特許第6069579号(P6069579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069579調整装置、調整装置を有する車両シート、及び調整装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069579
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】調整装置、調整装置を有する車両シート、及び調整装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/22 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   B60N2/22
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-504632(P2016-504632)
(86)(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公表番号】特表2016-514646(P2016-514646A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2014055943
(87)【国際公開番号】WO2014154680
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年11月20日
(31)【優先権主張番号】102013005132.0
(32)【優先日】2013年3月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013009272.8
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】レーマン、 ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヒッレ、 ギュンター
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−515616(JP,A)
【文献】 特開2010−284217(JP,A)
【文献】 特開2008−223076(JP,A)
【文献】 特開平04−344884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(10)用の調整装置(20)であって、第1取付部材(5)と第2取付部材(6)とを有し、前記第1取付部材(5)は前記第2取付部材(6)に対して回転軸の周りで回転させることができ、前記調整装置(20)は前記第1取付部材(5)と前記第2取付部材(6)とを連結するための少なくとも1つの連結手段(4)を有し、前記連結手段(4)及び/又は前記第1取付部材(5)及び/又は前記第2取付部材(6)の表面(2)の少なくとも一部は構造(3)を有し、前記構造(3)は前記連結手段(4)と前記第1取付部材(5)との間の第1接触領域に及び/又は前記連結手段(4)と前記第2取付部材(6)との間の第2接触領域に形成され、前記連結手段(4)と前記第1取付部材(5)及び/又は前記第2取付部材(6)は同じ材料から製造され
前記構造(3)は前記表面(2)の多数の凹部として作られ、
前記構造(3)は1nmから100μm程度の大きさを有する、調整装置(20)。
【請求項2】
前記構造(3)は、前記構造を有する前記表面(2)が前記構造がない状態よりも低い滑り摩擦係数を有するように構成される、請求項1に記載の調整装置(20)。
【請求項3】
前記構造(3)の少なくとも一部に潤滑剤が設けられる、請求項1又は2に記載の調整装置(20)。
【請求項4】
前記構造(3)半球状凹部である、請求項1から3のいずれか1項に記載の調整装置(20)。
【請求項5】
前記構造(3)潤滑剤溜まりとして働くように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の調整装置(20)。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載の調整装置(20)を有する車両シート(10)。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の調整装置(20)を製造するための方法であって、
第1の方法ステップで前記調整装置(20)の連結手段(4)、第1取付部材(5)及び第2取付部材(6)が製造され、前記第1の方法ステップで前記連結手段(4)と前記第1取付部材(5)及び/又は前記第2取付部材(6)は同じ材料から製造され、
第2の方法ステップで前記連結手段(4)及び/又は前記第1取付部材(5)及び/又は前記第2取付部材(6)の表面(2)の少なくとも一部に構造(3)が作られ、前記構造(3)は、前記連結手段(4)と前記第1取付部材(5)との間の第1接触領域及び/又は前記連結手段(4)と前記第2取付部材(6)との間の第2接触領域に形成され
第3のステップで前記第1取付部材(5)、前記第2取付部材(6)及び前記連結手段(4)は前記調整装置(20)を形成するように組み立てられる方法。
【請求項8】
前記第2及び/又は第3のステップで、前記構造(3)を有する前記表面の少なくとも一部に潤滑剤が導入される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記表面(2)に前記構造(3)を作るための前記第2ステップで、直接レーザー干渉使用され第1の部分ステップで2つのコヒーレントなコリメートされたレーザー光(1、1')が前記構造(3)を作る表面(2)で重ね合わされ、前記構造(3)は第2の部分ステップで前記レーザー光(1、1')及び/又前記表面(2)を移動させることによって作られる、請求項又はに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に従う車両シート構成要素を調整するための調整装置に基づく。
