(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給気ファンにより屋外から空気を取り入れて、その取入れ空気を調整対象室に供給する給気路を設けるとともに、その空気供給に伴い調整対象室の室内空気を室外に排出する排気路を設け、
この給排気運転に伴い調整対象室から前記排気路に排出する空気に対する通気抵抗を調整して調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整する室圧調整手段を設け、
前記給気路を開閉する給気側開閉ダンパ、及び、前記排気路を開閉する排気側開閉ダンパを設け、
給排気運転の開始指令に応じて前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに前記給気ファンを起動する制御手段を設けた給排気設備であって、
前記排気路に排気ファンを介装し、
前記制御手段は、給排気運転の開始指令を受けたとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くのに先立ち前記給気ファンを起動し、
その後、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定予備圧力に上昇したときに、又は、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定予備時間に達したときに、前記排気ファンを起動し、
この排気ファンの起動後、前記圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇したときに、又は、前記タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定安全時間に達したときに、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開く構成にしてある給排気設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、屋外空気を取り入れる給気路の空気取入口には常時変化する屋外の風圧(外風圧)が作用するため、この外風圧の影響を受けて給気路の圧力は給排気運転の運転中もある程度の範囲(例えば数Paから数十Paの範囲)で変動し、また、調整対象室から排出される空気を排気路を通じて屋外に排出する場合には、排気路の空気排出口にも外風圧が作用することで、給排気運転の運転中において排気路の圧力も変動する。
【0006】
しかし、給排気運転中は給気ファンの運転により給気路における給気ファン以降の部分の圧力が大気圧よりも十分に高く保たれた状態で、室圧調整手段が調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整することから、上記の如く給気路や排気路の圧力が外風圧の影響を受けて変動したとしても、調整対象室の室内圧力を大気圧より高く保つことができ、調整対象室が負圧化することによる調整対象室への汚染物質の侵入は防止することができる。
【0007】
しかし、前記した従来の給排気設備では、給排気運転の開始時において制御手段が給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開いたとき給気ファンが未だ起動前の停止状態にあることで、外風圧の影響による変動で給気路や排気路の圧力が一時的にせよ大気圧(標準的ないし平均的な大気圧)よりも低下する場合があり、これが原因で、調整対象室が負圧化して調整対象室への汚染物質の侵入を招く虞があった。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な起動方式を採用することで給排気運転の開始時における上記の如き汚染物質侵入の問題を効果的に解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
給気ファンにより屋外から空気を取り入れて、その取入れ空気を調整対象室に供給する給気路を設けるとともに、その空気供給に伴い調整対象室の室内空気を室外に排出する排気路を設け、
この給排気運転に伴い調整対象室から前記排気路に排出する空気に対する通気抵抗を調整して調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整する室圧調整手段を設け、
前記給気路を開閉する給気側開閉ダンパ、及び、前記排気路を開閉する排気側開閉ダンパを設け、
給排気運転の開始指令に応じて前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに前記給気ファンを起動する制御手段を設けた給排気設備
の参考構成として、
前記制御手段は、給排気運転の開始指令を受けたとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くのに先立ち前記給気ファンを起動し、
その後、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇したときに、又は、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定安全時間に達したときに、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開く構成にして
もよい。
【0010】
この
参考構成によれば、上記の設定安全圧力又は設定安全時間として適当な圧力ないし時間を設定しておくことで、給気ファンの起動後、給気路や調整対象室の圧力を給気ファンの運転により予め十分に高めた状態で給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開くことができる。
【0011】
したがって、それら給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開くときに外風圧の影響で給気路や排気路の圧力が低下側に変動したとしても、予め高めてある圧力により調整対象室の負圧化を防止することができ、これにより、給排気運転の開始時における調整対象室への汚染物質侵入を効果的かつ確実に防止することができる。
【0012】
