(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の電源電圧をスイッチングしてスイッチング電圧を生成する第1および第2のスイッチング素子で構成されたスイッチング部を含み、電源出力端子から電源電圧を出力するスイッチング回路部と、
前記第1のスイッチング素子を駆動させる第1の駆動信号と、前記第2のスイッチング素子を駆動させる第2の駆動信号を生成し前記スイッチング部に出力する制御部と、
を有し、
前記制御部は第2の電源電圧を動作電圧とし、前記スイッチング部に供給される前記第1の電源電圧は前記第2の電源電圧と略同じかそれよりも大きい電圧として供給されるものであり、
前記制御部は、
前記第2の電源電圧より大きい電圧値がしきい値電圧として設定され、前記しきい値電圧を基準として前記第1の電源電圧の電圧レベルを検出する電圧検出部と、
前記第1の電源電圧がしきい値電圧以下の場合は前記第2の電源電圧に基づき生成される第1の信号を前記第1の駆動信号として出力し、前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧よりも大きい場合は前記第1の電源電圧に基づき生成される第2の信号を前記第1の駆動信号として出力する駆動信号出力部と、
を含み、
前記第1の電源電圧の大きさに応じた電圧レベルの駆動信号で前記第1のスイッチング素子を駆動する構成のスイッチング電源回路。
第1の電源電圧が供給される第1電源端子と、第2の電源電圧が供給される第2電源端子と、電源出力端子と、基準電位配線路と、を含み、前記第1の電源電圧が前記第2の電源電圧と略同じかそれよりも大きい電圧として供給され、前記第1の電源電圧をスイッチングして生成された電源電圧を前記電源出力端子から出力する構成の電子装置であって、
前記電子装置は、
前記第1電源端子と前記基準電位配線路との間に接続されたPチャネル絶縁ゲートTRSで構成された第1のスイッチング素子とNチャネル絶縁ゲートTRSで構成された第2のスイッチング素子とを含み前記第1の電源電圧をスイッチングしてスイッチング電圧を生成するスイッチング部を含み、前記電源出力端子から電源電圧を出力するスイッチング回路部と、
前記第1のスイッチング素子を駆動させる第1の駆動信号と、前記第2のスイッチング素子を駆動させる第2の駆動信号を生成し前記スイッチング部に出力するように構成された前記第2の電源電圧を動作電圧とする制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第2の電源電圧より大きい電圧値がしきい値電圧として設定され、前記しきい値電圧を基準として前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧よりも大きいか否かを判定し、その判定結果を検出信号として出力する電圧検出部と、
第1及び第2のパルス信号を出力する制御論理部と、
前記第1のパルス信号に基づき前記第1の駆動信号を出力する第1のドライバと、
前記第2のパルス信号に基づき前記第2の駆動信号を出力する第2のドライバと、
を有し、
前記第1のドライバは、
前記電圧検出部から前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧以下であると判定した検出信号が出力された際に、前記第2の電源電圧に基づき生成される電圧レベルをハイレベルとし、基準電位をローレベルとして振幅する第1の信号を前記第1の駆動信号として出力するローレベルドライバと、
前記電圧検出部から前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧よりも大きいと判定した検出信号が出力された際に、前記第1の電源電圧に基づき生成される電圧レベルをハイレベルとし、該ハイレベルよりも数ボルト低いが前記基準電位よりも高い電圧に生成される電圧レベルをローレベルとして振幅する第2の信号を前記第1の駆動信号として出力するハイレベルドライバと、
を含み、
前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧より大きいときは前記ハイレベルドライバから出力される前記第2の信号で構成される前記第1の駆動信号で前記第1のスイッチング素子を駆動し、前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧より小さいときは前記ローレベルドライバから出力される前記第1の信号で構成される前記第1の駆動信号で前記第1のスイッチング素子を駆動する構成のスイッチング電源回路を含む電子装置。
第1の電源電圧が供給される第1電源端子と、第2の電源電圧が供給される第2電源端子と、電源出力端子と、基準電位配線路と、を含み、前記第1の電源電圧が前記第2の電源電圧と略同じかそれよりも大きい電圧として供給され、前記第1の電源電圧をスイッチングして生成した電源電圧を前記電源出力端子から出力する構成を含む電子装置に組み込んで使用される半導体集積回路装置であって、
