特許第6069477号(P6069477)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6069477
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】タッチパネルのロック構造
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/10 20060101AFI20170123BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F16C11/10 A
   F16C11/04 F
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-248817(P2015-248817)
(22)【出願日】2015年12月21日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221155
【氏名又は名称】東芝電波プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】本間 元輝
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 貴孝
(72)【発明者】
【氏名】荘山 芳弘
【審査官】 尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−169901(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3078557(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00−11/12
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側にタッチパネルが配置されたタッチパネルユニットの一端部が固定台に対して回動軸を中心に回動可能に支持され、前記タッチパネルユニットが前記固定台に対して前記回動軸を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした回動位置でロック状態に固定して使用する電子機器に使用されるタッチパネルのロック装置であって、
前記固定台に固定された平板状の第1の固定部と、前記第1の固定部からほぼ直交する方向に屈曲された第1の立設部とを有するほぼL字状の支持部材と、
前記タッチパネルユニット側の支持台に固定された平板状の第2の固定部と、前記第2の固定部からほぼ直交する方向に屈曲された第2の立設部とを有するほぼL字状のヒンジ部材と、
前記第1の立設部と前記第2の立設部との間に前記回動軸が挿通され、前記回動軸によって前記第1の立設部と前記第2の立設部との間を回動可能に連結する連結部と、
前記支持部材と前記ヒンジ部材との間に装着され、前記固定台に対して前記タッチパネルユニットを前記任意の引き起こし角度に引き起こした引き起こし位置でロック状態に固定するロック機構部とを具備し、
前記ロック機構部は、前記第2の立設部における前記連結部の近傍位置に設けられたくさび受部と、
前記支持部材側の前記くさび受部と対向する位置に設けられ、前記くさび受部との間にくさび挿入用の隙間を形成するくさびガイド部と、
前記くさび受部と前記くさびガイド部との間に配置され、前記タッチパネルユニットを任意の引き起こし位置でくさび作用によりロック状態に固定するくさび部材と、
前記固定台側に設けられ、前記くさび部材を前記回動軸の中心軸と同方向にスライド可能に支持するブロック部材とを具備し、
前記くさびガイド部と前記ブロック部材とを一体化したことを特徴とするタッチパネルのロック構造。
【請求項2】
前記ブロック部材は、前記くさび部材の下面と摺接する下面ガイドと、前記くさび部材の上面と摺接する上面ガイドとを有し、
前記上面ガイドは、前記くさびガイド部によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルのロック構造。
【請求項3】
前記くさび部材は、上面側に前記くさびガイド部と摺接する直線状の接触部が形成され、先端側に向かうにしたがって先細になるテーパー面が下面側に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルのロック構造。
【請求項4】
