(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6069732
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ステッキ&カート
(51)【国際特許分類】
A45B 1/02 20060101AFI20170123BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
A45B1/02
B62B3/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-157017(P2014-157017)
(22)【出願日】2014年7月14日
(65)【公開番号】特開2016-19712(P2016-19712A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2015年11月5日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】504041192
【氏名又は名称】塚本 定男
(72)【発明者】
【氏名】塚本 定男
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
実開平05−013429(JP,U)
【文献】
実開平03−063459(JP,U)
【文献】
実開昭53−009672(JP,U)
【文献】
実開昭57−130762(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3073597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 1/02
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルに接続する一本の直棒とスリップ防止のゴム部品とで構成されているステッキ機能に、手提げ物の手提げ移動負担を軽減するカート機能に変換できるように形成したもので、
中空主棒は、一方の端に、ハンドルを接続固定し、他方の端に、該ハンドルの握り方向に合せた中心線上にロック用孔と用途変換レバーのロック用凸部より幅を狭めた鍵形部ロック孔を設け、
ジョイントは、接続部と球体部、または、半円形体に中心を貫通するジョイントピン挿入孔を設け、該ジョイントピン挿入孔が該中空主棒のロック用孔と鍵形部ロック用孔の線上に直角になるように接続部で該中空主棒の端に接続固定し、
中空副棒は、一方の端に、該ジョイントが入り込める幅の切り欠とロック用凸部入り溝孔とを、該中空主棒のロック用孔と鍵形部ロック孔とが一直線上になるように設け、該ジョイントのジョイントピン挿入孔と同じ向きの線上になるように両側に貫通するジョイントピンスライド溝孔を設け、
該中空副棒の一方の端に装着の前部車輪ホルダーは、一方の端に、該中空主棒が入り込める幅のホルダー切り欠と同中心線上に間隙を形成し直角に貫通するレバー取付ピン孔を有する山形部と、該山形部の対面側に、該中空副棒のジョイントピンスライド溝孔と同じ向きの車輪を取り付ける車輪シャフトを設けたもので、該中空副棒の切り欠側端へ、該前部車輪ホルダーを挿入し、該中空副棒の切り欠と該前部車輪ホルダーのホルダー切り欠を合せ固定し、
該中空副棒の他方の端に装着の後部車輪ホルダーは、前部車輪ホルダーと同様に車輪シャフトを取り付け、端に先端ゴム部品を、車輪シャフトには車輪を装着し、該後部車輪ホルダーを該前部車輪ホルダーの車輪シャフトに角度を合せ該中空副棒へ挿入固定し、
該中空主棒の該ジョイント端を該中空副棒の切り欠のある筒端から入れ込み、該中空副棒のジョイントピンスライド溝孔からジョイントのジョイントピン挿入孔へジョイントピンを挿入し連結させ、
用途変換レバーは、鍵形部、コイルバネ取付突起部、ロック用凸部、レバー取付ピン孔を設けており、該用途変換レバーの装着には、コイルバネ取付突起部にコイルバネを嵌め込み、ロック用凸部を該中空副棒のロック用凸部入り溝孔に差し込みながら、該前部車輪ホルダーの山形部の間隙に該用途変換レバーを取り付け、該山形部にあるレバー取付ピン孔と該用途変換レバーのレバー取付ピン孔を合せてレバー取付ピンで装着し、
