特許第6069703号(P6069703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069703
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20170123BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20170123BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20170123BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H01L27/04 B
   H01L27/06 102A
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-92470(P2013-92470)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-216472(P2014-216472A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】木村 武士
(72)【発明者】
【氏名】茂呂 健
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−080807(JP,A)
【文献】 特表2008−503084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源端子及びバックゲート端子を有するトランジスタ回路と、
第1の電圧端子と前記電源端子との間に接続される可変抵抗と、
前記第1の電圧端子の電圧と前記バックゲート端子の電圧との差電圧の絶対値が閾値より低い場合には、前記差電圧を変換したデジタル信号に基づいて前記可変抵抗を制御する制御回路と
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記可変抵抗は、複数の電界効果トランジスタの並列接続回路を有し、
前記制御回路は、前記複数の電界効果トランジスタの導通する数を制御することにより、前記可変抵抗の抵抗値を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記差電圧の絶対値が前記閾値より低い場合には、前記複数の電界効果トランジスタの導通する数を制御し、前記差電圧の絶対値が前記閾値より高い場合には、外部から入力される第1制御信号に基づいて前記複数の電界効果トランジスタの導通/非導通を制御することを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記トランジスタ回路の動作が中断可能かどうかを示す第2制御信号に応じて前記可変抵抗を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トランジスタ回路は、pチャネル電界効果トランジスタを有し、
前記電源端子は、高電位側の電源電圧端子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バックゲート端子は、前記pチャネル電界効果トランジスタが形成されるnウェルに接続され、
前記電源電圧端子は、前記pチャネル電界効果トランジスタのソースに接続されることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記トランジスタ回路は、nチャネル電界効果トランジスタを有し、
前記電源端子は、基準電圧端子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記バックゲート端子は、前記nチャネル電界効果トランジスタが形成されるpウェルに接続され、
前記基準電圧端子は、前記nチャネル電界効果トランジスタのソースに接続されることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源電圧又は基準電圧の電圧供給線にソース端子が接続されるトランジスタと、トランジスタのチャネルが形成される半導体領域と電圧供給線との間に接続される基板バイアス可変抵抗素子とを有する半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。基板バイアス決定部は、半導体領域の電位がソース電位に対してもつ大小関係を、基板バイアス可変抵抗素子の可変抵抗値により決定している。
【0003】
また、制御信号に基づいて作動し、作動時には半導体基板から電荷を汲み出すことにより基板バイアスを深くし、非作動時には出力が高インピーダンスとなる基板電位発生回路を有する半導体集積回路装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。スイッチ回路は、制御信号に基づいて作動し、基板電位発生回路の非作動時には導通状態となって半導体基板の電位を電源電位とし、基板電位発生回路の作動時には非導通状態となる。
【0004】
また、入力端子に入力アナログ電流が印加されるカレントミラー回路と、このカレントミラー回路の複数の出力端子にそれぞれ接続された複数の基準電流源とを備えるA/D変換器が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−80807号公報
【特許文献2】特開平9−326688号公報
【特許文献3】特開平3−216023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、基板バイアス発生のための別電源を内部又は外部に持たずに、低コストで基板バイアスを印加するための技術を開示している。
【0007】
ここで、トランジスタの動作等の原因により、基板バイアス、電源電圧又は基準電圧が変動することがある。その場合、トランジスタのリーク電流が増大してしまい、消費電力が増大してしまうことがある。
【0008】
本発明の目的は、トランジスタ回路の電源端子及び/又はバックゲート端子の電圧の変動に起因するリーク電流の増大を防止することができる半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
半導体装置は、電源端子及びバックゲート端子を有するトランジスタ回路と、第1の電圧端子と前記電源端子との間に接続される可変抵抗と、前記第1の電圧端子の電圧と前記バックゲート端子の電圧との差電圧の絶対値が閾値より低い場合には、前記差電圧を変換したデジタル信号に基づいて前記可変抵抗を制御する制御回路とを有する。
