(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上側ケースの上端部には、前記ミスト状オイルが分離された処理後ガスを排出するガス排出部が設けられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のオイルセパレータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のオイルセパレータでは、回転軸が上下方向に取り付けられることから、駆動用空間は分離用空間の下方に配置される。そして、駆動用空間と分離用空間が仕切られているため、処理対象ガスは分離用空間の上方から導入され、分離用空間の側方から排出されている。このように、処理対象ガスを分離用空間の側方から排出する構成では、ガスの排出部分が側方に張り出すことになり、その分だけ装置が大型化してしまう。また、この種のオイルセパレータでは、分離効率の向上が求められている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理対象ガスに含まれるミスト状オイルをガスから分離するオイルセパレータにおいて、小型化を図りつつ分離効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを分離するオイルセパレータであって、スピンドルと共に回転可能に設けられ、前記スピンドルの軸線方向に積層された複数枚の分離ディスクと、前記スピンドルにおける前記分離ディスクよりも下側の周面から突設され、オイルの噴射によって軸線を中心に前記スピンドルを回転させるノズルと、前記処理対象ガスが流入されるガス流入部、及び、分離後のオイルが排出されるオイル排出部が設けられた下側ケースと、前記下側ケースに上方から取り付けられ、前記スピンドル、前記分離ディスク、及び前記ノズルが収容される収容室を、前記下側ケースと共に区画する上側ケースと、前記収容室を、前記ノズルから噴射されたオイルを流下させ、かつ、前記ガス流入部から流入した前記処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを一次分離する一次分離室と、前記分離ディスクが配置され、前記ミスト状オイルが一次分離された前記処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを二次分離する二次分離室とに区画し、かつ、前記一次分離室の前記処理対象ガスを前記二次分離室に案内する連通口を、前記ノズルと前記分離ディスクの間に形成する区画部材と、を有
し、前記一次分離室内の前記処理対象ガスが、前記ノズルの配設高さにおいて、前記ノズルの先端よりも前記軸線側の位置を通って、前記二次分離室に導入される経路が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、収容室が一次分離室と二次分離室とに区画されており、一次分離室には処理対象ガスが導入されると共に、駆動源となるオイルが噴射されるので、一次分離室を多用途に使用することができ、装置の小型化が図れる。また、一次分離室では、処理対象ガスの一部がノズルから噴射されたオイルに接触し、オイルミストがオイルに取り込まれる。これにより、ミスト状オイルが一次分離される。そして、ミスト状オイルが一次分離された後の処理対象ガスは、連通口を通じて二次分離室に案内される。二次分離室では、残存するミスト状オイルを二次分離すれば足りるので、ミスト状オイルの分離効率を高めることができる。さらに、分離ディスクの必要枚数を少なくしたり、分離ディスクの直径を小さくしたりできるので、この点でも装置の小型化が図れる。
【0009】
また、本発明は、処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを分離するオイルセパレータであって、スピンドルと共に回転可能に設けられ、前記スピンドルの軸線方向に積層された複数枚の分離ディスクと、前記スピンドルにおける前記分離ディスクよりも下側の周面から突設され、オイルの噴射によって軸線を中心に前記スピンドルを回転させるノズルと、前記処理対象ガスが流入されるガス流入部、及び、分離後のオイルが排出されるオイル排出部が設けられた下側ケースと、前記下側ケースに上方から取り付けられ、前記スピンドル、前記分離ディスク、及び前記ノズルが収容される収容室を、前記下側ケースと共に区画する上側ケースと、前記収容室を、前記ノズルから噴射されたオイルを流下させ、かつ、前記ガス流入部から流入した前記処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを一次分離する一次分離室と、前記分離ディスクが配置され、前記ミスト状オイルが一次分離された前記処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを二次分離する二次分離室とに区画し、かつ、前記一次分離室の前記処理対象ガスを前記二次分離室に案内する連通口を、前記ノズルと前記分離ディスクの間に形成する区画部材と、を有し、前記区画部材は、上方に向けて縮径されると共に上端が前記連通口とされ、前記ノズルから噴射されたオイルが内面に吹き付けられるテーパー部を有していること
