特許第6069592号(P6069592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069592
(24)【登録日】2017年1月6日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】電子デバイスのための電源ユニット配置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20170123BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20170123BHJP
   G06F 1/32 20060101ALI20170123BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H02M3/00 W
   H02M3/00 H
   G06F1/26 C
   G06F1/32 Z
   H02J1/00 304F
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-520545(P2016-520545)
(86)(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公表番号】特表2016-529861(P2016-529861A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014067671
(87)【国際公開番号】WO2015176781
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】102014107019.4
(32)【優先日】2014年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510227632
【氏名又は名称】フジツウ テクノロジー ソリューションズ インタレクチュアル プロパティ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】スタージック,ウィリー
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−244862(JP,A)
【文献】 特開2009−177909(JP,A)
【文献】 特開2007−028797(JP,A)
【文献】 特開2012−114973(JP,A)
【文献】 特開2001−204137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 − 3/44
G06F 1/26
G06F 1/32
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスのための電源ユニットであって、
制御された出力電圧をノードにおいて供給する第1の制御ループを備える第1のスイッチングコンバータと、
前記制御された出力電圧を前記ノードにおいて代わりに供給する第2の制御ループを備える第2のスイッチングコンバータと、
前記第1の制御ループ及び前記第2の制御ループへ接続される開ループ制御回路と
を有し、
前記第1の制御ループ及び前記第2の制御ループの夫々は、前記ノードに接続されて前記制御された出力電圧を受ける分圧器と、該分圧器によって分圧された前記制御された出力電圧を受ける入力部を備え、該分圧された制御された出力電圧を所定のリファレンス電圧と比較し、関連するスイッチングコンバータのための制御電圧を出力する比較器と、前記制御電圧を該比較器の前記入力部に戻す負帰還部とを有し、
前記開ループ制御回路は、前記第1の制御ループの前記負帰還部に直列に設けられた第1のキャパシタに接続された少なくとも1つの第1のスイッチング要素を有し、前記第1のスイッチングコンバータから前記第2のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、前記少なくとも1つの第1のスイッチング要素により前記第1の制御ループの前記第1のキャパシタを所定の第2のリファレンス電圧に接続して前記第1のキャパシタが前記第2のリファレンス電圧により充電されるようにし、前記第1のスイッチングコンバータを非アクティブにし、前記第2のスイッチングコンバータから前記第1のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、前記第1のキャパシタが前記第2のリファレンス電圧を保持した状態で前記第1のスイッチングコンバータを再アクティブにするよう設計される、
電源ユニット
【請求項2】
前記開ループ制御回路は、前記第2の制御ループの前記負帰還部に直列に設けられた第2のキャパシタに接続された少なくとも1つの第2のスイッチング要素を有し、前記第2のスイッチングコンバータから前記第1のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、前記少なくとも1つの第2のスイッチング要素により前記第2の制御ループの前記第2のキャパシタを所定の第3のリファレンス電圧に接続して前記第2のキャパシタが前記第3のリファレンス電圧により充電されるようにし、その後に前記第2のスイッチングコンバータを非アクティブにし、前記第1のスイッチングコンバータから前記第2のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、前記第2のキャパシタが前記第3のリファレンス電圧を保持した状態で前記第2のスイッチングコンバータを再アクティブにするよう設計される、