前記くさび部材は、前記接触部の基端部側に操作用の凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネルのロック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タッチパネルのロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の一例として、例えば、タッチパネルを備えたディスプレイ部を本体部にヒンジ機構によって回転自在に結合して、ディスプレイ部を本体部に対して開閉させて使用するものがある。上記従来構成の装置のヒンジ機構の一例として、ディスプレイ部に設けられたヒンジ回転軸が本体部側の接続部に突設されたブラケットに回転自在に保持され、ヒンジ回転軸とブラケットの保持孔との間にヒンジトルク発生部が形成される構成のものがある。ヒンジトルク発生部は、ヒンジ回転軸とブラケットの保持孔との間に、リング状の摩擦板と、複数の皿バネとが挿通され、皿バネが圧縮された状態でヒンジ回転軸の自由端部に加圧板が取り付けられて形成されている。これにより、ディスプレイ接続部に設けられたヒンジ回転軸が本体部側のブラケットに回転自在に保持されている。
【0003】
上記ヒンジトルク発生部は、加圧板で複数枚の皿バネを圧縮して発生させるバネ力により、皿バネに隣接する摩擦板の側面を本体部側のブラケットの一方の側面に圧接し、本体部側の接続部に隣接する摩擦板の側面をブラケットの他方の側面に圧接する。2枚の摩擦板と本体部側のブラケットとが圧接されることによって、本体部側とディスプレイ接続部との間に摩擦力が生じてヒンジトルクが発生する。このヒンジトルクによって、ディスプレイ部を本体部に対して開いた時に、ディスプレイ部を任意の開き角度に保持する構成になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−98937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成の装置では、ヒンジ機構の構造が複雑になり、部品点数も増えるので、コスト高になる課題がある。
【0006】
また、ヒンジ機構の他の一例として、くさび部材のくさび作用を利用してタッチパネルユニットを任意の引き起こし位置でロック状態に固定するロック機構部が考えられている。図12は、このくさび部材のくさび作用を利用するロック装置1の一例を示す。さらに、図1および図2は、このロック装置1を使用した電子機器の一例を示す。この電子機器は、一面側にタッチパネル2が配置されたタッチパネルユニット3と、このタッチパネルユニット3を支持する固定台4とを備えている。タッチパネルユニット3の一端部は、固定台4に対してヒンジ機構5を介して回動軸6を中心に回動可能に支持されている。
【0007】
そして、タッチパネルユニット3が固定台4に対して回動軸6を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした回動位置でロック状態に固定して使用する。ロック装置1は、例えば、図12に示すように固定台4に固定されたほぼL字状の支持部材7と、タッチパネルユニット3側の支持台8(図1および図14参照)に固定されたほぼL字状のヒンジ部材9と、回動軸6を有する連結部10と、ロック機構部11とを具備する。支持部材7は、固定台4に固定された平板状の第1の固定部7aと、第1の固定部7aからほぼ直交する方向に屈曲された第1の立設部7bとを有する。ヒンジ部材9は、タッチパネルユニット3側の支持台8に固定された平板状の第2の固定部9aと、第2の固定部9aからほぼ直交する方向に屈曲された第2の立設部9bとを有する。連結部10は、回動軸6によって第1の立設部7bと第2の立設部9bとの間を回動可能に連結する。
【0008】
ロック機構部11は、支持部材7とヒンジ部材9との間に装着され、固定台4に対してタッチパネルユニット3を任意の引き起こし角度に引き起こした引き起こし位置でロック状態に固定する。このロック機構部11は、くさび受部12と、くさびガイド部13と、くさび部材14と、ブロック部材15とを具備する。
【0009】
ヒンジ部材9の第2の立設部9bの図13中で上端部には、回動軸6の連結部の近傍位置に第2の固定部9aと平行な直線状の端縁部9b1が形成されている。この端縁部9b1によってくさび受部12が形成されている。
【0010】
支持部材7側の第1の立設部7bの図13中で上端部には、ヒンジ部材9側のくさび受部12と対向する位置にくさびガイド部13が設けられている。このくさびガイド部13は、図13に示すように平板状のガイド板13aと、このガイド板13aの図13中で下面側に突設された係合凸部13bとを有する。この係合凸部13bは、支持部材7側の第1の立設部7bの図13中で上端部に形成された係合溝7b1に係合可能になっている。そして、図12に示すようにくさびガイド部13は、係合凸部13bが係合溝7b1に係合された状態で立設部7bに溶接によって固定されている。このようにくさびガイド部13が支持部材7側に固定された状態で、くさびガイド部13のガイド板13aの下面と、くさび受部12との間にくさび挿入用の隙間S1(図14参照)を形成する。
【0011】
くさび部材14は、図12図14に示すように上面側にくさびガイド部13と摺接する直線状の接触部14aが形成されている。くさび部材14の下面側には、先端側に向かうにしたがって先細になるテーパー面14bが形成されている。さらに、くさび部材14の基端部には、操作用の凸部14cが上向きに突設されている。
【0012】
