【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、気体試料中の少なくとも1つのプロペラントガスの存在を検出する方法によって達成され、この方法は、試料室内に試料を受け入れるステップと、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスを発生するステップであって、レーザー光のスペクトルは少なくとも部分的には吸収が、特に3.30〜3.55μmの範囲内で前記プロペラントガスの存在を示すスペクトル範囲内にある、ステップと、少なくとも検査レーザー光パルスを試料室に通すステップと、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスの両方を少なくとも1つの検出器によって検出するステップと、例えば差または比を考慮することによって、少なくとも1つの検出された検査レーザー光パルスの振幅を、少なくとも1つの検出された基準光パルスの振幅と比較し、それによって、試料室内の濃度閾値を超えるプロペラントの有無を、例えば、検査レーザー光パルスと基準レーザー光パルスの振幅との比または差が特定の所定の閾値より高いか、または低いかを判定することによって、判定するステップとを含む。この方法は3.30〜3.55μmの範囲内で、現在一般的に使用されているプロペラントの大半を検出することができる、すなわち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、HFA134a、HFA227、および使用されるレーザーの波長帯において吸収を示す他のプロペラントを検出することができる。実際、分子構造中に少なくとも1つのC−H結合を有するプロペラントガスは、必要な範囲内で吸収を示すと信じられている。この方法で検出され得ないプロペラントには、亜酸化窒素、二酸化炭素、CFC11、およびCFC12があるが、それは、3.30〜3.55μmの範囲内で吸収を示さないからである。取り扱われているスペクトル範囲を利用するのは、水(水蒸気)は実質的にこの範囲内で光エネルギーを吸収せず、より正確な結果をもたらすので、特に有利である。さらに、受信されたレーザー光パルスの振幅を単純に比較することによって、レーザー光で周波数範囲を掃引する必要がない。振幅を単純に比較することで、従来技術の光学的方法に比べて方法が著しく簡素化される。
【0011】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスは、単一レーザー光源からパルス状レーザー光をビームスプリットすることによって生成される。これにより、単一レーザー光源を使用し、コンポーネントの数を減らし、レーザー光源の較正を不要にすることが可能である。
【0012】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスは、それぞれ第1のレーザー光源と第2のレーザー光源とによって生成される。これにより、コンポーネントのレイアウトおよび光路アーキテクチャにおける自由度が高められる。
【0013】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスは、同じ、単一の検出器によって検出される。これにより、コンポーネントの数が低減され、複数の検出器を較正する必要がなくなる。
【0014】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスは、それぞれ第1の検出器と第2の検出器とによって検出される。これにより、コンポーネントのレイアウトおよび光路アーキテクチャにおける自由度が高められる。
【0015】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、試料室は、マルチパス室(multipass chamber)であり、検査レーザー光パルスは、複数のパスで試料室内を進行する。これは、妥当な範囲の単一パス室(single pass chamber)で可能な以上の量のプロペラントにレーザー光を当て、それによって、より高い吸収を達成することによって測定精度を高める。
【0016】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスが進行する周囲空気中の光路は、試料室を通る経路を除き、基準レーザー光パルスが進行する周囲空気中の光路に実質的に等しい。これは、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスの両方が、例えば、同じ量の周囲空気に照射され、光学的コンポーネント、例えば、鏡からの同じ減衰を受け、したがって、同じ減衰の作用を受け、ノイズが入ることを確実にする。これは、検査レーザー光パルスと基準レーザー光パルスとの間の微分干渉がないことを確実にすることによって測定精度を改善する。
【0017】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスが進行する全光路は、基準レーザー光パルスが進行する全光路と異なる。これにより、検査レーザー光パルスと基準レーザー光パルスを互いに関して時間をずらして受信し、それにより、1つまたは複数の検出器で容易に区別することが可能になる。適切な一実施形態において、経路の違いは、試料室を通る経路である。
