(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送手段は、2系統の搬送系統を有し、各搬送系統は、一対の直線部材を有するものであり、その一方の搬送系統は、他方の搬送系統を構成する一対の直線部材の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
各搬送系統を直線往復移動させる駆動源と、各搬送系統を昇降させる昇降手段の駆動源は、それぞれ別個のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
初期搬送によって、同時に往路方向に移動した搬送系統のうちのいずれか1つは、往路方向の移動の中途で低位姿勢に制御されると共に、復路方向に戻されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、倉庫等の施設にコンベア装置を採用した場合、施設運用上の事情等によって、コンベア装置における物品の搬送に支障を来してしまう場合があり、作業効率の十分な改善が図れない場合があった。
これについて、具体的に説明すると、倉庫等の施設では、外部から物品が搬入されるタイミングと、外部にその物品を搬出するタイミングとの間に、時期的な差が生じる場合がある。そのため、この種の施設では、搬入された物品を一時的にコンベアライン上に保管する場合がある。すなわち、この種の施設のコンベア装置では、搬入された物品を搬送することなく、コンベアライン上にただ載置して保管する保管機能が備えられている。
【0006】
また、一般的に、コンベア装置では、作業性の向上等の観点から、搬送する物品を樹脂製のパレット等に載置している。すなわち、コンベアライン上に載置された物品は、パレット等に載せられた状態である。
【0007】
このように、倉庫等の施設では、物品を流動的に移動するだけでなく、コンベアライン上において、物品を移動させずに保管する場合があり、また、その保管状態の物品は、通常、パレット等に載せられている。そのため、保管状態の物品を載せたパレット等には、同一箇所(ローラと当接した箇所)に長期に渡って物品の荷重が掛かる。その結果、パレット等の底部が変形してしまう場合があった。さらに、物品の荷重に加え、施設内が一定温度以上上昇すれば、熱可塑性樹脂等を用いた樹脂成形品のパレット等は軟化傾向となり、荷重による変形を加速させる場合がある。
【0008】
そして、このようにして、パレット等の底部が変形すると、その底部はローラに沿った凹状を呈した形状となってしまう。つまり、ローラコンベア装置では、前記したように、ローラを搬送方向に並列に並べているため、パレット等の底部にも搬送方向に並列的な配置(複数箇所だけでなく、1箇所のみの場合も含む)の凹部が形成される。したがって、この種のコンベア装置では、保管状態の物品を載せたパレット等は、底部が搬送方向に並列的に並べられたローラ間に食い込んだ状態になってしまう。
【0009】
このような事情により、いざ、コンベアライン上に一時的に保管された物品を搬送しようとしても、その物品を載せたパレット等の底部は、隣接するローラ間に食い込んだ状態であるため、ローラに伝わった動力をパレット等に十分に伝達しきれず、パレット等がコンベアに対して相対的な移動が困難な状態となり、物品の搬送に支障を来してしまう場合があった。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、コンベアライン上に物品を一時的に保管しても、その後の物品の搬送に支障を来すことがなく、高い作業効率を図ることができる搬送装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく提供される請求項1に記載の発明は、物品が搬送されるコンベアラインの一部を構成する搬送装置であって、搬送手段と昇降手段を有し、搬送手段は、一定範囲の距離を直線状に往復移動する2以上の独立した搬送系統を有し、当該各搬送系統は、搬送方向に延びた直線部材を有し、昇降手段は、物品の搬送に寄与させる搬送系統を高位姿勢にする上昇動作と、物品の搬送に寄与させない搬送系統を低位姿勢にする下降動作の実行が可能であり、物品を搬送方向下流側に向けて搬送する際においては、高位姿勢の搬送系統を往路方向に移動する搬送動作と、低位姿勢の搬送系統を復路方向に移動あるいは低位姿勢の搬送系統をいずれの方向にも移動させない搬送準備動作を並行して行い、所定のタイミングで、搬送に寄与しなかった低位姿勢の搬送系統の姿勢を高位姿勢に変更し、その後、先行的に搬送に寄与した高位姿勢の搬送系統の姿勢を低位姿勢に変更する通常搬送機能を有し、
搬送系統を直線往復移動させる駆動源を停止状態から駆動する初期動作時において、少なくとも2系統の搬送系統を高位姿勢にすると共に、当該高位姿勢にされた搬送系統を同時に往路方向に移動させる初期搬送機能を有することを特徴とする搬送装置である。
ここで言う「先行的に」とは、「搬送に寄与しなかった低位姿勢の搬送系統よりも時期的に先行して」という意味である。
【0012】
本発明の搬送装置は、2以上の搬送系統によって搬送手段が構成され、その搬送系統のそれぞれが搬送方向に延びた直線部材を有するため、搬送系統による搬送面には、ローラコンベア装置のように、搬送方向に隣り合うローラ間に形成されるような隙間はない。そのため、本発明では、コンベアライン上に一時的に物品が保管された場合であっても、その物品の荷重を受けるパレット等の底部には、ローラコンベア装置のように、並列的(単一の場合も含む)な変形部(凹部)が形成されることがない。すなわち、本発明では、物品が載置されるパレット等の底部が、搬送方向に並列的に並べられたローラ間に食い込んだ状態に至ることはなく、コンベアライン上に物品を一時的に保管しても、その後の物品の搬送に支障を来すことはない。その結果、本発明の搬送装置は、倉庫等の施設に採用した場合であっても、高い作業効率を確保することができる。
【0013】
また、請求項1に記載の発明は、搬送手段を構成する2以上の搬送系統のそれぞれが独立して、一定範囲の距離を直線状に往復移動するため、各搬送系統の役割を、所定のタイミングで変更することが可能となり、それに伴い、円滑な物品搬送を図ることができる。例えば、搬送手段が2つの搬送系統で構成されているとすれば、一方の搬送系統を物品の搬送に寄与させると共に、他方の搬送系統を物品の搬送に寄与させず、そしてそれらを所定のタイミングで入れ替える制御を行う。すなわち、所定のタイミングを境に、一方の搬送系統は物品の搬送に寄与せず、他方の搬送系統が物品の搬送に寄与する状態となる。そして、この制御を繰り返し行う。これにより、一方の搬送系統による搬送動作が終えたとしても、他方の搬送系統による搬送動作が実行されるため、搬送される物品がコンベアライン上で停止してしまうタイミングをなくすことができる。すなわち、本発明によれば、物品をスムーズに搬送方向下流側に向けて流すことができる。
【0014】
そして、本発明では、より確実に物品の円滑な搬送を行うべく、各搬送系統を独立的に昇降可能な昇降手段が備えられている。
すなわち、本発明では、昇降手段によって、いずれかの搬送系統を上昇動作によって物品の搬送に寄与させる高位姿勢にしたり、また別のいずれかの搬送系統を下降動作によって物品の搬送に寄与させない低位姿勢にすることが可能である。これにより、高位姿勢の搬送系統のみが物品を搬送する搬送面を形成し、逆に低位姿勢の搬送系統は搬送面を形成することがない。換言すれば、高位姿勢の搬送系統による物品の搬送は、低位姿勢の搬送系統のいかなる動作によっても邪魔されることはない。
【0015】
