(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069476
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】計時器暦機構
(51)【国際特許分類】
G04B 19/257 20060101AFI20170123BHJP
G04B 19/253 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
G04B19/257 A
G04B19/253 E
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-245926(P2015-245926)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2016-126008(P2016-126008A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2015年12月17日
(31)【優先権主張番号】14200382.1
(32)【優先日】2014年12月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504341564
【氏名又は名称】モントレー ブレゲ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】エリック,ゲラー
【審査官】
榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許第00430109(GB,B)
【文献】
特開昭51−150365(JP,A)
【文献】
特表2001−519897(JP,A)
【文献】
特開2011−128027(JP,A)
【文献】
実公昭48−015092(JP,Y1)
【文献】
米国特許第05331608(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/00
G04B 19/24 − 257
G04C 3/00
G04C 3/14
G04C 9/00 − 08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段(2)を備える計時器暦機構(100)であって、前記駆動手段(2)は、各月の変更時に、相補駆動手段(3)を駆動するように構成し、前記相補駆動手段(3)は、枢動軸(D)周りに枢動する月カム(1)を駆動するように構成し、前記月カム(1)は、前記暦機構(100)内に構成した月フィーラ・アーム(4)と協働する周縁部(10)を備える、暦機構(100)において、前記月フィーラ・アーム(4)は、常に、前記枢動軸(D)に対して同じ角度位置を占めること、及び前記月カム(1)は、前記枢動軸(D)に対して360°未満の角度区分を覆うこと、及び前記暦機構(100)は、弾性戻り手段を含み、前記弾性戻り手段は、前記月フィーラ・アーム(4)と協働して、前年の最終日が終了すると1年の最初の月の位置に前記月カム(1)を逆移動で瞬時に戻すように構成し、前記月カム(1)は、縁部(18)を備え、前記縁部(18)は、1年の最終日に、前記弾性戻り手段の作用下、前記月カム(1)が逆移動を生じるように、前記暦機構(100)内に構成した偏心停止部材(78)と協働するように構成することを特徴とする、計時器暦機構(100)。
【請求項2】
前記暦機構(100)は、大車(75)を含み、前記大車(75)は、年車セットを形成し、4年で1回転を完了し、リング(71)と一体化し、前記リング(71)は、4つの等距離の年切欠き(72)を備えること、及び1暦年の間、前記切欠き(72)は、ばね(13)内に構成され前記月カム(1)と一体に回転する突起(12)を保持することを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(100)。
【請求項3】
前記偏心停止部材(78)は、前記月カム(1)の前記縁部(18)のための停止部として作用するように構成し、12月の最終日に、前記ばね(13)を切り離して、前記突起(12)が去年留まった前記切欠き(72)を離れ、前記戻り手段の作用下、前記月カム(1)を逆移動させ、新しい年の間、前記突起(12)が次の前記切欠き(72)内に留まるようにすることを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(100)。