【0018】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスが進行する光路の差は、少なくとも1つの検出器におけるパルスの時間分離が100nsより大きくなるような差である。これにより確実に、検出された検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスが重なって干渉することがなくなる。実際、120nsは優れた結果をもたらすことが実証されている。
【0019】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、基準レーザー光パルスは、試料室をバイパスする。この結果、信号対ノイズ比が高くなり、信頼できる結果が得られる。
【0020】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、基準レーザー光パルスは、試料室内にプロペラントが実質的にないことが知られているときに生成され、基準レーザー光パルスは、試料室も通過する。これにより、光路アーキテクチャは特に単純に、また堅牢に構築される。
【0021】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、レーザー光パルスは、垂直外部共振器面発光レーザー(VECSEL)または量子カスケードレーザー(QCL)によって生成される。これらは、3.30〜3.55μmの波長範囲内で動作することができるレーザーの種類の2つの知られている例であり、VECSELはPhocone AGから、QCLはAlpes Laser AGから入手可能である。
【0022】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、レーザー光パルスは、5〜15kHzまたは7〜13kHzまたは9〜11kHz、または実質的に10kHzの繰り返し率で生成される。これにより、繰り返し率は、測定精度に対して適切な程度のオーバーサンプリングを与えるのに十分高いものとなり、過剰に高い周波数の光学的および/または電気的処理を必要とするほどには高くない。
【0023】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、レーザー光パルス持続時間は、5〜15nsまたは7〜13nsまたは9〜11nsの範囲内、または実質的に10nsである。これらの範囲は、良好な結果をもたらすことが実証されている。
【0024】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、試料は、所定の実質的に一定の流量で動作しているポンプによって引き出されることによって連続的に試料室内に流入し、試料室から流出する。
【0025】
このポンプは、遠心力ポンプ、軸流ポンプ、ベンチュリーポンプ(圧縮空気で作動し、したがって振動がない)などの任意の知られている種類のものとすることができる。試料室を通る流量が一定であると、ポンプの流速の変動によるシステム内の振動が防止され、これは、使用されているマルチパス試料室の場合に、これらがそのような空気圧および/または機械的振動の影響を受けやすいので、特に有利である。
【0026】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、試料室およびポンプは、10mbaraから1000mbaraの範囲、または50mbaraから150mbaraの範囲、または実質的に100mbaraの圧力を試料室に印加するように配置構成される。これにより、測定精度(圧力が高ければ高いほど試料室内のプロペラントの分圧は高くなる)と測定速度(圧力が低ければ低いほどガス流量は高くなる)に対する要件のバランスをとる圧力を選択することができる。
【0027】
本発明は、少なくとも1つのプロペラントを収容する容器の漏れ検査を行う方法をさらに対象とする。この方法は、容器の周囲物から気体試料を採取するステップと、気体試料中のプロペラントガスの存在を検出する上で開示されている方法のうちの1つにより試料を検査するステップとを含む。周囲物とは、容器、特に、弁および圧着領域に直接隣接した容積部のことであると理解する。これは、容器から10cm未満、またはそこから7cm未満、またはそこから5cm未満、またはそこから3cm未満、またはそこから2cm未満だけ離れているべきである。
【0028】
容器を漏れ検査するための方法のその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、気体試料は、スニファカップ、ポータル型配置構成部、容器の上に置かれている前室、または他の企図され得る配置構成部であってもよい、スニファを使って容器の周囲物から採取される。
【0029】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、気体試料は、吸引ポンプを使って実質的に一定の流量でスニファ内に引き込まれる。このポンプは、遠心力ポンプ、軸流ポンプ、ベンチュリーポンプ(圧縮空気または水で作動し、したがって振動がない)などの任意の知られている種類のものとすることができる。流量が一定であることで、システム内の振動および気体試料の発振が防止され、これは、使用されているマルチパス試料室の場合に、これらが試料室内の振動およびガス流の脈動の影響を受けやすいので、特に有利である。