また、給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを閉じた状態で給気ファンを運転するのは、圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇するまで、又は、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定安全時間に達するまでであるから、上記の如く設定安全圧力又は設定安全時間として適当な圧力ないし時間を設定しておくことで、給気ファンの締切運転による不安定化も十分に回避することができる。
【0013】
なお、この
参考構成の実施において、室圧調整手段は給排気運転の実施中及び停止中を通じて室圧調整動作させるようにしてもよい。
【0014】
この場合、給排気運転の停止中には、室圧調整手段は調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整しようとする動作上、調整対象室からの空気排出を遮断するように機能する。
【0015】
また、上記
参考構成の実施において、給気側開閉ダンパは、給気ファンの吐出側に設けるのが望ましいが、それに限らず、給気ファンの吸入側に設けてもよく、また、給気ファンの吐出側及び吸入側の双方に設けてもよい。
【0016】
この参考構成に対し、本発明の第1特徴構成は給排気設備に係り、その特徴は、
給気ファンにより屋外から空気を取り入れて、その取入れ空気を調整対象室に供給する給気路を設けるとともに、その空気供給に伴い調整対象室の室内空気を室外に排出する排気路を設け、
この給排気運転に伴い調整対象室から前記排気路に排出する空気に対する通気抵抗を調整して調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整する室圧調整手段を設け、
前記給気路を開閉する給気側開閉ダンパ、及び、前記排気路を開閉する排気側開閉ダンパを設け、
給排気運転の開始指令に応じて前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに前記給気ファンを起動する制御手段を設けた給排気設備であって、
前記排気路に排気ファンを介装し、
前記制御手段は、給排気運転の開始指令を受けたとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くのに先立ち前記給気ファンを起動し、
その後、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定予備圧力に上昇したときに、又は、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定予備時間に達したときに、前記排気ファンを起動し、
この排気ファンの起動後、前記圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇したときに、又は、前記タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定安全時間に達したときに、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開く構成にしてある点にある。
【0017】
この第1特徴構成によれば、前記した参考構成と基本的に同じ作用効果を得ることができるのに加えて、
給気ファンの起動後、給気路や調整対象室の圧力を給気ファンの運転により予めある程度高めた状態で排気ファンを起動することができる。
【0018】
したがって、給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパの開き操作前で外風圧の影響は未だ受けないにしても、排気ファンの起動で調整対象室が負圧化傾向になることを確実に防止することができ、これにより、給排気運転の開始時における調整対象室への汚染物質侵入を一層効果的かつ一層確実に防止することができる。
【0019】
前記の参考構成に対し、本発明の第2特徴構成は給排気設備に係り、その特徴は、
給気ファンにより屋外から空気を取り入れて、その取入れ空気を調整対象室に供給する給気路を設けるとともに、その空気供給に伴い調整対象室の室内空気を室外に排出する排気路を設け、
この給排気運転に伴い調整対象室から前記排気路に排出する空気に対する通気抵抗を調整して調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整する室圧調整手段を設け、
前記給気路を開閉する給気側開閉ダンパ、及び、前記排気路を開閉する排気側開閉ダンパを設け、
給排気運転の開始指令に応じて前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに前記給気ファンを起動する制御手段を設けた給排気設備であって、
前記制御手段は、給排気運転の開始指令を受けたとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くのに先立ち前記給気ファンを起動し、
その後、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇したときに、又は、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定安全時間に達したときに、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開く構成にするとともに、
前記制御手段は、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとき、それら開閉ダンパ夫々の開閉状態を検出する開閉センサによりそれら開閉ダンパ夫々の開動作の完了が検出されるまで、
前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出情報に基づき前記給気ファンの回転数を調整して、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力に保持し、
その後、前記開閉センサにより前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパ夫々の開動作の完了が検出されると、前記給気ファンの回転数を増大させて前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力から上昇させる構成にしてある点にある。
【0020】
この第2特徴構成によれば、前記した参考構成と基本的に同じ作用効果を得ることができるのに加えて、