【背景技術】
【0002】
このような調整装置は、例えば、特許文献1から一般に知られている。この場合、従来の方式で、調整装置の1つの構成要素が第1車両シート部材に固定され、もう1つの構成要素が第1車両部材に対して調整することが意図される第2車両部材に固定される。調整装置はホイール又は移動止めを用いて操作することができ、2つの構成要素は調整装置の調整ギアによって互いに対して移動させられる。
【0003】
この場合、このような調整装置は、従来の方式で、例えば振動に基づく意図しない調整が不可能であるように構成されるが、規定に従う調整は可能な限り最も簡単な方法で行われる。従来技術によれば、従って、一方又は両方の構成要素に接触しているブレーキが設けられる。静止状態では、ブレーキと構成要素との静止摩擦によって、意図しない調整が防止される。このため、ブレーキと構成要素を同じ材料から製造することは、この場合には静止摩擦係数が大きいため、有利である。
【0004】
一方、滑り摩擦係数は、意図的な調整の場合に、ブレーキが可能な限り摩擦のない方法で構成要素と相互作用するように、可能な限り低いことが意図される。このため、一般にブレーキ及び/又は構成要素に塗布され、滑り摩擦を低減するコーティングがある。このコーティングは一般に異なる材料を含み、従って静止摩擦を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005054489号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、相互の上を走る構成要素が高い静止摩擦係数と低い滑り摩擦係数とを同時に有する、冒頭で述べたタイプの調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特に車両シートの背もたれの傾き調整用の調整装置であって、調整装置は第1取付部材と第2取付部材とを有し、第1取付部材は第2取付部材に対して回転軸の周りで回転させることができ、調整装置は第1取付部材と第2取付部材とを連結するための少なくとも1つの連結手段を有し、前記連結手段及び/又は第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面の少なくとも一部は構造を有し、構造は連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域に及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域に形成され、前記連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は同じ材料から製造される調整装置によって達成される。
【0008】
従来技術と比較して、本発明による調整装置は、構造の結果として、本発明による調整装置の動作中の摩擦関係が最適化されるという利点を有する。この場合、本発明の文脈における「最適化」という表現は、調整装置が、例えば振動の結果としての意図しない調整に関して可能な限り動かないように構成され、すなわち高レベルの静止摩擦を有し、一方、意図的な調整が可能な限りほとんど摩擦を伴わない運動、すなわち、特に回転をもたらし、従って、滑り摩擦が可能な限り低いことを意味すると理解されることが意図されている。これにより、調整装置の簡単且つ安全な動作が可能になる。構造形成されていない調整装置と比較して、ほとんど潤滑剤、例えば油が必要とされない。連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材の両方が構造を有する場合、摩擦関係を更に向上させることができる。本発明によれば、構造は、連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域に形成される。ローリング動作中の摩擦の一因となる表面が、それによって有利に構造形成される。好ましくは、構造は、構造形成された表面が構造形成されていない状態よりも低い滑り摩擦係数を有するように構成される。ほとんど摩耗を受けず、操作が簡単な調整装置が、それによって提供される。例えば、潤滑剤溜まりとして働く構造形成によって作られるこのような構造により、優れた摺動特性を達成することができ、潤滑剤溜まりによって、互いに擦れ合う構成要素の良好な潤滑が可能となる。特に、このために流体潤滑剤が設けられる。また、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は、本発明によれば同じ材料から製造される。好ましくは、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は、高い静止摩擦係数を有する材料、特にアルミニウムから製造される。それによって、高い静止摩擦係数という文脈において良好な静止摩擦が特に有利な方法でもたらされ、一方、構造は、低い滑り摩擦係数という文脈において可能な限り低い滑り摩擦が同時に生じるように選択される。それによって、特にほとんど摩耗を受けず、製造にあたって費用対効果が高い調整装置が提供される。従来技術による調整装置とウォブル機構が、特許文献1に詳細に開示されている。特許文献1の開示を、参照により本出願の開示に明示的に組み込むものとする。例えば、構造として表面の球状部又は半球状凹部を作ることができる。
【0009】
有利な実施形態は、図の説明及び/又は図面から得ることができる。
【0010】
好ましい実施形態によれば、調整装置は、第1取付部材又は第2取付部材の回転を制御するための調整ギアを有する。それによって有利なことに、特に伝動ユニットを有する調整装置の簡単な作動をもたらすことができる。特に好ましい態様では、調整ギアはウォブル機構である。それによって有利なことに、有利であることが見出されている既知のギヤ機構を使用すること、その結果、製造コストを低く抑えることが可能である。特に非常に好ましい態様では、連結手段は、回転が静止摩擦によって特定のトルクまで阻止されるように構成される。
