特許第6069678号(P6069678)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6069678X線撮影装置の整列バイト及びこれを有するX線撮影装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069678
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】X線撮影装置の整列バイト及びこれを有するX線撮影装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/04 20060101AFI20170123BHJP
   A61B 6/14 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   A61B6/04 301
   A61B6/14 300
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-46887(P2015-46887)
(22)【出願日】2015年3月10日
(65)【公開番号】特開2015-223511(P2015-223511A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年3月25日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0062221
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514232513
【氏名又は名称】ジェノレイ カンパニー、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ジンファン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンフン
【審査官】 小田倉 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−314165(JP,A)
【文献】 特開2010−214023(JP,A)
【文献】 特表2010−524603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/04
A61B 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体をX線撮影位置に整列させるX線撮影装置の整列バイトであって、
前記整列バイトを支持するバイト設置台に回転可能に連結されるサポートユニット、そして
前記サポートユニットに回転可能に連結されるバイトユニットを含んで構成され、
前記サポートユニットは、前記バイト設置台と前記バイトユニットを連結して前記バイトユニットを支持するリンクフレームと、前記リンクフレームの一側を前記バイト設置台に回転可能に連結する第1関節と、前記バイトユニットを前記リンクフレームの他側に回転可能に連結する第2関節と、前記リンクフレームが折り畳まれるように前記第1関節と第2関節の間に備えられる第3関節を含んで構成され
前記サポーターユニットは、前記第1関節と第2関節と第3関節を同時に拘束するための固定ホルダーを含んで構成されるX線撮影装置の整列バイト。
【請求項2】
前記リンクフレームは、
前記第1関節によって前記バイト設置台に連結される第1リンク部材と,
前記第3関節によって前記第1リンク部材に連結される第2リンク部材を含んで構成される、請求項1に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項3】
前記第2リンク部材は、前記第2関節によって前記バイトユニットに連結される、請求項2に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項4】
前記バイトユニットは、
前記第2関節によって前記リンクフレームに回転可能に連結されるバイト支持台、そして
被検者の上歯と下歯の間にかまれるように、前記バイト支持台に搭載されるバイトピースを含んで構成される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項5】
前記バイトピースは、歯列弓形態でアーチ形状を有する、請求項4に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項6】
前記バイトピースは、前記バイト支持台に高さ調節が可能に搭載される、請求項4に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項7】
