(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2個以上のカートリッジが前記静電印刷機に接続され、前記2個以上のカートリッジのそれぞれが、異なる静電的に印刷可能な組成物を含んでなる、請求項1に記載の方法。
前記印刷可能な組成物が、1種または複数の着色剤、マトリックス変性剤、電荷制御添加剤、ワックス、低溶融ポリマーまたはそれらの2種以上の組み合わせを含んでなる、請求項1に記載の方法。
それらの領域の少なくとも一部分上に静電的に印刷された静電的に印刷可能な組成物を含んでなる第1の主要面を含んでなる印刷された基材であって、前記静電的に印刷可能な組成物が、4μm〜16μmの平均粒径を有するコア−シェル微粒子を含んでなり、かつポリマーコア微粒子と、前記コア微粒子の理論的表面積の50%〜250%を被覆するシェル組成物とを含んでなり、前記シェル組成物が、薬剤、芳香剤、着色剤、殺菌剤、殺虫剤、農薬、抗菌剤、防腐剤または1−メチルシクロプロペンと錯体化されたシクロデキストリンを含んでなる1種または複数のシクロデキストリン包接錯体を含んでなる、印刷された基材。
前記静電的に印刷可能な組成物が1種または複数の着色剤をさらに含んでなり、かつ前記印刷された領域が、前記印刷された領域上に存在する印刷された組成物の量に相当する色またはグレイスケール値を有する、請求項10に記載の印刷された基材。
前記静電印刷機が、可変的な温度を有する溶融ローラーを含んでなり、前記温度が、前記溶融ローラー温度を設定するように前記印刷機を指示する使用者の前記コンピューターへの指示によって、使用者によって選択される、請求項13に記載の印刷システム。
前記印刷可能な組成物が着色剤を含んでなり、かつ前記印刷システムが、前記印刷された基材の印刷された領域内で堆積された前記シクロデキストリン包接錯体の量に対する印刷された基材上の色の対応を表示する電子または印刷ガイドをさらに含んでなる、請求項13に記載の印刷システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は好ましい実施形態への参照を提供するが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形状および細部において変化がなされてもよいことを認識するであろう。様々な実施形態への参照は、本明細書に添付の請求の範囲を限定しない。追加的に、本明細書で明らかにしたいずれの実施例も、限定の意図はなく、単に添付の請求の範囲の多くの可能な実施形態のいくつかを明らかにするのみである。
【0017】
定義
本明細書で使用される場合、「シクロデキストリン」という用語は、集合的および一般的に、3種の商業的に入手可能なシクロデキストリン種、α−シクロデキストリン(α−シクロデキストリン)、β−シクロデキストリン(β−シクロデキストリン)およびγ−シクロデキストリン(γ−シクロデキストリン)のいずれか、あるいは以下に定義されるそれらのいずれかの誘導体およびこれらの2種以上のブレンドを含む、いずれのシクロデキストリン種も指す。特定化される場合、特定のシクロデキストリン種は、特に明記しない限り、それらの誘導体を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シクロデキストリン包接錯体」、「シクロデキストリン錯体」または「包接錯体」という用語は、少なくとも一部分がシクロデキストリン環の細孔内に配置される化合物と、シクロデキストリンとの組み合わせを意味する。錯体化された化合物は、包接錯体を形成するために、少なくとも部分的にシクロデキストリンの細孔内に適合する径の基準を満たさなければならない。シクロデキストリン包接錯体は、包接錯体の形成および存在に特有である、若干量の「非錯体化」シクロデキストリンを含む。これは、(1)実施形態において、包接錯体の合成が100%の包接錯体の形成を引き起こさず、そして(2)実施形態において、包接錯体が非錯体化シクロデキストリン/非錯体化化合物と平衡状態にあるからである。シクロデキストリンおよび化合物の各組み合わせは、シクロデキストリン包接錯体に関連する特徴的な平衡を有する。いくつかの実施形態において、シクロデキストリン錯体は、「X/c/CD」として示され、Xが錯体化化合物である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「シクロデキストリン誘導体」という用語は、シクロデキストリンのグルコース部分のヒドロキシル基の1つに結合された官能基を有するシクロデキストリンを意味する。例えば、米国特許第6,709,746号明細書に、いくつかのシクロデキストリン誘導体が記載されている。
【0020】
本明細書で使用される場合、「静電印刷機」または「静電印刷機デバイス」という用語は、静電、またはゼログラフ技術を使用して、1種または複数の材料を基材に適用する、写真複写機、レーザープリンタまたはLEDプリンタなどのデバイスを意味する。材料のそのような適用、すなわち、印刷には、必ず、静電吸引を利用して基材への微粒子の無溶媒適用を指示するコンピューターが含まれる。そのような印刷は、印刷された組成物または印刷された基材を加熱するステップを含むことができるが、必ずしも含むというわけではない。静電印刷機は、シートおよびロールフィード印刷機デバイスを含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、「印刷可能な組成物」という用語は、少なくとも1種のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体種を含み、かつ静電印刷装置を使用して印刷することが可能である、溶媒を含まない微粒子組成物を意味する。いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物は、少なくとも1種のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体種が、例えば、混合物として添加される、静電印刷用トナー組成物である。一度基材に印刷されると、印刷可能な組成物は、印刷された組成物となる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「トナー供給源」という用語は、静電印刷機デバイス内でトナー組成物を含有し、そして静電印刷の間に基材上へトナーを分配するように設計された容器を意味する。トナー供給源は、静電印刷機にそれらが装置される前に、トナー組成物を貯蔵するためにも使用される。多くの実施形態において、トナー供給源は、「カートリッジ」と呼ばれ、これは、印刷されたデバイスとは別の分離した容器であるが、印刷機デバイスと接続して配置されるように設計され、そしてコンピューターに指示された量のトナー組成物を光受容器シリンダーまたはドラムに印刷機デバイス内で送達するように適応される。いくつかの実施形態において、トナー供給源は印刷可能な組成物を受け取り、送達するように設計および適応される。他の実施形態において、トナー供給源は特に適応されず、そしてトナー供給源への印刷可能な組成物の追加は、トナー供給源が印刷機デバイス内に配置される時、トナー供給源から印刷可能な組成物の送達を可能にするために十分である。
【0023】
本明細書で使用される場合、「印刷可能な基材」という用語は、静電印刷法を使用して印刷可能な材料を意味する。従来の静電印刷機デバイスが印刷のために利用される実施形態において、基材はシートまたはフィルムまたはそれらのロールである。シートおよびフィルムは、2つの主要面および厚さを画定する外部端縁を有する実質的に平面の物品として特徴づけられる。一旦印刷可能な組成物が印刷可能な基材上に配置されたら、印刷可能な基材は印刷された基材となる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ラミネート」という用語は、それによって、印刷された基材およびラミネート基材が、それらの接触する表面の少なくとも一部分上において実質的に接着される様式で、ラミネート基材でさらに被覆された印刷された基材を意味する。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ラミネート基材」という用語は、接着剤もしくは熱またはそれらの組み合わせを利用して、印刷された基材に接着されるシートまたはフィルムを意味する。
【0026】
本明細書で使用される場合、印刷可能な基材またはラミネートに適用される「透過性」という用語は、印刷可能な基材またはラミネート基材が、標準温度および圧力(STP)および0%の相対湿度で0.01(cm
3・mm/m
2・24時間・バール)以上のシクロデキストリン包接錯体から放出される化合物に対する透過性;またはASTM D96に従って測定される場合に38℃および90%の相対湿度で0.1(g・mm/m
2・24時間)以上の水蒸気に対する透過性;またはASTM D3985に従って測定される場合に23℃および0%の相対湿度で0.1(cm
3・mm/m
2・24時間・バール)以上のO
2に対する透過性;またはASTM D1434に従って測定される場合に23℃および0%の相対湿度で0.1(cm
3・mm/m
2・24時間・バール)以上のCO
2に対する透過性;あるいはこれらの組み合わせを有することを意味する。
【0027】
本明細書で使用される場合、印刷可能な基材またはラミネートに適用される「不透過性」という用語は、印刷可能な基材またはラミネート基材が、STPおよび0%の相対湿度で0.01(cm
3・mm/m
2・24時間・バール)未満のシクロデキストリン包接錯体から放出される化合物に対する透過性;またはASTM D96に従って測定される場合に38℃および90%の相対湿度で0.1(g・mm/m
2・24時間)未満の水蒸気に対する透過性;またはASTM D3985に従って測定される場合に23℃および0%の相対湿度で0.1(cm
3・mm/m
2・24時間・バール)未満のO
2に対する透過性;またはASTM D1434に従って測定される場合に23℃および0%の相対湿度で0.1(cm
3・mm/m
2・24時間・バール)未満のCO
2に対する透過性;あるいはこれらの組み合わせを有することを意味する。
【0028】
「生産物」、「新生産物」または「生産物材料」という用語は、いずれかの植物全体、植物の一部、例えば、果実、花、切り花、種子、鱗茎、切断部分、根、葉、花、または活発に呼吸してその成熟の一部としてエチレンを成熟ホルモンとして発生する(クリマクテリック)か、あるいはエチレンおよび呼吸バーストがなくても熟成する(非クリマクテリック)他の材料を含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、例えば、組成物中の成分の量、濃度、容積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力などの値、およびその範囲を修飾する、本開示の実施形態の説明で使用される「約」という用語は、例えば、化合物、組成物、濃縮物の製造または配合物の使用のために使用される典型的な測定および取扱い手順によって、これらの手順における不注意な誤差によって、方法を実行するために使用される出発材料または成分の製造、供給源、または純度の差異によって、そして同様の近似の検討事項によって生じる可能性のある数量の変動を指す。また「約」という用語は、特定の初期濃度または混合物を有する配合物の経年劣化により異なる量、および特定の初期濃度または混合物を有する配合物の混合または加工のために異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されている場合、本明細書に添付の請求の範囲は、これらの量と同等の量を含む。さらに、値の範囲を記載するために「約」が利用される場合、例えば、「約1〜5」は、他に具体的に限定されない限り、「約1〜約5」および「1〜約5」および「約1〜5」を意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、例えば、組成物中の成分の種類および量、特性、測定可能な量、方法、位置、値または範囲を修飾する、本開示の実施形態の説明で使用される「実質的に」という用語は、全体的な列挙された組成物、特性、量、方法、位置、値またはそれらの範囲に、意図された組成物、特性、量、方法、位置、値または範囲を無効にする様式で影響を及ぼさない変動を指す。意図された特性は、単にそれらの非限定的な実施例として、印刷された層もしくは基材の厚さ、粒径、または包接錯体の平衡定数を含む。意図された位置は、基材上で特定化された位置で材料を印刷することを含む。「実質的に」によって修飾される、方法に及ぼす影響には、影響の様式または程度が1つまたは複数の意図された特性または結果を無効にしない、基材に堆積された粒子の数または濃度、あるいは送達された未錯体化シクロデキストリンに対する包接錯体の量の変動、ならびに同様の近似の検討事項によって引き起こされる影響が含まれる。「実質的に」という用語によって修飾される場合、本文書に添付される請求の範囲は、材料のこれらの種類および量の当量を含む。
【0031】
概要
本明細書中、静電印刷材料、ならびに基材上へのシクロデキストリンおよびシクロデキストリン包接錯体の印刷方法が開示される。この方法は、従来の様式で、例えば、レーザープリンタまたは他のゼログラフ法の印刷などの標準静電印刷機を使用して、都合よく利用される。印刷可能な材料のための2種以上の供給源が印刷機で提供される場合、基材上への単回印刷で、2種以上のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の組み合わせを印刷することが可能である。2種以上のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の個々の量を含む、基材上で配置されるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量は、オンデマンド印刷技術を使用して容易に処置される。このように、使用者は、最終的な使用のためにシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体を含有する被覆材料のシートまたは大型ロールの在庫を維持する必要はない。その代わりに、使用者は、単に、印刷機内での配置のために、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体を含有する1種または複数のカートリッジを維持し、そして必要に応じて1種または複数のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の選択された量を、要求次第で容易に繰り返されるか、または変更される量で、印刷することができる。
【0032】
さらに、2種以上の特定のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の供給源が単回印刷機内で提供される場合、1種または複数の供給源は、印刷上に配置されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の種類および量の両方を識別するのを助けるため、既知の濃度の着色トナー粒子が任意選択的に供給される。したがって、印刷された領域の特定の色または彩度は、基材の領域上で配置された様々なシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の種類および量の両方を識別するために有効に利用される。したがって、印刷機内の供給源におけるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の供給とともに、使用者は、任意選択的に、目標のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の特定の量に相当する特定の色調を記載するチャートを利用する。