【0011】
好ましい実施形態によれば、構造形成によって作られる構造の少なくとも一部に潤滑剤が設けられる。特に好ましい態様では、潤滑剤は、流体潤滑剤、特に高粘性潤滑剤、潤滑グリース及び/又はガス状潤滑剤である。特に非常に好ましい態様では、潤滑剤は潤滑油である。当業者であれば、いわゆるAPI分類API GL−1からAPI GL−5に従うものを潤滑剤として使用することができることが分かる。それによって有利なことに、その導入又は塗布が一般に複雑で且つ時間がかかる結合コーティング又は固体潤滑剤を使用せずに、低い滑り摩擦係数と同時に高い静止摩擦係数を有する調整装置を提供することができる。
【0012】
本発明の主題の他の態様は、調整装置を製造するための、好ましくは本発明による調整装置を製造するための方法であって、第1の方法ステップで調整装置の連結手段と第1取付部材及び第2取付部材が製造され、第1の方法ステップで連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は同じ材料から製造され、第2の方法ステップで連結手段及び/又は第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面の少なくとも一部が構造形成され、構造形成は連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域で及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域で行われ、第3のステップで第1取付部材及び第2取付部材と連結手段は調整装置を形成するように組み立てられる方法である。
【0013】
それによって有利なことに、摩擦が最適化された調整装置を簡単且つ迅速に製造することができる。構造形成は、コーティングより時間の消費が少なくて済み、有利なことに後続処理を必要としない。潤滑剤溜まりは、結果的に、幾何学的に正確な形で設けることができる。本発明によれば、構造形成は、連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域で及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域で行われる。詳細には、連結手段及び/又は第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面がそれによって有利に構造形成され、それらの表面は摩擦のために設けられる。
【0014】
好ましい実施形態によれば、静止摩擦係数が同じままである表面材料は、構造形成されていない状態よりも低い滑り摩擦係数を有する。それによって有利なことに、ほとんど摩耗を受けず、操作が簡単な調整装置を提供することができる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、第1の方法ステップで、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は同じ材料から製造される。特に有利な態様では、高い静止摩擦係数という文脈において良好な静止摩擦がそれによって可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、表面を構造形成するための第2ステップで、直接レーザー干渉構造形成が使用され、第1の部分ステップで、特に同じレーザー光源の、2つのコヒーレントなコリメートされたレーザー光が構造形成ゾーンの領域において構造形成される表面で重ね合わされ、構造形成ゾーンは、第2の部分ステップで、レーザー光及び/又は構造形成される表面を移動させることによって作られる。それによって、特に簡単、柔軟且つ費用効果的な方法を特に有利に使用することができる。従来のコーティング法とは対照的に、直接レーザー干渉構造形成はいかなる減圧も特殊な周囲媒質も必要としないので、この方法は従来のコーティング法よりも著しくコスト効率が良く且つ迅速である。また、直接レーザー干渉構造形成構造形成される表面のサイズと構造サイズの両方を特定の制限内で柔軟に調整することができるので、この方法は、有利なことに、非常に様々な構成要素に及び非常に様々な構造のために使用することができる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、構造形成される表面に投射される構造形成ゾーンは、1mm2から10,000mm2程度の大きさ、詳細には、10mm2又は100mm2又は1000mm2程度の大きさである。それによって有利なことに、様々な表面サイズへの柔軟な使用が可能である。
【0018】
好ましい実施形態によれば、構造形成は1cm2/秒から100cm2/秒の間の速度で行われる。高い処理速度の結果として、本発明による調整装置の製造の全体的な処理時間が有利に短縮される。また、利用される構造の複雑さ及び/又はサイズに応じて、有利に処理速度の適合が可能である。
【0019】
好ましい実施形態によれば、構造形成は1nmから100μm程度の大きさで行われる。これは製造され且つ/又は利用することが意図される構造が1nmから100μm程度の大きさを有することを意味すると理解されることが意図されている。それによって有利なことに、方法ステップで非常に小さな多数の構造を与えることができ、それにより、一方で表面の摩擦特性を非常に正確に制御することができ、他方で処理速度が著しく増大する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、第2及び/又は第3のステップで、構造形成された表面の少なくとも一部に潤滑剤が導入される。特に好ましい態様では、潤滑剤は構造の凹部に導入される。特に非常に好ましい態様では、潤滑剤は構造の領域の表面に配置される。当業者であれば、組み立てられた状態で又は動作中に、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面の接触によって潤滑剤が自動的に広げられることが分かる。
