特許第6069497号(P6069497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069497
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】吸収物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/475 20060101AFI20170123BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20170123BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   A61F13/475 112
   A61F13/535 200
   A61F13/537 220
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-516475(P2015-516475)
(86)(22)【出願日】2012年6月11日
(65)【公表番号】特表2015-519154(P2015-519154A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】EP2012061010
(87)【国際公開番号】WO2013185800
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】スザンネ・フレドリックソン
(72)【発明者】
【氏名】シャルロッテ・ヨハンソン
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−014792(JP,A)
【文献】 特表2011−502693(JP,A)
【文献】 特開平02−060646(JP,A)
【文献】 国際公開第91/009582(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向側縁部(2,3)及び横断方向端縁部(4,5)を有する衛生ナプキン又は失禁パッドなどの吸収物品であって、
前記吸収物品は、流体透過性の表面シート(8)と、流体不透過性の背面シート(9)と、前記表面シート(8)と前記背面シート(9)との間に位置する吸収コア(10)とを備え、
前記吸収コア(10)は、それを通じて延在する開口部(12)を有する第1の吸収層(11)と、前記第1の吸収層(11)と前記背面シート(9)との間に位置する流体流れ制御構造(13)と、を備える、吸収物品において、
前記第1の吸収層(11)は、長手方向の前方部分(6)と、長手方向の後方部分(7)とを有し、狭い横断方向移行部(14)は、前記前方部分(6)と前記後方部分(7)との間に位置しており、
前記狭い横断方向移行部(14)の幅は、前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)の最も広い横断方向の幅の50〜75%であり、
前記開口部(12)の長手方向の長さの20〜50%は、前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)に位置
前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)における前記開口部(12)の前記横断方向の寸法は、前記第1の吸収層(11)の前記後方部分(7)における前記開口部(12)の前記横断方向の寸法よりも大きい、吸収物品。
【請求項2】
前記狭い横断方向移行部(14)の前記幅は、前記第1の吸収層(11)の前記後方部分(7)の前記最も広い横断方向の幅の50〜75%、好ましくは55〜70%である、請求項1に記載の吸収物品。
【請求項3】
前記狭い横断方向移行部(14)の前記幅は、前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)の前記最も広い横断方向の幅の55〜70%である、請求項1又は2に記載の吸収物品。
【請求項4】
前記狭い横断方向移行部(14)の長手方向の長さは、前記第1の吸収層(11)の前記長手方向の長さの5〜20%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項5】