ブロック部材15は、図12図14に示すように上面側にくさび部材14の下面と摺接するガイド溝15aが形成されている。くさび部材14は、このブロック部材15のガイド溝15aの上に配置されている。これにより、ブロック部材15は、くさび部材14を回動軸6の中心軸と同方向にスライド可能に支持する。そして、図14に示すようにくさび部材14の先端部は、くさび受部12とくさびガイド部13との間に挿入される状態で配置される。
【0013】
図1および図2の電子機器は、タッチパネルユニット3が固定台4に対して回動軸6を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした任意の回動位置まで回動可能に支持されている。このタッチパネルユニット3の回動動作時には、タッチパネルユニット3側の支持台8に固定されているヒンジ部材9がタッチパネルユニット3と一体的に移動する。そのため、このヒンジ部材9の移動にともないくさびガイド部13のガイド板13aの下面と、くさび受部12との間の隙間S1の大きさが拡大する方向に変化する。
【0014】
そして、タッチパネルユニット3を固定台4に対して任意の引き起こし角度まで引き起こした任意の回動位置で、くさび部材14を図14中で左方向にスライド操作して、隙間S1の中に圧入する。これにより、くさび部材14のテーパー面14bとヒンジ部材9のくさび受部12との間で、くさび作用が働き、タッチパネルユニット3が任意の引き起こし位置でロック状態に固定される。
【0015】
しかしながら、上記構成のロック装置1では、支持部材7側の第1の立設部7bの図13中で上端部に形成された係合溝7b1にくさびガイド部13の係合凸部13bが係合された状態で立設部7bに溶接によって固定されている。この場合、支持部材7側の第1の立設部7bとくさびガイド部13との組み付け位置を高精度に保持することが難しい。そのため、例えばくさびガイド部13の溶接時の歪みや、組み付け誤差などにより、くさび部材14のスライド動作が円滑に行えなくなる可能性がある。この場合は、例えば、ブロック部材15のガイド溝15aにおけるくさび部材14との摺接面に潤滑用のテープなどを貼り付け、くさび部材14の上下方向、左右方向のクリアランス調整を行う。具体的には、テープの貼り付け枚数や、テープの貼り付け場所を微調整するなど、煩雑な調整作業が必要になる可能性がある。また、くさび部材14側におけるガイド溝15aとの接触面側を研磨する場合もあり、クリアランス調整が一層、煩雑になるなどの課題がある。
【0016】
実施形態は、上記事情を考慮してなされたもので、ヒンジ機構の構造を簡素化することができるとともに、くさび部材のくさび作用を利用するロック機構部の製作精度を高めることができ、くさび部材のスライド動作を円滑に行なうことができるタッチパネルのロック構造を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
実施形態のタッチパネルのロック構造は、タッチパネルユニットが固定台に対して回動軸を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした回動位置でロック状態に固定して使用する電子機器に使用される。ほぼL字状の支持部材と、ほぼL字状のヒンジ部材と、連結部と、ロック機構部とを具備する。ロック機構部は、くさび受部と、くさびガイド部と、くさび部材と、ブロック部材とを具備する。そして、くさびガイド部とブロック部材とを一体化したものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、タッチパネルのロック構造を使用した電子機器の一例を示す全体の斜視図である。
図2図2は、図1の電子機器の平面図である。
図3図3は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造を示す要部の斜視図である。
図4図4は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造の要部構成を示す縦断面図である。
図5図5は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造のヒンジ部分を示す要部の斜視図である。
図6図6は、図5のヒンジ部分を示すもので、(A)はヒンジ部分の平面図、(B)はヒンジ部分の左側の正面図、(C)はヒンジ部分の側面図、(D)はヒンジ部分の右側の正面図である。
図7図7は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造のくさび部材を示すもので、(A)はくさび部材の斜視図、(B)はくさび部材の側面図である。
図8図8の(A)は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造のブロック部材を示す斜視図、(B)はくさびガイド部の斜視図である。