【0021】
本発明の主題の別の態様は、本発明による調整装置を備えた車両シートである。それによって有利なことに、特に操作が簡単な調整装置を備えた車両シートを提供することができる。
【0022】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、図面及び図面を参照した好ましい実施形態の以下の説明から理解されるであろう。図面はこの場合、単に本発明の例示的な実施形態を説明するものであり、本発明の重要な概念を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の例示的な第1実施形態に従う概略図である。
図2】本発明の例示的な実施形態の概略図である。
図3】本発明の例示的な第3実施形態の概略詳細図である。
図4】本発明の例示的な第3実施形態の概略分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
異なる図面において、同一の構成要素は、必ず同一の符号が付されているので、一般に一度だけ言及し又は触れるものとする。
【0025】
図1は、本発明の例示的な実施形態に従う概略図である。車両シート10は、シート部材12と、シート部材12に回転可能に接続された背もたれ11とを有する。シート部材12の周りの背もたれ11の回転は、調整装置20によってもたらされる。この場合の調整装置20は、概略的に示されるハンドホイールを有し、ハンドホイールは、ユーザーにより回転が行われた場合に、調整装置20により予め定められた回転軸の周りで背もたれ11をシート部材12の方向に又は反対方向に移動させる。複数の回転軸が存在すること、又はハンドホイールなどの作動手段を別の場所に取り付けることも考えられる。或いは、調整装置20は、ハンドホイールを用いる代わりに、戻り止めを用いて操作することができる。
【0026】
図2は、本発明の例示的な実施形態の概略図である。図示しない更なる表面との接触のために設けられた表面2は、構造形成することが意図されている。表面2は、この例では、連結手段4の表面2、又は第1取付部材5又は第2取付部材6の表面2、又は回転するために設けられた調整装置の追加の構成要素の表面2であることができる。図示しないレーザー、例えば、Qスイッチレーザーから、2つのコリメートされたコヒーレントなレーザー光1、1’が、例えばビームスプリッターを用いて分離され、構造形成される表面2の領域で重複させられる。第1レーザー光1と第2レーザー光1’は、この例では簡単のために単に概略的に示される。重複領域で、第1レーザー光1と第2レーザー光1’は、表面2が調整可能な干渉パターンに従って局所的に構造形成されるように干渉する。この例では、構造形成ゾーンの範囲は、数平方ミリメートルから最大数平方センチメートル程度の大きさで移動する。正確なサイズは、この例では、レーザー光1、1’のコリメーションによって調整することができる。表面2の材料が構造形成される深さは、とりわけ使用される材料とレーザー出力の両方によって決まり、従って、少なくとも上述の2つのパラメーターを用いて調整することができる。例えば、マイクロメートル未満の構造高さを作ることができ、特に100nm又は500nm又は1μm程度の大きさの構造高さを作ることができる。構造は様々な形状を有することができる。構造は、表面材料の局所融解と、材料の少なくとも部分的な蒸発とによって作られるので、構造形態は、とりわけ処理速度と冷却速度によって制御することができる。例えば、構造として多数の規則的な凹部又は球状部を考えることができる。これらは、例えば液体潤滑剤のための、例えば微細な潤滑剤溜まりとして使用することができる。直接レーザー光干渉構造形成は、その結果として、肉眼で見える表面領域に顕微鏡でしか見えない構造或いはナノスケールの構造を作り出す。この例では、複雑な構造もたった1つの工程ステップで作られる。
【0027】
図3は、本発明の例示的な第3実施形態の詳細な概略図である。本発明による調整装置20の断面図としての斜視詳細図が示される。第1取付部材5を第2取付部材6に対して回転させる。意図しない調整を防止するために、調整装置20は1つ以上の連結手段4を有し、連結手段4は、内側7を有する第1接触領域で第1取付部材5と摩擦によって協働し且つ外側8を有する第2接触領域で第2取付部材6と協働し、その結果、第1取付部材5を第2取付部材6に連結する。静止状態では、内側7と第1取付部材5又は外側8と第2取付部材6の静止摩擦の結果として、調整することはできない。可能な範囲で最高の静止摩擦を確実にするために、連結手段4と第1取付部材5及び第2取付部材6は同じ材料、この例では、例えば鋼から製造される。意図的な調整が連結手段4に対する取付部材5、6の移動を引き起こし、それによって静止摩擦が滑り摩擦に変換される。この滑り摩擦は、ユーザーが調整にわずかな力を使用するだけでよく且つ装置の発熱及び摩耗が低減するように、できるだけ低いことが意図される。このために、連結手段4の内側7と外側8は、図2で説明した方法に従って構造形成されている。その結果として、(鋼/鋼を組み合わせた材料の結果としての)高い静止摩擦と同時に、低い滑り摩擦が可能である。
【0028】
図4は、本発明の例示的な第3実施形態の概略分解図である。この実施形態は図3に示される実施形態に対応する。調整装置20の第1取付部材5と第2取付部材6は図4に示されている。図示の実施形態によれば、調整装置20は2つの連結手段4を有する。
【符号の説明】
【0029】
1 第1レーザー光
1’ 第2レーザー光
2 表面
構造形成ゾーン
4 連結手段
5 第1取付部材
6 第2取付部材
7 連結手段の内側
8 連結手段の外側
10 車両シート
11 背もたれ
12 シート部材
20 調整装置
図1
図2
図3
図4