給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力に保持した状態でそれら開閉ダンパを開き操作するから、給気ファンの回転数を増大させて給気路や調整対象室の圧力を定常運転状態に向け上昇させながら給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開き操作するのに比べ、それら開閉ダンパの開き操作時における給気風量や排気風量の変化を抑制することができ、その分、給排気運転を円滑かつ安定的に立ち上げることができる。
【0021】
前記の参考構成に対し、本発明の第3特徴構成は給排気設備に係り、その特徴は、
給気ファンにより屋外から空気を取り入れて、その取入れ空気を調整対象室に供給する給気路を設けるとともに、その空気供給に伴い調整対象室の室内空気を室外に排出する排気路を設け、
この給排気運転に伴い調整対象室から前記排気路に排出する空気に対する通気抵抗を調整して調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整する室圧調整手段を設け、
前記給気路を開閉する給気側開閉ダンパ、及び、前記排気路を開閉する排気側開閉ダンパを設け、
給排気運転の開始指令に応じて前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに前記給気ファンを起動する制御手段を設けた給排気設備であって、
前記排気路に排気ファンを介装し、
前記制御手段は、給排気運転の開始指令を受けたとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くのに先立ち前記給気ファン及び前記排気ファンを起動し、
その後、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇したときに、又は、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間が設定安全時間に達したときに、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに、
これら開閉ダンパを開くとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパ夫々の開閉状態を検出する開閉センサによりそれら開閉ダンパ夫々の開動作の完了が検出されるまで、
前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出情報に基づき前記給気ファンの回転数を調整して、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力に保持し、
かつ、前記排気路の圧力を検出する排気側圧力センサの検出情報に基づき前記排気ファンの回転数を調整して、前記排気路の圧力を前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力に保持し、
その後、前記開閉センサにより前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパ夫々の開動作の完了が検出されると、
前記給気ファンの回転数を増大させて前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力から上昇させるとともに、
前記排気ファンの回転数を増大させて前記排気路の圧力を前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパの開き操作開始時の圧力から低下させる構成にしてある点にある。
【0022】
この第3特徴構成によれば、前記した参考構成と基本的に同じ作用効果を得ることができるのに加えて、
排気路に排気ファンを介装する構成において、給気ファンの回転数を増大させて給気路や調整対象室の圧力を定常運転状態に向け上昇させながら、また、排気ファンの回転数を増大させて排気路の圧力を低下させながら、給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開き操作するのに比べ、それら開閉ダンパの開き操作時における給気風量や排気風量の変化を抑制することができ、その分、給排気運転を円滑かつ安定的に立ち上げることができる。
【0023】
なお、排気ファンを設ける構成の実施において、排気側開閉ダンパは、排気ファンの吸入側に設けるのが望ましいが、それに限らず、排気ファンの吐出側に設けてもよく、また、排気ファンの吐出側及び吸入側の双方に設けてもよい。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれかの実施に好適な実施形態を特定するものであり、その特徴は、
前記制御手段は、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くときに前記室圧調整手段を起動する構成にしてある点にある。
【0025】
この構成によれば、給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパの開き操作時(即ち、調整対象室から排出する空気に対する通気抵抗調整による室内圧力の調整が可能になるとき)には、速やかに室圧調整手段の室圧調整動作を開始させて、調整対象室の負圧化防止に寄与させることができる。
【0026】
前記の参考構成に対し、本発明の第5特徴構成は給排気設備に係り、その特徴は、
給気ファンにより屋外から空気を取り入れて、その取入れ空気を調整対象室に供給する給気路を設けるとともに、その空気供給に伴い調整対象室の室内空気を室外に排出する排気路を設け、
この給排気運転に伴い調整対象室から前記排気路に排出する空気に対する通気抵抗を調整して調整対象室の室内圧力を大気圧よりも高い設定室内圧力に調整する室圧調整手段を設け、
前記給気路を開閉する給気側開閉ダンパ、及び、前記排気路を開閉する排気側開閉ダンパを設け、
給排気運転の開始指令に応じて前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに前記給気ファンを起動する制御手段を設けた給排気設備であって、
屋外から前記給気路に空気を取り入れる予圧ファンを設け、
前記制御手段は、給排気運転の開始指令を受けたとき、前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くのに先立ち前記予圧ファンを起動し、