請求項1に記載の電源ユニット
【請求項3】
前記開ループ制御回路は、前記制御された出力電圧を供給する当該電源ユニットの出力部での出力電流を少なくとも1つの所定の制限値と比較する電流測定回路を有し、
前記第1のスイッチングコンバータの第1の定格出力電力は、前記第2のスイッチングコンバータの第2の定格出力電力よりも大きく、
前記開ループ制御回路は、前記出力電流が前記所定の制限値を下回った後に、電流供給を前記第1のスイッチングコンバータから前記第2のスイッチングコンバータへ切り替え、前記出力電流が前記所定の制限値を越えた直後に、電流供給を前記第2のスイッチングコンバータから前記第1のスイッチングコンバータへ切り替えるよう設計される、
請求項1に記載の電源ユニット
【請求項4】
前記開ループ制御回路は、前記出力電流が前記所定の制限値を下回ったとの識別後に、電流供給を前記第1のスイッチングコンバータから前記第2のスイッチングコンバータへ切り替えるよう設計される、
請求項3に記載の電源ユニット
【請求項5】
前記開ループ制御回路は、前記出力電流が前記所定の制限値を下回ったとの識別後の所定の時間経過後に、又は前記出力電流が前記所定の制限値よりも小さい第2の所定の制限値を下回った後に、電流供給を前記第1のスイッチングコンバータから前記第2のスイッチングコンバータへ切り替えるよう設計される、
請求項3に記載の電源ユニット
【請求項6】
前記開ループ制御回路は、前記第1のスイッチングコンバータ及び前記第2のスイッチングコンバータの少なくとも一方の制御入力部に接続された少なくとも1つの第3のスイッチング要素を有し、
前記第3のスイッチング要素は、当該少なくとも一方のスイッチングコンバータの前記制御入力部を、当該少なくとも一方のスイッチングコンバータを非アクティブにする所定の電位又は関連する制御ループによって供給される前記制御電圧選択的に接続するよう設計される、
請求項に記載の電源ユニット
【請求項7】
前記第1のスイッチング要素は、前記第1の制御ループにおける前記比較器の前記入力部と接地との間に接続される少なくとも1つの第1の半導体スイッチング素子前記第1の制御ループにおける前記比較器の出力と接地との間に接続される少なくとも1つの第2の半導体スイッチング素子とを有する、
請求項6に記載の電源ユニット
【請求項8】
前記第2のスイッチング要素は、前記第2の制御ループにおける前記比較器の前記入力部と接地との間に接続される少なくとも1つの第の半導体スイッチング素子前記第2の制御ループにおける前記比較器の出力と接地との間に接続される少なくとも1つの第4の半導体スイッチング素子とを有する、
請求項に記載の電源ユニット
【請求項9】
前記第3のスイッチング要素は、少なくとも1つの第5の半導体スイッチング素子を有する
請求項に記載の電源ユニット
【請求項10】
前記比較器は、少なくとも1つの演算増幅器又は少なくとも1つのツェナーダイオードを有する、
請求項に記載の電源ユニット。
【請求項11】
出力側の負荷が変化する場合に前記ノードでの電圧を安定させるための、前記ノードへ接続される少なくとも1つのストレージキャパシタを更に有する
請求項1に記載の電源ユニット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、例えば、特にコンピュータ、のための電源ユニット配置に関する。特に、本願は、制御された出力電圧を供給する第1の制御ループを備える第1のスイッチングコンバータと、制御された出力電圧を代わりに供給する第2の制御ループを備える第2のスイッチングコンバータとを有する電源ユニット配置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御された出力電圧を選択的に供給する2つのスイッチングコンバータを有する電源ユニット配置は、先行技術において知られている。それらは、とりわけ、冗長な電流供給のために、あるいは、異なる動作状態において異なる電力消費量を有する電子デバイスに給電するために役立つ。
【0003】
図1は、第1のスイッチングコンバータ11及び第2のスイッチングコンバータ12を有するそのような電源ユニット配置10を示す。第1のスイッチングコンバータ11は、制御された出力電圧、例えば、制御されたDC電圧DC−out1を、電源ユニット配置10の第1の出力部13で供給する。第2のスイッチングコンバータ12は、同様に、第2の出力電圧、例えば、制御されたDC電圧DC−out2を、第2の出力部14で供給する。スイッチングコンバータ11及び12はいずれも、共通の供給電圧、例えば、整流された中間電圧Prim−DCを、入力部15から供給される。
【0004】
例となる実施形態において、第1のスイッチングコンバータ11及び第2のスイッチングコンバータ12は、いずれの場合にも、いわゆるDC/DCコンバータであり、制御信号Prim−Controlの振幅に基づき夫々出力部13及び14での電圧出力の振幅を設定する。その閉ループ制御のために、図1に従う電源ユニット配置10は、二次側において、第1のスイッチングコンバータ11のための第1の制御ループ16と、更には第2のスイッチングコンバータ12のための第2の制御ループ17とを有する。制御ループ16によれば、第1の出力部13での電圧は、所定のリファレンス電圧Vref_1aに応じて所定の値へと制御される。同様に、第2の出力部14での電圧は、第2のリファレンス電圧Vref_2aを用いて第2の制御ループ17によって所定の値へと制御される。
