(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のチャネルから選択した1つ以上のチャネルを使用した無線通信を開始する前に、選択したチャネルにおいて特定電波が所定時間、検出されないことの確認が要求される規格を用いた無線通信を実行する無線通信装置を備える通信システムであって、
使用するチャネルの指示を前記無線通信装置から要求されると、前記無線通信装置による前記確認が不要なチャネルを、複数のチャネルにおける前記特定電波の検出結果に基づき選定して、この選定したチャネルの使用を指示する電波監視装置を前記無線通信装置とは別体に備え、
前記無線通信装置は、
新たなチャネルを使用した無線通信を開始する場合、前記電波監視装置に前記指示を要求する要求部と、
前記電波監視装置から指示されたチャネルを使用する無線通信を、前記確認をせずに開始する開始部とを備え、
前記電波監視装置は、前記無線通信装置によって検出された特定電波と同じパターンの特定電波を、所定時間以内の時間差で検出した場合に、前記指示をする
通信システム。
複数のチャネルから選択した1つ以上のチャネルを使用した無線通信を開始する前に、選択したチャネルにおいて特定電波が所定時間、検出されないことの確認が要求される規格を用いた無線通信を実行する無線通信装置と通信する電波監視装置であって、
使用するチャネルの指示を前記無線通信装置から要求されると、前記無線通信装置による前記確認が不要なチャネルを、複数のチャネルにおいて前記特定電波を検出する検出部と、
前記無線通信装置による前記確認が不要なチャネルを、前記検出部による検出結果に基づき選定する選定部と、
前記選定部によって選定されたチャネルの使用を、前記無線通信装置に指示する指示部と、
前記無線通信装置によって検出された特定電波と同じパターンの特定電波が、所定時間以内の時間差で前記検出部によって検出された場合に、前記指示部に前記指示をさせる判断部と
備える電波監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術が有する課題は、モニタ用系統が無線通信装置に内蔵されているため、レーダ波検出に関する法規等が変更になるなどしてモニタ動作の変更が必要になった場合に、その変更のために手間を要して高コストになることである。この他、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、先述した課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態として実現できる。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、複数のチャネルから選択した1つ以上のチャネルを使用した無線通信を開始する前に、選択したチャネルにおいて特定電波が所定時間、検出されないことの確認が要求される規格を用いた無線通信を実行する無線通信装置を備える通信システムが提供される。この通信システムは、使用するチャネルの指示を前記無線通信装置から要求されると、前記無線通信装置による前記確認が不要なチャネルを、複数のチャネルにおける前記特定電波の検出結果に基づき選定して、この選定したチャネルの使用を指示する電波監視装置を前記無線通信装置とは別体に備え;前記無線通信装置は;新たなチャネルを使用した無線通信を開始する場合、前記電波監視装置に前記指示を要求する要求部と;前記電波監視装置から指示されたチャネルを使用する無線通信を、前記確認をせずに開始する開始部とを備える。この形態によれば、特定電波を検出する動作の変更に掛かる手間が減り、ひいては、この変更に掛かるコストが低減される。電波監視装置は、無線通信装置と別体だからである。上記「無線通信を、前記確認をせずに開始する」ことは、「指示されたチャネルにおいて特定電波が検出されないことを、前記所定時間よりも短い時間、確認してから無線通信を開始する」ことを含む。「電波監視装置と前記無線通信装置とが別体である」とは、電波監視装置と前記無線通信装置とがそれぞれ異なる筐体を有していることを意味する。
【0007】
(2)上記形態において、前記無線通信装置を複数備え;前記電波監視装置は、前記複数の無線通信装置のうち、前記要求をしてきた無線通信装置に対して前記指示をする。この形態によれば、通信システムのコストが低減される。各無線通信装置に1つずつ電波監視装置を用意する必要がないからである。
【0008】
(3)上記形態において、前記電波監視装置は、自装置による前記特定電波の検出精度が、前記無線通信装置による検出精度と同等以上の場合に、前記指示をする。この形態によれば、無線通信装置よりも検出精度が低い場合に、指示をすることを回避できる。
【0009】
