(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマーを含む拡張されたチューブから形成されるスキャフォールドを用意するステップであって、前記スキャフォールドが相互に接続される網目状の閉鎖セルを有する、ステップと、
前記スキャフォールドをバルーンカテーテルにクリンプするステップであって、前記スキャフォールドがクリンプ前直径と最終クリンプ直径とを有し、前記クリンプ前直径と前記最終クリンプ直径との比率が6:1であり、
前記スキャフォールドの直径を前記クリンプ前直径から前記クリンプ前直径の約30%よりも小さい中間クリンプ直径へと減少させるサブステップと、
前記スキャフォールドを前記中間クリンプ直径まで縮小させた後に、前記直径を前記最終クリンプ直径に至るまで縮小させて、前記バルーンカテーテルを加圧するサブステップと、
前記スキャフォールドが前記中間クリンプ直径に達した後で且つ前記スキャフォールドが前記最終クリンプ直径に達する前においてのみバルーン加圧を開始するサブステップと、
を含むステップと、
を含むクリンプ方法。
前記スキャフォールドを第1の中間直径まで縮小させて、前記スキャフォールドをクリンプ機構から除去し、前記スキャフォールドを前記クリンプ機構に戻した後、前記直径を前記クリンプ前直径の約30%である第2の中間直径まで減少させるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
前記ポリマーが、TG−lowの下限を有するガラス転移温度範囲によって特徴付けられ、TG−lowよりも約5度〜15度低い温度でクリンピングが行われる、請求項1に記載の方法。
クリンプ前直径(SDpc)が不等式1.1×(SDi)×(1.2)−1≦SDpc≦1.7×(SDi)×(1.2)−1を満たし、SDiが前記バルーンカテーテルにおける公称膨張直径である、請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
[0002]当該技術は、クリンピング力およびバルーン拡張力などの外部負荷に晒されるときにその構造的完全性を保持できるポリマースキャフォールドの能力に影響を及ぼす様々な因子を認識する。これらの相互作用は複雑であり、作用のメカニズムは完全には理解されていない。当該技術によれば、塑性変形により展開状態へ拡張されるタイプの生体吸収性ポリマースキャフォールドを同様に機能する金属ステントから区別する特性は、多くあり、重要である。確かに、金属ステントの挙動を予測するために使用される認められた分析的または実験的な方法/モデルのうちの幾つかは、不適切でなければ、バルーン−拡張可能スキャフォールド(以下、「スキャフォールド」)のポリマー耐負荷部分の非常に非線形な挙動を確実に且つ一貫して予測するための方法/モデルとして信頼できない傾向がある。モデルは、一般に、スキャフォールドを体内に埋め込むために或いは実験データを予測する/予期するために必要とされる許容できる程度の確実性を与えることができない。
【0003】
[0003]また、医療器具関連バルーンの製造、例えばスキャフォールド展開及び/又は血管形成術のための非伸展性のバルーンにおける最新技術は、支柱により相互に接続される網状のリングの塑性変形によってポリマー材料が生体内のルーメンを支持するために使用されるときにどのように振る舞い得るかに関して限られた情報しか与えないことが認識される。要するに、膨張された薄壁バルーン構造の機械的特徴(バルーンが膨張されてルーメンを支持しているときに予め負荷が加えられる膜の機械的特性に最も類似する)を向上させるために案出される方法は、展開されたスキャフォールドの挙動に関する識見を、たとえあったとしても僅かしか与えない。1つの違いは、例えば、スキャフォールドにおいて破壊または亀裂が生じる性向である。したがって、当該技術は、機械的な問題については、材料の種類における共通の類似性にもかかわらず、非常に異なりすぎて有用な識見を与えることができないと認識する。せいぜい、バルーン製造技術は、スキャフォールドの特性の向上を求めるための一般的な指針を与えるにすぎない。
【0004】
[0004]スキャフォールドとして使用するために考慮されるポリマー材料、例えばPLLAまたはPLGAについて、以下の方法の幾つかにおいては、スキャフォールドを形成するために使用される金属材料との比較によって説明され得る。適したポリマーは強度重量比が低く、このことは、金属の機械的特性と等価な機械的特性を与えるためにより多くの材料が必要とされることを意味する。したがって、支柱は、必要とされる強度を有するように更に厚く且つ更に幅広くされなければならない。また、スキャフォールドは、脆弱である傾向もあり、或いは、限られた破壊靱性を有する傾向もある。材料に固有の異方性および速度依存性の非弾性特性(すなわち、材料が変形される速度に応じて材料の強度/剛性が変化する)は、ポリマー、特にPLLAまたはPLGAなどの生体吸収性ポリマーと共に作用する際にこの複雑さを助長するだけである。
【0005】
[0005]したがって、材料の平均的な機械的特性の予期しない変化に対する懸念を一般に引き起こしてこなかった或いは前記懸念への注意深い配慮を必要とする、金属ステントに関して行われる処理、金属ステントに関して行われる設計変更は、同様の負荷状態下でのポリマーの機械的特性の非線形性および時として予期し得ない性質に起因して、スキャフォールドに適用されない場合もある。特定の状態が1つの因子または他の因子に起因するかどうか−例えば、欠陥が、製造プロセスの1つ以上のステップの結果であったか、または、スキャフォールド製造後に行われるプロセスにおける1つ以上のステップ、例えばクリンピングの結果であったか−を更に概略的に予測することさえ可能になる前に、広範囲に及ぶ検証に取り組む必要があるということが時として実情である。結果として、一般的に言えば、製造プロセス、製造後プロセスの変更、或いは更には、スキャフォールドのパターン設計の比較的軽微な変更について、ポリマーの代わりに金属材料が使用された場合よりも十分に吟味されなければならない。そのため、スキャフォールド設計を改良するために様々なスキャフォールド設計から選択する際には、非生産的な経路がないものを進めるための手段として利用できる、また、金属ステントにおいて変更を行うときよりも生産的な改良経路へ向けて利用できる発見の推論、理論、または、体系的方法がかなり少ないということになる。
【0006】
[0006]したがって、等方性で且つ延性のある金属材料が使用されたときにステントの検証または実現可能性のために当該技術分野において既に受け入れられた推論が使用された一方で、そのような推論はスキャフォールドに関しては不適切であると認識される。スキャフォールドパターンの変化は、ルーメンを支持するスキャフォールドの展開状態におけるスキャフォールドの剛性またはルーメン被覆率だけでなく、スキャフォールドがクリンプされるときに或いは展開されているときに破壊が生じる性向にも影響を及ぼす場合がある。このことは、金属ステントと比較して、一般に、変化されたスキャフォールドパターンが不利な結果をもたらし得ないか或いは処理ステップ(例えば、チューブ形成、レーザ切断、クリンピングなど)の大きな変更を必要とするかどうかに関してなされ得る前提が存在しないことを意味する。簡単に言えば、ステント製造プロセスを簡略化する金属の非常に有益な固有の特性(一般的には、変形速度または負荷作用方向に対して変わらない応力/歪み特性、および、材料の延性)は、変更されたステントパターン及び/又は処理ステップと、新たなパターンを伴って且つ生体内に埋め込まれるときに欠陥を伴うことなくステントを確実に製造できる能力との間で推論を容易に引き出すことができるようにする。