【0005】
電源ユニット配置10によって給電されるデバイスに応じて、出力電圧DC−out1及びDC−out2は、同じ振幅又は異なる振幅を有することができる。一例として、両方の出力部13及び14で12Vの電圧を供給することが可能である。記載される配置では、第2のスイッチングコンバータ12は、2つのスイッチングコンバータ11及び12の動作のために一次補助電圧を更に供給する。
【0006】
図1を参照して記載される電源ユニット配置10において問題となることは、とりわけ、スイッチングコンバータ11及び12並びに関連する制御ループ16及び17が一般に、出力部13又は14へ接続される電子デバイスが夫々のスイッチングコンバータ11又は12から全く電力を消費しない場合でさえ動作電圧を供給される必要があるという事実である。第1のスイッチングコンバータ11が、例えば、通常の動作状態においてコンピュータを作動させるメインコンバータであり、第2のスイッチングコンバータ12が、エネルギ節約モードのための動作電圧を供給する補助コンバータである場合に、第1のスイッチングコンバータ11及び関連する制御ループ16は、コンピュータのエネルギ節約モードにおいてさえ常に少量のエネルギを消費する。
【0007】
更なる問題は、一方又は両方のスイッチングコンバータが、その定格出力電力よりも著しく小さい比較的低い出力電力によりしばしば作動されることである。1つ又は複数のスイッチングコンバータを有するスイッチモード電源ユニットのエネルギ効率は、とりわけ、スイッチングコンバータの出力電力に依存する。この関係は、図2において実例として表される。
【0008】
図2は、図1に従って、第1及び第2のスイッチングコンバータ11及び12の効率プロファイルI及びIIを夫々示す。ワット[W]における電力が横軸にプロットされ、一方、パーセント[%]における効率が縦軸にプロットされる。効率プロファイルIは、第1のコンバータ回路3の効率プロファイルを示し、一方、効率プロファイルIIは、第2のコンバータ回路4の効率プロファイルを表す。特に、効率、従って、スイッチモード電源ユニットのエネルギ効率は、出力負荷の増大と共に増大することが認められる。正確には、この場合において情報テクノロジに属するコンピュータ及び他のデバイスは、使用されるスイッチングコンバータの最大出力電力をはるかに下回る低負荷範囲において比較的長期間にわたってしばしば作動される。
【0009】
第1のスイッチングコンバータ11(プロファイルI)は、例えば35ワット以降の電力消費量にとって適当であるように思われ、一方、第2のスイッチングコンバータ12(プロファイルII)は、例えば0ワットから35ワットの電力消費量にとって適当であるように思われることが図2から明らかである。それは、2つの効率プロファイルI及びIIが、約35ワットの出力電力にある点で交差することを意味する。結果として、第2のスイッチングコンバータ12(プロファイルII)の作動は、低負荷範囲において有利であり、一方、第1のスイッチングコンバータ11(プロファイルI)の作動は、通常又は高負荷範囲において有利である。
【0010】
電源ユニットのエネルギ効率を改善するために、独国特許出願公開102010035112(A1)号明細書(特許文献1)は、補助電源ユニットのための閉ループ制御回路であって、補助電源ユニットの電圧コンバータを被制御変数によって設定点電圧へと制御する制御ループを有する閉ループ制御回路を開示する。その場合に、制御ループは、補助電源ユニットによって生成される電圧を出力する第1の出力部での別の電圧源の外部電圧の供給時に、外部電圧が補助電源ユニットの設定点電圧を超える場合に、被制御変数の変化を制限するよう設計される追加回路を有する。
【0011】
既知の回路は、共通の出力部での2つの異なったスイッチングコンバータの供給電圧の出力を可能にする。このようにして、コンシューマ側で必要とされる電力は、補助電源ユニット又はメイン電源ユニットによって任意に供給可能であり、それにより、夫々の電源ユニットは、望ましくは、比較的高いエネルギ効率を持った範囲において作動することができる。既知の電源ユニット配置において、補助電源ユニットは、メイン電源ユニットがオフされることによる突然の電圧ディップを防ぐために、追加回路によってアクティブ状態に保持される。既知の回路に関して欠点となることは、負荷の突然の上昇が発生した場合に、メイン電源ユニットのコンバータが迅速に十分に立ち上がらず、よって補助電源ユニットが過負荷となり、場合によりオフすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開102010035112(A1)号明細書
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、低負荷範囲における被制御出力電圧によるコンシューマの信頼でき且つ効率的な供給を可能にする改善された電源ユニット配置を提供することである。望ましくは、電源ユニット配置は、比較的広い出力電力範囲にわたって特に高いエネルギ効率を有するよう意図される。この場合に、電源ユニット配置は、例えば、それによって給電されるデバイスによる外部制御信号の供給に依存しないよう意図される。