【0033】
なおさらに、その上に配置される1種または複数であるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体を有する印刷された基材は、接着剤が裏についたラミネート基材で任意選択的にラミネートされ、シクロデキストリン包接錯体からの化合物の放出の追加的な制御を添加するか、またはバリア層を越えての放出を全く防ぐか、またはそれらが錯体化されるシクロデキストリンの方への化合物の拡散の制御を提供する、バリア層または部分的バリアを選択する能力を使用者に提供する。
【0034】
本方法のこれらおよび他の利点は、当業者に明白であろう。
【0035】
静電印刷の基本的ステップは、以下の通りである。印刷可能な基材は、ゼログラフ法とも呼ばれる静電法を使用して印刷される。静電印刷法は、写真複写機、レーザープリンタおよびLEDプリンタ(レーザーの代わりに、発光ダイオード(LED)のアレイを利用する)において利用される。シートおよびロールフィード印刷機の両方において、回転する光受容器シリンダーまたはドラムは、電流が通過する帯電コロナワイヤによって全正電荷を与えられる。いくつかの実施形態において、コロナワイヤーの代わりに、帯電したローラーがこの目的のために利用される。ドラムが回転して、レーザービームまたはLEDアレイは、特定の点に放電するようにドラム表面を渡って光のパターンを導く。言い換えると、光はドラム上で静電イメージを「描く」。このシステムは、電荷を逆転させて作動することもでき、すなわち、負の背景上に正の静電イメージも可能である。
【0036】
パターンが形成された後、ドラムを、実質的に乾燥した微粒子のインク材料である正に帯電したトナーでコーティングする。それは正電荷を有するので、トナーはドラムの負に帯電した領域のみに付着する。モノクロ印刷に関して、トナーは1種または複数の熱可塑性または熱硬化性ポリマーおよびカーボンブラックを含む。多色印刷に関して、個々のトナーカートリッジは、1種または複数の熱可塑性または熱硬化性ポリマーおよび着色顔料、すなわち、可視光のシアン、マゼンタおよびイエロー波長を反映する顔料の組み合わせを供給する。基材へのトナーの最終接着またはトナーの外観を向上させるために、実施形態において、他の添加剤が含まれる。それにトナーパターンが固定されて、ドラムが回転するのと同じ速度で下のベルトに沿って移動する印刷可能な基材上をドラムが回転する。ドラムに達する前に、印刷可能な基材は、伝達コロナワイヤーまたは帯電ローラーによって負電荷が与えられる。印刷可能な基材に適用される電荷はドラムの静電イメージの負電荷より強いので、印刷可能な基材はドラムからトナー粒子を誘引する。印刷可能な基材は、正確にイメージパターンを取り込むために、ドラム全体で移動される。印刷可能な基材がドラムに固着しないようにするために、トナーを取り込んだ直後に、detacコロナワイヤーで放電される。最終的に、その上に配置された不安定なトナー粉末を有する印刷された基材は、溶融ローラーまたは溶融バーを有するニップを通過し、ここで、熱がトナー粒子に含まれるポリマーの少なくとも一部分を溶解させるのに十分であり、そして溶融材料を印刷可能な基材にプレスし、基材に粒子を溶融する。典型的に、加熱バーは、約200℃の温度に設定され、そして加熱器バーに暴露される基材の速度は、長さ約30cmの基材の部分に対して、合計約0.1秒〜5秒間、あるいは長さ約30cmの基材の部分に対して、約0.2秒〜3秒または約0.3秒〜1秒間である。
【0037】
静電印刷法を使用して適切に印刷された印刷可能な組成物は、少なくともシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体を含む。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体は、実質的に、従来のトナー組成物に存在する顔料または染料の代わりに存在し、他の実施形態において、それは顔料または顔料に加えて存在する。いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物は、従来のトナー組成物で利用されるポリマーの代わりにワックスまたはポリマーをさらに含み、他の実施形態において、印刷可能な組成物は、従来のトナー組成物で利用されるポリマーに加えてワックスまたはポリマーをさらに含む。この方法は、いずれかの数の有用な印刷可能な基材を利用し、基材は、従来の静電印刷法で利用されるものと一般に同じである。印刷された基材を形成するために有効に利用される静電印刷法の他の変形形態、ならびに方法の他の態様および形成される物品は、以下に記載する。
【0038】
印刷可能な組成物
静電印刷とともに利用される印刷可能な組成物は、少なくともシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体を含む。限定されないが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、ポリマーグラフト化シクロデキストリン、およびそれらの2種以上の組み合わせを含むいずれかの既知のシクロデキストリンは、印刷可能な組成物に有効に含まれる。例えば、Woodら、米国特許第5,882,565号明細書、同第6,218,013号明細書、同第6,306,936号明細書、同第6,541,560号明細書、同第6,709,746号明細書および関連刊行物に教示されるいずれかのシクロデキストリン誘導体、ならびにWoodら、米国特許第7,166,671号明細書、同第7,385,004号明細書、同第8,148,466号明細書および関連刊行物に教示されるいずれかのグラフト化シクロデキストリンは、印刷可能な組成物に有効に含まれる。
【0039】
印刷可能な組成物に有効に含まれるシクロデキストリン包接錯体としては、Dalyら、米国特許第6,017,849号明細書および同第6,313,068号明細書に記載のもの、ならびにシクロデキストリンで錯体化された他のエチレン受容体ブロッキング剤が含まれる。UV安定剤、熱安定剤、抗酸化剤、食料保存のための抗菌性組成物を含む食品防腐剤、香料およびフェロモン、ならびにヒトまたは動物による局所的な使用のための薬剤(抗生物質を含む)は、印刷可能な組成物に組み込まれるシクロデキストリン包接錯体内に有効に含まれる化合物の種類の他の例である。そのような包接錯体を製造する方法は、当業者によって十分理解される。そのような包接錯体は、印刷後、制御された放出または誘発される放出などの最終的な放出の意図によって印刷可能な組成物に一般に含まれる。包接錯体は、シクロデキストリン、それらの誘導体、またはポリマーグラフト化シクロデキストリンによって形成される。
【0040】
いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物のシクロデキストリン包接錯体は、錯体化された化合物の放出を意図しておらず、または錯体化された化合物の放出は、印刷された基材からのその後続の損失をもたらすように意図されない。1つのそのような用途は、着色剤の包接錯体である。そのような着色剤のシクロデキストリン包接錯体は、例えば、ポリマーグラフト化シクロデキストリンにおいて、印刷可能な組成物への着色剤の容易な組み込みをもたらす。熱などによる着色剤分子のその後の誘発された放出は、いくつかの実施形態において、包接錯体からの着色剤の放出をもたらすが、印刷された基材上の溶融ポリマー内の着色剤の保持をもたらす。いくつかのそのような実施形態において、放出を誘発している熱は、静電印刷における溶融ステップによって提供される。他の実施形態において、熱は、着色剤の放出を熱表示として作用させる外部供給源である。他の実施形態において、シクロデキストリン包接錯体自体が、錯体が熱的に脱錯体へと誘発される場合に消滅する特徴的な色を有する。例えば、表1を参照すると、α−、β−およびγ−シクロデキストリンのヨウ素錯体は、特徴的な色を有する。加熱または印刷可能な熱表示の別の実施形態の時にそれらの特徴的な色を損失する着色剤としてのこれらの錯体の組み込みは、印刷可能な組成物に錯体を組み込むことによって可能にされる。
【0041】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体は、静電印刷で典型的に利用されるトナー組成物の代わりに、印刷可能な組成物として提供される。特に、ポリマーグラフト化シクロデキストリンまたはポリマーグラフト化シクロデキストリン包接錯体は、5μm〜16μmの粒径を有する粒子に適切に形成され、そしてこの粒子は印刷可能な組成物として有用である。この径の粒子は、上記のジェットミルなどの製粉によって、または当業者に既知の他の従来の技術によって形成される。他の実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体は、静電印刷が可能なポリマーと溶融ブレンドまたは溶液ブレンドされ、そしてこのプレンドが、5μm〜16μmの粒径を有する粒子に形成され、そしてこの粒子は印刷可能な組成物として有用である。さらに他の実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体は、1種または複数の放射線重合性モノマーとブレンドされ、そしてこのブレンドは、モノマーを重合および架橋するために照射される。次いで、従来の方法を使用して、ポリマーを分解し、製粉して、5μm〜16μmの粒径を有する粒子を形成する。
【0042】
さらに他の実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体、あるいは上記のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を含有する微粒子は、トナー組成物で一般に利用されるポリマー粒子と混合され、そして混合物は印刷可能な組成物である。いくつかの実施形態において、そのような混合物は、着色剤を含み、他の実施形態において、混合物は着色剤を含まない。トナー組成物で一般に利用される有用なポリマー粒子には、スチレンアクリレートコポリマー、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリエステル樹脂、スチレンブタジエンコポリマーおよびポリオレフィンが含まれ、このポリマー粒子は、約5μm〜50μmの平均粒径範囲を有する。着色剤が含まれるいくつかの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体は、印刷可能な組成物を形成するために、以前に製造されたトナー組成物と単に混合される。
【0043】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体は、約5μm〜150μm、または約6μm〜100μm、または約6μm〜80μmの中央径の粒径を有する。
【0044】
いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物を形成するためにトナー組成物で一般に利用されるポリマー粒子と混合されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を含有する微粒子は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体にグラフト化されたポリマーを含む。いくつかの実施形態に、印刷可能な組成物は、従来のトナー組成物で利用されるポリマーの代わりに、ワックスまたはポリマーをさらに含み、他の実施形態において、印刷可能な組成物は、従来のトナー組成物で利用されるポリマーに加えて、ワックスまたはポリマーをさらに含む。いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物を形成するためにトナー組成物で一般に利用されるポリマー粒子と混合されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を含有する微粒子は、ワックスを含む。特に、シクロデキストリン包接錯体の熱的に誘発された排除が、多くのポリマーの溶融温度を下回る温度でもたらされる場合、シクロデキストリン錯体を、例えば、90℃未満で溶解するワックスとブレンドすること、トナー微粒子とブレンドするためにワックスの微粒子を形成すること、あるいは製粉可能なトナーブレンドを形成するための製粉の前に、ワックスをトナーポリマーを溶融ブレンドすることが有利である。
【0045】
印刷可能な組成物に含まれるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量は、意図された最終用途をベースとして選択される。静電印刷によって送達されるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量は、コンピューターで指示された印刷濃度によってさらに制御され、したがって、当業者は、印刷可能な組成物に与えるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量を選択する際に、2つの変数が利用可能である:印刷可能な組成物の重量パーセントとしてのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量、および印刷可能な基材上で提供される最終的な最大印刷濃度。いくつかの実施形態において、約0.0001重量%〜30重量%のシクロデキストリン部分(包接化合物およびグラフト化ポリマーは除く)が印刷可能な組成物に組み込まれるか、または約0.001重量%〜30重量%、または約0.001重量%〜30重量%、または約0.01重量%〜30重量%、または約0.1重量%〜30重量%、または約0.25重量%〜30重量%、または約0.50重量%〜30重量%、または約0.75重量%〜30重量%、または約1重量%〜30重量%、または約2重量%〜30重量%、または約3重量%〜30重量%、または約4重量%〜30重量%、または約5重量%〜30重量%、または約6重量%〜30重量%、または約7重量%〜30重量%、または約8重量%〜30重量%、または約9重量%〜30重量%、または約10重量%〜30重量%、または約12重量%〜30重量%、または約14重量%〜30重量%、または約16重量%〜30重量%、または約18重量%〜30重量%、または約20重量%〜30重量%、または約0.0001重量%〜28重量%、または約0.0001重量%〜26重量%、または約0.0001重量%〜24重量%、または約0.0001重量%〜22重量%、または約0.0001重量%〜20重量%、または約0.0001重量%〜18重量%、または約0.0001重量%〜16重量%、または約0.0001重量%〜14重量%、または約0.0001重量%〜12重量%、または約0.0001重量%〜10重量%、または約0.0001重量%〜9重量%、または約0.0001重量%〜8重量%、または約0.0001重量%〜7重量%、または約0.0001重量%〜6重量%、または約0.0001重量%〜5重量%、または約0.0001重量%〜4重量%、または約0.0001重量%〜3重量%、または約0.0001重量%〜2重量%、または約0.0001重量%〜1重量%、または約0.1重量%〜15重量%、または約0.1重量%〜10重量%、または約0.5重量%〜15重量%、または約0.5重量%〜10重量%、または約0.5重量%〜7重量%、または約1重量%〜7重量%のシクロデキストリン部分が印刷可能な組成物に組み込まれる。シクロデキストリン部分の量は、意図された用途を考慮することによって当業者によって最適化され、そして放出化合物が利用される場合は、対象とされた条件および放出された化合物の活性の組合せにおける化合物の放出の速度も考慮される。