前記電子装置は、前記第1電源端子と前記基準電位配線路との間に接続されたPチャネル絶縁ゲートTRSで構成された第1のスイッチング素子とNチャネル絶縁ゲートTRSで構成された第2のスイッチング素子とを含み前記第1の電源電圧をスイッチングしてスイッチング電圧を生成するスイッチング部を含み前記電源出力端子から電源電圧を出力するように構成されたスイッチング回路部を有し、
前記半導体集積回路装置は、前記第2の電源電圧で駆動されるように構成されており、前記第1のスイッチング素子を駆動させる第1の駆動信号と、前記第2のスイッチング素子を駆動させる第2の駆動信号を生成し前記スイッチング部に出力する制御部を有し、
前記制御部は、
前記第2の電源電圧より大きい電圧値がしきい値電圧として設定され、前記しきい値電圧を基準として前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧よりも大きいか否かを判定し、その判定結果を検出信号として出力する電圧検出部と、
第1及び第2のパルス信号を出力する制御論理部と、
前記第1のパルス信号に基づき前記第1の駆動信号を出力する第1のドライバと、
前記第2のパルス信号に基づき前記第2の駆動信号を出力する第2のドライバと、
を有し、
前記第1のドライバは、
前記電圧検出部から前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧以下であると判定した検出信号が出力されたときは、前記第2の電源電圧に基づき生成される電圧レベルをハイレベルとし基準電位をローレベルとして振幅する第1の信号を前記第1の駆動信号として出力するローレベルドライバと、
前記電圧検出部から前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧よりも大きいと判定した検出信号が出力されたときは、前記第1の電源電圧に基づき生成される電圧レベルをハイレベルとし該ハイレベルよりも数ボルト低いが前記基準電位よりも高い電圧に生成される電圧レベルをローレベルとして振幅する第2の信号を前記第1の駆動信号として出力するハイレベルドライバと、
を含み、
前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧より大きいときは前記ハイレベルドライバから出力される前記第2の信号で構成される前記第1の駆動信号で前記第1のスイッチング素子を駆動し、前記第1の電源電圧が前記しきい値電圧より小さいときは前記ローレベルドライバから出力される前記第1の信号で構成される前記第1の駆動信号で前記第1のスイッチング素子を駆動する構成の半導体集積回路装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0022】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0023】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0024】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0025】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0026】
〈発明の概要〉
本発明によるスイッチング電源回路1は、第1および第2のスイッチング素子(トランジスタ17、18)を含むスイッチング回路3と、第1および第2のスイッチング素子を駆動する信号を供給するパルス発生部2と電源電圧検出部4を含む制御部を有する。
【0027】
第1および第2のスイッチング素子は、外部電源から第1の電圧が供給される電源電圧供給端子(VDD2)とスイッチング電源回路装置の基準電位配線路または中性点配線路(VSS)との間に直列接続され、パルス発生部2から供給される第1および第2の駆動信号Sdv1,Sdv2に基づいて、第1の電圧VDD2をスイッチングしてスイッチング電圧VPを生成する。
【0028】
パルス出力部7は、第1のパルス信号(パルス信号P1)を増幅して第1のスイッチング素子を駆動させる第1の駆動信号Sdv1を出力する。また、第2のパルス信号P2を増幅して前記第2のスイッチング素子を駆動させる第2の駆動信号Sdv2を出力する。
【0029】
そして、パルス出力部7は、第1の電圧がしきい値電圧(基準電圧VREF1)以下の場合、第1の信号を第1の駆動信号として出力する。また、第1の電圧がしきい値電圧よりも大きい場合、第2の信号を第1の駆動信号として出力する。ドライバ部が出力する第2の信号のローレベルは、第1の信号のローレベルよりも高い電圧レベルである。
