(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項11において、前記真空ゲージがダイヤフラムセンサを含み、前記ダイヤフラムセンサの測定データが、ダイヤフラムセンサの電子回路からの出力を含んでいる方法。
【背景技術】
【0002】
複合真空ゲージは、複数の真空センサで構成されており、これら複数の真空センサのそ
れぞれが、当該ゲージまたは当該ゲージに接続されたチャンバの内部の真空圧力を測定す
るための別個の物理的手段を使用している。測定者は複合真空ゲージによって、異なる真
空測定範囲が重なり合うように、異なる種類のセンサを使用するので、センサをただ1つ
しか持たない真空ゲージに比べてより幅広い範囲の圧力を測定することができる。複合真
空ゲージの出力を、ゲージ・アセンブリに取り付けることができ、あるいはケーブルによ
ってゲージ・アセンブリに接続することができる連係する制御用電子機器に合成させるこ
とができる。
【0003】
複合真空ゲージは、真空圧力を測定するための1つ以上の物理的手段を有しているため
、正確な真空圧力の測定を得るために、真空センサのそれぞれについて異なる補正係数が
必要とされる。これらの補正係数は、圧力、ゲージの動作パラメータ、温度、気体の種類
、およびどのセンサが動作しているか、などといった事柄に依存して変化する。
【0004】
複合真空ゲージのセンサを、包括的な補正係数によって較正することが、一般的な慣例
となっている。しかしながら、このような慣例の較正では、たとえ同種のセンサであった
としてもすべてのセンサが同一ではなく、したがって異なる補正係数を必要とするため、
真空圧力の測定が不正確なものになる。このような測定の不正確さは、2つのセンサから
の測定値が所与の圧力範囲において重なり合っており、これら測定信号が合成された出力
信号に組み合わせられる場合に、とくに顕著になる。そこで、複合真空ゲージの個々のセ
ンサのそれぞれについて、固有の補正係数が工場において決定され、制御用電子機器に差
し込むことができるメモリ・モジュールによって供給される。このやり方で、複合真空ゲ
ージを、現場においてメモリ・モジュールと一緒に交換することができる。
【発明の概要】
【0005】
複合真空ゲージにおいては、補正係数が真空センサ間の相互作用を考慮に入れていない
場合にも、真空圧力測定の不正確さが生じる。例えば、多くの複合真空ゲージは、真空測
定値のうちの低い圧力の範囲を測定するために、電離真空計を備えることができ、真空測
定値のうちの高い圧力の範囲を測定するために、熱損失センサを備えることができる。複
合真空ゲージにおける温度の変動の大きな原因は、電離真空計のフィラメントによって生
成される熱である。電離真空計が熱損失センサに密に近接しているため、熱損失センサは
、わずかな製造公差、材料のばらつき、および真空継手の相違ゆえの熱的なばらつきのた
め、それぞれの複合真空ゲージに固有の様相で、電離真空計との熱的な相互作用を有して
いる。複合真空ゲージは電離真空計のフィラメントの近傍において最も高温となるため、
熱損失センサの温度補償方程式に悪影響を及ぼす温度勾配であって、複合真空ゲージが工
場においてオーブン内で種々の温度において較正されるときには存在しない温度勾配が存
在している。
【0006】
熱損失センサなどといった感熱センサについて、電離真空計によって引き起こされる温
度勾配の不都合な影響を克服するために、感熱センサに不揮発性メモリを結合し、この不
揮発性メモリに、電離真空計のオンおよびオフの両方において取得された較正データにも
とづき、感熱センサの温度補償較正パラメータを収容する方法および装置が提供される。
これらの較正パラメータが、感熱センサから出力される測定データに適用される。不揮発
性メモリは、電離真空計および感熱センサと一体にでき、あるいは複合真空ゲージに結合
されるコントローラと一体にすることができる。コントローラが、感熱センサの出力に応
答して電離真空計をオンにする。
【0007】
実務においては、複合真空ゲージなどの多くの真空ゲージが、ゲージの不調または故障
を引き起こしうる厳しい環境において、長時間にわたって動作している。真空ゲージの不
調(例えば、不安定な較正)または故障の場合、使用者は、典型的には、真空ゲージが「
故障した」あるいは「機能しない」という注釈だけを添えて、真空ゲージを製造者に送り
返す。結果として、製造者は、例えば、実物の複合真空ゲージそのものは、ゲージが過熱