【0030】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、吸引ポンプは、試料室の下流に配置され、これにより、試料室内のガス流の脈動が低減され、流量の整合性が改善する。
【0031】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、複数の容器が、インラインで、すなわち順次、検査される。これにより、容器の高速連続漏れ検査が可能になる。
【0032】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、複数の容器が順次スニファを通り越して搬送され、その結果、単純な検査配置構成が得られるが、これは、実際毎分少なくとも600容器を検査済みにすることが示されている。
【0033】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、複数の容器は、順次交互に、少なくとも一対のスニファを通り越して搬送される、すなわち、1つの容器は、第1のスニファを通り越し、次の容器は他のスニファを通り越し、次の容器は第1のスニファを通り越し、というように続き、潜在的に検査速度をさらに高めることができる。
【0034】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、それぞれのスニファは、容器がそれぞれのスニファを通り越して搬送されると試料室と流体的に順に接続される。これにより、それぞれのスニファ(つまり、以前のおよび/または後続の容器)からの試料の二次汚染が防止され、またその時点において容器に近接していないスニファからの試料の希釈が防止される。有利には、試料室に入る実質的に一定の流量を確実にしながらクロスオーバー弁でそれぞれのスニファを順に試料室に接続し、流量の変化がマルチパス試料室に悪影響を及ぼす可能性のある振動およびガス流の脈動を引き起こすことを防ぐ。搬送の両方の態様において、搬送は、直線的に、または曲線を描いて、または例えば回転式搬送によって実行され得る。
【0035】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、気体試料が採取される容器の周囲物が、清浄な空気、例えば、屋外などの無汚染環境から取った空気、または他の清浄なガス、例えば、窒素、アルゴン、などでパージされてから、試料が採取される。これにより、例えば、この方法が実行されているときの建物内のさまざまな量のプロペラントを含む汚染された周囲空気による、検査環境の汚染が低減される。この汚染を低減することによって、方法の精度が改善され得る。
【0036】
その後、または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、容器の周囲物および表面は、容器を少なくとも1つのエアカーテンに通すことによってパージされる。これは、上述のパージを実現する単純な方法である。
【0037】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、エアカーテンは、隔離室への入口を画成し、さらなるエアカーテンが設けられて前記隔離室の出口を画成し、気体試料は前記容器が前記隔離室内にあるときに容器の周囲物から採取される。これにより、検査環境を周囲空気および周囲空気が含む汚染物質から隔離し、それによって検出精度を改善する。
【0038】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、清浄な空気または他の清浄なガスは、隔離室の上側部分、すなわち頂部内に、ポンプなどで押し込むことによって導入され、前記隔離室内に空気またはガスの上から下への流れを発生する。これは、例えば、漏れやすい容器によって中に導入されたプロペラントの隔離室の内側をパージするのに役立つ。注目しているプロペラントは、空気より密度が高いので、これらは、室の底部に自然に沈む傾向を有し、ある程度の空気強制でこのプロセスがスピードアップし、測定精度の改善を助長する。
【0039】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、隔離室内の空気または他のガスは、隔離室の下側部分内に、能動的に、受動的に、または能動的かつ受動的に抽出される。これは、隔離室のパージをさらに助け、これにより、中のプロペラント汚染物質が素早く抽出されることを確実にする。
【0040】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、気体試料は、前室を使って容器の周囲物から取り出される。この前室により、漏れプロペラントをその内部に溜めて、それによって、単に容器がスニファを通り過ぎるだけの場合と比べてサンプリングされた漏れプロペラントの濃度を高めることができる。これは、検出精度を改善し、また検査されている容器を周囲環境から隔離するのを助け、周囲環境がプロペラントで汚染されている場合に有利である。