前記バイト支持台は、前記バイトピースを互いに異なる高さで支持する第1装着部と第2装着部を含んで構成される、請求項5に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項8】
前記バイトピースには複数の通孔が形成される、請求項4に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項9】
前記固定ホルダーは、前記リンクフレームと前記バイトユニットの動きを同時に拘束して前記整列バイトの姿勢を維持することを特徴とする、請求項に記載のX線撮影装置の整列バイト。
【請求項10】
被写体をX線撮影位置に整列させるX線撮影装置の整列バイト、
被写体に向けてX線を出射するX線発生器(X−ray Generator)、そして
前記X線発生器と向い合った状態で動く検出器(Detector)を含んで構成されるX線撮影装置であって、
前記整列バイトは、
前記整列バイトを支持するバイト設置台に回転可能に連結されるサポートユニット、そして
前記サポートユニットに回転可能に連結されるバイトユニットを含んで構成され、
前記サポートユニットは、前記バイト設置台と前記バイトユニットを連結して前記バイトユニットを支持するリンクフレームと、前記リンクフレームの一側を前記バイト設置台に回転可能に連結する第1関節と、前記バイトユニットを前記リンクフレームの他側に回転可能に連結する第2関節と、前記リンクフレームが折り畳まれるように前記第1関節と第2関節の間に備えられる第3関節を含んで構成され
前記サポーターユニットは、前記第1関節と第2関節と第3関節を同時に拘束するための固定ホルダーを含んで構成されるX線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線を利用して被写体の映像を獲得するX線撮影装置で被写体を撮影位置に整列させる整列バイト及びこれを有するX線撮影装置に関する。より詳しくは、映像情報が要求される関心領域を撮影焦点領域に正確に位置させることができるX線撮影装置の整列バイト及びこれを有するX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、X線撮影装置は、X線(X−ray)が被写体を透過する際に被写体の物理的性質と距離によってX線の強さが減衰(Attenuation)する特性を利用して、被写体についての投影データ(Projection)を獲得しこれを映像化する装置である。例えば、人を対象としてX線を照射する場合に、生体組職の種類及び特性によってX線の減衰係数(Attenuation Coefficient)が変わることを利用して、身体内部の投影映像を獲得することができる。
【0003】
そして、前記X線撮影装置は、X線が被写体を透過するように前記X線を前記被写体に照射するX線発生器と、前記被写体を透過したX線を検出する検出器を含んで構成される。前記X線発生器と検出器は、一般的にX線発生器と検出器を支持するアーム(Arm)等の支持器具に備えられ、互いに向かい合う状態で前記被写体の周囲を回転しながら前記被写体の映像情報を獲得する。
【0004】
上述したX線撮影装置の一例であるX線CT映像装置(X−ray Computed Tomography Imaging Device)は、多様な角度からX線を被写体に照射して投影データを得て、前記投影データから前記断面映像を再構成する映像再構成過程を行うことにより前記被写体の断面映像を生成する。
【0005】
すでに3次元CBCT(Cone Beam Computed Tomography)技術が歯科用映像撮影や乳房撮影術(Mammography)等の領域に導入されているし、X線撮影装置の他の例であるパノラマ撮影装置は、歯牙とその周辺組職の映像を獲得するのに使用されている。前記パノラマ撮影装置において、X線発生器と検出器は、互いに向い合うようにアーム(Arm)に装着される。前記アームは、駆動ユニットによって直線運動と回転運動をし、これに伴って前記X線発生器と検出器が前記被写体の周囲を既に設定された軌道に沿って動きながら映像撮影を行う。
【0006】
図1を参照すれば、従来のパノラマ撮影装置は、一定距離離隔されて互いに向かい合って配置されるX線発生器10と検出器20を含んで構成され、前記X線発生器10と検出器20が、被写体1の周囲を回転しながら被写体についての投影データを獲得する。
【0007】
前記X線発生器10と検出器20は、アーム(Arm)30に装着され、前記アーム30は、装置本体50の駆動ユニット40に回転可能に装着されて直線運動と回転運動をするようになる。前記装置本体50は、前記駆動ユニット40を支持する支柱フレーム51と前記支柱フレーム51の転倒を防止する支え台52を含んで構成され、前記装置本体、特に前記支柱フレーム51にはX線の撮影位置に被写体を定位置させるための整列バイト61が備えられる。
