(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069610
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ライン光照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20170123BHJP
F21V 5/00 20150101ALI20170123BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20170123BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20170123BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V5/00 510
F21V5/04 100
F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-4367(P2012-4367)
(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公開番号】特開2013-143350(P2013-143350A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】596099446
【氏名又は名称】シーシーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(72)【発明者】
【氏名】板垣 忠司
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
【審査官】
石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/078791(WO,A1)
【文献】
特開2008−251230(JP,A)
【文献】
特開2011−129916(JP,A)
【文献】
特開2010−118456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00−5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺基板に複数のLEDパッケージが長手方向に沿って列状に配設されてなる発光ユニットと、前記発光ユニットの上部に長手方向に沿って設けられる長尺な集光部材とを備え、前記集光部材により集光されたライン状の光を射出するライン光照明装置であって、
前記LEDパッケージが、第1の方向及び前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って格子の交点上に位置するように所定間隔で配置されるとともに、光軸が互いに平行な複数のLED素子を有しており、
前記各LED素子が紫外線を射出するものであり、
前記LEDパッケージの配列方向と前記LED素子が配置された第1の方向及び第2の方向とが異なっていることを特徴とするライン光照明装置。
【請求項2】
前記LEDパッケージの配列方向と前記LED素子が配置された第1の方向及び第2の方向とが略45°の角度で交わっている請求項1記載のライン光照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLEDパッケージを用い、ライン状の光を照射することができるライン光照射装置に関し、特に、接着剤等に紫外線を照射して硬化するために好適に用いられるものに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ライン光照射装置として、特許文献1に示すように、複数のLEDパッケージを1列に複数並べた発光ユニットを備えたものが知られている。
【0003】
このようなライン光照射装置の発光ユニット3´において、長尺配線基板31´に複数のLEDパッケージ32´を搭載する場合は、通常、
図11に示すように、LEDパッケージ32´の配列方向とLEDパッケージ32´の縦(又は横)方向とを一致させている。しかし、
図12に示すように、LEDパッケージ32´として複数のLED素子322´(この図に示す態様では4個)が実装されたものを使用した場合は、LEDパッケージ32´の配列方向とLEDパッケージ32´の縦(又は横)方向とを一致させると、
図13に示すように、横方向(BB線方向)の放射照度分布に2つのピークが形成され、放射照度ムラができやすく、接着剤等に紫外線を照射して硬化するために充分な放射照度となるように集光するのが難しいという不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−93227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みなされたものであって、放射照度ムラが解消されたライン光照射装置を提供することをその主たる所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係るライン光照明装置は、長尺基板に複数のLEDパッケージが長手方向に沿って列状に配設されてなる発光ユニットと、前記発光ユニットの上部に長手方向に沿って設けられる長尺な集光部材とを備え、前記集光部材により集光されたライン状の光を射出するライン光照明装置であって、前記LEDパッケージが、第1の方向及び前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って格子の交点上に位置するように所定間隔で配置されるとともに、光軸が互いに平行な複数のLED素子を有しており、
