特許第6069654号(P6069654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069654被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069654
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20170123BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20170123BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20170123BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H05H1/46 A
   H01L21/68 R
   C23C16/44 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-72576(P2013-72576)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197612(P2014-197612A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114410
【弁理士】
【氏名又は名称】大中 実
(74)【代理人】
【識別番号】100108992
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 信雄
(72)【発明者】
【氏名】富阪 賢一
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−244274(JP,A)
【文献】 特開2001−196309(JP,A)
【文献】 特開2009−044075(JP,A)
【文献】 特開平09−008010(JP,A)
【文献】 特開2007−067353(JP,A)
【文献】 特表2001−527285(JP,A)
【文献】 特開2007−258500(JP,A)
【文献】 特開2005−033062(JP,A)
【文献】 特開2010−123809(JP,A)
【文献】 特開2008−060487(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0000459(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/302、21/3065−21/31、
21/365、21/461、21/469、
21/67−21/683、21/86、
H05H 1/00− 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、
前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、
前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、
前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、
前記フォーカスリングの静電容量と前記空隙の静電容量との合成静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であことを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台。
【請求項2】
前記フォーカスリングの前記静電チャック本体と対向する下面に座繰り部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台。
【請求項3】
前記空隙は、前記静電チャック本体に設けられた冷却水路の上方に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台。
【請求項4】
前記フォーカスリングは、前記静電チャックの径方向外側に配置された環状の絶縁部材によって支持されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台。
【請求項5】
プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、
前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、
前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、
前記フォーカスリングの静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であり、
前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、
前記被処理基板がSiOウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiOであり、
前記被処理基板がSiCウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiCであることを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台。
【請求項6】
請求項1からの何れかに記載の被処理基板のプラズマ処理用載置台を具備することを特徴とするプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置に関する。特に、本発明は、熱応力による割れが生じ難いフォーカスリングを備えた被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、チャンバ内に所定の処理ガスを供給してプラズマ化させ、プラズマ化した処理ガスによって、チャンバ内の静電チャック上に載置された被処理基板にエッチング処理等を施すプラズマ処理装置が知られている。静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、静電チャック本体に高周波電力が印加されることで、静電チャックとプラズマとの間に電位差が生じる。この電位差により、プラズマ中のイオンが静電チャックに向けて移動し、被処理基板と衝突することで、被処理基板にエッチング処理等が施される。