したのか否か、あるいは故障の発生時にどの電極が動作していたのかを知らせてくれない
ため、不調または故障の原因の割り出しに苦労することになる。したがって、不調または
故障の前、ならびに不調または故障の時点での真空ゲージの動作状況を知らない限りは、
真空ゲージの不調または故障を修理または補正することが、製造者にとって困難である。
【0008】
真空ゲージに結合された不揮発性メモリを、不調または故障の理由を割り出すために、
真空センサからの測定データを保存するために使用することができる。真空ゲージは、電
離真空計、熱損失センサ、およびダイヤフラムセンサを備えることができる。保存される
測定データは、使用される真空センサに固有である。電離真空計の測定データとしては、
フィラメント放射電流およびイオン電流を挙げることができる。熱損失センサの測定デー
タとしては、熱損失センサについて検出される電気的パラメータを挙げることができる。
最後に、ダイヤフラムセンサの測定データとしては、ダイヤフラムセンサの電気回路から
の出力を挙げることができる。不揮発性メモリを、所定の時間間隔にて、さらにはエラー
事象などの事象に応答して、測定データのウインドウなどの測定データで更新することが
できる。
【0009】
本発明の上記目的、特徴、および利点、ならびに他の目的、特徴、および利点が、添付
の図面に示されるとおりの本発明の好ましい実施形態についての以下のさらに詳しい説明
から、明らかになるであろう。添付の図面においては、種々の図を通して同様の符号が同
じ部分を指し示している。図面は必ずしも比例尺ではなく、本発明の原理を示すことに重
点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0012】
図1を参照すると、本発明による複合真空ゲージ・システム100が、複合真空ゲージ
165およびコントローラである制御用電子機器160を有している。複合真空ゲージ1
65は、電離真空計110、熱損失センサ120、ダイヤフラムセンサ130、および不
揮発性メモリ140を有している。電離真空計110は、ピン180aおよびソケット1
80bを介して制御用電子機器160に電気的に接続される。熱損失センサ120および
不揮発性メモリ140は、複合真空ゲージの回路基板185に接続され、回路基板185
が、コネクタ170aおよび170bを介して制御用電子機器160に接続される。ダイ
ヤフラムセンサ130は、ピン175ならびにコネクタ170aおよび170bへの可撓
ケーブル(図示されていない)を介して、制御用電子機器160に電気的に接続される。
制御用電子機器160は、複合真空ゲージ165に接続されたとき、ハウジング150内
に収容される。
【0013】
図2Aは、6つのピン180aを有する電離真空計110と、4つのピン175を有す
るダイヤフラムセンサ130と、熱損失センサ120と、不揮発性メモリ140と、コネ
クタ170aを有する複合真空ゲージ回路基板185とを備える複合真空ゲージ165の
斜視図を示している。他の実施形態においては、不揮発性メモリ140を、真空センサ1
10〜130のそれぞれに恒久的に取り付けることができる。不揮発性メモリ140は、
電気的に消去が可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)など、任意の不揮発性ランダ
ム・アクセス・メモリ(NVRAM)であってよい。
【0014】
不揮発性メモリ140は、真空センサ110〜130のそれぞれに固有の較正パラメー
タを収容することができる。較正パラメータは、個々の真空センサ110〜130のそれ
ぞれの工場での較正にもとづいて決定することができる。
図5に示されているように、電
離真空計、熱損失センサ、およびピエゾ抵抗ダイヤフラムセンサについての較正パラメー
タを、それぞれ不揮発性メモリ140の位置512、514、および516に保存するこ
とができる。さらに、部品番号、シリアル番号、改訂版コード、製造日、較正用の設備お
よびソフトウェアのシリアル番号および改訂版コード、ならびにゲージの構成の設定(例
えば、材料の選択肢、様式、およびフィラメント量)などといったゲージの製造情報も、
製造時に不揮発性メモリ140にロードすることができる。不揮発性メモリ140は、さ
らに後述されるように、適用履歴データも保存することが可能である。
【0015】
較正および履歴データを、制御用電子機器160ではなく複合真空ゲージ165に保存
することで、制御用電子機器160を取り替えることなく、複合真空ゲージ165を現場
