【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、特に車両シートの背もたれの傾き調整用の調整装置であって、調整装置は第1取付部材と第2取付部材とを有し、第1取付部材は第2取付部材に対して回転軸の周りで回転させることができ、調整装置は第1取付部材と第2取付部材とを連結するための少なくとも1つの連結手段を有し、前記連結手段及び/又は第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面の少なくとも一部は
構造を有し、
構造は連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域に及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域に形成され、前記連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は同じ材料から製造される調整装置によって達成される。
【0008】
従来技術と比較して、本発明による調整装置は、
構造の結果として、本発明による調整装置の動作中の摩擦関係が最適化されるという利点を有する。この場合、本発明の文脈における「最適化」という表現は、調整装置が、例えば振動の結果としての意図しない調整に関して可能な限り動かないように構成され、すなわち高レベルの静止摩擦を有し、一方、意図的な調整が可能な限りほとんど摩擦を伴わない運動、すなわち、特に回転をもたらし、従って、滑り摩擦が可能な限り低いことを意味すると理解されることが意図されている。これにより、調整装置の簡単且つ安全な動作が可能になる。
構造形成されていない調整装置と比較して、ほとんど潤滑剤、例えば油が必要とされない。連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材の両方が
構造を有する場合、摩擦関係を更に向上させることができる。本発明によれば、
構造は、連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域に形成される。ローリング動作中の摩擦の一因となる表面が、それによって有利に
構造形成される。好ましくは、
構造は、
構造形成された表面が
構造形成されていない状態よりも低い滑り摩擦係数を有するように構成される。ほとんど摩耗を受けず、操作が簡単な調整装置が、それによって提供される。例えば、潤滑剤溜まりとして働く
構造形成によって作られるこのような
構造により、優れた摺動特性を達成することができ、潤滑剤溜まりによって、互いに擦れ合う構成要素の良好な潤滑が可能となる。特に、このために流体潤滑剤が設けられる。また、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は、本発明によれば同じ材料から製造される。好ましくは、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は、高い静止摩擦係数を有する材料、特にアルミニウムから製造される。それによって、高い静止摩擦係数という文脈において良好な静止摩擦が特に有利な方法でもたらされ、一方、
構造は、低い滑り摩擦係数という文脈において可能な限り低い滑り摩擦が同時に生じるように選択される。それによって、特にほとんど摩耗を受けず、製造にあたって費用対効果が高い調整装置が提供される。従来技術による調整装置とウォブル機構が、特許文献1に詳細に開示されている。特許文献1の開示を、参照により本出願の開示に明示的に組み込むものとする。例えば、
構造として表面の球状部又は半球状凹部を作ることができる。
【0009】
有利な実施形態は、図の説明及び/又は図面から得ることができる。
【0010】
好ましい実施形態によれば、調整装置は、第1取付部材又は第2取付部材の回転を制御するための調整ギアを有する。それによって有利なことに、特に伝動ユニットを有する調整装置の簡単な作動をもたらすことができる。特に好ましい態様では、調整ギアはウォブル機構である。それによって有利なことに、有利であることが見出されている既知のギヤ機構を使用すること、その結果、製造コストを低く抑えることが可能である。特に非常に好ましい態様では、連結手段は、回転が静止摩擦によって特定のトルクまで阻止されるように構成される。
【0011】
好ましい実施形態によれば、
構造形成によって作られる
構造の少なくとも一部に潤滑剤が設けられる。特に好ましい態様では、潤滑剤は、流体潤滑剤、特に高粘性潤滑剤、潤滑グリース及び/又はガス状潤滑剤である。特に非常に好ましい態様では、潤滑剤は潤滑油である。当業者であれば、いわゆるAPI分類API GL−1からAPI GL−5に従うものを潤滑剤として使用することができることが分かる。それによって有利なことに、その導入又は塗布が一般に複雑で且つ時間がかかる結合コーティング又は固体潤滑剤を使用せずに、低い滑り摩擦係数と同時に高い静止摩擦係数を有する調整装置を提供することができる。
【0012】