上記機構形態で、該中空副棒の筒内へ該中空主棒を奥方へ押すと、該ジョイントの球体部の端が該用途変換レバーのロック用凸部を押し上げコイルバネを抗して該用途変換レバーは水平状態となり、さらに、該中空主棒を奥方へ押すと、該用途変換レバーのロック用凸部は、該中空主棒の鍵形部ロック孔には入り込まず通り過ぎロック用孔に嵌り、該中空主棒と該中空副棒のスライドがロックされステッキモードとなり、該用途変換レバーの鍵形部あたりを押えるとロックが解除され、該中空副棒から該中空主棒を引き出すと、ロック用凸部に抵抗がなくなり該用途変換レバーがコイルバネの反発で上向きになり、さらに、該中空主棒を引き出しきると、該ジョイントの球体部に挿入されている該ジョイントピンによる折り曲げ機構で上向きに折り曲げると、該中空主棒の鍵形部ロック孔に該用途変換レバーの鍵形部が入り込み、折り曲げ形態でロックされカートモードになる仕組みにしているステッキ&カート。
【請求項2】
ハンドル握り方向にハンドル溝を設け、ハンドル溝に手提げ荷の手提げの紐等を掛けれるようにし、ハンドルと一緒に握れる仕組みにしている請求項1記載のステッキ&カート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的なステッキの機能に、手提げ荷の手提げ移動用のカートに変換できるステッキ&カートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なステッキは歩行時に体を支えながら安心安全を保持するものがある。
【0003】
また、小荷物運搬を補助する2輪付きのカートがある(例えば、バッグ付きカート)。
【0004】
さらに、小荷物運搬を補助しながら、かつ、体を支えることができる4輪付きのカートがある(例えば、4輪付きカート)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−13429
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の一般的なステッキでは、歩行時に体を支えることで安心安全を保持しながら歩行を補助するものであるが、手提げ荷のみの移動時に補助するような簡易型のカートはなく、また、カートは小荷物運搬時に体を支えながら負担を軽減するものがあるが、かさばり、携行時に不便なことがあった。
【0007】
本発明は、従来の一般的なステッキ機能のものに、手提げ荷の移動時に体を支えながら負担を軽減できる機能を付加することの利便性に着目し、コンパクトで簡素な機構で問題を解決し、実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、ハンドルに接続する一本の直棒とスリップ防止のゴム部品とで構成されているステッキ機能に、手提げ荷の手提げ移動負担を軽減するカ−ト機能に変更できるように形成したもので、中空主棒は、一方の端に、ハンドルを接続固定し、他方の端に、該ハンドルの握り方向に合せた中心線上にロック用孔と用途変換レバーのロック用凸部より幅を狭めた鍵形部ロック孔を設け、ジョイントは、接続部と球体部、または、半円形体に中心を貫通するジョイントピン挿入孔を設け、
該ジョイントピン挿入孔が該中空主棒のロック用孔と鍵形部ロック孔の線上に直角になるように接続部で該中空主棒の端に接続固定し、中空副棒は、一方の端に、該ジョイントが入り込める幅の切り欠とロック用凸
部入り溝孔とを、該中空主棒のロック用孔と鍵形部ロック孔と
が一直線上になるように設け、該ジョイントのジョイントピン挿入孔と同じ向きの線上になるように両側に貫通するジョイントピンスライド溝孔を設け、該中空副棒の一方の端に装着の前部車輪ホルダーは、一歩の端に、該
中空主棒が入り込める幅のホルダー切り欠と同中心線上に間隙を形成し直角に貫通するレバー取付ピン孔を有する山形部と、
該山形部の対面側に該中空副棒のジョイントピンスライド溝孔と同じ