を特徴とする。このオイルセパレータにおいて、ノズルから噴射されたオイルは、テーパー部の内面に吹き付けられることで下向きに流れる。これにより、オイルが上側収容室へ流れ込む不具合を抑えることができる。
【0011】
また、本発明は、処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを分離するオイルセパレータであって、スピンドルと共に回転可能に設けられ、前記スピンドルの軸線方向に積層された複数枚の分離ディスクと、前記スピンドルにおける前記分離ディスクよりも下側の周面から突設され、オイルの噴射によって軸線を中心に前記スピンドルを回転させるノズルと、前記処理対象ガスが流入されるガス流入部、及び、分離後のオイルが排出されるオイル排出部が設けられた下側ケースと、前記下側ケースに上方から取り付けられ、前記スピンドル、前記分離ディスク、及び前記ノズルが収容される収容室を、前記下側ケースと共に区画する上側ケースと、前記収容室を、前記ノズルから噴射されたオイルを流下させ、かつ、前記ガス流入部から流入した前記処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを一次分離する一次分離室と、前記分離ディスクが配置され、前記ミスト状オイルが一次分離された前記処理対象ガスに含まれるミスト状オイルを二次分離する二次分離室とに区画し、かつ、前記一次分離室の前記処理対象ガスを前記二次分離室に案内する連通口を、前記ノズルと前記分離ディスクの間に形成する区画部材と、を有し、前記スピンドルを回転可能に支持すると共に、オイルを供給するためのオイル供給路が内側に形成されたスピンドルシャフトを有し、前記スピンドルと前記スピンドルシャフトとの隙間を、前記ノズルから噴射させるべく供給されたオイルの一部を前記分離ディスクに案内するためのオイル案内路とすること
を特徴とする。このオイルセパレータでは、オイル案内路を通じて案内されたオイルが分離ディスクの表面を洗浄するので、分離ディスクに対するメンテナンスを簡略化できる。
【0012】
前述のオイルセパレータにおいて、前記ガス流入部と前記オイル排出部が共通の筒状部材によって構成されていることが好ましい。このオイルセパレータでは、構成の簡素化が図れる。また、ノズルから噴射されたオイルと処理対象ガスから分離されたオイルを一緒に排出できる。
また、前述のオイルセパレータにおいて、前記上側ケースの上端部には、前記ミスト状オイルが分離された処理後ガスを排出するガス排出部が設けられていることが好ましい。このオイルセパレータでは、処理後ガスが上側ケースの上端部から排出されるので、処理後ガスへのオイルの混入を抑制できる。
【0013】
前述のオイルセパレータにおいて、前記分離ディスクは、外周側に向けて下り傾斜されたリング状の板材であることが好ましい。このオイルセパレータでは、分離ディスクで分離されたオイルが下向きに流れるので、処理後ガスへのオイルの混入を抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、処理対象ガスに含まれるミスト状オイルをガスから分離するオイルセパレータにおいて、装置を小型化しつつも分離効率を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ここでは、閉鎖型クランクケース換気システム1(以下、換気システム1という。)を例に挙げて説明する。
【0017】
図に示すように、換気システム1は、オイルセパレータ2とブリーザーパイプ3とを有する。オイルセパレータ2は、エンジン4から排出されたブローバイガス(ミスト状オイルを含有する処理対象ガスに相当する。)を処理し、ミスト状オイルを分離する。本実施形態において、オイルセパレータ2はエンジン4の側面に取り付けられている。ブリーザーパイプ3は、オイルセパレータ2から排出された処理後のブローバイガスを、エンジン4の吸気側流路5に還元するための流路を区画する。
【0018】
