別のドーパント粒子を2つ目のノズルから、そして研磨剤を3つ目のノズルから供給するようにしても良い。
【0086】
ある実施形態では、物体は、埋め込み型医療装置である。例示的な医療装置は病的な石灰化を除去するために使用される、カテーテル、ガイドワイヤ、バスケットを含む。生物医学装置の場合は、研磨剤の表面に対する含浸は最低限にすることが望ましい。更に、ある程度の研磨剤の含浸は生じるため、研磨剤は生体適合性のものでなければならない。
【0087】
ある実施形態では、物体は、純金属、金属合金、1つ又は複数の相を含む金属間物、非晶相を含む金属間物、単独の結晶相を含む金属間物、多結晶相を含む金属間物から選ばれた金属などの金属である。例示的な金属は、チタニウム、チタン合金、鉄合金、ステンレス鋼、ステンレス鋼合金、炭素鋼、炭素鋼合金、アルミニウム、アルミ合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケルチタン合金、タンタラム、タンタル合金(例えばNiTiまたはニチノール)、ニオビウム、ニオブ合金、クロミウム、クロム合金、コバルト、コバルト合金、貴金属、及び貴金属合金を含む。ある実施形態では該金属はチタニウムである。
【0088】
ある実施形態では、研磨剤はアルミナ(10メッシュ)であり、ドーパントは粒径0.1〜3μmのHAである。混合物(mixed media)は、ドーパントと研磨剤を、5:95〜95:5のHA対シリカの容量比率で混合することで得られるが、より好ましくは80:20〜20:80の比率、及び最も好ましくは60:40〜40:60の比率で混合し、得られる。アルミナのグリットは、2〜10、又は5〜10など、0.1〜10の範囲のモース硬度を持つ。混合物は、例えば2〜10バール又は5〜10バールなど、0.5〜20バールの圧力範囲内で作動する標準グリットブラスト加工装置を用いてチタニウムの表面に供給され得る。ノズルと表面の間にある距離は0.1mmから100mmまでになり得、例えば0.1〜50mm又は0.1〜20mmまでになり得る。表面とノズルの角度は、例えば30〜90°又は70〜90°など、10〜90°の範囲内であり得る。
【0089】
当業者には、このような混合物を用いてドーパントを含浸させる際に、ジェットの速度、作動時の圧力、ベンチュリの形状、衝突の角度及び表面からノズルまでの距離のような装置パラメータが、含浸の程度に影響を及ぼすことは明らかである。
【0090】
当業者には、このような混合物を用いてドーパントを含浸させる際に、研磨剤の粒径、形状、密度、及び硬度が、含浸の程度に影響を及ぼすことは明らかである。
【0091】
当業者には、流動体ストリム自体、気体の媒体を用いるブラスト加工装置、及び不活性気体(N”又は、Ar及びHeのような貴ガス)を流動体担体として用いることによる効果が、含浸の程度に影響を及ぼすことは明らかである。
【0092】
液体を流動体担体(通常は水)として用いる湿式ブラスト装置の場合、当業者には、液体の酸性又は塩基性が、含浸の程度に影響を及ぼすことは明らかである。
【0093】
ここに開示されているように、開示された方法は医療用具の表面を変性加工するために有用である。医療用具への適用に関しては、ドーパントは活性(生物的な反応を引き起こす)又は不活性(生物的な反応を引き起こさない)であり得る。不活性ドーパントは、潤滑性を向上させるため、基板を放射線不透性にするため、損耗性質の向上のため、又は追加される層の接着を向上させるためなどに使われ得る。活性物質はホスト組織において反応を引き起こし得、結果として用具の機能又は手術を向上させ、又は装置に補助的な機能として有益な効果を提供する。
【0094】
該工程は、表面より素材を除去するために一般的に使用される方法を用いて、材料を表面に付加することを可能にする堆積工程である。ある実施形態では、該方法は次のような工程で表面への含浸を可能にする。
1.表面の中及び表面の上の少なくとも何れかに、追加的な材料を供給するための、研磨性吹き付け工程。
2.不活性雰囲気において表面から酸化物層を除去する工程と、その表面が再び参加される前に行われる追加的な材料を表面の中又は表面の上に堆積する工程。
3.上記1.と2.の組合せ。
【0095】
該工程は、下記のような表面特徴/性質を1つ以上、変更、増補または処理するために使い得る。
・形態/表面の形/形状/質感/粗度/微細構造(microstructure)
・表面の面積
・構造‐分子の組立の秩序/無秩序、包含、空き、及び編成
・結晶の結晶化度、サイズ、分布及び定位(orientation)
・化学
・科学的な組成
・元素組成
・元素の化学性
・分子組成
・官能基
・分子浸透層
