特許第6069657号(P6069657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライト−オン エレクトロニクス (グアンヂョウ) リミテッドの特許一覧 ▶ ライト−オン テクノロジー コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6069657-無線充電送信機及びその方法 図000002
  • 特許6069657-無線充電送信機及びその方法 図000003
  • 特許6069657-無線充電送信機及びその方法 図000004
  • 特許6069657-無線充電送信機及びその方法 図000005
  • 特許6069657-無線充電送信機及びその方法 図000006
  • 特許6069657-無線充電送信機及びその方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069657
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】無線充電送信機及びその方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170123BHJP
   H02J 50/70 20160101ALI20170123BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20170123BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20170123BHJP
【FI】
   H02J7/00 301D
   H02J50/70
   H02J50/10
   H02J50/80
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-159982(P2015-159982)
(22)【出願日】2015年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-86633(P2016-86633A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年10月13日
(31)【優先権主張番号】14/526,431
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516262192
【氏名又は名称】ライト−オン エレクトロニクス (グアンヂョウ) リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】507191429
【氏名又は名称】ライト−オン テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヴァルトシュミット
【審査官】 緑川 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−138551(JP,A)
【文献】 特開2005−176307(JP,A)
【文献】 特開2013−214705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
38/18
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信コイルを有する電子デバイスを充電する無線充電送信機であって、
前記受信コイルに電磁結合される送信コイルと、
シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせと、を含む充電モジュールを含み、
前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせは複数のダイポールアンテナを含み、前記ダイポールアンテナのそれぞれは複数の櫛状のアンテナ部を含む、
無線充電送信機。
【請求項2】
前記アンテナ部のそれぞれは、櫛ベースと、前記櫛ベースに接続されている複数のパラレルトラックとを含む、
請求項1に記載の無線充電送信機。
【請求項3】
前記送信コイルから送信される電場は、充電モードにおいて、前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせによって遮蔽され、前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせは、前記送信コイルが前記受信コイルと誘導的に磁気結合することを可能にし、前記送信コイルからの磁場放出は、前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを通過する、
請求項2に記載の無線充電送信機。
【請求項4】
前記電子デバイスから送信される移動体通信信号が前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせによって受信され、
ピングを行った場合には、前記電子デバイスからの変調情報が前記無線充電送信機によって復調され、前記無線充電送信機は前記変調情報を復調して、前記電子デバイスが前記無線充電送信機によって充電されるべきか否かを判断する、
請求項1に記載の無線充電送信機。
【請求項5】
無線充電送信機に適用可能な無線充電方法であって、
電子デバイスから移動体通信信号を受信させるために、前記無線充電送信機のシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを前記電子デバイスのアンテナに無線結合することと、
前記無線充電送信機の送信コイルによって前記電子デバイスを無線充電することと、
を含み、
前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせは複数のダイポールアンテナを含み、前記ダイポールアンテナのそれぞれは複数の櫛状のアンテナ部を含む、
無線充電方法。
【請求項6】
前記アンテナ部のそれぞれは櫛ベースと、前記櫛ベースに接続されている複数のパラレルトラックとを含む、
請求項5に記載の無線充電方法。
【請求項7】
充電モードにおいて、前記無線充電送信機の前記送信コイルから送信される電場を、前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせによって遮蔽することと、
前記送信コイルが前記電子デバイスの受信コイルに誘導的に磁気結合することを可能にすることと、