【0046】
いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物は、標準静電印刷技術を使用して印刷可能である、乾燥微粒子材料を形成するための従来の技術を使用して形成される。「乾燥」とは、静電的に印刷可能な微粒子が実質的に溶媒を含まないことを意味する。印刷可能な組成物の平均粒径は、様々な実施形態において、約4μm〜16μm、または約5μm〜16μm、または約6μm〜16μm、または約7μm〜16μm、または約8μm〜16μm、または約9μm〜16μm、または約10μm〜16μm、または約11μm〜16μm、または約12μm〜16μm、または約4μm〜15μm、または約4μm〜14μm、または約4μm〜13μm、または約4μm〜12μm、または約4μm〜11μm、または約4μm〜10μm、または約4μm〜9μm、または約4μm〜8μmの範囲であり、平均粒径は、対象とされる特定の印刷機およびトナー供給源次第で様々である。「平均粒径」は、利用される測定の方法次第で、体積をベースとするか、または重量をベースとする平均を意味するが、従来からの平均は、体積をベースとする平均である。追加的に、いくつかの実施形態において、粒径は、クールターカウンター法を使用して、そして全ての粒子が球状であると仮定して、粒子の体積中央直径を測定することによって理論的に決定される。約8μm〜10μmの平均粒径は、600ドット/インチ(dpi)において良好な解像度を有する静電印刷のために必要とされる。いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物は、溶融ブレンドを使用して成分をブレンドすることによって製造され、溶融混合物は冷却して、スラブを形成し、これを粉砕またはペレット化して、次いで、空気ジェットミルまたはボールミルによって、制御された粒径範囲を有する微細な粉末にさせる。このプロセスによって、様々な径および非球面形状を有する印刷可能な組成物顆粒が得られる。
【0047】
印刷可能な組成物の製造のための典型的なプロセスは、溶融ブレンドされた混合物を形成するために、押出機で、任意選択的に着色剤とともに、1種または複数のポリマーを溶融ブレンドすることによって実行される。溶融ブレンドの後、選択された径範囲の粒子を得るために十分な粒径の低下が実行される。選択された径範囲の粒子を形成するために、他の方法も適切に利用され、得られた微粒子は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体含有「シェル」を受け取る「コア」として機能する。例えば、いくつかの実施形態において、コアポリマーの重合は、ラテックスを形成するために重合されるモノマーの油中水または水中油エマルジョンなどのエマルジョンで実行される。そのような実施形態において、ラテックスの不連続な相はポリマーを含有し、この不連続な相は、実質的に均一な径分布および実質的に球形状を有する分離したポリマー粒子を提供し、粒子はラテックスから得られて、さらなる粉砕なしで「コア」微粒子として使用される。いくつかのそのような実施形態において、ポリマーはそれらの重合の間に架橋される。
【0048】
実施形態において、シェル組成物は、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を含んでなるか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなるシェル材料がコア粒子とブレンドされて、印刷可能な組成物を形成する、高速ブレンドプロセスによって形成される。
【0049】
以下の溶融混合および粒径低下法が任意選択的に利用される。コアを実質的に包囲する「シェル」を含有するシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体組成物を受け取るために適切な径および組成物のポリマー微粒子「コア」を形成するために他の技術が有用であることは認識されるであろう。
【0050】
印刷可能な組成物のコア微粒子を形成するために有用なポリマーの例としては、ポリアミド、エポキシ、ジオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ビニルポリマー、例えば、ポリアクリレート、ポリスチレン、またはポリオレフィン、ならびにジカルボン酸およびジフェノールを含んでなるジオールのポリマーエステル化生成物が含まれる。例えば、ビニルポリマー、例えば、スチレンポリマー、アクリロニトリルポリマー、ビニルエーテルポリマー、アクリレートおよびメタクリレートポリマー;エポキシポリマー;ジオレフィン;ポリウレタン;ポリアミドおよびポリイミド;ポリエステル、例えば、ジカルボン酸およびジフェノールを含んでなるジオールのポリマーエステル化生成物、架橋されたポリエステルなどは、印刷可能な組成物のために適切である。本発明のコア微粒子のために選択される1種または複数のポリマーは、ホモポリマーまたは2種以上のモノマーのコポリマーおよび2種以上のポリマーのブレンドを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、例えば、押出成形の間にポリマーを反応的に架橋するために、押出成形の前または間に架橋剤を添加することによって、1種または複数のポリマーは架橋される。印刷可能な組成物で使用されるポリマーは、製造業者によって異なり、そして様々な実施形態において、そして単に一例として、スチレンアクリレートコポリマー、スチレンジビニルベンゼンコポリマー、ポリエステル樹脂、スチレンブタジエンコポリマー、または別の種類のポリマーが含まれる。印刷可能な組成物に任意選択的に含まれる着色剤としては、着色した静電トナー組成物の技術の当業者によって容易に理解されるように、ブラック着色剤が望ましいが、カーボンブラックおよび酸化第一鉄、ならびにシアン、マゼンタおよびイエローの印刷可能な組成物のための様々な有機または有機金属化合物顔料が含まれる。着色剤の量は、印刷可能な組成物において特に制限されないが、いくつかの実施形態においては、印刷可能な組成物の0〜約5重量%で組成物に存在する。
【0052】
ビニルポリマーの適切なビニルモノマー単位には、スチレン、置換されたスチレン、例えば、メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンアクリレートおよびスチレンメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチル−アクリレート、イソブチルアクリレート、プロピルアクリレート、ペンチルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルアルファクロルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレートおよびペンチルメタクリレートを含むモノカルボン酸のエステルなどのビニルエステル;スチレンブタジエン;塩化ビニル;アクリロニトリル;アクリルアミド;アルキルビニルエーテルなどが含まれる。さらなる例としては、p−クロロスチレンビニルナフタレン、不飽和モノオレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびイソブチレン;ハロゲン化ビニル、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルおよび酪酸ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルおよびビニルエチルエーテルを含むビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンおよびメチルイソプロペニルケトンを含むビニルケトン;ハロゲン化ビニリデン、例えば、塩化ビニリデンおよびビニリデンクロロフルオリド;N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどが含まれる。
【0053】
ポリエステルのジカルボン酸単位の適切な例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、ジメチルグルタル酸、ブロモアジピン酸、ジクロログルタル酸などが含まれるが、ポリエステルのジオール単位の実例となる例としては、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ピナコール、シクロペンタンジオール、ヒドロベンゾイン、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジヒドロキシビフェニル、置換ジヒドロキシビフェニルなどが含まれる。
【0054】
本発明の印刷可能な組成物の微粒子のコアを形成するために使用される1つの例示的なポリマーは、ジカルボン酸およびジフェノールから誘導される。そのようなポリマーは、米国特許第3,590,000号明細書に例示される。また、ビスフェノールAおよびプロピレンオキシドの反応から得られるポリエステル樹脂であって、特に、フマル酸との得られた生成物の反応がその後行われるそのようなポリエステル、ならびに1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオールおよびペンタエリスリトールとのジメチルテレフタレートの反応から生じる分枝鎖ポリエステル樹脂を含むものも好ましく使用されてよい。さらに、低溶融ポリエステル、特に反応性押出成形によって調製されるもの(米国特許第5,227,460号明細書を参照)を、印刷可能な組成物で利用されるポリマーとして選択することができる。他の適切なポリマーおよびコア材料には、スチレン−メタクリレートコポリマー、スチレンブタジエンコポリマー、PLIOLITES
TMおよび米国特許第4,558,108号明細書に記載される懸濁液重合されたブタジエンスチレンコポリマーが含まれる。米国特許第5,227,460号明細書に記載される種類の直鎖部分および架橋部分の両方を含有するポリエステルも、印刷可能な組成物微粒子のコアを形成するポリマーとして有用である。
【0055】
上記ポリマーの1種または複数は、印刷可能な組成物微粒子のコアに有効に利用される。上記のブレンドおよびコポリマー、ならびにそれらの架橋されたものは、有効に利用される。1種または複数のポリマーは、一般に、印刷可能な組成物の約50重量%〜99.999重量%、例えば、印刷可能な組成物の約50重量%〜99.99重量%、または約50重量%〜99.9重量%、または約50重量%〜99重量%、または約50重量%〜98重量%、または約50重量%〜97重量%、または約50重量%〜96重量%、または約50重量%〜95重量%、または約50重量%〜94重量%、または約50重量%〜93重量%、または約50重量%〜92重量%、または約50重量%〜91重量%、または約50重量%〜90重量%、または約50重量%〜89重量%、または約50重量%〜88重量%、または約50重量%〜87重量%、または約50重量%〜86重量%、または約50重量%〜85重量%、または約50重量%〜84重量%、または約50重量%〜83重量%、または約50重量%〜82重量%、または約50重量%〜81重量%、または約50重量%〜80重量%、または約50重量%〜79重量%、または約50重量%〜78重量%、または約50重量%〜77重量%、または約50重量%〜76重量%、または約50重量%〜75重量%、または約50重量%〜74重量%、または約50重量%〜73重量%、または約50重量%〜72重量%、または約50重量%〜71重量%、または約50重量%〜70重量%、または約51重量%〜99.999重量%、または約52重量%〜99.999重量%、または約53重量%〜99.999重量%、または約54重量%〜99.999重量%、または約55重量%〜99.999重量%、または約56重量%〜99.999重量%、または約57重量%〜99.999重量%、または約58重量%〜99.999重量%、または約59重量%〜99.999重量%、または約60重量%〜99.999重量%、または約61重量%〜99.999重量%、または約62重量%〜99.999重量%、または約63重量%〜99.999重量%、または約64重量%〜99.999重量%、または約65重量%〜99.999重量%、または約66重量%〜99.999重量%、または約67重量%〜99.999重量%、または約68重量%〜99.999重量%、または約69重量%〜99.999重量%、または約70重量%〜99.999重量%、または約65重量%〜99.99重量%、または約65重量%〜99.9重量%、または約65重量%〜99重量%、または約65重量%〜98重量%、または約65重量%〜97重量%、または約65重量%〜96重量%、または約65重量%〜95重量%、または約65重量%〜92重量%、または約65重量%〜90重量%、または約70重量%〜99.9重量%、または約70重量%〜99重量%、または約70重量%〜95重量%、または約70重量%〜90重量%、または約75重量%〜99.9重量%、または約75重量%〜99重量%、または約75重量%〜95重量%、または約80重量%〜99.9重量%、または約80重量%〜99重量%、または約80重量%〜95重量%、または約80重量%〜90重量%の量で印刷可能な組成物に存在する。
【0056】
任意選択的に、1種または複数の追加的な成分がコア組成物に含まれる。コア微粒子が溶融ブレンドによって形成される場合、追加的な成分は、添加剤の熱安定性および配合者の選択によって決定されるように、コア材料のブレンドの前または間に適切に添加される。他の実施形態において、1種または複数の追加的な成分は、シェル組成物(以下に記載する)の一部として添加される。追加的な成分の一例は、電荷制御添加剤である。適切な電荷制御添加剤には、第四アンモニウム化合物およびアルキルピリジニウム化合物が含まれ、これには、米国特許第4,298,672号明細書に開示されるセチルピリジニウムハライドおよびセチルピリジニウムテトラフルオロボレート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルスルフェートなどが含まれる。内部電荷向上添加剤は、印刷可能な組成物の0重量%〜約10重量%、例えば印刷可能な組成物の約1ppm〜5重量%の量で印刷可能な組成物に存在する。
【0057】