ここで、チャンバ内のプラズマを被処理基板に集束させて、効率よくエッチング処理等を施すために、静電チャック上には、被処理基板を囲むようにフォーカスリングが取り付けられる場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来のフォーカスリングがブラズマ処理装置の静電チャック上に取り付けられた状態の一例を概略的に示す図である。図1(a)は平面図を、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図を示す。
図1に示すように、フォーカスリング1’は、プラズマ処理が施される被処理基板Sが載置される静電チャック2上に取り付けられる。具体的には、静電チャック本体21の被処理基板Sが載置される部位(上方に突出した部位)211を囲むように、静電チャック2上に取り付けられる(載置される)。従来は、フォーカスリング1’の下面のうち、静電チャック2と対向する下面1A’全体が、静電チャック2と接触している。
【0004】
静電チャック2には、被処理基板Sの下面を冷却するために、冷却水路23が設けられている。冷却水路23の入口231から出口232に向けて冷却水を流通させることで、静電チャック2、ひいてはこれに載置された被処理基板Sの下面が冷却される。この際、静電チャック2に接触しているフォーカスリング1’の下面1A’も冷却されることになる。
一方、フォーカスリング1’の上面は、被処理基板Sに集束されなかったプラズマ中のイオンが衝突することによって昇温する。従って、フォーカスリング1’の上下面には温度差が生じ、この温度差が顕著になると、熱応力によってフォーカスリング1’に割れが生じるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−159931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、熱応力による割れが生じ難いフォーカスリングを備えた被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、前記フォーカスリングの静電容量と前記空隙の静電容量との合成静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であことを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台を提供する。
【0008】
本発明に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台が備えるフォーカスリングの静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量は、被処理基板の静電容量と誘電層(静電チャック本体の上面に形成された誘電層)の静電容量との合成静電容量以下である。プラズマ中のイオンは、静電容量の高い金属製(例えばアルミニウム製)の静電チャック本体に向けて移動するが、静電チャック本体より手前に存在するフォーカスリングの静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量は、同じく静電チャック本体より手前に存在する誘電層の静電容量と被処理基板の静電容量との合成静電容量以下である。このため、プラズマ中のイオンは、被処理基板に向けて集束し易くなる。
本発明に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台は、フォーカスリングの下面と該下面に対向する静電チャック本体の上面との間に上記空隙が設けられている。空隙中の空気又は真空の比誘電率は、フォーカスリングの比誘電率よりも小さいため、フォーカスリングの静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量は、従来のように空隙が無い、すなわちフォーカスリングの下面と該下面に対向する静電チャック本体の上面とが接触している場合の静電容量(フォーカスリング単体の静電容量)よりも小さくなる。従い、従来に比べてフォーカスリング(空隙を含む)のリアクタンスが大きくなり、電流が流れにくくなるために、プラズマ中のイオンが被処理基板に向けて集束し易くなる。この結果、エッチングレートの向上等を図ることが可能である。
【0009】
また、通常、被処理基板の下面を冷却するために静電チャックには冷却水路が設けられ、冷却水路に冷却水を流通させることで、静電チャック、ひいてはこれに載置された被処理基板の下面が冷却される。この際、本発明に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台は、フォーカスリングの下面と該下面に対向する静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられているため、真空断熱により、静電チャックによってフォーカスリングの下面が過度に冷却されることがない。このため、本発明のフォーカスリングの上下面には過度に温度差が生じることなく、熱応力による割れの発生が抑制可能である。
【0010】
好ましくは、前記フォーカスリングの前記静電チャック本体と対向する下面に座繰り部が設けられる。
【0011】
斯かる好ましい形態によれば、比較的容易にフォーカスリングの下面と該下面に対向する静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられる。
【0012】
好ましくは、前記空隙は、前記静電チャック本体に設けられた冷却水路の上方に位置するように設けられる。
【0013】
本発明に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台の構成上、フォーカスリングの下方に位置する静電チャック本体の部位に冷却水路を設けなければならない場合がある。この場合、フォーカスリングは最も冷却され易い位置に設けられることになる。
上記の好ましい構成によれば、空隙が静電チャック本体に設けられた冷却水路の上方に位置するように設けられるので、フォーカスリングの割れの発生を抑制可能である。
