(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1遮蔽層及び前記第2遮蔽層は、前記液晶層の各前記表示画素において、前記表示画素がオン状態になるとともに、前記表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、前記青色光ビームの一部が、前記少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の前記第2開口のうち1つ及び複数の前記第1開口のうち1つを直接貫通して前記量子ドット層に到達するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ表示装置。
前記第1遮蔽層及び前記第2遮蔽層は、前記液晶層の各前記表示画素において、前記表示画素がオン状態になるとともに、前記表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、前記青色光ビームの一部が、前記第1開口のうち1つを貫通して前記量子ドット層に到達する前に、前記少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の前記第2開口のうち1つを貫通するとともに、前記第1遮蔽層の複数の前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽層の複数の前記第2遮蔽部との間に反射されるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶レンズ表示装置。
前記第2遮蔽層及び前記液晶層は、前記少なくとも1つの液晶レンズと前記第2遮蔽層の前記第2開口との間の距離が前記焦点距離Fと略同一であるように離れて配置されることを特徴とする請求項7に記載の液晶レンズ表示装置。
前記第1遮蔽層及び前記第2遮蔽層は、前記液晶層の各前記表示画素において、前記表示画素がオン状態になるとともに、前記表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、バックライトからの青色光ビームの一部が、前記少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の前記第2開口のうち1つ及び複数の前記第1開口のうち1つを直接貫通して前記量子ドット層に到達するように配置されることを特徴とする請求項10に記載の液晶構造。
前記第1遮蔽層及び前記第2遮蔽層は、前記液晶層の各前記表示画素において、前記表示画素がオン状態になるとともに、前記表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、バックライトからの青色光ビームの一部が、前記第1開口のうち1つを貫通して前記量子ドット層に到達する前に、前記少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の前記第2開口のうち1つを貫通するとともに、前記第1遮蔽層の複数の前記第1遮蔽部と前記第2遮蔽層の複数の前記第2遮蔽部との間に反射されるように配置されることを特徴とする請求項10に記載の液晶構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、多層の光遮蔽構造及び量子ドットを使用することにより光効率を向上させることが可能な液晶レンズ表示装置、該液晶レンズ表示装置に用いられる液晶構造及びその形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様において、液晶レンズ表示装置は、第1基板と、第1基板との間にセルギャップを画定するように離れて配置される第2基板と、第1基板のセルギャップとは反対側に配置される偏光シートと、セルギャップに位置し、液晶分子によって形成され、複数の表示画素を画定すると共に各表示画素をオン状態とオフ状態との間で切り替え可能な液晶層と、セルギャップに位置し、液晶層と第2基板との間に配置される量子ドット(quantum dot,QD)層と、偏光シートのセルギャップとは反対側に配置され、液晶層に進入するように偏光シートに向けて青色光ビームを出射するためのバックライトモジュールと、セルギャップに位置し、液晶層と量子ドット層との間に配置される光遮蔽構造と、を含み、光遮蔽構造は、複数の第1開口と複数の第1遮蔽部とを有し、液晶層と離れて配置される第1遮蔽層と、複数の第2開口と複数の第2遮蔽部とを有し、互いに離れて配置される第1遮蔽層と液晶層との間に位置する第2遮蔽層と、を含み、液晶層の各表示画素は、少なくとも1つの第2開口に対応し、各第2開口は、複数の第1遮蔽部のうち1つに対応し、各第2開口が、対応する第1遮蔽部よりも狭い。
【0007】
いくつかの実施形態において、第1遮蔽層及び第2遮蔽層は、液晶層の各表示画素において、表示画素がオン状態になるとともに、表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーション(retardation)を有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、青色光ビームの一部が、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口のうち1つ及び複数の第1開口のうち1つを直接貫通して量子ドット層に到達するように配置される。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1遮蔽層及び第2遮蔽層は、液晶層の各表示画素において、表示画素がオン状態になるとともに、表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、青色光ビームの一部が、第1開口のうち1つを貫通して量子ドット層に到達する前に、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口のうち1つを貫通するとともに、第1遮蔽層の複数の第1遮蔽部と第2遮蔽層の複数の第2遮蔽部との間に反射されるように配置される。
【0009】
いくつかの実施形態において、液晶レンズ表示装置は、量子ドット層と第2基板との間に配置されるカラーフィルタ層をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、液晶レンズ表示装置は、第1基板上に配置される複数の第1透明電極と、第1基板の液晶層から遠い側に配置される複数の第2透明電極と、をさらに含み、各表示画素は、複数の第1透明電極のうち少なくも1つ及び複数の第2透明電極のうち少なくも1つに対応し、各表示画素に対応する第1透明電極と第2透明電極との間に所定の電圧差を提供する場合、各表示画素に対応する第1透明電極及び第2透明電極は、少なくとも1つの液晶レンズが形成されるために表示画素の液晶分子が所定のリタデーションを有するように駆動することにより、表示画素をオン状態に切り替える。
【0011】
いくつかの実施形態において、バックライトモジュールは、青色光ビームを出射する青色光光源と、偏光シートに向けて青色光ビームを案内する導光構造と、導光構造において青色光ビームを反射する反射シートと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つの液晶レンズは、焦点距離Fを有する凸レンズである。一実施形態において、焦点距離Fは、約11μmである。いくつかの実施形態において、第2遮蔽層及び液晶層は、少なくとも1つの液晶レンズと第2遮蔽層の第2開口との間の距離が焦点距離Fと略同一であるように離れて配置される。
【0013】
本発明の他の態様において、液晶レンズ表示装置に用いられる液晶構造を提供する。いくつかの実施形態において、液晶構造は、第1基板と、第1基板との間にセルギャップを画定するように離れて配置される第2基板と、セルギャップに位置し、液晶分子によって形成され、複数の表示画素を画定すると共に各表示画素をオン状態とオフ状態との間で切り替え可能な液晶層と、セルギャップに位置し、液晶層と第2基板との間に配置される量子ドット層と、セルギャップに位置し、液晶層と量子ドット層との間に配置される光遮蔽構造と、を含み、光遮蔽構造は、複数の第1開口と複数の第1遮蔽部とを有し、液晶層と離れて配置される第1遮蔽層と、複数の第2開口と複数の第2遮蔽部とを有し、互いに離れて配置される第1遮蔽層と液晶層との間に位置する第2遮蔽層と、を含み、液晶層における各表示画素は、少なくとも1つの第2開口に対応し、液晶層に対して略垂直な第1方向に沿って、各第2開口は、複数の第1遮蔽部のうち1つに対応し、各第2開口が対応する第1遮蔽部よりも狭い。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1遮蔽層及び第2遮蔽層は、液晶層の各表示画素において、表示画素がオン状態になるとともに、表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、青色光ビームの一部が、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口のうち1つ及び複数の第1開口のうち1つを直接貫通して量子ドット層に到達するように配置される。
【0015】