【発明の効果】
【0010】
可変抵抗を制御することにより、トランジスタ回路の電源端子及び/又はバックゲート端子の電圧の変動に起因するリーク電流の増大を防止し、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、半導体装置のトランジスタの構成例を示す断面図である。
図2図2(A)及び(B)は、電界効果トランジスタのソース端子とバックゲート端子との差電圧に対する閾値電圧の特性を示すグラフである。
図3図3は、本発明の第1の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。
図4図4は、図3の半導体装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図5図5は、図3の半導体装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図6図6は、電源電圧端子の電圧が変動する例を説明するための図である。
図7図7(A)〜(C)は、バックゲート端子の電圧が変動する例を説明するための図である。
図8図8は、本発明の第2の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。
図9図9は、本発明の第3の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。
図10図10は、本発明の第4の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。
図11図11は、電源オン時の電圧変化を示す図である。
図12図12は、電源オン時の他の電圧変化を示す図である。
図13図13は、バックゲート端子の電圧の変動例を示す図である。
図14図14は、バックゲート端子の電圧の他の変動例を示す図である。
図15図15は、本発明の第5の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。
図16図16は、本発明の第6の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、半導体装置のトランジスタの構成例を示す断面図である。半導体装置は、pチャネル電界効果トランジスタ121及びnチャネル電界効果トランジスタ122を有する。nウェル102は、p型基板101の表面に設けられる。pウェル112は、nウェル102内に設けられる。
【0013】
pチャネル電界効果トランジスタ121は、n+型領域103、p型領域のソース104、ゲート105及びp型領域のドレイン106を有する。n+型領域103、ソース104及びドレイン106は、nウェル102内に設けられる。ゲート105は、ソース104及びドレイン106の間のチャネル領域の上に、ゲート絶縁膜を介して設けられる。電源電圧端子VDDは、例えば1.0Vの電源電圧が供給される電源端子であり、ソース104に接続される。バックゲート端子VNWは、例えば1.3Vのバックゲート電圧が供給され、n+型領域103を介して、nウェル(バックゲート)102に接続される。
【0014】
nチャネル電界効果トランジスタ122は、p+型領域113、n型領域のソース114、ゲート115及びn型領域のドレイン116を有する。p+型領域113、ソース114及びドレイン116は、pウェル112内に設けられる。ゲート115は、ソース114及びドレイン116の間のチャネル領域の上に、ゲート絶縁膜を介して設けられる。基準電圧端子VSSは、例えば0Vの基準電圧が供給される電源端子であり、ソース114に接続される。バックゲート端子VPWは、例えば−0.3Vのバックゲート電圧が供給され、p+型領域113を介して、pウェル(バックゲート)112に接続される。
【0015】
次に、バックゲート端子VNW及びVPWの電圧が変動する原因を説明する。p型半導体とn型半導体との接合面は、容量とみなすことができる。この容量は、接合容量と呼ばれ、その容量値は、接合面積に比例する。また、p型領域104,106とゲート105との間にも容量成分が存在し、n型領域114,116とゲート115との間にも容量成分が存在する。トランジスタ121及び/又は122がオンとオフとの間で状態遷移する時や回路の電源供給を遮断する動作であるパワーゲーティングの状態変化時に、これらの容量に対して電荷のチャージ又はディスチャージが行われ、これが原因でバックゲート端子VNW及びVPWの電圧が変動する。
【0016】
図2(A)は、nチャネル電界効果トランジスタ122の差電圧Vbsに対する閾値電圧Vthの特性を示すグラフである。差電圧Vbsは、バックゲート端子VPWの電圧(例えば−0.3V)から基準電圧端子VSSの電圧(例えば0V)を減算した電圧である。差電圧Vbsが低いほど閾値電圧Vthが高くなり、差電圧Vbsが高いほど閾値電圧Vthが低くなる。トランジスタ122のオフ状態では、差電圧Vbsを低い電圧(例えば−0.3V)に設定することにより、閾値電圧Vthを高くし、リーク電流を小さくすることができる。しかし、上記の原因により、バックゲート端子VPWの電圧が変動し、差電圧Vbsが高くなると、閾値電圧Vthが低くなり、リーク電流が増大し、消費電力が増大してしまう。後に、図9を参照しながら、nチャネル電界効果トランジスタ122のリーク電流の増大を防止するための半導体装置を説明する。
【0017】
図2(B)は、pチャネル電界効果トランジスタ121の差電圧Vbsに対する閾値電圧Vthの特性を示すグラフである。差電圧Vbsは、バックゲート端子VNWの電圧(例えば1.3V)から電源電圧端子VDDの電圧(例えば1.0V)を減算した電圧である。差電圧Vbsが低いほど閾値電圧Vthが高くなり、差電圧Vbsが高いほど閾値電圧Vthが低くなる。トランジスタ121のオフ状態では、差電圧Vbsを高い電圧(例えば0.3V)に設定することにより、閾値電圧Vthを低くし、リーク電流を小さくすることができる。しかし、上記の原因により、バックゲート端子VNWの電圧が変動し、差電圧Vbsが低くなると、閾値電圧Vthが高くなり、リーク電流が増大し、消費電力が増大してしまう。後に、図3を参照しながら、pチャネル電界効果トランジスタ121のリーク電流の増大を防止するための半導体装置を説明する。
【0018】