適切な追加的な成分の別の例は、マトリックス変性剤である。マトリックス変性剤は、帯電したドラム部分への伝達の間に基材への印刷可能な組成物の接着を増加させるため、印刷可能な組成物またはそれらの一部分が印刷間に電荷を得ることを助ける化合物である。適切なマトリックス変性剤には、例えば、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)プロプ−2−エン酸(シナピン酸)および2,5−ジヒドロキシ安息香酸が含まれる。印刷可能な組成物で有用な他のマトリックス変性剤には、アニリン、3−アミノキノリン、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、N,N−ジエチルアニリン、3−ヒドロキシピコリン酸(3−HPA)、3−ヒドロキシピリジン、ピコリン酸、ピリジン、2−ピリジルカルビノール、2−ピリジルヒドロキシメタンスルホン酸、2−ピリジンカルボキサルデヒド、2,3−ピリジンジカルボン酸、1−メチルイミダゾール、トリエチルアミン、トリフルオロ酢酸、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、および1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートが含まれる。マトリックス変性剤は、印刷可能な組成物の全重量に基づき、0ppm〜100ppm、例えば、約1ppm〜100ppm、または約1ppm〜90ppm、または約1ppm〜80ppm、または約1ppm〜70ppm、または約1ppm〜60ppm、または約1ppm〜50ppm、または約1ppm〜45ppm、または約1ppm〜40ppm、または約1ppm〜35ppm、または約1ppm〜30ppm、または約1ppm〜25ppm、または約1ppm〜20ppm、または約1ppm〜15ppm、または約1ppm〜10ppm、または約2ppm〜100ppm、または約3ppm〜100ppm、または約4ppm〜100ppm、または約5ppm〜100ppm、または約6ppm〜100ppm、または約7ppm〜100ppm、または約8ppm〜100ppm、または約9ppm〜100ppm、または約10ppm〜100ppm、または約11ppm〜100ppm、または約12ppm〜100ppm、または約13ppm〜100ppm、または約14ppm〜100ppm、または約15ppm〜100ppm、または約16ppm〜100ppm、または約17ppm〜100ppm、または約18ppm〜100ppm、または約19ppm〜100ppm、または約20ppm〜100ppm、または約2ppm〜50ppm、または約3ppm〜40ppm、または約4ppm〜30ppm、または約5ppm〜25ppmで印刷可能な組成物に存在する。
【0058】
溶融ブレンドが完成した後、ブレンドされた混合物の径は、当該技術において既知の方法を含むいずれかの適切な粉砕方法によって低下される。いくつかの実施形態において、粉砕は、衝撃時にポリマーの破断を引き起こす溶融ブレンドされたポリマー組成物の脆性によって促進される。これは、メディアミル、ボールミル、ジェットミル、ハンマーミルまたは同様のデバイスなどの粉砕機またはアトライターにおける急速粒径低下を可能にする。そのようなデバイスは、標準手順に従って使用される場合、典型的な溶融ブレンドされたコア材料を約4μm〜30μm、または約4μm〜25μm、または約4μm〜20μm、または約4μm〜15μm、または約4μm〜10μmの平均粒径に低下させることが可能である。ジェットミルは、径によってコア粒子を分類する分類プロセスをさらに組み込む。あまりに大きく分類されるコア粒子は、分類器ホイールで却下されて、さらなる低下のためにジェットミル中の粉砕領域に空気によって送達される。容認された範囲内のコア粒子は、次のトナー製造プロセスへ通過される。
【0059】
粉砕または微粉化によるコア粒径の低下の後、コア粒子は、径によって分類される。適切な分類機構には、定義されたメッシュ径を有するスクリーンおよびシーブが含まれ、メッシュ径以下の粒子寸法を有する粒子はスクリーンまたはシーブを通過し、そして微粒子の残りは、スクリーンまたはシーブによって維持される。そのような技術は、当業者によって十分理解される。コア微粒子の分類は、さらなる加工のために適切な分類されたコア微粒子を提供する。いくつかの実施形態において、選択された径範囲より微細なコア粒子は、製品資格のある粒子から除去される。これらのより微細な粒子は、印刷の間に基材に堆積される印刷可能な組成物の量に関係する精度および正確性に有意な影響を有する。選択された径範囲内のコア粒子は回収されて、シェルがコアによって受け取られるプロセスまで通過される。
【0060】
いくつかの実施形態において、コア微粒子を実質的にコーティングするシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を含むシェルを形成して、印刷可能な組成物を形成するために、高速ブレンドプロセスが利用される。いくつかの実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体に加えて、低溶融ポリマーまたはワックスがシェル組成物に含まれる。低溶融シェルポリマーには、約40℃〜90℃、または約40℃〜80℃、または約40℃〜70℃、または約40℃〜60℃の融点を有するものが含まれ、適切な低溶融ポリマーには、ポリマーが、本来的に、または低分子量と組み合わせて、明示された範囲の融点を有する上記のいずれのポリマー、およびそのような材料の混合物も含まれる。追加的な適切な低溶融ポリマーには、約1000g/モル〜40,000g/モル、または約2000g/モル〜40,000g/モル、または約3000g/モル〜40,000g/モル、または約4000g/モル〜40,000g/モル、または約5000g/モル〜40,000g/モル、または約6000g/モル〜40,000g/モル、または約7000g/モル〜40,000g/モル、または約8000g/モル〜40,000g/モル、または約9000g/モル〜40,000g/モル、または約10,000g/モル〜40,000g/モル、または約1000g/モル〜35,000g/モル、または約1000g/モル〜30,000g/モル、または約1000g/モル〜25,000g/モル、または約1000g/モル〜20,000g/モル、または約1000g/モル〜15,000g/モル、または約1000g/モル〜10,000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコールなどのポリオールが含まれる。ワックスは、約45℃(113°F)〜約90℃で溶融し、低粘度液体を与え、かつ水に不溶性であるが、有機無極性溶媒には可溶性である化合物の種類である。ワックスは、植物、動物または石油供給源から誘導される。動物由来のワックスは、典型的に、様々なカルボン酸および脂肪アルコールから誘導されるワックスエステルからなる。適切な動物性ワックスには、蜜蝋(融点62〜65℃)、鯨蝋(マッコウクジラの頭部油に大量に生じる)、およびラノリン(羊毛から得る)が含まれる。植物性ワックスは、エステルおよび非エステル化炭化水素の特徴的混合物である。適切な植物性ワックスには、カルナウバワックス、ブラジリアンパームコペルニシアプルミフェラ(Brazilian palm Copernicia prunifera)から得られる硬質ワックス、カンデリラワックスおよびアウリカリー(ouricury)ワックスが含まれる。
【0061】
石油誘導ワックスは、同族の一連の鎖長のアルカンの混合物である。しばしば、ワックスは芳香族成分をさらに含むが、いくつかの実例において、芳香族成分は、プロセスの間、低減されるか、または実質的に排除される。適切な石油ワックスの1種は、パラフィンワックスである。パラフィンワックスは、飽和n−およびiso−アルカン、ナフテン、ならびにアルキル−およびナフテン−置換芳香族化合物の混合物である。分岐度は、特性に重要な影響を及ぼす。他の適切な石油ワックスには、石炭および亜炭から抽出されるモンタンワックス、ならびに400℃でポリエチレンを分解することによって得られる短鎖アルカンが含まれる。分解されたポリエチレンワックスは、式(CH
2)
nH
2(式中、nは約50〜100の範囲である)を有する。近年では、フィッシャー−トロプシュ触媒などの触媒の存在下で、または他の同様の技術によってエチレンを重合させることによって、高結晶質含有量および高密度(約0.92g/mL以上)を有するワックスが開発されている。これらのワックスのいずれも、シェル組成物を与えるために、少なくともシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体と有効にブレンドされる。
【0062】
1種または複数の追加的なシェル材料は、シェル組成物に有効に組み込まれる。そのような追加的なシェル材料には、フロー剤、安定剤、電荷制御添加剤(上記)およびマトリックス変性剤(上記)の1種または複数が含まれる。フロー剤には、ヒュームドシリカ、二酸化ケイ素または酸化チタン誘導体、酸化第二鉄、タルク、ヒドロキシ末端ポリエチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンを含むポリオレフィンワックス、ポリメチルメタクリレート、亜鉛ステアレート、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ステアリン酸およびポリフッ化ビニリデンが含まれる。
【0063】
印刷可能な組成物は、コア微粒子をシェル材料と組み合わせることによって形成される。したがって、いくつかの実施形態において、ワックスまたは低溶融ポリマーおよびシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体は、溶融ブレンドプロセスを使用して適切にブレンドされ、得られたブレンドは、コア粒子を形成するために利用される技術の1つまたは複数を使用して、粒径低下を受ける。他の実施形態において、シェル材料は、単にシェルのコア粒子への添加の前に混合される。さらに他の実施形態において、シェル材料は、1つまたは複数の高速ブレンド操作、または印刷可能な組成物を形成するために適切に利用される他の方法の間に連続してコア粒子に添加される。
【0064】
いくつかの実施形態において、シェル材料は、高強度ブレンドステップにおいて、分類されたコア粒子に添加される。そのような高強度ブレンドは、Henschel Blender FM−10、75または600ブレンダー(シンガポールのZeppelin Systems Singapore Pte Ltd.から得た)などのデバイスを使用して適切に実行される。そのようなデバイスによって提供される高強度ブレンドは、凝塊形成された粒子を適切なナノメートル径に分解して、シェル材料を均一にコア微粒子に分配し、そしてシェル組成物をコア微粒子に接着させるために有用である。シェル材料は、粒子間の衝突の間に、ブレンドツールが回転して、コア粒子の表面に接着する。理論によって制限されることを望まないが、コア粒子とシェル材料との間のそのような接着は、機械的嵌入および静電吸引により生じると考えられる。ブレンドプロセスのために使用される時間の量および強度は、どの程度のエネルギーがブレンドプロセスの間に適用されるかを決定する。「強度」は、ブレンドされたコアおよびシェル材料の単位質量あたりのブレンドモーターによって消費される動力の参照によって効果的に測定されることができる。いくつかの実施形態において、上記のような高強度ブレンドツールを使用するブレンド時間は、1〜500kgのバッチあたり約1分〜30分の範囲である。いくつかの実施形態において、ブレンド速度および時間は、シェル材料の複数の層がコア粒子に接着されることを確実にするために、増加される。いくつかの実施形態において、より高いブレンド速度および追加的な時間が必要とされる。いくつかの実施形態において、ブレンドの強度または時間は、組成物で利用されるワックスの溶融温度より高くシェル組成物を加熱するために十分、摩擦を回避するという要求によって制限される。
【0065】
高強度ブレンドは、コア粒子へのシェル材料の適用を引き起こす。実施形態において、コア微粒子の表面へのシェルの適用は、コア粒子の理論的な表面積の約50%〜250%、あるいはコア粒子の理論的な表面積の約75%〜250%、または約100%〜250%、または約125%〜250%、または約150%〜250%、または約175%〜250%、または約200%〜250%、または約50%〜225%、または約50%〜200%、または約50%〜175%、または約50%〜150%、または約50%〜125%、または約50%〜100%、または約50%〜75%、または約100%〜200%の被覆率をもたらす。理論的な表面積は、標準クールターカウンター法を使用し、全ての粒子が球状であり、かつシェル材料がコア粒子表面において最密六方構造で一次粒子として分配されると仮定して、コア粒子の中央直径値を決定することによって算出される。
【0066】
いくつかの実施形態において、2種以上のシェル材料が、高速ブレンドプロセスの間に連続して添加される。例えば、実施形態において、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体は、第1のブレンドステップにおいてコア微粒子とブレンドされ、次いで、低溶融ポリマーまたはワックスが第2のブレンドステップにおいて添加され、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体がCDとして示されるコア−CD−シェル微粒子がもたらされる。3種以上のそのような材料、またはCDおよび低溶融ポリマーのアリコートの繰り返された添加は、任意選択的に1種または複数の追加的な材料がそれぞれの添加に含まれて、所望の平均粒径の適切な静電的に印刷可能な組成物を構築することに限定されずに、コア微粒子に適切に添加される。
【0067】
高強度ブレンドの後、印刷可能な組成物を製造するプロセスは、選択された平均粒径範囲外の凝塊形成された粒子および存在する他の微粒子を除去するためのスクリーニングプロセスによって完了される。そのようなスクリーニング技術は上記のとおりであり、そのような技術は、適切な平均粒径の印刷可能な組成物を分類するためにも適切に利用される。適切な平均粒径は、静電印刷機デバイス、および下記のとおりに印刷可能な組成物を収納するために使用される1つまたは複数の容器(トナー供給源)によって提供される送達機構次第で異なる。
【0068】
いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物は、トナー供給源である容器で貯蔵される。トナー供給源は、実質的に乾燥状態でそれらの含有物を維持し、さらにトナー組成物で利用される微小粒子が空気で伝達されることを実質的に防ぐ密閉容器である。いくつかのそのような実施形態において、トナー供給源は、特定の印刷機内に直接に配置されるように設計および適応されるカートリッジである。そのような実施形態において、印刷可能な組成物は単にカートリッジに添加され、印刷可能な組成物は、要求があり次第、そしてコンピューターで指示されて、光受容器ドラムに制御された様式で送達される。分離した容器としてのカートリッジの封着された構成は、水に感応性のシクロデキストリン包接錯体を含む印刷可能な組成物の貯蔵および印刷のために高度に有利である。水に感応性のシクロデキストリン錯体は、含まれる化合物が水の作用によってα−シクロデキストリン円環体から放出される錯体を含む。1つの高度に水に感応性のシクロデキストリン錯体は、1−メチルシクロプロペン/c/α−CD(1−MCP/c/α−CD)であり、これは、液体および蒸気の両方の形態の水が置換し、それによって、錯体から1−MCPを放出することが文献に記載されている。化合物の放出を誘発する水の使用は、シクロデキストリン錯体が利用される多くの用途で有用であるため、そのような用途において、放出が望ましい目標の部位に配置されるまで、シクロデキストリン錯体を乾燥状態に維持することが望ましい。したがって、印刷の要求が基材に供給されるまで、そのようなシクロデキストリン錯体を乾燥、封着された容器に貯蔵する能力は、静電印刷法の高度に有利な特徴である。このように、シクロデキストリンを含む錯体の収率は、1年から10年以上までなどの非常に長い期間、いずれかの特別な予防措置を行うことなく最大化される。