にて交換することができる。履歴データを、修理のプロセスにおいて工場で読み取ること
ができ、新たな交換用の複合真空ゲージ165が、自身の固有の工場構成データを保持し
ている。他の手法は、不揮発性メモリ140を制御用電子機器160に差し込むが、その
メモリを複合真空ゲージを交換するときに取り替えることである。
【0016】
図2Bが、複合真空ゲージ165の断面図を示している。真空センサ110〜130の
それぞれが、共通のゲージ開口240を介して真空システムの真空圧力を測定する。電離
真空計110、熱損失センサ120、およびダイヤフラムセンサ130が、それぞれ電離
真空計用開口210、熱損失センサ用開口220、およびダイヤフラムセンサ用開口23
0を介して、真空システムへのアクセスを有している。
【0017】
米国特許第6,658,941号に記載されているように、熱損失センサ120は、得られる圧
力測定値が温度の変化に左右されないよう、検出素子電圧(VS)および検出素子電流(
IS)を数学的に組み合わせることによって温度補正される。換言すると、圧力測定値が
、方程式P
X=f(VS,IS)(三次元表面の計算)によって計算される。この方程式
は、対象とする圧力および温度範囲の全体に広がる複数の既知の圧力P
Cおよび周囲温度
の値について較正方法によって得られたVS
CおよびIS
Cの値の組から、三次元の曲線
フィティングソフトウェアを使用して導出される。
【0018】
複合真空ゲージ165における温度変化の大きな要因は、電離真空計のフィラメント2
50によって生み出される熱である。電離真空計110は、熱損失センサ120に密に近
接しており、したがって熱損失センサ120は、わずかな製造公差、材料のばらつき、お
よび真空継手の相違ゆえの熱的なばらつきのため、それぞれの複合真空ゲージ165に固
有の様相で、電離真空計110との熱的な相互作用を有している。さらに、アセンブリは
、電離真空計のフィラメント250の近傍において最も高温であるため、熱損失センサの
温度補償方程式に悪影響を及ぼす温度勾配が存在している。
【0019】
不揮発性メモリ140は、電離真空計110によって引き起こされる温度勾配を考慮し、また、それぞれの複合真空ゲージ165に固有である、改善された温度補償較正パラメータを収容することができる。これらの較正パラメータは、アルゴリズムの形態をとることができる。それぞれの複合真空ゲージ165について、較正パラメータが、電離真空計110がオンされているときに熱損失センサ120または熱に影響されやすい他のセンサについて第1組の
較正データを取得し、電離真空計110がオフにされているときに熱損失センサについて第2組の
較正データを取得することによって導出される。オンおよびオフの状態に対応する別個の組の較正パラメータを保存することができるが、好ましいシステムにおいては、較正データが、三次元の曲線フィティングソフトウェアを使用して数学的に組み合わせられる。すなわち、電離真空計がオンまたはオフのいずれであっても、ただ1つの較正曲線によって熱損失センサの較正が行われる。
【0020】
簡単な形態では、較正データが、電離真空計をオン状態およびオフ状態のそれぞれにし
つつ、熱損失センサの圧力測定範囲の両端に相当する2つの圧力において取得される。
【0021】
図3を参照すると、制御用電子機器160が、ピンおよびソケットからなる接続部を介
して、複合真空ゲージ165に接続されている。次いで、複合真空ゲージ165が、真空
シール305を備えた真空開口接続部304を介して、真空システム302に接続されて
いる。したがって、複合真空ゲージ165の不調または故障の場合に、複合真空ゲージ1
65を現場で交換することが可能である。
【0022】
複合真空ゲージ・システム100の動作時、電源/放射制御ブロック325が、電離真
空計110のグリッドに電圧を、フィラメントに電力を供給し、フィードバック機構によ
ってフィラメント放射電流の量を制御する。電離真空計110のコレクタ電流が、電位計
増幅器330への入力として供給される。
【0023】
センサ熱制御部335が、熱損失センサ120に入力される電力を制御する。熱損失セ
ンサ120は、電圧および電流の測定値を、増幅器340aおよび340bへの入力とし
て供給する。
【0024】
最後に、安定化ブリッジ電源345が、ダイヤフラムセンサ130に電力を供給する。
ダイヤフラムセンサ130からの電圧測定出力が、差動増幅器355への入力である。
【0025】