【0041】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、前室が清浄な空気または他の清浄なガスでパージされてから、試料が採取される。これにより、前室内に収容されている汚染された空気またはプロペラントがフラッシングされ、それによって、試料の採取前に前室に入っていた可能な汚染物質が除去されるように洗浄されることが確実になされ、したがって、検出精度に影響を及ぼし得ない。このパージは、容器が中に存在している前に、および/または容器が中に存在した後に、前室をフラッシングすることによって実行され得る。
【0042】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、試料は、前室をスニファを通り越して通過させることによって採取される。これは、それにも関わらず、漏出容器による前室の内部のプロペラントの濃度は自由大気中の漏出容器の周りのプロペラントの濃度より高いので、単に容器をスニファを通り越して通過させることに比べて検出精度を改善した単純な構造を実現する。
【0043】
容器を漏れ検査するための方法のその後または以前に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器を漏れ検査する方法の一実施形態において、異論がない限り、試料は、前室の内部を試料室と接続させることによって採取される。この結果、検出精度が改善されるが、それは、前室で高まった濃度のプロペラントが試料室に直接引き込まれ、それにより、容器または前室をスニファを通り越して通過させるのと比べて中のプロペラントの濃度が増加するからであり、本質的に、この実施形態における前室は、スニファの少なくとも一部を形成するものと考えられる。試料を引き込むプロセスをスピードアップするには、それを補助するために真空手段が設けられ得る。
【0044】
本発明は、少なくとも1つのプロペラントガスを収容する漏れ検査済み容器を製造する方法をさらに対象とし、充填された、未検査の容器を製造するステップと、上述の方法のうちの1つに従って容器を漏れ検査するステップと、周囲物から気体試料が採取された容器、すなわち検査されている(すなわち、検査対象の)容器を、定義済み濃度閾値より高いプロペラントガスが試料室内で検出された場合に、不合格判定するステップと、周囲物から気体試料が採取された(すなわち、検査対象の)容器を、プロペラントが試料室内で濃度閾値より低く検出された場合に、当然のことながらプロペラントがいっさい検出されない場合も、漏れ検査済みとして合格判定するステップとを含む。
【0045】
あるいは、漏れ検査済み容器を製造する方法は、充填された、未検査の容器を製造するステップと、容器に粗漏れ検出検査を行うステップであって、この粗漏れ検出検査に通らなかった容器は不合格判定される、ステップと、次いで、その後、上で説明されている漏れ検査方法のどれかによる粗漏れ検出検査の結果に基づき不合格判定されていない容器を漏れ検査するステップと、周囲物から気体試料が採取された容器、すなわち現在検査されている容器を、プロペラントガスが試料室内で定義済み濃度閾値より高いものとして検出された場合に、不合格判定するステップと、前記プロペラントガスが試料室内で定義済み濃度閾値より低く検出された場合に、当然のことながら、プロペラントがいっさい検出されない場合も、周囲物から気体試料が採取された容器を漏れのない容器として合格判定するステップとを含むことができる。この方法により、極端に漏れの大きい容器、すなわち、プロペラントを「吹き出す」容器による(主)漏れ検査方法に対する検査環境の汚染は、高感度漏れ検出システムに到達する前にそのようなひどく漏れている容器を不合格判定することによって対処される。
【0046】
一実施形態において、粗漏れ検出検査は、容器を、所定のガス流量閾値に反応するように配置構成されたフラップの下に通すステップと、この反応を検出するステップと、この検出に基づき不合格判定メカニズムを作動させるステップとを含む。これは、非常に漏れの大きい容器を検出するための極めて単純な方法を提供する。
【0047】
さらに、本発明は、プロペラントガス検出器システムを対象とし、このシステムは試料室と、基準レーザー光パルスおよび検査レーザー光パルスに対する出力を備えるレーザー光発生配置構成部であって、前記レーザー光は吸収が前記プロペラントガスの存在を示すスペクトル範囲、特に3.30〜3.55μmの波長帯に少なくとも部分的に入るスペクトルを有する、レーザー光発生配置構成部と、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスに対する検出器入力、ならびに検出器出力を備える検出器配置構成部であって、前記レーザー光発生配置構成部の前記出力は前記試料室を介して前記検出器入力に動作可能に接続される、検出器配置構成部と、処理入力および処理出力を有する比較処理ユニットとを備え、前記検出器出力は前記処理入力に動作可能に接続され、前記比較処理ユニットは前記処理出力に前記検査レーザー光パルスの振幅と前記検出器出力から前記処理入力に印加される前記基準レーザー光パルスの振幅との比較の結果信号を発生する。
【0048】