そして、本発明は、物品を搬送方向下流側に向けて搬送する際において、高位姿勢の搬送系統を往路方向に移動する搬送動作と、低位姿勢の搬送系統を復路方向に移動あるいは低位姿勢の搬送系統をいずれの方向にも移動させない搬送準備動作を並行して行う制御が実行される。そして、所定のタイミングで、搬送に寄与しなかった低位姿勢の搬送系統の姿勢を高位姿勢に変更し、その後、先行的に搬送に寄与した高位姿勢の搬送系統の姿勢を低位姿勢に変更する。すなわち、本発明は、いずれかの搬送系統が往路方向の端部まで行き着いたとしても、その搬送動作と並行して搬送準備動作を行った他のいずれかの搬送系統を、高位姿勢に変更して、往路方向に向けて移動させることができるため、物品はコマ送りのような動作(しゃくり動作)で搬送されることなく、連続的にスムーズに搬送される。
【0016】
以上のように、本発明によれば、コンベアライン上に物品を一時的に保管する場合があっても、パレット等に搬送を阻害するような変形部が形成されることはないため、その後の物品の搬送に支障を来すおそれはない。また、本発明は、2以上の搬送系統のそれぞれを、昇降手段によって独立的に昇降させる制御が実行可能であるため、ローラコンベア装置やベルトコンベア装置に劣ることなく、効率的な物品搬送が可能である。
【0017】
請求項2に記載の発明は、搬送手段は、2系統の搬送系統を有し、各搬送系統は、一対の直線部材を有するものであり、その一方の搬送系統は、他方の搬送系統を構成する一対の直線部材の間に位置することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置である。
【0018】
かかる構成によれば、各搬送系統が一対の直線部材を有する構成であるため、パレット等に載せられた物品を安定的な姿勢で搬送することができる。すなわち、一対の直線部材を、搬送方向に沿って、所定の間隔を空けて配した構成にすれば、搬送される物品等の安定したバランスが維持され、搬送方向に交差する側に傾いてしまう不具合は起こり得ない。
【0019】
請求項3に記載の発明は、各搬送系統を直線往復移動させる駆動源と、各搬送系統を昇降させる昇降手段の駆動源は、それぞれ別個のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置である。
【0020】
かかる構成によれば、各搬送系統の直線往復移動のための駆動源と、昇降のための駆動源が、それぞれ別個のものであるため、各搬送系統は、他の搬送系統の動作のいかんに関わらず個別にそれぞれの動作を制御することができる。これにより、例えば、複数の搬送系統を同時に高位姿勢にしたり、同時に往路移動させたりする制御が容易となる。
【0021】
前記した様に、請求項
1に記載の発明は、搬送系統を直線往復移動させる駆動源を停止状態から駆動する初期動作時において、少なくとも2系統の搬送系統を高位姿勢にすると共に、当該高位姿勢にされた搬送系統を同時に往路方向に移動させる初期搬送機能を有することを特徴とする。
【0022】
かかる構成によれば、搬送手段によって、物品を搬送する際であって、駆動源を停止状態から駆動する初期動作時においては、少なくとも2系統の搬送系統を高位姿勢にすると共に、その高位姿勢にした搬送系統を同時に往路方向に移動させることができるため、初期搬送時の実質的な搬送駆動力が増し、初期搬送をスムーズに行うことができる。
【0023】
請求項
4に記載の発明は、初期搬送によって、同時に往路方向に移動した搬送系統のうちのいずれか1つは、往路方向の移動の中途で低位姿勢に制御されると共に、復路方向に戻されることを特徴とする請求項
1〜3のいずれかに記載の搬送装置である。
【0024】
かかる構成によれば、駆動源の初期動作時のみ、2以上の搬送系統を同時に高位姿勢で往路方向に移動させることができるため、初期搬送機能によって、スムーズな搬送が阻害されるおそれはない。例えば、初期搬送時のみに初期搬送動作を実施し、その後は、それぞれの搬送系統を、個々に搬送動作と搬送準備動作に制御する通常搬送動作を実施するようにすれば円滑な搬送状態の確保を図ることができる。
【0025】
請求項
5に記載の発明は、各搬送系統は、復路方向に移動する際の移動速度が、往路方向に移動する際の移動速度よりも速いことを特徴とする請求項1〜
4のいずれかに記載の搬送装置である。
【0026】
かかる構成によれば、搬送準備動作における移動速度が、搬送動作における移動速度よりも速いため、準備側の搬送系統が搬送動作を行うタイミングに遅れてしまう可能性が低い。
【0027】
本発明の搬送装置は、各搬送系統の直線部材が、物品が載置される載置面を有した直線移動側部材と、直線移動側部材を支持する固定側部材とで構成されているものであることが推奨される。(請求項
6)
【0028】
請求項
7に記載の発明は、各搬送系統を往復移動させる駆動源はモータであり、直線移動側部材は、回転運動を直線運動に変換する運動変換手段を介して、モータからの動力が伝達されることを特徴とする請求項
6に記載の搬送装置である。
【0029】
かかる構成によれば、モータの回転運動を直線運動に変換する運動変換手段を備えているため、駆動源に要するスペースを省スペース化することができる。すなわち、本発明によれば、装置の平面的な広がりを、必要最小限のサイズに設定することができる。
【0030】
請求項
8に記載の発明は、各搬送系統を昇降させる昇降手段の駆動源はモータであり、各搬送系統は、回転運動を昇降運動に変換するカム部材を介して、モータからの動力が伝達されることを特徴とする請求項1〜
7のいずれかに記載の搬送装置である。
【0031】
かかる構成によれば、カム部材によって、モータの回転運動を昇降運動に変換することができるため、装置の高さをコンパクト化することができる。
【0032】
請求項
9に記載の発明は、昇降案内部材を有し、各搬送系統は、昇降案内部材に沿って、昇降することを特徴とする請求項1〜
8のいずれかに記載の搬送装置である。
【0033】
かかる構成によれば、各搬送系統を、昇降案内部材に沿って昇降させることができるため、各搬送系統の昇降方向以外の方向の移動を規制することができる。すなわち、本発明では、昇降案内部材によって、各搬送系統の昇降方向からの逸脱が防止でき、スムーズな昇降が可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の搬送装置は、物品を搬送する搬送手段が、2以上の搬送系統を有し、その各搬送系統が搬送方向に延びた直線部材により構成されているため、コンベアライン上に物品を一時的に保管しても、その後の物品の搬送に支障を来すことはない。また、本発明の搬送装置は、各搬送系統を独立的に昇降可能な昇降手段を備えているため、各搬送系統を個々に、高位姿勢や低位姿勢に制御できる。その結果、本発明では、各搬送系統を個々に搬送動作状態や搬送準備動作状態に切り換えた制御が可能となり、ローラコンベア装置やベルトコンベア装置と同様、円滑な物品搬送が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に、本発明の実施形態の搬送装置1について説明する。
本実施形態の搬送装置1は、
図1に示すように、物品を搬送するコンベアラインの一部を構成するものであり、同一の装置を搬送方向に複数並べて使用される。特に、本実施形態の搬送装置1は、倉庫等の施設におけるコンベアラインであって、パレット等に載せられた物品が保管され得る部分に好適に使用される。そして、本実施形態の搬送装置1は、
図2、3に示すように、主に、搬送手段2と、搬送手段2を昇降する昇降手段3と、それらを支持する土台形成部材5とで構成されている。