【請求項4】
前記暦機構(100)は、12ヶ月スター・ホイール(41)を含み、前記12ヶ月スター・ホイール(41)は、それぞれが傾斜部(42)を含む切欠きを形成する、等しい領域を備え、各月の変更により、前記12ヶ月スター・ホイール(41)を1段前進させて第1のレバー(61)を枢動させ、前記第1のレバー(61)は、ヒンジ留めした枢動フィンガ(63)を備え、前記フィンガ(63)は、前記1段により、中間12ヶ月スター・ホイール(64)を押すように構成し、前記中間12ヶ月スター・ホイール(64)は、ジャンパによって保持し、1年につき1回転を完了し、前記大車(75)を駆動するピニオン(65)と同軸で、一体化していることを特徴とする、請求項2に記載の暦機構(100)。
【請求項5】
前記暦機構(100)は、4年カム(33)及び第2のレバー(91)を備え、前記4年カム(33)は、4年で1回転を完了し、閏年のための4分の1回転にわたる第1の段階上の第1の軌道(34)、及び通常の3年のための4分の3回転にわたる第2の段階上の第2の軌道(35)を含み、前記第2のレバー(91)は、前記4年カム(33)の外形に触れる第1の端部(92)、及び歯付き区分(93)を備える第2の端部を含み、前記歯付き区分(93)は、閏年カムを形成する閏年アーム(95)歯部(94)の枢動を駆動し、前記閏年アーム(95)の遠位端は、前記月カム(1)の前記周縁部(10)の一部分を覆い、前記周縁部(10)の2月のための外形は、28日の月用に構成し、前記閏年アーム(95)と前記月カム(1)との組合せは、2重幅フィーラ・アーム(4)に仮想の29日の月をもたらし、前記2重幅フィーラ・アーム(4)は、前記第2のレバー(91)の前記第1の端部(92)が前記第1の閏年カム(34)を辿るときに、前記周縁部(10)及び前記閏年アーム(95)の前記遠位端の縁部(96)の両方の上に載るように構成することを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(100)。
【請求項6】
前記暦機構(100)は、現在の年を表示する表示手段(5)を含むこと、及び前記月カム(1)の逆戻り移動により、前記表示手段(5)を1単位増分させて翌年を表示することを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(100)。
【請求項7】
前記月カム(1)の前記角度区分は120°未満であることを特徴とする、請求項1に記載の暦機構(100)。
【請求項8】
請求項1に記載の暦機構(100)を駆動するように構成したムーブメント(200)を備える時計(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動手段を含む計時器暦機構であって、駆動手段は、各月の変更時に、相補駆動手段を駆動するように構成し、相補駆動手段は、枢動軸周りを枢動する月カムを駆動するように構成し、前記月カムは、前記暦機構内に構成した月フィーラ・アームと協働する周縁部を有する、計時器暦機構に関する。
【0002】
本発明は、そのような暦機構を駆動するように構成したムーブメントを備える時計も含む。
【0003】
本発明は、時計暦機構の分野に関し、より詳細には、万年暦機構を含む時計暦機構の分野に関する。
【背景技術】
【0004】
最も従来的な日付計時器は、Francois Lecoultre著、Bienne編、時計学版、「Les montres compliquees(複雑時計の案内書(A Guide to Complicated Watches))」という名称の出版物に具体的に記載されている。
【0005】
暦機構において、月カムを保持するラチェット・ホイール又は月スター・ホイールは、各月の変更時に、日にちスネイル・カムと協働するレバーによって駆動され、日にちスネイル・カムの急傾斜の側を横切る際に日にちスネイル・カムを飛び越える。
【0006】
月カムの完全な1回転の周期は、通常、12又は48ヶ月である。
【0007】