このシステムは3.30〜3.55μmの範囲内で動作し、現在一般的に使用されているプロペラントの大半を検出することができる、すなわち、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、HFA134a、HFA227、および使用されるレーザーの波長帯において吸収を示す他のプロペラントを検出することができる。実際、分子構造中に少なくとも1つのC−H結合を有するプロペラントガスは、必要な範囲内で吸収を示すと信じられている。このシステムで検出され得ないプロペラントには、亜酸化窒素、二酸化炭素、CFC11、およびCFC12があるが、それは、3.30〜3.55μmの範囲内で吸収を示さないからである。取り扱われているスペクトル範囲を利用するのは、水(水蒸気)は実質的にこの範囲内で光エネルギーを吸収せず、より正確な結果をもたらすので、特に有利である。さらに、受信されたレーザー光パルスの振幅を単純に比較することによって、レーザー光で周波数範囲を掃引する必要がない。このように振幅を単純に比較することで、従来技術の光学系に比べてシステムが著しく簡素化される。
【0049】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、レーザー光発生配置構成部は、単一レーザー光源を備え、ビームスプリッタが単一レーザー光源と動作可能に接続され、試料室の入力の上流に設けられる。したがって、ビームスプリッタは、単一レーザー光源からのパルスレーザー光を以前に取り扱われていた検査レーザー光パルスと基準レーザー光パルスとに分割するように配置構成される。これにより、単一レーザー光源を使用し、コンポーネントの数を減らし、レーザー光源の較正を不要にすることが可能である。
【0050】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、レーザー発生配置構成部は、検査レーザー光パルスを発生するための第1のレーザー光源と基準レーザー光パルスを発生するための第2のレーザー光源とを備える。これにより、コンポーネントのレイアウトおよび光路アーキテクチャにおける自由度が高められる。
【0051】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、検出器配置構成部は、単一検出器を備える。これにより、コンポーネントの数が低減され、複数の検出器を較正する必要がなくなる。
【0052】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、検出器配置構成部は、前記レーザー光発生配置構成部の出力と動作可能に接続し、検査レーザー光パルスを受信する第1の検出器と、前記レーザー光発生配置構成部の出力と動作可能に接続し、基準レーザー光パルスを受信する第2の検出器とを備える。これにより、コンポーネントのレイアウトおよび光路アーキテクチャにおける自由度が高められる。
【0053】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、試料室は、マルチパス室である。これは、長時間その室内に存在するプロペラントにレーザー光を当て、それによって、妥当な範囲の単一パス室で可能な以上に高い吸収を達成することによって測定精度を高める。
【0054】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスに対する周囲空気中の光路は、試料室を通る経路を除き、基準レーザー光パルスに対する周囲空気中の光路と実質的に等しい長さを有する。これは、検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスの両方が、例えば、同じ量の周囲空気に照射され、したがって、同じ減衰の作用を受け、ノイズが入ることを確実にする。これは、検査レーザー光パルスと基準レーザー光パルスとの間の微分干渉がないことを確実にすることによって測定精度を改善する。
【0055】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスに対する全光路長は、基準レーザー光パルスに対する全光路長と異なる。これにより、検査レーザー光パルスと基準レーザー光パルスを互いに関して時間をずらして受信し、それにより、1つまたは複数の検出器で容易に区別することが可能になる。
【0056】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、検査レーザー光パルスに対する光路の全長と基準レーザー光パルスに対する光路の全長との差は、少なくとも1つの検出器におけるパルスの分離が100nsより大きくなるような差である。これにより確実に、検出された検査レーザー光パルスおよび基準レーザー光パルスが重なって干渉することがなくなる。実際、120nsは優れた結果をもたらすことが実証されている。
【0057】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、基準レーザー光に対する光路は、試料室をバイパスする。この結果、信号対ノイズ比が高くなり、信頼できる結果が得られる。
【0058】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、基準レーザー光パルスに対する光路は、検査レーザー光パルスの光路と実質的に同一である、すなわち、基準レーザー光パルスおよび検査レーザー光パルスは両方とも試料室を通過する。これにより、光路アーキテクチャは特に単純に、また堅牢に構築される。