【0037】
まず、土台形成部材5から説明する。
土台形成部材5は、
図2、3に示すように、搬送装置1の最下段に配されて、搬送手段2と昇降手段3を支持する部材であり、ベース本体50と、繋ぎ部材51とで構成されている。ベース本体50は、
図4に示すように、外観形状及び大きさが同一の2つの筐体型部材60a、60bを有する。そして、その2つの筐体型部材60a、60bはいずれも、
図4に示すように、平面視形状が長方形を呈しており、その長手方向が搬送方向と平行となるように並べられている。さらに、各筐体型部材60a、60bは、上壁及び長手方向に延びる側壁の1つが欠落した構造であり、その欠落した側壁側同士が互いに向き合った姿勢である。すなわち、前記状態のベース本体50は、筐体型部材60a、60bの間に互いに連通した空間Dが形成されている。
【0038】
そして、その2つの筐体型部材60a、60bの姿勢を維持させるべく、2つの筐体型部材60a、60bを、繋ぎ部材51を介して接続している。繋ぎ部材51は、
図4に示すように、外観形状及び大きさが同一の2つの板状部材61a、61bを有する。そして、その2つの板状部材61a、61bはそれぞれが、
図3に示すように、細幅の長方形を呈しており、その長手方向が2つの筐体型部材60a、60bに対して直交する姿勢にされて並べられている。そしてその状態の2つの板状部材61a、61b同士は、所定距離離間した配置である。すなわち、いずれか一方の板状部材61aは、搬送方向上流側に位置し、いずれか他方の板状部材61bは、搬送方向下流側に位置している。そしてその状態において、筐体型部材60と板状部材61とは、ネジ等の締結要素を介して、接続されている。
なお、土台形成部材5には、筐体型部材60と板状部材61とを接続するためのネジ孔(図示せず)や、搬送手段2や昇降手段3を構成する部品等を固定するためのネジ孔等(図示せず)が複数設けられているが、説明等を省略する。
【0039】
続いて、搬送手段2について説明する。
搬送手段2は、
図2に示すように、2系統の搬送系統(以下、第1搬送系統と第2搬送系統ともいう)6、7を有し、各搬送系統6、7には搬送方向に連続的に延びる直線部材11、12が設けられ、その直線部材11、12によってブレード状の搬送面S(
図3)を形成する部分である。すなわち、搬送手段2は、搬送面C上に載せられた物品を、直線部材11、12のうちのいずれかあるいは双方を作動させることによって、所定の方向に搬送可能な部分である。
【0040】
第1搬送系統6について説明すると、第1搬送系統6は、一対の直線部材11a、11bと、その一対の直線部材11a、11bを連結する連結部材26と、搬送用駆動源23と、搬送用駆動源23の動力を一対の直線部材11a、11bに伝達する搬送用伝達手段25とで構成されている。
【0041】
一対の直線部材11a、11bは、
図5に示すように、それぞれが外観形状及び大きさが同一の金属部材であり、いずれも固定側部材22と、その固定側部材22に対して相対的に移動する直線移動側部材21と、その両者の間に介在して直線移動側部材21の移動の円滑を図る移動円滑部材43と、後述する昇降手段3の動力が入力される受動部材45を有する。
【0042】
直線移動側部材21及び固定側部材22は、いずれも溝型構造(シーチャンネル構造)の長尺部材である。そして、両者は、長手方向に開放した開放部(以下、単に溝という)を向き合わせて組み合わせ可能な構造である。換言すれば、直線移動側部材21と固定側部材22の双方は、両者の溝を向き合わせて組み合わせることで、直線移動側部材21側の溝に固定側部材22が収容される大きさである。すなわち、直線移動側部材21の溝幅(溝を形成する一対の側面壁の間隔)は、固定側部材22の溝幅よりも幾分大きい設定である。
【0043】
また、直線移動側部材21の側面壁には、固定側部材22に対する直線移動側部材21の相対的移動を円滑にするべく、後述する搬送用伝達手段25の回転軸を回避する2つの回避用切欠き31、32が設けられている。そして、これらの回避用切欠き31、32はいずれも、直線移動側部材21の側面壁の下部縁端から上方に向けて切り欠いた部分である。
【0044】
より具体的に説明すると、回避用切欠き31は、
図6に示すように、直線移動側部材21の一対の側面壁の一方のみに形成されており、直線移動側部材21の長手方向一方の端部(
図1を基準に搬送方向下流側端部)寄りであって、その長手方向中途の位置に配されている。そして、その回避用切欠き31の切欠き長さは、直線移動側部材21の移動し得る程度の長さであり、具体的には直線移動側部材21の全長の1/10〜1/7である。
【0045】
また、回避用切欠き32は、
図6に示すように、直線移動側部材21の一対の側面壁の双方に同一の形状に形成され、且つ、直線移動側部材21の長手方向他方の端部(
図1を基準に搬送方向上流側端部)から中途の位置までを切欠いた部分である。そして、その回避用切欠き32の切欠き長さは、直線移動側部材21の移動し得る程度の長さであり、具体的には直線移動側部材21の全長の1/10〜1/7である。
【0046】
さらに、直線移動側部材21には、溝の底面を形成する壁(
図5を基準とした天面壁)の所定の位置に、ネジ等の締結要素を挿通するための複数(本実施形態では4つ)の貫通孔70が設けられている。この4つの貫通孔70は、直線移動側部材21の長手方向の中途の位置であって、回避用切欠き31の位置とほぼ同様の位置に配され、さらにその回避用切欠き31の切欠き長さの範囲内で、直線移動側部材21の長手方向に沿って直列状に並んだ配置である。
【0047】
一方、固定側部材22は、その側面壁に、複数の支持用切欠き33と、1つの軸挿通用切欠き35、並びに、複数の軸挿通孔36が設けられている。
【0048】
支持用切欠き33は、移動円滑部材43を保持する保持機能を有し、固定側部材22の側面壁の上部縁端から下方に向けて切り欠かれた形状を呈している。そして、支持用切欠き33は、固定側部材22の一対の側面壁の双方に設けられており、一方の側面壁に設けられた支持用切欠き33aと、他方の側面壁に設けられた支持用切欠き33bとが、対向する配置にされて切欠き対71を形成している。本実施形態では、1つの固定側部材22に、5組の切欠き対71a〜71eが形成されている。そして、各切欠き対71a〜71eは、固定側部材22の長手方向にほぼ等間隔に配されている。
なお、支持用切欠き33に保持される移動円滑部材43は、公知のボールベアリングを有する部材である。
【0049】
軸挿通用切欠き35は、後述する搬送用伝達手段25の回転軸40が、固定側部材22に干渉してしまう不具合を回避するための切欠きであり、固定側部材22の側面壁の上部縁端から下方に向けて切り欠かれた形状を呈している。そして、軸挿通用切欠き35は、固定側部材22の一対の側面壁の一方のみ(支持用切欠き33bが形成された側面壁)に設けられている。そして、その軸挿通用切欠き35は、
図1を基準として、搬送方向下流側端部近傍の支持用切欠き33bと、それに隣接した(前記端部近傍の支持用切欠き33bを基準として2番目)支持用切欠き33bとの間に配されている。より詳細には、軸挿通用切欠き35は、搬送方向下流側から2番目に位置する切欠き対71bの支持用切欠き33b側に近寄った配置である。
【0050】