いくつかの実施形態において、第1遮蔽層及び第2遮蔽層は、液晶層の各表示画素において、表示画素がオン状態になるとともに、表示画素の液晶分子が所定のリタデーションを有するように設定されることにより少なくとも1つの液晶レンズが形成される場合、青色光ビームの一部が、第1開口のうち1つを貫通して量子ドット層に到達する前に、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口のうち1つを貫通するとともに、第1遮蔽層の複数の第1遮蔽部と第2遮蔽層の複数の第2遮蔽部との間に反射されるように配置される。
【0016】
いくつかの実施形態において、液晶構造は、第1基板のセルギャップとは反対側に配置される偏光シートと、量子ドット層と第2基板との間に配置されるカラーフィルタ層と、をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態において、液晶レンズ表示装置は、第1基板上に配置される複数の第1透明電極と、液晶層の第1基板から遠い側に配置される複数の第2透明電極と、をさらに含み、各表示画素は、複数の第1透明電極のうち少なくも1つ及び複数の第2透明電極のうち少なくも1つに対応し、各表示画素に対応する第1透明電極と第2透明電極との間に所定の電圧差を提供する場合、各表示画素に対応する第1透明電極及び第2透明電極は、少なくとも1つの液晶レンズが形成されるために表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより、表示画素をオン状態に切り替える。
【0018】
いくつかの実施形態において、液晶レンズは、焦点距離Fを有する凸レンズである。いくつかの実施形態において、第2遮蔽層及び液晶層は、少なくとも1つの液晶レンズと第2遮蔽層の第2開口との間の距離が焦点距離Fと略同一であるように離れて配置される。一実施形態において、焦点距離Fは、約11μmである。
【0019】
本発明の別の態様において、液晶レンズ表示装置に用いられる液晶構造を形成する方法を提供する。いくつかの実施形態において、方法は、セルギャップを画定するように第1基板及び第2基板を離れて配置する工程と、セルギャップにおいて量子ドット層を形成する工程と、セルギャップにおいて第1基板と量子ドット層との間に光遮蔽構造を配置する工程と、セルギャップにおいて第1基板と光遮蔽構造との間に液晶分子を充填して液晶層を形成する工程と、を含み、光遮蔽構造は、複数の第1開口と複数の第1遮蔽部とを有する第1遮蔽層と、複数の第2開口と複数の第2遮蔽部とを有し、
互いに離れて配置される第1遮蔽層
と前記液晶層との間に位置する第2遮蔽層と、を含み、液晶層は、第1基板及び第2基板と離れて配置され、複数の表示画素を画定し、各表示画素は、複数の第2開口のうち少なくとも1つに対応し、オン状態とオフ状態との間で切り替え可能であり、各第2開口は、複数の第1遮蔽部のうち1つに対応し、各第2開口が、対応する第1遮蔽部よりも狭い。
【0020】
いくつかの実施形態において、方法は、第1基板のセルギャップとは反対側に偏光シートを形成する工程と、量子ドット層と第2基板との間にカラーフィルタ層を形成する工程と、をさらに含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、方法は、第1基板上に複数の第1透明電極を形成する工程と、液晶層の第1基板から遠い側に複数の第2透明電極を形成する工程と、をさらに含み、各表示画素は、複数の第1透明電極のうち少なくも1つ及び複数の第2透明電極のうち少なくも1つに対応し、各表示画素に対応する第1透明電極と第2透明電極との間に所定の電圧差を提供する場合、各表示画素に対応する第1透明電極及び第2透明電極は、少なくとも1つの液晶レンズが形成されるために表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより、表示画素をオン状態に切り替える。
【0022】
各少なくとも1つの液晶レンズは、焦点距離Fを有する凸レンズであり、少なくとも1つの液晶レンズと第2遮蔽層の第2開口との間の距離が焦点距離Fと略同一であるように、第2遮蔽層及び液晶層を離れて配置する。
【0023】
下記図面を参照して行う以下好適な実施形態の説明により、本発明の実施形態の上記およびその他の態様はより明らかになる。本発明の精神と領域を離脱しない範囲内で、若干の変動や修正を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面は本発明に係る一つまたは複数の実施形態を示しており、これらの図面および文字の記述により、本発明の原理を説明する。図面に使用される同じ符号は、実施形態において同様または類似の部品を代表する。
【
図1】本発明の一実施形態による液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態による量子ドットの構造を示す図である。
【
図2B】本発明の一実施形態による励起された量子ドットの大きさに依存した光(発光色)の特性を示す図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置の光効率を示す図である。
【
図4A】本発明の一実施形態による光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図4B】
図4Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオフ状態の場合を示す図である。
【
図4C】
図4Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオン状態の場合を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による表示画素がオン状態であるとき、液晶レンズ表示装置の液晶層における液晶分子のリタデーションを示す図である。
【
図6A】本発明の他の実施形態による光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図6B】
図6Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオフ状態の場合を示す図である。
【
図6C】
図6Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオン状態の場合を示す図である。
【
図7A】本発明の別の実施形態による光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図7B】
図7Aに示された液晶レンズ表示装置における表示画素がオフ状態である場合を示す図である。
【
図7C】
図7Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオン状態の場合を示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による表示画素がオン状態であるとき、液晶レンズ表示装置の液晶層における液晶分子のリタデーションを示す図である。
【
図9A】本発明の別の実施形態による表示画素がオン状態であるとき、光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図9B】本発明の一実施形態による液晶レンズ表示装置のカラーフィルタ層及び透明電極を示す図である。
【
図9C】
図9BのA−A線に沿った液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
【
図10A】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第1工程を示す平面図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第1工程を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第2工程を示す図である。
【
図12】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第3の工程を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第4の工程を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第5の工程を示す図である。
【
図15A】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する第6の工程を示す図である。
【
図15B】本発明の一実施形態による液晶構造を形成する工程を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の一実施形態による
図10A〜
図15Bに示された工程により形成された液晶構造を示す斜視図である。
【
図17A】
図16の液晶構造における表示画素がオフ状態である場合を示す断面図である。
【
図17B】
図16の液晶構造における表示画素がオン状態である場合を示す断面図である。
【
図18A】本発明の一実施形態による液晶層がオフ状態である場合の屈折率を示す図である。
【
図18B】本発明の一実施形態による液晶層がオン状態である場合の屈折率を示す図である。
【
図18C】本発明の一実施形態による液晶レンズの焦点距離Fのn