前記送信コイルからの磁場を、前記シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを通過させることと、
を更に含む、
請求項6に記載の無線充電方法。
【請求項8】
前記電子デバイスから送信される前記移動体通信信号は、前記シールドと平面ダイポールアンテナアレイとの櫛型組み合わせによって受信され、
ピングを行った場合には、前記電子デバイスからの変調情報が復調され、前記電子デバイスが前記無線充電送信機によって充電されるべきか否かが判断される、
請求項5に記載の無線充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線充電送信機に関し、特にファラデーシールドとダイポールアンテナアレイとの組み合わせを備えた無線充電送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電子デバイスは、コードを介して充電デバイスを接続することにより充電されるか、又は電子デバイス内部の再充電可能な電池によって充電されることで、必要な電力が提供される。しかしながら、コードによる充電法は、充電コードの限られた長さに起因する不便を被ることとなる。
【0003】
したがって、電子デバイスに関して、電磁誘導を介して実施される誘導充電(無線充電とも呼ばれる)が普及している。無線電力伝送システムは、ワイヤ/コード接続なしで送信機から受信機に電力を伝達する。
【0004】
しかしながら、電磁干渉(EMI:electromagnetic interference)は、電子デバイスの性能を低下させる主要な問題である。無線充電送信機からの無指向電磁放射は近傍の他の電子デバイスに影響を与える可能性があり、このことは高いリスク及び安全性への脅威をもたらす。
【0005】
「Wireless charger and charging method」と題する米国特許出願公開第2014/0285159号明細書は、電子デバイスを充電する無線充電器を開示する。無線充電器は、無線電力送信機から無線周波数(RF:radio frequency)を受信し、交流(AC)電力を生成する。無線充電器はAC電力を直流(DC)電力に変換し、このDC電力を使用して電子デバイスを充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0285159号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、移動アンテナ結合及びファラデーシールドのため(EMC向上)の、櫛型構造のシールド及び平面ダイポールアンテナアレイを用いる無線充電送信機を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせによってもたらされる、EMIフィルタリングとアンテナ結合とを組み合わせた機能を有する無線充電送信機に関する。
【0009】
本発明の一実施形態によると、受信コイル(receiver coil)を有する電子デバイスを充電するために無線充電送信機が提供される。無線充電送信機は充電モジュールを含み、充電モジュールは、受信コイルに電磁結合される送信コイル(transmitter coil)と、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせとを含む。シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせは複数のダイポールアンテナを含み、ダイポールアンテナのそれぞれは複数の櫛状のアンテナ部を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によると、無線充電送信機に適用可能な無線充電方法が提供される。本方法は、電子デバイスから移動体通信信号を受信させるために、無線充電送信機のシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを電子デバイスのアンテナに無線結合することと、無線充電送信機の送信コイルによって電子デバイスを無線充電することと、を含む。シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせは、複数のダイポールアンテナを含み、ダイポールアンテナのそれぞれは複数の櫛状のアンテナ部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る無線充電送信機のシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを有する無線充電送信機と、無線充電送信機によって無線充電される電子デバイスとを示す図である。
図3A】本発明の実施形態に係るシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせの可能な実施形態を示す図である。
図3B】本発明の実施形態によるシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせの可能な実施形態を示す図である。
図4】充電モードにあって、かつ、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを有していない無線充電送信機から放出される電気放射(electric radiation)を示す図である。
図5】充電モードにあって、かつ、本発明の実施形態に係るシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを有する無線充電送信機から放出される電気放射を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な記載において、説明の目的で、開示される実施形態の完全な理解を提供するために数多くの具体的な詳細が示される。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで、1又は複数の実施形態を実施してもよいことは明らかとなろう。他の例では、図面を簡略化するために、周知の構造及びデバイスが概略的に示される。
【0013】