【0030】
以下、実施の形態をさらに詳細に説明する。
【0031】
〈スイッチング電源回路の構成例〉
図1は、本実施の形態によるスイッチング電源回路における構成の一例を示すブロック図である。
【0032】
本実施の形態において、スイッチング電源回路1は、電源電圧VBATを生成する。スイッチング電源回路1が生成した電源電圧VBATは、出力端子VOUTおよびグランド端子GND(スイッチング電源回路1内部の基準電位配線路VSSに接続される。)を介してバッテリパックBPに供給される。バッテリパックBPは、たとえば、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などの電子機器の電源として用いられる。
【0033】
バッテリパックBPは、図示しないバッテリおよびバッテリ監視モジュールなどから構成されている。バッテリは、たとえば、4個のリチウムイオン二次電池セル(1つのセルの最高電圧は、たとえば、4.2V程度)が直列接続された電池組から構成されている。
【0034】
バッテリ監視モジュールは、バッテリにおける過充電、過放電、および過電流などの各種監視やバッテリ保護などを行う電池電圧制御用IC(Integral Circuit)、およびスイッチなどを有する。スイッチは、スイッチング電源回路1から電源電圧VBATが出力される出力端子VOUTとバッテリの正(+)側電極と間に接続されている。電池電圧制御用ICは、スイッチに制御信号を出力して動作制御を行い、バッテリを所定の電圧範囲内に制御する。
【0035】
スイッチング電源回路1は、
図1に示すように、パルス発生部2、スイッチング回路3、電源電圧検出部4、および図示しない過電流検出部を有する。パルス発生部2、電源電圧検出部4、および過電流検出部は、半導体基板上に集積形成した半導体集積回路装置として構成することができる。また、スイッチング回路3は高耐圧・大電流用途に適合した絶縁ゲート型パワーFETとして前記半導体集積回路装置を構成する半導体チップとは別の半導体チップとして用意され、半導体集積回路装置及び絶縁ゲート型パワーFETであるトランジスタ32、33は、コンデンサ、抵抗などのディスクリート部品とともにプリント配線基板上に実装され電子機器に組み込まれる構成となっている。
【0036】
なお、ここでは、スイッチング回路3をプリント配線基板上にディスクリート部品などによって実装する構成としたが、スイッチング回路3を構成するパワーFETや抵抗、コンデンサも半導体基板上に形成した半導体集積回路装置として構成してもよい。
【0037】
半導体集積回路装置には、後述する
図2に示すように、動作電源電圧として電源電圧VDD1が供給されている。第2の電圧である電源電圧VDD1は、例えば3.0V程度である。また、スイッチング回路3には、スイッチング用電源電圧として外部から入力される電源電圧VDD2が供給されている。第1の電圧である電源電圧VDD2は、例えば3.0V程度〜30V程度であり、この電源電圧VDD2をスイッチング回路3によってスイッチングすることにより、電源電圧VBATを生成する。電源電圧VDD1は電子機器に装着されたバッテリパックBPから供給される。なお、装着されたバッテリパックBPは出力端子VOUTから供給される電源電圧VBATで充電することができる。電源電圧VBATとしては、例えば4.2V、5.0V、8.4V等必要に応じ設定することができる。
【0038】
パルス発生部2は、スイッチング回路3に出力する駆動信号Sdv1,Sdv2をそれぞれ生成する。スイッチング回路3は、パルス発生部2が発生した駆動信号Sdv1,Sdv2に基づいて、スイッチング動作を行い、入力電圧である電源電圧VDD2から、充電用電源である電源電圧VBATを生成してバッテリパックBPに供給する。
【0039】
電源電圧検出部4には、電源電圧VDD2が入力されており、該電源電圧VDD2の電圧レベルを検出し、その結果を検出信号KS1,KS2としてパルス発生部2に出力する。過電流検出部は、例えば出力端子VOUTに流れる電流路に接続された数十mΩ程度の図示しない電流検出用抵抗の電圧降下から電流値を検出し、該電流値が予め設定された電流値以上となったことを検出すると過電流検出信号を出力する。
【0040】
〈パルス発生部、およびスイッチング回路の構成例〉
図2は、
図1のスイッチング電源回路に設けられたパルス発生部、およびスイッチング回路の構成の一例を示す説明図である。
【0041】
パルス発生部2は、パルス発生回路5、出力段制御論理部6、およびパルス出力部7から構成されている。パルス発生回路5は、オペアンプ8、コンパレータ9、コンデンサ10、抵抗11、オシレータ12、およびコンデンサ13を有する。
【0042】