【0014】
上記の目的は、第1のスイッチングコンバータ及び第2のスイッチングコンバータを有する一般的な電源ユニット配置によって達成される。当該電源ユニット配置において、第1の制御ループ及び第2の制御ループへ接続される開ループ制御回路が設けられ、開ループ制御回路は、第1のスイッチングコンバータから第2のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、第1の制御ループの所定の制御状態を設定し且つ第1のスイッチングコンバータを非アクティブにし、第2のスイッチングコンバータから第1のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、第1のスイッチングコンバータを所定の制御状態により再アクティブにするよう設計される。
【0015】
例えば、このような電源ユニット配置は、例えばカップリングイン・ダイオードなどの更なる部品の介在なしに、2つのスイッチングコンバータの直接並列接続を可能にする。第1のスイッチングコンバータの非アクティブの結果として、第2のスイッチングコンバータの擾乱は回避され得る。同時に、スイッチングコンバータの非アクティブの直前の所定の制御状態の設定及び同じスイッチングコンバータのその所定の制御状態を用いたその後の再アクティブの結果として、第1及び第2のスイッチングコンバータの間の切り替えプロセスは、特に迅速に達成され得る。高速な切り替えは、第2の電源ユニットの過負荷を回避する。結果として、電源ユニット配置は、いずれの場合においても最適なスイッチングコンバータにより作動可能であり、このことは、例えば、そのエネルギ効率を改善するために利用され得る。
【0016】
少なくとも1つの構成において、開ループ制御回路は更に、第2のスイッチングコンバータから第1のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、第2の制御ループの所定の制御状態を設定し且つその後に第2のスイッチングコンバータを非アクティブにし、第1のスイッチングコンバータから第2のスイッチングコンバータへの電流供給の切り替え時に、第2のスイッチングコンバータを前記所定の制御状態により再アクティブにするよう設計される。記載される構成において、2つのスイッチングコンバータの実質的に対称な配置が使用され、それらのスイッチングコンバータは、制御された出力電圧をノードに供給するために交互に使用される。目下使用されていないスイッチングコンバータの制御状態は、特に高速な切り替えが第1のスイッチングコンバータから第2のスイッチングコンバータへの負荷の変化時に可能であるように、この場合において夫々予め定められる。
【0017】
少なくとも1つの構成において、開ループ制御回路は、制御された出力電圧を供給する電源ユニット配置の出力部での出力電流を少なくとも1つの所定の制限値と比較する電流測定回路を有する。この場合に、第1のスイッチングコンバータの第1の定格出力電力は、第2のスイッチングコンバータの第2の定格出力電力よりも大きく、開ループ制御回路は、出力電流が所定の制限値を下回った後に、電流供給を第1のスイッチングコンバータから第2のスイッチングコンバータへ切り替え、出力電流が所定の制限値を越えた直後に、電流供給を第2のスイッチングコンバータから第1のスイッチングコンバータへ切り替えるよう設計される。測定及び出力電流と所定の制限値との比較の結果として、デバイスによって取り込まれる出力電力に応じて、より大きい定格出力電力を有する第1のスイッチングコンバータ、又はより低い定格出力電力を有する第2のスイッチングコンバータのいずれか一方を、供給電圧を供給するために使用することが可能である。これは、特に、異なった定格電力を有するスイッチングコンバータが通常は異なった出力電力でそれらの最大効率を有するという見識を考慮に入れる。開ループ制御回路は、夫々のスイッチングコンバータがその定格出力電力の適当な範囲において作動されるとの効果を奏し、それにより、電源ユニット配置全体のエネルギ効率は広い供給電力範囲にわたって確かにされる。
【0018】
異なる構成に従って、第1のスイッチングコンバータから第2のスイッチングコンバータへの切り替えは、所定の制限値が下回られたとの識別の直後に、又はそのような識別の後の所定の時間期間後に、実行され得る。第1の代替案に従って、第1のスイッチングコンバータの一時的な開回路は、大体は回避される。第2の代替案に従って、瞬間的な負荷ディップが起こった場合における第1及び第2のスイッチングコンバータの間の切り替えプロセスの回数を減らすことが可能である。
【0019】
少なくとも1つの構成において、第1の制御ループ及び/又は第2の制御ループは、少なくとも1つの時間決定要素を含む帰還経路を備える閉ループ制御要素を有する。この場合に、開ループ制御回路は、ヘルド状態において、電気的な被制御変数、特に時間決定要素として使用されるキャパシタの電荷を保持するよう設計される。上記の特徴は、それ自体知られている制御ループ、例えば、特に、容量素子を備える制御増幅器が、簡単に所定の状態に保持されることを可能にする。一例として、時間決定要素として使用されるキャパシタの電荷が所定の電圧レベルで保持される場合に、制御ループ全体の制御状態は、極めて低い電流消費量により維持され得る。