本発明の技術用語は、本発明の技術分野における一般的な定義に基づく。本発明において1又はいくつかの用語が記載又は説明される場合、これらの用語の定義は本発明の記載又は説明に基づく。以下の詳細な記載において、本発明のいくつかの例示的な実施形態は例として示され、記載される。当業者が認識するように、記載される例示的な実施形態は全て、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく様々な方法で変更してもよい。したがって、これらの図面及び記載は、本質において例示とみなされるべきであって、限定的なものではないと見なされるべきある。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態の無線充電送信機のシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを示す。図2は、本発明の実施形態に係るシールドと平面ダイポールアンテナアレイとの櫛型の組み合わせを有する無線充電送信機と、電子デバイス40とを示す。電子デバイス40を無線充電するために無線充電送信機100を用いてもよい。
【0015】
ここで図1及び図2を参照されたい。無線充電送信機100は充電モジュール10及び制御装置30を含む。充電モジュール10は少なくとも1つの送信コイル(又は第1のコイルと呼ばれる)11、配置エリア12、及び、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13を含む。送信コイル11は、電子デバイス40内で構成される受信コイル(又は第2のコイルと呼ばれる)41に電磁結合され、電力変換のために電源(図示せず)に結合してもよい。送信コイル11は無線充電送信機100の基板(例えば、PCB(プリント回路板:printed circuit board))に組み込んでもよい。無線充電に際して、電子デバイス40を充電モジュール10の配置エリア12に配置してもよい。無線充電送信機100は、物体(例えば、電子デバイス40)が無線充電送信機100に接近しているか否かを検知する追加のコンポーネント(図示せず)を更に含んでもよい。物体が無線充電送信機100に接近しているか否かを検知する方法の詳細は、本発明の記載において省略されてもよい。
【0016】
一般的に、電子デバイス40は受信コイル41及びアンテナ42を含んでもよい。無線充電に際して、受信コイル41は、無線充電送信機100の送信コイル11によって生成される電磁場を誘導して電流に変換し、電子デバイス40内のバッテリー(図示せず)を充電するか、又は電子デバイス40の動作のための電力を提供するかしてよい。
【0017】
本発明の実施形態において、無線充電送信機100は2つのモード、すなわち、待機モード及び充電モードを有してもよい。待機モードにおいて、無線充電送信機100は、物体が無線充電送信機100から所定の半径内に接近しているか否かを検知してもよい。充電モードにおいて、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は電気放射を遮蔽するためのものであり、かつ電子デバイス40のアンテナ42と結合するためのものである。したがって、電気放射遮蔽機能とアンテナ結合機能とを組み合わせたものが、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13によってもたらされる。2つのモード間の切り替えが以下で説明される。
【0018】
加えて、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、無線充電において、送信コイル11からのE場の放射放出(radiation emission)を遮蔽し減少させるEMIフィルターの役割を果たしてもよい。ただし、電子デバイス40を無線充電するのに用いられる送信コイル11からのH場(磁場)はシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13によって遮蔽されない。
【0019】
制御装置30は、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13に結合される。制御装置30は、物体(例えば、電子デバイス)が無線充電送信機100から所定の半径内に接近していることを無線充電送信機が検知した場合、充電モジュール100を待機モードから充電モードに切り替えて、電子デバイス40を無線充電してもよい。
【0020】
制御装置30は、通信時、例えば送信コイル11を介して電子デバイス40にピング(ping)信号を送信してもよい。したがって、電子デバイス40は、変調コンデンサー(図示せず)又は抵抗器(図示せず)をピング信号に対してスイッチングしてもよい。電子デバイス40からの磁場の中にあるこの変調情報は、無線充電送信機100の送信機復調器(図示せず)によって復調され、電子デバイス40が充電されることを決定してもよい。復調後、無線充電送信機100は、所定の半径内に接近している物体を無線充電することを決定してもよい。
【0021】
充電モードにおいて、電子デバイス40によってバッテリーの充電状態が無線充電送信機100に報告される。電子デバイス40内の無線電力受信機からの変調情報は、ピングを行う及び充電する磁場の中にある。さらに、ピングを行うときは、待機モード及び充電モードにおいて、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型組み合わせ13はアンテナのような役割を果たし、電子デバイス40から移動体通信信号を受信するために電子デバイス40に結合される。
【0022】
さらに、本発明の実施形態において、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は3つのダイポールアンテナ13A〜13Cを含んでもよい。この実施形態において、3つのダイポールアンテナ13A〜13Cは同一又は類似のアンテナ構成を有してもよい。ダイポールアンテナ13Aは、2つのアンテナ部13A_1及び13A_2を含む。ダイポールアンテナ13Aのアンテナ部13A_1及び13A_2のそれぞれは、櫛ベース131及び複数のパラレルトラック132を含む。スペース133が、隣接するトラック132の間に配置されている。全てのトラック132が櫛ベース131に接続されている。図1に示すように、アンテナ部13A_1及び13A_2の構造は櫛型形状である。さらに、図1においてトラック132は櫛ベース131に対して垂直であるが、他の方向も適用可能である。ダイポールアンテナ13A〜13Cは他の可能な位置及び他の可能な方向を有していてもよく、このようなものも本発明の範囲及び趣旨の範囲内にある。シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、導電材料の層から作られる。さらに、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、無線充電送信機100のキャリアにプリントしてもよい。