増幅器330、340a、340b、および355のそれぞれが、複合真空ゲージ16
5からの測定信号をマルチプレクサ365に供給する。マルチプレクサ365からの出力
が、アナログ‐デジタル変換器390によってデジタル形式に変換される。次いで、これ
らのデジタル信号が、処理のためにマイクロコントローラ(CPU)380に入力される
。
【0026】
CPU用EEPROM370が、とくには制御用電子機器160に固有の較正パラメー
タを保存するため、CPU380に接続されている。複合真空ゲージ165および制御用
電子機器160について別個の較正パラメータを有することで、複合真空ゲージ165お
よび制御用電子機器160が交換可能になる(すなわち、任意の複合真空ゲージ165を
任意の制御用電子機器160に接続できる)。また、制御用電子機器160を、複合真空
ゲージ165と別個に較正することができる。
【0027】
マイクロコントローラ380が、複合真空ゲージ165からの測定データにもとづいて
、真空システム302の真空圧力を計算する。具体的には、電離真空計110のコレクタ
電流が、ゲージ用EEPROM140に保存された較正パラメータを使用して、CPU3
80によって高真空の測定値に変換される。熱損失センサ120の電圧および電流データ
が、ゲージ用EEPROM140に保存された温度補償較正パラメータを使用して、マイ
クロコントローラ380によって中真空の測定値に変換される。最後に、ダイヤフラムセ
ンサ130の電圧出力が、ゲージ用EEPROM140に保存された較正パラメータを使
用して、低真空の測定値に変換される。真空システム302からのこれらの真空測定値に
応じて、CPU380が、適切なセンサ(あるいは、合成信号領域においては適切なセン
サの組)からの真空測定値を選択することによって、真空測定値を生成する。また、CP
U380は、真空システム302の真空圧力が電離真空計110の真空範囲に入るとき、
または電離真空計110の真空範囲から出るときに、電離真空計110をオンまたはオフ
にするよう電源/放射制御ブロック325に信号360を送信する。
【0028】
図4を参照すると、
図3のCPU380上で実行されるコンピュータ・インストラクシ
ョンによって実現されるプロセス400が、生のセンサ・データ(例えば、電圧、電流、
シリアル・データ)を、
図3の真空圧力表示装置395に表示され、入力/出力回路35
0および使用者・インターフェイス・コネクタ399を介して出力される真空データに変
換する。
【0029】
真空システムの真空圧力を測定するためのプロセス400は、ステップ405にて開始
される。ステップ410において、CPU380が、熱損失センサの温度補償較正パラメ
ータなど、真空センサの較正パラメータをゲージ用EEPROM140から読み出す。ス
テップ420において、CPU380は、アナログ‐デジタル変換器のデータ信号385
(
図3)を読み取る。ステップ430において、CU380は、電離真空計の真空圧力、
熱損失センサの真空圧力、およびダイヤフラムセンサの真空圧力を計算する。ステップ4
40において、真空圧力の測定値が重なり合いの範囲に含まれる場合には、重なり合って
いる2つのセンサからの測定値が、ステップ450において合成される。合成は、2つの
センサからの測定値の重み付け平均を計算することによって達成される。ステップ460
において、合成された信号測定値が、表示装置および入力/出力装置に送信される。真空
測定データが重なり合いの範囲にない場合には、適切なセンサからの真空測定値が、ステ
ップ460において表示装置および入力/出力装置に送信される。また、ステップ460
においては、通常のゲージ動作データが、回線322を介してゲージ用EEPROMにお
いて更新される。そのようなデータは、下記を含んでいる。
1.電子機器モジュールのシリアル番号およびファームウェア改訂版コード
2.電離真空計の各フィラメントおよびの複合真空ゲージ全体の動作時間
3.電離真空計の各フィラメントの脱ガス・サイクルの総回数
4.電離真空計の各フィラメントの動作サイクルの総回数
5.複合真空ゲージの動作サイクルの総回数
6.記録された最高の内部温度
【0030】
すでに述べたように、真空ゲージは、ときには不調または故障となり、使用者が、不調
または故障の原因について何ら説明することなく真空ゲージを製造者に送り返すことがあ
る。この問題は、不揮発性メモリ140を真空ゲージに結合し、ゲージの故障や想定外の
条件などといった事象が生じたときの真空センサの測定データを保存することによって、