軸挿通孔36は、受動部材45を保持する保持機能を有する部分である。そして、軸挿通孔36は、固定側部材22の一対の側面壁の双方に設けられており、一方の側面壁に設けられた軸挿通孔36aと、他方の側面壁に設けられた軸挿通孔36bとが、対向する配置にされて軸孔対72を形成している。本実施形態では、1つの固定側部材22に、2組の軸孔対72a、72bが形成されている。そして、各軸孔対72a、72bは、固定側部材22の長手方向に一定以上の間隔を空けて配されている。より詳細には、一方の軸孔対72aは、固定側部材22の長手方向一方の端部側であって、搬送方向下流側端部近傍の切欠き対71aと、軸挿通用切欠き35との間に配され、他方の軸孔対72bは、固定側部材22の長手方向他方の端部側であって、搬送方向上流側端部近傍の切欠き対71eと、それに隣接する切欠き対71dとの間に配されている。また、軸孔対72a、72bは、切欠き対71a〜71eの高さ方向最下部よりも、高さ方向下方に位置する。
なお、軸挿通孔36に保持される受動部材45は、公知のボールベアリングを有する部材である。
【0051】
さらに、固定側部材22には、その溝(開放部)の底面を形成する壁(
図5を基準とした底面壁)に、
図7に示すように、2つの受動側開口37a、37bと、2つのガイド側開口38a、38bが設けられている。
【0052】
2つの受動側開口37a、37bは、軸挿通孔36に保持させた受動部材45の一部を溝の外側に露出するべく形成された、平面視形状がほぼ長方形状を呈した開口である。そして、この受動側開口37a、37bは、固定側部材22の長手方向中途の位置、具体的には、前記2組の軸孔対72a、72bが配された位置とほぼ同一の位置に配されている。換言すれば、この2つの受動側開口37a、37bは、固定側部材22の長手方向に、2組の軸孔対72a、72bと同程度の間隔を空けた位置に配されている。
【0053】
2つのガイド側開口38a、38bは、平面視形状がほぼ円形を呈した開口であり、直線部材11を昇降移動させるべく、後述する突条ガイド部材(昇降案内部材)66が挿通される部分である。そして、このガイド側開口38a、38bは、固定側部材22の長手方向両端部近傍に配されている。なお、ガイド側開口38には、図示しない別体の筒状部材を挿着し、その筒状部材内を突条ガイド部材66が移動するようにしても構わない。
【0054】
連結部材26は、平面視形状がほぼ長方形を呈した板状部材であり、
図5に示すように、間隔維持部52と、2つの連結段部53a、53bとで構成されている。間隔維持部52は、連結部材26のほぼ中央に位置した長方形を呈した平面体である。2つの連結段部53a、53bは、間隔維持部52の長手方向両端に配されており、その間隔維持部52に対して直交方向に立設した立設部90と、その立設部90の突端側から間隔維持部52に対して平行方向に延びた水平部91とでなる部分である。より詳細には、2つの連結段部53a、53bは、間隔維持部52を基準に、いずれも立設部90が同一方向(
図5の上方)に向けて立ち上がっており、さらに水平部91は張出端部が互いに離反する方向に延びている。すなわち、連結部材26は、
図5を基準にすれば、間隔維持部52が、連結段部53a、53bの水平部91に対して、低位置に配された構造である。
【0055】
搬送用駆動源23は、
図8に示すように、筐体80内にモータ81と減速機82が内蔵された公知のギヤードモータであり、筐体80内部から出力軸83の一部が外部に露出したものが採用されている。すなわち、搬送用駆動源23は、筐体80に対して、出力軸83を回転させる構成である。そして、本実施形態では、
図5に示すように、搬送用駆動源23の出力軸83に、公知のプーリ85が挿着されている。なお、プーリ85には、後述する搬送用伝達手段25の伝動用ベルト86が懸架される。
【0056】
搬送用伝達手段25は、
図5に示すように、環状を呈した無端状の伝動用ベルト86と、伝動用ベルト86が懸架される公知のプーリ87と、プーリ87と一体的に回転する回転軸40と、回転軸40の両端に挿着された歯車41a、41bと、歯車41a、41bと係合する係合溝54が設けられたラック部材42a、42bとを備えている。すなわち、搬送用伝達手段25は、搬送用駆動源23から伝達される動力によって、回転軸40を回転し、歯車41とラック部材42によって形成されたラックアンドピニオン構造によって、回転軸40の回転運動を直線往復運動に変換する部分(運動変換手段)である。より詳細には、搬送用伝達手段25は、直線移動側部材21に固定されたラック部材42に、回転軸40に挿着された歯車41を係合させ、回転軸40の回転によって、直線移動側部材21を直線往復復動させる構成である。換言すれば、本実施形態に採用されたラックアンドピニオン構造は、回転軸40が、その回転と共にラック部材42に対して直線往復運動することがない構造である。
【0057】
そして、上記構成を備えた第1搬送系統6は、
図3に示すように、2つの直線部材11a、11bを、その長手方向が平行となるような姿勢で並べ、さらにその姿勢を維持するべく、連結部材26を用いて連結されている。具体的には、第1搬送系統6は、
図3に示すように、連結部材26が、2つの直線部材11a、11bの軸挿通用切欠き35の位置で、直線部材11a、11bに対して直交するような姿勢で接続されている。そして、各直線部材11a、11bは、
図9に示すように、固定側部材22の搬送方向下流側の端部寄りの底面壁を、連結部材26の水平部91の上面に当接して、ネジ(図示しない)等の締結要素を用いて、連結部材26に対して固定されている。
【0058】
そして、このようにして連結された2つの直線部材11a、11bの軸挿通用切欠き35に、搬送用伝達手段25の回転軸40が配されている。より詳細には、回転軸40は、長手方向(軸線方向)両端部側を、軸挿通用切欠き35を介して、直線部材11a、11b内に配している。そして、その状態の回転軸40を、公知のボールベアリングを具備した支持部材62を用いて、連結部材26に固定している。また、回転軸40は、2つの直線部材11a、11bの間であって、当該2つの直線部材11a、11bの軸挿通用切欠き35よりも内側の位置で、支持部材62によって支持されている。
【0059】
また、この連結部材26には、
図3に示すように、搬送用駆動源23も固定されている。搬送用駆動源23は、その軸線方向を回転軸40の長手方向に沿うような姿勢で、且つ、その出力軸83に装着されたプーリ85が、回転軸40に装着されたプーリ87の長手方向の位置と同一の位置に配されている。そして、搬送用駆動源23の動力を回転軸40側に伝達するべく、2つのプーリ85、87に伝動用ベルト86が懸架されている。
【0060】
一方、直線部材11a、11bの内部においては、
図10に示すように、回転軸40の回転運動を、別部材に対する直線往復運動に変換するべく、回転軸40の長手方向端部側に挿着された歯車41が、直線移動側部材21の天面壁に固定されたラック部材42の係合溝54と係合している。また、固定側部材22の支持用切欠き33には、移動円滑部材43が保持されており、その移動円滑部材43上に直線移動側部材21が載置されている。すなわち、移動円滑部材43は、直線移動側部材21の固定側部材22に対する相対的移動を可能とした配置である。
また、固定側部材22の軸挿通孔36には、
図10に示すように、受動部材45が保持されており、その受動部材45は一部が、受動側開口37から露出した配置である。
【0061】
第2搬送系統7は、第1搬送系統6と主要な構造が同一であり、部材の大きさ及び位置関係が若干異なるだけである。そのため、以下においては、第1搬送系統6と同一の部材等に関しては同一の番号を付し、具体的説明を省略する。
【0062】
すなわち、第2搬送系統7は、
図11に示すように、一対の直線部材12a、12bと、その一対の直線部材12a、12bを連結する連結部材29と、搬送用駆動源23と、搬送用駆動源23の動力を一対の直線部材12a、12bに伝達する搬送用伝達手段25とで構成されている。