【0069】
1−MCP/c/CDの場合、長期間、乾燥状態で錯体を貯蔵する能力は、収率目的のために有利であるのみならず、非錯体型の状態で1−MCPを構築することを回避するための安全目的のために重要である。1−MCPは、封入された領域で蓄積されている時、高度に激しい自動重合の作用を受けやすいことが確立される。したがって、1−MCP/c/CD錯体が封入された容器に存在する場合、容器の含有物が破裂しないように、錯体からの1−MCPの相当の量の放出を回避することが重要である。カートリッジ内で提供される封着された乾燥環境は、優れた貯蔵安定性のある容器を1−MCP/c/CDに提供する。さらに容器は、次いで、使用者によるさらなる取り扱いの要求、または印刷可能な基材上の錯体の最終配置より前の大気水分への長期間にわたる曝露を回避して、光受容器ドラム、次いで基材への包接錯体を含有する印刷可能な組成物の直接的な送達のために印刷機内に配置される。
【0070】
他の包接錯体は、同様に、所望の基材への印刷可能な組成物の直接的な送達まで錯体を保存および保護する貯蔵容器としての封着されたトナー供給源から利益を得る。しかしながら、1−MCPの場合、封着された乾燥環境の錯体の安全な貯蔵が、目標基材への錯体の送達された量のみの曝露で、対象とされた基材への錯体の送達のために既知のすべての方法に勝る有意な安全性の利点を提供するため、利点はさらに重要である。
【0071】
印刷可能な基材
実施形態において、印刷可能な組成物は、多数の有用な印刷可能な基材のいずれか1つまたは複数の上に静電的に印刷される。いくつかの実施形態において、基材は、従来の静電印刷法で利用されるものと同じである。適切な印刷可能な基材は平面であり、2つの主要面と、厚さ約12μm〜1mmの厚さを画定する外部端縁を有し、そして実質的な永久変形のない1インチ以下の直径を有するローラーの周囲180°の通過に耐えるために十分に可撓性である。実施形態において、印刷可能な基材は、紙または別の不織材料、またはポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデンクロリドを含む固体高分子シート、あるいは紙上にコーティングされたポリマーを含む。適切に利用される紙には、新聞ストック、クラフト紙、標準事務所コピー機または印刷機紙、および印刷目的、装飾目的または両方のためにその上の様々なコーティングを有する特殊紙が含まれる。印刷目的には、静電印刷目的または他の印刷目的、例えば、インクジェット印刷目的が含まれる。いくつかの実施形態において、印刷可能な基材は、印刷の前および間に取り外し可能なライナーによって典型的に被覆された接着剤バッキングを含む。いくつかの実施形態において、接着剤で裏打ちされた印刷可能な基材は、ラベルストックとして有効に利用される。いくつかのそのような実施形態において、ラベルストックは、印刷後にライナーから剥離されるシートの切り目をつけられた部分に印刷する前に変換される。
【0072】
この方法で有効に利用される印刷可能な基材には、シートでおよびロールの形態の両方が含まれ、いくつかの実施形態において、シートは、21.6cm×27.9cm(8.5インチ×11インチ)オフィス紙または他のシートのトレイを含み、そして各個のシート印刷のために印刷機機構に積層から個々のシートを取り込み、配置するための機構をさらに含む印刷機などのレターサイズ印刷のために有効に利用される。21.6cm×27.9cm以外のシート径は、多くのそのような印刷機に適応し、したがって、印刷可能な基材として利用されるシートの径は、この方法に利用される特定の印刷機デザインのみに関して制限される。
【0073】
ロール形態の印刷可能な基材は、例えば、高い体積の印刷された基材が短期間に生じる場合、または可変的な径印刷が必要とされる場合、有効に利用される。追加的に、印刷あたり印刷可能な基材の大きい体積が必要とされる場合、ワイドフォーマット印刷機は、ほとんど一般的に、ロールフィードである。またはロールフィード能力を有する。ロールフィード印刷機は、ロールの幅によって定義される印刷可能な基材を利用し、そして選択された長さの複数の部分を生じるために適切な様々な長さで供給される。ロールフィード印刷機は、1cmの幅を有する個々のラベルを印刷する場合などのスモールフォーマットで、ワイドフォーマット印刷のための152cm(約60インチ)以上のより大きい幅まで利用可能である。上記の列挙される材料のいずれのロールも、ロールフィード印刷機に有効に利用される。多くの実施形態において、ロールフィード印刷機は、完成した印刷された製品を提供するために、ロールから選択された印刷された長さをスライスするための機構をさらに含む。
【0074】
印刷法
静電的に印刷可能な組成物を印刷する際に利用される方法は、いくつかの実施形態において、従来の様式で従来の種類の静電印刷機を利用することによって実行される方法と同一であるが、他の実施形態において、印刷法の機構に差異が存在する。特に、いくつかの実施形態において、印刷された組成物を加熱して、基材に粒子を溶融するために、印刷された基材が通過する溶融ローラーは、従来のトナー組成物印刷で利用されるよりも低く設定された温度まで加熱されるか、または全く加熱されない。
【0075】
したがって、いくつかの実施形態において、加熱器ローラーは、200℃未満の温度まで加熱される。例えば、いくつかの実施形態における溶融ローラーは、約80℃〜200℃、例えば、約100℃〜190℃、または約110℃〜180℃、または約120℃〜170℃、または約130℃〜160℃、または約130℃〜150℃の温度に設定される。他の実施形態において、ローラーは全く加熱されないが、単に、印刷された組成物をそれに固定するために、印刷された組成物を、印刷された基材に対してプレスするために有用な物理的圧点である。例えば、印刷可能な基材が、ワックスを含む粒子にシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を含む場合、ローラーは加熱されないか、または約100℃以下、例えば60℃〜90℃の温度まで加熱される。他の実施形態において、印刷可能な基材は低溶融ポリマーを含み、そして「溶融」は、印刷された組成物を基材表面に押すことによって、印刷された基材の表面を軟化することによって完成される。例えば、低密度ポリエチレンコート紙は、いくつかのそのような実施形態で適切に利用され、溶融ローラーの温度は、ポリエチレンを軟化するように選択され、印刷された組成物は、ローラーで適用される圧力によってその中で埋め込まれることが可能である。
【0076】
低温度溶融ローラーの使用によって、熱が含まれる化合物の放出を誘発するシクロデキストリン錯体を含む印刷可能な組成物の使用を可能にする。例えば、1−MCP/c/α−CDからの1−MCPのその損失は、90℃程度の低温で誘発され、したがって、溶融ローラーを90℃以下の温度で維持することとともに、ワックスをベースとする印刷可能な組成物を提供すること、または低溶融の印刷可能な基材表面を利用することによって、印刷操作の間、1−MCPの過度の損失を経験することなく、1−MCP/c/α−CDを有する印刷可能な組成物の静電印刷が可能となる。同様に、それらのシクロデキストリン包接錯体が印刷目的のために有用である、一般的な周囲温度(例えば20℃〜40℃)でいくらかの蒸気圧を有する芳香性化合物または他の分子は、低温度静電印刷法の使用から利益を得る。そのような方法は、非溶融ローラーまたは200℃未満の温度で維持されるローラーと組み合わせた、印刷可能な組成物におけるワックスをベースとするか、または他の低溶融材料の使用を含む。
【0077】
上記で開示されるように、印刷可能な組成物との組み合わせで有用な静電印刷機デバイスは、1つまたは複数のコンピューターと連絡してある。
図1は、本明細書に記載される1つまたは複数の印刷機と組み合わせて使用されてもよいコンピューターの単純化されたブロック図である。
図1に関して、コンピューター100は、1つまたは複数のプロセス要素102、1つまたは複数のメモリ成分104、1つまたは複数のインプット/アウトプットデバイス106、ディスプレイ108および/またはネットワークインターフェース110を含んでもよい。コンピューター100の各要素が、お互いと連絡してあってもよく、またはプロセス要素102などの選ばれた要素と連絡し、かつ他の要素と連絡していなくてもよい。
【0078】
追加的に、コンピューター100は、選択された要素と集積化されてもよく、そして他から物理的に分離されているが、ネットワーク(例えばWiFi、インターネット、ブルートゥース、イーサネット(登録商標)、ユニバーサルシリアルバスなど)または他の連絡機構によってそれと連絡していてもよい。例えば、ディスプレイ108は、コンピューター100から物理的に分離されているが、コンピューター100のプロセス要素102および他の要素と連絡していてもよい。同様に、コンピューター100が、本明細書に開示される静電印刷機デバイスと同様である印刷機112と連絡していてもよい。
【0079】
引き続き、
図1を参照して、1つまたは複数のプロセス要素102は、指示を処理、受け取り、および/または伝達することが可能な実質的にいずれのデバイスでもあってもよい。例えば、1つまたは複数のプロセス要素102は、マイクロプロセッサーまたはマイクロコンピュータでもよい。追加的に、いくつかの実施形態において、コンピューター100の選択された要素は、第1のプロセッサーで制御されてもよく、そしてコンピューター100の他の要素は、第2のプロセッサーで制御されてもよいが、第1および第2のプロセッサーは、互いに連絡していても、していなくてもよい。
【0080】
1つまたは複数のメモリ成分104は、コンピューター100によって利用されてもよい電子データを貯蔵する。例えば、メモリ成分104は、様々な用途に相当する1つまたは複数のオーディオファイル、ビデオファイル、ドキュメントファイルなどの電気データまたは含有物を貯蔵してもよい。メモリ成分104は、例えば、不揮発性記憶、磁気記憶媒体、光記憶媒体、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、消去可能なプログラム可能なメモリまたはフラッシュメモリであってもよい。
【0081】
ネットワークインターフェース110は、コンピューター100、1つまたは複数の静電印刷機112、ならびに他の電子デバイス(例えば、他のコンピューター)間の連絡を促進する。例えば、ネットワークインターフェース110は、1つまたは複数の電子要素またはデバイスからのデータを受け取ってもよく、また静電印刷装置を含む1つまたは複数の電子要素またはデバイスへのデータの伝達を促進する。ネットワークインターフェース110は、ネットワークからデータを受け取るために使用されてもよく、あるいは無線または配線接続(インターネット、WiFi、ブルートゥースおよびイーサネット(登録商標)が数例である)によって電子信号を送達および伝達するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、ネットワークインターフェース110は複数のネットワークまたは連絡機構をサポートしてもよい。例えば、ネットワークインターフェース110は、他のデバイスへ信号を伝達するためにブルートゥースネットワーク上で別のデバイスと対になり、同時にWiFiまたは他のネットワークからデータを受け取っていてもよい。
【0082】
ディスプレイ108は、タブレットコンピューターなどのコンピューター100と集積化されてもよく、あるいは独立型装置モニターなどのコンピューター100と別でもよい。ディスプレイ108は、1つまたは複数のアウトプットイメージおよび/またはビデオを表示して、使用者にアウトプットを提供するために使用される。ディスプレイ108は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、発光ダイオードスクリーンなどのディスプレイスクリーンの実質的にいずれの種類でもあってもよい。追加的に、いくつかの実施形態において、ディスプレイ108は1つまたは複数のインプット要素を含んでもよい。例えば、ディスプレイ108はインプットシグナルを検出するための1つまたは複数のセンサーを含んでもよく、そして使用者は指またはスタイラスなどのインプットデバイスによってディスプレイ108に接触する。
【0083】
インプット/アウトプットデバイス106は、コンピューター100にインプットを提供するために使用される。例えば、インプット/アウトプットデバイス106は、キーボード、マウス、ジョイスティック、スタイラス、トラックパッド、ハンドヘルドコントローラーなどを含んでもよい。追加的に、インプット/アウトプットデバイス106は、1つまたは複数のセンサー、例えば、イメージセンサー、容量センサーなどを含んでもよい。インプット/アウトプットデバイス106はディスプレイ108およびプロセス要素102と連絡し、使用者はコンピューター100にインプットを提供することができる。
【0084】
コンピューター100から静電印刷機デバイス112へのデータの伝達は、実施形態において、ラスターイメージプロセッサー(RIP)を含む。ラスターイメージプロセシングは、PostScriptファイルなどのベクトルデジタル情報を高解像度ラスターイメージにするプロセスおよび手段である。RIPは、ラスターイメージ(別名ビットマップ)を製造する。ビットマップは、アウトプットのため、静電印刷デバイスに次いで送達される。インプットは、PostScript、Portable Document Format、XPSまたはアウトプットデバイスより高い、またはより低い解像度の別のビットマップなどの高水準ページ記述言語のページ記述でもよい。後者の場合、RIPは、アウトプットビットマップを生じるために、いずれかの平滑化または補間アルゴリズムをインプットビットマップに適用する。RIPは、オペレーティングシステムのソフトウェア要素として、または印刷機内のマイクロプロセッサーで実行されるファームウェアプログラムとして実施されることもできるが、ハイエンドの植字のために、独立型ハードウェアRIPが時折使用される。
【0085】
RIPチップは、レーザーまたはLEDアレイにラスターイメージを通信するために、静電印刷機で使用される。ラスターイメージプロセシングは、一般に3つの段階を含む:インタープリテーション、レンダリングおよびスクリーニング。スクリーニングステップの間、連続色調ビットマップは、ハーフトーン(点のパターン)に変換される。点配置は高度な数学的アルゴリズムによって正確に制御され、「点」はレーザーまたはLED照射として光受容器ドラムに適用される。
【0086】