【0007】
[0007]バルーンにクリンプされるときおよびその後にバルーンによって展開されるときの両方で塑性変形されるスキャフォールドの支柱およびリングのパターンの変化は、残念ながら金属ステントほど容易に予測できない。確かに、パターンが代わりに金属チューブから形成された場合には何ら変化を必要としなかった変更パターンの結果として、スキャフォールド製造ステップにおいて予期しない問題が生じ得ることが認識される。金属ステントパターンの変化とは対照的に、スキャフォールドパターンの変化は、製造ステップまたはクリンピングおよび滅菌などの製造後処理の他の変更を必要とする場合がある。
【0008】
[0008]冠状血管を処置するために使用されるスキャフォールドは、その大部分が主に径方向負荷を受ける。しかしながら、末梢血管を対象とするスキャフォールドは、ステントの使用における適合性の従来の指標、すなわち、スキャフォールドの径方向強度/剛性が、スキャフォールドが末梢血管を支持するのに十分な強度を有するかどうかの正確な指標とならない程度まで、全く異なる負荷を受ける。これは、末梢スキャフォールドが冠動脈スキャフォールドとはかなり異なる環境に配置されるからである。血管サイズは更に大きい。また、特に付属器官の近傍に配置されるときには、血管のよりたくさんの動きが存在する。したがって、末梢血管を対象とするスキャフォールドは、軸方向負荷、曲げ負荷、ねじり負荷、および、径方向負荷の組合せを含む更に複雑な負荷を支えることができる必要がある。これについては、Bosiers,M.およびSchwartz,L.のDevelopment of Bioresorbable Scaffolds for the Superficial Femoral Artery,SFA:CONTEMPORARY ENDOVASCULAR MANAGEMENT(‘Interventions in the SFA’節)を参照されたい。抹消に埋め込まれるステントおよびスキャフォールドが直面するこれらの課題および関連する課題は、米国特許出願第13/015,474号明細書(整理番号第104584.10号)においても論じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]特に末梢スキャフォールドが直面する1つの課題は、バルーンに対するクリンピング、および、バルーンが膨張されるときのスキャフォールドの拡張である。一方では、クリンプ状態において或いはバルーンによってクリンプ状態から拡張されるときに構造的破損、すなわち、破壊または過度な亀裂をもたらすことなくスキャフォールドを所望のサイズまでクリンプできない場合に、問題が生じる。他方では、スキャフォールドをクリンプおよび展開できるが、スキャフォールドが展開状態で不均一に展開する。これらの場合、スキャフォールドは急性破損または疲労破損を生じやすい。これは、不均一な展開の結果としてそれらの設計限界を超える負荷を与えられる不規則に展開されたリング及び/又はセルに血管内で急性寿命または疲労寿命の低下がもたらされるからである。
【0010】
[0010]ポリマースキャフォールドをバルーンにクリンプするためにフィルムヘッド付きクリンパが使用されてきた。
図8Aを参照すると、クリンピングブレードとクリンピング前の金属ステントとの間にテフロン(登録商標)加工材料のクリーンシートを位置決めするために使用される3つのロール123,124,125を含むクリンピングアセンブリ20の斜視図が示される。例えば、上側ロール125は、クリーンシートをバッキングシートに固定して保持する。クリーンシートは、クリンパヘッド20内の回転機構(図示せず)によってバッキングシートから引き出される。第2のシートが中間ロール124から分配される。クリンピング後、第1および第2の(使用済み)シートが下側ロール123によって収集される。テフロン(登録商標)加工シートを分配するローラに代わる手段として、各金属ステントがクリンピング前に薄い伸展性のある保護シースで覆われてもよい。
【0011】
[0011]
図8Bは、クリンピングアセンブリ20の開口内で第1のシート125aおよび第2のシート124aを楔22および金属ステント100に対して位置決めすることを示す。図示のように、2つのシートのそれぞれは、ステント100の両側の2つのブレード22間に通され、また、収束するブレード22によってクリンピングアセンブリの絞りのサイズが減少される際に、余分なシート材料を引き寄せるために張力T1,T2が加えられる。
【0012】
[0012]テフロン(登録商標)加工材料の分配されたシート(または保護シース)は、治療薬がコーティングされたステントのためのクリンパブレードにコーティング材料を蓄積させないために使用される。各クリンピングシーケンス後にシート125a,124aが新たなシートに取って代えられる。各クリンプ後にクリーンシートを押し進めることにより、既にクリンプされたステントから混入するコーティング材料の蓄積が回避される。交換可能なシートを使用することにより、同じクリンピングアセンブリを使用して、先行するステントクリンピングからの混入またはコーティング材料の蓄積の危険を伴うことなく、異なる薬剤コーティングを有するステントをクリンプすることができる。
【0013】
[0013]前述した問題を考慮すると、目標部位への送出のために所望の保持力と最小の交差プロファイルとの適切な釣合いを維持しつつ、末梢に埋め込まれるスキャフォールドに関して展開の均一性を向上させる必要性がある。また、末梢血管の繰り返される軸方向、曲げ、径方向の負荷の特性の後に、末梢埋め込みスキャフォールドの構造的な完全性を扱う継続的な必要性がある。
【0014】
[0014]本発明は、所望のバルーン−スキャフォールド保持力を維持して、血管内の目標場所へのスキャフォールドの送出中にバルーンからスキャフォールドが外れるのを防止しつつ、バルーン膨張送出システムによるスキャフォールド拡張の均一性を高めるための方法を提供する。
【0015】
[0015]送出バルーンにクリンプされるポリマースキャフォールドの保持力は、バルーンが加圧される間にスキャフォールドをバルーンにクリンプすることを含むクリンピングプロセスによって高められ得ることが明らかになってきた。すなわち、スキャフォールドの外径がクリンパブレードによって減少されているときに同時に、バルーンが加圧される。そのようなクリンピングプロセスの更なる特徴は、ポリマー材料のガラス転移温度(TG)に近いがこのガラス転移温度よりも低い温度までスキャフォールドを加熱するとともに、休止期間中にバルーン圧力を加えることを含む(すなわち、バルーン圧力は、スキャフォールド直径が一定に保たれるときに加えられる)。
【0016】