その後、前記給気路の圧力若しくは調整対象室の圧力を検出する圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇したときに、前記給気ファンを起動して前記給気側開閉ダンパ及び前記排気側開閉ダンパを開くとともに、前記予圧ファンを停止する構成にしてある点にある。
【0027】
この第5特徴構成によれば、前述の参考構成と同様、上記の設定安全圧力として適当な圧力を設定しておくことで、予圧ファンの起動後、給気路や調整対象室の圧力を予圧ファンの運転により予め十分に高めた状態で給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開くことができる。
【0028】
したがって、それら給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを開くときに外風圧の影響で給気路や排気路の圧力が低下側に変動したとしても、予め高めてある圧力により調整対象室の負圧化を防止することができる。
【0029】
これにより、給排気運転の開始時における調整対象室への汚染物質侵入を効果的かつ確実に防止することができる。
【0030】
また、給気側開閉ダンパ及び排気側開閉ダンパを閉じた状態で予圧ファンを運転するのは、圧力センサの検出圧力が大気圧よりも高い設定安全圧力に上昇するまでであるから、上記の如く設定安全圧力として適当な圧力を設定しておくことで、予圧ファンの締切運転による不安定化も十分に回避することができる。
【0031】
なお、前述の参考構成と同様、この第5特徴構成の実施において、室圧調整手段は給排気運転の実施中及び停止中を通じて室圧調整動作させるようにしてもよい。
【0032】
また、前述の参考構成と同様、この第5特徴構成の実施において、給気側開閉ダンパは予圧ファンの吐出側に設けるのが望ましい。
【0033】
しかし、それに限らず、給気側開閉ダンパは予圧ファンの吸入側に設けてもよい。
【0034】
また、給気側開閉ダンパは予圧ファンの吐出側及び吸入側の双方に設けてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔
参考例〕
図1は給排気設備を示し、建屋の屋上など屋外における適当箇所に、屋外空気OA(外気)を取り入れる外部取入口1及び建屋内からの排出空気EAを屋外に排出する外部排出口2を設置し、外部取入口1には主給気路3の上流端を接続し、外部排出口2には主排気路4の下流端を接続してある。
【0037】
建屋内における複数の調整対象室5には夫々、主給気路3からの分岐給気路3a及び主排気路4からの分岐排気路4aを接続し、主給気路3の上流部と主排気路4の下流部とは循環路6により接続してある。
【0038】
主給気路3における循環路6の接続箇所よりも上流側の部分には外気ダンパD1を介装し、主排気路4における循環路6の接続箇所よりも下流側の部分には排気ダンパD2を介装し、循環路6には循環ダンパD3を介装してある。
【0039】
主給気路3における循環路6の接続箇所よりも下流側の部分には、空調機7と給気ファンFsとを介装するとともに、その給気ファンFsの吐出側箇所において主給気路用の気密ダンパDsを介装し、主排気路4における循環路6の接続箇所よりも上流側の部分には、排気ファンFrを介装するとともに、その排気ファンFrの吸入側において主排気路用の気密ダンパDrを介装してある。
【0040】
気密ダンパDs,Drは、通常のダンパに比べ全閉時の気密性を高くして、全閉時における気体のダンパ通過漏洩を防止したものである。
【0041】
各々の調整対象室5に接続した分岐給気路3aには、調整対象室5に対する給気風量qsを調整対象室5各々の設定給気風量qssに自動調整する定風量装置8と、分岐給気路用の気密ダンパDssと、高性能フィルタ9とを、その順で主給気路3の側から並べて介装し、各々の調整対象室5に接続した分岐排気路4aには、室圧調整ダンパ10と、分岐排気路用の気密ダンパDrrとを、その順で主排気路4の側から並べて介装してある。
【0042】
室圧調整ダンパ10は、調整対象室5から排出する空気に対する通気抵抗(換言すれば、分岐排気路4aの風路抵抗)を調整することで調整対象室
5の室内圧力paを調整するものであり、室圧センサ11により検出される調整対象室5の室内圧力pa(具体的には、基準圧配管12を通じて付与される基準圧力に対する調整対象室5の圧力差)と設定室内圧力pasとの偏差Δpaに応じて室圧調整器13により室圧調整ダンパ10の開度を調整することで、調整対象室5の室内圧力paを大気圧よりも高く設定された設定室内圧力pasに調整する。
【0043】
即ち、室圧調整ダンパ10及び室圧調整器13は、調整対象室5から排出する空気に対する通気抵抗を調整することで調整対象室5の室内圧力paを設定室内圧力pasに調整する室圧調整手段Pcとして機能する。
【0044】
一方、主給気路3に対しては、給気ファンFsの吐出側で主給気路3に設けた給気圧センサ14により検出される給気圧力ps(具体的には、基準圧配管12を通じて付与される基準圧力に対する主給気路3の圧力差)と設定給気圧力pssとの偏差Δpsに応じて給気ファンFsの回転数をインバータ制御により調整することで、主給気路3における給気圧力psを設定給気圧力pssに調整する給気ファン制御器15を設けてある。
【0045】
また、主排気路4に対しては、排気ファンFrの吸入側で主排気路4に設けた排気圧センサ16により検出される排気圧力pr(具体的には、基準圧配管12を通じて付与される基準圧力に対する主排気路4の圧力差)と設定排気圧力prsとの偏差Δprに応じて排気ファンFrの回転数をインバータ制御により調整することで、主排気路4における排気圧力prを設定排気圧力prsに調整する排気ファン制御器17を設けてある。
【0046】
設定給気圧力pss及び設定排気圧力prsは、制御手段としての上位の運転制御器18により給気ファン制御器15及び排気ファン制御器17に対して指定され、この運転制御器18は、給排気運転が定常運転状態にある状況では給気ファン制御器15に対して指定する設定給気圧力pssを全ての調整対象室5における定風量装置8の開度状態に応じて変更することで、それら定風量装置8の各々が制御性の高い開度状態で風量調整機能するようにする。
【0047】