図3は、本発明の第1の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。コア回路301は、図1のpチャネル電界効果トランジスタ121及びnチャネル電界効果トランジスタ122を有するトランジスタ回路であり、電源電圧端子VDD及びバックゲート端子VNWを有する。抵抗制御回路304は、VDD電源回路305、差電圧検出回路306、否定論理積(NAND)回路307、差電圧A/D変換器308、N個のセレクタ309及び可変抵抗310を有する。VNW電源回路302は、例えば1.3Vのバックゲート電圧を生成し、そのバックゲート電圧をコア回路301のバックゲート端子VNWに供給する。VDD電源回路305は、例えば1.0Vの電源電圧を生成し、その電源電圧を第1の電源電圧端子VDD1に出力する。可変抵抗310は、N個のpチャネル電界効果トランジスタ311の並列接続回路を有する。N個のpチャネル電界効果トランジスタ311は、ソースが第1の電源電圧端子VDD1に接続され、ゲートがN個のセレクタ309の出力端子に接続され、ドレインがコア回路301の電源電圧端子VDDに接続される。
【0019】
パワーゲーティングコントロールロジック(PGCL)回路303は、トランジスタ回路の電源電圧端子への電源電圧の供給を制御するためのパワーゲーティング信号PG1を出力する。通常モードでは、パワーゲーティング信号PG1がローレベルになり、N個のトランジスタ311をオンにし、コア回路301の電源電圧端子VDDに電源電圧を供給し、コア回路301を動作可能状態にすることができる。これに対し、待機モードでは、パワーゲーティング信号PG1がハイレベルになり、N個のトランジスタ311をオフにし、コア回路301の電源電圧端子VDDへの電源電圧の供給を停止し、コア回路301を待機状態にし、消費電力を低減することができる。VNW電源回路302は、バックゲート電圧の生成を開始し、バックゲート電圧が所定電圧(例えば1.3V)に到達するまではローレベルのバックゲート電圧起動検出信号PONを出力し、バックゲート電圧が所定電圧(例えば1.3V)に到達するとハイレベルのバックゲート電圧起動検出信号PONを出力する。
【0020】
差電圧検出回路306は、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値(例えば0.25V)より低い場合にはローレベルの差電圧信号DFを出力し、その差電圧が閾値より高い場合にはハイレベルの差電圧信号DFを出力する。すなわち、差電圧検出回路306は、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧の絶対値が閾値より低い場合にはローレベルの差電圧信号DFを出力し、その差電圧の絶対値が閾値より高い場合にはハイレベルの差電圧信号DFを出力する。NAND回路307は、バックゲート電圧起動検出信号PONと差電圧信号DFとの否定論理積信号ADCNTを出力する。
【0021】
差電圧A/D変換器308は、信号ADCNTがハイレベルである場合に動作し、信号ADCNTがローレベルである場合に動作しない。差電圧A/D変換器308は、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧に応じてNビットのデジタル制御信号CTLを出力する。具体的には、差電圧A/D変換器308は、その差電圧が低いほど(差電圧の絶対値が小さいほど)、Nビットのデジタル制御信号CTLのうちのハイレベルのビット信号の数を多くする。すなわち、その差電圧が低い場合には、N本のデジタル制御信号CTLのうちのハイレベルのビット信号の数を多くし、その差電圧が高い場合には、N本のデジタル制御信号CTLのうちのハイレベルのビット信号の数を少なくする。
【0022】
N個のセレクタ309は、信号ADCNTがハイレベルの場合にはN本の制御信号CTLをN個のpチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力し、信号ADCNTがローレベルの場合にはパワーゲーティング信号PG1をN個のpチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力する。pチャネル電界効果トランジスタ311は、ゲートがローレベルの場合にはオンし、ゲートがハイレベルの場合にはオフする。
【0023】
図4は、図3の半導体装置の動作例を示すタイミングチャートである。時刻t1の前では、バックゲート端子VNWの電圧が起動中であり、未だ所定電圧(例えば1.3V)に達しておらず、バックゲート電圧起動検出信号PONがローレベルである。第1の電源電圧端子VDD1の電圧とバックゲート端子VNWの電圧とは、1.0Vで同じである。差電圧検出回路306は、バックゲート端子VNWの電圧(1.0V)から第1の電源電圧端子VDD1の電圧(1.0V)を減算した差電圧(0V)が閾値(例えば0.25V)より低いので、ローレベルの差電圧信号DFを出力する。その結果、信号ADCNTは、ハイレベルになり、N個のセレクタ309は、N本の制御信号CTLを選択してN個のpチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力する。差電圧A/D変換器308は、バックゲート端子VNWの電圧(1.0V)から第1の電源電圧端子VDD1の電圧(1.0V)を減算した差電圧(0V)に応じたNビットの制御信号CTLを出力する。その差電圧が0Vであるので、pチャネル電界効果トランジスタ311のオン数が少なくなり、可変抵抗310の抵抗値Rが大きくなる。
【0024】
可変抵抗311の抵抗値が大きい場合、電源電圧端子VDDの電圧は、第1の電源電圧端子VDD1(1.0V)の電圧に対して大きく低下する。その結果、バックゲート端子VNWの電圧から電源電圧端子VDDの電圧を減算した差電圧Vbsが0Vより高くなる。その差電圧Vbsが高くなると、図2(B)に示すように、閾値電圧Vthが低くなり、pチャネル電界効果トランジスタ121のリーク電流及び消費電力を低減することができる。
【0025】
次に、時刻t1以降では、バックゲート端子VNWの電圧が徐々に上昇し、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧も徐々に上昇する。その結果、pチャネル電界効果トランジスタ311のオン数が徐々に増加し、可変抵抗310の抵抗値Rが徐々に小さくなる。これにより、電源電圧端子VDDの電圧は徐々に上昇し、バックゲート端子VNWの電圧から電源電圧端子VDDの電圧を減算した差電圧Vbsはほぼ一定値になり、pチャネル電界効果トランジスタ121のリーク電流及び消費電力を低減することができる。
【0026】
その後、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧(1.0V)を減算した差電圧が閾値(例えば0.25V)以上になると、差電圧信号DFがハイレベルになる。