・外因性の混入物及び不純物
・酸化物層の多孔性、厚さ、及び組成
・生化学
・生物的な性能
・表面エネルギー‐親油性/疎油性
・湿潤性‐親水性/疎水性
・吸着‐物理吸着及び化学吸着
・電気的性質‐表面電位及び表面電荷、絶対誘電率
・磁性
・光学的特性‐光学的反射/吸収
・表面の機械的な特性‐表面層の弾性/可塑性、表面における伸張力/圧縮力
・表面の動的性質‐原子及び分子の可動性。
【0096】
表面への効果は、例えば表面素材の化学及び形を変性させるものであり、その結果、無限の可能性が広がる。この処理から得られる好ましい効果は下記のような要因で影響される:
・基板の素材及びその表面特性
・処理工程のパラメータ及び環境的な条件
・研磨剤及び、その物理的性質、化学的性質、サイズ、硬度、形態など
・ドーパントの素材及びその化学的性質、物理的性質、担体媒体であるか追加的な薬剤(例えば治療のため)であるか、活性か不活性か、合成物かコックテール混合物か。
【0097】
ある実施形態では、ここで説明される方法は下記の特徴の1つ以上を提供できる:
・常温処理
・ドーパント素材の温度又は処理による劣化がない
・温度感性の薬物を破壊せずに表面に供給できる
・製造を容易にする一段階過程
・治療薬を運ぶために共形ポリマーフィルム(conformal polymer film)が必要でない
・ラミネート層が生じない‐欠けない、剥がれない
・特定の用途のためにインプラントに特殊処理を行うことに使われ得る
・医療用具の分野以外の産業部門においても用途がある(例えば航空宇宙産業、食品産業(チタンパイプの使用)、半導体産業などのチタンを使用する産業)。
【0098】
[例]
例1
この例はHAをドーパント、アルミナビーズを研磨剤として用いて、チタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0099】
混合物は、50重量パーセントのアルミナ(ホワイト・サフティグリット(White Saftigrit):メッシュサイズ150、粒径88マイクロン、モーズ硬度9、ガイソンインタナショナル有限会社(Guyson International Ltd.))及び50重量パーセントのHA(フルカ合成HA(Fluka Synthetic hydroxyapatite)(Fluka production GmbH,Buchs, Switzerland,Sigma−Aldrichの一部)を含むものである。ロカテック(Rocatec)(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、2cmX2cmのCPチタニウムのクーポンのグリットブラスト加工を行った(ASTM F67の様式に加工されたグレード2医療用(medical)のチタニウムシート)。表面からノズルまでの距離は1cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0100】
チタニウムの更なる2つのサンプル(ASTM F67様式に加工されたチタニウムシートグレード2医療用)に同様な処理を行ったが、これらの場合はHAのみを含むもので処理した。
【0101】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、95℃で1時間空気乾燥された。
【0102】
サンプルは、その表面におけるCa,P,Ti,Alの相対的な濃度を測定するため、XPS(X線光電子分光法)で分析された。
図2は両サンプルの広域スキャンを示しており、
図2AはHAで処理されたチタニウムのXPS調査スキャンであり、
図2Bは50:50のHA/アルミナ混合物で処理されたチタニウムのXPS調査スキャンである。これらの図面に示されたように、HAのみでグリットブラスト加工を行ったサンプルより、混合物でグリットブラスト加工を行ったサンプルの方が、Ca及びPの濃度(HAを示す)が高い。これは、狭い領域の高分解能スキャンによって更に確認された。
図3及び4は、50%HA:50%アルミナサンプルと100%HAサンプルの、Ca 2P及びTi 2Pの内殻準位(core level)を示している。具体的に、
図3A及び3BはHAのみでブラスト加工されたcpチタニウム(細線)及び50:50のHA:アルミナでブラスト加工されたcpチタニウム(太線)のCa 2p(
図3A)及びP 2p(
図3B)の内殻準位の相対的XPSスペクトルを示している。そして