向きの車輪を取り付ける車輪シャフトを設けたもので、該中空副棒の切り欠側端へ、該前部車輪ホルダーを挿入し、該中空副棒の切り欠と該前部車輪ホルダーのホルダー切り欠を合せ固定し、該中空副棒の他方の端に装着の後部車輪ホルダーは、前部車輪ホルダーと同様に車輪シャフトを取り付け、端に先端ゴム部品を、車輪シャフトには車輪を装着し、該後部車輪ホルダーを該前部車輪ホルダーの車輪シャフトに角度を合わせ該中空副棒へ挿入固定し、該中空主棒の該ジョイント端を該中空副棒の切り欠のある筒端から入れ込み、該中空副棒のジョイントピンスライド溝孔からジョイントのジョイントピン挿入孔へジョイントピンを挿入し連結させ、用途変換レバーは、鍵形部、コイルバネ取付突起部、ロック用凸部、レバー取付ピン孔を設けており、該用途変換レバーの装着には、コイルバネ取付突起部にコイルバネを嵌め込み、ロック用凸部を該
中空副棒のロック用凸部入溝
孔に差し込みながら、該前部車輪ホルダーにの山形部の間隙に該用途変換レバーを取り付け、
該山形部にあるレバー取付ピン孔と該用途変換レバーのレバー取付ピン孔を合せてレバー取付ピンで装着し、上記機構形態で、該中空副
棒の筒内へ該中空主棒を奥方へ押すと、該ジョイントの球体部の端が該用途変換レバーのロック用凸部を押し上げコイルバネを抗して該用途変換レバーは水平状態となり、さらに、該中空主棒を奥方へ押すと、該用途変換レバーのロック用凸部は、該中空主棒の鍵形部ロック孔には入り込まず通り過ぎロック用孔に嵌り、該中空主棒と該中空副棒のスライドがロックされステッキモードとなり、該用途変換レバーの鍵形部あたりを押えるとロックが解除され、該中空副棒から該中空主棒を引き出すと、ロック用凸部に抵抗がなくなり該用途変換レバーがコイルバネの反発で上向きになり、さらに、該中空主棒をひき出しきると、該ジョイントの球体部に挿入されている該ジョイントピンによる折り曲げ機構で上向きに折り曲げると、該中空主棒の鍵形部ロック孔に該用途変換レバーの鍵形部が入り込み、折り曲げ形態でロックされカートモードになる仕組にしている。
【0009】
第2課題解決の手段は、ハンドルの握り方向にハンドル溝を設け、ハンドル溝に手提げ荷の手提げの紐等を掛けれるようにし、ハンドルと一緒に握れる仕組みにしている。
【0010】
上記第1の課題解決手段による作用は、通常のステッキ機能以外に、中空主棒と中空副棒を設け、互いにジョイントのジョイントピンによる連結で、該中空副棒の筒内へ挿入の該中空主棒が筒内でねじれずにスライド可能な一本の集約的な形態となり、用途変換レバーのロック用凸部でロックされステッキモードとなり、また、用途変換レバーでロックを解除し該中空副棒から該中空主棒を引き出しきり、ジョイントピンの連結部分で上方方向に折り曲げた形態を該用途変換レバーの鍵形部でロックしカートモードとなり、自在に用途変換レバーで変換でき、状況に応じた補助に役立てることができる。
【0011】
また、第2の課題解決手段による作用は、ハンドルの握り方向のハンドル溝に手提げ荷の手提げの紐等を掛けるこ
とは、ハンドルと手提げ紐等を一緒に握ることになり、カートモードでの移動時の手提げ荷のふらつきを減らし安定した移動の補助ができ、ステッキモードでの待ち時、乗車時等でも手提げ感覚で手提げ負担の軽減に役立てることができる。
【発明の効果】
【0012】
上述したように本発明のステッキ&カートは、一般的なステッキ機能と、カート機能を自在に変換できる機能をコンパクトな形状にしており、利便性と経済性を高めたものを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明実施形態のステッキ&カートでステッキモード時での正面図
【
図3】本発明実施形態のステッキ&モードでカートモード時での正面図
【
図7】(a)ジョイント3の拡大上面図(b)上図(a)の拡大側面図
【
図8】ステッキモード解除からカートモード直前の過程図(a)(b)(c)(d)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図8に基づいて説明する。
【0015】
図1、