【0027】
次に、時刻t2では、バックゲート端子VNWの電圧が所定電圧(例えば1.3V)に達し、バックゲート電圧起動検出信号PONがハイレベルになり、信号ADCNTがローレベルになる。すると、セレクタ309は、パワーゲーティング信号PG1をN個のpチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力する。通常モードでは、パワーゲーティング信号PG1がローレベルであり、N個のpチャネル電界効果トランジスタ311がすべてオンし、第1の電源電圧端子VDD1の電圧が電源電圧端子VDDに供給される。この場合、バックゲート端子VNWの電圧から電源電圧端子VDDの電圧を減算した差電圧Vbsは、十分に高いので、リーク電流及び消費電力を小さくすることができる。これに対し、待機モードでは、パワーゲーティング信号PG1がハイレベルであり、N個のpチャネル電界効果トランジスタ311がすべてオフし、電源電圧端子VDDに電源電圧が供給されず、消費電力を低減することができる。以上のように、時刻t2〜t3では、pチャネル電界効果トランジスタ311は、パワーゲーティング信号PG1によりオン/オフが制御される。
【0028】
次に、時刻t3〜t4の詳細を図5に示す。時刻t3において、コア回路301の動作等の原因によりバックゲート端子VNWの電圧が低下する場合を説明する。差電圧検出回路306は、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値(例えば0.25V)より低くなるので、ローレベルの差電圧信号DFを出力する。その結果、信号ADCNTは、ハイレベルになり、N個のセレクタ309は、N本の制御信号CTLを選択してN個のpチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力する。差電圧A/D変換器308は、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧に応じたNビットの制御信号CTLを出力し、可変抵抗310の抵抗値Rを制御する。その差電圧が低いほど、可変抵抗310の抵抗値Rが大きくなり、電源電圧端子VDDの電圧が相対的に低くなり、その差電圧が高いほど、可変抵抗310の抵抗値Rが小さくなり、電源電圧端子VDDの電圧が相対的に高くなる。これにより、電源電圧端子VDDの電圧は徐々に低下し、その後に徐々に上昇し、バックゲート端子VNWの電圧から電源電圧端子VDDの電圧を減算した差電圧Vbsはほぼ一定値に維持される。
【0029】
仮に、可変抵抗310がない場合には、時刻t3において、バックゲート端子VNWの電圧が低下すると、差電圧Vbsも低下してしまい、図2(B)に示すように、閾値電圧Vthが上昇し、リーク電流及び消費電力が増大してしまう。本実施形態によれば、可変抵抗310を設けることにより、バックゲート端子VNWの電圧が低下しても、差電圧Vbsの低下を防止し、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。
【0030】
次に、図4の時刻t4では、バックゲート端子VNWの電圧が上昇し、1.3Vに戻る。バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値(例えば0.25V)以上になると、差電圧信号DFがハイレベルになる。その結果、信号ADCNTがローレベルになる。すると、セレクタ309は、時刻t2と同様に、パワーゲーティング信号PG1をN個のpチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力する。パワーゲーティング信号PG1がローレベルの場合には、N個のpチャネル電界効果トランジスタ311がすべてオンし、第1の電源電圧端子VDD1の電圧が電源電圧端子VDDに供給される。これに対し、パワーゲーティング信号PG1がハイレベルの場合には、N個のpチャネル電界効果トランジスタ311がすべてオフし、電源電圧端子VDDに電源電圧が供給されず、消費電力を低減することができる。以上のように、時刻t4以降では、pチャネル電界効果トランジスタ311は、パワーゲーティング信号PG1によりオン/オフが制御される。
【0031】
また、時刻t4以降において、その差電圧が閾値を超えた電圧からVbsの最大の差電圧の範囲で変動した場合に、差電圧検出回路306が無い構成では、可変抵抗310は随時変化することになるため、コア回路301に与えられる電源電圧VDDが変動し、コア回路301が誤動作する可能性がある。そこで、差電圧検出回路306を設けることで、差電圧検出回路306で設定されている閾値を超えた電圧からVbsの最大の差電圧の範囲で変動した状態で、コア回路301が回路動作する場合には、可変抵抗310内のpチャネル電界効果トランジスタは全てオンし続けることになる。換言すると、可変抵抗310の抵抗値を最小抵抗値で維持し続けることになるので、コア回路301の誤動作を防止することができる。
【0032】
図6は、電源電圧端子VDDの電圧が変動する例を説明するための図である。第1〜第nのコア回路301−1〜301−nは、それぞれ、図3のコア回路301と同様に、図1のpチャネル電界効果トランジスタ121及びnチャネル電界効果トランジスタ122を有する。第1〜第nのコア回路301−1〜301−nの電源電圧端子VDDには、配線抵抗R1を介して、VDD電源回路305(図3)が接続される。VDD電源回路305は、有限の応答特性及び出力インピーダンスを持った電源回路である。VDD電源回路305の配線は、抵抗R1のみで表現しているが、抵抗成分及びインダクタ成分を含む場合もある。コア回路301−1〜301−nが動作状態から停止状態に移行すると、コア回路301−1〜301−nの電源電圧端子VDDの電圧は高くなる。その後、所定の電圧に戻るまでに時間がかかる。また、同様の理由で、図3のVNW電源回路302が生成するバックゲート端子VNWの電圧も変動する。電源電圧端子VDDの電圧が変動すると、第1の電源電圧端子VDD1の電圧も変動する。第1の電源電圧端子VDD1が上昇したり、バックゲート端子VNWの電圧が下降したとしても、上記の図5のように、可変抵抗310を制御することにより、差電圧Vbsの低下を防止し、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。
【0033】