この換気システム1において、エンジン4から排出されたブローバイガスは、エンジン4の側面に設けられたオイルセパレータ2に流入される。そして、オイルセパレータ2で分離されたオイルはエンジン4へと戻される。一方、処理後のブローバイガスは、オイルセパレータ2の上端部から排出された後、ブリーザーパイプ3を通じて吸気側流路5に還元される。具体的には、吸気側流路5におけるエアフィルタ6とターボチャージャー7とを接続する部分に還元される。還元されたブローバイガスは、エアフィルタ6からの新鮮な空気と混合され、ターボチャージャー7で圧縮される。その後、チャージクーラー8で冷却されて、エンジン4に供給される。
【0019】
次に、オイルセパレータ2について説明する。
図2及び
図3に示すように、このオイルセパレータ2では、下側ケース11と上側ケース12を有するハウジング13を有している。そして、ハウジング13の内部空間(収容室)に、ローターユニットやPCVバルブなどが配置されている。なお、ローターユニットやPCVバルブについては後述する。
【0020】
下側ケース11は、ハウジング13の下側部分を区画する部分であり、上面が開放された有底の箱状部材によって構成されている。そして、下側ケース11の上端部には円形の嵌合部11aが設けられており、上側ケース12の下端部と嵌め合わされる。下側ケース11の背面には、エンジン4と連通する連通筒部14が後方に向けて設けられている。この連通筒部14は、ブローバイが流入されるガス流入部として機能すると共に、分離後のオイルが排出されるオイル排出部としても機能する筒状部材である。そして、連通筒部14の先端部には、エンジン4の側面に結合されるフランジ15が設けられている。本実施形態において、下側ケース11や連通筒部14等は鋳物で作製されているが、樹脂を成型することで作製してもよい。
【0021】
下側ケース11の底面には、エルボーパイプ16のジョイント部16aが突設されている。このジョイント部16aは、
図1に示すオイル供給パイプ9の一端に接続されている。オイル供給パイプ9の他端はエンジン4の側面に接続されており、オイル供給パイプ9には、エンジン4の内部に設けられた油路(図示せず)からオイルが供給される。このオイルは、ローターユニットを回転させるための動力として用いられる(後述する)。
【0022】
図2及び
図3に示すように、上側ケース12は、下側ケース11に上方から取り付けられる部材であり、ローターユニットなどが収容される収容室を下側ケース11と共に区画する。この上側ケース12は、円筒状の本体カバー17と円盤状の上面カバー18とを有している。本体カバー17の下端部は、下側ケース11の上端部に気密状態で取り付けられている。上面カバー18は、PCVバルブを覆うように、本体カバー17の上端部に気密状態で取り付けられている。また、上面カバー18の中心部には、円筒状のガス排出部19が上方に向けて設けられている。このガス排出部19は、処理後のブローバイガスを排出する部分であり、出口パイプを通じてブリーザーパイプ3が接続される。
【0023】
次に、オイルセパレータ2の内部構造について説明する。
図4に示すように、オイルセパレータ2の内部には、ローターユニット21、PCVバルブ22、及び区画部材23が配設されている。
【0024】
まず、ローターユニット21について説明する。このローターユニット21は、ブローバイガスに含まれるミスト状オイルを分離するための機構であり、ローター24、スピンドル25、及びスピンドルシャフト26を有している。
【0025】
ローター24は、回転によってミスト状オイルを凝集する部分であり、複数枚の分離ディスク27、上部ホルダ28、及び下部ホルダ29を有している。分離ディスク27は、外周側に向けて下り傾斜されたリング状の板材、言い換えれば円錐台の側面形状に加工された板材である。本実施形態の分離ディスク27は、厚さが1mm以下とされ、樹脂の成型により作製されている。これらの分離ディスク27は、スピンドル25の軸線方向に積層されている。なお、説明の都合上、分離ディスク27同士の間隔を空けて描いているが、実際の間隔は極めて狭く(例えば1mm未満)に定められている。
【0026】
上部ホルダ28は、積層された複数枚の分離ディスク27を上側から保持する部材であり、下部ホルダ29は、同じく下側から保持する部材である。そして、下部ホルダ29の外周縁には、上部ホルダ28と連結するための連結アーム29aが複数本設けられている。本実施形態では、4本の連結アーム29aが周方向に90度間隔で設けられている。連結アーム29aの上端を上部ホルダ28に接合することで、複数枚の分離ディスク27、上部ホルダ28、及び下部ホルダ29が一体化される。
【0027】
このローター24は、円筒状の外観をしており、内周側が中空部分とされて上下方向に貫通している。この中空部分にはスピンドル25が挿入されており、スピンドル25とローター24とは互いに結合されている。このためローター24は、スピンドル25と共にスピンドル25の軸線を中心に回転する。
【0028】