(4)上記形態において、前記電波監視装置は、前記無線通信装置によって検出された特定電波と同じパターンの特定電波を、所定時間以内の時間差で検出した場合に、前記指示をする。この形態によれば、検出精度の比較が正しく実行される可能性が高くなる。
【0010】
(5)上記形態において、前記開始部は、前記要求の後、前記指示がされなかった場合は、前記確認をしてから無線通信を開始する。この形態によれば、無線通信装置は、指示されなくてもチャネルを選択できる。前記指示がされなかった場合とは、例えば、電波監視装置から応答が一定時間以上なかった場合、選定したチャネルの使用を指示しない旨の応答が電波監視装置からあった場合、又は通信エラー等が検出された場合のことである。
【0011】
(6)上記形態において、前記電波監視装置は、複数の受信機を備え;前記複数の受信機それぞれは、別々のチャネルにおける前記特定電波を受信する。この形態によれば、電波監視装置のコストを低減できる。全チャネルを監視できる受信機1つよりも、一部のチャネルを監視する受信機を複数用意する方が、コストを低減しやすいからである。
【0012】
先述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものという訳ではなく、先述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、先述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、先述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を先述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0013】
例えば、本発明の一形態は、通信装置と、監視装置との2つの要素の内の一部または全部の要素を備えたシステムとして実現可能である。このシステムは、監視装置を有していても良く、有していなくても良い。このシステムは、通信装置を有していても良く、有していなくても良い。監視装置は、例えば、使用するチャネルの指示を前記無線通信装置から要求されると、前記無線通信装置による前記確認が不要なチャネルを、複数のチャネルにおける特定電波の検出結果に基づき選定して、この選定したチャネルの使用を指示する電波監視装置であってもよい。通信装置は、例えば、要求部と開始部とを備える無線通信装置であってもよい。要求部は、新たなチャネルを使用した無線通信を開始する場合、前記電波監視装置に前記指示を要求してもよい。開始部は、前記電波監視装置から指示されたチャネルを使用する無線通信を、前記確認をせずに開始してもよい。こうしたシステムは、例えば通信システムとして実現できるが、通信システム以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、システムの低コスト化や、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決できる。先述した通信システムの各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこのシステムに適用できる。
【0014】
本発明は、上記以外の種々の形態でも実現できる。例えば、電波監視装置単体、或いは、無線用チャネルを選択する方法、この方法を実現するためのプログラム、このプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施形態1を説明する。
図1は、通信システム10の概略構成を例示する。
図1に例示された場合において、通信システム10は、無線通信装置100と、ハブ200と、レーダ波監視装置300と、2台のクライアント装置CLa、CLbとを備える。無線通信装置100は、無線LANを形成する。以下、クライアント装置CLaとクライアント装置CLbとを区別しない場合は「クライアント装置CL」と呼ぶ。通信システム10は、任意の数の無線通信装置100とクライアント装置CLとを備えることができる。WDS(Wireless Distribution System:アクセスポイント間通信)を実行する無線通信装置を通信システム10に加えてもよい。
【0017】
無線通信装置100は、IEEE802.11に準拠した無線LANアクセスポイントであり、有線ケーブルを介してインターネットINTに接続されている。無線通信装置100は、OSI参照モデルにおける第3層のルータとしても機能する。無線通信装置100aは、クライアント装置CLa,CLbとの間の無線通信を中継する。無線通信装置100は、有線通信を中継することもできる。
【0018】