図7(A)〜(C)は、バックゲート端子VNWの電圧が変動する例を説明するための図である。図7(A)では、図6と同様に、コア回路301−1〜301−nの電源電圧端子VDDは、配線抵抗R1を介して、VDD電源回路305に接続される。また、コア回路301−1〜301−nのバックゲート端子VNWは、配線抵抗R1を介して、VNW電源回路302(図3)に接続される。電圧sig1〜signは、コア回路301−1〜301−nに供給される電圧であり、例えば、電源電圧端子VDDの電圧又はバックゲート端子VNWの電圧である。電圧sig1〜signが変化すると、コア回路301−1〜301−n内のトランジスタが持つ容量を介して、バックゲート端子VNWの電圧が変動する。図7(B)に示すように、1個のコア回路301−1の動作開始により、1個の電圧sig1のみが変動した場合には、バックゲート端子VNWの電圧の変動量(低下量)は比較的小さい。これに対し、図7(C)に示すように、n個のコア回路301−1〜301−nの動作開始により、n個の電圧sig1〜signが同時に変動した場合には、バックゲート端子VNWの電圧の変動量(低下量)は比較的大きく、所定電圧(1.3V)に戻るまでも時間がかかる。このような場合にも、上記のように、可変抵抗310を制御することにより、差電圧Vbsの低下を防止し、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。本実施形態(図8)は、第1の実施形態(図3)に対して、NAND回路307を削除したものである。以下、本実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。PGCL回路303は、制御信号PG2、バックゲート電圧起動検出信号PON及び差電圧信号DFを入力し、パワーゲーティング信号PG1及び信号ADCNTを出力する。本実施形態の動作は、第1の実施形態と同様である。
【0035】
コア回路301は、自己の動作状態に応じて制御信号PG2を生成し、制御信号PG2をPGCL回路303に出力することができる。コア回路301が信号処理を行っている場合、電源電圧端子VDDの電圧を変動させると、信号処理に支障をきたす動作状態の場合がある。そのような動作状態の場合には、コア回路301は、動作中断不可状態(抵抗制御無効)を示す制御信号PG2を出力し、PGCL回路303はローレベルのパワーゲーティング信号PG1及びローレベルの信号ADCNTを出力する。これにより、可変抵抗310の抵抗値の変更は行われず、コア回路301は信号処理を続行する。
【0036】
また、コア回路301が、信号処理を行っているが、即座に中断可能な動作状態の場合がある。そのような動作状態の場合には、コア回路301は、動作中断可能状態を示す制御信号PG2を出力し、PGCL回路303は、第1の実施形態と同様に、バックゲート電圧起動検出信号PON及び差電圧DFに応じて信号ADCNTを出力する。信号ADCNTがハイレベルである場合には、コア回路301は、一旦、信号処理を中断し、可変抵抗310の抵抗値が制御される。これにより、差電圧Vbsの低下を防止し、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。
【0037】
また、コア回路301が信号処理を行っていない動作状態の場合がある。そのような動作状態の場合には、コア回路301は、非動作状態を示す制御信号PG2を出力し、PGCL回路303は、第1の実施形態と同様に、バックゲート電圧起動検出信号PON及び差電圧DFに応じて信号ADCNTを出力する。信号ADCNTがハイレベルである場合には、可変抵抗310の抵抗値が制御される。これにより、差電圧Vbsの低下を防止し、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。
【0038】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。第1及び第2の実施形態では、コア回路301内のpチャネル電界効果トランジスタ121のリーク電流を低減する例を説明した。本実施形態では、コア回路301内のnチャネル電界効果トランジスタ122のリーク電流を低減する例を説明する。以下、本実施形態が第1及び第2の実施形態と異なる点を説明する。コア回路301は、図1のnチャネル電界効果トランジスタ122及びpチャネル電界効果トランジスタ121を有する。基準電圧端子VSSは、nチャネル電界効果トランジスタ122のソース114に接続される。バックゲート端子VPWは、nチャネル電界効果トランジスタ122のバックゲート112に接続される。VPW電源回路901は、バックゲート端子VPWにバックゲート電圧(例えば−0.3V)を供給する。可変抵抗310は、N個のnチャネル電界効果トランジスタ311の並列接続回路を有する。N個のnチャネル電界効果トランジスタ311は、ドレインが基準電圧端子VSSに接続され、ソースが第1のグランド電圧端子GNDに接続される。
【0039】
PGCL回路303は、パワーゲーティング信号PG1を出力する。通常モードでは、パワーゲーティング信号PG1がハイレベルになり、N個のトランジスタ311をオンにし、コア回路301の基準電圧端子VSSに基準電圧を供給し、コア回路301を動作可能状態にすることができる。これに対し、待機モードでは、パワーゲーティング信号PG1がローレベルになり、N個のトランジスタ311をオフにし、コア回路301の基準電圧端子VSSへの基準電圧の供給を停止し、コア回路301を待機状態にし、消費電力を低減することができる。VPW電源回路901は、バックゲート電圧の生成を開始し、バックゲート電圧が所定電圧(例えば−0.3V)に到達するまではローレベルのバックゲート電圧起動検出信号PONを出力し、バックゲート電圧が所定電圧(例えば−0.3V)に到達するとハイレベルのバックゲート電圧起動検出信号PONを出力する。
【0040】
差電圧検出回路306は、バックゲート端子VPWの電圧(例えば−0.3V)から第1のグランド電圧端子GNDの電圧(例えば0V)を減算した差電圧が閾値(例えば−0.25V)より高い場合にはローレベルの差電圧信号DFを出力し、その差電圧が閾値より低い場合にはハイレベルの差電圧信号DFを出力する。すなわち、差電圧検出回路306は、バックゲート端子VPWの電圧から第1のグランド電圧端子GNDの電圧を減算した差電圧の絶対値が閾値より低い場合にはローレベルの差電圧信号DFを出力し、その差電圧の絶対値が閾値より高い場合にはハイレベルの差電圧信号DFを出力する。NAND回路307は、バックゲート電圧起動検出信号PONと差電圧信号DFとの否定論理積信号ADCNTを出力する。
【0041】