【0020】
少なくとも1つの構成において、この目的のために、開ループ制御回路は、少なくとも1つの第1の切り替え要素を有し、少なくとも1つの第1の切り替え素子は、時間決定要素を閉ループ制御要素の少なくとも1つの端子又は所定のリファレンス電圧へ任意に接続するよう設計される。1つ又は複数の切り替え要素の提供は、時間決定要素が通常の制御ループ又は所定のリファレンス電圧のいずれか一方へ接続されることを可能にする。
【0021】
少なくとも1つの構成において、開ループ制御回路は、少なくとも1つの第2の切り替え要素を有し、第2の切り替え要素は、第1のスイッチングコンバータ及び/又は第2のスイッチングコンバータの制御入力部を、第1のスイッチングコンバータ及び/又は第2のスイッチングコンバータを非アクティブにする所定の電位又は閉ループ制御要素の出力部へ任意に接続するよう設計される。第2の切り替え要素の提供は、特に、関連するスイッチングコンバータを非アクティブの時間において可能な限り十分に非アクティブにするために、スイッチングコンバータの制御入力を、例えば接地などの所定の電位へ引っ張ることが特に可能である。
【0022】
異なる構成において、閉ループ制御要素は、例えば、少なくとも1つの負帰還演算増幅器又は少なくとも1つの負帰還の制御可能なツェナーダイオードである。
【0023】
少なくとも1つの構成において、電源ユニット配置は、出力側の負荷が変化する場合にノードでの電圧を安定させるための、ノードへ接続される少なくとも1つの安定化要素、特にストレージキャパシタを更に有する。
【0024】
本発明の更なる構成は、添付の特許請求の範囲及び例となる実施形態の詳細な説明において開示される。本発明は、添付の図を参照して種々の例となる実施形態に基づき以下で詳細に記載される。図中、同じタイプの要素は、より良い理解を提供するために、同じ参照符号を与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】2つの独立したスイッチングコンバータを有する既知の電源ユニット配置を示す。
図2】2つのスイッチングコンバータのエネルギ効率をそれらの出力電力の関数として示す。
図3】本発明の第1の例となる実施形態に従う電源ユニット配置を示す。
図4】本発明の第2の例となる実施形態に従う電源ユニット配置を示す。
図5】本発明の第3の例となる実施形態に従う電源ユニット配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図3は、本発明の第1の構成に従う電源ユニット配置10を示す。電源ユニット配置10は、第1のスイッチングコンバータ11、特に、例えば300Wの出力電力を有するメインコンバータと、第1のスイッチングコンバータ11のための第1の制御ループ16とを有する。電源ユニット配置10は、第2のスイッチングコンバータ、特に、例えば20Wの相当により低い出力電力を有する補助コンバータと、第2のスイッチングコンバータ12のための第2の制御ループ17とを更に有する。いずれの場合にも最良の可能な効率を得且つ制御ループ16及び17の相互擾乱を回避するために、スイッチングコンバータ11及び12のうちのただ1つが如何なる時点でも作動している。それに反して、夫々の他のスイッチングコンバータ12又は11は、最低の可能なエネルギ消費量を伴う状態に保持される。
【0027】
例となる実施形態において、第1のスイッチングコンバータ11及び第2のスイッチングコンバータ12は、入力部15によって共通の供給電圧Prim−DCを供給される。これは、例となる実施形態において、整流された中間電圧を含む。中間電圧Prim−DCは、例えば、上流の整流器回路(図3に図示せず。)によって、電源系AC電圧から生成され得る。第1のスイッチングコンバータ11の出力DC−out及び第2のスイッチングコンバータ12の出力DC−outは、共通ノード18で互いへ直接結合される。特に、電源ユニット配置10の効率の有意な低下を生じさせるカップリングイン・ダイオード又は他の部品は、スイッチングコンバータ11及び12と共通出力部19との間に設けられない。ノード18での電圧の大きさは、ストレージキャパシタC5の形をとる安定化要素によって安定される。図1において、キャパシタC5は別個の部品として表されている。代替的に、第1のスイッチングコンバータ11及び/又は第2のスイッチングコンバータ12に組み込まれた安定化要素がまた関係することができる。第1のスイッチングコンバータ11によって又は第2のスイッチングコンバータ12によってノード18で供給される被制御電圧は、電源ユニット配置10の共通出力部19を介して電子デバイス(図3に図示せず。)へ出力される。特に、表されている電源ユニット配置10は、コンピュータのための電源ユニットにおける使用に適する。
【0028】