スピンドル25におけるローター24よりも下側の周面からはノズル31が突設されている。このノズル31は、スピンドルシャフト26を通じて供給されたオイルを噴射する部分であり、スピンドル25やローター24を回転させるための駆動力を発生させる。
【0029】
図6に示すように、本実施形態のノズル31は、基端がスピンドル25に接合され、先端が塞がれた円筒状のノズル本体31aと、ノズル本体31aの先端部に設けられたノズル開口31bとを有している。ノズル本体31aは、スピンドル25の軸線方向に対して下向き斜め45度の角度で取り付けられている。そして、3本のノズル本体31aが周方向に120度間隔で設けられている。また、ノズル開口31bは、ノズル本体31aにおける先端部の側面に設けられている。詳しくは、ノズル開口31bは、ノズル本体31aの軸線方向と直交する向きであって、オイルが水平方向に噴射される向きに設けられている。
【0030】
図4に示すように、スピンドルシャフト26は、スピンドル25の軸受けとなる円柱状部材であり、スピンドル25を回転可能な状態で支持する。
図5に示すように、スピンドルシャフト26の内側には、オイルを供給するためのオイル供給路26aが形成されている。また、スピンドルシャフト26の下端部は、エルボーパイプ16の上端部と接合されている。前述したように、エルボーパイプ16のジョイント部16aには、オイル供給パイプ9が接続されている。このため、オイル供給パイプ9を通じて供給されたオイルは、エルボーパイプ16を通った後にスピンドルシャフト26へ流入する。さらに、ノズル本体31aに流入した後にノズル開口31bから噴射される。
【0031】
次に、PCVバルブ22について説明する。
図4に示すように、PCVバルブ22は、ダイヤフラム32と、上側スプリング33と、下側スプリング34を備えている。
【0032】
ダイヤフラム32は弁体であり、ゴムと樹脂を成形することで作製されている。例示したダイヤフラム32は、主ダイヤフラム32a、上側ダイヤフラム32b、及び下側ダイヤフラム32cを有している。主ダイヤフラム32aは、中心部に円柱状の凸部が形成された円盤状のゴム製部材であり、中心部から周縁部に向けて僅かに下り傾斜されている。上側ダイヤフラム32bは、主ダイヤフラム32aの上面に配置される円盤状の樹脂製部材であり、中心部には主ダイヤフラム32aの凸部が貫通する開口が形成されている。そして、上側ダイヤフラム32bもまた、中心部から周縁部に向けて僅かに下り傾斜されている。下側ダイヤフラム32cは、主ダイヤフラム32aの下面に配置される円盤状の樹脂製部材であり、中心部から周縁部に向けて僅かに下り傾斜されている。
【0033】
上側スプリング33及び下側スプリング34は、ダイヤフラム32を上下方向に移動可能な状態で支持するための部材である。すなわち、上側スプリング33はダイヤフラム32の上方に配置され、下側スプリング34はダイヤフラム32の下方に配置されている。そして、これらの上側スプリング33と下側スプリング34によってダイヤフラム32を挟み、移動可能な状態で支持している。
【0034】
ダイヤフラム32は、エンジン4の吸気側圧力やクランクケースの内圧に応じて上下方向に移動し、ブローバイガスの流れを調整する。すなわち、ダイヤフラム32は、エンジン4の吸気圧力(負圧)が過度に大きい場合にはガス排出部19側(上方)に移動し、クランクケース側の圧力が高い場合には反対側(下方)に移動する。これにより、ブローバイガスの流量が適切に調整される。
【0035】
次に、区画部材23について説明する。区画部材23は、ハウジング13の内部空間(収容室)を一次分離室(下側収容室)と二次分離室(上側収容室)とに区画すると共に、一次分離室の処理対象ガス(ブローバイガス)を二次分離室へ案内する連通口を形成する部材である。この区画部材23は、外周部36とテーパー部37とを有している。外周部36は、短尺な円筒状をした部分であり、高さ方向の中間には鍔部が側方に張り出している。テーパー部37は、外周部36の内周側に設けられており、外周部36の下端から上方に向けて次第に縮径されたテーパー形状をしている。そして、テーパー部37の上端開口は連通口38を形成する。
【0036】
図5に示すように、区画部材23は、下側ケース11の嵌合部11aに対して内周側から嵌め込まれる。これにより、テーパー部37は、ローター24が有する下部ホルダ29の直下に配置される。そして、区画部材23を境にして、収容室41は下側収容室42と上側収容室43とに区画され、これらの下側収容室42と上側収容室43とが連通口38を通じて連通される。
【0037】