クライアント装置CLaは、IEEE802.11に準拠した無線通信インターフェイスを備えるパーソナルコンピュータである。クライアント装置CLbは、IEEE802.11に準拠した無線通信インターフェイスを備えるスマートフォンである。
【0019】
レーダ波監視装置300は、5つの受信機400を備える。5つの受信機400は、それぞれ異なる周波数帯の電波を受信する。その周波数帯は、「5.15〜5.25GHz(W52の全チャネル(36〜48ch))」、「5.25〜5.35GHz(W53の全チャネル(52〜64ch))」、「5.470〜5.570GHz(W56の100〜112ch)」、「5.570〜5.650GHz(W56の116〜128ch)」、「5.650〜5.725GHz(W56の132〜140ch)」である。この受信は、レーダ波の検出と、各チャネルのRSSIの取得とのために実行される。但し、W52に属するチャネルは、レーダ波の検出対象から除外される。
【0020】
ハブ200は、無線通信装置100とレーダ波監視装置300とをイーサネット(登録商標)を用いて有線接続するためのものである。
【0021】
図2は、無線通信装置100の内部構成を示すブロック図である。無線通信装置100は、無線通信部110と、有線通信部120と、CPU130と、RAM140と、フラッシュROM150とを備える。これらは、バスを介して相互に接続されている。
【0022】
無線通信部110は、通信部111(2.4GHz用)と、通信部112(5GHz用)と、2本のアンテナ160とを備える。無線通信部110は、アンテナ160を介して受信した電波の復調およびデータの生成、並びに、アンテナ160を介して送信する電波の生成および変調を行う。無線通信部110は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)が適用されている。
【0023】
通信部111は、無線LANの規格に準拠した2.4GHz帯に属するチャネルを使用した通信を実行する。通信部112は、無線LANの規格に準拠した5GHz帯に属するチャネルを使用した無線通信を実行する。通信部112は、レーダ波を検出する機能を有する。レーダ波の検出対象となる周波数帯は、レーダ波監視装置300と同じで、W53及びW56の周波数帯である。
【0024】
有線通信部120は、受信した信号の波形を整える処理や、受信した信号からMACフレームを取り出す処理等を実行する。有線通信部120は、WAN側インターフェイス121と、LAN側インターフェイス122とを備える。WAN側インターフェイス121は、インターネットINT側の回線に接続される。LAN側インターフェイス122は、有線接続の対象となるクライアント装置CLに接続される。
【0025】
CPU130は、チャネル変更処理(後述)をRAM140に展開して実行することによって、要求部131及び開始部132として機能する。チャネル変更処理を実現するためのプログラムは、フラッシュROM150に格納されている。
【0026】
図3は、レーダ波監視装置300の内部構成を示すブロック図である。レーダ波監視装置300は、有線通信部320と、CPU330と、RAM340と、フラッシュROM350と、USBホストコントローラ360と、5つのUSBポート361,362,363,364,365とを備える。
【0027】
USBポート361〜365はそれぞれ、受信機400との接続に用いられる。USBホストコントローラ360は、受信機400とCPU330との通信を制御するためのコントローラである。有線通信部320は、ハブ200との有線接続のためのイーサネットコントローラとLANポートとを備える。
【0028】
CPU330は、チャネル変更処理(後述)をRAM340に展開して実行することによって、判断部331、選定部332及び指示部333として機能する。チャネル変更処理とレーダ波検出処理(後述)とを実現するためのプログラムは、フラッシュROM350に格納されている。
【0029】
図4は、受信機400の内部構成を示すブロック図である。受信機400は、アンテナ410と、RFモジュール420と、コネクタ430と、デバイスコントローラ(図示せず)とを備える。アンテナ410は、スリーブアンテナである。RFモジュール420は、アンテナ410が受信した電波から、復調等によってデータを取り出す処理を実行する。RFモジュール420は、上記5つの周波数帯の何れか1つに対応している。コネクタ430は、USBポート361〜365の何れかに挿入され、通信経路として機能する。5つの受信機400はそれぞれ、周波数帯に関する部分以外について、内部構成は同一である。
【0030】