eを算出するためのシミュレートされた液晶分子の配向を示す図である。
【
図18D】本発明の一実施形態によるn
e算出のx−n
eの関係を示す図である。
【
図19】本発明の一実施形態による光遮蔽構造において、屈折された光は、第1遮蔽層の第1遮蔽部と第2遮蔽層の第2遮蔽部との間に反射される場合を示す図である。
【
図20】本発明の一実施形態による光遮蔽構造において、屈折された光は、第2開口及び第2開口を直接貫通して量子ドット層に到達する場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態を示す添付図面を参照しつつ、本発明について詳しく説明する。なお、本発明は、種々の異なる形式によって実施されることができるが、開示される実施形態に限定されるものではないことは理解されるべきである。逆に、これらの実施形態を提供することによって、当該技術を熟知する者に本発明の範囲をより明確になり、且つ充分に理解させることができる。同じ符号は同じ素子を代表する。
【0026】
本明細書で使用する用語は一般に、本発明の場面内で、且つ各用語を使用する特定の場面の中で、当技術分野における通常の意味を有する。本発明を記述するために使用される特定の用語は、実施者にさらなる指針をもたらすために、以下で又は本明細書の他の箇所で、本発明の説明に使用する特定の用語を論じる。便宜上、例えば斜体及び/又は引用符を用いて特定の用語を強調することがある。強調の使用は、用語の範囲及び意味に影響を及ぼさない。すなわち、強調されていてもされていなくても、同じ場面では用語の範囲及び意味は同じである。同じことを複数の形で言うことができることが理解されるであろう。その結果、本明細書で論じる1種又は複数種の任意の用語に代替言語及び同義語を使用することができ、用語が本明細書で詳しく述べられ又は論じられていてもそうでなくても特別な意味はない。特定の用語について同義語が提供されている。1種又は複数種の同義語の詳述は、他の同義語の使用を除外するものではない。本明細書で論じる任意の用語の例を含めて、本明細書の任意の場所での例の使用は、例示的なものに過ぎず、本発明又は任意の例示される用語の範囲及び意味を制限するものでは一切ない。同様に、本発明は本明細書に付与される様々な実施形態に限定されない。
【0027】
要素が別の要素「の上にある」と言及される場合、その要素は別の要素の直接その上にあり、又はその要素と別の要素との間に介在された他の要素が存在する場合があることを理解すべきである。対照的に、要素が別の要素「の直接その上に」と言及される場合、介在要素は存在しない。本明細書に使用される場合、用語「及び/又は」は、いくつかの関連列挙項目のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0028】
本明細書で使用される「第1」、「第2」及び「第3」等の用語は、多様な部品,部材,領域,層及び/又は断面を説明するために使われるが、これらの部品、部材、領域、層及び/又は断面によって限定されないことを理解するべきである。これらの用語は、単なる所定の部品、部材、領域、層或いは断面を他の部品、部材、領域、層或いは断面と領域別するために使用されたものである。したがって、以下第1部品、第1部材、第1領域、第1層或いは断面として使用される用語が、第2部品、第2部材、第2領域、第2層或いは断面として使用されても、本発明の範囲を逸脱することはない。
【0029】
本明細書で使用される用語は、単に特定な実施形態を説明するために使用されるものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。本明細書における「一」及び「前記」は、複数を示していないとはっきり記載されていない限り、複数の意味も含む。さらに、本明細書で使用される「含む」、「備える」又は「有する」という用語は、説明しようとする特徴、領域、全体、ステップ、操作、要素、セグメント及び/又は構成要件が存在することを指すが、1つ又は複数の他の特徴、領域、全体、ステップ、操作、要素、セグメント、構成要件及び/又はこれらの組み合わせの存在あるいは付加も除外もしないことを示す。
【0030】
また、図面に示すように、本明細書は、例えば「下」又は「底」及び「上」又は「頂」等の空間的に相対的な用語を用いて、ある要素と別の要素との関係を説明することができる。ただし、空間的に相対的な用語は、図面に表される配向に加えて、使用中又は作動中の装置の異なる配向を包含することを意図することは理解すべきである。例えば、図中の装置が反対向きである場合、他の要素の「下」として説明される要素は、他の要素の「上」に配向されるようになる。このため、例の用語「下」は、上及び下の配向両方に及ぶことができる。同様に、図中の装置が反対向きである場合、他の要素の「上」又は「上方」として説明される要素は、他の要素の「下」に配向されるようになる。このため、例の用語「上」又は「上方」は、上及び下の配向両方に及ぶことができる。
【0031】
別途定義されない限り、本明細書に使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術及び本開示の文脈においてそれらの意味と一貫する意味を有するとして解釈されるべきであり、本明細書においてそのように明示的に定義されない限り、理想化された又は過度に正式な意味に解釈してはならない。
【0032】
本明細書で使用する「大体」、「約」、「実質的」又は「近似」は、一般的に数値の誤差又は範囲が20%以内であることを指し、10%以内であることが好ましく、5%以内であることがより好ましい。本明細書において明確な説明がない限り、言及される数値はいずれも近似値、すなわち、「大体」、「約」、「実質的」又は「近似」に対して明確な説明がなくても推測判断できることを意味する。
【0033】
以下、
図1〜
図20を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の一態様は、光効率を向上させるために、特定の光遮蔽構造及び量子ドットの配置を有する液晶レンズ表示装置に関する。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態による液晶レンズ表示装置を示す断面図である。同図に示すように、液晶表示装置100は、バックライトモジュール110、拡散フィルム120、2つの偏光シート130,150、及び偏光シート130と偏光シート150との間の液晶素子(liquid crystal element)140を含む。具体的に、バックライトモジュール110は、光源112、導光板114、及び反射シート116を含む。反射シート116は、導光板114の底部の表面(即ち、外側の表面)に配置される。特定の実施形態において、液晶素子140は、例えば、薄膜トランジスタ層142が第1基材(図示せず)上に配置され、液晶(分子)層(即ち、液晶分子を有する液晶層)144及びカラーフィルタ層146が第2基材(図示せず)上に配置される複数の層を含んでもよい。特定の実施形態において、カラーフィルタ層146は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色を表示するための複数のカラーフィルタを含むRGBカラーモデルを採用し、カラーフィルタは、三原色を主として混合することであらゆる種類の色を提供するように配置される。特定の実施形態では、液晶素子140において、液晶(分子)層144における液晶分子を駆動するために、複数の透明電極(図示せず)を提供する。液晶表示装置100のフィルム層は、例示の目的で提供されることに留意すべきである。フィルム層の大きさや位置が変化してもよい。なお、いくつかのフィルム層の間にセルギャップを有することについて説明するが、液晶表示装置100の実際の構造について、フィルム層の間にセルギャップを有しても有しなくてもよい。
【0035】
図1に示すように、光(矢印118で示す)は、光源112によって出射されると、反射シート116によって反射され、導光板114によって拡散フィルム120に向けて案内される。光が拡散フィルム120を通過する際、光効率は、拡散フィルム120によって約90%まで少し減少する。拡散された光は、一方の偏光シート130、液晶素子140、及び他方の偏光シート150を通過する。この過程において、拡散された光は、2つの変更し130,150によって吸収され、光効率が約36%まで大幅に減少する。また、液晶素子140は、光の光効率をさらに低下させることがある。例えば、液晶(分子)層144、透明電極(図示せず)、及び薄膜トランジスタ層142は、さらに、光の光効率を約18%まで低下させることがある。また、カラーフィルタ層146は、光が液晶表示装置の上記積層構造から出るとき、即ち、偏光シート150から出るとき、光効率がわずかに約3〜5%である。
【0036】
カラー液晶表示装置の表示品質を向上させるために、様々な技術及び構造を検討する。例えば、量子ドット技術は、色域(color gamut)を改善するために、カラー液晶表示装置に用いられることができる。量子ドットは、量子力学的性質を示すのに半導体材料で作られた十分に小さいナノ結晶コア/シェル構造である。例えば、量子ドットの大きさは、直径が約1〜10ナノメートル(nm)である。