また、パルス出力部7は、ハイレベルドライバ14、ローレベルドライバ15、およびドライバ16を有する。ハイレベルドライバ14、およびローレベルドライバ15によって第1のドライバが構成される。また、ドライバ16は、第2のドライバとなる。
【0043】
スイッチング回路3は、スイッチング部を構成するトランジスタ17,18、コイル19、コンデンサ20,21、および抵抗22〜24を有する。
【0044】
オペアンプ8の正(+)側入力部には、基準電圧VREFが入力されており、該オペアンプ8の負(−)側入力部には、フィードバック電圧VFBが入力されるように接続されている。
【0045】
オペアンプ8は、基準電圧VREFとフィードバック電圧VFBとを比較し、その比較差をアナログ電圧としてコンパレータ9に出力する。オペアンプ8の出力部には、コンパレータ9の一方の入力部、およびコンデンサ10の一方の接続部がそれぞれ接続されている。コンデンサ10の他方の接続部には、抵抗11の一方の接続部が接続されており、該抵抗11の他方の接続部には、フィードバック電圧VFBが供給されている。
【0046】
コンパレータ9の他方の入力部には、オシレータ12から出力される信号が入力されるように接続されており、該コンパレータ9の出力部には、出力段制御論理部6の入力部が接続されている。
【0047】
オシレータ12は、信号発生器であり、例えば三角波の信号を生成して出力する。コンパレータ9は、オペアンプ8から出力されるアナログ電圧とオシレータ12から出力される三角波の信号とを比較し、その比較結果を出力する。オシレータ12には、三角波の信号波形を調整するコンデンサ13が接続されている。
【0048】
出力段制御論理部6の一方の出力部には、ハイレベルドライバ14、およびローレベルドライバ15の入力部がそれぞれ接続されており、該出力段制御論理部6の他方の出力部には、ドライバ16の入力部が接続されている。なお、
図2の例において、ハイレベルドライバ14、およびローレベルドライバ15のバックゲート(半導体基板領域側領域)は図示されていないがそれぞれソースとして動作する電極側に接続されている。即ちハイレベルドライバ14のバックゲートは電源電圧VDD2に、ローレベルドライバ15のバックゲートは基準電位VSSにそれぞれ接続されている。
【0049】
出力段制御論理部6は、コンパレータ9の出力信号に基づいて、パルス信号P1,P2をそれぞれ生成する。
【0050】
また、出力段制御論理部6の制御端子には、過電流検出部から出力される過電流検出信号が入力されるように接続されている。出力段制御論理部6は、過電流検出信号が入力されるとパルス信号P1,P2の出力を停止する。これにより、過電流が流れることによるコイル19などの損傷を防止する。
【0051】
出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P1は、ハイレベルドライバ14、およびローレベルドライバ15の入力部にそれぞれ入力されるように接続されている。また、出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P2は、ドライバ16の入力部に入力されるように接続されている。
【0052】
ハイレベルドライバ14およびローレベルドライバ15は、出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P1を反転させて増幅し、駆動信号Sdv1として出力する。ドライバ16は、出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P2を反転させて増幅し、駆動信号Sdv2として出力する。
【0053】
ハイレベルドライバ14の制御端子には、電源電圧検出部4から出力される検出信号KS1が入力されるように接続されており、ローレベルドライバ15の制御端子には、電源電圧検出部4から出力される検出信号KS2が入力されるように接続されている。
【0054】
ハイレベルドライバ14は、制御端子に入力される検出信号KS1に基づいて動作を行い、ローレベルドライバ15は、制御端子に入力される検出信号KS2に基づいて動作を行う。電源電圧検出部4は、電源電圧VDD2がある一定の電圧レベル以上、例えば5.0V程度以上の場合には、ハイレベルドライバ14がアクティブとなるように検出信号KS1を出力し、電源電圧VDD2がある一定の電圧レベルよりも低い場合には、ローレベルドライバ15がアクティブとなるように検出信号KS2を出力する。
【0055】
ハイレベルドライバ14およびローレベルドライバ15の出力部には、トランジスタ17のゲートがそれぞれ接続されており、ドライバ16の出力部には、トランジスタ18のゲートが接続されている。
【0056】
また、ハイレベルドライバ14は、動作電源電圧として電源電圧VDD2が供給されており、ローレベルドライバ15およびドライバ16には、動作電源電圧として電源電圧VDD1がそれぞれ供給されている。