【0008】
より具体的に説明すれば、前記整列バイト61は、前記支柱フレーム51に備えられるバイト設置台53に搭載され、前記バイト設置台53には前記整列バイト61と共にあご受け62(Chin Rest)が備えられる。これによって、パノラマ映像撮影のために被検者が前記あご受け62に自分のあごを位置させ前記整列バイト61を口にかんで固定された姿勢を取れば、前記アーム30に搭載されているX線発生器10と検出器20が動きながら投影データを獲得する。
【0009】
一方、前記パノラマ撮影装置は、特定の局所領域(関心領域)の硬組織(歯槽骨)についての情報、例えば前歯部や臼歯部の歯槽骨の高さや厚さ等の断面情報を獲得するために、様々な角度から前記関心領域についての投影データを獲得して、再構成技法によって前記関心領域の映像情報、例えば横断面切片(Crosssectional Slice)のような断面映像を獲得し、このような情報は歯科手術、例えばインプラント手術及び診断のための情報として使用される。
【0010】
上述した従来のX線映像装置において整列バイト61は、本来の位置に固定されるか、前記バイト支持台53を通る軸線(Axis)を基準として本来の位置で回転する形態であり、図2に示されたように、複数の位置の関心領域I、I、Iについての投影データを得ることができる。
【0011】
しかし、従来の整列バイトによれば、図3に示されたように、前歯領域Iを撮影するモード(図3の(a))と、臼歯領域I、I例えば左右臼歯領域Iを撮影するモード(図3の(b))で、X線発生器10と検出器20の位置が大きく変更されなければならず、前歯領域の撮影後に臼歯領域を撮影するためには、前記X線発生器10と検出器20を過度に移動させなければならないため、前記アーム30の作動範囲が広くならなければならず、前記アーム30の駆動メカニズムが複雑になり、複数の関心領域の撮影に所要される時間が長くかかり、前記アーム30の作動範囲を超える位置は撮影が不可能であるため撮影範囲が制限される等の問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10−2012−0140102号、2012年12月28日公開
【0013】
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第10−2008−0014769号、2008年2月14日公開
【0014】
【特許文献3】大韓民国公開特許公報第10−2005−0000934号、2005年1月6日公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は上述した従来の問題を解決するために提案されたもので、位置が互いに異なる複数の関心領域について正確な映像情報を獲得することができるように、撮影焦点位置に関心領域を正確に整列させることができるX線撮影装置の整列バイト及びこれを有するX線撮影装置を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、被写体をX線撮影位置に整列させるX線撮影装置の整列バイト及びこれを有するX線撮影装置を提供する。本発明の実施例で前記整列バイトは、前記整列バイトを支持するバイト設置台に回転可能に連結されるサポートユニット、そして前記サポートユニットに回転可能に連結されるバイトユニットを含んで構成される。そして前記サポートユニットは、前記バイト設置台と前記バイトユニットを連結して前記バイトユニットを支持するリンクフレームと、前記リンクフレームの一側を前記バイト設置台に回転可能に連結する第1関節と、前記バイトユニットを前記リンクフレームの他側に回転可能に連結する第2関節と、前記リンクフレームが折り畳まれるように前記第1関節と第2関節の間に備えられる第3関節を含んで構成される。
【0017】
前記リンクフレームは、前記第1関節によって前記バイト設置台に連結される第1リンク部材と、前記第3関節によって前記第1リンク部材に連結される第2リンク部材を含んで構成される。本発明の実施例で、前記第2リンク部材は、前記第2関節によって前記バイトユニットに連結される。
【0018】
前記バイトユニットは、前記第2関節によって前記リンクフレームに回転可能に連結されるバイト支持台、そして被検者の上歯と下歯の間にかまれるように、前記バイト支持台に搭載されるバイトピースを含んで構成される。
【0019】