測定抵抗Rshuntは、ノード18と共通出力部19との間に接続される。抵抗Rshuntは、電流コンパレータ20へ接続される。電流コンパレータ20は、共通出力部19を介して出力される電流Iが所定の制限値I_limit、例えば、第2のスイッチングコンバータ12の最大出力電流、を上回るかそれとも下回るかを確かめることができる。瞬時電流Iが制限値I_limitを上回る場合は、第1の制御信号P1が電流コンパレータ20によって3つの切り替えスイッチS2a、S2b及びS2cへ送信される。それに反して、瞬間的に出力される電流Iが制限値I_limitを下回る場合は、第2の制御信号P2が3つの切り替え要素S1a、S1b及びS1cへ出力される。電流コンパレータ20の出力は、例となる実施形態において、反転された様式において同時に切り替わる。代替的に、小さな時間オフセットも可能であり、2つの制御ループ16及び17のごく短時間の並行動作を引き起こす。上記の小さな時間オフセットは、スイッチングコンバータ11及び12の再調整時間よりも相当に短くあるべきであり、例えば10msである。そのような電流測定及び開ループ制御回路は、給電されるデバイスと無関係に内部制御信号P1及びP2の迅速な供給を可能にする。結果として、回路は、給電されるデバイスによる対応する従前の警告なしで、二次側の負荷の変化に対する迅速な反応を可能にする。
【0029】
図3に表されている状態において、第1の制御信号P1はアクティブにされており、第2の制御信号P2は非アクティブにされている。すなわち、切り替え要素S1a、S1b及びS1cは夫々スイッチ位置xにあり、切り替え要素S2a、S2b及びS2cは夫々スイッチ位置yにある。この状態において、すなわち、比較的高い出力電力の場合において、第1の制御ループ16は、切り替え要素S1a、S1b及びS1cを介して閉じられている。
【0030】
第1の制御ループ16は、図1で既に表されたように、本質的に、帰還を有するスイッチング増幅器である。抵抗R1、R2、R3及びC1を有する分圧器を経由して、ノード18に存在する出力電圧は、演算増幅器U1によって所定のリファレンス電圧Vref_1aと比較される。演算増幅器U1の出力は、更なる抵抗R4及びキャパシタC2を介して演算増幅器U1の負入力部へ帰還される。演算増幅器U1において出力側で供給される制御電圧は、第1のスイッチングコンバータ11の対応する制御入力部で所望の制御電圧Prim−Controlを供給するために、保護ダイオードD1、光カプラU3の送信発光ダイオード、及び光カプラU3の受信トランジスタを駆動するための直列抵抗R6を介して使用される。
【0031】
表される制御ループ16において、適切な出力電圧の場合における抵抗R1及びR2は、ノード18で出力電圧をモニタする比例(proportional)分圧器を形成する(閉ループコントローラのP部分)。抵抗R2と並列に接続されるキャパシタC1及び抵抗R3によれば、制御ループ16の微分(derivative)要素が、誘導閉ループ制御を可能にするために実装される(閉ループコントローラのD部分)。帰還要素における抵抗R4及びキャパシタC2によれば、負帰還、よって、制御ループ16の積分(integral)部分が実装される(閉ループコントローラのI部分)。この場合に、キャパシタC2は、特に、積分のための時間成分を予め定義するために役立つ。総合すれば、従って、制御ループ16はPID閉ループコントローラである。
【0032】
一定の負荷電流による動作の間に、C1は、電圧VC1=DCout−Vref_1aに充電される。キャパシタC2は、閉ループコントローラ出力と閉ループコントローラ入力電圧との間の差、すなわち、VC2=VU1out−Vref_1aに充電される。その場合に動作の間に光カプラU3の送信発光ダイオードのカソードに存在する電圧は、従って、VD=Vref_1a+VC2+VD1である。第1のスイッチングコンバータ11の開回路から不意にこの制御状態を再確立するために、C2は予め充電されて、充電された状態において制御ループ16に接続される必要がある。それに反して、全ての他の電圧は一定である。この事前充電は、第2のスイッチングコンバータ12によってスイッチオフ状態において行われる(図示せず。)。
【0033】
第1のスイッチングコンバータ11が次いでオフされるよう意図される場合に、切り替え要素S1a、S1b及びS1cは、スイッチ位置xからスイッチ位置yへ至らされる。S1cは、直ちに第1のスイッチングコンバータ11の出力電流をゼロに制限する値への光カプラ電流の増大をもたらす。キャパシタC2は、切り替え要素S1a及びS1bを用いて制御ループ16から切り離され、前もってセットされたリファレンス電圧Vref_1bと接地との間で充電される。第1のスイッチングコンバータ11は、電流コンパレータ20が低出力電流Iを検出する場合にのみオフされるので、スイッチオフは、例えば、I_limitで起こる。電流IがI_limitを下回ったままである限り、キャパシタC2はリファレンス電圧Vref_1bに接続されたままである。時間シーケンス制御はこの目的のために必要でない。電流Iがゆっくりと又は速やかに制限値I_limitを上回る場合は、C2は、制御ループ16の分圧器の中央ノードでの電圧へ不意に接続される。よって、正確な制御電圧は、第1の制御ループ16の光カプラで不意に確立される。
【0034】
図3において認められ得るように、第2のスイッチングコンバータ12の制御ループ17は、実質的に第1のスイッチングコンバータ11の制御ループ16に従って構成されている。従って、その機能性の新たな説明は、大部分はこの際省略される。
【0035】