【0063】
一対の直線部材12a、12bは、それぞれが外観形状及び大きさが同一の金属部材であり、いずれも固定側部材28と、その固定側部材28に対して相対的に移動する直線移動側部材27と、その両者の間に介在して直線移動側部材27の移動の円滑を図る移動円滑部材43と、後述する昇降手段3の動力が入力される受動部材45を有する。
【0064】
直線移動側部材27及び固定側部材28は、第1搬送系統6と同様、いずれも溝型構造(シーチャンネル構造)の長尺部材が採用されている。そして、その両者は、長手方向に開放した溝を向き合わせて組み合わせ可能な構造である。
【0065】
また、直線移動側部材27は、側面壁に、固定側部材28に対する直線移動側部材27の相対的移動を円滑にするべく、搬送用伝達手段25の回転軸40を回避する1つの回避用切欠き39が設けられている。この回避用切欠き39は、直線移動側部材27の一対の側面壁の一方のみにおいて、下部縁端から上方に向けて切り欠いた部分である。
【0066】
さらに、直線移動側部材27には、溝の底面を形成する壁(
図5を基準とした天面壁)の所定の位置に、ネジ等の締結要素を挿通するための複数(本実施形態では4つ)の貫通孔70が設けられている。この4つの貫通孔70は、直線移動側部材27の長手方向一方の端部(搬送方向上流側端部)寄りの位置であって、回避用切欠き39の位置とほぼ同様の位置に配され、さらにその回避用切欠き39の切欠き長さの範囲内で、直線移動側部材27の長手方向に沿って直列状に並んだ配置である。
【0067】
一方、固定側部材28は、その側面壁に、複数の支持用切欠き33と、1つの軸挿通用切欠き46、並びに、複数の軸挿通孔36が設けられている。
【0068】
軸挿通用切欠き46は、搬送用伝達手段25の回転軸40が、固定側部材28に干渉してしまう不具合を回避するための切欠きであり、固定側部材28の側面壁の上部縁端から下方に向けて切り欠かれた形状を呈している。そして、軸挿通用切欠き46は、固定側部材28の一対の側面壁の一方のみ(支持用切欠き33bが形成された側面壁)に設けられている。そして、その軸挿通用切欠き46は、
図1を基準として、搬送方向上流側の端部近傍の支持用切欠き33bよりもさらに上流側に配されている。より詳細には、軸挿通用切欠き46は、搬送方向上流側端部から搬送方向上流側端部近傍の切欠き対71eの支持用切欠き33bに至るまでを切り欠いた部分である。
【0069】
さらに、固定側部材28には、その溝(開放部)の底面を形成する壁(
図5を基準とした底面壁)に、
図12に示すように、2つの受動側開口37a、37bと、2つのガイド側開口38a、38bが設けられている。
【0070】
連結部材29は、前記した第1搬送系統6の連結部材26とほぼ同様の構造であるが、一部異なる構成を有する。すなわち、連結部材29は、間隔維持部55の長さが第1搬送系統の間隔維持部52の長さよりも若干長く、連結段部56a、56bに突条ガイド部材66を挿通可能なガイド用孔57を有する。なお、このガイド用孔57は、前記したガイド側開口38と同様、平面視形状が円形を呈した孔である。
【0071】
そして、上記構成を備えた第2搬送系統7は、前記第1搬送系統6同様、
図3に示すように、2つの直線部材12a、12bを、その長手方向が平行となるような姿勢で並べ、さらにその姿勢を維持するべく、連結部材29を用いて連結されている。
【0072】
そして、このようにして連結された2つの直線部材12a、12bの回避用切欠き39及び軸挿通用切欠き46に、搬送用伝達手段25の回転軸40が配されている。より詳細には、回転軸40は、長手方向両端部側を、回避用切欠き39及び軸挿通用切欠き46を介して、直線部材12a、12b内に配している。そして、その状態の回転軸40を、公知のボールベアリングを具備した支持部材62を用いて、連結部材29に固定している。
また、この連結部材29には、第1搬送系統6と同様、
図3に示すように、搬送用駆動源23も固定されている。
なお、直線部材12a、12bの内部における各部材の位置関係においては、前記第1搬送系統6とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0073】
次に、昇降手段3について説明する。
昇降手段3は、
図2に示すように、搬送系統6、7ごとに独立して設けられた2つの昇降装置13、15を有する。すなわち、昇降手段3は、第1搬送系統6を昇降する第1昇降駆動源18を有した第1昇降装置13と、第2搬送系統7を昇降する第2昇降駆動源19を有した第2昇降装置15とで構成されている。
【0074】
第1昇降装置13は、
図13に示すように、第1昇降駆動源18の他、第1搬送系統6に動力を入力する複数(本実施形態では4つ)のカム部材16a〜16dと、第1昇降駆動源18の動力を複数のカム部材16a〜16dに伝達する昇降用伝達手段17とで構成されている。
【0075】
第1昇降駆動源18は、前記した搬送用駆動源23とほぼ同一の構造を有したギヤードモータが採用されている。すなわち、第1昇降駆動源18は、筐体80内にモータ81と減速機82が内蔵されており、筐体80に対して、出力軸83を回転させる構成である。そして、本実施形態では、
図3、13に示すように、第1昇降駆動源18の出力軸83に、公知のプーリ85が挿着されている。なお、プーリ85には、後述する昇降用伝達手段17の伝動用ベルト86が懸架される。
【0076】
4つのカム部材16a〜16dは、いずれも公知の板カムであり、
図14に示すように、カム本体34と、そのカム本体34の厚み方向に貫通した軸用開口63と、カム本体34の一方の平面から突出した突起部65とで構成されている。軸用開口63は、カム本体34の中心からずれた偏心位置に設けられた開口であり、カム部材16の回動基準となる。突起部65は、軸用開口63の周囲に配されており、後述する昇降用伝達手段17のリンク部材58が接続される部分である。
【0077】
なお、本実施形態では、突起部65の位置が異なるカム部材16が2種類用意されており、同一のリンク部材58で接続されるカム部材同士は、同一種類のカム部材を用いる構成とされている。具体的には、この2種類のカム部材16は、カム本体34を同一の姿勢にした状態で、突起部65の位置が、軸用開口63を中心に90°異なる関係を有する。そして、本実施形態では、
図15(a)に示す軸用開口63の上方に突起部65aが配されたカム部材を、カム部材16a、16bに採用し、
図15(b)に示す軸用開口63の右方(軸用開口63を基準として、前記突起部65aを時計回り方向に90°回転した方向)に突起部65bが配されたカム部材を、カム部材16c、16dに採用している。
【0078】
昇降用伝達手段17は、
図13に示すように、環状を呈した無端状の伝動用ベルト86と、伝動用ベルト86が懸架される公知のプーリ87と、プーリ87と同期的に回転する主回転軸47と、主回転軸47と同期的に回転する従回転軸48と、主回転軸47の回転力を従回転軸48に伝達する2つのリンク部材58a、58bとを備えている。
【0079】
そして、本実施形態の昇降用伝達手段17は、
図3に示すように、主回転軸47と従回転軸48の長手方向(軸線方向)を平行となるように並べ、リンク部材58a、58bによって、動力伝達可能な状態に接続している。具体的には、主回転軸47は、従回転軸48よりも搬送方向上流側に配し、それぞれの軸端部側でリンク部材58a、58bによる接続を行っている。
【0080】