図2Aは、本発明の一実施形態による量子ドットの構造を示す図である。同図に示すように、量子ドット200は、複数のコアナノ結晶210及び複数のシェルナノ結晶220を有する。具体的には、量子ドットの励起子(excitons)が、3次元空間全体に閉じ込められる。量子ドット材料の電子特性は、これら半導体バルク(bulk semiconductors)と離散分子との間の中間体である。特定の実施形態において、量子ドットは、例えば、寿命、発光強度や長期安定性などの粒子のスペクトル特性に直接関連を有し、より大きい又は厚いシェルによって合成されてもよい。
【0037】
大きさに依存した光の出射特性は、量子ドットの光学的特性の1つである。具体的に、量子ドットは、特定の波長の光によって励起されたとき、励起された量子ドットからの光は、量子ドットの結晶の大きさによって決定される。より具体的には、量子ドットのサイズが大きくなると、出射した蛍光スペクトルは、赤色光(長波長)側に移動する。
図2Bは、本発明の一実施形態による励起された量子ドットの大きさに依存した光(発光色)の出射特性を示す図である。同図に示すように、ナノ結晶の大きさの異なる5つの量子ドット(A、B、C、D、E、左から右へ)を同時に波長365nm(紫色光の範囲内である)の入射光によって励起される。そして、この5つの量子ドット(A、B、C、D、E)からの光は、約450nmから約650nmの範囲にあり、即ち、実質的に可視スペクトルの範囲をカバーする異なる波長を有する。言い換えれば、量子ドットからの光は、赤色光(波長が620〜750nm)、緑色光(波長が495〜570nm)、青色光(波長が450〜495nm)の三原色を含むことが可能である。特定の実施形態において、量子ドットの半値幅(full width at half maximum,FWHM)は、約30〜40nmであってもよい。一般的に、量子ドットは、約90%の高い量子収率(quantum yield)を有する。
【0038】
図3Aは、本発明の一実施形態による量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。同図に示すよう、液晶表示装置300は、バックライトモジュール310、量子ドットシート330、液晶素子340、及び液晶素子340上に配置されるカラーフィルタ層350を含んでよい。液晶表示装置300は、偏光シートの代わりに量子ドットシート330を用いることに留意すべきである。特定の実施形態において、液晶表示装置300は、バックライトモジュール310と量子ドットシート330との間の拡散フィルム(図示せず)をさらに含んでもよい。具体的に、バックライトモジュール310は、青色光光源312及び導光板314を含む。特定の実施形態において、バックライトモジュール310は、導光板314の底部の上(即ち、外側の表面)に配置される反射シート(図示せず)をさらに含んでもよい。液晶表示装置300のフィルム層は、例示の目的で提供されることに留意すべきである。フィルム層の大きさや位置が変化してもよい。なお、いくつかのフィルム層の間にセルギャップを有することについて説明するが、液晶表示装置300の実際の構造について、フィルム層の間にセルギャップを有しても有しなくてもよい。
【0039】
図3Aに示すように、青色光光源312は、450nm〜495nmの範囲の波長を有する青色光316を出射するために用いられる。代替実施形態において、光源312は、紫外線光源又は他の適切な光源であってもよい。上述のように、異なる大きさのナノ結晶を有する量子ドットは、RGBの三原色を生成するために用いられることが可能である。したがって、異なる大きさのナノ結晶を有するように量子ドットシート330における量子ドットを配置することにより、量子ドットシート330は、青色光316を入射光として用いてRGBの三原色の光を生成することができる。青色光316が量子ドットシート330を通過することにより、RGBの三原色の光を生成することができる。
【0040】
しかし、単に液晶表示装置300における量子ドットシート330を使用するだけで、液晶表示装置300の光効率を改善することができない。
図3Bは、本発明の一実施形態による量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置の光効率を示す図である。同図は、全米テレビジョン放送方式標準化委員会(National Television System Committee,NTSC)規格に基づいて得たものである。色域が約72%から約109%まで改善することができる(規格化強度の単位なし)。しかし、青色光の量子ドット(B−QD)は、所望の光学性能を維持すれば、緑色光の量子ドット(G−QD)及び赤色光の量子ドット(R−QD)の光効率を向上させることができる。
【0041】
上記説明によれば、本発明の一態様は、液晶表示装置の光効率を向上させるために、量子ドット層及び光遮蔽構造を用いた液晶レンズ表示装置に関する。
【0042】
図4Aは、本発明の一実施形態による光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。同図に示すように、液晶レンズ表示装置400は、バックライトモジュール410及び液晶構造を含む。具体的に、液晶構造は、偏光シート420、第1基板430、液晶層440、光遮蔽構造450、量子ドット層460、カラーフィルタ層470、及び第2基板480を含む。特定の実施形態において、液晶レンズ表示装置400は、第1基板430の内側の表面に配置される複数の第1透明電極442と、液晶層440の第1基板430から遠い側に配置される複数の第2透明電極444とをさらに含んでもよい。つまり、複数の第2透明電極444は、第2基板480の内側の表面に配置され、光遮蔽構造450は、第2基板480とこれらの第2透明電極444との間に挟設される。言い換えれば、液晶層440は、第1基板430と第2透明電極444との間に挟設される。このように、第1基板430及び第2透明電極444は、それぞれ、液晶層440の2つの互いに反対側となる表面(上面及び下面)に配置される。液晶レンズ表示装置400のフィルム層は、例示の目的で提供されることに留意すべきである。フィルム層の大きさや位置が変化してもよい。なお、あるフィルム層の間にセルギャップを有することについて説明するが、液晶レンズ表示装置400の実際の構造について、フィルム層の間にセルギャップを有しても有しなくてもよい。
【0043】
特定の実施形態では、セルギャップを画定するように、第1基板430及び第2基板480は離れて配置されている。特定の実施形態において、第1基板430及び第2基板480は、所望の透明基板材料によって形成されてよい。第1基板430及び第2基板480は、例えば、ガラス、プラスチック基板、又は他の適切な基板などの透明基板であってもよい。
【0044】
バックライトモジュール410は、偏光シート420のセルギャップとは反対側に配置されている。つまり、バックライトモジュール410は、偏光シート420の外側表面の下に配置され、偏光シート420は、第1基板430の外側の表面の下に配置されている。
図4Aに示すよう、バックライトモジュール410は、青色光光源412、反射シート416及び導光構造(光ガイド板又は導光板ともいう)414を含む。青色光光源412は、液晶構造の入射光として青色光ビーム418を放射するために用いられる。代替実施形態において、青色光光源412は、紫外線光源又は他の適切な光源であってもよい。特定の実施形態において、青色光光源412は、青色発光ダイオード(light emitting diode,LED)であってもよい。導光構造414は、青色光ビーム418を偏光シート420に向けて案内するように構成され、反射シート416は、導光構造414の底面の表面の下に配置され、導光構造414においてビーム青色光418を反射するように構成される。特定の実施形態において、反射シート416及び導光構造414は、
図1に示された反射シート116及び導光板114と類似であってもよい。
【0045】
偏光シート420は、第1基板430のセルギャップとは反対側に配置され、即ち、第1基板430の外側の表面の上に配置される。これにより、バックライトモジュール410から出射された青色光ビーム418は、偏光シート420に向かって案内されるように、例えば
図4Aに示す垂直方向などの所定の方向に沿って液晶構造に進入する。つまり、青色光418ビームは、例えば、液晶層440に実質的に垂直な所定方向に沿って液晶構造を進入するように、偏光シート420に向かって案内される。
図1に示す液晶表示装置100と比較して、液晶レンズ表示装置400の第2基板480の外側の表面には、偏光シートが存在しないことに留意すべきである。仮に、液晶レンズ表示装置400の第2基板480の外側の表面上に偏光シートが存在する場合、液晶レンズ表示装置400を通過する光は、その偏光シートによって目に入射する方向からずれてしまい、画質を低下させ、さらに、画像を表示することができなくなる問題を引起す可能性がある。
【0046】
液晶層440は、セルギャップにおいて、複数の表示画素を画定するように、液晶分子によって形成される。具体的に、
図4Aには、1つの表示画素のみが示されている。特定の実施形態において、液晶層の各表示画素は、オン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)と後述するオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)との間で切り替え可能に構成されている。