前記バイトピースは、歯列弓形態でアーチ形状を有することができ、前記バイト支持台に高さ調節が可能に搭載されることができる。そして、前記バイト支持台は、前記バイトピースを互いに異なる高さで支持する第1装着部と第2装着部を含んで構成されることができる。また、前記バイトピースには、複数の通孔が形成されることができる。
【0020】
そして、前記サポーターユニットには固定ホルダーが備えられて、前記第1関節と第2関節と第3関節を同時に拘束する。より具体的には、前記固定ホルダーは、前記リンクフレームと前記バイトユニットの動きを同時に拘束して前記整列バイトの姿勢を維持する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、関節構造の整列バイトによって、映像情報が必要な関心領域が撮影焦点領域に正確に整列されることができるため、関心領域についての正確な映像情報を獲得することができ、X線発生器と検出器の作動範囲を縮小することができて、駆動メカニズムを単純化することができ、さらには被写体の整列方向を変化させて撮影可能範囲に制限を受けないため、撮影可能な関心領域の範囲を大きく拡張することができる。
【0022】
本発明によれば、パノラマ撮影装置を利用して関心領域、例えば臼歯部や前歯部の断面映像を獲得して歯槽骨の高さや厚さを見せることができるため、X線映像装置の価格を下げることができ、既存のパノラマ撮影装置をそのまま利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の特徴及び長所は、後述する本発明の実施例についての詳細な説明と共に、次に説明される図面を参考してさらによく理解されることができる。前記図面のうち、
図1】一般的な整列バイトを有するX線撮影装置の一例を示した斜視図である。
図2】被写体であるあご骨の関心領域の例を示した図である。
図3】従来の整列バイトで前歯領域と(左)臼歯領域についての投影データを獲得する方式を示した図である。
図4】本発明の一実施例による整列バイトを有するX線撮影装置の一実施例を示した斜視図である。
図5】本発明の一実施例による整列バイトを示した斜視図である。
図6図5の整列バイトが折り畳まれた構造の一例を示した斜視図である。
図7a図5に示された整列バイトの内部構造を示した図である。
図7b図5に示された整列バイトの内部構造を示した図である。
図8】互いに異なる位置の関心領域を撮影焦点領域に位置するように図5の整列バイトが調節された状態を示した平面図である。
図9】互いに異なる位置の関心領域を撮影焦点領域に位置するように図5の整列バイトが調節された状態を示した平面図である。
図10】互いに異なる位置の関心領域を撮影焦点領域に位置するように図5の整列バイトが調節された状態を示した平面図である。
図11】本発明の一実施例によるX線撮影装置を利用して関心領域の投影データを複数の方向から獲得する例を示した図である。
図12】幅が狭い検出器を利用して関心領域全体についての投影データを一方向から獲得する例を示した図である。
図13】本発明の一実施例による整列バイトを利用して、前歯領域と(左)臼歯領域についての投影データを獲得する方式を示した図である。
図14】本発明の一実施例によるX線撮影装置によって獲得される断面映像の一例を示した図である。
【発明を実施するための具体的な内容】
【0024】
以下、本発明の目的が具体的に実現されることができる本発明の好ましい実施例が添付された図面を参照して説明する。本実施例を説明するにおいて、同一構成については同一名称及び同一符号が使用され、これによる付加的な説明は下記で省略される。
【0025】
まず、図4ないし図6を参照して本発明によるX線映像装置のイメージング方法の具現が可能なX線映像装置の一実施例を説明する。ここで、図4は本発明の一実施例による整列バイトを有するX線撮影装置の一実施例を示した斜視図、図5は本発明の一実施例による整列バイトを示した斜視図、図6図5の整列バイトが折り畳まれた構造の一例を示した斜視図である。
【0026】
図4ないし図6を参照すると、本発明は、被写体をX線撮影位置に整列させるX線撮影装置の整列バイト及びこれを有するX線撮影装置を提供する。
【0027】
本発明の一実施例によるX線撮影装置は、前記整列バイト100と、被写体に向けてX線(X−ray)、より具体的にはX線ビームを出射するX線発生器210と、前記X線発生器と向い合って設置されて前記X線を検出する検出器220を含んで構成される。
【0028】
本実施例をより具体的に説明すると、前記X線発生器210と前記検出器220は、アーム(Arm)230すなわちサスペンションアーム(Suspension Arm)に備えられ、前記アーム230は装置本体の駆動ユニット240に回転可能に支持されて線形運動と回転運動をする。
【0029】