【0057】
トランジスタ17,18は高耐圧に対応した特性を備えた絶縁ゲート型FETで構成されており、トランジスタ17は、PチャネルMOS(Metal Oxide Semiconductor)からなり、トランジスタ18は、NチャネルMOSからなる。トランジスタ17は、ハイレベルドライバ14、またはローレベルドライバ15から出力される駆動信号Sdv1に基づいてオン/オフ動作を行う。トランジスタ18は、ドライバ16から出力される駆動信号Sdv2に基づいてオン/オフ動作を行う。
【0058】
トランジスタ17のソース/ドレインの一端には、電源電圧VDD2が供給されるように接続されており、該トランジスタ17のソース/ドレインの他端には、トランジスタ18のソース/ドレインの一端が接続されている。トランジスタ18のソース/ドレインの他端には、基準電位VSSが接続されている。
【0059】
また、トランジスタ17のソース/ドレインの他端とトランジスタ18のソース/ドレインの一端との接続部には、インダクタであるコイル19の一方の接続部が接続されている。
【0060】
コイル19の他方の接続部には、コンデンサ20の一方の接続部、コンデンサ21の一方の接続部、および抵抗23の一方の接続部がそれぞれ接続されている。このコイル19の他方の接続部は、スイッチング電源回路1の出力部となり、出力端子VOUTを介して電源電圧VBATが出力される。
【0061】
コンデンサ20の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されており、コンデンサ21の他方の接続部には、抵抗22の一方の接続部が接続されている。抵抗23の他方の接続部には、抵抗24の一方の接続部が接続されており、抵抗24の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されている。抵抗23と抵抗24との接続部には、抵抗22の他方の接続部が接続されている。
【0062】
抵抗23,24によって分圧された電圧は、前述したフィードバック電圧VFBとなる。このフィードバック電圧VFBは、先に述べたようにオペアンプ8の負(−)側入力部に入力される。
【0063】
〈パルス発生部、およびスイッチング回路の動作例〉
ここで、パルス発生部2、およびスイッチング回路3における動作について説明する。
【0064】
オペアンプ8は、基準電圧VREFと電源電圧VBATを抵抗23,24によって分圧したフィードバック電圧VFBとを比較し、その比較差をアナログ電圧としてコンパレータ9に出力する。
【0065】
コンパレータ9は、オペアンプ8から出力されたアナログ電圧とオシレータ12から出力される三角波とを比較し、PWM(Pulse Width Modulation)信号を生成する。コンパレータ9から出力されたPWM信号は、出力段制御論理部6に入力される。
【0066】
出力段制御論理部6では、入力されたPWM信号に基づいて、パルス信号P1,P2をそれぞれ生成する。出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P1,P2は、同じ電圧レベルの信号が略同期して出力されるが、トランジスタ17,18が同時オンとならないように、タイミングがずらされて出力される。
【0067】
出力段制御論理部6から出力されたパルス信号P1は、ハイレベルドライバ14、およびローレベルドライバ15によってそれぞれ入力される。ハイレベルドライバ14、またはローレベルドライバ15のいずれか一方は、電源電圧検出部4から出力された検出信号KS1,KS2によってアクティブとなっている。
【0068】
パルス信号P1は、アクティブとなっているハイレベルドライバ14、またはローレベルドライバ15のいずれかによって増幅され、駆動信号Sdv1として出力されてトランジスタ17のゲートに入力される。この駆動信号Sdv1に基づいて、トランジスタ17が駆動される。
【0069】
また、出力段制御論理部6から出力されたパルス信号P2は、ドライバ16によって増幅され、駆動信号Sdv2として出力されてトランジスタ18のゲートに入力される。トランジスタ18は、駆動信号Sdv2に基づいて駆動される。
【0070】
ここで、ローレベルドライバ15、およびドライバ16は、前述したように動作電源電圧として電源電圧VDD1が供給されている。よって、ローレベルドライバ15から出力される駆動信号Sdv1、およびドライバ16から出力される駆動信号Sdv2の電圧振幅は、電源電圧VDD1と基準電位VSSとの電位差となる。
【0071】
トランジスタ17,18は、ゲートに入力された駆動信号Sdv1,Sdv2に基づいて、オン/オフ動作が制御され、スイッチング動作を行う。これによって、トランジスタ17,18の接続部から矩形状のスイッチング電圧VPが出力される。