【0059】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、レーザー光発生配置構成部は、垂直外部共振器面発光レーザーまたは量子カスケードレーザーを備える。これらは、3.30〜3.55μmの波長範囲内で動作することができるレーザーの種類の2つの知られている例であり、VECSELはPhocone AGから、QCLはAlpes Laser AGから入手可能である。
【0060】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、プロペラントガス検出器システムは、試料室と動作可能に接続され、試料を所定の実質的に一定の流量で連続的に試料室内に引き込み、試料室から引き出すように配置構成されたポンプ機能配置構成部を備える。このポンプは、遠心力ポンプ、軸流ポンプ、ベンチュリーポンプ(圧縮空気または水で作動し、したがって振動がない)などの任意の知られている種類のものとすることができる。流量が一定であることで、システム内の振動および気体試料の発振が防止され、これは、マルチパス試料室が使用されている場合に、これらが試料室内の振動およびガス流の脈動の影響を受けやすいので、特に有利である。
【0061】
プロペラントガス検出器システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、プロペラントガス検出器システムの一実施形態において、異論がない限り、試料室およびポンプは、10mbara(ミリバール絶対圧)から1000mbaraの範囲、または50mbaraから150mbaraの範囲、または実質的に100mbaraの圧力を試料室に印加するように配置構成される。これらの範囲内の特定の値を選択することで、操作者は、測定精度(より高い圧力)と検出速度(より低い圧力およびしたがってシステムを通るより短いガス輸送時間)とのバランスを選択することができる。実際には、試料室内の圧力が約100mbaraであれば、現在の設定を使用して約22msのガス輸送時間で良好な結果精度が得られる。
【0062】
本発明は、容器漏れ検査システムをさらに対象とし、このシステムはプロペラントガス検出器システムの上記の実施形態のうちのどれかによるプロペラントガス検出器システムと、プロペラントガス検出器システムの試料室に動作可能に接続されたサンプリング配置構成部とを備える。
【0063】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、サンプリング配置構成部は、スニファカップ、ポータル型配置構成部、容器の上に置かれている前室、または他の企図され得る配置構成部であってもよい、プロペラントガス検出器システムの試料室と流れで接続されるスニファを備える。これにより、試料の単純採取が可能になる。
【0064】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、容器漏れ検査システムは、スニファおよび試料室に動作可能に接続された流量一定吸引ポンプを備える。これにより、試料を試料室内に、特にマルチパス室において試料室に影響を及ぼすおそれのある空気圧振動を引き起こすことなく引き込むことができる。
【0065】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、吸引ポンプは、試料室の下流に置かれる。これは、例えば気流の変動によって引き起こされるポンプからの振動が、マルチパス室の場合に振動が影響を及ぼし得る試料室に伝わらないように保護するのに役立つ。
【0066】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、容器漏れ検査システムは、複数の容器をサンプリング配置構成部を通り越して搬送するように配置構成された容器コンベヤー配置構成部を備える。これにより、検査容器について毎分少なくとも600個の速度の高速インライン検査を実行できる。
【0067】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、サンプリング配置構成部は、少なくとも2つのスニファを備え、複数の容器を交互に2つの(またはそれ以上の)スニファのうちの1つを通り越して搬送するように配置構成された容器搬送配置構成部をさらに備える。これにより、単一のスニファで可能な場合に比べて検査速度を高速化することができる。搬送手段の両方の実施形態において、搬送手段は、直線的手段、湾曲した手段、または回転式手段であってもよい。有利には、クロスオーバー弁は、それぞれのスニファを試料室に交互に接続するように配置構成され、これにより、容器の周りから試料を現在採取していないスニファカップからの試料希釈および/または二次汚染を防止する。
【0068】
容器漏れ検査システムの一実施形態において、流量一定断面クロスオーバー弁(constant flow cross−section crossover valve)は、両方のスニファ、および試料室に動作可能に接続される。試料室に入る実質的に一定の流量を確実にしながらこのクロスオーバー弁でそれぞれのスニファを順に接続し、これにより、流量の変化が例えばマルチパス試料室に悪影響を及ぼす可能性のある振動およびガス流の脈動を引き起こすことを防ぎ、容器の周りから試料を現在採取していないスニファカップからの試料希釈および/または二次汚染を防止する。