[0016]しかしながら、バルーンにクリンプされるときに直径が比較的大きく減少する、例えばクリンプ直径と拡張直径との比率が6:1である末梢埋め込みスキャフォールドに対してこれらの同じプロセスが適用されると、体内でのスキャフォールドの拡張時に問題に直面することになった。スキャフォールドが均一な態様で一貫して拡張しなかった。結果として、径方向の強度および剛性をスキャフォールドに与えるリング支柱及び/又はセル構造は、応力および歪みの不均一な分布を受ける。過度に拡張されたセルは、不十分に拡張された隣りのセルが十分に利用されない間は、通常よりも高い応力および歪みに耐えることが求められる。過度に拡張されたセルと関連付けられバルーンにより誘発される応力および歪みは、展開時に、材料の極限の応力および歪みの度合いを超える可能性があり、それにより、亀裂の形成または破壊がもたらされ、或いは、疲労寿命または破壊靱性が減少する。この場合、破壊は、埋め込みの数日後または数週間後に直ちに起こり得る。動物実験によるスキャフォールドの外植片は、不均一態様で拡張されたスキャフォールドにおいてこのタイプの挙動を示してきた。
【0017】
[0017]末梢に埋め込まれるスキャフォールドにおける支柱破壊は、再発する問題である。冠動脈スキャフォールドと比較して原因が十分に理解されていないが、原因は、スキャフォールドの直径の大きな減少/拡張と、末梢に埋め込まれるスキャフォールドの(冠動脈スキャフォールドと比べて)複雑な負荷環境との組合せにあると考えられる。したがって、これらの問題を考慮すると、末梢に埋め込まれるスキャフォールドにおいては、より均一な拡張に達することが望ましい。
【0018】
[0018]これらのニーズを考慮すると、拡張の均一性を大幅に向上させるとともに、無傷のリング構造の数または破壊された支柱を持たないリングの数を大幅に増大させつつ、バルーンに対する望ましい最小のスキャフォールド保持および望ましい最小の交差プロファイルを維持するクリンピングプロセスが見出される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
[0019]本発明の1つの態様によれば、クリンピングプロセス中の適切な段階でバルーンを加圧して、より均一な折り重ねバルーン形態を維持することにより、スキャフォールドセルの拡張の均一性を高める、クリンピングプロセスが案出される。すなわち、バルーン加圧は、スキャフォールドが中間クリンプ直径に達すると行われ、それにより、バルーンは、加圧が解放されてスキャフォールドがその最終直径にクリンプされるときに、バルーンにおける当初の折重ね部を少なくとも部分的に保持する。
[0020]本発明の他の態様によれば、体内および体外で行われる検査に基づき、バルーン拡張のための最大直径を特定する、折り重なりバルーンまたは襞付きバルーンにより拡張されるスキャフォールドにおいては、臨界クリンプ外径(CCOD)が存在することが分かっている。所定のスキャフォールドおよびバルーンにおけるCCODの計算により、拡張の均一性も保持しつつバルーンに対する良好なステント保持力を得るために、バルーン加圧を開始するためのスキャフォールドにおける最大ODを推定できる。CCODを計算するための2つの方法は、一方が他方よりも控えめであり、研究に基づいて導き出された。CCODは、スキャフォールドの均一な拡張を確保するべく、バルーン加圧の開始前にスキャフォールドの最大外径を推定するために使用されてもよい。
【0020】
[0021]プロセスは幾つかのクリンピングステップを含んでもよい。それぞれのクリンピングステップの後、スキャフォールドの直径を更に減少させる前にスキャフォールド材料が増大した歪みを解放できるようにするため、休止期間が生じる。1つ以上の初期クリンピングステップの後、部分的にクリンプされたスキャフォールドは、バルーンに対する位置合わせをチェックするためにクリンパヘッドから除去される。このステップは、本開示では、最終位置合わせステップまたはチェック最終位置合わせステップと称される。位置合わせをチェックした後、スキャフォールドは、最終クリンプを行うためにクリンパに戻される。スキャフォールド支柱の隙間でバルーン材料を押圧するため、バルーンが加圧される間に最終直径が減少される。以前のクリンピング方法とは異なり、1つの実施形態によれば、この単一の加圧ステップのみが使用される。
【0021】
[0022]本発明の他の態様によれば、末梢血管内での潰れ復元可能なスキャフォールドの拡張の均一性を向上させるクリンピングプロセスが開示される。
【0022】
[0023]本明細書中で言及される全ての公報および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の公報または特許出願が参照により組み込まれるべく具体的に且つ個別に示されていたかのように同じ程度まで参照することにより本願に組み込まれる。組み込まれた公報または特許と本明細書との間で単語及び/又は語句の任意の矛盾する使用が存在する程度まで、これらの単語及び/又は語句は、それらが本明細書中で使用される態様と整合する意味を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0035]本開示に係る、バルーンによりクリンプされて拡張されるスキャフォールドは、押し出しPLLAから成るチューブから形成される。このチューブを形成するために米国特許出願公開第2010/0025894号明細書に記載されるチューブ形成プロセスが使用されてもよい。このとき、PLLAの完成した固化した高分子チューブがブロー成形プロセス中に径方向および軸方向に変形される場合があり、その場合、変形は、チューブの縦方向軸線に沿って所定の縦方向速度で漸進的に起こる。例えば、ブロー成形は、米国特許出願公開第2009/0001633号明細書に記載されるように行うことができる。この2軸方向の変形は、チューブが形成された後、この拡張を伴うことなくチューブから切り取られるスキャフォールド構造部材の機械的特性の際立った向上をもたらすことができる。ポリマーチューブが受ける径方向拡張の度合いは、誘発される周方向の分子配向または結晶配向の度合いを特徴付ける。好ましい実施形態において、径方向拡張比率、すなわち、RE比率は、チューブの開始内径の約450%であり、また、軸方向拡張比率、すなわち、AE比率は、チューブの開始長さの約150%である。比率RE,AEは、米国特許出願公開第2010/0025894号明細書に規定される。
【0025】
[0036]先のスキャフォールドの外径は、それが使用されると予期される場所、例えば身体内の特定の場所または部位によって示されてもよい。しかしながら、外径は、通常、処置中に必要とされるものの単なる近似である。例えば、治療薬剤が効くと分解する石灰沈着が広範囲に存在する場合があり、それにより、スキャフォールドを血管内で取り外すことができる。また、血管壁の断面が円形であると見なすことできず、血管壁の実際のサイズが単なる近似であるため、医師は、スキャフォールドを所定の位置にとどまめるためにスキャフォールドを過大に伸張させることを選択することができる。このため、スキャフォールドの予期される展開直径よりも大きい直径を有するチューブを使用することが好ましい。
【0026】
[0037]以下で更に詳しく説明するように、また、米国特許出願第13/015,474号明細書(整理番号第104584.10号、「474」出願、特に
図5Bおよび
図6Bの「V59」スキャフォールド)において説明されるように、スキャフォールドは、8mmのレーザ照射時直径と、スキャフォールドパターンにおける「最小理論直径」よりも小さい(クリンパジョーをスキャフォールドから除去する前の)約2.3mmの最終クリンプ外径と、約6.5−7.0mm(6.5mm平均血管サイズ)の膨張直径と、約9.5mmのダイレーション後カテーテルバルーンによる最大拡張直径とを有する(別段述べられなければ、スキャフォールド直径とはスキャフォールド外径のことを示すものとする)。クリンパから除去後の直径は約0.092インチである。