この月カムは、その周縁部上に切欠き又は表面を含み、その径寸法は、異なる月の間隔に対応し、かなりの量の空間を占めるが、この空間は、計時器内の他の機構及び複雑機構の空間と常に適合するわけではない。
【0008】
いわゆる万年暦デバイスの機能は、現在の月、より具体的には2月の日数を決定することである。万年機構とは、おおよその概念であり、最も市場で入手可能な機構は、48個の切欠き付き月カム又は12個の位置を有する月カムのいずれかを使用する単純な閏年機構であり、この機構において、2月の位置は、最も公知のデバイスを挙げると、マルタ・クロス又は同様の要素を有する閏年機構を含む。
【0009】
万年暦デバイスの設計には、2つの困難:
−関係する暦の種類の特殊性をどのように考慮に入れ、この特殊性を計時器機構の形態にどのように変換するかということ、及び
−そのような機構が停止した場合にどのように更新するかということ
がある。更新は、建物の天文時計の場合のように、計時器を決して停止してはならないほど非常に複雑であることが多い。閏年を4年周期で管理するだけの、最も基本版の万年グレゴリオ暦の場合でさえ、あらゆる更新は、正確な年及び正確な月に到達させるために最大47回の操作という多数の操作によって達成され、こうした操作は、機構の磨耗をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Les montres compliquees(複雑時計の案内書(A Guide to Complicated Watches))」Francois Lecoultre著、Bienne編、時計学版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、具体的には万年暦を含む時計暦機構の嵩を最少にすることを提案し、これにより、通常の閏年を可能にする一方で、時計の停止後にユーザに要求する更新動作の数を減らす。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的で、本発明は、駆動手段を備える計時器暦機構であって、駆動手段は、各月の変更時に、相補駆動手段を駆動するように構成し、相補駆動手段は、枢動軸周りに枢動する月カムを駆動するように構成し、前記月カムは、前記暦機構内に構成した月フィーラ・アームと協働する周縁部を有する、暦機構において、前記月フィーラ・アームは、常に、前記枢動軸に対して同じ角度位置を占めること、及び前記月カムは、前記枢動軸に対して360°未満の角度区分を覆うこと、及び前記暦機構は、弾性戻り手段を含み、弾性戻り手段は、前記月フィーラ・アームと協働して、前年の最終日が終了すると1年の最初の月の位置に前記月カムを逆移動で瞬時に戻すように構成し、前記月カムは、縁部を含み、縁部は、1年の最終日に、前記弾性戻り手段の作用下、前記月カムの逆移動を制御するように、前記暦機構内に構成した偏心停止部材と協働するように構成することを特徴とする、暦機構に関する。
【0013】
本発明は、そのような暦機構を駆動するように構成したムーブメントを含む時計を更に含む。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】暦機構における通常の月フィーラ・アームを図示しない、本発明による暦機構の様々な角度からの概略部分拡大斜視図である。
【
図2】暦機構における通常の月フィーラ・アームを図示しない、本発明による暦機構の様々な角度からの概略部分拡大斜視図である。
【
図3】暦機構における通常の月フィーラ・アームを図示しない、本発明による暦機構の様々な角度からの概略部分拡大斜視図である。
【
図4】暦機構における通常の月フィーラ・アームを図示しない、本発明による暦機構の様々な角度からの概略部分拡大斜視図である。
【
図5】
図1から
図4と同じ機構の組立図であり、レバー端部は、閏年に対応する4年カム軌道に触れる位置にある一方で、レバーのフィーラ・フィンガは、12ヶ月スター・ホイールの切欠き内の月変更傾斜部の底部の位置にある。
【
図6】
図1から
図4と同じ機構の組立図であり、レバー端部は、閏年に対応する4年カム軌道に触れる位置にある一方で、レバーのフィーラ・フィンガは、12ヶ月スター・ホイールの切欠き内の月変更傾斜部の底部の位置にある。
【
図7】