差電圧A/D変換器308は、信号ADCNTがハイレベルである場合に動作し、信号ADCNTがローレベルである場合に動作しない。差電圧A/D変換器308は、バックゲート端子VPWの電圧から第1のグランド電圧端子GNDの電圧を減算した差電圧に応じてNビットのデジタル制御信号CTLを出力する。具体的には、差電圧A/D変換器308は、その差電圧が高いほど(差電圧の絶対値が小さいほど)、Nビットのデジタル制御信号CTLのうちのローレベルのビット信号の数を多くする。すなわち、その差電圧が高い場合には、N本のデジタル制御信号CTLのうちのローレベルのビット信号の数を多くし、その差電圧が低い場合には、N本のデジタル制御信号CTLのうちのローレベルのビット信号の数を少なくする。
【0042】
N個のセレクタ309は、信号ADCNTがハイレベルの場合にはN本の制御信号CTLをN個のnチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力し、信号ADCNTがローレベルの場合にはパワーゲーティング信号PG1をN個のnチャネル電界効果トランジスタ311のゲートに出力する。nチャネル電界効果トランジスタ311は、ゲートがローレベルの場合にはオフし、ゲートがハイレベルの場合にはオンする。
【0043】
バックゲート端子VPWの電圧から第1のグランド電圧端子GNDの電圧を減算した差電圧が高くなると、可変抵抗310の抵抗値を大きくし、基準電圧端子VSSの電圧を上昇させる。これにより、バックゲート端子VPWの電圧から基準電圧端子VSSの電圧を減算した差電圧Vbsの上昇を防止し、図2(A)に示すように、閾値電圧Vthの低下を防止し、nチャネル電界効果トランジスタ122のリーク電流及び消費電力を低減することができる。
【0044】
(第4の実施形態)
図10は、本発明の第4の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。以下、本実施形態が第1〜第3の実施形態と異なる点を説明する。半導体装置は、第1〜第3のコア回路301−1〜301−3、第1〜第3の抵抗制御回路304−1〜304−3、PGCL回路303、VNW電源回路302及びVPW電源回路901を有する。コア回路301−1〜301−3は、それぞれ、図1のpチャネル電界効果トランジスタ121及びnチャネル電界効果トランジスタ122を有する。第1〜第3の抵抗制御回路304−1〜304−3は、それぞれ、図3の抵抗制御回路304及び図9の抵抗制御回路304を有する。PGCL回路303は、図3図8及び図9のPGCL回路303に対応する。VNW電源回路302は、図3のVNW電源回路302に対応する。VPW電源回路901は、図9のVPW電源回路901に対応する。
【0045】
VNW電源回路302は、第1〜第3のコア回路301−1〜301−3、第1〜第3の抵抗制御回路304−1〜304−3、PGCL回路303にバックゲート端子VNWの電圧を供給する。VPW電源回路901は、第1〜第3のコア回路301−1〜301−3、第1〜第3の抵抗制御回路304−1〜304−3、PGCL回路303にバックゲート端子VPWの電圧を供給する。第1〜第3の抵抗制御回路304−1〜304−3は、それぞれ、可変抵抗310を制御し、第1〜第3のコア回路301−1〜301−3に電源電圧端子VDD及び基準電圧端子VSSの電圧を供給する。
【0046】
図11は、電源オン時の電圧変化を示す図である。時刻t1において、半導体装置の電源がオンになると、第1の電源電圧端子VDD1の電圧及びバックゲート端子VNWの電圧は0Vから上昇する。時刻t2以降では、第1の電源電圧端子VDD1の電圧は、ほぼ1.0Vを維持する。時刻t3以降では、バックゲート端子VNWの電圧は、ほぼ1.3Vを維持する。期間T1では、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より低いので、可変抵抗310を制御し、電源電圧端子VDDの電圧を低下させることにより、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。期間T2では、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より高いので、トランジスタ311をすべてオンにし、電源電圧端子VDDに電源電圧を供給する。
【0047】
図12は、電源オン時の他の電圧変化を示す図である。時刻t1において、半導体装置の電源がオンになると、バックゲート端子VNWの電圧は0Vから上昇する。時刻t2以降では、バックゲート端子VNWの電圧は、ほぼ1.3Vを維持する。次に、時刻t3では、VDD電源回路305は、パワーゲーティングにより、第1の電源電圧端子VDD1の電圧を0Vから上昇させることができる。時刻t4以降では、第1の電源電圧端子VDD1の電圧は、ほぼ1.0Vを維持する。期間T1では、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が常に閾値より高いので、トランジスタ311をすべてオンにし、電源電圧端子VDDに電源電圧を供給する。
【0048】
つまり、時刻t2以降では、バックゲート端子VNWの電圧がほぼ1.3Vを維持しているため、可変抵抗310の制御をしなくてもリーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。
【0049】
図13は、バックゲート端子VNWの電圧の変動例を示す図である。時刻t1以前では、バックゲート端子VNWの電圧は、ほぼ1.3Vである。時刻t1では、パワーゲーティング信号PG1がハイレベルからローレベルに変化し、電源電圧端子VDDの電圧が0Vから上昇する。すると、その影響で、バックゲート端子VNWの電圧が低下してしまう。そのため、期間T1では、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より低くなる場合があるので、可変抵抗310を制御し、電源電圧端子VDDの電圧を低下させることにより、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。時刻t2以降では、電源電圧端子VDDの電圧は、ほぼ1.0Vを維持する。期間T2では、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より高いので、トランジスタ311をすべてオンにし、電源電圧端子VDDに電源電圧を供給する。
【0050】