本実施例で前記装置本体250は、前記駆動ユニット240を支持する支柱フレーム251と、前記支柱フレーム251の転倒を防止する支え台252をさらに含むスタンド形状で、本実施例で開示されるX線撮影装置はパノラマ撮影装置の一例である。
【0030】
前記支柱フレーム251は、前記支え台252に設置される下部フレーム251aと、前記駆動ユニット240を支持するように前記下部フレーム251aの上側に設置される上部フレーム251bを含んで構成される。
【0031】
前記駆動ユニット240は、前記上部フレーム251bに直接または連結梁を媒介として間接的に設置されることができ、前記駆動ユニット240の内部には前記アーム230の移動、例えば回転移動と直線移動のためのギア等の装置が備えられる。前記駆動ユニット240とアーム230と支柱フレーム251等の構造、及び前記X線発生器210と検出器220の作動原理と映像獲得原理は、本技術分野で公知となった技術が適用されることができるため付加的な説明は省略する。
【0032】
そして前記整列バイト100は、バイト設置台253に装着されて前記バイト設置台253によって支持される。本実施例で前記バイト設置台253は、前記整列バイト100を支持するために前記支柱フレーム251に備えられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
本実施例で前記バイト設置台253は、前記支柱フレーム251に固定される固定ベース253aと、前記固定ベース253aに装着され前記整列バイト100を回転可能に支持するバイトコネクタ253bを含んで構成されるが、前記整列バイト100が前記固定ベース253aに直接回転可能に連結されることもできる。
【0034】
図5及び図6を参照すると、本実施例での整列バイト100は、前記バイト設置台に回転可能に連結されるサポートユニット110と、前記サポートユニット110に回転可能に連結されるバイトユニット120を含んで構成され、少なくとも3つの関節が適用された構造である。よって、3つまたはそれ以上の関節が本発明に適用されることができる。
【0035】
そして、前記サポートユニット110は、前記バイト設置台253と前記バイトユニット120を連結するリンクフレーム111、112と、前記リンクフレーム111、112の一側を前記バイト設置台253に回転可能に連結する第1関節110aと、前記バイトユニット120を前記リンクフレーム111、112の他側に回転可能に連結する第2関節110bと、前記リンクフレーム111、112が折り畳まれるように前記第1関節110aと第2関節110bの間に備えられる第3関節110cを含んで構成される。
【0036】
前記リンクフレーム111、112は、前記第1関節110aを媒介として前記バイト設置台253に回転可能に連結されて前記バイトユニット120を支持する。
【0037】
より具体的に説明すると、前記リンクフレーム111、112は、前記第1関節110aによって前記バイト設置台253に連結される第1リンク部材111と、前記第3関節110cによって前記第1リンク部材111に連結される第2リンク部材112を含んで構成される。
【0038】
本実施例では、前記第2リンク部材112が前記第2関節110bによって前記バイトユニット120に連結され、前記第1リンク部材111は前記第1関節110aによって前記バイクコネクタ253bに連結される。これにより本実施例の整列バイト100は3関節構造であるが、上述したとおり3つ以上の多関節構造も可能である。
【0039】
そして、前記第1リンク部材111と前記第2リンク部材112はバー(bar)形状であり、前記第1リンク部材111は前記バイトコネクタ253bの上側に連結され、前記第2リンク部材は前記第1リンク部材111の下側に連結されるが、前記リンクフレーム111、112の形状や構造がこれに限定されるものではなく、本実施例で前記第1関節110aと第2関節110bと第3関節110cは、互いに並んだ回転軸線を形成するピボット(Pivot)構造である。
【0040】
次に、前記バイトユニット120は、前記第2関節110bによって前記リンクフレーム111、112、特に前記第2リンク部材112に回転可能に連結されるバイト支持台121と、被検者の上歯と下歯の間にかまれるように前記バイト支持台121に搭載されるバイトピース122を含んで構成される。
前記バイトピース122は、人の歯列弓形態でアーチ(Arch)形状を有することができる。そして前記バイトピース122は、高さ調節が可能なことが望ましく、このために前記バイト支持台121に高さ調節が可能に搭載されることができる。
【0041】