そして、下側収容室42には、スピンドル25の下端部、スピンドルシャフト26の下端部、ノズル31、エルボーパイプ16、及び固定フレーム44などが配置されている。ここで、固定フレーム44は、エルボーパイプ16の上端部を所定位置に固定するための部材である。一方、上側収容室43には、スピンドル25やスピンドルシャフト26の下端部よりも上側の部分、ローター24、及びPCVバルブ22などが配置されている。
【0038】
以下、オイルセパレータ2の内部構造を、下側収容室42、上側収容室43のローター近傍部、及び上側収容室43のPCVバルブ近傍部の順に説明する。
【0039】
図5及び
図6に示すように、下側収容室42は、下側ケース11と区画部材23とによって区画されている。そして、下側ケース11の底部から上方に向けてエルボーパイプ16が気密状態で取り付けられている。エルボーパイプ16の上端は、固定フレーム44に固定されている。固定フレーム44は、嵌合部11aの底部に取り付けられた枠体である。そして、連通筒部14から流入したブローバイガスは、固定フレーム44を通過して上方まで移動できる。
【0040】
また、
図6に示すように、スピンドルシャフト26とスピンドル25との間には、隙間45が設けられている。この隙間45は、オイル供給路26aから排出されたオイルをノズル31に案内するために設けられている。なお、この隙間45は、オイル案内路の一部を構成しており、オイル供給路26aから排出されたオイルの一部を分離ディスク27へ案内する(後述する)。
【0041】
そして、ノズル31は、区画部材23のテーパー部37と近接した位置に配置されている。前述したように、ノズル31は、ノズル開口31bからオイルを水平方向に噴射させる。このため、噴射されたオイルは、符号F1の矢印で示すようにテーパー部37の内面に吹き付けられる。ここで、テーパー部37の内面は、外周側から中心側に向けて傾斜された円錐面であるため、吹き付けられたオイルは、符号F2の矢印で示すように下向きに流れる。これにより、噴射されたオイルを下側収容室42の底部側へと積極的に導くことができ、上側収容室43へのオイルの流入を抑制できる。
【0042】
なお、本実施形態において、テーパー部37の傾斜角度は、スピンドル25の軸線ALに対して45度に設定されているが、この角度に限定されるものではない。噴射されたオイルを、下側収容室42の底部側に向けて積極的に流すことができればよい。例えば、テーパー部37の傾斜角度を、軸線ALに対して30度に設定してもよいし、60度に設定してもよい。
【0043】
また、ローター24の高速回転時において、ノズル開口31bの旋回軌道から外周側には、高速で旋回するオイルの膜が形成される。このオイルの膜にブローバイガスが接触すると、ブローバイガスに含まれるミスト状オイルは、オイルの膜に取り込まれ、遠心分離される。これにより、ブローバイガスにおけるミスト状オイルの含有量を低減できる。このように、下側収容室42では、スピンドル25やローター24の駆動源となるオイルを噴射させることで、ブローバイガスにおけるミスト状オイルの含有量を低減できる。このことから、下側収容室42は、ミスト状オイルの一次分離室として機能している。
【0044】
また、ノズル31から噴射されたオイルは、ブローバイガスから分離されたオイルと共に、下側収容室42の底部に集められる。そして、符号F3の矢印で示すように、下側収容室42の底部に沿って流れた後、連通筒部14に流入される。さらに、エンジン4の側面からクランクケースへ戻される。そして、符号F4の矢印で示すように、連通筒部14はブローバイガスが流入される部分でもあるので、この連通筒部14は、ブローバイガスを流入させるガス流入部と、オイルをエンジン4に向けて排出させるオイル排出部として兼用されている。これにより、構成の簡素化を図ることができる。
【0045】
次に、
図7及び
図8を参照し、上側収容室43のローター近傍部について説明する。なお、これらの図においても、分離ディスク27同士の間隔を空けて記載されているが、実際の装置では図よりも十分に狭い間隔で重ねられている。
【0046】
前述したように、ローター24はスピンドル25に接合されており、このスピンドル25と一体に回転する。そして、下部ホルダ29の中心部分には通気孔29bが形成されており、連通口38を通過したブローバイガスは、
図8に符号F5の矢印で示すように、通気孔29bを通ってローター24の中空部分に流入する。ローター24の中空部分に流入したブローバイガスは、ローター24の回転に伴って生じる遠心力により、符号F6の矢印で示すように、分離ディスク27同士の隙間をローター24の外周方向へ移動する。このように、遠心力によってブローバイガスがローター24の外周方向へ移動すると、ローター24の外周側と内周側とで圧力差が生じる。すなわち、内周側の圧力が外周側の圧力よりも低くなる。この圧力差により、