前記各LED素子が紫外線を射出するものであり、前記LEDパッケージの配列方向と前記LED素子が配置された第1の方向及び第2の方向とが異なっていることを特徴とする。なお、前記長尺な集光部材としては、例えば、ロッドレンズや、シリンドリカルレンズ、長尺な反射面を備えたリフレクタ部材等が挙げられる。
【0007】
このようなものであれば、横方向の放射照度分布に複数のピークが形成されることを防ぐことができるので、横方向の放射照度ムラを解消することができる。また、本発明によれば、放射照度のピーク値の大きさと放射照度の積分値の大きさとをLEDパッケージの配置角度の調整のみで制御できる。
【0008】
本発明に係るライン光照明装置としては、例えば、前記LEDパッケージの配列方向と前記LED素子が配置された第1の方向及び第2の方向とが略45°の角度で交わっているものが好適に用いられる。このようなものであれば、LEDパッケージの配列の中心線上に最も多くのLED素子を位置させて、当該中心線から横方向に向けて徐々にLED素子の数を減らすことができるので、LEDパッケージからの光を幅の狭いライン状に集光させることが可能となり、横方向の放射照度ムラを解消することができる。このため、LEDパッケージからの光を接着剤等に紫外線を照射して硬化するために充分な放射照度となるように集光することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
このような構成の本発明によれば、横方向の放射照度ムラが解消された均一な光をワークに照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るライン光照射装置の全体斜視図。
【
図2】同実施形態に係るライン光照射装置の高さ方向の断面図。
【
図3】同実施形態における発光ユニットの全体斜視図。
【
図4】同実施形態におけるLEDパッケージの平面図。
【
図5】同実施形態におけるLEDパッケージの高さ方向の断面図。
【
図6】同実施形態における発光ユニットの部分平面図。
【
図7】同実施形態における発光ユニットの横方向の放射照度分布を示す図。
【
図8】他の実施形態における発光ユニットの部分平面図。
【
図9】他の実施形態におけるLEDパッケージの平面図。
【
図10】他の実施形態に係るライン光照射装置の要部を示す概念図。
【
図13】従来の発光ユニットの横方向の放射照度分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係るライン光照射装置1は、例えば接着剤等に紫外線を照射して硬化するために用いられるものであり、具体的には、
図1〜3に示すように、ケーシング2と、帯状のプリント配線基板31に複数のLEDパッケージ32を1列に搭載してなる発光ユニット3と、発光ユニット3の上部に設けられたロッドレンズ4と、を備えている。なお、以下の説明で、LEDパッケージ32の配列方向を縦方向ともいい、その縦方向に直交しかつケーシング2の側板22、23と直交する方向を横方向、前記縦方向に直交しかつケーシング2の底板21と直交する方向を高さ方向ともいう。
【0013】
以下に各部を詳述する。
ケーシング2は、
図1及び
図2に示すように、発光ユニット3、ロッドレンズ4及び保護板6を収容するものである。具体的にケーシング2は、長尺金属製で、長手方向(延伸方向)に直交する断面が概略コの字形状をなすものであり、長手方向に延びる底板21及びこの底板21の長手方向両辺から上部に延びる一対の左右側板22、23を有する。このケーシング2は、押し出し又は引き抜き成型した一体ものであり、底板21の裏面には、発光ユニット3からの熱を外部に放出するための放熱フィンFが長手方向に沿って複数枚設けられている。さらに底板21及び左右側板22、23には、ライン光照射装置1を外部部材(例えばラック等)に取り付けるための取付溝2Mが設けられている。また、ケーシング2の長手方向一端部及び他端部には、エンドプレート24、25がねじ等により固定される。これにより、ケーシング2は、上部に概略矩形状の光射出口2Hが形成される。なお、エンドプレート25からはLEDパッケージ32に電力を供給するための電気ケーブル8が延出している。
【0014】
発光ユニット3は、
図3及び
図6に示すように、帯状のプリント配線基板31の表面に、複数のLEDパッケージ32を、光軸を一定方向に揃えて略直線状に1列に搭載したものである。
【0015】
LEDパッケージ32は、
図4及び
図5に示すように、上端面に開口する凹部を有する基体321と、凹部の底面に実装されたLED素子322と、LED素子322を封止する封止部323と、を備えたものである。
【0016】
基体321は、上端面に開口する凹部を有するものであり、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等の熱伝導率が高い絶縁材料を成型してなるものが挙げられる。
【0017】
基体321は、その凹部の底面に後述するLED素子322を実装するものであるが、当該底面には、LED素子322が電気的に接続されるための配線導体(図示しない。)が形成されている。この配線導体が基体321内部に形成された配線層(図示しない。)を介してLEDパッケージ32の外表面に導出されて外部電気回路基板に接続されることにより、LED素子322と外部電気回路基板とが電気的に接続される。
【0018】