前記開口部(12)の前記長手方向の長さの20〜40%は、前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)に位置する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項6】
前記第1の吸収層(11)の前記開口部(12)の前記長手方向の長さは、前記第1の吸収層(11)の前記長手方向の長さの10〜60%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項7】
前記第1の吸収層(11)における前記開口部(12)の前記長手方向の長さは、前記第1の吸収層(11)の前記長手方向の長さの20〜40%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項8】
前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)は、前記第1の吸収層(11)の長手方向の全長の20〜40%を構成する、請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項9】
前記第1の吸収層(11)の前記狭い横断方向移行部(14)の前記幅は、130mm未満であり、且つ30mmより大き、請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項10】
前記第1の吸収層(11)は、1つの開口部(12)のみを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項11】
第2の吸収層(15)は、前記流体流れ制御構造(13)と前記背面シート(9)との間に位置する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項12】
前記第2の吸収層(15)は、前記第1の吸収層(11)より小さい表面積を有する、請求項11に記載の吸収物品。
【請求項13】
前記表面シート(8)及び前記背面シート(9)は、前記第1の吸収層(11)の横方向外側で一緒に延在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項14】
弾性部材(16)は、衛生ナプキン(1)の各長手方向側縁部に沿って配置され、前記第1の吸収層(11)の前記前方部分(6)と前記後方部分(7)との間の前記狭い横断方向移行部(14)の少なくとも横方向外側に配置される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収物品。
【請求項15】
前記吸収物品(1)は、前記第1の吸収層(11)の前記狭い横断方向移行部(14)の横方向外側に位置する吸収材料から自由とされる空間(17)を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の吸収物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、それを通じて延在する開口部を有する吸収コアを備える衛生ナプキン又は失禁パッドなどの吸収物品に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の下着の内側に着用される種類の吸収物品は、成人失禁又は女性に対する使用のための吸収ナプキン又はパッドを含む。
【0003】
ナプキン又はパッドには一般的に、体液を受容し且つ保持するために吸収コアが設けられる。そのような吸収物品が効率的に機能するために、吸収コアは、体液を適用ポイントからその構造内へ急速に捕獲しなければならない。その後、最大限の漏出封じ込めを提供するために、吸収コア内で又は吸収コアの至る所で体液を分散させなければならない。吸収コア及び吸収コアの開口部に接続された取得/分散層は、その局所的領域が以前の発作(insult)により液体ですでに満たされる傾向があるので、その後の発作が以前の発作と同一の局所的領域に向けられた場合に、援助する。
【0004】
それらの種類の物品が下着の股部分で利用可能とされる限定された空間内に適合するように寸法決めされ、且つ構成されなければならないので、特定の問題は、物品の全吸収能力が利用される前にそれらが側縁部で漏出する可能性がある場合とされる。流体はその代わりに、表面シート上を流れ、その流体が漏出することができる物品の側縁部から外側へ流れ出て、着用者の衣類を汚すだろう。流体が表面シートの外側上で流れる場合におけるさらなる欠点は、身体と接触する表面シートの大部分が湿ってしまうことである。これは当然ながら、吸収物品を着用するのに非衛生で且つ不快にさせるので、非常に望ましくない。