【0014】
好ましくは、前記フォーカスリングは、前記静電チャックの径方向外側に配置された環状の絶縁部材によって支持される。
また、前記課題を解決するため、本発明は、プラズマ処理が施される被処理基板が載置される静電チャックと、前記静電チャックの被処理基板が載置される部位を囲むように前記静電チャック上に取り付けられたフォーカスリングとを備え、前記静電チャックは、金属製の静電チャック本体と、該静電チャック本体の被処理基板が載置される部位の上面に形成された誘電層とを具備し、前記フォーカスリングの静電容量は、前記被処理基板の静電容量と前記誘電層の静電容量との合成静電容量以下であり、前記フォーカスリングの下面と該下面に対向する前記静電チャック本体の上面との間に空隙が設けられ、前記被処理基板がSiOウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiOであり、前記被処理基板がSiCウェハである場合、前記フォーカスリングの材質はSiCであることを特徴とする被処理基板のプラズマ処理用載置台としても提供される。
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、前記被処理基板のプラズマ処理用載置台をを具備することを特徴とするプラズマ処理装置としても提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱応力による割れが生じ難いフォーカスリングを備えた被処理基板のプラズマ処理用載置台及びこれを用いたプラズマ処理装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、従来のフォーカスリングがプラズマ処理装置の静電チャック上に取り付けられた状態の一例を概略的に示す図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台を概略的に示す図である。図2(a)は平面図を、図2(b)は図2(a)のA−A線断面図を、図2(c)は図2(b)の破線で囲った領域Bの拡大図を示す。
図2に示すように、本実施形態に係る被処理基板のプラズマ処理用載置台(以下、適宜、載置台と略称する)100は、プラズマ処理が施される被処理基板Sが載置される平面視円形の静電チャック2と、静電チャック2上に取り付けられたフォーカスリング1とを備えている。
【0018】
静電チャック2は、金属(例えば、アルミニウム)製の静電チャック本体21と、静電チャック本体21の被処理基板Sが載置される部位(上方に突出した部位)211の上面に形成された誘電層22とを具備している。誘電層22は、上側に配置されたセラミック層(例えば、アルミナセラミック層。図示せず)と、該セラミック層を静電チャック本体21の部位211の上面に接着するための接着層(図示せず)とを具備する。前記セラミック層には、被処理基板Sを静電力で吸着するための電極(図示せず)が埋設されている。なお、前記セラミック層は、拡散接合によって静電チャック本体21の部位211の上面に接合される形態であってもよい。
【0019】
フォーカスリング1は、静電チャック本体21の被処理基板Sが載置される部位211を囲むように、すなわち、フォーカスリング1の中央の孔部に静電チャック本体21の部位211が嵌め込まれるように、フォーカスリング1は静電チャック2上に取り付けられる(載置される)。
【0020】
静電チャック本体21には、被処理基板Sの下面を冷却するために、環状の冷却水路23が設けられている。冷却水路23の入口231から出口232に向けて冷却水を流通させることで、静電チャック2、ひいてはこれに載置された被処理基板Sの下面が冷却される。
【0021】
なお、本実施形態に係る載置台100は、静電チャック2の径方向外側に配置され、例えばアルミナセラミックから形成された環状の絶縁部材3と、更にその径方向外側に配置され、接地されたアース部材4とを備えている。また、本実施形態に係る載置台100は、上下に昇降可能な昇降手段6と、昇降手段6に取り付けられたリフトピン7とを備える。昇降手段6が上昇することによりリフトピン7も上昇し、被処理基板Sの下面を押すことで、被処理基板Sを静電チャック2から取り外すことが可能である。被処理基板Sを静電チャック2に載置する際には、昇降手段6が降下することによりリフトピン7も降下し、その上端が誘電層22の上面より下方に位置する。
以上のように、本実施形態に係る載置台100は、被処理基板Sの下方において昇降するリフトピン7や昇降手段6を備えるため、被処理基板Sの下方に位置する静電チャック本体21の部位211に冷却水路23を設け難い。このため、被処理基板Sの下方ではなく、フォーカスリング1の下方に位置する静電チャック本体21の部位に冷却水路23が設けられている。
【0022】
静電チャック本体21には高周波電源5から高周波電力が印加される。静電チャック本体21に高周波電力が印加されることで、静電チャック2とプラズマ処理装置のチャンバ(図示せず)内に発生したプラズマとの間に電位差が生じる。この電位差により、プラズマ中のイオンが静電チャック2に向けて移動し、被処理基板Sと衝突することで、被処理基板Sにエッチング処理等が施される。
【0023】
フォーカスリング1の静電容量と後述する空隙の静電容量との合成静電容量は、被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量以下であることを一つの特徴としている。
例えば、被処理基板SがSiウェハ(比誘電率:11.8)である場合、フォーカスリング1は、Al(比誘電率:9.7)やY(比誘電率:11.0)から形成されることが好ましい。
以下の条件A−1で被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(より具体的には、被処理版Sの静電容量と、誘電層22のセラミック層の静電容量と、誘電層22の接着層の静電容量との合成静電容量)を計算すると、約4.2×10−10Fとなる。
なお、静電容量は、各要素(被処理基板S等)の面積×比誘電率×真空の誘電率/厚み(深さ)によって計算した。また、静電容量がC1、C2である2つの要素の合成静電容量Cは、1/C=1/C1+1/C2によって計算した。さらに、静電容量がC1、C2、C3である3つの要素の合成静電容量Cは、1/C=1/C1+1/C2+1/C3によって計算した。以下に示す全ての計算結果について同様である。