実施形態において、印刷可能な組成物における選択されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の濃度は既知であり、そして使用者によって選択される印刷濃度および印刷機に通信するコンピューターへのインプットは、選択された領域におけるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量に相当する。この印刷方法の最も単純な例として、モノクロ(グレイスケール)型レーザープリンタと同一または同様の単一カートリッジ静電印刷機が印刷可能な組成物と関連して利用される。印刷可能な組成物が顔料を有さない場合でさえ、カートリッジは、相当する密度方向をコンピューターにインプットすることによって使用者によって選択されるように、さらにはRIPによって翻訳されるように、印刷された組成物密度を送達する。実施形態において、印刷濃度は、グレイスケールイメージとしてディスプレイ上で使用者に視覚的に表される。使用者は、印刷するための印刷可能な基材の領域および印刷された領域の暗闇を選択する。使用者によって選択される暗闇は、選択された領域において印刷可能な基材に印刷される印刷可能な組成物の量に相当する。ディスプレイによって示されるように、白色領域は、印刷可能な組成物が印刷可能な基材に堆積されない領域であり、黒色または灰色の部分は、印刷可能な組成物を含み、そして黒色領域は、印刷可能な組成物の最大密度が基材に堆積された領域である。いくつかの実施形態において、印刷された領域は、ブロックまたはいくつかの他の固体領域である。他の実施形態において、印刷された領域は、形状の規則的または不規則なパターンまたは組み合わせであり、選択された領域は特に制限されず、そしていくつかの実施形態において、複数の領域が選択される。同様に、印刷された領域は、灰色、黒色の単一の暗度または勾配の暗度である。印刷可能な組成物におけるシクロデキストリンの濃度またはシクロデキストリン錯体が既知であり、そして印刷可能な組成物が最大印刷濃度で、すなわち、ディスプレイによって使用者に表される「黒色」に相当する領域でどの程度印刷されるかが既知であるか、容易に決定されるため、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体が任意の使用者によって選択されたパターン、勾配などによってどの程度堆積されるかは正確に容易に決定される。
【0087】
したがって、代表的な実施形態において、カートリッジ中の印刷可能な組成物におけるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の濃度情報を含むアルゴリズムは、RIPプロトコルで含まれるか、あるいは別々のアルゴリズムとして含まれ、そして使用者は、印刷可能な基材に堆積されるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の正確な量を選択することができる。いくつかの実施形態において、使用者は、選択された領域における所望のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の量を選択し、そしてアルゴリズムは、領域にシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の選択された量を送達するために適当な印刷濃度を選択する。他の実施形態において、使用者は、領域およびパターンまたはグレイスケールイメージを選択し、そして使用者からのインプットは、堆積されるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の量を算出するために利用される。この情報は、使用者が印刷指令を実行する前に、使用者にディスプレイを通して供給される。
【0088】
いくつかの実施形態において、印刷可能な組成物は、顔料を含む。そのような実施形態において、印刷が製造された後、使用者は、堆積されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の位置、そしてシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体がどの程度堆積されるかさえも決定する選択も有する。そのような実施形態において、定量的測定としてグレイスケールイメージを測定することが可能な色分析器またはいくつかの他の器具は、領域において堆積される印刷可能な組成物の量を測定するために適切に利用される。印刷された領域の量が既知であるならば、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の正確な量は容易に算出される。
【0089】
さらに他の実施形態において、印刷機システムは、2個以上のカートリッジ、例えば4個の印刷カートリッジを利用する。例えば、4カートリッジ印刷機システムは、その中で利用されるトナー組成物が、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエロー顔料を含むカラー印刷のために一般に設計される。そのような実施形態において、4つの異なるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体は、4つの異なる印刷可能な組成物で適切に利用される。次いで、RIPは、実際に、それぞれの「イメージ」でシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の個々に選択された集合を表す「多色」イメージを形成するように指示され、各個の組成物は、上記の単純なグレイスケールイメージ選択の場合と同様に選択された量で印刷可能な基材に送達される。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記の単純なグレイスケールイメージ選択と同様に、2個以上のカートリッジを有する印刷機システムに含まれる印刷可能な組成物は、顔料を含む。いくつかのそのような実施形態において、印刷機システムは、4つの異なる印刷可能な組成物、すなわち、4つの異なるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を有する4つのカートリッジを有し、印刷可能な組成物は、それぞれのカートリッジで異なる顔料を有することによって、個々に識別される。実施形態において、4つの顔料は、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローであり、他の実施形態において、顔料は、レッド、ブルー、グリーン、オレンジ、バイオレットなどの他の色であって、特に限定されない。顔料は、印刷された基材のどの領域が、その上にどのシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を有するかを識別するために役に立つ。顔料がブラック、シアン、マゼンタおよびイエローである場合、混合されたイメージは、印刷可能な組成物の特徴的な混合を表す特徴的な色を有するものとしても定義可能である。グレイスケールの単純な事例に関して上記の記載されているように、L*a*b*色空間を測定することが可能な分析器などの色分析器は、使用者が、印刷された基材の特定領域におけるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体の種類および量の両方を決定するために有用である色の識別を提供することができる。
【0091】
印刷システム
印刷された基材を形成するために使用者が利用するシステムには、少なくとも静電印刷機、印刷機を指示するために適応されるコンピューター、印刷可能な組成物を含み、印刷可能な基材上で印刷可能な組成物を静電的に配置するために印刷機で据え付けられるように適応される1つまたは複数のカートリッジ、ならびに印刷可能な基材の1つまたは複数のシートまたはロールが含まれる。
【0092】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のカートリッジのそれぞれは、印刷可能な組成物に存在するシクロデキストリン、シクロデキストリン錯体、またはそれらの組み合わせの種類および量に関係する情報のラベルを含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、印刷機は、印刷機に指示を提供するためにコンピューターを用いて使用者によって選択される可変的な温度を有する溶融ローラーを特徴とする。いくつかのそのような実施形態において、使用者は印刷機に溶融ローラー内で熱供給源を閉鎖するように指示することが可能である。
【0094】
印刷可能な組成物が着色剤を含むいくつかの実施形態において、印刷可能な基材に堆積されるシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体の量への色対応に対する電子機器または印刷ガイドは、静電印刷システムの使用者に供給される。
【0095】
いくつかの実施形態において、システムは、ラミネートを形成するために、印刷された基材にラミネート基材を接触させるためのラミネート装置をさらに含む。
【0096】
印刷された基材の用途
いくつかの印刷可能な基材のいくつかの用途は、以下に記載する。これらの例示的な実施形態は、コンピューターに接続される静電印刷機、印刷機で配置される場合の印刷可能な組成物を印刷するように設計された1つまたは複数のカートリッジにおける所望の印刷可能な組成物の供給、および所望の印刷可能な基材の供給を備える最終消費者に入手可能であるものの全体で代表的であることのみを意味することは理解されるであろう。多くの他の実施形態は可能であり、本明細書に記載の実施形態の同等物として容易に想定される。
【0097】
さらに、レーザープリンタまたはLEDプリンタで一般に利用されるカートリッジが容易に交換されるため、シクロデキストリン、シクロデキストリン包接錯体または両方を含む様々な印刷可能な組成物のほとんど無限の供給は、必要な時に静電印刷機に取り付けられるカートリッジにおいて容易に貯蔵されることが本発明の方法の特徴である。印刷可能な組成物は乾燥状態で維持されるため、水によって化合物の放出が誘発される包接錯体でさえ、貯蔵安定性のある条件で貯蔵され、そして標準容器の複数の開口部を通して、大気湿度に例えば繰り返し暴露されない。さらに、印刷可能な基材の広い範囲は、印刷された基材に可変的な機能性を提供するために利用される。記載される印刷可能な組成物および印刷可能な基材を使用して、印刷された基材の形態の在庫は、有用な位置で貯蔵される必要はなく、むしろ印刷された基材は、単に要求があり次第印刷される。この特徴は、材料のカスタマイズされた組み合わせを生じることにおいて、方法の適応性をさらに有利にさせる。
【0098】
1つまたは複数のシクロデキストリンを有する印刷された基材は、例えば、いくつかの実施形態において、食物パッケージの内部からの悪臭または不快なにおい化合物、貯蔵領域からのカビ臭い匂いを掃去するなどのために有用である。シクロデキストリンは一般にGRAS化合物であるため、印刷された第1の主要側面上に含まれるシクロデキストリンを有する印刷された基材は、有害な気体または液体化合物をそれから掃去するために、食品包装の内部にも都合よく含まれる。
【0099】
さらに、1つまたは複数のシクロデキストリン包接錯体を有する基材のオンデマンド製造は、薬剤/c/CDを有する印刷された基材からの薬剤の放出のための真皮パッチ、芳香材/c/CDを有する印刷された基材からの低速放出芳香材シート、および新しい生産物のパッケージに含むための1−MCP/c/CDを有する印刷された基材からの1−MCP放出シートを製造するために有利である。いくつかの実施形態において、2種以上のシクロデキストリン包接錯体が、マルチカートリッジ印刷機を使用して、基材に適切に印刷される。有用な組み合わせの例は、真皮送達のための複数の薬剤、例えば、抗炎症薬/c/CDおよび抗生物質/c/CD;単一の印刷可能な基材上での1−MCP/c/CDと、殺菌剤/c/CD、殺虫剤/c/CD、抗菌剤/c/CDの組合せ、またはそれらの2種以上を単一の印刷可能な基材上に含み、上記で開示される方法を使用して印刷されたそれぞれの組成物に関して達成可能なそのようなオンデマンドおよび選択されたレベルは、新しい生産物の複数の種類に対処する柔軟なシステムをもたらす。新しい生産物のいくつかの種類は、1−MCPのわずかな量のみを必要とするが、例えば、真菌形成の傾向があり、そのような場合、上記で述べた印刷方法は、殺菌剤/c/CDのより多い量を一緒に1−MCP/c/CDの低濃度を印刷するために有効に利用される。
【0100】
シクロデキストリン錯体に1つまたは複数の薬剤を含む真皮パッチは、例えば、それらの印刷可能な表面で水活性化された接着剤を提供することによって、そして皮膜にパッチを接着するために、水をパッチに適用することよって、皮膜に適切に接着される。いくつかの実施形態において、水は、それらの包接錯体からの1つまたは複数の薬剤の放出を誘発し、そして皮膜表面への化合物の有効な伝達を可能にする。関連する実施形態において、水または唾液可溶性フィルムには、1つまたは複数の薬剤が印刷され、そして印刷された基材は、フィルムが溶解すると薬剤が口腔粘膜を通して調剤される口内送達媒体として使用される。
【0101】
いくつかの実施形態において、それらの第1の主要側面に印刷されたシクロデキストリンまたはシクロデキストリン錯体を有する印刷された基材は、それらの第2の主要側面の少なくとも一部分上で配置される接着剤を有する。そのような印刷された基材は、多くの用途のために有用である。そのような印刷可能な基材の用途には、抗菌剤/c/CDをそれらの第1の主要側面に印刷し、続いて、調理台に、キーボードボタン上のステッカーのダイカットセットとして、ドアハンドルなどに印刷された基材を接着して、抗菌物質の低速放出をさせることを含む。同様に、芳香剤/c/CD包接錯体を含む接着剤を含む印刷された基材は、芳香剤分子の低速放出のために、衣類引き出し内部、クロゼットの内部表面上、バスルーム表面などの上に、基材またはそれらの一部分を接着することにより都合よく用いられる。同様に、シクロデキストリンを含む接着剤を含む印刷された基材は、悪臭を放つ化合物を掃去するため、衣類引き出し内部、クロゼットの内部表面上、バスルーム表面などに基材またはそれらの一部分を接着することにより都合よく用いられる。
【0102】
いくつかの実施形態において、1−MCP/c/CD包接錯体を含む接着剤を含む印刷された基材は、成熟の有効な阻止のための生産物への付近での1−MCPの低速放出のために、新しい生産物パッケージ内部、新しい生産物を含有するボール箱の表面またはオープンカートン上、変性雰囲気パッケージまたは制御雰囲気パッケージ中に、印刷された基材またはそれらの一部分を接着することにより都合よく用いられる。新しい生産物の成熟を防ぐか、遅くするために有効である1−MCPの量は、植物によって有意に異なり、上記の方法を使用して印刷可能な1−MCP/c/CDのオンデマンドおよび高度に可変的な量を使用して、単一印刷機、1−MCP/c/CDを有する印刷カートリッジおよび印刷可能な基材を使用して、幅広い植物種が容易に対処される。これらの基材は、追加的なカートリッジがシクロデキストリン包接錯体の一部としてそのような化合物を含有する複数のカートリッジ印刷機を使用して、それに適用される、1つまたは複数の農薬、殺菌剤、防腐剤、抗菌物質などをさらに有することができる。このように、カスタマイズされた量でカスタマイズされた化合物を有する接着剤物品は、生産物の個々の種類および量の使用によって容易に製造される。