【0072】
駆動信号Sdv1,Sdv2がローレベルとなってトランジスタ17がオンし、トランジスタ18がオフすると、コイル19、コンデンサ20、および負荷には、電流が流れる。このとき、コイル19とコンデンサ20には電気エネルギが蓄えられる。
【0073】
続いて、駆動信号Sdv1,Sdv2がハイレベルとなってトランジスタ17がオフし、トランジスタ18がオンすると、コイル19、およびコンデンサ20に蓄えられた電気エネルギによって負荷に電流が流れる。
【0074】
これにより、トランジスタ17とトランジスタ18との接続部から出力されるスイッチング電圧VPは、コイル19、およびコンデンサ20によって平滑され、電源電圧VBATとして出力される。
【0075】
スイッチング電源回路1において、電源電圧VBATの電圧を調整するのは、PWM信号のデュティ比、すなわちトランジスタ17のオン時間である。例えば、負荷が重く電流を多く必要とする場合には、PWM信号のディティ比を大きくしてトランジスタ17のオン時間を増加させることによって、供給能力を上げる。
【0076】
逆に、負荷が軽い場合は、PWM信号のディティ比を小さくしてトランジスタ17のオン時間を減少させることによってスイッチング電圧VPの出力期間を少なくすることによって供給能力を下げる。
【0077】
〈電源電圧検出部の構成例〉
図3は、
図2の電源電圧検出部における構成の一例を示す説明図である。
【0078】
電源電圧検出部4は、
図3に示すように、コンパレータ25、およびインバータ26からなる。コンパレータ25の正(+)側入力部には、電源電圧VDD2が入力されるように接続されており、該コンパレータ25の負(−)側入力部には、基準電圧VREF1が入力されるように接続されている。
【0079】
このコンパレータ25の出力部には、ハイレベルドライバ14の制御端子、およびインバータ26の入力部にそれぞれ接続されている。コンパレータ25の出力部から出力される信号は、検出信号KS1としてハイレベルドライバ14の制御端子に入力される。インバータ26の出力部は、ローレベルドライバ15の制御端子に接続されており、該インバータ26の出力部から出力される信号が検出信号KS2となる。
【0080】
コンパレータ25は、基準電圧VREF1と電源電圧VDD2とを比較し、電源電圧VDD2が基準電圧VREF1を基準として定まる電圧レベル以上となったことを検出すると、アクティブの検出信号KS1を出力する。ここでは、例えば電源電圧VDD2が5.0V程度以上となった際に、アクティブの検出信号KS1が出力されるように基準電圧VREF1の電位を設定する。
【0081】
検出信号KS1がアクティブとなると、検出信号KS2は、インバータ26によって反転された信号となるので、インアクティブとなる。これによって、ハイレベルドライバ14がアクティブとなり、ローレベルドライバ15がインアクティブとなる。
【0082】
〈ハイレベルドライバの構成例〉
図4は、
図2のハイレベルドライバにおける構成の一例を示す説明図である。
【0083】
ハイレベルドライバ14は、
図4に示すように、抵抗27〜29、ダイオード30、コンデンサ31、トランジスタ32,33、定電流回路34、論理積回路35、およびスイッチ36を有する。第1のトランジスタであるトランジスタ32は、NチャネルMOSからなり、第2のトランジスタであるトランジスタ33は、PチャネルMOSからなる。
【0084】
また、抵抗29、トランジスタ32,33によって駆動信号出力部が構成される。さらに、抵抗27,28、ダイオード30、コンデンサ31、定電流回路34、論理積回路35、およびスイッチ36によって駆動制御部が構成される。
【0085】
抵抗27,28,29の一方の接続部、およびトランジスタ32のソース/ドレインの一端には、電源電圧VDD2が接続されている。抵抗27の他方の接続部には、定電流回路34の入力部が接続されており、該定電流回路34の出力部には、スイッチ36の一方の接続部が接続されている。定電流回路34は、略一定の電流を供給する回路である。
【0086】
スイッチ36の他方の接続部には、基準電位VSSが接続されており、該スイッチ36の制御端子には、論理積回路35の出力部が接続されている。スイッチ36は、論理積回路35から出力された制御信号に基づいて、オン/オフ動作を行う。
【0087】
論理積回路35の一方の入力部には電源電圧検出部からハイレベルドライバ14の入力部に入力される検出信号KS1が入力されるように接続されており、該論理積回路35の他方の入力部には出力段制御論理部6からハイレベルドライバ14における制御端子に出力されるパルス信号P1が入力されるように接続されている。即ち、論理積回路35の他方の入力部とハイレベルドライバ14における制御端子には同じパルス信号P1が入力され、該論理積回路35の一方の入力部とハイレベルドライバ14における検出信号入力部には同じ検出信号KS1が入力される接続構成となる。