図5は、レーダ波検出処理を示すフローチャートである。この処理は、レーダ波監視装置300に備えられたCPU330によって常時、繰り返し実行される。初めにCPU330は、受信機400から受信電波に関する情報を取得する(ステップS505)。続いてCPU330は、ステップS505において取得した情報に基づき、W52とW53とW56との何れかに属するチャネル全てのRSSIの算出結果をRAM340に記憶させる(ステップS510)。
【0031】
続いてCPU330は、W53とW56との何れかに属するチャネルにおいてレーダ波を検出したかを判定する(ステップS520)。レーダ波を検出しなかった場合(ステップS520、NO)、ステップS510を再び実行する。
【0032】
レーダ波を検出した場合(ステップS520、YES)、CPU330は、レーダ波を検出した時刻と、検出したチャネルと、レーダ波の種類とをRAM340に記憶させ(ステップS530)、ステップS510を再び実行する。CPU330は、レーダ波の種類を、検出したレーダ波のパターンと、フラッシュROM350に予め記憶されているパターンとを照合することによって特定する。パターンとは、周波数パターンとパルスパターンとである。レーダ波の種類とは、例えば、気象レーダや船舶用レーダなどである。レーダ波の種類は、このような気象レーダ等といった分類に加え、さらに細かい分類、例えば、何れの気象レーダから発射されたか、どのような目的で発射されたか等を示すものであってもよい。検出されたレーダ波のパターンがフラッシュROM350に記憶された何れのパターンとも一致しない場合、CPU330は、フラッシュROM350に記憶されていないレーダ波の種類を示す情報として、レーダ波のパターンを示す情報をRAM340に記憶させる。つまり、ここで記憶される情報は、周波数パターンとパルスパターンとを示す情報である。
【0033】
図6は、チャネル変更処理を示すシーケンス図である。チャネル変更処理は、無線通信装置100がレーダ波を検出したことを契機に開始され、レーダ波監視装置300とレーダ波を検出した1つの無線通信装置100とによって実行される。レーダ波監視装置300は、複数の無線通信装置100それぞれを相手にしたチャネル変更処理を並行して実行できる。
【0034】
初めに、無線通信装置100に備えられたCPU130の要求部131は、レーダ波を検出したチャネルと、検出したレーダ波の種類とを示す検出情報をレーダ波監視装置300に送信する(ステップS611)。CPU130は、レーダ波の種類の特定を、レーダ波監視装置300と同様に実行する。
【0035】
レーダ波監視装置300に備えられたCPU330の判断部331は、受信した検出情報に示されるレーダ波を、ほぼ同時刻に受信したかを判断する(ステップS623)。この判断は、受信した検出情報と、
図5に示したレーダ波検出処理において記憶された情報とを照合することによって実行される。「ほぼ同時刻に」とは、検出情報を受信した時刻と、レーダ波検出処理によって記憶された時刻とについて、所定時間内の時間差を許容することを意味する。時間差の発生は、検出情報の受信の方が早い場合と、レーダ波の検出の方が早い場合との両方について想定される。所定時間は、演算や通信等に掛かる時間を考慮して決定される。ステップS623の目的は、レーダ波監視装置300が無線通信装置100と同等以上のレーダ波検出精度を有しているかを確認することである。
【0036】
受信した検出情報に示される種類のレーダ波を、ほぼ同時刻に受信した場合(ステップS623、YES)、CPU330の選定部332は、チャネル選定処理を実行する(ステップS633)。
【0037】
図7は、チャネル選定処理を示すフローチャートである。初めに選定部332は、レーダ波監視装置300が直近30分においてレーダ波を検出したチャネルを選定対象から除外する(ステップS635)。次に選定部332は、RSSIが基準値以上のチャネルを選定対象から除外する(ステップS637)。続いて選定部332は、混雑しているチャネルを選定対象から除外する(ステップS639)。混雑しているか否かの判定は、チャネルの使用状況に基づき実行される。チャネルの使用状況とは、何れの無線通信装置100が何れのチャネルを使用しているかに加えて、レーダ波監視装置300とは独立したネットワークに存在している近隣の無線通信装置が何れのチャネルを使用しているかということである。使用状況の把握は、各無線通信装置100又は近隣にある無線通信装置から定期的に受信する情報に基づき実行される。この情報は、送信元の無線通信装置100が何れのチャネルを使用しているかを示す。
【0038】