【0005】
多大な努力は、失禁用又は女性用ナプキン及びパッドに関連する側部漏出問題を克服するために従来より行われていた。
【0006】
特許文献1は、吸収物品の所望の形状を得るために折り曲げ指示部及び形成要素を有する吸収コアを備える吸収物品を開示している。先行技術の設計が側部漏出問題をある程度まで緩和するけれども、下着の股部分に着用される種類の吸収物品のための側部漏出に対する安全性(side leakage security)におけるさらなる改良の必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2009067059号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本物品が有する上記の欠点を緩和する改良した解決方法を提供することが、本願発明の目的である。
【0009】
本願発明は、本願請求項1に係る吸収物品に関する。吸収物品は、長手方向側縁部及び横断方向端縁部を有する衛生ナプキン又は失禁パッドなどの物品であって、流体透過性の表面シートと、流体不透過性の背面シートと、前記表面シートと前記背面シートとの間に位置する吸収コアとを備える物品である。前記吸収コアは、それを通じて延在する開口部を有する第1の吸収層と、前記第1の吸収層と前記背面シートとの間に位置する流体流れ制御構造と、を備える。前記第1の吸収層は、長手方向の前方部分と、長手方向の後方部分と、前記前方部分と前記後方部分との間に位置した、狭い横断方向移行部と、を有する。前記狭い横断方向移行部の幅は、前記第1の吸収層の前記前方部分の最も広い横断方向の幅の50〜75%であり、前記開口部の長手方向の長さの20〜50%は、前記第1の吸収層の前記前方部分に位置する。それによって、使用中に適所に留まり、液体が開口部へ方向付けられ、流体流れ制御構造及びコア内に流れることを確実にする吸収物品は達成される。
【0010】
前記狭い横断方向移行部の幅は好ましくは、着用者の腱を超えて良好なホック(hook)を得るために、前記第1の吸収層の前記前方部分の最も広い横断方向の幅の55〜70%とされてもよい。前記狭い横断方向移行部の幅は、吸収物品の改善した適合を確実にするために、前記第1の吸収層の前記後方部分の最も広い横断方向の幅の50〜75%とされてもよく、好ましくは55〜70%とされる。前方部分及び後方部分の最も広い横断方向の幅は、約75mm〜約170mmとされてもよい。狭い横断方向移行部の長手方向の長さは、吸収物品が適切な適合を有し、且つ使用中に適所に留まることをさらに確実にするために、第1の吸収層の長手方向の長さの5〜20%とされてもよい。第1の吸収層の狭い横断方向移行部の幅は、着用者の腱の間における吸収物品の改善した適合のために、130mmより小さく、且つ30mmより大きくなってもよく、好ましくは、90mmより小さく、且つ50mmより大きくなってもよい。第1の吸収層の長手方向の長さは、約230mm〜約400mmとされてもよい。
【0011】
第1の吸収層の前方部分は、第1の吸収層の長手方向の全長の20〜40%を構成してもよい。後方部分に対して第1の吸収層の前方部分のより短い長手方向の長さを生じる吸収物品の非対称な形状は、吸収物品の適合性及び漏出に対する安全性をさらに改善する。
【0012】
第1の吸収層は、第1の吸収層を完全に貫通するように延在している少なくとも1つの開口部を有し、それによって、吸収物品におけるキャビティを形成する。開口部の長手方向の長さの20〜50%、好ましくは20〜40%は、吸収物品の着用者の腱に対して孔の適切な配置を確実にするために、第1の吸収層の前方部分に位置してもよい。第1の吸収層における開口部の長手方向の長さは、表面シートの外側ではなく、開口部内への流体流れを確実にするために、第1の吸収層の長手方向の長さの10%〜60%、好ましくは20%〜40%とされてもよい。第1の吸収層の前方部分において、開口部の横断方向の寸法は、孔を通じて流体流れ制御構造内にさらに流れる流体の流入を改善するために、第1の吸収層の後方部分における開口部の横断方向の寸法より大きくてもよい。第1の吸収層は、漏出に対する安全性及び使用者のための改善した安心感の両方のための1つの開口部のみを有してもよい。