基体321の凹部内面には、銀、アルミニウム、金等の金属メッキ等が施されることにより高反射率の金属薄膜が形成されており、リフレクタとして機能している。そして、基体321の凹部は開口に向かって徐々に拡開するように構成されており、凹部側面で反射した光がLEDパッケージ32の外部に導出されやすいように構成されている。
【0019】
LED素子322は、窒化ガリウム系化合物半導体を下(凹部の底面側)にして凹部の底面に半田バンプや金バンプ等(図示しない。)を用いてフリップチップ実装されている。本実施形態では、4個のLED素子322がLEDパッケージ32に実装されている。
【0020】
封止部323は、基体321の凹部に充実されてその内部にLED素子322を封止するものであり、透光性及び耐熱性に優れ、LED素子322との屈折率差が小さいシリコーン樹脂封止剤やガラス等からなるものである。
【0021】
本実施形態では、LEDパッケージ32の配列方向とLED素子322の縦横の配列方向(図中、第1の方向及び第2の方向。なお、第1の方向と第2の方向とは逆であってもよい。)とは異なっており、LEDパッケージ32の配列方向とLED素子322の縦横の配列方向とが略45°の角度で交わるようにLEDパッケージ32が配設されている。
【0022】
ロッドレンズ4は、ケーシング2の左右側板22、23の長手方向の長さと略同一長さを有する等断面概略円形状をなす集光レンズである。このロッドレンズ4は、ケーシング2内において発光ユニット3の上部に長手方向に沿って設けられて、発光ユニット3に搭載された複数のLEDパッケージ32に対して所定位置となるように固定される。具体的には、ロッドレンズ4の光軸C2と複数のLEDパッケージ32の光軸C1とが一致するとともに複数のLEDパッケージ32に対してロッドレンズ4が所定距離離間するように固定される。なお、ロッドレンズ4の光射出側前方(上部)には、保護板6が設けられており、この保護板6は、熱膨張することから、左右側板22、23の内面に形成されたスライド溝7により若干の遊びを持って装着されている。
【0023】
このように構成した本実施形態に係るライン光照射装置1によれば、LEDパッケージ32の配列方向とLED素子322の縦横の配列方向とが略45°の角度で交わっているので、LEDパッケージ32の配列の中心線上に最も多くのLED素子322を位置させて、当該中心線から横方向に向けて徐々にLED素子322の数を減らすことができるので、
図7に示すように、LEDパッケージ32からの光を細いライン状に集光させることが可能となり、横方向の放射照度ムラを解消することができる。このため、LEDパッケージ32からの光を接着剤等に紫外線を照射して硬化するために充分な放射照度となるように集光することが可能となる。
【0024】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0025】
例えば、
図8に示すように、4個のLED素子322が横方向に均等な間隔を空けて位置するように、LEDパッケージ32を傾けて配設してもよい。このようにLEDパッケージ32を配設することにより、より幅の広いライン状の光を横方向の放射照度ムラなく射出することができる。
【0026】
図6に示す前記実施形態と
図8に示す実施形態とを比較すると、
図6に示す前記実施形態の方が放射照度のピーク値は大きいが、放射照度の積分値は
図8に示す実施形態の方が大きい。
【0027】
接着剤を硬化させるために必要な紫外線の放射照度の最低ピーク値は、接着剤の種類によって異なる。そして、接着剤を硬化させるためには、その接着剤を硬化可能な最低限のピーク値があれば、放射照度の積分値が大きいほど接着剤を早く硬化できる。このため、接着剤の種類によっては
図8に示す実施形態の方が適している。特に、
図8に示す実施形態は、例えばコピー機のように搬送されている照射対象に紫外線を照射するものであり、接着剤を硬化させる面積が広く、硬化速度が要求されものに適している。
【0028】
このように本発明によれば、放射照度のピーク値の大きさと放射照度の積分値の大きさとをLEDパッケージの配置角度の調整のみで制御できる。
【0029】
また、
図9に示すように、LEDパッケージ32に実装されるLED素子322の数は特に限定されず、4個でなくともよく(
図9(a)参照)、また、n×n個でなくn×m個(nとmとは互いに異なる整数を表す。)であってもよい(
図9(b)参照)。
【0030】
本発明における長尺な集光部材としては、レンズに限られず、例えば
図10に示すような、長尺な反射面を備えたリフレクタ部材4´であってもよい。
図10に示す態様では、金属や樹脂からなるリフレクタ部材4´の内側面4´aは、LEDパッケージ32からの光を反射するシリンドリカル凹型反射面として機能するように蒸着面加工により鏡面にしてある。
【0031】
リフレクタ部材4´の内側面4´aに形成されているシリンドリカル凹型反射面を構成する楕円曲線Aは2つの焦点を有しており、その一方の焦点(第1焦点)F1に開口S1が位置するようにスリットSが配置され、他方の焦点(第2焦点)F2に照射目的点が位置するように照射面10が軸C3に略直交した状態で配置される。
【0032】
その他、本発明は上記の各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、前述した種々の構成の一部又は全部を適宜組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1・・・ライン光照射装置
31・・・プリント配線基板
32・・・LEDパッケージ
322・・・LED素子