図7に符号F7の矢印で示すように、下側収容室42のブローバイガスがローター24の中空部分に流入され易くなるので、処理効率を高めることができる。
【0047】
ブローバイガスが分離ディスク27に接触すると、このブローバイガスに含まれるミスト状オイルが分離ディスク27の表面に付着する。そして、付着したミスト状オイルに別のミスト状オイルが合体し、分離ディスク27の表面でオイルが凝集される。すなわち、オイルが二次分離される。前述したように、ブローバイガスは、下側収容室42でミスト状オイルが一次分離されている。このため、分離ディスク27での二次分離により、ミスト状オイルは高いレベルでブローバイガスから分離される。このように、上側収容室43は、ミスト状オイルが一次分離された後のブローバイガスについて、残存するミスト状オイルを二次分離する二次分離室に相当する。
【0048】
図8に示すように、スピンドル25とスピンドルシャフト26の間には隙間45が形成される。この隙間45は、オイル案内路として機能し、ノズル31から噴射させるべく供給されたオイルで満たされる。ここで、オイルの供給圧力が十分に高いことから、隙間45に充填されたオイルの一部は、符号F8の矢印で示すように、隙間45の上端を通ってスピンドル25の上端部からローター24の中空部分に放出される。そして、ローター24の中空部分に放出されたオイルはブローバイガスと同じく、符号F9の矢印で示すように、ローター24の遠心力によって分離ディスク27同士の隙間をローター24の外周方向へ移動する。その際、分離ディスク27の表面で凝集されたオイルは、ローター24の中空部分に放出されたオイルと合体する。
【0049】
このオイルセパレータ2では、ノズル31から噴射させるべく供給されたオイルの一部を、スピンドル25とスピンドルシャフト26との間に形成された隙間45を通じてローター24の中空部分に放出している。これにより、放出されたオイルが分離ディスク27同士の隙間に供給され、分離ディスク27の表面に沿って流れる。そして、分離ディスク27の表面が洗浄され、凝集されたオイルが分離ディスク27同士の隙間に残存する目詰まりを抑制できる。その結果、分離ディスク27に対するメンテナンスを簡略化できる。
【0050】
分離ディスク27の表面で凝集されたオイルや合体されたオイルは、分離ディスク27の外周縁から放出され、本体カバー17の内壁面に衝突した後、この内壁面を流下する。さらに、オイルは、下側収容室42でノズル31から噴射されたオイルと合流し、エンジン4へと戻される。前述したように、分離ディスク27は、外周側に向けて下り傾斜されたリング状の板材によって作製されている。このため、凝集されたオイルは、分離ディスク27の外周縁から斜め下方に向けて放出される。これにより、放出されたオイルは、本体カバー17の内壁面に衝突した際に下方向へ流れ易くなり、オイルの飛沫がブローバイガス(処理後ガスに相当する。)へ混入することを抑制できる。
【0051】
次に、
図9及び
図10を参照し、上側収容室43のPCVバルブ近傍部について説明する。
【0052】
PCVバルブ22は、上側収容室43の上部(上側ケース12の上部に相当する。)に配置されている。詳しくは、上側収容室43における上面カバー18の直下の位置に、台座部51に載せられた状態で配置されている。
図10に示すように、台座部51は、ダイヤフラム32で気密に覆われている。そして、台座部51とダイヤフラム32の間には、下側スプリング34が取り付けられている。また、台座部51とダイヤフラム32とで区画される空間は、大気連通部52を通じて大気開放されている。一方、上面カバー18とダイヤフラム32との間には上側スプリング33が取り付けられている。
【0053】
これにより、上側収容室43の圧力がPCV設定圧力よりも高くなれば、ダイヤフラム32が下方に移動してブローバイガスの流量を増やす。反対に、上側収容室43の圧力がPCV設定圧力よりも低くなれば、ダイヤフラム32が上方に移動してブローバイガスの流量を少なくする。これにより、エンジン4のクランクケース側圧力が一定の範囲に保たれる。
【0054】
そして、PCVバルブ22の直径は、ローター24の直径以下に定められているので、PCVバルブ22を設けても上側ケース12の直径方向への大きさを拡げる必要はない。このように、直径方向の大きさに制約を受け難いので、装置の小型化に適する。
【0055】
図9及び
図10に示すように、台座部51の外周は平面視円形の側壁部53で区画されている。この側壁部53には連通窓部54が設けられており、上側収容室43におけるダイヤフラム32上面側の部分とローター24側の部分とが連通されている。そして、側壁部53の下側にはリブ55が設けられている。このリブ55は、ローターユニット21よりも下方であってダイヤフラム32よりも上方の高さに、本体カバー17と一体に設けられている。すなわち、リブ55は、本体カバー17よりも一回り小さな直径のリング状部材(短尺な円筒状部材)によって作製されている。