【0013】
第2の吸収層は、吸収物品の吸収力をさらに増加させるために、流体流れ制御構造と背面シートとの間に位置することができる。第2の吸収層は、増加した吸収力を有する吸収物品のボウル形状を高めるために、第1の吸収層より小さな表面積を有してもよい。第1の吸収層は、第2の吸収層より、吸収物品における前方及び後方にさらに延在してもよい。吸収物品は、1つ以上のさらなる吸収層を備えてもよい。
【0014】
流体流れ制御部材は、第1の吸収層と背面シートとの間に配置されているが、第1の吸収層と第2の吸収層との間に配置されてもよい。第1の吸収層は、表面シートの下に、且つ表面シートと直接的に接触するように配置されてもよい。又は、代替的には、第1の吸収層は、組織層、取得層、又はさらなる吸収層などの1つ以上の介在構成部材を通じて表面シートと間接的に接触するように配置されてもよい。同様に、第2の吸収層は、流体流れ制御部材の下に直接的に配置され、且つ流体流れ制御部材及び背面シートと直接的に接触するように配置されてもよい。又は、第2の吸収層は、介在構成要素によってそれらの構成要素のうちの一方又は両方の構成要素と間接的に接触してもよい。流体流れ制御部材を第1の吸収層と第2の吸収層との間に配置することによって、吸収物品におけるチャネルを形成し、吸収物品の後方及び前方に流体を導く。流体流れ制御部材と吸収コアとの間の接触領域は増加しており、それは吸収物品における液体の分散及び迅速な吸収を容易にする。
【0015】
吸収物品は、失禁パッド又は衛生ナプキンの形態とされる。または、吸収物品は、女性用又は失禁用とされてもよい。さらに、吸収物品は、全ての方向に完全に延在された場合に、細長く、略矩形状の形状を有してもよい。これに関連して、略矩形状は、例えば、吸収物品の角部が丸みを帯びているもの、又は吸収物品の縁部が完全に直線状ではない場合があるものを含むように意図される。吸収物品は、等しい長さを有するとともに、同じ方向に略延在する2つの長手方向側縁部を有してもよい。
【0016】
吸収物品の表面シート及び背面シートは、吸収物品の周囲全体に沿って第1の吸収層の横方向外側に一緒に延在してもよく、漏出防止のために吸収コアの周囲の周りの縁継手において互いに接続されてもよい。表面シートは好ましくは、縁バリアを形成するために背面シートの一部を覆ってもよい。
【0017】
表面シートは、その目的、すなわち柔らかさ及び液体通過性に適した任意の材料からなってもよい。表面シート材料の例は不織布材料、穿孔したプラスチックフィルム、プラスチックメッシュ又は織物メッシュ、及び、液体透過性発泡層とされてもよい。流体透過性の着用者に面する表面の異なる部分内において、異なる材料からなる表面シートなどの、2つ以上の表面シート材料からなるラミネートは採用されてもよい。
【0018】
背面シートは、流体不透過性とされる。しかしながら、流体はっ水性(fluid repellant)のみとされる背面シートの材料は、比較的少ない量の尿が吸収されるように期待される例において特に使用されることができる。背面シートは、ポリエチレン又はポリプロピレン等の薄く、曲げやすく、流体不透過性のプラスチックフィルムとされてもよいが、流体不透過性の不織布材料、流体不透過性のフォーム、及び流体不透過性のラミネートも、本願発明の技術的範囲内で考慮される。背面シートは好ましくは通気可能であり、これは、空気及び水蒸気が背面シートを通過してもよいことを暗示している。さらに、背面シートは、不織布などの織物材料の衣類に面する外表面を有してもよい。
【0019】
吸収コアは、第1の吸収層を備える。それは、1つの吸収層のみを備えてもよいが、第2の吸収層又はさらなる吸収層を備えてもよい。吸収コアは、任意の適切な吸収材料又は流体採取材料、例えば、セルロース羽毛立ちパルプ、フォーム、ハイロフト(highloft)の1つ又は複数の層等から製造されてもよい。吸収コアは、超吸収ポリマー材料の繊維又は粒子を含んでもよい。これは、超吸収剤として一般に知られており、ハイドロゲルの形態で大量の流体を吸収し、且つ保持する能力を有する材料である。超吸収剤は、セルロース羽毛立ちパルプと混合されてもよく、及び/又は吸収コアにおけるポケット又は層内に配置されてもよい。繊維は、パルプ繊維とされてもよく、超吸収材料はポリアクリレートベースの粒子とされてもよい。吸収構造は40%〜80%の超吸収剤と60%〜20%のパルプ繊維を備えてもよい。吸収コアは、吸収コアの性質を改善するための構成要素をさらに組み込んでもよい。そのような構成要素のいくつかの例は、バインダー繊維、流体消散材料(fluid−dispersing)、湿気指示器、流体取得材料などとされる。