本実施例で、前記バイトピース122は、前記バイト支持台121に着脱可能に装着される。より具体的に説明すると、前記バイト支持台121は、前記バイトピース122の装着のためのバイト装着部121a、121bが備えられ、前記バイト装着部121a、121bは、前記バイトピース122を互いに異なる高さで支持する第1装着部121aと第2装着部121bを含んで構成されることができる。したがって、被検者のあごの構造等に合わせて前記バイトピース122の高さを調節することができる。
【0042】
前記バイト装着部121a、121bは、前記バイト支持台121の表面から突出する突起形状であり、前記バイトピース122には前記バイト装着部121a、121bが差し込まれる組立てホールが形成されるが、前記バイトピース122の装着構造がこれに限定されるものではない。
【0043】
本実施例で前記バイトピース122は、ピース本体、すなわち被検者の上歯と下歯の間にかまれる部分(アーチ形状の部分)を前記バイト支持台121に連結するピースコネクタ122aを含み、前記バイトピース122、特にピース本体には複数の通孔122bが形成されることができる。
【0044】
前記バイトピース122は、バイト支持台121のレールに沿って上下移動できるように構成されることもできるため、前記バイトピース122の高さ調節構造が上述したものに限定されるものではない。
【0045】
そして前記整列バイト100には、リンクフレーム111、112を拘束して前記リンクフレーム111、112の姿勢を維持する固定ホルダー130が備えられ、前記固定ホルダー30は複数の関節を同時に拘束するように構成されることができるが、これに限定されるものではないことは勿論である。
【0046】
前記固定ホルダー130は、第1関節110aないし第3関節110cを同時に拘束して前記整列バイト100の動きを防止する。より具体的には、前記固定ホルダー130は、前記リンクフレーム110と前記バイトユニット120の動きを同時に拘束して、前記整列バイト100の姿勢を維持し、前記固定ホルダー130によって前記整列バイトの全ての関節が同時に拘束される。
【0047】
図7a及び図7bを参照すると、本実施例での固定ホルダー130は、ホルダースイッチ131と、第1プッシュ132と、第1ブレーキ133、134と、第2プッシュ135、及び第2ブレーキ136、137を含んで構成される。
【0048】
前記ホルダースイッチ131は、前記第3関節110cに回転可能に連結されて前記第1プッシュ132と第2プッシュ135を移動させ、前記第1プッシュ132は第1ブレーキ133、134を押して前記第2関節110bを加圧し、前記第2プッシュ135は第2ブレーキ136、137を押して前記第1関節110aを加圧する。
【0049】
より具体的に説明すると、前記第3関節110cは、前記第1プッシュ132と前記第2プッシュ135を貫通して設置され、前記ホルダースイッチ131を押すと前記ホルダースイッチ131と前記第1プッシュ132の間に備えられる圧力板131aが前記ホルダースイッチ131によって押されながら反力によって前記第3関節110cが引っ張られる。
【0050】
これに伴って、前記第1プッシュ132と前記第2プッシュ135は、前記第3関節110cの軸方向に移動するようになり、前記第1プッシュ132と第2プッシュ135によって第1ブレーキ133、134と第2ブレーキ136、137が各々押されて前記第2関節110bと第1関節110aに密着する。
例えば、図7bに示されたように、前記第1プッシュ132は前記圧力板131aによって押されて下に下降し、前記第2プッシュ135は前記第3関節110cによって加圧されて上昇して、このような過程で前記第1ブレーキ133、134と第2ブレーキ136、137が前記第2関節110bと第1関節110aの方に押されて前記第1関節110aないし第3関節110cが同時に拘束する。
【0051】
前記第1プッシュ132には、前記第1ブレーキ133、134の一端が挿入される傾斜溝132aが形成され、前記第2プッシュ135にも前記第2ブレーキ136、137の一端が挿入される傾斜溝135aが形成されて、前記第1プッシュ132と前記第2プッシュ135が前記ホルダースイッチ131の位置変化によって前記第3関節110cの軸方向に動けば、前記第1ブレーキ133、134の一端と第2ブレーキ136、137の一端が前記第1プッシュの傾斜溝132aと第2プッシュの傾斜溝135aからスライディングによって前記第3関節110cの外方側へ押し出される構造である。本実施例で前記第1プッシュの傾斜溝132aと第2プッシュの傾斜溝135aは三角溝であるが、これに限定されるものではなく、同一の機能を行うことができる限り多様な形状に変更することができる。
【0052】