【0056】
このリブ55は、筒状案内部に相当するものであり、本体カバー17の上端部で、本体カバー17の内表面に沿って外周側から内周側へ流れる流体(オイルやブローバイガス)を下向きに案内する。このリブ55により、オイルは連通窓部54を通過し難くなるので、PCVバルブ22へのオイルの付着を高いレベルで抑制できる。
【0057】
以上の説明から明らかなように、本実施形態のオイルセパレータ2は、次の利点を有している。
【0058】
まず、下側収容室42に連通筒部14を設けてブローバイガスを導入しているので、下側収容室42を、ローターユニット21を回転させるための駆動室として用いると共に、ブローバイガスを導入するための導入室としても用いることができる。このように、下側収容室42を多用途に使用できるので、オイルセパレータ2を小型化できる。
【0059】
また、下側収容室42を、ブローバイガスに含まれるミスト状オイルを一次分離する一次分離室として用い、上側収容室43を、一次分離後のブローバイガスに残存するミスト状オイルを二次分離する二次分離室として用いているので、上側収容室43では残存するミスト状オイルを二次分離すれば足りる。これにより、ミスト状オイルの分離効率を高めることができる。例えば、
図11に示す例(d50ミスト粒径80μm)では、下側収容室42での一次分離でミスト状オイルを70%程度分離することができる。また、ローターの回転数を6000rpm以上にすることで、二次分離後におけるミスト状オイルの除去率を95%以上とすることができる。
【0060】
このように、下側収容室42を一次分離室として用いていることから、分離ディスク27の必要枚数を少なくしたり、分離ディスク27の直径を小さくしたりしても、ミスト状オイルを十分に分離することができる。そして、分離ディスク27の枚数を減らしたり、直径を小さくしたりすると、オイルセパレータ2を一層小型化できて好ましい。
【0061】
また、本実施形態のオイルセパレータ2では、ローター24(分離ディスク27)の回転によって遠心力が生じ、ブローバイガスが分離ディスク27の外周側へ向けて流れる。これに伴い、ローター24の内周部の圧力が外周部36の圧力よりも低くなる。そして、下側収容室42とローター24の中空部分(上側収容室43)とを、連通口38によって連通しているので、下側収容室42のブローバイガスをローター24の中空部分へ容易に導くことができる。これにより、ブローバイガスを円滑に流すことができ、処理効率を高めることができる。
【0062】
また、処理後のブローバイガスを排出するガス排出部19が上側ケース12の上端部に設けられ、PCVバルブ22が上側収容室43の上部(ガス排出部19の直下)に設けられている。これにより、上側ケース12における直径方向の大きさに制約を受け難くすることができ、装置の小型化に適する。また、PCVバルブ22には、ローターユニット21でミスト状オイルが分離された後のブローバイガスが接触する。これにより、PCVバルブ22へのミスト状オイルの付着を抑制できる。
【0063】
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
【0064】
前述の実施形態では、連通筒部14によって、下側ケース11へブローバイガスを流入させると共に、下側ケース11のオイルを排出するようにしていたが、この構成に限定されない。例えば、下側ケース11へブローバイガスを流入させるガス流入部と、下側ケース11のオイルを排出するオイル排出部とを別個に設けてもよい。この場合、下側ケース11の側面にブローバイガスを流入させるためのパイプを接合すればよい。また、エルボーパイプ16と下側ケース11とを一体に設けてもよい。
【0065】
また、前述の実施形態において、分離ディスク27は、外周側に向けて下り傾斜されたリング状の板材であったが、この構成に限定されない。例えば、外周側に向けて上り傾斜されたリング状の板材であってもよい。また、外周側に向けて波形状に変形されたリング状の板材であってもよい。
【0066】
また、前述の実施形態では、スピンドル25とスピンドルシャフト26との隙間45をオイル案内路として用い、ノズル31から噴射させるべく供給されたオイルの一部を分離ディスク27に案内するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、供給されたオイルの全部をノズル31から噴射させるようにしてもよい。
【0067】
さらに、前述の実施形態では、処理対象ガスとしてブローバイガスを例示したが、ミスト状オイルを含有するガスであれば他の種類のガスであってもよい。