【0088】
抵抗28の他方の接続部には、トランジスタ32のゲート、ダイオード30のアノード、およびコンデンサ31の一方の接続部がそれぞれ接続されている。ダイオード30のカソード、コンデンサ31の他方の接続部、およびトランジスタ33のゲートには、抵抗27の他方の接続部と定電流回路34の入力部との接続部がそれぞれ接続されている。ダイオード30は、トランジスタ32のゲート容量に蓄えられる電荷を放電する。設計段階において、コンデンサ31の静電容量値を調整することによってトランジスタ32のオン/オフ動作速度の設定値を調整することができる。
【0089】
トランジスタ32のソース/ドレインの他端には、トランジスタ33のソース/ドレインの一端、および抵抗29の他方の接続部がそれぞれ接続されている。この接続部はハイレベルドライバ14の出力部となりトランジスタ17のゲートに接続される。また、トランジスタ33のソース/ドレインの他端には基準電位VSSが接続されている。
【0090】
ハイレベルドライバ14は、外部入力された電源電圧VDD2の電圧レベルが電源電圧VDD1よりも高い場合に、トランジスタ17を駆動させる駆動信号Sdv1を出力するドライバである。
【0091】
電源電圧VDD2の電圧レベルが高くなった際に、電源電圧VDD1に対する電源電圧VDD2の電圧レベルの変動幅が大きいままでトランジスタ17を駆動させると、ハイレベルが電源電圧VDD1に対応する電圧となるゲート電圧で(即ち、電圧レベルが高くなった電源電圧VDD2より低い電圧レベルで)、スイッチング電圧VPを電源電圧VDD1より高い電圧である電源電圧VDD2にある電圧レベルから0Vまで引き下げるのに要するスイッチング時間Trが、電源電圧VDD2の電圧レベルが電源電圧VDD1と同じ電圧レベルである場合にくらべ、大きくなってしまい、スイッチング時間Tr/スイッチング時間Tfが大きくなってしまう。ここで、スイッチング時間Trはトランジスタ17がオンからオフするまでに要する時間であり、スイッチング時間Tfはトランジスタ17がオフからオンするまでに要する時間である。
【0092】
スイッチング時間Tr/スイッチング時間Tfが大きいほど、スイッチング損失も大きくなってしまうとともに、トランジスタ17に出力されるパルス信号の遅延も大きくなる。また電源電圧VDD2がさらに大きくなる使用環境ではトランジスタ17をオフすることができなくなる問題も生じる。
【0093】
そこで、電源電圧VDD2が基準電圧VREF1を基準として定まるある一定の電圧レベル以上、例えば5.0V程度以上となると、電源電圧VDD2を動作電源とするハイレベルドライバ14によってトランジスタ17を駆動する。
【0094】
ハイレベルドライバ14は、出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P1に基づいて、ハイレベルが電源電圧VDD2に対応する電圧レベルとなり、ローレベルが電源電圧VDD2よりも数ボルト低い電圧レベル(例えば3V〜4V程度低い電圧レベルで、基準電圧VSSまで落ちない範囲で設定することができる。)となる電圧振幅を有する駆動信号Sdv1を生成し、トランジスタ17のゲートに出力する。
【0095】
これによって、トランジスタ17がハイレベルが電源電圧VDD2に対応する電圧となるゲート電圧でオンからオフにスイッチングされるので、オンからオフするまでに要する時間を小さくすることができ、スイッチング損失を低減させることができる。また、駆動信号Sdv1の電圧振幅を小さくすることができるので、トランジスタ17の信頼性を向上させることができる。またトランジスタ17をオフすることができなくなる問題も回避することができる。
【0096】
〈ハイレベルドライバの動作例〉
図5は、
図4のハイレベルドライバにおける信号タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
【0097】
図5において、上方から下方にかけて、ハイレベルドライバ14に入力されるパルス信号P1、トランジスタ32のゲートに入力されるゲート電圧、トランジスタ33のゲートに入力されるゲート電圧、およびハイレベルドライバ14から出力される駆動信号Sdv1におけるタイミングをそれぞれ示している。
【0098】
まず、電源電圧VDD2がある一定の電圧レベル以上、例えば5.0V程度以上であると、電源電圧検出部4は、検出信号KS1をハイレベルドライバ14の制御端子に出力する。これにより、ハイレベルドライバ14は、動作を開始し、アクティブとなる。
【0099】