図2に示すように、ハンドル1を接続している中空主棒2と中空副棒5の端、切り欠5c側に、車輪シャフト12に取り付られた車輪11と用途変換レバー8を装着している前部車輪ホルダー6と、他方の端に、同様に取り付けられている車輪11とステッキ先端ゴム部品13を装着している後部車輪ホルダー7を両端に備えている中空副棒5とで構成している。
【0016】
図5、
図6に示すように、接続部3a、球体部3b、ジョイントピン挿入孔3cとを設けているジョイント3を接続している中空主棒2を、ジョイントピンスライド溝孔5aを設けている中空副棒5の筒中に入れ込み、ジョイントピンスライド溝孔5aからジョイントピン挿入孔3cにジョイントピン4を挿入で連結し、ねじれと抜け出しを防止してスライドが自在となる。
【0017】
さらに、
図5、
図6に示すように、用途変換レバー8のコイルバネ取付突起部8dにコイルバネ9を取り付けながら、ロック用凸部8cを中空副棒5のロック用凸部入り溝孔5bに入れながら、前部車輪ホルダー6の山形部6bの間隙6cに取付け、レバー取付ピン孔6d、レバー取付ピン孔8aを合せ、レバー取付ピン10を挿入して装着する。
【0018】
以上、上記構成の動作を説明する。
図5に示すように、中空主棒2を中空副棒5の奥まで差し込むと所定の位置で止り、同時に用途変換レバー8のロック用凸部8cがコイルバネ9の反発で中空主棒2のロック用孔2aにはまり込みロックされ、スライドが不可となり、ステッキモードの状態になる。用途変更レバー8の鍵形部8bあたりをプッシュするとロックが解除される。
、
【0019】
また、
図6に示すように、中空副棒5のジョイントピンスライド溝孔5aの端まで中空主棒を引き出すと、用途変換レバー8のロック用凸部8cに抵抗がなくなり、コイルバネ9の反発で、用途変換レバー8の鍵形部8bが上方に傾き上り、所定の位置まで中空主棒2を上方に折り曲げると同時に、鍵形部ロック孔2bと用途変換レバー8の鍵形部8bが自動的にロックしてカートモードになり、鍵形部8bあたりをプッシュすると、中空主棒2のロックを解除することができる。
【0020】
図8は、ステッキモード(
図5でのA−A部分断面図)からカートモード(
図6でのB−B部分断面図)に至るまでの過程を示したもので、(a)は、用途変換レバー8の下方矢印はプッシュによる
図5でのステッキモードのロック解除を示すもので、(b)は、中空主棒2が引き出される途中過程で、用途変換レバー8のロック用凸部8cより中空主棒2の鍵形部ロック孔2bの溝幅を狭く設定しており、ロック用凸部8cは鍵形部ロック孔2bに嵌り込まず通過中を示したもので、(c)は、さらに、中空主棒2が引き出され、ジョイント3の球体部3bの端が用途変換レバー8のロック用凸部8cを通過直後で、用途変換レバー8がコイルバネ9の反発により斜め上方に向きを変えた瞬間を示したもので、(d)は、さらに、中空主棒2を引き出しきると、ジョイントピン4を支点に中空主棒2が上向きに折れ曲がることを示したもので、さらに折れ曲がりロックされると
図6でのカートモードになる。カートモードからステッキモードへの過程は上記の逆である。
【0021】
さらに、
図2に示すように、ハンドル溝1aを設けることで、カートモードでは、手提げの紐等を引っ掛けるようにしている。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、ステッキモードとカートモードとが適宜容易に変換でき、カートモード時の手提げ紐等の引っ掛けも容易で、コンパクトな形態で持ち歩きに抵抗感がなく、利便性と経済性を兼ね揃えた効果が得られる。
【符号の説明】
【0023】
1 ハンドル
1a ハンドル溝
2 中空主棒
2a ロック用孔
2b 鍵形部ロック孔
3 ジョイント
3a 接続部
3b 球体部
3c ジョイントピン挿入孔
4 ジョイントピン
5 中空副棒
5a ジョイントピンスライド溝孔
5b ロック用凸部入り溝孔
5c 切り欠
6 前部車輪ホルダー
6a ホルダー切り欠
6b 山形部
6c 間隙
6d レバー取付ピン孔
7 後部車輪ホルダー
8 用途変換レバー
8a レバー取付ピン孔
8b 鍵形部
8c ロック用凸部
8d コイルバネ取付突起部
9 コイルバネ
10 レバー取付ピン
11 車輪
12 車輪用シャフト
13 先端ゴム部品