図4は100%HAでグリットブラスト加工されたサンプル(上)と、50:50のHA:アルミナでグリットブラスト加工されたサンプル(下)の表面におけるTi P2の内殻準位のXPSスペクトルを示しており、この場合チタニウムはほぼHAで覆われていることが示されている。HAのみでブラスト加工されたサンプルに比べ、混合物でグリットブラスト加工されたサンプルの方が、そのカルシウム及びリンの両方の濃度が有意に高くなっている。更に、Ca:Pの比率は1.65であり、表面上の材料は確かにHAであることを証明した。
【0103】
有意なHA表面層が存在することの更なる指示は、100%HAでブラスト加工された表面に比べ、混合物でブラスト加工された表面の方がそのTi濃度が激減していることから分かり、これはHA層がかなりの厚さ(>10nm)に至っていることを示す。XPSは、内殻準位のグラフ曲線下の面積を標準化することによって、上面における物質の相対的濃度を、元素ごとのRSF(相対的散乱係数)と共に、10%のエラー内に計算するために使用され得る。表面におけるCa/Tiの原子比率は表1に示されている。この数値は表面における被覆率を表すために最も適した数値である。アルミナ/HAでグリットブラスト加工されたサンプルの場合、Tiに対するCaの相対的な濃度は、100%HAブラスト加工されたサンプルに比べ約30倍である。
【0104】
表1:グリットブラスト加工されたCo Ti表面における狭いXPS調査より測定されたCa/Tiの原子比率。
【0105】
表面のHA濃度コーティングの均一性を評価するために、Ti2P及びCa2Pの2つのピークに位置する両サンプルにXPS表面図(0.2X0.2mm)を行い、それぞれ
図5の左及び右パンネルに示されている。色の均一性は、基板材料上のHA分布の均一性を示す。
【0106】
これらの結果は、同時吹き付けはHAをチタニウム表面に含浸できるようにすることを示している。更に、両サンプルは厳しい超音波洗浄サイクルを経るため、表面に残るHAは基板に強く結合されていると思われる。
【0107】
例2
この例はHAをドーパント、シリカビーズを研磨剤として用いて、チタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0108】
混合物は、50重量パーセントのシリカビーズ(ホーナイト(Honite)14:粒径75〜150マイクロンの範囲、モーズ硬度8、ガイソンインタナショナル有限会社)及び50重量パーセントのHA(フルカ合成HA)を含むものである。ロカテック(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、2cmX2cmのCPチタニウムのクーポン(ASTM F67の様式に加工されたグレード2医療用のチタニウムシート)のグリットブラスト加工を行った。表面からノズルまでの距離は1cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0109】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、95℃で1時間空気乾燥された。
【0110】
サンプルは、その表面におけるCa,P,Ti,Alの相対的な濃度を測定するため、XPS(X線光電子分光法)で分析された。ある1つのサンプルと、HAのみでグリットブラスト加工されたサンプルのCa 2pの内殻準位の比較は
図6の右側に示されている。両サンプルのP 2pの内殻準位は
図6の左側に示されている。混合物の場合、グリットブラスト加工されたサンプルは、HAのみでブラスト加工されたサンプルよりそのCa及びPの濃度が両方高かったが、アルミナを用いた場合よりは低かった。
【0111】
表面におけるCa/Tiの計算された原子比率は表1に示されている。シリカビーズ/HAでグリットブラスト加工された場合のCaのTiに対する相対的な濃度は、100%HAでブラスト加工された場合の約4倍であった。表1は、同じ混合物で処理されたサンプルのCa/Ti比率がほぼ同じであることから、この技術で得られる結果の再現性を示している。
【0112】
例3
この例はHA/ゲンタマイシンをドーパント、アルミナビーズを研磨剤として用いて、チタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0113】
混合物は、50重量パーセントのアルミナ(ホワイト・サフティグリット:メッシュサイズ150、粒径88マイクロン、モーズ硬度9、ガイソンインタナショナル有限会社)、40重量パーセントのHA(フルカ合成HA)、及び10重量パーセントのゲンタマイシンを含むものである。ロカテック(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、0.5cmX0.5cmのCPチタニウムのクーポンのグリットブラスト加工を行った(ASTM F67の様式に加工されたグレード2医療用のチタニウムシート)。表面からノズルまでの距離は1cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0114】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0115】