図1から
図4と同じ機構の組立図であり、レバー端部は、閏年に対応する4年カム軌道に触れる位置にある一方で、レバーのフィーラ・フィンガは、12ヶ月スター・ホイールの切欠き内の月変更傾斜部の底部の位置にある。
【
図8】同じ機構の概略正面図であり、月フィーラ・アームの端部は、月カムの周縁部内に構成される2月の切欠きに面しており、月カムの近傍に、年末にこの月カムを逆に移動させるように構成した偏心停止部材を配置する。
【
図9】月カムが逆に戻った後の、1月に対応する最初の初期位置における破線、及び逆ジャンプ直前の瞬間の、
図8の偏心停止部材に直に近接する12月末の実線における、月カムの概略正面図である。
【
図10】月表示手段を含む暦機構を駆動するように構成したムーブメントを含む時計を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、駆動手段2を備える計時器暦機構100であって、駆動手段2は、各月の変更時に、相補駆動手段3を駆動するように構成し、相補駆動手段3は、枢動軸D周りに枢動する月カム1を駆動するように構成した、計時器暦機構100に関する。
【0017】
この月カム1は、暦機構100内に構成した月フィーラ・アーム4と協働する周縁部10を含む。非限定的な特定の様式では、この周縁部は、月の長さに従って異なる径寸法の区分を含み、したがって、複数の切欠きを含む。
【0018】
月フィーラ・アーム4は、常に、枢動軸Dに対して同じ角度位置を占め、月カム1は、枢動軸Dに対して360°未満の角度区分を覆う。
【0019】
特定の実施形態では、この角度区分は、120°未満である。
【0020】
図面に示すより特定の実施形態では、この角度区分は、90°未満である。
【0021】
暦機構100は、弾性戻り手段を含み、弾性戻り手段は、月フィーラ4と協働して、前年の最終日が終了すると1年の最初の月の位置に月カム1を逆移動で瞬時に戻すように構成する。
【0022】
月カム1は、縁部18を含み、縁部18は、1年の最終日に、弾性戻り手段の作用下、月カム1が逆移動を生じるように、暦機構100内に構成した偏心停止部材78と協働するように構成する。
【0023】
本発明は、本発明に従ったそのような暦機構100を駆動するように構成したムーブメント200を含む計時器300にも関する。
【0024】
このムーブメント200は、非限定実施例における計時器の機械部品が、単なる時間表示機能、及びクロノグラフ、時間帯等の関連機能又は他の機能、及び本発明の暦機構100に限定できる場合、等しく、機械式ムーブメントであっても、電子式ムーブメントであってもよく、本発明の暦機構100は、骨格的実施形態若しくは同様の実施形態内で強化できる。
【0025】
したがって、暦機構100の作動は、計時器ムーブメント200によって制御し、計時器ムーブメント200は、特に心棒20を含む駆動手段2の回転を制御する。
【0026】
図面に示す非限定的な特定の実施形態では、暦機構100は、円筒組立体50を含み、円筒組立体50は、月表示のための月胴部40及び4年周期にわたる通常の閏年表示のための閏年胴部30を備え、これらは、軸Cに沿って同軸であり、それぞれ前記軸C周りに回転自由に組み付けられる。
【0027】
より一般的には、暦機構100は、本発明を実施するために、6ヶ月又は12ヶ月で1回転を完了する少なくとも1つの車セット、及び4年で1回転を完了する別の車セットを含む。
【0028】
心棒20は、摺動歯車を案内する平坦部分、溝部又は同様のものを有する駆動面21を有し、摺動歯車は、心棒20の方向Aに長手方向に移動できる。図面の非限定例では、心棒20は、第1の摺動ウルフティース歯車23及び第2の摺動ウルフティース歯車24を連続して支持する。この第2の摺動ウルフティース歯車24は、自由回転する第1の摺動車セットの組合せと協働するように構成し、第1の摺動車セットの組合せは、第2の摺動ウルフティース歯車24を捕捉するようなウルフティース25、及び第1のピニオン26を備える。自由回転する第2の摺動車セットの組合せは、第2のピニオン28及び別のウルフティース27を備える。
【0029】