次に選定部332は、帯域幅ができるだけ広くなるように5GHz帯のチャネルを選定する(ステップS641)。帯域幅は、ボンディングされるチャネルの数によって定まる。実施形態1においては、IEEE802.11n/acの規定に従い、2,4又は8つのチャネルをボンディングすることが許可されている。最多のチャネルをボンディングできる組み合わせが複数ある場合は、予め設定された条件に基づいて選定される。設定された条件とは、例えば、最もRSSIが低いチャネルの組み合わせを選択することや、チャネルボンディングが可能であっても、特定のチャネルが混雑している場合は空いているチャネルのみを利用することなどである。5GHz帯のチャネルが全て除外された場合、選定部332は、2.4GHz帯からチャネルを選定する。
【0039】
続いてCPU330の指示部333は、選定したチャネルを示すチャネル情報を無線通信装置100に送信する(ステップS643)。
【0040】
無線通信装置100に備えられたCPU130の開始部132は、チャネル情報を受信すると、チャネル情報に示されるチャネルを使用するチャネルに設定し、設定したチャネルを用いたクライアント装置CLとの無線通信を開始する(ステップS651)。この設定は、クライアント装置CLへCSA(Channel Switch Announcement)パケットを送信することを含む。
【0041】
一方、受信した検出情報に示される種類のレーダ波を、ほぼ同時刻に受信したとは判断できない場合(ステップS623、NO)、CPU330は、自力でチャネルを選択することを指示する指示情報を送信する(ステップS663)。
【0042】
無線通信装置100のCPU130は、指示情報を受信すると、直近30分にはレーダ波を検出していないチャネルの中から1つのチャネルをランダムに選択する(ステップS671)。続いてCPU130は、今まで設定していたチャネルから退避して、そのチャネルの使用を中止する(ステップS681)。この中止は、或るチャネルにおいてレーダ波を検出した場合、そのチャネルの使用を10秒以内に中止するために実行される。これを実現するために、CPU130は、検出情報を送信してから9秒経過してもチャネル情報と指示情報との何れも受信しない場合、指示情報を受信したと見なして、ステップS671を実行する。
【0043】
続いてCPU130は、選択したチャネルを対象に、1分間のCACを実施する(ステップS691)。上記のチャネルの選択(ステップS671)及び退避(ステップS681)並びにCAC(ステップS691)は、CACがOKになるまで繰り返す。CACがOKとは、CACを実施した結果、レーダ波が検出されなかったことを意味する。
【0044】
或るチャネルにおいてCACがOKであった場合、CPU130の開始部132は、そのチャネルを使用するチャネルに設定し、設定したチャネルを用いたクライアント装置CLとの無線通信を開始する(ステップS701)。
【0045】
以上に説明した実施形態1によれば、少なくとも以下の効果を得ることができる。(a)1台のレーダ波監視装置300が、複数の無線通信装置100それぞれに対してチャネル情報を送信するので、接続を確立していないチャネルにおけるレーダ波を監視する機能を、複数の無線通信装置100それぞれに付与する構成に比べて、製造コストや法規の変更に伴うコストが低減できる。(b)レーダ波監視装置300は、受信する周波数帯が狭い受信機400を複数用いるので、広い周波数帯を受信する受信機1つよりもコストが低減される。(c)レーダ波監視装置300は、無線通信装置100と同等のレーダ波検出精度を有していない場合はチャネル情報を送信しないので、CACを実施済みと見なせない場合に、CACが省略される可能性を低減している。(d)レーダ波を検出していないチャネルが予め確認されている可能性が高いので、CACによる通信の中断を回避し、通信が途絶する可能性を低減している。
【0046】
実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1に対して、チャネル変更処理の一部が異なる。
図8は、実施形態2のチャネル変更処理を示すシーケンス図である。ステップS623でYESと判定された場合は、実施形態1と実施形態2とで異なる点はないので、
図8において図示されていない。ステップS611とステップS623とについても実施形態1と同じなので、説明を省略する。
【0047】
実施形態2においてステップS623でNOと判定した場合、レーダ波監視装置300のCPU330は、除外チャネル情報を生成する(ステップS853)。除外チャネル情報とは、選択しない方が好ましいチャネルを示す情報である。CPU330は、除外チャネル情報を、レーダ波検出処理によって蓄積された情報に基づき生成する。例えばCPU330は、レーダ波が検出されたことがあるチャネル、混雑しているチャネル、多数の無線通信装置によって使用中であるチャネルなどを、除外チャネル情報に含める。続いてCPU330は、生成した除外チャネル情報を無線通信装置100に送信する(ステップS863)。