対処することができる。
【0031】
測定データを、
図5に示されているように不揮発性メモリ140に保存することができ
る。測定データのウインドウを、符号520で示された位置において不揮発性メモリに保
存することができる。詳しくは、CPU380が、所定の時間間隔で、測定データを不揮
発性メモリ140の現行ウインドウ522の位置に書き込む。この単純なプロセスが、図
6Aにプロセス600として示されている。ステップ610において、CPU380が、
指定の時間期間が経過したか否かを判断する。指定の時間期間が経過したと判断されたと
き、CPU380は、現行ウインドウ522に測定データを書き込み、この位置にすでに
書き込まれている測定データがあれば、これを上書きする。次いで、プロセスはステップ
610に戻り、指定の時間期間が再び経過したか否かが判断される。
【0032】
再び
図4を参照すると、プロセス400は、ステップ470において、エラー事象を示
すエラー・コードが生成されたか否かを判断する。エラー・コードが生成されていない場
合、プロセスはステップ420に戻る。エラー・コードが生じている場合には、ステップ
480において、現行ウインドウ522に収容されている測定データが、
図5に示されて
いるn個のウインドウからなる循環バッファ524のウインドウ1、ウインドウ2、・・
・、またはウインドウn(524a、524b、・・・、524x)にコピーされる。こ
の測定データには、下記が含まれている。
1.エラー・コード
2.熱損失センサの生データ(VsおよびIs)および真空圧力の指示値
3.電離真空計のコレクタ電流、放射電流、脱ガス状態、動作しているフィラメント数、
および真空圧力の読み取り値
4.最後のオン以降の電離真空計の動作時間
5.内部の電子機器モジュールの温度
6.ダイヤフラムセンサの電圧および真空圧力の読み取り値
7.気圧の読み取り値
【0033】
n個のウインドウからなる循環バッファ524によって、一連の事象に応答して測定デ
ータの複数のウインドウを保存することができる。
図6Bが、不揮発性メモリ140に測
定データの複数のウインドウを保存するためのプロセス605を示している。プロセス6
05が、ステップ630において、所定の事象が発生したと判断すると、ステップ640
において、現行ウインドウ522に収容されている測定データがウインドウ1(524a
)にコピーされる。次いで、プロセス605は、指定の事象がさらに生じたか否かを判断
すべく、ステップ630に戻る。指定の事象がさらに生じた場合、現行ウインドウ522
に収容されている測定データが、ウインドウ2(524b)にコピーされる。プロセス6
05は、再びステップ630に戻り、指定の事象がさらに生じたか否かを判断する。この
やり方で、指定の時間間隔で更新されている現行ウインドウ522の測定データが、一連
の指定の事象に応答して、n個のウインドウからなる循環バッファ524の一連のウイン
ドウ(524a、524b、・・・、524x)にコピーされる。
【0034】
したがって、使用者が複合真空ゲージ165を製造者に返送した後に、製造者は、ゲー
ジ用EEPROM140に保存されたデータを使用し、ゲージの不調または故障の原因の
割り出しに役立てることができる。
【0035】
ステップ490において、プロセス400は終了する。
【0036】
以上、本発明を、本発明の好ましい実施形態を参照しつつ詳しく示して説明したが、添
付の特許請求の範囲に包含される本発明の技術的範囲から離れることなく、これらの実施
形態において形態および細部についてさまざまな変更が可能であることを、当業者であれ
ば理解できるであろう。
【0037】
ダイヤフラムセンサは、ピエゾ抵抗式のダイヤフラムセンサであってよく、絶対圧(す
なわち、大気圧からの圧力の偏差)を測定しても、差圧を測定してもよい。
【0038】
エラー・コードは、熱損失センサの電圧および電流測定値が、それらの物理的範囲から
外れたときに生成できる。また、エラー・コードを、電離真空計のイオン電流に大きな異
常が存在する場合に生成してもよい。
【0039】
複合真空ゲージの真空センサに結合される不揮発性メモリは、複合真空ゲージまたは制御用電子機器に一体であってよい。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
周囲のガス圧を測定するための装置であって、
電離真空計、
感熱センサ、および
前記感熱センサに結合された不揮発性メモリを有しており、
