【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成の装置では、ヒンジ機構の構造が複雑になり、部品点数も増えるので、コスト高になる課題がある。
【0006】
また、ヒンジ機構の他の一例として、くさび部材のくさび作用を利用してタッチパネルユニットを任意の引き起こし位置でロック状態に固定するロック機構部が考えられている。
図12は、このくさび部材のくさび作用を利用するロック装置1の一例を示す。さらに、
図1および
図2は、このロック装置1を使用した電子機器の一例を示す。この電子機器は、一面側にタッチパネル2が配置されたタッチパネルユニット3と、このタッチパネルユニット3を支持する固定台4とを備えている。タッチパネルユニット3の一端部は、固定台4に対してヒンジ機構5を介して回動軸6を中心に回動可能に支持されている。
【0007】
そして、タッチパネルユニット3が固定台4に対して回動軸6を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした回動位置でロック状態に固定して使用する。ロック装置1は、例えば、
図12に示すように固定台4に固定されたほぼL字状の支持部材7と、タッチパネルユニット3側の支持台8(
図1および
図14参照)に固定されたほぼL字状のヒンジ部材9と、回動軸6を有する連結部10と、ロック機構部11とを具備する。支持部材7は、固定台4に固定された平板状の第1の固定部7aと、第1の固定部7aからほぼ直交する方向に屈曲された第1の立設部7bとを有する。ヒンジ部材9は、タッチパネルユニット3側の支持台8に固定された平板状の第2の固定部9aと、第2の固定部9aからほぼ直交する方向に屈曲された第2の立設部9bとを有する。連結部10は、回動軸6によって第1の立設部7bと第2の立設部9bとの間を回動可能に連結する。
【0008】
ロック機構部11は、支持部材7とヒンジ部材9との間に装着され、固定台4に対してタッチパネルユニット3を任意の引き起こし角度に引き起こした引き起こし位置でロック状態に固定する。このロック機構部11は、くさび受部12と、くさびガイド部13と、くさび部材14と、ブロック部材15とを具備する。
【0009】
ヒンジ部材9の第2の立設部9bの
図13中で上端部には、回動軸6の連結部の近傍位置に第2の固定部9aと平行な直線状の端縁部9b1が形成されている。この端縁部9b1によってくさび受部12が形成されている。
【0010】
支持部材7側の第1の立設部7bの
図13中で上端部には、ヒンジ部材9側のくさび受部12と対向する位置にくさびガイド部13が設けられている。このくさびガイド部13は、
図13に示すように平板状のガイド板13aと、このガイド板13aの
図13中で下面側に突設された係合凸部13bとを有する。この係合凸部13bは、支持部材7側の第1の立設部7bの
図13中で上端部に形成された係合溝7b1に係合可能になっている。そして、
図12に示すようにくさびガイド部13は、係合凸部13bが係合溝7b1に係合された状態で立設部7bに溶接によって固定されている。このようにくさびガイド部13が支持部材7側に固定された状態で、くさびガイド部13のガイド板13aの下面と、くさび受部12との間にくさび挿入用の隙間S1(
図14参照)を形成する。
【0011】
くさび部材14は、
図12、
図14に示すように上面側にくさびガイド部13と摺接する直線状の接触部14aが形成されている。くさび部材14の下面側には、先端側に向かうにしたがって先細になるテーパー面14bが形成されている。さらに、くさび部材14の基端部には、操作用の凸部14cが上向きに突設されている。
【0012】
ブロック部材15は、
図12、
図14に示すように上面側にくさび部材14の下面と摺接するガイド溝15aが形成されている。くさび部材14は、このブロック部材15のガイド溝15aの上に配置されている。これにより、ブロック部材15は、くさび部材14を回動軸6の中心軸と同方向にスライド可能に支持する。そして、
図14に示すようにくさび部材14の先端部は、くさび受部12とくさびガイド部13との間に挿入される状態で配置される。
【0013】
図1および
図2の電子機器は、タッチパネルユニット3が固定台4に対して回動軸6を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした任意の回動位置まで回動可能に支持されている。このタッチパネルユニット3の回動動作時には、タッチパネルユニット3側の支持台8に固定されているヒンジ部材9がタッチパネルユニット3と一体的に移動する。そのため、このヒンジ部材9の移動にともないくさびガイド部13のガイド板13aの下面と、くさび受部12との間の隙間S1の大きさが拡大する方向に変化する。
【0014】
そして、タッチパネルユニット3を固定台4に対して任意の引き起こし角度まで引き起こした任意の回動位置で、くさび部材14を
図14中で左方向にスライド操作して、隙間S1の中に圧入する。これにより、くさび部材14のテーパー面14bとヒンジ部材9のくさび受部12との間で、くさび作用が働き、タッチパネルユニット3が任意の引き起こし位置でロック状態に固定される。
【0015】
しかしながら、上記構成のロック装置1では、支持部材7側の第1の立設部7bの
図13中で上端部に形成された係合溝7b1にくさびガイド部13の係合凸部13bが係合された状態で立設部7bに溶接によって固定されている。この場合、支持部材7側の第1の立設部7bとくさびガイド部13との組み付け位置を高精度に保持することが難しい。そのため、例えばくさびガイド部13の溶接時の歪みや、組み付け誤差などにより、くさび部材14のスライド動作が円滑に行えなくなる可能性がある。この場合は、例えば、ブロック部材15のガイド溝15aにおけるくさび部材14との摺接面に潤滑用のテープなどを貼り付け、くさび部材14の上下方向、左右方向のクリアランス調整を行う。具体的には、テープの貼り付け枚数や、テープの貼り付け場所を微調整するなど、煩雑な調整作業が必要になる可能性がある。また、くさび部材14側におけるガイド溝15aとの接触面側を研磨する場合もあり、クリアランス調整が一層、煩雑になるなどの課題がある。
【0016】
実施形態は、上記事情を考慮してなされたもので、ヒンジ機構の構造を簡素化することができるとともに、くさび部材のくさび作用を利用するロック機構部の製作精度を高めることができ、くさび部材のスライド動作を円滑に行なうことができるタッチパネルのロック構造を提供することが課題である。