同様に、運転制御器18は、給排気運転が定常運転状態にある状況では排気ファン制御器17に対して指定する設定排気圧力prsを全ての調整対象室5における室圧調整ダンパ10の開度状態に応じて変更することで、それら室圧調整ダンパ10の各々が制御性の高い開度状態で風量調整機能するようにする。
【0048】
運転制御器18は、モード切換指令に応じて循環モードの給排気運転と全外気モードの給排気運転とを選択的に実施し、循環モードの給排気運転では運転制御器18は、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3を開くとともに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開いた状態で給気ファンFs及び排気ファンFrを運転し、これにより、外部取入口1から取り入れた外気OAと循環路6を通じて戻る還気空気RAとの混合空気を主給気路3及び分岐給気路3aを通じて各調整対象室5に供給する。
【0049】
また、各調整対象室5から分岐排気路4aを通じ主排気路4に排出される空気EAのうち外気OAの取入れ風量に等しい風量を外部排出口2から屋外に排出し、残りの風量を還気空気RAとして循環路6を通じ主給気路3に導く。
【0050】
この循環モードの給排気運転は、操業下にある各調整対象室5を所定の温湿度状態に調整する通常空調運転において実施するものであり、外気OAと還気空気RAとの混合空気は空調機7において所要の温湿度状態に調整される。
【0051】
一方、全外気モードの給排気運転では、運転制御器18は、循環ダンパD3を閉じて、外気ダンパD1及び排気ダンパD2を開くとともに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開いた状態で給気ファンFs及び排気ファンFrを運転し、これにより、外部取入口1から取り入れた外気OAのみを主給気路3及び分岐給気路3aを通じて各調整対象室5に供給する。
【0052】
また、各調整対象室5から分岐排気路4aを通じ主排気路4に排出される空気EAの全風量を外部排出口2から屋外に排出する。
【0053】
この全外気モードの給排気運転は、調整対象室5に過酸化水素水蒸気などの除染ガスを充満させて調整対象室5を除染(除菌)する除染運転の終了時に実施するものであり、この全外気モードの給排気運転により、調整対象室5に残留する除染ガスを室内から完全に排除する。
【0054】
循環モードの給排気運転及び全外気モードの給排気運転のいずれにおいても定常運転状態にある状況では、運転制御器18は、各調整対象室5での定風量装置8による給気風量qsの調整、及び、室圧調整器13による室圧圧力paの調整に対して、給気ファン制御器15に指定する設定給気圧力pssを全ての調整対象室5における定風量装置8の開度状態に応じて変更するとともに、排気ファン制御器17に指定する設定排気圧力prsを全ての調整対象室5における室圧調整ダンパ10の開度状態に応じて変更する。
【0055】
また、操業休止や除染運転などで給排気運転の停止指令が付与されると、運転制御器18は、給気ファンFs及び排気ファンFrを停止するとともに、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3、並びに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを閉じ、これにより、各調整対象室5への汚染物質の侵入を防止し、また、除染運転では除染が行われる調整対象室5から外部への除染ガスの漏出を防止する。
【0056】
操業休止による給排気運転の停止状態から循環モードの給排気運転を開始する際の起動制御、及び、除染運転よる給排気運転の停止状態から除染運転終了時における全外気モードの給排気運転を開始する際の起動制御として、運転制御器18は、給排気運転の開始指令を受けると、次の(a1)〜(a4)の制御を順次に実行するものにしてある(
図2参照)。
【0057】
(a1)給排気運転の開始指令を受けると、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3、並びに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを閉じたままの状態で、ファン起動指令を給気ファン制御器15及び排気ファン制御器17に付与して、給気ファンFs及び排気ファンFrを同時に起動する。
【0058】
(a2)これらファンFs,Frの同時起動に続き、給気ファン制御器15に対して指定する設定給気圧力pssを設定初期給気圧力ps1に向けて所定の変更速度vsで漸次的に変更し、これにより、給気ファン制御器15による給気ファンFsの回転数調整で、給気ファンFsの吐出側における主給気路3の給気圧力psを設定給気圧力pssの変更に追随させて漸次的に上昇させる。
【0059】
また、これに併行して、排気ファン制御器17に対して指定する設定排気圧力prsを絶対値が上記の設定初期給気圧力ps1より小さい設定初期排気圧力pr1に向けて所定の変更速度vrで漸次的に変更し、これにより、排気ファン制御器17による排気ファンFrの回転数調整で、排気ファンFrの吸入側における主排気路4の排気圧力prを設定排気圧力prsの変更に追随させて漸次的に低下させる。
【0060】
なお、
図2において設定排気圧力prsはその絶対値で示してある。
【0061】
(a3)上記設定給気圧力pssの変更による給気圧力psの上昇において給気圧センサ14による検出給気圧力psが大気圧より高い設定安全圧力ps2になると、循環モードの給排気運転を開始する場合では、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3の夫々を開き、また、全外気モードの給排気運転を開始する場合では、循環ダンパD3を閉じたままの状態で外気ダンパD1及び排気ダンパD2を開く。
【0062】
また、これに続いて、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開く。
【0063】
この際、分岐給気路用及び分岐排気路用の気密ダンパDss,Drrについては同時に開く方式、あるいは、重要度が高い調整対象室5ないし設定室内圧力pasの高い調整対象室5の気密ダンパDss,Drrから順次に開く方式のいずれを採用してもよい。
【0064】
(a4)開き操作したダンパ夫々の開動作の完了が各ダンパの開閉状態を検出する開閉センサ19により検出されていることを条件として、給気圧センサ14による検出給気圧力psが設定初期給気圧力ps1に達し、かつ、排気圧センサ16による検出排気圧力prが設定初期排気圧力pr1に達すると起動制御を終了し、前述した定常運転状態での給排気運転に移行する。