第1の摺動車セット及び第2の摺動車セットは、自由回転するように心棒20上に組み付け、第1の摺動ウルフティース歯車23及び第2の摺動ウルフティース歯車24のみが心棒20の駆動面21によって駆動される。レバー(図示せず)は、第1の摺動車セット及び第2の摺動車セットと、円筒組立体50内に構成した車45及び36のそれぞれとを係合させても、させなくてもよい。第1の摺動ウルフティース歯車23及び第2の摺動ウルフティース歯車24は、接触位置で、第1のピニオン26を備える第1の摺動車セットを回転駆動するように構成する。第1の摺動ウルフティース歯車23及び第2の摺動ウルフティース歯車24はそれぞれ、レバーを有する時間設定機構と同様に、溝でこれらの長手方向移動を制御するように配置する。
【0030】
月胴部40は、第1の端部フランジ43を含み、第1の端部フランジ43は、第1のピニオン26が適切な位置にあるとき、第1のピニオン26が駆動する車45と一体的に回転する。駆動車45は、6ヶ月で1回転を完了する。
【0031】
月胴部40は、第1の端部フランジ43と一体的に回転する第2の端部フランジ49も含む。例示する非限定変形形態では、第2の端部フランジ49及び第1の端部フランジ43は、実質的に平坦な枢動ブレード48のセットを支持し、枢動ブレード48は、ピン48によってフランジ内で枢動される。2つの連続するブレード47の一方は、1年の月名の上半分を支持し、もう一方は、下半分を支持して、開口内に月名を表示する。したがって、12個のブレード47は、12の暦月のうち6個を表示でき、他の6ヶ月は、ブレードのもう一方の側で読むことができ、ブレードは、一年の途中で又は月の変更時に枢動する。これは、例えば、各ブレードが地板又は受け上の切替え案内部上を通過したときに、月胴部40内側でブレードに直接作用するカムの作用、又は月胴部40外側で、関連するブレード47と一体に、ピン44、48と一体であるレバーを枢動するカムの作用による。
【0032】
第2の端部フランジ49は、ウルフティースを有する12ヶ月スター・ホイール41を支持し、図示の変形形態では、12ヶ月スター・ホイール41は、それぞれが月変更傾斜部42を含む切欠きを形成する6個の等しい領域を備える。各月変更傾斜部は、6分の1回転にわたってスター・ホイール41を1段前進させる。
【0033】
この12ヶ月スター・ホイール41と協働する相補駆動手段3は、フィンガ63を備える第1のレバー61を含み、フィンガ63は、中間12ヶ月スター・ホイール64を作動するように構成し、中間12ヶ月スター・ホイール64は、ピニオン65を介して大車75の駆動を制御する。
【0034】
第1のレバー61は、地板又は同様のものの上で枢動するように組み付け、フィーラ・フィンガ62を保持し、フィーラ・フィンガ62は、スター・ホイール41と協働し、スター・ホイール41の中に構成した切欠きを辿る。フィーラ・フィンガ62が各月末に傾斜部42に乗り上げると、この傾斜部は、第1のレバー61を傾け、枢動させ、第1のレバー61は、その反対端部で、ばね(図示せず)によって戻る、ヒンジ留めした枢動フィンガ63を駆動する。次に、このフィンガ63は、1段により、ジャンパ(図示せず)が保持する中間12ヶ月スター・ホイール64を押し、1年につき1回転を完了する。
【0035】
中間12ヶ月スター・ホイール64は、ピニオン65と同軸で、一体化しており、ピニオン65は、4年切欠き72を含むリング71と一体化する大車75を駆動する。この大車75は、4年で1回転を完了する、年車セットを形成する。
【0036】
月カム1は、本明細書ではレトログレード式12ヶ月カムであり、大車75内で枢動するハブ11と一体化している。月カム1は、渦巻ばね又は同様の要素(図示せず)によって、月フィーラ・アーム4が1月に対応する周縁部10の基本面と協働する角度位置に向かって戻ることを目的とする。月カム1は、直接又は図示のようにハブ11によって、突起12を含むばね13とも協働し、これにより、各年で突起12をリング71の4つの切欠き72のうち1つと協働させ、切欠きを毎年変更させる。
【0037】
要するに、暦機構100は、大車75を含み、大車75は、年車セットを形成し、4年で1回転を完了し、リング71と一体化し、リング71は、4つの等距離の年切欠き72を備え、1暦年の間、切欠き72は、ばね13内に構成し月カム1と一体に回転する突起12を保持する。
【0038】