【0027】
[0038]1つの実施形態によれば、本発明にしたがってクリンプされるスキャフォールドは、6.0mmの公称バルーン直径に関して膨張直径とクリンプ直径との比率が約2.5:1〜3:1であり、また、クリンプ前直径とクリンプ直径との比率が約3:1〜3.5:1または約4:1であってもよく、この比率は、一般に、膨張直径、断面形状、交差プロファイル、及び/又は、血管直径によって決まる。より一般的には、血管直径(VD)に関して、‘474出願の方程式1および方程式2は、末梢血管内の埋め込みにとって望ましい特性を有するスキャフォールドのためのSD
pcおよびSD
lを決定するために使用されてもよく、これらの方程式は本開示の一部と見なされる。
【0028】
[0039]特に短い長さを有する冠動脈スキャフォールドに関して、バルーン上にある状態の冠動脈スキャフォールドの保持力を、末梢に埋め込まれるスキャフォールドと比べて増大させるために、クリンププロセスを改善する必要性が大いにあり得る。バルーンに対してクリンプされるスキャフォールドにおける「保持力」とは、スキャフォールドをバルーンから除去する前にスキャフォールド−バルーンが耐えることができる、血管を通じた移動方向に沿ってスキャフォールドに加えられる最大の力を意味する。バルーン上のスキャフォールドにおける保持力はクリンピングプロセスによって設定され、それにより、スキャフォールドは、バルーンからのスキャフォールドの外れに耐える嵌合を成すべくバルーン表面に対して塑性変形される。バルーンに対するスキャフォールドの保持に影響を与える因子は多い。それらの因子としては、バルーンとスキャフォールドとの間の表面同士の接触度合い、バルーンおよびスキャフォールドの表面の摩擦係数、および、スキャフォールドの支柱間のバルーン材料の突出または延出の度合いが挙げられる。したがって、スキャフォールドにおける引き離し力または保持力は、一般に、その長さに伴って変化する。そのため、スキャフォールドが短ければ短いほど、カテーテルが曲がりくねった生体構造に押し通される際にスキャフォールドが外れ易くなり得る。しかしながら、抹消スキャフォールドは、一般に、冠動脈スキャフォールドよりもかなり長い。そのため、保持力は、短い長さの冠動脈スキャフォールドの場合のように心配するほどのことではない。
【0029】
[0040]しかしながら、上記のようではあるが、末梢に埋め込まれるスキャフォールドをバルーンに対して固定して、スキャフォールドを損傷させることなくバルーンに対して等価な金属ステントと同じ大きさの保持力を得ることは、等価な金属ステントの場合よりも依然として大きな課題である。これは、金属ステントと対比して、スキャフォールドをクリンプするために利用できる限られた温度範囲(例えば、好ましい実施形態のスキャフォールドにおいてはガラス転移温度の下限(すなわち、TG−low)よりも5〜15度低い)と、血管支持ポリマー材料の一般的に更に脆弱な特性とに起因する。また、低い強度特性および剛性を考えると、ポリマースキャフォールドの支柱は、金属ステントと等価な特性を得るためには更に厚くなければならず、そのため、バルーン材料がスキャフォールド支柱間に引っ掛かるので利用できる空間が減少する。
【0030】
[0041]表1は、
図4〜
図6に描かれるスキャフォールドをバルーンカテーテルにクリンプするために使用されたクリンピング段階またはクリンピングステップをまとめている。これから分かるように、クリンピングプロセスは、スキャフォールドにおけるポリマー材料(好ましくはPLLA)の粘弾性特性と、極端な直径減少(公称のダイレーション後の膨張された直径を超えるクリンプ前直径を保持しつつ目標交差プロファイルを得るために必要とされる約6:1)とを考えると、時間がかかる。9個の段階またはステップが、スキャフォールドをクリンプするための制御設定としてクリンプ機構にプログラミングされた。使用されるクリンプ機構は、
図8Aおよび
図8Bに示されるフィルムヘッド付きクリンパであった。
【表1】
【0031】
[0042]クリンプ温度は約48℃であり、また、スキャフォールドのために使用される材料はPLLAであった。縦列2は、各段階におけるクリンパジョーの直径を与え、この場合、0.354インチはスキャフォールドのクリンプ前直径に対応する。最終的なクリンプ直径設定は0.062インチである。クリンパが除去されると、スキャフォールドが約0.092インチまで跳ね返る。縦列3は、クリンパジョーが縮小される速度を示す。したがって、段階1と段階2との間では、クリンパ直径が0.3インチ/秒の速度で減少される。それぞれの直径減少の後、クリンパが30秒間にわたって休止し(縦列3)、それにより、スキャフォールドがクリンパブレードによって更に変形される前に応力を解放するために必要とされる時間が粘弾性材料に与えられる。
【0032】
[0043]3つの加圧段階がクリンピングプロセス中に行われ、その場合、0.13インチの直径に関して30秒間にわたる初期加圧が行われる(段階5)。初期加圧段階後、スキャフォールドをクリンパから取り外してバルーンに対するスキャフォールドの位置合わせをチェックできるようにするために、クリンパが開放する。その後、スキャフォールドが元のクリンパへ配置されて、ジョーが0.14インチにリセットされる(段階6)。クリンパジョーが0.13インチに達した後(段階7)、すなわち、0.13インチにおける30秒の休止時間中に、50psiの中間バルーン圧力が加えられる。クリンパジョーが0.10インチに達すると(段階8−最後の加圧ステップ)、バルーン圧力が加えられて約50psiに維持される。0.10インチにおける30秒の休止時間後、バルーン圧力が解放されて、ジョーが0.062インチの直径に設定される(段階9)。スキャフォールドの歪みを解放するために、周囲圧力での170秒の休止期間が開始され、これは、スキャフォールドがクリンパから除去された後の跳ね返りを減少させるのに役立つ。その後、スキャフォールドをクリンパから除去した直後に拘束シースがスキャフォールド上にわたって配置され、それにより、スキャフォールドの跳ね返りが制限される。
【0033】
[0044]表1にしたがってクリンプされるときの
図4〜
図6に示されるスキャフォールドは、最小理論直径(‘474出願において規定される)を下回るクリンプ直径を達成できたとともに、ベンチテストにおいて或いは体外加速寿命試験中及び/又は疲労試験中に拡張されるときに大きな或いは再発する破壊の兆候または強度損失を示さなかった。しかしながら、健康な豚のモデルにおいて血管を支持するためにスキャフォールドが展開されたときに、幾つかの亀裂及び/又は破壊を来たし、スキャフォールドの不均一な拡張が観察された。
【0034】
[0045]
図1は、表1のプロセスにしたがってクリンプされるときに
図4のスキャフォールドにより成される不均一な展開挙動の一例を示す。この図は、拡張されたスキャフォールドのFINESCAN画像に基づく。
図1のスキャフォールドの領域Aは、過拡張セル204(