より詳細に説明すると、主回転軸47と従回転軸48の両端部には、前記したカム部材16が1つずつ挿着されており、そのカム部材16の突起部65を介して、主回転軸47と従回転軸48とを接続している。そして、主回転軸47には、長手方向中途の位置にプーリ87が挿着され、そのプーリ87に伝動用ベルト86が懸架されている。すなわち、主回転軸47は、プーリ87に入力された第1昇降駆動源18の動力によって、回転運動を行う。
【0081】
主回転軸47が回転すると、その回転力が主回転軸47の両端に挿着されたカム部材16b、16cからリンク部材58に伝わり、従回転軸48の両端に挿着されたカム部材16a、16dに入力される。そして、カム部材16a、16dを介して、従回転軸48に回転力が入力される。このように、本実施形態の昇降用伝達手段17は、主回転軸47と、従回転軸48と、2つのリンク部材58a、58bによって、ほぼ同時に、4つのカム部材16a〜16dに対して、第1昇降駆動源18の動力が入力でき、その作用によって、その4つのカム部材16a〜16dをほぼ同一の姿勢に変更できるものである。
【0082】
なお、本実施形態では、主回転軸47及び従回転軸48を、公知のボールベアリングを具備した支持部材62を用いて、土台形成部材5に固定している。
また、本実施形態の第1昇降装置13では、主回転軸47から従回転軸48への円滑な動力伝達を可能にするべく、
図13の左右の位置において、前記した種類が異なるカム部材が配されている。すなわち、主回転軸47及び従回転軸48の左側には、
図15(a)に示すカム部材が採用されており、主回転軸47及び従回転軸48の右側には、
図15(b)に示すカム部材が採用されている。したがって、本実施形態では、回転軸47、48の両端に、突起部65が設けられた位置が90°異なるカム部材が挿着されている。
【0083】
第2昇降装置15は、第1昇降装置13と主要な構造が同一であり、部材の大きさ及び位置関係が若干異なるだけである。そのため、以下においては、第1昇降装置13と同一の部材等に関しては同一の番号を付し、具体的説明を省略する。
【0084】
第2昇降装置15は、第2昇降駆動源19の他、第2搬送系統7に動力を入力する複数(本実施形態では4つ)のカム部材16a〜16dと、第2昇降駆動源19の動力を複数のカム部材16a〜16dに伝達する昇降用伝達手段17とで構成されている。
第2昇降駆動源19は、前記第1昇降駆動源18と同一の構造のものが採用されているため、説明を省略する。
また、第2昇降装置15を構成する各部材の位置関係は、前記した第1昇降装置13における主回転軸47と従回転軸48との位置関係が逆転するだけで、その他の位置関係についてはほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0085】
次に、本実施形態の搬送装置1における各部材の位置関係について説明する。
本実施形態の搬送装置1は、搬送手段2によって物品を搬送するブレード状の搬送面Sを形成すると共に、搬送手段2が有する2系統の搬送系統6、7を効率的に機能させるべく、昇降手段3が2つの昇降装置13、15を有し、その昇降装置13、15によって各搬送系統6、7を独立的に昇降可能な構成である。すなわち、本実施形態の搬送装置1は、その最上部に搬送手段2を配し、その下方に昇降手段3を配した構成である。具体的には、搬送装置1は、
図2、16に示すように、その最下部に配された土台形成部材5の空間D内に昇降手段3を配し、その昇降手段3からの動力が入力されるように、昇降手段3の上方に搬送手段2が配されている。
【0086】
より詳細に説明すると、
図16に示すように、昇降手段3は、各昇降装置13、15の主回転軸47及び従回転軸48を、土台形成部材5の2つの筐体型部材60a、60bに直交状態で跨るように配しており、その回転軸47、48を軸支する支持部材62によって、筐体型部材60a、60bに固定されている。換言すれば、各昇降装置13、15は、各2つのリンク部材58a、58bを搬送方向に沿うような姿勢にして、ベース本体50に固定されている。
【0087】
また、視点を変えて昇降手段3を観察すると、第2昇降装置15の回転軸47、48及びリンク部材58が形成する方形状の内側に、第1昇降装置13が配されている。すなわち、本実施形態では、いずれの昇降装置13、15も、一方の昇降動作が他の昇降動作に干渉し得ない位置関係である。換言すれば、各昇降装置13、15は、対応するいずれかの搬送系統6、7を独立的に昇降させることが可能な配置である。
なお、本実施形態では、土台形成部材5の搬送方向上流側(
図16の奥行き側)に配された板状部材61aに、第1昇降駆動源18が固定され、土台形成部材5の搬送方向下流側(
図16の手前側)に配された板状部材61bに、第2昇降駆動源19が固定されている。
【0088】
そして、
図2に示すように、この状態の昇降手段3の上方に、搬送手段2が載置されている。すなわち、昇降手段3の動力を搬送手段2に伝達するべく、搬送手段2は、昇降手段3のカム部材16上に載置されている。具体的には、搬送手段2は、第1搬送系統6の直線部材11を搬送方向に沿うような姿勢にして、第1昇降装置13のカム部材16上に載置され、また第2搬送系統7の直線部材12を搬送方向に沿うような姿勢にして、第2昇降装置15のカム部材16上に載置されている。そしてこれに伴い、第1搬送系統6と第2搬送系統7は、第1昇降装置13と第2昇降装置15との位置関係に追従して、直線部材11a、11bが直線部材12a、12bの間に位置する関係となる。
【0089】
さらに、搬送手段2と昇降手段3との関係を詳細に説明すると、
図17に示すように、搬送系統6、7における直線部材11、12の固定側部材22、28側に軸支された受動部材45が、カム部材16上に載置されている。そして、
図18、19に示すように、搬送手段2は、受動部材45以外の部位が昇降手段3のいずれの部位にも接することがない位置関係を形成している。すなわち、搬送手段2は、カム部材16上に載置された状態において、昇降手段3の回転軸47、48やリンク部材58のいずれにも干渉されることがなく、カム部材16からのみ動力が伝達する位置関係である。
【0090】
また、本実施形態の搬送装置1は、
図2に示すように、第1搬送系統6と第2搬送系統7とが互いに干渉し合うことのない関係である。具体的には、搬送装置1は、
図20に示すように、第1搬送系統6の外側に配された第2搬送系統7が有する回転軸40が、第1搬送系統6のいずれにも干渉しない配置にされている。
【0091】
一方、昇降手段3に載置された搬送手段2と、土台形成部材5とは、土台形成部材5に固定された複数(本実施形態では8本)の突条ガイド部材66によって、接続関係が構築されている。すなわち、本実施形態では、
図3に示すように、土台形成部材5の筐体型部材60a、60bの長手方向両端側に2つずつの突条ガイド部材66が設置されており、その各突条ガイド部材66に、搬送手段2における直線部材11、12のガイド側開口38や、搬送手段2における連結部材29のガイド用孔57が挿通されて、一定の関係が形成されている。
【0092】
より詳細には、特に図示はしないが、搬送方向下流側においては、第1搬送系統6及び第2搬送系統7は、ガイド側開口38のみが突条ガイド部材66に挿通されており、搬送方向上流側においては、第1搬送系統6は、ガイド側開口38のみが突条ガイド部材66に挿通され、第2搬送系統7は、ガイド側開口38及びガイド用孔57が突条ガイド部材66に挿通されている。すなわち、搬送方向上流側においては、第2搬送系統7に限って、ガイド側開口38とガイド用孔57が連通状態にされており、その連通孔に突条ガイド部材66が挿通されている。つまり、搬送手段2は、土台形成部材5に設けられた突条ガイド部材66を介して繋がることにより、昇降移動の方向が制限される。