【0020】
吸収層は均質的構造とされてもよく、又はそれら自体において、同一の材料又は異なる材料の吸収ラミネート等の積層構造とされてもよい。吸収層は、均一の厚さとされてもよく、層の異なる部分においてその厚さを変更してもよい。同様に、坪量及び組成は吸収層内で変化してもよい。例として、吸収層は、吸収繊維及び/又は非吸収繊維と超吸収剤との混合であってもよい。この点において、繊維に対する超吸収剤の割合は層内で変化してもよい。ヒンジとして作用する1つ又は複数の圧縮ラインは有利には、第1の吸収層において配置されることができ、そのような圧縮ラインは、吸収物品の折り畳みを容易にするために、比較的硬くなっていてもよい。
【0021】
表面シートは好ましくは、第1の吸収層の開口部によって規定されたキャビティ内に延在し、且つ表面シートに面している流体流れ制御構造の表面に延在する。それによって、キャビティは表面シート材料と腹合わせになっており、吸収物品の身体に面する外側表面からアクセス可能である。キャビティ内に集められる流体の一部は、キャビティの壁を通じて第1の吸収層によって吸収されることができる。しかしながら、流体の大部分は、キャビティの底部を通じて流体流れ制御部材内へ、吸収物品内で下方向に流れ続け、それは流体流れ制御部材に沿って長手方向及び横方向に分散される。
【0022】
流体流れ制御部材は矩形状とされてもよく、吸収コアの一部によって長手方向及び横方向において取り囲まれてもよい。流体流れ構造の他の形状及び構成はまた、使用されてもよい。しかしながら、これが吸収コアの広い領域への分散を容易にするので、流体流れ制御部材が吸収コアより小さな幅を有し、且つ吸収コアより短い場合に、一般的に有利である。
【0023】
弾性部材は、吸収物品の形状をさらに改善するために、第1の吸収層の前方部分及び後方部分の間の狭い横断方向移行部の少なくとも横方向外側に、衛生ナプキンの各長手方向側縁部に沿って配置されることができる。弾性部材は好ましくは、表面シート及び背面シートの間に位置する。吸収コアは好ましくは、第1の吸収層の各側縁部に沿って位置する空間を有する。この空間は、着用者に対する吸収物品の改善した適合及びスリムな形状を得るために、吸収材料から実質的に自由である。この空間は、吸収物品の周囲に位置する弾性部材と第1の吸収層の周囲との間における領域において、第1の吸収層の狭い横断方向移行部に隣接して位置してもよい。
【0024】
吸収物品は、一対の下着などのサポートパンツ衣類の内側に吸収物品を固定するための固定手段をさらに含んでもよい。固定手段は、剥離可能な保護層によって覆われてもよい。
【0025】
本願発明は、包含された図面を参照して詳しく記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本願発明による吸収物品の第1の吸収層及び流れ制御構造の平面図である。
図2図1におけるラインII−IIに沿って切断された断面図である。
図3】本願発明による吸収物品の一の実施形態の平面図である。
図4図3におけるラインII−IIに沿って切断された断面図である。
図5図3の吸収物品の分解3次元図である。
図6】本願発明による吸収物品の一の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願発明は、例示的な実施形態によって以下に詳しく記載されるであろう。しかしながら、本願発明は多くの異なる形態で実現されることができ、図面及びそれに対する説明に記載された実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。
【0028】