【0047】
光遮蔽構造450は、セルギャップにおいて液晶層440及び量子ドット層460との間に介在する。つまり、光遮蔽構造450は、第2透明電極444と量子ドット層460との間に位置する。具体的に、光遮蔽構造450は、液晶層440と離れて配置される第1遮蔽層454と、互いに離れて配置される第1遮蔽層454と液晶層440との間に介在する(挟設される)第2遮蔽層452とを含む。言い換えれば、第1遮蔽層454は、液晶層440から遠い位置に配置され、第2遮蔽層452は、液晶層440と第1遮蔽層454との間に配置(挟設)される。具体的に、量子ドット層460は、第2基板480の内側表面上に配置される。第1遮蔽層454は、量子ドット層460上に配置され、第1誘電体層(図示せず)は、第1遮蔽層454を覆うようにその上に配置され、第2誘電体層(図示せず)は、第1誘電体層(図示せず)上に配置される。言い換えれば、第1誘電体層(図示せず)は、第1遮蔽層454と第2遮蔽層452との間に介在し(挟設され)、例えば、第1遮蔽層454及び452は、それぞれ、第1誘電体層の2つの互いに反対側となる表面(上面及び下面)に配置される。第2誘電体層(図示せず)は、第2遮蔽層452と第2透明電極444との間に介在し(挟設され)、例えば、第2遮蔽層452及び第2透明電極444は、それぞれ、第2誘電体層の2つの互いに反対側となる表面(上面及び下面)に配置される。上述したように、液晶層440は、第1透明電極442と第2透明電極444との間に介在し(挟設され)、即ち、第1透明電極442は、第1基板430の内側表面上に配置され、第2透明電極444は、第2遮蔽層452上に配置され、第2遮蔽層452と液晶層440との間に挟設される。特定の実施形態において、第1誘電体層及び第2誘電体層のうち少なくとも一方は、単層又は多層構造を有し、誘電体層の材料としては、無機材料(例えば、シリコン窒化物、シリコン酸化物、又はシリコン酸窒化物)、有機材料(例えば、ベンゾシクロブテン(Benzocyclobutene)、ポリイミド(polyamide)、ポリエステル、又は他の適切なポリマー)、又は他の適切な材料、或いは上記材料の組み合わせが挙げられる。各第1遮蔽層454及び各第2遮蔽層452は、交互に配置された複数の開口部及び複数の遮蔽部を有する。例えば、1つの開口部及び1つの遮蔽部が順に配列され、その後にまた1つの開口部及び1つの遮蔽部が順に配列される。つまり、2つの隣接する開口部の間には、1つの遮蔽部が存在し、2つの隣接する遮蔽部の間には、1つの開口部が存在する。具体的に、第1遮蔽層454は、複数の第1開口部及び第1遮蔽部(黒色で示される)を有し、第1遮蔽層454は、複数の第2開口部及び第2遮蔽部(黒色で示される)を有する。液晶層の各表示画素は、光が第2開口部を通過するように、少なくとも1つの第2開口部に対応している。また、液晶層440(例えば、
図4Aに示す垂直方向)に対して略垂直な第1方向に沿って、第2遮蔽層452の各第2開口部は、第1遮蔽層454の第1遮蔽部のうち1つに対応し、第1遮蔽層454の各第1開口部は、第2遮蔽層452の第2遮蔽部のうち1つに対応している。第2遮蔽層452の各第2開口部は、それが対応する第1遮蔽層454の第1遮蔽部より狭いように配置され、即ち、第2開口の幅は、その第2開口が対応する第1遮蔽部の幅より小さい。一方、第1遮蔽層454の各第1開口部は、それが対応する第2遮蔽層452の第2遮蔽部より狭いように配置され、即ち、第1開口の幅は、その第1開口が対応する第2遮蔽部の幅より小さい。言い換えれば、第1遮蔽層454の各第1開口部と第2遮蔽層452の各第2開口部は、互いに重ならないようにずれて配置されている。同様に、第1遮蔽層454の各第1遮蔽部と第2遮蔽層452の各遮蔽部も、互いにずれて配置されている。これにより、青色光ビームがこの垂直方向に沿って液晶層440を通過すると、青色光は第1遮蔽層454の第1遮蔽部又は第2遮蔽層452の第2遮蔽部のいずれか1つによって遮断される。
【0048】
特定の実施形態において、液晶レンズ表示装置400は、カラーフィルタ層470をさらに含む。量子ドット層460は、セルギャップにおいて、光遮蔽構造450とカラーフィルタ層470との間に位置する(挟設される)。つまり、カラーフィルタ層470及び第1遮蔽層454は、それぞれ、量子ドット層460の2つの互いに反対側となる表面(上面及び下面)上に配置されている。特定の実施形態において、量子ドット層460は、
図3Aに示す量子ドットシート330と類似なものであってもよい。特定の実施形態において、カラーフィルタ層470は、第2基板480の外側表面上に配置されてもよい。特定の実施形態において、異なる大きさのナノ結晶を有するように量子ドット層460における量子ドットを配置することにより、量子ドット層460は、青色光316を入射光として用いてRGBの三原色の光を生成することができる。
【0049】
本実施形態において、カラーフィルタ層470は、量子ドット層460と第2基板480との間に配置されるが、本発明はこれに限定されない。特定の実施形態において、カラーフィルタ層470は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の三原色又は他の色(例えば、黄色や白色)を表示するための複数のカラーフィルタを含むRGBカラーモデルを採用している。カラーフィルタは、三原色を主として混合することであらゆる種類の色を提供するように配置される。
【0050】
上述したように、液晶層440の各表示画素は、第1透明電極442及び第2透明電極444によって、オン状態とオフ状態とに切り替え可能に構成されている。具体的には、第1透明電極442及び第2透明電極444に所望の電圧を提供すると、第1透明電極442と第2透明電極444との間で所定の電圧を得ることができる。電界は、液晶層440の液晶分子が所定のリタデーション(retardation)を有するように液晶分子を駆動することにより、表示画素をオフ状態からオン状態に切り替えることができる。
【0051】
図4Bは、
図4Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオフ状態の場合を示す図である。同図に示すように、表示画素がオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)である場合、青色光ビームが表示画素を通過し、屈折されずに垂直方向に沿って液晶層440の液晶分子を通過する(つまり、第1方向は液晶層440に略垂直である)。この場合、液晶層440を通過した青色光ビームのそれぞれは、第1遮蔽層454の第1遮蔽部及び第2遮蔽層452の第2遮蔽部によって遮断され、量子ドット層460に到達することができない。言い換えれば、表示画素がオフ状態である場合、入射光は、量子ドット層460に到達することができない。
【0052】
図4Cは、
図4Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオン状態の場合を示す図である。同図に示すように、表示画素がオン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)である場合、第1透明電極442及び第2透明電極444は、液晶層440の液晶分子が所定のリタデーションを有するように駆動することにより、液晶レンズ(点線で示される)が形成される。この場合、液晶層440を通過した青色光ビームは、液晶分子によって形成された液晶レンズにより屈折されて所定のリタデーションを有することにより、屈折した青色光の一部は、第2遮蔽層452の第2開口部のうち1つ及び第1遮蔽層454の第1開口部のうち1つを通過して量子ドット層460に到達する。言い換えれば、表示画素がオン状態である場合、青色光の一部は、光遮蔽構造450を通過するように屈折されて量子ドット層460に到達する。
【0053】
図5は、本発明の一実施形態による表示画素がオン状態であるとき、液晶レンズ表示装置の液晶層における液晶分子のリタデーションを示す図である。同図に示すように、第1透明電極442と第2透明電極444との間の所定の電圧差によって生成された電界により、液晶層440の液晶分子446が回転することで、液晶レンズ448(曲線で示される)が形成される。
【0054】
図6Aは、本発明の他の実施形態による光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。液晶レンズ表示装置600は、バックライトモジュール610及び液晶構造を含む。具体的には、液晶構造は、偏光シート620、第1基板630、液晶層640、光遮蔽構造650、量子ドット層660、及び第2基板680を含む。特定の実施形態において、液晶レンズ表示装置600は、第1基板630上に配置される複数の第1透明電極642と、液晶層640の第1基板630から遠い側に配置される複数の第2透明電極644とをさらに含んでもよい。液晶レンズ表示装置600のフィルム層は、例示の目的で提供されることに留意すべきである。フィルム層の大きさや位置が変化してもよい。なお、あるフィルム層の間にセルギャップを有することについて説明するが、液晶レンズ表示装置600の実際の構造について、フィルム層の間にセルギャップを有しても有しなくてもよい。なお、