【0065】
なお、運転制御器18は、給気ファンFsを起動すると直ちに、室内圧力pa、給気圧力ps、排気圧力pr並びに各部の動作について異常監視を開始し、異常が生じた際には給排気運転を緊急停止して設備を保護する。
【0066】
また、本例の給排気設備では、給排気運転の停止状態においても室圧調整手段Pc(即ち、室圧調整ダンパ10及び室圧調整器13)による室圧調整を継続して実行させるが、給排気運転の停止状態では室圧調整手段Pcよる室圧調整を停止して、上記各ダンパの開き操作時に室圧調整手段Pcによる室圧調整を起動するようにしてもよい。
【0067】
以上の如く、この給排気設備では、給排気運転の開始時に、給気路3,3aを開閉するダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aを開閉するダンパD2,Dr,Drrを開くのに先立ち給気ファンFsを起動し、その後、給気圧センサ14による検出圧力psが大気圧よりも高い設定安全圧力ps2まで上昇したときに、それら給気路3,3aにおけるダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aにおけるダンパD2,Dr,Drrを開くようにしてある。
【0068】
したがって、それら給気路3,3aにおけるダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aにおけるダンパD2,Dr,Drrを開くときに、外部取入口1や外部排出口2に作用する外風圧の影響で給気路3,3aや排気路4,4aの圧力が低下側に変動したとしても、給気ファンFsの先行起動により予め高めてある圧力psにより調整対象室5の負圧化を防止することができ、これにより、給排気運転の開始時における調整対象室5への汚染物質侵入を効果的かつ確実に防止することができる。
【0069】
〔第
1実施形態〕
この第
1実施形態では、
図1に示した給排気設備において、操業休止による給排気運転の停止状態から循環モードの給排気運転を開始する際の起動制御、及び、除染運転よる給排気運転の停止状態から除染運転終了時における全外気モードの給排気運転を開始する際の起動制御として、運転制御器18は、給排気運転の開始指令を受けると、次の(b1),(b2)の制御を順次に実行するものにしてある(
図3参照)。
【0070】
(b1)給排気運転の開始指令を受けると、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3、並びに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを閉じたままの状態で、ファン起動指令を給気ファン制御器15に付与して、先ず給気ファンFsを起動する。
【0071】
そして、この給気ファンFsの起動に続き、給気ファン制御器15に対して指定する設定給気圧力pssを設定初期給気圧力ps1に向けて所定の変更速度vsで漸次的に変更し、これにより、給気ファン制御器15による給気ファンFsの回転数調整で、給気ファンFsの吐出側における主給気路3の給気圧力psを設定給気圧力pssの変更に追随させて漸次的に上昇させる。
【0072】
(b2)上記設定給気圧力pssの変更による給気圧力psの上昇において給気圧センサ14による検出給気圧力psが設定予備圧力ps3になると、排気ファンFrを起動する。
【0073】
そして、この排気ファンFrの起動に続き、上記設定給気圧力pssの変更に併行して、排気ファン制御器17に対して指定する設定排気圧力prsを絶対値が上記の設定初期給気圧力ps1より小さい設定初期排気圧力pr1に向けて所定の変更速度vrで漸次的に変更し、これにより、排気ファン制御器17による排気ファンFrの回転数調整で、排気ファンFrの吸入側における主排気路4の排気圧力prを設定排気圧力prsの変更に追随させて漸次的に低下させる。
【0074】
なお、
図3においても設定排気圧力prsはその絶対値で示してある。
【0075】
以降は
参考例で示した(a3),(a4)の制御と同様であり、設定給気圧力pssの変更による給気圧力psの上昇において給気圧センサ14による検出給気圧力psが大気圧より高い設定安全圧力ps2になると、循環モードの給排気運転を開始する場合では、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3の夫々を開き、また、全外気モードの給排気運転を開始する場合では、循環ダンパD3を閉じたままの状態で外気ダンパD1及び排気ダンパD2を開き、続いて、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開く。
【0076】
即ち、この第
1実施形態においても、給排気運転の開始時には、給気路3,3aを開閉するダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aを開閉するダンパD2,Dr,Drrを開くのに先立ち給気ファンFs及び排気ファンFrを起動し、その後、給気圧センサ14による検出圧力psが大気圧よりも高い設定安全圧力ps2まで上昇したときに、それら給気路3,3aにおけるダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aにおけるダンパD2,Dr,Drrを開くようにし、これにより、ダンパ開操作時の外風圧の影響による調整対象室5の負圧化を防止する。
【0077】
なお、この第
1実施形態においても、分岐給気路用及び分岐排気路用の気密ダンパDss,Drrについては同時に開く方式、あるいは、重要度が高い調整対象室5ないし設定室内圧力pasの高い調整対象室5の気密ダンパDss,Drrから順次に開く方式のいずれを採用してもよい。
【0078】
また、室圧調整手段Pcによる室圧調整は給排気運転の停止状態において継続して実行させる方式、あるいは、給排気運転の停止状態では室圧調整手段Pcよる室圧調整を停止して、上記各ダンパの開き操作時に室圧調整手段Pcによる室圧調整を起動する方式のいずれを採用してもよい。
【0079】
〔第
2実施形態〕
この第
2実施形態では、