図14は、バックゲート端子VNWの電圧の他の変動例を示す図である。電源電圧端子VDD−1は、第1のコア回路301−1の電源電圧端子VDDを示す。電源電圧端子VDD−2は、第2のコア回路301−2の電源電圧端子VDDを示す。時刻t1以前では、バックゲート端子VNWの電圧はほぼ1.3Vであり、電源電圧端子VDD−1は0Vであり、電源電圧端子VDD−2はほぼ1.0Vである。時刻t1では、パワーゲーティング信号PG1がハイレベルからローレベルに変化し、電源電圧端子VDD−1の電圧が0Vから上昇する。すると、その影響で、バックゲート端子VNWの電圧が低下してしまう。期間T1では、第1の抵抗制御回路304−1及び第2の抵抗制御回路304−2は、それぞれのバックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より低くなる場合があるので、可変抵抗310を制御し、第1のコア回路301−1の電源電圧端子VDD−1及び第2のコア回路301−2の電源電圧端子VDD−2の電圧を低下させることにより、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。時刻t2以降では、第1のコア回路301−1の電源電圧端子VDD−1の電圧は、ほぼ1.0Vを維持する。期間T2では、第1の抵抗制御回路304−1及び第2の抵抗制御回路304−2は、それぞれバックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より高いので、トランジスタ311をすべてオンにし、第1のコア回路301−1の電源電圧端子VDD−1及び第2のコア回路301−2の電源電圧端子VDD−2に電源電圧を供給する。
【0051】
以上のように、複数のコア回路を有する半導体装置では、あるコア回路のパワーゲーティング動作を行った時の他のコア回路の電圧変動に対しても、第1の電圧端子VDD1の電圧とバックゲート端子VNWの電圧との差電圧が閾値より低い場合には、電源端子VDDの電圧とバックゲート端子VNWの電圧との差電圧Vbsの絶対値が閾値より高くなるように可変抵抗310を制御する。これにより、図2(B)に示すように、閾値電圧Vthを低く維持し、pチャネル電界効果トランジスタ121のリーク電流及び消費電力の増加を防止することができる。
【0052】
(第5の実施形態)
図15は、本発明の第5の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。以下、本実施形態が第4の実施形態と異なる点を説明する。半導体装置は、1.8V及び1.5Vの2種類の電源電圧で動作する。第1のコア回路301−1は、1.8Vの電源電圧で動作する。第2のコア回路301−2及び第3のコア回路301−3は、1.5Vの電源電圧で動作する。第1の抵抗制御回路304−1は、抵抗制御し、1.8Vの電源電圧を第1のコア回路301−1の電源電圧端子VDDに供給する。第2の抵抗制御回路304−2は、抵抗制御し、1.5Vの電源電圧を第2のコア回路301−2の電源電圧端子VDDに供給する。第3の抵抗制御回路304−3は、抵抗制御し、1.5Vの電源電圧を第3のコア回路301−3の電源電圧端子VDDに供給する。VNW電源回路302−1は、1.8V+0.3Vのバックゲート電圧を第1のコア回路301−1のバックゲート端子VNW及び第1の抵抗制御回路304−1に供給する。VPW電源回路901−1は、−0.3Vのバックゲート電圧を第1のコア回路301−1のバックゲート端子VPW及び第1の抵抗制御回路304−1に供給する。VNW電源回路302−2は、1.5V+0.3Vのバックゲート電圧を、第2のコア回路301−2のバックゲート端子VNW、第3のコア回路301−3のバックゲート端子VNW、第2の抵抗制御回路304−2及び第3の抵抗制御回路304−3に供給する。VPW電源回路901−2は、−0.3Vのバックゲート電圧を、第2のコア回路301−2のバックゲート端子VPW、第3のコア回路301−3のバックゲート端子VPW、第2の抵抗制御回路304−2及び第3の抵抗制御回路304−3に供給する。
【0053】
第4の実施形態でも説明したように、例えば、第1のコア回路301−1及び第2のコア回路301−2が動作中に、第3のコア回路301−3のパワーゲーティング動作が開始された時に、図14で示すような電圧の変動とほぼ同様の電圧の変動が発生する場合がある。その場合、第4の実施形態と同様に、第3のコア回路301−3の電源電圧端子に接続されている第3の抵抗制御回路304−3は、期間T1では、第3の抵抗制御回路304−3は、バックゲート端子VNWの電圧から第3のコア回路の電源電圧端子の電圧を減算した差電圧が閾値より低くなる場合があるので、可変抵抗310を制御し、電源電圧端子の電圧を低下させることにより、リーク電流及び消費電力の増大を防止することができる。時刻t2以降では、電源電圧端子の電圧は、ほぼ1.5Vを維持する。期間T2では、第3の抵抗制御回路304−3は、バックゲート端子VNWの電圧から第1の電源電圧端子VDD1の電圧を減算した差電圧が閾値より高いので、トランジスタ311をすべてオンにし、電源電圧端子VDD−2に電源電圧を供給する。
【0054】
(第6の実施形態)
図16は、本発明の第6の実施形態による半導体装置の構成例を示す図である。以下、本実施形態が第5の実施形態と異なる点を説明する。半導体装置は、1.8V及び1.5Vの2種類の電源電圧で動作する。第1のコア回路301−1は、1.8Vの電源電圧で動作する。第2のコア回路301−2及び第3のコア回路301−3は、1.5Vの電源電圧で動作する。第1の抵抗制御回路304−1は、抵抗制御し、1.8Vの電源電圧を第1のコア回路301−1の電源電圧端子VDDに供給する。第2の抵抗制御回路304−2は、抵抗制御し、1.5Vの電源電圧を第2のコア回路301−2及び第3のコア回路301−3の電源電圧端子VDDに供給する。VNW電源回路302−1は、1.8V+0.3Vのバックゲート電圧を第1のコア回路301−1のバックゲート端子VNW及び第1の抵抗制御回路304−1に供給する。VPW電源回路901−1は、−0.3Vのバックゲート電圧を第1のコア回路301−1のバックゲート端子VPW及び第1の抵抗制御回路304−1に供給する。VNW電源回路302−2は、1.5V+0.3Vのバックゲート電圧を、第2のコア回路301−2のバックゲート端子VNW、第3のコア回路301−3のバックゲート端子VNW及び第2の抵抗制御回路304−2に供給する。VPW電源回路901−2は、−0.3Vのバックゲート電圧を、第2のコア回路301−2のバックゲート端子VPW、第3のコア回路301−3のバックゲート端子VPW及び第2の抵抗制御回路304−2に供給する。
第5の実施形態でも説明したような動作が可能であり、詳細な説明は省略する。
【0055】