【0103】
いくつかの実施形態において、印刷可能な基材として有用であるものは、Avery Dennison Corporation of Glendale,CAなどの会社によって印刷用途のために一般に販売される剥ダイカットステッカーである。あるいは、使用者によって、例えば、はさみまたはダイカッターを使用して一部分は基材から切断される。このように、8.5インチ×11インチ以下の非常に小さな部分、または幅60インチまでの長いシートの両方は、幅広い種類の印刷可能な基材とともに、両方とも印刷方法および印刷可能な組成物を使用して容易に製造され、そして選択された表面に基材を接着することによって、容易に使用される。
【0104】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のシクロデキストリンまたはシクロデキストリン包接錯体によって印刷可能な基材の第1の主要側面上に印刷される印刷された基材はラミネートされ、ラミネート基材は、それらの第1の主要側面上に配置される。そのような実施形態は、例えば、それらの第2の側面上の接着性バッキングの有無にかかわらず有用である。ラミネート基材は、いくつかの実施形態において、接着剤を使用して適用され、例えば、幅12インチまでの印刷された基材は、SCOTCH(登録商標)Laminating Dispenserおよび例えば、Cartridge LS1000またはDL1005(全て、Maplewood,MNの3M Companyから入手可能)からのロール形態で分配された接着剤が裏付けされたラミネート基材を使用して、都合よく積層される。熱ラミネート装置も利用可能であり、いくつかの実施形態において有用であり、例えば、幅12インチのGBC Ultima 35 EZload Thermal Roll Laminator(General Binding Corporation of Lincolnshire,Illから入手可能)が含まれる。
【0105】
印刷された基材のラミネートは、印刷された基材およびラミネート基材の組成物が透過性のために選択される、二重透過性シートの形成を提供する。したがって、いくつかの実施形態において、ラミネートを通して拡散する水などの誘発化合物の量は容易に制御される。他の実施形態において、ラミネートから拡散することが可能である含まれる化合物の量は、容易に制御される。さらに他の実施形態において、シクロデキストリンによって掃去される化合物のラミネートを通しての拡散は、容易に制御される。
【0106】
1つの代表的な実施形態において、1−MCP/c/CD錯体は、印刷プロセスの間に熱が適用されない静電印刷機を使用して適切に印刷され、したがって、1−MCP/c/CDは、熱の適用によって1−MCPを放出するように誘発されない。印刷されたシートは、基材をラミネートする接着剤を使用して、即座にラミネートされる。そのような実施形態において、印刷された基材およびラミネート基材は、水蒸気および1−MCPの透過性の両方に関して選択される。既知の透過性のフィルム、錯体から1−MCP損失を誘発する可能性のある水の量、そしてラミネートから出ることが可能である1−MCPの量を使用して、両方とも容易に制御される。例えば、いくつかの実施形態において、印刷可能な基材は1−MCPに透過性であり、かつ水に不浸透性であり、そしてラミネート基材は、水に透過性であり、1−MCPに透過性でない。そのような実施形態において、ラミネートは、誘発化合物および損失化合物の一方向性の流れを提供する。他の実施形態において、印刷された基材は、1−MCPおよび水に不浸透性であり、そしてラミネート基材は、1−MCPおよび水に透過性である。いくつかのそのような実施形態において、印刷された基材は、上記の実施形態と同様に接着剤バッキングをさらに含み、そしてラミネートは使用の間、表面に適切に接着される。
【0107】
さらに他の実施形態において、印刷された基材およびラミネート基材は、1−MCPに透過性であり、水に不浸透性である。そのような実施形態において、熱は、特に端縁が封着される場合、1−MCPの放出を誘発するか、またはラミネート基材で使用される接着剤は、水に不浸透性であるか、あるいは両方である。そのようなラミネートの使用は、ラミネートの全てまたは一部分を90℃以上まで加熱するための熱供給源、例えば、赤外線光源、物理的に接触する熱供給源などを提供する能力を含み、1−MCPの放出は誘発され、そして1−MCPはラミネートから拡散する。
【0108】
同様の用途は、化合物の誘発された放出または放出後のラミネートからの化合物の拡散をラミネートが制御するか、または使用者による制御を可能にする、芳香剤、薬剤、保存化合物および抗菌物質を含むシクロデキストリン包接錯体で想定される。
【0109】
ラミネートの他の使用はバリア材料を含む。そのような実施形態において、その中に配置されるシクロデキストリンを有するラミネートは、有効なバリア層または掃去基材である。そのようなラミネートは、食品用容器を形成する際に有効に利用される。例えば、ボール紙ミルクまたはジュース容器は、典型的に、1つまたは複数のプラスチックフィルムが組み込まれる層状構造である。ラミネートは、そのような構造においてフィルム成分として有効に利用され、それらは有効に不快なにおいの化合物を掃去する。印刷された基材およびラミネート基材の一方または両方の透過性は、掃去される化合物の透過性のために選択される。いくつかの実施形態において、印刷された基材は、上記の実施形態に同様に接着剤バッキングをさらに含み、そしてラミネートは使用の間、表面に適切に接着される。
【実施例】
【0110】
実験的項
実施例1
1−ブテンおよびα−シクロデキストリンの包接錯体は、1−ブテン(純度99.0%、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA;Air Liquide America Specialty Gases LLCとしても知られる)を、1−MCPの代わりに飽和α−シクロデキストリンを通してバブリングしたことを除き、Neoh,T.L.ら,J.Agric.Food Chem.2007,55,11020−11026「Kinetics of Molecular Encapsulation of 1−Methylcyclopropene into α−Cyclodextrin」に記載の技術を使用して形成された。プロセスの間に沈殿物が形成され、これを10ミクロンフリット濾過装置に濾過させることによって収集し、残留錯体表層水を除去することを促進するために、0℃で洗浄し、そして約24時間0.1mm Hgで周囲温度で乾燥させた。包接錯体は、「1−ブテン/c/α−CD」と記載した。
【0111】
1−ブテン/c/α−CDは、粉末がボトルの壁に接着しないことを確実にするように注意して、隔膜キャップを備えた250mLガラス瓶に、収集された乾燥沈殿物100mgを添加することによって分析した。約1時間後、250μLのヘッドスペースガスを、火炎イオン化検出器(FID)を備えた、内径30m×0.25mmのRTx−5 GCカラム、0.25μm膜(Bellefonte,PAのRestek,Inc.から入手可能)を使用するガスクロマトグラフ(GC;Hewlett Packard 5890)に直接に連結された6ポート、2ポジションガスサンプリングバルブ(Valco #EC6W)を使用して瓶から除去した。1−ブテンの測定可能な濃度は、瓶のヘッドスペースの湿度(水蒸気)の不足のため、検出されなかった。次いで、3mLの水は、隔膜を通して瓶に注入され、そして瓶を機械式シェーカー上に配置して、そして約1時間強力に混合した。
【0112】
撹拌後、250μLのヘッドスペースのガスが除去されて、瓶の内部が窒素ガスでパージされた隔膜キャップを備えた空の250mL瓶に添加される。1−ブテンのヘッドスペース濃度は、ガスクロマトグラフィーを使用して、以前に6−ポイント1−ブテン(純度99.0%、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA;Air Liquide America Specialty Gases LLCとしても知られる)較正曲線で較正されたFID検出器を有するGCカラムに直接に連結された6ポート、2ポジションガスサンプリングバルブ(Valco #EC6W)を使用して250μLのガスを250mL瓶から除去することによって、第2の瓶で定量化された。この方法を利用すると、錯体化された1−ブテン/c/α−CDの収率が98%であることが発見された。
【0113】
実施例2
実施例1からの1−ブテン/c/α−CDは、5つの粒径を分離する4セクションおよび4メッシュスクリーン(325、125、88および60μm)からなるMicro Sieveセット(Scienceware,Wayne,NJから入手;カタログ番号F37845−1000)を使用して乾燥ふるいがけされた。約25グラムの1−ブテン/c/α−CDを上部シーブセクションに配置し、そしてこのセットを、1時間中程度の速度に設定されたリストハンドシェーカー(Waltham,MAのThermo Fisher Scientificから得たBarnstead Lab−Lineモデル3589)上に配置した。5つの1−ブテン/c/α−CD粒径を除去し、風袋を計られた4オンスのガラスジャーに配置された。乾燥ふるいがけプロセスを5回繰り返した。1−ブテン/c/α−CDの得られた粒径分布を表2に示す。
【0114】
【表2】
【0115】
実施例3
完全静電印刷トナーカートリッジ(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得たBrother TN−420置換トナーカートリッジ)を、カートリッジの端に発見される大きいプラスチックプラグ充填ホールを除去し、そして風袋を計られた6オンスのHDPEプラスチック瓶に自由流動トナーを回収することによって空にした。カートリッジが空になったら、完全に取り付けられるまで、ホールをねじることによってプラグで再密封した。風袋を計られた瓶を計量し、トナーの重量に基づき、10重量%の1−ブテン/c/α−CD錯体(ふるいがけされていない)をトナー材料に添加した。この混合物を、中程度の速度に設定されたリストハンドシェーカー(Waltham,MAのThermo Fisher Scientificから得たBarnstead Lab−Lineモデル3589)上で10分間撹拌した。混合プロセスに続いて、それが最初に空にされたホールを通して、トナーをカートリッジに返送した。カートリッジを補充した後、トナー混合物を分配するため、横方向に穏やかに振った。
【0116】
補充されたカートリッジは、製造業者の指示に従って、(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得た)Brother DCP−7065DNモノクロレーザーマルチ機能コピー機に取り付けた。DCP−7065DN印刷機と電子連絡において接続されたコンピュータ上でMICROSOFT(登録商標)Excelソフトウェア(Redmond,WAのMICROSOFT(登録商標)Corporationから得た)を使用して、全印刷可能な領域35%を表し、黒色(すなわち最大印刷濃度)を有するダイヤモンドパターンイメージを作成した。コピー機に平面白色コピー用紙を装填し、次いで6枚の紙シートにイメージを印刷し、廃棄した。次いで、3枚の追加的なシートを写真複写機から印刷し、試験のために保持した。次いで、印刷機に透明フィルム(St.Paul,MNの3M Companyから得たポリエステルフィルム、厚さ120ミクロン)を装填し、そして3枚の透明フィルムシートを印刷して、試験のために保持した。
【0117】
ペーパーカッターを使用して、3枚の紙シートのそれぞれおよび3枚の透明フィルムシートのそれぞれから7.6cm×25.4cmの長方形の複製を切断した。試料は、250mLガラス血清瓶に個々に配置した。次いで、100μLの脱イオン水をそれぞれのボトルに注入した。液体水が試料シートに直接接触しないように注意した。瓶は、テフロン(登録商標)表面シリコーンゴム隔膜で次いで封着された。次いで、水を瓶に注入した約17、43および160時間後に、火炎イオン化検出器(FID)を備えた、内径30m×0.25mmのRTx−5 GCカラム、0.25μm膜(Bellefonte,PAのRestek,Inc.から得た)を使用するガスクロマトグラフ(GC;Palo Alto,CAのthe Hewlett Packard Companyから得たHewlett Packard 5890)直接に連結された6ポート、2ポジションガスサンプリングバルブ(Houston,TXのValco Instruments Inc.から得たValco #EC6W)を使用して250μLのヘッドスペースガスを除去することによって、ヘッドスペースにおいて1−ブテンを測定し、かつ6−ポイント1−ブテン(純度99.0%、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA;Air Liquide America Specialty Gases LLCとしても知られる)較正曲線に対して定量化された。この方法を利用して、1−ブテン/c/α−CDトナー混合物を含有する印刷されたシートから放出された1−ブテンの量(μL/L−v/vとして測定される)は表3に見られる。
【0118】
【表3】
【0119】
実施例4
新しい静電印刷トナーカートリッジ(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得たBrother TN−225Y置換イエロートナーカートリッジ)を、トナーカートリッジに環を溶解させる工具を使用して17mmの充填ホールを切断し、そして風袋を計られた6オンスのHDPEプラスチック瓶で自由流動トナーを回収することによって空にした。カートリッジが空になったら、ホールを再封着した。風袋を計られた瓶から、トナーの重量を決定した。次いで、30グラムのTM−トナー(イエロー)B4Cトナー(TM−トナー、http://www.tm−toner.com/から得た)を、風袋を計られた6オンスのHDPE瓶に添加し、次いで、10重量%の1−ブテン/c/α−CD錯体(ふるいがけされていない)を瓶に添加した。瓶の内容物を、中程度の速度に設定されたリストハンドシェーカー(Waltham,MAのThermo Fisher Scientificから得たBarnstead Lab−Lineモデル3589)上で10分間撹拌した。混合プロセスに続いて、それが最初に空にされたホールを通して、トナーをカートリッジに返送し、そしてカートリッジを再封着し、変性されたカートリッジを形成した。変性されたカートリッジは、トナー混合物を分配するため、横方向に手で穏やかに振った。変性されたカートリッジは、変性された印刷機を提供するために、製造業者の指示に従って、(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得た)Brother MFC−9340 CDWレーザーマルチ機能コピー機に取り付けた。
【0120】