表面に付着された抗生物質の放出及び抗菌活動は、3つの菌種(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(
図8.1)、大腸菌(Escherichia coli)(
図8.2)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(
図8.3))で、寒天ディスク‐拡散方法を用いて評価を行った。これらの菌は手術後にインプラントを接する組織にコロニーを形成する日和見病原体で、インプラントの劣化を引き起こす主な原因と同定されている。
【0116】
手短に、菌はストックの培養から脳-心臓浸出物寒天培地(Brain−Heart Infusion agar(BHI))で37℃で16時間培養され、孤立したコロニーを用いて10mlのL培地(Luria Broth(LB))に新たな培養を始めた。200rpmで振りながら37℃で12〜16時間インキュベートした後、培養はミュラーヒントン(MH)培地にOD600で0.05になるように希釈された。4mmの寒天の深さを持つMH寒天プレートに、医療用綿棒で350μlの夫々の細菌懸濁液をストリーク(streak)した。この後、材料でドーピングされたクーポンを寒天の上に載せた。プレートは反転され、好気状態で(36時間、37℃)インキュベートされた。
【0117】
インプラント材料自体が、放出されたゲンタマイシンとは独立的に微生物増殖を抑制する可能性を排除するために、表面に抗生物質が付着されていないコントロールサンプル(ネガティブ・コントロール)を用いた(
図8.1、8.2及び8.3に、1として示されている)。抗生物質が付着されたサンプルは、
図8.1、8.2及び8.3において、2と示されている。
【0118】
結果は
図8に示されている。テストされた各菌種ごとに、細菌増殖が抑制された抑制領域(
図8.1、8.2及び8.3において、IZと示されている)は、HA/ゲンタマイシンで処理されたサンプルの周りで見られる。この結果は、この工程によってゲンタマイシンが表面に含浸されたことを示し、更にはブラスト加工工程を経ても抗生物質は活性を保っていることを示す。
【0119】
例4
この例はHA/バンコマイシンをドーパント、アルミナビーズを研磨剤として用いて、チタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0120】
混合物は、67重量パーセントのアルミナ(ホワイト・サフティグリット:メッシュサイズ150、粒径88マイクロン、モーズ硬度9、ガイソンインタナショナル有限会社)、30重量パーセントのHA(フルカ合成HA)、及び3重量パーセントのバンコマイシンを含むものである。ロカテック(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、18枚の直径10mmグレード5チタニウムディスク(ASTM F136の様式に加工されたチタニウム6AL−4Vシート)をグリットブラスト加工を行った。コントロールディスクはHA及びアルミナだけでブラスト加工された。表面からノズルまでの距離は0.5cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0121】
いくつかのサンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0122】
表面に付着された抗生物質の放出及び抗菌活動は、手術後にインプラントを接する組織にコロニーを形成する日和見病原体として同定された黄色ブドウ球菌(NCIMB 9518)で、寒天ディスク‐拡散方法を用いて評価を行った。
図10のプレート1は、黄色ブドウ球菌を移し、バンコマイシンでドーピングされたクーポンにさらされた寒天プレート抑制領域(IZ)の写真である。
【0123】
これらのテストはBSAC(英国抗菌化学療法協会)の、抗菌感受性試験のためのディスク拡散法(第2.1.1版、2002年1月)に従って行われた。10
7CFU/mlの黄色ブドウ球菌を持つ細菌懸濁液の0.5mlをイソセンシテスト(isosensitest)寒天プレートに均一に撒いた。この後、材料でドーピングされたクーポンを寒天の上に載せた。プレートは反転され、好気状態で(20時間、37℃)インキュベートされた。
【0124】