なお、本実施形態の突条ガイド部材(昇降案内部材)66は、土台形成部材5のベース本体50から垂直に立ち上がった円筒状の部材であるため、搬送手段2の昇降方向を鉛直方向にガイドする機能を有する。
【0093】
次に、本実施形態の搬送装置1の動作について説明する。
本実施形態の搬送装置1は、上述したように、搬送手段2が有する各搬送系統6、7によって物品の搬送を可能としたものであり、さらに昇降手段3が有する昇降装置13、15によって各搬送系統6、7の独立的な昇降を可能としている。すなわち、本実施形態の搬送装置1の主な動作としては、搬送系統6、7によって物品を搬送する搬送動作と、昇降装置13、15によって搬送系統6、7を昇降する昇降動作がある。そして、本実施形態では、搬送系統6、7と昇降装置13、15のそれぞれを、個々に動作させることで、搬送装置1による物品の搬送の円滑化を図っている。
以下に、搬送装置1の具体的な動作について説明する。
【0094】
例えば、コンベアラインの一部を構成するいずれかの搬送装置(以下、単に自己の装置ともいう)1に、パレット等に載置された物品等Wが搬入されてくる場合を例に説明すると、この場合、自己の装置1は、搬送方向上流側における在荷情報に基づいて自身の動作の制御が開始される。すなわち、自己の装置1よりも上流側で物品等Wが搬送されていれば、公知の在荷センサ(図示しない)等によって在荷が確認され、その情報に基づいて、自己の装置1を動作する。
【0095】
すなわち、自己の装置1は、その装置1の上流側の在荷情報に基づいて、通常搬送動作を実施する。通常搬送動作では、まず、
図21のフローチャートに従って、搬送手段2のいずれか一方の搬送系統、例えば第1搬送系統6が高位姿勢に制御される(ステップ1)。つまり、ステップ1では、動作対象の搬送系統(以下、動作系統ともいう)の動作直前の姿勢(以下、動作前姿勢という)が、低位姿勢であれば、昇降手段3によって高位姿勢に変更され、また動作系統の動作前姿勢が既に高位姿勢であれば、昇降手段3を動作させずにその高位姿勢が維持される。
【0096】
なお、以下においては、自己の装置1よりも上流側で在荷が確認された際に、いずれの搬送系統6、7も
図22(a)に示す低位姿勢の状態であり、且つ、それらの直線移動側部材21、27が、
図24(a)に示す搬送方向所定の位置(固定側部材22、28に対して移動可能な可動領域Tにおける搬送方向最上流側)にあるものとして説明する。
【0097】
したがって、ステップ1では、動作前姿勢が低位姿勢の第1搬送系統6を高位姿勢にするべく、第1昇降装置13の第1昇降駆動源18を駆動し、カム部材16を所定の方向に回転する。より詳細には、
図22(a)に示す低位姿勢の第1搬送系統6は、
図23(a)に示すように、受動部材45が最下部αまで下げられた状態であるため、第1昇降駆動源18を反時計回り(以下、正回転方向ともいう)に駆動して、主回転軸47及び従回転軸48を正回転方向に回転し、カム部材16を正回転方向に回動する。すると、
図23(b)に示すように、カム部材16上に載置された受動部材45が、カム部材16に沿って鉛直方向に変位する。すなわち、受動部材45は、鉛直方向上方側に所定量X変位するため、それに連動して直線部材11が上昇する。
【0098】
そして、直線部材11の上昇動作は、
図23(c)に示すように、受動部材45が最上部に持ち上げられるまで継続される。すなわち、本実施形態では、直線部材11の上昇動作は、受動部材45が最下部に位置する状態を基準に、カム部材16を正回転方向に概ね90°回動するまで実施される。そして、第1搬送系統6の受動部材45が、最上部βに至ることで、当該第1搬送系統6が
図22(b)に示す高位姿勢となる。
なお、本実施形態では、昇降手段3を構成するいずれかの動作位置を検出するべく、非接触型の近接センサ(図示しない)が設けられており、その近接センサに検知信号に基づいて、昇降駆動源18、19の回転制御が行われている。
また、本発明では、昇降駆動源18、19の回転制御を、近接センサに替えて、パルス制御等によって行っても構わない。
【0099】
そして、第1搬送系統6が高位姿勢に至り、所定の条件(例えば、第1搬送系統6が高位姿勢に至ってから一定時間経過あるいは搬送装置1に物品等Wが搬入する等の条件)が満たされると、ステップ2に移行して、その第1搬送系統6による搬送動作を実施する。すなわち、ステップ2では、第1搬送系統6の搬送用駆動源23を駆動し、搬送面Sが形成された直線部材11の直線移動側部材21を物品等Wの搬送方向(以下、往路方向ともいう)に直線移動させる。
【0100】
より詳細には、第1搬送系統6の搬送用駆動源23を反時計回り(以下、正回転方向ともいう)に駆動して、回転軸40を正回転方向に回転し、ラックアンドピニオン構造の一部を形成する歯車41を正回転方向に回転する。すると、その歯車41と係合したラックアンドピニオン構造の残部を形成するラック部材42が、
図24(b)に示すように、往路方向(
図24の左方向)に送り出される。すなわち、搬送用駆動源23を正回転させることで、ラック部材42が固定された直線移動側部材21が往路方向に移動する。換言すれば、直線移動側部材21は、固定側部材22に対して相対的に往路方向に移動する。こうして、直線移動側部材21上に載置された物品等Wを、直線移動側部材21と共に往路方向に移動する搬送動作が実施される。
なお、本実施形態では、搬送手段2を構成するいずれかの動作位置を検出するべく、非接触型の近接センサ(図示しない)が設けられており、その近接センサに検知信号に基づいて、搬送用駆動源23の回転制御が行われている。
また、本発明では、搬送用駆動源23の回転制御を、近接センサに替えて、パルス制御等によって行っても構わない。
【0101】
また同時に、ステップ2では、搬送動作が実行されない他方の搬送系統、つまり第2搬送系統7が、低位姿勢且つ搬送方向所定の位置にセットされた状態に制御される(搬送準備動作)。すなわち、搬送装置1は、一方の搬送系統6の搬送動作を実施すると同時に、他方の搬送系統7の搬送準備動作を実施する。
なお、本実施形態では、前記したように、第1搬送系統6の搬送動作を実施した時点で、第2搬送系統7の動作前姿勢が、既に低位姿勢且つ搬送方向所定の位置にセットされていたため、この搬送準備動作のタイミングにおいては、第2搬送系統7の第2昇降装置15及び搬送用駆動源23は駆動されない。
【0102】
そして、第1搬送系統6によって搬送動作が実施されてから所定のタイミングに至ると、
図22(c)に示すように、搬送動作を実施しなかった他方の搬送系統、つまり本実施形態では第2搬送系統7が高位姿勢に制御し、搬送動作を実施する(ステップ3)。すなわち、ステップ3では、第2搬送系統7の第2昇降駆動源19を正回転方向(又は時計回り方向(逆回転方向))に駆動し、カム部材16を正回転方向に回動する。これにより、第2搬送系統7では、第1搬送系統6と同様、カム部材16上に載置された受動部材45が、鉛直方向上方に上昇し、直線部材12が連動的に上昇する。また同時に、第2搬送系統7では、第1搬送系統6と同様、搬送用駆動源23を正回転させて、ラック部材42が固定された直線移動側部材27を往路方向に移動する。
【0103】
こうして、所定のタイミングに至り、ステップ3の動作が実施されると、
図22(c)に示すように、2つの搬送系統6、7が高位姿勢となり、その2つの搬送系統6、7によって一時的に物品等Wを搬送するタイミングが発生する。