【0023】
ダイポールアンテナ13A〜13Cは電子デバイス40のアンテナ42に無線結合される。ダイポールアンテナ13A〜13Cは、移動体通信周波数(例えば850MHz〜2.7GHz又は800MHz〜2.5GHzであるが、これに限定されない)において電子デバイス40のアンテナ42に無線結合される。
【0024】
無線充電送信機100の基板(又はキャリア)はPCBとしてもよい。可能な実施形態においては、箔のような他のキャリア材料を使用してもよい。
【0025】
本発明の実施形態の記載において、「誘導充電」とも呼ばれる「無線充電」という用語は、電磁場を用いて無線充電送信機100から電子デバイス40にエネルギーを伝達することを指す。エネルギーは、無線充電送信機100の送信コイル11から誘導結合を介して電子デバイス40の受信コイル41に送られる。その後、電子デバイス40はこのエネルギーを用いて電子デバイス40内のバッテリー(図示せず)を充電するか、又は電子デバイス40を稼動してもよい。
【0026】
通常、無線充電に関して、無線充電送信機100は誘導コイルとして送信コイル11を用いて、交流(AC)電源(図示せず)に結合し、交流電磁場を生成する。次に、電子デバイス40内の受信コイル41が電磁場から電力を取得し、この電力を電流に変換し、電子デバイス40のバッテリー(図示せず)を充電する。近接する2つの誘導コイル11、41は組み合わさって、緩く結合された変圧器を形成する。
【0027】
無線充電において(充電モードにおいて)、送信コイル11からのH場(磁場)は電子デバイス40を充電するが、無線充電送信機100の送信コイル11はE場(電場)も送信する。E場は、無線充電送信機100の付近の他のデバイスを妨害する場合がある。シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、E場からの電気放射を遮蔽する(無線充電送信機100が充電モードにあるとき)が電子デバイス40に結合される誘導磁気(H場)を遮蔽しないEMIフィルターとして用いられる。加えて制御装置30は、アース31に結合されるよう、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13をスイッチングし、これにより放射放出(radiated emission)は減少する。無線充電送信機100に接近している物体がピング信号に応答しない場合、制御装置30は無線充電送信機100を待機モードのまま維持する。制御装置30は、アース31と、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイとの櫛型の組み合わせ13との間で電気結合されるスイッチ32を更に含んでもよい。
【0028】
シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、ファラデーシールドとも呼ばれる。シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、金属シート若しくは箔、又は遮蔽に適した他の材料から作ってもよい。
【0029】
好ましい実施形態として、構造を強化するため、又は金属材料の使用を削減するために、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13をPCB板にプリントしてもよい。シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13は、送信コイル11を覆ってもよい。
【0030】
図3A及び図3Bは、本発明の実施形態によるシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせの2つの可能な実施形態を示す。符号「+」及び「−」はダイポールアンテナの極性を指す。図3Aにおけるダイポールアンテナ13A〜13Cは、図1及び図2のシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13において用いられる。図3Bに示すように、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13’におけるダイポールアンテナ13A’〜13C’は、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13におけるダイポールアンテナ13A〜13Cとは異なる極性配置を有する。しかしながら、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13’は、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせ13と同一又は類似の機能を有する。
【0031】
シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを有する無線充電送信機の遮蔽能力と、これを有しない無線充電送信機の遮蔽能力とを比較する。図4は、充電モードにおいて、シールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを有しない無線充電送信機から放出される電気放射を示す図である。図5は、充電モードにおいて、本発明の実施形態に係るシールド及び平面ダイポールアンテナアレイの櫛型の組み合わせを有する無線充電送信機から放出される電気放射を示す図である。双方の図における線L41及びL51は、ピーク検出のトレース(peak detector trace)を指し、双方の図における線L42及びL52は平均検出のトレース(average detector trace)を指す。図4から見て取ることができるように、電気放射が基準(standard)を大幅に上回っている。一方、図5では、基準を抜くピークは少数である。本発明の実施形態の設計によって、E場の放射放出を確実に減少させることができることが証明された。
【0032】
本発明の実施形態の無線充電送信機は、様々な異なる産業、例えば、自動車産業、家庭用品、家庭用電化製品、医療システムに適している。
【0033】
開示された実施形態に様々な修正及び変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。詳細及び例は例示としてのみ見なされ、本発明の真の範囲は以下の特許請求の範囲及びその均等物によって示されることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5