制御ループ16とは違って、表される状態における第2の制御ループ17は、スイッチング素子S2a、S2b及びS2cによって中断されている。この場合に、第1の制御ループ16に関して上述されたように、2つの切り替え要素S2a及びS2bによれば、第2の制御ループ17の積分閉ループ制御要素の時間決定定数を構成するキャパシタC3は、リファレンス電圧Vref_2bと電源ユニット配置10の接地電位との間に固定して接続される。リファレンス電圧Vref_2bは、個々にアクティブなスイッチングコンバータによって、すなわち、表される状態では第1のスイッチングコンバータ11によって、供給される。それは、例えば、更なるスイッチング素子がその切り替えのために必要とされないように、ノード18でタップオフされ得る(図示せず。)。
【0036】
リファレンス電圧Vref_2bへの切り替えは、キャパシタC3が放電されることを防ぐ。同時に、第2の制御ループ17の光カプラU4の送信発光ダイオードは、抵抗R11を介して接地電位へ固定して接続される。このようにして、光カプラU4の受信トランジスタによれば、所定の制御信号Prim−Controlが第2のスイッチングコンバータ12の制御入力部で生成され、上記の制御信号は、第2のスイッチングコンバータ12の非アクティブをもたらす。
【0037】
スイッチ位置x又はスイッチ位置yへの、いずれの場合にも反対の方向における制御ループ16及び17の切り替えは、いずれの場合にも、2つのスイッチングコンバータ11及び12のうちのただ1つが、ノード18で動作電圧を供給するためにアクティブであることを確かにする。それに反して、夫々の他のスイッチングコンバータ12又は11の制御ループ17又は16は、スイッチングコンバータ12又は11の高速な再起動を可能にする状態に保持される。特に、スイッチングコンバータ12又は11のデューティ比を急上昇させるために、あるいは、制御ループ17又は16を再調整することによって動作周波数を適応させるためにさもなければ必要とされる時間は、回避されるか、あるいは、少なくとも大いに短縮される。
【0038】
記載される例となる実施形態において、2つのスイッチングコンバータ11又は12の間の切り替えは、測定抵抗Rshuntを介したノード18と共通出力部19との間の電流の測定によって、電流コンパレータ20によって自動的に実施される。6つの切り替え要素S1a、S1b、S1c、S2a、S2b及びS2cは、集積部品に組み込まれ、そして、いずれの場合にもTTLレベルにより駆動され得る。集積部品は、任意の電圧、特に、制御ループ16及び17において起こる制御電圧、を切り替えるよう設計される。テキサスインスツルメントの集積部品BD4053Bが、例えば含まれる。
【0039】
切り替えスイッチがスイッチ位置yに切り替えられることの結果としての対応する制御ループ16又は17の非アクティブ時に、制御ループにおいて夫々存在するキャパシタC1及びC4の電圧は、いずれの場合にも維持される。当該電圧は、ノード18を介して予め定義される。上述されたように、キャパシタC2及びC3の電荷は、夫々リファレンス電圧Vref_1b及びVref_2bを介して予め定義される。このように、記載される回路は、キャパシタC1乃至C4が切り替えフェーズにおいて電荷反転を受ける必要なしに、制御ループ16及び17の間の高速な切り替えを可能にする。なお、電荷反転は、夫々アクティブにされるべきスイッチングコンバータ11又は12での電圧における瞬間的なディップをもたらす。
【0040】
図4は、本発明の代替の構成を示す。この場合に、回路部分の大部分は、図3に従って同じ参照符号を与えられている回路部分に対応する。従って、それらの回路部分の新たな記載はこの際省略される。
【0041】
それから出発して、図4に従う構成は、ノード18において別個のストレージキャパシタを有さない。出力電圧を安定させるために、ここでは、第1及び/又は第2のスイッチングコンバータ11及び/又は12において予め設けられているキャパシタが使用される(図示せず。)。
【0042】
更に、第1のスイッチングコンバータ11及び第2のスイッチングコンバータ12の制御ループ16及び17は、夫々、いずれの場合にも、演算増幅器U1及びU2に代えて、電圧制御される制御可能なツェナーダイオードZ1及びZ2を有する。一例として、ツェナーダイオードZ1及びZ2は、TL431タイプのダイオードである。制御可能なツェナーダイオードZ1及びZ2の使用は、夫々、リファレンス電圧Vref_1a及びVref_2aがTL431リファレンスダイオードにおいて内部に予め存在しているので、それらのリファレンス電圧を供給する手間を省くことを可能にする。その他の点では、図4に従う回路は、図3に従う回路と同じ利点を有する。
【0043】
図5は、本発明の更なる代替の構成を示す。この場合に、回路部分の大部分は、図4又は図3に従って同じ参照符号を与えられている回路部分に対応する。従って、それらの回路部分の新たな記載はこの際省略される。
【0044】