本実施例で、前記第1ブレーキ133、134と第2ブレーキ136、137は、前記第2リンク部材112と第1リンク部材111の内部に各々長さ方向に移動可能に内設されるブレーキバー133、136と、前記第2関節110bと第1関節110aに各々選択的に密着して前記第2関節110bと第1関節110aを加圧する加圧パッド134、137を含んで構成される。
【0053】
本実施例で開示される整列バイト100によれば、前記関節構造によってX線撮影焦点位置(図8ないし図10で「+」領域)に位置する領域が多様に変更/調節されることができ、前記撮影焦点位置は前記装置本体250に備えられて交差光を形成する照準光源(図示なし)によって形成されることができる。
【0054】
図8は被検者の前歯領域が撮影焦点位置に整列されるように前記整列バイト100が調節された状態、図9は被検者の左臼歯領域が撮影焦点位置に整列された状態、図10は被検者の右臼歯領域が撮影焦点位置に整列された状態であり、本実施例よれば、撮影しようとする部分すなわち関心領域が撮影位置すなわち撮影焦点位置に正確に整列されることができるため、X線発生器と検出器の作動範囲が縮小することができ、早い時間で正確度が高い映像を獲得することができる。
【0055】
前記関心領域の撮影のために前記バイトピース122に歯科用印象材を塗って被検者の歯列構造の型を取る。そして前記歯科用印象材が塗布されているバイトピース122を前記バイト支持台121に搭載し、前記リンクフレーム111、112を回転させて関心領域を撮影焦点位置に整列した後にX線撮影を行う。
【0056】
図11ないし図13を参照すると、撮影焦点位置に置かれる関心領域Iの映像情報、例えば断面映像や立体映像を得るために、前記関心領域I全体を互いに異なる複数の方向から撮影して、各々の方向ごとに前記関心領域I全体についての投影データが獲得されたら、映像再構成技法によって前記関心領域の映像情報、例えば横断面切片(Cross−sectional Slice)映像が作られる。図11でFとFとFは、各々の撮影方向からの焦点平面(Focal Plane)を示す。
【0057】
上述したX線撮影において、ある一方向からの関心領域全体についての投影データは、前記関心領域I全体をカバーすることができる面積の検出器によって獲得されることもでき、図12に示されたように、前記関心領域Iの一部をカバーする狭い面積の検出器によって小面積の部分投影データ(Sub−projection Data)で分割獲得されることもできる。
【0058】
図13を参照すれば、本発明の一実施例による整列バイト100を利用すれば、互いに異なる位置の関心領域が同一の撮影焦点位置に整列されることができて、これによってX線発生器210と検出器220の作動範囲が最小化されることができ、互いに異なる位置の関心領域を撮影する際にX線発生器と検出器の駆動メカニズム、特にアーム230の駆動メカニズムが同一に構成されることができる。
【0059】
つまり、図8のように、整列バイト100が設置された状態で被検者がバイトピース122をかむと、図13の(a)に図示されたように前歯領域Iの投影データが獲得されることができ、図9のように整列バイト100が設置された状態で被検者がバイトピース122をかむと、図13の(b)に図示されたように左臼歯領域Iの投影データが獲得されることができて、これによって顎弓に垂直な方向の断面映像を得ることができる。図14は、本発明による整列バイト及びこれを有するX線撮影装置、特にパノラマ撮影装置を利用して獲得される断面映像の一例を示したものである。
【0060】
前記のように、本発明による好ましい実施例を詳察したが、前に説明された実施例以外にも本発明がその主旨や範疇から逸脱することなしに異なる特定形態で具体化されることができるという事実は、該当技術に通常の知識を有する人々には自明なことである。
【0061】
それゆえ、上述した実施例は制限的なものではなく例示的なものと考えられるべきものであり、これによって本発明は上述した説明に限定されず添付された請求項の範疇及びその同等範囲内で変更されることもできる。
【符号の説明】
【0062】
100:整列バイト
110:サポートユニット
110a:第1関節
110b:第2関節
110c:第3関節
111:第1リンク部材
112:第2リンク部材
120:バイトユニット
121:バイト支持台
122:バイトピース
130:固定ホルダー
131:ホルダースイッチ
210:X線発生器
220:検出器
230:アーム(Arm)
240:駆動ユニット
250:装置本体
251:支柱フレーム
252:支え台
253:バイト設置台
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図14