図3は、吸収物品1が着用される場合に、着用者の身体に向けて面するように意図される面から見た、失禁パッドの形態における吸収物品1を開示する。吸収物品1は、2つの長手方向側縁部2及び3を有する。これらの長手方向側縁部2及び3は等しい長さを有し、同じ方向に実質的に延在する。前方端縁部4及び後方端縁部5は、吸収物品1の両端で横断方向に延在する。後方端縁部5は、吸収物品1の使用中に後方に方向付けられるように意図され、前方端縁部4は着用者の腹部に向けて前方に面するように意図される。吸収物品1は流体透過性表面シート8と、流体不透過性背面シート9と、第1の吸収層11及び流体流れ制御構造13を有する吸収コア10であって、図4に示されるように表面シート8と背面シート9との間に包含される吸収コア10と、を備える。図3図5におけるコアは、流体流れ制御構造13と背面シート9との間に位置する第2の吸収層15を備える。吸収物品1の表面シート8及び背面シート9は、その周囲全体に沿って第1の吸収層11の横方向外側に一緒に延在するように示され、吸収物品1の周囲の周りの縁継手で、互いに接続される。縁継手は、その技術分野において周知な任意の適切な方法で、例えば、接着剤、超音波接着、熱接着、スティッチ(stitching)などによって形成されることができる。表面シート8及び背面シート9は、本願明細書に開示されるように、特定の目的のために、不織布材料又はフィルム材料などの任意の適切な材料からなってもよい。
【0029】
弾性材料のバンド、例えば発泡弾性材のバンドなどの弾性部材16は、表面シート8と背面シート9との間に配置され、第1の吸収層1の長手方向側縁部に沿って配置される。弾性材料は、狭い横断方向移行部14の外側の領域に位置し、この横断方向移行部14は、第1の吸収層11の前方部分6と後方部分7との間に位置する。空間17は、弾性部材16と狭い横断方向移行部14との間の領域に位置する。つまり、空間17は、第1の吸収層11の狭い横断方向移行部の横方向外側に位置する。空間17は、吸収材料から実質的に自由である。その空間は吸収物品のスリムな形状を提供し、減少した側部漏出の状態に導くために、着用者に対する吸収物品の適合を改善する。
【0030】
図1及び2は、それを通じて延在する開口部12を有する第1の吸収層11を示す。流体流れ制御構造13は、第1の吸収層11の下に位置する。第1の吸収層11は、図1に見られるように、長手方向前方部分6と、長手方向後方部分7と、前方部分6と後方部分7との間に位置した狭い横断方向移行部14と、を有する。狭い横断方向移行部14の幅は、第1の吸収層11の前方部分6の最も広い横断方向の幅の50〜75%であり、第1の吸収層の後方部分7の最も広い横断方向の幅の50〜75%であり、例えば65mmである。前方部分6及び後方部分7の最も広い横断方向の幅は、約75mm〜約170mmとされており、例えば100mmとされてもよい。狭い横断方向移行部14の長手方向の長さは、第1の吸収層11の長手方向の長さの5〜20%である。第1の吸収層の前方部分は第1の吸収層の長手方向の長さの20〜40%である。第1の吸収層11の長手方向の長さは、約230mm〜約400mmとされており、例えば300mmとされてもよい。
【0031】
図3に示されるような吸収物品1は、全ての方向において完全に延在された場合に細長い略矩形形状を有する。例えば、この文脈における「実質的に」との用語は、失禁プロテクタ1の角部が丸みを帯びてもよいこと、又は失禁プロテクタ1の縁部が完全に直線状ではなくてもよいことを意味する。
【0032】
吸収物品1は、一対の下着などのサポートパンツ衣類の内側に、吸収物品1の固定のための固定手段(図面に示していない)をさらに有することができる。固定手段は、背面シート9の衣類に対して面する表面に配置された、長手方向に延在する2つの感圧接着剤のバンドの形態とされてもよい。固定手段は、剥離可能な保護層によって覆われてもよい。保護層は、シリコン処理された紙又は不織布、又は当業者に周知である任意の他の剥離可能な材料とされてもよい。サポートパンツ衣類内に失禁プロテクタを配置する前に、保護層は接着剤を露出させるために、固定手段から取り外され、パンツ衣類に対する固定のために利用可能とされる。
【0033】
固定手段は、本願発明に対するオプションとされ、所望される場合に省略されてもよい。接着剤の固定手段を使用する場合に、背面シートの全面被覆、1つ又は複数の長手方向接着剤バンド、横断方向バンド、点、円、湾曲、星等の任意の適切な接着剤パターンは、使用されてもよい。さらに、固定手段は、ホックタイプのファスナー、クリップ、ホック(press studs)等のメカニカルファスナーとされてもよい。または、固定手段は、摩擦コーティング又は連続気泡フォームなどの摩擦ファスナーとされてもよい。異なる種類のファスナーの組み合わせもまた、考えられる。