図4)の領域、例えば過拡張されている領域A1,A2を示す。結果として、A1,A2のクラウン角度がそれらの設計角度を超えて増大され、それにより、クラウン付近に高い局所的な応力がもたらされる。領域Bは、不十分に拡張される対応するセル204、例えばB1,B2を示す。そのため、これらのクラウンにおける角度は、スキャフォールドがその拡張直径に達するときに意図されるよりも小さい。最終結果は、平均6.0mm直径の血管に関して意図された拡張直径、例えば約6−7mmであるが、セル204における応力の分布は、不均一であり、スキャフォールドの構造的な完全性に影響を及ぼす。
【0035】
[0046]領域Aにおける高応力の部位は、スキャフォールドが血管内で最初に拡張されるときに概して耐えうるが、動物実験は、クラウンでの疲労靱性の低下に起因して繰り返し負荷後に亀裂を来たすことを示した。同じ挙動は、体外試験中またはベンチテスト中には見られなかった。この結果は、スキャフォールドが末梢血管を支持しているときに破壊性向が特に急激で複雑であるという見解への更なる支持を与える。前述したように、末梢スキャフォールドは、冠動脈スキャフォールドとは異なり、複合的な軸方向、曲げ、および、径方向の負荷に晒され、これは主に径方向負荷に晒されるのとは対照的である。この複合負荷環境は、観察された破壊問題の主な原因であると考えられる。例えば、末梢血管の軸方向の収縮および拡張は、動物実験の過程中に観察される疲労破損に関する重要な寄与因子であると考えられる。
【0036】
[0047]クリンプ前直径とクリンプ直径との6:1の比率を達成できるようにする
図7のスキャフォールドの1つの特徴は、‘474出願に規定されるように、クラウンにおけるそのゼロ半径である。ゼロ半径クラウンにより、スキャフォールドは、クリンプ直径からクリンプされ或いは拡張されるときに、破壊を伴うことなく、その最小理論クリンプ直径に至るまでクリンプされ得るとともに、更にはその最小理論クリンプ直径を超えることができる。しかしながら、このスキャフォールドにおけるクラウン角度を超えると、あるいは、スキャフォールドが血管により負荷を受けているときに径方向の強度および剛性に関する最高設計角度と見なされ得るクリンプ前クラウン角度をほぼ超えると、スキャフォールドがクラウンにおいて破壊または亀裂の伝搬を生じやすくなり、それにより、スキャフォールドにおける径方向の剛性および強度が大幅に低下する可能性があることが疑われる。
【0037】
[0048]
図7に描かれるV59スキャフォールドよりも大きいクラウン半径を有するスキャフォールドを含むポリマースキャフォールドに関するより一般的な形態において、幾つかのクラウン角度が意図されるクラウン角度を超えることになる不均一な拡張は、スキャフォールドが血管によって負荷を受けるときにクリンプ前角度を超える機会を増大させる。これは、最初に拡張されるときに、クラウンが意図されるクラウン角度を既に超えてしまっているからである。結果として、スキャフォールドは、スキャフォールドの領域Aにおいて、疲労破損のより高い性向を来たす。なぜなら、この領域は、クラウン角度が意図されるクラウン角度よりも大きい場所だからである。血管動態は、おそらく、これらの角度を更に一層増大させる。したがって、クリンプされたスキャフォールドがバルーンによって拡張されるときに、過度なクラウン角度、例えば、スキャフォールドがポリマーチューブから切り取られた際に形成される角度を超える或いは更には該角度に近づくことになる支柱間で広がる角度を回避するクリンピングプロセスに到達することが望ましい。この必要性は、
図7に描かれるV59スキャフォールドで使用されたようなゼロ半径クラウンなど、クラウンにおける小さい半径が使用されるときに特に重要である。
【0038】
[0049]再び表1を参照すると、バルーンは、プロセスの3つの段階で、すなわち、スキャフォールド直径が0.16インチから0.13インチまで減少された後で且つ最終的な位置合わせ前に(段階5の後)、直径が0.14インチから0.13インチまで減少された後に(段階7)、および、再び直径が0.13インチから0.10インチまで減少される間に(段階8)、50psiまで膨張される。米国特許出願第13/089,225号明細書(整理番号第62571.517号)に更に詳しく説明されるように、バルーンは、スキャフォールドとバルーンとの間の保持力を高めるように膨張されてもよい。例えばスキャフォールドが0.13インチの直径を有するときにバルーンをより大きな直径に膨張させることにより、バルーン材料を伸張させる(時として「バルーンパフィング」として知られる)ために、スキャフォールド支柱間においてより多くの空間を利用できる。バルーン材料が支柱間に配置されると、バルーンに対するスキャフォールドの保持力が増大する。また、直径減少後にバルーン圧力を加えることにより、不規則なクリンプ支柱に加えられる対抗するバルーン圧力によって、任意の発生する支柱の不規則な変形を補償できると考えられる。不規則なクリンピングの原因は、米国特許出願第12/861,719号明細書(整理番号第62571.448号)により詳細に記載される。したがって、このバルーン圧力が加えられない幾つかのスキャフォールドの実施形態においては、スキャフォールドが不規則なクリンピングを起こし易い可能性があり、それにより、クラウンにおいて高応力部位をもたらし、支柱の亀裂または反転をもたらす可能性がある。例えば、‘474出願の
図4に描かれるスキャフォールドパターンは、スキャフォールドがクリンプされたときに、特にクリンピングプロセスの最初の段階中に、スキャフォールドを支持するためにバルーンを使用することによって補償され得る不規則なクリンピングおよび更には支柱の反転を生じやすいことが観察された。しかしながら、
図4のスキャフォールドは、クリンピング中に同じ問題を呈さなかった。しかし、インビボ検査は、スキャフォールドにおける不均一な拡張挙動を明らかにした。
【0039】
[0050]
図2は、スキャフォールドが除去された状態のバルーンカテーテル2の断面を示す。この図は、スキャフォールドの直径が0.13インチのクリンプ直径に達した後に得られたものであり、バルーン6は50psiまで膨張された(スキャフォールドが0.13インチまでクリンプされ、バルーン6が膨張され、スキャフォールドおよびカテーテル2がクリンパから除去され、スキャフォールドがバルーン6から除去され、その後、バルーン6の断面を示すためにカテーテルシャフト4が途中付近でカットされた)。図示のように、バルーン4の折重ね部8は、シャフト4の周囲に非対称に或いは不均一に分布する。右側の折重ね部8および左側の折重ね部は、バルーンの当初の折重ね部が本質的にもはや存在しないほどに不規則である。部位B’の折重ね部は圧縮され或いはカテーテルシャフト上に平らに倒伏され、一方、領域A’では、折重ね部が積み重なる或いは盛り上がるように見える。このことは、スキャフォールドが後にこの状態のバルーンにクリンプされたときに、スキャフォールドを受ける不均一なバルーン表面に起因して、または、バルーンがスキャフォールドを拡張させるように加圧されるときにスキャフォールドに作用する不均一なバルーン力に起因して、あるいは、これらの効果の組合せに起因して、スキャフォールドWASが不規則にクリンプされることを示唆する。領域Aにおける過拡張セル204と部位A’における積み重ねられた折重ね部とを比較すると、
図2の右側の積み重ねられたバルーン材料が過拡張セルを引き起こすと結論付けられた。
【0040】
[0051]また、クリンピングプロセス中にスキャフォールドにトルクまたはねじれを与えるフィルムヘッド付きクリンパのシートも