図6Aに示す液晶レンズ表示装置600は、カラーフィルタ層及び第2基板680の外側表面に設けられる偏光シートを有しないことを除いて、
図4Aに示す液晶レンズ表示装置400とほぼ同じ構造を含む。このため、液晶レンズ表示装置600の構造の詳細は、以下省略する。
【0055】
図6Bは、
図6Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオフ状態の場合を示す図である。同図に示すように、表示画素がオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)である場合、青色光ビームが表示画素を通過し、屈折されずに垂直方向に沿って液晶層640の液晶分子を通過する(つまり、第1方向は液晶層640に略垂直である)。この場合、液晶層640を通過した青色光ビームのそれぞれは、第1遮蔽層654の第1遮蔽部及び第2遮蔽層652の第2遮蔽部によって遮断され、量子ドット層660に到達することができない。言い換えれば、表示画素がオフ状態である場合、入射光は、量子ドット層660に到達することができない。
【0056】
図6Cは、
図6Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオン状態の場合を示す図である。同図に示すように、表示画素がオン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)である場合、第1透明電極642及び第2透明電極644は、液晶層640の液晶分子が所定のリタデーションを有するように駆動することにより、液晶レンズ(点線で示される)が形成される。この場合、液晶層640を通過した青色光ビームは、液晶分子によって形成された液晶レンズにより屈折されて所定のリタデーションを有することにより、屈折した青色光の一部は、第2遮蔽層652の第2開口部のうち1つ及び第1遮蔽層654の第1開口部のうち1つを通過して量子ドット層660に到達する。言い換えれば、表示画素がオン状態である場合、青色光の一部は、光遮蔽構造650を通過するように屈折されて量子ドット層660に到達する。
【0057】
図7Aは、本発明の別の実施形態による光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。同図に示すように、液晶レンズ表示装置700は、バックライトモジュール710及び液晶構造を含む。具体的に、液晶構造は、偏光シート720、第1基板730、液晶層740、光遮蔽構造750、量子ドット層760、カラーフィルタ層770、及び第2基板780を含む。特定の実施形態において、液晶レンズ表示装置700は、第1基板730内側表面上に配置される複数の第1透明電極742と、液晶層740の第1基板730から遠い側に配置される透明共通電極(即ち、第2透明電極)744とをさらに含んでもよい。透明共通電極744は、平面電極(全面電極ともいい、パターン又はスリットが存在しない)である。垂直方向において、第2遮蔽層752の第2遮蔽部及び第1遮蔽層754の第1遮蔽部は、1つの第1透明電極742に対応し、つまり、第2遮蔽層752の第2遮蔽部及び第1遮蔽層754の第1遮蔽部は、1つの第1透明電極742と重なるように配置される。液晶レンズ表示装置700のフィルム層は、例示の目的で提供されることに留意すべきである。フィルム層の大きさや位置が変化してもよい。なお、あるフィルム層の間にセルギャップを有することについて説明するが、液晶レンズ表示装置700の実際の構造について、フィルム層の間にセルギャップを有しても有しなくてもよい。また、
図7Aに示す液晶レンズ表示装置700は、第1透明電極及び第2透明電極が異なること以外、
図4Aに示す液晶レンズ表示装置400とほぼ同じ構造を含む。具体的に、
図7Aに示す液晶レンズ表示装置700と
図4Aに示す液晶レンズ表示装置400の差異点は、
図4Aに示す第2透明電極444の代わりに透明共通電極744を用いる点、及び第1透明電極742の大きさ及び位置が
図4Aに示す第1透明電極442と異なる点にある。このため、液晶レンズ表示装置700の構造の詳細は、以下省略する。
【0058】
図7Bは、
図7Aに示された液晶レンズ表示装置における表示画素がオフ状態である場合を示す図である。同図に示すように、表示画素がオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)である場合、青色光ビームが表示画素を通過し、屈折されずに垂直方向に沿って液晶層740の液晶分子を通過する(つまり、第1方向は液晶層740に略垂直である)。この場合、液晶層740を通過した青色光ビームのそれぞれは、第1遮蔽層754の第1遮蔽部及び第2遮蔽層752の第2遮蔽部によって遮断され、量子ドット層760に到達することができない。言い換えれば、表示画素がオフ状態である場合、入射光は、量子ドット層760に到達することができない。
【0059】
図7Cは、
図7Aに示された液晶レンズ表示装置を示す図で、表示画素がオン状態の場合を示す図である。同図に示すように、表示画素がオン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)である場合、第1透明電極742及び透明共通電極744は、液晶層740の液晶分子が所定のリタデーションを有するように駆動することにより、液晶レンズ(点線で示される)が形成される。この場合、液晶層740を通過した青色光ビームは、液晶分子によって形成された液晶レンズにより屈折されて所定のリタデーションを有することにより、屈折した青色光の一部は、第2遮蔽層752の第2開口部のうち1つ及び第1遮蔽層754の第1開口部のうち1つを通過して量子ドット層760に到達する。言い換えれば、表示画素がオン状態である場合、青色光の一部は、光遮蔽構造750を通過するように屈折されて量子ドット層760に到達する。
【0060】
図8は、本発明の他の実施形態による表示画素がオン状態であるとき、液晶レンズ表示装置の液晶層における液晶分子のリタデーションを示す図である。同図に示すように、第1透明電極742と第2透明電極744との間の所定の電圧差によって生成された電界により、液晶層740の液晶分子746が回転することで、液晶レンズ748(曲線で示される)が形成される。
【0061】
図9Aは、本発明の別の実施形態による表示画素がオン状態であるとき、光遮蔽構造及び量子ドット層を用いた液晶レンズ表示装置を示す断面図である。同図に示すように、液晶レンズ表示装置900は、バックライトモジュール910及び液晶構造を含む。具体的に、液晶構造は、偏光シート920、第1基板930、液晶層940、光遮蔽構造950、量子ドット層960、カラーフィルタ層970、及び第2基板980を含む。
特定の実施形態において、液晶レンズ表示装置900は、第1基板930内側表面上に配置される複数の第1透明電極942と、液晶層940の第1基板930から遠い側に配置される透明共通電極(即ち、第2透明電極)944とをさらに含んでもよい。透明共通電極944は、平面電極(全面電極ともいい、パターン又はスリットが存在しない)である。液晶レンズ表示装置900のフィルム層は、例示の目的で提供されることに留意すべきである。フィルム層の大きさや位置が変化してもよい。なお、あるフィルム層の間にセルギャップを有することについて説明するが、液晶レンズ表示装置900の実際の構造について、フィルム層の間にセルギャップを有しても有しなくてもよい。また、
図9Aに示す液晶レンズ表示装置900は、カラーフィルタ層970の大きさ及び位置が異なる点、及び光遮蔽構造960、液晶層940のリタデーション及び第1透明電極がそれに応じて異なる点以外、
図7Aに示す液晶レンズ表示装置700とほぼ同じ構造を含む。具体的には、
図9Aに示す液晶レンズ表示装置900は、
図7Aに示す液晶レンズ表示装置700とカラーフィルタの異なる配置を有する。例えば、2つの隣接する異なる色を有するカラーフィルタ層970又は量子ドット層960のカラーフィルタとの間に境界が存在し、これら境界は、第1遮蔽層954の一部の第1開口及び第2遮蔽層952の一部の第2遮蔽部に対応している。また、異なる色を有するカラーフィルタ層970又は量子ドット層960における第1遮蔽層954の他の第1開口部は、第2遮蔽層952の他の第2遮蔽部に対応し、つまり、第1遮蔽層954の他の第1開口部は、単一(同一)の色を有するカラーフィルタ層970又は量子ドット層960において、第2遮蔽層952の他の第2遮蔽部に対応している。ただし、第1遮蔽層954の第1遮蔽部は、第2遮蔽層952の第2開口に対応している。言い換えれば、一部(例えば、複数)の第1透明電極942は、第1遮蔽層954の一部の第1開口部に対応している。そのうち、一部の第1開口は、2つの隣接する異なる色を有するカラーフィルタ(例えば、RG、GR又はBR)の境界に位置し、緑色のカラーフィルタの第1遮蔽層954の他の第1開口部は、その他(例えば、1つ)の第1透明電極942に対応している。したがって、第1透明電極942は、液晶層940のリタデーションを変更するように対応して配置され、第1遮蔽層954及び第2遮蔽層952は、屈折された青色光ビームがこれら第2遮蔽層952の第2開口及び第1遮蔽層954の第1開口を確実に通過できるように、対応して配置される。このため、液晶レンズ表示装置900の構造の詳細は、以下省略する。
【0062】