本発明の主題の他の態様は、調整装置を製造するための、好ましくは本発明による調整装置を製造するための方法であって、第1の方法ステップで調整装置の連結手段と第1取付部材及び第2取付部材が製造され、第1の方法ステップで連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は同じ材料から製造され、第2の方法ステップで連結手段及び/又は第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面の少なくとも一部が
構造形成され、
構造形成は連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域で及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域で行われ、第3のステップで第1取付部材及び第2取付部材と連結手段は調整装置を形成するように組み立てられる方法である。
【0013】
それによって有利なことに、摩擦が最適化された調整装置を簡単且つ迅速に製造することができる。
構造形成は、コーティングより時間の消費が少なくて済み、有利なことに後続処理を必要としない。潤滑剤溜まりは、結果的に、幾何学的に正確な形で設けることができる。本発明によれば、
構造形成は、連結手段と第1取付部材との間の第1接触領域で及び/又は連結手段と第2取付部材との間の第2接触領域で行われる。詳細には、連結手段及び/又は第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面がそれによって有利に
構造形成され、それらの表面は摩擦のために設けられる。
【0014】
好ましい実施形態によれば、静止摩擦係数が同じままである表面材料は、
構造形成されていない状態よりも低い滑り摩擦係数を有する。それによって有利なことに、ほとんど摩耗を受けず、操作が簡単な調整装置を提供することができる。
【0015】
好ましい実施形態によれば、第1の方法ステップで、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材は同じ材料から製造される。特に有利な態様では、高い静止摩擦係数という文脈において良好な静止摩擦がそれによって可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、表面を
構造形成するための第2ステップで、直接レーザー干渉
構造形成が使用され、第1の部分ステップで、特に同じレーザー光源の、2つのコヒーレントなコリメートされたレーザー光が
構造形成ゾーンの領域において
構造形成される表面で重ね合わされ、
構造形成ゾーンは、第2の部分ステップで、レーザー光及び/又は
構造形成される表面を移動させることによって作られる。それによって、特に簡単、柔軟且つ費用効果的な方法を特に有利に使用することができる。従来のコーティング法とは対照的に、直接レーザー干渉
構造形成はいかなる減圧も特殊な周囲媒質も必要としないので、この方法は従来のコーティング法よりも著しくコスト効率が良く且つ迅速である。また、直接レーザー干渉
構造形成で
構造形成される表面のサイズと
構造サイズの両方を特定の制限内で柔軟に調整することができるので、この方法は、有利なことに、非常に様々な構成要素に及び非常に様々な
構造のために使用することができる。
【0017】
好ましい実施形態によれば、
構造形成される表面に投射される
構造形成ゾーンは、1mm2から10,000mm2程度の大きさ、詳細には、10mm2又は100mm2又は1000mm2程度の大きさである。それによって有利なことに、様々な表面サイズへの柔軟な使用が可能である。
【0018】
好ましい実施形態によれば、
構造形成は1cm2/秒から100cm2/秒の間の速度で行われる。高い処理速度の結果として、本発明による調整装置の製造の全体的な処理時間が有利に短縮される。また、利用される
構造の複雑さ及び/又はサイズに応じて、有利に処理速度の適合が可能である。
【0019】
好ましい実施形態によれば、
構造形成は1nmから100μm程度の大きさで行われる。これは製造され且つ/又は利用することが意図される
構造が1nmから100μm程度の大きさを有することを意味すると理解されることが意図されている。それによって有利なことに、方法ステップで非常に小さな多数の
構造を与えることができ、それにより、一方で表面の摩擦特性を非常に正確に制御することができ、他方で処理速度が著しく増大する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、第2及び/又は第3のステップで、
構造形成された表面の少なくとも一部に潤滑剤が導入される。特に好ましい態様では、潤滑剤は
構造の凹部に導入される。特に非常に好ましい態様では、潤滑剤は
構造の領域の表面に配置される。当業者であれば、組み立てられた状態で又は動作中に、連結手段と第1取付部材及び/又は第2取付部材の表面の接触によって潤滑剤が自動的に広げられることが分かる。
【0021】
本発明の主題の別の態様は、本発明による調整装置を備えた車両シートである。それによって有利なことに、特に操作が簡単な調整装置を備えた車両シートを提供することができる。
【0022】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、図面及び図面を参照した好ましい実施形態の以下の説明から理解されるであろう。図面はこの場合、単に本発明の例示的な実施形態を説明するものであり、本発明の重要な概念を限定するものではない。