20cm×26.4cmの全印刷可能面積を有し、かつ最大黄色密度を有する黄一色の連続的な長方形イメージは、MICROSOFT(登録商標)Excelソフトウェアを使用してコンピューターで設計された。次いで、このイメージは、HP Laser Jet 5550dn(Palo Alto,CAのHewlett−Packard Companyから得た)を使用して標準写真複写機紙上へ印刷された。黄色一色印刷物シートは、変性されたBrother MFC−9340 CDWコピー機イメージスキャナガラス上へ配置されて、プリンタメモリにスキャンされた。変性された印刷機設定は、「平面紙」への印刷へおよび「HP LaserJet」の印刷エミュレーションに設定された。
【0121】
変性された印刷機に平面白色コピー用紙(Boise X−9 Copier紙、20ポンド、8.5インチ×11インチ、Minneapolis,MNのPackaging Corporation of Americaから得た)を装填し、6枚の紙シートにイメージを印刷し、廃棄した。次いで、3枚の追加的なシートを写真複写機から印刷し、試験のために保持した。それぞれの紙に添加されたトナーの印刷重量は、平均で約550μg/cm
2であった。次いで、紙を、変性された印刷機から取り出し、変性された印刷機に(St.Paul,MNの3M Companyから得た)8.5インチ×11インチ、厚さ120ミクロンのポリエステルフィルムを装填し、そして3枚のフィルムシートを印刷して、試験のために保持した。フィルムに添加されたトナーの印刷重量は、平均で約680μg/cm
2であった。
【0122】
ペーパーカッターを使用して、3枚の紙シートのそれぞれおよび3枚の透明フィルムシートのそれぞれの黄色印刷領域から10.2cm×20.3cmの長方形試料の複製を切断した。それぞれの個々の試料は、隔膜キャップで封着された250mLガラス血清瓶に配置した。次いで、200μLの脱イオン水をそれぞれのボトルに注入した。液体水が試料シートに直接接触しないように注意した。瓶は、テフロン(登録商標)表面シリコーンゴム隔膜で次いで封着された。次いで、水を瓶に注入した約4、24および96時間後に、火炎イオン化検出器(FID)を備えた、内径30m×0.25mmのRTx−5 GCカラム、0.25μm膜(Bellefonte,PAのRestek,Inc.から得た)を使用するガスクロマトグラフ(GC;Palo Alto,CAのthe Hewlett Packard Companyから得たHewlett Packard 5890)直接に連結された6ポート、2ポジションガスサンプリングバルブ(Houston,TXのValco Instruments Inc.から得たValco #EC6W)を使用して250μLのヘッドスペースガスを除去することによって、ヘッドスペースにおいて1−ブテンを測定し、かつ6−ポイント1−ブテン(純度99.0%、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA;Air Liquide America Specialty Gases LLCとしても知られる)較正曲線に対して定量化された。この方法を利用して、1−ブテン/c/α−CDトナー混合物を含有する印刷されたシートから放出された1−ブテンの量(μL/L−v/vとして測定される)は表4に見られる。
【0123】
【表4】
【0124】
実施例5
小型高温計IR−温度センサー、モデルCT−SF22−C1(Ortenburg,GermanyのMicro−Epsilon Messtechnik GmbH&Co.から得た)を使用して、印刷の間のBrother MFC−9340 CDWの溶融器温度を測定した。IRセンサー(8〜14μm範囲)は、0〜100mmからの光学焦点において7mmの直径表面測定を有する。IRセンサーを写真複写機中に装置し、印刷の間にコピー機を通る紙の運動によって妨害されない溶融器表面における直接溶融器温度測定が可能であった。これによって、異なるペーパートレイ設定(薄い、平面紙、厚い、より厚い、リサイクル紙)および印刷エミュレーション(HP LaserJetおよびBR Script−3)を使用する場合の溶融器温度の測定が可能となった。
【0125】
実施例6
新しい静電印刷トナーカートリッジ(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得たBrother TN−225Y置換イエロートナーカートリッジ)を、実施例4の手順を利用して、風袋を計られた6オンスのHDPEプラスチック瓶中に空にし、次いで、再封着した。次いで、35グラムのX−GENERATION(登録商標)イエロートナー(123Toner,http://www.123toner.comから得たイエロー置換トナー)を、6.5オンスのPET瓶に添加し、次いで、実施例2の60μm未満のふるいがけされたフラクション、1−ブテン/c/α−CD錯体、2.8重量%を、撹拌しながらビーカーの内容物にゆっくり添加した。ビーカーの内容物を、
図5と同様の混合ブレードを使用して、米国特許第6,599,673号明細書に記載される技術を使用して、1時間混合した。混合/ブレンドプロセスに続いて、内容物が最初に空にされたホールを通して、トナーをカートリッジに返送した。カートリッジを補充した後、トナー混合物を分配するため、横方向に穏やかに振った。
【0126】
補充されたカートリッジは、製造業者の指示に従って、(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得た)Brother MFC−9340CDWレーザーマルチ機能カラーコピー機に取り付けた。実施例4の黄一色の連続印刷イメージが、印刷試験のために利用され、以下このパターンは、「100%」として引用される。20cm×26.4cmの全体的な寸法を有する最大黄色密度ダイヤモンドパターンからなるが、実施例4のイメージの50%の全黄色領域を表す第2のイメージは、MICROSOFT(登録商標)Excelソフトウェアを使用してコンピューターで設計され、以下このパターンは、「50%」として引用される。
【0127】
100%および50%イメージの両方は、HP Laser Jet 5550dn(Palo Alto,CAのHewlett−Packard Companyから得た)を使用して、写真複写機紙の別々のシート上に印刷された。100%の印刷紙は、Brother MFC−9340 CDWコピー機イメージスキャナガラス上へ配置された。レーザープリンタ設定は、実施例4に関する設定と同様に設定された。イメージをコピー機にスキャンした。
【0128】
コピー機に、実施例4で使用された平面白色コピー用紙を装填した。次いで6枚の紙シートにスキャンされたイメージを印刷し、廃棄した。次いで、2枚の追加的なシートに同スキャンされたイメージを印刷し、試験のために保持した。試験された印刷あたりの平均トナー印刷重量は約160μg/cm
2であった。次いで、印刷機にPETフィルム(8.5インチ×11インチ×厚さ110μm、Zurich,ILのACCO Brandsから得た)を装填し、そして同スキャンされたイメージを使用して、2枚の透明フィルムシートを印刷して、試験のために保持した。試験された印刷フィルムあたりの平均トナー印刷重量は約80μg/cm
2であった。溶融器温度測定は印刷の間に得られ、これらは表5で示される。
【0129】
ペーパーカッターを使用して、2枚の紙シートのそれぞれおよび2枚の透明フィルムシートのそれぞれの印刷領域から7.6cm×20.3cmの長方形の複製を切断した。試料を個々に250mLガラス血清瓶に配置した。次いで、200μLの脱イオン水をそれぞれのボトルに注入した。液体水が試料シートに直接接触しないように注意した。瓶は、テフロン(登録商標)表面シリコーンゴム隔膜で次いで封着された。次いで、水を瓶に注入した約4、24および96時間後に、火炎イオン化検出器(FID)を備えた、内径30m×0.25mmのRTx−5 GCカラム、0.25μm膜(Bellefonte,PAのRestek,Inc.から得た)を使用するガスクロマトグラフ(GC;Palo Alto,CAのthe Hewlett Packard Companyから得たHewlett Packard 5890)直接に連結された6ポート、2ポジションガスサンプリングバルブ(Houston,TXのValco Instruments Inc.から得たValco #EC6W)を使用して250μLのヘッドスペースガスを除去することによって、ヘッドスペースにおいて1−ブテンを測定し、かつ6−ポイント1−ブテン(純度99.0%、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA;Air Liquide America Specialty Gases LLCとしても知られる)較正曲線に対して定量化された。この方法を利用して、1−ブテン/c/α−CDトナー混合物を含有する印刷されたシートから放出された1−ブテンの量(μL/L−v/vとして測定される)は表5に報告される。
【0130】
次に、50%印刷物を、Brother MFC−9340 CDWコピー機イメージスキャナガラス上へ配置し、そしてスキャン、印刷、切断し、そして50%イメージを使用して、100%イメージのために利用されるヘッドスペース分析手順を繰り返した。結果を表5に報告する。
【0131】
【表5】
【0132】
実施例7
実施例2の1−ブテン/c/α−CD錯体(60μm未満までふるいがけされたフラクション)、1.5gに、0.125重量%の2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)を添加した。1−ブテン/c/α−CD錯体に添加する前に、すり鉢および乳棒を使用して2,5−DHBを粉砕し、次いで、45μmシーブに通過させた。混合物を20mLガラスシンチレーターに配置し、そして2時間、Spiramix 5(Ortho Diagnostic Systems GmbH,Neckargemuend,Germanyから得た)上で回転させた。
【0133】
実施例8
新しい静電印刷トナーカートリッジ(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得たBrother TN−225Y置換イエロートナーカートリッジ)を、実施例4の手順を利用して、風袋を計られた6オンスのHDPEプラスチック瓶中に空にし、次いで、再封着した。次いで、25グラムのX−GENERATION(登録商標)イエロートナー(123Toner.comから得たイエロー置換トナー)を、6.5オンスのPET瓶に添加し、次いで、実施例2の1−ブテン/c/α−CD錯体、2.8重量%を、撹拌しながらイエロートナー材料にゆっくり添加した。この混合物を、実施例6の手順を使用して、1時間混合した。混合/ブレンドプロセスに続いて、それが最初に空にされたホールを通して、トナーをカートリッジに返送した。カートリッジを補充した後、トナー混合物を分配するため、横方向に穏やかに振った。
【0134】
補充されたカートリッジは、製造業者の指示に従って、(Bridgewater,NJのBrother International Corp.から得た)Brother MFC−9340CDWレーザーマルチ機能カラーコピー機に取り付けた。実施例6の100%および50%(ダイヤモンド)のイメージを使用して、HP Laser Jet 5550dnを使用して写真複写機紙上へ印刷した。
【0135】
100%の印刷紙は、Brother MFC−9340 CDWコピー機イメージスキャナガラス上へ配置された。イメージは、実施例6に関する設定を使用してスキャンされた。コピー機に、平面白色コピー用紙(Boiseコピー機紙、20ポンド)を装填し、次いで6枚の紙シートにスキャンされたイメージを印刷し、廃棄した。次いで、2枚の追加的なシートを印刷し、試験のために保持した。印刷された試験紙片あたりの平均トナー印刷重量は160μg/cm
2であった。次いで、印刷機にポリエステルフィルム(8.5インチ×11インチ×厚さ110μm、Zurich,ILのACCO Brandsから得た)を装填し、そして2枚のフィルムシートを印刷して、試験のために保持した。試験されたフィルム片あたりの平均トナー印刷重量は80μg/cm
2であった。溶融器温度測定は印刷の間に得られ、これらは表6で示される。
【0136】
ペーパーカッターを使用して、2枚の紙シートのそれぞれおよび2枚の透明フィルムシートのそれぞれから7.6cm×20.3cmの長方形の複製を切断した。試料を個々に250mLガラス血清瓶に配置した。次いで、200μLの脱イオン水をそれぞれのボトルに注入した。液体水が試料シートに直接接触しないように注意した。瓶は、テフロン(登録商標)表面シリコーンゴム隔膜で次いで封着された。次いで、水を瓶に注入した約4、24および96時間後に、火炎イオン化検出器(FID)を備えた、内径30m×0.25mmのRTx−5 GCカラム、0.25μm膜(Bellefonte,PAのRestek,Inc.から得た)を使用するガスクロマトグラフ(GC;Palo Alto,CAのthe Hewlett Packard Companyから得たHewlett Packard 5890)直接に連結された6ポート、2ポジションガスサンプリングバルブ(Houston,TXのValco Instruments Inc.から得たValco #EC6W)を使用して250μLのヘッドスペースガスを除去することによって、ヘッドスペースにおいて1−ブテンを測定し、かつ6−ポイント1−ブテン(純度99.0%、Scott Specialty Gases,Plumsteadville,PA;Air Liquide America Specialty Gases LLCとしても知られる)較正曲線に対して定量化された。この方法を利用して、1−ブテン/c/α−CDトナー混合物を含有する印刷されたシートから放出された1−ブテンの量(μL/L−v/vとして測定される)は表6に見られる。
【0137】
次に、50%印刷物を、Brother MFC−9340 CDWコピー機イメージスキャナガラス上へ配置し、そしてスキャン、印刷、切断し、そして50%イメージを使用して、100%イメージのために利用されるヘッドスペース分析手順を繰り返した。結果を表6に報告する。
【0138】
【表6】
【0139】
本明細書に実例として開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素がない場合も適切に実施することができる。本発明は、様々な変形および代わりの形態が可能であるが、それらの詳細が実施例として示されて、詳細に記載されている。しかしながら、本発明が、記載される特定の実施形態に限定されないことは理解されるべきである。逆に、本発明の精神および範囲に含まれる変形、同等物および代替を包括するように意図される。様々な実施形態において、本発明は、本明細書に記載され、かつ請求の範囲によって請求される要素を適切に含んでなるか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる。
【0140】
追加的に、本明細書に記載される本発明のそれぞれおよび全ての実施形態は、単独で、または本明細書に記載のいずれかの他の実施形態、ならびに本発明の精神および範囲に含まれるそれらの変形、均等物および代替と組み合わせて使用されるように意図される。上記の様々な実施形態は、例証としてのみ提供されて、本明細書に添付の請求項を限定するように解釈されるべきではない。様々な修正および変更が、本明細書に例示および記載される実施例の実施形態および用途に従うことなく、かつ請求の趣旨および範囲から逸脱することなく、実行されてもよい。