図2のバルーン折重ね部の配置に寄与し得るとも考えられた。表1のプロセスにおいてバルーンを0.13インチの直径に拡張させることができる場合には、おそらく、ポリマーシートによりスキャフォールドに作用するねじれが
図2に示される不均一なバルーンの折重ね部に寄与し得ると考えられた。しかしながら、フィルムヘッド付きクリンパを使用する拡張されたスキャフォールドとフィルムヘッド付きクリンパを使用しない拡張されたスキャフォールドとの比較に基づき、ポリマーシートが重要な寄与因子でないことが分かった。
【0041】
[0052]本開示に係る改良されたクリンププロセスは、膨張直径とクリンプ直径との望ましい比率またはクリンプ前直径とクリンプ直径との望ましい比率の減少またはスキャフォールド構造の再設計を必要とする、スキャフォールドとバルーンとの間の保持力の許容できないほどの減少を特に伴うこともなく、スキャフォールドの全長にわたってセル拡張の均一性を高めた。例えば、V59スキャフォールドの場合には、許容できるスキャフォールド−バルーン保持力が保たれ、スキャフォールド設計が変更されなかった。例えば、スキャフォールドは、改良されたプロセスを使用すると、そのゼロ半径クラウンと、クリンプ前直径とクリンプ直径との同じ6:1の比率とを依然として保持した(そのため、低い交差プロファイルが保持された)。また、インビボ検査テストは、表1のプロセスを使用する同じスキャフォールドと比べて、スキャフォールドの支柱における破壊の数の大幅な減少を明らかにした。
【0042】
[0053]インビボ検査においてスキャフォールドをクリンプするために使用されるプロセスが以下の表2にまとめられている。表1のプロセスと比べると、最後の加圧ステップ中においてのみ、すなわち、クリンパによってスキャフォールド直径が0.1インチから0.062インチまで減少されるときにだけ、バルーン圧力が加えられる。このステップの前にバルーンは加圧されなかった。
【表2】
【0043】
[0054]
図3は、表2のプロセスを使用してスキャフォールドの直径が0.10インチに達したときのバルーン6の断面を示す。図から明らかなように、当初のバルーン折重ね部が依然として存在する。すなわち、折重ね部は、より均一にカテーテルシャフト4の周囲に分布し、矢印11により示されるようにそれらの初期の折り重なり方向の大部分を保持する。同様に、バルーン表面の伸展性は、
図2と比べて
図3の方が外周にわたって均一であり、これは、外周にわたるリング支柱のより一貫性のあるクリンプに寄与し、そのため、
図2の場合よりも均一なスキャフォールドの拡張に寄与する。
【0044】
[0055]スキャフォールドの直径を表2でバルーン圧力が加えられるときと比較すると、スキャフォールドがそのクリンプ前直径の約30%までクリンプされた後にだけバルーン圧力が加えられたときに、拡張の均一性においてかなりの改善が見出された。言うまでもなく、30%は、スキャフォールド拡張の均一性を大幅に改善する最大直径の近似である。例えば、32%または33%である直径がかなりの改善をもたらすこともできると予期される。
【0045】
[0056]前述したように、表1および表2のクリンピングプロセスを使用するスキャフォールド性能のインビトロ検査またはインビボ(外植片)検査において、
図1および改良されたクリンピングプロセスは、
図4〜
図7に描かれるV59スキャフォールドを使用して行われた。これらのテストは、拡張の均一性を検査するために、拡張されたスキャフォールドの形状を比較するとともに、亀裂が入った或いは破壊された支柱の数も2つのプロセス間で比較した。テストは、2つのクリンピングプロセスを使用して、外れ力またはスキャフォールド−バルーン保持力も比較した。健康な豚の大腿動脈外植片が得られ、これは、拡張されたスキャフォールドを豚のモデルの動脈内でもたらした。これらの外植片の検査は、FINESCAN撮像を使用して円滑になされた。
【0046】
[0057]外れ力または保持力は、クリンプされたスキャフォールドの表面にテープを貼り付けた後にテープを引っ張ることによりスキャフォールドをバルーンから取り外すために必要な力を測定することによって検査された。テストは、改良されたプロセスを使用すると外れ力が(約1/2だけ)減少されることを明らかにした。しかしながら、約1lbfで測定されたこの保持力は、スキャフォールドがバルーンから外れる危険を伴うことなくスキャフォールドを血管内の目標場所へ安全に送出するのに十分高いと考えられる。
【0047】
[0058]表3は、2つのクリンピングプロセスを使用して拡張されたときのV59スキャフォールドの比較を示す。スキャフォールドは、約6.5mmの公称拡張直径と、約7mmのダイレーション後直径とを有していた。与えられた値は平均値および標準偏差である。
【表3】
【0048】
[0059]これらの結果から分かるように、改良されたクリンピングプロセスが使用されると、無傷のリングの数が劇的に増大する(平均で75%対100%)とともに、10.5mmにおける破壊の数が大幅に減少される(平均で7.2対1.7)。
【0049】
[0060]以上の結果に基づき、バルーンの当初の折重ね部を維持でき或いはほぼ維持でき、それにより、前述したように、他の重要なクリンピング対象に悪影響を及ぼすことなく、拡張の均一性が大幅に向上されるとともに、無傷の支柱の数が増大すると結論付けられた。また、インビボ検査の結果を含むこれらの所見に基づき、折り重ねられたバルーンに対してクリンプされるスキャフォールドのより一般的なケースにおいて、クリンピングプロセスに適した制御設定に関して有用な見識が得られた。
【0050】
[0061]より均一なスキャフォールド開放セルおよび支柱角度を拡張時に得るべく、臨界クリンプODが、スキャフォールド拡張の均一性およびスキャフォールド外れ力の両方を最大にするために規定されてもよい。この臨界クリンプODは、バルーン加圧を開始するための最大クリンプ直径であり、この直径を超えると、拡張が不均一になる。この臨界クリンプ直径は、スキャフォールドの保持(より大きなODでは、より早急な加圧が良好である)と拡張時のスキャフォールドセルおよび支柱角度の均一性(より小さいODでは、より遅い加圧が良好である)との最良の組合せを可能にする。
【0051】
[0062]臨界クリンプOD(CCOD)を推定する方法1によれば、ある折重ね部は、単一のバルーン折り重ね部の開放の状態から始まり、一方、他の折重ね部は実質的に折り重ねられたままである。
図9Aと
図9Bは、収縮された5つ折りバルーンと、部分的に膨張された5つ折りバルーンとをそれぞれ示す。
図9Aでは、折重ね部Y1,Y2,Y3,Y4,Y5のそれぞれがそれらの収縮形態で配置される(クリンピング中の任意のバルーン加圧前)。
図9Bは、
図9Aからの当初の折り重なりが失われるように折重ね部Y1を形成したバルーン部分(Y1A,Y1B,Y1C)が完全に開放された状態の部分的に膨張されたバルーンを示す。
図9Bの状態からのバルーン拡張時、Y1A,Y1B,Y1Cの上にあるスキャフォールド部分は、折り重なり領域Y2,Y3,Y4,Y5の上にあるスキャフォールド部分とは異なる速度で拡張し始める(なお、
図9Bは、バルーンの実際の形態を示すように意図されておらず、むしろ、方法1の下でとられる手法をより良く理解するための助けとしての役目を果たすにすぎない)。
【0052】
[0063]方程式1,2,3(下記)は、方法1に基づいてCCODを導き出す。n折りバルーンの(n−1)個の折重ね部の円弧長は、
[0064](n−1)個の折重ね部における円弧長=Πφ