図9図9は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造のブロック部材を示すもので、(A)はブロック部材の平面図、(B)はブロック部材の側面図、(C)はブロック部材の左側の正面図である。
図10図10は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造のくさびガイド部を示すもので、(A)はくさびガイド部の平面図、(B)はくさびガイド部の側面図、(C)はくさびガイド部の左側の正面図である。
図11図11は、第1の実施の形態のタッチパネルのロック構造の分解斜視図である。
図12図12は、タッチパネルのロック装置の一例を示す要部の分解斜視図である。
図13図13は、図12のタッチパネルのロック装置の支持部材とくさびガイド部との取り外し状態を示す斜視図である。
図14図14は、図12のタッチパネルのロック装置のくさび部材の動作状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図3乃至図11は、第1の実施の形態を示す。なお、図3乃至図11中で、図12乃至図14と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のタッチパネルのロック構造21は、図1および図2に示すように一面側にタッチパネル2が配置されたタッチパネルユニット3を備えた電子機器に使用される。
【0020】
このタッチパネルのロック構造21は、例えば、図4に示すように固定台4に固定されたほぼL字状の支持部材22と、タッチパネルユニット3側の支持台8(図1および図4参照)に固定されたほぼL字状のヒンジ部材23と、回動軸24(図3参照)を有する連結部25と、ロック機構部26とを具備する。
【0021】
支持部材22は、固定台4に固定された平板状の第1の固定部22aと、第1の固定部22aからほぼ直交する方向に屈曲された第1の立設部22bとを有する。ヒンジ部材23は、タッチパネルユニット3側の支持台8に固定された平板状の第2の固定部23aと、第2の固定部23aからほぼ直交する方向に屈曲された第2の立設部23bとを有する。連結部25は、回動軸24によって第1の立設部22bと第2の立設部23bとの間を回動可能に連結する。
【0022】
ロック機構部26は、支持部材22とヒンジ部材23との間に装着され、固定台4に対してタッチパネルユニット3を任意の引き起こし角度に引き起こした引き起こし位置でロック状態に固定する。このロック機構部26は、くさび受部27(図6参照)と、くさびガイド部28と、くさび部材29(図7参照)と、ブロック部材30(図8参照)とを具備する。
【0023】
ヒンジ部材23の第2の立設部23bの図4図6(A)〜(D)中で上端部には、連結部25の近傍位置に第2の固定部23aと平行な直線状の端縁部23b1が形成されている。この端縁部23b1によってくさび受部27が形成されている。
【0024】
また、本実施形態では、ブロック部材30は、図8(A)に示すようにほぼL字状の肉厚なブロック体31と、図8(B)に示すようにほぼL字状に屈曲させた板金部材32とを有する。なお、図9(A)〜(C)は、ブロック体31を示し、図10(A)〜(C)は、板金部材32を示す。
【0025】
ブロック体31は、平板状のブロック体固定部31aと、このブロック体固定部31aからほぼ直交する方向に屈曲されたブロック体立設部31bとを有する。ブロック体固定部31aは、図4に示すように支持部材22の第1の固定部22aの上に固定されている。図9(C)中でブロック体立設部31bの上端部には、内側(図9(C)中で左側)に向けて突設された平板状の突設部31b1が形成されている。この突設部31b1は、図4に示すようにヒンジ部材23のくさび受部27と離間対向する状態で配置される。そして、この突設部31b1によってくさびガイド部28が形成されている。この突設部31b1(くさびガイド部28)の下面と、くさび受部27との間にくさび挿入用の隙間S2(図4参照)を形成する。このように本実施形態では、くさびガイド部28とブロック部材30とが一体化されている。
【0026】
また、板金部材32は、平板状の板金部材固定部32aと、この板金部材固定部32aからほぼ直交する方向に屈曲された板金部材立設部32bとを有する。板金部材固定部32aは、ブロック体固定部31aの上に固定されている。この板金部材32の固定時には、板金部材立設部32bとブロック体立設部31bとの間に、くさび部材29を回動軸24の中心軸と同方向にスライド可能に支持する収容部33が形成されている。これにより、ブロック部材15は、収容部33内でくさび部材14を回動軸6の中心軸と同方向にスライド可能に支持する。
【0027】
くさび部材29は、図12図14に示すくさび部材14と同様に形成されている。すなわち、図7(A),(B)に示すようにくさび部材29の上面側には、くさびガイド部28と摺接する直線状の接触部29aが形成されている。くさび部材29の下面側には、先端側に向かうにしたがって先細になるテーパー面29bが形成されている。さらに、くさび部材29の基端部には、操作用の凸部29cが上向きに突設されている。そして、図4に示すようにくさび部材29の先端部は、くさび受部27とくさびガイド部28との間に挿入される状態で配置される。