以上のように、図3の半導体装置は、第1の電圧端子VDD1の電圧とバックゲート端子VNWの電圧との差電圧が閾値より低い場合には、電源端子VDDの電圧とバックゲート端子VNWの電圧との差電圧Vbsの絶対値が閾値より高くなるように可変抵抗310を制御する。これにより、図2(B)に示すように、閾値電圧Vthを低く維持し、pチャネル電界効果トランジスタ121のリーク電流及び消費電力の増加を防止することができる。
【0056】
また、図9の半導体装置は、第1の電圧端子GND(VSS)の電圧とバックゲート端子VPWの電圧との差電圧の絶対値が閾値より低い場合には、電源端子GND(VSS)の電圧とバックゲート端子VPWの電圧との差電圧Vbsが閾値より高くなるように可変抵抗310を制御する。これにより、図2(A)に示すように、閾値電圧Vthを高く維持し、nチャネル電界効果トランジスタ122のリーク電流及び消費電力の増加を防止することができる。
【0057】
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0058】
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
電源端子及びバックゲート端子を有するトランジスタ回路と、
第1の電圧端子と前記電源端子との間に接続される可変抵抗と、
前記第1の電圧端子の電圧と前記バックゲート端子の電圧との差電圧の絶対値が閾値より低い場合には、前記差電圧を変換したデジタル信号に基づいて前記可変抵抗を制御する制御回路と
を有することを特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記可変抵抗は、複数の電界効果トランジスタの並列接続回路を有し、
前記制御回路は、前記複数の電界効果トランジスタの導通する数を制御することにより、前記可変抵抗の抵抗値を制御することを特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記制御回路は、前記差電圧の絶対値が前記閾値より低い場合には、前記複数の電界効果トランジスタの導通する数を制御し、前記差電圧の絶対値が前記閾値より高い場合には、外部から入力される第1制御信号に基づいて前記複数の電界効果トランジスタの導通/非導通を制御することを特徴とする付記2記載の半導体装置。
(付記4)
前記制御回路は、前記トランジスタ回路の動作が中断可能かどうかを示す第2制御信号に応じて前記可変抵抗を制御することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記5)
前記トランジスタ回路は、pチャネル電界効果トランジスタを有し、
前記電源端子は、高電位側の電源電圧端子であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記6)
前記バックゲート端子は、前記pチャネル電界効果トランジスタが形成されるnウェルに接続され、
前記電源電圧端子は、前記pチャネル電界効果トランジスタのソースに接続されることを特徴とする付記5記載の半導体装置。
(付記7)
前記トランジスタ回路は、nチャネル電界効果トランジスタを有し、
前記電源端子は、基準電圧端子であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
(付記8)
前記バックゲート端子は、前記nチャネル電界効果トランジスタが形成されるpウェルに接続され、
前記基準電圧端子は、前記nチャネル電界効果トランジスタのソースに接続されることを特徴とする付記7記載の半導体装置。
(付記9)
電源端子及びバックゲート端子を有するトランジスタ回路と、
複数の電界効果トランジスタを有し、第1の電圧端子と前記電源端子との間に接続される可変抵抗と、
前記第1の電圧端子に印加される第1の電圧と前記バックゲート端子に印加される第2の電圧との差電圧を検出する差電圧検出回路と、
前記差電圧を変換したデジタル信号に基づいて、前記可変抵抗を制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、前記第2の電圧が基準電圧に到達し、前記差電圧が第1閾値以上の時に、前記可変抵抗の前記複数の電界効果トランジスタをすべてオン状態とすることを特徴とする半導体装置。
(付記10)
前記制御回路は、前記差電圧が前記第1閾値より低い第2閾値以上の電圧値の時に、前記可変抵抗の前記複数の電界効果トランジスタをすべてオン状態とすることを特徴とする付記9記載の半導体装置。
(付記11)
電源端子及びバックゲート端子を有する複数のトランジスタ回路と、
それぞれの第1の電圧端子と前記電源端子との間に接続され、複数の電界効果トランジスタを有する複数の可変抵抗と、
前記それぞれの第1の電圧端子の電圧と前記バックゲート端子の電圧との差電圧の絶対値が閾値より低い場合には、前記差電圧を変換したデジタル信号に基づいて前記複数の可変抵抗をそれぞれ制御する複数の制御回路と
を有し、
前記バックゲート端子の電圧が基準電圧となる前に、前記トランジスタ回路が動作を開始する場合、前記トランジスタ回路に接続される前記可変抵抗を制御する前記制御回路に基づいて、前記可変抵抗を制御し、
前記バックゲート端子の電圧が基準電圧以上の時に、前記トランジスタ回路が動作を開始する場合、前記トランジスタ回路に接続される前記可変抵抗の前記複数の電界効果トランジスタをすべてオン状態とすることを特徴とする半導体装置。
(付記12)
電源端子及びバックゲート端子を有する複数のトランジスタ回路と、
それぞれの第1の電圧端子と前記電源端子との間に接続される複数の可変抵抗と、
前記それぞれの第1の電圧端子の電圧と前記バックゲート端子の電圧との差電圧の絶対値が閾値より低い場合には、前記差電圧を変換したデジタル信号に基づいて前記複数の可変抵抗をそれぞれ制御する複数の制御回路と
を有し、
前記バックゲート端子の電圧が基準電圧かどうかを検出し、該検出結果に応じて、前記複数の制御回路の制御を有効とするかどうかを決定することを特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0059】
301 コア回路(トランジスタ回路)
302 VNW電源回路
303 パワーゲーティングコントロールロジック(PGCL)回路
304 抵抗制御回路
305 VDD電源回路
306 差電圧検出回路
307 否定論理積回路
308 差電圧A/D変換器
309 セレクタ
310 可変抵抗
311 電界効果トランジスタ
図1
図2
図3
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