<条件A−1>
(1)被処理基板S:Siウェハ(比誘電率11.8)、直径150mm、厚み0.63mm
(2)誘電層22のセラミック層:アルミナセラミック層(比誘電率9.0)、直径150mm、厚み2.56mm
(3)誘電層22の接着層:比誘電率3.1、直径150mm、厚み0.12mm
一方、以下の条件A−2でフォーカスリング(ここでは、後述する座繰り部11が設けられていないフォーカスリング1’を仮定する)の静電容量を計算すると、約5.2×10−10Fとなり、以下の条件A−3でフォーカスリングの静電容量を計算すると、約5.8×10−10Fとなり、どちらの条件であっても上記条件A−1で計算した合成静電容量以上となる。しかしながら、後述する座繰り部11を設けると、上記条件A−1で計算した合成静電容量以下にすることが可能である。
<条件A−2>
フォーカスリング:Al(比誘電率:9.7)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
<条件A−3>
フォーカスリング:Y(比誘電率:11.0)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
【0024】
また、被処理基板SがSiOウェハ(比誘電率:3.8)である場合、フォーカスリング1は、SiO(比誘電率:3.8)から形成されることが好ましい。
以下の条件B−1で被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.2×10−10Fとなる。
<条件B−1>
(1)被処理基板S:SiOウェハ(比誘電率3.8)、直径150mm、厚み0.63mm
(2)誘電層22のセラミック層:アルミナセラミック層(比誘電率9.0)、直径150mm、厚み2.56mm
(3)誘電層22の接着層:比誘電率3.1、直径150mm、厚み0.12mm
一方、以下の条件B−2でフォーカスリング(ここでは、後述する座繰り部11が設けられていないフォーカスリング1’を仮定する)の静電容量を計算すると、約2.0×10−10Fとなり、上記条件B−1で計算した合成静電容量以下となる。後述する座繰り部11を設けても、上記条件B−1で計算した合成静電容量以下となる。
<条件B−2>
フォーカスリング:SiO(比誘電率:3.8)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
【0025】
さらに、被処理基板SがSiCウェハ(比誘電率:6.7)である場合、フォーカスリング1は、SiC(比誘電率:6.7)から形成されることが好ましい。
以下の条件C−1で被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.8×10−10Fとなる。
<条件C−1>
(1)被処理基板S:SiCウェハ(比誘電率6.7)、直径150mm、厚み0.63mm
(2)誘電層22のセラミック層:アルミナセラミック層(比誘電率9.0)、直径150mm、厚み2.56mm
(3)誘電層22の接着層:比誘電率3.1、直径150mm、厚み0.12mm
一方、以下の条件C−2でフォーカスリング(ここでは、後述する座繰り部11が設けられていないフォーカスリング1’を仮定する)の静電容量を計算すると、約3.6×10−10Fとなり、上記条件C−1で計算した合成静電容量以下となる。後述する座繰り部11を設けても、上記条件C−1で計算した合成静電容量以下となる。
<条件C−2>
フォーカスリング:SiC(比誘電率:6.7)、外径260mm、内径150mm、厚み5.9mm
【0026】
以上の計算結果からわかるように、被処理基板Sに応じて適切な材質のフォーカスリングを選択することにより、座繰り部11が設けられていないフォーカスリングであっても、その静電容量は、被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量以下とすることができる場合のあることがわかった。しかしながら、後述のように、本実施形態に係るフォーカスリング1には座繰り部11が設けられているため、さらにその静電容量を小さくすることが可能である。
プラズマ中のイオンは、静電容量の高い金属製の静電チャック本体21に向けて移動するが、静電チャック本体21より手前(図2の上方)に存在するフォーカスリング1の静電容量、同じく静電チャック本体21より手前に存在する誘電層22の静電容量と被処理基板Sの静電容量との合成静電容量以下である場合には、プラズマ中のイオンは、被処理基板Sに向けて集束し易くなる。
【0027】
本実施形態に係るフォーカスリング1は、静電チャック本体21と対向する下面1Aに所定の深さDの環状の座繰り部11が設けられている。これにより、フォーカスリング1の下面は、静電チャック2とは接触せず、絶縁部材3と接触している。換言すれば、フォーカスリング1は絶縁部材3によって支持されている。なお、本実施形態では、フォーカスリング1の内側面も静電チャック2と接触していない。
フォーカスリング1に座繰り部11が設けられることにより、フォーカスリング1の下面1Aと下面1Aに対向する静電チャック本体21の上面との間に空隙が設けられる。空隙中の空気又は真空の比誘電率は、フォーカスリング1の比誘電率よりも小さいため、フォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量は、従来のように空隙が無い、すなわち図1に示すようにフォーカスリング1’の下面と該下面に対向する静電チャック本体21の上面とが接触している場合の静電容量(フォーカスリング1’単体の静電容量)よりも小さくなる。従い、従来のフォーカスリング1’に比べてフォーカスリング1(空隙を含む)のリアクタンスが大きくなり、電流が流れにくくなるために、プラズマ中のイオンが被処理基板Sに向けて集束し易くなる。この結果、エッチングレートの向上等を図ることが可能である。
なお、座繰り部11の深さDは、特に限定されるものではないが、例えば0.5mm程度とされる。
【0028】