インプラント材料自体が、放出されたゲンタマイシンとは独立的に微生物増殖を抑制する可能性を排除するために、表面に抗生物質が付着されていないコントロールサンプル(ネガティブ・コントロール)を用いた。
【0125】
結果は
図10のプレート1にある、HA/バンコマイシン処理サンプルの周りで細菌増殖が抑制されたIZから明らかである。この結果は、この工程によってバンコマイシンが表面に含浸されたことを示し、更にはブラスト加工工程を経ても抗生物質は活性を保っていることを示す。
【0126】
例5
この例はHA/トブラマイシンをドーパント、アルミナビーズを研磨剤として用いて、チタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0127】
混合物は、67重量パーセントのアルミナ(ホワイト・サフティグリット:メッシュサイズ150、粒径88マイクロン、モーズ硬度9、ガイソンインタナショナル有限会社)、30重量パーセントのHA(フルカ合成HA)、及び3重量パーセントのトブラマイシンを含むものである。ロカテック(Rocatec)(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、18枚の直径10mmグレード5チタニウムディスク(ASTM F136の様式に加工されたチタニウム6AL−4Vシート)をグリットブラスト加工を行った。コントロールディスクはHA及びアルミナだけでブラスト加工された。表面からノズルまでの距離は0.5cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0128】
いくつかのサンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0129】
表面に付着された抗生物質の放出及び抗菌活動は、手術後にインプラントを接する組織にコロニーを形成する日和見病原体として同定された大腸菌(NCIMB12210)で、寒天ディスク‐拡散方法を用いて評価を行った。
図10のプレート2及び3は、大腸菌を移し、トブラマイシンでドーピングされたクーポンにさらされた寒天プレート抑制領域(IZ)の写真である。
【0130】
これらのテストはBSACの、抗菌感受性試験のためのディスク拡散法(第2.1.1版、2002年1月)に従って行われた。10
7CFU/mlの大腸菌NCIMB 122を、新たな一夜培養から用意し、この培養の0.5mlの懸濁液をイソセンシテスト寒天プレートに均一に撒いた。この後、材料でドーピングされたクーポンを寒天の上に載せた。プレートは反転され、好気状態で(20時間、37℃)インキュベートされた。
【0131】
インプラント材料自体が、放出されたゲンタマイシンとは独立的に微生物増殖を抑制する可能性を排除するために、表面に抗生物質が付着されていないコントロールサンプル(ネガティブ・コントロール)を用いた。
【0132】
結果は
図10のプレート2及び3にある、HA/トブラマイシン処理サンプルの周りで細菌増殖が抑制されたIZから明らかである。この結果は、この工程によってトブラマイシンが表面に含浸されたことを示し、更にはグラスト加工工程を経ても抗生物質は活性であることを示す。
【0133】
例6
この例はHAのドーパント、そして異なるサイズ及び硬度の研磨剤を用いて、チタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0134】
混合物は、80重量パーセントの研磨剤(粒径88、50マイクロンのシリカビーズ、モーズ硬度6、コムコ・インコーポレイティッド(Comco Inc.))及び20重量パーセントのHA(フルカ合成HA)を含むものである。コムコMB1000マイクロブラスト加工装置を80psi(5.5バール)の圧力で操作し、研磨剤毎に、9枚の直径10mmグレード5チタニウムディスク(ASTM F136の様式に加工されたチタニウム6AL−4Vシート)にグリットブラスト加工を行った。コントロールディスクはHA及びアルミナだけでブラスト加工された。表面からノズルまでの距離は15mmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。HP(高性能、High Performance)ノズルは直径0.060インチ(1.52mm)の開口部を持ち、表面を3.175mm/secで横切った。ノズルは、金属ディスクの中央を1回横切った(即ち、表面は1回ブラストされる)。
【0135】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0136】