このとき、出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P1がハイレベルとなると、論理積回路35からは、スイッチ36をオンさせる制御信号が出力される。この制御信号によりスイッチ36がオンとなり、定電流回路34を通して電流が流れると、抵抗27によって電圧降下が生じ、トランジスタ33のゲートがローレベルとなって、該トランジスタ33がオンとなる。
【0100】
同様に、抵抗28、およびダイオード30による電圧降下によってトランジスタ32のゲートがローレベルとなると、該トランジスタ32はオフとなる。これによって、トランジスタ33のソースフォロアによってハイレベルドライバ14の出力、すなわち駆動信号Sdv1は、ローレベルとなる。
【0101】
このローレベルの電圧は、ソースフォロアであるので、トランジスタ33のゲートに入力される電圧と略同じ程度の電圧となる。この場合、トランジスタ33のゲートに入力される電圧は、抵抗27の電圧降下、すなわち(定電流回路34に流れる電流×抵抗27の抵抗値)によって決定される。
【0102】
続いて、出力段制御論理部6から出力されるパルス信号P1がローレベルとなると、論理積回路35からは、スイッチ36をオフさせる制御信号が出力される。スイッチ36がオフすることによって、定電流回路34には電流が流れなくなる。
【0103】
定電流回路34から電流が流れなくなると、トランジスタ32,33のゲートがハイレベルとなり、トランジスタ32がオンとなり、トランジスタ33のゲートがオフとなる。これによって、トランジスタ32のソースフォロアによって、ハイレベルドライバ14の出力、すなわち駆動信号Sdv1は、ハイレベルとなる。
【0104】
低インピーダンス出力のトランジスタ32、およびトランジスタ33のソースフォロアによって、トランジスタ17を駆動するので、該トランジスタ17のスイッチング速度をより速くすることができる。
【0105】
以上の動作を繰り返すことによって、ハイレベルドライバ14は、駆動信号Sdv1を生成して出力する。このようにハイレベルドライバ14から出力される駆動信号Sdv1は、ハイレベルが電源電圧VDD2に対応する電圧レベルに設定される。
【0106】
また、ハイレベルドライバ14から出力される駆動信号Sdv1のローレベルは、トランジスタ33のソースフォロアによって生成される(定電流回路34に流れる電流×抵抗27の抵抗値=)電圧である。
【0107】
このローレベルの電圧は、トランジスタ17が十分にオンするゲート電圧であり、設計段階において抵抗27の抵抗値を調整し設定することで、所望の値に設定することができる。
【0108】
ローレベルの電圧として電源電圧VDD2より数ボルト(例えば3V〜4V)程度低い電圧に設定する例を説明したが、ハイレベルドライバ14から出力される信号の電圧振幅を、ローレベルドライバ15から出力される電圧振幅と略同じ程度になるように設定してもよい。
【0109】
このように、駆動信号Sdv1として、ハイレベルを電源電圧VDD2に対応する電圧とし、ローレベルを電源電圧VDD2よりも3V〜4V程度低い電圧とする電圧振幅のパルス信号として生成してもよく、あるいはローレベルドライバ15から出力される電圧振幅と略同じ程度の電位差を有する電圧振幅のパルス信号として生成することができる。なお、ローレベルドライバ15から出力される駆動信号Sdv1のハイレベルは半導体集積回路装置の動作電源電圧である電源電圧VDD1(例えば3.0V)に対応する電圧でありローレベルは半導体集積回路装置の基準電位VSSに対応する電圧となる。
【0110】
ハイレベルドライバ14を設けることで、例えば、5V程度よりも大きい高い電圧レベルの電源電圧VDD2が外部から入力された場合であっても、高い電圧レベルの電源電圧VDD2に対応するゲート電圧でトランジスタ17をオフにすることができるのでオンからオフするまでに要する時間を小さくすることが可能となり、スイッチング損失を低減させることができる。
【0111】
また、電圧振幅を小さくすることができるので、電源電圧VDD2の電圧レベルに関係なく、トランジスタ17のスイッチング周波数を高速化することが可能となり、電源電圧VBATの生成効率を向上させることができる。
【0112】
以上により、電源電圧VDD2が電源電圧VDD1よりも大幅に高い電圧レベルであっても、スイッチング電源回路1における電源電圧VBATの生成効率を向上させることができる。また、バッテリパックBPへの充電効率を向上させることができる。
【0113】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0114】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0115】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。