図4に従う回路と比較して、電子切り替えスイッチS1a乃至S2cは、半導体スイッチング素子M1a乃至M2cによって置換されている。例となる実施形態において、半導体スイッチング素子M1a乃至M2cは、特に、NMOS小信号トランジスタである。第1のスイッチングコンバータ11が次いでオフされるよう意図される場合は、半導体スイッチング素子M1a、M1b及びM1cは、第1の制御信号P1が印加されることによってオンされる。半導体スイッチング素子M1cは、直ちに第1のスイッチングコンバータ11の出力電流をゼロに制限する値への光カプラU3での電流の増大をもたらす。半導体スイッチング素子M1aは、抵抗R1及びR2によって形成される分圧器の中央タップにある第1の内部ノード21での入力電圧を、抵抗R15を介して、制御可能なツェナーダイオードZ1の定格入力電圧を幾らか下回って、すなわち、例えば、2.5Vから2.3Vへ、低減する。これは、ツェナーダイオードZ1のカソード−アノード経路が高いインピーダンスを得ることを確かにする。その場合に第1の制御ループ16の第2の内部ノード22で確立される電圧は、次いで、制御された出力電圧DC−outのための更なる分圧器を抵抗R13と共に形成する抵抗R16と直列な半導体スイッチング素子M1bによって決定される。この場合に、抵抗R16は、第1のスイッチングコンバータ11の新たな高速起動の間に必要な正確な電圧がキャパシタC2で確立されるように設定される。この場合に、ダイオードD3は、抵抗R5を介して設定される光カプラU3での電圧と無関係に第2の内部ノード22での制御電圧を設定することができるのに役立つ。第2のスイッチングコンバータ12の第2の制御ループ17は、相応に構成される。
【0045】
上述されたように、図5に従う回路の変形例の場合に、切り替えスイッチS1a乃至S2cは、より安価な小信号MOSFETによって置換され得る。加えて、開示される回路において、リファレンス電圧Vref_1b及びVref_2bは省略され、よって、全体としてより簡単な回路構成が得られる。
【0046】
記載される構成において、所定のリファレンス電圧Vref_1b及びVref_2bは、第1のスイッチングコンバータ11から第2のスイッチングコンバータ12への切り替えのための制限値I_limit付近の出力電流Iの場合に、それらが夫々制御ループ16及び17の典型的な制御電圧に対応するように設定される。リファレンス電圧Vref_1b及びVref_2bを固定して予めセットする代替案として、この時点でキャパシタC2及びC3に夫々存在する電圧はまた、非アクティブの時間におけるキャパシタC2及びC3の充電された状態を夫々守るために、いわゆるサンプル−ホールド回路によって保持され得る。
【0047】
図3及び図4に従う構成から出発して、電流コンパレータ20は、そのスイッチング挙動がヒステリシス効果を有するように構成され得る。表される適用の場合において、これは、切り替え時点が立ち下がり及び立ち上がりの出力電流について異なることを意味する。一例として、制御信号P1は、図3を参照して記載されたように、瞬時出力電流Iが所定の制限値I_limitを上回る場合に直ぐにアクティブにされ得る。反対に、出力電力が落ちる場合に、制御信号P2は、出力電流Iga制限値I_limit−I_hysteresisを下回るときにのみ切り替えられ得る。
【0048】
立ち上がり及び立ち下がりの出力電流Iの場合ごとの異なった制限値に代えて、電流コンパレータ20はまた、個別的な所定の制限値I_limitを下回った後に所定の遅延時間が経過した後にのみ、対応する制御信号P1又はP2を出力することができる。このようにして、特に、第1のスイッチングコンバータ11と第2のスイッチングコンバータ12との間の頻繁な切り替えは、共通出力部19を介して出力される出力電力がほんの一瞬下がる場合に回避される。それは、給電されるデバイスのエネルギ消費量が長期間にわたり閾値I_limitを下回ったままである場合にのみ、例えば、第1のスイッチングコンバータ11から第2のスイッチングコンバータ12への負荷変化が起こるエネルギ節約状態をデバイスが導入しているからである。所定の制限値I_limitが越えられた後の遅延は、さもなければ過負荷により低電力スイッチングコンバータ12がオフする危険性が存在するので、一般的には適当でない。
【0049】
本発明の更なる構成(図示せず。)において、電源ユニット配置は、2よりも多いスイッチングコンバータを有する。一例として、電源ユニット配置は、スタンバイ状態のための第1のスイッチングコンバータと、開回路状態のための第2のスイッチングコンバータと、コンピュータシステムを作動させるフル負荷状態のための第3のスイッチングコンバータとを有することができる。この場合に、電流コンパレータは、目下の出力電流Iを、第1及び第2又は第2及び第3のスイッチングコンバータの間の切り替えのための複数の異なった制限値と比較するよう設計される。言うまでもなく、より更なるスイッチングコンバータがまた、夫々アクティブなスイッチングコンバータの、その最適なエネルギ効率における作動を確かにするために、設けられ得る。
【符号の説明】
【0050】
10 電源ユニット配置
11 第1のスイッチングコンバータ
12 第2のスイッチングコンバータ
13 第1の出力部
14 第2の出力部
15 入力部
16 第1の制御ループ
17 第2の制御ループ
18 ノード
19 共通出力部
20 電流コンパレータ
21 第1の内部ノード
22 第2の内部ノード
C1〜C5 キャパシタ
D1〜D4 ダイオード
M1a〜c,M2a〜c 半導体スイッチング素子
R1〜R8 抵抗
Rshunt 電流測定抵抗
S1a〜c,S2a〜c 切り替え要素
U1,U2 演算増幅器
U3,U4 光カプラ
Z1,Z2 制御可能なツェナーダイオード
Prim−Control 制御信号
Prim−DC 入力電圧
DC−out1,DC−out2 出力電圧
I 出力電流
I_limit 制限値
P1,P2 制御信号
x,y スイッチ位置
図1
図2
図3
図4
図5