図1に示した給排気設備において、操業休止による給排気運転の停止状態から循環モードの給排気運転を開始する際の起動制御、及び、除染運転よる給排気運転の停止状態から除染運転終了時における全外気モードの給排気運転を開始する際の起動制御として、運転制御器18は、給排気運転の開始指令を受けると、次の(c1)〜(c4)の制御を順次に実行するものにしてある(
図4参照)。
【0080】
(c1)給排気運転の開始指令を受けると、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3、並びに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを閉じたままの状態で、
参考例で示した(a1)の制御と同じく、ファン起動指令を給気ファン制御器15及び排気ファン制御器17に付与して、給気ファンFs及び排気ファンFrを同時に起動する。
【0081】
あるいは、
図4において破線で示すように、第
1実施形態で示した(b1),(b2)の制御と同じく、先ずファン起動指令を給気ファン制御器15に付与して給気ファンFsを起動し、それに遅れて、ファン起動指令を排気ファン制御器17に付与して排気ファンFrを起動する。
【0082】
(c2)これらファンFs,Frの起動に続き、給気ファン制御器15に対して指定する設定給気圧力pssを設定初期給気圧力ps1に向けて所定の変更速度vsで漸次的に変更し、これにより、給気ファン制御器15による給気ファンFsの回転数調整で、給気ファンFsの吐出側における主給気路3の給気圧力psを設定給気圧力pssの変更に追随させて漸次的に上昇させる。
【0083】
また、これに併行して、排気ファン制御器17に対して指定する設定排気圧力prsを絶対値が上記の設定初期給気圧力ps1より小さい設定初期排気圧力pr1に向けて所定の変更速度vrで漸次的に変更し、これにより、排気ファン制御器17による排気ファンFrの回転数調整で、排気ファンFrの吸入側における主排気路4の排気圧力prを設定排気圧力prsの変更に追随させて漸次的に低下させる。
【0084】
なお、
図4においても設定排気圧力prsはその絶対値で示してある。
【0085】
(c3)
参考例で示した(a3)の制御と同しく、設定給気圧力pssの変更による給気圧力psの上昇において給気圧センサ14による検出給気圧力psが大気圧より高い設定安全圧力ps2になると、循環モードの給排気運転を開始する場合では、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3の夫々を開き、また、全外気モードの給排気運転を開始する場合では、循環ダンパD3を閉じたままの状態で外気ダンパD1及び排気ダンパD2を開く。
【0086】
また、これに続いて、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開く。
【0087】
そして、このダンパ開き操作の開始に伴い、給気ファン制御器15に指定する設定給気圧力pss、及び、排気ファン制御器17に指定する設定排気圧力prsの夫々を、ダンパ開き操作の開始時点の値に保持し、それにより、給気路3における給気圧力ps及び排気路4における排気圧力prをダンパ開き操作の開始時点の圧力に保持する。
【0088】
(c4)開き操作したダンパの全てについて開動作の完了が各ダンパの開閉状態を検出する開閉センサ19により検出されると、給気ファン制御器15に指定する設定給気圧力pss、及び、排気ファン制御器17に指定する設定排気圧力prsの夫々を、再び、設定初期給気圧力ps1及び設定初期排気圧力pr1に向けて所定の変更速度vs,vrで漸次的に変更して、給気ファンFsの吐出側における主給気路3の給気圧力psを再び漸次的に上昇させるとともに、排気ファンFrの吸入側における主排気路4の排気圧力prを再び漸次的に低下させる。
【0089】
以降は、
参考例で示した(a4)の制御と同様であり、給気圧センサ14による検出給気圧力psが設定初期給気圧力ps1に達し、かつ、排気圧センサ16による検出排気圧力prが設定初期排気圧力pr1に達すと起動制御を終了し、前述した定常運転状態での給排気運転に移行する。
【0090】
即ち、この第
2実施形態においても、給排気運転の開始時には、給気路3,3aを開閉するダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aを開閉するダンパD2,Dr,Drrを開くのに先立ち給気ファンFs及び排気ファンFrを起動し、その後、給気圧センサ14による検出圧力psが大気圧よりも高い設定安全圧力ps2まで上昇したときに、それら給気路3,3aにおけるダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aにおけるダンパD2,Dr,Drrを開くようにし、これにより、ダンパ開操作時の外風圧の影響による調整対象室5の負圧化を防止する。
【0091】
この第
2実施形態においても、分岐給気路用及び分岐排気路用の気密ダンパDss,Drrについては同時に開く方式、あるいは、重要度が高い調整対象室5ないし設定室内圧力pasの高い調整対象室5の気密ダンパDss,Drrから順次に開く方式のいずれを採用してもよい。
【0092】
また、室圧調整手段Pcによる室圧調整は給排気運転の停止状態において継続して実行させる方式、あるいは、給排気運転の停止状態では室圧調整手段Pcよる室圧調整を停止して、上記各ダンパの開き操作時に室圧調整手段Pcによる室圧調整を起動する方式のいずれを採用してもよい。
【0093】
〔第
3実施形態〕
この第
3実施形態では、
図1に示した給排気設備において同図に一点鎖線で示す如く、給気ファンFsと並列的に予圧ファン20を設ける。
【0094】
また、調整対象室5の側に送る空気を給気ファンFsには通過させずに予圧ファン20に対して通過させる予圧ファン経路と、調整対象室5の側に送る空気を予圧ファン20には通過させずに給気ファンFsに対して通過させる給気ファン経路とに、主給気路3の給気経路を択一的に切り換える切換ダンパ21a,21bを設ける。
【0095】
そして、この設備構成において、操業休止による給排気運転の停止状態から循環モードの給排気運転を開始する際の起動制御、及び、除染運転よる給排気運転の停止状態から除染運転終了時における全外気モードの給排気運転を開始する際の起動制御として、運転制御器18は、給排気運転の開始指令を受けると、次の(d1)〜(d4)の制御を順次に実行するものにしてある。
【0096】