【0069】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、サンプリング配置構成部は、エアカーテン発生装置を入口および出口のところに備える隔離室の内側に置かれる。これにより、サンプリング配置構成が、プロペラントで汚染されている可能性のある、周囲環境から隔離される。
【0070】
さらに、エアカーテン発生装置は、容器の周りから、また容器が隔離室内に入るときにその表面から周囲空気をパージし、検査環境、すなわち隔離室の内部の汚染をさらに低減する。これにより、検出精度が改善される。
【0071】
容器漏れ検査システムの一実施形態において、隔離室は、清浄な空気または清浄なガスの入口を隔離室の上側部分に備える。これにより、隔離室の内容物は、清浄な空気(すなわち、例えば屋外から取った、プロペラントで汚染されていない空気)でパージされ、これにより、例えば漏れている容器が中に存在していることによって隔離室内に入り込む汚染物質を確実に取り除くことができる。これにより、検出精度がさらに改善される。
【0072】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、ガス出口は、隔離室の下側部分に設けられ、前記ガス出口は能動、受動、または能動と受動との組合せの性質を有する。これは、室の底部に抽出部を設けて隔離室のパージを改善することによって検出精度をさらに改善する。
【0073】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、サンプリング配置構成部は、検査されている容器の少なくとも一部の周りに配置可能な少なくとも1つの前室を備える。この前室は、検査されている容器の少なくとも一部の内に置くことができ、そこで、漏れプロペラントを内部に溜めて、それによって単に容器がスニファを通り過ぎるだけの場合と比べてサンプリングされた漏れプロペラントの濃度を高めることができる。これは、検出精度を改善し、また検査されている容器を周囲環境から隔離するのを助け、周囲環境がプロペラントで汚染されている場合に有利である。隔離室は容器が持ち込まれ得る静的配置構成部であると本発明者らは理解しているが、前室は、容器の少なくとも一部の内に置くことができ、したがってそれと一緒に移動する移動可能構造であることに留意されたい。
【0074】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、サンプリング配置構成部は、清浄な空気または他の清浄なガスで前室をパージするため前室と動作可能に接続しているパージシステムを備える。これにより、前室内に収容されている汚染された空気またはプロペラントがフラッシングされ、それによって、試料の採取前に前室に入っていた可能な汚染物質が除去されるように洗浄されることが確実になされ、したがって、検出精度に影響を及ぼし得ない。
【0075】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、前室は、試料室と選択的な、または一定の動作可能な接続をしている。これは、前室を試料室と直接接続させるか、またはスニファの下に通すか、もしくはスニファを通り越させることによって、実行することができ、したがって、容器が単純にスニファによって通されるときと比べて長く前室と動作可能に接続したままであるという事実があるため、より高濃度の漏れプロペラントガスがサンプリング配置構成部内に入り、したがってサンプリング室内に入ることを可能にすることによって測定精度を改善する働きをする。
【0076】
容器漏れ検査システムの以前に、またはその後取り扱われている実施形態と組み合わせることができる、容器漏れ検査システムの一実施形態において、異論がない限り、システムは、主プロペラントガス検出システムの上流に配置構成された粗漏れ検出配置構成部および粗漏れ検出配置構成部と動作可能に接続された事前不合格判定メカニズムをさらに備える。これにより、著しく漏れている容器を、より高感度の漏れ検出メカニズムに到達する前に不合格判定を行うことができるが、到達すると検査環境を汚染し結果として粗漏れ容器の近くで検査された漏れのない容器を不適切に不合格判定する可能性もある。
【0077】
一実施形態において、粗漏れ検出配置構成部は、容器のスペースに隣接し、事前不合格判定システムと動作可能に接続されているフラップを備える。このフラップは、漏れプロペラントの流れを吹き付けられるように配置構成され、電気接点を接続または切断するように配置構成されるものとしてよく、またはその移動は、光学的手段、静電気的手段、または磁気的手段によって検出され得る。これは、プロペラントを「吹き出す」極端に漏れの大きい容器を検出する単純で効果的な方法を提供する。
【0078】
以前に、またはその後に取り扱われている実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、異論がない限り、容器漏れ検査システムは、比較処理ユニットと動作可能に接続されている不合格判定メカニズムをさらに備える。これにより、処理ユニットによって漏れがあると判定された容器を不合格判定することができる。
【0079】
次に、本発明について、以下の図の特定の非限定的な例に関して説明する。