前述した条件A−2のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.0×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約5.2×10−10F)よりも小さくなる。この条件A−2のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約3.0×10−10F)は、条件A−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約4.2×10−10F)以下となる。
前述した条件A−3のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約3.2×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約5.8×10−10F)よりも小さくなる。この条件A−3のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約3.2×10−10F)は、条件A−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約4.2×10−10F)以下となる。
前述した条件B−2のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約1.6×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約2.0×10−10F)よりも小さくなる。この条件B−2のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約1.6×10−10F)は、条件B−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約3.2×10−10F)以下となる。
前述した条件C−2のフォーカスリングの厚みを5.4mmとし、座繰り部11の外径260mm、内径150mm、深さ0.5mmとする条件で、本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量を計算すると、約2.4×10−10Fとなり、座繰り部11が設けられていない場合のフォーカスリング1’の静電容量(約3.6×10−10F)よりも小さくなる。この条件C−2のフォーカスリングに座繰り部11を設けた本実施形態に係るフォーカスリング1の静電容量と空隙の静電容量との合成静電容量(約2.4×10−10F)は、条件C−1の被処理基板Sの静電容量と誘電層22の静電容量との合成静電容量(約3.8×10−10F)以下となる。
【0029】
以上の計算結果からも、本実施形態に係るフォーカスリング1(空隙を含む)の静電容量が従来のフォーカスリング1’に比べて小さくなり、より一層、プラズマ中のイオンが被処理基板Sに向けて集束し易くなることがわかる。
【0030】
本実施形態に係るフォーカスリング1(SiO製)を静電チャック2に取り付けたプラズマ処理装置と、従来のフォーカスリング1’(SiO製)を静電チャック2に取り付けたプラズマ処理装置とをそれぞれ用い、フォーカスリング以外の条件は同一にして、被処理基板S(SiOウェハ)にエッチング処理を施す試験を行った。エッチングガスとしては、He(50sccm)を添加したC(100sccm)を用いた。
エッチング処理後の被処理基板Sの表面を顕微鏡で観察したところ、従来のフォーカスリング1’を取り付けたプラズマ処理装置の場合には、被処理基板Sの表面に約20個/cmのパーティクルが付着していた。これは、プラズマ中のイオンがフォーカスリング1’にも衝突することで、フォーカスリング1’から飛来したパーティクルが被処理基板Sの表面に付着したものと考えられる。
一方、本実施形態に係るフォーカスリング1を取り付けた場合には、被処理基板Sの表面にはパーティクルが付着していなかった。この試験結果からも、本実施形態に係るフォーカスリング1によれば、従来のフォーカスリング1’に比べて、プラズマ中のイオンが被処理基板Sに向けてより一層集束し易くなることがわかる。
【0031】
前述のように、被処理基板Sの下面を冷却するために、静電チャック本体21には冷却水路23が設けられ、冷却水路23に冷却水を流通させることで、静電チャック2、ひいてはこれに載置された被処理基板Sの下面が冷却される。
前述のように、本実施形態に係るフォーカスリング1は、静電チャック本体21と対向する下面1Aに座繰り部11が設けられているため、真空断熱により、静電チャック2によってフォーカスリング1の下面1Aが過度に冷却されることがない。また、フォーカスリング1の内側面も静電チャック2に接触していないため、フォーカスリング1の内側面が過度に冷却されることもない。このため、本実施形態のフォーカスリング1の上下面には過度に温度差が生じることなく、また、内側面と外側面とで過度に温度差が生じることもなく、熱応力による割れの発生が抑制可能である。
【0032】
前述のように、本実施形態では、フォーカスリング1の下方に位置する静電チャック本体21の部位に冷却水路23が設けられている。この場合、フォーカスリング1は最も冷却され易い位置に設けられていることになる。しかしながら、冷却水路23の上方に座繰り部11が設けられているため、フォーカスリング1の割れの発生を抑制可能である。
【0033】
なお、本実施形態では、フォーカスリング1の静電チャック本体21と対向する下面1Aに座繰り部11が設けられているが、本発明はこれに限るものではなく、フォーカスリング1の下面1Aと下面1Aに対向する静電チャック本体21の上面との間に空隙が設けられていればよい。例えば、フォーカスリング1の下面1Aには座繰り部11を設けることなく、絶縁部材3の上面を静電チャック本体21の上面(フォーカスリング1の下面1Aに対向する上面)よりも上方に突出させる構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・フォーカスリング
1A・・・フォーカスリングの静電チャック本体と対向する下面
2・・・静電チャック
11・・・座繰り部
21・・・静電チャック本体
22・・・誘電層
23・・・冷却水路
100・・・被処理基板のプラズマ処理用載置台
211・・・静電チャック本体の被処理基板が載置される部位
S・・・被処理基板
図1
図2