(d1)給排気運転の開始指令を受けると、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3、並びに、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを閉じたままの状態で、また、給気ファンFs及び排気ファンFrを停止したままの状態で、予圧ファン20を起動する。
【0097】
この際、主給気路3の給気経路は、切換ダンパ21a,21bによる切り換えにより、調整対象室5の側に送る空気を予圧ファン20に通過させる予圧ファン経路に切り換えておく。
【0098】
(d2)その後、予圧ファン20の運転による給気圧力psの上昇において給気圧センサ14による検出給気圧力psが大気圧より高い設定安全圧力ps2になると、ファン起動指令を給気ファン制御器15及び排気ファン制御器17に付与して、給気ファンFs及び排気ファンFrを起動する。
【0099】
そして、これら給気ファンFs及び排気ファンFrの起動に伴い、切換ダンパ21a,21bによる切り換えにより主給気路3の給気経路を給気ファン経路に切り換えるとともに、循環モードの給排気運転を開始する場合では、外気ダンパD1、排気ダンパD2、循環ダンパD3の夫々を開き、また、全外気モードの給排気運転を開始する場合では、循環ダンパD3を閉じたままの状態で外気ダンパD1及び排気ダンパD2を開く。
【0100】
また、全ての気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開き、その後、予圧ファン20を停止する。
【0101】
(d3)給気ファンFs及び排気ファンFrの起動後は、給気ファン制御器15に対して指定する設定給気圧力pssを設定初期給気圧力ps1に向けて所定の変更速度vsで漸次的に変更するとともに、排気ファン制御器17に対して指定する設定排気圧力prsを絶対値が上記の設定初期給気圧力ps1より小さい設定初期排気圧力pr1に向けて所定の変更速度vrで漸次的に変更する。
【0102】
(d4)開き操作したダンパ夫々の開動作の完了が各ダンパの開閉状態を検出する開閉センサ19により検出されていることを条件として、給気圧センサ14による検出給気圧力psが設定初期給気圧力ps1に達し、かつ、排気圧センサ16による検出排気圧力prが設定初期排気圧力pr1に達すると起動制御を終了し、前述した定常運転状態での給排気運転に移行する。
【0103】
即ち、この第
3実施形態においても、給排気運転の開始時には、給気路3,3aを開閉するダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aを開閉するダンパD2,Dr,Drrを開くのに先立ち予圧ファン20を起動し、その後、給気圧センサ14による検出圧力psが大気圧よりも高い設定安全圧力ps2まで上昇したときに、それら給気路3,3aにおけるダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aにおけるダンパD2,Dr,Drrを開くようにし、これにより、ダンパ開操作時の外風圧の影響による調整対象室5の負圧化を防止する。
【0104】
なお、この第
3実施形態においても、分岐給気路用及び分岐排気路用の気密ダンパDss,Drrについては同時に開く方式、あるいは、重要度が高い調整対象室5ないし設定室内圧力pasの高い調整対象室5の気密ダンパDss,Drrから順次に開く方式のいずれを採用してもよい。
【0105】
また、室圧調整手段Pcによる室圧調整は給排気運転の停止状態において継続して実行させる方式、あるいは、給排気運転の停止状態では室圧調整手段Pcよる室圧調整を停止して、上記各ダンパの開き操作時に室圧調整手段Pcによる室圧調整を起動する方式のいずれを採用してもよい。
【0106】
〔その他の実施形態〕
前述の
第1及び第2実施形態では、いずれも給気ファンFsの起動後、給気圧センサ14による検出給気圧力psが設定安全圧力ps2まで上昇したとき、給気路3,3aを開閉するダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aを開閉するダンパD2,Dr,Drrを開くようにしたが、これに代え、給気ファンFsの起動後、室圧センサ11による調整対象室5の検出室内圧力paが設定安全圧力ps2まで上昇したとき、給気路3,3aを開閉するダンパD1,Ds,Dss、及び、排気路4,4aを開閉するダンパD2,Dr,Drrを開くようにしてもよい。
【0107】
あるいはまた、給気ファンFsの起動後、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間Tが設定安全時間T1に達したときに、それらダンパD1,D2,Ds,Dr,Dss,Drrを開くようにしてもよい。
【0108】
一方、第
1実施形態で示したように給気ファンFsの起動よりも遅らせて排気ファンFrを起動する場合、給気ファンFsの起動後、給気圧センサ14による検出給気圧力psが設定予備圧力ps3まで上昇したときに排気ファンFrを起動するのに代えて、給気ファンFsの起動後、室圧センサ11による調整対象室5の検出室内圧力paが設定予備圧力ps3まで上昇したときに排気ファンFrを起動するようにしてもよい。
【0109】
あるいはまた、給気ファンFsの起動後、タイマにより計時される給気ファン起動時点からの経過時間Tが設定予備時間T2に達したときに排気ファンFrを起動するようにしてもよい。
【0110】
前述の各実施形態では、外気ダンパD1及び排気ダンパD2の開き操作に続き各気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrを開き操作するようにしたが、これに代え、各気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrの開き操作に続き外気ダンパD1及び排気ダンパD2を開き操作するようにしたり、外気ダンパD1及び排気ダンパD2の開き操作と各気密ダンパDs,Dr,Dss,Drrの開き操作とを同時に行うようにしてもよい。
【0111】
給気路3,3aを開閉する給気側開閉ダンパは、給気ファンFsの吐出側あるいは吸入側のいずれに介装してもよく、また、排気路4,4aを開閉する排気側ダンパも排気ファンFrの吸入側あるいは吐出側のいずれに介装してもよい。
【0112】
給気路3,3a及び排気路4,4aを接続する調整対象室5は複数室あるいは1室のいずれであってもよい。