1((n−1)/n)
方程式1
である。
【0053】
[0065]ここで、φ
1は、ガイドワイヤルーメン4に対して押し付けられる収縮バルーンの外径である。
図9Aの5つ折りバルーンにおいて、n=5であり、φ
1=0.072インチ(1.8288mm)である。したがって、方程式1は、折重ね部Y2,Y3,Y4,Y5の円弧長の和として4.596mmをもたらす。次に、単一の拡張された(または完全に展開された)折重ね部の円弧長、例えば
図9BにおけるY1A,Y1B,Y1Cバルーン折重ね部の和は、以下の方程式2から求められる。
【0054】
[0066]単一の(膨張された)折重ね部における円弧長=(Πφ
2)/n
方程式2
[0067]ここで、φ
2は、公称的に膨張されたときのn折りバルーンの外径である。
図9Aの5つ折りバルーンにおいては、φ
2=6mm(公称バルーン膨張)であり、したがって、方程式2が3.7699mmをもたらし、これは、6mmの公称バルーン直径にあるときに展開される単一の折重ね部の円弧長である。
【0055】
[0068]単一の展開された折重ね部における最大バルーン直径は、方程式1,2の和をΠで割ったものである。この関係から、スキャフォールドにおけるCCODは、スキャフォールド壁厚(t)の2倍を加えることによって求められ、結果として以下の方程式3となる。
[0069]CCOD(方法1)=φ
1((n−1)/n)+φ
2/n+2t
方程式3
【0056】
[0070]V59スキャフォールドにおいて、方程式3は0.126インチをもたらし、これは、不均一な拡張を引き起こすことなく、行われたテストに基づき、クリンピング中のバルーン加圧の始めに存在し得る最大サイズのスキャフォールド直径の非常に良好な近似となるように求められる。好ましい実施形態によれば、0.100インチ制御設定が選択されるが、不均一な拡張を引き起こすことなく、更に大きい直径が使用されてもよい。
【0057】
[0071]方法2の下では、CCODが以下の方程式4で表される。ここで、CCODは、以下のように、折重ね部または襞の長さ、すなわち、LF、カテーテルのガイドワイヤの外径OD
IM、および、スキャフォールド壁厚(t)の関数として規定されてもよい。
[0072]CCOD(方法2)=2(φ
2/2n+t)+OD
IM 方程式4
【0058】
[0073]方程式4は、互いに真向かいにある2つの開放した折重ね部の状態からCCODを計算する。これに対し、方程式3は、単一の開放した折重ね部に基づいてCCODを計算する。例えば、6mm公称バルーンOD(5つ折りバルーンカテーテル)を使用するV59スキャフォールドにおけるCCOD(方法2)は、以下のように算出される。
[0074]φ
2/2n=6mm/(2×5折重ね部)=0.60mm
[0075]T
strut=0.28mm
[0076]OD
IM=1.05mm
[0077]CCOD=2×(0.60mm+0.28mm)+1.05mm=2.81mm(0.11インチ)
【0059】
[0078]方法2は、CCODのより控えめな推定と見なされてもよい。
【0060】
[0079]方程式3および方程式4は、数大気圧など、バルーンを単に弛緩させるにすぎない比較的低い膨張圧において有効である。また、真空圧の印加は、バルーンを再び折り重ねるのに役立つことができ、これにより、均一な拡張においてCCODが増大するはずである。しかしながら、スキャフォールド保持を支援するのに役立つようにバルーン端部にもたせかける必要性も考慮しなければならない(したがって、バルーン折重ね部を再び折り重ねるのに役立つように真空圧を印加することが望ましくない場合がある)。
【0061】
[0080]ここで、
図4〜
図7を参照して、本開示にしたがってクリンプされるスキャフォールドの特性について説明する。このスキャフォールドの更なる態様は、米国特許出願第13/015,474号明細書(整理番号第104584.10号)に記載される。
【0062】
[0081]
図4を参照すると、スキャフォールドパターン200は、支柱230により形成され縦方向に離間されるリング212を含む。リング212は、幾つかのリンク234によって隣り合うリングに接続され、各リンク234は軸線A−Aと平行に延びる。スキャフォールドパターン(パターン200)のこの第1の実施形態では、4つのリンク234が、
図4においてその左右に1つのリングを有するリングのことを指す内側リング212を、2つの隣り合うリングのそれぞれに接続する。したがって、リング212bは、4つのリンク234によってリング212cに接続されるとともに、4つのリンク234によってリング212aに接続される。リング212dは、
図4においてリング212dの左のリングにのみ接続されるエンドリングである。
【0063】
[0082]リング212は、クラウン207,209,210で接続される支柱230により形成される。リンク234は、クラウン209(W−クラウン)およびクラウン210(Y−クラウン)で支柱230と結合される。クラウン207(自由クラウン)はそれに接続されるリンク234を有さない。好ましくは、支柱230は、クラウン中心から一定の角度を成してクラウン207,209,210から延びる。すなわち、リング212は、パターン200における正弦曲線とは対照的に、ほぼジグザグ形状である。しかしながら、他の実施形態では、湾曲した支柱を有するリングが考えられる。したがって、この実施形態において、互いに隣り合うクラウン207とクラウン209/210との間の縦方向距離であるリング212の高さは、クラウンで接続する2つの支柱230の長さとクラウン角度θから導き出されてもよい。幾つかの実施形態において、別個のクラウンにおける角度θは、リンク234が自由クラウンまたは非接続クラウン、W−クラウン、または、Y−クラウンに接続されるかどうかに応じて変わる。
【0064】
[0083]リング212のジグザグ変化は、主に、スキャフォールドの外周にわたって(すなわち、
図4の方向B−Bに沿って)生じる。支柱212の図心軸は、主に、スキャフォールドの縦方向軸線からほぼ同じ径方向距離を隔てて配置される。理想的には、リングを形成する支柱間のほぼ全ての相対的な動きは、クリンピング中および展開中に、軸方向でも生じるが、径方向では生じない。以下で更に詳しく説明するが、ポリマースキャフォールドは、大抵、位置ずれ及び/又は不均一な径方向負荷の印加に起因して、このように変形しない。
【0065】
[0084]リング212は、クリンピング中には更に小さい直径まで潰すことができ、また、血管内での展開中には更に大きい直径まで拡張させることができる。本開示の1つの態様によれば、クリンプ前直径(例えば、スキャフォールドがそこから切り取られる軸方向および径方向に拡張されたチューブの直径)は、常に、送出バルーンが膨張時に生み出すことができる或いは生み出す能力がある最大のスキャフォールド拡張直径よりも大きい。1つの実施形態によれば、クリンプ前直径は、送出バルーンが過度に膨張される或いはバルーン−カテーテルにおけるその最大使用直径を超えて膨張されるときであっても、スキャフォールド拡張直径よりも大きい。
【0066】
[0085]パターン200は4つのリンク237(それぞれの端部に2つ、1つの端部だけが