所与の年の間、月カム1は、フィーラ・アームのくちばし部63が中間12ヶ月スター・ホイール64を駆動するたびに大車75によって駆動される。
【0039】
実際には、年末、即ち12月の最終日に、反時計回りに回転する月カム1の縁部18は、偏心停止部材78に当接し、偏心停止部材78は、月カム1を解放し、ばね13を切り離すことにより突起12が切欠き72を離れる。その戻りばねの作用下、月カム1は、時計回りに戻り、次の切欠き72内に留まり、こうして別の年が開始される。
【0040】
要するに、暦機構100は、月カム1の縁部18のための停止部として作用するように構成した偏心停止部材78を備え、12月の最終日に、ばね13を切り離して、突起12が去年留まった切欠き72を離れ、順番に、その戻り手段(図示せず)の作用下、月カム1を逆移動させ、新しい年の間、突起12が次の切欠き72内に留まるようにする。
【0041】
本明細書では、表示胴部32を備える閏年胴部30を有する暦機構100を図示し、表示胴部32は、4年周期にわたる通常の年又は閏年(文字Bで表す)を表示するように構成する。この表示胴部32は、摺動ピニオン用切離しレバー、及び他の12ヶ月カム及び4年カムを駆動するレバー(図示せず)を作動させるために、第1の側で歯付き車36及びカム37と一体化しており、第2の側で4年カム33と一体化している。
【0042】
したがって、本発明の特定の変形形態では、閏年胴部30は、4年カム33を含み、4年カム33は、4年で1回転を完了し、閏年のための4分の1回転にわたる第1の段階上の第1の軌道34、及び通常の3年のための4分の3回転にわたる第2の段階上の第2の軌道35を含む。第2のレバー91は、4年カム33の外形に触れる第1の端部92、及び歯付き区分93を備える第2の端部を含む。
【0043】
この歯付き区分93は、閏年カムを形成する閏年アーム95を枢動し、閏年アーム95は、月カム1の周縁部10の切欠きの一部分を覆う遠位端を有する。有利には、この周縁部10の2月の切欠きは、28日の月用に作成する。閏年アーム95と月カム1との組合せは、2重幅フィーラ・アーム4に仮想の29日の月をもたらし、2重幅フィーラ・アーム4は、第2のレバー91の第1の端部92が第1の閏年軌道34を辿るときに、周縁部10及び閏年アーム95の縁部96の両方の上に載るように構成する。
【0044】
要するに、暦機構100は、4年カム33を含み、4年カム33は、4年で1回転を完了し、閏年のための4分の1回転にわたる第1の段階上の第1の軌道34、及び通常の3年のための4分の3回転にわたる第2の段階上の第2の軌道35を含む。暦機構100は、第2のレバー91も含み、第2のレバー91は、4年カム33の外形に触れる第1の端部92、及び歯付き区分93を備える第2の端部を含み、歯付き区分93は、閏年カムを形成する閏年アーム95の歯部94の枢動を駆動する。閏年アーム95の遠位端は、月カム1の周縁部10の一部分を覆い、2月の外形は、28日の月用に構成する。閏年アーム95と月カム1との組合せは、2重幅フィーラ・アーム4に仮想の29日の月をもたらし、2重幅フィーラ・アーム4は、第2のレバー91の第1の端部92が第1の閏年軌道34を辿るときに、周縁部10及び閏年アーム95の遠位端の縁部96の両方の上に載るように構成する。
【0045】
本発明は、年の表示も可能にする。したがって、暦機構100は、現在の年を表示するための表示手段5を含み、月カム1の逆戻り移動により、表示手段5を1単位増分させて翌年を表示する。この増分は、特に、12月31日から新年1月1日への変更時に、例えば、第1の摺動ウルフティース歯車23をウルフティース27を備える第2の摺動車セットに結合するレバーを駆動するカムによって実施できる。
【0046】
本発明は、かなりの空間節約を可能にする。月カムの駆動モードは、非常に特殊であり、エネルギーを一切浪費しない。
【0047】
更新の実施にユーザが行う動作の数は、12ヶ月を覆う月カム1の使用のために、従来の暦機構の47回の動作の代わりに最大13回の動作まで減る。
【符号の説明】
【0048】
1 月カム
2 駆動手段
3 相補駆動手段
4 月フィーラ・アーム
10 周縁部
12 突起
13 ばね
18 縁部
78 偏心停止部材
71 リング
75 大車
72 年切欠き
100 計時器暦機構