上述したように、液晶レンズ表示装置の構造は、液晶レンズ表示装置の設計及び製造要件に応じて変化し得る。例えば、カラーフィルタ層のカラーフィルタ配置は、より良好な色表示品質を達成するために、ディスプレイの要件に応じて変更することができる。特定の実施形態において、各表示画素は、複数のサブ画素を含み、各副画素は、RGBの光のいずれかを表示するように構成された発光領域を示すカラーフィルタのうち1つに対応することができる。この場合、例えば、遮蔽層や透明電極などの液晶レンズ表示装置の他の構造は、カラーフィルタの配置に対応して配置されてもよい。
【0063】
図9Bは、本発明の一実施形態による液晶レンズ表示装置のカラーフィルタ層及び透明電極を示す図である。
図9Cは、
図9BのA−A線に沿った液晶レンズ表示装置を示す断面図である。
図9C図に示すように、カラーフィルタ層970は、第2基板980の内側表面上に形成される。
図9Bに示すように、カラーフィルタ層970は、複数のカラーフィルタを含み、各カラーフィルタは、RGBの三原色の1つを表す。
図9Bに示すように、この場合、第1遮蔽層954の第1遮蔽部は、例えば、
図4Aに示す2つのカラーフィルタの境界に位置する第1遮蔽部のように、カラーフィルタ層970の2つのカラーフィルタの境界の間に追加して配置されることができる。
図9Aに示す元の第1遮蔽部と追加された第1遮蔽部との間には、光を通過させために第1開口が依然として存在する。ただし、
図9Aにおいて光がいずれかのカラーフィルタを通さないことを回避するように、
図9Bにおける2つのカラーフィルタの境界に追加された第1遮蔽部の幅は、
図4Aにおける2つのカラーフィルタの境界に位置する第1遮蔽部の幅よりも小さい。具体的に、カラーフィルタ層970の2つのカラーフィルタの境界の間に第1遮蔽層954の第1遮蔽部を配置する理由は、混色を回避することにある。屈折又は光ビームがカラーフィルタの境界からずれる場合、屈折又はずれた青色光ビームが誤ったカラーフィルタに入ると、混色が発生する。例えば、屈折光ビームは、赤色のカラーフィルタに入ろうとするが、赤色のカラーフィルタの境界からずれて隣接する緑色のカラーフィルタに進入すると、混色が発生する。カラーフィルタ層970のカラーフィルタの境界の間に第1遮蔽層954の第1遮蔽部を配置することにより、液晶レンズによって屈折された青色光ビームは、指定されたカラーフィルタのみを進入することができ、色混合を回避することができる。
【0064】
上述したように、量子ドット層及び光遮蔽構造を用いることにより、液晶レンズ表示装置は、製造及び組立コストが低いままであるが、高輝度や高コントラストを達成することができ、高い光学効率を維持することができる。
【0065】
図10A〜
図15Aは、本発明の一実施形態による液晶レンズ構造を形成する複数の工程を示す図である。
図10A及び
図10Bに示すように、複数の画素電極1042が形成される。特定の実施形態において、画素電極1042は、
図9Aに示す第1基板930の内側表面上に位置する第1透明電極942と類似である。第1透明電極942は、複数のスリットを有し、各スリットは、2つの隣接する第1透明電極942の間に配置される。
図11に示すように、ブラックマトリックス(black matrix,BM)層1080は、第2基板980の内側表面に形成され、ブラックマトリックス層1080は、2つの隣接する表示画素の境界に配置される。
図12に示すように、第1遮蔽層1054は、第2基板980及びブラックマトリックス層1080上に形成され、複数の第1遮蔽部及び複数の開口部を含む。第1遮蔽部は、第1透明電極942のスリットに対応し、第1開口部は、第1透明電極942に対応している。また、第1透明有機層(第1誘電体層とも称する)1056は、第1遮蔽層1054上に形成される。換言すれば、第1誘電体層1056は、第1遮蔽層1054を覆っている。
図13に示すように、第2遮蔽層1052は、第1誘電体層1056上に形成され、複数の第2遮蔽部及び複数の第2開口部を有し、第1誘電体層1056は、第1遮蔽層1054と第2遮蔽層1052を分離するように配置される。これら第2遮蔽部が第1開口部に対応し、各第2遮蔽部は、2つの隣接する第1遮蔽部(2つの異なる色のカラーフィルタ上に位置する)及びブラックマトリックス層の一部と重なり、これら第2開口は、これら第1遮蔽部に対応している。特定の実施形態において、第1遮蔽層1054及び第2遮蔽層1052によって、光遮蔽構造1050が形成される。また、第2透明有機層(第2誘電体層とも称する)1058は、第2遮蔽層1052上に形成される。つまり、第2誘電体層1058は、第2遮蔽層1052を覆っている。特定の実施形態において、第1誘電体層1056及び第2誘電体層1058の材料としては、上述した有機材料、上述した無機材料又は他の適切な材料、或いはこれらの組み合わせであってもよい。
図14に示すように、透明共通電極(即ち、第2透明電極)1044は、第2誘電体層1058上に形成される。つまり、透明共通電極1044は、第2誘電体層1058、第2遮蔽層1052、第1誘電体層1056、第1遮蔽層1054とブラックマトリックス層1080を覆っている。言い換えれば、透明共通電極1044は、液晶層に近い第2基板980の内側表面上に配置され、第1遮蔽層1054は、液晶層から遠い第2基板980の内側表面上に配置され、第2遮蔽層1052は、第2基板980の内側表面上に配置され、透明共通電極1044と第1遮蔽層1054との間(サンドイッチ構造)に挟設される。特定の実施形態において、透明共通電極1044は、
図7A及び
図9Aに示す透明共通電極944と類似である。また、
図15Aに示すように、画素電極(第1透明電極とも称する)1042と透明共通電極(第2透明電極とも称する)1044との間に、複数の液晶分子を充填することにより、液晶層1040を形成する。透明共通電極1044は、平面電極(全面電極ともいい、パターン又はスリットが存在しない)である。
【0066】
図15Bは、本発明の一実施形態による液晶構造を形成する工程を示すフローチャートである。同図に示すように、ステップ1510では、セルギャップを画定するように第1基板及び第2基板を離れて配置する。ステップ1520では、セルギャップにおいて量子ドット層を形成する。ステップ1530では、セルギャップにおいて第1基板と量子ドット層との間に光遮蔽構造を形成する。特定の実施形態において、上述した実施形態のように、光遮蔽構造は、第1遮蔽層、第1透明有機層(第1誘電体層とも称する)、第2遮蔽層、及び第2透明有機層(第2誘電体層とも称する)を含んでもよい。ステップ1540では、セルギャップにおいて第1基板と光遮蔽構造との間に液晶分子を充填して液晶層を形成する。構造及びフィルム層の詳細について、上記実施形態に記載されている。
【0067】
特定の実施形態において、必要に応じて、液晶構造を形成する工程は、第1基板のセルギャップとは反対側、即ち、第1基板の外側表面上に偏光シートを形成する工程と、量子ドット層と第2基板との間にカラーフィルタ層を形成する工程とを含んでもよい。また、第2基板の外側表面には、偏光シートが存在しない。
【0068】
特定の実施形態において、必要に応じて、液晶構造を形成する工程は、第1基板上に複数の第1透明電極を形成する工程と、液晶層の第1基板から遠い側に複数の第2透明電極を形成する工程と、をさらに含み、各表示画素は、複数の第1透明電極のうち少なくも1つ及び複数の第2透明電極のうち少なくも1つに対応し、各表示画素に対応する第1透明電極と第2透明電極との間に所定の電圧差を提供する場合、各表示画素に対応する第1透明電極及び第2透明電極は、少なくとも1つの液晶レンズが形成されるために表示画素の液晶分子が駆動されて所定のリタデーションを有することにより、表示画素をオン状態に切り替える。
【0069】
図16は、本発明の一実施形態による
図10A〜
図15に示された工程により形成された液晶構造を示す斜視図である。
図17A及び
図17Bは、
図16に示す液晶構造の断面図である。
図17Aには、液晶層がオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)である場合が示される。
図17Bには、液晶層がオン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)である場合が示される。本実施形態において、画素電極(第1透明電極とも称する)1042の駆動電圧は約5Vである。特定の実施形態において、量子ドット層1070、第1遮蔽層1054及び第2遮蔽層1052を備える光遮蔽構造1050、第1誘電体層1056、第2誘電体層1058、第2透明電極1044、液晶層1040、及び第1透明電極1042は、
図10A〜
図15Bに示す上記実施形態で説明したようなものと類似である。
【0070】
上述の液晶レンズ表示装置の実施例に示すように、液晶層によって形成された各液晶レンズは、凸レンズである。表示品質の重要な要因は、液晶レンズの焦点距離Fである。特定の実施形態において、液晶レンズの焦点距離Fは、液晶の異常光屈折率n
e(extraordinary refractive index)を使用して計算することにより得ることができる。特定の実施形態において、屈折率分布(gradient index, GRIN)と液晶レンズの焦点距離Fは、次式によって決定することができる。
【数1】
【数2】
【0071】
rは液晶レンズの曲率半径、nは屈折率分布(単位なし)、n
maxはn