なお、ここで言う「所定のタイミング」とは、直線移動側部材が、可動領域Tにおける搬送方向際下流側に到達するまでのタイミングであって、好ましくは、可動領域Tの中央〜可動領域Tの3/4程度の距離に到達したタイミングである。すなわち、本実施形態では、直線移動側部材21が、往路方向に移動し、
図24(b)に示す状態から若干遅れたタイミングで、ステップ3の動作を実行する。
【0104】
そしてその後、ステップ4に移行して、
図22(d)に示すように、先行して搬送動作を実施した搬送系統、つまり本実施形態では第1搬送系統6を低位姿勢に制御して、搬送準備動作を実施する。すなわち、2つの搬送系統6、7で物品等Wを同時に搬送した後、第1搬送系統6の第1昇降駆動源18を時計回り方向(以下、逆回転方向ともいう)に駆動し、カム部材16を逆回転方向に回動する。これにより、第1搬送系統6では、カム部材16上に載置された受動部材45が、鉛直方向下方に向けて下降し、直線部材11が連動的に下降する。
【0105】
また同時に、第1搬送系統6では、搬送用駆動源23を逆回転させて、
図24(d)、(e)に示すように、ラック部材42が固定された直線移動側部材21を物品等Wの非搬送方向(以下、復路方向ともいう)に移動する。すなわち、第1搬送系統6は、搬送準備動作によって、再び、動作前姿勢であった、低位姿勢、且つ、可動領域Tにおける搬送方向最上流側の位置にセットされる(
図22(d)、
図24(e))。
なお、本実施形態では、直線移動側部材21、27を復路方向に移動させる速度が、往路方向に移動させる速度に比べて、高速に設定されている。すなわち、搬送準備動作における直線移動側部材21、27の戻り速度を、搬送速度よりも高速にすることで、搬送動作の円滑化が図られている。
【0106】
このように、第2搬送系統7による搬送動作の実施を開始してから、第1搬送系統6の搬送準備動作の実施が開始されると、物品等Wは、第2搬送系統7のみによって搬送される状態となる(
図22(d))。そして、第2搬送系統7による搬送動作が実施されて、前記同様所定のタイミングに至ると、再びステップ3と同様の動作が実施される。すなわち、第2搬送系統7による搬送動作を維持した状態で、第1搬送系統6が高位姿勢に制御されて、2つの搬送系統6、7による同時搬送動作を行った後、再び第1搬送系統6による搬送動作が実施される。
【0107】
そして、本実施形態では、物品等Wを自己の装置1の下流側に搬出するべく、前記したステップ3以降の動作が繰り返し実施される。すなわち、通常搬送動作では、物品が自己の装置1の下流側に搬出されるまで、第1搬送系統6と第2搬送系統7を交互に搬送動作に寄与させる制御が行われる。
【0108】
なお、本実施形態では、自己の装置1に図示しない在荷センサ等が設けられており、そのセンサから得られる在荷情報に基づいて、物品の搬出の有無が確認されている。すなわち、本実施形態では、通常搬送動作の最中、常に自己の装置1の在荷情報が確認されており、在荷が確認された時点で、当該動作を停止させることが可能である。
【0109】
以上のように、本実施形態では、2系統の搬送系統6、7によって搬送手段2が構成され、その搬送系統6、7のそれぞれが搬送方向に延びた直線部材11、12を有するため、搬送系統6、7による搬送面Sには、ローラコンベア装置のように、搬送方向に隣り合うローラ間に形成されるような隙間はない。そのため、本実施形態では、コンベアライン上に一時的に物品等Wが保管された場合であっても、その物品の荷重を受けるパレット等の底部には、ローラコンベア装置のように、並列的(単一の場合も含む)な変形部(凹部)が形成されることがない。すなわち、本実施形態では、物品が載置されるパレット等の底部が、搬送方向に並列的に並べられたローラ間に食い込んだ状態に至ることはなく、コンベアライン上に物品等Wを一時的に保管しても、その後の物品等Wの搬送に支障を来すことはない。その結果、本実施形態によれば、倉庫等の施設に採用した場合であっても、高い作業効率を確保することができる。
【0110】
また、本実施形態では、物品等Wを搬送方向下流側に向けて搬送する際において、高位姿勢の搬送系統を往路方向に移動する搬送動作と、低位姿勢の搬送系統を復路方向に移動あるいは低位姿勢の搬送系統をいずれの方向にも移動させない搬送準備動作を並行して行う制御が実行される。そして、所定のタイミングで、搬送に寄与しなかった低位姿勢の搬送系統の姿勢を高位姿勢に変更し、その後、先行的に搬送に寄与した高位姿勢の搬送系統の姿勢を低位姿勢に変更する。これにより、いずれかの搬送系統が往路方向の端部まで行き着いたとしても、その搬送動作と並行して搬送準備動作を行った他のいずれかの搬送系統が、高位姿勢に変更されて、往路方向に向けて移動させることができるため、物品等Wはコマ送りのような動作(しゃくり動作)で搬送されることなく、連続的にスムーズに搬送される。
【0111】
また、本実施形態では、上記通常搬送動作機能に加え、所定の条件を満足した際に実施される初期搬送動作機能を備えている。すなわち、本実施形態では、搬送装置1に電源を投入した直後に搬送用駆動源23を駆動する場合や、搬送用駆動源23を長期間停止した状態から当該搬送用駆動源23を駆動する場合等に、通常搬送動作に先立って、初期搬送動作が実施される機能が備えられている。
以下に、初期搬送動作について説明する。
【0112】
初期搬送動作は、
図25のフローチャートに従えば、まず、搬送手段2の2つの搬送系統6、7が同時に高位姿勢に制御される(ステップ11)。すなわち、ステップ11においては、第1昇降装置13と第2昇降装置15が同時に駆動され、低位姿勢の2つの搬送系統6、7を、高位姿勢に至るまで上昇させる。そして、ステップ12に移行して、搬送系統6、7双方による搬送動作を実施する。すなわち、搬送初期に2つの搬送系統6、7による搬送動作を実施することで、搬送駆動力を実質的に増大することができるため、初期の搬送動作が円滑となる。
【0113】
そして、ステップ13に移行して、2つの搬送系統6、7のうちのいずれか一方の搬送系統、例えば第1搬送系統6を低位姿勢にし、復路方向に戻す搬送準備動作を実施する。そして、これを機に、初期搬送動作を終了し、通常搬送動作に移行する。
このように、停止状態の搬送用駆動源23を駆動する場合において、初期搬送動作を実施することにより、2つの搬送系統6、7の搬送用駆動源23を同時に駆動させるため、初期の搬送駆動力を実質的に増大することができる。この結果、搬送手段2の搬送用駆動源23を駆動制御したにも関わらず、物品が搬送されないという不具合の発生が防止され、その後の通常搬送動作のスムーズな実施が可能となる。
【0114】
上記実施形態では、搬送手段2が2つの搬送系統6、7を備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、3つ以上の搬送系統を備えた構成であっても構わない。
【0115】
上記実施形態では、シーチャンネル構造の直線移動側部材21、27や固定側部材22、28を用いた直線部材11、12を採用した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、断面形状が円弧状のものや、矩形状のものなど他の形状を呈した部材を用いた直線部材を採用した構成であっても構わない。
【0116】
上記実施形態では、搬送用駆動源23や昇降駆動源18、19として、ギヤードモータを採用した構成を示したが、本発明はこれに限定されず、公知のモータ内蔵ローラを採用した構成であっても構わない。また、その場合、モータ内蔵ローラの軸を回転させて回転力を出力する構成と、モータ内蔵ローラのローラ本体を回転させて回転力を出力する構成のいずれを採用しても構わない。