前記不揮発性メモリが、前記電離真空計のオンおよびオフの両方において取得された較正データにもとづく前記感熱センサの温度補償較正パラメータを含んでいる装置。
[態様2]
態様1において、前記感熱センサが、熱損失センサである装置。
[態様3]
態様1において、前記不揮発性メモリが、前記電離真空計および前記感熱センサと一体である装置。
[態様4]
態様1において、さらに前記電離真空計および前記感熱センサに組み合わせられ、前記感熱センサの出力に応答して前記電離真空計をオンにするコントローラを有している装置。
[態様5]
態様4において、前記不揮発性メモリが、前記電離真空計および前記前記感熱センサと一体である装置。
[態様6]
周囲のガス圧を測定するための方法であって、
電離真空計を用意するステップ、
感熱センサを用意するステップ、
前記電離真空計および前記感熱センサに結合され、前記電離真空計のオンおよびオフの両方において取得された較正データにもとづく前記感熱センサの温度補償較正パラメータを含んでいる不揮発性メモリを用意するステップ、および
前記感熱センサから出力される測定データに、前記較正パラメータを適用するステップ
を含んでいる方法。
[態様7]
態様6において、さらに前記感熱センサの出力に応答して前記電離真空計をオンにするステップを含んでいる方法。
[態様8]
周囲のガス圧を測定するための装置であって、
電離真空計、
感熱センサ、および
前記電離真空計のオンおよびオフの両方において、前記感熱センサを較正するための手段を有している装置。
[態様9]
周囲のガス圧を測定するための装置であって、
真空ゲージ、および
後段の計器の分析のために前記真空ゲージに結合され、前記真空ゲージの測定データを保存する不揮発性メモリを有している装置。
[態様10]
態様9において、前記不揮発性メモリが、前記真空ゲージと一体である装置。
[態様11]
態様9において、前記不揮発性メモリが、所定の時間間隔で更新される装置。
[態様12]
態様11において、測定データのウインドウが、前記不揮発性メモリに保存される装置。
[態様13]
態様9において、前記不揮発性メモリが、或る事象に応答して更新される装置。
[態様14]
態様13において、測定データのウインドウが、前記不揮発性メモリに保存される装置。
[態様15]
態様13において、前記事象が、エラーである装置。
[態様16]
態様9において、前記真空ゲージが、電離真空計、熱損失センサ、およびダイヤフラムセンサを含んでいる装置。
[態様17]
態様16において、前記電離真空計の測定データが、フィラメント放射電流およびイオン電流を含んでいる装置。
[態様18]
態様16において、前記熱損失センサの測定データが、熱損失センサについて検出される電気的パラメータを含んでいる装置。
[態様19]
態様16において、前記ダイヤフラムセンサの測定データが、ダイヤフラムセンサの電子回路からの出力を含んでいる装置。
[態様20]
周囲のガス圧を測定するための方法であって、
真空ゲージを用意するステップ、
不揮発性メモリを、前記真空ゲージに結合して用意するステップ、および
前記真空ゲージの測定データを前記不揮発性メモリに保存するステップを含んでいる方法。
[態様21]
態様20において、前記不揮発性メモリが、前記真空ゲージと一体である方法。
[態様22]
態様20において、前記不揮発性メモリが、所定の時間間隔で更新される方法。
[態様23]
態様22において、測定データのウインドウが、前記不揮発性メモリに保存される方法。
[態様24]
態様20において、前記不揮発性メモリが、或る事象に応答して更新される方法。
[態様25]
態様24において、測定データのウインドウが、前記不揮発性メモリに保存される方法。
[態様26]
態様24において、前記事象が、エラーである方法。
[態様27]
態様20において、前記真空ゲージが、電離真空計、熱損失センサ、およびダイヤフラムセンサを含んでいる方法。
[態様28]
態様27において、前記電離真空計の測定データが、フィラメント放射電流およびイオン電流を含んでいる方法。
[態様29]
態様27において、前記熱損失センサの測定データが、熱損失センサについて検出される電気的パラメータを含んでいる方法。
[態様30]
態様27において、前記ダイヤフラムセンサの測定データが、ダイヤフラムセンサの電子回路からの出力を含んでいる方法。
[態様31]
周囲のガス圧を測定するための装置であって、
真空ゲージ、および
前記真空ゲージに結合され、前記真空ゲージの測定データを保存するための手段を有している装置。