【0034】
図3に示された吸収物品1の吸収コア10は、第1の吸収層11と第2の吸収層15とを備える。これらの吸収層は、吸収繊維及び/又は非吸収繊維及び超吸収材料の混合物を備えることができる。流体流れ制御構造13は、第1の吸収層11と第2の吸収層15との間に配置される。図3における吸収物品1において、第1の吸収層11は表面シート8の下に配置され、表面シート8と直接的に接触する。
【0035】
第2の吸収層15は、略矩形状の形状を有するように示される。第2の吸収層15は、第1の吸収層11の下に配置される。第2の吸収層15は、第1の吸収層11が第2の吸収層15を超えて吸収物品1における前方及び後方に延在するように、第1の吸収層11よりやや小さい。これらの吸収層の寸法及び形状は、本願発明から逸脱せず、図面に示された寸法及び形状と異なってもよい。さらに、第2の吸収層15は、本願発明による吸収物品1において省略されてもよい。又は、吸収物品1は、1つ以上のさらなる吸収層を備えてもよい。
【0036】
第1の吸収層11は、層1を通じて完全に延在する開口部12を有する。第1の吸収層11は、異なる形状及び構成の1つ又は複数の開口部12を有してもよい。しかしながら、1つの伸長した開口部12は好まれる。開口部12の長手方向の長さは、第1の吸収層の長手方向の長さの10〜60%である。開口部の長さは、例えば約100mmとされてもよい。開口部12は、第1の吸収層11の前方部分6におけるその長手方向の長さの20〜50%に位置する。第1の吸収層11の前方部分6における開口部12の横断方向の寸法は、第1の吸収層11の後方部分7における開口部12の横断方向の寸法より大きい。開口部12は、吸収物品1の使用時に、女性の着用者の尿道及び膣口の下に直接的に配置されるであろう。吸収物品1に対して解放された体液は、開口部12において直接的に収集されるであろう。そして、それらの体液は、吸収コア10内に、且つ吸収コア10の至る所でさらに分配されるまで、その中に一時的に保持される。
【0037】
図4において、表面シート8は、第1の吸収層11の開口部12と流体流れ制御構造13の表面シートに面する面とによって画定されたキャビティ内に入るように延在していない。しかし、好ましくは、そのように形成されてもよい。開口部12内に収集された流体の一部は、開口部12における第1の吸収層の壁を通じて第1の吸収層によって吸収されてもよい。しかしながら、流体の大部分は、吸収物品1の下方に、且つ流体流れ制御構造13内に続くであろう。流体の大部分は、流体流れ制御構造13に沿って長手方向且つ横方向に分散される。
【0038】
流体流れ制御構造13は、矩形状とされるように図1〜5に示されており、吸収層11及び15の部分によって長手方向及び横方向において取り囲まれる。それは、流体流れ制御構造13が短い幅を有する場合に、好ましくは流体流れ制御構造13が吸収層11及び15より短くなる場合に、通常有利となる。
【0039】
流体流れ制御構造13は、第1の穿孔されたポリマー層と第2の穿孔されたポリマー層との間に挟まれた穿孔されていない繊維性ポリマー層からなる3層構造とされてもよい。
【0040】
吸収物品1における構成要素は、組立用接着剤、熱接着、超音波接着等の従来の手段によって互いに接続されることができる。特別な接着手段によって互いに失禁プロテクタの内部構成要素を接着することは必要とされていない。それ故に、そのような構成要素が摩擦力によって一緒に保持されることは、十分とされてもよい。
【0041】
図6は、本願発明による吸収物品1の例示的な実施形態の側面図である。第1の吸収層の前方部分6と後方部分7との間の狭い横断方向移行部14は、着用者に対する吸収物品の改善した適合を提供する。そして、その適合は、空間17及び弾性部材16によってさらに高められる。
【符号の説明】
【0042】
1 吸収物品
2、3 長手方向側縁部
4、5 横断方向端縁部
6 前方部分
7 後方部分
8 表面シート
9 背面シート
10 吸収コア
11 第1の吸収層
12 開口部
13 流体流れ制御構造
14 狭い横断方向移行部
15 第2の吸収層
16 弾性部材
17 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6