【0028】
次に、上記構成の作用について説明する。図1および図2の電子機器のタッチパネルユニット3の使用時には、まず、タッチパネルユニット3を固定台4に対して任意の引き起こし角度まで引き起こす。このタッチパネルユニット3の回動動作時には、タッチパネルユニット3側の支持台8に固定されているヒンジ部材23がタッチパネルユニット3と一体的に移動する。そのため、このヒンジ部材23の移動にともないこのヒンジ部材23のくさび受部27がブロック部材30のくさびガイド部28から離れる方向(図4中で下方向)に移動する。これにより、くさびガイド部28の下面と、くさび受部27との間の隙間S2の大きさが拡大する方向に変化する。
【0029】
また、タッチパネルユニット3を任意の回動位置に移動した状態で、本実施の形態のタッチパネルのロック構造21を操作する。このとき、くさび部材29を図4中で左方向にスライド操作して、隙間S2の中に圧入する。これにより、くさび部材29のテーパー面29bとヒンジ部材23のくさび受部27との間で、くさび作用が働き、タッチパネルユニット3が任意の引き起こし位置でロック状態に固定される。
【0030】
本実施形態では、ブロック部材30のブロック体31に形成したブロック体立設部31bの上端部に平板状の突設部31b1を形成し、この突設部31b1をくさびガイド部28として使用している。そのため、ブロック部材30とくさびガイド部28と一体化したので、複数の部品を溶接して固定する場合に生じる溶接時の歪みを無くすことができる。さらに、ブロック部材30とくさびガイド部28とを1つの部品として加工する為、寸法精度は安定する。そのため、くさび部材29のスライド動作を円滑に行うことができるので、板金部材立設部32bとブロック体立設部31bとの間の収容部33内にくさび部材29を収容した際に、くさび部材29との上下方向、左右方向のクリアランス調整を行う作業を少なくすることができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、ブロック部材30のブロック体31と、板金部材32との組み付け時に収容部33内に収容されるくさび部材29のクリアランス調整を行うことができる。そのため、くさび部材のくさび作用を利用するロック機構部の製作精度を高めることができる。
【0032】
上記実施形態によれば、ヒンジ機構の構造を簡素化することができるとともに、くさび部材のくさび作用を利用するロック機構部の製作精度を高めることができ、くさび部材のスライド動作を円滑に行なうことができるタッチパネルのロック構造を提供することができる。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1…ロック装置、2…タッチパネル、3…タッチパネルユニット、4…固定台、5…ヒンジ機構、6…回動軸、7…支持部材、7a…第1の固定部、7b…第1の立設部、7b1…係合溝、8…支持台、9…ヒンジ部材、9a…第2の固定部、9b…第2の立設部、9b1…端縁部、10…連結部、11…ロック機構部、12…くさび受部、13…くさびガイド部、13a…ガイド板、13b…係合凸部、14…くさび部材、14a…接触部、14b…テーパー面、14c…凸部、15…ブロック部材、15a…ガイド溝、21…ロック構造、22…支持部材、22a…第1の固定部、22b…第1の立設部、23…ヒンジ部材、23a…第2の固定部、23b…第2の立設部、23b1…端縁部、24…回動軸、25…連結部、26…ロック機構部、27…受部、28…ガイド部、29…くさび部材、29a…接触部、29b…テーパー面、29c…凸部、30…ブロック部材、31…ブロック体、31a…ブロック体固定部、31b…ブロック体立設部、31b1…突設部、32…板金部材、32a…板金部材固定部、32b…板金部材立設部、33…収容部、S1…隙間、S2…隙間。
【要約】
【課題】 ヒンジ機構の構造を簡素化することができるとともに、くさび部材のくさび作用を利用するロック機構部の製作精度を高めることができ、くさび部材のスライド動作を円滑に行なうことができるタッチパネルのロック構造を提供することが課題である。
【解決手段】 実施形態のタッチパネルのロック構造21は、タッチパネルユニット3が固定台4に対して回動軸24を中心に回動し、引き起こし角度が0°の基準位置から任意の引き起こし角度まで引き起こした回動位置でロック状態に固定して使用する電子機器に使用される。ほぼL字状の支持部材22と、ほぼL字状のヒンジ部材23と、連結部25と、ロック機構部26とを具備する。ロック機構部26は、くさび受部27と、くさびガイド部28と、くさび部材29と、ブロック部材30とを具備する。そして、くさびガイド部28とブロック部材30とを一体化したものである。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14