サンプルは、その表面におけるCa,P及びTiの濃度、並びにサンプル毎の形態的な性質を測定するために、XPS、FTIR(フーリエ変換赤外分光(Fourier transform infrared spectroscopy))、表面粗度分析‐触針輪郭検査(Surface Roughness Analysis−Stylus Profilometry)、及びX線回折(XRD,X−Ray Diffraction)を受けた。
【0137】
表2は、XPSで示されたように異なるサイズ及び硬度の研磨剤でブラスト加工されたチタニウムの結果を示している。
図11A及び11Bは100μm及び150μmのアルミナビーズで行った2回分の処理を夫々示している。
【0138】
表2:ブラスト加工粒子のサイズと硬度の関数としての表面元素のXPS原子濃度(及びCa:P比率)。
【0139】
図11Aは、2つの100μmアルミナビーズサンプル(a)及び(b)のFTIRスペクトルを示しており、
図11Bは2つの150μmアルミナビーズサンプル(a)及び(b)のFTIRスペクトルを示している。
【0140】
表3は、触針輪郭検査法による、異なる粒径及び硬度の研磨剤の結果を示している。
【0141】
表3:ブラスト加工粒子のサイズと硬度の関数としての表面形の触針輪郭検査法。
【0142】
図12A及び12Bは50μm及び100μmのアルミナビーズのサンプルのXRDパターンを夫々示している。
【0143】
このデータは、異なるサイズ及び硬度の研磨剤は、異なる表面形態だけでなく、吸着層のHAの異なる量及び被覆率にも繋がることを示している。
【0144】
例7
この例はツインノズル(twin nozzle)を用い、HAをドーパントとして1つの粒子ストリームで供給し、アルミナビーズを研磨剤として別の粒子ストリームで供給すると同時に、ブラスト加工のパラメータ及び研磨剤とドーパントに比率を調整しながらチタニウムの基板を変性加工することを説明する。
【0145】
研磨剤及びドーパント材料の流れの均一性を調整するために、これらの材料を2つの異なるコムコMB1000マイクロブラスト加工装置の容器に入れ、これらのノズルは夫々表面の同じところに向けられている(
図9Cにその概略が示されている)。調整されたパラメータは、ノズル直径、ノズルから表面までの距離、ブラスト加工の圧力、衝突角度、及び基盤に接触する際の研磨剤とドーパントの比率であった(表4:異なるテストパラメタがHA堆積及び表面形態に及ぼす影響、を参照)。全てのテストの実行には、100マイクロンの粒径を持つアルミナビーズ(モーズ硬度9、コムコ・インコーポレイテッド)が使われた。使用された合成HA(グラントレオ有限会社、コルク、アイルランド(Glantreo Ltd, Cork,Ireland))のサイズは20〜60マイクロンの粒径であった。実行されたテストごとに、9枚の直径10mmグレード5チタニウムディスク(ASTM F136の様式に加工されたチタニウム6AL−4Vシート)が処理された。表面は3.175mm/secの速度で1回横切られた(即ち、表面は1回ブラストされた)。
【0146】
表4:異なるテストパラメタがHA堆積及び表面形態に及ぼす影響。
【0147】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0148】
サンプルは、その表面におけるCa,P及びTiの濃度、並びにサンプル毎の形態的な性質を測定するために、XPS、FTIR、及び表面粗度分析‐触針輪郭検査を受けた。XPS分析の結果は表5に示されており、触針輪郭検査の結果は表6に示されている。
【0149】
表5:異なるブラストパラメータ及び研磨剤とドーパントの比率の関数としての表面元素のXPS原子濃度(及びCa:P比率)。
【0150】
表6:2つのHAコントロールのXPS原子濃度。
【0151】
表7:異なるブラスト加工パラメータ及び研磨剤とドーパントの比率の関数としての表面粗度の触針輪郭検査。
【0152】
このデータは、ブラスト加工工程のパラメータ及び研磨剤:ドーパントに比率をこの実験で説明されたように調整することで、異なる表面形態だけでなく、吸着層のHAの異なる量及び被覆率にも繋がる。HAコントロールのデータは、この工程がCa:Pの比率データで例示されたHA品質に有害な効果を与えないことを示しており、
図13の2つのHAコントロールに関するXPS調査スペクトルに示されている。
【0153】
例8
この例はHAをドーパント、アルミナビーズを研磨剤として用いて、ステンレス鋼の基板及びグレード2チタンの基板を変性加工することを説明する。
【0154】