eの最大値(単位なし)、dはセルギャップの距離(μm)、αは定数をそれぞれ示している。これにより、n(r)はrにおける液晶の屈折率である。特定の実施形態において、液晶レンズの曲率半径rは約2〜6μm、セルギャップの距離dは約3〜5μmの範囲内にあり、n
maxは約1.6〜1.8の範囲内にあり、αは約0.15〜0.25(単位なし)の範囲内である。一実施形態においては、曲率半径rは約3.5〜4.1μmの範囲内にあり、セルギャップの距離dは約4μmであり、n
maxは約1.6965であり、αは、約0.2である。
【0072】
図18A及び
図18Bは、液晶層の屈折率を示す図である。
図18Aは、液晶層がオフ状態である場合を示す。
図18Bは、液晶層がオン状態である場合を示す。
図18Aに示すように、液晶層がオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)である場合、すべての液晶分子は、通常屈折率n
o(ordinary refractive index)を有する。
図18Bに示すように、液晶層がオン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)に切り替わると、一部の液晶分子は、異常光屈折率n
eを有することにより、液晶レンズを形成するように、その向きを変更することができる。特定の実施形態では、
図18Bに示す屈折率の図から定数αを得ることができる。特定の実施形態では、例えば、n
oは約1.4871であってもよく、n
eは約1.6965であってもよい。
【0073】
図18Cは、本発明の一実施形態による液晶レンズの焦点距離Fのn
eを算出するためのシミュレートされた液晶分子の配向を示す図である。
図18Dは、本発明の一実施形態によるn
e算出のx−n
eの関係を示す図である。2DiMmosを用いてn
eを計算すると、
図18Aに示すシミュレートされた液晶分子の配向が得られる。
図18Dに示すように、n
oを約1.4871とし、n
eを1.6965とする場合には、4つの特定の位置(P1、P2、P3及びP4)のデータが得られる。n
eの計算に基づいて、以下の結果が得られる。
【表1】
【表2】
【0074】
計算に基づいて、所望の焦点距離Fは、約11μmである。液晶の長さの焦点距離Fが決定されると、光遮蔽構造の第1遮蔽層及び第2遮蔽層の位置もそれに応じて決定することができる。特定の実施形態において、第2遮蔽層は、液晶レンズと第2遮蔽層の第2開口部との間の距離が焦点距離F程度であるように、液晶層から離れて配置されてもよい。言い換えれば、これら第2開口部は、液晶レンズの焦点近傍に配置されている。
【0075】
特定の実施形態において、第1遮蔽層及び第2遮蔽層は、液晶層の各表示画素において、表示画素がオン状態である場合、青色光ビームの一部が、第1開口のうち1つを貫通して量子ドット層に到達する前に、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口のうち1つを貫通するとともに、第1遮蔽層の複数の第1遮蔽部と第2遮蔽層の複数の第2遮蔽部との間に反射されるように配置される。
【0076】
図19は、本発明の一実施形態による光遮蔽構造において、屈折された光は、第1遮蔽層の第1遮蔽部と第2遮蔽層の第2遮蔽部との間に反射される場合を示す図である。同図に示すように、屈折された青色光ビームは、第2遮蔽層1052の第2開口部及びこれら第1開口のうち1つを通過して量子ドット層に到達する前に、第1遮蔽層1054のこれら第1遮蔽部と第2遮蔽層1052の第2遮蔽部との間で反射される。この場合、第1遮蔽層1054の第1遮蔽部の少なくとも一部及び第2遮蔽層1052の第2遮蔽部は、反射材量を含む。これにより、屈折された光は、光学効率が低下することなく、第1遮蔽層1054の第1遮蔽部と第2遮蔽層1052の第2遮蔽部との間で反射されることができる。特定の実施形態において、光遮蔽構造物の大きさは、液晶層の焦点距離Fに基づいて決定される。同図に示すように、例えば、焦点距離Fは約11μmである場合、第1誘電体層1056の厚さD1は約2〜4μm、第2誘電体層1058の厚さD2は約9〜13μm、液晶層1040の厚さD3は約3〜5μm、第1遮蔽層1054の厚さD4は約0.1〜1.0μm、第2遮蔽層1052の厚さD5は約0.1〜1.0μm、透明共通電極1044(第2透明電極とも称する)の厚さD6は約0.05〜0.5μm、画素電極1042(第1透明電極とも称する)の厚さD7は約0.05〜0.5μmである。透明共通電極1044は、平面電極(スリット又はパターンが存在しない)であるが、これに限定されない。一実施形態において、例えば、D1は約3μm、D2は約11μm、D3は約4μm、D4及びD5は約0.3μm、D6びD7は約0.1μmである。
【0077】
特定の実施形態において、第1遮蔽層と第2遮蔽層は、青色光ビームの一部が、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口のうち1つ及び複数の第1開口のうち1つを直接貫通して量子ドット層に到達するように配置される。
【0078】
図20は、本発明の一実施形態による光遮蔽構造において、屈折された光は、第2開口及び第2開口を直接貫通して量子ドット層に到達する場合を示す図である。同図に示すように、屈折された青色光ビームは、第1遮蔽層1054及び第2遮蔽層1052で反射されることなく、第2遮蔽層1052の第2開口及び第1遮蔽層1054の第1開口を直接貫通して量子ドット層1060に到達する。特定の実施形態において、第2遮蔽層1052の第2遮蔽部及び第1遮蔽層1054の第1遮蔽部は、上記実施形態において
図4,
図6,
図7及び
図9に示すような光遮蔽(光遮蔽材料)であってもよいが、光吸収(光吸収材料)であってもよい。特定の実施形態において、光遮蔽構造物の大きさは、液晶層の焦点距離Fに基づいて決定される。同図に示すように、例えば、焦点距離Fは約11μmである場合、第1誘電体層1056の厚さD1は約9〜13μm、第2誘電体層1058の厚さD2は約9〜13μm、液晶層1040の厚さD3は約3〜5μm、第1遮蔽層1054の厚さD4は約0.1〜1.0μm、第2遮蔽層1052の厚さD5は約0.1〜1.0μm、透明共通電極1044(第2透明電極とも称する)の厚さD6は約0.05〜0.5μm、画素電極1042(第1透明電極とも称する)の厚さD7は約0.05〜0.5μmである。一実施形態において、例えば、D1は約11μm、D2は約11μm、D3は約4μm、D4及びD5は約0.3μm、D6びD7は約0.1μmである。
【0079】
特定の実施形態において、上記のような液晶構造及び液晶レンズ表示装置は、任意の表示装置に適用されることができる。例えば、液晶レンズ表示装置は、カラー表示装置、白黒表示装置、又はグレーレベル表示装置であってもよい。
【0080】
要するに、本発明は、液晶構造を有する液晶レンズ表示装置を例示した。液晶構造は、液晶層、光遮蔽構造、及び量子ドット層を含む。液晶層は、複数の表示画素を画定し、液晶層の各表示画素は、オン状態(起動又は有効化ともいう,turned on)とオフ状態(停止又は無効化ともいう,turned off)との間で切り替え可能に構成されている。光遮蔽構造は、液晶層と量子ドット層との間に配置され、複数の第1開口と複数の第1遮蔽部とを有し、液晶層と離れて配置される第1遮蔽層と、複数の第2開口と複数の第2遮蔽部とを有し、互いに離れて配置される第1遮蔽層と液晶層との間に位置する第2遮蔽層とを含む。第1遮蔽層は、複数の第1開口と複数の第1遮蔽部とを有し、第2遮蔽層は、複数の第2開口と複数の第2遮蔽部とを有することにより、液晶層の各表示画素は、少なくとも1つの第2開口に対応し、各第2開口は、複数の第1遮蔽部のうち1つに対応し、液晶層に対して略垂直な第1方向に沿って、複数の第1遮蔽部のうち1つに対応し、各第2開口は、それが対応する第1遮蔽部よりも狭い(小さい)。液晶層の各表示画素について、表示画素がオン状態である場合、表示画素の液晶分子がリタデーションを有することにより液晶レンズが形成される。このように、表示画素を通過した青色光ビームは、少なくとも1つの液晶レンズにより屈折されて複数の第2開口部のうち1つ及び複数の第1開口部のうち1つを通過し、最後に量子ドット層に到達する。表示画素がオフ状態である場合、表示画素の液晶分子は、青色光ビームが屈折されることなく、第1方向に沿って表示画素を通過するようにする。このように、各青色光ビームは、量子ドット層に到達することなく、第1遮蔽層の第1遮蔽部又は第2遮蔽層の第2遮蔽部によって遮断される。
【0081】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明は、単に例示及び説明の目的で提示されており、網羅的であること又は開示された正確な形態に本発明を限定するものではない。多くの修正及び変形が上記の教示に照らして可能である。
【0082】
発明及びその実際応用の原理を解釈するのに、上記具体的な実施例が選択されて詳しく説明した。したがって、当業者であれば本発明のもとで、その実際応用に適する様々な具体的な実施例及び修正を行うことができる。当業者なら本発明の精神及び領域を逸脱しない限り、その他の具体的な実施例を加えることができる。したがって、本発明の範囲は上記具体的な実施例によって限定されず、特許請求の範囲を基準とする。