図4に示される)を含み、リンク237は、該リンク237により形成されて横方向に離間される一対の穴のそれぞれに放射線不透過材料を受けるべく形成される構造を有する。これらのリンクは、クリンピング中に支柱がリンク上に折り重なるのを妨げないように構成され、これは、以下で更に詳しく説明するように、最大で約Dminの直径までクリンプされ得るスキャフォールドにとって、あるいは、クリンプ時に放射線不透過マーカー保持構造のために利用できる空間を実質的に有さないスキャフォールドにとって必要である。
【0067】
[0086]
図6は、パターン200と関連する閉鎖セル要素の繰り返しパターンの態様を描く。
図6は、仮想ボックスVBによって境界付けられるパターン200の部分を示す。セル204が示されている。垂直軸線の参照符号が軸線B−Bにより示され、また、縦方向軸線が軸線A−Aにより示される。パターン200には、リング212のそれぞれの対によって形成される4つのセル204が存在し、例えば、4つのセル204は、リング212b,212cとこのリング対を接続するリンク234とによって形成され、他の4つのセル204は、リング212a,212bとこのリング対を接続するリンクとによって形成される。
【0068】
[0087]
図6を参照すると、セル204の空間236は、縦方向に離間される図示のリング212b,212c部分と、リング212b,212cを接続する周方向に離間される平行なリンク234a,234cとによって境界付けられる。リンク234b,234dは、セル204を
図4の左右の隣り合うリングにそれぞれ接続する。リンク234bは、W−クラウン209でセル204に接続する。リンク234dは、Y−クラウン210でセル204に接続する。「Y−クラウン」とは、クラウン210において支柱230とリンク234dとの間で広がる角度が鈍角(90度よりも大きい)であるクラウンのことである。「W−クラウン」とは、クラウン209において支柱230とリンク234bとの間で広がる角度が鋭角(90度よりも小さい)であるクラウンのことである。セル204において、それぞれのY−クラウンとW−クラウンとの間には、1つの自由クラウンだけが存在する。
【0069】
[0088]
図6のセル204の更なる態様は、それぞれのクラウン207,209,210に関する角度を含む。一般に互いに等しくないこれらの角度(パターン200を有するスキャフォールドの「V59」実施形態に関しては
図7参照)は、クラウン207,209,210とそれぞれ関連付けられる角度267,269,268として
図6に特定される。パターン200を有するスキャフォールドにおいて、支柱230は支柱幅261と支柱長さ266とを有し、クラウン207,209,210はクラウン幅270を有し、また、リンク234はリンク幅261を有する。各リング212はリング高さ265を有する。クラウンにおける半径は一般に互いに等しくない。クラウンの半径は、内側半径262および外側半径263として
図6に特定される。セル204は、Wの閉鎖セル要素と見なされてもよい。セル204によって境界付けられる空間236は、文字「W」に似ている。
【0070】
[0089]
図6のWセル204は、軸線B−B,A−Aの周りで対称である。Wセル204は、リンク234間に1つのクラウン207しか有さないものとして特徴付けられる。したがって、パターン200のそれぞれの閉鎖セルにおいて、Y−クラウンまたはW−クラウンは常に各クラウン207間にある。この意味で、パターン200は、繰り返される閉鎖セルパターンを有するものとして理解されてもよく、各セルパターンは、リンク234によって支持されないクラウンを1つしか有さない。
【0071】
[0090]パターン200に係るスキャフォールドは、接続リンクの数が少ない同様に構成されたスキャフォールドよりも剛性が高い。パターン200に係るスキャフォールドは、より多くのリンク236が使用されるため、軸方向および縦方向の両方の曲げにおいて剛性が高い。しかしながら、剛性の増大が望ましくない場合がある。剛性がより高いことで、それほど剛性が高くないスキャフォールドにより大きな亀裂を生じさせる可能性がある。例えば、更なるリンクによって加えられる剛性は、特にスキャフォールドが曲げ(互いに対して移動するリング)および径方向圧縮及び/又は締め付け(潰れ)の組み合わせに晒されるときに、更なるリンク234により相互に接続されるリングに対して更に大きな応力を生じさせる可能性がある。リンク234の存在は、リングの剛性を高くすることに加えて、更なる負荷経路をリングにもたらす。
【0072】
[0091]
図6に示されるWセルを有するスキャフォールドの1つの実施形態に係る寸法が
図7の表に示される。PLLAスキャフォールドのこれらの特性は、半径減少型のクラウン形成を有するWセルを含む。半径r
bは約0.00025インチであり、この半径は、レーザによって形成され得る最小半径に対応する。0.00025インチの半径は、目標半径または半径サイズの限界として考えられないが、この実施形態にとって望ましい結果を生み出した。むしろ、プロファイルサイズの減少を達成するために半径が可能な限りゼロに近くてもよいと考えられる。したがって、当業者であれば分かるように、半径は、本実施形態では、本開示にしたがって発明を実施するために、約0.00025(切断工具に応じて)となることができ、この半径よりも大きくなることができ、あるいは、この半径よりも小さくなることができる。例えば、クリンプサイズを望み通りに減少させるべく半径が選択されてもよいと考えられる。約ゼロの内側半径は、本開示の目的のため、クラウン構造を形成する工具にとって可能な最小半径を意味する。幾つかの実施形態に係る内側半径は、距離Sが約ゼロまで減少できるようにする半径を意味する。すなわち、スキャフォールドがクリンプされるときに支柱が隣接する及び/又は互いに接触する。
【0073】
[0092]
図4〜
図6に係るスキャフォールドは、末梢に埋め込まれるスキャフォールドにとって望ましい属性である高度な潰れ復元可能性を有する。スキャフォールドは、その開始直径の約33%まで押し潰されたときに約90%よりも大きい潰れ復元可能性を有し、また、偶発的な押し潰し事象(例えば、1分よりも短い)後にその開始直径の約50%まで押し潰されたときに約80%よりも大きい潰れ復元可能性を有し、及び/又は、その開始直径の約25%まで押し潰されたときに約90%よりも大きい潰れ復元可能性を有し、また、より長い押し潰し継続期間(例えば、約1分〜5分、または、約5分よりも長い時間)にわたってその開始直径の約50%まで押し潰されたときに約80%よりも大きい潰れ復元可能性を有する。抹消スキャフォールドの使用に適したスキャフォールドの他の属性は、105度〜95度、または115度よりも小さいクラウン角度である。
【0074】
[0093]要約書に記載されていることを含む本発明の例示的な実施形態の先の説明は、包括的であるように意図されておらず、あるいは、開示された正にその形態に本発明を限定しようとするものではない。本発明の特定の実施形態および本発明のための実施例が本明細書中において例示目的で記載されるが、当業者であれば分かるように、本発明の範囲内で様々な変更が可能である。
【0075】
[0094]これらの変更は、先の詳細な説明に照らして本発明に対して成すことができる。特許請求の範囲で使用される用語は、本発明を明細書中に開示される特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、クレーム解釈の確立された原則にしたがって解釈されるべき特許請求の範囲によって専ら決定されなければならない。