混合物は、80重量パーセントのアルミナ(ホワイト・サフティグリット:メッシュサイズ150、粒径88マイクロン、モーズ硬度9、ガイソンインタナショナル有限会社)、及び20重量パーセントのHA(フルカ合成HA)を含むものである。ロカテック(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、ステンレス鋼チューブ(心臓ステントを製造する際に使われる医療グレードステンレス鋼、ASTM 1586様式)及びグレード2チタニウムシート(グレード2医療用チタニウムシート、ASTM F67様式)をグリットブラスト加工を行った。表面からノズルまでの距離は0.5cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0155】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0156】
サンプルはSEM/EDX(走査電子顕微鏡/エネルギー分散X線)分析及びAFM分析を行い、HAが両材料の表面に付着されているか測定した。
図14(SEM)及び15(EDX)は、ステンレス鋼の表面に丈夫に付着され、表8のような良質の被覆率を提供する、最大厚さ6.5マイクロンのHA層を示している(
図14を参照)。予想どおり、CPチタニウムはHA吸着層を備えており(
図16(SEM)及び
図17(EDX)参照)、表9は該表面の元素分析を示している。
図18(AFM)は、吸着HA層が7マイクロンの厚さであることを示している。
【0157】
表8:HA−ステンレス鋼の接触面の元素分析。
【0158】
表9:HA−チタニウムの接触面の元素分析。
【0159】
例9
この例はナノ多孔性シリカをドーパント、アルミナビーズを研磨剤として用いて、チタ二ウムの基板を変性加工することを説明する。ナノ多孔性シリカは適切な薬物溶離担体として知られている。
【0160】
混合物は、50重量パーセントのアルミナ(粒径100マイクロン、モーズ硬度9、コムコ・インコーポレイテッド)、及び50重量パーセントのメソ多孔性シリカ(粒径約1マイクロン、孔径約1ナノメートル、グラントレオ有限会社、コルク、アイルランド)を含むものである。コムコMB1000マイクロブラスト加工装置を80psi(5.5バール)の圧力で操作し、研磨剤毎に、9枚の直径10mmグレード5チタニウムディスク(ASTM F136の様式に加工されたチタニウム6AL−4Vシート)にグリットブラスト加工を行った。コントロールディスクはHA及びアルミナだけでブラスト加工された。表面からノズルまでの距離は15mmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。HP(高性能、High Performance)ノズルは直径0.060インチ(1.52mm)の開口部を持ち、表面を3.175mm/secで横切った。ノズルは、金属ディスクの中央を1回横切った(即ち、表面は1回ブラストされる)。
【0161】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0162】
サンプルにはSEM分析を行い、HAがグレード5のチタニウムの表面に付着されているか測定した。
図19は、該表面にシリカ粒子が付着されていることを示している。
【0163】
例10
この例は、ナノ多孔性HA(薬物溶離担体)をドーパント、アルミナビーズを研磨剤としてアルミニウム及びニチノールを変性加工することを説明する。
【0164】
混合物は、90重量パーセントのアルミナ(ホワイト・サフティグリット:メッシュサイズ150、粒径88マイクロン、モーズ硬度9、ガイソンインタナショナル有限会社)、及び10重量パーセントのナノ多孔性HA(平均粒径50マイクロン、不均等の非球形粒子、孔径3〜4ナノメートル、グラントレオ有限会社、コルク、アイルランド)を含むものである。ロカテック(登録商標)グリットブラスト加工装置を5バールの圧力で操作し、アルミニウム及びニチノールのグリットブラスト加工を行った。表面からノズルまでの距離は0.5cmで、ノズルは表面に対して90°の角度に保たれた。炭化ケイ素のノズルは直径1mmの開口部を持ち、表面を2cm/secで横切った。ノズルは、表面を3回横切った(即ち、表面は3回ブラストされる)。
【0165】
サンプルは、表面に密着していない材料を除去するための、脱イオン水における20分間の超音波洗浄を含む洗浄処理を経た。超音波洗浄後、サンプルは脱イオン水で濯がれ、40℃で1時間空気乾燥された。
【0166】
サンプルにはSEM分析を行い、ナノ多孔性HAがアルミニウム及びニチノールの表面に付着されているか測定した。
図20A及び20Bは、アルミニウム表面に付着されたナノ多孔性HA吸着層のSEM画像であり、
図21はニチノール表面に付着されたナノ多孔性HA吸着層のSEM画像である。