【0048】
無線通信装置100のCPU130は、除外チャネル情報を受信すると、除外チャネル情報に示されるチャネル以外からランダムにチャネルを選択する(ステップS871)。ステップS681,S691,S701は、実施形態1と同じなので、説明を省略する。
【0049】
実施形態2によれば、無線通信装置100が自力でチャネルを選択する場合に、全くのランダムではなく、選択するのが好ましくないチャネルを除外できるので、選択するのが好ましいチャネルを選択できる可能性が高くなる。選択するのが好ましいチャネルとは、レーダ波が検出されたことがないチャネル、あまり混雑していないチャネル、使用中の無線通信装置が少ないチャネルなどである。
【0050】
本発明は、本明細書の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現できる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、先述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、先述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことができる。その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除できる。例えば、以下のものが例示される。
【0051】
チャネルボンディングの方法とレーダ波に関する動作との少なくとも何れか1つは、実施形態において説明した手法から変更してもよい。例えば、実施する時点における実施場所の法規に従った手法を採用してもよい。
【0052】
レーダ波監視装置が無線通信装置よりも高いレーダ波検出精度を有するように、レーダ波監視装置のハードウェアを設計してもよい。こうすれば「無線通信装置によってCACが実施済みである」と見なすことの信頼度がより高くなる。
直近30分だけでなく、直近1分にレーダ波を検出していないチャネルを、選定部による選定対象に加えてもよい。但し、無線通信装置が直近30分にレーダ波を検出したチャネルは除外してもよい。
【0053】
レーダ波監視装置は、レーダ波の種類の照合に加えて又は替えて、自装置が無線通信装置の近隣に位置することが確認できた場合に、チャネル情報を送信してもよい。
この他、チャネル情報を送信する条件として、レーダ波監視装置を用いることによって「無線通信装置によってCACが実施済みである」と見なせる手法であれば、どのようなものを採用してもよい。
【0054】
必ずしもW52とW53とW56との全てを監視対象にしなくてもよいので、監視対象から除外された周波数帯に対応する受信機を使用しなくてもよい。こうすれば、コストが更に低減される。
【0055】
無線通信装置は、レーダ波を検出した時点で、自力でチャネルを選択し、CACを開始してもよい。無線通信装置は、このように動作する場合、レーダ波監視装置からチャネル情報を受信した時点で、CACを中止してもよい。このようにすれば、無線通信装置は、自力でチャネルを選択する場合にCACを早く開始できるので、通信の途絶時間が短縮される。
【0056】
受信機の数は、1つでも、2つ以上のいくつでもよい。
各受信機が受信する周波数帯は、実施形態のように固定されていてもよいし、変更できるように受信機が構成されていてもよい。
受信機は特定の周波数帯を受信できるものであってもよいし、複数の周波数帯域を受信できるものであってもよい。
受信する周波数帯を変更できる構成として、ディップスイッチ等によって、ユーザが切り替え操作をできるようにしてもよい。
レーダ波監視装置のCPUが、レーダ波監視装置に接続された各受信機に対して、受信する周波数帯の割り振りを指示してもよい。受信機の数が、全チャネルを網羅する周波数帯を受信するには不足している場合は、優先順位が高い周波数帯から割り振ってもよい。
【0057】
監視する電波は、レーダ波でなくてもよい。例えば、医療機器から発せられる電波を監視してもよい。
レーダ波監視装置と通信する装置は、実施形態において説明した無線通信装置以外でもよい。例えば、テザリング機能を有するスマートフォンなどでもよい。レーダ波監視装置との通信は、有線でも無線でもよい。
無線通信装置が備えるアンテナの数は、1本でも3本以上でもよい。
実施形態においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよい。実施形態においてハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。